(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001314
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】パルス電界アブレーションによって誘導される高電圧ノイズをフィルタリングするためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187776
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2020560909の分割
【原出願日】2019-05-06
(31)【優先権主張番号】62/667,887
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】516193782
【氏名又は名称】ファラパルス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン,ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】バウアーズ,ウィリアム
(57)【要約】
【課題】電子回路、デバイス、および/または他の構成要素を、心臓アブレーション手順中に生成される誘導電流および電圧から保護するための装置を提供する。
【解決手段】装置は、第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能な保護デバイスを備える。第1の電子デバイスは、組織近くの複数の電極のセットへ送達される電圧パルス波形によって、前記第1の電子デバイスに電流を誘導できるように、対象の組織近くに配置可能である。保護デバイスは、複数のバラン回路のセットを含む。複数のバラン回路のセットは、直列に接続され、複数の所定の周波数範囲のセットにわたって、第1の電子デバイスに誘導される電流を減少させるように共同で構成されている。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能な保護デバイスを備え、前記第1の電子デバイスが、組織近くの複数の電極のセットへ送達される電圧パルス波形によって、前記第1の電子デバイスに電流を誘導できるように、対象の組織近くに配置可能であり、前記保護デバイスが、
直列に接続され、複数の所定の周波数範囲のセットにわたって、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流を減少させるように共同で構成される、複数のバラン回路のセットを含む、装置。
【請求項2】
前記電圧パルス波形を生成するように構成される、信号発生器であって、前記複数の電極のセットに結合され、前記電圧パルス波形を前記複数の電極のセットへ送達するように構成される、信号発生器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ペーシング信号を前記第1の電子デバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置であって、前記第2の電子デバイスである、心臓刺激装置をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の電子デバイスが、複数のリードのセットを含むペーシングデバイスであり、前記第2の電子デバイスが、ペーシング信号を前記ペーシングデバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、前記複数の所定の周波数範囲のセットのうちの少なくとも1つの他の所定の周波数範囲に、少なくとも一部重なる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、前記複数のバラン回路のセットのうちの1つのバラン回路に関連する共振ピークを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記保護デバイスがさらに、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流のうちの交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のバラン回路のセットが、前記1つ以上のインダクタと前記第1の電子デバイスとの間に結合される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上のインダクタが、複数のインダクタの第1および第2のセットを含み、
複数のインダクタの前記第1のセットが、前記複数のバラン回路のセットと前記第1の電子デバイスとの間に結合され、
複数のインダクタの前記第2のセットが、前記複数のバラン回路のセットと前記第2の電子デバイスとの間に結合される、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のバラン回路のセットのうちの少なくとも1つのバラン回路が、コンデンサおよび抵抗器と並列なインダクタを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数のバラン回路のセットのうちの少なくとも1つのバラン回路が、第1および第2の導体を含む、同軸ケーブル巻線を含み、前記第1の導体が、前記第1の電子デバイスの第1のリードに結合され、前記第2の導体が、前記第1の電子デバイスの第2のリードに結合される、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年5月7日出願の米国仮出願第62/667,887号の利益を主張し、その開示全体は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 組織治療のためのパルス電界の生成は、過去20年で研究室から臨床応用へと進展してきた一方で、高電圧および高電界の短いパルスが組織に及ぼす影響については、過去40年間以上調査されている。短く高い直流(DC)電圧を組織に印加すると、細胞膜の中に細孔を生成することによって細胞膜を破壊する高電界を、通常1センチメートルごとに数百ボルトの範囲で局所的に生成しうる。この電気的に駆動される細孔生成、すなわち電気穿孔の正確なメカニズムは、引き続き研究中であるものの、比較的短い高電界の印加によって、細胞膜の脂質二重層に不安定性が生成され、細胞膜の中に局所的なギャップまたは細孔の分布を発生させると考えられている。この電気穿孔は、膜に印加される電界が、細孔が閉じず開いたままとなるような閾値より大きい場合に、不可逆的であってもよく、それによって、膜全体で生体分子材料の交換が可能となり、壊死および/またはアポトーシス(細胞死)をもたらす。続いて、周囲の組織が自然に治癒しうる。しかしながら、高いDC電圧パルスは、心臓活動のある期間中に送達される場合に、合併症(例えば、心室細動)を引き起こしうる。
【0003】
[0003] 例えば、不整脈を誘導するリスクを回避するために、高電圧パルスを、対象の心周期に同調して印加してもよい。例えば、高電圧パルスを心周期の特定期間中に印加できる。いくつかの用途では、心臓刺激装置を使用して、対象の心腔(複数可)を刺激して、心臓の心電図(ECG)活動の周期性を確立することができる。他のデバイス、例えば、検知および/またはマッピングシステムもまた、対象の心周期を監視するのに使用することができる。しかしながら、これらのデバイスは、パルス電界アブレーション手順中に使用すると、高電圧に曝されうる。そのような曝露によって、デバイスの動作を妨害しうる誘導電流をもたらす可能性がある。したがって、この問題に対処するためのシステム、装置、および方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書に記載するのは、パルス電界アブレーション手順中に誘導電流から、電子回路、デバイス、および/または他の構成要素を保護するためのシステム、デバイス、ならびに方法である。いくつかの実施形態では、これらのシステムに使用されるアブレーションデバイスが、心臓での用途において心外膜または心内膜に配備されてもよい。パルス波形は、所定のパラメータを含んでもよく、または信号発生器によって自動生成されてもよい。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態では、システムは、対象の組織近くに配置可能な電極のセットを備えてもよい。信号発生器は、電圧パルス波形を生成するように構成されてもよく、信号発生器が、電極のセットに結合可能であり、電圧パルス波形を電極のセットへ送達して、組織をアブレーションするように構成される。電極のセットが、電圧パルス波形の受信に応答して、心組織近くに配置される第1の電子デバイスに、電流を誘導するように構成されてもよい。保護デバイスは、第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能であってもよい。保護デバイスが、第1の電子デバイスに誘導される電流を減少させるように構成されてもよい。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、第1の電子デバイスが、リードのセットを含むペーシングデバイスであり、第2の電子デバイスが、ペーシング信号をペーシングデバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置である。いくつかの実施形態では、第1の電子デバイスに誘導される電流が、コモンモード電流または差動モード電流のうちの1つ以上を含む。保護デバイスが、コモンモード電流または差動モード電流を減少させるように構成される、1つ以上のトランスを含んでもよい。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、1つ以上のトランスの各トランスが、トロイドコアと、トロイドコアの第1の部分の周りに第1の巻線と、トロイドコアの第2の部分の周りに第2の巻線とを含む。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、所定の周波数を上回る電流を分流して、第1の電子デバイスに誘導される電流を減少させるように構成される、1つ以上のコンデンサを含む。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流するように構成される、1つ以上のダイオードを含む。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、第1の電子デバイスに誘導される交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、1つ以上のインダクタが、第1の電子デバイスの第1のリードに結合される第1のインダクタと、第1の電子デバイスの第2のリードに結合される第2のインダクタとを含む。第1および第2のインダクタが、第1および第2のリードに誘導される交流を減少させるように構成されてもよい。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、保護デバイスが、所定の周波数を上回る電圧を短絡させるように各々構成される、第1および第2のコンデンサと、第1の電子デバイスと第1のコンデンサとの間に結合される、第1のトランスと、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの間に結合される、第2のトランスとを含む。第1および第2のトランスが、第1の電子デバイスに誘導される、コモンモード電流または差動モード電流を減少させるように構成されてもよい。ダイオードのセットは、第2のコンデンサと並列に配列され、第2の電子デバイスに結合されてもよい。ダイオードのセットが、第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流するように構成されてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1および第2のトランスが各々、第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスである。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1および第2のトランスの一方が、第1の電子デバイスに誘導される差動モード電流を減少させるように構成される、差動モードトランスである。第1および第2のトランスの他方が、第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスである。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、保護デバイスが、所定の周波数範囲にわたって、第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように構成される、1つ以上のバラン回路を含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、1つ以上のバラン回路が、所定の周波数範囲のセットのうちの所定の周波数範囲にわたって、第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように各々構成される、複数のバラン回路を含む。所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、所定の周波数範囲のセットのうちの少なくとも1つの他の所定の周波数範囲に、少なくとも一部重なる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、保護デバイスが、第1の電子デバイスに誘導される交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含む。1つ以上のバラン回路が、1つ以上のインダクタと第2の電子デバイスとの間に結合されてもよい。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、1つ以上のバラン回路のうちの少なくとも1つのバラン回路が、コンデンサおよび抵抗器と並列なインダクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のバラン回路のうちの少なくとも1つのバラン回路が、第1および第2の導体を含む、同軸ケーブル巻線を含む。第1の導体が、第1の電子デバイスの第1のリードに結合されてもよく、第2の導体が、第1の電子デバイスの第2のリードに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のバラン回路が、直列に接続される複数のバラン回路を含む。いくつかの実施形態では、保護デバイスがさらに、第1の電子デバイスと信号発生器との間に結合される。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、信号発生器および第2の電子デバイスのうちの少なくとも1つに統合される。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、装置は、第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能な保護デバイスを備えてもよく、第1の電子デバイスが、組織近くの電極のセットへ送達される電圧パルス波形によって、第1の電子デバイスに電流を誘導できるように、対象の心組織近くに配置可能である。保護デバイスが、所定の周波数を上回る電流を分流して、第1の電子デバイスに誘導される電流を減少させるように各々構成される、コンデンサのセットを含んでもよい。トランスのセットは、第1の電子デバイスに誘導される電流のうちの、コモンモード電流または差動モード電流を減少させるように各々構成されてもよい。ダイオードのセットは、第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流するように構成されてもよい。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、信号発生器は、電圧パルス波形を生成するように構成されてもよい。信号発生器が、電極のセットに結合され、電圧パルス波形を電極のセットへ送達するように構成されてもよい。心臓刺激装置は、ペーシング信号を第1の電子デバイスへ送達するように構成され、心臓刺激装置が第2の電子デバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の電子デバイスが、リードのセットを含むペーシングデバイスであってもよく、第2の電子デバイスが、ペーシング信号をペーシングデバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置であってもよい。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、1つ以上のトランスの各トランスが、トロイドコアと、トロイドコアの第1の部分の周りに第1の巻線と、トロイドコアの第2の部分の周りに第2の巻線とを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、1つ以上のトランスの各トランスのトロイドコアが、5以下のアスペクト比を有する積層のセットを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のトランスの各トランスのトロイドコアが、第1の方向でトロイドコアの中心軸に巻きつく、そのトランスの第1の巻線と、第1の方向と反対の第2の方向で中心軸に巻きつく、そのトランスの第2の巻線とによって、中心軸を画定する。いくつかの実施形態では、1つ以上のトランスの各トランスのトロイドコアの外半径は、約4cmと約10cmとの間であり、1つ以上のトランスの各トランスのトロイドコアの内半径は、約2cmと約9cmとの間である。いくつかの実施形態では、1つ以上のトランスの各トランスのトロイドコアの厚さは、約1cmと約6cmとの間であってもよい。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、1つ以上のトランスの各トランスが、少なくとも約1ミリヘンリーのインダクタンス、および少なくとも約500オームの抵抗を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ダイオードのセットの各ダイオードが、ツェナーダイオードであってもよい。いくつかの実施形態では、ダイオードのセットが、直列に配列され反対方向を向く、第1および第2のダイオードを含む。いくつかの実施形態では、ダイオードのセットが、コンデンサのセットのうちの少なくとも1つのコンデンサと並列に配列されてもよい。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、コンデンサのセットが、第1および第2のコンデンサを含む。トランスのセットが、第1の電子デバイスと第1のコンデンサとの間に結合される、第1のトランスを含む。第2のトランスは、第1のコンデンサと第2のコンデンサの間に結合されてもよい。ダイオードのセットが、第2の電子デバイスに結合される、第1および第2のダイオードを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1および第2のトランスが各々、第1の電子デバイスに誘導される電流のうちのコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスであってもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2のトランスの一方が、第1の電子デバイスに誘導される電流のうちの差動モード電流を減少させるように構成される、差動モードトランスであってもよく、第1および第2のトランスの他方が、第1の電子デバイスに誘導される電流のうちのコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスである。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、第1の電子デバイスに誘導される交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含んでもよい。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、装置は、第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能な保護デバイスを備え、第1の電子デバイスが、心組織近くの電極のセットへ送達される電圧パルス波形によって、第1の電子デバイスに電流を誘導できるように、対象の組織近くに配置可能であってもよい。保護デバイスが、直列に接続され、所定の周波数範囲のセットにわたって、第1の電子デバイスに誘導される電流を減少させるように共同で構成される、バラン回路のセットを含んでもよい。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、信号発生器は、電圧パルス波形を生成するように構成され、信号発生器が、電極のセットに結合され、電圧パルス波形を電極のセットへ送達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、心臓刺激装置は、ペーシング信号を第1の電子デバイスへ送達するように構成され、心臓刺激装置が第2の電子デバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の電子デバイスが、リードのセットを含むペーシングデバイスであってもよく、第2の電子デバイスが、ペーシング信号をペーシングデバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置である。いくつかの実施形態では、所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、所定の周波数範囲のセットのうちの少なくとも1つの他の所定の周波数範囲に、少なくとも一部重なってもよい。いくつかの実施形態では、所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、バラン回路のセットのうちのバラン回路に関連する共振ピークを有してもよい。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、保護デバイスがさらに、第1の電子デバイスに誘導される電流のうちの交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含んでもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、バラン回路のセットが、1つ以上のインダクタと第1の電子デバイスとの間に結合されてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、1つ以上のインダクタが、インダクタの第1および第2のセットを含んでもよい。インダクタの第1のセットが、バラン回路のセットと第1の電子デバイスとの間に結合されてもよい。インダクタの第2のセットが、バラン回路のセットと第2の電子デバイスとの間に結合されてもよい。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、バラン回路のセットのうちの少なくとも1つのバラン回路が、コンデンサおよび抵抗器と並列なインダクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バラン回路のセットのうちの少なくとも1つのバラン回路が、第1および第2の導体を含む、同軸ケーブル巻線を含む。第1の導体が、第1の電子デバイスの第1のリードに結合され、第2の導体が、第1の電子デバイスの第2のリードに結合されてもよい。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態では、方法は、心臓の心組織近くに位置づけられるペーシングデバイスを使用して、ペーシング信号を心臓へ送達することと、信号発生器を使用して、心組織近くに位置づけられるアブレーションデバイスへ、電圧パルス波形を送達して、心組織をアブレーションすることと、電圧パルス波形の送達に応答して、心組織近くに位置づけられる第1の電子デバイスのセットに、電流を誘導することであって、第1の電子デバイスのセットが、ペーシングデバイスを含むことと、第1の電子デバイスのセットと第2の電子デバイスとの間に結合される保護デバイスを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流を減少させることとを含んでもよい。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態では、第2の電子デバイスが、ペーシング信号を生成するように構成される心臓刺激装置であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の電子デバイスが、心電図(ECG)記録システムであってもよい。いくつかの実施形態では、方法がさらに、保護デバイスを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流を減少させることが、保護デバイスの1つ以上のトランスまたはコンデンサを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流のうちのコモンモード電流または差動モード電流を減少させることを含むことを含んでもよい。いくつかの実施形態では、保護デバイスを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流を減少させることが、保護デバイスのダイオードのセットを使用して、第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流することを含む。いくつかの実施形態では、保護デバイスを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流を減少させることが、保護デバイスのバラン回路の1つ以上のインダクタを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流の周波数の所定範囲内の周波数を有する交流を減少させることを含む。いくつかの実施形態では、保護デバイスを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流を減少させることが、保護デバイスのバラン回路の1つ以上のインダクタを使用して、第1の電子デバイスのセットに誘導される電流の周波数の所定範囲内の周波数を有する交流を減少させることを含む。
【0022】
[0022] 本発明のパルス波形は、機構が階層的で、入れ子構造を有してもよい。さらに、様々な関連する時間尺度による、連続するグループを伴う。さらに、関連する時間尺度およびパルス幅、ならびにパルスおよび階層的なグループの数は、心臓ペーシングの頻度を伴うディオファントス不等式のセットのうちの1つ以上を満たすように選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態による、電気穿孔システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態による、信号発生器の回路図である。
【
図3】
図3は、実施形態による、信号発生器の回路図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態による、アブレーションカテーテルの側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態による、アブレーションカテーテルの中央部分の部分拡大図である。
【
図6】
図6は、実施形態による、組織アブレーションのための方法を示す。
【
図7】
図7は、実施形態による、各パルスに定義されたパルス幅で連続する電圧パルスを示す、例示的な波形である。
【
図8】
図8は、実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、およびパルスのグループ化を示す、パルスの階層を概略的に示す。
【
図9】
図9は、実施形態による、入れ子型階層の異なるレベルを表示する、単相パルスの入れ子型階層の概略図を提供する。
【
図10】
図10は、実施形態による、入れ子型階層の異なるレベルを表示する、二相パルスの入れ子型階層の概略図である。
【
図11】
図11は、実施形態により、心電図および心臓ペーシング信号の時系列を、心房および心室不応期と共に概略的に示し、不可逆的電気穿孔アブレーションの時間枠を示す。
【
図12】
図12は、実施形態による、患者の心臓に結合されるアブレーションシステムの概略図である。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態による、保護デバイスを含むアブレーションシステムを示すブロック図である。
【
図14】
図14は、他の実施形態による、保護デバイスを含むアブレーションシステムを示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施形態による、無調整コモンモードである保護デバイスの回路図である。
【
図16】
図16は、実施形態による、コモンモードトランスの斜視図である。
【
図17】
図17は、実施形態による、無調整コモンモードである保護デバイスの回路図である。
【
図18】
図18は、実施形態による、無調整コモン-差動モードである保護デバイスの回路図である。
【
図19】
図19は、実施形態による、差動モードトランスの斜視図である。
【
図21】
図21は、実施形態による、
図20A~20Bの調整可能な保護デバイスの共振ピークおよび周波数のプロットである。
【
図22】
図22は、実施形態による、一連の調整可能な保護デバイスの回路図である。
【
図23】
図23は、実施形態による、
図22に示す調整可能な保護デバイスの共振ピークのセットおよび周波数のプロットである。
【
図24】
図24は、実施形態による、
図22に示す調整可能な保護デバイスの共振ピークのセットおよび周波数のプロットである。
【
図25】
図25は、実施形態による、電子構成要素を高電圧信号から保護するための方法を示す。
【
図26】
図26は、実施形態による、組織アブレーションのための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0050] 本明細書に記載するのは、パルス電界アブレーション中に誘導される高出力ノイズ、例えば、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするためのパルス電界から、回路を保護するためのシステム、デバイス、および方法である。概して、パルス電界システムは、組織をアブレーションするために、所望の関心領域に高電界強度(例えば、約200V/cm以上の電界)を生成するように使用されうる。説明目的の例として、心周期と同時に発生する不可逆的電気穿孔により、心房細動を処置するためのパルス電界システムについて、本明細書に記載する。アブレーションエネルギー送達を心周期と同期させることによって、心房および/または心室細動などの不整脈誘発のリスクが減少しうる。例えば、心臓刺激装置を使用して、患者の心調律がペーシングパルスと同期するように、ペーシングパルスを1つ以上の心腔へ送達してもよい。しかしながら、例えば、心組織といった組織に印加される高電圧パルス波形は、ペーシングデバイスに結合し、ペーシングデバイス、およびそれに結合するデバイスのうちの1つ以上に、電流を誘導しうる。このノイズが、刺激装置のデバイス不調および/またはデバイス障害をもたらしうる。
【0025】
[0051] 本明細書に記載するアブレーションシステムは、1つ以上の電圧パルス波形を、アブレーションデバイスの選択された電極のセットに印加して、エネルギーを関心領域へ(例えば、アブレーションエネルギーを肺静脈口にある組織へ)送達するように構成される、信号発生器およびプロセッサを含んでもよい。本明細書に開示するパルス波形によって、様々な不整脈(例えば、心房細動)の治療的処置を支援することができる。システムがさらに、心周期の周期性および予測性を確立するよう、ペーシング捕捉を保証するように、心臓を電気的にペーシングし、および/または心臓活動を測定するのに使用される、心臓刺激装置ならびにペーシングデバイスを含んでもよい。
【0026】
[0052] 心臓刺激装置によって、意図しない組織障害を減少させるために、パルス波形の生成をペーシングされた心拍に同期させてもよい。例えば、定期的な心周期の不応期内の時間枠を、電圧パルス波形送達のために選択してもよい。それゆえ、電圧パルス波形は、心臓の洞調律が乱れるのを回避するために、心周期の不応期に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが、1つ以上のカテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、および電極を含んでもよい。アブレーションデバイスが、異なる構成(例えば、コンパクトおよび拡張)に変形して、デバイスを心内膜腔内に位置づけてもよい。いくつかの実施形態では、システムが随意に1つ以上の対極板を含んでもよい。
【0027】
[0053] 概して、組織をアブレーションするために、1つ以上のカテーテルが、侵襲を少なくして脈管構造を通って標的の場所へ前進してもよい。心臓での用途では、アブレーションパルス波形を送達する電極が、心内膜デバイス上または心外膜デバイス上に配置されてもよい。本明細書に記載する方法が、アブレーションデバイスを心臓の心房(例えば、左心房)の心内膜腔中に導入することと、肺静脈口に接触するようにデバイスを配置することとを含んでもよい。アブレーションパルス波形が、心臓の洞調律の乱れを回避するように、心臓のペーシング信号と同期して生成されてもよい。パルス波形が、デバイスの1つ以上の電極へ送達されて、組織をアブレーションしてもよい。パルス波形が、組織アブレーションを支援し、健康な組織への障害を減少させるように、階層的な波形を含んでもよい。
【0028】
[0054] 概して、ペーシングデバイスの導線の順方向および還流電流は、ペーシングパルスの送達中、平衡を保っている(例えば、強度は等しく、方向は反対)。しかしながら、高電圧アブレーションエネルギーがペーシングデバイスに電気結合することによって、ペーシングデバイスの導線の中で、ある周波数帯に大きな不平衡電流を誘発しうる。これらの誘導電流によって、ペーシングデバイス、および/またはそれに結合される心臓刺激装置の動作が妨害されうる。例えば、ペーシングデバイスが大きな電圧にさらされると、心臓刺激装置のコモンモード除去を超え、システムのペーシングおよび/またはエネルギー送達が中断されうる。いくつかの実施形態では、システムの構成要素間を結合する電気コネクタ(例えば、ワイヤ、ケーブル)が、組織に印加される高電圧パルス波形によって誘発されるノイズを受信してもよい。
【0029】
[0055] 保護デバイスは、ペーシングデバイスに結合されて、アブレーションシステムの他の電子構成要素(例えば、心臓刺激装置、信号発生器)から、ペーシングデバイスに誘導される電圧および電流を抑制してもよい。例えば、ペーシングデバイスに誘導されるコモンモードおよび差動モード電流は、保護デバイス(例えば、フィルタデバイス)によって減少および/または抑制されてもよい。結果として、心臓刺激装置などのシステムの構成要素は、アブレーションデバイスが印加する高電圧パルス波形によって、ペーシングデバイスに誘導されうる電流から保護することができる。追加的または代替的に、保護デバイスはさらに、アクティブな回路保護を提供してもよい。
【0030】
[0056] 本明細書で使用する「電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。本明細書で使用する「可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を一時的に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、可逆的電気穿孔を受ける細胞には、電界が取り除かれると閉じる1つ以上の細孔が、細胞膜の中に一時的および/または断続的に形成されうる。本明細書で使用する「不可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を永久に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、不可逆的電気穿孔を受ける細胞には、電界が取り除かれても存続する1つ以上の細孔が、細胞膜の中に形成されうる。
【0031】
[0057] 本明細書に開示するような電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることによって、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、それゆえ、送達される総エネルギーの減少と共に、より効果的なアブレーション損傷をもたらしうる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示する電圧パルス波形が階層的で、入れ子構造を有してもよい。例えば、パルス波形は、関連する時間尺度を有する、パルスの階層的なグループを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2016年10月19日出願の国際出願第PCT/US2016/057664号に記載の方法、システム、および装置のうちの1つ以上を含んでもよく、その内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
システム
[0058] 本明細書に開示するのは、電圧パルス波形の選択的で迅速な印加による組織アブレーションに関連して、誘導電流を抑制するために構成されるシステムおよびデバイスであり、不可逆的電気穿孔をもたらす。概して、本明細書に記載する、組織をアブレーションするためのシステムは、ペーシングデバイスによって心臓へ送達される心臓ペーシング信号を生成するための、心臓刺激装置を含んでもよい。心臓ペーシング信号を使用して、信号発生器によって生成されるパルス波形の送達を同期し、1つ以上の電極を有するアブレーションデバイスを使用して、パルス波形を送達する。心臓での用途について本明細書に記載するように、システムおよびデバイスが、心外膜および/または心内膜に配備されてもよい。陽極および陰極の電極選択に対する、独立したサブセットの選択により、電圧を選択される電極のサブセットに印加してもよい。
【0033】
概要
[0059]
図12は、心臓(1201)に配置されるペーシングデバイス(1207)と、アブレーションデバイス(1212)とを含む、電気穿孔システムの実施形態の概略図である。ペーシングデバイス(1207)が、心臓活動を測定し、および/またはペーシング信号を心臓(1201)へ送達するように構成されてもよく、アブレーションデバイス(1212)が、パルス波形を受信し、および/または心組織へ送達するように構成されてもよい。例えば、
図12は、心臓(1201)の前方断面を概略的に示し、直線(1202)は、右心室RV(1215)および左心房LA(1214)を含む4つの心腔の境界に、図式化して近似する。ペーシングデバイス(1207)は、右心室(1215)の中に導入され、右心室(1215)を刺激し、ペーシング捕捉を取得できるように位置づけられうる。ペーシングデバイス(1207)が、ペーシングおよび/または信号電極(1209)を備えてもよい。ペーシング電極(1209)が、バイポーラ対として右心室(1215)をペーシングするように構成されてもよく、心臓刺激装置(1260)に結合されてもよい。信号電極(1209)が、心臓(1201)の内部活動(例えば、ECG信号)を測定するように構成される、センサーとして構成されてもよい。アブレーションデバイス(1212)が、信号発生器(1250)に結合するように構成されてもよい。信号発生器(1250)が、例えば、心臓組織(1201)など、組織の不可逆的電気穿孔用のパルス波形を生成するように構成されてもよい。
【0034】
[0060] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1212)の遠位部分が、経中隔穿刺によって心房中隔を通って、左心房(1214)の心内膜腔中へ導入されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、「CATHETERS, CATHETER SYSTEMS, AND METHODS FOR PUNCTURING THROUGH A TISSUE STRUCTURE AND ABLATING A TISSUE REGION」と題する、2013年3月14日出願の国際出願第PCT/US2013/031252号に記載の方法、システム、およびデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、その内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
[0061] アブレーションデバイス(1212)の遠位部分が、アブレーションエネルギー(例えば、パルス電界エネルギー)を組織へ送達するように構成される、電極のセット(1213)を含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(1212)が、組織をアブレーションするようパルス波形を送達するために、内腔(例えば、1つ以上の肺静脈の小孔)(図示せず)の内径表面に接触するよう、1つ以上の電極(1213)を整列させるように位置づけられてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1212)の電極(1213)が、独立してアドレス可能な電極のセットであってもよい。各電極が、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成される絶縁導線を、その対応する絶縁を誘導破壊することなく含んでもよい。いくつかの実施形態では、導線の各々の絶縁が誘導破壊することなく、その厚さにわたって約200Vから約3,000Vの間の電位差を維持してもよい。いくつかの実施形態では、電極のセットが複数の電極を含んでもよい。複数の電極が、例えば、1つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、1つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、ならびに/または同類のものなど、1つ以上の陽極-陰極サブセットにグループ化されてもよい。
【0036】
[0062] 心臓刺激装置(1260)によるペーシング信号の送達中、ペーシングデバイス(1212)の導線を流れる順方向電流および還流電流は、平衡を保っていてもよく、別の言い方をすると、順方向電流の強度が、還流電流の強度と実質的に等しくてもよく、一方順方向電流の方向は、還流電流の方向の反対である。信号発生器(1250)が、アブレーションデバイス(1212)によって電圧パルス波形を心臓へ送達すると、例えば、アブレーションデバイス(1212)およびペーシングデバイス(1207)が近接しているために、ペーシングカテーテルリードに電流が誘導されうる。これらは概して、kW範囲の高出力を伴う不平衡電流であってもよく、心臓刺激装置(1260)(および他の電子構成要素)の周波数範囲に及び、その動作に影響し、その上信号発生器(1250)による電圧パルス波形の送達に影響しうる。それゆえ、アブレーションシステムにおいて誘導電流を抑制するための方法および装置へのニーズが存在する。
【0037】
[0063]
図1は、組織アブレーションのために電圧パルス波形を送達するように構成される、アブレーションシステム(100)を示す。システム(100)は、信号発生器(110)、アブレーションデバイス(140)、ならびに随意に心臓刺激装置(150)、ペーシングデバイス(160)、および対極板(170)を含んでもよい。信号発生器(110)が、少なくとも1つのアブレーションデバイス(140)に、および随意で心臓刺激装置(150)に結合されてもよい。アブレーションデバイス(140)が、1つ以上の電極のセット(142)を含んでもよい。信号または波形発生器(1250)、心臓刺激装置(1260)、およびアブレーションカテーテル(1212)が、
図1に関してそれぞれ記載する信号発生器(110)、心臓刺激装置(150)、およびアブレーションデバイス(140)に構造上かつ機能上類似してもよい。
【0038】
信号発生器
[0064] 信号発生器(110)は、例えば、心臓組織など、組織の不可逆的電気穿孔用のパルス波形を生成するように構成されてもよい。信号発生器(110)が、電圧パルス波形発生器であり、アブレーションデバイス(140)の電極(142a、142b、…、142n)のセットへパルス波形を送達してもよい。信号発生器(110)が、高周波(RF)、直流(DC)インパルス(電気穿孔に使用される高電圧、超短パルスなど)、刺激範囲インパルス、および/またはハイブリッド電気インパルスを含むが、これらに限定されない、いくつかのタイプの信号を生成および送達してもよい。例えば、信号発生器(110)が、単相(DC)パルスおよび二相(DCおよびAC)パルスを生成してもよい。信号発生器(110)が、プロセッサ(120)、メモリ(122)、電極チャネル(124a、124b、…、124n)のセット、エネルギー源(126)、検知回路(128)、ルーティングコンソール(130)、およびユーザインターフェース(132)を含んでもよい。1つ以上の信号発生器の構成要素が、通信バスを使用して結合されてもよい。プロセッサ(120)が、メモリ(122)、電極チャネル(124)、エネルギー源(126)、検知回路(128)、ルーティングコンソール(130)、ユーザインターフェース(132)、アブレーションデバイス(140)、および心臓刺激装置(150)のうちの1つ以上から受信したデータを組み込んで、信号発生器(110)によって生成される、電圧パルス波形のパラメータ(例えば、振幅、幅、デューティサイクル、タイミングなど)を決定してもよい。メモリ(122)がさらに、パルス波形生成および送達、電極チャネル構成、不具合検査、エネルギー放出、ならびに/または心臓ペーシングの同期など、システム(100)に関連するモジュール、プロセス、および/または機能を、プロセッサ(120)に実行させる命令を記憶してもよい。例えば、メモリ(122)が、陽極/陰極構成データ、電極チャネル構成データ、パルス波形データ、不具合データ、エネルギー放出データ、心臓ペーシングデータ、患者データ、臨床データ、手順データ、および/または同類のものを記憶するように構成されてもよい。
【0039】
[0065] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(140)が、本明細書に記載するパルス波形を受信および/または送達するように構成される、カテーテルを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(140)が、左心房の心内膜腔の中へ導入され、1つ以上の電極(142a、142b、…、142n)を心臓組織(例えば、左心房の1つ以上の肺静脈の小孔)に整列させるように位置づけられ、次いで、パルス波形を送達して組織をアブレーションしてもよい。別の例では、心外膜アプローチを使用して、アブレーションデバイス(140)によって組織をアブレーションしてもよい。アブレーションデバイス(140)が、いくつかの実施形態では、独立してアドレス可能な電極のセットでありうる、1つ以上の電極(142a、142b、…、142n)を含んでもよい。例えば、電極(142a、142b、…、142n)が、例えば、1つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、1つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、ならびに/または同類のものなど、1つ以上の陽極-陰極サブセットにグループ化されてもよい。電極のセット(142)が、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれ以上の電極といった、いかなる数の電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR DELIVERY OF PULSED ELECTRIC FIELD ABLATIVE ENERGY TO ENDOCARDIAL TISSUE」と題する、2017年1月4日出願の国際特許出願第PCT/US2017/012099号、「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR SIGNAL GENERATION」と題する、2018年4月26日出願の国際特許出願第PCT/US2018/029552号、「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR FOCAL ABLATION」と題する、2019年1月18日出願の国際出願第PCT/US2019/014226号、および「CATHETERS, CATHETER SYSTEMS, AND METHODS FOR PUNCTURING THROUGH A TISSUE STRUCTURE AND ABLATING A TISSUE REGION」と題する、2013年3月14日出願の国際出願第PCT/US2013/031252号に記載する方法、システム、ならびにデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、それらの各々の内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
[0066] いくつかの実施形態では、プロセッサ(120)が、命令もしくはコードのセットを動作させる、および/または実行するように構成される、いかなる好適な処理デバイスであってもよく、1つ以上のデータプロセッサ、画像処理プロセッサ、グラフィックスプロセッシングユニット、物理演算ユニット、デジタル信号プロセッサ、および/または中央処理装置を含んでもよい。プロセッサ(120)が、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または同類のものであってもよい。プロセッサ(120)が、システムおよび/もしくはシステムに関連するネットワーク(図示せず)に関連する、アプリケーションプロセス、および/もしくは他のモジュール、プロセス、および/もしくは機能を動作させる、ならびに/または実行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサが、マイクロコントローラユニットおよびFPGAユニットの両方を備え、マイクロコントローラが、電極の順序に関する命令をFPGAへ送ってもよい。基礎となるデバイス技術は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)のような金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合論理(ECL)のようなバイポーラ技術、高分子技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー金属構造)、アナログとデジタルとの混合、および/または同類のものといった、様々な構成要素のタイプで提供されてもよい。
【0041】
[0067] いくつかの実施形態では、メモリ(122)が、データベース(図示せず)を含んでもよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどであってもよい。メモリ(122)が、パルス波形生成、電極チャネル構成、不具合検出、エネルギー放出、および/または心臓ペーシングなど、システム(100)に関連するモジュール、プロセス、および/または機能を、プロセッサ(120)に実行させる命令を記憶してもよい。
【0042】
[0068] いくつかの実施形態では、電極チャネルのセット(124)は、アクティブな固体スイッチのセットを含んでもよい。電極チャネルのセット(124)が、各電極チャネルに対する独立した陽極/陰極構成を含む、いくつかの手段で構成されてもよい。例えば、電極チャネル(124a、124b、…、124n)が、例えば、1つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、1つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、ならびに/または同類のものなど、1つ以上の陽極-陰極サブセットにグループ化されてもよい。電極チャネルのセット(124)が、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれ以上の電極チャネルといった、いかなる数のチャネルを含んでもよい。エネルギー送達には、電極チャネル(124)のいかなる組み合わせ、およびエネルギー送達シーケンスのいかなる順番を使用してもよい。送達されるエネルギーが、RFおよび/またはいかなる組織アブレーションエネルギーであってもよい。
【0043】
[0069] 電極チャネルのセット(124)が、ルーティングコンソール(130)に結合された電極のセット(142)へ、エネルギーを送達するように、ルーティングコンソール(130)に結合されてもよい。電極チャネルのセット(124)が、エネルギー(例えば、パルス波形)を受信するように、エネルギー源(126)へ結合されてもよい。プロセッサ(120)が、パルスごと、オペレータ入力ごと、および/または同類のものに構成されうる、各電極チャネル(124)に対して陽極/陰極構成を構成するように、各電極チャネル(124)へ結合されてもよい。プロセッサ(120)およびエネルギー源(126)が、電極チャネルのセット(124)を通って、電極のセット(142)へパルス波形を送達するように、共同で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で詳細に説明するように、各電極チャネル(124)が、電子スイッチ(例えば、バイポーラトランジスタ)および駆動回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各電極チャネル(124)が、低周波および高周波操作用にブートストラップ構成を有してもよい。例えば、電極チャネルを通って送達される電圧パルスのパルス持続期間は、約1マイクロ秒と約1000マイクロ秒との間の範囲であってもよい。二相モードでは、これは、電圧パルスに関連する周波数に対して、約500Hzと約500KHzとの間の近似の周波数範囲に対応する。
【0044】
[0070] いくつかの実施形態では、エネルギー源(126)は、エネルギーを変換し、信号発生器(110)に結合される電極のセット(142)へ供給するように構成されてもよい。信号発生器(110)のエネルギー源(126)が、DC電源を含み、AC/DC切替器として構成されてもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器(110)のエネルギー源(126)は、約7kVのピーク最大電圧を持つ矩形波パルスを、約30Ωから約3000Ωの範囲であるインピーダンスを伴うデバイス中へ、約1000μsの最長期間送達してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、エネルギー源(126)がエネルギーを貯蔵するように構成されてもよい。例えば、エネルギー源(126)が、電源からのエネルギーを貯蔵するように、1つ以上のコンデンサを含んでもよい。これらの例は、純粋に非限定的な説明の目的で含まれているものの、パルス持続期間、パルスの間隔、パルスのグループ化などの範囲を伴う、様々なパルス波形は、臨床用途に応じて生成されてもよいことに留意すること。
【0045】
[0071] いくつかの実施形態では、検知回路(128)は、信号発生器(110)に結合されるデバイス(例えば、電極チャネル(124)に結合される電極(142))へ送達している電流の量を決定するように構成されてもよい。本明細書でより詳細に説明するように、また検知回路(128)を、電極チャネルの不具合を分類し、コンデンサの放電を監視し、および/またはアーク放電を感知するのに使用してもよい。いくつかの実施形態では、検知回路(128)が、直流検知回路および/またはローサイド検知回路であってもよい。検知回路が、1つ以上の演算増幅器、差動増幅器(DA)、計装用増幅器(IA)、および/または電流シャントモニタ(CSM)を含んでもよい。
【0046】
[0072] いくつかの実施形態では、ルーティングコンソール(130)が、アブレーションデバイス(140)の電極のセット(142)を、電極チャネルのセット(124)へ電気的に結合するように構成されてもよい。ルーティングコンソール(130)が、電極チャネルのセット(124)を使用して、電極のセット(142)へエネルギーを選択的に送達するように構成されてもよい。電極のセット(142)を各々有する、1つ以上のアブレーションデバイス(140)が、ルーティングコンソール(130)に結合されてもよい。電極のセット(142)が、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれ以上の電極といった、いかなる数の電極を含んでもよい。
【0047】
[0073] いくつかの実施形態では、エネルギー送達用に構成される(例えば、陽極/陰極対の電極チャネルとして構成される)電極チャネル(124)が、互いに隣接していなくてもよい。例えば、電極チャネルのセット(124)が、線形配列状のN個の電極チャネル(124n)のセットを含んでもよい。一実施形態では、第1の電極チャネルは、N個の電極チャネル(124n)の線形配列の中にある、第1の電極チャネル(124a)に対応してもよい。第2および第3の電極チャネル(124b、124c)のうちの1つ以上は、N個の電極チャネル(124n)の線形配列の中で、第1の電極チャネル(124a)に隣接していなくてもよい。
【0048】
[0074] 多電極アブレーションデバイスによって、組織を標的にする正確なエネルギー送達が可能になりうる。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(140)の電極(142)が、エネルギー送達用に(例えば、陽極/陰極対の電極(142)として)構成されてもよく、アブレーションデバイス(140)において、電極(142)の線形配列内で互いに隣接してもよい。例えば、アブレーションデバイス(140)は、N個の電極(142n)の線形配列として、電極のセット(142)を含んでもよい。本明細書でより詳細に考察するように、
図5は、電極(530)の線形配列を含む、アブレーションデバイス(500)の別の実施形態を示す。アブレーションデバイス(140)に結合される信号発生器(110)が、アブレーションデバイス(140)のN個の電極(142n)に対応する、N個の電極チャネル(124n)を有する電極チャネルのセット(124)を含んでもよい。一実施形態では、N個の電極チャネル(124n)のうちの第1の電極チャネル(124a)が、N個の電極(142n)の線形配列の中にある、第1の電極(142a)に対応してもよい。N個の電極チャネル(124n)のうちの第2および第3の電極チャネル(124b、124c)のうちの1つ以上が、N個の電極(142n)の線形配列の中で、第1の電極(142a)に隣接する電極のいずれにも対応しない場合がある。
【0049】
[0075] 構成可能な電極チャネルおよび電極の選択によって、所望の関心領域をアブレーションするための電極の位置づけに柔軟性を提供しうる。一実施形態では、ルーティングコンソール(130)が、アブレーションデバイス(140)の16個の電極のセット(142)に結合してもよい。ルーティングコンソール(130)が、電極チャネル選択および1つ以上の電極(142)へのエネルギー送達のために、プロセッサ(120)ならびに/またはユーザインターフェース(132)から入力を受信してもよい。追加的または代替的に、ルーティングコンソール(130)が、心臓刺激装置(150)に結合し、パルス波形と患者の心周期との同期に使用されるデバイスからデータを(例えば、ペーシングデバイスから心臓ペーシングデータを)受信するように構成されてもよい。実施形態では、波形または信号発生器によって、ペーシングおよび/もしくは心臓刺激装置の機能性を統合し、ならびに/または含んでもよい。
【0050】
[0076] いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(132)が、オペレータとシステム(100)との間の通信インターフェースとして構成されてもよい。ユーザインターフェース(132)が、入力デバイスおよび出力デバイス(例えば、タッチ面およびタッチディスプレイ)を含んでもよい。例えば、メモリ(122)からの患者データは、ユーザインターフェース(132)によって受信され、目に見えるように、および/または聞こえるように出力されてもよい。検知回路(128)からの電流データを受信し、ユーザインターフェース(132)のディスプレイ上に出力してもよい。別の例として、1つ以上のボタン、ノブ、ダイヤル、スイッチ、トラックボール、タッチ面、および/または同類のものを有する入力デバイスをオペレータが制御することによって、信号発生器(110)および/またはアブレーションデバイス(140)への制御信号を生成してもよい。
【0051】
[0077] いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(132)の入力デバイスが、オペレータ入力用のタッチ面を含んでもよく、静電容量、抵抗、赤外線、光学画像、分散信号、音響パルス認識、および表面弾性波技術を含む、複数のタッチ感度技術のいずれかを使用して、タッチ面上の接触および動きを検出するように構成されてもよい。追加的または代替的に、ユーザインターフェース(132)が、ステップスイッチまたは足踏みペダルを含んでもよい。
【0052】
[0078] いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(132)の出力デバイスが、ディスプレイデバイスおよびオーディオデバイスのうちの1つ以上を含んでもよい。ディスプレイデバイスが、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、薄膜トランジスタ(TFT)、および有機発光ダイオード(OLED)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。オーディオデバイスが、患者データ、センサーデータ、システムデータ、他のデータ、アラーム、警報、および/または同類のものを聞こえるように出力してもよい。オーディオデバイスが、スピーカー、圧電オーディオデバイス、磁歪スピーカー、および/またはデジタルスピーカーのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一実施形態では、信号発生器(110)に不具合が検出されると、オーディオデバイスが可聴警報を出力してもよい。
【0053】
[0079] いくつかの実施形態では、信号発生器(110)が、台車またはカート上に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(132)が、信号発生器(110)と同じまたは異なる筐体の中に形成されてもよい。ユーザインターフェース(132)が、備品(例えば、ベッド柵)、壁、天井など、いかなる好適な物体に取り付けられてもよく、または自立してもよい。いくつかの実施形態では、入力デバイスが、信号発生器(110)の有線および/もしくは無線受信機へ、制御信号を送信するように構成される、有線ならびに/または無線送信機を含んでもよい。
【0054】
[0080] いくつかの実施形態では、ペーシングデバイス(160)を含む心臓刺激装置(150)は、ペーシングデバイス(160)を介して患者へ送達される、心臓ペーシング信号を生成して、心刺激のために1つ以上の心室をペーシングするように構成されてもよい。ペーシングデバイス(160)が、心臓をペーシングし、心臓活動を測定するように構成されてもよい。ペーシングデバイス(160)が、ペーシング電極および信号電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペーシングデバイス(160)が、ペーシング電極を使用して、心臓刺激装置(150)によって生成されるペーシングパルスを送達してもよい。ペーシングデバイス(160)がさらに、信号電極を使用して、心臓内の活動(例えば、ECG信号)に対応する心臓活動を測定してもよい。ペーシング信号の指標は、心臓刺激装置(150)によって信号発生器(110)へ送信されてもよい。ペーシング信号に基づいて、電圧パルス波形の指標は、プロセッサ(120)によって選択、計算、および/またはそうでなければ識別され、信号発生器(110)によって生成されてもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器(110)がさらに、心刺激および/またはペーシング信号の生成のための回路を含み、それによって刺激装置の機能性を提供してもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器(110)が、ペーシング信号(例えば、共通の不応枠内の)の指標と同期して、電圧パルス波形を生成するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、共通の不応枠が、心室ペーシング信号の実質的な直後に(または非常に小さな遅延の後に)開始し、その後おおよそ250ミリ秒(ms)以下(例えば、約150msと約250msとの間)の期間持続してもよい。そのような実施形態では、パルス波形全体がこの期間内に送達されうる。心臓ペーシングについては、
図11に関して本明細書でさらに説明する。
【0055】
[0081] 対極板(170)が、患者に結合され(例えば、患者の背中に配置され)て、電流がペーシングデバイス(160)から患者を貫通して、次いで対極板(170)へ通過することが可能になって、患者(図示せず)からの安全な電流の帰路を提供してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するシステムが、システム(100)の複数部分の周辺に滅菌バリアを作るように構成される、1つ以上の滅菌カバーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システム(100)が、滅菌野を形成するように、1つ以上の滅菌カバーを含んでもよい。例えば、滅菌カバーが、アブレーションデバイス(複数可)と患者との間に置かれ、患者、信号発生器、およびアブレーションデバイスを含む内部の非滅菌側と、オペレータを含む外部の滅菌側との間にバリアを形成してもよい。追加的または代替的に、システム(100)の構成要素は滅菌可能であってもよい。滅菌カバーが、例えば、システム構成要素の少なくとも一部分を覆うように構成される、滅菌覆布を含んでもよい。一実施形態では、滅菌カバー(例えば、滅菌覆布)が、システム(100)のユーザインターフェース(132)に対して、滅菌バリアを作るように構成されてもよい。滅菌覆布が透明で、オペレータにユーザインターフェース(132)が見えるようにし、手動で操作することを可能にしてもよい。滅菌カバーが、1つ以上のシステム構成要素の周りにぴったりと合ってもよく、または構成要素を滅菌野内で調整するのを可能にするために、緩く垂らして掛かっていてもよい。
【0056】
[0082]
図2は、信号発生器(110)に構造上および/または機能上類似しうる、信号発生器(200)の実施形態の回路図を示す。信号発生器(200)が、1つ以上の電極チャネル(201、202、203)を含んでもよい。
図2は、電極チャネル(124a、124b、…、124n)に構造上および/または機能上類似しうる、類似の回路構成を有する電極チャネルの各々を示す。いくつかの実施形態では、電極チャネルの各々(201、202、203)が、ハーフブリッジ増幅器として個々に構成されてもよく、一方電極チャネルの対は、フルブリッジ増幅器として共同で構成されてもよい。本明細書に記載する信号発生器が、柔軟にプログラム可能な電極構成を含んでもよく、電極の様々なサブセットは、陽極および陰極として動的かつ迅速に構成されうる。それゆえ、アブレーションエネルギー送達プロセスでは、エネルギーは、対を成す連続電極サブセットにわたって迅速に送達されうる。いくつかの場合では、所与の電極は、一連の対を成す電極サブセットにわたる順序づけの過程において、陽極として、その後すぐに陰極として構成されうる。同様に、二相性波形もまた、このトポロジーの助けで送達されてもよく、初めに与えられる陽極-陰極対は、非常に短い切り替え時間間隔後に極性を逆転させられてもよく、陽極/陰極選択の順序づけを繰り返し交互に行うことで、二相電圧パルス列がもたらされうる。信号発生器(200)が、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれ以上の電極チャネルといった、N個の電極チャネルを含んでもよい。便宜上、第1の電極チャネル(201)に関して記載するが、各電極チャネルは、オン状態とオフ状態との間を切り替わるように構成される、第1の電子スイッチ(220)を含んでもよい。第1の駆動回路(222)は、第1の電子スイッチ(220)のゲート端子に結合されて、第1の電子スイッチ(220)の状態を制御してもよい。第1の電極チャネル(201)がさらに、オンとオフとの状態の間を切り替わるように構成される、第2の電子スイッチ(230)を含む。第2の駆動回路(232)は、第2の電子スイッチ(230)のゲート端子に結合されて、第2の電子スイッチ(230)の状態を制御してもよい。駆動回路の各々(222、232)が、プロセッサ(例えば、プロセッサ(120))に結合され、プロセッサによって制御されてもよい。出力チャネル(211)は、第1の電子スイッチ(220)のエミッタ端子に、および第2の電子スイッチ(230)のコレクタ端子に結合されてもよく、電流用の電流路の一部を形成して、医療機器上の電極(図示せず)を介して、電気負荷(患者の生体構造など)を通って、以下に記載する、第2の電極チャネルに結合される1つ以上の出力チャネルへと通過してもよい。出力チャネル(211)が、アブレーションデバイス(140)の第1の電極142(a)など、第1の電極に結合されてもよい。
【0057】
[0083] 同様に、第2および第3の電極チャネル(202、203)は、それぞれの第1の電子スイッチ(220’、220’’)を含み、各々オン状態とオフ状態との間を切り替わるように構成されてもよい。第1の駆動回路(222’、222’’)は、それぞれの第1の電子スイッチ(220’、220’’)に結合されて、第1の電子スイッチ(220’、220’’)の状態を制御してもよい。出力チャネル(212、213)は、第1の電子スイッチ(220’、220’’)のエミッタ端子と、第2の電子スイッチ(230’、230’’)のコレクタ端子との間に結合されてもよい。出力チャネル(212、213)が、アブレーションデバイス(140)の第2の電極(142b)および第3の電極(142c)など、それぞれの第2および第3の電極に結合されてもよい。第2および第3の電極チャネル(202、203)がさらに、オンとオフとの状態の間を切り替わるように構成される、それぞれの第2の電子スイッチ(230’、230’’)を含む。第2の駆動回路(232’、232’’)は、第2の電子スイッチ(230’、230’’)のゲート端子に結合されて、第2の電子スイッチ(230’、230’’)の状態を制御してもよい。駆動回路の各々(222’、222’’、232’、232’’)が、プロセッサ(例えば、プロセッサ(120))に結合され、プロセッサによって制御されてもよい。プロセッサによって制御される駆動回路が、ルーティングコンソール130を効果的に備える。上に記載したように、ルーティングコンソールが、出力チャネルに接続されるデバイス電極のセットに結合するように構成されてもよい。各電極チャネル(201、202、…)は、デバイス電極のセットのそれぞれの電極(142a、142b、…)に対応する。波形送達の例示的な図として、スイッチ(220、230)がそれぞれオンおよびオフ状態にあり、スイッチ(220’、230’)がそれぞれオンおよびオフ状態にあり、スイッチ(220’’および230’’がそれぞれオフおよびオン状態にあり、すべての他の電極チャネルのすべての他のスイッチが、オフ状態にある場合、正電圧パルスは、陽極または正端子として出力チャネルN(211)、ならびに陰極または負/アース端子として出力チャネルN+3(
図2の212)およびN+4(
図2の213)で送達される。スイッチのオン状態の期間によって、パルスの時間幅を決定する。このように、連続するパルスは、所与のまたはある特定の陽極-陰極の組み合わせのパルス発生の繰り返しを含む、いかなる連続する陽極-陰極対によって送達されてもよい。波形送達は、本明細書に開示する発生器のアーキテクチャを用いて、連続する電極にわたって散在してもよい。前述で開示した電極チャネル選択の例では、1つの陽極チャネルおよび2つの陰極チャネルの選択について説明したものの、様々なそのような陽極-陰極の組み合わせが、制限なく選択されうることは明白であるべきである。
【0058】
[0084] 本明細書に記載する電子スイッチ(220~220’’、230~230’’、320~320’’、330~330’’)が、バイポーラ接合トランジスタまたはバイポーラ電界効果トランジスタなど、1つ以上のバイポーラトランジスタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電子スイッチのうちの1つ以上が、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を含む。そのようなIGBTスイッチは、約50,000Wから約300,000Wまでの近似範囲で、高電圧に関連する高い瞬時電力に対処できうる。エネルギー源(図示せず)は、それぞれの抵抗素子(240、240’、240’’)を通って、電極チャネル(201、202、203)の第1の電子スイッチ(220、220’、220’’)のコレクタ端子に結合されてもよい。本明細書でより詳細に説明するように、抵抗素子(240、240’、240’’)は、エネルギー源が使用されていないときに、エネルギー源の容量性素子を放電するように各々構成されてもよい。いくつかの実施形態では、抵抗素子が、約5オームと約25オームとの間の範囲である抵抗を有してもよい。電極チャネル(201、202、203)の各々が、検知回路(250)および電流検知抵抗器(252)に結合してもよい。いくつかの実施形態では、検知回路(250)が、使用中にアーク放電を検出するように構成されてもよい。
図2では、検知回路(250)が、第2の電子スイッチ(230、230’、230’’)のエミッタ端子と接地(254)との間に結合されてもよい。追加的または代替的に、各電極チャネル(201、202、203)が、それぞれの検知回路(250)および電流検知抵抗器(252)に結合してもよい。
【0059】
[0085] いくつかの実施形態では、
図1および2に関して記載するように、駆動回路(222、232)のセットに結合される、プロセッサ(120)などのプロセッサによって、第1の電極チャネル(201)を陽極として構成してもよい。第2および第3の電極チャネル(202、203)のうちの1つ以上が、プロセッサ(120)によって、同様に陰極として構成されてもよい。一実施形態では、第1の電極チャネル(201)が、第1の電極チャネル(201)の第1の電子スイッチ(220)をオン状態に設定することによって、かつ第1の電極チャネル(201)の第2の電子スイッチ(230)をオフ状態に設定することによって、陽極として構成されてもよい。第2および第3の電極チャネル(202、203)の各々が、それぞれの第1の電子スイッチ(220’、220’’)をオフ状態に設定し、それぞれの第2の電子スイッチ(230’、230’’)をオン状態に設定することによって、陰極として構成されてもよい。このように、電極チャネル(201、202)が、例えば、組織部位への電流路を形成してもよい(例えば、第1の電極チャネル(201)の第1の電子スイッチ(220)、および第2の電極チャネル(202)の第2の電子スイッチ(230’)を使用して、出力チャネル(211、212)の各々に結合される。
【0060】
[0086] プロセッサ(120)およびエネルギー源(126)が、電極チャネル(201、202、203)のうちの1つ以上を介して、使用中にパルス波形を電極のセットへ送達するように、共同で構成されてもよい。信号発生器(200)が、二相(AC)パルスを送達してもよく、いくつかの実施形態では、出力チャネル(211)を陽極として、出力チャネル(212、213)を陰極として、電圧パルスを出力チャネル(211、212、213)のセットへ送達した後、極性を即座に逆転し、次いで反対極性の電圧パルスを、出力チャネル(211)を陰極として、出力チャネル(212、213)を陽極として送達し、所望の数の二相パルスが、好適な波形の形態で出力チャネルセット(211、212、213)へ送達されるまで同様である。続いて(場合によってはプログラム可能な時間間隔で)、デバイス電極(または出力チャネル)の異なるセットが、陽極として構成されてもよく、デバイス電極のこの新しいセットにわたって、波形が再び送達されてもよい。このように、電圧波形が、電極のいかなる所望の集合にわたって順序づけられてもよい。概して、プロセッサ(120)およびエネルギー源(126)が、順序づけられた電極のセット(142a、142b、…、142n)にわたって、パルス波形を送達するように共同で構成されてもよい。
【0061】
[0087] いくつかの実施形態では、本明細書でより詳細に説明するように、信号発生器(200)を使用して送達されるパルス波形が、階層のレベルのセットを含んでもよく、および/または心臓刺激装置(150)から生成されるペーシング信号の指標と同期してもよい。
【0062】
[0088]
図3は、信号発生器(110)に構造上および/または機能上類似しうる、信号発生器(300)の実施形態の回路図を示す。例えば、信号発生器(300)は、電極チャネル(124a、124b、…、124n)に構造上および/または機能上類似しうる、1つ以上の電極チャネル(301、302、316)を含んでもよい。説明を簡単にするために、別段の明記がない限り、
図3の要素は、
図2の類似の要素に関して考察したのと同じ構成要素、機能性、および/または値を有してもよい。例えば、
図2でパルス波形を電極のセットへ送達するのに使用される電極チャネル(201、202、203)が、
図3で容量エネルギー放出に使用される、同じ電極チャネルのセット(301、302、316)であってもよい。信号発生器(300)が、1つ以上の電極チャネル(301、302、…、316)を含んでもよく、
図3は、同じ回路構成を有する電極チャネルの各々を示す。
図3が16個の電極チャネルを示すものの、信号発生器(300)が、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれ以上の電極チャネルといった、N個の電極チャネルを含んでもよいことは理解されるべきである。第1の電極チャネル(301)は、オン状態とオフ状態との間を切り替わるように構成される、第1の電子スイッチ(320)を含んでもよい。第1の駆動回路(322)は、第1の電子スイッチ(320)のゲート端子に結合されて、第1の電子スイッチ(320)の状態を制御してもよい。第1の電極チャネル(301)がさらに、オンとオフとの状態の間を切り替わるように構成される、第2の電子スイッチ(330)を含んでもよい。第2の駆動回路(332)は、第2の電子スイッチ(330)のゲート端子に結合されて、第2の電子スイッチ(330)の状態を制御してもよい。出力チャネル(361)は、第1の電子スイッチ(320)のエミッタ端子と、第2の電子スイッチ(330)のコレクタ端子との間に結合されてもよい。
【0063】
[0089] 同様に、第2および第16の電極チャネル(302、316)は、オン状態とオフ状態との間を切り替わるように構成される、それぞれの第1の電子スイッチ(320’、320’’)を含んでもよい。第1の駆動回路(322’、322’’)が、それぞれの第1の電子スイッチ(320’、320’’)に結合されて、第1の電子スイッチ(320’、320’’)の状態を制御してもよい。出力チャネル(362、376)は、第1の電子スイッチ(320’、320’’)のエミッタ端子と、第2の電子スイッチ(330’、330’’)のコレクタ端子との間に結合されてもよい。第2および第16の電極チャネル(302、316)がさらに、オンとオフとの状態の間を切り替わるように構成される、それぞれの第2の電子スイッチ(330’、330’’)を含む。第2の駆動回路(332’、332’’)は、第2の電子スイッチ(330’、330’’)のゲート端子に結合されて、第2の電子スイッチ(330’、330’’)の状態を制御してもよい。出力チャネル(361、362、376)の各々が、1つ以上の医療機器(図示せず)上でそれぞれの電極に結合されてもよい。それゆえ、各電極チャネル(301、302、316)は、1つ以上の医療機器上の電極のセットのそれぞれの電極に対応してもよい。
【0064】
[0090] 本明細書に記載する電子スイッチが、1つ以上のバイポーラトランジスタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電子スイッチの1つ以上が、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む。エネルギー源(図示せず)は、それぞれの抵抗素子(340、340’、340’’)を通って、電極チャネル(301、302、316)の第1の電子スイッチ(320、320’、320’’)のコレクタ端子に結合されてもよい。抵抗素子(340、340’、340’’)は、エネルギー源が使用されていないときに、エネルギー源の容量性素子を放電するように各々構成されてもよい。電極チャネル(301、302、316)の各々が、検知回路(350)および電流検知抵抗器(352)に結合してもよい。いくつかの実施形態では、検知回路(350)が、使用中にアーク放電を検出するように構成されてもよい。
図3では、検知回路(350)が、第2の電子スイッチ(330、330’、330’’)のエミッタ端子と接地(354)との間に結合されてもよい。追加的または代替的に、各電極チャネル(301、302、316)が、それぞれの検知回路(350)および電流検知抵抗器(352)に結合してもよい。
【0065】
[0091] いくつかの実施形態では、
図1および3に関して記載するように、信号発生器(110)によって、電極チャネルのアクティブな監視を提供してもよい。例えば、信号発生器(110)のプロセッサ(120)が、1つ以上の不具合検査を行って、1つ以上の電極チャネル(124a、124b、…、124n)(例えば、電子スイッチおよび駆動回路)、エネルギー源(126)(例えば、DC電源)、および検知回路(128)(例えば、アーク検出)の動作を検証するように構成されてもよい。不具合検査を、所定の間隔で(例えば、エネルギー源(126)が使用されていないときの、パルス波形送達の合間で、パルス波形の送達前の開始時に)、1つ以上の電極チャネル(124a、124b、…、124n)上で行ってもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器(300)が、1つ以上の電極チャネルについて一連の不具合検査を行って、1つ以上の電極チャネルの作業状態を分類してもよい。一実施形態では、最初にパルス波形を電極のセット(142a、142b、…、142n)へ送達した後、第1の不具合検査を、電極チャネルのセット(301、302、…、316)のうちの1つ以上に対して個々に実施してもよい。いくつかの実施形態では、第1の不具合検査が、第1の電極チャネル(301)に対して、第1の電子スイッチ(320)をオン状態に、および第2の電子スイッチ(330)をオフ状態に設定することを含んでもよい。検証DC電圧を、不具合検査のために第1の電極チャネル(301)に印加してもよい。一実施形態では、検証DC電圧が約50Vであってもよい。第1の不具合検査中に、検知回路(350)によって実質的に電流が検出されない場合、第1の電極チャネル(301)を、第1の不具合検査に合格と分類してもよい。閾値電流、例えば、10mA以上の電流が、検知回路(350)によって検出される場合、第1の電極チャネル(301)を、第1の不具合検査に不合格(例えば、故障中)と分類してもよい。いくつかの実施形態では、第2の不具合検査が、第1の電極チャネル(301)に対して、第1の電子スイッチ(320)をオフ状態に、および第2の電子スイッチ(330)をオン状態に設定することを含んでもよい。第2の不具合検査中に、検知回路(350)によって実質的に電流が検出されない場合、第1の電極チャネル(301)を、第2の不具合検査に合格と分類してもよい。閾値電流、例えば、10mA以上の電流が、検知回路(350)によって検出される場合、第1の電極チャネル(301)を、第2の不具合検査に不合格と分類してもよい。いくつかの実施形態では、第3の不具合検査が、第1の電極チャネル(301)に対して、第1の電子スイッチ(320)をオン状態に、および第2の電子スイッチ(330)をオン状態に設定することを含んでもよい。第1の電極チャネル(301)は、第3の不具合検査中に、検知回路(350)によって所定の量の電流が検出されるとき、第3の不具合検査に合格と分類され、検知回路(350)によって、所定の量ではない電流が検出される場合、第3の不具合検査に不合格と分類されうる。例えば、所定の量の電流(例えば、約5A)が、抵抗素子(340)の抵抗(例えば、約10Ω)で割ったエネルギー源(例えば、約50V)によって出力されるDC電圧に等しくてもよい。
【0066】
[0092] 第1の不具合検査の不合格は、第2の電子スイッチ(330)および/または第2の駆動回路のドライブ(332)(例えば、
図3の下位IGBT回路)の不調を示してもよく、一方第2の不具合検査の不合格は、第1の電子スイッチ(320)および/または第1の駆動回路(322)(例えば、
図3の上位IGBT回路)の不調を示してもよい。第3の不具合検査の不合格は、エネルギー源、検知回路、電子スイッチ、および駆動論理のうちの1つ以上の不調を示してもよい。したがって、不具合検査によって、不具合検査をした電極チャネルについて、上位ならびに下位IGBT回路の個々のおよび共同の動作を検証しうる。本明細書に記載する不具合検査の各々が、所定の間隔で、各電極チャネル(301、302、…、316)に対して行われてもよい。
【0067】
[0093] いくつかの実施形態では、不具合検査は、所定の基準(例えば、送達される所定数のパルス、送達される所定量のエネルギー、および/または同類のもの)に基づいて、電極チャネル(124)に対して行われてもよい。各電極チャネル、または電極チャネルのサブセットを検証してもよい。例えば、不具合検査は、陽極として構成される各電極チャネル(124)について、または5つのパルスを送達した後の各電極チャネル(124)に対して行われてもよい。いくつかの実施形態では、不具合検査が、本明細書でより詳細に説明するように、電圧パルス波形送達およびコンデンサ放電と併せて実施されてもよい。
【0068】
[0094] 本明細書に記載するような信号発生器を使用して、高電圧パルス波形を生成および送達すると、信号発生器のエネルギー源(例えば、1つ以上のコンデンサ)が、過剰なエネルギーを貯蔵することにつながりうる。このエネルギーは、電極チャネルを使用して、放電パルスのセットを通って接地へ放電されてもよい。放電は、続くパルス波形の送達前に行われてもよい。言い換えると、電極チャネルを、組織アブレーションエネルギーを1つ以上の電極へ送達するだけでなく、過剰なエネルギーを接地へ別々に内部で放電するように使用してもよい。この構成を、信号発生器の中の過剰な貯蔵エネルギーを放電するために、ダンプ回路および/またはブリーダ抵抗回路の代わりに使用してもよい。
【0069】
[0095] いくつかの実施形態では、
図1および3に関して記載するように、各電極チャネル(124)は、サイクルのセットにわたって、順次エネルギー源(126)を接地へ一部放電してもよい。各電極チャネル(124)が、エネルギー源を接地へ一部放電するように、ハーフブリッジ増幅器として構成されてもよい。エネルギー源(126)が、数秒以内に所定の量のエネルギーの放電を完了してもよい。本明細書で使用するとき、放電サイクルは、電極チャネルのセットの電極チャネルの各々を使用する、エネルギー源の接地へのエネルギー放出を指す。例えば、エネルギーは、信号発生器(110)の各電極チャネル(124)を通って、一度に1回ずつ接地へ一部放電されてもよい。いくつかの実施形態では、不具合検出を電極チャネル(124)について、所定の間隔で(例えば、各放電サイクルの前、所定回数の放電サイクルの後など)行って、意図されたとおりにエネルギー放出を行うことを保証してもよい。貯蔵エネルギーが、放電によって減少するにつれて、放電パルスのパルス幅が、電極チャネル(124)に障害を与えることなく増加してもよい。例えば、エネルギー源(126)の貯蔵エネルギーの初期の第1の量(例えば、約3kJ)は、第1の所定のパルス幅(例えば、約0.5μs)を有する放電パルスに対応してもよい。エネルギー源を貯蔵エネルギーの第2の量へ放電した後、放電パルスのパルス幅が、第2の所定のパルス幅(例えば、約2μs)に構成されてもよい。
【0070】
[0096] いくつかの実施形態では、
図3に示す電極チャネルのセットが、エネルギー源(126)の貯蔵エネルギーの量を減少させる、接地への放電路のセットに対応してもよい。いくつかの実施形態では、電極チャネルのセット(301、302、…、316)のうちの第1の電極チャネル(301)が、パルス波形を電極のセット(142)へ送達した後に、エネルギーを接地へ一部放電するように構成されてもよい。例えば、エネルギー源(126)を少なくとも一部放電するように、所定の期間、第1の電子スイッチ(320)をオン状態に設定してもよく、第2の電子スイッチ(330)をオン状態に設定してもよい。第1の電極チャネル(301)を通るこの電流は、抵抗素子(340)の抵抗で割った、エネルギー源(126)のDC電圧とおおよそ同等であってもよい。第1の電極チャネル(301)が、所定のパルス幅(例えば、約0.5μs)を使用して、エネルギーを接地へ放電してもよい。
【0071】
[0097] 第1の電極チャネル(301)が、エネルギー源(126)を一部放電すると、残りの電極チャネル(302、…、316)の各々が、第1の電極チャネル(301)に似た方法で、一度に1回ずつエネルギー源(126)を一部放電するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、チャネルの非アクティブな時間周期(例えば、不感時間)は、電極チャネルの一部エネルギー放出に続いてもよい。例えば、各電極チャネルのエネルギー放出に続く、チャネルの非アクティブな時間周期は、約100μsであってもよい。いくつかの実施形態では、放電サイクルの非アクティブな時間周期は、各放電サイクルに続いてもよい。例えば、放電サイクルの非アクティブな時間周期は、約5msであってもよく、ブートストラップ充電時間に対応してもよい。各電極チャネルの放電をずらすことによって、信号発生器(300)が、従来の回路トポロジーより速い速度で、コンデンサエネルギーを放電してもよい。
【0072】
[0098] 電極チャネルのセット(124)が、所定のエネルギー閾値に到達するまで、放電サイクルのセットにわたって順次、エネルギー源を接地へ放電してもよい。いくつかの実施形態では、パルス幅が経時的にまたは各放電サイクルにわたって増加するように、エネルギー放出を行ってもよい。パルスの数は、パルス幅が増加するにつれ、減少してもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー放出は、以下のように構成されてもよく、第1のパルス幅は、約0.1μsと約1μsとの間であってもよく、約90回の放電サイクルと約130回の放電サイクルとの間に設定されてもよく、第2のパルス幅は、約1μsと約5μsとの間であってもよく、約80回の放電サイクルと約90回の放電サイクルとの間に設定されてもよく、第3のパルス幅は、約5μsと約10μsとの間であってもよく、約70回の放電サイクルと約80回の放電サイクルとの間に設定されてもよく、第4のパルス幅は、約10μsと約15μsとの間であってもよく、約70回以下の放電サイクルに設定されてもよく、第5のパルス幅は、約15μsと約25μsとの間であってもよく、約70回以下の放電サイクルに設定されてもよい。
【0073】
[0099] ただ説明のみで非限定的な一例では、16個の電極チャネルのセットは、信号発生器が、約3秒で放電を完了しうるように、約1kJ/秒の平均速度で、約3kJのエネルギー源を接地へ放電するように使用されてもよい。一実施形態では、エネルギー放出は、以下のように構成されてもよく、約0.5μsの第1のパルス幅は、約730msにわたる約110回の放電サイクルに設定されてもよく、約2μsの第2のパルス幅は、約530msにわたる約80回の放電サイクルに設定されてもよく、約6μsの第3のパルス幅は、約490msにわたる約73回の放電サイクルに設定されてもよく、約12.5μsの第4のパルス幅は、約480msにわたる約70回の放電サイクルに設定されてもよく、約25μsの第5のパルス幅は、約780msにわたって、エネルギー源の放電を完了するために残っている、いかなる残りの放電サイクルに設定されてもよい。
【0074】
[0100] いくつかの実施形態では、本明細書に記載する不具合検出を、電極チャネルについて一部のエネルギー放出に先立って、その電極チャネルを使用して行ってもよい。電極チャネルが不具合状態にあると判定される場合、その電極チャネルが、エネルギー源を接地へ放電するのに使用される電極チャネルのセットから除外されてもよく、および/または不具合ステータスが、オペレータへ出力されてもよい。電極チャネルの検証は、電極チャネルの各々、または電極チャネルのサブセットに対して、各エネルギー放出パルス、1回以上の放電サイクル(例えば、各サイクル後または2サイクルごとに、電極チャネルの不具合を検査)、パルス幅の移行(例えば、パルス幅の増加と増加との間に電極チャネルの不具合を検出)、および所定の時間間隔(例えば、0.1秒ごと、0.25秒ごと、0.5秒ごと、1秒ごとなど、電極チャネルの不具合を検査)など、所定の間隔で行われてもよい。
アブレーションデバイス
【0075】
[0101] 本明細書に記載するシステムは、心臓の左心房腔の中でなど、心房細動を治療するために、心臓組織をアブレーションするように構成される、1つ以上の多電極アブレーションデバイスを含んでもよい。
図4Aは、電極のセットを使用して電圧パルス波形を送達して、組織をアブレーションし、肺静脈を電気的に絶縁するように構成されてもよい、アブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(140)に構造上および/または機能上類似する)の実施形態を示す。これらの実施形態のうちのいくつかでは、アブレーションデバイスが、第1の構成から第2の構成へ、アブレーションデバイスの電極が、外側に広がって、組織の中で内腔もしくは小孔、または開口部の洞(例えば、肺静脈口または肺静脈前庭部)に接触するように変形してもよい。本明細書に記載するアブレーションデバイスは、例示または説明の目的のためのみであり、様々な他のアブレーションデバイスが、本発明の範囲から逸脱することなく実現されうる。
【0076】
[0102] アブレーションデバイス(400)は、デバイス(400)の近位端にあるカテーテルシャフト(410)と、デバイス(400)の遠位キャップ(412)と、それに結合されるスプラインのセット(414)とを含む。遠位キャップ(412)が、非侵襲的な形状を含んでもよい。スプラインのセット(414)の近位端は、カテーテルシャフト(410)の遠位端に結合されてもよく、スプラインのセット(414)の遠位端は、デバイス(400)の遠位キャップ(412)に繋留されてもよい。アブレーションデバイス(400)の各スプライン(414)が、スプライン(414)の表面上に形成される、1つ以上の電極(416)を含んでもよい。各電極(416)が、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成される絶縁導線を、その対応する絶縁を誘導破壊することなく含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁が誘導破壊することなく、その厚さにわたって約200Vから約1500Vの間の電位差を維持してもよい。各スプライン(414)が、スプライン(414)の本体の中(例えば、スプライン(414)の内腔内)に形成される、各電極(416)の絶縁導線を含んでもよい。スプラインワイヤのセット(418、419)は、導電性で、異なるスプライン(414)上に配置される、隣接する電極(416)を電気的に結合してもよい。例えば、スプラインワイヤ(418)(電極(416)を接続する)およびスプラインワイヤ(419)(電極(416’)を接続する)が、アブレーションデバイス(400)の縦軸に対して横方向に延在してもよい。
【0077】
[0103]
図4Aは、スプラインのセット(414)を示し、各スプライン(414)が、隣接するスプライン(414)の電極(416および416’)とおおよそ同じサイズ、形状、および間隙を有する電極の対(416および416’)を含む。他の実施形態では、電極(416、416’)のサイズ、形状、および間隙が異なってもよい。例えば、第1のスプラインワイヤ(418)に電気的に結合される電極(416)が、第2のスプラインワイヤ(419)に電気的に結合される電極(416’)と、サイズおよび/または形状の点で異なってもよい。
【0078】
[0104] いくつかの実施形態では、第1のスプラインワイヤ(418)が、スプラインワイヤの第1のセット(420、421、422、423)を含んでもよく、スプラインワイヤのセット(420、421、422、423)の各スプラインワイヤが、スプラインのセット(414)のうちのスプラインの異なる対の間に、電極(416)を結合してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、スプラインワイヤのセット(420、421、422、423)が、それに結合される電極(416)間に、連続ループを形成してもよい。同様に、第2のスプラインワイヤ(419)が、スプラインワイヤの第2のセット(424、425、426)を含んでもよく、スプラインワイヤのセット(424、425、426)の各スプラインワイヤが、スプラインのセット(414)にわたって電極(416’)を結合してもよい。第2のスプラインワイヤのセット(424、425、426)が、第1のスプラインワイヤのセット(420、421、422、423)とは異なる電極(416’)を、スプラインのセット(414)にわたって結合してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、スプラインワイヤの第1のセット(420、421、422、423)が、それに結合される電極(416)間に第1の連続ループを形成してもよく、スプラインワイヤの第2のセット(424、425、426)が、それに結合される電極(416’)間に第2の連続ループを形成してもよい。第1の連続ループが、第2の連続ループから電気的に絶縁されていてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1の連続ループに結合される電極(416)が、陽極として構成されてもよく、第2の連続ループに結合される電極(416’)が、陰極として構成されてもよい。信号発生器によって生成されるパルス波形は、第1および第2の連続ループの電極(416および416’)へ送達されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、421、422、423などのスプラインワイヤが、デバイスの近位部で(例えば、デバイスのハンドルの中で)、類似の電気的接続によって置き換えられてもよい。例えば、電極(416)がすべて、デバイスのハンドルの中で共に電気配線されてもよい。
【0079】
[0105]
図4Bに示す別の実施形態では、スプラインワイヤのセット(461、462)のうちの第1のスプラインワイヤ(461)が、スプラインのセットのうちの第1のスプライン(451)と第2のスプライン(452)との間に、電極(459)を結合してもよく、スプラインワイヤのセット(461、462)のうちの第2のスプラインワイヤ(462)は、スプラインのセットのうちの第3のスプライン(453)と第4のスプライン(454)との間に、電極(460)を結合してもよい。第1のスプラインワイヤ(461)によって結合される電極(459)、および第2のスプラインワイヤ(462)によって結合される電極(460)が、それぞれ陽極および陰極として構成されてもよい(または逆もまた同様)。パルス波形は、第1のスプラインワイヤ(461)によって結合される電極(459)、および第2のスプラインワイヤ(462)によって結合される電極(460)へ送達されてもよい。いくつかの実施形態では、スプラインワイヤの代わりに、電極のセットのうちの少なくとも2つの電極の導線が、例えば、ハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分に、またはその近くに電気的に結合されてもよい。
【0080】
[0106] 他の実施形態では、
図4Aを参照すると、スプラインワイヤ(418、419)のうちの1つ以上が、電気的に結合される電極(416)間に連続ループを形成してもよい。例えば、スプラインワイヤの第1のセット(418)は、それに結合される電極(416)間に第1の連続ループを形成してもよく、第2のスプラインワイヤのセット(419)は、それに結合される電極(416’)間に第2の連続ループを形成してもよい。この場合、第1の連続ループが、第2の連続ループから電気的に絶縁されていてもよい。一実施形態では、スプラインワイヤの第1のセット(418)に結合される電極(416)の各々が、陽極として構成されてもよく、一方スプラインワイヤの第2のセット(419)に結合される電極(416)の各々が、陰極として構成されてもよい。電気的に結合される電極(416)の各グループは、独立してアドレス可能であってもよい。いくつかの実施形態では、スプラインワイヤの代わりに、電極のセットのうちの少なくとも2つの電極の導線が、例えば、ハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分に、またはその近くに電気的に結合されてもよい。
【0081】
[0107] 他の実施形態では、電極(416)のサイズ、形状、および間隙が異なってもよい。アブレーションデバイス(400)が、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20個、またはそれ以上のスプラインといった、いかなる数のスプラインを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(400)が、3から20個のスプラインを含んでもよい。例えば、一実施形態では、アブレーションデバイス(400)が、4つと9つとの間のスプラインを含んでもよい。
【0082】
[0108] 本明細書に記載するアブレーションデバイスの各々について、スプラインの各々が、ポリマーを含み、中空管を形成するために内腔を画定してもよい。本明細書に記載するアブレーションデバイスの1つ以上の電極が、約0.2mmから約2.5mmまでの直径、および約0.2mmから約5.0mmまでの長さを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極が、約1mmの直径および約1mmの長さを含んでもよい。電極が独立してアドレス可能であってもよいため、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに充分ないかなるパルス波形をも使用して、いかなる順序で電極にエネルギーを供給してもよい。例えば、電極の異なるセットは、パルスの異なるセット(例えば、階層的なパルス波形)を送達してもよい。スプライン上およびスプライン間にある電極のサイズ、形状、ならびに間隙が、1本以上の肺静脈を電気的に絶縁するために、近接/経壁的な損傷を生成するのに充分なエネルギーを送達するように構成されてもよいことは理解されるべきである。いくつかの実施形態では、代替電極(例えば、すべての遠位電極)は、同じ電位であってもよく、すべての他の電極(例えば、すべての近位電極)についても同様である。それゆえ、アブレーションは、同時に作動するすべての電極により、迅速に送達されうる。様々なそのような電極対の選択肢が存在し、それらの利便性に基づいて実装されてもよい。
【0083】
[0109] 本明細書で考察するアブレーションデバイスの各々について、電極(例えば、アブレーション電極、対極板)が、チタン、パラジウム、銀、白金、または白金合金などの生体適合性金属を含んでもよい。例えば、電極が、白金または白金合金を含むことが好ましい場合がある。各電極は、少なくとも700Vの電位差を維持するのに充分な電気絶縁を有する導線を、誘導破壊することなくその厚さ全体に含んでもよい。他の実施形態では、導線の各々の絶縁が、すべての値および中間の部分範囲を含め、誘導破壊することなく、その厚さにわたって約200Vから約3,000Vの間の電位差を維持してもよい。絶縁導線が、カテーテルの近位ハンドル部分まで走ってもよく、そこから、好適な電気コネクタへ接続してもよい。カテーテルシャフトが、例えば、テフロン(登録商標)、ナイロン、ペバックスなど、可撓性のあるポリマー材料から作られてもよい。
【0084】
[0110]
図5は、電極のセットを使用して、本明細書に記載する信号発生器(110)によって生成される電圧パルス波形を送達して、いくつかの実施形態では、線形で全周性のアブレーション損傷を生成しうる組織をアブレーションするように構成されてもよい、アブレーションデバイス(500)(例えば、アブレーションデバイス(140)に構造上および/または機能上類似する)の実施形態を示す。アブレーションデバイス(500)が、可撓性のある細長いシャフト(520)を有する、カテーテル(510)を含んでもよい。細長いシャフト(520)が前進し、カテーテル(510)の内腔から引き出されてもよい。カテーテル(510)の可撓性によって、非対称のおよび/または複雑な輪郭の周りに電極(530)を位置づけるのが容易になりうる。細長いシャフト(520)が、細長いシャフト(520)に沿って相隔たる、電極のセット(530)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(530)が、細長いシャフト(520)と一体化して形成されてもよい。電極(530)の各々が、信号発生器のそれぞれの出力チャネルに接続されてもよい。電極(530)が、陽極または陰極として独立して構成され、パルス波形を送達して、組織を標的にして、アブレーションを行うように構成されうる。いくつかの実施形態では、電極のセット(530)が、左心房の標的および肺静脈の周りを取り囲む傷など、近接するアブレーション損傷を作るように構成される電極間に、間隙(532)を有してもよい。いくつかの実施形態では、連続する電極(530)間の間隙(532)対、各電極の長手方向の長さの比率が、約3:1より小さくてもよく、約2:1より小さくてもよい。
【0085】
保護デバイス
[0111] 概して、組織アブレーションに関連して誘導電流を抑制するために構成される、システムおよびデバイスが、第1の電子デバイス(例えば、ペーシングデバイス)と、第2の電子デバイス(例えば、保護される装置)との間に結合される保護デバイスを含んでもよい。本明細書でより詳細に説明するように、第1の電子デバイスに誘導される電圧および電流を抑制するように構成される、保護デバイス。誘導電流が、コモンモード電流および差動モード電流のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、誘導電流を抑制するように構成される1つ以上のトランスおよびコンデンサと、誘導電圧を分流するように構成される1つ以上のダイオードとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、所定の周波数範囲で、第1の電子デバイスに誘導される交流を抑制するように構成される、1つ以上のインダクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、所定の周波数範囲のセットにわたって、第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を抑制するように構成される、1つ以上のバラン回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、保護デバイスが、装置およびペーシングデバイスとは別個に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の保護デバイスが、装置およびペーシングデバイスのうちの1つ以上と統合して形成されてもよい。
【0086】
[0112]
図13は、いくつかの実施形態による、保護デバイス(1314)(例えば、フィルタボックス)を含む、アブレーションシステム(1300)を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、アブレーションシステム(1300)が、信号発生器(1309)と、心臓刺激装置(1303)と、インターフェースデバイス(1305)と、保護デバイス(1314)と、ペーシングデバイス(1320)の中にあるペーシング電極の導線(1317、1318)と、アブレーションデバイス(例えば、アブレーションカテーテル)(1330)に結合される電気アブレーションリード(1311)とを含んでもよい。信号発生器(1309)および心臓刺激装置(1303)が、
図12に関してそれぞれ記載する信号発生器(1250)および心臓刺激装置(1260)に構造上かつ機能上類似してもよい。心臓刺激装置(1303)が、ペーシング信号を生成し、それをインターフェースデバイス(1305)、保護デバイス(1314)、および導線(1317、1318)を介してペーシングデバイス(1320)へ送達するように構成されてもよい。ペーシング信号がさらに、インターフェースデバイス(1305)を介して、信号発生器(1309)へ送達されてもよい。インターフェースデバイス(1305)が、心臓刺激装置(1303)、1つ以上のペーシングデバイス(1320)、信号発生器(1309)、およびアブレーションデバイス(複数可)(1330)のうちの2つ以上の間の接続を可能にするように構成されてもよい。例えば、有線コネクタ(例えば、長さ数メートルのケーブル)などのコネクタを使用して、臨床手術室などの空間内で、システム構成要素の簡便で適応可能な配置が可能になってもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器(1309)が、ペーシング信号(例えば、共通の不応枠内の)の指標と同期して、電圧パルス波形を生成するように構成されてもよい。信号発生器(1309)が、アブレーションリード(1311)(例えば、ケーブル)を介してアブレーションデバイス(1330)へ電圧パルス波形を送達して、組織をアブレーションしてもよい。
【0087】
[0113] 信号発生器(1309)が、電圧パルス波形をアブレーションデバイス(1330)へ送達すると、心臓シミュレータ(1303)が、ペーシング信号をペーシングデバイス(1320)へ送達してもよい。しかしながら、ペーシングデバイス(132)が組織に印加される電圧パルス波形に近接することから、電流がペーシングデバイスリード(1317、1318)に誘導されうる。これらの不平衡電流は、周波数の範囲に及び、心臓刺激装置(1303)および信号発生器(1309)など、システムの1つ以上の構成要素の動作に影響を与えうる。ペーシングデバイス(1320)からの誘導電圧および電流は、心臓刺激装置(1303)の動作に干渉しうるため、信号発生器(1309)が、心臓刺激装置(1303)から適切なペーシング信号を受信しない。したがって、信号発生器(1309)の動作が中断され、アブレーションエネルギー送達のエラーおよび中断をもたらしうる。本明細書でより詳細に説明するように、保護デバイスが、システムの中で誘導電流および電圧の伝播を抑制するように構成されてもよい。
【0088】
[0114]
図14は、同じエンクロージャ(例えば、筐体)の中で保護デバイス(1407)と統合されるインターフェースデバイスと、同じエンクロージャの中で信号発生器(1405)と統合される心臓シミュレータ(1408)とを含む、アブレーションシステム(1400)を示すブロック図である。ペーシング信号は、統合された信号発生器(1405)および心臓シミュレータ(1408)によって生成され、ペーシングデバイスリード(1417、1418)を介してペーシングデバイス(1430)へ送達されてもよい。組み合わせられたインターフェースデバイスおよび保護デバイス(1407)が、ペーシングデバイスリード(1417、1418)に誘導される電流を抑制する(または減少させる)ように構成されてもよい。
【0089】
[0115] いくつかの実施形態では、心臓内デバイス(1432)上にある1つ以上の電極チャネル(1421、1422)を、ECG解析用の検知チャネルとして使用してもよい。患者から電極チャネル(1421、1422)を介して受信される入力ECG信号が、ECG解析のために、リード(1411、1412)を介して信号発生器(1405)へ送達される前に、組み合わせられたインターフェースおよび保護デバイス(1407)によってフィルタリングされてもよい。いくつかの実施形態では、ECG信号はまた、リード(1401、1402)を通って、ECG記録システム(1440)および/または他の外部デバイス(例えば、検知および/またはマッピングシステム)へ送達されてもよい。信号発生器(1405)が、ケーブル(1409)を介してアブレーションデバイス(1450)へ電圧パルス波形を送達して、組織をアブレーションしてもよい。
【0090】
[0116] いくつかの実施形態では、インターフェースデバイス(例えば、インターフェース(1305))、保護デバイス(例えば、保護デバイス(1314))、またはインターフェースおよび保護デバイス(例えば、インターフェースおよび保護デバイス(1407))のうちの1つ以上を、心臓刺激装置および/または信号発生器(例えば、心臓刺激装置(1303)、信号発生器(1309)、または心臓刺激装置(1408)および信号発生器(1405))に統合することができる。例えば、代替の配列では、保護デバイスは、信号発生器に統合することができ、次に信号発生器は、心臓刺激装置へ接続され、および/または心臓刺激装置に統合され、その結果、ペーシングデバイスリードからの誘導電流が、心臓刺激装置に到達する前に、保護デバイスによって抑制(例えば、フィルタリング)できる。
【0091】
[0117]
図15は、実施形態により、以下に記載するようなトランスで、コモンモード電流を抑制するように構成される、保護回路(1500)の回路図である。保護回路(1500)が、信号発生器(
図15に示さず)によって生成されるパルス波形によって、ペーシングデバイスリード(1509、1510)に誘導される、大きな電圧およびコモンモード電流を抑制するように構成されてもよい。コモンモード電流の抑制に加えて、保護回路が、コモン-差動モード(
図18に関して記載するような)および調整可能モード(
図20A~24に関して記載するような)で構成されてもよい。保護回路(1500)が、第1のコモンモードトランスL2(1507)、第2のコモンモードトランスL1(1505)、第1のコンデンサC1(1502)、第2のコンデンサC2(1504)、ならびに第1および第2のツェナーダイオード(1513、1514)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のダイオードD1(1513)および第2のダイオードD2(1514)が、第2の電子デバイス(例えば、心臓刺激装置(1501))から離れて誘導電圧を分流するように構成されてもよい。第2のコンデンサC2(1504)が、ペーシングデバイスリード(1509、1510)にわたって比較的高い周波数を短絡し、誘導電流がペーシングデバイスリード(1509、1510)に流れるのを抑制してもよい。第1のコモンモードトランス(1507)および第2のコモンモードトランス(1505)が、コモンモード電流に対する高インピーダンス素子として、ペーシングデバイスリード(1509、1510)のコモンモード電流を抑制するように構成されてもよい。第1のコンデンサC1(1502)が、ペーシングデバイスリード(1509、1510)にわたって、所定の周波数(帯域阻止範囲の下端より高い)より上で短絡し、誘導電流がペーシングデバイスリード(1509、1510)に流れるのを抑制してもよい。
【0092】
[0118] 信号発生器が、
図13に関して記載する信号発生器(1309)、または
図14に関して記載する信号発生器(1405)に構造上および/もしくは機能上類似してもよい。保護回路(1500)が、心臓シミュレータ(1501)およびペーシングデバイスリード(1509、1510)に結合されるように構成されてもよい。ペーシングデバイスリード(1509、1510)が、患者(1503)の心腔の中へ導入されうる、ペーシングデバイス内に含まれてもよい。心臓刺激装置(1501)が、患者(1503)へ送達される心臓ペーシング信号を生成するように構成されてもよい。
【0093】
[0119]
図16は、第1のコモンモードトランスL2(1507)および第2のコモンモードトランスL1(1505)の実施形態を示す。
図16に示すように、コモンモードトランス(1600)は、トロイドコア(1608)、第1の巻線(1601、1611)、および第2の巻線(1602、1612)を含んでもよい。トロイドコア(1608)が、環状で高透磁率を有する軟質磁性材料(例えば、鉄)を含んでもよく、または軟質磁性材料であってもよい。トロイドコア(1608)が、コア(1608)の損失を許容するよう、比較的広い積層(例えば、各積層の断面が5以下のアスペクト比を有する、積層のセット)を持つ構造を有するように選ばれてもよい。第1の巻線(1601から1611)および第2の巻線(1602から1612)が、同じ方向にコア(1608)の本体に巻きつき、一方第1の巻線(1601から1611)が、第1の方向(例えば、
図16に示すような反時計回り))に、コア(1608)の円周に沿って巻きつき、第2の巻線(1602から1612)が、第1の方向と反対の第2の方向(例えば、
図16に示すような時計回り)に、コア(1608)の円周に沿って巻きつく。
【0094】
[0120] いくつかの実施形態では、間のすべての値および部分範囲を含めて、コア(1608)の外半径が、約4cmと約10cmとの間であってもよく、コア(1608)の内半径が、約2cmと約9cmとの間であってもよい。いくつかの実施形態では、コア(1608)の厚さが、約1cmと約6cmとの間であってもよい。いくつかの例では、各巻線(1601、1602)上の巻数(例えば、屈曲)が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約3と約50との間であってもよい。
【0095】
[0121] いくつかの実施形態では、第1の巻線(1601から1611)を通る電流によって生成される第1の磁界、および第2の巻線(1602から1612)を通る電流によって生成される第2の磁界が、同じ方向(1615)で等しい強度を有しうるように、非ゼロ周波数を持つコモンモード電流は、トロイドの端部にあるリード1601および1602から平行な方向に、第1の巻線(1601から1611へ)および第2の巻線(1602から1612へ)を通って流れてもよい。言い換えると、コモンモード電流が第1および第2の巻線を流れると、コモンモードトランス(1600)が、単一の円周方向(すなわち、矢印1615に平行または反平行のいずれか)に磁界を生成してもよい。等しい強度および同相磁界が足し合わせられてもよく、その結果、コモンモード電流に対する高インピーダンスがもたらされ、コモンモード電流が、かなり弱められたコモンモードトランス(1600)を通る。例えば、コモンモード電力の抑制は、間のすべての値および部分範囲を含めて、約100kHzと約10MHzとの間の周波数帯にわたり、少なくとも約15dBであってもよい。いくつかの実施形態では、抑制が20dB、25dB、またはそれ以上であってもよい。コモンモード電流に対するインピーダンスがさらに、虚数成分(例えば、コア巻線の高インダクタンスによる)に加えて、実数成分(例えば、抵抗のコア損失による)を含んでもよい。実際の減衰(例えば、コモンモード除去)は、トランスインピーダンスおよび負荷インピーダンスの相対的な強度による。それゆえ、コモンモードトランス(1600)が、少なくとも約1ミリヘンリーのインダクタンス、および少なくとも約500オームの実効抵抗を有するように構成されてもよい。言い換えると、このインピーダンスが、コモンモード電流の強度を抑制、減少、または最小化するように作用してもよい。
【0096】
[0122]
図15に戻ると、第1のコモンモードトランス(1507)および第2のコモンモードトランス(1505)が、コモンモード電流に対する高インピーダンス素子として、リードのコモンモード電流を抑制するように構成されてもよい。
図15に示すように、第1のコモンモードトランス(1507)が、第1の電子デバイス(1503)(例えば、ペーシングデバイス)のペーシングデバイスリード(1509、1510)と、第1のコンデンサC1(1502)との間に位置づけられてもよい。第1のコンデンサC1(1502)が、所望の帯域阻止範囲の下端(例えば、0.5MHz以上)より大きい周波数用の、低インピーダンスコンデンサとして使用されてもよい。それゆえ、第1のコンデンサC1(1502)が、ペーシングデバイスリード(1509、1510)にわたって、比較的高い周波数(帯域阻止範囲の下端より高い)を短絡し、誘導電流がペーシングデバイスリード(1509、1510)に流れるのを抑制してもよい。
【0097】
[0123]
図15に示すように、第2のコモンモードトランス(1505)が、第1のコンデンサC1(1502)と第2のコンデンサC2(1504)との間に位置づけられてもよい。第2のコモンモードトランス(1507)に類似して、第1のコモンモードトランス(1505)が、高インピーダンスを生成するように構成され、それゆえ、コモンモード電流の強度を抑制、減少、または最小化してもよい。第1のコンデンサC1(1502)に類似して、第2のコンデンサC2(1504)が、ペーシングデバイスリード(1509、1510)にわたって比較的高い周波数(例えば、所定の閾値を上回る周波数を有する電圧)を短絡し、誘導電流がペーシングデバイスリード(1509、1510)に流れるのを抑制してもよい。
【0098】
[0124] 第1および第2のダイオードD1(1513)およびD2(1514)は、所定の電圧(例えば、ツェナー電圧)に到達すると、電流がその陽極から陰極へだけでなく、逆方向にも流れることが可能になるように構成される、ダイオード(例えば、ツェナーダイオード)である。第1および第2のダイオードD1(1513)およびD2(1514)が、回路を過電圧から保護するように構成される。例えば、第1および第2のダイオードD1(1513)およびD2(1514)が、第2の電子デバイス(例えば、心臓刺激装置(1501))から離れて高電圧を分流するように構成されてもよい。
【0099】
[0125]
図17は、無調整コモンモード方式の保護回路(1700)の回路図を示す。
図15の保護回路(1500)に類似して、保護回路(1700)が、信号発生器(
図17に示さず)が生成するパルス波形によって、ペーシングデバイスリード(1727、1728)に誘導されるコモンモード電流および誘導電圧を抑制するように構成されてもよい。インダクタ(1724、1725)(例えば、チョーク)によって、コモンモードか、差動モードかにかかわらず、大電流抑制のさらなる尺度を追加してもよい。さらに、無調整コモンモードに加えて、保護回路はまた、無調整コモン-差動モード(
図18に関して記載するような)および調整可能モード(
図20A~24に関して記載するような)で動作する回路を含んでもよい。
【0100】
[0126] 信号発生器が、
図13に関して記載する信号発生器(1309)、または
図14に関して記載する信号発生器(1405)に構造上および/もしくは機能上類似してもよい。保護回路(1700)が、第2の電子デバイス(例えば、心臓シミュレータ(1701))およびペーシングデバイスリード(1727、1728)に結合されるように構成されてもよい。ペーシングデバイスリード(1727、1728)が、患者の心腔の中へ導入されうる、第1の電子デバイス(例えば、ペーシングデバイス)(1722)内に含まれてもよい。第2の電子デバイス(例えば、心臓刺激装置(1701))が、患者(1722)へ送達される心臓ペーシング信号を生成するように構成されてもよい。保護回路(1700)が、第1のコモンモードトランスL2(1718)、第2のコモンモードトランスL1(1717)、第1のコンデンサC1(1702)、第2のコンデンサC2(1704)、第1および第2のダイオード(1713、1714)、ならびに第1および第2のインダクタ(例えば、チョーク)(1724、1725)を含んでもよい。
【0101】
[0127] 第1のコモンモードトランスL2(1718)、第2のコモンモードトランスL1(1717)、第1のコンデンサC1(1702)、第2のコンデンサC2(1704)、ならびに第1および第2のダイオード(1713、1714)が、
図15に関してそれぞれ記載する、第1のコモンモードトランスL2(1507)、第2のコモンモードトランスL1(1505)、第1のコンデンサC1(1502)、第2のコンデンサC2(1504)、ならびに第1および第2のダイオード(1513、1514)に構造上および/または機能上類似してもよい。第1のコモンモードトランス(1718)および第2のコモンモードトランス(1717)が、コモンモード電流に対する高インピーダンス素子として、リード(1727、1728)に誘導されるコモンモード電流を抑制するように構成されてもよい。第1のコンデンサC1(1702)および第2のコンデンサC2(1704)が、ペーシングデバイスリード(1727、1728)にわたって、比較的高い周波数(帯域阻止範囲の下端より高い)を短絡し、誘導電流がペーシングデバイスリード(1727、1728)に流れるのを抑制してもよい。第1および第2のダイオードD1(1713)およびD2(1714)が、第2の電子デバイス(例えば、心臓刺激装置(1701))から離れて高電圧を分流するように構成されてもよい。
【0102】
[0128] 第1および第2のインダクタ(1724、1725)が、より低い周波数の電流および/または直流(DC)を渡しながら、誘導されるより高い周波数の交流(AC)を遮断または抑制するように構成されてもよい。いくつかの例では、第1および第2のインダクタ(1724、1725)が、所定の帯域阻止範囲の下端または上端に対応する、周波数に対する誘導電流を抑制するように構成されてもよい。いくつかの例では、第1のインダクタ(1724)は、第1のペーシングデバイスリード(1727)に結合されてもよく、第2のインダクタ(1725)は、第2のペーシングデバイスリード(1728)に結合されてもよい。
【0103】
[0129]
図18は、無調整コモン-差動モードの保護回路(1800)の回路図を示す。
図15の保護回路(1500)に類似して、保護回路(1800)が、誘導される差動モード電流だけでなく、信号発生器(
図18に示さず)が生成するパルス波形によって、ペーシングデバイスリード(1841、1842)に誘導されるコモンモード電流および誘導電圧を抑制するように構成されてもよい。概して、保護回路が、無調整コモンモード(
図15および17に関して記載するような)、無調整コモン-差動モード(
図18に関して本明細書に記載するような)、および/または調整可能モード(
図20A~24に関して記載するような)で動作してもよい。
【0104】
[0130] 信号発生器が、
図13に関して記載する信号発生器(1309)、または
図14に関して記載する信号発生器(1405)に構造上および/もしくは機能上類似してもよい。保護回路(1800)が、第2の電子デバイス(例えば、心臓シミュレータ(1830))、ならびに第1および第2のペーシングデバイスリード(1841、1842)に結合されるように構成されてもよい。第1および第2のペーシングデバイスリード(1841、1842)が、患者の心腔の中へ導入されうる、第1の電子デバイス(1831)(例えば、ペーシングデバイス)内に含まれてもよい。第2の電子デバイス(1830)(例えば、心臓刺激装置)が、患者へ送達される心臓ペーシング信号を生成するように構成されてもよい。保護回路(1800)が、第1の差動モードトランスL3(1834)、第2のコモンモードトランスL4(1833)、第1のコンデンサC4(1802)、第2のコンデンサC3(1804)、ならびに第1および第2のツェナーダイオード(1837、1838)を含んでもよい。
【0105】
[0131] 第1の差動モードトランスL3(1834)については、
図19に関して記載する。
図19に示すように、差動モードトランス(1900)は、トロイドコア(1908)、第1の巻線(1901、1911)、および第2の巻線(1902、1912)を含む。トロイドコア(1908)が、環状で高透磁率を有する軟質磁性材料(例えば、鉄)を含んでもよく、および/または軟質磁性材料から構成されてもよい。トロイドコア(1908)が、コア(1908)の損失を許容するよう、比較的広い積層を持つ構造を有するように選ばれてもよい。第1の巻線(1901、1911)が、第1の方向でコア(1908)の本体に巻きついてもよく、第2の巻線(1902、1912)が、第1の方向と反対の第2の方向でコア(1908)の本体に巻きついてもよい。第1の巻線(1901、1911)が、第1の方向(例えば、
図19に示すような反時計回り)でコア(1908)の円周に沿って巻きついてもよく、第2の巻線(1902、1912)もまた第1の方向(例えば、反時計回り)で、コア(1908)の円周に巻きついてもよい。
図16のコモンモードトランス(1600)の中にあるトロイドコア(1608)に類似して、いくつかの例では、コア(1908)の外半径が、約4cmと約10cmとの間であってもよく、コア(1908)の内半径が、約2cmと約9cmとの間であってもよい。いくつかの例では、コア(1908)の厚さが、約1cmと約6cmとの間であってもよい。いくつかの例では、各巻線(1901、1902)上の巻数/屈曲が、約3と約50との間であってもよい。
【0106】
[0132] 第1の方向(例えば、
図19で左から右)に第1の巻線(1901、1911)を流れる、非ゼロ周波数を持つ差動モード電流は、コア(1908)の中で、矢印(1915)によって示される第1の方向に、第1の磁界を生成してもよい。この差動モードでは、第2の巻線(1902、1912)を流れる電流が、第1の方向と反対である第2の方向(例えば、
図19の右から左)であり、同じ方向(1914)に第2の磁界を生成する。第1の磁界および第2の磁界の強度が類似してもよく、または等しくてもよい。言い換えると、差動モードトランス(1900)の巻線構成によって、第1の巻線(1901、1911)および第2の巻線(1902、1912)(例えば、差動モード電流)を反対方向に流れる電流が、同じ方向(1914、1915)を指すトロイドコア(1908)に、磁界を誘導することが可能になる。これらの同相磁界が足し合わせられ、結合されたペーシングデバイスリード(例えば、
図18の1841、1842)を流れる差動モード電流に対する、高インピーダンスをもたらしうる。差動モード電流に対するインピーダンスがさらに、虚数成分(例えば、コア巻線の高インダクタンスによる)に加えて、実数成分(例えば、抵抗のコア損失による)を含んでもよい。差動モードトランス(1900)のこの高インピーダンスが、ペーシングデバイスリードのセットを通って、差動モード電流の強度を抑制、減少、または最小化するように作用してもよい。いくつかの実施形態では、差動モードトランスL3(1834)およびコモンモードトランスL4(1833)の組み合わせが、所定の帯域阻止周波数範囲で、誘導されたコモンモード電流および誘導された差動モード電流を抑制するように構成されてもよい。
【0107】
[0133]
図18に戻ると、コモンモードトランスL4(1833)、第1のコンデンサC4(1802)、第2のコンデンサC3(1804)、ならびに第1および第2のダイオード(1837、1838)が、
図15に関してそれぞれ記載する、第2のコモンモードトランスL1(1505)、第1のコンデンサC1(1502)、第2のコンデンサC2(1504)、ならびに第1および第2のダイオード(1513、1514)に構造上および/または機能上類似する。コモンモードトランスL4(1833)が、コモンモード電流に対する高インピーダンス素子として、リードでコモンモード電流を抑制するように構成されてもよい。第1のコンデンサC4(1802)および第2のコンデンサC3(1804)が、ペーシングデバイスリード(1841、1842)にわたって、比較的高い周波数(帯域阻止範囲の下端より高い)を短絡し、誘導電流がペーシングデバイスリード(1841、1842)に流れるのを抑制してもよい。第1および第2のダイオードD3(1837)およびD4(1838)が、第2の電子デバイス(例えば、心臓刺激装置(1830))から離れて高電圧を分流するように構成されてもよい。
【0108】
[0134]
図20A~20Bは、調整可能な回路(2020)(例えば、バラン回路)を含む、保護デバイスの回路図を示す。バラン回路(2020)が、平衡線路(例えば、反対方向に等しい電流を持つ2つの導体)を、不平衡線路(例えば、1つの導体および接地同軸ケーブル)に接合するように構成されてもよい。バラン回路(2020)が、コモンモード電流を抑制することによって、不平衡信号を平衡信号に変換するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、バラン回路(2020)が、平衡信号モードと不平衡信号モードとの間での変換に加えて、インピーダンス変成を提供するように構成されてもよい。バラン回路(2020)が、本明細書に記載する(例えば、
図15、17、および18に関して記載する)保護デバイスのうちのいずれに実装されてもよい。
【0109】
[0135]
図20Aに示すように、いくつかの実施形態では、バラン回路(2020)が、第1および第2のインダクタ(例えば、チョーク)(2003、2004)に結合されてもよい。第1および第2のインダクタ(2003、2004)が、所定の帯域阻止範囲の下端または上端に対応する、周波数に対する大きな電流を抑制するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のインダクタ(2003)は、第1のペーシングデバイスリード(2001)に結合されてもよく、第2のインダクタ(2004)は、第2のペーシングデバイスリード(2002)に結合されてもよい。ペーシングデバイスリード(2001、2002)が、患者の心腔の中へ導入される、第1の電子デバイス(図示せず)に結合されてもよい。バラン回路(2020)が、第3および第4のリード(2011、2012)を介して、第2の電子デバイス(例えば、心臓刺激装置)(図示せず)に結合されてもよい。
【0110】
[0136] いくつかの実施形態では、バラン回路(2020)が、第1の接点(2006)で第1のリード(2001)に接続される中心導体(信号を運ぶように構成される)を有し、第2の接点(2007)で第2のリード(2002)に接続されるシールド導体(電気的接地に接続するように構成される)を有する、同軸巻線(2016)に形成される、同軸ケーブル(2009)を含んでもよい。抵抗器(2015)と直列に接続されるコンデンサ(2014)は、並列に、第2の接点(2007)および第3の接点(2018)で、同軸ケーブル(2009)の長さにわたって結合されてもよい(すなわち、コンデンサ(2014)および抵抗器(2015)が、第2の接点(2007)および第3の接点(2018)で、同軸ケーブル(2009)のシールド導体に接続することができる。同軸ケーブル(2009)が、第3および第4のリード(2011、2012)に結合されてもよい。
【0111】
[0137]
図20Bは、
図20Aの調整可能なバラン回路(2020)と同等の回路図(2050)を示す。
図20Bに示すように、同等のインダクタ(2051)によって、同軸巻線(2016)の同軸シールド導体が表されている。インダクタ(2051)が、直列に接続されたコンデンサ(2053)および抵抗器(2052)と並列に結合されてもよい。コンデンサ(2053)が、インダクタ(2051)と共振するように構成されてもよい。例えば、ベクトルネットワークアナライザは、コンデンサ(2053)の容量値を選択するように構成されてもよい。抵抗器(2052)の抵抗値は、共振ピークの幅および高さを、
図21、23、および24に関してより詳細に説明するように構成するよう選択されてもよい。
【0112】
[0138]
図21は、調整可能な回路(例えば、バラン回路)を使用して取得される、共振ピークの概略図である。バラン回路が、
図20Aに関して記載するバラン回路(2020)に構造上および/または機能上類似することができる。電力が同軸巻線のシールドを通って送信されるとき、巻線のシールドを通って送信される電力の比率(P
r)は、例えば、ネットワークアナライザで測定されてもよい。
図21のプロットは、周波数f(2101)を関数とする、送信電力(P
r)の対数関数(2102)を示す。共振が、周波数f
0(2171)のときにピーク(2170)を有し、ピークの高さA
m(2175)は、f
0の電力減衰度に対応する。共振周波数f
0(2171)が、調整可能な回路のコンデンサ(例えば、
図20Aのコンデンサ(2014))の容量値を選択することによって調整されてもよい。いくつかの例では、回路が、高い電力減衰度に対して構成されてもよい。共振ピークの広がり(2173)は、例えば、半値高さのときの共振ピークの全幅(2173)によって測定されてもよく、抵抗器(例えば、
図20Aの抵抗器(2015))の抵抗値によって調整されてもよい。いくつかの例では、抵抗値が増加すると、共振ピークの広がり(2173)が増加し、高さ(2175)が減少する。
【0113】
[0139]
図22は、調整可能な回路のセット(例えば、バラン回路のセット)の概略図である。調整可能な回路のセット(2205、2206、2207)の中の各調整可能なバラン回路は、
図20Aに関して記載するような、調整可能な回路(2020)に構造上および/または機能上類似してもよい。調整可能な回路のセット(2205、2206、2207)が、保護デバイスの中で、広帯域コモンモード抑制回路として共同で構成されてもよい。
【0114】
[0140] いくつかの実施形態では、調整可能な回路(2205、2206、2207)のセットが、第1および第2のインダクタ(例えば、チョーク)(2221、2223)に結合されてもよい。第1および第2のインダクタ(2221、2223)が、所定の帯域阻止範囲の下端または上端に対応する、周波数に対する誘導電流を抑制するように構成されてもよい。例えば、第1のインダクタ(2221)は、第1のペーシングデバイスリード(2201)に結合されてもよく、第2のインダクタ(2223)は、第2のペーシングデバイスリード(2203)に結合されてもよい。第1および第2のペーシングデバイスリード(2201、2203)が、患者の心腔の中へ導入される、第1の電子デバイス(例えば、ペーシングデバイス)に結合されてもよい。調整可能な回路のセット(2205、2206、2207)が、それぞれの同軸線路(2209、2210)によって相互接続され、所定の周波数範囲のセットにわたってコモンモード電流を減衰させるように構成されてもよい。調整可能な回路のセット(2205、2206、2207)の中の各調整可能な回路は、周波数応答曲線が一部重なる(
図23に関して記載する)ように、異なる周波数範囲に対して構成されてもよい。それゆえ、調整可能な回路のセット(2205、2206、2207)によって、重なる周波数範囲にわたって減衰を提供して、周波数の所定範囲にわたってコモンモード電流を抑制してもよい。調整可能な回路のセット(2205、2206、2207)の他方の端部が、第3および第4のインダクタ(2227、2229)を介して、第2の電子デバイス(例えば、心臓刺激装置)に結合されてもよい。第3および第4のインダクタ(2227、2229)が、所定の帯域阻止範囲の下端または上端の周波数に対応する電流を抑制するように構成されてもよい。
【0115】
[0141]
図23は、実施形態による、調整可能な回路のセット(例えば、
図22の調整可能な回路のセット(2205、2206、2207))の各調整可能な回路の共振ピークのセットの概略図である。電力(P
r)が、同軸巻線を通って送信され、例えば、ネットワークアナライザで測定されてもよい。
図23のプロットは、周波数f(2301)を関数とする、送信電力(P
r)の対数関数(2302)を示す。
図23は、調整可能な回路のセット(例えば、
図22の調整可能な回路のセット(2205、2206、2207))の各調整可能な回路のそれぞれの共振ピーク(2305、2306、2307)を示す。例えば、調整可能な回路のセット(2205、2206、2207)の中の各調整可能な回路は、周波数応答曲線が一部重なるように構成されてもよい。
【0116】
[0142]
図24は、調整可能な回路のセット(例えば、
図22の調整可能な回路のセット(2205、2206、2207))による、コモンモード電流の抑制の概略図である。調整可能な回路のセット(例えば、
図22の調整可能なバラン回路のセット(2205、2206、2207))が、
図23に関して記載するように、重なる共振周波数を有してもよい。
図24は、調整可能な回路のセットからの正味の共振ピーク(2403)を示す。
図23に類似して、
図24のプロットは、周波数f(2401)を関数とする、送信電力(Pr)の対数関数(2402)を示す。調整可能な回路のセットの正味の効果は、一部重なる周波数範囲からの、周波数の範囲(2409)にわたる広帯域抑制でありうる。
方法
【0117】
[0143] また、本節に記載するのも、本明細書に記載するシステムおよびデバイスを使用して、心腔で行われる組織アブレーションプロセス中に、電子回路を誘導電流から保護するための方法である。心腔は、左心房腔であり、それに関連する肺静脈を含んでもよい。概して、本明細書に記載する方法は、1つ以上の心腔と接触して、ペーシングデバイス(例えば、ペーシングデバイス(160)、ペーシングデバイス(1207))を導入および配置することを含む。ペーシングデバイスが、心臓刺激装置(例えば、心臓刺激装置(150))を使用してペーシング信号を心臓へ送信し、および/または心臓活動を測定してもよい。アブレーションデバイス(140、1212)は、1つ以上の肺静脈の小孔または洞領域と接触して、導入および配置されてもよい。パルス波形は、アブレーションデバイスの1つ以上の電極(例えば、電極(1213))によって送達されて、組織をアブレーションしてもよい。ペーシングデバイスが、システムに電気的に結合され、ペーシング信号を心臓へ送達し、および/または心臓活動を測定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、保護デバイスによって、第1の電子デバイスからの誘導電流および電圧を抑制してもよい。
【0118】
[0144] 追加的または代替的に、パルス波形が、例えば、「Systems, apparatuses and methods for delivery of ablative energy to tissue」と題する、2016年10月19日に出願された国際出願第PCT/US2016/057664号に記載され、参照することによって本明細書に組み込まれる、全エネルギー送達を減少させる、複数レベルの階層を含んでもよい。そうして行われる組織アブレーションが、ペーシングされた心拍に同調して送達されて、心房および/または心室細動のリスク、ならびに健康な組織への障害を減少しうる。必要に応じて以下で考察する方法を使用して、本明細書に記載するアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(140)、アブレーションデバイス(1212))のいずれかを、組織をアブレーションするために使用してもよいことは理解されるべきである。
【0119】
[0145] いくつかの実施形態では、本明細書に記載するアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(140)、アブレーションデバイス(1212))を、不整脈(例えば、細動)を引き起こすと特定される、心臓の特徴部/構造の局所アブレーションに使用されてもよい。例えば、心臓電気生理学診断用カテーテル(例えば、マッピングカテーテル)を使用して、本明細書に記載するアブレーションデバイスのうちのいずれかを使用する局所アブレーションによって後にアブレーションされうる、不整脈の原因を持つエリアをマッピングしてもよい。局所アブレーションによって、例えば、周囲の組織を温存しながら、渦巻き型旋回興奮波(rotor)を中和する点状の傷を作ってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の局所アブレーション損傷を、1つ以上の箱型または線状の傷と組み合わせて形成して、不整脈を治療してもよい。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、システムは、局所アブレーションによって損傷を作るのに有用な、1つ以上のマッピングカテーテルおよび1つ以上のアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(140)、アブレーションデバイス(1212))を含んでもよい。好適な局所アブレーションカテーテルの例は、国際出願第PCT/US2019/014226号に記載され、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0120】
[0146]
図25は、組織アブレーションの方法(2500)例である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する電圧パルス波形は、心臓の洞調律が乱れるのを回避するために、心周期の不応期中に印加されてもよい。方法(2500)は、(2502)でのペーシングデバイス(例えば、ペーシングデバイス(160、1207))の右心室の心内膜腔中への導入を含む。(2504)で、ペーシングデバイスが、右心室と接触して配置されるように前進してもよい。例えば、センサー電極は、心臓活動の測定(例えば、ECG信号)のために構成されてもよく、ペーシング電極は、ペーシング信号を送信するために構成されてもよく、右心室の内表面と接触して配置されてもよい。(2506)で、アブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス(140、1212))は、左心房の心内膜腔の中へ導入されてもよい。(2508)で、アブレーションデバイスが、肺静脈口と接触して配置されるように前進してもよい。非限定的な一例では、アブレーションデバイスの電極で、肺静脈口において、内径表面と接触して配置される電極のおおよそ円形の配列を形成してもよい。いくつかの実施形態では、(2510)で、ペーシング信号を、心臓の心刺激のために、心臓刺激装置(例えば、心臓刺激装置(150、1260))によって生成してもよい。その後(2512)で、ペーシングデバイスのペーシング電極を使用して、ペーシング信号が心臓に印加されてもよい。例えば、心臓がペーシング信号で電気的にペーシングされて、心周期の周期性および予測性を確立するように、ペーシング捕捉を保証してもよい。心房および心室ペーシングのうちの1つ以上を適用してもよい。患者の心臓活動に対して印加されるペーシング信号の例については、本明細書でより詳細に記載する。
【0121】
[0147] いくつかの実施形態では、ペーシング捕捉は、信号発生器、プロセッサ(例えば、信号発生器(110、1250))のうちの1つ以上によって自動的に確認され、ユーザによって確認されてもよい。例えば、ユーザが、測定された心臓活動信号に基づいて、ユーザインターフェース(例えば、タッチパネルモニターまたは他のタイプのモニターなど、入力/出力デバイス)を使用して、ペーシング捕捉を確認してもよい。信号発生器、プロセッサ、および/または表示される心拍出量を見るユーザが、ペーシング捕捉がないと判定する場合、パルス波形の生成が差し止められてもよく、ユーザが、例えば、ペーシングデバイスを再度位置づけて、組織の係合を改善し、および/またはペーシング信号のパラメータ(例えば、パルス幅、パルス振幅、パルス周波数など)を修正することによって、システムパラメータを調整するように促されてもよい。
【0122】
[0148] いくつかの実施形態では、(2514)で、ペーシングデバイスがさらに、心臓電気活動に対応する心臓活動(例えば、ECG信号)を測定してもよい。例えば、測定される心臓活動が、測定された心臓ペーシングパルス、R波、および高電圧信号を含んでもよい。測定された心臓活動パラメータのうちの1つ以上が、保護信号を生成するように使用されてもよい。
【0123】
[0149] (2516)で、生成されるパルス波形が、アブレーションのために組織送達されてもよい。いくつかの実施形態では、不応期はペーシング信号に続いてもよい。例えば、共通の不応期は、心房と心室と両方の不応時間枠の間にあってもよい。電圧パルス波形は、共通の不応期に印加されてもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形を、ペーシング信号の指標に関して、時間オフセットを伴い生成してもよい。例えば、不応期の開始が、時間オフセット分だけペーシング信号からずれてもよい。電圧パルス波形(複数可)が、対応する共通の不応期にわたって、一連の心拍に印加されてもよい。
【0124】
[0150] (2518)で、ペーシングデバイスに誘導される電流および電圧は、保護デバイスによって電子デバイスから抑制される。例えば、保護デバイスによって、誘導電流ならびに電圧が、心臓刺激装置、および/または保護デバイスに結合される他の構成要素に結合するのを抑制する。
【0125】
[0151] いくつかの実施形態では、本明細書に記載するような、入れ子構造および時間間隔の階層を有する、階層的な電圧パルス波形は、不可逆的電気穿孔に有用であり、異なる組織のタイプにおいて制御および選択性を提供しうる。
図26は、組織アブレーションプロセスの別の方法例のフローチャート(2600)である。方法(2600)は、(2602)でのデバイス(例えば、アブレーションデバイス(140、1212))の左心房の心内膜腔中への導入を含む。(264)で、デバイスが、肺静脈口に配置されるように前進してもよい。デバイスが第1および第2の構成(例えば、コンパクトおよび拡張)を含みうる実施形態では、(2606)で、デバイスが、第1の構成で導入され、第2の構成に変形されて、肺静脈前庭部もしくは小孔で、またはその近くで組織に接触してもよい。上記で詳細に考察したように、(2608)で、デバイスが、電極を含んでいてもよく、陽極-陰極サブセットで構成されてもよい。例えば、デバイスの電極サブセットは、陽極として選択されてもよく、一方デバイスの別の電極サブセットは、陰極として選択されてもよく、電圧パルス波形が陽極と陰極との間に印加される。
【0126】
[0152] (2660)で、パルス波形は、信号発生器(例えば、信号発生器(110))によって生成されてもよく、階層に複数のレベルを含んでもよい。様々な階層的な波形を、本明細書に開示するような信号発生器で生成してもよい。例えば、パルス波形が、パルスの第1のセットを含む、パルス波形の階層の第1のレベルを含んでもよい。各パルスが、パルス持続時間と、連続パルスを分離する第1の時間間隔とを有する。パルス波形の階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとして、パルスの複数の第1のセットを含んでもよい。第2の時間間隔によって、パルスの連続する第1のセットを分離してもよい。第2の時間間隔が、第1の時間間隔の少なくとも3倍の期間であってもよい。パルス波形の階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとして、パルスの複数の第2のセットを含んでもよい。第3の時間間隔によって、パルスの連続する第2のセットを分離してもよい。第3の時間間隔が、第2のレベルの時間間隔の少なくとも30倍の期間であってもよい。(2612)で、信号発生器(例えば、信号発生器(110))によって生成されるパルス波形が、アブレーションデバイスを使用して、組織へ送達されてもよい。
【0127】
[0153] 本明細書の例では、別個の単相性および二相性波形を識別するものの、波形階層のいくつかの部分が単相である一方で、他の部分が二相である、組み合わせ波形もまた、当然のことながら生成されてもよいことは理解される。階層構造を有する電圧パルス波形が、異なる陽極-陰極サブセットにわたって(随意に時間遅延を伴い)印加されてもよい。上述のように、陽極-陰極サブセットにわたって印加される波形のうちの1つ以上が、心周期の不応期中に印加されてもよい。パルス波形が組織へ送達されてもよい。
図25および26に記載するステップが、必要に応じて組み合わされ修正されてもよいことは、理解されるべきである。
【0128】
[0154] いくつかの実施形態では、パルス波形が、アブレーションデバイスのスプラインのセットを介して、患者の肺静脈口へ送達されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するような電圧パルス波形は、肺静脈のアブレーションおよび分離のために、陽極-陰極サブセットなどの電極サブセットへ選択的に送達されてもよい。例えば、電極のグループのうちの第1の電極は陽極として構成されてもよく、電極のグループのうちの第2の電極は陰極として構成されてもよい。これらのステップが、アブレーションされている肺静脈の小孔または洞領域の所望の数(例えば、1、2、3、または4つの小孔)だけ繰り返されてもよい。アブレーションデバイスおよび方法の好適な例は、国際出願第PCT/US2019/014226号に記載されている。
【0129】
[0155]
図6は、本明細書に記載するシステムおよびデバイスを使用する、信号生成プロセスの一実施形態のための方法(600)である。方法(600)は、(602)での、第1の電極チャネルの第1および第2の電子スイッチの状態制御を含む。例えば、(602)で、
図2に示す第1の電極チャネル(201)の第1の電子スイッチ(220)および第2の電子スイッチ(230)の状態を制御してもよい。いくつかの実施形態では、電子スイッチに結合される駆動回路(例えば、駆動回路(222、232))は、電子スイッチの状態を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電子スイッチが、駆動回路を使用して、オン状態とオフ状態との間を切り替わるように構成されてもよい。(604)で、第1の電極チャネルが陽極として構成されてもよい。第2の電極チャネルの第1および第2の電子スイッチの状態は、(606)で、例えば、それぞれの電子スイッチのオン/オフ状態を制御する駆動回路によって制御されてもよい。(608)で、第2の電極チャネルが陰極として構成されてもよい。
【0130】
[0156] いくつかの実施形態では、本明細書に記載するように、入れ子構造および時間間隔の階層を有する、階層的な電圧パルス波形は、不可逆的電気穿孔に有用なだけでなく、異なる組織のタイプにおいて制御および選択性を提供しうる。いくつかの実施形態では、(610)で、階層のレベルのセットを有する、第1のパルス波形を生成してもよい。いくつかの実施形態では、第1のパルス波形の階層の第1のレベルは、パルスの第1のセットを含んでもよく、各パルスがパルス持続時間を有する。第1の時間間隔によって、連続するパルスを分離してもよい。第1のパルス波形の階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとして、パルスの第1のセットのうちのセットを含んでもよく、第2の時間間隔が、パルスの連続する第1のセットを分離する。第2の時間間隔が、第1の時間間隔の少なくとも3倍の期間であってもよい。パルス波形の階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとして、パルスの第2のセットのうちのセットを含んでもよく、第3の時間間隔が、パルスの連続する第2のセットを分離する。第3の時間間隔が、第2のレベルの時間間隔の少なくとも30倍の期間であってもよい。(612)で、エネルギー源は、第1のパルス波形を、第1の電極チャネルおよび第2の電極チャネルを介して、使用中の電極のセットへ送達してもよい。第1のパルス波形を第1の時間に送達してもよい。
【0131】
[0157] 第1の時間の後の第2の時間に、(614)で、第1の電極チャネルの第1および第2の電子スイッチの状態が制御されてもよい。(616)で、第1の電極チャネルが陰極として構成されてもよい。(618)で、第2の電極チャネルの第1および第2の電子スイッチの状態が制御されてもよい。(620)で、第2の電極チャネルが陽極として構成されてもよい。いくつかの実施形態では、(622)で、本明細書に記載する第1、第2、および第3の階層レベルを含むなど、階層のレベルのセットを有する、第2のパルス波形を生成してもよい。(624)で、エネルギー源が、第2の時間に、第1の電極チャネルおよび第2の電極チャネルを介して、使用中の電極のセットへ第2のパルス波形を送達してもよい。
パルス波形
【0132】
[0158] 本明細書に開示するのは、不可逆的電気穿孔による組織アブレーションをもたらすように、パルス電界/波形を選択的かつ迅速に印加するための方法、システム、およびデバイスである。本明細書に開示するパルス波形(複数可)は、本明細書に記載するシステム(100、200、300)、アブレーションデバイス(例えば、140、400、500)、および方法(例えば、600)のうちのいずれを用いても有用である。いくつかの実施形態は、電極のセットを介して組織へエネルギーを送達するための、順序づけられた送達スキームと共に、パルス高電圧波形を対象にする。いくつかの実施形態では、ピーク電界値は減少および/または最小化されうる一方、同時に、充分な高電界強度を、組織アブレーションが所望される領域で維持しうる。またこれによって、過剰な組織障害または電気アーク放電の生成の可能性も減少し、局所的に高温が上昇する。いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔に有用なシステムは、アブレーションデバイスの電極のセットへパルス電圧波形を送達するように構成できる、信号発生器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器のプロセッサは、電極チャネルのセットを制御するように構成され、それによって、電極の陽極-陰極サブセットの選択された対が、所定の順序に基づいて順次トリガーされてもよく、一実施形態では、順序づけられた送達を、心臓刺激装置および/またはペーシングデバイスからトリガーしてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションパルス波形が、心臓の洞調律が乱れるのを回避するために、心周期の不応期に印加されてもよい。これを施行する1つの例示的な方法は、心臓を心臓刺激装置(例えば、心臓刺激装置(150))で電気的にペーシングし、心周期の周期性および予測性を確立するように、ペーシング捕捉を保証し、その後、アブレーション波形が送達されるこの周期サイクルの不応期内で、時間枠を明確に画定することである。
【0133】
[0159] いくつかの実施形態では、本明細書で開示するパルス電圧波形は、機構が階層的で、入れ子構造を有する。いくつかの実施形態では、パルス波形が、様々な関連する時間尺度を伴う、パルスの階層的なグループを含む。本明細書に開示するような電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることによって、エネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、減少した総エネルギーを送達しながら、より効果的なアブレーション損傷をもたらしうる。これによって、様々な不整脈の治療的処置を含む、電気穿孔の臨床応用の分野が広がりうる。
【0134】
[0160]
図7は、連続する矩形の二重パルスの形態を取るパルス電圧波形を示し、パルス(700)など、各パルスがパルス幅または期間に関連付けられる。パルス幅/期間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒であってもよい。
図7のパルス波形は、全パルスの極性が同じである、単相パルスのセットを示す(ゼロベースラインから測定して、
図7ではすべて正である)。不可逆的電気穿孔の適用などのいくつかの実施形態では、各パルス(700)の高さまたはパルス(700)の電圧振幅が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約400Vから、約1,000V、約5,000V、約10,000V、約15,000Vの範囲であってもよい。
図7に示すように、パルス(700)は、時に第1の時間間隔とも呼ばれる時間間隔(702)だけ、隣接パルスから分離している。第1の時間間隔が、不可逆的電気穿孔を生成するために、間のすべての値および部分範囲を含めて、約10マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒であってもよい。
【0135】
[0161]
図8では、入れ子型パルスの階層構造を伴う、パルス波形を紹介する。
図8は、パルス(800)など一連の単相パルスを示し、パルス幅/パルス持続時間wは、連続パルス間の期間t
1(802)などの時間間隔(時に第1の時間間隔とも呼ばれる)で分離され、数m
1個の連続するパルスが、パルスのグループ(810)(時にパルスの第1のセットとも呼ばれる)を形成するように配列される。さらに、波形は、連続するグループ間の期間t
2の時間間隔(812)(時に第2の時間間隔とも呼ばれる)で分離される、そのようなパルスのグループ(時にパルスの第2のセットとも呼ばれる)の数m
2個を有する。
図8に(820)とマークが付いた、m
2個のそのようなパルスグループの集合が、階層の次のレベルを構成し、パケットおよび/またはパルスの第3のセットと呼ばれうる。パルス幅、およびパルス間の時間間隔t
1は両方、間のすべての値および部分範囲を含めて、マイクロ秒から数百マイクロ秒の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t
2が、時間間隔t
1より少なくとも3倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、比率t
2/t
1が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約3と約300との間の範囲であってもよい。
【0136】
[0162]
図9ではさらに、入れ子型パルス階層波形の構造を詳述する。この図では、一連のm
1個のパルス(個々のパルスは図示せず)が、パルスのグループ(902)(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の期間t
2(例えば、第2の時間間隔)のグループ間の時間間隔(910)で分離される、一連のm
2個のそのようなグループが、パケット(910)(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。1つのパケットと次のパケットとの間の期間t
3(例えば、第3の時間間隔)である時間間隔(912)で分離される、一連のm
3個のそのようなパケットが、階層における次のレベル、すなわち、図中で(920)と名前を付けたスーパーパケット(例えば、パルスの第3のセット)を形成する。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも約30倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも50倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、比率t
3/t
2が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約30と約800との間の範囲であってもよい。パルス階層における個々の電圧パルスの振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて、500Vから7,000V以上までの範囲のいずれであってもよい。
【0137】
[0163]
図10では、階層構造を持つ二相性波形シーケンスの例を提供する。図に示す例では、二相パルス(1000)は、正の電圧部分だけでなく負の電圧部分も有して、パルスの1つのサイクルを完了する。期間t
1の隣接するサイクル間には、時間遅延(1002)(例えば、第1の時間間隔)があり、n
1個のそのようなサイクルが、パルスのグループ(1010)(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の期間t
2のグループ間の時間間隔(1012)(例えば、第2の時間間隔)で分離される、一連のn
2個のそのようなグループは、パケット(1020)(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。図はまた、パケット間の時間遅延(1030)(例えば、第3の時間間隔)の期間t
3を伴う、第2のパケット(1032)を示す。単相パルスの場合と同様に、階層構造のより高いレベルも形成されうる。各パルスの振幅または二相パルスの電圧振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて、500Vから7,000V以上までの範囲のいずれであってもよい。パルス幅/パルス持続時間は、ナノ秒またはサブナノ秒から数十マイクロ秒までの範囲であってもよく、一方遅延t
1は、ゼロから数マイクロ秒までの範囲であってもよい。グループ間の時間間隔t
2が、パルス幅より少なくとも10倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも約20倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも50倍大きくてもよい。
【0138】
[0164] 本明細書に開示する実施形態は、階層の様々なレベルで波形要素/パルスを含む、階層的な波形として構築される波形を含んでもよい。
図8のパルス(800)などの個々のパルスが、階層の第1のレベルを含み、関連するパルス持続時間、および連続パルス間の第1の時間間隔を有してもよい。パルスのセット、すなわち第1のレベル構造の要素は、
図8のパルスのグループ/パルスの第2のセット(810)など、階層の第2のレベルを形成する。波形に関連する他のパラメータには、パルスの第2のセットの総持続時間(図示せず)、パルスの第1のレベル要素/第1のセットの総数、およびパルスの第2のレベル構造/第2のセットを記述する、連続する第1のレベル要素間の第2の時間間隔などのパラメータがある。いくつかの実施形態では、パルスの第2のセットの総持続時間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約20マイクロ秒と約10ミリ秒との間であってもよい。グループのセット、パルスの第2のセット、または第2のレベル構造の要素は、
図8のグループのパケット/パルスの第3のセット(820)など、階層の第3のレベルを形成する。他のパラメータには、パルスの第3のセットの総持続時間(図示せず)、パルスの第2のレベル要素/第2のセットの総数、およびパルスの第3のレベル構造/第3のセットを記述する、連続する第2のレベル要素間の第3の時間間隔がある。いくつかの実施形態では、パルスの第3のセットの総持続時間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約60マイクロ秒と約200ミリ秒との間であってもよい。波形の概して反復的または入れ子の構造が、構造の10レベルなど、より高い複数レベル以上まで継続してもよい。
【0139】
[0165] いくつかの実施形態では、本明細書に記載するような、入れ子構造および時間間隔の階層を伴う階層的な波形が、不可逆的電気穿孔のアブレーションエネルギー送達に有用であり、異なる組織タイプでの適用に、良好な制御および選択性を提供してもよい。様々な階層的な波形を、本開示に記載するタイプの好適なパルス発生器で生成してもよい。本明細書の例では、明確にするために、別個の単相性および二相性波形を識別するものの、波形階層のいくつかの部分が単相である一方で、他の部分が二相である、組み合わせ波形もまた生成/実装されてもよいことに留意すべきであることが理解される。
【0140】
[0166] いくつかの実施形態では、本明細書に記載するアブレーションパルス波形が、心臓の洞調律が乱れるのを回避するために、心周期の不応期中に印加されてもよい。いくつかの実施形態では、処置の方法には、心臓を心臓刺激装置(例えば、心臓刺激装置(150))で電気的にペーシングして、心周期の周期性および予測性を確立するようにペーシング捕捉を保証することと、その後、1つ以上のパルスアブレーション波形が送達されうる心周期の不応期内に、時間枠を画定することとを含んでもよい。
図11は、心房および心室ペーシングの両方が適用される例(例えば、右心房および右心室それぞれの中にある、ペーシングリードまたはカテーテルを用いる)を示す。時間を横軸に表し、
図11は、ペーシング信号によって駆動される一連のECG波形(1140、1142)と共に、一連の心室ペーシング信号(1100、1110)、および一連の心房ペーシング信号(1120、1130)を示す。太い矢印によって
図11に示すように、心房ペーシング信号(1120)および心室ペーシング信号(1100)それぞれに続く、心房不応時間枠(1122)および心室不応時間枠(1102)がある。
図11に示すように、心房および心室不応時間枠(1122、1102)両方の内部にある、期間T
rの共通の不応時間枠(1150)を画定してもよい。いくつかの実施形態では、電気穿孔アブレーション波形(複数可)が、この共通の不応時間枠(1150)に印加されてもよい。この不応時間枠(1150)の開始は、
図11に示すように、時間オフセット(1104)分だけペーシング信号(1100)からずれている。時間オフセット(1104)が、いくつかの実施形態では、約25ミリ秒より小さくてもよい。次の心拍では、同様に画定される不応時間枠(1152)が、アブレーション波形(複数可)の印加に利用可能な次の時間枠である。このように、共通の不応時間枠内に残る各心拍で、アブレーション波形(複数可)が、一連の心拍にわたって印加されうる。一実施形態では、パルス波形階層の中の、上で定義したようなパルスの各パケットは、所与の電極セットに対して1回の心拍に印加されてもよく、そのため、一連のパケットが一連の心拍にわたって印加される。同様に、第1の波形パケットは、第1の電極順序にわたって連続的に送達されるのに続き、第2の波形パケットが第2の電極順序にわたって送達され、以下同様であってもよく、いくつかの場合では、第2の電極順序が、第1の電極順序と異なる方が都合のよい場合もある。本明細書に開示する信号発生器およびルーティングコンソールのアーキテクチャによって、様々なそのような階層的な波形の送達が可能になり、所与の電極セットへの波形パケットの送達には、本明細書に開示する意味においては、異なる電極のセットへの波形パケットの送達が混ざっていてもよい。本明細書に記載する、この入り混じった波形送達の様式には、単相パルス、二相パルス、ならびに単相性および二相性構成要素の両方を含む混合パルスを含んでもよい。
【0141】
[0167] 本明細書の例では、別個の単相性および二相性波形を識別するものの、波形階層のいくつかの部分が単相である一方で、他の部分が二相である、組み合わせ波形もまた、当然のことながら生成されてもよいことは理解される。階層構造を有する電圧パルス波形を、異なる陽極-陰極サブセットにわたって(随意に時間遅延を伴い)印加してもよい。上述のように、陽極-陰極サブセットにわたって印加される波形のうちの1つ以上が、心周期の不応期中に印加されてもよい。本明細書に記載する方法のステップが、必要に応じて組み合わされ修正されてもよいことは、理解されるべきである。同様に、本明細書に開示する電極チャネル選択の例では、1つの陽極および2つの陰極チャネルの選択について説明しているものの、幅広い様々なチャネルが、制限なく陽極または陰極として作用するように選択されうることは明白であるべきである。
【0142】
[0168] 心臓アブレーションデバイスは、本明細書にアブレーション用として記載するものの、本明細書に開示する保護デバイスおよび実施形態が、他の臨床手順に適用可能であり、他のアブレーションデバイスが、本発明の範囲から逸脱することなく使用できることは理解されるべきである。
【0143】
[0169] 本明細書に使用するとき、数値および/もしくは範囲と連動して使用する場合の「約」ならびに/または「おおよそ」という用語は、概して、列挙する数値および/もしくは範囲に近い数値ならびに/または範囲を指す。いくつかの例では、「約」および「おおよそ」という用語が、列挙した値の±10%以内を意味してもよい。例えば、いくつかの例では、「約100[単位]」は100の±10%(例えば、90から110まで)を意味してもよい。「約」および「おおよそ」という用語が同じ意味で使われてもよい。
【0144】
[0170] 本明細書に記載するいくつかの実施形態は、コンピュータで実施する様々な操作を行うために、命令またはコンピュータコードを有する、非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ばれうる)を伴うコンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、一時的伝搬信号(例えば、空間またはケーブルなどの伝送媒体上で情報を運ぶ、伝搬電磁波)それ自体を含まないという意味で、非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも呼ばれうる)は、1つまたは複数の特定の目的のために、設計され構築されたものでありうる。非一時的コンピュータ可読媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気記憶媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)などの光学記憶媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)およびホログラフィックデバイス、光ディスクなどの光磁気記憶媒体、ソリッドステートドライブ(SSD)およびソリッドステートハイブリッドドライブ(SSHD)などのソリッドステートストレージデバイス、搬送波信号処理モジュール、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなど、プログラムコードを記憶し実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスを含むが、それらに限定されない。本明細書に記載する他の実施形態は、例えば、本明細書に開示する命令および/またはコンピュータコードを含みうる、コンピュータプログラム製品に関する。
【0145】
[0171] 本明細書に記載するシステム、デバイス、および/または方法は、ソフトウェア(ハードウェア上で実行される)、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって行いうる。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Python、Ruby、Visual Basic(登録商標)、ならびに/または他のオブジェクト指向、手続き型、もしくは他のプログラミング言語および開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現されうる。コンピュータコードの例には、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生み出されるような機械命令、ウェブサービスを生み出すために使用されるコード、およびインタプリタを使用してコンピュータによって実行される、より高レベルの命令を包含するファイルを含むが、それらに限定されない。コンピュータコードのさらなる例には、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードを含むが、それらに限定されない。
【0146】
[0172] いくつかの実施形態では、システム、デバイス、および方法は、例えば、各々がいかなるタイプのネットワーク(例えば、有線ネットワーク、無線ネットワーク)であってもよい、1つ以上のネットワークを介して、他のコンピューティングデバイス(図示せず)と通信していてもよい。無線ネットワークは、いかなる種類のケーブルによっても接続されていない、いかなるタイプのデジタルネットワークを指してもよい。無線ネットワークにおけるワイヤレス通信の例には、セルラー、無線、衛星、およびマイクロ波通信を含むが、それらに限定されない。しかしながら、無線ネットワークは、インターネット、他の通信事業者の音声およびデータネットワーク、ビジネスネットワーク、ならびにパーソナルネットワークと情報をやり取りするために、有線ネットワークに接続してもよい。有線ネットワークは、銅ツイストペア、同軸ケーブル、および/または光ファイバーケーブルをわたって運ばれる。広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットエリアネットワーク(IAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、インターネットのようなグローバルエリアネットワーク(GAN)、および仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む、多くの異なるタイプの有線ネットワークがある。以下、ネットワークは、統合ネットワーク形成および情報アクセスシステムを提供するように、通常インターネットを通して相互接続する、無線、有線、公共、およびプライベートデータネットワークのいかなる組み合わせをも指す。
【0147】
[0173] セルラー通信は、GSM、PCS、CDMAまたはGPRS、W-CDMA、EDGEまたはCDMA2000、LTE、WiMAX、および5Gネットワーキング規格などの技術を網羅してもよい。いくつかの無線ネットワーク展開によって、複数のセルラーネットワークからネットワークを組み合わせるか、またはセルラー、Wi-Fi、および衛星通信の混合を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するシステム、デバイス、および方法が、1つ以上のデバイスおよび/またはネットワークと通信するように、無線周波数受信機、送信機、ならびに/または光(例えば、赤外線)受信機および送信機を含んでもよい。
【0148】
[0174] 本明細書の特定の例および記載は、本質的に例示であり、実施形態は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で教示する材料に基づいて、当業者によって開発されうる。
以下に、本開示に含まれる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
対象の組織近くに配置可能な電極のセットと、
電圧パルス波形を生成するように構成される、信号発生器であって、前記信号発生器が、前記電極のセットに結合可能であり、前記電圧パルス波形を前記電極のセットへ送達して、前記組織をアブレーションするように構成され、前記電極のセットが、前記電圧パルス波形の受信に応答して、前記組織近くに配置される第1の電子デバイスに、電流を誘導するように構成される、信号発生器と、
前記第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能な保護デバイスであって、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流を減少させるように構成される、保護デバイスと、を備えるシステム。
[付記2]
前記第1の電子デバイスが、リードのセットを含むペーシングデバイスであり、前記第2の電子デバイスが、ペーシング信号を前記ペーシングデバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置である、付記1に記載のシステム。
[付記3]
前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流が、コモンモード電流または差動モード電流のうちの1つ以上を含み、
前記保護デバイスが、前記コモンモード電流または前記差動モード電流を減少させるように構成される、1つ以上のトランスを含む、付記1~2のいずれか1つに記載のシステム。
[付記4]
前記1つ以上のトランスの各トランスが、トロイドコアと、前記トロイドコアの第1の部分の周りに第1の巻線と、前記トロイドコアの第2の部分の周りに第2の巻線とを含む、付記3に記載のシステム。
[付記5]
前記保護デバイスが、所定の周波数を上回る電流を分流して、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流を減少させるように構成される、1つ以上のコンデンサを含む、付記1~4のいずれか1つに記載のシステム。
[付記6]
前記保護デバイスが、前記第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流するように構成される、1つ以上のダイオードを含む、付記1~5のいずれか1つに記載のシステム。
[付記7]
前記保護デバイスが、前記第1の電子デバイスに誘導される交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含む、付記1~6のいずれか1つに記載のシステム。
[付記8]
前記1つ以上のインダクタが、前記第1の電子デバイスの第1のリードに結合される第1のインダクタと、前記第1の電子デバイスの第2のリードに結合される第2のインダクタとを含み、前記第1および第2のインダクタが、前記第1および第2のリードに誘導される交流を減少させるように構成される、付記7に記載のシステム。
[付記9]
前記保護デバイスが、
所定の周波数を上回る電圧を短絡させるように各々構成される、第1および第2のコンデンサと、
前記第1の電子デバイスと前記第1のコンデンサとの間に結合される、第1のトランスと、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの間に結合される第2のトランスであって、前記第1および第2のトランスが、前記第1の電子デバイスに誘導される、コモンモード電流または差動モード電流を減少させるように構成される、第2のトランスと、
前記第2のコンデンサと並列に配列され、前記第2の電子デバイスに結合される、ダイオードのセットであって、前記第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流するように構成される、ダイオードのセットと、を含む、付記1または2に記載のシステム。
[付記10]
前記第1および第2のトランスが各々、前記第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスである、付記9に記載のシステム。
[付記11]
前記第1および第2のトランスの一方が、前記第1の電子デバイスに誘導される差動モード電流を減少させるように構成される、差動モードトランスであり、前記第1および第2のトランスの他方が、前記第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスである、付記9に記載のシステム。
[付記12]
前記保護デバイスが、所定の周波数範囲にわたって、前記第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように構成される、1つ以上のバラン回路を含む、付記1または2に記載のシステム。
[付記13]
前記1つ以上のバラン回路が、所定の周波数範囲のセットのうちの所定の周波数範囲にわたって、前記第1の電子デバイスに誘導されるコモンモード電流を減少させるように各々構成される、複数のバラン回路を含み、前記所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、前記所定の周波数範囲のセットのうちの少なくとも1つの他の所定の周波数範囲に少なくとも一部重なる、付記12に記載のシステム。
[付記14]
前記保護デバイスが、前記第1の電子デバイスに誘導される交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含み、前記1つ以上のバラン回路が、前記1つ以上のインダクタと前記第2の電子デバイスとの間に結合される、付記12または13に記載のシステム。
[付記15]
前記1つ以上のバラン回路のうちの少なくとも1つのバラン回路が、コンデンサおよび抵抗器と並列なインダクタを含む、付記12~14のいずれか1つに記載のシステム。
[付記16]
前記1つ以上のバラン回路のうちの少なくとも1つのバラン回路が、第1および第2の導体を含む、同軸ケーブル巻線を含み、前記第1の導体が、前記第1の電子デバイスの第1のリードに結合され、前記第2の導体が、前記第1の電子デバイスの第2のリードに結合される、付記12~15のいずれか1つに記載のシステム。
[付記17]
前記1つ以上のバラン回路が、直列に接続される複数のバラン回路を含む、付記12~16のいずれか1つに記載のシステム。
[付記18]
前記保護デバイスがさらに、前記第1の電子デバイスと前記信号発生器との間に結合される、付記1~17のいずれか1つに記載のシステム。
[付記19]
前記保護デバイスが、前記信号発生器および前記第2の電子デバイスのうちの少なくとも1つに統合される、付記1~18のいずれか1つに記載のシステム。
[付記20]
第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能な保護デバイスを備え、前記第1の電子デバイスが、組織近くの電極のセットへ送達される電圧パルス波形によって、前記第1の電子デバイスに電流を誘導できるように、対象の組織近くに配置可能であり、前記保護デバイスが、
所定の周波数を上回る電流を分流して、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流を減少させるように各々構成される、コンデンサのセットと、
前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流のうちの、コモンモード電流または差動モード電流を減少させるように各々構成される、トランスのセットと、
前記第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流するように構成される、ダイオードのセットと、を含む、装置。
[付記21]
前記電圧パルス波形を生成するように構成される、信号発生器であって、前記電極のセットに結合され、前記電圧パルス波形を前記電極のセットへ送達するように構成される、信号発生器をさらに備える、付記20に記載の装置。
[付記22]
ペーシング信号を前記第1の電子デバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置であって、前記第2の電子デバイスである、心臓刺激装置をさらに備える、付記20または21に記載の装置。
[付記23]
前記第1の電子デバイスが、リードのセットを含むペーシングデバイスであり、前記第2の電子デバイスが、ペーシング信号を前記ペーシングデバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置である、付記20または21に記載の装置。
[付記24]
前記1つ以上のトランスの各トランスが、トロイドコアと、前記トロイドコアの第1の部分の周りに第1の巻線と、前記トロイドコアの第2の部分の周りに第2の巻線とを含む、付記20~23のいずれか1つに記載の装置。
[付記25]
前記1つ以上のトランスの各トランスの前記トロイドコアが、5以下のアスペクト比を有する積層のセットを含む、付記24に記載の装置。
[付記26]
前記1つ以上のトランスの各トランスの前記トロイドコアが、第1の方向で前記トロイドコアの中心軸に巻きつく、前記1つ以上のトランスの各トランスの前記第1の巻線と、前記第1の方向と反対の第2の方向で前記中心軸に巻きつく、前記1つ以上のトランスの各トランスの前記第2の巻線とによって、前記中心軸を画定する、付記24または25に記載の装置。
[付記27]
前記1つ以上のトランスの各トランスの前記トロイドコアの外半径は、約4cmと約10cmとの間であり、前記1つ以上のトランスの各トランスの前記トロイドコアの内半径は、約2cmと約9cmとの間である、付記24~26のいずれか1つに記載の装置。
[付記28]
前記1つ以上のトランスの各トランスの前記トロイドコアの厚さは、約1cmと約6cmとの間である、付記24~27のいずれか1つに記載の装置。
[付記29]
前記1つ以上のトランスの各トランスが、少なくとも約1ミリヘンリーのインダクタンス、および少なくとも約500オームの抵抗を含む、付記20~28のいずれか1つに記載の装置。
[付記30]
前記ダイオードのセットの各ダイオードが、ツェナーダイオードである、付記20~29のいずれか1つに記載の装置。
[付記31]
前記ダイオードのセットが、直列に配列され反対方向を向く、第1および第2のダイオードを含む、付記20~30のいずれか1つに記載の装置。
[付記32]
前記ダイオードのセットが、前記コンデンサのセットのうちの少なくとも1つのコンデンサと並列に配列される、付記20~31のいずれか1つに記載の装置。
[付記33]
前記コンデンサのセットが、第1および第2のコンデンサを含み、
前記トランスのセットが、
前記第1の電子デバイスと前記第1のコンデンサとの間に結合される、第1のトランスと、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの間に結合される、第2のトランスと、
を含み、
前記ダイオードのセットが、前記第2の電子デバイスに結合される、第1および第2のダイオードを含む、付記20のいずれか1つに記載の装置。
[付記34]
前記第1および第2のトランスが各々、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流のうちのコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスである、付記33に記載の装置。
[付記35]
前記第1および第2のトランスの一方が、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流のうちの差動モード電流を減少させるように構成される、差動モードトランスであり、前記第1および第2のトランスの他方が、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流のうちのコモンモード電流を減少させるように構成される、コモンモードトランスである、付記33に記載の装置。
[付記36]
前記保護デバイスが、前記第1の電子デバイスに誘導される交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含む、付記20~35のいずれか1つに記載の装置。
[付記37]
第1の電子デバイスと第2の電子デバイスとの間に結合可能な保護デバイスを備え、前記第1の電子デバイスが、組織近くの電極のセットへ送達される電圧パルス波形によって、前記第1の電子デバイスに電流を誘導できるように、対象の組織近くに配置可能であり、前記保護デバイスが、
直列に接続され、所定の周波数範囲のセットにわたって、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流を減少させるように共同で構成される、バラン回路のセットを含む、装置。
[付記38]
前記電圧パルス波形を生成するように構成される、信号発生器であって、前記電極のセットに結合され、前記電圧パルス波形を前記電極のセットへ送達するように構成される、信号発生器をさらに備える、付記37に記載の装置。
[付記39]
ペーシング信号を前記第1の電子デバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置であって、前記第2の電子デバイスである、心臓刺激装置をさらに備える、付記37または38に記載の装置。
[付記40]
前記第1の電子デバイスが、リードのセットを含むペーシングデバイスであり、前記第2の電子デバイスが、ペーシング信号を前記ペーシングデバイスへ送達するように構成される、心臓刺激装置である、付記37または38に記載の装置。
[付記41]
前記所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、前記所定の周波数範囲のセットのうちの少なくとも1つの他の所定の周波数範囲に、少なくとも一部重なる、付記37~40のいずれか1つに記載の装置。
[付記42]
前記所定の周波数範囲のセットの各所定の周波数範囲が、前記バラン回路のセットのうちのバラン回路に関連する共振ピークを有する、付記37~41のいずれか1つに記載の装置。
[付記43]
前記保護デバイスがさらに、前記第1の電子デバイスに誘導される前記電流のうちの交流を減少させるように構成される、1つ以上のインダクタを含む、付記37~41のいずれか1つに記載の装置。
[付記44]
前記バラン回路のセットが、前記1つ以上のインダクタと前記第1の電子デバイスとの間に結合される、付記42に記載の装置。
[付記45]
前記1つ以上のインダクタが、インダクタの第1および第2のセットを含み、
前記インダクタの第1のセットが、前記バラン回路のセットと前記第1の電子デバイスとの間に結合され、
前記インダクタの第2のセットが、前記バラン回路のセットと前記第2の電子デバイスとの間に結合される、付記42に記載の装置。
[付記46]
前記バラン回路のセットのうちの少なくとも1つのバラン回路が、コンデンサおよび抵抗器と並列なインダクタを含む、付記37~44のいずれか1つに記載の装置。
[付記47]
前記バラン回路のセットのうちの少なくとも1つのバラン回路が、第1および第2の導体を含む、同軸ケーブル巻線を含み、前記第1の導体が、前記第1の電子デバイスの第1のリードに結合され、前記第2の導体が、前記第1の電子デバイスの第2のリードに結合される、付記37~45のいずれか1つに記載の装置。
[付記48]
心臓の心組織近くに位置づけられるペーシングデバイスを使用して、ペーシング信号を前記心臓へ送達することと、
信号発生器を使用して、組織近くに位置づけられるアブレーションデバイスへ、電圧パルス波形を送達して、前記組織をアブレーションすることと、
前記電圧パルス波形の送達に応答して、前記心組織近くに位置づけられる第1の電子デバイスのセットに、電流を誘導することであって、前記第1の電子デバイスのセットが、前記ペーシングデバイスを含むことと、
前記第1の電子デバイスのセットと第2の電子デバイスとの間に結合される保護デバイスを使用して、前記第1の電子デバイスのセットに誘導される前記電流を減少させることと、を含む、方法。
[付記49]
前記第2の電子デバイスが、前記ペーシング信号を生成するように構成される心臓刺激装置である、付記49に記載の方法。
[付記50]
前記第2の電子デバイスが、心電図(ECG)記録システムである、付記49に記載の方法。
[付記51]
前記保護デバイスを使用して、前記第1の電子デバイスのセットに誘導される前記電流を減少させることが、前記保護デバイスの1つ以上のトランスまたはコンデンサを使用して、前記第1の電子デバイスのセットに誘導される前記電流のうちのコモンモード電流または差動モード電流を減少させることを含む、付記48~50のいずれか1つに記載の方法。
[付記52]
前記保護デバイスを使用して、前記第1の電子デバイスのセットに誘導される前記電流を減少させることが、前記保護デバイスのダイオードのセットを使用して、前記第2の電子デバイスから離れて高電圧を分流することを含む、付記48~51のいずれか1つに記載の方法。
[付記53]
前記保護デバイスを使用して、前記第1の電子デバイスのセットに誘導される前記電流を減少させることが、前記保護デバイスのバラン回路の1つ以上のインダクタを使用して、前記第1の電子デバイスのセットに誘導される前記電流の周波数の所定範囲内の周波数を有する交流を減少させることを含む、付記48~52のいずれか1つに記載の方法。