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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131401
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240920BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240920BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240920BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 550
G02F1/1368
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 612R
G09G3/20 691D
G09G3/20 612A
G09G3/20 612B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041638
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】小沼 賢悟
【テーマコード(参考)】
2H192
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192DA81
2H192DA91
2H192GB33
2H192GB42
2H193ZA04
2H193ZF01
2H193ZJ02
2H193ZJ11
2H193ZR06
5C006AC25
5C006BB16
5C006BF37
5C006BF42
5C006BF45
5C006EA01
5C006EC02
5C006FA31
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD12
5C080FF03
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080KK20
(57)【要約】
【課題】グランドノイズによる誤作動の発生を抑制できる「表示装置」を提供する。
【解決手段】金属製の筐体101に、プリント基板102、LCDパネル1を備えた表示パネル103、プリント基板102とLCDパネル1を接続するFPC104を収容し、プリント基板102のEH電源1021とEL電源1022から、LCDパネル1の画素電極113の駆動に用いられる電源をFPC104経由で供給する。プリント基板102に直列LC回路とコンデンサC4/C5を設け、直列LC回路の一端をグランドに、他端をコンデンサC4/C5を介して電源の供給配線に接続する。直列LC回路とコンデンサC4/C5のインピーダンス特性は、予測されるグランドノイズの周波数帯においてインピーダンスが充分に小さくなり、他の周波数帯においてインピーダンスが大きくなるように設定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドレベルを基準とする電位が印加される共通電極と液晶と画素電極を積層した構造を有するLCDパネルと、前記LCDパネルの画素電極を駆動するディスプレイドライバとを備えた表示装置であって、
前記ディスプレイドライバが前記画素電極の駆動に用いる電源を供給する電源部と、
前記電源部と前記表示装置の間の前記電源の配線に一端が接続するコンデンサと、
前記コンデンサの他端と当該表示装置のグランドの間に設けられたインピーダンスデバイスとを備え、
前記コンデンサと前記インピーダンスデバイスは、直流成分を遮断すると共に、グランドノイズが発生する周波数帯として設定した所定の周波数帯でインピーダンスが小さくなるインピーダンス特性を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
グランドレベルを基準とする電位が印加される共通電極と液晶と画素電極を積層した構造を有する、インセル型のLCDパネルと、前記LCDパネルの画素電極を駆動するディスプレイドライバと、LCDパネルの共通電極に交流信号を印加してタッチを検出するタッチパネルコントローラとを備えた表示装置であって、
前記ディスプレイドライバが前記画素電極の駆動に用いる電源を供給する電源部と、
第1のコンデンサと、
第2のコンデンサと、
インピーダンスデバイスとを備え、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサは、それぞれ、前記タッチパネルコントローラから前記交流信号が印加される配線である交流信号用配線に一端が接続し、前記電源部と前記ディスプレイドライバの間の前記電源の配線である電源用配線に他端が接続しており、
前記インピーダンスデバイスは、前記交流信号用配線に一端が接続し、前記表示装置のグランドに他端が接続しており、
前記第1のコンデンサを介して、前記交流信号が前記電源に重畳され、
前記第2のコンデンサと前記インピーダンスデバイスは、直流成分を遮断すると共に、前記交流信号の周波数帯でインピーダンスが大きくなり、グランドノイズが発生する周波数帯として設定した所定の周波数帯でインピーダンスが小さくなるインピーダンス特性を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
グランドレベルを基準とする電位が印加される共通電極と液晶と画素電極を積層した構造を有する、インセル型のLCDパネルと、前記LCDパネルの画素電極を駆動するディスプレイドライバと、LCDパネルの共通電極に交流信号を印加してタッチを検出するタッチパネルコントローラとを備えた表示装置であって、
前記LCDパネルは、ドレインが前記画素電極に接続し、ソースに前記ディスプレイドライバから画素値に応じたソース電圧が印加され、前記ディスプレイドライバからゲートに印加されるゲート電圧によってオン/オフが制御されるTFTを備え、
当該表示装置は、
前記ディスプレイドライバが前記画素電極に接続したTFTをオンとする際にゲート電圧として用いる電圧の電源である第1電源を供給する第1の電源部と、
前記ディスプレイドライバが前記画素電極に接続したTFTをオフとする際にゲート電圧として用いる電圧の電源である第2電源を供給する第2の電源部と、
第1のコンデンサと、
第2のコンデンサと、
第3のコンデンサと、
第4のコンデンサと、
インピーダンスデバイスとを備え、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサは、それぞれ、前記タッチパネルコントローラから前記交流信号が印加される配線である交流信号用配線に一端が接続し、前記第1の電源部と前記ディスプレイドライバの間の前記第1電源の配線である第1電源用配線に他端が接続しており、
前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサは、それぞれ、前記交流信号用配線に一端が接続し、前記第2の電源部と前記ディスプレイドライバの間の前記第2電源の配線である第2電源用配線に他端が接続しており、
前記インピーダンスデバイスは、前記交流信号用配線に一端が接続し、前記表示装置のグランドに他端が接続しており、
前記第1のコンデンサを介して、前記交流信号が前記第1電源に重畳され、前記第3のコンデンサを介して、前記交流信号が前記第2電源に重畳され、
前記第2のコンデンサと前記第4のコンデンサと、前記インピーダンスデバイスは、直流成分を遮断すると共に、前記交流信号の周波数帯でインピーダンスが大きくなり、グランドノイズが発生する周波数帯として設定した所定の周波数帯でインピーダンスが小さくなるインピーダンス特性を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の表示装置であって、
前記LCDパネルと前記ディスプレイドライバとタッチパネルコントローラとを搭載した表示パネルと、
前記第1の電源部と前記第2の電源部と前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサと前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサと前記インピーダンスデバイスとを搭載した基板と、
前記表示パネルと前記基板とを繋ぐFPC(Flexible printed circuits)とを備え、
前記交流信号用配線と前記第1電源用配線と前記第2電源用配線の、前記表示パネルと前記基板の間の部分は、前記FPCに形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の表示装置であって、
前記インピーダンスデバイスはコイルとコンデンサを直列接続した直列LC回路であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1、2、3または4記載の表示装置であって、
当該表示装置は自動車に搭載される表示装置であり、
当該表示装置のグランドは、所定のグランドラインを介し前記自動車のバッテリに接続していると共に、前記グランドラインと異なる導電体で前記自動車の車体グランドに接続しており、
前記所定の周波数帯は、当該表示装置のグランドを経由する前記バッテリと車体グランド間の経路長を長さとするアンテナの共振周波数が含まれる周波数帯であることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インセル型タッチパネルディスプレイ等のLCD(Liquid Crystal Display/液晶ディスプレイ)を用いる表示装置のノイズ対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LCDを用いる表示装置としては、画素値に応じた電圧が印加される画素電極と、共通電圧が印加される共通電極と、画素電極と共通電極に挟まれた液晶とを備えた画素が配列されたLCDにおいて、共通電極を、タッチ検出用の電極として共用するインセル型タッチパネルディスプレイが知られている。
【0003】
また、このような、インセル型タッチパネルディスプレイにおいて、タッチ検出期間中に、タッチ検出のために共通電極に印加する交流の駆動信号を、画素の信号配線にも印加することにより、共通電極と画素の信号配線との間の寄生容量による影響を低減し、共通電極に印加する駆動信号を安定化する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-210811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LCDを用いる表示装置のグランドが、バッテリに接続するグランドラインと、車体グランドの双方に接続されることがある。
一般的に、表示装置とバッテリは離れた位置に設けられ、表示装置とバッテリの間のグランドラインの長さは少なくとも1m以上となる。
そして、この場合、グランドライン-表示装置-車体グランドの経路を形成する部分がアンテナとして機能し、グランドラインが高インピーダンスであることとの関係より、当該アンテナに電波等により発生したノイズが比較的に大きな電流を流すグランドノイズとして表示装置に伝搬する。また、表示装置に伝搬するグランドノイズは、当該アンテナの共振周波数において大きなものとなる。そして、このグランドノイズが、表示装置の誤作動を招く要因となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、グランドノイズによる表示装置の誤作動を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、グランドレベルを基準とする電位が印加される共通電極と液晶と画素電極を積層した構造を有するLCDパネルと、前記LCDパネルの画素電極を駆動するディスプレイドライバとを備えた表示装置に、前記ディスプレイドライバが前記画素電極の駆動に用いる電源を供給する電源部と、前記電源部と前記表示装置の間の前記電源の配線に一端が接続するコンデンサと、前記コンデンサの他端と当該表示装置のグランドの間に設けられたインピーダンスデバイスとを設けたものである。ここで、前記コンデンサと前記インピーダンスデバイスは、直流成分を遮断すると共に、グランドノイズが発生する周波数帯として設定した所定の周波数帯でインピーダンスが小さくなるインピーダンス特性を備えている。
【0008】
また、前記課題達成のために、本発明は、グランドレベルを基準とする電位が印加される共通電極と液晶と画素電極を積層した構造を有する、インセル型のLCDパネルと、前記LCDパネルの画素電極を駆動するディスプレイドライバと、LCDパネルの共通電極に交流信号を印加してタッチを検出するタッチパネルコントローラとを備えた表示装置に、前記ディスプレイドライバが前記画素電極の駆動に用いる電源を供給する電源部と、第1のコンデンサと、第2のコンデンサと、インピーダンスデバイスとを備えたものである。ここで、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサは、それぞれ、前記タッチパネルコントローラから前記交流信号が印加される配線である交流信号用配線に一端が接続し、前記電源部と前記ディスプレイドライバの間の前記電源の配線である電源用配線に他端が接続している。また、前記インピーダンスデバイスは、前記交流信号用配線に一端が接続し、前記表示装置のグランドに他端が接続している。そして、前記第1のコンデンサを介して、前記交流信号が前記電源に重畳される。また、前記第2のコンデンサと前記インピーダンスデバイスは、直流成分を遮断すると共に、前記交流信号の周波数帯でインピーダンスが大きくなり、グランドノイズが発生する周波数帯として設定した所定の周波数帯でインピーダンスが小さくなるインピーダンス特性を備えている。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、グランドレベルを基準とする電位が印加される共通電極と液晶と画素電極を積層した構造を有する、インセル型のLCDパネルと、前記LCDパネルの画素電極を駆動するディスプレイドライバと、LCDパネルの共通電極に交流信号を印加してタッチを検出するタッチパネルコントローラとを備えた表示装置を提供する。ここで、前記LCDパネルは、ドレインが前記画素電極に接続し、ソースに前記ディスプレイドライバから画素値に応じたソース電圧が印加され、前記ディスプレイドライバからゲートに印加されるゲート電圧によってオン/オフが制御されるTFTを備えている。また、当該表示装置は、前記ディスプレイドライバが前記画素電極に接続したTFTをオンとする際にゲート電圧として用いる電圧の電源である第1電源を供給する第1の電源部と、前記ディスプレイドライバが前記画素電極に接続したTFTをオフとする際にゲート電圧として用いる電圧の電源である第2電源を供給する第2の電源部と、第1のコンデンサと、第2のコンデンサと、第3のコンデンサと、第4のコンデンサと、インピーダンスデバイスとを備えている。前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサは、それぞれ、前記タッチパネルコントローラから前記交流信号が印加される配線である交流信号用配線に一端が接続し、前記第1の電源部と前記ディスプレイドライバの間の前記第1電源の配線である第1電源用配線に他端が接続しており、前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサは、それぞれ、前記交流信号用配線に一端が接続し、前記第2の電源部と前記ディスプレイドライバの間の前記第2電源の配線である第2電源用配線に他端が接続しており、前記インピーダンスデバイスは、前記交流信号用配線に一端が接続し、前記表示装置のグランドに他端が接続している。そして、前記第1のコンデンサを介して、前記交流信号が前記第1電源に重畳され、前記第3のコンデンサを介して、前記交流信号が前記第2電源に重畳される。また、前記第2のコンデンサと前記第4のコンデンサと、前記インピーダンスデバイスは、直流成分を遮断すると共に、前記交流信号の周波数帯でインピーダンスが大きくなり、グランドノイズが発生する周波数帯として設定した所定の周波数帯でインピーダンスが小さくなるインピーダンス特性を備えている。
【0010】
ここで、この表示装置は、前記LCDパネルと前記ディスプレイドライバとタッチパネルコントローラとを搭載した表示パネルと、前記第1の電源部と前記第2の電源部と前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサと前記第3のコンデンサと前記第4のコンデンサと前記インピーダンスデバイスとを搭載した基板と、前記表示パネルと前記基板とを繋ぐFPC(Flexible printed circuits)とを備え、前記交流信号用配線と前記第1電源用配線と前記第2電源用配線の、前記表示パネルと前記基板の間の部分が、前記FPCに形成されているものであってよい。
【0011】
また、以上の表示装置において、前記インピーダンスデバイスはコイルとコンデンサを直列接続した直列LC回路であってよい。
また、以上の表示装置が自動車に搭載される表示装置であって、当該表示装置のグランドが、所定のグランドラインを介し前記自動車のバッテリに接続され、前記グランドラインと異なる導電体で前記自動車の車体グランドに接続されているものである場合、前記所定の周波数帯は、当該表示装置のグランドを経由する前記バッテリと車体グランド間の経路長を長さとするアンテナの共振周波数が含まれる周波数帯とすることが好ましい。
【0012】
これらの表示装置によれば、画素電極に伝搬するグランドノイズの大きさを増大し、グランドレベルを基準とする電位に制御されるためにグランドノイズが大きく現れる共通電極との間の、グランドノイズによる電圧差の変動を小さくして、表示装置の誤作動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、グランドノイズによる表示装置の誤作動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】インセル型タッチパネルディスプレイの基本構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態の背景となったインセル型タッチパネルディスプレイの信号波形を示す図である。
図3】本発明の実施形態の背景となった表示装置を示す図である。
図4】本発明の実施形態の背景となった表示装置の配置例を示す図である。
図5】本発明の実施形態の背景となった表示装置の信号波形を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態において設けるグランドノイズ対策部品の特性の例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る表示装置の信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について説明する。
まず、本実施形態に係る表示装置の背景について説明する。
インセル型タッチパネルディスプレイの基本構成を図1に示す。
図1aに示すように、インセル型タッチパネルディスプレイは、インセル型のLCDパネル1と、タッチパネルコントローラとディスプレイドライバの機能を備えたTDDI2(Touch Display Driver Integration)を備えている。
LCDパネル1は、n行m列のマトリックス状に配列した複数の画素11を備えており、i番目の行の各画素11とTDDI2は選択信号Giで接続され、j番目の列の各画素11とTDDI2はデータ信号Sjで接続されている。
各画素11は、図1bに示すように、透明な共通電極111と液晶112と画素電極113とTFT114(Thin Film Transistor)を備えている。共通電極111と液晶112と画素電極113は当該順序で積層されており、共通電極111側が表示方向側ととなる。
i行j列の画素11において、TFT114のゲートGには選択信号Giが接続され、TFT114のソースSにはデータ信号Sjが接続され、TFT114のドレインDには画素電極113が接続されている。
ここで、図1cに示すように、各画素11の共通電極111は、画素11が属するエリア毎に共通化されている。そして、エリアkの共通電極111とTDDI2はタッチスキャン信号Lkで接続されている。
なお、図示を省略したが、LCDパネル1は、バックライト等、表示に必要となるその他のデバイスも備えている。
ここで、図2aは、一つの画素11に着目して、LCDパネル1の基本的な駆動法を示したものである。
図示するように、TDDI2は、LCDパネル1の表示の更新を行うディスプレイ駆動期間DUと、タッチの検出期間をタッチセンシング期間TSを交互に設定する。そして、ディスプレイ駆動期間DUにおいて、1フレーム分の画素11(全画素)を更新する。
TDDI2は、グランド電圧を基準電圧として動作しており、各ディスプレイ駆動期間DUにおいて、TDDI2は、共通電極111の電圧である共通電圧Vcomとして、全てのエリアの共通電極111にグランド電圧に相当する電圧を共通に印加する。
また、TDDI2は、画素11に接続している選択信号Giを介して、当該画素11のTFT114のゲートGの電圧であるゲート電圧Vgを、ディスプレイ駆動期間DU中に2回、TFT114がオフとなる電圧VGLからTFT114がオンとなる電圧VGHに変化させる。
【0016】
また、ゲート電圧VGがVGHとなり、TFT114がオンとなっている2期間において、画素11に接続しているデータ信号Sjを介しTFT114のソースSの電圧であるソース電圧Vsとして、画素値に応じた大きさの電圧を逆極性で印加する。
TFT114がオンのときTFT114のソースSのソース電圧VsはTFT114のドレインDから画素電極113に印加され、共通電極111の共通電圧Vcomと画素電極113の電圧Vdの差に応じた電荷がキャパシタでもある液晶112に充電され、画素電極113の電圧Vdが画素値に応じた電圧に変化する。そして、この画素電極113の電圧Vdは、次回にTFT114をオンとする電圧VGHがゲートGに印加されるまで、少しずつ放電しながら保持される。
【0017】
一方、各タッチセンシング期間TSにおいて、TDDI2は、各エリアの共通電極111を電気的に分離する。
そして、各共通電極111に接続するタッチスキャン信号Lkに、パルス状の、グランド電圧から僅かに変動する交流信号であるタッチスキャンパルスTSPを印加して、共通電極111の電圧変動を観測し、観測した電圧変動の程度から、各共通電極111に対応するエリアへのタッチの発生の有無を検出する。
【0018】
さて、このような図2aの駆動法によれば、共通電極111と共通電極111よりも画素11側の部分との間の寄生容量の大きさによっては、寄生容量による影響によって、タッチスキャンパルスTSPを安定的に印加したり、タッチを精度良く検出したりできなくなる
そこで、図2bに示す駆動法でLCDパネル1を駆動することが考えられる。
【0019】
図2bに示す駆動法では、共通電極111にタッチスキャンパルスTSPを印加するときに、各画素11の画素電極113にタッチスキャンパルスTSP相当の信号を印加して、共通電極111の共通電圧Vcomと画素電極113の電圧Vdを同様に変動させることにより、寄生容量による影響を解消、もしくは、軽減する。
【0020】
また、この駆動法では、画素電極113の電圧Vdの変動を、TDDI2に供給する電源の電圧をタッチスキャンパルスTSPと同様に変動することにより実現する。
すなわち、TDDI2として、VGHとして用いる電圧の電源EHと、VGLとして用いる電圧の電源ELの供給を電源装置から受け、電源装置から供給された電源からLCDパネル1に出力する各信号を生成するものを用いる。そして、図示するように、電源EHと電源ELの電圧を、タッチスキャンパルスTSPを印加するときに、タッチスキャンパルスTSPと同様に変動させることにより、TFT114のゲート電圧VgやTFT114の寄生容量等を介して、共通電極111の画素電極113の電圧VdをタッチスキャンパルスTSPと同様に変動させる。
【0021】
しかし、このようにすると、自動車のダッシュボード等に図3aに示すように配置される表示装置100を、LCDパネル1と電源装置とを図4に示すように分離して構成する場合に問題が生じる。
ここで、図3aに示す表示装置100のグランドは、図3b、図4に示すようにハーネスにまとめられたグランドライン3で、エンジンルームに設置されたバッテリ200のマイナス端子に接続されていると共に、表示装置100の近傍の位置において車体グランドに金属製の取付ブラケット4で接続されるものとする。なお、一般的に、バッテリ200のマイナス端子は、バッテリ200の近傍の位置において車体グランドに接続されている。
【0022】
この場合、図3cに示すグランドライン3-表示装置100-取付ブラケット4の経路の部分がアンテナとして機能し、この部分の長さLによって定まるアンテナの共振周波数は、長さLが1mから4mの範囲でおおよそ70MHzから30MHzの範囲となる。
次に、図4に示した表示装置100は、金属製の筐体101に、プリント基板102(PCB:Printed Circuit Board)、LCDパネル1とTDDI2を搭載した表示パネル103、プリント基板102と表示パネル103を接続するFPC104(Flexible printed circuits)を収容したものである。ここで、プリント基板102のグランドは筐体101に接続されており、グランドライン3や表示装置100のグランドは、筐体101、取付ブラケット4を介して車体グランドに接続する。
【0023】
また、この表示装置100は、プリント基板102に、TDDI2がVGHとして用いる電圧の電源EHをFPC104を介してLCDパネル1に供給するEH電源1021と、VGLとして用いる電圧の電源ELをFPC104を介してLCDパネル1に供給するEL電源1022を搭載したものである。
【0024】
そして、TDDI2からタッチスキャンパルスTSPをプリント基板102に出力し、プリント基板102において、コンデンサC1を介してタッチスキャンパルスTSPの交流成分を電源EHに重畳し、コンデンサC2を介してタッチスキャンパルスTSPの交流成分を電源ELに重畳することにより、タッチスキャンパルスTSPを印加するときに、電源EHと電源ELの電圧を、タッチスキャンパルスTSPと同様に変動させている。
【0025】
上述のようにグランドライン3-表示装置100-取付ブラケット4の経路の部分によってアンテナが形成されているため、グランドライン3に接続しているプリント基板102のグランドには、アンテナの共振周波数において大きなグランドノイズが発生する。
そして、このグランドノイズは、FPC104とLCDパネル1のグランドに伝搬する。また、このグランドノイズは、通常、グランドに近づけて配線される電源EH、電源EL、タッチスキャンパルスTSPの配線にノイズとして飛びつく(誘導される)。
ここで、電源EH、電源EL、タッチスキャンパルスTSPの配線は、通常高インピーダンスであり、FPC104を介してLCDパネル1とプリント基板102の間を繋ぐものであって長いために、電源EH、電源EL、タッチスキャンパルスTSPの配線に、グランドからノイズが誘導され(飛びつき)やすい。なお、FPC104を2層とし、1層を全面グランド層とした場合には、FPC104においても、電源EH、電源EL、タッチスキャンパルスTSPの配線にノイズが誘導されることとなる。
【0026】
したがって、図5に符号Nによってノイズを示すように、グランド電圧GNDや、タッチスキャンパルスTSPが出力されていない期間中はグランド電圧GNDと等価とされる共通電極111の共通電圧Vcomにノイズが表れる他、電源EH、電源ELのノイズ等によって、LCDパネル1の各画素11のTFT114のゲートGのゲート電圧VGを介して画素電極113の電圧Vdにもノイズが表れることとなる。
【0027】
そして、共通電極111の共通電圧Vcomに表れるノイズの大きさをANcom、画素電極113の電圧Vdに表れるノイズの大きさをANdとすると、共通電極111のノイズは表示装置100のグランドに現れるグランドノイズと等価である一方、画素電極113のノイズはグランドから誘導された、グランドノイズが減衰したノイズであるため、ANcom>ANdとなる。
【0028】
したがって、ANcom-ANd>0であり、グランドノイズによって液晶112の両側の共通電極111と画素電極113との間の電圧差の変動ANcom-ANdが発生し、表示の異常を引き起こすことがある。
以下では、このような背景を踏まえて、本実施形態の表示装置100について説明する。
図6に、本実施形態の表示装置100の構成を示す。
図示するように、本実施形態の表示装置100は、図4に示した表示装置100の構成において、プリント基板102に、コイルL1とコンデンサC3とを直列接続した直列LC回路と、コンデンサC4と、コンデンサC5とをグランドノイズ対策部品として付加したものである。
【0029】
直列LC回路は、タッチスキャンパルスTSPの配線とプリント基板102のグランド間に設けられ、コンデンサC4はタッチスキャンパルスTSPの配線と電源EHの配線との間にコンデンサC1と並列に設けられ、コンデンサC5はタッチスキャンパルスTSPの配線と電源ELの配線との間にコンデンサC2と並列に設けられている。
【0030】
直列LC回路は、共振回路であり、その共振周波数でインピーダンスが最小となって、透過量が最大となるフィルタとして機能する。また、直列LC回路のインピーダンス特性は、上述したグランドライン3-表示装置100-取付ブラケット4の経路の部分により形成されるアンテナの共振周波数の範囲やその周辺の周波数範囲においてインピーダンスが充分に小さくなり、タッチスキャンパルスTSPの周波数やその周辺の周波数範囲においてインピーダンスが充分に大きくなるように設定する。
同様に、コンデンサC4、コンデンサC5のインピーダンス特性は、アンテナの共振周波数の範囲やその周辺の周波数範囲においてインピーダンスが充分に小さくなり、タッチスキャンパルスTSPの周波数やその周辺の周波数範囲においてインピーダンスが充分に大きくなるように設定する。
【0031】
たとえば、アンテナの共振周波数の範囲が30MHzから70MHzの範囲であり、タッチスキャンパルスTSPの周波数が50KHzであれば、図7aに示すように、この30MHzから70MHzの範囲とその周辺を含む範囲(灰色で示した範囲)においてインピーダンスが充分に小さくなり、タッチスキャンパルスTSPの周波数50KHzの周辺ではインピーダンスが充分に大きくなるように設定する。
【0032】
なお、タッチスキャンパルスTSPの電源EHや電源ELへの重畳用のコンデンサC1、C2のインピーダンス特性は、図7bに示すように、タッチスキャンパルスTSPの周波数50KHzの周辺を含む範囲(灰色で示した範囲)でインピーダンスが充分に小さくなり、他の範囲でインピーダンスが大きくなるように設定している。
【0033】
これらのグランドノイズ対策部品を設けることにより、アンテナの共振周波数の範囲のグランドノイズは、図6に破線の矢印で示したように、プリント基板102のグランドから、直列LC回路を通ってタッチスキャンパルスTSPの配線に伝搬すると共に、当該配線に伝搬したグランドノイズがコンデンサC4、C5を通って、電源EH、電源ELに伝搬する。
【0034】
結果、図8に示すように、画素電極113の電圧Vdに表れるノイズは、図5に示したグランドノイズ対策部品を設けなかった場合に表れるノイズに、グランドノイズ対策部品によって電源EH、電源ELに伝搬させたノイズによりゲート電圧VG等を介して画素電極113の電圧Vdに表れるノイズを加えたものとなり、その大きさは、グランドノイズ対策部品を設けなかった場合よりも大きくなる。
【0035】
したがって、共通電極111の共通電圧Vcomに表れるノイズの大きさをANcom、画素電極113の電圧Vdに表れるノイズの大きさをANdとして、ANdはグランドノイズ対策部品を設けなかった場合よりANcomに近い大きさとなり、グランドノイズによって生じる液晶112の両側の共通電極111と画素電極113との間の電圧差の変動ANcom-ANdは、グランドノイズ対策部品を設けなかった場合より小さくなる。
【0036】
また、グランドノイズ対策部品で電源EH、電源ELに伝搬させるグランドノイズのゲインを適度に設定することにより、グランドノイズによって生じる液晶112の両側の共通電極111と画素電極113との間の電圧差の変動ANcom-ANdを、おおよそ0とすることができる。
よって、以上のようにグランドノイズ対策部品を設けることにより、グランドノイズによって生じる液晶112の両側の共通電極111と画素電極113との間の電圧差の変動によって生じる表示の異常の発生を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ここで、以上の実施形態は、プリント基板102において電源EH、電源ELにタッチスキャンパルスTSPを重畳しない場合にも同様に適用することができる。すなわち、この場合には、コンデンサC1、C2を設けずに、コンデンサC4を介して直列LC回路と電源EHを接続し、コンデンサC4を介して直列LC回路と電源ELを接続する。
【0037】
このようにしても、グランドノイズによって生じる液晶112の両側の共通電極111と画素電極113との間の電圧差の変動を軽減して、表示の異常の発生が抑制されることが期待できる。
【符号の説明】
【0038】
1…LCDパネル、2…TDDI、3…グランドライン、4…取付ブラケット、11…画素、100…表示装置、101…筐体、102…プリント基板、103…表示パネル、104…FPC、111…共通電極、112…液晶、113…画素電極、114…TFT、200…バッテリ、1021…EH電源、1022…EL電源。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8