(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131405
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】水門管理システム
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20240920BHJP
E02B 7/26 20060101ALI20240920BHJP
E02B 7/20 20060101ALI20240920BHJP
E02B 13/00 20060101ALI20240920BHJP
E02B 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01G25/00 501D
A01G25/00 501E
E02B7/26 101
E02B7/26 Z
E02B7/20 Z
E02B13/00
E02B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041643
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋佑
【テーマコード(参考)】
2D019
【Fターム(参考)】
2D019AA02
2D019AA45
2D019AA57
2D019AA58
2D019BA02
2D019BA21
(57)【要約】
【課題】自家発電した電力によって太陽光発電装置の発電量を補うことが可能な水門管理システムを提供する。
【解決手段】水田に接続される水路に設けられた水門を管理する水門管理システムは、前記水路に設けられた第1水門及び第2水門を備え、前記第1水門は、第1水車と、前記第1水門を通過する水流によって前記第1水車が水平軸線回りに回転するように、前記水路を流通させる第1ゲートと、前記第1水車が回転した場合に発電を行う第1発電機と、を備え、前記第2水門は、前記水路を遮断するための第2ゲートと、前記第2ゲートを上下させる第2ゲート駆動装置と、を備え、前記水門管理システムは、前記第2ゲート駆動装置の動作を制御する制御装置と、前記第1発電機が発電した電力を蓄電可能であり、前記制御装置に電力を供給する、バッテリーと、をさらに備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水田に接続される水路に設けられた水門を管理する水門管理システムであって、
前記水路に設けられた第1水門及び第2水門を備え、
前記第1水門は、
第1水車と、
前記第1水門を通過する水流によって前記第1水車が水平軸線回りに回転するように、前記水路を流通させる第1ゲートと、
前記第1水車が回転した場合に発電を行う第1発電機と、を備え、
前記第2水門は、
前記水路を遮断するための第2ゲートと、
前記第2ゲートを上下させる第2ゲート駆動装置と、を備え、
前記水門管理システムは、
前記第2ゲート駆動装置の動作を制御する制御装置と、
前記第1発電機が発電した電力を蓄電可能であり、前記制御装置に電力を供給する、バッテリーと、をさらに備える、
水門管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水門管理システムであって、
前記バッテリーの充電状態を検知する検知部を備える、
水門管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の水門管理システムであって、
前記第1ゲートは、前記第1水門に固定されており、
前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知された場合に、前記第2ゲートを上げるように前記第2ゲート駆動装置を制御する、
水門管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の水門管理システムであって、
前記第1水門は、前記第1ゲートを上下させる第1ゲート駆動装置を備え、
前記制御装置は、前記第1ゲート駆動装置の動作を制御し、
前記第1ゲートは、前記第1ゲートが下りた状態で前記水路を遮断し、前記第1ゲートが上がった状態で前記水路を流通させ、
前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知された場合に、
前記第1水門を通過する水流によって前記第1水車が前記水平軸線回りに回転する位置である発電位置まで前記第1ゲートを上げるように前記第1ゲート駆動装置を制御し、
前記第2ゲートを上げるように前記第2ゲート駆動装置を制御する、
水門管理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の水門管理システムであって、
前記第1水門よりも上流の前記水路の水位を計測する水位計を備え、
前記第1水門は、前記第1ゲートを上下させる第1ゲート駆動装置を備え、
前記制御装置は、前記第1ゲート駆動装置の動作を制御し、
前記第1ゲートは、前記第1ゲートが下りた状態で前記水路を遮断し、前記第1ゲートが上がった状態で前記水路を流通させ、
前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水位計によって計測された水位が、前記第1水門を通過する水流によって前記第1水車が前記水平軸線回りに回転する位置である発電位置における前記第1ゲートの下端の高さよりも高い場合に、
前記第2ゲートを下げるように前記第2ゲート駆動装置を制御し、
前記発電位置まで前記第1ゲートを上げるように前記第1ゲート駆動装置を制御する、
水門管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の水門管理システムであって、
前記水路に複数の前記第1水門を備え、
前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水位計によって計測された水位が、前記発電位置における前記第1ゲートの下端の高さよりも高い場合に、
前記第2ゲートを下げるように前記第2ゲート駆動装置を制御し、
前記水路において上流側に設けられた前記第1水門から、前記水路において下流側に設けられた前記第1水門の順に、それぞれの前記第1水門が備える前記第1ゲートを前記発電位置まで上げるように、それぞれの前記第1水門が備える前記第1ゲート駆動装置を制御する、
水門管理システム。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか一項に記載の水門管理システムであって、
前記第1水門及び前記第2水門は、前記水田と、前記水田の水位よりも高い水位を有する高位側水路と、を接続する導入水路に設けられている、
水門管理システム。
【請求項8】
請求項3から6のいずれか一項に記載の水門管理システムであって、
前記第1水門及び前記第2水門は、前記水田と、前記水田の水位よりも低い水位を有する低位側水路と、を接続する排出水路に設けられている、
水門管理システム。
【請求項9】
請求項4に記載の水門管理システムであって、
前記水田と、前記水田の水位よりも高い水位を有する高位側水路と、を接続する導入水路に設けられた前記第1水門である第1導入水門と、
前記導入水路に設けられた前記第2水門である第2導入水門と、
前記水田と、前記水田の水位よりも低い水位を有する低位側水路と、を接続する排出水路に設けられた前記第1水門である第1排出水門と、
前記排出水路に設けられた前記第2水門である第2排出水門と、を備え、
前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知された場合に、
前記発電位置まで前記第1導入水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1導入水門の前記第1ゲート駆動装置を制御し、
前記第2導入水門の前記第2ゲートを上げるように前記第2導入水門の前記第2ゲート駆動装置を制御し、
前記発電位置まで前記第1排出水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1排出水門の前記第1ゲート駆動装置を制御し、
前記第2排出水門の前記第2ゲートを上げるように前記第2排出水門の前記第2ゲート駆動装置を制御する、第3導入排出発電処理を実行する、
水門管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の水門管理システムであって、
前記水田の水温を計測する水田水温計を備え、
前記制御装置は、前記水田水温計が計測した水温が予め定められた範囲を外れている場合に、前記第3導入排出発電処理を実行する、
水門管理システム。
【請求項11】
請求項5に記載の水門管理システムであって、
前記水田と、前記水田の水位よりも高い水位を有する高位側水路と、を接続する導入水路に設けられた前記第1水門である第1導入水門と、
前記導入水路に設けられた前記第2水門である第2導入水門と、
前記水田と、前記水田の水位よりも低い水位を有する低位側水路と、を接続する排出水路に設けられた前記第1水門である第1排出水門と、
前記排出水路に設けられた前記第2水門である第2排出水門と、
前記水田の水位を計測する水田水位計と、を備え、
前記制御装置は、
前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水田水位計によって計測された前記水田の水位が、予め定められた水位よりも低い場合に、前記第2導入水門の前記第2ゲートを下げるように前記第2導入水門の前記第2ゲート駆動装置を制御し、前記発電位置まで前記第1導入水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1導入水門の前記第1ゲート駆動装置を制御し、
前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水田水位計によって計測された前記水田の水位が、予め定められた水位よりも高い場合に、前記第2排出水門の前記第2ゲートを下げるように前記第2排出水門の前記第2ゲート駆動装置を制御し、前記発電位置まで前記第1排出水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1排出水門の前記第1ゲート駆動装置を制御する、
第2導入排出発電処理を実行する、
水門管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の水門管理システムであって、
前記水田の水温を計測する水田水温計を備え、
前記制御装置は、前記水田水温計が計測した水温が予め定められた範囲内である場合に、前記第2導入排出発電処理を実行する、
水門管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水門管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、水田の水位や水温の調節が必要である場合に、水田の入水口または排水口に設けられた水門に対して開閉の指示を行う水門管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水田に接続される水路に設けられた水門を管理する水門管理システムでは、太陽光発電装置を用いて、水門管理システムを稼働させる電力を自家発電している。しかし、太陽光発電装置の発電量は、天候に依存しているため安定しない。そのため、水門管理システムを稼働させる電力を安定して自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置の発電量を補うことが可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、水門管理システムが提供される。この水門管理システムは、水田に接続される水路に設けられた水門を管理する水門管理システムであって、前記水路に設けられた第1水門及び第2水門を備え、前記第1水門は、第1水車と、前記第1水門を通過する水流によって前記第1水車が水平軸線回りに回転するように、前記水路を流通させる第1ゲートと、前記第1水車が回転した場合に発電を行う第1発電機と、を備え、前記第2水門は、前記水路を遮断するための第2ゲートと、前記第2ゲートを上下させる第2ゲート駆動装置と、を備え、前記水門管理システムは、前記第2ゲート駆動装置の動作を制御する制御装置と、前記第1発電機が発電した電力を蓄電可能であり、前記制御装置に電力を供給する、バッテリーと、をさらに備える、
この形態の水門管理システムによれば、第1水門を通過する水流によって第1水車が回転し、第1発電機が発電を行うことで、水門管理システムを稼働させる電力を自家発電できる。
(2)上記形態の水門管理システムにおいて、前記バッテリーの充電状態を検知する検知部を備えてもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態を検知することができる。
(3)上記形態の水門管理システムにおいて、前記第1ゲートは、前記第1水門に固定されており、前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知された場合に、前記第2ゲートを上げるように前記第2ゲート駆動装置を制御してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪い場合に、電力を自家発電して、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(4)上記形態の水門管理システムにおいて、前記第1水門は、前記第1ゲートを上下させる第1ゲート駆動装置を備え、前記制御装置は、前記第1ゲート駆動装置の動作を制御し、前記第1ゲートは、前記第1ゲートが下りた状態で前記水路を遮断し、前記第1ゲートが上がった状態で前記水路を流通させ、前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知された場合に、前記第1水門を通過する水流によって前記第1水車が前記水平軸線回りに回転する位置である発電位置まで前記第1ゲートを上げるように前記第1ゲート駆動装置を制御し、前記第2ゲートを上げるように前記第2ゲート駆動装置を制御してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪い場合に、電力を自家発電して、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(5)上記形態の水門管理システムにおいて、前記第1水門よりも上流の前記水路の水位を計測する水位計を備え、前記第1水門は、前記第1ゲートを上下させる第1ゲート駆動装置を備え、前記制御装置は、前記第1ゲート駆動装置の動作を制御し、前記第1ゲートは、前記第1ゲートが下りた状態で前記水路を遮断し、前記第1ゲートが上がった状態で前記水路を流通させ、前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水位計によって計測された水位が、前記第1水門を通過する水流によって前記第1水車が前記水平軸線回りに回転する位置である発電位置における前記第1ゲートの下端の高さよりも高い場合に、前記第2ゲートを下げるように前記第2ゲート駆動装置を制御し、前記発電位置まで前記第1ゲートを上げるように前記第1ゲート駆動装置を制御してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪く、水位計によって計測された水位が発電位置における第1ゲートの下端の高さよりも高い場合に、電力を自家発電して、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(6)上記形態の水門管理システムにおいて、前記水路に複数の前記第1水門を備え、前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水位計によって計測された水位が、前記発電位置における前記第1ゲートの下端の高さよりも高い場合に、前記第2ゲートを下げるように前記第2ゲート駆動装置を制御し、前記水路において上流側に設けられた前記第1水門から、前記水路において下流側に設けられた前記第1水門の順に、それぞれの前記第1水門が備える前記第1ゲートを前記発電位置まで上げるように、それぞれの前記第1水門が備える前記第1ゲート駆動装置を制御してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、水門管理システムが水路に1つの第1水門を備える場合と比べて、水門管理システムの発電量を増加させることができる。
(7)上記形態の水門管理システムにおいて、前記第1水門及び前記第2水門は、前記水田と、前記水田の水位よりも高い水位を有する高位側水路と、を接続する導入水路に設けられていてもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪い場合に、導入水路の水流を利用して電力を自家発電し、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(8)上記形態の水門管理システムにおいて、前記第1水門及び前記第2水門は、前記水田と、前記水田の水位よりも低い水位を有する低位側水路と、を接続する排出水路に設けられていてもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪い場合に、排出水路の水流を利用して電力を自家発電し、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(9)上記形態の水門管理システムにおいて、前記水田と、前記水田の水位よりも高い水位を有する高位側水路と、を接続する導入水路に設けられた前記第1水門である第1導入水門と、前記導入水路に設けられた前記第2水門である第2導入水門と、前記水田と、前記水田の水位よりも低い水位を有する低位側水路と、を接続する排出水路に設けられた前記第1水門である第1排出水門と、前記排出水路に設けられた前記第2水門である第2排出水門と、を備え、前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知された場合に、前記発電位置まで前記第1導入水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1導入水門の前記第1ゲート駆動装置を制御し、前記第2導入水門の前記第2ゲートを上げるように前記第2導入水門の前記第2ゲート駆動装置を制御し、前記発電位置まで前記第1排出水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1排出水門の前記第1ゲート駆動装置を制御し、前記第2排出水門の前記第2ゲートを上げるように前記第2排出水門の前記第2ゲート駆動装置を制御する、第3導入排出発電処理を実行してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪い場合に、電力を自家発電して、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(10)上記形態の水門管理システムにおいて、前記水田の水温を計測する水田水温計を備え、前記制御装置は、前記水田水温計が計測した水温が予め定められた範囲を外れている場合に、前記第3導入排出発電処理を実行してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪く、水田水温計が計測した水温が予め定められた範囲を外れている場合に、水田の水を入れ替えつつ、電力を自家発電して、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(11)上記形態の水門管理システムにおいて、前記水田と、前記水田の水位よりも高い水位を有する高位側水路と、を接続する導入水路に設けられた前記第1水門である第1導入水門と、前記導入水路に設けられた前記第2水門である第2導入水門と、前記水田と、前記水田の水位よりも低い水位を有する低位側水路と、を接続する排出水路に設けられた前記第1水門である第1排出水門と、前記排出水路に設けられた前記第2水門である第2排出水門と、前記水田の水位を計測する水田水位計と、を備え、前記制御装置は、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水田水位計によって計測された前記水田の水位が、予め定められた水位よりも低い場合に、前記第2導入水門の前記第2ゲートを下げるように前記第2導入水門の前記第2ゲート駆動装置を制御し、前記発電位置まで前記第1導入水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1導入水門の前記第1ゲート駆動装置を制御し、前記検知部によって前記バッテリーの充電状態が悪いことが検知され、かつ、前記水田水位計によって計測された前記水田の水位が、予め定められた水位よりも高い場合に、前記第2排出水門の前記第2ゲートを下げるように前記第2排出水門の前記第2ゲート駆動装置を制御し、前記発電位置まで前記第1排出水門の前記第1ゲートを上げるように前記第1排出水門の前記第1ゲート駆動装置を制御する、第2導入排出発電処理を実行してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪く、水位計によって計測された水位が発電位置における第1ゲートの下端の高さよりも高い場合に、電力を自家発電して、バッテリーの充電状態を改善することができる。
(12)上記形態の水門管理システムにおいて、前記水田の水温を計測する水田水温計を備え、前記制御装置は、前記水田水温計が計測した水温が予め定められた範囲内である場合に、前記第2導入排出発電処理を実行してもよい。
この形態の水門管理システムによれば、バッテリーの充電状態が悪く、水位計によって計測された水位が発電位置における第1ゲートの下端の高さよりも高い場合に、水田の水を入れ替えることなく、電力を自家発電して、バッテリーの充電状態を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1導入水門を水が通過する方向から見た、第1導入水門の裏面図。
【
図7】第1導入ゲート、第1導入水車、および、第2導入ゲートの位置を説明する模式図。
【
図12】第1排出ゲート、第1排出水車、および、第2排出ゲートの位置を説明する模式図。
【
図13】第1実施形態の第1変形例における第1導入水門の斜視図。
【
図14】第1実施形態の第2変形例における第1導入水門の斜視図。
【
図15】第1実施形態の第2変形例における第1導入水門の上面図。
【
図16】第2実施形態における導入水路および第1導入水門の側面図。
【
図18】第1導入ゲートと第2導入ゲートの間に水が溜まっていく様子を示す図。
【
図19】第2実施形態における、排出水路および第1排出水門の側面図。
【
図21】第1排出ゲートと第2排出ゲートの間に水が溜まっていく様子を示す図。
【
図23】第1導入ゲート、第1導入水車、および、第2導入ゲートの位置を説明する模式図。
【
図25】第1排出ゲート、第1排出水車、および、第2排出ゲートの位置を説明する模式図。
【
図26】第2実施形態の第1変形例における導入水路および第1導入水門の側面図。
【
図27】第2実施形態の第2変形例における第1導入水門の斜視図。
【
図28】第2実施形態の第2変形例における第1排出水門の斜視図。
【
図29】第2実施形態の第3変形例における第1導入水門の斜視図。
【
図30】第1導入ゲートが下ろされた状態を示す図。
【
図31】第1導入ゲートが上げられた状態を示す図。
【
図34】第4実施形態における導入水路を横から見た図。
【
図35】第4実施形態における第2導入発電処理の工程図。
【
図36】第4実施形態における排出水路を横から見た図。
【
図37】第4実施形態における第2排出発電処理の工程図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態(第1導入水門および第1排出水門が常に開いている形態):
図1は、水門管理システム10について説明する図である。水門管理システム10は、水田20に接続される水路に設けられた水門を管理する。本実施形態では、水門管理システム10は、水田20と高位側水路21を接続する導入水路22に設けられた水門、および、水田20と低位側水路23を接続する排出水路24に設けられた水門を管理する。ここで、高位側水路21は、水田20の水位より高い水位を有する水路であり、低位側水路23は、水田20の水位より低い水位を有する水路である。水田20には、高位側水路21から導入水路22を通して水が供給される。また、水田20に供給された水は、排出水路24を通して低位側水路23へ排出される。
図1には、導入水路22および排出水路24の、水の流れる方向が、白抜きの矢印で示されている。
【0009】
水門管理システム10は、導入水路22と、第1導入水門30と、第2導入水門40と、排出水路24と、第1排出水門50と、第2排出水門60と、制御装置70と、駆動回路71,72,73,74と、太陽光発電装置75と、AC/DC変換器80と、バッテリー85と、DC/AC変換器86と、検知部90と、水路水位計95と、水路水温計96と、水田水位計97と、水田水温計98と、を備える。
【0010】
導入水路22は、U字形状の断面を有するコンクリート製の溝である。コンクリート製の溝の内面が、狭義の導入水路22である。排出水路24は、U字形状の断面を有するコンクリート製の溝である。コンクリート製の溝の内面が、狭義の排出水路24である。第1導入水門30は、導入水路22に一体的に設けられている。第2導入水門40は、第1導入水門30と水田20との間に、導入水路22に一体的に設けられている。第1排出水門50は、排出水路24に一体的に設けられている。第2排出水門60は、第1排出水門50と低位側水路23との間に、排出水路24に一体的に設けられている。
【0011】
水路水位計95は、第1導入水門30よりも上流の水路の水位を計測する。すなわち、水路水位計95は、高位側水路21の水位を計測する。水路水位計95は、導入水路22において、第1導入水門30の上流側に設けられている。水路水位計95を、水位計とも呼ぶ。水路水温計96は、第1導入水門30よりも上流の水路の水温を計測する。すなわち、水路水温計96は、高位側水路21の水温を計測する。水路水温計96は、導入水路22において、第1導入水門30の上流側に設けられている。
【0012】
水田水位計97は、第1排出水門50よりも上流の水路の水位を計測する。水田水位計97は、排出水路24において、第1排出水門50の上流側に設けられている。第1排出水門50よりも上流の排出水路24の水位は、水田20の水位と等しいため、水田水位計97は、水田20の水位を計測する。水田水位計97を、水位計とも呼ぶ。水田水温計98は、水田20の水温を計測する。水田水温計98は、排出水路24において、第1排出水門50の上流側に設けられている。なお、本実施形態では、水門管理システム10は、水路水温計96および水田水温計98を備えなくてもよい。制御装置70、駆動回路71,72,73,74、太陽光発電装置75、AC/DC変換器80、バッテリー85、DC/AC変換器86、および、検知部90については後述する。
【0013】
図2は、第1導入水門30を水が通過する方向から見た、第1導入水門30の裏面図である。
図3は、第1導入水門30の斜視図である。
図3では、第1導入水門30を水が通過する方向が、白抜きの矢印で示されている。第1導入水門30は、一対の柱部材110と、第1導入ゲート120と、第1導入ゲート駆動装置130と、第1導入水車140と、第1導入発電機150と、を備える。第1導入水門30を、第1水門とも呼ぶ。
【0014】
柱部材110は、導入水路22を流れる水が第1導入水門30を通過する際に、一対の柱部材110の間を通過するように、導入水路22と一体的に作られる。
【0015】
第1導入ゲート120は、鉛直方向に移動可能となるように、一対の柱部材110の間に設けられている。以下では、鉛直方向のことを、上下方向とも呼ぶ。第1導入ゲート120は、第1導入水門30を通過する水流によって、第1導入水車140が水平軸線回りに回転するように、導入水路22を流通させる。第1導入ゲート120を、第1ゲートとも呼ぶ。
【0016】
第1導入ゲート駆動装置130は、第1導入ゲート120を上下させる装置である。第1導入ゲート駆動装置130は、例えば、サーボモータまたはステッピングモータと、ボールねじと、から構成される。本実施形態では、第1導入ゲート駆動装置130は、サーボモータ131と、カップリング132と、ねじ軸133と、エンコーダ134と、を備える。サーボモータ131は、一対の柱部材110を繋ぐように柱部材110の上部に固定されている梁部材111の上部に設けられている。ねじ軸133は、その外周にねじ山が形成された略円柱形状の部材である。ねじ軸133は、第1導入ゲート120の上端部に設けられたボールナット122に螺号している。カップリング132は、サーボモータ131の出力軸135とねじ軸133を連結している。カップリング132は、サーボモータ131の出力軸135の回転をねじ軸133に伝達する。サーボモータ131が回転することにより、第1導入ゲート120が上下に移動する。エンコーダ134は、第1導入ゲート120の位置を検知する。第1導入ゲート駆動装置130を、第1ゲート駆動装置とも呼ぶ。
【0017】
第1導入ゲート駆動装置130が第1導入ゲート120を上昇させることで、第1導入水門30が開かれる。また、第1導入ゲート駆動装置130が第1導入ゲート120を下降させることで、第1導入水門30が閉じられる。上述した水門の開閉とゲートの動作との関係は、後述する他の水門についても同様である。
【0018】
本実施形態では、第1導入ゲート120は、常に下ろされている。本実施形態では、第1導入ゲート120が下りた状態でも、第1導入ゲート120の下端と、狭義の導入水路22の底面が接触しない。本実施形態では、第1導入ゲート120が下りた状態で、第1導入ゲート120の下端と狭義の導入水路22の底面の間に存在する空間を、第1導入開口部121とも呼ぶ。導入水路22を流れる水は、第1導入ゲート120の下方、すなわち、第1導入開口部121を通過する。
【0019】
第1導入水車140は、第1導入水門30を通過する水流によって回転する。本実施形態では、第1導入水車140は、第1導入ゲート120の下方すなわち第1導入開口部121を通過する水流によって、その回転軸である第1導入水車回転軸141を中心として回転するように、第1導入ゲート120に設けられている。具体的には、第1導入水車140は、第1導入水車回転軸141が第1導入ゲート120の下縁と同じ高さになるように、第1導入ゲート120に設けられている。第1導入水車回転軸141の沿う方向は、水平面内で、第1導入ゲート120の下方を水が通過する方向に直交する方向である。すなわち、第1導入水車140は、水平軸線回りに回転する。第1導入水車140は、下方へ延びている一対のブラケット142によって、回転可能に、第1導入ゲート120の裏面に設置されている。第1導入水車140は、例えば、第1導入ゲート120の下方を通過した水流が第1導入水車140の下方の羽根に当たり、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転するように、第1導入ゲート120に設けられる。第1導入水車140を、第1水車とも呼ぶ。
【0020】
第1導入発電機150は、第1導入水車140が回転した場合に発電を行う。第1導入発電機150は、ブラケット142に固定され、第1導入水車140の第1導入水車回転軸141に接続されている。第1導入発電機150は、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転することで、発電を行う。本実施形態では、第1導入発電機150は、第1導入水車回転軸141が回転した場合に交流電流を生じさせるモータである。第1導入発電機150を、第1発電機とも呼ぶ。
【0021】
図4は、第2導入水門40の斜視図である。
図4では、第2導入水門40を水が通過する方向が、白抜きの矢印で示されている。第2導入水門40は、一対の柱部材110と、第2導入ゲート220と、第2導入ゲート駆動装置230と、を備える。第2導入水門40を、第2水門とも呼ぶ。
【0022】
柱部材110は、導入水路22を流れる水が第2導入水門40を通過する際に、一対の柱部材110の間を通過するように、導入水路22と一体的に作られる。
【0023】
第2導入ゲート220は、上下方向に移動可能となるように、一対の柱部材110の間に設けられている。第2導入ゲート220を、第2ゲートとも呼ぶ。
【0024】
第2導入ゲート駆動装置230は、第2導入ゲート220を上下させる装置である。第2導入ゲート駆動装置230の構成は、第1導入ゲート駆動装置130と同様である。第2導入ゲート駆動装置230を、第2ゲート駆動装置とも呼ぶ。
【0025】
第2導入水門40が開かれた状態では、導入水路22を流れる水は、第2導入ゲート220の下方を通過する。第2導入水門40が閉じられた状態では、導入水路22は、第2導入ゲート220によって遮断される。
【0026】
図5は、導入水路22を上方から見た図である。太陽光発電装置75は、太陽光を利用して電力を発電する装置である。太陽光発電装置75が発電した電力は、バッテリー85に蓄電される。
【0027】
AC/DC変換器80は、第1導入発電機150が生じさせた交流電流を直流電流に変換する。
【0028】
バッテリー85は、第1導入発電機150が発電した電力を蓄電可能に設けられている。バッテリー85には、AC/DC変換器80によって第1導入発電機150が生じさせた交流電流から変換された直流電流が供給される。これにより、バッテリー85は、第1導入発電機150が発電した電力を蓄電する。また、バッテリー85には、太陽光発電装置75によって発電された電力が蓄電される。バッテリー85は、制御装置70に、制御装置70が稼動するために必要な電力を供給する。
【0029】
DC/AC変換器86は、直流電流を交流電流に変換する。DC/AC変換器86は、バッテリー85の直流電流から変換した交流電流を、第1導入ゲート駆動装置130および第2導入ゲート駆動装置230に供給する。
【0030】
検知部90は、バッテリー85の充電状態を検知する。検知部90は、バッテリー85の充電率や、バッテリーチェッカーによって計測されたバッテリー85の電圧や内部抵抗などから、バッテリー85に充電されている電力の残量を検知する。なお、検知部90は、天候に関する情報を取得可能であってもよい。検知部90は、バッテリー85の充電状態が悪いことを検知した場合、その旨を表す信号を制御装置70に送信する。ここで、バッテリー85の充電状態が悪いとは、例えば、バッテリー85に充電されている電力の残量が予め定められた値を下回っている場合や、太陽光発電装置75の発電量が少ない場合、天候に関する情報から太陽光発電装置75の発電量が低下することが予想される場合などである。
【0031】
制御装置70は、第1導入ゲート駆動装置130および第2導入ゲート駆動装置230の動作を制御する。制御装置70は、位置制御可能なコントロールボードを有する。制御装置70は、第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を出力する。駆動回路71は、位置指令に応じた駆動電力を、第1導入ゲート駆動装置130のサーボモータ131に供給する。サーボモータ131は、駆動電力によって、第1導入ゲート120を予め定められた位置へ上下させる。第1導入ゲート120が予め定められた位置へ移動したことがエンコーダ134によって検知されると、制御装置70は、駆動回路71への位置指令を停止する。また、制御装置70は、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を出力する。駆動回路72は、位置指令に応じた駆動電力を、第2導入ゲート駆動装置230のサーボモータ131に供給する。サーボモータ131は、駆動電力によって、第2導入ゲート220を予め定められた位置へ上下させる。第2導入ゲート220が予め定められた位置へ移動したことがエンコーダ134によって検知されると、制御装置70は、駆動回路72への位置指令を停止する。
【0032】
(第1導入発電処理:第1実施形態および第2実施形態で実行可能)
図6は、第1導入発電処理の工程図である。第1導入発電処理は、高位側水路21から水田20に水を供給しつつ、第1導入水車140を用いて発電を行い、バッテリー85を充電させる処理である。第1導入発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水位計97によって計測された水田20の水位が、予め定められた水位よりも低い場合に実行される。第1導入発電処理は、後述する第1排出発電処理が実行され、水田20の水位が予め定められた水位よりも低くなった後に、第1排出発電処理と同時に実行されてもよい。
【0033】
ステップS10において、制御装置70は、第2導入ゲート220を上げるように、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。
【0034】
図7は、導入水路22を横から見た場合の、第1導入ゲート120、第1導入水車140、および、第2導入ゲート220の位置を説明する模式図である。
図7では、第1導入ゲート120が下ろされ、第2導入ゲート220が上げられた状態が示されている。この場合、導入水路22には、高位側水路21から、第1導入ゲート120の下方を通して水が流入する。第1導入ゲート120の下方を水が通過することで、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転し、第1導入発電機150が発電を行う。第1導入ゲート120の下方を通過して導入水路22に流入した水は、第2導入ゲート220の下方を通過し、水田20へ流入する。
【0035】
図6のステップS20において、制御装置70は、第2導入ゲート220を下ろすように、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。ステップS20は、第1導入発電機150が発電することにより、バッテリー85の充電状態が改善された場合に実行される。以上で説明したようにして、第1導入発電処理が実行される。
【0036】
図8は、第1排出水門50の斜視図である。
図8では、第1排出水門50を水が通過する方向が、白抜きの矢印で示されている。第1排出水門50は、一対の柱部材310と、第1排出ゲート320と、第1排出ゲート駆動装置330と、第1排出水車340と、第1排出発電機350と、を備える。第1排出水門50を、第1水門とも呼ぶ。
【0037】
柱部材310は、排出水路24を流れる水が第1排出水門50を通過する際に、一対の柱部材310の間を通過するように、排出水路24と一体的に作られる。
【0038】
第1排出ゲート320は、鉛直方向に移動可能となるように、一対の柱部材310の間に設けられている。第1排出ゲート320は、第1排出水門50を通過する水流によって、第1排出水車340が水平軸線回りに回転するように、排出水路24を流通させる。第1排出ゲート320を、第1ゲートとも呼ぶ。
【0039】
第1排出ゲート駆動装置330は、第1排出ゲート320を上下させる装置である。第1排出ゲート駆動装置330の構成は、第1導入ゲート駆動装置130と同様である。第1排出ゲート駆動装置330を、第1ゲート駆動装置とも呼ぶ。
【0040】
本実施形態では、第1排出ゲート320は、常に下ろされている。本実施形態では、第1排出ゲート320が下りた状態でも、第1排出ゲート320の下端と、狭義の排出水路24の底面が接触しない。本実施形態では、第1排出ゲート320が下りた状態で、第1排出ゲート320の下端と狭義の排出水路24の底面の間に存在する空間を、第1排出開口部321と呼ぶ。排出水路24を流れる水は、第1排出ゲート320の下方、すなわち、第1排出開口部321を通過する。
【0041】
第1排出水車340は、第1排出水門50を通過する水流によって回転する。本実施形態では、第1排出水車340は、第1排出ゲート320の下方すなわち第1排出開口部321を通過する水流によって、その回転軸である第1排出水車回転軸341を中心として回転するように、第1排出ゲート320に設けられている。具体的には、第1排出水車340は、第1排出水車回転軸341が第1排出ゲート320の下縁と同じ高さになるように、第1排出ゲート320に設けられている。第1排出水車回転軸341の沿う方向は、水平面内で、第1排出ゲート320の下方を水が通過する方向に直交する方向である。すなわち、第1排出水車340は、水平軸線回りに回転する。第1排出水車340は、下方へ延びている一対のブラケット342によって、回転可能に、第1排出ゲート320の裏面に設置されている。第1排出水車340は、例えば、第1排出ゲート320の下方を通過した水流が第1排出水車340の下方の羽根に当たり、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転するように、第1排出ゲート320に設けられる。第1排出水車340を、第1水車とも呼ぶ。
【0042】
第1排出発電機350は、第1排出水車340が回転した場合に発電を行う。第1排出発電機350は、ブラケット342に固定され、第1排出水車340の第1排出水車回転軸341に接続されている。第1排出発電機350は、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転することで、発電を行う。本実施形態では、第1排出発電機350は、第1排出水車回転軸341が回転した場合に交流電流を生じさせるモータである。第1排出発電機350を、第1発電機とも呼ぶ。
【0043】
図9は、第2排出水門60の斜視図である。
図9では、第2排出水門60を水が通過する方向が、白抜きの矢印で示されている。第2排出水門60は、一対の柱部材310と、第2排出ゲート420と、第2排出ゲート駆動装置430と、を備える。第2排出水門60を、第2水門とも呼ぶ。
【0044】
柱部材310は、排出水路24を流れる水が第2排出水門60を通過する際に、一対の柱部材310の間を通過するように、排出水路24と一体的に作られる。
【0045】
第2排出ゲート420は、上下方向に移動可能となるように、一対の柱部材310の間に設けられている。第2排出ゲート420を、第2ゲートとも呼ぶ。
【0046】
第2排出ゲート駆動装置430は、第2排出ゲート420を上下させる装置である。第2排出ゲート駆動装置430の構成は、第1排出ゲート駆動装置330と同様である。第2排出ゲート駆動装置430を、第2ゲート駆動装置とも呼ぶ。
【0047】
第2排出水門60が開かれた状態では、排出水路24を流れる水は、第2排出ゲート420の下方を通過する。第2排出水門60が閉じられた状態では、排出水路24は、第2排出ゲート420によって遮断される。
【0048】
図10は、排出水路24を上方から見た図である。AC/DC変換器80は、第1排出発電機350が生じさせた交流電流を直流電流に変換する。
【0049】
バッテリー85は、第1排出発電機350が発電した電力を蓄電可能に設けられている。バッテリー85には、AC/DC変換器80によって第1排出発電機350が生じさせた交流電流から変換された直流電流が供給される。これにより、バッテリー85は、第1排出発電機350が発電した電力を蓄電する。
【0050】
DC/AC変換器86は、バッテリー85の直流電流から変換した交流電流を、第1排出ゲート駆動装置330および第2排出ゲート駆動装置430に供給する。
【0051】
制御装置70は、第1導入ゲート駆動装置130および第2導入ゲート駆動装置230の動作に加えて、第1排出ゲート駆動装置330および第2排出ゲート駆動装置430の動作を制御する。制御装置70は、第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を出力する。駆動回路73は、位置指令に応じた駆動電力を、第1排出ゲート駆動装置330のサーボモータ131に供給する。サーボモータ131は、駆動電力によって、第1排出ゲート320を予め定められた位置へ上下させる。第1排出ゲート320が予め定められた位置へ移動したことがエンコーダ134によって検知されると、制御装置70は、駆動回路73への位置指令を停止する。また、制御装置70は、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を出力する。駆動回路74は、位置指令に応じた駆動電力を、第2排出ゲート駆動装置430のサーボモータ131に供給する。サーボモータ131は、駆動電力によって、第2排出ゲート420を予め定められた位置へ上下させる。第2排出ゲート420が予め定められた位置へ移動したことがエンコーダ134によって検知されると、制御装置70は、駆動回路74への位置指令を停止する。
【0052】
(第1排出発電処理:第1実施形態および第2実施形態で実行可能)
図11は、第1排出発電処理の工程図である。第1排出発電処理は、水田20から低位側水路23に水を流出させつつ、第1排出水車340を用いて発電を行い、バッテリー85を充電させる処理である。第1排出発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水位計97によって計測された水田20の水位が、予め定められた水位よりも高い場合に実行される。第1排出発電処理は、第1導入発電処理が実行され、水田20の水位が予め定められた水位よりも高くなった後に、第1導入発電処理と同時に実行されてもよい。
【0053】
ステップS110において、制御装置70は、第2排出ゲート420を上げるように、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。
【0054】
図12は、排出水路24を横から見た場合の、第1排出ゲート320、第1排出水車340、および、第2排出ゲート420の位置を説明する模式図である。
図12では、第1排出ゲート320が下ろされ、第2排出ゲート420が上げられた状態が示されている。この場合、排出水路24には、水田20から、第1排出ゲート320の下方を通して水が流入する。第1排出ゲート320の下方を水が通過することで、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転し、第1排出発電機350が発電を行う。第1排出ゲート320の下方を通過して排出水路24に流入した水は、第2排出ゲート420の下方を通過し、低位側水路23へ流出する。
【0055】
図11のステップS120において、制御装置70は、第2排出ゲート420を下ろすように、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。ステップS120は、第1排出発電機350が発電することにより、バッテリー85の充電状態が改善された場合に実行される。以上で説明したようにして、第1排出発電処理が実行される。
【0056】
以上で説明した第1実施形態における水門管理システム10によれば、検知部90がバッテリー85の充電状態が悪いことを検知した場合に、高位側水路21から水田20に水を供給しつつ第1導入水車140を用いて発電を行う、第1導入発電処理が実行される。第1導入発電処理では、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転し、第1導入発電機150が発電を行う。第1導入発電機150が発電した電力は、バッテリー85に蓄電される。
【0057】
また、本実施形態では、検知部90がバッテリー85の充電状態が悪いことを検知した場合に、水田20から低位側水路23に水を排出しつつ第1排出導入水車を用いて発電を行う、第1排出発電処理が実行される。第1排出発電処理では、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転し、第1排出発電機350が発電を行う。第1排出発電機350が発電した電力は、バッテリー85に蓄電される。
【0058】
以上のようにして、水門管理システム10は、導入水路22の水流、および、排出水路24の水流を利用して、電力を自家発電することで、制御装置70に電力を供給するバッテリー85の充電状態を改善できる。そのため、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0059】
B.第1実施形態の第1変形例(第1導入水門が第1導入ゲート駆動装置を備える例)
:
第1実施形態の第1変形例では、第1導入ゲート120および第1排出ゲート320の形状が、第1実施形態と異なる。第1導入ゲート120および第1排出ゲート以外の水門管理システム10の各部の構成は、第1実施形態と同じである。
【0060】
図13は、第1実施形態の第1変形例における第1導入水門30の斜視図である。第1実施形態の第1変形例では、第1導入ゲート120は、第1導入ゲート120が下りた状態で、導入水路22内で開口する、第1導入開口部121を有する。第1実施形態の第1変形例では、第1導入開口部121は、第1導入水門30を水が通過する方向に第1導入ゲート120を貫く穴である。第1導入開口部121は、第1導入ゲート120の下部に設けられていることが好ましい。
【0061】
第1実施形態の第1変形例では、第1導入ゲート120は、常に下ろされている。第1実施形態の第1変形例では、第1導入ゲート120が下りた状態で、第1導入ゲート120の下端と、狭義の導入水路22の底面が接触する。導入水路22を流れる水は、第1導入開口部121を通過する。
【0062】
第1導入水車140は、第1導入開口部121を通過する水流によって、第1導入水車回転軸141を中心として回転するように、第1導入ゲート120に設けられている。具体的には、第1導入水車140は、第1導入水車回転軸141が第1導入開口部121の上縁と同じ高さになり、第1導入水車140の下縁が第1導入開口部121の下縁と同じ高さになるように、第1導入ゲート120に設置されている。
【0063】
第1実施形態の第1変形例では、第1排出ゲート320は、
図13に示す第1導入ゲート120と同様に、第1排出ゲート320が下りた状態で、排出水路24内で開口する、第1排出開口部321を有する。第1実施形態の第1変形例では、第1排出開口部321は、第1排出水門50を水が通過する方向に第1排出ゲート320を貫く穴である。
【0064】
第1実施形態の第1変形例では、第1排出ゲート320は、常に下ろされている。第1実施形態の第1変形例では、第1排出ゲート320が下りた状態で、第1排出ゲート320の下端と、狭義の排出水路24の底面が接触する。排出水路24を流れる水は、第1排出開口部321を通過する。
【0065】
第1排出水車340は、第1排出開口部321を通過する水流によって、第1排出水車回転軸341を中心として回転するように、第1排出ゲート320に設けられている。具体的には、第1排出水車340は、第1排出水車回転軸341が第1排出開口部321の上縁と同じ高さになり、第1排出水車340の下縁が第1排出開口部321の下縁と同じ高さになるように、第1排出ゲート320に設置されている。
【0066】
以上で説明した第1実施形態の第1変形例における水門管理システム10によれば、第1導入発電処理において、第1導入開口部121を通過する水流によって、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転し、第1導入発電機150が発電を行う。また、第1排出発電処理において、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転し、第1排出発電機350が発電を行う。そのため、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0067】
C.第1実施形態の第2変形例(第1導入水門が第1導入ゲート駆動装置を備えない例)
:
第1実施形態の第2変形例では、第1導入水門30および第1排出水門50の構成が、第1実施形態と異なる。第1導入水門30および第1排出水門以外の水門管理システム10の各部の構成は、第1実施形態と同じである。
【0068】
図14は、第1実施形態の第2変形例における第1導入水門30の斜視図である。
図15は、第1実施形態の第2変形例における第1導入水門30の上面図である。第1導入水門30は、柱部材110と、第1導入ゲート120と、第1導入水車140と、第1導入発電機150と、ベアリングホルダ143と、を備える。
【0069】
第1導入ゲート120は、第1導入ゲート120の下端と狭義の導入水路22の底面が接触しない状態で、柱部材110に固定されている。第1実施形態の第2変形例では、第1導入ゲート120の下端と狭義の導入水路22の底面の間に存在する空間を、第1導入開口部121とも呼ぶ。導入水路22を流れる水は、第1導入ゲート120の下方、すなわち、第1導入開口部121を通過する。
【0070】
第1導入水車140は、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車回転軸141を中心として回転するように、第1導入ゲート120に設けられている。具体的には、第1導入水車140は、第1導入水車回転軸141が第1導入ゲート120の下縁と同じ高さになるように、第1導入ゲート120に設けられている。第1導入水車140は、水平方向へ延びている一対のブラケット142によって、回転可能に、柱部材110に設置されている。ベアリングホルダ143は、第1導入水車回転軸141を支持するベアリングを、内部に収容している。
【0071】
第1実施形態の第2変形例では、第1排出水門50は、
図14および
図15に示す第1導入水門30と同様に構成されている。
【0072】
第1排出ゲート320は、第1排出ゲート320の下端と狭義の排出水路24の底面が接触しない状態で、柱部材310に固定されている。第1実施形態の第2変形例では、第1排出ゲート320の下端と狭義の排出水路24の底面の間に存在する空間を、第1排出開口部321とも呼ぶ。排出水路24を流れる水は、第1排出ゲート320の下方、すなわち、第1排出開口部321を通過する。
【0073】
第1排出水車340は、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって、第1排出水車回転軸341を中心として回転するように、第1排出ゲート320に設けられている。具体的には、第1排出水車340は、第1排出水車回転軸341が第1排出ゲート320の下縁と同じ高さになるように、第1排出ゲート320に設けられている。第1排出水車340は、水平方向へ延びている一対のブラケット342によって、回転可能に、柱部材310に設置されている。
【0074】
以上で説明した第1実施形態の第2変形例における水門管理システム10によれば、第1実施形態における水門管理システム10と同様にして、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0075】
D.第2実施形態(第1導入水門および第1排出水門を閉じることができる形態):
第2実施形態では、導入水路22および排出水路24の構成が第1実施形態と異なる。上述した各部以外の水門管理システム10の構成は、第1実施形態における水門管理システム10と同じである。
【0076】
図16は、第2実施形態における、導入水路22および第1導入水門30の側面図である。本実施形態では、導入水路22には、第1導入ゲート120の下方に位置する部分に、上方に突出する堰26が設けられている。
図16には、第1導入ゲート120が下ろされた状態が示されている。本実施形態では、第1導入ゲート120が下りた状態で、第1導入ゲート120の下端と、堰26の上面が接触する。第1導入ゲート120が下ろされた状態では、導入水路22は、第1導入ゲート120によって遮断される。第1導入ゲート120が上げられた状態では、導入水路22を流れる水は、第1導入ゲート120の下方を通過する。本実施形態では、第1導入ゲート120が上がった状態で、第1導入ゲート120の下端と堰26の上面の間に存在する空間を、第1導入開口部121とも呼ぶ。また、以下では、第1導入水門30を通過する水流によって第1導入水車140が第1導入水車回転軸回りに回転する第1導入ゲート120の位置を、発電位置とも呼ぶ。
【0077】
(第2導入発電処理:第2実施形態で実行可能、水田の水温が予め定められた範囲内)
図17は、第2導入発電処理の工程図である。第2導入発電処理は、第1導入水門30と第2導入水門40の間に水を溜めつつ、第1導入水車140を用いて発電を行い、バッテリー85を充電させる処理である。第2導入発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲内であり、かつ、水路水位計95によって計測された第1導入水門30よりも上流の水路の水位が、発電位置における第1導入ゲート120の下端の高さよりも高い場合に、実行される。ここで、水田20の水温が予め定められた範囲内であるとは、水田20の水温が適切であり、水田20の水を入れ替える必要がないことを意味する。
【0078】
ステップS210において、制御装置70は、第1導入ゲート120を下げるように、第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。なお、第1導入ゲート120が既に下がっている場合は、ステップS210は実行されなくてもよい。
【0079】
ステップS220において、制御装置70は、第2導入ゲート220を上げるように、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。第2導入ゲート220が上げられると、第1導入水門30と第2導入水門40の間に貯留されていた水が水田20に流出する。なお、第2導入ゲート220が既に上がっている場合は、ステップS220は実行されなくてもよい。
【0080】
ステップS230において、制御装置70は、第2導入ゲート220を下げるように、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。
【0081】
ステップS240において、制御装置70は、第1導入ゲート120を発電位置まで上げるように、第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。このとき、第1導入ゲート120は、第1導入水車140の下縁の高さが、堰26の上縁と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0082】
図18は、
図17のステップS240で第1導入ゲート120が上げられた後に、第1導入ゲート120と第2導入ゲート220の間に水が溜まっていく様子を示す図である。第1導入ゲート120が上げられてから時間が経過し、第1導入ゲート120と第2導入ゲート220の間の導入水路22の水位が、高位側水路21の水位と同じ高さになると、第1導入ゲート120の下方を水が通過しなくなる。そのため、第1導入水車140の回転が停止し、第1導入発電機150による発電が停止する。以上で説明したようにして、第2導入発電処理が実行される。
【0083】
図19は、第2実施形態における、排出水路24および第1排出水門50の側面図である。本実施形態では、排出水路24には、第1排出ゲート320の下方に位置する部分に、上方に突出する堰26が設けられている。
図19には、第1排出ゲート320が下ろされた状態が示されている。本実施形態では、第1排出ゲート320が下りた状態で、第1排出ゲート320の下端と、堰26の上面が接触する。第1排出ゲート320が下ろされた状態では、排出水路24は、第1排出ゲート320によって遮断される。第1排出ゲート320が上げられた状態では、排出水路24を流れる水は、第1排出ゲート320の下方を通過する。以下では、第1排出水門50を通過する水流によって第1排出水車340が第1排出水車回転軸回りに回転する第1排出ゲート320の位置を、発電位置とも呼ぶ。
【0084】
(第2排出発電処理:第2実施形態で実行可能、水田の水温が予め定められた範囲内)
図20は、第2排出発電処理の工程図である。第2排出発電処理は、第1排出水門50と第2排出水門60の間に水を溜めつつ、第1排出水車340を用いて発電を行い、バッテリー85を充電させる処理である。第2排出発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲内であり、かつ、水田水位計97によって計測された水田20の水位が、発電位置における第1排出ゲート320の下端の高さよりも高い場合に、実行される。第2排出発電処理は、第2導入発電処理と別々に実行される。
【0085】
ステップS310において、制御装置70は、第1排出ゲート320を下げるように、第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。なお、第1排出ゲート320が既に下がっている場合は、ステップS310は実行されなくてもよい。
【0086】
ステップS320において、制御装置70は、第2排出ゲート420を上げるように、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。第2排出ゲート420が上げられると、第1排出水門50と第2排出水門60の間に貯留されていた水が低位側水路23に流出する。なお、第2排出ゲート420が既に上がっている場合は、ステップS320は実行されなくてもよい。
【0087】
ステップS330において、制御装置70は、第2排出ゲート420を下げるように、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。
【0088】
ステップS340において、制御装置70は、第1排出ゲート320を発電位置まで上げるように、第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。このとき、第1排出ゲート320は、第1排出水車340の下縁の高さが、堰26の上縁と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0089】
図21は、
図20のステップS340で第1排出ゲート320が上げられた後に、第1排出ゲート320と第2排出ゲート420の間に水が溜まっていく様子を示す図である。第1排出ゲート320が上げられてから時間が経過し、第1排出ゲート320と第2排出ゲート420の間の排出水路24の水位が、水田20の水位と同じ高さになると、第1排出ゲート320の下方を水が通過しなくなる。そのため、第1排出水車340の回転が停止し、第1排出発電機350による発電が停止する。以上で説明したようにして、第2排出発電処理が実行される。なお、
図21に示すように、排出水路24の堰26の上縁の高さは、水田20の水が抜けるように、水田20の底よりも低いことが好ましい。
【0090】
(第3導入発電処理:第2実施形態で実行可能、水田の水温が予め定められた範囲外)
図22は、第3導入発電処理の工程図である。第3導入発電処理は、高位側水路21から水田20に水を供給しつつ、第1導入水車140を用いて発電を行い、バッテリー85を充電させる処理である。第3導入発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲を外れている場合に、実行される。ここで、水田20の水温が予め定められた範囲を外れているとは、水田20の水温が適切ではなく、水田20の水を入れ替える必要があることを意味する。
【0091】
ステップS410において、制御装置70は、第1導入ゲート120を下げるように、第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。なお、第1導入ゲート120が既に下がっている場合は、ステップS410は実行されなくてもよい。
【0092】
ステップS420において、制御装置70は、第2導入ゲート220を上げるように、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。第2導入ゲート220が上げられると、第1導入水門30と第2導入水門40の間に貯留されていた水が水田20に流出する。なお、第2導入ゲート220が既に上がっている場合は、ステップS420は実行されなくてもよい。
【0093】
ステップS430において、制御装置70は、第1導入ゲート120を発電位置まで上げるように、第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。このとき、第1導入ゲート120は、第1導入水車140の下縁の高さが、堰26の上縁と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0094】
図23は、導入水路22を横から見た場合の、第1導入ゲート120、第1導入水車140、および、第2導入ゲート220の位置を説明する模式図である。
図23では、第1導入ゲート120および第2導入ゲート220が上げられた状態が示されている。この場合、導入水路22には、高位側水路21から、第1導入ゲート120の下方を通して水が流入する。第1導入ゲート120の下方を水が通過することで、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転し、第1導入発電機150が発電を行う。第1導入ゲート120の下方を通過して導入水路22に流入した水は、第2導入ゲート220の下方を通過し、水田20へ流入する。以上で説明したようにして、第3導入発電処理が実行される。
【0095】
(第3排出発電処理:第2実施形態で実行可能、水田の水温が予め定められた範囲外)
図24は、第3排出発電処理の工程図である。第3排出発電処理は、水田20から低位側水路23に水を排出しつつ、第1排出水車340を用いて発電を行い、バッテリー85を充電させる処理である。第3排出発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲を外れている場合に、実行される。第3排出発電処理は、第3導入発電処理と同時に実行される。
【0096】
ステップS510において、制御装置70は、第1排出ゲート320を下げるように、第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。なお、第1排出ゲート320が既に下がっている場合は、ステップS510は実行されなくてもよい。
【0097】
ステップS520において、制御装置70は、第2排出ゲート420を上げるように、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。第2排出ゲート420が上げられると、第1排出水門50と第2排出水門60の間に貯留されていた水が低位側水路23に流出する。なお、第2排出ゲート420が既に上がっている場合は、ステップS520は実行されなくてもよい。
【0098】
ステップS530において、制御装置70は、第1排出ゲート320を発電位置まで上げるように、第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。このとき、第1排出ゲート320は、第1排出水車340の下縁の高さが、堰26の上縁と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0099】
図25は、排出水路24を横から見た場合の、第1排出ゲート320、第1排出水車340、および、第2排出ゲート420の位置を説明する模式図である。
図25では、第1排出ゲート320および第2排出ゲート420が上げられた状態が示されている。この場合、排出水路24には、水田20から、第1排出ゲート320の下方を通して水が流入する。第1排出ゲート320の下方を水が通過することで、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転し、第1排出発電機350が発電を行う。第1排出ゲート320の下方を通過して排出水路24に流入した水は、第2導入ゲート220の下方を通過し、低位側水路23へ流出する。以上で説明したようにして、第3排出発電処理が実行される。
【0100】
以上で説明した第2実施形態における水門管理システム10によれば、検知部90がバッテリー85の充電状態が悪いことを検知した場合に、水田20の水温の計測値と、高位側水路21または水田20の水位の計測値によって、第2導入発電処理、第2排出発電処理、第3導入発電処理、第3排出発電処理のいずれかが実行される。第2導入発電処理および第3導入発電処理では、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転し、第1導入発電機150が発電を行う。第1導入発電機150が発電した電力は、バッテリー85に蓄電される。第2排出発電処理および第3排出発電処理では、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転し、第1排出発電機350が発電を行う。第1排出発電機350が発電した電力は、バッテリー85に蓄電される。
【0101】
以上のようにして、水門管理システム10は、導入水路22の水流、および、排出水路24の水流を利用して、電力を自家発電することで、制御装置70に電力を供給するバッテリー85の充電状態を改善できる。そのため、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0102】
また、本実施形態では、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲を外れている場合に、第3導入発電処理または第3排出発電処理が実行される。そのため、水田20の水温が予め定められた範囲を外れている場合に、水田20の水を入れ替えることができる。
【0103】
E.第2実施形態の第1変形例:
第2実施形態の第1変形例では、導入水路22および排出水路24の構成が第2実施形態と異なる。導入水路22および排出水路以外の水門管理システム10の各部の構成は、第2実施形態における水門管理システム10と同じである。
【0104】
図26は、第2実施形態の第1変形例における、導入水路22および第1導入水門30の側面図である。第2実施形態の第1変形例では、導入水路22には、第1導入水車140の下方に位置する部分に、溝部27が設けられている。溝部27は、第1導入ゲート120が下ろされた場合に、第1導入水車140を収容可能に設けられている。
図26には、第1導入ゲート120が下ろされた状態が示されている。第2実施形態の第1変形例では、第1導入ゲート120が下りた状態で、第1導入ゲート120の下端と、狭義の導入水路22の底面が接触する。第1導入ゲート120が下ろされた状態では、導入水路22は、第1導入ゲート120によって遮断される。第1導入ゲート120が上げられた状態では、導入水路22を流れる水は、第1導入ゲート120の下方を通過する。第2実施形態の第1変形例では、第1導入ゲート120が上がった状態で、第1導入ゲート120の下端と狭義の導入水路22の底面の間に存在する空間を、第1導入開口部121とも呼ぶ。
【0105】
排出水路24には、
図26に示す導入水路22と同様に、第1排出水車340の下方に位置する部分に、溝部27が設けられている。溝部27は、第1排出ゲート320が下ろされた場合に、第1排出水車340を収容可能に設けられている。第2実施形態の第1変形例では、第1排出ゲート320が下りた状態で、第1排出ゲート320の下端と、狭義の排出水路24の底面が接触する。第1排出ゲート320が下ろされた状態では、排出水路24は、第1排出ゲート320によって遮断される。第1排出ゲート320が上げられた状態では、排出水路24を流れる水は、第1排出ゲート320の下方を通過する。第2実施形態の第1変形例では、第1排出ゲート320が上がった状態で、第1排出ゲート320の下端と狭義の排出水路24の底面の間に存在する空間を、第1排出開口部321とも呼ぶ。
【0106】
第2実施形態の第1変形例では、
図17に示す第2導入発電処理のステップS240において、第1導入ゲート120は、第1導入水車140の下縁の高さが、溝部27の上端と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0107】
第2実施形態の第1変形例では、
図20に示す第2排出発電処理のステップS340において、第1排出ゲート320は、第1排出水車340の下縁の高さが、溝部27の上端と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0108】
第2実施形態の第1変形例では、
図22に示す第3導入発電処理のステップS430において、第1導入ゲート120は、第1導入水車140の下縁の高さが、溝部27の上端と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0109】
第2実施形態の第1変形例では、
図24に示す第3排出発電処理のステップS530において、第1排出ゲート320は、第1排出水車340の下縁の高さが、溝部27の上端と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0110】
以上で説明した第2実施形態の第1変形例における水門管理システム10によれば、第2実施形態における水門管理システム10と同様にして、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0111】
F.第2実施形態の第2変形例:
第2実施形態の第2変形例では、導入水路22、排出水路24、第1導入水門30、および第1排出水門50の構成が、第2実施形態と異なる。導入水路22、排出水路24、第1導入水門30、および第1排出水門以外の水門管理システム10の各部の構成は、第2実施形態における水門管理システム10と同じである。
【0112】
第2実施形態の第2変形例では、導入水路22および排出水路24の形状は、第1実施形態と同じである。すなわち、導入水路22および排出水路24には、堰26と溝部27のいずれも設けられていない。
【0113】
図27は、第2実施形態の第2変形例における第1導入水門30の斜視図である。第1導入水門30は、一対の柱部材110と、第1導入ゲート120と、第1導入ゲート駆動装置130と、第1導入水車140と、第1導入発電機150と、ベアリングホルダ143と、を備える。
【0114】
第1導入ゲート120は、鉛直方向に移動可能となるように、一対の柱部材110の間に設けられている。第1導入ゲート120は、第1導入ゲート120が下りた状態で導入水路22を遮断し、第1導入ゲート120が上がった状態で第1導入ゲート120の下方を水が通過するように設けられている。
【0115】
第1導入水車140は、第1導入ゲート120が上がっている場合に、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車回転軸141を中心として回転するように、柱部材110に設けられている。具体的には、第1導入水車140は、第1導入ゲート120が上がった状態で、第1導入水車回転軸141が第1導入ゲート120の下縁と同じ高さになり、第1導入水車140の下縁が狭義の導入水路22の底面よりも少し高くなるように、柱部材110に設けられている。第1導入水車140は、水平方向へ延びている一対のブラケット142によって、回転可能に、柱部材110に設置されている。
【0116】
第2実施形態の第2変形例では、
図17に示す第2導入発電処理のステップS240において、第1導入ゲート120は、第1導入ゲート120の下縁の高さが、第1導入水車回転軸141と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0117】
第2実施形態の第2変形例では、
図22に示す第3導入発電処理のステップS430において、第1導入ゲート120は、第1導入ゲート120の下縁の高さが、第1導入水車回転軸141と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0118】
図28は、第2実施形態の第2変形例における第1排出水門50の斜視図である。第1排出水門50は、一対の柱部材110と、第1排出ゲート320と、第1排出ゲート駆動装置330と、第1排出水車340と、第1排出発電機350と、ベアリングホルダ343と、を備える。
【0119】
第1排出ゲート320は、鉛直方向に移動可能となるように、一対の柱部材310の間に設けられている。第1排出ゲート320は、第1排出ゲート320が下りた状態で排出水路24を遮断し、第1排出ゲート320が上がった状態で第1排出ゲート320の下方を水が通過するように設けられている。
【0120】
第1排出水車340は、第1排出ゲート320が上がっている場合に、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって、第1排出水車回転軸341を中心として回転するように、柱部材310に設けられている。具体的には、第1排出水車340は、第1排出ゲート320が上がった状態で、第1排出水車回転軸341が第1排出ゲート320の下縁と同じ高さになり、第1排出水車340の下縁が狭義の排出水路24の底面よりも少し高くなるように、柱部材310に設けられている。第1排出水車340は、水平方向へ延びている一対のブラケット342によって、回転可能に、柱部材110に設置されている。ベアリングホルダ343は、第1排出回転軸を支持するベアリングを、内部に収容している。
【0121】
第2実施形態の第2変形例では、
図20に示す第2排出発電処理のステップS340において、第1排出ゲート320は、第1排出ゲート320の下縁の高さが、第1排出水車回転軸341と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0122】
第2実施形態の第2変形例では、
図24に示す第3排出発電処理のステップS530において、第1排出ゲート320は、第1排出ゲート320の下縁の高さが、第1排出水車回転軸341と同程度の高さになる位置まで上げられることが好ましい。
【0123】
以上で説明した第2実施形態の第2変形例における水門管理システム10によれば、第2実施形態における水門管理システム10と同様にして、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0124】
G.第2実施形態の第3変形例:
第2実施形態の第3変形例では、導入水路22、排出水路24、第1導入水門30、および第1排出水門50の構成が、第2実施形態と異なる。導入水路22、排出水路24、第1導入水門30、および第1排出水門以外の水門管理システム10の各部の構成は、第2実施形態における水門管理システム10と同じである。
【0125】
第2実施形態の第3変形例では、導入水路22および排出水路24の形状は、第1実施形態と同じである。すなわち、導入水路22および排出水路24には、堰26と溝部27のいずれも設けられていない。
【0126】
図29は、第2実施形態の第3変形例における第1導入水門30の斜視図である。
図29では、第1導入水門30を水が通過する方向が、白抜きの矢印で示されている。第1導入水門30は、一対の柱部材110と、第1導入ゲート120と、第1導入ゲート駆動装置130と、第1導入水車140と、第1導入発電機150と、水車連結部材942と、を備える。
【0127】
第1導入ゲート120は、鉛直方向に移動可能となるように、一対の柱部材110の間に設けられている。第1導入ゲート120は、第1導入ゲート120が下りた状態で導入水路22を遮断し、第1導入ゲート120が上がった状態で第1導入ゲート120の下方を水が通過するように設けられている。
【0128】
第1導入水車140は、水車連結部材942によって、第1導入ゲート120に連結されている。水車連結部材942の上端は、ピン943によって、第1導入ゲート120の裏面に連結されている。水車連結部材942は、ピン943の軸線である軸線AXを中心として回転可能に設けられている。軸線AXの沿う方向は、水平面内で、第1導入水門30を水が通過する方向に直交する方向である。水車連結部材942の下端は、第1導入水車140に固定されている。
【0129】
第1導入水車140は、第1導入ゲート120が上がっている場合に、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車回転軸141を中心として回転するように設けられている。
【0130】
図30および
図31は、導入水路22を横から見た図である。以下では、
図30および
図31を用いて、第1導入ゲート120が上下した場合の第1導入水車140の位置を説明する。
【0131】
図30は、第1導入ゲート120が下ろされた状態を示す図である。第1導入ゲート120が下ろされた状態では、導入水路22は、第1導入ゲート120によって遮断される。このとき、第1導入水車140は、導入水路22の底に接触しており、回転しない。
【0132】
第1導入ゲート120には、伸縮部材944が設けられている。伸縮部材944は、その一端が第1導入ゲート120の裏面に固定されており、その他端が水車連結部材942に固定されている。伸縮部材944は、第1導入ゲート120が上げられた場合に、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車140が回転できない位置まで移動することを防ぐために設けられている。伸縮部材944は、例えば、引張ばねである。また、第1導入ゲート120の裏面には、ストッパ945が設けられている。ストッパ945は、第1導入ゲート120の裏面において、伸縮部材944の上方に固定されている。ストッパ945は、第1導入ゲート120が上げられた場合に、第1導入ゲート120と第1導入水車140が接触することを防ぐために設けられている。なお、水車連結部材942の下端には、重り946が、第1導入水車回転軸141回りに回転可能となるように取り付けられていてもよい。水車連結部材942に重り946が取り付けられている場合、第1導入ゲート120には、伸縮部材944が設けられていなくてもよい。
【0133】
図31は、第1導入ゲート120が上げられた状態を示す図である。この状態では、第1導入水車140は、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車回転軸141を中心として回転する。第1導入ゲート120が上げられた状態では、水車連結部材942は、ストッパ945に接触する。
【0134】
第2実施形態の第3変形例では、第1排出水門50は、
図29に示す第1導入水門30と同様に構成される。第1排出ゲート320は、第1排出ゲート320が下りた状態で排出水路24を遮断し、第1排出ゲート320が上がった状態で第1排出ゲート320の下方を水が通過するように設けられる。第1排出水車340は、第1導入水車140と同様に、水車連結部材942によって、第1排出ゲート320の裏面に連結される。第1排出水車340は、第1排出ゲート320が上がっている場合に、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって、第1排出水車回転軸341を中心として回転するように設けられる。
【0135】
以上で説明した第2実施形態の第3変形例における水門管理システム10によれば、第2実施形態における水門管理システム10と同様にして、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0136】
H.第3実施形態(第2導入排出発電処理と第3導入排出発電処理を実行):
第3実施形態における水門管理システム10の構成は、第2実施形態およびその第1変形例から第3変形例のいずれかの水門管理システム10の構成と同じである。
【0137】
(第2導入排出発電処理:水田の水温が予め定められた範囲内)
図32は、第2導入排出発電処理の工程図である。第2導入排出発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲内であり、かつ、水路水位計95によって計測された第1導入水門30よりも上流の水路の水位が、発電位置における第1導入ゲート120の下端の高さよりも高く、かつ、水田水位計97によって計測された水田20の水位が、発電位置における第1排出ゲート320の下端の高さよりも高い場合に、実行される。
【0138】
ステップS610において、制御装置70は、水田水位計97によって計測された水田20の水位が、予め定められた水位よりも高いか否かを判定する。水田20の水位が予め定められた水位よりも高いと判定された場合、ステップS620において、
図20に示す第2排出発電処理が実行される。水田20の水位が予め定められた水位よりも低いと判定された場合、ステップS630において、
図17に示す第2導入発電処理が実行される。
【0139】
(第3導入排出発電処理:水田の水温が予め定められた範囲外)
図33は、第3導入排出発電処理の工程図である。第3導入排出発電処理は、高位側水路21から水田20に水を供給しつつ、第1導入水車140を用いて発電を行うと同時に、水田20から低位側水路23に水を排出しつつ、第1排出水車340を用いて発電を行い、バッテリー85を充電させる処理である。第3導入排出発電処理は、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲を外れている場合に、実行される。なお、
図22に示す第3導入発電処理、および、
図24に示す第3排出発電処理と同様の処理が実行される部分については、同一の符号を付記し、説明を省略する。
【0140】
ステップS430で第1導入ゲート120が発電位置まで上げられ、ステップS420で第2導入ゲート220が上げられることで、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって第1導入水車140が回転し、第1導入発電機150が発電を行う。第1導入ゲート120および第2導入ゲート220が上げられることで、高位側水路21から導入水路22を通して水田20に水が供給される。
【0141】
ステップS530で第1排出ゲート320が発電位置まで上げられ、ステップS420で第2排出ゲート420が上げられることで、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって第1排出水車340が回転し、第1排出発電機350が発電を行う。第1排出ゲート320および第2排出ゲート420が上げられることで、水田20の水が排出水路24を通して低位側水路23へ排出される。
【0142】
以上で説明した第3実施形態における水門管理システム10によれば、検知部90がバッテリー85の充電状態が悪いことを検知した場合に、水田20の水温の計測値と、高位側水路21または水田20の水位の計測値によって、第2導入排出発電処理または第3導入排出発電処理が実行される。第2導入排出発電処理および第3導入排出発電処理では、第1導入ゲート120の下方を通過する水流によって、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転し、第1導入発電機150が発電を行う。第1導入発電機150が発電した電力は、バッテリー85に蓄電される。また、第2導入排出発電処理および第3導入排出発電処理では、第1排出ゲート320の下方を通過する水流によって、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転し、第1排出発電機350が発電を行う。第1排出発電機350が発電した電力は、バッテリー85に蓄電される。
【0143】
以上のようにして、水門管理システム10は、導入水路22の水流、および、排出水路24の水流を利用して、電力を自家発電することで、制御装置70に電力を供給するバッテリー85の充電状態を改善できる。そのため、水門管理システム10を稼働させる電力を自家発電することができ、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量を補うことができる。
【0144】
また、本実施形態では、検知部90によってバッテリー85の充電状態が悪いことが検知され、かつ、水田水温計98によって計測された水田20の水温が予め定められた範囲を外れている場合に、第3導入排出発電処理が実行される。そのため、水田20の水温が予め定められた範囲を外れている場合に、水田20の水を入れ替えることができる。
【0145】
I.第4実施形態(複数の第1導入水門および複数の第1排出水門を備える形態):
第2実施形態およびその第1変形例から第3変形例では、水門管理システム10は、導入水路22に1つの第1導入水門30を備える。これに対して、第4実施形態では、水門管理システム10は、導入水路22に複数の第1導入水門30を備える。また、第2実施形態およびその第1変形例から第3変形例では、水門管理システム10は、排出水路24に1つの第1排出水門50を備える。これに対して、第4実施形態では、水門管理システム10は、排出水路24に複数の第1排出水門50を備える。
【0146】
図34は、第4実施形態における導入水路22を横から見た図である。複数の第1導入水門30は、第2導入水門40よりも高位側水路21に近い側に設けられる。
【0147】
図35は、第4実施形態における第2導入発電処理の工程図である。ステップS710において、制御装置70は、最も上流側に位置する第1導入水門30が備える第1導入ゲート120を下げるように、第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。なお、最も上流側に位置する第1導入水門30が備える第1導入ゲート120が既に下がっている場合は、ステップS710は実行されなくてもよい。
【0148】
ステップS720において、制御装置70は、最も上流側に位置する第1導入水門30以外の第1導入水門30が備える第1導入ゲート120を上げるように、それぞれの第1導入水門30に備えられた第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。また、制御装置70は、第2導入ゲート220を上げるように、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。最も上流側に位置する第1導入水門30以外の第1導入水門30が備える第1導入ゲート120、および、第2導入ゲート220が上げられると、最も上流側に位置する第1導入水門30と第2導入水門40の間に貯留されていた水が水田20に流出する。なお、上述した第1導入ゲート120および第2導入ゲート220が既に上がっている場合は、ステップS720は実行されなくてもよい。
【0149】
ステップS730において、制御装置70は、全ての第1導入水門30が備える第1導入ゲート120を下げるように、第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。すなわち、制御装置70は、最も上流側に位置する第1導入水門30以外の第1導入水門30が備える第1導入ゲート120を下げるように、それぞれの第1導入水門30に備えられた第1導入ゲート駆動装置130の駆動回路71に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。また、制御装置70は、第2導入ゲート220を下げるように、第2導入ゲート駆動装置230の駆動回路72に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。
【0150】
ステップS740において、制御装置70は、導入水路22において上流側に設けられた第1導入水門30から、導入水路22において下流側に設けられた第1導入水門30の順に、それぞれの第1導入水門30が備える第1導入ゲート120を発電位置まで上げるように、それぞれの第1導入水門30が備える第1導入ゲート駆動装置130を制御する。検知部90は、1つの第1導入ゲート120が発電位置まで上げられる毎に、バッテリー85の充填状態を検知する。検知部90によってバッテリー85の充電状態が改善されたことが検知された場合、制御装置70は、次に開かれるべき第1導入水門30が備える第1導入ゲート120を上げるように第1導入ゲート駆動装置130を制御しない。すなわち、検知部90によってバッテリー85の充電状態が改善されたことが検知された後は、第1導入ゲート120は上げられない。1つ以上の第1導入水門30が備える第1導入ゲート120が上げられた場合、最も上流側の第1導入水門30と、導入水路22において閉じられている水門のうち最も上流側の水門との間に水が満たされるまで、上げられた第1導入ゲート120の下方を水が通過することで、第1導入水車140が第1導入水車回転軸141を中心として回転し、第1導入発電機150が発電を行う。
【0151】
図36は、第4実施形態における排出水路24を横から見た図である。複数の第1排出水門50は、第2排出水門60よりも水田20に近い側に設けられる。
【0152】
図37は、第4実施形態における第2排出発電処理の工程図である。ステップS810において、制御装置70は、最も上流側に位置する第1排出水門50が備える第1排出ゲート320を下げるように、第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。なお、最も上流側に位置する第1排出水門50が備える第1排出ゲート320が既に下がっている場合は、ステップS810は実行されなくてもよい。
【0153】
ステップS820において、制御装置70は、最も上流側に位置する第1排出水門50以外の第1排出水門50が備える第1排出ゲート320を上げるように、それぞれの第1排出水門50に備えられた第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。また、制御装置70は、第2排出ゲート420を上げるように、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。最も上流側に位置する第1排出水門50以外の第1排出水門50が備える第1排出ゲート320および第2排出ゲート420が上げられると、最も上流側に位置する第1排出水門50と第2排出水門60の間に貯留されていた水が低位側水路23に流出する。なお、上述した第1排出ゲート320および第2排出ゲート420が既に上がっている場合は、ステップS820は実行されなくてもよい。
【0154】
ステップS830において、制御装置70は、全ての第1排出水門50が備える第1排出ゲート320を下げるように、第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。すなわち、制御装置70は、最も上流側に位置する第1排出水門50以外の第1排出水門50が備える第1排出ゲート320を下げるように、それぞれの第1排出水門50に備えられた第1排出ゲート駆動装置330の駆動回路73に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。また、制御装置70は、第2排出ゲート420を下げるように、第2排出ゲート駆動装置430の駆動回路74に位置指令を送信し、サーボモータ131を駆動させる。
【0155】
ステップS840において、制御装置70は、排出水路24において上流側に設けられた第1排出水門50から、排出水路24において下流側に設けられた第1排出水門50の順に、それぞれの第1排出水門50が備える第1排出ゲート320を発電位置まで上げるように、それぞれの第1排出水門50が備える第1排出ゲート駆動装置330を制御する。検知部90は、1つの第1排出ゲート320が発電位置まで上げられる毎に、バッテリー85の充填状態を検知する。検知部90によってバッテリー85の充電状態が改善されたことが検知された場合、制御装置70は、次に開かれるべき第1排出水門50が備える第1排出ゲート320を上げるように第1排出ゲート駆動装置330を制御しない。すなわち、検知部90によってバッテリー85の充電状態が改善されたことが検知された後は、第1排出ゲート320は上げられない。1つ以上の第1排出水門50が備える第1排出ゲート320が上げられた場合、最も上流側の第1排出水門50と、排出水路24において閉じられている水門のうち最も上流側の水門との間に水が満たされるまで、上げられた第1排出ゲート320の下方を水が通過することで、第1排出水車340が第1排出水車回転軸341を中心として回転し、第1排出発電機350が発電を行う。
【0156】
以上で説明した第4実施形態における水門管理システム10は、導入水路22に複数の第1導入水門30を備える。そのため、導入水路22には、複数の第1導入水車140および第1導入発電機150が配置される。したがって、水門管理システム10が導入水路22に1つの第1導入水門30を備える場合と比べて、第2導入発電処理における水門管理システム10の発電量を増加させることができる。そのため、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量をより多く補うことができる。
【0157】
また、本実施形態では、水門管理システム10は、排出水路24に複数の第1排出水門50を備える。そのため、排出水路24には、複数の第1排出水車340および第1排出発電機350が配置される。したがって、水門管理システム10が排出水路24に1つの第1排出水門50を備える場合と比べて、第2排出発電処理における水門管理システム10の発電量を増加させることができる。そのため、自家発電した電力によって太陽光発電装置75の発電量をより多く補うことができる。
【0158】
J.他の実施形態:
(J-1)第4実施形態では、水門管理システム10は、導入水路22に複数の第1導入水門30を備え、排出水路24に複数の第1排出水門50を備える。これに対して、水門管理システム10が、導入水路22に複数の第1導入水門30を備える場合、排出水路24に備える第1排出水門50は1つであってもよい。また、水門管理システム10が、排出水路24に複数の第1排出水門50を備える場合、導入水路22に備える第1導入水門30は1つであってもよい。
【0159】
(J-2)上記実施形態では、導入水路22および排出水路24は、コンクリート製である。これに対して、導入水路22および排出水路24は、水田20の粘土で形成されてもよい。
【0160】
(J-3)上記実施形態では、第1導入水車140は、第1導入ゲート120の裏面に設けられている。これに対して、第1導入水車140は、第1導入ゲート120の表面に設けられてもよい。
【0161】
(J-4)上記実施形態では、第1排出水車340は、第1排出ゲート320の裏面に設けられている。これに対して、第1排出水車340は、第1排出ゲート320の表面に設けられてもよい。
【0162】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0163】
10…水門管理システム、20…水田、21…高位側水路、22…導入水路、23…低位側水路、24…排出水路、26…堰、27…溝部、30…第1導入水門、40…第2導入水門、50…第1排出水門、60…第2排出水門、70…制御装置、71,72,73,74…駆動回路、75…太陽光発電装置、80…AC/DC変換器、85…バッテリー、86…DC/AC変換器、90…検知部、95…水路水位計、96…水路水温計、97…水田水位計、98…水田水温計、110…柱部材、111…梁部材、120…第1導入ゲート、121…第1導入開口部、122…ボールナット、130…第1導入ゲート駆動装置、131…サーボモータ、132…カップリング、133…ねじ軸、134…エンコーダ、135…出力軸、140…第1導入水車、141…第1導入水車回転軸、142…ブラケット、143…ベアリングホルダ、150…第1導入発電機、220…第2導入ゲート、230…第2導入ゲート駆動装置、310…柱部材、320…第1排出ゲート、321…第1排出開口部、330…第1排出ゲート駆動装置、340…第1排出水車、341…第1排出水車回転軸、342…ブラケット、343…ベアリングホルダ、350…第1排出発電機、420…第2排出ゲート、430…第2排出ゲート駆動装置、942…水車連結部材、943…ピン、944…伸縮部材、945…ストッパ、946…重り