(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013141
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】建物及び建物のセキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/20 20200101AFI20240124BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240124BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240124BHJP
E04H 1/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G07C9/20
E05B49/00 J
G08B25/04 H
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115116
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 晋也
【テーマコード(参考)】
2E025
2E250
3E138
5C087
【Fターム(参考)】
2E025AA03
2E250AA02
2E250BB08
2E250BB64
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
2E250GG06
3E138AA11
3E138GA02
3E138HA05
3E138HA06
3E138JA03
3E138JC05
3E138JC13
3E138JC14
3E138JD03
5C087AA32
5C087AA44
5C087DD05
5C087DD24
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF25
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG59
5C087GG66
5C087GG70
(57)【要約】
【課題】防犯性が担保され、利便性の確保と居住者のプライバシーの確保とを両立させることができる建物及び建物のセキュリティシステムを得る。
【解決手段】サービスの種類に応じて開放させる区画ドア36と閉止させる区画ドア36に分けることができる。そして、閉止された区画ドア36によって区画されたエリアが立ち入り可能エリアBとされ、立ち入り可能エリアB内での利用が可能となる。そして、立ち入り可能エリアBは閉止された区画ドア36によって区画されるため、入場者が閉止された区画ドア36を超えて立ち入り禁止エリアに進入しないようにすることができるため、防犯性が担保され、居住者のプライバシーを確保することができる。また、立ち入り可能エリアBにおいて開放させる区画ドア36のロック部56を一度に解錠させることができるため、利便性がよい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体内に設けられ、前記建物本体内における立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアを区画する複数の区画ドアと、
前記区画ドア毎に設けられ、解錠又は施錠により当該区画ドアをそれぞれ開閉可能とする複数のロック部と、
前記建物本体の管理者により、前記複数のロック部のうち解錠させる第1ロック部を設定可能な第1携帯端末と、
前記第1携帯端末の情報に基づき生成され前記建物本体内への入場者が携帯する第2携帯端末から送信された電子鍵情報を受信可能とされ、前記電子鍵情報の受信により前記第1ロック部を解錠させる制御部と、
を有する建物。
【請求項2】
前記第1携帯端末は、前記建物本体内への入場者毎に前記第1ロック部を設定可能とされる請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2携帯端末から送信された前記電子鍵情報の受信により前記複数のロック部のうち施錠させる第2ロック部を施錠させる請求項1に記載の建物。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1ロック部の解錠により前記第1携帯端末へ解錠情報を送信するように設定されている請求項1に記載の建物。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1ロック部の施錠により前記第1携帯端末へ施錠情報を送信するように設定されている請求項1に記載の建物。
【請求項6】
前記建物本体内に室内カメラが設けられ、
前記制御部は、前記第1ロック部の解錠により前記室内カメラを作動させるように設定されている請求項1に記載の建物。
【請求項7】
前記建物本体内にスピーカが設けられ、
前記制御部は、第1ロック部が設けられた区画ドア以外の区画ドアに対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、前記スピーカから警告音を発するように設定されている請求項1に記載の建物。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の建物と、
前記第1携帯端末の情報に基づき電子鍵情報を生成し、前記建物本体内への入場者が携帯する第2携帯端末に対して前記電子鍵情報を送信するサーバと、
を備え、
前記制御部は、前記第2携帯端末から送信された前記電子鍵情報の受信により前記第1ロック部を解錠させ、当該第1ロック部が設けられた前記区画ドアのみを開放させる建物のセキュリティシステム。
【請求項9】
前記制御部は、第1ロック部が設けられた区画ドア以外の区画ドアに対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、外部委託サーバに対して警告指示を送信するように設定されている請求項8に記載の建物のセキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物及び建物のセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、施錠制御システムに関する発明が開示されている。この施錠制御システムでは、キー識別子を取得して施解錠を行うと共に、当該キー識別子の情報を送信するロック親機と、キー識別子の情報を受信し受信した当該キー識別子の情報に基づいて施解錠の指示を送信する中継器と、施解錠の指示を受信し当該施解錠の指示に基づいて施解錠を行うロック子機と、を備えている。
【0003】
この先行技術では、ロック親機が設置された玄関扉を出入りする人が所持するキー識別子に応じたキー識別子の情報を中継器に送信する。中継器は、ロック親機からキー識別子の情報を受信し、受信したキー識別子の情報に基づいてロック子機に対して施解錠の指示を送信する。つまり、先行技術では、ロック子機が設置された内部扉をセキュリティレベルに応じて施解錠可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、先行技術では、玄関扉を出入りする人に対してセキュリティレベルを設定し、セキュリティレベルに合わせて内部扉の施錠又は解錠の設定を行っている。
【0006】
しかしながら、玄関扉に設けられたロック親機を解錠する際のキー識別子の情報に基づいて、中継器を介してロック子機にキー識別子が送信されるため、玄関扉は解錠されたものの電波障害等により、キー識別子の情報が中継器に送信されなかった場合、ロック子機が設置された内部扉は解錠された状態となってしまう可能性がある。この場合、防犯上の問題が生じる。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、防犯性が担保され、利便性の確保と居住者のプライバシーの確保とを両立させることができる建物及び建物のセキュリティシステムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る建物は、建物本体内に設けられ、前記建物本体内における立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアを区画する複数の区画ドアと、前記区画ドア毎に設けられ、解錠又は施錠により当該区画ドアをそれぞれ開閉可能とする複数のロック部と、前記建物本体の管理者により、前記複数のロック部のうち解錠させる第1ロック部を設定可能な第1携帯端末と、前記第1携帯端末の情報に基づき生成され前記建物本体内への入場者が携帯する第2携帯端末から送信された電子鍵情報を受信可能とされ、前記電子鍵情報の受信により前記第1ロック部を解錠させる制御部と、を有する。
【0009】
第1の態様に係る建物では、複数の区画ドアと、複数のロック部と、第1携帯端末及び制御部を備える。区画ドアは、建物本体内に複数設けられており、当該区画ドアによって、建物本体内における立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアが区画される。この区画ドアには、それぞれロック部が設けられており、ロック部の解錠又は施錠により区画ドアをそれぞれ開閉可能としている。
【0010】
また、本態様では、第1携帯端末は、建物本体の管理者により、複数のロック部のうち解錠させる第1ロック部を設定可能としている。このように、本態様では、第1ロック部が設定された第1携帯端末の情報に基づき電子鍵情報が生成される。そして、当該電子鍵情報は、建物本体内への入場者が携帯する第2携帯端末に送信される。
【0011】
一方、制御部は、当該第2携帯端末から送信された電子鍵情報を受信可能とされており、当該電子鍵情報の受信により第1ロック部を解錠させる。これにより、第1ロック部が設けられた区画ドアが開放可能とされる。
【0012】
一般に、宅配サービスと家事代行サービスとでは、建物本体内(建物内)において利用するエリアが異なる。宅配サービスの場合は、玄関のみの利用でサービスを受けることが可能である。一方、家事代行サービスの場合、例えば、お料理のサービスを受ける場合は、キッチンを利用することになるため、玄関からキッチンまでのエリアを立ち入り可能とする必要がある。つまり、受けるサービスの種類によって、建物内において立ち入りが必要とされるエリアが異なる。
【0013】
このため、本態様では、サービスの種類に応じて建物内の区画ドアを開放させる区画ドアと閉止させる区画ドアに分け、建物内を立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアに区画し、開放させる区画ドアのロック部(第1ロック部)を外部からの操作によって解錠可能としている。
【0014】
これにより、サービスの種類に応じて、サービスの提供者は、立ち入り可能エリア内での利用が可能となる。ここで、立ち入り可能エリアは閉止された区画ドアによって区画されるため、入場者が閉止された区画ドアを超えて立ち入り禁止エリアに進入しないようにすることができる。したがって、本態様では、防犯性が担保され、居住者のプライバシーを確保することができる。
【0015】
また、比較例として、例えば、玄関を第1電子錠、廊下を第2電子錠、キッチンを第3電子錠とした場合、家事代行サービスでは、まず第1電子錠を解錠させ、次に第2電子錠、第3電子錠と解錠させる必要があり、操作に手間が掛かる。
【0016】
これに対して、本態様では、建物内における立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアに対応して開放させる区画ドアと閉止させる区画ドアに分け、開放させる区画ドアのロック部(第1ロック部)を一度に解錠させることが可能であるため、その分の手間が省け、利便性が向上する。
【0017】
第2の態様に係る建物は、第1の態様に係る建物において、前記第1携帯端末は、前記建物本体内への入場者毎に前記第1ロック部を設定可能とされる。
【0018】
第2の態様に係る建物では、第1携帯端末によって、建物本体内への入場者毎に第1ロック部を設定可能とされるため、利便性が向上する。ここで、「建物本体内への入場者」とは、例えば、宅配サービス、家事代行サービス、介護サービス等、サービスの提供者以外に、居住者の友人、親戚等も含まれる。
【0019】
第3の態様に係る建物は、第1の態様に係る建物において、前記制御部は、前記第2携帯端末から送信された前記電子鍵情報の受信により前記複数のロック部のうち施錠させる第2ロック部を施錠させる。
【0020】
第3の態様に係る建物では、第2携帯端末から送信された電子鍵情報の受信により複数のロック部のうち施錠させる第2ロック部が施錠されることによって、居住者による立ち入り禁止エリアの区画ドアのロック部(第2ロック部)の施錠忘れを防ぐことができる。
【0021】
第4の態様に係る建物は、第1の態様に係る建物において、前記制御部は、前記第1ロック部の解錠により前記第1携帯端末へ解錠情報を送信するように設定されている。
【0022】
第4の態様に係る建物では、第1ロック部の解錠により第1携帯端末へ解錠情報が送信されることによって、建物の管理者は、建物外にいても建物内へ入場者が入場したことが分かるため、利便性が向上する。
【0023】
第5の態様に係る建物は、第1の態様に係る建物において、前記制御部は、前記第1ロック部の施錠により前記第1携帯端末へ施錠情報を送信するように設定されている。
【0024】
第5の態様に係る建物では、第1ロック部の施錠により第1携帯端末へ施錠情報が送信されることによって、建物の管理者は、建物外にいても入場者が建物本体外へ退場したことが分かるため、利便性が向上する。
【0025】
第6の態様に係る建物は、第1の態様に係る建物において、前記建物本体内に室内カメラが設けられ、前記制御部は、前記第1ロック部の解錠により前記室内カメラを作動させるように設定されている。
【0026】
第6の態様に係る建物では、建物本体内に室内カメラが設けられており、第1ロック部の解錠により室内カメラが作動するため、建物の管理者は入場者の動向を知ることができ、建物の防犯性を高めることができる。
【0027】
第7の態様に係る建物は、第1の態様に係る建物において、前記建物本体内にスピーカが設けられ、前記制御部は、第1ロック部が設けられた区画ドア以外の区画ドアに対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、前記スピーカから警告音を発するように設定されている。
【0028】
第7の態様に係る建物では、建物内にスピーカが設けられており、第1ロック部が設けられた区画ドア以外の区画ドア(開放させない区画ドア)に対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、スピーカから警告音が発せられる。これにより、開放させない区画ドアを入場者が誤って開放させようとした場合、入場者に警告を促すことができる。これにより、建物の防犯性を高めることができる。
【0029】
第8の態様に係る建物のセキュリティシステムは、請求項1~請求項7の何れか1項に記載の建物と、前記第1携帯端末の情報に基づき電子鍵情報を生成し、前記建物本体内への入場者が携帯する第2携帯端末に対して前記電子鍵情報を送信するサーバと、を備え、前記制御部は、前記第2携帯端末から送信された前記電子鍵情報の受信により前記第1ロック部を解錠させ、当該第1ロック部が設けられた前記区画ドアのみを開放させる。
【0030】
第8の態様に係る建物のセキュリティシステムでは、建物及びサーバを備え、サーバは、第1携帯端末の情報に基づき電子鍵情報を生成し、建物内への入場者が携帯する第2携帯端末に対して当該電子鍵情報を送信する。建物に設けられた制御部によって、第2携帯端末から送信された電子鍵情報の受信により第1ロック部は解錠され、当該第1ロック部が設けられた区画ドアのみが開放可能とされる。したがって、本態様では、防犯性が担保され、居住者のプライバシーを確保することができる。
【0031】
第9の態様に係る建物は、第8の態様に係る建物のセキュリティシステムにおいて、前記制御部は、第1ロック部が設けられた区画ドア以外の区画ドアに対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、外部委託サーバに対して警告指示を送信するように設定されている。
【0032】
第9の態様に係る建物では、第1ロック部が設けられた区画ドア以外の区画ドアに対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、外部委託サーバに対して警告指示が送信されるため、建物の防犯性をさらに高めることができる。ここで、「外部委託サーバ」とは、契約する警備会社等である。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、第1の態様に係る建物では、防犯性が担保され、利便性の確保と居住者のプライバシーの確保とを両立させることができる、という優れた効果を有する。
【0034】
第2の態様に係る建物では、建物本体への入場者毎に解錠する第1ロック部を設定することができるため、入場者毎に設定する第1ロック部を変えることができ、サービスの幅が広がり、利便性が向上する、という優れた効果を有する。
【0035】
第3の態様に係る建物では、施錠する第2ロック部の施錠忘れを防ぎ、防犯対策を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0036】
第4の態様に係る建物では、入場者の建物本体内への入場を通知することで、利便性が向上すると共に防犯対策を図ることができる、という優れた効果を有する。
【0037】
第5の態様に係る建物では、入場者の建物本体外への退場を通知することで、利便性が向上すると共に防犯対策を図ることができる、という優れた効果を有する。
【0038】
第6の態様に係る建物では、室内カメラにより入場者の動向を知ることで、建物の防犯性をさらに高めることができる、という優れた効果を有する。
【0039】
第7の態様に係る建物では、スピーカにより警告音を発することで、サービスの提供者に対して注意を促すことができると共に防犯対策を図ることができる、という優れた効果を有する。
【0040】
第8の態様に係る建物のセキュリティシステムでは、防犯性が担保され、利便性の確保と居住者のプライバシーの確保とを両立させることができる、という優れた効果を有する。
【0041】
第9の態様に係る建物のセキュリティシステムでは、警備会社に委託することによって建物の防犯性をさらに高めることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本実施形態に係る建物の間取りを示す平面図である。
【
図2】本実施形態に係る建物のセキュリティシステムの一部を構成するロック装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る建物のセキュリティシステムの一部を構成するロック装置及びサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る建物のセキュリティシステムの一部を構成するサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る建物のセキュリティシステムにより送信された携帯端末の表示画面であり、(A)は、宅配サービスの配達員が所有する携帯端末の正面図、(B)は、家事代行サービスの提供者が所有する携帯端末の正面図、(C)は、他の家事代行サービスの提供者が所有する携帯端末の正面図である。
【
図6】入場者が宅配サービスの配達員の場合において、本実施形態に係る建物のセキュリティシステムにより設定された立ち入り可能エリアを示す
図1に対応する平面図である。
【
図7】入場者が家事代行サービスの提供者の場合において、本実施形態に係る建物のセキュリティシステムにより設定された立ち入り可能エリアを示す
図1に対応する平面図である。
【
図8】入場者が他の家事代行サービスの提供者の場合において、本実施形態に係る建物のセキュリティシステムにより設定された立ち入り可能エリアを示す
図1に対応する平面図である。
【
図9】本実施形態に係る建物のセキュリティシステムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を用いて、本発明に係る建物のセキュリティシステムの実施形態の一例について説明する。
【0044】
本実施形態では、
図1に示す建物10を例に説明する。建物10は、柱と梁とで箱型に形成される建物ユニットを複数並べて構成されたユニット建物であるが、ユニット建物に限らず、鉄骨軸組工法で建築された建物に適用してもよい。
【0045】
図1に示されるように、本実施形態における建物10は、平屋建てとされており、3LDKの間取りとなっている。なお、当該建物10は、平屋に限るものではなく、2階建て以上の建物であってもよい。
【0046】
建物10は、8つの標準サイズの標準ユニット(建物ユニット)12、14、16、18、20、22、24、26と、当該標準ユニット11における妻方向の寸法を半分にして形成された1つのハーフユニット28と、を含んで構成されており、互いに連結されている。このように、1つのハーフユニット28を備えることによって、建物10には、ハーフユニット28と標準ユニット22との間で入隅部30が形成されている。
【0047】
入隅部30を含む建物10外の桁面側かつ標準ユニット22側には、玄関ポーチ32が形成されている。玄関ポーチ32の建物10内には、ハーフユニット28の標準ユニット22側に玄関34が形成されており、玄関ポーチ32と玄関34の間には、玄関扉(区画ドア)36Aが設けられ、当該玄関扉36Aによって、玄関ポーチ32と玄関34とが区画されている。
【0048】
玄関34は、標準ユニット26の一部まで延びており、標準ユニット26には、玄関34の奥方(妻方向)にホール38が形成されている。当該玄関34及びホール38の隣側(桁方向)には、ハーフユニット28及び標準ユニット26によって居室40が形成されており、居室40はホール38と連通可能とされている。居室40とホール38の間には、区画ドア36Bが設けられており、当該区画ドア36Bによって、居室40とホール38とが区画されている。
【0049】
居室40の奥方には、標準ユニット24によって形成された居室42が設けられており、居室42はホール38と連通可能とされている。居室42とホール38の間には、区画ドア36Cが設けられており、当該区画ドア36Cによって、居室42とホール38とが区画されている。つまり、当該ホール38は、居室40、42とそれぞれ連通可能とされている。
【0050】
標準ユニット26、ハーフユニット28における建物10の桁方向に沿った隣には、標準ユニット20、22がそれぞれ設けられている。標準ユニット20の奥方には標準ユニット18が設けられており、標準ユニット18、20、22は、連続する1つの大空間としてLDK44を形成している。
【0051】
つまり、玄関34及びホール38を間において居室40の反対側には、LDK44が設けられており、LDK44はホール38と連通可能とされている。LDK44のうち標準ユニット20には、区画ドア36Dが設けられており、この区画ドア36Dによって、LDK44とホール38とが区画されている。
【0052】
標準ユニット22における建物10の桁方向に沿った隣には標準ユニット16が設けられており、当該標準ユニット16によって居室46が形成されている。居室46は、標準ユニット14の一部まで延びており、標準ユニット14の他部には、廊下48が形成されている。廊下48は居室46と連通可能とされており、廊下48と居室46の間には、区画ドア36Eが設けられている。当該区画ドア36Eによって、廊下48と居室46とが区画されている。
【0053】
標準ユニット14の他部側には、当該標準ユニット14及び標準ユニット12の一部を含んでトイレ50が形成されている。標準ユニット12におけるトイレ50の奥方には、浴室52が形成されており、浴室52の隣には洗面所を含む洗面所54が設けられている。
【0054】
この洗面所54は、標準ユニット18及び廊下48と連通可能としており、洗面所54と廊下48の間には、区画ドア36Fが設けられている。当該区画ドア36Fによって、洗面所54と廊下48とが区画されている。当該洗面所54は、標準ユニット18とも連通可能とされており、洗面所54と標準ユニット18の間には、区画ドア36Gが設けられている。当該区画ドア36Gによって、洗面所54と標準ユニット18とが区画されている。
【0055】
本実施形態における建物10は、一例として以上のような間取りを構成すると共に、玄関扉36A及び区画ドア36B、36C、36D、36E、36F、36Gには、それぞれロック部56A、56B、56C、56D、56E、56F、56Gが設けられている。本実施形態では、当該ロック部56A、56B、56C、56D、56E、56F、56Gの解錠又は施錠により、玄関扉36A及び区画ドア36B、36C、36D、36E、36F、36Gがそれぞれ開閉可能とされている。
【0056】
なお、以下の説明では、玄関扉36A及び区画ドア36B、36C、36D、36E、36F、36Gを全て含む場合は、これらをまとめて区画ドア36と称して説明し、ロック部56A、56B、56C、56D、56E、56F、56Gを全て含む場合は、これらをまとめてロック部56と称して説明する。
【0057】
このロック部56は、
図2に示されるように、本実施形態における建物10のセキュリティシステム72の一部を構成するロック装置70に備わっている。ロック装置70は、当該ロック部56の制御に用いられるロック制御部(制御部)74を備えており、ロック部56以外に、図示しないモータ等の駆動源及び当該駆動源を制御するドライバを含んで構成されている。そして、ロック制御部74からの各種指令信号に基づいてこれらが駆動されることで、区画ドア36に設けられたロック部56の解錠及び施錠を行うことが可能とされている。
【0058】
一方、ロック制御部74は、建物10内に配置されると共に、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)74A、ROM(Read Only Memory)74B、RAM(Random Access Memory)74C、ストレージ74D、通信I/F(Inter Face)74E及び入出力I/F74Fを含んで構成されている。そして、CPU74A、ROM74B、RAM74C、ストレージ74D、通信I/F74E及び入出力I/F74Fは、バス74Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0059】
CPU74Aは、中央演算処理ユニットとされており、ロック制御部74と接続された各種機器の制御に係る各種プログラムの実行が可能とされている。具体的には、CPU74Aは、ROM74Bからプログラムを読み出し、RAM74Cを作業領域として各種プログラムを実行可能とされている。そして、ROM74Bに記憶された実行プログラムが、CPU74Aで読み出されて実行されることで、ロック制御部74は、後述するように、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0060】
ストレージ74Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含んで構成され、オペレーティングシステムやロック装置70の制御に係る各種プログラムが記憶されている。また、ストレージ74Dには、後述する電子鍵情報Kとの照合に用いられる認証コードC及びスピーカ76から流れる各種音データが記憶されている。さらに、ストレージ74Dは、室内カメラ78で撮像された映像や画像及び加速度センサ80の検出結果を記憶可能とされている。
【0061】
通信I/F74Eは、ネットワークNとの通信に用いられるインターフェースとされており、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)等の通信規格が用いられている。なお、通信I/F74Eは、例えば、区画ドア36の周辺に配置された無線装置を備えていてもよい。そして、通信I/F74Eは、建物10のセキュリティシステム72の一部を構成する
図3に示すサーバ82(後述する)及び建物10の居住者Aが所有するスマートフォン等の携帯端末84とネットワークNを介して相互に通信可能とされている。
【0062】
入出力I/F74Fは、ロック制御部74と各種機器とを通信可能に接続するためのインターフェースとされている。そして、ロック制御部74は、入出力I/F74Fを介して、上述した携帯端末84、ロック部56、スピーカ76、室内カメラ78及び加速度センサ80と通信可能に接続されている。
【0063】
携帯端末84は、建物10の居住者Aによる操作入力をロック制御部74に出力することが可能となっている。そして、本実施形態では、
図3に示されるように、建物10の居住者Aによる操作入力(電子鍵情報K’)によって、サーバ82を介して電子鍵情報Kが生成され、当該電子鍵情報Kがストレージ74D(
図2参照)に一時的に記憶されるようになっている。
【0064】
図2に示されるように、スピーカ76は、建物10内に配置されており、ロック制御部74による制御によってストレージ74Dに記憶された音声を含む警告音を発することが可能とされている。
【0065】
室内カメラ78は、
図1に示す玄関34やLDK44内等を撮像可能な位置に配置されており、撮像した映像の撮像データをロック制御部74に送信可能とされている。なお、室内カメラ78は、ロック部56が解除されると、玄関34やLDK44内等の撮像を開始するようになっている。
【0066】
加速度センサ80は、
図1に示す建物10内の区画ドア36の近傍に配置されており、区画ドア36に作用する衝撃値を検出可能としている。そして、加速度センサ80によって予め設定された所定値以上の外力が検出された場合、検出結果がロック制御部74に送信されるようになっている。
【0067】
次に、ロック制御部74の機能構成について説明する。
【0068】
図2に示すロック制御部74は、CPU74AがROM74Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、
図3に示されるように、通信部86、鍵生成指示部88、鍵検証部90、ロックコントロール部92及び動向検出部94の集合体として機能する。
【0069】
通信部86は、ネットワークNを介してサーバ82、携帯端末84及び後述する携帯端末96と種々の情報を送受信することが可能となっている。
【0070】
鍵生成指示部88は、携帯端末84によって入力された電子鍵情報K’の生成指示信号としてネットワークNを介してサーバ82に送信するようになっている。なお、本実施形態では、一例として、電子鍵情報Kの送信先は、例えば、宅配サービスの配達員G1、家事代行サービスの提供者G2、G3、介護サービスの提供者等、サービスの提供者Gが所有する所定の携帯端末96に設定されている。
【0071】
鍵検証部90は、携帯端末96から受信した電子鍵情報Kと認証コードCとの照合を行うように設定されている。そして、携帯端末96から受信した電子鍵情報Kに含まれる認証コードと、認証コードCとが一致した場合、解除信号をロックコントロール部92に送信する。
【0072】
ロックコントロール部92は、鍵検証部90から解除信号を受信すると、携帯端末96によるロック装置70の操作を許容するようになっている。そして、ロックコントロール部92は、携帯端末96からの操作信号に基づいて指令信号をロック装置70に送信することでロック装置70を駆動させるようになっている。
【0073】
動向検出部94は、ロックコントロール部92から送信される指令信号に基づいて、携帯端末96の操作により設定された区画ドア36(
図1参照)のロック部56(
図2参照)の解錠及び施錠を検出することが可能とされている。
【0074】
そして、動向検出部94は、携帯端末96の操作によって区画ドア36のロック部56が解錠されている状態において、加速度センサ80(
図2参照)によって予め設定された所定値以上の外力が検出された場合、スピーカ76(
図2参照)を制御して警告音を発するように設定されている。
【0075】
このとき、動向検出部94は、室内カメラ78(
図2参照)で撮像された映像や画像を、警報と共に通信部86を介して建物10の居住者Aの携帯端末84に送信するようになっている。なお、室内カメラ78で撮像された映像や画像は、サーバ82を介して携帯端末84に送信されてもよい。
【0076】
一方、サーバ82は、主に電子鍵情報Kの生成を行っており、
図4に示されるように、プロセッサの一例であるCPU82A、ROM82B、RAM82C、ストレージ82D及び通信I/F82Eを含んで構成されている。そして、CPU82A、ROM82B、RAM82C、ストレージ82D及び通信I/F82Eは、バス82Fを介して相互に通
【0077】
信可能に接続されている。なお、CPU82A、ROM82B、RAM82C、ストレージ82D及び通信I/F82Eは、上述したロック制御部74を構成しているものと基本的に同様の機能を備えている。
【0078】
CPU82Aは、電子鍵情報Kの生成に係る各種プログラムの実行が可能とされている。そして、ROM82Bに記憶された実行プログラムが、CPU82Aで読み出されて実行されることで、サーバ82は、後述するように、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0079】
すなわち、サーバ82は、CPU82AがROM82Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、
図3に示す通信部98及び鍵情報生成部100の集合体として機能する。
【0080】
図3に示されるように、通信部98は、ネットワークNを介して、建物10の居住者Aの携帯端末84、ロック装置70及びサービスの提供者Gの携帯端末96と種々の情報を送受信することが可能となっている。
【0081】
鍵情報生成部100は、通信部98に携帯端末84から生成指示信号が入力されると、認証コードCを含む電子鍵情報Kを生成するようになっている。そして、鍵情報生成部100は、生成指示信号に含まれる電子鍵情報Kの送信先(携帯端末96)に通信部98を介して電子鍵情報Kを送信するようになっている。
【0082】
一方、携帯端末96は、ロック装置70及びサーバ82と通信可能な通信機器とされると共に、携帯端末96をロック装置70に対応する鍵として機能させることが可能なアプリケーションソフトウェア(以下、専用アプリと称する)がインストールされている。
【0083】
そして、電子鍵情報Kが記憶された状態の携帯端末96が、ロック装置70と通信することで、電子鍵情報Kと認証コードCとの照合が行われ、電子鍵情報Kの認証コードと認証コードCとが一致すると、専用アプリが起動するようになっている。なお、専用アプリが起動した状態の携帯端末96の表示面96A(
図4参照)には、
図4に示されるように、例えば、解錠/施錠ボタン102が表示されるようになっている。
【0084】
そして、サービスの提供者Gが携帯端末96の表示面96A上の解錠/施錠ボタン102に触れると、設定されたロック部56の解錠を示す操作信号(解錠信号)が携帯端末96から送信される。そして、当該解錠信号をロック装置70(
図3参照)が受信すると、当該ロック装置70が作動して
図1に示す区画ドア36のうち設定された区画ドア36のロック部56が解錠されるようになっている。
【0085】
また、区画ドア36のロック部56が解錠された状態において、サービスの提供者Gが携帯端末96の表示面96A上の解錠/施錠ボタン102に触れると、ロック部56が施錠され、施錠を示す操作信号(施錠信号)が携帯端末96から送信される。そして、当該施錠信号をロック装置70(
図3参照)が受信すると、ロック装置70が作動して
図1に示す当該区画ドア36のロック部56が施錠されるようになっている。
【0086】
<本実施形態の作用及び効果>
(建物のセキュリティシステムの制御フロー)
【0087】
まず、
図1~
図3を参照し
図9に示されるフローチャートを用いて、建物10のセキュリティシステム72における入退場者(例えば、サービスの提供者G)の管理の制御フローについて説明する。
【0088】
ステップS100では、CPU74Aは、動向検出部94として機能し、開閉可能に設定された区画ドア36に設けられたロック部(第1ロック部)56に対する解錠信号が受信されたか否かを判定する。
【0089】
ステップS100において、CPU74Aは、ロック部56の解錠信号が受信されたと判定した場合(ステップS100:YES)、ステップS102に移行し、設定されたロック部56を解錠させる。
【0090】
なお、ステップS100では、ロック部56の解錠信号が受信されたと判定されるまでこの処理が行われる。
【0091】
次に、ステップS104では、CPU74Aは、開閉可能に設定されていない(閉止されたままの)区画ドア36に設けられた、解錠設定されていないロック部(第2ロック部)56を施錠する。
【0092】
なお、ステップS102とステップS104の処理は略同時に行われる。また、ロック部56においては、予め施錠されていたとしても、ステップS104において、解錠設定されていないロック部56が施錠されることによって、施錠忘れを防止することができる。
【0093】
次に、ステップS106では、CPU74Aは、建物10の居住者Aが所有する携帯端末84に対してロック部56が解錠された旨を送信する。
【0094】
また、ステップS108では、CPU74Aは、室内カメラ78を作動させ、ステップ110において、加速度センサ80を作動させる。
【0095】
なお、ステップS106、ステップS108、ステップS110の処理は略同時に行われる。
【0096】
次に、ステップS112では、CPU74Aは、加速度センサ80において所定値以上の外力が検出されたか否かを判定する。
【0097】
ステップS112において、CPU74Aは、所定値以上の外力が検出されたと判定した場合(ステップS112:YES)、ステップS114に移行し、スピーカ76から警告が発せられる。
【0098】
そして、ステップS116において、加速度センサ80において所定値以上の外力が検出された旨を居住者Aの携帯端末84に送信する。
【0099】
一方、ステップS112において、CPU74Aは、所定値以上の外力が検出されない場合(ステップS112:NO)、ステップS118に移行する。
【0100】
ステップS118では、CPU74Aは、区画ドア36の施錠信号が受信されたか否かを判定する。
【0101】
ステップS118において、CPU74Aは、ロック部56の施錠信号が受信されたと判定した場合(ステップS118:YES)、ステップS120に移行し、居住者Aの携帯端末84にロック部56が施錠された旨を送信し、この制御フローは終了する。
【0102】
なお、ステップS118では、ロック部56の施錠信号が受信されたと判定されるまで、ステップS108~ステップS112の処理が行われる。
【0103】
(作用及び効果)
一般に、宅配サービスと家事代行サービスとでは、建物本体内(建物内)において利用するエリアが異なる(後述する)。宅配サービスの場合は、玄関のみの利用でサービスを受けることが可能である。一方、家事代行サービスの場合、例えば、お料理のサービスを受ける場合は、キッチンを利用することになるため、玄関からキッチンまでのエリアを立ち入り可能とする必要がある。つまり、受けるサービスの種類によって、建物内において立ち入りが必要とされるエリアが異なる。
【0104】
このため、本実施形態に係る建物10では、
図1、
図2に示されるように、複数の区画ドア36と、複数のロック部56と、携帯端末84、ロック制御部74を備え、区画ドア36には、それぞれロック部56が設けられ、当該ロック部56の解錠又は施錠により、区画ドア36をそれぞれ開閉可能としている。
【0105】
そして、本実施形態では、当該区画ドア36によって、建物10内において、立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアを区画し、エリアを区画する区画ドア36のロック部(第1ロック部)56を外部からの操作によって解錠可能としている。
【0106】
また、本実施形態では、携帯端末84は、建物10の居住者Aにより複数のロック部56のうち解錠させるロック部(第1ロック部)56を設定可能としている。そして、当該ロック部56が設定された携帯端末84の情報に基づき生成された電子鍵情報Kは、建物10内への入場者Gが携帯する携帯端末96に送信される。
【0107】
一方、ロック制御部74は、当該携帯端末96から送信された電子鍵情報Kを受信可能とされており、当該電子鍵情報Kの受信によりロック部(第1ロック部)56を解錠させることができる。これにより、第1ロック部56が設けられた区画ドア36が開放可能とされる。
【0108】
以上の内容について、提供されるサービスの内容に合わせて具体的に説明する。
【0109】
(宅配サービスの場合)
【0110】
まず、宅配サービスの配達員G1の場合、建物10内に荷物を運び入れるだけなので、
図6に示されるように、ホール38を含む玄関34が立ち入り可能エリアA(ドットで示すエリア)となり、玄関扉36Aのロック部56Aにおいて解錠及び施錠が可能となる。一方、区画ドア36B、36C、36Dのロック部56B、56C、56Dはそれぞれ施錠される。
【0111】
つまり、宅配サービスの配達員G1の場合、立ち入り可能エリアA以外の白抜きエリアは、立ち入り禁止エリアとなる。なお、区画ドア36Dのロック部56Dが施錠されるとLDK44側への移動が規制されるため、区画ドア36E、36F、36Gのロック部56E、56F、56Gについては必ずしも施錠する必要はない。
【0112】
この場合、
図5(A)に示されるように、配達員G1が所有する携帯端末96の表示面96Aには、例えば、玄関扉カギ104が表示され、玄関扉カギ104の下には、解錠/施錠ボタン102が表示される。
【0113】
配達員G1がこの解錠/施錠ボタン102に触れると、
図6に示す玄関扉36Aのロック部56Aの解錠を示す操作信号(解錠信号)が携帯端末96から送信される。そして、当該解錠信号をロック装置70(
図2参照)が受信すると、当該ロック装置70が作動し玄関扉36Aのロック部56Aが解錠されるようになっている。
【0114】
玄関扉36Aのロック部56Aが解錠されると、配達員G1は、建物10内の玄関34又はホール38に荷物を運び入れることが可能となる。
【0115】
そして、荷物を運び入れた後、配達員G1が再度解錠/施錠ボタン102に触れることで玄関扉36Aは施錠される。
【0116】
(家事代行サービス1の場合)
【0117】
次に、家事代行サービス1の提供者G2の場合、代行する家事の内容によって立ち入り可能エリアが異なる。例えば、家事代行サービスが、お料理のみの場合、
図7に示されるように、玄関34、ホール38及びLDK44が立ち入り可能エリアBとなる。なお、トイレ50は立ち入り可能とされる。このため、LDK44とトイレ50を繋ぐ廊下48も立ち入り可能とされる。
【0118】
本実施形態では、玄関扉36A及び区画ドア36Dのロック部56A、56Dがそれぞれ解錠及び施錠が可能となる。それ以外のエリアは、立ち入り禁止エリアとなり、区画ドア36B、36C、36E、36F、36Gのロック部56B、56C、56E、56F、56Gはそれぞれ施錠される。
【0119】
この場合、
図5(B)に示されるように、サービスの提供者G2が所有する携帯端末96の表示面96Aには、例えば、玄関扉カギ104及びLDKカギ106が表示され、LDKカギ106の下には、解錠/施錠ボタン102が表示される。
【0120】
サービスの提供者G2がこの解錠/施錠ボタン102に触れると、
図7に示す玄関扉36A及び区画ドア36Dのロック部56A、56Dの解錠を示す解錠信号が携帯端末96から送信される。そして、当該解錠信号をロック装置70(
図2参照)が受信すると、当該ロック装置70が作動し玄関扉36A及び区画ドア36Dのロック部56A、56Dがそれぞれ解錠されるようになっている。
【0121】
玄関扉36A及び区画ドア36Dのロック部56A、56Dが解錠されると、サービスの提供者G2は、LDK44内で家事代行サービス(この場合お料理)を提供することが可能となる。
【0122】
そして、家事代行サービスを終えた後、サービスの提供者G2が再度解錠/施錠ボタン102に触れることで玄関扉36A及び区画ドア36Dのロック部56A、56Dは施錠される。
【0123】
(家事代行サービス2の場合)
【0124】
一方、家事代行サービス2が、お料理、お風呂掃除及びお洗濯の場合は、
図8に示されるように、玄関34、LDK44、浴室52及び洗面所54が立ち入り可能エリアCとなる。
【0125】
このため、本実施形態では、玄関扉36A及び区画ドア36D、36F、36Gのロック部56D、56F、56Gが解錠及び施錠が可能となる。それ以外のエリアは、立ち入り禁止エリアとなり、区画ドア36B、36C、36Eのロック部56B、56C、56Eはそれぞれ施錠される。
【0126】
この場合、
図5(C)に示されるように、サービスの提供者G3が所有する携帯端末96の表示面96Aには、例えば、玄関扉カギ104、LDKカギ106、浴室カギ108及び洗面所カギ110が表示され、洗面所カギ110の下には、解錠/施錠ボタン102が表示される。
【0127】
サービスの提供者G3がこの解錠/施錠ボタン102に触れると、
図8に示す玄関扉36A及び区画ドア36D、36F、36Gのロック部56A、56D、56F、56Gの解錠を示す解錠信号が携帯端末96から送信される。そして、当該解錠信号をロック装置70(
図2参照)が受信すると、当該ロック装置70が作動し玄関扉36A及び区画ドア36D、36F、36Gのロック部56A、56D、56F、56Gがそれぞれ解錠されるようになっている。
【0128】
玄関扉36A及び区画ドア36D、36F、36Gのロック部56A、56D、56F、56Gがそれぞれ解錠されると、サービスの提供者G3は、LDK44、浴室52及び洗面所54内で家事代行サービス(この場合お料理、お風呂掃除及びお洗濯)を提供することが可能となる。
【0129】
そして、家事代行サービスを終えた後、サービスの提供者G3が再度解錠/施錠ボタン102に触れることで玄関扉36A及び区画ドア36D、36F、36Gのロック部56A、56D、56F、56Gはそれぞれ施錠される。
【0130】
なお、建物10への入場者Gは、サービスの提供者G1、G2、G3以外にも居住者Aの友人、親戚が含まれ、サービスの提供者G1、G2、G3以外についてもサービスの提供者G1、G2、G3と同様に立ち入り可能エリアをそれぞれに設定することができる。
【0131】
以上のように、本実施形態では、サービスの種類に応じて開放させる区画ドア36と閉止させる区画ドア36に分けることができる。そして、閉止された区画ドア36によって区画されたエリアが立ち入り可能エリアとされ、立ち入り可能エリア内での利用が可能となる。
【0132】
このように、立ち入り可能エリアは閉止された区画ドア36によって区画されるため、入場者Gが閉止された区画ドア36を超えて立ち入り禁止エリアに進入しないようにすることができる。したがって、本実施形態では、防犯性が担保され、居住者Aのプライバシーを確保することができる。
【0133】
また、比較例として、例えば、図示はしないが、玄関を第1電子錠、廊下を第2電子錠、キッチンを第3電子錠とした場合、家事代行サービスでは、まず第1電子錠を解錠させ、次に第2電子錠、第3電子錠と解錠させる必要がある。
【0134】
この場合、第1電子錠の通信を行って認証を行い承認されると第1電子錠の解錠要求を送信し第1電子錠が解錠される。次に、第2電子錠の通信を行って認証を行い承認されると第2電子錠の解錠要求を送信し第2電子錠が解錠される。さらに、第3電子錠の通信を行って認証を行い承認されると第3電子錠の解錠要求を送信し第3電子錠が解錠されるという処理を行う必要がある。
【0135】
このため、比較例では、解錠作業に手間が掛かる。また、比較例では、通信作業が複数回行われるため、入力ミスや通信障害等により作業の途中で通信が切断される可能性もあり、この場合は、さらに解錠作業に手間が掛かることになり、サービスの提供者に対する負担も大きい。
【0136】
これに対して、本実施形態では、
図1、
図4に示す建物10内において立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアに対応して解錠するロック部(第1ロック部)56と施錠するロック部(第2ロック部)56に分けられる。そして、サービスを提供する提供者Gが所有する携帯端末96に表示された解錠/施錠ボタン102に触れることで、立ち入り可能エリアA(
図6参照)、立ち入り可能エリアB(
図7参照)、立ち入り可能エリアC(
図8参照)の範囲に関係なく、開放させる区画ドア36のロック部56を一度に解錠させることができる。
【0137】
このため、解錠作業を複数回行う必要がなく、その分の手間が省ける。したがって、本実施形態では、解錠までの処理時間を短縮することができ、利便性がよい。
【0138】
また、本実施形態では、ロック制御部74は、携帯端末96から送信された電子鍵情報Kを受信すると立ち入り禁止エリアを区画する区画ドア36のロック部(第2ロック部)56を施錠するため、立ち入り禁止エリアの区画ドア36のロック部56の施錠忘れを防ぐことができる。
【0139】
さらに、本実施形態では、ロック部(第1ロック部)56が解錠されると、ロック制御部74により建物10の居住者Aが所有する携帯端末84へ解錠情報が送信されるようになっている。このため、建物10の管理者は、建物10外にいても建物10内へ入場者Gが入場することが分かる。
【0140】
さらにまた、本実施形態では、ロック部(第1ロック部)56が施錠されると、ロック制御部74により当該携帯端末84へ施錠情報が送信されるようになっている。このため、建物10の管理者は、建物10外にいても入場者Gが建物外へ退場したことが分かる。つまり、サービスの提供がなされたことが分かり、利便性が向上する。
【0141】
また、本実施形態では、建物10内に室内カメラ78が設けられており、ロック部(第1ロック部)56が解錠されると、ロック制御部74により室内カメラ78が作動するようになっている。このため、建物10の管理者は、建物10外にいても入場者Gの動向を知ることができ、建物10の防犯性を高めることができる。
【0142】
また、本実施形態では、建物10内にスピーカ76が設けられており、開放させない区画ドア36に対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、ロック制御部74によって、スピーカ76から警告音が発せられるようになっている。これにより、開放させない区画ドア36を入場者Gが誤って開放させようとした場合、入場者Gに警告を促すことができる。
【0143】
さらに、本実施形態では、開放させない区画ドア36に対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、ロック制御部74によって、警備会社等、委託する外部のサーバに対して警告指示が送信されるようにすることで、建物10の防犯性をさらに高めることができる。
【0144】
以上のことから、本実施形態では、建物10内において、部外者の立ち入り可能エリアにおける自由な移動を許容して多様なサービスの提供を可能にすると共に、居住者のプライバシーを確保して居住者の心理的負担を軽減することができる。
【0145】
以上本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、上記の実施形態以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論のことである。
【0146】
<付記>
なお、下記の構成を適宜組み合わせて本発明に係る建物としてもよい。
【0147】
(構成1)
建物は、建物本体内に設けられ、前記建物本体内における立ち入り可能エリアと立ち入り禁止エリアを区画する複数の区画ドアと、前記区画ドア毎に設けられ、解錠又は施錠により当該区画ドアをそれぞれ開閉可能とする複数のロック部と、前記建物本体の管理者により、前記複数のロック部のうち解錠させる第1ロック部を設定可能な第1携帯端末と、前記第1携帯端末の情報に基づき生成され前記建物本体内への入場者が携帯する第2携帯端末から送信された電子鍵情報を受信可能とされ、前記電子鍵情報の受信により前記第1ロック部を解錠させる制御部と、を有する。
【0148】
(構成2)
前記第1携帯端末は、前記建物本体内への入場者毎に前記第1ロック部を設定可能とされる。
【0149】
(構成3)
前記制御部は、前記第2携帯端末から送信された前記電子鍵情報の受信により前記複数のロック部のうち施錠させる第2ロック部を施錠させる。
【0150】
(構成4)
前記制御部は、前記第1ロック部の解錠により前記第1携帯端末へ解錠情報を送信するように設定されている。
【0151】
(構成5)
前記制御部は、前記第1ロック部の施錠により前記第1携帯端末へ施錠情報を送信するように設定されている請求項1に記載の建物。
【0152】
(構成6)
前記建物本体内に室内カメラが設けられ、前記制御部は、前記第1ロック部の解錠により前記室内カメラを作動させるように設定されている。
【0153】
(構成7)
前記建物本体内にスピーカが設けられ、前記制御部は、第1ロック部が設けられた区画ドア以外の区画ドアに対して予め設定された所定値以上の外力が作用した場合、前記スピーカから警告音を発するように設定されている。
【符号の説明】
【0154】
10 建物(建物本体)
36 区画ドア
36A 玄関扉(区画ドア)
36B 区画ドア
36C 区画ドア
36D 区画ドア
36E 区画ドア
36F 区画ドア
36G 区画ドア
56 ロック部
56A ロック部
56B ロック部
56C ロック部
56D ロック部
56E ロック部
56F ロック部
56G ロック部
70 ロック装置
72 セキュリティシステム
74 ロック制御部(制御部)
76 スピーカ
78 室内カメラ
80 加速度センサ
82 サーバ
84 携帯端末(第1携帯端末)
96 携帯端末(第2携帯端末)
A 立ち入り可能エリア
A 居住者(建物本体の管理者)
B 立ち入り可能エリア
C 立ち入り可能エリア
G 入場者
G1 宅配サービスの配達員(入場者)
G2 家事代行サービスの提供者(入場者)
G3 家事代行サービスの提供者(入場者)
K 電子鍵情報