(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131430
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】複合機
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240920BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240920BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240920BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N1/00 519
B41J29/42 F
B41J29/38 203
B41J29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041685
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 正治
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061BB10
2C061CL10
2C061CQ04
2C061CQ07
2C061CQ24
2C061HJ07
2C061HK11
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB40
5C062AB46
5C062AC58
5C062AD01
5C062AD06
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】IDカード携帯しなくても、複合機1はユーザーUに合うようにタッチパネルの角度を自動で調整できるようにする。
【解決手段】角度調整可能に設けられ各種操作を行うための可動パネル部5を備える複合機1であって、可動パネル部5を回動させて角度を変えるパネル回動部6と、ユーザーUの顔Fの位置の情報を取得可能な顔位置情報取得部7と、制御部8と、を備え、制御部8は、顔位置情報取得部7の取得した情報に基づいて、パネル回動部6を回動させて可動パネル部5の角度を調整する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度調整可能に設けられ各種操作を行うための可動パネル部を備える複合機であって、
前記可動パネル部を回動させて角度を変えるパネル回動部と、
ユーザーの顔の位置の情報を取得可能な顔位置情報取得部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記顔位置情報取得部の取得した情報に基づいて、前記パネル回動部を回動させて前記可動パネル部の角度を調整する、
ことを特徴とする複合機
【請求項2】
請求項1に記載された複合機において、
前記顔位置情報取得部は、前記可動パネル部に設けられている、
ことを特徴とする複合機
【請求項3】
請求項2に記載された複合機において、
前記複合機を利用するユーザーを検知する人感センサーを備え、
前記制御部は、前記人感センサーがユーザーを検知した場合に、前記顔位置情報取得部をOFF状態からON状態に変える、
ことを特徴とする複合機
【請求項4】
請求項3に記載された複合機において、
前記制御部は、前記人感センサーがユーザーを検知した場合に、前記顔位置情報取得部が前記情報を取得可能な位置に移動するように前記可動パネル部を回動させる、
ことを特徴とする複合機
【請求項5】
請求項1からは請求項4のいずれか1項に記載された複合機において、
前記制御部は、前記パネル回動部を駆動させて前記可動パネル部の角度を自動で調整中に一定以上の負荷を検知した情報が送られた場合、前記パネル回動部の駆動を停止する、
ことを特徴とする複合機
【請求項6】
請求項1からは請求項4のいずれか1項に記載された複合機において、
前記制御部は、
前記可動パネル部の角度を自動で調整する自動調整モードと、
前記自動調整モードを使用しないで手動で前記可動パネル部の角度を調整する状態とする手動調整モードと、を選択可能である、
ことを特徴とする複合機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複合機の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、ユーザーが複合機の前に立つとタッチパネルの角度をユーザー毎に適した角度に自動で調整するパネル制御手段を備える複合機が開示されている。前記タッチパネルの所望の角度は、各ユーザーが携帯するメモリーカード等の個人情報が記録されているIDカードの情報を情報読取手段で読み取り、その読み取った情報に基づいて各ユーザーを特定することで決まる。前記パネル制御手段は、前記タッチパネルを前記特定されたユーザーに対応した角度に自動で調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の複合機は、ユーザーが前記IDカードを携帯していない場合、即ち忘れた場合は、複合機はユーザーを認識することができず、前記タッチパネルの角度を自動で調整することはできないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る複合機は、角度調整可能に設けられ各種操作を行うための可動パネル部を備える複合機であって、前記可動パネル部を回動させて角度を変えるパネル回動部と、ユーザーの顔の位置の情報を取得可能な顔位置情報取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記顔位置情報取得部の取得した情報に基づいて、前記パネル回動部を回動させて前記可動パネル部の角度を調整することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】同実施形態1の制御部の電気的構成を説明する構成図。
【
図4】同実施形態1の制御部の制御フローを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明に係る複合機の第1の態様は、角度調整可能に設けられ各種操作を行うための可動パネル部を備える複合機であって、前記可動パネル部を回動させて角度を変えるパネル回動部と、ユーザーの顔の位置の情報を取得可能な顔位置情報取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記顔位置情報取得部の取得した情報に基づいて、前記パネル回動部を回動させて前記可動パネル部の角度を調整することを特徴とする。
ここで、「ユーザーの顔の位置の情報を取得可能な顔位置情報取得部」とは、例えば、顔認証カメラや顔認識カメラ等が使えるが、この明細書では、例えばカメラで撮影して得られる画像からその画像内に人間の顔が在ることを判定でき、更に前記顔が前記カメラに対してどの方向に位置するかを特定できるものであればよい意味で使われている。尚、カメラに限らず、対象に接触することなく非接触で得られる情報から前記顔の有無と位置の情報を取得できるものも含まれる。
【0008】
本態様によれば、前記制御部は、前記顔位置情報取得部の取得した情報に基づいて、前記パネル回動部を駆動させて前記可動パネル部を回動させて角度を調整するように構成されている。これにより、ユーザーの顔の位置の情報だけで、従来のようにIDカードを必要とすることなく、前記可動パネル部の角度をそのユーザーに合うように調整することができる。また、従来のようにユーザーの個人情報を予め記憶部に記憶させておかなくても、複合機を使う人の前記顔の位置情報を取得することで、前記可動パネル部の角度をそのユーザーに合うように調整することができる。
また、可動パネル部を回動させるために手で触る必要がほとんどないので、衛生的である。
【0009】
本発明に係る複合機の第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記顔位置情報取得部は、前記可動パネル部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記顔位置情報取得部は、前記可動パネル部に設けられている。これにより、前記可動パネル部の角度を調整するために取得する前記顔の位置の情報を、前記可動パネル部とは別の場所に設けられている場合に比して、前記角度の調整の制御が簡単になる。また、大型化を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る複合機の第3の態様は、第2の態様に従属する態様であって、前記複合機を利用するユーザーを検知する人感センサーを備え、前記制御部は、前記人感センサーがユーザーを検知した場合に、前記顔位置情報取得部をOFF状態からON状態に変えることを特徴とする。尚、本態様は第1の態様にも従属させることができる。
【0012】
本態様によれば、前記制御部は、前記人感センサーがユーザーを検知した場合に、前記顔位置情報取得部をOFF状態からON状態に変える。これにより、前記可動パネル部を使わないときは、認証カメラ等の前記顔位置情報取得部をOFF状態にしておくことができるので、ON状態のままにしておく場合に比して節電になる。そして、ユーザーが前記可動パネル部を使うときは、前記人感センサーがユーザーの接近を検知して前記顔位置情報取得部をON状態に変えるので、前記可動パネル部はそのユーザーに合った角度に自動的に調整される。
【0013】
本発明に係る複合機の第4の態様は、第3の態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記人感センサーがユーザーを検知した場合に、前記顔位置情報取得部が前記情報を取得可能な位置に移動するように前記可動パネル部を回動させることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記制御部は、前記人感センサーがユーザーを検知した場合に、前記顔位置情報取得部が前記情報を取得可能な位置に移動するように前記可動パネル部を回動させる。これにより、前記顔位置情報取得部を使わないときは非露呈位置にしておき、不用意にユーザーが触らないようにしておくことができる。そして、ユーザーが前記複合機に近づいて来て前記人感センサーがその接近を検知すると、前記顔位置情報取得部が自動的に前記情報の取得を開始し、前記可動パネル部をそのユーザーに合った角度に自動的に調整することができる。
【0015】
本発明に係る複合機の第5の態様は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記パネル回動部を駆動させて前記可動パネル部の角度を自動で調整中に一定以上の負荷を検知した情報が送られた場合、前記パネル回動部の駆動を停止することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記可動パネル部の角度を自動で調整中に一定以上の負荷を検知した情報が送られた場合、前記パネル回動部の駆動を停止する。これにより、前記顔位置情報取得部が設けられている前記可動パネル部が故障する虞を低減することができる。
【0017】
本発明に係る複合機の第6の態様は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記可動パネル部の角度を自動で調整する自動調整モードと、前記自動調整モードを使用しないで手動で前記可動パネル部の角度を調整する状態とする手動調整モードと、を選択可能であることを特徴とする。尚、本態様は第5の態様にも従属させることができる。
【0018】
本態様によれば、前記制御部は、前記自動調整モードと前記手動調整モードとを選択可能である。これにより、ユーザーは適宜に使い分けることができる。
【0019】
[実施形態]
以下、本発明に係る複合機の実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0020】
[実施形態1]
本実施形態の複合機1は、複写機、イメージスキャナー、ファクシミリの機能を有する記録装置である。ここで、記録装置はインクジェットプリンターである。
図1に示したように、この複合機1は、記録装置2の上部に、複写機、イメージスキャナー、ファクシミリの機能を有する複合部3が配置されている。複合機1の前面には各種操作を行うためのタッチパネルである可動パネル部5が角度調整可能に設けられている。
図1において、符号4は排出受け部であり、排出受け部4には記録装置2で記録が行われた用紙等の媒体が排出される。
【0021】
図2に示したように、本実施形態では、可動パネル部5を回動させて角度を変えるパネル回動部6と、ユーザーUの顔Fの位置の情報を取得可能な顔位置情報取得部7と、制御部8とを備えている。制御部8は、顔位置情報取得部7の取得した顔Fの位置の情報に基づいて、パネル回動部6を回動させて可動パネル部5の角度を調整するように構成されている。
図2において、符号15は複合機1が置かれている床面を示す。
ここで、顔Fの位置の情報と可動パネル部5の角度の調整量、即ち可動パネル5の回動量の関係は、予めテーブル化されて、或いは関係式によって設定されている。
【0022】
<パネル回動部>
本実施形態では、
図2に示したように、パネル回動部6は、モーター61と、可動パネル部5を角度変更可能に保持するヒンジ部62と、モーター61の回転動力をヒンジ部62に伝える動力伝達機構部63を備えている。モーター61は、ピニオン10を介して動力伝達機構63の一端側と動力伝達可能に接続されている。また、ヒンジ部62には図示を省くギアが取り付けられている。このギアは動力伝達機構63の他端側と動力伝達可能に接続されている。
即ち、モーター61の回転がピニオン10から動力伝達機構63を介してヒンジ部62の前記ギアに伝わり、前記ギアが回転することで可動パネル部5が回動して角度を調整できるように構成されている。
【0023】
<顔位置情報取得部>
顔位置情報取得部7は、本実施形態では、顔認証カメラ71が使われている。顔認証カメラ71は、撮影可能領域R内に映った画像内に、人間であるユーザーUの顔Fが在るか否かを目と鼻と口の既存画像データを利用して判定する。更に顔Fが認証カメラ71に対してどの方向に位置するかを特定する。これにより、顔認証カメラ71は、ユーザーUの顔Fの位置の情報を取得することができる。ここでは、説明を解り易くするために、ユーザーUは、床面15に自分の足で立っている、或いは車イス等に座っているとして説明するが、それは必須の条件ではない。可動パネル部5を操作する際のユーザーUの顔Fの位置を特定できればよいものである。
尚、顔認証カメラ71は、その顔Fの人物特定を、予め登録されている人物と対比することで行う使われ方が通常であるが、本発明では、人物特定まで行う必要はなく、従って、人物を予め登録しておく必要はない。顔位置情報取得部7として、顔認証カメラと似ている顔認識カメラも使うことができる。この顔認識カメラを使う場合も顔Fの位置を取得する使われ方になる。
即ち、顔位置情報取得部7は、カメラで撮影して得られる画像からその画像内に人間の顔Fが在ることを判定でき、更に顔Fが前記カメラに対してどの方向に位置するかを特定できるものであればよい。また、カメラに限らず、対象に接触することなく非接触で得られる情報から顔Fの有無と位置の情報を取得できるものも、顔位置情報取得部7として採用することができる。
【0024】
また、
図2に示したように、本実施形態では、顔位置情報取得部7としての顔認証カメラ71は、可動パネル部5に設けられている。即ち、可動パネル部5が回動すると顔認証カメラ71の位置も可動パネル部5が回動した分だけ一体に移動するように取り付けられている。
更に、本実施形態では、顔認証カメル71で撮影した画像の中央に顔Fが来るように可動パネル部5を回動させ、その状態にすると可動パネル部5の角度がユーザーUの顔Fを正面に写す状態になるように構成されている。即ち、顔認証カメル71の画像の中央にユーザーUの顔Fが来るように可動パネル部5を回動させることで、可動パネル部5は、そのユーザーUに合った角度に調整された状態になるように構成されている。これにより、顔認証カメル71が可動パネル部5とは別の場所に設けられている場合に比して、前記角度の調整の制御が簡単になる。
尚、顔位置情報取得部7は可動パネル部5とは別の部位に設けられていてもよい。また、顔認証カメル71で撮影した画像内で顔Fの位置を特定した段階の情報に基づいて、可動パネル部5の角度がユーザーUの顔Fを正面に写す状態になるように調整する構成としてもよい。
【0025】
<人感センサー>
また、
図2に示したように、本実施形態では、複合機1は、複合機1を利用するユーザーUを検知する人感センサー9を前面部に備えている。この人感センサー9は、赤外線によってユーザーUの接近を感知できる一般的なものである。
制御部8は、人感センサー9がユーザーUの接近を検知した場合に、顔位置情報取得部7である顔認証カメラ71をOFF状態からON状態に変えるように構成されている。即ち、本実施形態では、ユーザーUが複合機1に接近しない状態では、顔認証カメラ71は、使われないのでOFF状態になるように設定されている。そして、制御部8は、ユーザーUが複合機1に接近すると顔認証カメラ71をON状態に変えて、ユーザーUの顔Fの位置情報を取得できる状態にする。
尚、人感センサー9は設けなくてもよい。その場合は、顔認証カメラ71はON状態にしておくことになる。
【0026】
また、本実施形態では、制御部8は、人感センサー9がユーザーUを検知した場合に、顔位置情報取得部7としての顔認証カメラ71がユーザーUの顔Fの位置情報を取得可能な位置に移動するように構成されている。ここでは、顔認証カメラ71は、可動パネル部5に以下のように設けられている。顔認証カメラ71は、撮影する際すなわち撮影時の「出位置」と非撮影時の「没位置」とを切り替えて位置させることができるように出没可能に構成されている。前記没状態では、他の物やユーザーUが不用意に触れる虞がないので損傷の虞が少ない。
尚、前記「出」と「没」の切り替え構造に代えて、可動パネル部5の回動範囲を、顔認証カメラ71がユーザーUの顔Fの位置情報を取得できない保管位置にまで移動することができるように構成してもよい。
尚、顔認証カメラ71はユーザーUの顔Fの位置情報を常時取得可能な位置に保持するようにしてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、制御部8は、パネル回動部6を駆動させて可動パネル部5の角度を自動で調整中に一定以上の負荷を検知した情報が送られた場合、パネル回動部5の駆動を停止するように構成されている。ここでは、前記「一定以上の負荷」の検知は、モーター61の電流の変化をセンシングすることにより行われる。
尚、制御部8からの制御信号により可動パネル部5が回動状態であるべきにも関わらず、実際には回動していない状態になると、認証カメラ71が撮影する画像も変化しない状態になる。この画像が変化しない状態の情報を前記「一定以上の負荷」の検知として利用してもよい。
【0028】
<制御部の電気的構成>
次に、
図3に基いて、本実施形態の複合機1における制御部8の電気的な構成について説明する。制御部8は、複合機1の全体の制御を司るCPU81が設けられている。CPU81は、システムバス82を介してCPU81が実行する各種制御プログラムやメンテナンスシーケンス等を格納したROM83、データを一時的に格納可能なRAM84と接続されている。
また、CPU81は、システムバス82を介してモーター駆動部85と接続されている。モーター駆動部85は、可動パネル部5を回動させるためのモーター61と接続されている。更に、CPU81は、システムバス82を介して入出力部86と接続されている。入出力部86は、顔位置情報取得部7及び人感センサー9とそれぞれ接続されている。入出力部86は、図示を省くパーソナルコンピューターとの接続も可能に構成され、複合機1に各種データを外部から入力できるように構成されている。
尚、複合機1の制御部8は、記録装置2等の他の構成要素の駆動を制御するための例えばヘッド駆動部等を備えているが、図面の複雑化を避けるためにそれらについては全て図示が省かれている。
【0029】
<実施形態1の制御部による制御フロー>
図4のフローチャートに基づいて、複合機1にユーザーUが接近した場合の制御部の制御の流れを説明する。
ユーザーUが複合機1に接近すると、ステップS1で人感センサー9がその接近を検知してステップS2に進む。ステップS2では、顔位置情報取得部7である認証カメラ71がON状態であるか否かが判定される。その判定がYesの場合は認証カメラ71の電源がON状態になっていて撮影可能であるのでステップS3に進む。ステップS3では、顔認証カメラ71がユーザーUの顔Fの位置の情報を取得可能な位置にあるか否かが判定される。Yesの場合はステップS4に進む。ステップS4では、顔認証カメラ71がユーザーUを撮影し、その顔Fの位置の情報を取得する。ここで、ユーザーUが可動パネル部5を操作する人であれば、顔Fの位置は可動パネル部5を見た位置で一定時間略変動しなくなるので、その状態の画像で顔Fの位置の情報を取得することが好ましい。そして、ステップS5に進み、可動パネル部5の角度をそのユーザーUの顔Fの位置に合うように、即ちそのユーザーUが見易くなるように調整し、その角度で保持する。これにより、ユーザーUは可動パネル部5を略正面から見た状態で操作を行うことができる。
ステップS2でNoの場合はステップS6に進む。ステップS6で電源がOFF状態の認証カメラ71をON状態に変えて、ステップS3に進む。
ステップS3でNoの場合はステップS7に進む。ステップS7で顔認証カメラ71がユーザーUの顔Fの位置の情報を取得可能な位置に移動させ、ステップS4に進む。
【0030】
<背の高いユーザーと背の低いユーザーに対して>
図2に示したように、ユーザーUが背の高い人UHの場合は、認証カメラ71がその顔FHの位置を取得し、認証カメラ71の画像の中央に顔FHが来るように可動パネル部5を回動させる。これにより、
図2の破線で示した位置に可動パネル部5が回動し、その位置で保持され、ユーザーUHは可動パネル部5の略正面から操作をすることができる。
一方、ユーザーUが背の低い人ULの場合は、認証カメラ71がその顔FLの位置を取得し、認証カメラ71の画像の中央に顔FLが来るように可動パネル部5を回動させる。これにより、
図2の実線で示した位置に可動パネル部5が回動し、その位置で保持され、ユーザーULは可動パネル部5の略正面から操作をすることができる。
尚、背の高さがユーザーUHとユーザーULの間のユーザーである場合は、可動パネル部5の角度は、
図2において、前記実線の位置と破線の位置の間になる。
【0031】
<実施形態1の動作の説明>
(1)本実施形態では、制御部8は、顔位置情報取得部7の取得した情報に基づいて、パネル回動部6を駆動させて可動パネル部5を回動させて角度を調整するように構成されている。これにより、ユーザーUの顔Fの位置の情報だけで、従来のようにIDカードを必要とすることなく、可動パネル部5の角度をそのユーザーUに合うように調整することができる。また、従来のようにユーザーの個人情報を予め記憶部に記憶させておかなくても、複合機1を使う人の顔Fの位置情報を取得することで、可動パネル部5の角度をそのユーザーUに合うように調整することができる。また、可動パネル部5を回動させるために手で触る必要がほとんどないので、衛生的である。
【0032】
(2)また、本実施形態では、顔位置情報取得部7は、可動パネル部5に設けられている。これにより、可動パネル部5の角度を調整するために取得する顔Fの位置の情報を、可動パネル部5とは別の場所に設けられている場合に比して、前記角度の調整の制御が簡単になる。また、大型化を抑制することができる。
(3)また、本実施形態では、制御部8は、人感センサー9がユーザーUを検知した場合に、顔位置情報取得部7をOFF状態からON状態に変える。これにより、可動パネル部5を使わないときは、認証カメラ71等の顔位置情報取得部7をOFF状態にしておくことができるので、ON状態のままにしておく場合に比して節電になる。そして、ユーザーUが可動パネル部5を使うときは、人感センサー9がユーザーUの接近を検知して顔位置情報取得部7をON状態に変えるので、可動パネル部5はそのユーザーUに合った角度に自動的に調整される。
【0033】
(4)また、本実施形態では、制御部8は、人感センサー9がユーザーUを検知した場合に、顔位置情報取得部7が前記情報を取得可能な位置に移動するように可動パネル部5を回動させる。これにより、顔位置情報取得部7を使わないときは非露呈位置にしておき、不用意にユーザーUが触らないようにしておくことができる。そして、ユーザーUが複合機1に近づいて来て人感センサー9がその接近を検知すると、顔位置情報取得部7が前記情報を取得可能な位置に移動させて、顔位置情報取得部7が自動的に前記情報の取得を開始し、可動パネル部5をそのユーザーUに合った角度に自動的に調整することができる。
(5)また、本実施形態では、可動パネル部5の角度を自動で調整中に一定以上の負荷を検知した情報が送られた場合、パネル回動部6の駆動を停止する。これにより、顔位置情報取得部7が設けられている可動パネル部5が故障する虞を低減することができる。
【0034】
〔他の実施形態〕
本発明に係る複合機1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
上記実施形態では複合機1の記録装置2としてインクジェットプリンターについて説明したが、このプリンター以外のものでもよい。
また、上記実施形態では、可動パネル部5は、ヒンジ部62を上端部に持ち、このヒンジ部62を回動支点として上下方向に回動する構造を説明したが、ヒンジ部62を下端部に配置してもよい。また、ヒンジ部62を横に配置して水平方向に回動する構造にしてもよい。
【0035】
上記実施形態では、制御部8は、可動パネル部5の角度を自動で調整する自動調整モードだけを備える場合を説明したが、前記自動調整モードを使用しないで手動で可動パネル部5の角度を調整する状態とする手動調整モードを備え、両者の各モードをユーザーが選択可能に構成してもよい。これにより、ユーザーUは適宜に使い分けることができる。
【0036】
上記実施形態で説明したように、制御部8が可動パネル部5の角度を自動で調整してくれるが、その調整された角度が、そのユーザーにとって使い難い場合があり得る。そこで、角度再セット部を更に設けておき、ユーザーUがその角度再セット部を操作することで、顔位置情報取得部7がそのユーザーUの顔Fの位置の情報を再度取得して、改めて前記角度の調整を行えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…複合機、2…記録装置、3…複合部、4…排出受け部、5…可動パネル部、
6…パネル回動部、7…顔位置情報取得部、8…制御部、9…人感センサー、
15…床面、61…モーター、62…ヒンジ部、63…動力伝達機構部、
71…顔認証カメラ、81…CPU、82…システムバ、83…ROM、
84…RAM、85…モーター駆動部、F…顔、FH…顔、FL…顔、
U…ユーザー、UH…背の高い人、UL…背の低い人