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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131438
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240920BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/34
A61K8/44
A61Q19/02
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041696
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健志
(72)【発明者】
【氏名】森山 昌明
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC532
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD641
4C083AD642
4C083CC03
4C083CC04
4C083CC05
4C083EE01
4C083EE12
4C083EE16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アスコルビン酸を配合しながらも、安定性に優れた皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】(A)アスコルビン酸、(B)2価のアルコール、(C)3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、(D)グリコールエーテル、及び(E)水を含有する皮膚外用剤である。好ましくは、(B)が炭素数5以上の2価のアルコールを含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスコルビン酸、(B)2価のアルコール、(C)3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、(D)グリコールエーテル、及び(E)水を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
(B)が炭素数5以上の2価のアルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
(A)の含有量が15質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
(B)の含有量が20質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンの一種であるアスコルビン酸は古くから化粧品等で使用されている。例えば、アスコルビン酸にはメラニン生成抑制効果があること(特許文献1)、コラーゲン合成促進に関与すること(特許文献2)が知られており、美白やシミ・シワの改善等の効果を目的として用いられている。しかし、アスコルビン酸は不安定なため、化粧品等への配合には課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01-199916号公報
【特許文献2】特開平04-346936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは、アスコルビン酸を含有し、安定性に優れた皮膚外用剤の提供を課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果、本発明者らは、アスコルビン酸と共に2価の2価のアルコール、3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、グリコールエーテル、及び水を含有する皮膚外用剤とすることで、アスコルビン酸の安定性に優れた皮膚外用剤の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>(A)アスコルビン酸、(B)2価の2価のアルコール、(C)3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、(D)グリコールエーテル、及び(E)水を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
<2>(B)が炭素数5以上の2価の2価のアルコールを含有することを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<3>(B)が炭素数5以上8以下の2価の2価のアルコールを含有することを特徴とする<2>に記載の皮膚外用剤。
<4>(A)の含有量が15質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<5>(B)の含有量が20質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<6>(C)の含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<7>(D)の含有量が5質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<8>(E)の含有量が45質量%以下であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<9>さらに、(F)エタノールを含有することを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アスコルビン酸と共に2価の2価のアルコール、3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、グリコールエーテル、及び水を含有することにより、アスコルビン酸の変色や析出を抑制することができるため、安定性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の皮膚外用剤ついて詳細を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0009】
<(A)アスコルビン酸>
本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸を含有することを特徴とする。アスコルビン酸はラクトン構造を持つ有機化合物である。本発明において、アスコルビン酸は、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、天然物から抽出したもの、公知の方法によって合成したものなど、市販品を使用することもできる。
【0010】
本発明の皮膚外用剤におけるアスコルビン酸の含有量は特に制限はなく、例えば5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、アスコルビン酸の有効性を享受できる観点から、特に好ましくは15質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは30質量%以下である。本発明の皮膚外用剤におけるアスコルビン酸の含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィーにより分析することができる。
【0011】
<(B)2価の2価のアルコール>
本発明の皮膚外用剤は、2価のアルコールを含有することを特徴とする。2価のアルコールとは、炭素数2以上の脂肪族炭化水素、または、環式脂肪族炭化水素のうち、異なる2つの炭素原子に結合する2つの水素がそれぞれヒドロキシ基に置換した構造を持つ化合物、又はそれらの脱水縮合物であり、グリコール又はジオールとも呼ばれる。
【0012】
本発明で用いられる2価のアルコールとしては特に制限はなく、例えば炭素数2以上の2価のアルコールを1種以上使用することが好ましく、炭素数3以上の2価のアルコールを1種以上使用することがより好ましく、炭素数4以上の2価のアルコールを1種以上使用することが特に好ましく、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、炭素数5以上の2価のアルコールを1種以上使用することがとりわけ好ましい。また、炭素数10以下の2価のアルコールを1種以上使用することが好ましく、炭素数8以下の2価のアルコールを1種以上使用することがより好ましく、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、炭素数6以下の2価のアルコールを1種以上使用することがより好ましい。本発明においては2価のアルコールを1種以上用いればよく、2種以上用いても良いが、2種以上使用する場合は炭素数5以上の2価のアルコールを1種以上用いることが好ましく、炭素数4の2価アルコールと炭素数5の2価アルコールを組み合わせて用いることがより好ましい。
【0013】
本発明で用いられる2価のアルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール(テトラメチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソペンチルジオール)、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-へプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、カプリリルグリコール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオールが挙げられ、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール(テトラメチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソペンチルジオール)、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-へプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、カプリリルグリコールが好ましく、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソペンチルジオール)、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。本発明において、2価のアルコールは、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、公知の方法によって合成したものを使用することができる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤における2価のアルコールの含有量は特に制限はなく、例えば10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは20質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは40質量%以下である。なお、2価のアルコールを2種以上使用する場合はその総量である。
【0015】
<(C)3-O-エチルアスコルビン酸、ベタイン>
本発明の皮膚外用剤は、3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上を含有することを特徴とする。
【0016】
(C-1)3-O-エチルアスコルビン酸
3-O-エチルアスコルビン酸とは、アスコルビン酸の3位にエチル基が結合したアスコルビン酸の誘導体である。本発明において、3-O-エチルアスコルビン酸は、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、公知の方法によって合成したものを使用することができる。
【0017】
(C-2)ベタイン
ベタインとは、アミノ酸の一種であり、アミノ基に3個のアルキル基が付加し、分子内に正電荷、負電荷の両方を有し、分子全体としては電荷を持たない双性イオン(分子内塩)である。本発明で用いられるベタインとしては界面活性剤としての機能を有さないものであれば特に制限はなく、例えば、トリメチルグリシン、カルニチン、プリリンベタイン等の低分子ベタインが好ましく、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、トリメチルグリシンが特に好ましい。本発明において、ベタインは、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、公知の方法によって合成したものを使用することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤における3-O-エチルアスコルビン酸及び/又はベタインの含有量は特に制限はなく、例えば0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは0.1質量%以上である。また、20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは5質量%以下である。なお、3-O-エチルアスコルビン酸とベタインを2種以上使用する場合はその総量である。
【0019】
<(D)グリコールエーテル>
本発明の皮膚外用剤は、グリコールエーテルを含有することを特徴とする。グリコールエーテルとは、2価のアルコール(グリコール)のヒドロキシ基のうち、1つ又は2つがエーテル化した化合物である。本発明で用いられるグリコールエーテルとしては特に制限はなく、2価のアルコールのヒドロキシ基のうち1つがエーテル化した化合物が好ましく、エチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールモノエーテル、ジプロピレングリコールモノエーテルが特に好ましい。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられ、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルが好ましい。本発明において、グリコールエーテルは、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、公知の方法によって合成したものを使用することができる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤におけるグリコールエーテルの含有量は特に制限はなく、例えば0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは5質量%以上である。また、25質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは15質量%以下である。
【0021】
<(E)水>
本発明の皮膚外用剤は、水を含有することを特徴とする。本発明において、水は、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水を使用することができる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤における水の含有量は特に制限はなく、例えば0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは3質量%以上である。また、55質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは45質量%以下である。
【0023】
<(F)エタノール>
本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸、2価のアルコール、3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、グリコールエーテル、及び水に加えて、エタノールを配合することができる。エタノールを配合することにより、安定性の向上のみでなく、使用感に優れた皮膚外用剤を得ることが可能となる。
【0024】
本発明の皮膚外用剤におけるエタノールの含有量は特に制限はなく、配合する場合、例えば0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上であり、安定性に優れ、使用感が良好な皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは0.1質量%以上である。また、25質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、安定性に優れ、使用感が良好な皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは15質量%以下である。
【0025】
<その他成分>
本発明の皮膚外用剤には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、増粘剤、ゲル化剤、保湿剤、分散剤、可塑剤、展着剤、防腐剤、香料、界面活性剤、皮膜形成剤、pH調整剤、消臭剤、キレート剤、酸化防止剤、抗菌剤、防菌防かび剤、抗炎症剤、美白剤等の有効成分、動物エキス、植物エキスなどの美容成分や薬効成分等、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上が挙げられる。
【0026】
<皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に塗布し、使用する組成物である。本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸、2価のアルコール、3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、グリコールエーテル、及び水を含有することにより、保存時の変色や析出が抑制されるため安定性に優れるのみならず、使用時のべたつきも抑制されているため、使用感にも優れるものである。
【0027】
本発明の皮膚外用剤は粘度が低いものが好ましく、好ましくは3,000mPa・s以下であり、より好ましくは、2,000mPa・s以下であり、安定性に優れる観点から、特に好ましくは1,000mPa・s以下である。本発明の皮膚外用剤の粘度は、例えばB型粘度計(Brookfield回転粘度計、温度:25℃、回転数:5rpm)で測定することができる。
【0028】
また、本発明の皮膚外用剤のpHは6以下が好ましく、5以下がより好ましく、安定性に優れる観点から、pHは4以下が特に好ましい。本発明の皮膚外用剤のpHは、例えばpH計を用いてガラス電極法にて測定することができる。
【0029】
本発明の皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品に用いることができ、例えば化粧水、乳液、クリーム、美容液などのスキンケア化粧料に用いることができる。これらのなかでも、本発明の皮膚外用剤は化粧水、美容液が好ましい。
【0030】
本発明の皮膚外用剤は、通常の方法に従って製造することができる。例えば、全ての成分を加温して均一に溶解させ、冷却する事で本発明の皮膚外用剤を得ることができる。
【実施例0031】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。なお、実施例で使用する各成分の量は特に断りが無い限り、質量%である。
【0032】
<皮膚外用剤の調製>
表1に記載された皮膚外用剤(実施例1~4、比較例1~4)を下記の方法で調製した。具体的には、表1に記載の成分を均一に溶解し、皮膚外用剤を得た。
【0033】
<皮膚外用剤の物性測定>
(1)pH測定
得られた皮膚外用剤のpHを、pH計(堀場製作所社製 卓上型)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0034】
(2)粘度測定
得られた皮膚外用剤の粘度を、B型粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0035】
<皮膚外用剤の評価>
(1)安定性の評価1(加熱試験による変色の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、変色の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、40℃のオーブンで1ヶ月間加熱保管した。保管後、得られたサンプルを水を用いて10%に希釈し、吸光光度計(島津製作所社製)を用いて測定波長400nmにおける吸光度を測定した。結果を表1に示す。
(評価基準)
8以上:変色あり
5以上8未満:わずかな変色あり
5未満:変色なし(目視で変色を確認できない)
【0036】
(2)安定性の評価2(サイクル試験による析出の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、保管時の析出の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、-10℃で8時間保管、10℃で8時間保管を交互に繰り返す環境下で合計7日間保管した。保管後、得られたサンプルについて下記の評価基準で析出状態を確認した。結果を表1に示す。
(評価基準)
○:7日間保管後の析出が全く見られない状態
△:7日間保管後の析出がわずかに確認できる状態
×:7日間保管後の析出が大量に確認できる状態
【0037】
安定性評価1,2で得られた結果に基づき、下記基準にて総合評価を行った。
(評価基準)
◎:安定性が非常に優れている
○:安定性が良く、使用は問題ない
△:安定性に懸念がある
×:安定性が非常に悪い
【0038】
(3)使用感の評価
得られた皮膚外用剤について、使用感の評価を行った。具体的には、被験者5名(平均年齢30.3歳)の前腕部内側を洗顔料にて洗浄後、0.2mLを約5×5cmの範囲に塗布し、べたつきを[1(塗布時のべたつきがひどく、使用できない)~3(塗布時に若干べたつきがあるが、使用には問題ない)~5(塗布時のべたつきがない)]の5段階で評価したところ、全ての実施例で3以上の評価結果であり、使用感に優れるものであった。
【0039】
【表1】
【0040】
表1に記載されるとおり、本発明の組成物である実施例1~4は粘度が200mPa・s以下と低い値を示し、pHは3.1~3.4であった。表1から明らかなとおり、比較例1,3,4は加熱後の吸光度が9以上と高く、加熱後に変色が発生し、安定性が悪いものであった。一方、本発明の組成物である実施例1~4は加熱後の吸光度は7以下と低く、加熱後の安定性に優れるものであった。特に、炭素数5の2価のアルコールを使用した実施例1~3は加熱後の吸光度が3以下であり、比較例のみでなく、実施例4に比べてもさらに加熱安定性に優れるものであった。また、比較例1~4はサイクル試験により析出が確認された。一方、本発明の組成物である実施例1~4はサイクル試験を実施しても析出は確認されなかった。
【0041】
また、使用感について評価したところ、本発明の組成物である実施例1~4は使用感にも優れたものであった。
【0042】
<皮膚外用剤の調製>
表2に記載された皮膚外用剤(実施例5~7)を下記の方法で調製した。具体的には、表1に記載の成分を均一に溶解し、皮膚外用剤を得た。
【0043】
<皮膚外用剤の物性測定>
(1)pH測定
得られた皮膚外用剤のpHを、pH計(堀場製作所社製 卓上型)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0044】
(2)粘度測定
得られた皮膚外用剤の粘度を、B型粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0045】
<皮膚外用剤の評価>
(1)安定性の評価1(加熱試験による変色の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、変色の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、50℃のオーブンで7日間加熱保管した。保管後、得られたサンプルを水を用いて10%に希釈し、吸光光度計(島津製作所社製)を用いて測定波長400nmにおける吸光度を測定した。結果を表1に示す。
(評価基準)
8以上:変色あり
5以上8未満:わずかな変色あり
5未満:変色なし(目視で変色を確認できない)
【0046】
(2)安定性の評価2(サイクル試験による析出の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、保管時の析出の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、-10℃で8時間保管、10℃で8時間保管を交互に繰り返す環境下で合計7日間保管した。保管後、得られたサンプルについて下記の評価基準で析出状態を確認した。結果を表1に示す。
(評価基準)
○:7日間保管後の析出が全く見られない状態
△:7日間保管後の析出がわずかに確認できる状態
×:7日間保管後の析出が大量に確認できる状態
【0047】
安定性評価1,2で得られた結果に基づき、下記基準にて総合評価を行った。
(評価基準)
◎:安定性が非常に優れている
○:安定性が良く、使用は問題ない
△:安定性に懸念がある
×:安定性が非常に悪い
【0048】
(3)使用感の評価
得られた皮膚外用剤について、使用感の評価を行った。具体的には、被験者5名(平均年齢30.3歳)の前腕部内側を洗顔料にて洗浄後、0.2mLを約5×5cmの範囲に塗布し、べたつきを[1(塗布時のべたつきがひどく、使用できない)~3(塗布時に若干べたつきがあるが、使用には問題ない)~5(塗布時のべたつきがない)]の5段階で評価したところ、全ての実施例で3以上であった。また、エタノールを配合した実施例5,7は評価結果が4以上であった。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に記載されるとおり、本発明の組成物である実施例5~7は粘度が200mPa・s以下と低い値を示し、pHは2.9~3.1であった。表2から明らかなとおり、本発明の組成物である実施例5~7は加熱後の吸光度は4以下と極めて低く、加熱後の安定性に優れるものであった。また、本発明の組成物である実施例5~7はサイクル試験を実施しても析出は確認されなかった。
【0051】
また、使用感について評価したところ、本発明の組成物である実施例5~7は使用感にも優れたものであった。特に、エタノールを配合した実施例5,7は塗布時のべたつきがほとんどなく、より使用感に優れるものであった。
【0052】
以上の結果より、本発明の皮膚外用剤は、加熱による変色、低温保管による析出が発生しないため、安定性に優れたものであり、さらに、安定性のみならず使用感にも優れた皮膚外用剤であることは明らかである。
【0053】
<皮膚外用剤の調製>
表3に記載された皮膚外用剤(製造例1~13)を下記の方法で調製した。得られた皮膚外用剤は、いずれも粘度が1,000mPa・s以下、pHが4以下であり、加熱による変色、低温保存による析出が抑えられており、安定性に優れるものであり、塗布時のべたつきもないため使用感にも優れるものである。
【0054】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸、2価のアルコール、3-O-エチルアスコルビン酸及びベタインから選ばれる1種以上、グリコールエーテル、及び水を含有することにより、安定性及び使用感に優れた皮膚外用剤を提供することができ、産業上の利用の可能性が高いものである。