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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131439
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240920BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/40
A61K8/34
A61Q19/02
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041697
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健志
(72)【発明者】
【氏名】森山 昌明
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC511
4C083AC512
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD641
4C083AD642
4C083CC03
4C083CC04
4C083CC05
4C083EE01
4C083EE12
4C083EE16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アスコルビン酸を配合しながらも、安定性に優れた皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】(A)アスコルビン酸、(B)メチルピロリドン、及び、(C)多価アルコールを含有し水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする皮膚外用剤である。好ましくは、(C)が炭素数2~6であり、かつ、ヒドロキシ基の数が2~4である多価アルコールを少なくとも1種以上含有する皮膚外用剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスコルビン酸、(B)メチルピロリドン、及び、(C)多価アルコールを含有し水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
(C)が炭素数2~6であり、かつ、ヒドロキシ基の数が2~4である多価アルコールを少なくとも1種以上含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
(B)の含有量が35質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンの一種であるアスコルビン酸は古くから化粧品等で使用されている。例えば、アスコルビン酸にはメラニン生成抑制効果があること(特許文献1)、コラーゲン合成促進に関与すること(特許文献2)が知られており、美白やシミ・シワの改善等の効果を目的として用いられている。しかし、アスコルビン酸は不安定なため、化粧品等への配合には課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01-199916号公報
【特許文献2】特開平04-346936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは、アスコルビン酸を含有し、安定性に優れた皮膚外用剤の提供を課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果、本発明者らは、アスコルビン酸と共にメチルピロリドン、及び多価アルコールを含有し、水の量を10質量%以下の皮膚外用剤とすることで、アスコルビン酸の安定性に優れた皮膚外用剤の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>(A)アスコルビン酸、(B)メチルピロリドン、及び、(C)多価アルコールを含有し水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする皮膚外用剤。
<2>(C)が炭素数2~6であり、かつ、ヒドロキシ基の数が2~4である多価アルコールを少なくとも1種以上含有することを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<3>(A)の含有量が15質量%以上であることを特徴とする<1>記載の皮膚外用剤。
<4>(B)の含有量が35質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<5>(C)の含有量が3質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の皮膚外用剤。
<6>水を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アスコルビン酸と共にメチルピロリドン、及び、多価アルコールを含有することにより、アスコルビン酸の変色や析出を抑制することができるため、安定性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の皮膚外用剤ついて詳細を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0009】
<(A)アスコルビン酸>
本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸を含有することを特徴とする。アスコルビン酸はラクトン構造を持つ有機化合物である。本発明において、アスコルビン酸は、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、天然物から抽出したもの、公知の方法によって合成したものなど、市販品を使用することもできる。
【0010】
本発明の皮膚外用剤におけるアスコルビン酸の含有量は特に制限はなく、例えば5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、アスコルビン酸の有効性を享受できる観点から、特に好ましくは15質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは40質量%以下である。本発明の皮膚外用剤におけるアスコルビン酸の含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィーにより分析することができる。
【0011】
<(B)メチルピロリドン>
本発明の皮膚外用剤は、メチルピロリドンを含有することを特徴とする。メチルピロリドンとは、ラクタム構造を含む五員環の構造を有する有機化合物である。本発明において、メチルピロリドンは、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、公知の方法によって合成したものを使用することができる。
【0012】
本発明の皮膚外用剤におけるメチルピロリドンの含有量は特に制限はなく、例えば5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは15質量%以上である。また、70質量%以下が好ましく、より好ましくは65質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは60質量%以下である。また、アスコルビン酸1質量部に対して0.1~20質量部であることが好ましく、0.5~10質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることが特に好ましい。
【0013】
<(C)多価アルコール>
本発明の皮膚外用剤は、多価アルコールを含有することを特徴とする。多価アルコールとは、炭素数2以上の脂肪族炭化水素、または、環式脂肪族炭化水素のうち、異なる炭素原子に結合する2以上の水素がそれぞれヒドロキシ基に置換した構造を持つ化合物、又はそれらの脱水縮合物である。
【0014】
本発明で用いられる多価アルコールとしては特に制限はなく、例えば炭素数2以上の多価アルコールを1種以上使用することが好ましく、炭素数2~8の多価アルコールを1種以上使用することがより好ましく、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、炭素数2~6の多価アルコールを1種以上使用することが特に好ましい。
【0015】
また、本発明で用いられる多価アルコールのヒドロキシ基の数(価数)は特に制限はないが、2~6が好ましく、2~5がより好ましく、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、2~4が特に好ましい。
【0016】
本発明で用いられる多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール(テトラメチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソペンチルジオール)、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-へプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、カプリリルグリコール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール等の2価アルコール;グリセリン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール等の3価アルコール;1,2,3,4-ペンタテトロール、2,3,4,5-ヘキサテトロール、1,2,4,5-ペンタンテトロール、1,3,4,5-ヘキサンテトロール、ジグリセリン等の4価アルコール;エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イノシトール等の糖アルコール;ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の2~4価アルコールの重合物が挙げられ、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール(テトラメチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソペンチルジオール)、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、ジグリセリンが好ましく、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール(テトラメチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソペンチルジオール)、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリンがより好ましい。本発明において、二価のアルコールは、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、公知の方法によって合成したものを使用することができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤における多価アルコールの含有量は特に制限はなく、例えば1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは5質量%以上であり、とりわけ10質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは40質量%以下である。なお、多価アルコールを2種以上使用する場合はその総量である。
【0018】
<水>
本発明の皮膚外用剤は、水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする。水が10質量%以上となると、析出や変色といった安定性の低下が発生する。本発明の皮膚外用剤における水の含有量は10質量%以下であればよく、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、安定性が高い皮膚外用剤が得られる観点から、水を実質的に含有しないものであることが特に好ましい。なお、実質的に含有しないとは、積極的に配合しないことをいい、例えば使用原料に含まれ、除くことができない水分のように不可避的に存在する場合を除くものとする。本発明において水を使用する場合は、通常化粧品や医薬部外品等で使用されているものを用いることができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水を使用することができる。
【0019】
<エタノール>
本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸、メチルピロリドン、及び多価アルコールに加えて、エタノールを配合することができる。エタノールを配合することにより、安定性の向上のみでなく、使用感に優れた皮膚外用剤を得ることが可能となる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤におけるエタノールの含有量は特に制限はなく、配合する場合、例えば0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上であり、安定性に優れ、使用感が良好な皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは0.1質量%以上である。また、25質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、安定性に優れ、使用感が良好な皮膚外用剤が得られる観点から、特に好ましくは15質量%以下である。
【0021】
<その他成分>
本発明の皮膚外用剤には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、増粘剤、ゲル化剤、保湿剤、分散剤、可塑剤、展着剤、防腐剤、香料、界面活性剤、皮膜形成剤、pH調整剤、消臭剤、キレート剤、酸化防止剤、抗菌剤、防菌防かび剤、抗炎症剤、美白剤等の有効成分、動物エキス、植物エキスなどの美容成分や薬効成分等、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上が挙げられる。
【0022】
<皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に塗布し、使用する組成物である。本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸、メチルピロリドン、及び多価アルコールを含有し、水を10質量%以下とすることにより、保存時の変色や析出が抑制されるため安定性に優れるのみならず、使用時のべたつきも抑制されているため、使用感にも優れるものである。
【0023】
本発明の皮膚外用剤は粘度が低いものが好ましく、好ましくは3,000mPa・s以下であり、より好ましくは、2,000mPa・s以下であり、安定性に優れる観点から、特に好ましくは1,000mPa・s以下である。本発明の皮膚外用剤の粘度は、例えばB型粘度計(Brookfield回転粘度計、温度:25℃、回転数:5rpm)で測定することができる。
【0024】
また、本発明の皮膚外用剤のpHは6以下が好ましく、5以下がより好ましく、安定性に優れる観点から、pHは4以下が特に好ましい。本発明の皮膚外用剤のpHは、例えばpH計を用いてガラス電極法にて測定することができる。
【0025】
本発明の皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品に用いることができ、例えば化粧水、乳液、クリーム、美容液などのスキンケア化粧料に用いることができる。これらのなかでも、本発明の皮膚外用剤は化粧水、美容液が好ましい。
【0026】
本発明の皮膚外用剤は、通常の方法に従って製造することができる。例えば、全ての成分を加温して均一に溶解させ、室温まで冷却する事で本発明の皮膚外用剤を得ることができる。
【実施例0027】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。なお、実施例で使用する各成分の量は特に断りが無い限り、質量%である。
【0028】
<皮膚外用剤の調製>
表1に記載された皮膚外用剤(実施例1~3、比較例1~3)を下記の方法で調製した。具体的には、表1に記載の成分を均一に溶解し、皮膚外用剤を得た。
【0029】
<皮膚外用剤の物性測定>
(1)pH測定
得られた皮膚外用剤のpHを、pH計(堀場製作所社製 卓上型)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0030】
(2)粘度測定
得られた皮膚外用剤の粘度を、B型粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0031】
<皮膚外用剤の評価>
(1)安定性の評価1(加熱試験による変色の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、変色の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、40℃のオーブンで1ヶ月間加熱保管した。保管後、得られたサンプルを水を用いて10%に希釈し、吸光光度計(島津製作所社製)を用いて測定波長400nmにおける吸光度を測定した。結果を表1に示す。
(評価基準)
8以上:変色あり
5以上8未満:わずかな変色あり
5未満:変色なし(目視で変色を確認できない)
【0032】
(2)安定性の評価2(サイクル試験による析出の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、保管時の析出の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、-10℃で8時間保管、10℃で8時間保管を交互に繰り返す環境下で合計7日間保管した。保管後、得られたサンプルについて下記の評価基準で析出状態を確認した。結果を表1に示す。
(評価基準)
○:7日間保管後の析出が全く見られない状態
△:7日間保管後の析出がわずかに確認できる状態
×:7日間保管後の析出が大量に確認できる状態
【0033】
(3)使用感の評価
得られた皮膚外用剤について、使用感の評価を行った。具体的には、被験者5名(平均年齢30.3歳)の前腕部内側を洗顔料にて洗浄後、0.2mLを約5×5cmの範囲に塗布し、べたつきを評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
○:塗布時のべたつきがない
△:塗布時のべたつきが少しある
×:塗布時のべたつきがある
【0034】
【表1】
【0035】
表1に記載されるとおり、本発明の組成物である実施例1~3は粘度が760mPa・s以下と低い値を示し、pHは3.2~3.4であった。表1から明らかなとおり、比較例2,3は加熱後の吸光度が6以上と高く、加熱後に変色が発生した。一方、本発明の組成物である実施例1~3は加熱後の吸光度は1以下と非常に低く、加熱後の安定性に優れるものであった。また、比較例2,3はサイクル試験により析出が確認された。一方、本発明の組成物である実施例1~3はサイクル試験を実施しても析出は確認されなかった。
【0036】
また、使用感について評価したところ、比較例1は塗布時のべたつきを感じるものであった。一方、本発明の組成物である実施例1~3は塗布時のべたつきがなく、使用感にも優れたものであった。
【0037】
<皮膚外用剤の調製>
表2に記載された皮膚外用剤(実施例4~7)を下記の方法で調製した。具体的には、表2に記載の成分を均一に溶解し、皮膚外用剤を得た。
【0038】
<皮膚外用剤の物性測定>
(1)pH測定
得られた皮膚外用剤のpHを、pH計(堀場製作所社製 卓上型)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0039】
(2)粘度測定
得られた皮膚外用剤の粘度を、B型粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0040】
<皮膚外用剤の評価>
(1)安定性の評価1(加熱試験による変色の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、変色の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、50℃のオーブンで7日間加熱保管した。保管後、得られたサンプルを水を用いて10%に希釈し、吸光光度計(島津製作所社製)を用いて測定波長400nmにおける吸光度を測定した。結果を表2に示す。
(評価基準)
8以上:変色あり
5以上8未満:わずかな変色あり
5未満:変色なし(目視で変色を確認できない)
【0041】
(2)安定性の評価2(サイクル試験による析出の有無)
得られた皮膚外用剤の安定性について、保管時の析出の有無を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各サンプル10gを30mLのガラス容器に量り取り、-10℃で8時間保管、10℃で8時間保管を交互に繰り返す環境下で合計7日間保管した。保管後、得られたサンプルについて下記の評価基準で析出状態を確認した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:7日間保管後の析出が全く見られない状態
△:7日間保管後の析出がわずかに確認できる状態
×:7日間保管後の析出が大量に確認できる状態
【0042】
(3)使用感の評価
得られた皮膚外用剤について、使用感の評価を行った。具体的には、被験者5名(平均年齢30.3歳)の前腕部内側を洗顔料にて洗浄後、0.2mLを約5×5cmの範囲に塗布し、べたつきを評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:塗布時のべたつきがない
△:塗布時のべたつきが少しある
×:塗布時のべたつきがある
【0043】
【表2】
【0044】
表2に記載されるとおり、本発明の組成物である実施例1~3は粘度が820mPa・s以下と低い値を示し、pHは3.1~3.2であった。表2から明らかなとおり、本発明の組成物である実施例4~7は加熱後の吸光度は1以下と非常に低く、加熱後の安定性に優れるものであった。また、本発明の組成物である実施例4~7はサイクル試験を実施しても析出は確認されなかった。
【0045】
また、使用感について評価したところ、本発明の組成物である実施例4~7は塗布時のべたつきがなく、使用感にも優れたものであった。
【0046】
以上の結果より、本発明の皮膚外用剤は、加熱による変色、低温保管による析出が発生しないため、安定性に優れたものであり、さらに、安定性のみならず使用感にも優れた皮膚外用剤であることは明らかである。
【0047】
<皮膚外用剤の調製>
表3に記載された皮膚外用剤(製造例1~13)を下記の方法で調製した。得られた皮膚外用剤は、いずれも粘度が1,000mPa・s以下、pHが4以下であり、加熱による変色、低温保存による析出が抑えられており、安定性に優れるものであり、塗布時のべたつきもないため使用感にも優れるものである。
【0048】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸、メチルピロリドン、及び多価アルコールを含有し、水を10質量%以下とすることにより、安定性及び使用感に優れた皮膚外用剤を提供することができ、産業上の利用の可能性が高いものである。