(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131423
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】吊り装置及び吊り方法
(51)【国際特許分類】
B66C 1/34 20060101AFI20240920BHJP
B66C 1/10 20060101ALI20240920BHJP
B66C 1/62 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B66C1/34 M
B66C1/10 Z
B66C1/62 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041678
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000182030
【氏名又は名称】若築建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 貴一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼塚 浩
(72)【発明者】
【氏名】田沼 遊太郎
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA01
3F004AB17
3F004AC04
3F004AD07
3F004CA01
3F004CB08
3F004CD02
3F004CD04
3F004CD08
3F004EA01
3F004EA13
(57)【要約】
【課題】種々の被牽吊体に対して荷役作業を安全に行う。
【解決手段】吊り装置14は、手根ブロック30と、手根ブロック30に対して相対移動可能な中手ブロック32と、手根ブロック30及び中手ブロック32に対して枢動可能に連結していて中手ブロック32が手根ブロック30に接近することで閉じ、中手ブロック32が手根ブロック30から離隔することで開く複数のリンク機構34と、を備え、リンク機構34は、手根ブロック30に枢動可能に連結する中手リンク35と、中手リンク35の先端に枢動可能に連結すると共に中手ブロック32に枢動可能に連結する指リンク36と、指リンク36の先端に枢動可能に連結する爪リンク37と、を備え、爪リンク37は吊り具を掛けるフック構造71を備え、複数のリンク機構34を開いてフック構造71から吊り具を外すことで玉外しが完了する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手根ブロックと、
前記手根ブロックに対して相対移動可能な中手ブロックと、
前記手根ブロック及び前記中手ブロックに対して枢動可能に連結していて前記中手ブロックが前記手根ブロックに接近することで閉じ、前記中手ブロックが前記手根ブロックから離隔することで開く複数のリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記手根ブロックに枢動可能に連結する中手リンクと、
前記中手リンクの先端に枢動可能に連結すると共に前記中手ブロックに枢動可能に連結する指リンクと、
前記指リンクの先端に枢動可能に連結する爪リンクと、
を備え、
前記爪リンクは吊り具を掛けるフック構造を備え、
複数の前記リンク機構を開いて前記フック構造から前記吊り具を外すことで玉外しが完了する、吊り装置。
【請求項2】
前記爪リンクは前記吊り具を固定する固定構造を備え、前記吊り装置は前記固定構造により前記吊り具を回収する、請求項1に記載の吊り装置。
【請求項3】
前記吊り具は玉掛索を含み、
前記玉掛索の一方端を前記爪リンクの前記固定構造に固定し、
前記玉掛索を被牽吊体に掛け、
前記玉掛索の他方端を前記爪リンクの前記フック構造に掛け、
複数の前記リンク機構を閉じることで玉掛けが完了する、
請求項2に記載の吊り装置。
【請求項4】
前記吊り具は第1玉掛索及び第2玉掛索を含み、
前記第1玉掛索の一方端を前記爪リンクの前記固定構造に固定し、
前記第2玉掛索の一方端を前記爪リンクの前記フック構造に掛け、
前記第2玉掛索を被牽吊体に掛け、
前記第2玉掛索の他方端を前記第1玉掛索の他方端に固定し、
複数の前記リンク機構を閉じることで玉掛けが完了する、
請求項2に記載の吊り装置。
【請求項5】
前記吊り具は吊り環を含み、
複数の前記リンク機構を閉じて前記爪リンクを前記吊り環に差し込むことで玉掛けが完了し、
複数の前記リンク機構を開いて前記爪リンクを前記吊り環から外すことで玉外しが完了する、
請求項1又は2に記載の吊り装置。
【請求項6】
複数の前記リンク機構を閉じて被牽吊体を把持することで前記被牽吊体を吊上げ、
複数の前記リンク機構を開いて前記被牽吊体を解放することで前記被牽吊体を降ろす、
請求項1又は2に記載の吊り装置。
【請求項7】
前記爪リンクは前記指リンクよりも長い、請求項6に記載の吊り装置。
【請求項8】
前記吊り装置は前記リンク機構を水平回転させる回転機構をさらに備え、前記爪リンクを任意の位置で使用可能にする、請求項1又は2に記載の吊り装置。
【請求項9】
吊り装置を用いた吊り方法であって、
前記吊り装置は、
手根ブロックと、
前記手根ブロックに対して相対移動可能な中手ブロックと、
前記手根ブロック及び前記中手ブロックに対して枢動可能に連結していて前記中手ブロックが前記手根ブロックに接近することで閉じ、前記中手ブロックが前記手根ブロックから離隔することで開く複数のリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記手根ブロックに枢動可能に連結する中手リンクと、
前記中手リンクの先端に枢動可能に連結すると共に前記中手ブロックに枢動可能に連結する指リンクと、
前記指リンクの先端に枢動可能に連結する爪リンクと、
を備え、
前記吊り方法は、
前記爪リンクに形成されたフック構造に吊り具を掛ける工程と、
複数の前記リンク機構を開いて前記フック構造から前記吊り具を外すことで玉外しを完了する工程と、
を含む、吊り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吊り装置及び吊り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クレーン等の先端に取り付けて被牽吊体を吊る吊り装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、消波ブロック等の脚付異形ブロックを複数の挟持アームによって挟持すると共に、複数の挟持アームによって囲まれる領域に脚付異形ブロックの頭脚部を挿入する収納空間を形成するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の記載の技術によれば、脚付異形ブロックをしっかりと挟持することができるが、被牽吊体が脚付異形ブロックに制限されてしまう。一方、ワイヤーロープ等の玉掛索を用いて種々の被牽吊体をクレーンで吊る方法が古くから存在するが、玉掛索又は吊り環等の吊り具によって指詰め事故を起こす危険性がある。
【0006】
そこで、本開示の技術は、上記課題に鑑み、種々の被牽吊体に対して荷役作業を安全に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示の一態様によれば、
手根ブロックと、
前記手根ブロックに対して相対移動可能な中手ブロックと、
前記手根ブロック及び前記中手ブロックに対して枢動可能に連結していて前記中手ブロックが前記手根ブロックに接近することで閉じ、前記中手ブロックが前記手根ブロックから離隔することで開く複数のリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記手根ブロックに枢動可能に連結する中手リンクと、
前記中手リンクの先端に枢動可能に連結すると共に前記中手ブロックに枢動可能に連結する指リンクと、
前記指リンクの先端に枢動可能に連結する爪リンクと、
を備え、
前記爪リンクは吊り具を掛けるフック構造を備え、
前記複数の前記リンク機構を開いて前記フック構造から前記吊り具を外すことで玉外しが完了する、吊り装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、種々の被牽吊体に対して荷役作業を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る吊り装置を有するクレーンの構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る吊り装置の斜視構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る吊り装置の一部分解斜視図である。
【
図4A】第1実施形態に係る爪リンクの拡大斜視図である。
【
図4B】第1実施形態に係る爪リンクの拡大斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る吊り装置の開閉動作を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態に係るリンク機構の回転動作を示す模式図である。
【
図7A】第1実施形態に係る吊り装置を用いた第1吊り方法を示す模式図(a)~(b)である。
【
図7B】第1実施形態に係る吊り装置を用いた第1吊り方法を示す模式図(c)~(d)である。
【
図7C】第1実施形態に係る吊り装置を用いた第1吊り方法を示す模式図(e)~(f)である。
【
図8A】第1実施形態に係る吊り装置を用いた第2吊り方法を示す模式図(a)~(b)である。
【
図8B】第1実施形態に係る吊り装置を用いた第2吊り方法を示す模式図(c)~(d)である。
【
図8C】第1実施形態に係る吊り装置を用いた第2吊り方法を示す模式図(e)~(f)である。
【
図9A】第2実施形態に係る爪リンクの斜視構成図である。
【
図9B】第2実施形態に係る爪リンクの斜視構成図である。
【
図10A】第2実施形態に係る吊り装置を用いた第3吊り方法を示す模式図(a)~(b)である。
【
図10B】第2実施形態に係る吊り装置を用いた第3吊り方法を示す模式図(c)である。
【
図11】第3実施形態に係る吊り装置の斜視構成図である。
【
図12A】第3実施形態に係る吊り装置を用いた第4吊り方法を示す模式図(a)~(b)である。
【
図12B】第3実施形態に係る吊り装置を用いた第4吊り方法を示す模式図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。各図面において、同一構成要素には同一符号を付与し、重複した説明を適宜省略する。
【0011】
<用語の定義>
先ず、本開示の用語の定義について説明する。
【0012】
「玉掛け」とは、吊り具を用いて被牽吊体を吊り装置に掛けることを意味する。
【0013】
「玉外し」とは、吊り具を用いて被牽吊体を吊り装置から外すことを意味する。
【0014】
「吊り具」とは、被牽吊体を吊るための道具を意味する。吊り具には、例えば、玉掛索、吊り環、吊り枠、吊り網、吊り篭、又は吊り袋等が含まれる。
【0015】
「被牽吊体」とは、吊り装置に吊られる物体を意味する。被牽吊体には、例えば、吊り荷、吊り枠、吊り網、吊り篭、又は吊り袋等が含まれる。
【0016】
「吊り荷」とは、吊り装置に吊られる荷を意味する。吊り荷には、例えば、海上土木用、陸上土木用、及び建築用等の建設用資材が含まれる。建設用資材としては、例えば、コンクリートブロック、鋼板、鋼管、形鋼、及び棒鋼等が挙げられる。
【0017】
「コンクリートブロック」には、例えば、消波ブロック、根固めブロック、被覆ブロック、張りブロック、又は積みブロック等が含まれる。
【0018】
「玉掛索」とは、被牽吊体を吊るための紐状体を意味する。玉掛索には、例えば、ワイヤーロープ、スリングベルト、又はチェーンスリング等が含まれる。
【0019】
「吊り環」とは、被牽吊体を吊るための環状体を意味する。吊り環には、例えば、アイ、リング、シャックル、フック、又はヤーク等が含まれる。
【0020】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態に係る吊り装置について詳述する。
【0021】
(クレーンの構成例)
先ず、第1実施形態に係る吊り装置を有するクレーンの構成について詳述する。
図1は第1実施形態に係る吊り装置14を有するクレーン1の構成図である。
【0022】
本例のクレーン1は、例えば、起重機船、又はグラブ浚渫船等に設けられる。クレーン1は、海上で使用される起重機であるが、陸上で使用される起重機であってもよい。陸上で使用される起重機としては、例えば、移動式クレーン、タワークレーン、天井クレーン、橋形クレーン、及び門型クレーン等が挙げられる。
【0023】
クレーン1には旋回体2が旋回自在に搭載される。旋回体2の前方にはブーム3が起伏自在に設けられ、旋回体2の後方にはガントリ4及びカウンターウエイト22が設けられる。
【0024】
旋回体2には起伏索用ウインチ5が設置される。起伏索用ウインチ5から繰り出される起伏索6はガントリ4の上端に設けたシーブ7からブライドル8のシーブに掛け回される。ブライドル8はペンダント9を介してブーム3の上端部に係止される。ブーム3は、起伏索用ウインチ5による起伏索6の巻上げ動作及び巻下げ動作によって起伏動作を行う。
【0025】
旋回体2には支持索用ウインチ10が設置される。支持索用ウインチ10から繰り出される支持索11はブーム3の上端に設けたシーブ12,13に掛け回されて吊り装置14を吊持する。吊り装置14は、支持索用ウインチ10による支持索11の巻上げ動作に応じて上昇し、支持索用ウインチ10による支持索11の巻下げ動作に応じて下降する。
【0026】
旋回体2には開閉索用ウインチ15が設置される。開閉索用ウインチ15から繰り出される開閉索16はブーム3の上端に設けたシーブ17,18に掛け回されて吊り装置14を開閉する。吊り装置14は、開閉索用ウインチ15による開閉索16の巻上げ動作に応じて閉じ、開閉索用ウインチ15による開閉索16の巻下げ動作に応じて開く。
【0027】
旋回体2には油圧式シリンダ19が設置される。油圧式シリンダ19から繰り出される引寄せ索20はブーム3の中腹に設けたシーブ21に掛け回されて吊り装置14に固定される。吊り装置14は油圧式シリンダ19の圧縮動作に応じてクレーン1に引寄せられ、油圧式シリンダ19の伸張動作に応じてクレーン1から離隔される。
【0028】
(吊り装置の構成例)
次に吊り装置14の構成について詳述する。
図2は第1実施形態に係る吊り装置14の斜視構成図である。
【0029】
吊り装置14は、複数の支持索11を用いてクレーン1によって吊持され、複数の開閉索16を用いてクレーン1によって開閉される。本例では、2本の支持索11を用いて吊り装置14を吊持し、2本の開閉索16を用いて吊り装置14を開閉させるが、支持索11及び開閉索16の本数は必ずしも限定されない。
【0030】
吊り装置14は手根ブロック30及び中手ブロック32を備える。手根ブロック30には支持索用クレーンフック31が掛けられる。支持索用クレーンフック31は支持索11を掛け回したシーブを備える。
【0031】
中手ブロック32には開閉索用クレーンフック33が掛けられる。開閉索用クレーンフック33は開閉索16を掛け回したシーブを備える。なお、図示省略するが、開閉索16と手根ブロック30との水平方向での接触を防止するため、開閉索16は手根ブロック30に設けた開閉索規制用シーブを経由して中手ブロック32に達することが好ましい。
【0032】
吊り装置14は手根ブロック30及び中手ブロックに枢動可能に連結する複数のリンク機構34を備える。吊り装置14は少なくとも4本のリンク機構34を備えることが好ましい。
【0033】
リンク機構34は、中手リンク35、指リンク36、及び爪リンク37を備える。中手リンク35は先端35a及び後端35bを有する棒状体である。中手リンク35の後端35bは手根ブロック30に枢動可能に連結し、中手リンク35の先端35aは指リンク36に枢動可能に連結する。
【0034】
指リンク36は先端36a、後端36b、及び中手端36cを有するL字体である。指リンク36の後端36bは中手リンク35に枢動可能に連結し、指リンク36の先端36aは爪リンク37に枢動可能に連結する。指リンク36の中手端36cは中手ブロック32に枢動可能に連結する。
【0035】
爪リンク37は先端37a及び後端37bを有する棒状体である。爪リンク37の後端37bは指リンク36の先端36aに枢動可能に連結する。
【0036】
手根ブロック30は4本の中手リンク35の夫々の後端35bを枢動可能に連結する。中手ブロック32は4本の指リンク36の夫々の中手端36cを枢動可能に連結する。中手ブロック32が手根ブロック30から離隔することで4本のリンク機構34が外側へ回動して開き、中手ブロック32が手根ブロック30に接近することで4本のリンク機構34が内側へ回動して閉じる。
【0037】
すなわち、
図1に示すクレーン1に設置された開閉索用ウインチ15によって開閉索16が巻下げられることで、中手ブロック32が手根ブロック30から離隔して4本のリンク機構34が開く。同様に、クレーン1に設置された開閉索用ウインチ15によって開閉索16が巻上げられることで、中手ブロック32が手根ブロック30に接近して4本のリンク機構34が閉じる。
【0038】
4本のリンク機構34は回転軸線Aの周りを時計回り又は反時計回りに水平回転する。互いに向かい合う一対のリンク機構34は一体となって時計回り又は反時計回りに水平回転する。なお、2本の支持索11の夫々の長さを異ならせることで吊り装置14を水平面に対して傾斜させてもよい。2本の支持索11の長さを異ならせた場合は、一対のリンク機構34が水平面に対して傾斜した状態で時計回り又は反時計回りに傾斜回転する。
【0039】
(回転機構の構成例)
ここで、リンク機構34を水平回転させる回転機構の構成について詳述する。
図3は第1実施形態に係る吊り装置14の一部分解斜視図である。
図3には手根ブロック30及び中手ブロック32の分解斜視図が示されている。
【0040】
回転機構38は手根ブロック30及び中手ブロック32により構成される。手根ブロック30は上側手根ブロック30a及び下側手根ブロック30bを備える。同様に、中手ブロック32は上側中手ブロック32a及び下側中手ブロック32bを備える。
【0041】
上側手根ブロック30a及び下側手根ブロック30bは回転軸線Aの周りを時計回り又は反時計回りに水平回転するように組付けられる。同様に、上側中手ブロック32a及び下側中手ブロック32bは回転軸線Aの周りを時計回り又は反時計回りに水平回転するように組付けられる。
【0042】
上側手根ブロック30aは筒状の上側手根本体40を備える。上側手根本体40の外周面には第1手根ウイング41及び第2手根ウイング42が設けられる。第1手根ウイング41及び第2手根ウイング42の夫々には中手リンク35の後端35bが枢動可能に連結される。
【0043】
第1手根ウイング41及び第2手根ウイング42は上側手根本体40の外周面から半径方向外側へ向かって互いに反対方向に延びる。第1手根ウイング41及び第2手根ウイング42は上側手根本体40の底面よりも下側へ突出する。
【0044】
下側手根ブロック30bは筒状の下側手根本体45を備える。下側手根本体45の外周面には第3手根ウイング46及び第4手根ウイング47が設けられる。第3手根ウイング46及び第4手根ウイング47の夫々には中手リンク35の後端35bが枢動可能に連結される。
【0045】
第3手根ウイング46及び第4手根ウイング47は下側手根本体45の外周面から半径方向外側へ向かって互いに反対方向に延びる。第3手根ウイング46及び第4手根ウイング47は下側手根本体45の頂面よりも上側へ突出する。
【0046】
第1手根ウイング41と第3手根ウイング46は互いに同じ半径方向外側へ向かって延びるが、上側手根本体40の外周面における第1手根ウイング41の設置位置と、下側手根本体45の外周面における第3手根ウイング46の設置位置とは互いに異なる。上側手根ブロック30aと下側手根ブロック30bを組付けると、第1手根ウイング41と第3手根ウイング46は互いに干渉せずに隣り合う。
【0047】
第2手根ウイング42と第4手根ウイング47は互いに同じ半径方向外側へ向かって延びるが、上側手根本体40の外周面における第2手根ウイング42の設置位置と、下側手根本体45の外周面における第4手根ウイング47の設置位置とは互いに異なる。上側手根ブロック30aと下側手根ブロック30bを組付けると、第2手根ウイング42と第4手根ウイング47は互いに干渉せずに隣り合う。
【0048】
上側手根本体40の外周面には第1回転ストッパ43及び第2回転ストッパ44が設けられる。上側手根ブロック30aを時計回りに回転すると、上側手根ブロック30aの第1回転ストッパ43が下側手根ブロック30bの第3手根ウイング46に当接する。また、上側手根ブロック30aを時計回りに回転すると、上側手根ブロック30aの第2回転ストッパ44が下側手根ブロック30bの第4手根ウイング47に当接する。第1回転ストッパ43及び第2回転ストッパ44により、上側手根ブロック30aの回転範囲が0度から90度の範囲内に制限される。
【0049】
下側手根本体45の外周面には第3回転ストッパ48及び第4回転ストッパ49が設けられる。下側手根ブロック30bを反時計回りに回転すると、下側手根ブロック30bの第3回転ストッパ48が上側手根ブロック30aの第2手根ウイング42に当接する。下側手根ブロック30bを反時計回りに回転すると、下側手根ブロック30bの第4回転ストッパ49が上側手根ブロック30aの第1手根ウイング41に当接する。第3回転ストッパ48及び第4回転ストッパ49により、下側手根ブロック30bの回転範囲が0度から90度の範囲内に制限される。
【0050】
上側手根ブロック30aと下側手根ブロック30bは、各ウイングが互いに平行状態となる回転位置(0度)と、各ウイングが互いに直交状態となる回転位置(90度)との間で相対回転する。
【0051】
上側中手ブロック32aは筒状の上側中手本体50を備える。上側中手本体50の外周面には第1中手ウイング51及び第2中手ウイング52が設けられる。第1中手ウイング51及び第2中手ウイング52の夫々には指リンク36の中手端36cが枢動可能に連結される。
【0052】
第1中手ウイング51及び第2中手ウイング52は上側中手本体50の外周面から半径方向外側へ向かって互いに反対方向に延びる。第1中手ウイング51及び第2中手ウイング52は上側中手本体50の底面よりも下側へ突出する。
【0053】
下側中手ブロック32bは筒状の下側中手本体53を備える。下側中手本体53の外周面には第3中手ウイング54及び第4中手ウイング55が設けられる。第3中手ウイング54及び第4中手ウイング55の夫々には指リンク36の中手端36cが枢動可能に連結される。
【0054】
第3中手ウイング54及び第4中手ウイング55は下側中手本体53の外周面から半径方向外側へ向かって互いに反対方向に延びる。第3中手ウイング54及び第4中手ウイング55は下側中手本体53の頂面よりも上側へ突出する。
【0055】
第1中手ウイング51及び第3中手ウイング54は互いに同じ半径方向外側へ向かって延びるが、上側中手本体50の外周面における第1中手ウイング51の設置位置と、下側中手本体53の外周面における第3中手ウイング54の設置位置とは互いに異なる。上側中手ブロック32aと下側中手ブロック32bを組付けると、第1中手ウイング51と第3中手ウイング54は互いに干渉せずに隣り合う。
【0056】
第2中手ウイング52及び第4中手ウイング55は互いに同じ半径方向外側へ向かって延びるが、上側中手本体50の外周面における第2中手ウイング52の設置位置と、下側中手本体53の外周面における第4中手ウイング55の設置位置とは互いに異なる。上側中手ブロック32aと下側中手ブロック32bを組付けると、第2中手ウイング52と第4中手ウイング55は互いに干渉せずに隣り合う。
【0057】
上側中手ブロック32aの回転範囲と下側中手ブロック32bの回転範囲とは、上側手根ブロック30a及び下側手根ブロック30bによって0度から90度の範囲内に制限される。上側中手ブロック32aと下側中手ブロック32bは、各ウイングが互いに平行状態となる回転位置(0度)と、各ウイングが互いに直交状態となる回転位置(90度)との間で相対回転する。
【0058】
以上により、回転機構38は、手根ブロック30及び中手ブロック32に連結する複数のリンク機構34を時計回り又は反時計回りに水平回転させ、爪リンク37を任意の位置で使用可能にする。
【0059】
(爪リンクの構成例)
次に吊り装置14の爪リンク37の構成について詳述する。
図4A及び
図4Bは第1実施形態に係る爪リンク37の拡大斜視図である。
【0060】
図4Aに示すように、爪リンク37は指リンク36に対して回転軸線Bの周りを時計回り又は反時計回りに回転する。爪リンク37には爪リンク37の回転位置をロックするロック機構60が設けられることが好ましい。ロック機構60は、爪リンク37の後端37b側に設けられるが、指リンク36の先端36a側に設けられてもよい。
【0061】
ロック機構60は、例えば、ロックレバー61、ロック歯62、及び軸歯車63を備える。ロックレバー61はロック位置とアンロック位置との間で変位する。ロックレバー61の先端にはロック歯62が設けられる。ロックレバー61の変位に応じてロック歯62が爪リンク37の軸歯車63と噛み合うことで、爪リンク37を任意の回転位置でロックすることができる。
【0062】
爪リンク37は吊り具を固定する固定構造64を備えることが好ましい。本例の吊り具はシャックル66である。シャックル66は、クラウン68、ボルト69、及びナット70を備える。
【0063】
本例の固定構造64は爪リンク37を貫通する貫通孔67である。但し、固定構造64は、貫通孔以外に、螺子穴、溶接アイ、又は溶接フック等であってもよい。貫通孔67は爪リンク37の後端37b側よりも先端37a側に設けられることが好ましい。貫通孔67は爪リンク37の一方の側面37eから他方の側面37eまで貫通する。貫通孔67はシャックル66のボルト69を差し込むことが可能な径及び長さを有する。
【0064】
シャックル66には玉掛索65の方端が固定される。本例の玉掛索65の方端にはアイ65aが設けられる。但し、玉掛索65の方端にはアイ65aがなくてもよい。また、玉掛索65は無端ベルトであってもよい。
【0065】
本例では、玉掛索65のアイ65aをシャックル66のクラウン68に掛け(目通しし)、ボルト69をクラウン孔68a及び貫通孔67に差し込み、ボルト69をナット70に螺合することで、玉掛索65がシャックル66を介して爪リンク37に固定される。
【0066】
爪リンク37は吊り具を掛けるフック構造71を備える。本例の吊り具は玉掛索65であり、玉掛索65の方端にはアイ65aが設けられる。但し、玉掛索65の方端にはアイ65aがなくてもよい。また、玉掛索65は無端ベルトであってもよい。
【0067】
本例のフック構造71はフック溝72であるが、フック構造71には、フック溝72以外に、フック突起、又は溶接フック等が含まれる。フック溝72は爪リンク37の先端37a側に設けられる。フック溝72は、爪リンク37の頂面37cに形成され、爪リンク37の一方の側面37eから他方の側面37eまで延びる。フック溝72は玉掛索65を掛けることが可能な幅、深さ、及び長さを有する。
【0068】
本例では、玉掛索65のアイ65aをフック溝72に掛ける(目掛けする)ことで、玉掛索65がフック構造71に掛けられる。但し、玉掛索65自体をフック溝72に掛ける(半掛けする)ことで、玉掛索65をフック構造71に掛けてもよいし、また、無端ベルト状の玉掛索65の方端をフック溝72に掛けることで、玉掛索65をフック構造71に掛けてもよい。
【0069】
複数のリンク機構34が閉じている場合は、爪リンク37の頂面37cが鉛直方向上方に向くので、玉掛索65をフック溝72に掛けることができる。複数のリンク機構34が開いている場合は、爪リンク37の頂面37cが水平方向側方を向くので、玉掛索65をフック溝72から外すことができる。
【0070】
なお、フック溝72の爪リンク37の先端37a側は湾曲していることが好ましい。すなわち、フック溝72は、爪リンク37の頂面37cへ滑らかに繋がる湾曲面72aを備えることが好ましい。湾曲面72aによれば、複数のリンク機構34が開いた際にフック溝72に掛けられた玉掛索65が落ち易くなる。
【0071】
複数のリンク機構34が開いたときに玉掛索65が落ち難い状況であったとしても、クレーン1で支持索11を巻上げて吊り装置14を上昇させることで、玉掛索65が引っ張られてフック溝72から外れる。玉掛索65がフック溝72から外れる際に、フック溝72が尖った角を有する場合には、玉掛索65がフック溝72の角に引っ掛かって破損する恐れがある。しかしながら、フック溝72が爪リンク37の先端37a側に湾曲面72aを備えることで、玉掛索65が湾曲面72aを滑り落ちるので、玉掛索65の破損を防止することも可能となる。
【0072】
玉掛索65をフック溝72から自然に外すため、フック構造71はフック溝72の開口を閉鎖する外れ止めを備えていない。但し、フック構造71は、外れ止めと、外れ止めの閉鎖状態を解除するアクチュエータと、アクチュエータを無線により遠隔操作する遠隔操作手段と、を備え、遠隔操作により外れ止めを解除してもよい。遠隔操作による外れ止めの解除方法としては、特許第6765242号に記載の技術を利用することができる。フック構造71が外れ止めを備えることで、荷役作業を安全に行うことができる。
【0073】
フック構造71は玉掛索65の位置を規制する規制溝73を備えていてもよい。規制溝73は爪リンク37の先端面37dに形成される。規制溝73は爪リンク37の頂面37cから爪リンク37の底面37fまで延びる。
【0074】
図4Bに示すように、規制溝73は玉掛索65を挿通することが可能な幅、深さ、及び長さを有する。例えばコンクリートブロック等の被牽吊体80に爪リンク37の先端面37dを接触させて爪リンク37を被牽吊体80に預けた状態で、玉掛索65の第1アイ65bを固定構造64に固定し、玉掛索65の第2アイ65cを規制溝73に挿通させることができる。被牽吊体80に設けられた吊り環81等で折り返し、玉掛索65をフック溝72に掛けることで、玉掛索65の位置を規制しながら安全に玉掛け作業を行うことが可能になる。
【0075】
以上のように構成された爪リンク37は、リンク機構34を水平回転させる回転機構38と、回転軸線Bの周りでロックするロック機構60とにより、任意の位置で使用可能である。
【0076】
(吊り装置の動作例)
次に吊り装置14の動作例について説明する。
図5は第1実施形態に係る吊り装置14の開閉動作を示す模式図であり、
図6は第1実施形態に係るリンク機構34の回転動作を示す模式図である。理解を容易にするため、
図5及び
図6には吊り装置14の形状を簡略化した骨組み模型が示されている。
【0077】
図5(a)に示すように複数のリンク機構34を閉じる場合は、開閉索16を巻上げて中手ブロック32を矢印Cで示すように手根ブロック30に接近させることで複数のリンク機構34が内側に回動する。
【0078】
図5(b)に示すように複数のリンク機構34を開く場合は、開閉索16を巻下げて中手ブロック32が矢印Dで示すように手根ブロック30から離隔させることで、複数のリンク機構34が外側に回動する。
【0079】
図6(a)に示すように互いに向かい合う2本のリンク機構34のうちの少なくとも一方を矢印Eで示すように時計回り又は反時計回りに水平回転させることで、
図6(b)に示すように複数のリンク機構34が直交状態になる。
【0080】
図6(b)に示すように互いに向かい合う2本のリンク機構34のうちの少なくとも一方を矢印Fで示すように時計回り又は反時計回りに水平回転させることで、
図6(a)に示すように複数のリンク機構34が平行状態になる。
【0081】
以上のように、吊り装置14の開閉量と、複数のリンク機構34の回転位置とを調整することで、種々の被牽吊体に応じて爪リンク37を任意の位置に調整することができるので、荷役作業を容易にすることができる。
【0082】
以下、第1実施形態に係る吊り装置14を用いた吊り荷の吊り方法について詳述する。
【0083】
(第1吊り方法)
図7A~
図7Cは第1実施形態に係る吊り装置14を用いた第1吊り方法を示す模式図(a)~(f)である。理解を容易にするため、
図7A~
図7Cには吊り装置14の形状を簡略化した骨組み模型が示されている。
【0084】
第1吊り方法の概要は次の通りである。第1吊り方法では、玉掛索65の一方端を爪リンク37の固定構造64に固定し、玉掛索65を被牽吊体80に掛け、玉掛索65の他方端を爪リンク37のフック構造71に掛け、複数のリンク機構34を閉じることで玉掛けする。また、第1吊り方法では、複数のリンク機構34を開いてフック構造71から玉掛索65を外すことで玉外しする。
【0085】
本例の玉掛索65はワイヤーロープである。本例では、4本の玉掛索65を用いるが、1本の玉掛索65を用いてもよい。玉掛索65は吊り具の一例である。
【0086】
玉掛索65は、一方端に第1アイ65bを有し、他方端に第2アイ65cを有する。但し、玉掛索65は無端ベルトであってもよい。
【0087】
本例の被牽吊体80は、矩形コンクリートブロック等の吊り荷であるが、吊り荷を吊るための、吊り枠、吊り網、吊り篭、又は吊り袋等であってもよい。
【0088】
本例の被牽吊体80には吊り環81が設けられるが、玉掛索65を吊り荷に掛け回す場合は吊り環81がなくてもよい。本例では、4個の吊り環81が被牽吊体80の頂面の四隅に設けられるが、1個の吊り環81が被牽吊体80の頂面の二隅に設けられてもよい。吊り環81は、吊り荷に設けられるのではなく、吊り荷を吊持する、吊り枠、吊り網、吊り篭、又は吊り袋等に設けられてもよい。
【0089】
本例の吊り環81は被牽吊体80に固定されたアイである。アイとしては、例えば、埋め込みアイ、アイボルト、溶接アイ、及びアイ付きクランプ等が挙げられる。本例の吊り環81は被牽吊体80の表面から突出するが、被牽吊体80に形成したザグリ穴に吊り環81が収納されていてもよい。
【0090】
第1吊り方法の具体的な流れは次の通りである。先ず、
図7A(a)に示すように、クレーン作業員が
図1に示すクレーン1を操作して吊り装置14の位置及び開閉量を調整し、玉掛け作業員がリンク機構34の回転位置及び爪リンク37の回転位置を調整することで、爪リンク37を被牽吊体80に接近させる。
【0091】
本例では、
図6(a)に示すように複数のリンク機構34を水平回転させて概ね直交状態とすることが好ましい。
【0092】
なお、クレーン作業員とは、クレーン運転免許を取得したクレーン運転士である。玉掛け作業員とは、玉掛け技能講習を修了した玉掛作業者であるが、水中では玉掛け技能講習を修了した潜水士である。
【0093】
吊り装置14及びリンク機構34の調整が完了した後、
図7A(b)に示すように玉掛け作業員が複数の玉掛索65の夫々の第1アイ65bを対応する爪リンク37の固定構造64に固定する。
【0094】
次いで、
図7A(b)に示すように玉掛け作業員は玉掛索65の第2アイ65cを対応する吊り環81に挿通する。
【0095】
続いて、
図7B(c)に示すように玉掛け作業員は玉掛索65の第2アイ65cを対応する爪リンク37のフック構造71に掛ける。
【0096】
なお、玉掛索65の第1アイ65bを固定する爪リンク37と、玉掛索65の第2アイ65cを掛ける爪リンク37とは、同じ爪リンク37である。
【0097】
複数の玉掛索65を掛け終えた後、
図7B(d)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して開閉索16を巻上げ、吊り装置14を閉じて複数の玉掛索65に張力を付与することで玉掛けが完了する。
【0098】
次いで、
図7B(d)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して支持索11を巻上げて吊り装置14を上昇させ、被牽吊体80を所望の位置へ運搬及び据付を行う。
【0099】
そして、
図7C(e)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して開閉索16を巻下げ、吊り装置14を開いて複数の玉掛索65の第2アイ65cを爪リンク37のフック構造71から外すことで玉外しが完了する。
【0100】
最後に、
図7C(f)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して支持索11を巻上げ、吊り装置14を上昇させて複数の玉掛索65を回収する。
【0101】
なお、
図7A~
図7Cに示す各工程の順序は必ずしも上記順序に限定されない。例えば、事前に玉掛索65を吊り環81に挿通した後に、吊り装置14及びリンク機構34を調整し、玉掛索65の一方端を爪リンク37の固定構造64に固定し、玉掛索65の他方端を爪リンク37のフック構造71に掛けてもよい。
【0102】
また、
図7A~
図7Cに示す例では、4本の玉掛索65を用いたが、1本の玉掛索65を用いてもよい。例えば1本の玉掛索65を4個の吊り環81に連続して挿通し、玉掛索65の一方端を爪リンク37の固定構造64に固定し、玉掛索65の他方端を爪リンク37のフック構造71に掛けてもよい。
【0103】
また、
図7A~
図7Cに示す例では、玉掛索65を吊り環81に挿通したが、玉掛索65を被牽吊体80に掛け回し、玉掛索65の一方端を爪リンク37の固定構造64に固定し、玉掛索65の他方端を爪リンク37のフック構造71に掛けてもよい。
【0104】
以上の第1吊り方法によれば、玉掛索65の一方端を爪リンク37の固定構造64に固定し、玉掛索65を被牽吊体80に掛け、玉掛索65の他方端を爪リンク37のフック構造71に掛け、複数のリンク機構34を閉じることで玉掛けが完了する。また、第1吊り方法によれば、吊り装置14を開いて玉掛索65を爪リンク37のフック構造71から外すだけで玉外しが完了する。
【0105】
(第2吊り方法)
図8A~
図8Cは第1実施形態に係る吊り装置14を用いた第2吊り方法を示す模式図(a)~(f)である。理解を容易にするため、
図8A~
図8Cには吊り装置14の形状を簡略化した骨組み模型が示されている。
【0106】
第2吊り方法の概要は次の通りである。第2吊り方法では、第1玉掛索90の一方端を爪リンク37の固定構造64に固定し、第2玉掛索91の一方端を爪リンク37のフック構造71に掛ける。そして、第2玉掛索91を被牽吊体80に掛け、第2玉掛索91の他方端を第1玉掛索90の他方端に固定し、複数のリンク機構34を閉じることで玉掛けする。また、第2吊り方法では、複数のリンク機構34を開いて爪リンク37のフック構造71から第2玉掛索91を外すことで玉外しする。
【0107】
本例の第1玉掛索90はワイヤーロープであり、第2玉掛索91はスリングベルトである。第1玉掛索90及び第2玉掛索91は吊り具の一例である。
【0108】
第1玉掛索90は、一方端にアイ90aを有し、他方端にフック90bを有する。第2玉掛索91は、一方端に第1アイ91aを有し、他方端に第2アイ91bを有する。但し、第1玉掛索90及び第2玉掛索91はいずれも無端ベルトであってもよい。また、第1玉掛索90と第2玉掛索91との固定には、フック90bを用いるではなく、シャックルを用いてもよい。
【0109】
本例の被牽吊体80は、四脚の消波ブロック等の吊り荷であるが、三脚の消波ブロック、五脚の消波ブロック等の他の異形ブロックであってもよい。
【0110】
第2吊り方法の具体的な流れは次の通りである。先ず、
図8A(a)に示すように、クレーン作業員が
図1に示すクレーン1を操作して吊り装置14の位置及び開閉量を調整し、玉掛け作業員がリンク機構34の回転位置及び爪リンク37の回転位置を調整することで、爪リンク37を被牽吊体80に接近させる。
【0111】
本例では、
図6(b)に示すように複数のリンク機構34を水平回転させて平行状態とすることが好ましい。
【0112】
吊り装置14及びリンク機構34の調整が完了した後、
図8A(b)に示すように玉掛け作業員が第1玉掛索90のアイ90aを対応する爪リンク37の固定構造64に固定する。
【0113】
次いで、
図8A(b)に示すように玉掛け作業員が第2玉掛索91を被牽吊体80に掛け回し、第2玉掛索91の第1アイ91aに第2玉掛索91の第2アイ91bを挿通(目通し)する。
【0114】
なお、本例の消波ブロックでは、第2玉掛索91を、奥側にある第1脚の頂面と、第1脚に隣接する上側にある第2脚の側面と、に掛け回し、第2脚の側面上で第1アイ91aに第2アイ91bを目通しすることで、吊上げた消波ブロックの重心が安定する。
【0115】
続いて、
図8B(c)に示すように玉掛け作業員が第1玉掛索90のフック90bを第2玉掛索91の第1アイ91aに掛け、第2玉掛索91の第2アイ91bを対応する爪リンク37のフック構造71に掛ける。
【0116】
なお、第1玉掛索90のアイ90aを固定する爪リンク37と、第2玉掛索91の第2アイ91bを掛ける爪リンク37とは、吊り装置14のバランスの観点から、異なる爪リンク37であることが好ましいが、同じ爪リンク37であってもよい。異なる爪リンク37を用いる場合は、互いに向かい合う一対の爪リンク37を用いることが好ましい。
【0117】
第1玉掛索90及び第2玉掛索91を掛け終えた後、
図8B(d)に示すようにクレーン作業員が
図1に示すクレーン1を操作して開閉索16を巻上げ、吊り装置14を閉じて第1玉掛索90及び第2玉掛索91に張力を付与することで玉掛けが完了する。
【0118】
次いで、
図8B(d)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して支持索11を巻上げて吊り装置14を上昇させ、被牽吊体80を所望の位置へ運搬及び据付を行う。
【0119】
そして、
図8C(e)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して開閉索16を巻下げ、吊り装置14を開いて第2玉掛索91の第2アイ91bを爪リンク37のフック構造71から外すことで玉外しが完了する。
【0120】
最後に、
図8C(f)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して支持索11を巻上げて吊り装置14を上昇させることで第1玉掛索90及び第2玉掛索91を回収する。
【0121】
なお、
図8A~
図8Cに示す各工程の順序は必ずしも上記順序に限定されない。例えば、最初に第2玉掛索91を被牽吊体80に掛け回しておいた上で、吊り装置14及びリンク機構34を調整し、第2玉掛索91を爪リンク37のフック構造71に掛け、第1玉掛索90を爪リンク37の固定構造64に固定してもよい。
【0122】
また、
図8A~
図8Cに示す例では、2本の玉掛索を用いたが、4本の玉掛索65を用いてもよい。例えば残り2本の玉掛索のうち、第3玉掛索を爪リンク37の対応する固定構造64に固定し、第4玉掛索を被牽吊体80に掛け回し、第4玉掛索を第3玉掛索に固定し、爪リンク37の対応するフック構造71に掛けてもよい。
【0123】
以上の第2吊り方法によれば、第1玉掛索90を爪リンク37の固定構造64に固定し、第2玉掛索91を被牽吊体80に掛け第1玉掛索90に固定して爪リンク37のフック構造71に掛け、複数のリンク機構34を閉じることで玉掛けが完了する。また、第2吊り方法によれば、複数のリンク機構34を開いて第2玉掛索91を爪リンク37のフック構造71から外すだけで玉外しが完了する。
【0124】
(第1実施形態の作用効果)
以上の第1実施形態によれば、複数のリンク機構34を開くだけで玉外しが完了するので、玉外し作業に玉掛け作業員を必要としない。従って、玉掛け作業員の指詰め事故の危険性を低減することができる。ひいては荷役作業を安全に行うことができる。
【0125】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係る吊り装置14の構成について詳述する。第1実施形態と重複する箇所については説明を省略する。
【0126】
(爪リンクの構成例)
図9A及び
図9Bは第2実施形態に係る爪リンク37の斜視構成図である。
図9Aに示すように、本例の吊り装置14では、爪リンク37が爪リンク37の先端37a側に棒状体37gを備える。棒状体37gの形状としては、円柱体、八角柱体、六角柱体、又は四角柱体等が挙げられる。本例の棒状体37gは円柱体である。棒状体37gは吊り環81に差し込むことが可能な径及び長さを有する。
【0127】
被牽吊体80に設けられた吊り環81に棒状体37gを差し込むことで被牽吊体80を吊ることができる。棒状体37gにはフック構造71が設けられる。本例のフック構造71はフック溝72である。フック溝72は吊り環81が嵌るような幅、深さ、及び長さを有する。吊り環81を棒状体37gのフック溝72に掛けることで、被牽吊体80の脱落を防止することができる。
【0128】
棒状体37gには吊り具を固定する固定構造64が設けられることが好ましい。但し、フック構造71及び固定構造64は、棒状体37gに設けられるのではなく、爪リンク37の後端37b側に設けられてもよい。
【0129】
また
図9Bに示すように、複数のリンク機構34を水平回転させて平行状態にした上で、棒状体37gを取り付ける取付構造37hを2本の爪リンク37に固定してもよい。本例の取付構造37hはH鋼であるが、角鋼管等の他の形鋼であってもよい。取付構造37hの前面には複数の取付孔37iが所定の間隔で設けられる。本例では、取付構造37hの前面において複数の取付孔37iを水平方向に配列しているが、水平方向に加えて鉛直方向に複数の取付孔37iを配列してもよい。
【0130】
本例の取付構造37hは11個の取付孔37iを有するが、取付孔37iの個数に制限はない。取付孔37iは例えば螺子孔であるが、棒状体37gを挿通する挿通孔であってもよく、棒状体37gの後端に形成したボルトをナットに螺合してもよい。棒状体37gを任意の取付孔37iに取り付けることで、被牽吊体80の任意の位置に設けられた吊り環81に棒状体37gを差し込むことが可能となる。また、径又は長さが互いに異なる複数種類の棒状体37gを用意し、吊り環81の径又は位置に応じて棒状体37gの径又は長さを変更してもよい。
【0131】
以下、第2実施形態に係る吊り装置14を用いた被牽吊体80の吊り方法について詳述する。
【0132】
(第3吊り方法)
図10A及び
図10Bは第2実施形態に係る吊り装置14を用いた第3吊り方法を示す模式図である。理解を容易にするため、
図10A及び
図10Bには吊り装置14の形状を簡略化した骨組み模型が示されている。
【0133】
第3吊り方法の概要は次の通りである。第3吊り方法では、複数のリンク機構34を閉じて爪リンク37を吊り環81に差し込むことで玉掛けする。また、第3吊り方法では、複数のリンク機構34を開いて爪リンク37を吊り環81から外すことで玉外しする。
【0134】
本例の被牽吊体80は、矩形コンクリートブロック等の吊り荷であるが、吊り荷を吊るための、吊り枠、吊り網、吊り篭、又は吊り袋等であってもよい。
【0135】
本例の被牽吊体80には吊り環81が設けられる。本例では、4個の吊り環81が被牽吊体80の頂面の四隅に設けられるが、2個の吊り環81が被牽吊体80の頂面に設けられてもよい。吊り環81は、吊り荷に設けられるのではなく、吊り荷を吊持する、吊り枠、吊り網、又は吊り篭等に設けられてもよい。吊り環81は吊り具の一例である。
【0136】
本例の吊り環81は被牽吊体80に固定されたアイである。アイとしては、例えば、埋め込みアイ、アイボルト、溶接アイ、及びアイ付きクランプ等が挙げられる。本例の吊り環81は被牽吊体80の表面から突出する。
【0137】
第3吊り方法の具体的な流れは次の通りである。先ず、
図10A(a)に示すように、クレーン作業員が
図1に示すクレーン1を操作して吊り装置14の位置及び開閉量を調整する。必須ではないが、玉掛け作業員がリンク機構34の回転位置及び爪リンク37の回転位置を調整することで、爪リンク37を吊り環81に接近させてもよい。
【0138】
本例では、
図6(a)に示すように複数のリンク機構34を水平回転させて概ね直交状態とすることが好ましい。
【0139】
吊り装置14及びリンク機構34の調整が完了した後、
図10A(b)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して開閉索16を巻上げ、吊り装置14を閉じて爪リンク37の棒状体37gを吊り環81に差し込むことで玉掛けが完了する。
【0140】
なお、被牽吊体80の脱落を防止するため、吊り環81をフック構造71に掛けることが好ましい。
【0141】
複数の爪リンク37を吊り環81に掛け終えた後、
図10A(b)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して支持索11を巻上げて吊り装置14を上昇させ、被牽吊体80を所望の位置へ運搬及び据付を行う。
【0142】
そして、
図10B(c)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して開閉索16を巻下げ、吊り装置14を開いて爪リンク37の棒状体37gを吊り環81から外すことで玉外しが完了する。
【0143】
なお、爪リンク37の棒状体37gを吊り環81から外す際は、爪リンク37の回転位置をロックするロック機構60を解除することで、爪リンク37を吊り環81から外し易くすることが好ましい。
【0144】
(第2実施形態の作用効果)
以上の第2実施形態によれば、吊り装置14を閉じて爪リンク37を吊り環81に挿入するだけで玉掛けが完了し、吊り装置14を開いて爪リンク37を吊り環81から外すだけで玉外しが完了するので、玉掛け作業員を実質的に必要としない。従って、玉掛け作業員の指詰め事故の危険性を低減することができる。ひいては荷役作業を安全に行うことができる。
【0145】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態に係る吊り装置14の構成について詳述する。第1実施形態と重複する箇所については説明を省略する。
【0146】
(吊り装置の構成例)
図11は第3実施形態に係る吊り装置14の斜視構成図である。本例の吊り装置14は指リンク36よりも長い爪リンク37を備える。爪リンク37が指リンク36よりも長いことで、爪リンク37は指リンク36の先端36aに概ね鉛直方向で連結するので、爪リンク37で被牽吊体80を把持した際には、爪リンク37が被牽吊体80の荷重を支持し易くなる。
【0147】
爪リンク37は湾曲した形状を有する。本例の爪リンク37は弓状に湾曲した形状を有するが、所定の角度で折れ曲がった形状を有してもよい。爪リンク37が湾曲した形状を有することで、被牽吊体80の把持を容易にすることができる。
【0148】
また、吊り装置14から爪リンク37を取り外すことで、指リンク36のみで被牽吊体80を把持してもよい。指リンク36は爪リンク37よりも短く、爪リンク37よりも軽いため、クレーン1に掛かる負荷を軽減することができる。
【0149】
以下、第3実施形態に係る吊り装置14を用いた被牽吊体80の吊り方法について詳述する。
【0150】
(第4吊り方法)
図12A及び
図12Bは第3実施形態に係る吊り装置14を用いた第4吊り方法を示す模式図である。理解を容易にするため、
図12A及び
図12Bには吊り装置14の形状を簡略化した骨組み模型が示されている。
【0151】
第4吊り方法の概要は次の通りである。第4吊り方法では、複数のリンク機構34を閉じて被牽吊体80を把持することで被牽吊体80を吊上げる。また、第4吊り方法では、複数のリンク機構34を開いて被牽吊体80を解放することで被牽吊体80を降ろす。
【0152】
本例の被牽吊体80は、四脚の消波ブロック等の吊り荷であるが、三脚の消波ブロック、五脚の消波ブロック等の他の異形ブロックであってもよい。
【0153】
第4吊り方法の具体的な流れは次の通りである。先ず、
図12A(a)に示すように、クレーン作業員が
図1に示すクレーン1を操作して吊り装置14の位置及び開閉量を調整する。必須ではないが、玉掛け作業員がリンク機構34の回転位置及び爪リンク37の回転位置を調整することで、爪リンク37が被牽吊体80の下側に入り込むようにしてもよい。
【0154】
本例では、
図6(a)に示すように複数のリンク機構34を水平回転させて概ね直交状態とすることが好ましい。
【0155】
吊り装置14及びリンク機構34の調整が完了した後、
図12A(b)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して開閉索16を巻上げ、吊り装置14を閉じて複数のリンク機構34で被牽吊体80を把持する。
【0156】
吊り装置14は4本のリンク機構34を有するので、消波ブロックのような異形ブロックであっても被牽吊体80を安定して吊上げることができる。
【0157】
複数のリンク機構34で被牽吊体80を把持した後、
図12A(b)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して支持索11を巻上げて吊り装置14を上昇させ、被牽吊体80を所望の位置へ運搬及び据付を行う。
【0158】
そして、
図12B(c)に示すようにクレーン作業員がクレーン1を操作して開閉索16を巻下げ、吊り装置14を開いて複数のリンク機構34から被牽吊体80を解放することで被牽吊体80を降ろす。
【0159】
(第3実施形態の作用効果)
以上の第3実施形態によれば、吊り装置14を閉じて被牽吊体80を把持するだけで被牽吊体80を吊上げ、吊り装置14を開くだけで被牽吊体80を降ろすことができるので、玉掛け作業員を実質的に必要としない。従って、玉掛け作業員の指詰め事故の危険性を低減することができる。ひいては荷役作業を安全に行うことができる。
【0160】
以上の実施形態において各要素の個数、数量、単位、及び範囲等に言及した場合、特に明示した場合又は原理的に特定される場合を除いて、言及したものに限定されない。また、実施形態において説明する構造等は、特に明示した場合又は原理的に特定される場合を除いて、必ずしも必須ではない。
【0161】
本開示の態様は次の通りである。
【0162】
<1>
手根ブロックと、
前記手根ブロックに対して相対移動可能な中手ブロックと、
前記手根ブロック及び前記中手ブロックに対して枢動可能に連結していて前記中手ブロックが前記手根ブロックに接近することで閉じ、前記中手ブロックが前記手根ブロックから離隔することで開く複数のリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記手根ブロックに枢動可能に連結する中手リンクと、
前記中手リンクの先端に枢動可能に連結すると共に前記中手ブロックに枢動可能に連結する指リンクと、
前記指リンクの先端に枢動可能に連結する爪リンクと、
を備え、
前記爪リンクは吊り具を掛けるフック構造を備え、
複数の前記リンク機構を開いて前記フック構造から前記吊り具を外すことで玉外しが完了する、吊り装置。
【0163】
<2>
前記爪リンクは前記吊り具を固定する固定構造を備え、前記吊り装置は前記固定構造により前記吊り具を回収する、前記<1>に記載の吊り装置。
【0164】
<3>
前記吊り具は玉掛索を含み、
前記玉掛索の一方端を前記爪リンクの前記固定構造に固定し、
前記玉掛索を被牽吊体に掛け、
前記玉掛索の他方端を前記爪リンクの前記フック構造に掛け、
複数の前記リンク機構を閉じることで玉掛けが完了する、
前記<2>に記載の吊り装置。
【0165】
<4>
前記吊り具は第1玉掛索及び第2玉掛索を含み、
前記第1玉掛索の一方端を前記爪リンクの前記固定構造に固定し、
前記第2玉掛索の一方端を前記爪リンクの前記フック構造に掛け、
前記第2玉掛索を被牽吊体に掛け、
前記第2玉掛索の他方端を前記第1玉掛索の他方端に固定し、
複数の前記リンク機構を閉じることで玉掛けが完了する、
前記<2>又は<3>に記載の吊り装置。
【0166】
<5>
前記吊り具は吊り環を含み、
複数の前記リンク機構を閉じて前記爪リンクを前記吊り環に差し込むことで玉掛けが完了し、
複数の前記リンク機構を開いて前記爪リンクを前記吊り環から外すことで玉外しが完了する、
前記<1>から<4>のいずれか一項に記載の吊り装置。
【0167】
<6>
複数の前記リンク機構を閉じて被牽吊体を把持することで前記被牽吊体を吊上げ、
複数の前記リンク機構を開いて前記被牽吊体を解放することで前記被牽吊体を降ろす、
前記<1>から<5>のいずれか一項に記載の吊り装置。
【0168】
<7>
前記爪リンクは前記指リンクよりも長い、前記<6>に記載の吊り装置。
【0169】
<8>
前記吊り装置は前記リンク機構を水平回転させる回転機構をさらに備え、前記爪リンクを任意の位置で使用可能にする、前記<1>から<7>のいずれか一項に記載の吊り装置。
【0170】
<9>
吊り装置を用いた吊り方法であって、
前記吊り装置は、
手根ブロックと、
前記手根ブロックに対して相対移動可能な中手ブロックと、
前記手根ブロック及び前記中手ブロックに対して枢動可能に連結していて前記中手ブロックが前記手根ブロックに接近することで閉じ、前記中手ブロックが前記手根ブロックから離隔することで開く複数のリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記手根ブロックに枢動可能に連結する中手リンクと、
前記中手リンクの先端に枢動可能に連結すると共に前記中手ブロックに枢動可能に連結する指リンクと、
前記指リンクの先端に枢動可能に連結する爪リンクと、
を備え、
前記吊り方法は、
前記爪リンクに形成されたフック構造に吊り具を掛ける工程と、
複数の前記リンク機構を開いて前記フック構造から前記吊り具を外すことで玉外しを完了する工程と、
を含む、吊り方法。
【符号の説明】
【0171】
1 クレーン
2 旋回体
3 ブーム
4 ガントリ
5 起伏索用ウインチ
6 起伏索
7 シーブ
8 ブライドル
9 ペンダント
10 支持索用ウインチ
11 支持索
12,13 シーブ
14 吊り装置
15 開閉索用ウインチ
16 開閉索
17,18 シーブ
19 油圧式シリンダ
20 引寄せ索
21 シーブ
22 カウンターウエイト
30 手根ブロック
30a 上側手根ブロック
30b 下側手根ブロック
31 支持索用クレーンフック
32 中手ブロック
32a 上側中手ブロック
32b 下側中手ブロック
33 開閉索用クレーンフック
34 リンク機構
35 中手リンク
36 指リンク
37 爪リンク
37a 先端
37b 後端
37c 頂面
37d 先端面
37e 側面
37f 底面
37g 棒状体
38 回転機構
40 上側手根本体
41 第1手根ウイング
42 第2手根ウイング
43 第1回転ストッパ
44 第2回転ストッパ
45 下側手根本体
46 第3手根ウイング
47 第4手根ウイング
48 第3回転ストッパ
49 第4回転ストッパ
50 上側中手本体
51 第1中手ウイング
52 第2中手ウイング
53 下側中手本体
54 第3中手ウイング
55 第4中手ウイング
60 ロック機構
61 ロックレバー
62 ロック歯
63 軸歯車
64 固定構造
65 玉掛索
65a アイ
65b 第1アイ
65c 第2アイ
66 シャックル
67 貫通孔
68 クラウン
69 ボルト
70 ナット
71 フック構造
72 フック溝
73 規制溝
80 被牽吊体
81 吊り環
90 第1玉掛索
90a アイ
90b フック
91 第2玉掛索
91a 第1アイ
91b 第2アイ
A,B 回転軸線
C,D,E,F 矢印