(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131417
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】判定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20240920BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01R31/54
G08B21/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041668
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】北村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 文人
(72)【発明者】
【氏名】中島 祥太
(72)【発明者】
【氏名】酒井 知之
(72)【発明者】
【氏名】冨田 守
【テーマコード(参考)】
2G014
5C086
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB14
2G014AB57
5C086AA34
5C086BA22
5C086CA02
5C086DA08
5C086FA18
(57)【要約】
【課題】不要な電力消費を低減しつつ、高い信頼性をもって警報用のホーン等の二端子デバイスが動作可能状態であるか否かを確実に判定することが可能な判定装置を提供する。
【解決手段】第1リレー1が短絡状態において二端子デバイスHに電源電位を供給する第1配線部3と、第2リレー2が短絡状態において二端子デバイスHに基準電位を供給する第2配線部4と、第1リレー1を開放状態とし且つ第2リレー2を短絡状態とする第1制御、及び第1リレー1を短絡状態とし且つ第2リレー2を開放状態とする第2制御を行うリレー制御手段5と、第1制御時の第1端部3Tの電位状態である第1電位状態を検出する第1検出手段6と、第2制御時の第2端部4Tの電位状態である第2電位状態を検出する第2検出手段7と、を備え、第1電位状態が基準電位に属し且つ第2電位状態が電源電位に属する場合に二端子デバイスHが動作可能な状態であると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リレーと、
第2リレーと、
第1端部が二端子デバイスの電源電位入力端に接続されることで、前記第1リレーが短絡状態において前記電源電位入力端に電源電位を供給する第1配線部と、
第2端部が前記二端子デバイスの基準電位入力端に接続されることで、前記第2リレーが短絡状態において前記基準電位入力端に基準電位を供給する第2配線部と、
前記第1リレーが開放状態であり且つ前記第2リレーが短絡状態である第1状態とするための第1制御、及び、前記第1リレーが短絡状態であり且つ前記第2リレーが開放状態である第2状態とするための第2制御を行うリレー制御手段と、
前記リレー制御手段が前記第1制御を行っている際の前記第1端部の電位状態である第1電位状態を検出する第1検出手段と、
前記リレー制御手段が前記第2制御を行っている際の前記第2端部の電位状態である第2電位状態を検出する第2検出手段と、
前記第1電位状態が前記基準電位に属し、且つ前記第2電位状態が前記電源電位に属する場合に、前記二端子デバイスが動作可能な状態であると判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の判定装置において、
前記リレー制御手段が前記第1制御を行っている際の前記第2端部の電位状態である第3電位状態を検出する第3検出手段を更に備え、
前記判定手段は、前記二端子デバイスが動作可能な状態ではないと判定する場合に、前記第1電位状態及び前記第3電位状態に基づいて、前記二端子デバイス又は前記第2リレーのいずれに不良があるかを判定することを特徴とする判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の判定装置において、
前記リレー制御手段が前記第2制御を行っている際の前記第1端部の電位状態である第4電位状態を検出する第4検出手段を更に備え、
前記判定手段は、前記二端子デバイスが動作可能な状態ではないと判定する場合に、前記第2電位状態及び前記第4電位状態に基づいて、前記二端子デバイス又は前記第1リレーのいずれに不良があるかを判定することを特徴とする判定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の判定装置において、
前記二端子デバイス及び前記判定装置は車両に搭載され、
前記リレー制御手段は、前記車両が動作状態である際に前記第2制御を行い、前記車両が非動作状態である際に前記第1制御を行うことを特徴とする判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の判定装置において、
前記リレー制御手段は、前記車両のエンジンが始動されてから予め設定された時間経過後に前記第2制御を行うことを特徴とする判定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の判定装置において、
前記判定手段により前記二端子デバイスが動作可能ではないと判定された場合に、当該判定結果を前記車両内に報知する報知手段を更に備えることを特徴とする判定装置。
【請求項7】
請求項1に記載の判定装置において、
前記二端子デバイス及び前記判定装置は車両に搭載され、
前記リレー制御手段は、前記車両が非動作状態である際に前記第1制御及び前記第2制御を行うことを特徴とする判定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の判定装置において、
前記判定手段により前記二端子デバイスが動作可能ではないと判定された場合に、当該判定結果を予め設定された通知先に通知する通知手段を更に備えることを特徴とする判定装置。
【請求項9】
第1リレーと、
第2リレーと、
第1端部が二端子デバイスの電源電位入力端に接続されることで、前記第1リレーが短絡状態において前記電源電位入力端に電源電位を供給する第1配線部と、
第2端部が前記二端子デバイスの基準電位入力端に接続されることで、前記第2リレーが短絡状態において前記基準電位入力端に基準電位を供給する第2配線部と、
前記第1リレーが開放状態且つ前記第2リレーが短絡状態の際の前記第1端部の電位状態である第1電位状態を検出する第1検出手段と、
前記第1リレーが短絡状態且つ前記第2リレーが開放状態の際の前記第2端部の電位状態である第2電位状態を検出する第2検出手段と、
前記第1電位状態が前記基準電位に属し、且つ前記第2電位状態が前記電源電位に属する場合に、前記二端子デバイスが動作可能な状態であると判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、判定装置の技術分野に属する。より詳細には、例えば車両の外にいる人に向けての警報音等を発する車両用のホーン等の二端子デバイスの動作可能状態を判定する判定装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、バスの中に子供が取り残される事案が発生していることから、幼稚園や保育園等の子供施設に子供を送迎するためのバスには、そのような事案の防止対策が求められている。このような防止対策の一環として、バス内で発生した異常を認識させるための警告音等を車両の外に放音するホーンを当該バスに設置することが進められている。このようなホーンは、普段は使用されるものではないが上記異常が発生した際には確実に動作する(すなわち異常発生時に上記警告音等を確実に車両外に放音する)ことが求められる。よって、当該ホーン内に備えられた配線、及び当該ホーンに接続される配線における断線の発生を常に検出可能にしておく必要がある。このような要請に応じるための先行技術文献を開示した文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。
【0003】
この特許文献1に開示されている先行技術では、アクチュエータ又はホーン等からなる負荷回路に対して駆動電力を供給する第1ワイヤーハーネスを備える断線検知装置であって、当該第1ワイヤーハーネスに並行して配設される第2ワイヤーハーネスと、当該第2ワイヤーハーネスに断線検知用電流を供給する電流回路と、当該電流回路の出力電圧を監視して第2ワイヤーハーネスの断線の有無を判定する断線判定回路と、を備え、第2ワイヤーハーネスの断線を第1ワイヤーハーネスの断線として警報する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、第2ワイヤーハーネスに断線検知用電流が常時流される必要があるため、上記先行技術の断線検知装置が搭載されている車両の電源たるバッテリの消費が激しいという問題点がある。また、電源供給用の第1ワイヤーハーネスの代わりに断線検出用の第2ワイヤーハーネスの断線を監視しているため、電源供給用の第1ワイヤーハーネス自体の断線の検出としてその信頼性が高いとはいえないという問題点もあった。
【0006】
そこで本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、不要な電力消費を低減しつつ、高い信頼性をもって警報用のホーンが動作可能状態であるか否かを確実に判定することが可能な判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1リレーと、第2リレーと、第1端部が二端子デバイスの電源電位入力端に接続されることで、前記第1リレーが短絡状態において前記電源電位入力端に電源電位を供給する第1配線部と、第2端部が前記二端子デバイスの基準電位入力端に接続されることで、前記第2リレーが短絡状態において前記基準電位入力端に基準電位を供給する第2配線部と、前記第1リレーが開放状態であり且つ前記第2リレーが短絡状態である第1状態とするための第1制御、及び、前記第1リレーが短絡状態であり且つ前記第2リレーが開放状態である第2状態とするための第2制御を行うリレー制御手段と、前記リレー制御手段が前記第1制御を行っている際の前記第1端部の電位状態である第1電位状態を検出する第1検出手段と、前記リレー制御手段が前記第2制御を行っている際の前記第2端部の電位状態である第2電位状態を検出する第2検出手段と、前記第1電位状態が前記基準電位に属し、且つ前記第2電位状態が前記電源電位に属する場合に、前記二端子デバイスが動作可能な状態であると判定する判定手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、第1リレーと、第2リレーと、第1端部が二端子デバイスの電源電位入力端に接続されることで、前記第1リレーが短絡状態において前記電源電位入力端に電源電位を供給する第1配線部と、第2端部が前記二端子デバイスの基準電位入力端に接続されることで、前記第2リレーが短絡状態において前記基準電位入力端に基準電位を供給する第2配線部と、前記第1リレーが開放状態且つ前記第2リレーが短絡状態の際の前記第1端部の電位状態である第1電位状態を検出する第1検出手段と、前記第1リレーが短絡状態且つ前記第2リレーが開放状態の際の前記第2端部の電位状態である第2電位状態を検出する第2検出手段と、前記第1電位状態が前記基準電位に属し、且つ前記第2電位状態が前記電源電位に属する場合に、前記二端子デバイスが動作可能な状態であると判定する判定手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の判定装置の概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例の故障報知システムの概要構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例の故障報知システムにおける正常検出時の動作を示すタイミングチャートである。
【
図4】実施例の故障報知システムにおけるバッテリ側接続異常検出時の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】実施例の故障報知システムにおけるアース側接続異常検出時の動作を示すタイミングチャートである。
【
図6】変形例の故障報知システムの概要構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態の判定装置の概要構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態の判定装置Sは、第1リレー1と、第2リレー2と、第1配線部3と、第2配線部4と、リレー制御手段5と、第1検出手段6と、第2検出手段7と、判定手段8と、を備えて構成されている。
【0012】
この構成において、第1配線部3は、第1端部3Tが二端子デバイスHの電源電位入力端に接続されることで、第1リレー1が短絡状態において電源電位入力端に電源Bの電源電位を供給する。一方、第2配線部4は、第2端部4Tが二端子デバイスHの基準電位入力端に接続されることで、第2リレー2が短絡状態において基準電位入力端に基準電位(例えばアース電位)Eを供給する。
【0013】
そして、リレー制御手段5は、第1リレー1が開放状態であり且つ第2リレー2が短絡状態である第1状態とするための第1制御、及び、第1リレー1が短絡状態であり且つ第2リレー2が開放状態である第2状態とするための第2制御を行う。
【0014】
他方、第1検出手段6は、リレー制御手段5が上記第1制御を行っている際の第1端部3Tの電位状態である第1電位状態を検出する。更に、第2検出手段7は、リレー制御手段5が上記第2制御を行っている際の第2端部4Tの電位状態である第2電位状態を検出する。
【0015】
これらにより、判定手段8は、上記第1電位状態が基準電位Eに属し、且つ第2電位状態が電源Bの電位に属する場合に、二端子デバイスHが動作可能な状態であると判定する。
【0016】
以上説明したように、実施形態の判定装置Sの動作によれば、第1リレー1が開放状態であり且つ第2リレー2が短絡状態である第1状態とするための第1制御を行っている際の第1端部3Tの第1電位状態が基準電位Eに属し、且つ第1リレー1が短絡状態であり且つ第2リレー2が開放状態である第2状態とするための第2制御を行っている際の第2端部4Tの第2電位状態が電源Bの電位に属する場合に、二端子デバイスHが動作可能な状態であると判定する。よって、二端子デバイスHにおける不要な動作(起動)を回避しつつ、且つ不要な電力消費を低減し、更に高い信頼性をもって二端子デバイスHが動作可能状態であるか否かを確実に判定することができる。
【実施例0017】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図5を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、子供施設に子供を送迎するためのバスにおける子供の置き去り事故を防止するための装備の一つとして当該バスに備えられた警報用のホーンにおける断線や動作不良等の故障を検出する故障検出システムに対して実施形態を適用した場合の実施例である。なお、上記ホーンは、例えば、バスの車外に対して警報音を放音するためのホーンである。
【0018】
また、
図2は実施例の故障報知システムの概要構成を示すブロック図であり、
図3は当該故障報知システムにおける正常検出時の動作を示すタイミングチャートである。また、
図4は当該故障報知システムにおけるバッテリ側接続異常検出時の動作を示すタイミングチャートであり、
図5は当該故障報知システムにおけるアース側接続異常検出時の動作を示すタイミングチャートである。このとき
図2では、
図1に示した実施形態の判定装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該判定装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0019】
(I)
実施例の故障報知システムの全体構成について
初めに、実施例の故障報知システムの全体構成について、
図2を用いて説明する。
【0020】
図2に示すように、実施例の故障報知システムSSは、上記バスのバッテリからの電源電力が駆動電力として印加されるバッテリ側端子と、アース側に接続されるアース側端子と、を備えるホーンHであって、上記警報音をバスの外に放音するホーンHにおける断線や未接続等の故障(不具合)を検出してこれを外部に報知するシステムである。
【0021】
より具体的に、実施例の故障報知システムSSは、上記バッテリ側端子に接続され且つホーンスイッチ12によりその短絡状態と開放状態が制御される第1リレー1と、上記アース側端子に接続され上記バスのアクセサリ(Accessory)電源11のオン/オフにより、その短絡状態と開放状態が制御される第2リレー2と、マイコン等により構成される上記制御部5と、制御部5によりその活殺状態が制御される上記ホーンスイッチ12と、上記バスが駐車されている際の子供の置き去りを検出する人感センサや外部からの衝撃等の異常を検出する加速度センサ等からなる異常検出部13と、上記ホーンHの故障等の不具合をバスの外にいる管理者又は車内の乗務員に報知する不具合報知部14と、が、
図2に示す接続態様で接続されて構成されている。このとき、不具合報知部14は、車内の乗務員に上記不具合を報知する際に用いられるブザー又は警告ランプ等と、車外の管理者に上記不具合を例えばインターネット等のネットワークを介して通知する際に用いられるネットワーク接続システムと、を備えている。
【0022】
以上の構成において、第1リレー1及び第2リレー2は、それぞれの制御入力側に小電力を入力することで、内蔵される大電流回路の短絡状態又は開放状態の制御が可能なデバイスである。より具体的な一例として、第1リレー1はノーマルオープン型のメカニカルリレーであり、第2リレー2はノーマルクローズ型のメカニカルリレーである。また一例として、第1リレー1の大電流回路は、第1配線部3を介してその第1端部3TがホーンHのバッテリ側端子に接続されていると共にヒューズ10に接続されており、制御部5によりホーンスイッチ12がオンとされた場合には第1リレー1の大電流回路が短絡状態となり、ホーンHのバッテリ側端子にバッテリBからの電源電力が供給される。一方、制御部5によりホーンスイッチ12がオフとされた場合には、第1リレー1の大電流回路が開放状態となり、ホーンHのバッテリ側端子にバッテリBからの電源電力は供給されなくなる。他方、第2リレー2の大電流回路は、第2配線部4を介してその第2端部4TがホーンHのアース側端子に接続されていると共にアースEに接続されており、更に第2リレー2の制御入力側にはバスのアクセサリ電源11に通じるアクセサリ配線15が接続されており、バスのアクセサリ電源11がオフの場合には、第2リレー2の大電流回路が短絡状態となりホーンHのアース側端子にアースEのアース電位が供給される。一方、バスのアクセサリ電源11がオンの場合には、第2リレー2の大電流回路が開放状態となりホーンHのアース側端子にアースEのアース電位は供給されない。
【0023】
以上の構成を備える故障報知システムSSには、上記バスのアクセサリ電源11からの電源電力と、ヒューズ10を介した上記バスのバッテリBからの電源電力と、がそれぞれ別個に供給される。また、制御部5からの第1検出線6が上記第1端部3Tに接続されており、同じく第2検出線7が上記第2端部4Tに接続されている。
【0024】
以上の構成において、制御部5、ホーンスイッチ12及びアクセサリ配線15が実施形態のリレー制御手段5の一例に相当し、制御部5が実施形態の判定手段8の一例に相当し、制御部5及び第1検出線6が実施形態の第1検出手段6の一例に相当し、制御部5及び第2検出線7が実施形態の第2検出手段7の一例及び本願の「第3検出手段」の一例にそれぞれに相当し、制御部5及び第1検出線6が本願の「第4検出手段」の一例に相当する。更に、不具合報知部14が本願の「報知手段」の一例及び「通知手段」の一例にそれぞれ相当する。
【0025】
(II)
実施例の故障報知システムの動作について
次に、実施例の故障報知システムSSの動作について、
図2乃至
図5を用いて説明する。なお、
図3乃至
図5において、第1検出線6及び第2検出線7それぞれの電位が、「電位不定」又は「ハイインピーダンス」であることを「Hi-Z」と表記し、「概ねバッテリBの電位」であることを「H」と表記し、「概ねアースEの電位」であることを「L」と表記している。
【0026】
先ず、ホーンHが故障なく正常に動作する場合の故障報知システムSSの動作を、
図2及び
図3を用いて説明する。
【0027】
ホーンHが故障なく正常に動作する場合は、
図3に示すように、バスの始動に当たってアクセサリ電源11又はバスのイグニッションスイッチがオンとされると、バッテリBの電圧が変動するエンジン始動期間(より具体的には、アクセサリ電源11又はイグニッションスイッチがオンとされてから数秒程度)の経過後に、ホーンHのバッテリ側の接続状態が確認される。なお、バッテリBからの電源電力は、バスのエンジンの始動の有無に拘らず、常時、ヒューズ10を介して故障報知システムSSに供給されている。
【0028】
より具体的に、当該バッテリ側接続確認期間において、アクセサリ電源11が供給されている第2リレー2は開放状態となっており、制御部5はホーンスイッチ12をオンとすることで第1リレー1を短絡状態とする。そうすると、バッテリBからの電源電力が正常にホーンHに供給されていれば、それまで「電位不定」であった第1検出線6及び第2検出線7それぞれの電位は、当該バッテリ側接続確認期間において
図3に示すように「H」となる。この電位状態を検出することにより、制御部5は、
図3に示すようにホーンHのバッテリ側端子における接続状態が正常であることを確認する。また、制御部5は、当該バッテリ側接続確認期間の終了後には、ホーンスイッチ12をオフとする。
【0029】
一方、バスがその運行を終了してアクセサリ電源11又はイグニッションスイッチがオフとされると、その直後に、ホーンHのアース側の接続状態が確認される。
【0030】
より具体的に、当該アース側接続確認期間において、制御部5はホーンスイッチ12をオフとした状態を継続し、アクセサリ電源11又はイグニッションスイッチがオフとされてアクセサリ電源11が供給されなくなった第2リレー2は短絡状態となる。そうすると、ホーンHのアースEへの接地状態が正常であれば、それまで「電位不定」であった第1検出線6及び第2検出線7それぞれの電位は、当該アース側接続確認期間以降において
図3に示すように「L」となる。この電位状態を検出することにより、制御部5は、
図3に示すようにホーンHのアース側端子における接続状態が正常であることを確認する。
【0031】
その後制御部5は、バスにおける上記異常状態の監視に移行する。そして、異常検出部13において何らかの異常が検出された場合、制御部5は、ホーンスイッチ12を例えば断続的にオンとしてホーンHを鳴動させ、その警報音等により、当該異常を車外の管理者等に知らせる。このとき、ホーンスイッチ12の活殺状態及び第1検出線6の電位状態は、
図3に示すような、ホーンHの鳴動に連動した状態となる。
【0032】
一方、ホーンHのバッテリ側端子における接続状態が正常でない場合は、上記バッテリ側接続確認期間において、第1検出線6の電位状態が「H」であるにも拘わらず、第2検出線7の電位状態は、
図4に破線二重丸で例示するように電位不定状態となる。よってこの場合に、制御部5は、アース側接続確認期間を待つことなく、不具合報知部14を介して当該故障を報知する。なおこのとき、バッテリ側接続確認期間において異常が検知された場合でも、アース側接続確認期間を待って、当該アース側接続確認期間における検知結果に拘わらず上記故障の報知を行うように構成してもよい。
【0033】
他方、ホーンHのアース側端子における接続状態が正常でない場合は、上記アース側接続確認期間において、第2検出線7の電位状態が「L」であるにも拘わらず、第1検出線6の電位状態は、
図5に一点鎖線二重丸で例示するように「電位不定」の状態となる。よってこの場合に、制御部5は、不具合報知部14を介して当該故障を報知する。
【0034】
なお、上記バッテリ側接続確認期間において、第1検出線6の電位状態が「H」であるにも拘わらず第2検出線7の電位状態が「電位不定」である場合は、ホーンH自体の異常(例えば、ホーンH内で断線が発生しているか、又はホーンH自体が未接続であること等。以下、同様。)であることが判る。よってこの場合に制御部5は、当該ホーンH自体の故障を、不具合報知部14を介して報知する。
【0035】
また、同様にバッテリ側接続確認期間において、第1検出線6の電位状態及び第2検出線7の電位状態が共に「電位不定」である場合は、第1リレー1に故障が生じていることが判る。よってこの場合に制御部5は、当該第1リレー1の故障を、不具合報知部14を介して報知する。
【0036】
一方、上記アース側接続確認期間において、第2検出線7の電位状態が「L」であるにも拘わらず第1検出線6の電位状態が「電位不定」である場合も、ホーンH自体の異常であることが判る。よってこの場合も制御部5は、当該ホーンH自体の故障を、不具合報知部14を介して報知する。
【0037】
更に、同様にアース側接続確認期間において、第1検出線6の電位状態及び第2検出線7の電位状態が共に「電位不定」である場合は、第2リレー2に故障が生じていることが判る。よってこの場合に制御部5は、当該第2リレー2の故障を、不具合報知部14を介して報知する。
【0038】
ここで、第1リレー1又は第2リレー2における「故障」とは、例えば、「外部からの制御によって正常に動作しない状態」であることをいう。その原因としては、例えば第1リレー1及び第2リレー2がメカニカルリレーであれば、それに内蔵されている巻き線の断線や、可動端子のメカニカルな故障などが考えられる。
【0039】
このとき、バッテリ側接続確認期間においては、正常に動作する第1リレー1であれば当該第1リレー1は短絡状態になっているので、たとえホーンHが接続されていなかったとしても、第1検出線6の電位状態は「H」となる。よって、この状態で第1検出線6の電位状態が「電位不定」であったとすれば、それは、第1リレー1が正常に短絡状態(導通状態)になっていないから、ということになる。つまり、制御部5は、第1リレー1を短絡状態とするための制御信号(ホーンスイッチ12をオンとするための制御信号であってもよい)を出力しているにも拘らず第1リレー1が短絡状態にならないので、第1リレー1の故障(又はその故障が疑われる状態)であると判定する。
【0040】
同様に、アース側接続確認期間においては、正常に動作する第2リレー2であれば当該第2リレー2は短絡状態になっているので、たとえホーンHが接続されていなかったとしても、第2検出線Lの電位状態は「L」となる。よって、この状態で第2検出線7の電位状態が「電位不定」であったとすれば、それは、第2リレー2が正常に短絡状態(導通状態)になっていないから、ということになる。つまり、制御部5は、アクセサリ電源11がオフされたにも拘らず第2リレー2が短絡状態にならないので、第2リレー2の故障(又はその故障が疑われる状態)であると判定する。
【0041】
以上説明した実施例の故障報知システムSSの動作を纏めると、以下の表の通りとなる。
【表1】
【0042】
以上説明したように、実施例の故障報知システムSSの構成及び動作によれば、第1リレー1が開放状態であり且つ第2リレー2が短絡状態であるアース側接続確認期間における第1端部3Tの電位状態がアース電位に属し(「L」となり)、第1リレー1が短絡状態であり且つ第2リレー2が開放状態であるバッテリ側接続確認期間においての第2端部4Tの電位状態がバッテリBの電位に属する(「H」となる)場合に、ホーンHが動作可能な状態であると判定する。よって、ホーンHにおける不要な動作を回避しつつ、且つ不要な電力消費を低減し、更に高い信頼性をもってホーンHが動作可能状態であるか否かを確実に判定することができる。
【0043】
また、アース側接続確認期間においてホーンHが動作可能な状態ではないと判定する場合に、第2端部4Tの電位状態を検出し、ホーンH又は第2リレー2のいずれに不良があるかを判定する。よってこの場合は、ホーンHに加えて第2リレー2の不良をも確実に判定することができる。
【0044】
更に、バッテリ側接続確認期間においてホーンHが動作可能な状態ではないと判定する場合に、第1端部3Tの電位状態を検出し、ホーンH又は第1リレー1のいずれに不良があるかを判定する。よってこの場合は、ホーンHに加えて第1リレー1の不良をも確実に判定することができる。
【0045】
更にまた、ホーンHを含む報知システムSSがバスに搭載されており、アクセサリ電源11がオンとされている間にバッテリ側接続確認期間を設け、アクセサリ電源11がオフとされている間にアース側接続確認期間を設けるので、バス(車両)用のホーンHの動作可能状態を正確に判定することもできる。
【0046】
また、バスのアクセサリ電源11がオンとされてそのエンジンが始動されてからのクランキング期間経過後にバッテリ側接続確認期間を設けるので、当該エンジン始動時の電気的に不安定な状態を避けて、ホーンHの動作可能状態を正確に判定することができる。
【0047】
更に、ホーンHが動作可能ではないと判定された場合にその旨を不具合報知部14によりバス内に報知する場合は、ホーンHの動作状態を例えばバスの搭乗者に迅速に報知することができる。
【0048】
[変形例]
次に、実施形態に対応した他の実施例である変形例について、
図6を用いて説明する。なお、
図6は変形例の故障報知システムの概要構成を示すブロック図である。このとき、
図6において、実施例の故障報知システムSSと同様の部材については、同様の部材番号を付して細部の説明を省略する。
【0049】
上述した実施例の故障報知システムSSでは、アクセサリ電源11がオンとされている時(すなわち、バスの走行中)にバッテリ側接続確認期間を設け、アクセサリ電源11がオフとされている時(すなわち、バスの駐車中)にアース側接続確認期間を設けることとした。しかしながら、ホーンHが使用される可能性があるのは、当然ながら上記駐車中であるので、バスの走行中にバッテリ側接続確認期間を設けなくても、バスが駐車状態となった直後にバッテリ側接続確認期間とアース側接続確認期間の二つを設ければよいことになる。
【0050】
そこで、変形例の故障報知システムとしては、バスの走行中にバッテリ側接続確認期間を設けず、バスが駐車状態となった直後にバッテリ側接続確認期間とアース側接続確認期間の二つを設けることとする。
【0051】
すなわち、変形例の故障報知システムSS2は、
図6に示すように、実施例の故障報知システムSSに対して、ホーンスイッチ20を新たに設け、その活殺状態を制御部5が制御する。そして制御部5は、アクセサリ電源11がオフとされた直後から、ホーンスイッチ12及びホーンスイッチ20の同時オン及び同時オフを断続的に繰り返すことで、ホーンHを鳴動させることなく、連続的に故障検知を行うように構成する。なお、ホーンHを鳴動させる場合は、ホーンスイッチ12をオンとしつつ、ホーンスイッチ20をオフとすることになる。
【0052】
より具体的に、アクセサリ電源11がオフとされた後、制御部5は、ホーンスイッチ12をオンとすることで第1リレー1を短絡状態とすると共に、ホーンスイッチ20をオンとすることで第2リレー2を開放状態とし、これにより、実施例と同様のバッテリ側接続確認期間(以下、「変形例のバッテリ側接続確認期間」と称する)を設ける。一方、制御部5は、アクセサリ電源11がオフとされた後、ホーンスイッチ12をオフとすることで第1リレー1を開放状態とすると共に、ホーンスイッチ20をオフとすることで第2リレー2を短絡状態とし、これにより、実施例と同様のアース側接続確認期間(以下、「変形例のアース側接続確認期間」と称する)を設ける。そして制御部5は、変形例のバッテリ側接続確認期間を設けた後に変形例のアース側接続確認期間を設けるか、又は、変形例のアース側接続確認期間を設けた後に変形例のバッテリ側接続確認期間を設けるか、のいずれかの制御を行うことで、実施例と同様に、ホーンHを鳴動させることなく、その接続に異常がないことを確認することができる。
【0053】
以上説明したように、変形例の故障報知システムSS2の制御部5は、アクセサリ電源11がオフ(すなわち、バスのエンジンが停止)となったことを契機として、変形例のバッテリ側接続確認期間と変形例のアース側接続確認期間とが繰り返されるように制御することで、バスが駐車状態となった後にホーンHの接続状態を検知して報知することができる。
【0054】
なお、実施形態に対応する他の変形例として、変形例の故障報知システムSS2において、制御部5が、変形例のバッテリ側接続確認期間を設けた後に変形例のアース側接続確認期間を設けることを複数回繰り返す(或いは、変形例のバッテリ側接続確認期間を設けた後に変形例のアース側接続確認期間を設けることを、一分おきに繰り返してもよい)ことで、バスを駐車状態にした後に継続的にホーンHの接続状態を検知するように構成してもよい。そして、バッテリ側端子の接続状態又はアース側端子の接続状態のいずれかに異常がある場合は、ホーンHの鳴動をさせずに、不具合報知部14により例えばインターネット経由でその旨を予め設定された通知先(例えばバスの管理者)に通知するように構成するのが好適である。
【0055】
ここで、変形例の故障報知システムSS2を用いて、バスが駐車状態にされた後にホーンHの動作状態を確認し続けることは、例えば、人感センサを用いた自動検知式の置き去り防止装置であって、バスのエンジン停止から一定時間経過後に人感センサによる車内の検知(走査)を開始し、子供の置き去りが発生している場合はホーンで車外に警報音を鳴らす構成の置き去り防止装置において効果を発する。
【0056】
すなわち、上記の構成を備えた置き去り防止装置では、エンジンの停止後から上記一定時間内は、置き去りの検知は行われない。このような場合に、例えば、バスの中で子供が意図的に隠れており、置き去りの検知機能が動作開始するまでの間に運転者がバスから離れてしまい、更に上記隠れていた子供のいたずらによりホーンHが断線したとすると、その後、置き去りの検知機能が働いてその子供が検知されても、ホーンHは鳴動しないこととなる。これに対し、変形例の故障報知システムSS2の構成によれば、バスのエンジンを停止させて駐車状態とした以降、継続的にホーンHの接続状態が確認できるので、上述したようないたずらによるホーンHの断線が発生した時点で、その旨を上記通知先に通知することが可能となる。
【0057】
以上説明したように、変形例の故障報知システムSS2の構成及び動作によれば、実施例の故障報知システムSSの構成及び動作による上記各効果に加えて、ホーンH及び故障報知システムSS2がバスに搭載されており、アクセサリ電源11がオフとされている際にバッテリ側接続確認期間及びアース側接続確認期間を設けるので、バス(車両)用のホーンHの動作可能状態を正確に判定することもできる。
【0058】
また、ホーンHが動作可能ではないと判定された場合に、その旨を予め設定された通知先に通知するので、ホーンHの動作状態を例えば車外の管理者に迅速に報知することができる。
【0059】
なお、上述した各変形例の他に、実施形態に対応する更に他の変形例として、上記ホーンH以外の二端子型のデバイス(例えば警告灯等の二端子デバイス)における接続状態の検知に実施形態を適用することも可能である。
【0060】
また、上述した実施例及び変形例では、第1リレー1及び第2リレー2としてメカニカルリレーを例示しているが、メカニカルリレーに代えて半導体リレーとしてこれらを構成してもよい。また、上述した実施例及び変形例では、第1リレー1をノーマルオープン型とし、第2リレー2をノーマルクローズ型としたが、これらに限られない。上記と異なる論理のリレーを採用する場合は、制御信号の論理や周辺回路の変更により整合させることができる。
【0061】
更に、本発明は、上記実施形態及び上記実施例並びに上記変形例に限定されるものではない。上記実施形態及び上記実施例並びに上記変形例はあくまで例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、本発明の技術的範囲に包含される。