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特開2024-131408容積型機械、圧縮機、温度調節装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131408
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】容積型機械、圧縮機、温度調節装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   F04B 27/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F04B27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041647
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山川 秀精
(72)【発明者】
【氏名】勝田 治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智輝
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA03
3H076BB05
3H076CC15
3H076CC28
3H076CC47
(57)【要約】
【課題】モーター性能の低下を抑制できる容積型機械、圧縮機、温度調節装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】容積型機械は、ハウジングと、第1方向に沿ってスライドするスライド部材と、スライド部材に連結され、第2方向に延びる連結部材と、連結部材に接続され、第2方向に沿う第1回転軸を中心に回転する第1回転部材と、連結部材に接続され、第2方向に沿う第2回転軸を中心に、第1回転部材の第1回転方向とは反対方向に回転する第2回転部材と、第1ローター部を有する第1モーターと、第2ローター部を有する第2モーターと、を備え、第1ローター部は、第1回転軸に沿って延在し、第1回転部材に接続される第1シャフトを有し、第1シャフトは、第1冷媒が流通する第1冷却路を有し、第2ローター部は、第2回転軸に沿って延在し、第2回転部材に接続される第2シャフトを有し、第2シャフトは、第2冷媒が流通する第2冷却路を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力室が内部に設けられた筒状の案内部を有するハウジングと、
前記案内部内に配置されたピストン部を有し、第1方向に沿ってスライドするスライド部材と、
前記スライド部材に連結され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる連結部材と、
前記連結部材の一端に接続され、前記第2方向に沿う第1回転軸を中心に回転する第1回転部材と、
前記連結部材の他端に接続され、前記第2方向に沿う第2回転軸を中心に、前記第1回転部材の第1回転方向とは反対方向に回転する第2回転部材と、
前記第1回転軸を中心に回転する第1ローター部を有する第1モーターと、
前記第2回転軸を中心に、前記第1回転方向とは反対方向に回転する第2ローター部を有する第2モーターと、
を備え、
前記第1ローター部は、前記第1回転軸に沿って延在し、前記第1回転部材に接続される第1シャフトを有し、
前記第1シャフトは、第1冷媒が流通する第1冷却路を有し、
前記第2ローター部は、前記第2回転軸に沿って延在し、前記第2回転部材に接続される第2シャフトを有し、
前記第2シャフトは、第2冷媒が流通する第2冷却路を有する、
ことを特徴とする容積型機械。
【請求項2】
請求項1に記載の容積型機械において、
前記ハウジングは、
前記第1回転部材、前記第2回転部材及び前記連結部材を収容し、前記第1冷却路を流通した前記第1冷媒と前記第2冷却路を流通した前記第2冷媒とが合流する機構室と、
前記機構室にて前記第1冷媒と前記第2冷媒とが合流した合流冷媒を前記機構室の外部に排出する流通部と、を有する、
ことを特徴とする容積型機械。
【請求項3】
請求項1に記載の容積型機械において、
前記第2方向と交差する方向に延在し、前記第1冷却路と前記容積型機械の外部とを連通させ、前記第1冷却路から前記第1冷媒が流通する第1流路と、
前記第2方向と交差する方向に延在し、前記第2冷却路と前記容積型機械の外部とを連通させ、前記第2冷却路から前記第2冷媒が流通する第2流路と、を備える、
ことを特徴とする容積型機械。
【請求項4】
請求項3に記載の容積型機械において、
前記第1モーターは、前記第1シャフトの回転方向に沿って前記第1シャフトの周囲を囲み、前記第1流路と連通して、前記第1シャフトから前記第1冷媒が流入する第1連通部を有し、
前記第2モーターは、前記第2シャフトの回転方向に沿って前記第2シャフトの周囲を囲み、前記第2流路と連通して、前記第2シャフトから前記第2冷媒が流入する第2連通部を有し、
前記第1シャフトは、前記第1連通部に開口し、前記第1冷却路を流通した前記第1冷媒を前記第1連通部に排出する第1排出部を有し、
前記第2シャフトは、前記第2連通部に開口し、前記第2冷却路を流通した前記第2冷媒を前記第2連通部に排出する第2排出部を有する、
ことを特徴とする容積型機械。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容積型機械において、
前記第1冷媒は、前記第1モーターから前記第2モーターに向かう第3方向と、前記第2モーターから前記第1モーターに向かう第4方向とのうち一方の方向に沿って前記第1冷却路を流通し、
前記第2冷媒は、前記第3方向と前記第4方向とのうち他方の方向に沿って前記第2冷却路を流通することを特徴とする容積型機械。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容積型機械において、
前記第1冷却路における前記第1冷媒の流速と、前記第2冷却路における前記第2冷媒の流速とは、同じである、
ことを特徴とする容積型機械。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容積型機械を備え、
前記ピストン部は、前記圧力室に流入した流体を圧縮する、
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項8】
気相の前記流体を圧縮する、請求項7に記載の圧縮機と、
前記圧縮機によって圧縮された気相の前記流体を液相の前記流体に凝縮する凝縮部と、
前記凝縮部によって凝縮された液相の前記流体を減圧して、液相及び気相が混相した前記流体に変化させる膨張部と、
温度調節対象と熱伝達可能に接続され、前記膨張部から流通する前記流体を、前記温度調節対象から伝達された熱によって気相の前記流体に変化させ、変化された気相の前記流体を前記圧縮機へ排出する蒸発部と、
を備えることを特徴とする温度調節装置。
【請求項9】
請求項8に記載の温度調節装置において、
前記蒸発部から排出された前記流体のうち、一部の前記流体を前記第1冷媒として前記第1冷却路に導き、他の一部の前記流体を前記第2冷媒として前記第2冷却路に導く第1配管と、
前記第1冷却路を流通した前記第1冷媒と前記第2冷却路を流通した前記第2冷媒とを前記案内部に導く第2配管と、を備える、
ことを特徴とする温度調節装置。
【請求項10】
請求項8に記載の温度調節装置において、
流通する冷媒から受熱し、受熱した熱を放熱する熱交換器と、
前記熱交換器を流通した前記冷媒のうち、一部の前記冷媒を前記第1冷媒として前記第1冷却路に流通させ、他の一部の前記冷媒を前記第2冷媒として前記第2冷却路に流通させる分流配管と、
前記熱交換器及び前記分流配管にて前記冷媒を循環させるポンプと、
を備える、
ことを特徴とする温度調節装置。
【請求項11】
請求項8に記載の温度調節装置を備える、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容積型機械、圧縮機、温度調節装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍空調用の圧縮機、及び、発電機駆動用の内燃機関等に用いられる容積型機械が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の容積型機械は、密閉型圧縮機である。密閉型圧縮機は、2つのピストン部を有する往復動部材と、シリンダーブロックと、2つのアーム部と、2つの球面ブッシュと、駆動アーム部を有する2つの駆動軸と、2つの駆動用モーターと、を備える。2つのピストン部は、往復運動、及び、往復運動方向の軸線回りの揺動運動を実施可能に、シリンダーブロックの内周円筒面に支持されている。2つのアーム部のそれぞれは、対応する球面ブッシュの内周円筒面部に回転可能に挿入されている。各球面ブッシュの外周球面部は、対応する駆動軸の駆動アーム部により駆動軸の回転軸から偏位した位置にて支持されている。
このような密閉型圧縮機では、2つの駆動用モーターによって2つの駆動アーム部が駆動軸回りに互いに反対方向に回転し、球面ブッシュを介して駆動アーム部と接続された2つのアーム部が往復運動方向に移動することによって、往復動部材がシリンダーブロック内を往復運動する。これにより、ピストン部が、シリンダーブロックの内周円筒面にて、往復運動しつつ揺動運動することで、作動空間内に流入した作動流体が圧縮された後に外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-072275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容積型機械では、2つの駆動用モーターにて発生する熱によって、各モーターの性能が低下するという問題がある。このことから、モーター性能の低下を抑制できる容積型機械が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る容積型機械は、圧力室が内部に設けられた筒状の案内部を有するハウジングと、前記案内部内に配置されたピストン部を有し、第1方向に沿ってスライドするスライド部材と、前記スライド部材に連結され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる連結部材と、前記連結部材の一端に接続され、前記第2方向に沿う第1回転軸を中心に回転する第1回転部材と、前記連結部材の他端に接続され、前記第2方向に沿う第2回転軸を中心に、前記第1回転部材の第1回転方向とは反対方向に回転する第2回転部材と、前記第1回転軸を中心に回転する第1ローター部を有する第1モーターと、前記第2回転軸を中心に、前記第1回転方向とは反対方向に回転する第2ローター部を有する第2モーターと、を備え、前記第1ローター部は、前記第1回転軸に沿って延在し、前記第1回転部材に接続される第1シャフトを有し、前記第1シャフトは、第1冷媒が流通する第1冷却路を有し、前記第2ローター部は、前記第2回転軸に沿って延在し、前記第2回転部材に接続される第2シャフトを有し、前記第2シャフトは、第2冷媒が流通する第2冷却路を有する。
【0006】
本開示の第2態様に係る圧縮機は、上記第1態様に係る容積型機械を備え、前記ピストン部は、前記圧力室に流入した流体を圧縮する。
【0007】
本開示の第3態様に係る温度調節装置は、気相の前記流体を圧縮する、上記第2態様に係る圧縮機と、前記圧縮機によって圧縮された気相の前記流体を液相の前記流体に凝縮する凝縮部と、前記凝縮部によって凝縮された液相の前記流体を減圧して、液相及び気相が混相した前記流体に変化させる膨張部と、温度調節対象と熱伝達可能に接続され、前記膨張部から流通する前記流体を、前記温度調節対象から伝達された熱によって気相の前記流体に変化させ、変化された気相の前記流体を前記圧縮機へ排出する蒸発部と、を備える。
【0008】
本開示の第4態様に係る電子機器は、上記第3態様に係る温度調節装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る圧縮機を示す断面図。
図3】第1実施形態に係る蒸発部と圧縮機とを接続する第4接続配管を示す模式図。
図4】第2実施形態に係る電子機器が備える温度調節装置の一部を示す模式図。
図5】第3実施形態に係る電子機器が備える温度調節装置の一部を示す模式図。
図6】第3実施形態に係る圧縮機を示す断面図。
図7】第4実施形態に係る電子機器が備える温度調節装置の一部を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
[電子機器の構成]
図1は、本実施形態に係る電子機器1の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る電子機器1は、図1に示すように、温度調節対象CT及び温度調節装置2Aを備える。
温度調節対象CTは、電子機器1を構成する。温度調節対象CTは、例えば電子機器1を制御する制御装置、及び、電子機器1の電子部品に電力を供給する電源装置等が挙げられる。
【0011】
[温度調節装置の構成]
温度調節装置2Aは、温度調節対象CTの温度を調節する。具体的に、温度調節装置2Aは、液相及び気相の間で相変化する作動流体を循環させて、温度調節対象CTの温度を調節する。
温度調節装置2Aは、圧縮機3A、凝縮部21、膨張部22、蒸発部23、複数の接続配管24A及び冷却ファン25を備える。
【0012】
[圧縮機の概略構成]
圧縮機3Aは、気相の作動流体を圧縮する。すなわち、圧縮機3Aは、蒸発部23から流入する気相の作動流体を圧縮することによって、気相の作動流体を高温化及び高圧化する。圧縮機3Aにて高温化及び高圧化された気相の作動流体は、凝縮部21に流通する。
圧縮機3Aの構成については、後に詳述する。
【0013】
[凝縮部の構成]
凝縮部21は、接続配管24Aを介して圧縮機3Aと接続されている。凝縮部21は、圧縮機3Aによって圧縮された気相の作動流体、すなわち、高温化及び高圧化された気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。具体的に、凝縮部21は、圧縮された気相の作動流体と、冷却ファン25によって凝縮部21に流通する冷却気体との間にて熱交換することにより、気相の作動流体を高圧の液相の作動流体に凝縮する。
【0014】
[膨張部の構成]
膨張部22は、減圧器であり、凝縮部21と接続されている。膨張部22は、凝縮部21によって凝縮された液相の作動流体を減圧して、作動流体の状態を、液相及び気相が混相した状態に変化させる。すなわち、膨張部22は、作動流体の温度を低下させる。膨張部22は、液相及び気相が混相した状態の作動流体を、蒸発部23へ排出する。膨張部22は、例えば液相の作動流体の蒸発温度を制御可能な膨張弁、詳しくは電子膨張弁によって構成できる他、キャピラリーチューブによって構成できる。
【0015】
[蒸発部の構成]
蒸発部23は、温度調節対象CTと熱伝達可能に接続されている。蒸発部23は、膨張部22から流通する液相の作動流体を、温度調節対象CTから伝達された熱によって蒸発させて気相の作動流体に変化させ、変化された気相の作動流体を圧縮機3Aへ排出する。これにより、温度調節対象CTの熱が消費され、温度調節対象CTが冷却される。
【0016】
[複数の接続配管の構成]
複数の接続配管24Aは、圧縮機3A、凝縮部21、膨張部22及び蒸発部23を、環状に接続する。複数の接続配管24Aは、内部を作動流体が流通可能な管状部材である。
複数の接続配管24Aは、第1接続配管241、第2接続配管242、第3接続配管243及び第4接続配管244を含む。
第1接続配管241は、圧縮機3Aと凝縮部21とを接続する。
第2接続配管242は、凝縮部21と膨張部22とを接続する。
第3接続配管243は、膨張部22と蒸発部23とを接続する。
第4接続配管244は、蒸発部23と圧縮機3Aとを接続する。
このように、温度調節装置2Aは、圧縮機3A、第1接続配管241、凝縮部21、第2接続配管242、膨張部22、第3接続配管243、蒸発部23、第4接続配管244を順に流通し、圧縮機3Aに再度流入する作動流体の循環経路を有する。循環経路は、温度調節対象CTの温度を調節する。
【0017】
[圧縮機の詳細構成]
図2は、圧縮機3Aを示す断面図である。
圧縮機3Aは、上記のように、蒸発部23から流入する気相の作動流体を圧縮して、凝縮部21に排出する。詳述すると、圧縮機3Aは、後述するスライド部材42の第1ピストン部422及び第2ピストン部423が往復運動することによって、後述する第1圧力室S2及び第2圧力室S4内に流入した流体を圧縮する往復動圧縮機である。本実施形態では、圧縮機3Aは、気相の作動流体を圧縮する。
圧縮機3Aは、図2に示すように、容積型機械4Aを備える。
【0018】
[容積型機械の構成]
容積型機械4Aは、ハウジング41、スライド部材42、連結部材43、第1回転部材44、第1モーター45A、第2回転部材46及び第2モーター47Aを備える。
以下の説明において、互いに直交する二方向を+X方向及び+Y方向とする。+X方向は、後述する第1回転軸Rx1又は第2回転軸Rx2に沿い、かつ、第1モーター45Aから第2モーター47Aに向かう方向とする。すなわち、図2の図面視で左方向を+X方向とする。また、+Y方向を、スライド部材42の往復運動方向に沿い、かつ、スライド部材42が有する第1ピストン部422及び第2ピストン部423のうち、第2ピストン部423から第1ピストン部422に向かう方向とする。すなわち、図2の図面視で上方向を+Y方向とする。+Y方向は、回転軸Rx1,Rx2に対する交差方向である。
更に、+X方向とは反対方向を-X方向とし、+Y方向とは反対方向を-Y方向とする。すなわち、図2の図面視で右方向を-X方向とし、下方向を-Y方向とする。また、+X方向に沿う軸をX軸とし、+Y方向に沿う軸をY軸とする。X軸は第2軸であり、Y軸は第1軸である。
本実施形態では、+X方向又は-X方向は、第2方向に相当し、+Y方向又は-Y方向は、第1方向に相当する。
【0019】
[ハウジングの構成]
ハウジング41は、容積型機械4Aの主要な部品を収容し、各モーター45A,47Aが取り付けられる筐体である。ハウジング41は、容積型機械4Aの外装を構成する。ハウジング41は、収容部411、第1案内部412、第1区画部413、第2案内部414、第2区画部415、2つの第1封止部材416、及び、2つの第2封止部材417を有する。
【0020】
[収容部の構成]
収容部411は、機構室S1が内部に設けられ、スライド部材42の一部と、連結部材43と、第1回転部材44と、第1モーター45Aの一部と、第2回転部材46と、第2モーター47Aの一部と、を機構室S1の内部に収容するハウジング本体である。
機構室S1は、内部に潤滑油を有する。換言すると、ハウジング41は、機構室S1内に封入される潤滑油を有する。本実施形態では、潤滑油の量は、機構室S1の容積の半分程度であるが、これに限らず、適宜変更可能である。
【0021】
収容部411は、収容部411の内部と外部とに冷媒が流通可能な流通部4111を有し、流通部4111には、後述する第2配管2442が接続される。
詳しくは後述するが、収容部411内の機構室S1には、第1モーター45Aの第1冷却路4512を流通した第1冷媒と、第2モーター47Aの第2冷却路4712を流通した第2冷媒とが合流する。流通部4111は、機構室S1内にて第1冷媒と第2冷媒とが合流した冷媒を第2配管2442に流通させて、機構室S1の外部、すなわち、容積型機械4Aの外部に冷媒を排出する。
【0022】
[第1案内部の構成]
第1案内部412は、円筒状に形成され、収容部411から+Y方向に突出している。第1案内部412の内部には、第1ピストン部422が配置され、第1案内部412は、第1ピストン部422のY軸に沿う往復運動を案内する。
第1案内部412は、第1スリーブ4121、第1流入部4122、第1隔壁4123、第1吐出弁4125及び第1流出部4126を有する。
【0023】
第1スリーブ4121は、第1案内部412内に配置される円筒状部材である。第1スリーブ4121は、第1スリーブ4121の中心軸がY軸に沿い、かつ、第1案内部412の中心軸と一致するように配置される。第1スリーブ4121の内部には、第1ピストン部422が配置される他、第1圧力室S2の一部と、第1作動室S3とが形成される。第1案内部412には、第1圧力室S2及び第1作動室S3が内部に設けられている。
第1圧力室S2は、第1案内部412の内部の空間のうち、第1ピストン部422に対する+Y方向の空間である。第1圧力室S2は、第1案内部412内に設けられ、第1ピストン部422のスライドによって容積が変化する空間である。
第1作動室S3は、第1案内部412の内部の空間のうち、第1ピストン部422に対する-Y方向の空間である。第1作動室S3は、第1案内部412の内部において機構室S1と第1圧力室S2との間に設けられ、第1ピストン部422によって第1圧力室S2と区分される空間である。機構室S1と第1作動室S3との間は、2つの第1封止部材416のうちの一方によって封止される。
【0024】
第1流入部4122は、+X方向を向く第1案内部412の側壁から+X方向に突出し、第1案内部412の外部と第1案内部412内の第1作動室S3とを連通させる。第1流入部4122には、後述する第2配管2442が接続される。詳しくは後述するが、本実施形態では、第1冷却路4512及び第2冷却路4712を流通した気相の作動流体は、第1流入部4122を介して第1作動室S3内に流入する。
【0025】
第1隔壁4123は、第1案内部412の内部において縮径した部分であり、-Y方向を向く第1隔壁4123の面は、+Y方向を向く第1スリーブ4121の端部と接触する。第1隔壁4123は、第1圧力室S2を、-Y方向の空間である第1吸入室と、+Y方向の空間である第1高圧室とに区画する。第1隔壁4123には、Y軸に沿って貫通する貫通孔4124が設けられており、貫通孔4124を介して第1吸入室と第1高圧室とは連通している。なお、第1吸入室には、第1ピストン部422の流路4221を介して、第1作動室S3から気相の作動流体が供給される。
第1吐出弁4125は、第1吸入室の圧力が第1高圧室の圧力よりも高くなったときに開弁する。
第1流出部4126は、第1案内部412において第1高圧室側の部分に設けられている。第1流出部4126は、後述する接続管48と接続される。
【0026】
第1流入部4122を介して第1作動室S3内に流入した気相の作動流体は、第1ピストン部422の往復運動によって第1ピストン部422の流路4221及び吸入弁4222を介して第1吸入室内に供給される。この後、気相の作動流体は、第1ピストン部422によって圧縮されつつ、第1吐出弁4125を介して第1吸入室から第1高圧室内に流入し、第1流出部4126から接続管48に流出する。
【0027】
[第1区画部の構成]
第1区画部413は、収容部411と第1案内部412との接続部分に設けられ、機構室S1と第1作動室S3とを区画する区画部である。第1区画部413は、収容部411において第1案内部412側の部分から内径方向に突出している。第1区画部413は、連通孔4131及び配置部4132を有する。
連通孔4131は、第1区画部413をY軸に沿って貫通しており、スライド部材42のロッド421がY軸に沿って挿通する。連通孔4131を介して、第1作動室S3は、機構室S1と接続される。
配置部4132は、第1区画部413において2つの第1封止部材416のうちの一方が配置される部分である。
【0028】
[第2案内部の構成]
第2案内部414は、円筒状に形成され、収容部411から-Y方向に突出している。第2案内部414の内部には、第2ピストン部423が配置され、第2案内部414は、第2ピストン部423のY軸に沿う往復運動を案内する。
第2案内部414は、第2スリーブ4141、第2流入部4142、第2隔壁4143、第2吐出弁4145及び第2流出部4146を有する。
【0029】
第2スリーブ4141は、第2スリーブ4141の中心軸がY軸に沿い、かつ、第2案内部414の中心軸と一致するように配置される円筒状部材である。第2スリーブ4141の内部には、第2ピストン部423が配置される他、第2圧力室S4の一部と、第2作動室S5とが形成される。第2案内部414には、第2圧力室S4及び第2作動室S5が内部に設けられている。
第2圧力室S4は、第2案内部414の内部の空間のうち、第2ピストン部423に対する-Y方向の空間である。第2圧力室S4は、第2案内部414内に設けられ、第2ピストン部423のスライドによって容積が変化する空間である。
第2作動室S5は、第2案内部414の内部の空間のうち、第2ピストン部423に対する+Y方向の空間である。第2作動室S5は、第2案内部414の内部において機構室S1と第2圧力室S4との間に設けられ、第2ピストン部423によって第2圧力室S4と区分される空間である。機構室S1と第2作動室S5との間は、2つの第1封止部材416のうちの他方によって封止される。
【0030】
第2流入部4142は、+X方向を向く第2案内部414の側壁から+X方向に突出し、第2案内部414の外部と第2案内部414内の第2作動室S5とを連通させる。第2流入部4142は、後述する接続管48が接続される。詳しくは後述するが、第2流入部4142を介して、第1流出部4126から排出された気相の作動流体が第2作動室S5内に流入する。
【0031】
第2隔壁4143は、第2案内部414の内部において縮径した部分であり、+Y方向を向く第2隔壁4143の面は、-Y方向を向く第2スリーブ4141の端部と接触する。第2隔壁4143は、第2圧力室S4を、+Y方向の空間である第2吸入室と、-Y方向の空間である第2高圧室とに区画する。第2隔壁4143には、Y軸に貫通する貫通孔4144が設けられており、貫通孔4144を介して第2吸入室と第2高圧室とは連通している。なお、第2吸入室には、第2ピストン部423の流路4231を介して、第2作動室S5から作動流体が供給される。
第2吐出弁4145は、第2吸入室の圧力が第2高圧室の圧力よりも高くなったときに開弁する。
第2流出部4146は、第2案内部414において第2高圧室側の部分に設けられている。第2流出部4146は、第1接続配管241と接続される。
【0032】
第2流入部4142を介して第2作動室S5内に流入した気相の作動流体は、第2ピストン部423の往復運動によって第2ピストン部423の流路4231及び吸入弁4232を介して第2吸入室内に供給される。この後、気相の作動流体は、第2ピストン部423によって圧縮されつつ、第2吐出弁4145を介して第2吸入室から第2高圧室内に流入し、第2流出部4146から第1接続配管241に流出する。
【0033】
[第2区画部の構成]
第2区画部415は、収容部411と第2案内部414との接続部分に設けられ、機構室S1と第2作動室S5とを区画する区画部である。第2区画部415は、収容部411において第2案内部414側の部分から内径方向に突出している。第2区画部415は、連通孔4151及び配置部4152を有する。
連通孔4151は、第2区画部415をY軸に沿って貫通しており、スライド部材42のロッド421がY軸に沿って挿通する。連通孔4151を介して、第2作動室S5は、機構室S1と接続される。
配置部4152は、第2区画部415において2つの第1封止部材416のうちの他方が配置される部分である。
【0034】
[スライド部材の構成]
スライド部材42は、連結部材43と連結され、連結部材43とともに±Y方向にスライドして、第1圧力室S2及び第2圧力室S4の容積を変化させる。すなわち、スライド部材42は、Y軸に沿って往復運動する。スライド部材42は、ロッド421、第1ピストン部422及び第2ピストン部423を有する。
【0035】
ロッド421は、Y軸に沿って延出する軸部材であり、Y軸におけるロッド421の中央部分は、機構室S1内に配置される。ロッド421は、連結部材43と連結される。
第1ピストン部422は、+Y方向のロッド421の端部に設けられ、第1案内部412内に配置されるピストン部である。第1ピストン部422は、ロッド421の外径よりも大きな外径を有する。第1ピストン部422は、ロッド421がY軸に沿って往復運動するときに、第1案内部412内をY軸に沿って往復運動する。
第1ピストン部422は、流路4221及び吸入弁4222を有する。吸入弁4222は、第1ピストン部422が-Y方向にスライドしたときに開弁し、これにより、流路4221を介して第1圧力室S2の第1吸入室内に気相の作動流体が供給される。一方、吸入弁4222は、第1ピストン部422が+Y方向にスライドしたときに閉弁し、これにより、第1ピストン部422は、第1圧力室S2の容積を小さくするとともに、第1圧力室S2内に流入した気相の作動流体を圧縮する。
【0036】
第2ピストン部423は、-Y方向のロッド421の端部に設けられ、第2案内部414内に配置されるピストン部である。第2ピストン部423は、ロッド421の外径よりも大きな外径を有する。第2ピストン部423は、ロッド421がY軸に沿って往復運動するときに、第2案内部414内をY軸に沿って往復運動する。
第2ピストン部423は、流路4231及び吸入弁4232を有する。吸入弁4232は、第2ピストン部423が+Y方向にスライドしたときに開弁し、これにより、流路4231を介して第2作動室S5から第2圧力室S4の第1吸入室内に気相の作動流体が供給される。一方、吸入弁4232は、第2ピストン部423が-Y方向にスライドしたときに閉弁し、これにより、第2ピストン部423は、第2圧力室S4の容積を小さくするとともに、第2圧力室S4内に流入した気相の作動流体を圧縮する。
【0037】
[連結部材の構成]
連結部材43は、機構室S1内に配置されている。連結部材43は、スライド部材42、第1回転部材44及び第2回転部材46と連結されている。連結部材43は、各回転部材44,46の回転によって±Y方向に移動して、スライド部材42を±Y方向に移動させる。換言すると、連結部材43は、各回転部材44,46の回転運動をスライド部材42の±Y方向への直線運動に変換する。
連結部材43は、-X方向の第1端部431及び+X方向の第2端部432を有する。
第1端部431は、第1回転部材44の第1軸受部443に挿入される。
第2端部432は、第2回転部材46の第2軸受部463に挿入される。
第1端部431が第1軸受部443に挿入され、第2端部432が第2軸受部463に挿入された場合、連結部材43は、+X方向に沿って配置される。すなわち、連結部材43は、第2方向である+X方向に沿って延び、X軸に沿って配置される。
【0038】
[第1回転部材の構成]
第1回転部材44は、第1モーター45Aの第1ローター部451と連結部材43の第1端部431とに接続され、第1ローター部451とともに、第1ローター部451と同軸で回転する。すなわち、第1回転部材44は、連結部材43の一端である第1端部431と接続され、+X方向に沿う第1回転軸Rx1を中心に回転する。換言すると、第1ローター部451と一体化され、第1ローター部451とともにX軸に沿う第1回転軸Rx1を中心に回転する。
【0039】
第1回転部材44は、半円状の第1ウェイト441と、第1配置部442と、第1軸受部443と、第1嵌合部444と、を有する。
第1ウェイト441は、Y軸に沿うスライド部材42の往復運動によって生じる振動を低減するためのカウンターウェイトである。第1ウェイト441は、スライド部材42が最も+Y方向にスライドしたとき、すなわち、スライド部材42が上死点にスライドしたときに、第1回転軸Rx1に対して-Y方向に配置される。第1ウェイト441は、スライド部材42が最も-Y方向にスライドしたとき、すなわち、スライド部材42が下死点にスライドしたときに、第1回転軸Rx1に対して+Y方向に配置される。
第1配置部442は、X軸に沿って第1回転部材44を貫通する孔部である。第1配置部442の内部には、第1軸受部443が設けられる。
第1軸受部443は、球面軸受である。第1軸受部443の内部には第1端部431が挿入される。
第1嵌合部444には、第1ローター部451の第1シャフト4511における+X方向の端部が挿入されて嵌合される。これにより、第1回転部材44は、第1ローター部451と一体的に回転する。
【0040】
[第2回転部材の構成]
第2回転部材46は、第2モーター47Aの第2ローター部471と連結部材43の第2端部432とに接続され、第2ローター部471とともに、第2ローター部471と同軸で回転する。すなわち、第2回転部材46は、連結部材43の他端である第2端部432と接続され、+X方向に沿う第2回転軸Rx2を中心に、第1回転部材44の回転方向とは反対方向に回転する。換言すると、第2回転部材46は、第2ローター部471と一体化され、第2ローター部471とともにX軸に沿う第2回転軸Rx2を中心に回転する。本実施形態では、第1回転軸Rx1の延長線と第2回転軸Rx2の延長線とは一致する。なお、第1回転軸Rx1の延長線と第2回転軸Rx2の延長線とが一致するとは、各延長線が略一致する場合も含む。
【0041】
第2回転部材46は、半円状の第2ウェイト461と、第2配置部462と、第2軸受部463と、第2嵌合部464と、を有する。
第2ウェイト461は、第1ウェイト441と同様に、Y軸に沿うスライド部材42の往復運動によって生じる振動を低減するためのカウンターウェイトである。第2ウェイト461は、スライド部材42が上死点にスライドしたときに、第2回転軸Rx2に対して-Y方向に配置され、スライド部材42が下死点にスライドしたときに、第2回転軸Rx2に対して+Y方向に配置される。
第2配置部462は、X軸に沿って第2回転部材46を貫通する孔部である。第2配置部462の内部には、第2軸受部463が設けられる。
第2軸受部463は、球面軸受である。第2軸受部463の内部には第2端部432が挿入される。
第2嵌合部464には、第2ローター部471の第2シャフト4711における-X方向の端部が挿入されて嵌合される。これにより、第2回転部材46は、第2ローター部471と一体的に回転する。
【0042】
なお、図示を省略するが、連結部材43は、互いに反対方向に回転する回転部材44,46の回転に伴って±Y方向に移動するときに、+Y方向から見て、Y軸を中心に時計回り又は半時計回りに回動される。詳述すると、下死点に位置する連結部材43が各回転部材44,46の回転に伴って+Y方向に移動されるとき、連結部材43は、+Y方向への移動範囲の半分に達するまでの間、+Y方向から見て時計回り及び反時計回りのうちの一方の方向に回動される。また、連結部材43は、+Y方向への移動範囲の半分の位置から上死点に達するまでの間、+Y方向から見て時計回り及び反時計回りのうちの他方の方向に回動される。また、上死点に位置する連結部材43が各回転部材44,46の回転に伴って-Y方向に移動されるとき、連結部材43は、-Y方向への移動範囲の半分に達するまでの間、+Y方向から見て時計回り及び反時計回りのうちの他方の方向に回動される。そして、連結部材43は、-Y方向への移動範囲の半分の位置から下死点に達するまでの間、+Y方向から見て時計回り及び反時計回りのうちの一方の方向に回動される。このように、連結部材43は、Y軸に沿って往復するときに、Y軸を中心に、+Y方向から見て時計回り又は反時計回りに揺動する。
【0043】
[第1モーターの構成]
第1モーター45Aは、第1回転部材44と接続された状態にて、ハウジング41に固定される。第1モーター45Aは、第1回転軸Rx1を中心に第1回転部材44を回転させて、連結部材43及びスライド部材42を±Y方向に移動させる。第1モーター45Aは、第1ローター部451、第1ステーター部452、先端側軸受部453、後端側軸受部454及び第1ケース455を有する。
【0044】
[第1ローター部の構成]
第1ローター部451は、第1ステーター部452によって第1回転軸Rx1を中心に第1ステーター部452に対して回転する。第1ローター部451は、図3に示すように、第1シャフト4511及び第1磁石部4514を有する。
【0045】
第1シャフト4511は、第1回転軸Rx1に沿って延在する軸部材である。+X方向を向く第1シャフト4511の端部は、第1回転部材44の第1嵌合部444に挿入される。すなわち、第1シャフト4511は、第1回転部材44と接続され、第1回転軸Rx1を中心に第1回転部材44と一体的に回転する。なお、-X方向の第2封止部材417は、機構室S1の内壁と第1シャフト4511との間を封止するオイルシールであり、機構室S1内の潤滑油が機構室S1の外部に移動することを規制する。
第1シャフト4511は、後述する第1配管2441から供給される第1冷媒が流通する第1冷却路4512を有する。第1冷却路4512は、第1回転軸Rx1に沿って第1シャフト4511の内部に設けられ、第1冷媒は、第1シャフト4511の内部を流通する。-X方向の第1冷却路4512の端部は、第1配管2441に接続される。+X方向の第1冷却路4512の端部は、ハウジング41の収容部411内に開口している。換言すると、+X方向の第1冷却路4512の端部は、ハウジング41の機構室S1内に開口している。このため、第1配管2441から第1冷却路4512に供給された第1冷媒は、第1モーター45Aの熱を受熱しつつ第1冷却路4512を+X方向に流通し、機構室S1内に排出される。
第1磁石部4514は、第1回転軸Rx1を中心とする周方向に沿って等間隔に第1シャフト4511に配置された複数の磁石によって構成される。
【0046】
[第1ステーター部の構成]
第1ステーター部452は、第1ローター部451を回転させる回転部である。第1ステーター部452は、第1回転軸Rx1に沿って見て第1ローター部451の外側に配置されている。すなわち、第1ステーター部452は、第1回転軸Rx1及び第1ローター部451を囲む環状体である。第1ステーター部452は、第1コイル部4521及び第1ステーターホルダー4522を備える。
第1コイル部4521は、第1回転軸Rx1を中心とする周方向に沿って等間隔に第1ステーターホルダー4522に配置された複数のコイルによって構成される。第1ローター部451は、第1磁石部4514を構成する複数の磁石が第1コイル部4521を構成する複数のコイルと対向するように、第1コイル部4521の内側に配置される。
第1ステーターホルダー4522は、第1コイル部4521を保持する円筒状部材であり、第1回転軸Rx1に沿って見て、第1回転軸Rx1及び第1ローター部451を囲む。
【0047】
[先端側軸受部及び後端側軸受部の構成]
先端側軸受部453及び後端側軸受部454は、第1ケース455に設けられて、第1回転軸Rx1を中心に第1シャフト4511を回転可能に支持する。先端側軸受部453及び後端側軸受部454は、第1回転軸Rx1に沿って見て、第1シャフト4511の外側に配置されている。
先端側軸受部453は、第1ステーター部452の第1コイル部4521に対して+X方向に配置され、+X方向の第1シャフト4511の部分と接続される。先端側軸受部453の外面は、第1ケース455の先端側ケース4551の内面に固定される。
後端側軸受部454は、第1ステーター部452の第1コイル部4521に対して-X方向に配置され、-X方向の第1シャフト4511の部分と接続される。後端側軸受部454の外面は、第1ケース455の後端側ケース4552の内面に固定される。
本実施形態では、先端側軸受部453及び後端側軸受部454のそれぞれは、転がり軸受である。しかしながら、これに限らず、先端側軸受部453及び後端側軸受部454のうち少なくとも1つの軸受部は、滑り軸受であってもよい。
【0048】
[第1ケースの構成]
第1ケース455は、第1ステーターホルダー4522とともに、第1モーター45Aの外観を構成する。第1ケース455は、X軸において第1ステーターホルダー4522を挟む先端側ケース4551及び後端側ケース4552を有する。先端側ケース4551及び後端側ケース4552のそれぞれは、第1回転軸Rx1を中心とする円筒状部材である。
先端側ケース4551は、第1ステーターホルダー4522に対して+X方向に配置され、第1ステーターホルダー4522と連結される。先端側ケース4551の内面は、先端側軸受部453の外面と接続される。
後端側ケース4552は、第1ステーターホルダー4522に対して-X方向に配置され、第1ステーターホルダー4522と連結される。後端側ケース4552の内面は、後端側軸受部454の外面と接続される。
このような第1ケース455は、ハウジング41に固定される。
【0049】
[第2モーターの構成]
第2モーター47Aは、スライド部材42に対して第1モーター45Aとは反対側の+X方向に設けられている。第2モーター47Aは、第2回転部材46を第1回転部材44の回転方向とは反対方向に回転させて、連結部材43及びスライド部材42を±Y方向に移動させる。
第2モーター47Aは、第1ローター部451、第1ステーター部452、先端側軸受部453、後端側軸受部454及び第1ケース455と同様の第2ローター部471、第2ステーター部472、先端側軸受部473、後端側軸受部474及び第2ケース475を有し、第1モーター45Aと互いに向かい合わせに配置される。第2モーター47Aは、第1ローター部451の第1回転軸Rx1と第2ローター部471の第2回転軸Rx2とが平行で、かつ、先端側軸受部473が後端側軸受部454よりも先端側軸受部453に近くなるように配置される。
【0050】
[第2ローター部の構成]
第2ローター部471は、第2ステーター部472によって第2回転軸Rx2を中心に第2ステーター部472に対して、第1ローター部451の回転方向とは反対方向に回転する。第2ローター部471は、第2シャフト4711及び第2磁石部4714を有する。
【0051】
第2シャフト4711は、第2回転軸Rx2に沿って延在する軸部材である。-X方向を向く第2シャフト4711の端部は、第2回転部材46の第2嵌合部464に挿入される。すなわち、第2シャフト4711は、第2回転部材46と接続され、第2回転軸Rx2を中心に第2回転部材46と一体的に回転する。なお、+X方向の第2封止部材417は、機構室S1の内壁と第2シャフト4711との間を封止するオイルシールであり、機構室S1内の潤滑油が機構室S1の外部に移動することを規制する。
第2シャフト4711は、後述する第1配管2441から供給される第2冷媒が流通する第2冷却路4712を有する。第2冷却路4712は、第2回転軸Rx2に沿って第2シャフト4711の内部に設けられ、第2冷媒は、第2シャフト4711の内部を流通する。+X方向の第2冷却路4712の端部は、第1配管2441に接続される。-X方向の第2冷却路4712の端部は、ハウジング41の収容部411内に開口している。換言すると、-X方向の第2冷却路4712の端部は、ハウジング41の機構室S1内に開口している。このため、第1配管2441から第2冷却路4712に供給された第2冷媒は、第2モーター47Aの熱を受熱しつつ第2冷却路4712を-X方向に流通し、機構室S1内に排出される。
第2磁石部4714は、第2回転軸Rx2を中心とする周方向に沿って等間隔に第2シャフト4711に配置された複数の磁石によって構成される。
【0052】
ここで、第2冷却路4712を流通する第2冷媒の流速と、第1冷却路4512を流通する第1冷媒の流速とは、同じである。
また、第1冷却路4512の内径と、第2冷却路4712の内径とは、同じである。すなわち、第2冷却路4712における第2冷媒の流路の内径と、第1冷却路4512における第1冷媒の流路の内径とは、同じである。
なお、本明細書において「同じ」とは、同一である場合の他、同一と認識可能な程度の差分が発生する場合も含む。
【0053】
[第2ステーター部の構成]
第2ステーター部472は、第2ローター部471を回転させる回転部である。第2ステーター部472は、第2回転軸Rx2に沿って見て第2ローター部471の外側に配置されている。すなわち、第2ステーター部472は、第2回転軸Rx2及び第2ローター部471を囲む環状体である。第2ステーター部472は、第2コイル部4721及び第2ステーターホルダー4722を備える。
第2コイル部4721は、第1コイル部4521と同様に、第2回転軸Rx2を中心とする周方向に沿って等間隔に配置された複数のコイルによって構成される。複数のコイルは、第2ステーターホルダー4722に設けられる。
第2ステーターホルダー4722は、第2コイル部4721を保持する円筒状部材であり、第2回転軸Rx2に沿って見て、第2回転軸Rx2及び第2ローター部471を囲む。
【0054】
[先端側軸受部及び後端側軸受部の構成]
先端側軸受部473及び後端側軸受部474は、第2ケース475に設けられて、第2回転軸Rx2を中心に第2シャフト4711を回転可能に支持する。先端側軸受部473及び後端側軸受部474は、第2回転軸Rx2に沿って見て、第2シャフト4711の外側に配置されている。
先端側軸受部473は、第2コイル部4721に対して-X方向に配置され、-X方向の第2シャフト4711の部分と接続される。後端側軸受部474は、第2コイル部4721に対して+X方向に配置され、+X方向の第2シャフト4711の部分と接続される。本実施形態では、先端側軸受部473及び後端側軸受部474のそれぞれは、転がり軸受であるが、軸受部453,454のうち少なくとも1つの軸受部は、滑り軸受であってもよい。
【0055】
[第2ケースの構成]
第2ケース475は、第2ステーターホルダー4722とともに、第2モーター47Aの外観を構成する。第2ケース475は、先端側ケース4751及び後端側ケース4752を有する。各ケース4751,4752は、第2回転軸Rx2を中心とする円筒状部材である。
先端側ケース4751は、第2ステーターホルダー4722に対して-X方向に配置され、第2ステーターホルダー4722と連結される。先端側ケース4751の内面は、先端側軸受部473の外面と接続される。
後端側ケース4752は、第2ステーターホルダー4722に対して+X方向に配置され、第2ステーターホルダー4722と連結される。後端側ケース4752の内面は、後端側軸受部474の外面と接続される。
このような第2ケース475は、ハウジング41に固定される。
【0056】
[第4接続配管の詳細構成]
図3は、蒸発部23と圧縮機3Aとを接続する第4接続配管244を示す模式図である。
ここで、蒸発部23と圧縮機3Aとを接続する第4接続配管244について説明する。
第4接続配管244は、図3に示すように、第1配管2441及び第2配管2442を備える。
第1配管2441は、蒸発部23と、第1シャフト4511及び第2シャフト4711とを接続する分流配管である。第1配管2441は、蒸発部23から排出された作動流体のうち、一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4512に導き、他の一部の作動流体を第2冷媒として第2冷却路4712に導く。本実施形態では、第1配管2441は、分流した一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4512に導き、残りの作動流体を第2冷媒として第2冷却路4712に導く。
第2配管2442は、ハウジング41の流通部4111と、第1案内部412の第1流入部4122とを接続する。第2配管2442は、第1冷却路4512を流通した第1冷媒と第2冷却路4712を流通した第2冷媒とが機構室S1にて合流した冷媒を、第1案内部412に導く。
【0057】
[各冷却路を流通する冷媒による作用]
第1配管2441によって、一部の作動流体である第1冷媒が第1冷却路4512を流通し、残りの作動流体である第2冷媒が第2冷却路4712を流通する。これにより、第1シャフト4511及び第2シャフト4711が冷却され、ひいては、第1モーター45A及び第2モーター47Aが冷却される。このため、熱によって第1モーター45A及び第2モーター47Aのそれぞれのモーター効率が低下することが抑制される。
【0058】
ここで、第1冷却路4512を流通する第1冷媒は、第1モーター45Aから第2モーター47Aに向かう+X方向に流通し、第2冷却路4712を流通する第2冷媒は、第2モーター47Aから第1モーター45Aに向かう-X方向に流通する。更に、容積型機械4Aの駆動時には、第1シャフト4511と第2シャフト4711とは、互いに反対方向に回転する。このため、第1冷却路4512内を流通する第1冷媒と、第2冷却路4712内を流通する第2冷媒とは、互いに反対方向に渦を巻くように流通する。具体的に、第1冷却路4512を流通する第1冷媒が渦を巻く方向と、第2冷却路4712を流通する第2冷媒が渦を巻く方向とのうち、一方の方向は、+X方向から見て時計回りであり、他方の方向は、+X方向から見て反時計回りである。
このため、第1冷却路4512を第1冷媒が流通することによって生じるモーメントと、第2冷却路4712を第2冷媒が流通することによって生じるモーメントとのうち、一方のモーメントを他方のモーメントによって低減できる。
【0059】
更に、本実施形態では、第1冷却路4512を流通する第1冷媒の流速と、第2冷却路4712を流通する第2冷媒の流速とは、同じであり、第1冷却路4512の内径と、第2冷却路4712の内径とは同じである。このため、第1冷却路4512を第1冷媒が流通することによって生じるモーメントの大きさと、第2冷却路4712を第2冷媒が流通することによって生じるモーメントの大きさとが同じになるため、各モーメントを互いに相殺できる。なお、上記のように「同じ」とは、同一である場合の他、同一と認識可能な程度の差分が発生する場合も含む。
従って、第1冷媒及び第2冷媒が流通することによって容積型機械4Aに振動が発生することを抑制でき、ひいては、容積型機械4Aの騒音を低減できる。
【0060】
[接続管の構成]
容積型機械4Aは、図3に示すように、第1案内部412と第2案内部414とを接続して、第1案内部412にて圧縮された作動流体を第2案内部414に導く接続管48を備える。
接続管48は、第1案内部412の第1流出部4126と、第2案内部414の第2流入部4142とを接続する。第1ピストン部422によって第1圧力室S2にて圧縮された気相の作動流体は、第1流出部4126から接続管48内に流入し、接続管48を流通して、第2流入部4142から第2案内部414内に流入する。
そして、第2案内部414の第2圧力室S4にて、第2ピストン部423によって圧縮された気相の作動流体は、上記のように、第2流出部4146から第1接続配管241に流出し、第1接続配管241によって凝縮部21に流通する。
【0061】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る電子機器1は、以下の効果を奏する。
電子機器1は、温度調節装置2Aを備える。
温度調節装置2Aは、圧縮機3A、凝縮部21、膨張部22及び蒸発部23を備える。
凝縮部21は、圧縮機3Aによって圧縮された気相の作動流体を液相の作動流体に凝縮する。作動流体は、流体である。
膨張部22は、凝縮部21によって凝縮された液相の作動流体を減圧して、液相及び気相が混相した作動流体に変化させる。
蒸発部23は、温度調節対象CTと熱伝達可能に接続されている。蒸発部23は、膨張部22から流通する作動流体を、温度調節対象CTから伝達された熱によって気相の作動流体に変化させ、変化された気相の作動流体を圧縮機3Aへ排出する。
【0062】
圧縮機3Aは、気相の作動流体を圧縮する。圧縮機3Aは、容積型機械4Aを備える。
容積型機械4Aは、ハウジング41、スライド部材42、連結部材43、第1回転部材44、第1モーター45A、第2回転部材46及び第2モーター47Aを備える。
ハウジング41は、筒状の第1案内部412及び筒状の第2案内部414を有する。第1案内部412の内部には、第1圧力室S2が設けられ、第2案内部414の内部には、第2圧力室S4が設けられている。第1案内部412及び第2案内部414は、案内部に相当し、第1圧力室S2及び第2圧力室S4は、圧力室に相当する。
スライド部材42は、+Y方向に沿ってスライドする。スライド部材42は、第1案内部412内に配置されて、第1圧力室S2に流入した作動流体を圧縮する第1ピストン部422と、第2案内部414内に配置されて、第2圧力室S4に流入した作動流体を圧縮する第2ピストン部423と、を有する。+Y方向は、第1方向に相当する。
連結部材43は、スライド部材42に連結され、+X方向に延びる。+X方向は、第1方向に交差する第2方向に相当する。
第1回転部材44は、連結部材43の第1端部431に接続され、+X方向に沿う第1回転軸Rx1を中心に回転する。第1端部431は、連結部材43の一端に相当する。
第2回転部材46は、連結部材43の第2端部432に接続され、+X方向に沿う第2回転軸Rx2を中心に、第1回転部材44の回転方向とは反対方向に回転する。第2端部432は、連結部材43の他端に相当する。
【0063】
第1モーター45Aは、第1回転軸Rx1を中心に回転する第1ローター部451を有する。第1ローター部451は、第1回転軸Rx1に沿って延在し、第1回転部材44に接続される第1シャフト4511を有する。第1シャフト4511は、第1冷媒が流通する第1冷却路4512を有する。
第2モーター47Aは、第2回転軸Rx2を中心に、第1回転部材44の回転方向とは反対方向に回転する第2ローター部471を有する。第2ローター部471は、第2回転軸Rx2に沿って延在し、第2回転部材46に接続される第2シャフト4711を有する。第2シャフト4711は、第2冷媒が流通する第2冷却路4712を有する。
【0064】
このような構成によれば、第1冷媒によって第1シャフト4511、ひいては、第1モーター45Aを冷却でき、第2冷媒によって第2シャフト4711、ひいては、第2モーター47Aを冷却できる。従って、熱によって各モーター45A,47Aのモーター効率が低下することを抑制でき、容積型機械4Aの効率を高めることができる。
【0065】
また、第1冷媒は、第1シャフト4511の回転に伴って第1シャフト4511の回転方向に渦を巻くように第1冷却路4512を流通し、第2冷媒は、第2シャフト4711の回転に伴って第2シャフト4711の回転方向に渦を巻くように第2冷却路4712を流通する。これに対し、第1シャフト4511を有する第1ローター部451の回転方向と、第2シャフト4711を有する第2ローター部471の回転方向とが互いに反対方向であることから、第1冷却路4512において第1冷媒が渦を巻く方向と、第2冷却路4712において第2冷媒が渦を巻く方向とが、+X方向から見て互いに反対方向となる。これにより、第1冷却路4512を第1冷媒が流通することによって生じるモーメントと、第2冷却路4712を第2冷媒が流通することによって生じるモーメントとのうち、一方のモーメントを他方のモーメントによって低減できる。従って、各モーター45A,47Aに冷媒が流通することによる振動を抑制でき、振動によって生じる騒音を低減できる。
このような容積型機械4Aを備える圧縮機3Aは、圧縮機3Aによる流体の圧縮効率を高めることができる他、圧縮機3Aの振動及び騒音を低減できる。これにより、動作時の振動及び騒音を低減可能な温度調節装置2A及び電子機器1を構成できる。
【0066】
容積型機械4Aでは、ハウジング41は、機構室S1と、流通部4111とを有する。
機構室S1は、連結部材43、第1回転部材44及び第2回転部材46を収容し、第1冷却路4512を流通した第1冷媒と第2冷却路4712を流通した第2冷媒とを合流させる。すなわち、機構室S1にて、第1冷却路4512を流通した第1冷媒と、第2冷却路4712を流通した第2冷媒とが合流する。
流通部4111は、機構室S1にて第1冷媒と第2冷媒とが合流した冷媒を機構室S1の外部に排出する。合流した第1冷媒及び第2冷媒は、合流冷媒に相当する。
このような構成によれば、機構室S1を利用して、第1冷媒と第2冷媒とを合流させることができ、流通部4111によって、合流された冷媒を機構室S1の外部に排出できる。従って、各冷却路4512,4712を流通した冷媒を合流させて排出する容積型機械4Aを構成できる。
【0067】
容積型機械4Aでは、第1冷媒は、+X方向に沿って第1冷却路4512を流通する。+X方向は、第1モーター45Aから第2モーター47Aに向かう第3方向に相当する。第2冷媒は、-X方向に沿って第2冷却路4712を流通する。-X方向は、第2モーター47Aから第1モーター45Aに向かう第4方向に相当する。
このような構成によれば、第1冷媒が流通することによって発生するモーメントと、第2冷媒が流通することによって発生するモーメントとのうち、一方のモーメントを他方のモーメントによって低減できる。従って、容積型機械4Aの振動及び騒音を低減できる。
【0068】
容積型機械4Aでは、第1冷却路4512における第1冷媒の流速と、第2冷却路4712における第2冷媒の流速とは、同じである。
このような構成によれば、第1冷却路4512を第1冷媒が流通することによって発生するモーメントと、第2冷却路4712を第2冷媒が流通することによって発生するモーメントとを一致させることができる。従って、各モーメントを互いに相殺させやすくすることができ、容積型機械4Aの振動及び騒音を効果的に低減できる。
【0069】
温度調節装置2Aは、第1配管2441及び第2配管2442を備える。
第1配管2441は、蒸発部23から排出された作動流体のうち、一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4512に導き、他の一部の作動流体を第2冷媒として第2冷却路4712に導く。
第2配管2442は、第1冷却路4512を流通した第1冷媒と第2冷却路4712を流通した第2冷媒とを第1案内部412に導く。
このような構成によれば、蒸発部23から排出されて、第1圧力室S2が設けられた第1案内部412に流通する作動流体を第1冷媒及び第2冷媒として用いることができる。これにより、第1冷却路4512に第1冷媒を流通させる構成、及び、第2冷却路4712に第2冷媒を流通させる構成を別途設ける必要がない。これにより、温度調節装置2Aの構成が増加することを抑制できる。
また、各冷却路4512,4712にて第1冷媒及び第2冷媒に伝達される熱によって、第1案内部412に導入される作動流体を気化させることができる。従って、第1案内部412に気相の作動流体を流通させやすくすることができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子機器は、第1実施形態に係る電子機器1と同様の構成を備えるが、容積型機械の各冷却路に冷媒を流通させる構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
[電子機器及び温度調節装置の構成]
図4は、本実施形態に係る電子機器が備える温度調節装置2Bの一部を示す模式図である。
本実施形態に係る電子機器は、温度調節装置2Aに代えて、図4に一部を示す温度調節装置2Bを備える他は、第1実施形態に係る電子機器1と同様の構成及び機能を備える。
温度調節装置2Bは、複数の接続配管24Aに代えて複数の接続配管24Bと循環冷却部5とを備える他は、温度調節装置2Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、図4では一部の構成の図示を省略するが、温度調節装置2Bは、圧縮機3A、凝縮部21、膨張部22、蒸発部23、複数の接続配管24B及び循環冷却部5を備える。なお、圧縮機3Aは、上記した容積型機械4Aを備える。
【0072】
[複数の接続配管の構成]
複数の接続配管24Bは、第4接続配管244に代えて第4接続配管245を含む他は、第1実施形態に係る複数の接続配管24Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、複数の接続配管24Bは、第1接続配管241、第2接続配管242、第3接続配管243及び第4接続配管245を含む。
第4接続配管245は、蒸発部23と圧縮機3Aとを接続し、蒸発部23から排出された気相の作動流体を圧縮機3Aに流通させる。詳述すると、第4接続配管245は、蒸発部23と、容積型機械4Aの第1流入部4122とを接続し、蒸発部23から排出された気相の作動流体を第1流入部4122に流通させる。
なお、第1接続配管241は、容積型機械4Aの第2流出部4146と凝縮部21とを接続し、第2流出部4146から排出された気相の作動流体を凝縮部21に流通させる。
【0073】
[循環冷却部の構成]
循環冷却部5は、第1冷却路4512及び第2冷却路4712に流通する冷媒を循環させて、各モーター45A,47Aを冷却する。循環冷却部5は、熱交換器51、配管52、ポンプ53、第1配管54及び第2配管55を備える。
熱交換器51は、第2配管55から流通する冷媒から受熱し、受熱した熱を放熱することによって冷媒を冷却する。熱交換器51は、配管52を介してポンプ53と接続され、冷却した冷媒をポンプ53に流通させる。
ポンプ53は、熱交換器51、第1配管54及び第2配管55にて冷媒を循環させる。具体的に、ポンプ53は、熱交換器51にて冷却された冷媒を、第1配管54に圧送して、循環冷却部5にて冷媒を循環させる。
【0074】
第1配管54は、ポンプ53によって送出された冷媒を、第1冷却路4512及び第2冷却路4712に分流する分流配管である。すなわち、第1配管54は、熱交換器51を流通した冷媒を、第1冷却路4512及び第2冷却路4712に分流する。
詳述すると、第1配管54は、ポンプ53と、第1シャフト4511及び第2シャフト4711とを接続する。第1配管54は、ポンプ53から流通する冷媒のうち、一部の冷媒を第1冷媒として第1冷却路4512に流通させ、他の一部の冷媒を第2冷媒として第2冷却路4712に流通させる。本実施形態では、第1配管54は、ポンプ53から流通する冷媒のうち、一部の冷媒を第1冷媒として第1冷却路4512に流通させ、残りの冷媒を第2冷媒として第2冷却路4712に流通させる。
【0075】
第2配管55は、ハウジング41の流通部4111と熱交換器51とを接続する。第1冷却路4512を流通した第1冷媒と、第2冷却路4712を流通した第2冷媒とは、機構室S1内にて合流し、合流した冷媒は、第2配管55によって熱交換器51に流通する。
このように、循環冷却部5では、熱交換器51、配管52、ポンプ53、第1配管54、第1冷却路4512、第2冷却路4712、収容部411内の機構室S1、流通部4111及び第2配管55を循環する冷媒によって、第1モーター45A及び第2モーター47Aを冷却する。
【0076】
なお、上記した循環冷却部5の構成では、ポンプ53は、配管52を介して熱交換器51と接続されるとともに、第2配管55と接続される位置に設けられている。しかしながら、これに限らず、ポンプ53は、熱交換器51と第1配管54との間に設けられ、熱交換器51から流通する冷媒を、第1配管54を介して各冷却路4512,4712に送出してもよい。
【0077】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る電子機器は、第1実施形態に係る電子機器1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
温度調節装置2Aは、循環冷却部5を備える。
循環冷却部5は、熱交換器51、ポンプ53及び第1配管54を備える。
熱交換器51は、流通する冷媒の熱を受熱し、受熱した熱を放熱する。
第1配管54は、分流配管に相当する。第1配管54は、熱交換器51を流通した冷媒のうち、一部の冷媒を第1冷媒として第1冷却路4512に流通させ、他の一部の冷媒を第2冷媒として第2冷却路4712に流通させる。
ポンプ53は、熱交換器51と第1配管54にて冷媒を循環させる。
このような構成によれば、熱交換器51にて冷却された冷媒を第1冷媒及び第2冷媒として第1冷却路4512及び第2冷却路4712に流通させることができる。従って、より温度の低い冷媒を各冷却路4512,4712に流通させることができるので、各モーター45A,47Aの冷却効率を高めることができ、各モーター45A,47Aのモーター効率を高めることができる。
【0078】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子機器は、第1実施形態に係る電子機器1と同様の構成を備えるが、各シャフトの他に冷媒が流通する流路が各モーターのケースに設けられている点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
[電子機器及び温度調節装置の構成]
図5は、本実施形態に係る電子機器が備える温度調節装置2Cの一部を示す模式図である。
本実施形態に係る電子機器は、温度調節装置2Aに代えて、図5に示す温度調節装置2Cを備える他は、第1実施形態に係る電子機器1と同様の構成及び機能を備える。
温度調節装置2Cは、複数の接続配管24Aと圧縮機3Aとに代えて、複数の接続配管24Cと圧縮機3Cとを備える他は、第1実施形態に係る温度調節装置2Aと同様の構成及び機能を備える。
なお、複数の接続配管24Cについては、後に詳述する。
【0080】
[圧縮機の構成]
図6は、圧縮機3Cを示す断面図である。
圧縮機3Cは、第1実施形態に係る圧縮機3Aと同様に、蒸発部23から流入する気相の作動流体を圧縮することによって、気相の作動流体を高温化及び高圧化する。作動流体は、圧縮機3Cが圧縮する流体である。圧縮機3Cは、容積型機械4Aに代えて容積型機械4Cを備える。
容積型機械4Cは、第1モーター45A及び第2モーター47Aに代えて、第1モーター45C及び第2モーター47Cを備える他は、第1実施形態に係る容積型機械4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、容積型機械4Cは、ハウジング41、スライド部材42、連結部材43、第1回転部材44、第1モーター45C、第2回転部材46及び第2モーター47Cと、図5に示す接続管48と、を備える。
なお、本実施形態に係るハウジング41には、流通部4111が設けられていない。
【0081】
[第1モーターの構成]
第1モーター45Cは、第1モーター45Aと同様に、ハウジング41に固定されて、X軸に沿う第1回転軸Rx1を中心に第1回転部材44を回転させる。第1モーター45Cは、第1ローター部451及び第1ケース455に代えて、第1ローター部456及び第1ケース457を備える他は、第1モーター45Aと同様の構成及び機能を備える。
【0082】
[第1ローター部の構成]
第1ローター部456は、第1実施形態に係る第1ローター部451と同様に、第1ステーター部452によって第1回転軸Rx1を中心に第1ステーター部452に対して回転する。第1ローター部456は、第1シャフト4561及び第1磁石部4514を有する。
第1シャフト4561は、第1回転軸Rx1に沿って延在する軸部材である。-X方向の第1シャフト4561の端部は、第1配管2441と接続される。+X方向の第1シャフト4561の端部は、第1嵌合部444に挿入されて第1回転部材44と接続される。
第1シャフト4561は、第1冷却路4562及び第1排出部4563を有する。
【0083】
第1冷却路4562は、第1配管2441から供給される第1冷媒が流通する冷却路である。第1冷却路4562は、第1シャフト4561の中心軸に沿って第1シャフト4561の内部に設けられている。すなわち、第1冷却路4562は、第1シャフト4561の内部にX軸に沿って設けられ、第1冷媒は、第1シャフト4561の内部を流通する。-X方向の第1冷却路4562の端部は、-X方向の第1シャフト4561の端部に開口しており、+X方向の第1冷却路4562の端部は、第1排出部4563と接続されている。
【0084】
第1排出部4563は、+X方向の第1冷却路4562の端部から第1シャフト4561の中心軸に直交する方向に延出し、第1シャフト4561の外部に開口している。第1シャフト4561における第1排出部4563の位置は、第1ケース457内の位置である。詳述すると、第1排出部4563は、第1ケース457の後述する第1連通部4571に応じた位置に設けられている。第1排出部4563は、第1冷却路4562を+X方向に流通した第1冷媒を第1連通部4571に排出する。
【0085】
[第1ケースの構成]
第1ケース457は、第1連通部4571及び第1流路4572を更に有する他は、第1実施形態に係る第1ケース455と同様の構成及び機能を備える。
第1連通部4571及び第1流路4572は、第1ケース457において、先端側軸受部453に対する+X方向で、第1ケース457における+X方向の端部に対する-X方向の部分に設けられている。
第1連通部4571は、第1排出部4563に応じた位置に設けられ、第1回転軸Rx1を中心とする周方向に沿って第1シャフト4561の周囲を囲む。第1連通部4571は、回転する第1シャフト4561の第1排出部4563から排出された第1冷媒が流入する空間を形成する。第1連通部4571は、第1排出部4563を介して第1冷却路4562と第1流路4572とを連通させ、第1排出部4563から排出された第1冷媒を第1流路4572に導く。
【0086】
第1流路4572は、+X方向と交差する方向に第1連通部4571から延在し、第1冷却路4562と第1モーター45Cの外部とを連通させる。すなわち、第1流路4572は、第1回転軸Rx1に直交する方向に第1連通部4571から延在し、第1モーター45Cの外部に開口している。第1流路4572には、第1連通部4571及び第1排出部4563を介して第1冷却路4562から第1冷媒が流通し、第1冷媒は、第1流路4572から後述する第2配管2462に排出される。
【0087】
[第2モーターの構成]
第2モーター47Cは、スライド部材42に対して第1モーター45Cとは反対側の+X方向に設けられ、第2回転部材46を第2回転軸Rx2を中心に第1回転部材44の回転方向とは反対方向に回転させて、連結部材43及びスライド部材42を±Y方向に移動させる。
第2モーター47Cは、第2ローター部471及び第2ケース475に代えて、第2ローター部476及び第2ケース477を備える他は、第2モーター47Aと同様の構成及び機能を備える。そして、第2モーター47Cは、第1モーター45Cと互いに向かい合わせに配置される。すなわち、第2モーター47Cは、第1シャフト4561の第1回転軸Rx1と第2シャフト4761の第2回転軸Rx2とが平行で、かつ、先端側軸受部473が後端側軸受部454よりも先端側軸受部453に近くなるように配置される。
【0088】
[第2ローター部の構成]
第2ローター部476は、第1実施形態に係る第2ローター部471と同様に、第2ステーター部472によって第2回転軸Rx2を中心に第2ステーター部472に対して回転する。第2ローター部476は、第1シャフト4561と同様の第2シャフト4761と、第2磁石部4714と、を有する。
第2シャフト4761は、第2回転軸Rx2に沿って延在する軸部材である。+X方向の第2シャフト4761の端部は、後述する第1配管2441と接続される。-X方向の第2シャフト4761の端部は、第2嵌合部464に挿入されて第2回転部材46と接続される。
第2シャフト4761は、第2冷却路4762及び第2排出部4763を有する。
【0089】
第2冷却路4762は、第1配管2441から供給される第2冷媒が流通する冷却路である。第2冷却路4762は、第2シャフト4761の中心軸に沿って第2シャフト4761の内部に設けられている。すなわち、第2冷却路4762は、第2シャフト4761の内部にX軸に沿って設けられ、第2冷媒は、第2シャフト4761の内部を流通する。第2冷却路4762を流通する第2冷媒の流速は、第1冷却路4562を流通する第1冷媒の流速と同じであり、第2冷却路4712の内径は、第1冷却路4512の内径と同じである。
+X方向の第2冷却路4762の端部は、+X方向の第2シャフト4761の端部に開口しており、-X方向の第2冷却路4762の端部は、第2排出部4763と接続されている。
【0090】
第2排出部4763は、-X方向の第2冷却路4762の端部から第2シャフト4761の中心軸に直交する方向に延出し、第2シャフト4761の外部に開口している。第2シャフト4761における第2排出部4763の位置は、第2ケース477内で、かつ、後述する第2連通部4771に応じた位置に設けられている。第2排出部4763は、第2冷却路4762を-X方向に流通した第2冷媒を第2連通部4771に排出する。
【0091】
[第2ケースの構成]
第2ケース477は、第2連通部4771及び第2流路4772を更に有する他は、第1実施形態に係る第2ケース475と同様の構成及び機能を備える。
第2連通部4771及び第2流路4772は、第2ケース477において、先端側軸受部473に対する-X方向で、第2ケース477における-X方向の端部に対する+X方向の部分に設けられている。
第2連通部4771は、第2排出部4763に応じた位置に設けられ、第2回転軸Rx2を中心とする周方向に沿って第2シャフト4761の周囲を囲む。第2連通部4771は、回転する第2シャフト4761の第2排出部4763から排出された第2冷媒が流入する空間を形成する。第2連通部4771は、第2排出部4763を介して第2冷却路4762と第2流路4772とを連通させ、第2排出部4763から排出された第2冷媒を第2流路4772に導く。
【0092】
第2流路4772は、+X方向と交差する方向に第2連通部4771から延在し、第2冷却路4762と第2モーター47Cの外部とを連通させる。すなわち、第2流路4772は、第2回転軸Rx2に直交する方向に第2連通部4771から延在し、第2モーター47Cの外部に開口している。第2流路4772には、第2連通部4771及び第2排出部4763を介して第2冷却路4762から第2冷媒が流通し、第2冷媒は、第2流路4772から後述する第2配管2462に排出される。
【0093】
[接続配管の構成]
複数の接続配管24Cは、第4接続配管244に代えて、図5に示す第4接続配管246を備える他は、複数の接続配管24Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、複数の接続配管24Cは、第1接続配管241、第2接続配管242、第3接続配管243及び第4接続配管246を含む。
第4接続配管246は、第1配管2441及び第2配管2462を備える。なお、第1配管2441は、第1実施形態に係る温度調節装置2Aでの場合と同様に、蒸発部23から排出された作動流体のうち、一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4562に導き、残りの作動流体を第2冷媒として第2冷却路4762に導く。
第2配管2462は、第1流路4572及び第2流路4772と、第1案内部412の第1流入部4122とを接続する合流配管である。第2配管2462は、第1冷却路4562を流通して第1流路4572から排出された第1冷媒と、第2冷却路4762を流通して第2流路4772から排出された第2冷媒とを合流させ、第1案内部412に導く。
【0094】
[各冷却路を流通する冷媒による作用]
第1配管2441によって、一部の作動流体である第1冷媒が第1冷却路4562を流通し、残りの作動流体である第2冷媒が第2冷却路4762を流通する。これにより、第1シャフト4561及び第2シャフト4761が冷却され、ひいては、第1モーター45C及び第2モーター47Cが冷却される。このため、熱によって第1モーター45C及び第2モーター47Cのそれぞれのモーター効率が低下することが抑制される。
【0095】
また、第1冷却路4562を流通する第1冷媒の流通方向と、第2冷却路4762を流通する第2冷媒の流通方向とは、互いに反対方向であり、第1シャフト4561と第2シャフト4761とは、互いに反対方向に回転する。このため、第1冷却路4562内を流通する第1冷媒と、第2冷却路4762内を流通する第2冷媒とは、互いに反対方向に渦を巻くように流通する。
このため、第2冷却路4762を第1冷媒が流通することによって生じるモーメントと、第2冷却路4762を第2冷媒が流通することによって生じるモーメントとのうち、一方のモーメントを他方のモーメントによって低減できる。
【0096】
更に、第1冷却路4562を流通する第1冷媒の流速と、第2冷却路4762を流通する第2冷媒の流速とは、同じであり、第1冷却路4562の内径と、第2冷却路4762の内径とは同じである。このため、第1冷却路4562を第1冷媒が流通することによって生じるモーメントの大きさと、第2冷却路4762を第2冷媒が流通することによって生じるモーメントの大きさとが同じになるため、各モーメントを互いに相殺できる。上記のように「同じ」とは、同一である場合の他、同一と認識可能な程度の差分が発生する場合も含む。
従って、第1冷媒及び第2冷媒が流通することによって容積型機械4Cに振動が発生することを抑制でき、ひいては、容積型機械4Cの騒音を低減できる。
【0097】
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る電子機器は、第1実施形態に係る電子機器1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
容積型機械4Cは、第1流路4572及び第2流路4772を備える。
第1流路4572は、+X方向と交差する方向に延在する。第1流路4572は、第1冷却路4562と容積型機械4Cの外部とを連通させる。第1流路4572には、第1冷却路4562から第1冷媒が流通する。
第2流路4772は、+X方向と交差する方向に延在する。第2流路4772は、第2冷却路4712と容積型機械4Cの外部とを連通させる。第2流路4772には、第2冷却路4762から第2冷媒が流通する。
【0098】
このような構成によれば、第1流路4572によって、第1冷却路4562と容積型機械4Cの外部とを連通させることができ、第2流路4772によって、第2冷却路4762と容積型機械4Cの外部とを連通させることができる。これにより、第1流路4572を介して容積型機械4Cの外部に第1冷媒を排出でき、第2流路4772を介して容積型機械4Cの外部に第2冷媒を排出できる。
【0099】
容積型機械4Cでは、第1モーター45Cは、第1シャフト4561の回転方向に沿って第1シャフト4561の周囲を囲む第1連通部4571を有する。第1連通部4571は、第1流路4572と連通し、第1連通部4571には、第1シャフト4561から第1冷媒が流入する。
第2モーター47Cは、第2シャフト4761の回転方向に沿って第2シャフト4761の周囲を囲む第2連通部4771を有する。第2連通部4771は、第2流路4772と連通し、第2連通部4771には、第2シャフト4761から第2冷媒が流入する。
第1シャフト4561は、第1連通部4571に開口し、第1冷却路4562を流通した第1冷媒を第1連通部4571に排出する第1排出部4563を有する。
第2シャフト4761は、第2連通部4771に開口し、第2冷却路4762を流通した第2冷媒を第2連通部4771に排出する第2排出部4763を有する。
このような構成によれば、第1シャフト4561が回転しても、第1流路4572と第1冷却路4562とを連通させることができ、第2シャフト4761が回転しても、第2流路4772と第2冷却路4762とを連通させることができる。従って、第1シャフト4561の回転時に第1冷媒を第1冷却路4562及び第1流路4572に流通させることができ、第2シャフト4761の回転時に第2冷媒を第2冷却路4762及び第2流路4772に流通させることができる。
【0100】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子機器は、第3実施形態に係る電子機器と同様の構成を備えるが、第2実施形態に係る循環冷却部5と同様の循環冷却部を備える点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
図7は、本実施形態に係る電子機器が備える温度調節装置2Dの一部を示す模式図である。
本実施形態に係る電子機器は、温度調節装置2Cに代えて、図7に一部を示す温度調節装置2Dを備える他は、第3実施形態に係る電子機器と同様の構成及び機能を備える。
温度調節装置2Dは、複数の接続配管24Cに代えて、複数の接続配管24Bと循環冷却部5Dを備える他は、温度調節装置2Cと同様の構成を備える。すなわち、温度調節装置2Dは、圧縮機3C、凝縮部21、膨張部22、蒸発部23、複数の接続配管24B及び循環冷却部5Dを備える。上記のように、複数の接続配管24Bのうち、第4接続配管245は、蒸発部23と圧縮機3Cの第1案内部412とを接続する。
【0102】
循環冷却部5Dは、第1冷却路4562及び第2冷却路4762に流通する冷媒を循環させて、圧縮機3Cのモーター45C,47Cを冷却する。循環冷却部5Dは、第2配管55に代えて、第2配管56を備える他は、第2実施形態に係る循環冷却部5と同様の構成及び機能を備える。すなわち、循環冷却部5Dは、熱交換器51、配管52、ポンプ53、第1配管54及び第2配管56を備える。なお、第1配管54は、熱交換器51を流通しポンプ53によって送出された冷媒を、第1冷却路4562及び第2冷却路4762に分流して流通させる。
第2配管56は、第1流路4572及び第2流路4772と、熱交換器51とを接続する合流配管である。第2配管56は、第1流路4572から排出された第1冷媒と、第2流路4772から排出された第2冷媒とを合流させ、合流させた冷媒を熱交換器51に流通させる。
なお、上記のように、ポンプ53は、熱交換器51と第1配管54との間に設けられていてもよい。
【0103】
[第4実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る電子機器は、上記第2及び第3実施形態に係る電子機器と同様の効果を奏することができる。
【0104】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記第1及び第2実施形態では、第1冷却路4512は、第1シャフト4511における-X方向の端部から+X方向の端部に亘って形成され、第2冷却路4712は、第2シャフト4711における-X方向の端部から+X方向の端部に亘って形成されているとした。上記第3及び第4実施形態では、第1冷却路4562は、第1シャフト4511における-X方向の端部から第1ケース457内における+X方向の部分に亘って形成されているとした。しかしながら、これに限らず、第1シャフトにおける第1冷却路の形成範囲は、適宜変更してよく、第2シャフトにおける第2冷却路の形成範囲も適宜変更可能である。
【0105】
上記各実施形態では、第1冷媒は、第1シャフト4511,4561における-X方向の端部から第1冷却路4512,4562内に流通し、第2冷媒は、第2シャフト4711,4761における+X方向の端部から第2冷却路4712,4762内に流通するとした。しかしながら、これに限らず、第1シャフトにおいて第1冷却路に第1冷媒を流入させる部分は、第1回転軸Rx1に沿う方向の第1シャフトの端部でなくてもよく、第2シャフトにおいて第2冷却路に第2冷媒を流入させる部分は、第2回転軸に沿う方向の第1シャフトの端部でなくてもよい。
【0106】
上記第3及び第4実施形態では、第1連通部4571及び第1流路4572は、第1モーター45Cの第1ケース457に設けられ、第2連通部4771及び第2流路4772は、第2モーター47Cの第2ケース477に設けられているとした。しかしながら、これに限らず、第1連通部及び第1流路と、第2連通部及び第2流路とのうち、少なくとも一方の連通部及び流路は、ハウジング41に設けられていてもよい。
更に、第1連通部及び第1流路と、第2連通部及び第2流路とがハウジング41に設けられている場合には、ハウジング41を構成する壁内に、第1流路を流通した第1冷媒と、第2流路を流通した第2冷媒とを合流させる合流部を設け、更にハウジング41に、合流部にて合流された第1冷媒及び第2冷媒をハウジング41の外部に排出する排出部を設けてもよい。
【0107】
上記第1及び第2実施形態では、第1冷却路4512を流通する第1冷媒の流通方向は、第1モーター45Aから第2モーター47Aに向かう+X方向であり、第2冷却路4712を流通する第2冷媒の流通方向は、第2モーター47Aから第1モーター45Aに向かう-X方向であるとした。上記第1及び第2実施形態では、第1冷却路4562を流通する第1冷媒の流通方向は、第1モーター45Cから第2モーター47Cに向かう+X方向であり、第2冷却路4762を流通する第2冷媒の流通方向は、第2モーター47Cから第1モーター45Cに向かう-X方向であるとした。しかしながら、これに限らず、第1冷却路4512,4562を流通する第1冷媒の流通方向は、第2モーター47A,47Cから第1モーター45A,45Cに向かう-X方向であり、第2冷却路4712,4762を流通する第2冷媒の流通方向は、第1モーター45A,45Cから第2モーター47A,47Cに向かう+X方向であってもよい。この場合、例えば第1実施形態では、第1配管2441は、蒸発部23から排出された作動流体をハウジング41の流通部4111に流通させ、第2配管2442は、各冷却路4512,4712を流通した各冷媒を合流させて第1案内部412に導いてもよい。例えば第3実施形態では、第1配管2441は、蒸発部23から排出された作動流体を各流路4572,4772に分流して流通させ、第2配管2462は、各冷却路4512,4712を流通した各冷媒を合流させて第1案内部412に導いてもよい。また例えば第2及び第4実施形態では、循環冷却部5Dにおける冷媒の流通方向を、上記した流通方向とは反対方向としてもよい。
また、第1冷却路4512,4562を流通する第1冷媒の流通方向と、第2冷却路4712,4762を流通する第2冷媒の流通方向とは、互いに同じ方向であってもよい。
【0108】
上記第1及び第2実施形態では、第1冷却路4512を流通する第1冷媒の流速と、第2冷却路4712を流通する第2冷媒の流速とは、同じであるとした。上記第3及び第4実施形態では、第1冷却路4562を流通する第1冷媒の流速と、第2冷却路4762を流通する第2冷媒の流速とは、同じであるとした。しかしながら、これに限らず、第1冷却路4512,4562を流通する第1冷媒の流速と、第2冷却路4712,4762を流通する第2冷媒の流速とは、異なっていてもよい。
【0109】
上記各実施形態では、第1冷却路4512,4562の内径と、第2冷却路4712,4762の内径とは、同じであるとした。しかしながら、これに限らず、第1冷却路4512,4562の内径と、第2冷却路4712,4762の内径とは、異なっていてもよい。
【0110】
上記第1実施形態では、蒸発部23から排出された作動流体のうち、一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4512に流通させ、残りの作動流体を第2冷媒として第2冷却路4712に流通させるとした。上記第3実施形態では、蒸発部23から排出された作動流体のうち、一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4562に流通させ、残りの作動流体を第2冷媒として第2冷却路4762に流通させるとした。しかしながら、これに限らず、他に冷却対象が存在する場合には、蒸発部23から排出された作動流体のうち、一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4512,4562に流通させ、他の一部の作動流体を第2冷媒として第2冷却路4712,4762に流通させ、残りの作動流体を第3冷媒として他の冷却対象に流通させてもよい。更には、蒸発部23から排出された作動流体のうち、一部の作動流体を第1冷媒として第1冷却路4512,4562に流通させ、他の一部の作動流体を第2冷媒として第2冷却路4712,4762に流通させ、残りの作動流体を第1流入部4122に流通させてもよい。
また、第1冷却路4512と第2冷却路4712とを、作動流体が流通可能に直列に接続し、第1冷却路4512及び第2冷却路4712のうち、一方の冷却路を流通した作動流体を他方の冷却路に流通させてもよい。第1冷却路4562及び第2冷却路4762についても同様である。
【0111】
上記第2実施形態では、熱交換器51によって冷却された冷媒のうち、一部の冷媒を第1冷媒として第1冷却路4512に流通させ、残りの冷媒を第2冷媒として第2冷却路4712に流通させるとした。上記第4実施形態では、熱交換器51によって冷却された冷媒のうち、一部の冷媒を第1冷媒として第1冷却路4562に流通させ、残りの冷媒を第2冷媒として第2冷却路4762に流通させるとした。しかしながら、これに限らず、他に冷却対象が存在する場合には、熱交換器51によって冷却された冷媒のうち、一部の冷媒を第1冷媒として第1冷却路4512,4562に流通させ、他の一部の冷媒を第2冷媒として第2冷却路4712,4762に流通させ、残りの冷媒を第3冷媒として他の冷却対象に流通させてもよい。
また、第1冷却路4512と第2冷却路4712とを、作動流体が流通可能に直列に接続し、第1冷却路4512及び第2冷却路4712のうち、一方の冷却路を流通した冷媒を他方の冷却路に流通させてもよい。第1冷却路4512及び第2冷却路4712についても同様である。
また、第1冷却路4512,4562を流通する第1冷媒と、第2冷却路4712,4762を流通する第2冷媒とを、異なる熱交換器51によって冷却してもよい。すなわち、温度調節装置は、第1冷媒が循環する熱交換器及びポンプを有する第1冷却系と、第2冷媒が循環する熱交換器及びポンプを有する第2冷却系と、を備えていてもよい。
【0112】
上記第2実施形態では、熱交換器51、配管52、ポンプ53、第1配管54及び第2配管55は、温度調節装置2Bを構成するとした。上記第4実施形態では、熱交換器51、配管52、ポンプ53、第1配管54及び第2配管56は、温度調節装置2Dを構成するとした。しかしながら、これに限らず、熱交換器51、配管52、ポンプ53、第1配管54及び第2配管55,56は、容積型機械4A,4C又は圧縮機3A,3Cを構成するものとしてもよい。
【0113】
上記各実施形態では、スライド部材42は、ロッド421における+Y方向の端部に設けられた第1ピストン部422と、ロッド421において第1ピストン部422とは反対側の端部に設けられた第2ピストン部423と、を備えるとした。しかしながら、これに限らず、スライド部材42は、第1ピストン部422及び第2ピストン部423のうち1つのピストン部を備える構成としてもよい。この場合、スライド部材42が、例えば第2ピストン部423を備えない場合には、容積型機械4A,4Cのハウジング41は、第2案内部414、第2区画部415、第2圧力室S4及び第2作動室S5を省略できる。
【0114】
上記各実施形態では、容積型機械4A,4Cは、圧縮機3A,3Cを構成するとした。しかしながら、発電機を構成する容積型機械に、本開示を適用してもよい。すなわち、本開示の容積型機械は、気体を圧縮する圧縮機を構成するものに限定されない。
上記実施形態では、圧縮機3A,3Cは、液相と気相との間で相変化する作動流体を圧縮するものとした。しかしながら、本開示の圧縮機が圧縮する気体は、冷媒としての作動流体に限らない。また、圧縮機3A,3Cは、温度調節装置2A~2Dを構成するものとした。しかしながら、これに限らず、本開示の圧縮機は、他の装置を構成するものとしてもよく、単体で利用してもよい。
【0115】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
[付記1]
圧力室が内部に設けられた筒状の案内部を有するハウジングと、
前記案内部内に配置されたピストン部を有し、第1方向に沿ってスライドするスライド部材と、
前記スライド部材に連結され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる連結部材と、
前記連結部材の一端に接続され、前記第2方向に沿う第1回転軸を中心に回転する第1回転部材と、
前記連結部材の他端に接続され、前記第2方向に沿う第2回転軸を中心に、前記第1回転部材の第1回転方向とは反対方向に回転する第2回転部材と、
前記第1回転軸を中心に回転する第1ローター部を有する第1モーターと、
前記第2回転軸を中心に、前記第1回転方向とは反対方向に回転する第2ローター部を有する第2モーターと、
を備え、
前記第1ローター部は、前記第1回転軸に沿って延在し、前記第1回転部材に接続される第1シャフトを有し、
前記第1シャフトは、第1冷媒が流通する第1冷却路を有し、
前記第2ローター部は、前記第2回転軸に沿って延在し、前記第2回転部材に接続される第2シャフトを有し、
前記第2シャフトは、第2冷媒が流通する第2冷却路を有する、
ことを特徴とする容積型機械。
【0116】
このような構成によれば、第1モーターの第1シャフトは、第1冷媒が流通する第1冷却路を有し、第2モーターの第2第2シャフトは、第2冷媒が流通する第2冷却路を有する。これによれば、第1冷媒によって第1シャフト、ひいては、第1モーターを冷却でき、第2冷媒によって第2シャフト、ひいては、第2モーターを冷却できる。従って、熱によって各モーターのモーター効率が低下することを抑制でき、容積型機械の効率を高めることができる。
また、第1冷媒は、第1シャフトの回転に伴って第1シャフトの回転方向に渦を巻くように第1冷却路を流通し、第2冷媒は、第2シャフトの回転に伴って第2シャフトの回転方向に渦を巻くように第2冷却路を流通する。これに対し、第1シャフトを有する第1ローター部の回転方向と、第2シャフトを有する第2ローター部の回転方向とが互いに反対方向であることから、第1冷却路において第1冷媒が渦を巻く方向と、第2冷却路において第2冷媒が渦を巻く方向とが、第2方向から見て互いに反対方向となる。これにより、第1冷却路を第1冷媒が流通することによって生じるモーメントと、第2冷却路を第2冷媒が流通することによって生じるモーメントとのうち、一方のモーメントを他方のモーメントによって低減できる。従って、各モーターに冷媒が流通することによる振動を抑制でき、振動によって生じる騒音を低減できる。
【0117】
[付記2]
付記1に記載の容積型機械において、
前記ハウジングは、
前記第1回転部材、前記第2回転部材及び前記連結部材を収容し、前記第1冷却路を流通した前記第1冷媒と前記第2冷却路を流通した前記第2冷媒とが合流する機構室と、
前記機構室にて前記第1冷媒と前記第2冷媒とが合流した合流冷媒を前記機構室の外部に排出する流通部と、を有する、
ことを特徴とする容積型機械。
このような構成によれば、機構室を利用して、第1冷媒と第2冷媒とを合流させることができ、流通部によって、合流された冷媒を機構室の外部に排出できる。従って、各冷却路を流通した冷媒を合流させて排出する容積型機械を構成できる。
【0118】
[付記3]
付記1に記載の容積型機械において、
前記第2方向と交差する方向に延在し、前記第1冷却路と前記容積型機械の外部とを連通させ、前記第1冷却路から前記第1冷媒が流通する第1流路と、
前記第2方向と交差する方向に延在し、前記第2冷却路と前記容積型機械の外部とを連通させ、前記第2冷却路から前記第2冷媒が流通する第2流路と、を備える、
ことを特徴とする容積型機械。
【0119】
このような構成によれば、第1冷却路を流通した第1冷媒を、第1流路を介して容積型機械の外部に排出でき、第2冷却路を流通した第2冷媒を第2流路を介して容積型機械の外部に排出できる。
【0120】
[付記4]
付記3に記載の容積型機械において、
前記第1モーターは、前記第1シャフトの回転方向に沿って前記第1シャフトの周囲を囲み、前記第1流路と連通して、前記第1シャフトから前記第1冷媒が流入する第1連通部を有し、
前記第2モーターは、前記第2シャフトの回転方向に沿って前記第2シャフトの周囲を囲み、前記第2流路と連通して、前記第2シャフトから前記第2冷媒が流入する第2連通部を有し、
前記第1シャフトは、前記第1連通部に開口し、前記第1冷却路を流通した前記第1冷媒を前記第1連通部に排出する第1排出部を有し、
前記第2シャフトは、前記第2連通部に開口し、前記第2冷却路を流通した前記第2冷媒を前記第2連通部に排出する第2排出部を有する、
ことを特徴とする容積型機械。
【0121】
このような構成によれば、第1シャフトが回転しても、第1流路と第1冷却路とを連通させることができ、第2シャフトが回転しても、第2流路と第2冷却路とを連通させることができる。従って、第1シャフトの回転時に第1冷媒を第1冷却路及び第1流路に流通させることができ、第2シャフトの回転時に第2冷媒を第2冷却路及び第2流路に流通させることができる。
【0122】
[付記5]
付記1から付記4のいずれか1つに記載の容積型機械において、
前記第1冷媒は、前記第1モーターから前記第2モーターに向かう第3方向と、前記第2モーターから前記第1モーターに向かう第4方向とのうち一方の方向に沿って前記第1冷却路を流通し、
前記第2冷媒は、前記第3方向と前記第4方向とのうち他方の方向に沿って前記第2冷却路を流通することを特徴とする容積型機械。
このような構成によれば、第1冷媒が流通することによって発生するモーメントと、第2冷媒が流通することによって発生するモーメントとのうち、一方のモーメントを他方のモーメントによって低減できる。従って、容積型機械の振動及び騒音を低減できる。
【0123】
[付記6]
付記1から付記5のいずれか1つに記載の容積型機械において、
前記第1冷却路における前記第1冷媒の流速と、前記第2冷却路における前記第2冷媒の流速とは、同じである、
ことを特徴とする容積型機械。
このような構成によれば、第1冷却路を第1冷媒が流通することによって発生するモーメントと、第2冷却路を第2冷媒が流通することによって発生するモーメントとを一致させることができる。従って、各モーメントを互いに相殺させやすくすることができ、容積型機械の振動及び騒音を効果的に低減できる。
【0124】
[付記7]
付記1から付記6のいずれか1つに記載の容積型機械を備え、
前記ピストン部は、前記圧力室に流入した流体を圧縮する、
ことを特徴とする圧縮機。
このような構成によれば、上記容積型機械と同様の効果を奏することができる。従って、圧縮機による流体の圧縮効率を高めることができる他、圧縮機の振動及び騒音を低減できる。
【0125】
[付記8]
気相の前記流体を圧縮する、付記7に記載の圧縮機と、
前記圧縮機によって圧縮された気相の前記流体を液相の前記流体に凝縮する凝縮部と、
前記凝縮部によって凝縮された液相の前記流体を減圧して、液相及び気相が混相した前記流体に変化させる膨張部と、
温度調節対象と熱伝達可能に接続され、前記膨張部から流通する前記流体を、前記温度調節対象から伝達された熱によって気相の前記流体に変化させ、変化された気相の前記流体を前記圧縮機へ排出する蒸発部と、
を備えることを特徴とする温度調節装置。
このような構成によれば、上記圧縮機と同様の効果を奏することができる他、動作時の振動及び騒音を低減可能な温度調節装置を構成できる。
【0126】
[付記9]
付記8に記載の温度調節装置において、
前記蒸発部から排出された前記流体のうち、一部の前記流体を前記第1冷媒として前記第1冷却路に導き、他の一部の前記流体を前記第2冷媒として前記第2冷却路に導く第1配管と、
前記第1冷却路を流通した前記第1冷媒と前記第2冷却路を流通した前記第2冷媒とを前記案内部に導く第2配管と、を備える、
ことを特徴とする温度調節装置。
【0127】
このような構成によれば、蒸発部から排出されて、圧力室が設けられた案内部に流通する作動流体を第1冷媒及び第2冷媒として用いることができる。これにより、第1冷却路に第1冷媒を流通させる構成、及び、第2冷却路に第2冷媒を流通させる構成を別途設ける必要がない。これにより、温度調節装置の構成が増加することを抑制できる。
また、各冷却路にて第1冷媒及び第2冷媒に伝達される熱によって、案内部に導入される作動流体を気化させることができる。従って、案内部に気相の作動流体を流通させやすくすることができる。
【0128】
[付記10]
付記8に記載の温度調節装置において、
流通する冷媒から受熱し、受熱した熱を放熱する熱交換器と、
前記熱交換器を流通した前記冷媒のうち、一部の前記冷媒を前記第1冷媒として前記第1冷却路に流通させ、他の一部の前記冷媒を前記第2冷媒として前記第2冷却路に流通させる分流配管と、
前記熱交換器及び前記分流配管にて前記冷媒を循環させるポンプと、
を備える、
ことを特徴とする温度調節装置。
【0129】
このような構成によれば、熱交換器にて冷却された冷媒を第1冷媒及び第2冷媒として第1冷却路及び第2冷却路に流通させることができる。従って、より温度の低い冷媒を各冷却路に流通させることができるので、各モーターの冷却効率を高めることができ、各モーターのモーター効率を高めることができる。
【0130】
[付記11]
付記8から付記10のいずれか1つに記載の温度調節装置を備える、ことを特徴とする電子機器。
このような構成によれば、上記温度調節装置と同様の効果を奏することができ、動作時の振動を低減可能な電子機器を構成できる。
【符号の説明】
【0131】
1…電子機器、2A,2B,2C,2D…温度調節装置、21…凝縮部、22…膨張部、23…蒸発部、24A,24B,24C…接続配管、241…第1接続配管、242…第2接続配管、243…第3接続配管、244…第4接続配管、2441…第1配管、2442…第2配管、245…第4接続配管、246…第4接続配管、2462…第2配管、3A,3C…圧縮機、4A,4C…容積型機械、41…ハウジング、411…収容部、4111…流通部、412…第1案内部、4121…第1スリーブ、4122…第1流入部、4123…第1隔壁、4124…貫通孔、4125…第1吐出弁、4126…第1流出部、413…第1区画部、4131…連通孔、4132…配置部、414…第2案内部、4141…第2スリーブ、4142…第2流入部、4143…第2隔壁、4144…貫通孔、4145…第2吐出弁、4146…第2流出部、415…第2区画部、4151…連通孔、4152…配置部、42…スライド部材、421…ロッド、422…第1ピストン部(ピストン部)、4221…流路、4222…吸入弁、423…第2ピストン部(ピストン部)、4231…流路、4232…吸入弁、43…連結部材、431…第1端部、432…第2端部、44…第1回転部材、441…第1ウェイト、442…第1配置部、443…第1軸受部、444…第1嵌合部、45A,45C…第1モーター、451…第1ローター部、4511…第1シャフト、4512…第1冷却路、4514…第1磁石部、452…第1ステーター部、4521…第1コイル部、4522…第1ステーターホルダー、453…先端側軸受部、454…後端側軸受部、455…第1ケース、4551…先端側ケース、4552…後端側ケース、456…第1ローター部、4561…第1シャフト、4562…第1冷却路、4563…第1排出部、457…第1ケース、4571…第1連通部、4572…第1流路、46…第2回転部材、461…第2ウェイト、462…第2配置部、463…第2軸受部、464…第2嵌合部、47A,47C…第2モーター、471…第2ローター部、4711…第2シャフト、4712…第2冷却路、4714…第2磁石部、472…第2ステーター部、4721…第2コイル部、4722…第2ステーターホルダー、473…先端側軸受部、474…後端側軸受部、475…第2ケース、4751…先端側ケース、4752…後端側ケース、476…第2ローター部、4761…第2シャフト、4762…第2冷却路、4763…第2排出部、477…第2ケース、4771…第2連通部、4772…第2流路、48…接続管、51…熱交換器、52…配管、53…ポンプ、54…第1配管、55,56…第2配管、S1…機構室、S2…第1圧力室、S3…第1作動室、S4…第2圧力室、S5…第2作動室。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7