(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131427
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及び、液体吐出装置の駆動信号設定方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240920BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J2/165
B41J2/01 403
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041682
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA17
2C056EC04
2C056EC08
2C056EC38
2C056EC53
2C056FA04
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】駆動素子に供給される駆動信号の切替時に液体が吐出する吐出不良が発生することを抑制すること。
【解決手段】液体吐出装置は、複数の第1ノズル、複数の第1駆動素子、複数の第2ノズル、及び、複数の第2駆動素子を有する液体吐出ヘッドと、複数の第1ノズルから第1の量の液体を吐出させるパルスの前後に第1基準電位を維持する第1基準電位保持要素を含む第1吐出駆動信号を生成する第1駆動信号生成回路と、複数の第2ノズルから第1の量の液体を吐出させるパルスの前後に第2基準電位を維持する第2基準電位保持要素を含む第2吐出駆動信号を生成する第2駆動信号生成回路と、複数の第1ノズル内の液体と複数の第2ノズル内の液体とを吐出させないように液体を振動させるパルスの前後に第1基準電位と第2基準電位との間の電位である第3基準電位を維持する第3基準電位保持要素とを含む微振動駆動信号を生成する第3駆動信号生成回路とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ノズル列に含まれる複数の第1ノズルと、前記複数の第1ノズルに対応する複数の第1駆動素子と、第2ノズル列に含まれる複数の第2ノズルと、前記複数の第2ノズルに対応する複数の第2駆動素子とを有する液体吐出ヘッドと、
前記複数の第1駆動素子に供給されることにより、前記複数の第1ノズルから第1の量の液体を吐出させる第1吐出パルスと、前記第1吐出パルスの前及び後に第1基準電位を維持する第1基準電位保持要素と、を含む第1吐出駆動信号を生成する第1駆動信号生成回路と、
前記複数の第2駆動素子に供給されることにより、前記複数の第2ノズルから前記第1の量の液体を吐出させる第2吐出パルスと、前記第2吐出パルスの前及び後に第2基準電位を維持する第2基準電位保持要素と、を含む第2吐出駆動信号を生成する第2駆動信号生成回路と、
前記複数の第1駆動素子及び前記複数の第2駆動素子に供給されることにより、前記複数の第1ノズル内の液体と前記複数の第2ノズル内の液体とを吐出させないように液体を振動させる微振動パルスと、前記微振動パルスの前及び後に前記第1基準電位と前記第2基準電位との間の電位である第3基準電位を維持する第3基準電位保持要素と、を含む微振動駆動信号を生成する第3駆動信号生成回路と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1基準電位と前記第2基準電位と前記第3基準電位とは、同一の電位である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第3駆動信号生成回路が前記複数の第1駆動素子に供給する電流の大きさは、前記第1駆動信号生成回路が前記複数の第1駆動素子に供給する電流の大きさより小さい、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
第1ノズル列に含まれる複数の第1ノズルと、前記複数の第1ノズルに対応する複数の第1駆動素子と、第2ノズル列に含まれる複数の第2ノズルと、前記複数の第2ノズルに対応する複数の第2駆動素子とを有する液体吐出ヘッドと、
前記複数の第1駆動素子に第1吐出駆動信号を供給可能な第1駆動信号生成回路と、
前記複数の第2駆動素子に第2吐出駆動信号を供給可能な第2駆動信号生成回路と、
前記複数の第1駆動素子及び前記複数の第2駆動素子に微振動駆動信号を供給可能な第3駆動信号生成回路と、
を備える液体吐出装置の駆動信号設定方法であって、
前記第1吐出駆動信号を、前記複数の第1ノズルから第1の量の液体を吐出させる第1吐出パルスと、前記第1吐出パルスの前及び後に第1基準電位を維持する第1基準電位保持要素と、を含むように設定し、
前記第2吐出駆動信号を、前記複数の第2ノズルから前記第1の量の液体を吐出させる第2吐出パルスと、前記第2吐出パルスの前及び後に第2基準電位を維持する第2基準電位保持要素と、を含むように設定し、
前記微振動駆動信号を、前記複数の第1ノズル内の液体と前記複数の第2ノズル内の液体とを吐出させないように液体を振動させる微振動パルスと、前記微振動パルスの前及び後に前記第1基準電位と前記第2基準電位との間の第3基準電位を維持する第3基準電位保持要素と、を含むように設定する、
ことを特徴とする駆動信号設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び、液体吐出装置の駆動信号設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の液体を吐出する液体吐出装置では、液体に含まれる水分等の溶媒の蒸発等に起因した液体の増粘が問題となる。液体の増粘は、吐出量の低下を発生させる。例えば、特許文献1には、複数のノズル列と、複数のノズル列の各ノズルに対応する駆動素子と、吐出パルスを有する吐出駆動信号及び微振動パルスを有する微振動駆動信号を生成可能な駆動信号生成回路と、を有する液体吐出装置が開示されている。吐出パルスは、駆動素子に供給されることにより、複数のノズル列のそれぞれのノズル列のノズルから液体を吐出する。微振動パルスは、ノズル付近の局所的な増粘を解消するために、駆動素子に供給されることにより、ノズル内の液体をノズルから吐出させないように振動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つのノズル列から吐出される液体の吐出量は、ノズルの形状の差等によって、互いに異なることがある。2つのノズル列の吐出量を同一に設定し、かつ、液体の増粘を抑制するため、液体吐出装置が3つの駆動信号生成回路を有する態様が考えられる。1つ目の駆動信号生成回路は、2つのノズル列のうち一方のノズル列の各ノズルに対応する駆動素子に供給される吐出駆動信号を生成する。2つ目の駆動信号生成回路は、他方のノズル列の各ノズルに対応する駆動素子に供給される吐出駆動信号を生成する。3つ目の駆動信号生成回路は、2つのノズル列の各ノズルに対応する駆動素子に供給される微振動駆動信号を生成する。しかしながら、この態様では、2つのノズル列の各ノズルに対応する駆動素子に供給される駆動信号の切替時に、液体が吐出するという吐出不良が発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な態様に係る液体吐出装置は、第1ノズル列に含まれる複数の第1ノズルと、前記複数の第1ノズルに対応する複数の第1駆動素子と、第2ノズル列に含まれる複数の第2ノズルと、前記複数の第2ノズルに対応する複数の第2駆動素子とを有する液体吐出ヘッドと、前記複数の第1駆動素子に供給されることにより、前記複数の第1ノズルから第1の量の液体を吐出させる第1吐出パルスと、前記第1吐出パルスの前及び後に第1基準電位を維持する第1基準電位保持要素と、を含む第1吐出駆動信号を生成する第1駆動信号生成回路と、前記複数の第2駆動素子に供給されることにより、前記複数の第2ノズルから前記第1の量の液体を吐出させる第2吐出パルスと、前記第2吐出パルスの前及び後に第2基準電位を維持する第2基準電位保持要素と、を含む第2吐出駆動信号を生成する第2駆動信号生成回路と、前記複数の第1駆動素子及び前記複数の第2駆動素子に供給されることにより、前記複数の第1ノズル内の液体と前記複数の第2ノズル内の液体とを吐出させないように液体を振動させる微振動パルスと、前記微振動パルスの前及び後に前記第1基準電位と前記第2基準電位との間の電位である第3基準電位を維持する第3基準電位保持要素と、を含む微振動駆動信号を生成する第3駆動信号生成回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0006】
本発明の好適な態様に係る駆動信号設定方法は、第1ノズル列に含まれる複数の第1ノズルと、前記複数の第1ノズルに対応する複数の第1駆動素子と、第2ノズル列に含まれる複数の第2ノズルと、前記複数の第2ノズルに対応する複数の第2駆動素子とを有する液体吐出ヘッドと、前記複数の第1駆動素子に第1吐出駆動信号を供給可能な第1駆動信号生成回路と、前記複数の第2駆動素子に第2吐出駆動信号を供給可能な第2駆動信号生成回路と、前記複数の第1駆動素子及び前記複数の第2駆動素子に微振動駆動信号を供給可能な第3駆動信号生成回路と、を備える液体吐出装置の駆動信号設定方法であって、前記第1吐出駆動信号を、前記複数の第1ノズルから第1の量の液体を吐出させる第1吐出パルスと、前記第1吐出パルスの前及び後に第1基準電位を維持する第1基準電位保持要素と、を含むように設定し、前記第2吐出駆動信号を、前記複数の第2ノズルから前記第1の量の液体を吐出させる第2吐出パルスと、前記第2吐出パルスの前及び後に第2基準電位を維持する第2基準電位保持要素と、を含むように設定し、前記微振動駆動信号を、前記複数の第1ノズル内の液体と前記複数の第2ノズル内の液体とを吐出させないように液体を振動させる微振動パルスと、前記微振動パルスの前及び後に前記第1基準電位と前記第2基準電位との間の第3基準電位を維持する第3基準電位保持要素と、を含むように設定する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図。
【
図2】インクジェットプリンター1を例示する模式図。
【
図6】ヘッドチップHC_A1の構成の一例を示すブロック図。
【
図7】インクジェットプリンター1の単位期間Tu[i]における動作を説明するためのタイミングチャートを示す図。
【
図8】接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、及び、SLc[m]の生成を説明するための説明図。
【
図9】圧電素子PZに供給される駆動信号が切り替わる場合を説明するための図。
【
図10】印刷動作時の制御部6の動作を示すフローチャートを示す図。
【
図11】第1変形例における圧電素子PZに供給される駆動信号が切り替わる場合を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
1.第1実施形態
1-1.インクジェットプリンター1の概要
図1及び
図2を参照しつつ、インクジェットプリンター1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2は、インクジェットプリンター1を例示する模式図である。インクジェットプリンター1は、「液体」の一例であるインクを媒体PPに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体PPは、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルム又は布帛等の任意の印刷対象が媒体PPとして利用され得る。インクジェットプリンター1は、「液体吐出装置」の一例である。
【0010】
図2に例示するように、インクジェットプリンター1は、インクを貯留する液体容器14を備える。液体容器14としては、例えば、インクジェットプリンター1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、又は、インクを補充可能なインクタンク等を採用することができる。液体容器14には、色彩が相違する複数種のインクが貯留される。
【0011】
図1に例示するように、インクジェットプリンター1は、6個の吐出駆動信号生成回路21と、2個の微振動駆動信号生成回路22と、液体吐出ヘッドHUと、制御部6と、記憶部5と、搬送機構7と、移動機構8と、を備える。液体吐出ヘッドHUは、6個のヘッドチップHCを備える。以下では、6個の吐出駆動信号生成回路21のそれぞれと、2個の微振動駆動信号生成回路22のそれぞれとを区別せずに、駆動信号生成回路2と記載することがある。
【0012】
インクジェットプリンター1は、6個の吐出駆動信号生成回路21として、吐出駆動信号生成回路21_A1と、吐出駆動信号生成回路21_A2と、吐出駆動信号生成回路21_B1と、吐出駆動信号生成回路21_B2と、吐出駆動信号生成回路21_C1と、吐出駆動信号生成回路21_C2とを有する。インクジェットプリンター1は、2個の微振動駆動信号生成回路22として、微振動駆動信号生成回路22_1と、微振動駆動信号生成回路22_2とを有する。
【0013】
制御部6は、例えばCPU又はFPGA等の処理回路である。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略語であり、FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略語である。制御部6は、インクジェットプリンター1の各要素を制御する。
【0014】
記憶部5は、RAM等の揮発性のメモリーと、ROM、EEPROM、又は、PROM等の不揮発性メモリーと、を含んで構成され、ホストコンピューターから供給される印刷データImg、及び、インクジェットプリンター1の制御プログラム等の各種情報を記憶する。RAMは、Random Access Memoryの略語である。ROMは、Read Only Memoryの略語である。EEPROMは、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略語である。PROMは、Programmable ROMの略語である。
【0015】
搬送機構7は、制御部6による制御のもとで、媒体PPを、Y軸に沿ったY1方向に搬送する。以下では、Y1方向と、Y1方向とは反対のY2方向とを、Y軸に沿う方向と総称する。また、以下では、Y軸に交差するX軸に沿ったX1方向と、X1方向とは反対のX2方向とを、X軸に沿う方向と総称する。また、以下では、X軸及びY軸に交差するZ軸に沿ったZ1方向と、Z1方向とは反対のZ2方向とを、Z軸に沿う方向と総称する。本実施形態では、一例として、X軸、Y軸、及び、Z軸が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸、Y軸、及び、Z軸は、互いに交差していればよい。
【0016】
移動機構8は、制御部6による制御のもとで、液体吐出ヘッドHUを、X1方向及びX2方向に往復動させる。
図2に示すように、移動機構8は、液体吐出ヘッドHUを収容する収納ケース81と、収納ケース81が固定された無端ベルト82とを具備する。なお、液体容器14を液体吐出ヘッドHUとともに収納ケース81に収納してもよい。
【0017】
液体吐出ヘッドHUは、6個のヘッドチップHCとして、ヘッドチップHC_A1と、ヘッドチップHC_A2と、ヘッドチップHC_B1と、ヘッドチップHC_B2と、ヘッドチップHC_C1と、ヘッドチップHC_C2とを有する。以下、ヘッドチップHC_A1と、ヘッドチップHC_A2と、ヘッドチップHC_B1と、ヘッドチップHC_B2と、ヘッドチップHC_C1と、ヘッドチップHC_C2とを区別せずに、ヘッドチップHCと記載することがある。
【0018】
6個のヘッドチップHCのそれぞれは、1以上のノズル列Lnを有する。ノズル列Lnは、M個のノズルNzを有する。Mは、2以上の整数である。以下、説明の簡略化のため、6個のヘッドチップHCのそれぞれは、1つのノズル列Lnを有する。具体的には、
図2に示すように、ヘッドチップHC_A1はノズル列LA1を有し、ヘッドチップHC_A2はノズル列LA2を有する。ヘッドチップHC_B1はノズル列LB1を有し、ヘッドチップHC_B2はノズル列LB2を有する。ヘッドチップHC_C1はノズル列LC1を有し、ヘッドチップHC_C2はノズル列LC2を有する。以下、ノズル列LA1、ノズル列LA2、ノズル列LB1、ノズル列LB2、ノズル列LC1、及び、ノズル列LC2を区別せずに、ノズル列Lnと記載することがある。
【0019】
1-2.ヘッドチップHCの概要
図2に示すように、6個のヘッドチップHCのそれぞれは、Y軸に沿う方向に延在し、X軸に沿って並んで配置されている。6個のヘッドチップHCのそれぞれが有するノズル列Lnの延在方向は、ヘッドチップHCの延在方向に一致する。従って、6個のヘッドチップHCのそれぞれが有するノズル列Lnも、Y軸に沿う方向に延在し、X軸に沿って並んで配置されている。但し、ヘッドチップHCの配置は、
図2に限らない。また、本実施形態では、液体吐出ヘッドHUは、6つのノズル列Lnを有するが、2以上のノズル列Lnを有すればよい。
図3から
図5までを用いて、ヘッドチップHCを説明する。
【0020】
図3は、ヘッドチップHCの分解斜視図である。
図4は、
図3に示すa-a線の断面図を示す。a-a断面は、XZ平面に平行であり、且つ、後述する導入口424を通過する。但し、
図3では、後述する配線基板50及び駆動回路51の表示を省略してある。
【0021】
図3及び
図4に例示される通り、ヘッドチップHCは、Y軸に沿って長い略矩形状の流路基板32を具備する。流路基板32におけるZ1方向の面上には、圧力室基板34と振動板36とM個の圧電素子PZと筐体部42と封止部材44とが設置される。流路基板32におけるZ2方向の面上には、ノズル板46と吸振体48とが設置される。ヘッドチップHCの各要素は、概略的には流路基板32と同様にY軸に沿って長い板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。
図3では図示を省略したが、配線基板50は、例えば、封止部材44のZ1方向の面に設けられる。
【0022】
以下の記載では、M個の圧電素子PZの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。m段の圧電素子PZを、圧電素子PZ[m]と称する場合がある。変数mは、1以上M以下を満たす整数である。また、インクジェットプリンター1の構成要素や信号等が、圧電素子PZに対応するものである場合には、当該構成要素や信号等を表すための符号に、段数mに対応していることを示す添え字[m]を付して表現することがある。
【0023】
図3に例示される通り、ノズル板46は、Y軸に沿って配列するM個のノズルNzが形成された板状部材である。各ノズルNzは、インクが通過する貫通孔である。なお、流路基板32と圧力室基板34とノズル板46とは、例えばシリコンの単結晶基板をエッチング等の半導体製造技術により加工することで形成される。ただし、ヘッドチップHCの各要素の材料や製法は任意である。Y軸の方向は、M個のノズルNzが配列する方向とも換言され得る。
【0024】
流路基板32は、インクの流路を形成するための板状部材である。
図3及び
図4に例示される通り、流路基板32には、開口部322と供給流路324と連通流路326とが形成される。開口部322は、Z軸方向の平面視において、Y軸に沿ってM個のノズルNzにわたり連続する貫通孔である。供給流路324及び連通流路326は、ノズルNz毎に個別に形成された貫通孔である。また、
図4に例示される通り、流路基板32のうちZ2方向の表面には、M個の供給流路324にわたる中継流路328が形成される。中継流路328は、開口部322とM個の供給流路324とを連通させる流路である。
【0025】
筐体部42は、例えば樹脂材料の射出成形で製造された構造体であり、流路基板32におけるZ1方向の表面に固定される。
図4に例示される通り、筐体部42には収容部422と導入口424とが形成される。収容部422は、流路基板32の開口部322に対応した外形の凹部である。導入口424は、収容部422に連通する貫通孔である。
図3から理解される通り、流路基板32の開口部322と筐体部42の収容部422とを相互に連通させた空間が液体貯留室RSとして機能する。液体容器14から供給されて導入口424を通過したインクが液体貯留室RSに貯留される。
【0026】
図3及び
図4に例示される通り、封止部材44は、M個の圧電素子PZを外気から保護するとともに圧力室基板34及び振動板36の機械的な強度を補強する構造体である。封止部材44は、振動板36の表面に例えば接着剤で固定される。封止部材44は、振動板36との対向面に凹部を有する。封止部材44が振動板36の表面に固定されることによって封止空間442が形成される。封止空間442には、M個の圧電素子PZが内包されている。
【0027】
吸振体48は、液体貯留室RS内の圧力変動を吸収する。吸振体48は、例えば弾性変形が可能な可撓性のシート部材を含む。具体的には、流路基板32の開口部322と中継流路328と複数の供給流路324とを閉塞して液体貯留室RSの底面を構成するように、流路基板32におけるZ2方向の表面に吸振体48が設置される。
【0028】
図3及び
図4に例示される通り、圧力室基板34は、M個のノズルNzにそれぞれ対応するM個の圧力室CVが形成された板状部材である。M個の圧力室CVは、Y軸に沿って相互に間隔をあけて配列する。各圧力室CVは、X軸に沿って長い開口である。圧力室CVのX1方向の端部は、平面視で1個の供給流路324に重なり、圧力室CVのX2方向の端部は、平面視で流路基板32の1個の連通流路326に重なる。
【0029】
圧力室基板34のうち流路基板32に対向する表面とは反対方向の表面には振動板36が設置される。振動板36は、弾性的に変形可能な板状部材である。
図4に例示される通り、絶縁膜362は、弾性膜361からみて圧力室基板34とは反対方向に位置する。弾性膜361は、例えば酸化シリコンで形成される。絶縁膜362は、例えば酸化ジルコニウムで形成される。
【0030】
図3及び
図4から理解される通り、流路基板32と振動板36とは、各圧力室CVの内側で相互に間隔をあけて対向する。圧力室CVは、流路基板32と振動板36との間に位置し、当該圧力室CV内に充填されたインクに圧力を付与するための空間である。振動板36は、圧力室CVの壁面の一部を構成する。液体貯留室RSに貯留されたインクは、中継流路328から各供給流路324に分岐してM個の圧力室CVに並列に供給及び充填される。すなわち、液体貯留室RSは、M個の圧力室CVにインクを供給するための共通液室として機能する。
【0031】
図3及び
図4に例示される通り、振動板36における圧力室基板34とは反対方向の表面には、M個のノズルNzにそれぞれ対応するM個の圧電素子PZが設置される。mが1からMまでの任意のmについて、ノズルNz[m]は圧電素子PZ[m]に対応する。圧電素子PZに対応するノズルNzとは、Z2方向への平面視において、圧電素子PZに一部又は全部が重なる圧力室CVに連通するノズルNzである。各圧電素子PZは、6個の吐出駆動信号生成回路21のいずれか1つから生成された吐出駆動信号Com、又は、2個の微振動駆動信号生成回路22のいずれか1つから生成された微振動駆動信号BSD、の供給により変形するアクチュエーターであり、X軸に沿う長い形状に形成される。M個の圧電素子PZは、M個の圧力室CVに対応するようにY軸に沿って配列する。以下では、吐出駆動信号Comと微振動駆動信号BSDとを区別せずに、駆動信号と記載することがある。吐出駆動信号Comが供給されることにより、圧電素子PZの変形に連動して振動板36が振動すると、圧力室CV内の圧力が変動することで、圧力室CVに充填されたインクが連通流路326とノズルNzとを通過して吐出される。すなわち、圧電素子PZは、振動板36を振動させることで圧力室CV内のインクをノズルNzから吐出させる駆動素子である。一方、微振動駆動信号BSDが供給されることにより、圧電素子PZの変形に連動して振動板36が振動すると、圧力室CV内の圧力が変動するが、ノズルNz内のインクが振動するにとどまり、ノズルNzからインクが吐出されない。以下の記載では、ノズルNz内のインクを吐出させないようにノズルNz内のインクを振動させる振動を、微振動と記載することがある。
【0032】
図5は、圧電素子PZの近傍を拡大した断面図である。但し、
図5では、図面の煩雑化を防ぐため、封止部材44の図示を省略してある。
【0033】
図5に例示される通り、圧電素子PZは、吐出駆動信号Com又は微振動駆動信号BSDが供給される上部電極Zuと、所定の基準電位Vbsが供給される下部電極Zdとの間に、圧電体Zmを介在させた積層体である。基準電位Vbsは、例えば、グランドレベルGNDである。圧電素子PZは、例えば、Z1方向から見たときに、下部電極Zdと上部電極Zuと圧電体Zmとが重なる部分である。圧電体Zmに供給される駆動電圧は、上部電極Zuに印加された電位と、下部電極Zdに印加された電位との電位差である。また、圧電素子PZのZ2方向には、圧力室CVが設けられる。なお、第1実施形態では、上部電極Zuに吐出駆動信号Com又は微振動駆動信号BSDが供給され、下部電極Zdに基準電位Vbsが供給される態様であるが、上部電極Zuに基準電位Vbsが供給され、下部電極Zdに吐出駆動信号Com又は微振動駆動信号BSDが供給される態様でもよい。
【0034】
説明を
図1及び
図2に戻す。制御部6は、ヘッドチップHCを制御するための印刷信号SIと、駆動信号生成回路2を制御するための波形指定信号dComと、搬送機構7を制御するための信号と、移動機構8を制御するための信号とを生成する。
【0035】
ここで、波形指定信号dComとは、吐出駆動信号Com又は微振動駆動信号BSDの波形を規定するデジタルの信号である。また、吐出駆動信号Com及び微振動駆動信号BSDとは、圧電素子PZを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成回路2は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComが規定する波形を有する吐出駆動信号Com又は微振動駆動信号BSDを生成する。
【0036】
具体的には、制御部6は、吐出駆動信号生成回路21_A1に、吐出駆動信号Com_A1を規定する波形指定信号dCom_A1を出力する。制御部6は、吐出駆動信号生成回路21_A2に、吐出駆動信号Com_A2を規定する波形指定信号dCom_A2を出力する。制御部6は、吐出駆動信号生成回路21_B1に、吐出駆動信号Com_B1を規定する波形指定信号dCom_B1を出力する。制御部6は、吐出駆動信号生成回路21_B2に、吐出駆動信号Com_B2を規定する波形指定信号dCom_B2を出力する。制御部6は、吐出駆動信号生成回路21_C1に、吐出駆動信号Com_C1を規定する波形指定信号dCom_C1を出力する。制御部6は、吐出駆動信号生成回路21_C2に、吐出駆動信号Com_C2を規定する波形指定信号dCom_C2を出力する。制御部6は、微振動駆動信号生成回路22_1に、微振動駆動信号BSD_1を規定する波形指定信号dCom_D1を出力する。制御部6は、微振動駆動信号生成回路22_2に、微振動駆動信号BSD_2を規定する波形指定信号dCom_D2を出力する。
【0037】
また、印刷信号SIとは、圧電素子PZの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、圧電素子PZに対して吐出駆動信号Comを供給するか、又は、圧電素子PZに対して微振動駆動信号BSDを供給する否かを指定することで、圧電素子PZを駆動した場合にノズルNzからインクが吐出されるか否かを指定することである。
【0038】
図1から理解されるように、ヘッドチップHC_A1には、吐出駆動信号生成回路21_A1が生成する吐出駆動信号Com_A1と、吐出駆動信号生成回路21_A2が生成する吐出駆動信号Com_A2と、微振動駆動信号生成回路22_1が生成する微振動駆動信号BSD_1とが供給される。ヘッドチップHC_A2には、吐出駆動信号Com_A1と、吐出駆動信号Com_A2と、微振動駆動信号生成回路22_2が生成する微振動駆動信号BSD_2とが供給される。
【0039】
ヘッドチップHC_B1には、吐出駆動信号生成回路21_B1が生成する吐出駆動信号Com_B1と、吐出駆動信号生成回路21_B2が生成する吐出駆動信号Com_B2と、微振動駆動信号BSD_1とが供給される。ヘッドチップHC_B2には、吐出駆動信号Com_B1と、吐出駆動信号Com_B2と、微振動駆動信号BSD_2とが供給される。
【0040】
ヘッドチップHC_C1には、吐出駆動信号生成回路21_C1が生成する吐出駆動信号Com_C1と、吐出駆動信号生成回路21_C2が生成する吐出駆動信号Com_C2と、微振動駆動信号BSD_1とが供給される。ヘッドチップHC_C2には、吐出駆動信号Com_C1と、吐出駆動信号Com_C2と、微振動駆動信号BSD_2とが供給される。
【0041】
1-3.ヘッドチップHCの構成
以下、
図6を参照しつつ、ヘッドチップHC_A1の構成について説明する。
【0042】
図6は、ヘッドチップHC_A1の構成の一例を示すブロック図である。また、ヘッドチップHC_A1は、吐出駆動信号生成回路21_A1から吐出駆動信号Com_A1が供給される内部配線LHaと、吐出駆動信号生成回路21_A2から吐出駆動信号Com_A2が供給される内部配線LHbと、微振動駆動信号生成回路22_1から微振動駆動信号BSD_1が供給される内部配線LHcと、基準電位Vbsが供給される内部配線LHdと、を備える。
【0043】
図6に示すように、駆動回路51は、M個のスイッチSWa[1]~SWa[M]と、M個のスイッチSWb[1]~SWb[M]と、M個のスイッチSWc[q][1]~SWc[M]と、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路52と、を備える。なお、各スイッチとしては、例えば、トランスミッションゲートを採用することができる。
【0044】
接続状態指定回路52は、制御部6から供給される印刷信号SI、及び、ラッチ信号LATの少なくとも一部の信号に基づいて、変数mが取り得る1からMまでのそれぞれについて、スイッチSWa[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLa[m]と、スイッチSWb[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLb[m]と、スイッチSWc[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号SLc[m]と、を生成する。
【0045】
スイッチSWa[m]は、接続状態指定信号SLa[m]に応じて、内部配線LHaと、圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]とを、電気的に接続するか否かを切り替える。例えば、スイッチSWa[m]は、接続状態指定信号SLa[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
【0046】
スイッチSWb[m]は、接続状態指定信号SLb[m]に応じて、内部配線LHbと、圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]とを、電気的に接続するか否かを切り替える。例えば、スイッチSWb[m]は、接続状態指定信号SLb[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
【0047】
スイッチSWc[m]は、接続状態指定信号SLc[m]に応じて、内部配線LHcと、圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]とを、電気的に接続するか否かを切り替える。例えば、スイッチSWc[m]は、接続状態指定信号SLc[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
【0048】
なお、吐出駆動信号Com_A1、吐出駆動信号Com_A2、及び、微振動駆動信号BSD_1のうち、スイッチSWa[m]、スイッチSWb[m]、又は、スイッチSWc[m]を介して、圧電素子PZ[m]に実際に供給される信号を、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。
【0049】
ヘッドチップHC_A1以外のヘッドチップHCの構成は、ヘッドチップHC_A1の構成と同様であるため、図示を省略する。ヘッドチップHC_A2の構成は、ヘッドチップHC_A1の構成と比較して、内部配線LHcの替わりに微振動駆動信号生成回路22_2から微振動駆動信号BSD_2が供給される内部配線を有する。ヘッドチップHC_B1の構成は、ヘッドチップHC_A1の構成と比較して、内部配線LHaの替わりに吐出駆動信号生成回路21_B1から吐出駆動信号Com_B1が供給される内部配線を有し、かつ、内部配線LHbの替わりに吐出駆動信号生成回路21_B2から吐出駆動信号Com_B2が供給される内部配線を有する。ヘッドチップHC_B2の構成は、ヘッドチップHC_B1の構成と比較して、内部配線LHcの替わりに微振動駆動信号生成回路22_2から微振動駆動信号BSD_2が供給される内部配線を有する。ヘッドチップHC_C1の構成は、ヘッドチップHC_A1の構成と比較して、内部配線LHaの替わりに吐出駆動信号生成回路21_C1から吐出駆動信号Com_C1が供給される内部配線を有し、かつ、内部配線LHbの替わりに吐出駆動信号生成回路21_C2から吐出駆動信号Com_C2が供給される内部配線を有する。ヘッドチップHC_C2の構成は、ヘッドチップHC_C1の構成と比較して、内部配線LHcの替わりに微振動駆動信号生成回路22_2から微振動駆動信号BSD_2が供給される内部配線を有する。
【0050】
1-4.ヘッドチップHCの製造誤差に起因する問題について
ヘッドチップHCには、ある程度の製造誤差が生じ得る。そして、製造誤差によって2つのヘッドチップHCのそれぞれのノズル列Lnからの吐出量が互いに異なることが生じ得る。例えば、同一の吐出駆動信号Comが2つのヘッドチップHCのそれぞれに供給されたとしても、製造誤差によって圧力室CVの形状及びノズルNzの形状等が互いに異なる結果、吐出量が互いに異なることが発生し得る。そこで、インクジェットプリンター1の製造者は、製造誤差を相殺するような吐出駆動信号Comを設計することにより、2つのヘッドチップHCのそれぞれのノズル列Lnからの吐出量を同一に設定できる。以下、インクジェットプリンター1の製造者を、単に、製造者と記載することがある。吐出駆動信号Comの具体的な設計例として、製造者は、吐出量に応じて吐出駆動信号Comの最高電位と最低電位との電位差ΔVhを決定する。一般的に、電位差ΔVhが大きくなることに応じて吐出量が大きくなる。従って、例えば、製造者は、吐出量が少ないヘッドチップHCに対して、電位差ΔVhを大きく設定し、吐出量が多いヘッドチップHCに対して、電位差ΔVhを小さく設定する。
【0051】
また、インクジェットプリンターでは、インクに含まれる水分等の溶媒の蒸発等に起因したインクの増粘が問題となる。ノズルNz付近の局所的な増粘を解消するために、圧電素子PZに微振動駆動信号BSDを供給することが考えられる。圧電素子PZに微振動駆動信号BSDを供給することによりノズルNz内のインクの微振動によって、ノズルNz付近のインクが攪拌されて、ノズルNz付近の局所的な増粘を解消できる。
【0052】
また、1つのヘッドチップHCに供給される微振動駆動信号BSDの電流の大きさは、1つのヘッドチップHCに供給される吐出駆動信号Comの電流の大きさより小さい。例えば1つのヘッドチップHCに供給される微振動駆動信号BSDの電流の大きさは、1つのヘッドチップHCに供給される吐出駆動信号Comの電流の大きさの10分の1程度である。従って、互いに異なる吐出駆動信号Comによって製造誤差が相殺された2つのヘッドチップHCに対して、同一の微振動駆動信号生成回路22が生成した微振動駆動信号BSDを供給する態様が考えられる。この態様によれば、互いに異なる吐出駆動信号Comによって製造誤差が相殺された2つのヘッドチップHCに対して、異なる微振動駆動信号生成回路22が生成した微振動駆動信号BSDを供給する態様と比較して、微振動駆動信号生成回路22の個数を減らすことができる。
【0053】
しかしながら、互いに異なる吐出駆動信号Comによって製造誤差が相殺された2つのヘッドチップHCに対して、同一の微振動駆動信号生成回路22が生成した微振動駆動信号BSDを供給する態様では、圧電素子PZに供給する駆動信号を切り替える場合に、インクが意図せず吐出されるという吐出不良が発生することが、発明者らの実験により得られた。吐出駆動信号Comと微振動駆動信号BSDとを切り替える場合に、切替直前の駆動信号の電位と切替直後の駆動信号の電位とが異なると、電位の急峻な変化が発生して圧電素子PZが変形し、ノズルNzからインクが吐出されると考えられる。
【0054】
そこで、本実施形態では、吐出駆動信号Comと微振動駆動信号BSDと切り替える場合に、切替直前の駆動信号の電位と、切替直後の駆動信号の電位とを同一に設定する。以下、
図7及び
図8を参照しつつ、具体的な吐出駆動信号Comと微振動駆動信号BSDとの波形について説明する。
【0055】
1-5.ヘッドチップHCの動作
本実施形態において、インクジェットプリンター1の動作期間は、1又は複数の単位期間Tuを含む。本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間Tuにおいて、印刷動作における圧電素子PZの駆動を実行する場合を想定する。以下の記載では、インクジェットプリンター1の動作期間は、I個の単位期間Tuを有する。Iは、1以上の整数である。更に、i番目の単位期間Tuを、単位期間Tu[i]と称することがある。iは、1からIまでの整数である。なお、一般的に、インクジェットプリンター1は、連続的又は間欠的な複数の単位期間Tuに亘り印刷動作を繰り返し実行して各ノズルから1又は複数回ずつインクを吐出させることで、印刷データImgの示す画像を形成する。
【0056】
図7は、インクジェットプリンター1の単位期間Tu[i]における動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7の例示では、吐出駆動信号Com_A1と、吐出駆動信号Com_A2と、吐出駆動信号Com_B1と、吐出駆動信号Com_B2と、微振動駆動信号BSD_1と、微振動駆動信号BSD_2とについて例示する。
【0057】
図7に示すように、制御部6は、パルスPlsLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御部6は、パルスPlsLの立ち上がりから次のパルスPlsLの立ち上がりまでの期間として、単位期間Tu[i]を規定する。
【0058】
印刷信号SIは、各単位期間Tuにおける圧電素子PZ[1]~PZ[M]の駆動の態様を指定する個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む。そして、制御部6は、単位期間Tu[i]において印刷動作が実行される場合、
図7に示すように、単位期間Tu[i]の開始に先立って、個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路52に供給する。この場合、mが1からMまでについて、接続状態指定回路52は、単位期間Tu[i]において、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、SLc[m]を生成する。
【0059】
本実施形態に係る個別指定信号Sd[m]は、各単位期間Tuにおいて、圧電素子PZ[m]に対して、大ドットに相当する量のインクの吐出、小ドットに相当する量のインクの吐出、微振動、の3つの駆動態様のうち、いずれか一つの駆動態様を指定する信号である。以下、大ドットに相当する量を、「大程度の量」と称する場合がある。また、小ドットに相当する量を、「小程度の量」と称する場合がある。
【0060】
図7に示すように、吐出駆動信号Com_A1は、吐出パルスPLA1と、吐出パルスPLA1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELA1と、を含む。吐出パルスPLA1は、ヘッドチップHC_A1とヘッドチップHC_A2とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、M個の圧電素子PZに対応するノズルNzから大程度の量のインクを吐出させる。これにより、媒体PPには大ドットが形成される。
【0061】
図7に示すように、吐出駆動信号Com_B1は、吐出パルスPLB1と、吐出パルスPLB1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELB1と、を含む。吐出パルスPLB1は、ヘッドチップHC_B1とヘッドチップHC_B2とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、M個の圧電素子PZに対応するノズルNzから大程度の量のインクを吐出させる。これにより、媒体PPには大ドットが形成される。
【0062】
ヘッドチップHC_A1とヘッドチップHC_A2とのM個のノズルNzから吐出されるインクの大程度の量と、ヘッドチップHC_B1とヘッドチップHC_B2とのM個のノズルNzから吐出されるインクの大程度の量とは同一である。この同一の量であるとは、完全に同一の量である場合の他に、吐出量の重量等を計測した場合の誤差を考慮すれば同一の量であると看做せる場合を含む。例えば、大程度の量とは、6.1[ng]であり、±0.1[ng]の差は同一の量と看做せる。[ng]は、重量の単位であるナノグラムを意味する。
【0063】
図7に示すように、吐出駆動信号Com_A2は、吐出パルスPLA2と、吐出パルスPLA2の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELA2と、を含む。吐出パルスPLA2は、ヘッドチップHC_A1とヘッドチップHC_A2とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、このM個の圧電素子PZに対応するノズルNzから小程度の量のインクを吐出させる。これにより、媒体PPには小ドットが形成される。
【0064】
図7に示すように、吐出駆動信号Com_B2は、吐出パルスPLB2と、吐出パルスPLB2の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELB2と、を含む。吐出パルスPLB2は、ヘッドチップHC_B1とヘッドチップHC_B2とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、このM個の圧電素子PZに対応するノズルNzから小程度の量のインクを吐出させる。これにより、媒体PPには小ドットが形成される。
【0065】
ヘッドチップHC_A1とヘッドチップHC_A2とのM個のノズルNzから吐出されるインクの小程度の量と、ヘッドチップHC_B1とヘッドチップHC_B2とのM個のノズルNzから吐出されるインクの小程度の量とは同一である。この同一の量であるとは、完全に同一の量である場合の他に、吐出量の重量等を計測した場合の誤差を考慮すれば同一の量であると看做せる場合を含む。例えば、小程度の量とは、3.3[ng]であり、±0.1[ng]の差は同一の量と看做せる。
【0066】
図7に示すように、微振動駆動信号BSD_1は、ヘッドチップHC_A1とヘッドチップHC_B1とヘッドチップHC_C1とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、このM個の圧電素子PZに対応するノズルNz内のインクを吐出させないようにインクを振動させる微振動パルスPLD1と、微振動パルスPLD1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELD1と、を含む。
【0067】
図7に示すように、微振動駆動信号BSD_2は、ヘッドチップHC_A2とヘッドチップHC_B2とヘッドチップHC_C2とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、このM個の圧電素子PZに対応するノズルNz内のインクを吐出させないようにインクを振動させる微振動パルスPLD2と、微振動パルスPLD2の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELD2と、を含む。
【0068】
なお、微振動駆動信号BSD_1は、1つの単位期間Tuに1つの微振動パルスPLD1を有するが、2つ以上の微振動パルスPLD1を有してもよい。同様に、微振動駆動信号BSD_2は、1つの単位期間Tuに1つの微振動パルスPLD2を有するが、2つ以上の微振動パルスPLD2を有してもよい。また、微振動パルスPLD1は、基準電位V0から基準電位V0より高い電位の最高電位VHD1を経て基準電位V0に変化しているが、基準電位V0から基準電位V0より低い電位を経て基準電位V0に変化してもよい。同様に、微振動パルスPLD2は、基準電位V0から基準電位V0より高い電位の最高電位VHD2を経て基準電位V0に変化しているが、基準電位V0から基準電位V0より低い電位を経て基準電位V0に変化してもよい。
【0069】
図7の例では、ある駆動信号をヘッドチップHC_A1及びヘッドチップHC_A2に供給した場合の吐出量が、ある駆動信号と同一の駆動信号をヘッドチップHC_B1及びヘッドチップHC_B2に供給した場合の吐出量より多いことを前提とする。従って、ヘッドチップHC_A1及びヘッドチップHC_A2からともに同一の大程度の量を吐出するために、吐出パルスPLA1の最高電位VHA1と最低電位VLA1との電位差ΔVhA1は、吐出パルスPLB1の最高電位VHB1と最低電位VLB1との電位差ΔVhB1より小さい。また、ヘッドチップHC_A1及びヘッドチップHC_A2からともに同一の小程度の量を吐出するために、吐出パルスPLA2の最高電位VHA2と最低電位VLA2との電位差ΔVhA2は、吐出パルスPLB2の最高電位VHB2と最低電位VLB2との電位差ΔVhB2より小さい。また、吐出量の関係より、電位差ΔVhA1は電位差ΔVhA2より大きく、電位差ΔVhB1は電位差ΔVhB2より大きい。
【0070】
図7の例では、微振動パルスPLD1の最高電位VHD1と基準電位V0との電位差ΔVhD1と、微振動パルスPLD2の最高電位VHD2と基準電位V0との電位差ΔVhD2とは略同一である。但し、電位差ΔVhD1と電位差ΔVhD2とが互いに異なってもよい。電位差ΔVhD1及び電位差ΔVhD2は、電位差ΔVhA2及び電位差ΔVhB2よりも小さい。
【0071】
上述したように、基準電位保持要素ELA1と、基準電位保持要素ELB1と、基準電位保持要素ELA2と、基準電位保持要素ELB2と、基準電位保持要素ELD1と、基準電位保持要素ELD2とが維持する電位は、全て同一の基準電位V0である。以下、基準電位保持要素ELA1と、基準電位保持要素ELB1と、基準電位保持要素ELA2と、基準電位保持要素ELB2と、基準電位保持要素ELD1と、基準電位保持要素ELD2を区別せずに、基準電位保持要素ELと記載することがある。同一の電位は、完全に同一の電位である場合の他に、駆動信号生成回路2の設定上の誤差を考慮すれば同一の電位であると看做せる場合を含む。駆動信号生成回路2の設定上の誤差は、例えば、駆動信号生成回路2に設定可能な最小単位の電位に対する所定の割合以下の差である。例えば、駆動信号生成回路2に設定可能な最小単位の電位が0.1[V]であり、所定の割合が20%であることを前提とする。[V]は、電位の単位であるボルトを意味する。この前提のもと、2つの基準電位保持要素ELが維持する電位のうち一方の電位がV01とし、他方の電位がV02とすると、V01からV02を減じた差の絶対値が0.04[V]以下である場合、V01とV02とが同一の電位であると看做せる。
【0072】
製造者は、例えば、吐出駆動信号Comと微振動駆動信号BSDとの基準電位V0を同一に設定し、基準電位V0を維持したまま、製造誤差を相殺するように電位差ΔVhを設定する。より具体的には、製造者は、複数のヘッドチップHCのそれぞれの吐出量の重量を測定し、測定した重量に基づいて電位差ΔVhを設定する。なお、説明の簡略化のため、
図7に示す吐出パルスPLA1の長さと、吐出パルスPLB1の長さと、吐出パルスPLA2の長さと、吐出パルスPLB2の長さとは、略同一であるが、これに限らなく、単位期間Tuを超えない範囲で異なってもよい。
【0073】
以下の記載では、吐出パルスPLA1と、吐出パルスPLA2と、吐出パルスPLB1と、吐出パルスPLB2とを区別せずに、吐出パルスPLと記載することがある。
図7から理解されるように、吐出パルスPLの前にある基準電位保持要素ELの開始時刻は、単位期間Tu[i]の開始時刻に一致し、吐出パルスPLの前にある基準電位保持要素ELの終了時刻は、吐出パルスPLの開始時刻に一致する。吐出パルスPLの後にある基準電位保持要素ELの開始時刻は、吐出パルスPLの終了時刻に一致し、吐出パルスPLの後にある基準電位保持要素ELの終了時刻は、単位期間Tu[i]の終了時刻に一致する。
【0074】
また、
図7では図示していないが、吐出駆動信号Com_C1は、ヘッドチップHC_C1とヘッドチップHC_C2とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、このM個の圧電素子PZに対応するノズルNzから大程度の量のインクを吐出させる吐出パルスPLと、この吐出パルスPLの前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELと、を含む。吐出駆動信号Com_C2は、ヘッドチップHC_C1とヘッドチップHC_C2とのそれぞれのM個の圧電素子PZに供給されることにより、このM個の圧電素子PZに対応するノズルNzから小程度の量のインクを吐出させる吐出パルスPLと、この吐出パルスPLの前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELと、を含む。
【0075】
なお、ヘッドチップHC_A1のノズル列LA1が「第1ノズル列」の一例であり、ヘッドチップHC_B1のノズル列LB1が「第2ノズル列」の一例であり、吐出駆動信号生成回路21_A1が「第1駆動信号生成回路」の一例であり、吐出駆動信号生成回路21_B1が「第2駆動信号生成回路」の一例である。この例では、ノズル列LA1に含まれるM個のノズルNzが「複数の第1ノズル」に相当し、ヘッドチップHC_A1のM個の圧電素子PZが「複数の第1駆動素子」に相当する。更に、ノズル列LB1に含まれるM個のノズルNzが「複数の第2ノズル」に相当し、ヘッドチップHC_B1のM個の圧電素子PZが「複数の第2駆動素子」に相当する。更に、吐出駆動信号生成回路21_A1が生成する吐出駆動信号Com_A1が「第1吐出駆動信号」に相当し、吐出駆動信号生成回路21_B1が生成する吐出駆動信号Com_B1が「第2吐出駆動信号」に相当し、大程度の量が「第1の量」に相当する。更に、吐出駆動信号Com_A1に含まれる吐出パルスPLA1が「第1吐出パルス」に相当し、基準電位保持要素ELA1が「第1基準電位保持要素」に相当し、基準電位保持要素ELA1が維持する基準電位V0が「第1基準電位」に相当する。更に、吐出駆動信号Com_B1に含まれる吐出パルスPLB1が「第2吐出パルス」に相当し、基準電位保持要素ELB1が「第2基準電位保持要素」に相当し、基準電位保持要素ELB1が維持する基準電位V0が「第2基準電位」に相当する。更に、微振動駆動信号生成回路22_1が「第3駆動信号生成回路」に相当する。微振動駆動信号生成回路22_1が生成する微振動駆動信号BSD_1が「微振動駆動信号」に相当する。微振動駆動信号BSD_1に含まれる微振動パルスPLD1が「微振動パルス」に相当し、基準電位保持要素ELD1が「第3基準電位保持要素」に相当し、基準電位保持要素ELD1が維持する基準電位V0が「第3基準電位」に相当する。
【0076】
なお、ヘッドチップHC_A2のノズル列LA2が「第1ノズル列」の一例であり、ヘッドチップHC_B2のノズル列LB2が「第2ノズル列」の一例であり、吐出駆動信号生成回路21_A2が「第1駆動信号生成回路」の一例であり、吐出駆動信号生成回路21_B2が「第2駆動信号生成回路」の一例であるとも言える。この例では、ノズル列LA2に含まれるM個のノズルNzが「複数の第1ノズル」に相当し、ヘッドチップHC_A2のM個の圧電素子PZが「複数の第1駆動素子」に相当する。更に、ノズル列LB2に含まれるM個のノズルNzが「複数の第2ノズル」に相当し、ヘッドチップHC_B2のM個の圧電素子PZが「複数の第2駆動素子」に相当する。更に、吐出駆動信号生成回路21_A2が生成する吐出駆動信号Com_A2が「第1吐出駆動信号」に相当し、吐出駆動信号生成回路21_B2が生成する吐出駆動信号Com_B2が「第2吐出駆動信号」に相当し、小程度の量が「第1の量」に相当する。更に、吐出駆動信号Com_A2に含まれる吐出パルスPLA2が「第1吐出パルス」に相当し、基準電位保持要素ELA2が「第1基準電位保持要素」に相当し、基準電位保持要素ELA2が維持する基準電位V0が「第1基準電位」に相当する。更に、吐出駆動信号Com_B2に含まれる吐出パルスPLB2が「第2吐出パルス」に相当し、基準電位保持要素ELB2が「第2基準電位保持要素」に相当し、基準電位保持要素ELB2が維持する基準電位V0が「第2基準電位」に相当する。更に、微振動駆動信号生成回路22_2が「第3駆動信号生成回路」に相当する。微振動駆動信号生成回路22_2が生成する微振動駆動信号BSD_2が「微振動駆動信号」に相当する。微振動駆動信号BSD_2に含まれる微振動パルスPLD2が「微振動パルス」に相当し、基準電位保持要素ELD2が「第3基準電位保持要素」に相当し、基準電位保持要素ELD2が維持する基準電位V0が「第3基準電位」に相当する。
【0077】
図8は、1からMまでの任意のmにおいて、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、及び、SLc[m]の生成を説明するための説明図である。接続状態指定回路52は、
図8に従って、個別指定信号Sd[m]をデコードし、接続状態指定信号SLa[m]、SLb[m]、SLc[m]を生成する。
【0078】
図8に示すように、本実施形態に係る個別指定信号Sdは、大ドットの形成を指定する値(1,1)、小ドットの形成を指定する値(1,0)、又は、微振動を指定する値(0,0)のいずれかの値を示す。そして、接続状態指定回路52は、個別指定信号Sd[m]が(1,1)を示す場合に単位期間Tuにおいて接続状態指定信号SLa[m]をハイレベルとし、個別指定信号Sd[m]が(1,0)を示す場合に単位期間Tuにおいて接続状態指定信号SLb[m]をハイレベルとし、個別指定信号Sd[m]が(0,0)を示す場合に単位期間Tuにおいて接続状態指定信号SLc[m]をハイレベルとし、以上に該当しない場合において各信号をローレベルとする。
【0079】
圧電素子PZに供給される駆動信号が切り替わる場合の例について、
図9を用いて説明する。
【0080】
図9は、圧電素子PZに供給される駆動信号が切り替わる場合を説明するための図である。
図9では、単位期間Tu[i1]と単位期間Tu[i1+1]とにおいて、ヘッドチップHC_A1に含まれる圧電素子PZ[m1]に供給される供給駆動信号Vin[m1]と、ヘッドチップHC_B1に含まれる圧電素子PZ[m2]に供給される供給駆動信号Vin[m2]とを示す。i1は、1以上I-1以下の任意の整数である。m1及びm2は、1からMまでの任意の整数である。更に、
図9では、単位期間Tu[i1]に先立って、大ドットの形成を指定する個別指定信号Sd[m1]がヘッドチップHC_A1に出力され、大ドットの形成を指定する個別指定信号Sd[m2]がヘッドチップHC_B1に出力されたことを前提とする。更に、単位期間Tu[i1+1]に先立って、微振動を指定する個別指定信号Sd[m1]がヘッドチップHC_A1に出力され、微振動を指定する個別指定信号Sd[m2]がヘッドチップHC_B1に出力されたことを前提とする。
【0081】
図9に示すように、圧電素子PZ[m1]に供給される供給駆動信号Vin[m1]を吐出駆動信号Com_A1から微振動駆動信号BSD_1に切り替える場合、インクジェットプリンター1は、基準電位保持要素ELA1が供給されている時に微振動駆動信号BSD_1に切り替える。基準電位保持要素ELA1の基準電位V0と、微振動駆動信号BSD_1の基準電位V0とが同一の電位であるため、供給駆動信号Vin[m1]の切替時に電位の変化が生じない。
図9では図示を省略しているが、供給駆動信号Vin[m1]が微振動駆動信号BSD_1から吐出駆動信号Com_A1に切り替わる場合も、切替直前の電位と切替直後の電位が共に基準電位V0であるため、供給駆動信号Vin[m1]の切替時に電位の変化が生じない。
【0082】
同様に、圧電素子PZ[m2]に供給される供給駆動信号Vin[m2]を吐出駆動信号Com_B1から微振動駆動信号BSD_1に切り替える場合、インクジェットプリンター1は、基準電位保持要素ELB1が供給されている時に微振動駆動信号BSD_1に切り替える。基準電位保持要素ELB1の基準電位V0と、微振動駆動信号BSD_1の基準電位V0とが同一の電位であるため、供給駆動信号Vin[m2]の切替時に電位の変化が生じない。
図9では図示を省略しているが、供給駆動信号Vin[m2]が微振動駆動信号BSD_1から吐出駆動信号Com_B1に切り替わる場合も、切替直前の電位と切替直後の電位が共に基準電位V0であるため、供給駆動信号Vin[m2]の切替時に電位の変化が生じない。
【0083】
図10は、印刷動作時の制御部6の動作を示すフローチャートである。印刷動作を実行する場合、制御部6は、ステップS2において、波形指定信号dComを駆動信号生成回路2に出力する。具体的には、制御部6は、吐出パルスPLA1と基準電位保持要素ELA1とを含む吐出駆動信号Com_A1を規定する波形指定信号dCom_A1を、吐出駆動信号生成回路21_A1に出力する。また、制御部6は、吐出パルスPLB1と基準電位保持要素ELB1とを含む吐出駆動信号Com_B1を規定する波形指定信号dCom_B1を、吐出駆動信号生成回路21_B1に出力する。また、制御部6は、吐出パルスPLA2と基準電位保持要素ELA2とを含む吐出駆動信号Com_A2を規定する波形指定信号dCom_A2を、吐出駆動信号生成回路21_A2に出力する。また、制御部6は、吐出パルスPLB2と基準電位保持要素ELB2とを含む吐出駆動信号Com_B2を規定する波形指定信号dCom_B2を、吐出駆動信号生成回路21_B2に出力する。また、制御部6は、微振動パルスPLD1と基準電位保持要素ELD1とを含む微振動駆動信号BSD_1を規定する波形指定信号dCom_D1を、微振動駆動信号生成回路22_1に出力する。また、制御部6は、微振動パルスPLD2と基準電位保持要素ELD2とを含む微振動駆動信号BSD_2を規定する波形指定信号dCom_D2を、微振動駆動信号生成回路22_2に出力する。
【0084】
また、制御部6は、ステップS4において、各単位期間Tuにおいて、個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて各ヘッドチップHCの接続状態指定回路52に供給する。全ての単位期間Tuの終了後、制御部6は、
図10に示す一連の処理を終了する。
【0085】
1-6.第1実施形態のまとめ
以下、ヘッドチップHC_A1と、ヘッドチップHC_B1と、吐出駆動信号生成回路21_A1と、吐出駆動信号生成回路21_B1と、微振動駆動信号生成回路22_1とを用いて、第1実施形態のまとめを説明する。以下では、説明を簡略化するため、ノズル列LA1に含まれる複数のノズルNzを複数のノズルNz1と記載することがあり、ノズル列LB1に含まれる複数のノズルNzを複数のノズルNz2と記載することがあり、複数のノズルNz1に対応する複数の圧電素子PZを複数の圧電素子PZ1と記載することがあり、複数のノズルNz2に対応する複数の圧電素子PZを複数の圧電素子PZ2と記載することがある。
【0086】
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、液体吐出ヘッドHUと、吐出駆動信号生成回路21_A1と、吐出駆動信号生成回路21_B1と、微振動駆動信号生成回路22_1とを備える液体吐出装置である。液体吐出ヘッドHUは、ノズル列LA1に含まれる複数のノズルNz1と、複数のノズルNz1に対応する複数の圧電素子PZ1と、ノズル列LB1に含まれる複数のノズルNz2と、複数のノズルNz2に対応する複数の圧電素子PZ2とを有する。吐出駆動信号生成回路21_A1は、ヘッドチップHC_A1の複数の圧電素子PZ1に供給されることにより、複数のノズルNz1から大程度の量のインクを吐出させる吐出パルスPLA1と、吐出パルスPLA1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELA1と、を含む吐出駆動信号Com_A1を生成する。吐出駆動信号生成回路21_B1は、複数の圧電素子PZ2に供給されることにより、複数のノズルNz2から大程度の量のインクを吐出させる吐出パルスPLB1と、吐出パルスPLB1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELB2と、を含む吐出駆動信号Com_B1を生成する。微振動駆動信号生成回路22_1は、複数の圧電素子PZ1及び複数の圧電素子PZ2に供給されることにより、複数のノズルNz1内のインクと複数のノズルNz2内のインクとを吐出させないようにインクを振動させる微振動パルスPLD1と、微振動パルスPLD1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELD1と、を含む微振動駆動信号BSD_1を生成する。
第1実施形態に係るインクジェットプリンター1は、複数の圧電素子PZ1に供給される供給駆動信号Vinを切り替える場合に、複数の圧電素子PZ1に供給される電位の変化が生じない。従って、第1実施形態によれば、互いに異なる吐出駆動信号Comによって製造誤差が相殺された2つのヘッドチップHCに対して、同一の微振動駆動信号生成回路22が生成した微振動駆動信号BSDを供給する態様であっても、供給駆動信号Vinを切り替える場合にインクが吐出されるという吐出不良の発生を抑制できる。また、一般的に、圧電素子PZに供給される電位が急峻に変化すると、圧電素子PZの劣化が早まる傾向にある。従って、第1実施形態によれば、供給駆動信号Vinを切り替える場合に圧電素子PZ1の電位が変化する態様と比較して、圧電素子PZ1の寿命を長くできる。
【0087】
また、微振動駆動信号生成回路22_1が複数の圧電素子PZ1に供給する電流の大きさは、吐出駆動信号生成回路21_A1が複数の圧電素子PZ1に供給する電流の大きさより小さい。
微振動駆動信号生成回路22_1が複数の圧電素子PZ1に供給する電流の大きさは、吐出駆動信号生成回路21_A1が複数の圧電素子PZ1に供給する電流の大きさより小さいため、微振動駆動信号生成回路22_1が供給する圧電素子PZの個数を、吐出駆動信号生成回路21_A1が供給する圧電素子PZの個数よりも多くできる。第1実施形態では、微振動駆動信号生成回路22_1が供給するヘッドチップHCの個数が3であるのに対し、吐出駆動信号生成回路21_A1が供給するヘッドチップHCの個数が2である。以上により、第1実施形態によれば、微振動駆動信号生成回路22が供給する圧電素子PZの個数が吐出駆動信号生成回路21が供給する圧電素子PZの個数よりも少ない態様と比較して、微振動駆動信号生成回路22の個数を減らしつつ、供給駆動信号Vinを切り替える場合にインクが吐出されるという吐出不良の発生を抑制できる。
【0088】
また、第1実施形態は、液体吐出装置の駆動信号設定方法としても規定できる。制御部6は、波形指定信号dCom_A1を吐出駆動信号生成回路21_A1に出力する。波形指定信号dCom_A1を出力することは、吐出駆動信号Com_A1を、複数のノズルNz1から大程度の量のインクを吐出させる吐出パルスPLA1と、吐出パルスPLA1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELA1と、を含むように設定することと同義である。また、制御部6は、波形指定信号dCom_B1を吐出駆動信号生成回路21_B1に出力する。波形指定信号dCom_B1を出力することは、吐出駆動信号Com_B1を、複数のノズルNz2から大程度の量のインクを吐出させる吐出パルスPLB1と、吐出パルスPLB1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELB1と、を含むように設定することと同義である。また、制御部6は、波形指定信号dCom_D1を微振動駆動信号生成回路22_1に出力する。波形指定信号dCom_D1を出力することは、微振動駆動信号BSD_1を、複数のノズルNz1内のインクと複数のノズルNz内のインクとを吐出させないようにインクを振動させる微振動パルスPLD1と、微振動パルスPLD1の前及び後に基準電位V0を維持する基準電位保持要素ELD1と、を含むように設定する。
【0089】
2.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0090】
2-1.第1変形例
第1実施形態では、基準電位保持要素ELA1、基準電位保持要素ELA2、基準電位保持要素ELB1、及び、基準電位保持要素ELB2が維持する電位は全て基準電位V0であったが、これに限らない。例えば、2つのヘッドチップHCの製造誤差が非常に大きい場合に、2つのヘッドチップHCの吐出量を同一に設定しようとすると、吐出駆動信号Comの基準電位を同一にできないことも考えられる。以下、第1変形例について説明する。
【0091】
図11は、第1変形例における圧電素子PZに供給される駆動信号が切り替わる場合を説明するための図である。
図11の前提は、
図9と同様の前提であるため、説明を省略する。但し、第1変形例に係る吐出駆動信号Com_A1は、基準電位保持要素ELA1が維持する電位が基準電位V0Aである点で、第1実施形態に係る吐出駆動信号Com_A1と相違する。また、第1変形例に係る吐出駆動信号Com_B1は、基準電位保持要素ELB1が維持する電位が基準電位V0Bである点で、第1実施形態に係る吐出駆動信号Com_B1と相違する。また、第1変形例に係る微振動駆動信号BSD_1は、基準電位保持要素ELD1が維持する電位が基準電位V0Dである点で、第1実施形態に係る微振動駆動信号BSD_1と相違する。
【0092】
図11の例では、基準電位V0Aは、基準電位V0Bと比較して低電位である。そして、基準電位V0Dは、基準電位V0Aと基準電位V0Bとの間の電位である。例えば、基準電位V0Dは、基準電位V0Aと基準電位V0Bとの平均の電位である。なお、第1変形例において、基準電位V0Aが「第1基準電位」に相当し、基準電位V0Bが「第2基準電位」に相当し、基準電位V0Dが「第3基準電位」に相当する。
【0093】
基準電位V0Aと基準電位V0Dとの電位差が大きくなる程、供給駆動信号Vin[m1]の切替時にノズルNz[m1]からインクが吐出しやすくなってしまう。同様に、基準電位V0Bと基準電位V0Dとの電位差が大きくなる程、供給駆動信号Vin[m2]の切替時にノズルNz[m2]からインクが吐出しやすくなってしまう。従って、基準電位V0Dが基準電位V0Aと基準電位V0Bとの間の電位であることにより、基準電位V0Dが基準電位V0Aと基準電位V0Bとの間でない電位にある態様と比較して、基準電位V0Aと基準電位V0Dとの電位差及び基準電位V0Bと基準電位V0Dとの電位差を小さくできるため、インクが吐出するという吐出不良が発生することを抑制できる。
【0094】
2-2.第2変形例
上述の各態様において、インクジェットプリンター1は、6個のヘッドチップHCを有する液体吐出ヘッドHUと、4個の吐出駆動信号生成回路21と、2個の微振動駆動信号生成回路22とを有したが、これに限らない。例えば、インクジェットプリンター1は、2つのヘッドチップHCを有する液体吐出ヘッドHUと、2個の吐出駆動信号生成回路21と、1個の微振動駆動信号生成回路22とを有してもよい。
【0095】
2-3.第3変形例
上述の各態様では、液体吐出ヘッドHUを、X軸に沿う方向に往復動させるシリアル方式のインクジェットプリンター1を製造する製造方法を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター1は、複数のノズルNzが、媒体PPの全幅に亘り分布する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【0096】
2-4.その他の変形例
上述のインクジェットプリンター1は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の記録装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する記録装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する記録装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【0097】
3.付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0098】
好適な態様である第1態様に係る液体吐出装置は、第1ノズル列に含まれる複数の第1ノズルと、前記複数の第1ノズルに対応する複数の第1駆動素子と、第2ノズル列に含まれる複数の第2ノズルと、前記複数の第2ノズルに対応する複数の第2駆動素子とを有する液体吐出ヘッドと、前記複数の第1駆動素子に供給されることにより、前記複数の第1ノズルから第1の量の液体を吐出させる第1吐出パルスと、前記第1吐出パルスの前及び後に第1基準電位を維持する第1基準電位保持要素と、を含む第1吐出駆動信号を生成する第1駆動信号生成回路と、前記複数の第2駆動素子に供給されることにより、前記複数の第2ノズルから前記第1の量の液体を吐出させる第2吐出パルスと、前記第2吐出パルスの前及び後に第2基準電位を維持する第2基準電位保持要素と、を含む第2吐出駆動信号を生成する第2駆動信号生成回路と、前記複数の第1駆動素子及び前記複数の第2駆動素子に供給されることにより、前記複数の第1ノズル内の液体と前記複数の第2ノズル内の液体とを吐出させないように液体を振動させる微振動パルスと、前記微振動パルスの前及び後に前記第1基準電位と前記第2基準電位との間の電位である第3基準電位を維持する第3基準電位保持要素と、を含む微振動駆動信号を生成する第3駆動信号生成回路と、を備える。
第1態様によれば、互いに異なる吐出駆動信号によって製造誤差が相殺された第1ノズル列と第2ノズル列に対して、同一の微振動駆動信号生成回路が生成した微振動駆動信号を供給する態様であっても、第3基準電位が第1基準電位と第2基準電位との間でない電位にある態様と比較して、第1基準電位と第3基準電位との電位差及び第2基準電位と第3基準電位との電位差を小さくできるため、駆動信号の切替時に液体が吐出するという吐出不良が発生することを抑制できる。
【0099】
第1態様の具体例である第2態様において、前記第1基準電位と前記第2基準電位と前記第3基準電位とは、同一の電位である。
第1実施形態によれば、互いに異なる吐出駆動信号によって製造誤差が相殺された2つのノズル列に対して、同一の駆動信号生成回路が生成した微振動駆動信号を供給する態様であっても、駆動素子に供給される駆動信号の切替時に液体が吐出されるという吐出不良の発生を、第1態様よりも抑制できる。
【0100】
第1態様又は第2態様の具体例である第3態様において、前記第3駆動信号生成回路が前記複数の第1駆動素子に供給する電流の大きさは、前記第1駆動信号生成回路が前記複数の第1駆動素子に供給する電流の大きさより小さい。
第3態様によれば、第3駆動信号生成回路が複数の第1駆動素子に供給する電流の大きさが、第1駆動信号生成回路が複数の第1駆動素子に供給する電流の大きさより大きい態様と比較して、微振動駆動信号を生成する駆動信号生成回路の個数を減らすことができ、且つ、吐出駆動信号から微振動駆動信号に切り替える場合に液体が吐出されるという吐出不良の発生を抑制できる。
【0101】
好適な態様である第4態様に係る駆動信号設定方法は、第1ノズル列に含まれる複数の第1ノズルと、前記複数の第1ノズルに対応する複数の第1駆動素子と、第2ノズル列に含まれる複数の第2ノズルと、前記複数の第2ノズルに対応する複数の第2駆動素子とを有する液体吐出ヘッドと、前記複数の第1駆動素子に第1吐出駆動信号を供給可能な第1駆動信号生成回路と、前記複数の第2駆動素子に第2吐出駆動信号を供給可能な第2駆動信号生成回路と、前記複数の第1駆動素子及び前記複数の第2駆動素子に微振動駆動信号を供給可能な第3駆動信号生成回路と、を備える液体吐出装置の駆動信号設定方法であって、前記第1吐出駆動信号を、前記複数の第1ノズルから第1の量の液体を吐出させる第1吐出パルスと、前記第1吐出パルスの前及び後に第1基準電位を維持する第1基準電位保持要素と、を含むように設定し、前記第2吐出駆動信号を、前記複数の第2ノズルから前記第1の量の液体を吐出させる第2吐出パルスと、前記第2吐出パルスの前及び後に第2基準電位を維持する第2基準電位保持要素と、を含むように設定し、前記微振動駆動信号を、前記複数の第1ノズル内の液体と前記複数の第2ノズル内の液体とを吐出させないように液体を振動させる微振動パルスと、前記微振動パルスの前及び後に前記第1基準電位と前記第2基準電位との間の第3基準電位を維持する第3基準電位保持要素と、を含むように設定する。
第4態様によれば、第1態様と同等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0102】
1…インクジェットプリンター、5…記憶部、6…制御部、7…搬送機構、8…移動機構、14…液体容器、21…吐出駆動信号生成回路、22…微振動駆動信号生成回路、32…流路基板、34…圧力室基板、36…振動板、42…筐体部、44…封止部材、46…ノズル板、48…吸振体、50…配線基板、51…駆動回路、52…接続状態指定回路、81…収納ケース、82…無端ベルト、322…開口部、324…供給流路、326…連通流路、328…中継流路、361…弾性膜、362…絶縁膜、422…収容部、424…導入口、442…封止空間、BSD…微振動駆動信号、CL…クロック信号、CV…圧力室、Com…吐出駆動信号、ELA1,ELA2,ELB1,ELB2,ELD1,ELD2…基準電位保持要素、GND…グランドレベル、HC…ヘッドチップ、HU…液体吐出ヘッド、Img…印刷データ、LA1,LA2,LB1,LB2,LC1,LC2…ノズル列、LAT…ラッチ信号、LHa,LHb,LHc,LHd…内部配線、Nz…ノズル、PLA1,PLA2,PLB1,PLB2…吐出パルス、PLD1,PLD2…微振動パルス、PP…媒体、PZ…圧電素子、PlsL…パルス、RS…液体貯留室、SI…印刷信号、SLa,SLb,SLc…接続状態指定信号、SWa,SWb,SWc…スイッチ、Sd…個別指定信号、Tu…単位期間、V0,V0A,V0B,V0D…基準電位、VHA1,VHA2,VHB1,VHB2,VHD1,VHD2…最高電位、VLA1,VLA2,VLB1,VLB2…最低電位、Vbs…基準電位、Vin…供給駆動信号、Zd…下部電極、Zm…圧電体、Zu…上部電極、dCom…波形指定信号、ΔVhA1,ΔVhA2,ΔVhB1,ΔVhB2,ΔVhD1,ΔVhD2…電位差。