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特開2024-131414デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法
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  • 特開-デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法 図1
  • 特開-デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法 図2
  • 特開-デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法 図3
  • 特開-デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法 図4
  • 特開-デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法 図5
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  • 特開-デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法 図13
  • 特開-デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131414
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/40 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E04B5/40 E
E04B5/40 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041663
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】小橋 資子
(57)【要約】
【課題】板本体を水平面に対して傾斜させつつ支持部に対して容易に接続することができるデッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法を提供する。
【解決手段】デッキプレート1Aは、所定平面に沿って延びる板本体2と、板本体2を挟み込むように配置されるとともにそれぞれ高さの異なる支持部100によって支持される一対の被支持部31と、を備え、板本体2が水平面(XY平面)に対して傾斜するように配置されるデッキプレートである。デッキプレート1Aは、板本体2と少なくとも一方の被支持部31との間に形成され、被支持部31を板本体2に対して傾斜させるための角度変更部4Aを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定平面に沿って延びる板本体と、前記板本体を挟み込むように配置されるとともにそれぞれ高さの異なる支持部によって支持される一対の被支持部と、を備え、前記板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートであって、
前記板本体と少なくとも一方の前記被支持部との間に形成され、該被支持部を該板本体に対して傾斜させるための角度変更部を備えることを特徴とするデッキプレート。
【請求項2】
前記角度変更部が屈曲部であることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート。
【請求項3】
前記角度変更部が、その周辺部よりも変形容易に形成された変形容易部であることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート。
【請求項4】
前記板本体と前記被支持部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項5】
前記被支持部および前記角度変更部を含み、前記板本体と別体に構成された別体板部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項6】
前記被支持部とは独立に前記角度変更部に接続され、前記板本体に対して所定の角度を有して延びる係止部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項7】
第1の支持部と、
前記第1の支持部とは高さが異なる第2の支持部と、
前記第1の支持部および前記第2の支持部によって支持されることで板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートと、を備えた傾斜構造体であって、
前記デッキプレートは、所定平面に沿って延びる前記板本体と、前記板本体を挟み込むように配置されるとともに前記第1の支持部及び前記第2の支持部のそれぞれによって支持される一対の被支持部と、を備え、前記被支持部が前記板本体に対して傾斜していることを特徴とする傾斜構造体。
【請求項8】
第1の支持部と、前記第1の支持部とは高さが異なる第2の支持部と、前記第1の支持部および前記第2の支持部によって支持されることで板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートと、を備えた傾斜構造体の施工方法であって、
前記デッキプレートのうち前記板本体を挟み込むように配置されるとともに前記第1の支持部及び前記第2の支持部のそれぞれによって支持される一対の被支持部を、該板本体に対して傾斜させるように、該被支持部と該板本体との間を屈曲させることを特徴とする傾斜構造体の施工方法。
【請求項9】
所定平面に沿って延びる板本体と、板本体を挟み込むように配置されるとともにそれぞれ高さの異なる支持部によって支持される一対の被支持部と、を備え、前記板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートの製造方法であって、
前記被支持部を前記板本体に対して傾斜させるように、該被支持部と該板本体との間を屈曲させることを特徴とするデッキプレートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットデッキプレートとして、落下防止片が設けられたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたフラットデッキプレートでは、長手方向端部を折り曲げて落下防止片を形成することにより、別部材の落下防止金具の省略を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-110453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば勾配屋根やスロープ等を構成するために、建物やその周辺において、デッキプレートが水平面に対して傾斜して延びるように配置される場合がある。特許文献1に記載されたようなデッキプレートを傾斜させると、デッキプレートと、デッキプレートを支持する梁等の支持部と、の間に隙間が生じてしまうため、接続のための部材を設ける必要があり、構造が複雑化するとともに接続作業の工数が増大してしまうという不都合があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、板本体を水平面に対して傾斜させつつ支持部に対して容易に接続することができるデッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るデッキプレートは、所定平面に沿って延びる板本体と、板本体を挟み込むように配置されるとともにそれぞれ高さの異なる支持部によって支持される一対の被支持部と、を備え、前記板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートであって、前記板本体と少なくとも一方の前記被支持部との間に形成され、該被支持部を該板本体に対して傾斜させるための角度変更部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係るデッキプレートにおいて、前記角度変更部が屈曲部である。
【0008】
本発明の一態様に係るデッキプレートにおいて、前記角度変更部が、その周辺部よりも変形容易に形成された変形容易部である。
【0009】
本発明の一態様に係るデッキプレートにおいて、前記板本体と前記被支持部とが一体に形成されている。
【0010】
本発明の一態様に係るデッキプレートにおいて、前記被支持部および前記角度変更部を含み、前記板本体と別体に構成された別体板部を備える。
【0011】
本発明の一態様に係るデッキプレートにおいて、前記被支持部とは独立に前記角度変更部に接続され、前記板本体に対して所定の角度を有して延びる係止部を備える。
【0012】
本発明に係る傾斜構造体は、第1の支持部と、前記第1の支持部とは高さが異なる第2の支持部と、前記第1の支持部および前記第2の支持部によって支持されることで板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートと、を備えた傾斜構造体であって、前記デッキプレートは、所定平面に沿って延びる前記板本体と、前記板本体を挟み込むように配置されるとともに前記第1の支持部及び前記第2の支持部のそれぞれによって支持される一対の被支持部と、を備え、前記被支持部が前記板本体に対して傾斜していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る傾斜構造体の施工方法は、第1の支持部と、前記第1の支持部とは高さが異なる第2の支持部と、前記第1の支持部および前記第2の支持部によって支持されることで板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートと、を備えた傾斜構造体の施工方法であって、前記デッキプレートのうち前記板本体を挟み込むように配置されるとともに前記第1の支持部及び前記第2の支持部のそれぞれによって支持される一対の被支持部を、該板本体に対して傾斜させるように、該被支持部と該板本体との間を屈曲させることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るデッキプレートの製造方法は、所定平面に沿って延びる板本体と、板本体を挟み込むように配置されるとともにそれぞれ高さの異なる支持部によって支持される一対の被支持部と、を備え、前記板本体が水平面に対して傾斜するように配置されるデッキプレートの製造方法であって、前記被支持部を前記板本体に対して傾斜させるように、該被支持部と該板本体との間を屈曲させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るデッキプレート、傾斜構造体、傾斜構造体の施工方法およびデッキプレートの製造方法によれば、板本体を水平面に対して傾斜させつつ支持部に対して容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体の施工途中の様子を示す側面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るデッキプレートの要部を示す平面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るデッキプレートを示す斜視図である。
図7】本発明の第1の変形例に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図8】本発明の第2の変形例に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図9】本発明の第3の変形例に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図10】本発明の第4の変形例に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図11】本発明の第5の変形例に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図12】本発明の第6の変形例に係るデッキプレートを備えた傾斜構造体を示す側面図である。
図13】本発明の第6の変形例に係るデッキプレートを示す側面図である。
図14】本発明の第7の変形例に係るデッキプレートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るデッキプレート1Aを備えた傾斜構造体300を示す側面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るデッキプレート1Aは、所定平面に沿って延びる板本体2と、板本体2を挟み込むように配置されるとともにそれぞれ高さの異なる支持部100によって支持される一対の被支持部31と、を備え、板本体2が水平面(XY平面)に対して傾斜するように配置されるデッキプレートである。デッキプレート1Aは、板本体2と少なくとも一方の被支持部31との間に形成され、被支持部31を板本体2に対して傾斜させるための角度変更部4Aを備える。以下、デッキプレート1Aについて具体的に説明する。
【0019】
以下では、水平面をXY平面とし、鉛直方向をZ方向とする。また、Z方向における上下を単に上下と呼ぶことがある。また、デッキプレート1Aの向きや寸法については、特に説明がない限り、後述する傾斜構造体300を構成した状態を基準とする。
【0020】
デッキプレート1Aは、例えば鋼製型枠用デッキプレートであり、第1の支持部100および第2の支持部とともに傾斜構造体300を構成する。第1の支持部100は、例えば梁であって、その上面が支持面101となっている。第2の支持部も第1の支持部100と同様の形状を有している。第1の支持部100と第2の支持部とはX方向に並んでいる。第1の支持部100の支持面101は、第2の支持部の支持面よりも上側に位置している。即ち、第1の支持部100と第2の支持部とは高さが異なり、これらによって支持されるデッキプレート1A(特に板本体2)がXY平面に対して傾斜するようになっている。
【0021】
板本体2は、所定平面に沿って延びる長方形板状に形成されている。板本体2は、幅方向(デッキ幅方向)がY方向に沿うとともに、長手方向(デッキスパン方向)がX方向に対して所定の傾斜角度を有するように配置される。板本体2の長手方向の両端部のうち、上側に位置するものを端部21とし、この端部21に配置される被支持部を被支持部31とする。
【0022】
被支持部31は、板状に形成され、XY平面に沿うように配置される。XY平面に沿うように配置された際の被支持部31のX方向寸法は、支持面101に対するかかり代となる。ここで、被支持部31がXY平面に沿って延びるとは、多少の傾斜角度(例えば2.2°以内)を有する状態も含むものとする。
【0023】
デッキプレート1Aが、板本体2がXY平面に対して傾斜し、被支持部31がXY平面に沿うように配置されることから、板本体2と被支持部31との間に形成された角度変更部4Aは、板本体2と被支持部31との間の角度に応じて屈曲された屈曲部となっている。また、本実施形態では、板本体2と被支持部31と角度変更部4Aとが一体に形成されている。
【0024】
以上のようなデッキプレート1Aは、板本体2と被支持部31との間を屈曲させて屈曲部である角度変更部4Aを形成することによって製造される。即ち、デッキプレート1Aは、工場等からの出荷段階において既に屈曲された角度変更部4Aを有しており、施工現場において屈曲加工が施されるものではない。
【0025】
デッキプレート1Aは、出荷段階において、角度変更部4Aが所定の屈曲角度θ1を有している。角度変更部4Aの屈曲角度θ1とは、板本体2の長手方向と、被支持部31が延在する平面と、のなす角度である。
【0026】
傾斜構造体300の施工時において、板本体2は、X方向に対して長手方向が所定の傾斜角度θ2だけ傾斜するように配置される。このとき、被支持部31は、XY平面(支持面101)に対し、屈曲角度θ1と傾斜角度θ2との差だけ傾斜している。この差が小さいほど、被支持部31と支持面101との間の隙間が小さくなる。尚、図1にはθ1=θ2である様子を示しているが、これらは一致しないこともあり、θ1>θ2の場合には、被支持部31の基端側が支持面101から離隔し、θ1<θ2の場合には、被支持部31の先端側が支持面101から離隔する。
【0027】
例えばかかり代が50mmであり、被支持部31と支持面101との許容隙間が2mmである場合、被支持部31と支持面101とのなす角度(屈曲角度θ1と傾斜角度θ2との差)の許容値(絶対値)は2.2°となる。この場合、屈曲角度θ1が4.4°以下ずつ異なるように、複数種類のデッキプレート1Aを製造しておく。これにより、傾斜角度θ2がどのような角度であっても、被支持部31と支持面101との間の隙間を2mm以下とすることができる。
【0028】
上記のように被支持部31と支持面101との隙間を許容値以内とすれば、例えば溶接によって被支持部31と支持面101とを接続固定することができる。尚、被支持部と支持部との接続方法は、各部の材質等に応じて適宜に選択されればよい。
【0029】
本実施形態のデッキプレート1Aは、板本体の下側の端部においても、上側の端部21同様の形状を有している。このとき、上側の端部21においては被支持部31が板本体2に対して下側に向かうように角度変更部4Aが形成されているが、下側の端部においては、被支持部が板本体に対して上側に向かうように角度変更部が形成されている。このように、デッキプレート1Aは、板本体2を挟み込むように一対の被支持部を有している。
【0030】
このように、本発明の第1実施形態に係るデッキプレート1Aによれば、被支持部31を板本体2に対して傾斜させるための角度変更部4Aを備えることで、支持部100の支持面101に対する被支持部31の傾斜角度を小さくすることができ、被支持部31と支持面101との間に角度調節のための部材等を設ける必要がなく、板本体2を水平面に対して傾斜させつつ被支持部31を支持部100に対して容易に接続することができる。
【0031】
また、角度変更部4Aが屈曲部であることで、板本体2の傾斜角度θ2に応じて、適宜な屈曲角度θ1を有するデッキプレート1Aを選択することにより、施工現場において角度調節のための作業が必要なく、作業性を向上させることができる。
【0032】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の第2実施形態に係るデッキプレート1Bを備えた傾斜構造体300を示す側面図であり、図3は傾斜構造体300の施工途中の様子を示す側面図である。
【0033】
本実施形態のデッキプレート1Bは、板本体2と被支持部31と角度変更部4Bとを備える。デッキプレート1Bは、角度変更部4Bが前記第1実施形態のデッキプレート1Aと相違している。以下では、デッキプレート1Bに関し、デッキプレート1Aとの相違点について説明し、特に説明がない限りは、デッキプレート1Aと同様の形態を有しているものとする。
【0034】
角度変更部4Bは、周辺部よりも変形容易に形成された変形容易部であり、Y方向に沿って延びている。図3に示すように、変形前の角度変更部4Bはデッキプレート1Bの一面側に凸となっていることで、被支持部31が他面側に向かって回動するような屈曲が容易となっている。即ち、上側の端部21においては、角度変更部4Bは上側に凸であり、下側の端部においては、角度変更部は下側に凸となっている。
【0035】
尚、変形容易部は、上記の形状に限定されない。例えば、部分的に薄肉となっていることで変形容易な変形容易部としてもよいし、変形容易部のみ異なる材質を用いることで変形容易としてもよいし、これらを適宜に組み合わせてもよい。
【0036】
工場等からの出荷段階において、板本体2と被支持部31とは同一平面上に延びている。尚、出荷段階において板本体2と被支持部31とが多少の傾斜を有していてもよい。
【0037】
図3に示すように、傾斜構造体300の施工時において、板本体2をXY平面に対して傾斜角度θ2だけ傾斜させると、被支持部31も支持面101及びXY平面に対して傾斜角度θ2だけ傾斜する。このような支持面101に対する被支持部31の傾斜を解消するように(即ち被支持部31がXY平面に沿うように)変形容易部である角度変更部4Bを変形させる(図2参照)。これにより、被支持部31と支持面101との隙間が解消され、第1実施形態同様に接合することができる。
【0038】
このように、本発明の第2実施形態に係るデッキプレート1Bによれば、被支持部31を板本体2に対して傾斜させるための角度変更部4Bを備えることで、支持部100の支持面101に対する被支持部31の傾斜角度を小さくすることができ、被支持部31と支持面101との間に角度調節のための部材等を設ける必要がなく、板本体2を水平面に対して傾斜させつつ被支持部31を支持部100に対して容易に接続することができる。
【0039】
また、角度変更部4Bが変形容易部であることで、出荷時に予め屈曲している構成と比較して、支持部100の支持面101に対する被支持部31の傾斜角度をより小さくすることができ、例えば施工時に傾斜角度θ2に誤差が生じた場合でも対応しやすい。また、傾斜角度θ2に応じた複数種類の角度変更部4Bを用意する必要がなく、共通のデッキプレート1Bを用いることができ、汎用性を向上させることができる。
【0040】
[第3実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の第3実施形態に係るデッキプレート1Cを備えた傾斜構造体300を示す側面図であり、図5は、デッキプレート1Cの要部を示す平面図であり、図6は、デッキプレート1Cを示す斜視図である。
【0041】
本実施形態のデッキプレート1Cは、板本体2の下側の端部22に、被支持部32と係止部33と角度変更部4Cとを備える。尚、デッキプレート1Cの上側の端部21における構造は、第1実施形態と同様であってもよいし、第2実施形態と同様であってもよい。
【0042】
被支持部32は、図5,6に示すように、幅方向(Y方向)に間隔を開けつつ配置された複数の被支持片321を有する。各々の被支持片321は角度変更部4Cに接続されている。
【0043】
係止部33は複数の係止片331を有する。各々の係止片331は、隣り合う被支持片321同士の間に配置され、板本体2の端部22の角度変更部4Cに接続されている。即ち、被支持片321と係止片331とがY方向において交互に並んでいる。係止部33の係止片331は、被支持部32の被支持片321とは独立に、板本体2に対して傾斜可能となっている。
【0044】
角度変更部4Cは、第2実施形態の角度変更部4Bと同様に変形容易部となっている。第2実施形態とは異なり、角度変更部4Cには被支持部32だけでなく係止部33も接続されており、係止部33の係止片331を板本体2に対して傾斜させることができるようになっている。
【0045】
本実施形態のデッキプレート1Cにおいては、板状の部分に対し、板本体2の長手方向に延びる切り込みL1を形成することによって、複数の被支持片321及び複数の係止片331が形成されている。
【0046】
工場等からの出荷段階において、被支持片321および係止片331は、板本体2と同一平面上に延びている。尚、これらが互いに多少の傾斜を有していてもよい。
【0047】
傾斜構造体300の施工時において、板本体2をXY平面に対して傾斜角度θ2だけ傾斜させると、被支持片321も傾斜角度θ2だけ支持部200の支持面201に対して傾斜する。このような支持面201に対する被支持片321の傾斜を解消するように(即ち被支持片321がXY平面に沿うように)変形容易部である角度変更部4Cを変形させる。これにより、被支持片321と支持面201との隙間が解消され、第1実施形態同様に接合することができる。
【0048】
さらに、本実施形態のデッキプレート1Cでは、角度変更部4Cを変形させることで、板本体2に対して係止片331を傾斜させる。具体的には、各々の係止片331がZY平面に沿うように(鉛直方向に沿うように)変形させる。このように、被支持部32と係止部33とは、板本体2に対する傾斜角度が互いに異なっている。係止部33の係止片331は、支持部200のうち支持部100側を向いた端縁202に当接する。
【0049】
尚、上記では角度変更部4Cが変形容易部であるものとしたが、屈曲部であってもよい。即ち、被支持部32および係止部33が板本体2に対して所定の屈曲角度を有して延在するように、予め屈曲された角度変更部が形成されていてもよい。
【0050】
このように、本発明の第3実施形態に係るデッキプレート1Cによれば、下側の端部22に被支持部32に加えて係止部33が設けられていることで、被支持部32が支持面201に沿うようにしつつ係止部33を端縁202に当接させることができる。傾斜して配置されたデッキプレート1Cは、重力によって、高い支持部100から低い支持部200に向かう方向に移動しようとする。係止部33が設けられていることで、このような移動を容易に抑制することができる。
【0051】
尚、本発明は上記の実施形態の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、上記の本発明の第1実施形態では、一対の被支持部が長手方向から板本体2を挟むように設けられるものとしたが、図7に示すように、一対の被支持部31が幅方向から板本体2を挟むように設けられたデッキプレート1Dとしてもよい。即ち、デッキプレートが使用される際の傾斜の向きに応じた適宜な位置に被支持部が設けられていればよい。また、被支持部が設けられるデッキプレートの端部は、図8に示すように中間エンドクローズ部23であってもよく、中間エンドクローズ部23に対して被支持部31および角度変更部4Aが設けられていてもよい。
【0052】
また、前記第1実施形態では、デッキプレート1Aが鋼製型枠用デッキプレートであるものとしたが、図9に示すように、合成スラブ用や乾式外断熱屋根用用等のデッキプレートにおいて一対の被支持部31が長手方向から板本体2を挟むように設けられてもよいし、図10に示すように、合成スラブ用や乾式外断熱屋根用等のデッキプレートにおいて一対の被支持部31が幅方向から板本体2を挟むように設けられてもよい。尚、合成スラブ用や乾式外断熱屋根用等のデッキプレートは、図10に示すように折板形状であってもよいし、図11に示すような鋼製型枠用デッキプレートを、上下反転させて(即ち板本体から突出する部分が上側に向かって延びるように)配置したものであってもよい。
【0053】
また、前記第1実施形態では、デッキプレート1Aにおいて板本体2と被支持部31とが一体に形成されているものとしたが、このような構成に限定されない。例えば図11に示すように、鋼製型枠用デッキプレートのフラットデッキであるデッキプレート1Eが、板本体2を含むデッキプレート本体5と、被支持部31および角度変更部4Aを含む別体板部としての幅調整板6と、を備え、デッキプレート本体5と幅調整板6とが接続される構成としてもよい。また、図12に示すように、合成スラブ用や乾式外断熱屋根用等のデッキプレートであるデッキプレート1Fが、板本体2を含むデッキプレート本体5と、被支持部31および角度変更部4Aを含む幅調整板6と、を備え、デッキプレート本体5と幅調整板6とが接続される構成としてもよい。
【0054】
また、前記第2実施形態では、変形容易部である角度変更部4Bが、端部21に対して1箇所にのみ形成されるものとしたが、図13に示すように、端部21に対して複数の角度変更部(変形容易部)4Bを形成してもよい。このような構成によれば、適宜な位置の角度変更部4Bを選択して変形させることができ、例えばかかり代を調節することができ、汎用性を向上させることができる。
【0055】
また、前記第3実施形態では、直線状の切り込みL1のみによって複数の被支持片321および複数の係止片331を形成し、これらが交互に並ぶものとしたが、係止部はこのような配置及び形状に限定されない。例えば、図14に示すように、角度変更部4CからX方向に沿って延びる一対の横切込L2と、一対の横切込L2のうち角度変更部4Cとは反対側の端部同士を接続する縦切込L3と、を有する切込7を形成してもよい。これにより、切込7によって囲まれた第1部分8と、その他の第2部分9と、が形成される。第1部分8と第2部分9とのうち一方を被支持部とし、他方を係止部として利用することができる。
【0056】
以上のような第1~第3実施形態のデッキプレート1A~1Cおよび変形例のデッキプレートの各構成は、適宜に組み合わせることができる。
【0057】
また、前記第1~第3実施形態では、角度変更部4A~4Cを有するデッキプレート1A~1Cを用いて傾斜構造体300を構成するものとしたが、傾斜構造体において被支持部が板本体に対して傾斜していればよく、角度変更部を有していないデッキプレートを用いてもよい。例えば、デッキプレートのうち屈曲されるべき部分に線等の識別部を形成しておき、施工現場において作業者が、被支持部を板本体に対して傾斜させるように、識別部に沿ってデッキプレートを屈曲させてもよい。
【0058】
また、前記第1~第3実施形態では、支持部100,200が梁であるものとしたが、支持部はデッキプレートを支持可能なものであればよく、例えば型枠であってもよしい、モルタル等の盛り付けによって構成された掛かり部であってもよい。
【0059】
また、前記第1~第3実施形態では、一対の被支持部と板本体とのそれぞれの間に角度変更部が設けられるものとしたが、一対の被支持部のうち一方と板本体との間に角度変更部が設けられてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施形態に係るデッキプレートに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0061】
1A~1F…デッキプレート、2…板本体、31,32…被支持部、33…係止部、4A~4C…角度変更部、6…幅調整板(別体板部)、100…第1の支持部、200…第2の支持部、300…傾斜構造体
図1
図2
図3
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図14