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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131402
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61H7/00 323M
A61H7/00 323L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041639
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 真琴
(72)【発明者】
【氏名】菊地 学
(72)【発明者】
【氏名】中西 佑介
(72)【発明者】
【氏名】波戸 成典
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD12
4C100AD22
4C100AD26
4C100BA02
4C100BB04
4C100BC02
4C100CA06
4C100DA05
(57)【要約】
【課題】被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構を、左右独立に移動させる。
【解決手段】被施術者が座る座部と、被施術者の背面を支える背もたれ部と、背もたれ部のカバーを介して被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構と、左右1対のもみ機構を左右方向へ移動可能な移動機構とを備え、左右1対のもみ機構の各もみ機構は、各もみ機構と移動機構との結合部に配置され、移動機構に対して係脱自在とすることにより、各もみ機構の左右方向への移動の可否を切り替える移動切り替え部を備える、マッサージ装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者が座る座部と、
前記被施術者の背面を支える背もたれ部と、
前記背もたれ部のカバーを介して前記被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構と、
前記左右1対のもみ機構を左右方向へ移動可能な移動機構と
を備え、
前記左右1対のもみ機構の各もみ機構は、
前記各もみ機構と前記移動機構との結合部に配置され、当該移動機構に対して係脱自在とすることにより、当該各もみ機構の左右方向への移動の可否を切り替える移動切り替え部を備える、マッサージ装置。
【請求項2】
前記移動切り替え部は、
前記移動機構の溝形状に係止される係止板と、
前記移動切り替え部の回転に応じて、前記係止板を前記移動機構に略垂直に回転させることにより、当該係止板を前記溝形状に対して係脱自在に移動させる係止板移動部と
を備える、請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記移動機構の前記溝形状は、ねじ溝であり、
前記係止板は、前記ねじ溝のねじれ方向に沿って回転する、請求項2に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
前記移動機構の前記溝形状は、ねじ溝であり、
前記係止板は、前記ねじ溝のねじれ方向に応じたねじれ形状を有する、請求項2に記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記移動切り替え部は、前記移動機構の前記溝形状の外周を抱え込むための形状を有する、請求項2に記載のマッサージ装置。
【請求項6】
前記左右1対のもみ機構の各もみ機構は、
前記移動切り替え部が前記移動機構から離脱した場合に、前記各もみ機構の左右方向の位置を固定させるロック機構を更に備える、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のマッサージ装置。
【請求項7】
前記ロック機構が前記各もみ機構の左右方向の位置を固定させるために当該各もみ機構を係留する係留先を更に備える、請求項6に記載のマッサージ装置。
【請求項8】
前記ロック機構は、
前記係留先の溝形状に係止される係止板と、
前記ロック機構の回転に応じて、前記係止板を前記係留先に略垂直に回転させることにより、当該係止板を前記溝形状に対して係脱自在に移動させる係止板移動部と
を備える、請求項7に記載のマッサージ装置。
【請求項9】
前記ロック機構は、
前記係留先の略円筒面に押し付けられるブレーキパッドと、
前記ロック機構の回転に応じて、前記ブレーキパッドを前記係留先に略垂直に回転させることにより、当該ブレーキパッドを前記略円筒面に対して係脱自在に移動させるブレーキパッド移動部と
を備える、請求項7に記載のマッサージ装置。
【請求項10】
前記ロック機構は、
前記係留先の略円筒面に押し付けられるチャック爪と、
前記ロック機構の回転に応じて、前記チャック爪が固定された部材の前記係留先の中心からの変位を変化させることにより、当該チャック爪を前記略円筒面に対して係脱自在に移動させるチャック爪移動部と
を備える、請求項7に記載のマッサージ装置。
【請求項11】
前記移動切り替え部と前記ロック機構とは、同一の動力によって動作する、請求項6に記載のマッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主アームに主施療子が取り付けられた主機能部と、副アームに副施療子が取り付けられた副機能部と、主アームおよび副アームをその支持軸の軸方向において連動して変位させる共通幅駆動部とを有するマッサージ装置が記載されている。このマッサージ装置において、共通幅駆動部は、フレームの左側に配置されている幅モーター、ベルト、プーリー、および、支持軸によって駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-39545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構を1つの動力で移動させる構成を採用した場合、左右1対のもみ機構を左右独立に移動させることはできない。
【0005】
本発明の目的は、被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構を、左右独立に移動させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、被施術者が座る座部と、被施術者の背面を支える背もたれ部と、背もたれ部のカバーを介して被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構と、左右1対のもみ機構を左右方向へ移動可能な移動機構とを備え、左右1対のもみ機構の各もみ機構は、各もみ機構と移動機構との結合部に配置され、移動機構に対して係脱自在とすることにより、各もみ機構の左右方向への移動の可否を切り替える移動切り替え部を備える、マッサージ装置を提供する。
移動切り替え部は、移動機構の溝形状に係止される係止板と、移動切り替え部の回転に応じて、係止板を移動機構に略垂直に回転させることにより、係止板を溝形状に対して係脱自在に移動させる係止板移動部とを備える、ものであってよい。その場合、移動機構の溝形状は、ねじ溝であり、係止板は、ねじ溝のねじれ方向に沿って回転する、ものであってよい。また、移動機構の溝形状は、ねじ溝であり、係止板は、ねじ溝のねじれ方向に応じたねじれ形状を有する、ものであってよい。更に、移動切り替え部は、移動機構の溝形状の外周を抱え込むための形状を有する、ものであってよい。
【0007】
左右1対のもみ機構の各もみ機構は、移動切り替え部が移動機構から離脱した場合に、各もみ機構の左右方向の位置を固定させるロック機構を更に備える、ものであってよい。
その場合、マッサージ装置は、ロック機構が各もみ機構の左右方向の位置を固定させるために各もみ機構を係留する係留先を更に備える、ものであってよい。その場合、ロック機構は、係留先の溝形状に係止される係止板と、ロック機構の回転に応じて、係止板を係留先に略垂直に回転させることにより、係止板を溝形状に対して係脱自在に移動させる係止板移動部とを備える、ものであってよい。また、ロック機構は、係留先の略円筒面に押し付けられるブレーキパッドと、ロック機構の回転に応じて、ブレーキパッドを係留先に略垂直に回転させることにより、ブレーキパッドを略円筒面に対して係脱自在に移動させるブレーキパッド移動部とを備える、ものであってよい。更に、ロック機構は、係留先の略円筒面に押し付けられるチャック爪と、ロック機構の回転に応じて、チャック爪が固定された部材の係留先の中心からの変位を変化させることにより、チャック爪を略円筒面に対して係脱自在に移動させるチャック爪移動部とを備える、ものであってよい。
また、その場合、移動切り替え部とロック機構とは、同一の動力によって動作する、ものであってよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構を、左右独立に移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態におけるマッサージ装置の外観構成例を示す図である。
図2】マッサージ機構を正面から見たときの概略構成例を示す図である。
図3】マッサージ機構を側面から見たときの概略構成例を示す図である。
図4】左右1対のもみ機構が連動して動作する様子を示す図である。
図5】左右1対のもみ機構が独立して動作する様子を示す図である。
図6】動作切り替え部の構成例を示す図である。
図7】動作切り替え部の構成例を示す図である。
図8】(a),(b)は、移動切り替え部の係止板と移動機構のねじ溝との位置関係を示す図である。
図9】(a),(b)は、係留切り替え部の係止板と係留先のねじ溝との位置関係を示す図である。
図10】動作切り替え部の第1の変形例を示す図である。
図11】動作切り替え部の第2の変形例を示す図である。
図12】動作切り替え部の第2の変形例における係留切り替え部が係留する係留先を示す図である。
図13】(a),(b)は、動作切り替え部の第3の変形例を示す図である。
図14】動作切り替え部の第3の変形例における係留切り替え部が係留する係留先を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
[実施の形態の背景]
例えば家庭用のマッサージ装置では、もみほぐしの手法として、もみ玉の動きに工夫が凝らされてきた。また、もみ玉の大きさ、個数、移動方向等の組み合わせにより、複雑な動きを可能とすることで、整体師の施術を再現していること等をアピールしている。
ところが、整体師は、被施術者の体が逃げることで正確に力を伝えるもみ方ができなくなることや、筋肉をその表面から垂直に押すといった整体として正しいもみ方を行う必要があることから、1つの筋肉に対して集中的に力を加えることが多い。これまで一般的であった左右1対のもみ玉を装置中央について対称に左右方向に移動させるマッサージ装置では、このような整体師の施術を十分に再現できない。これは、自重以外に支えがない頭部の近くでかつもみ玉が中央に寄る頸部付近のもみほぐしにおいて顕著である。
これに対しては、左右1対のもみ玉の双方を任意の場所で停止可能にする機構を追加することで、一方のもみ玉を頸部に当て、他方のもみ玉を頸部から離しておくことが可能となる。
しかしながら、もみ玉を含むもみ機構を左右独立に移動させるために個別に動力を配置する場合は、装置の体積への影響が大きくなり、各もみ機構への動力伝達を順次切り替える構成では、もみ機構の左右同時移動が不可能となる。また、差動機構を用いた上で機構に掛かる負荷を調整し、もみ機構の左右移動を制御しようとした場合、ユーザからもみ玉に伝わる反発力によっては、意図した動作が行われない等、現実的ではない。
そこで、本実施の形態では、もみ機構ともみ機構の移動機構との間に動作切り替え部を配置し、動作切り替え部が専用の動力によって、任意に移動機構に対して係脱し、同時に別途配置した係留先との係合及び離脱の状態を反転する。これにより、左右1対のもみ機構のうち一方のみを任意に移動させることが可能となる。
【0012】
[マッサージ装置の外観構成]
図1は、本実施の形態におけるマッサージ装置1の外観構成例を示す図である。
図示するように、本実施の形態におけるマッサージ装置1は、座部11と、座部11を支持する左右1対の支持フレーム12と、座部11の後方側で左右1対の支持フレーム12に支持される背もたれ部13とを備えている。また、本実施の形態におけるマッサージ装置1は、施術を受ける被施術者の患部をマッサージ可能なマッサージ機構20を備えている。
尚、本実施の形態において、前後方向、左右方向(幅方向)、上下方向の各方向は、座部11に被施術者が座った場合に、被施術者から見た方向を示している。
【0013】
座部11は、マッサージ装置1で施術を受ける被施術者が座ることができるように平面視略矩形状に構成された部材である。座部11は、例えば、立体的に組み立てられたフレームをクッション性のあるクッション材で覆うことによって、被施術者が快適に座ることができるように構成されている。
【0014】
支持フレーム12は、金属製板材、樹脂等によって形成された部材である。マッサージ装置1を平坦な床面に載置したとき、支持フレーム12の下端は床面に対して略水平になるように構成されており、支持フレーム12の下端の前後端部には、図には示していないが、床面に載置される前後脚部が設けられている。
そして、支持フレーム12を上下に支持する前後支持片(図示せず)の略同じ高さの位置に、座部11の左右側部のフレームを固定具を介して固定することによって、座部11は支持フレーム12に支持されている。
従って、マッサージ装置1を平坦な床面に載置したとき、座部11の上面が床面に対して略水平になると共に、座部11が床面から上方に浮き上がるようになっている。
また、支持フレーム12は、座部11の上面よりも上方に突出するように形成され、座部11の上面よりも上方に突出した支持フレーム12の上端縁部は湾曲されており、その上側突出部は肘掛部となっている。従って、支持フレーム12は、座部11を支持すると共に、肘掛が可能な肘掛フレームであり、支持フレーム12の全体は、クッション材等で覆われている。
【0015】
背もたれ部13は、マッサージ装置1で施術を受ける被施術者がもたれかかることができるように平面視略矩形状に構成された部材である。つまり、背もたれ部13は、被施術者の背面を支持する。背もたれ部13は、例えば、座部11と同様に、立体的に組み立てられたフレームをクッション性のあるクッション材で覆うことによって、被施術者が快適にもたれかかることができるように構成されている。
【0016】
背もたれ部13の内部には、被施術者の背面をマッサージするマッサージ機構20が設けられている。マッサージ機構20は、左右1対のもみ玉21を前後方向及び左右方向に揺動させ、左右1対のもみ玉21を動作させるための左右1対のアーム部22を左右方向に移動させるように構成されている。
【0017】
[マッサージ機構]
図2は、マッサージ機構20を正面から見たときの概略構成例を示す図であり、図3は、マッサージ機構20を側面から見たときの概略構成例を示す図である。
図示するように、マッサージ機構20は、左右1対のもみ玉21と、左右1対のもみ玉21をマッサージ動作させるための左右1対のアーム部22とを備える。ここで、マッサージ動作とは、例えば、左右1対のもみ玉21を前後方向及び左右方向に揺動させる動作のことである。
【0018】
マッサージ機構20は、アーム部22を左右方向へ移動させる移動機構23と、移動機構23がアーム部22を移動させるための動力源である第1モータ24とを備える。また、マッサージ機構20は、アーム部22の左右方向の位置を固定させるためにアーム部22が係留される係留先25を備える。移動機構23は、左右1対のもみ機構を左右方向へ移動可能な移動機構の一例であり、係留先25は、ロック機構が各もみ機構の左右方向の位置を固定させるために各もみ機構を係留する係留先の一例である。
【0019】
マッサージ機構20は、アーム部22の動作を切り替える動作切り替え部26を備える。動作切り替え部26はケース27に収納され、ケース27がアーム部22に取り付けられる。図では、ケース27がアーム部22を覆うように取り付けられているが、これには限らない。ケース27は、図におけるアーム部22の左側に取り付けられてもよいし、図におけるアーム部22の右側に取り付けられてもよい。もみ玉21とアーム部22と動作切り替え部26とからなる機構は、背もたれ部のカバーを介して被施術者の背面をマッサージする左右1対のもみ機構の一例である。
【0020】
動作切り替え部26は、第1モータ24とは別の同一の動力によって動作する移動切り替え部30及び係留切り替え部40を含む。
移動切り替え部30は、移動機構23に任意に係合し、移動機構23から任意に離脱する。移動切り替え部30は、各もみ機構と移動機構との結合部に配置され、移動機構に対して係脱自在とすることにより、各もみ機構の左右方向への移動の可否を切り替える移動切り替え部の一例である。
係留切り替え部40は、移動切り替え部30が移動機構23に係合している場合は、係留先25から離脱し、移動切り替え部30が移動機構23から離脱している場合は、係留先25に係合する。係留切り替え部40は、移動切り替え部が移動機構から離脱した場合に、各もみ機構の左右方向の位置を固定させるロック機構の一例である。
動作切り替え部26は、このような構成によって、左右1対のもみ玉21の一方のもみ玉21のみを任意に移動させることができる。
【0021】
図4は、左右1対のアーム部22が連動して動作する様子を示す図である。この場合は、左右1対のアーム部22の両方が移動機構23に係合する。図では、アーム部22a及びアーム部22bが移動機構23に係合することにより、アーム部22aと移動機構23との間、及びアーム部22bと移動機構23との間は、何れも動力接続状態となっている。従って、図では、もみ玉21aは矢印Maで示すように左方向に、もみ玉21bは矢印Mbに示すように右方向に、連動して移動している。
【0022】
図5は、左右1対のアーム部22が独立して動作する様子を示す図である。この場合は、左右1対のアーム部22のうち、一方が移動機構23に係合し、他方が移動機構23から離脱する。図では、アーム部22aが移動機構23から離脱し、アーム部22bが移動機構23に係合することにより、アーム部22aと移動機構23との間は動力非接続状態となり、アーム部22bと移動機構23との間は動力接続状態となっている。従って、図では、もみ玉21aは左右に移動せずに、もみ玉21bのみが矢印Nbに示すように左方向に移動している。
【0023】
[動作切り替え部の構成例]
図6及び図7は、動作切り替え部26の構成例を示す図である。図6は、移動切り替え部30が移動機構23に係合し、係留切り替え部40が係留先25から離脱して、アーム部22が左右方向に移動できる状態を示す。図7は、移動切り替え部30が移動機構23から離脱し、係留切り替え部40が係留先25に係合して、アーム部22が左右方向に移動できない状態を示す。
【0024】
図示するように、動作切り替え部26は、移動切り替え部30と、係留切り替え部40と、ウォーム50とを備える。移動切り替え部30は、ウォームホイール31を備え、係留切り替え部40は、ウォームホイール41を備える。そして、これらのウォームホイール31,41がウォーム50と噛み合い、ウォーム50の回転に応じて、移動切り替え部30及び係留切り替え部40は、互いに逆方向(一方が時計回り方向であれば、他方は反時計回り方向)に回転する。
【0025】
移動切り替え部30は、移動機構23のねじ溝に係止されることで移動機構23に係合可能な係止板32と、係止板32を回転させる際の軸である回転軸33とを備えている。回転軸33は、動作切り替え部26のケース27(図2及び図3参照)に固定されている。また、係止板32には溝部34が形成されている。更に、移動切り替え部30は、ウォームホイール31上に、係止板32をねじ溝に対して係脱させるための突起部35を備える。つまり、突起部35が溝部34に係合したまま移動機構23を中心として回転することにより、係止板32が回転軸33を中心に回転して移動機構23に対して係脱される。係止板32は、移動機構の溝形状に係止される係止板の一例である。回転軸33、溝部34、及び突起部35は、移動切り替え部の回転に応じて、係止板を移動機構に略垂直に回転させることにより、係止板を溝形状に対して係脱自在に移動させる係止板移動部の一例である。
【0026】
尚、移動切り替え部30は、移動機構23の溝形状の外周を抱え込むための形状を有するとよい。つまり、移動切り替え部30は、その移動機構23に対向する内周面が、移動機構23の溝形状の外周面に対して、極めて小さいクリアランスを隔てて配置される形状を有するとよい。移動切り替え部30がこのような形状を有することにより、係止板32が移動機構23から離脱した場合であっても、アーム部22がずれることなく任意の位置に留まることができる。
【0027】
係留切り替え部40は、係留先25のねじ溝に係止されることで係留先25に係合可能な係止板42と、係止板42を回転させる際の軸である回転軸43とを備えている。回転軸43は、動作切り替え部26のケース27(図2及び図3参照)に固定されている。また、係止板42には溝部44が形成されている。更に、係留切り替え部40は、ウォームホイール41上に、係止板42をねじ溝に対して係脱させるための突起部45を備える。つまり、突起部45が溝部44に係合したまま係留先25を中心として回転することにより、係止板42が回転軸43を中心に回転して係留先25に対して係脱される。係止板42は、係留先の溝形状に係止される係止板の一例である。回転軸43、溝部44、及び突起部45は、ロック機構の回転に応じて、係止板を係留先に略垂直に回転させることにより、係止板を溝形状に対して係脱自在に移動させる係止板移動部の一例である。
【0028】
尚、係留切り替え部40は、係留先25の溝形状の外周を抱え込むための形状を有するとよい。つまり、係留切り替え部40は、その係留先25に対向する内周面が、係留先25の溝形状の外周面に対して、極めて小さいクリアランスを隔てて配置される形状を有するとよい。係留切り替え部40がこのような形状を有することにより、係止板42が係留先25から離脱した場合であっても、アーム部22がずれることなく任意の位置に留まることができる。
【0029】
ウォーム50には、その動力源である第2モータ51が接続されている。ウォーム50がウォームホイール31,41と噛み合うことにより、セルフロックで意図せずに係止板32,42の係脱が転じることを防止しつつ、移動機構23のねじ溝に対する係止板32の係合及び離脱の状態と、係留先25のねじ溝に対する係止板42の係合及び離脱の状態とを反転させることが可能となる。尚、第2モータ51は、第1モータ24に比べて小さな動力を発生させる小型のモータであってよい。
【0030】
図8(a),(b)は、移動切り替え部30の係止板32と移動機構23のねじ溝との位置関係を示す図である。図8(a)は、係止板32が移動機構23に係合している場合の位置関係を示し、図8(b)は、係止板32が移動機構23から離脱している場合の位置関係を示す。
【0031】
尚、係止板32は、移動機構23のねじ溝のねじれ方向に沿って回転するとよい。つまり、係止板32が移動機構23に係合する際に回転軸33を中心として回転する方向と、移動機構23のねじ溝が回転する方向とが、同じ方向になるようにするとよい。
【0032】
また、係止板32は、移動機構23のねじ溝のねじれ方向に応じたねじれ形状を有するとよい。つまり、係止板32は移動機構23の移動方向に一定の厚みを有するが、係止板32の先端部にはその厚みの範囲内で移動機構23のねじ溝のねじれ方向に沿った形状が形成されているとよい。
【0033】
図9(a),(b)は、係留切り替え部40の係止板42と係留先25のねじ溝との位置関係を示す図である。図9(a)は、係止板42が係留先25に係合している場合の位置関係を示し、図9(b)は、係止板42が係留先25から離脱している場合の位置関係を示す。
【0034】
尚、係止板42は、係留先25のねじ溝のねじれ方向に沿って回転するとよい。つまり、係止板42が係留先25に係合する際に回転軸43を中心として回転する方向と、係留先25のねじ溝が回転する方向とが、同じ方向になるようにするとよい。
【0035】
また、係止板42は、係留先25のねじ溝のねじれ方向に応じたねじれ形状を有するとよい。つまり、係止板42は係留先25の移動方向に一定の厚みを有するが、係止板42の先端部にはその厚みの範囲内で係留先25のねじ溝のねじれ方向に沿った形状が形成されているとよい。
【0036】
ここで、動作切り替え部26の動作について説明する。
まず、図6に矢印R0で示すように、第2モータ51が正転したとする。
【0037】
この場合、移動切り替え部30では、図6に示すように、係止板32が移動機構23に係合した状態であったとする。つまり、係止板32と移動機構23のねじ溝との関係は図8(a)のようになっていたとする。この状態で、第2モータ51が正転した場合、移動切り替え部30では、ウォームホイール31が、矢印R11で示すように反時計回り方向に回転する。これに伴い、ウォームホイール31上の突起部35も、矢印R12で示すように反時計回り方向に回転する。そして、係止板32が、溝部34に係合した突起部35に押され、矢印R13で示すように回転軸33を中心としてウォームホイール31の外周方向へ回転する。これにより、係止板32が移動機構23のねじ山から外れ始め、最終的に係止板32が移動機構23のねじ山から外れ、図7に示すように、係止板32が移動機構23から離脱した状態となる。つまり、係止板32と移動機構23のねじ溝との関係は図8(b)のようになる。すると、移動切り替え部30は、移動機構23の周囲を空転するので、アーム部22は左右方向に移動しない。
【0038】
また、この場合、係留切り替え部40では、図6に示すように、係止板42が係留先25から離脱した状態であったとする。つまり、係止板42と係留先25のねじ溝との関係は図9(b)のようになっていたとする。この状態で、第2モータ51が正転した場合、係留切り替え部40では、ウォームホイール41が、矢印R21で示すように時計回り方向に回転する。これに伴い、ウォームホイール41上の突起部45も、矢印R22で示すように時計回り方向に回転する。そして、係止板42が、溝部44に係合した突起部45に押され、矢印R23で示すように回転軸43を中心としてウォームホイール41の中心方向へ回転する。これにより、係止板42が係留先25のねじ山に掛かり始め、最終的に係止板42が係留先25のねじ山に掛かり、図7に示すように、係止板42が係留先25に係合した状態となる。つまり、係止板42と係留先25のねじ溝との関係は図9(a)のようになる。
【0039】
尚、図7に示した状態で第2モータ51を逆方向に回転させると、動作切り替え部26は上記と逆の動作を行い、図6に示した状態となる。
【0040】
ところで、左右1対の動作切り替え部26を考えた場合、一方の動作切り替え部26が図6に示した状態であり、他方の動作切り替え部26が図7に示した状態であってよい。或いは、両方の動作切り替え部26において、移動切り替え部30が移動機構23に係合し、係留切り替え部40が係留先25から離脱していてもよい。一方で、両方の動作切り替え部26において、移動切り替え部30が移動機構23から離脱し、係留切り替え部40が係留先25から離脱している場合、アーム部22は被施術者の身体からの反発力で自然に動くので、機構は成立しないものとする。
【0041】
[動作切り替え部の第1の変形例]
図10は、動作切り替え部26の第1の変形例を示す図である。
図6及び図7では、移動切り替え部30と係留切り替え部40との間にウォーム50が配置されていたが、図10では、移動切り替え部30及び係留切り替え部40に対して同じ側にウォーム50が配置されている。このような構成でも、移動機構23のねじ溝に対する係止板32の係合及び離脱の状態と、係留先25のねじ溝に対する係止板42の係合及び離脱の状態とを反転させることができる。
【0042】
図では、移動切り替え部30の係止板32が移動機構23のねじ溝から離脱し、係留切り替え部40の係止板42が係留先25のねじ溝に係合した状態を示している。
この状態で、第2モータ51がウォーム50を正転させたとする。
すると、移動切り替え部30では、ウォームホイール31が、反時計回り方向に回転し、これに伴い、ウォームホイール31上の突起部35も反時計回り方向に回転する。そして、係止板32が、溝部34に係合した突起部35に押され、回転軸33を中心としてウォームホイール31の中心方向へ回転する。これにより、係止板32が移動機構23のねじ山に係合する。
また、係留切り替え部40では、ウォームホイール41が、反時計回り方向に回転し、これに伴い、ウォームホイール41上の突起部45も反時計回り方向に回転する。そして、係止板42が、溝部44に係合した突起部45に押され、回転軸43を中心としてウォームホイール41の外周方向へ回転する。これにより、係止板42が係留先25のねじ山から離脱する。
【0043】
[動作切り替え部の第2の変形例]
図11は、動作切り替え部26の第2の変形例を示す図である。図11は、動作切り替え部26の第2の変形例における係留切り替え部60を示す。図12は、動作切り替え部26の変形例ではないが、動作切り替え部26の第2の変形例における係留切り替え部60が係留する係留先28を示す図である。
【0044】
図11に示すように、係留切り替え部60は、ウォームホイール61を備える。そして、このウォームホイール61がウォーム50(図6及び図7参照)と噛み合い、係留切り替え部60は、ウォーム50の回転に応じて、移動切り替え部30(図6及び図7参照)と逆方向に回転する。
【0045】
係留切り替え部60は、図12に示すように係留先28の略円筒面に摩擦部材67を介して押し当てられることで係留先28に係合可能なブレーキパッド62と、ブレーキパッド62を回転させる際の軸である回転軸63とを備えている。回転軸63は、動作切り替え部26のケース27(図2及び図3参照)に固定されている。また、ブレーキパッド62には溝部64が形成されている。更に、係留切り替え部60は、ウォームホイール61上に、ブレーキパッド62を係留先28に対して係脱させるための突起部65を備える。つまり、突起部65が溝部64に係合したまま係留先28を中心として回転することにより、ブレーキパッド62が回転軸63を中心に回転して係留先28に対して係脱される。ブレーキパッド62は、係留先の略円筒面に押し付けられるブレーキパッドの一例である。回転軸63、溝部64、及び突起部65は、ロック機構の回転に応じて、ブレーキパッドを係留先に略垂直に回転させることにより、ブレーキパッドを略円筒面に対して係脱自在に移動させるブレーキパッド移動部の一例である。
【0046】
即ち、図6及び図7では、係留切り替え部40が、係止板42を係留先25のねじ溝に係合させることで、アーム部22を任意の位置で停止させた。これに対し、図11及び図12では、係留切り替え部60が、ブレーキパッド62を係留先28の略円筒面に押し当てることで、アーム部22を任意の位置で停止させる。
【0047】
尚、動作切り替え部26の第2の変形例では、図6及び図7の係留切り替え部40を、図11の係留切り替え部60で置き換えたが、これには限らない。図6及び図7の移動切り替え部30を、図11と同様の構成を有する移動切り替え部で置き換えてもよい。但し、その場合、移動機構23は、図8のように円柱状ではなく、円柱の軸を中心として回転させた際に円柱の断面の半径が変化するような立体形状とする必要がある。
【0048】
[動作切り替え部の第3の変形例]
図13(a),(b)は、動作切り替え部26の第3の変形例を示す図である。図13(a),(b)は、動作切り替え部26の第3の変形例における係留切り替え部70を示す。図14は、動作切り替え部26の変形例ではないが、動作切り替え部26の第3の変形例における係留切り替え部70が係留する係留先29を示す図である。
【0049】
図13(a)に示すように、係留切り替え部70は、ウォームホイール71を備える。そして、このウォームホイール71がウォーム50(図6及び図7参照)と噛み合い、係留切り替え部70は、ウォーム50の回転に応じて、移動切り替え部30(図6及び図7参照)と逆方向に回転する。
【0050】
係留切り替え部70は、図14に示すように係留先29の略円筒面に摩擦部材77を介して押し当てられることで係留先29に係合可能なチャック爪72と、チャック爪72の半径方向への移動をガイドするガイド部73とを備えている。また、図13(a)には示していないが、係留切り替え部70は、図におけるウォームホイール71の手前側に、図13(b)のディスク74を備える。更に、ディスク74には溝部75が形成され、チャック爪72を係留先29に対して係脱させるためのチャック爪72に固定された突起部76が設けられている。つまり、突起部76が回転する際に溝部75に係合してチャック爪72の中心方向への変異位置が変化することにより、チャック爪72が係留先29に対して係脱される。チャック爪72は、係留先の略円筒面に押し付けられるチャック爪の一例である。突起部76は、チャック爪が固定された部材の一例である。ガイド部73及び溝部75は、ロック機構の回転に応じて、チャック爪が固定された部材の係留先の中心からの変位を変化させることにより、チャック爪を略円筒面に対して係脱自在に移動させるチャック爪移動部の一例である。
【0051】
即ち、図11及び図12では、係留切り替え部60が、回転軸63を中心にブレーキパッド62を回転させて係留先28に押し当てることで、アーム部22を任意の位置で停止させた。これに対し、図13及び図14では、係留切り替え部70が、突起部76を溝部75に沿って動かして突起部76に固定されたチャック爪72を係留先29に押し当てることで、アーム部22を任意の位置で停止させる。
【0052】
尚、動作切り替え部26の第3の変形例では、図6及び図7の係留切り替え部40を、図13(a),(b)の係留切り替え部70で置き換えたが、これには限らない。図6及び図7の移動切り替え部30を、図13(a),(b)と同様の構成を有する移動切り替え部で置き換えてもよい。但し、その場合、移動機構23は、図14のように円柱状ではなく、円柱の軸を中心として回転させた際に円柱の断面の半径が変化するような立体形状とする必要がある。
【0053】
[実施の形態の効果]
本実施の形態では、アーム部22内に第2モータ51が発生させる小さな動力による移動切り替え部30を設けた。これにより、大型モータを用いることによるマッサージ装置1の大型化を回避しつつ、左右1対のアーム部22の何れかを任意の位置で停止させることが可能となった。
また、本実施の形態では、左右1対のもみ玉21を独立して左右に移動できるようにした。これにより、もみ玉21の左右揺動機構と合わせることで、対象の筋肉に対して垂直に押すという整体として正しい施術が、従来不可能であった頸部の筋肉に対しても実施可能となった。その結果、頸部側面の筋肉群のマッサージでの副交感神経刺激によるリラックス効果が得られることとなった。
【符号の説明】
【0054】
1…マッサージ装置、20…マッサージ機構、21…もみ玉、22…アーム部、23…移動機構、24…第1モータ、25,28,29…係留先、26…動作切り替え部、27…ケース、30…移動切り替え部、40,60,70…係留切り替え部、50…ウォーム、51…第2モータ
図1
図2
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