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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131440
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240920BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E02F9/00 N
B62D25/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041698
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 将誉
【テーマコード(参考)】
2D015
3D004
【Fターム(参考)】
2D015CA03
3D004AA13
3D004BA04
3D004CA06
3D004CA16
3D004DA02
(57)【要約】
【課題】ドア開閉の際にスタッドボルト部が外れにくい作業機械を提供する。
【解決手段】ドアパネルDR1は、作業機械10の車体フレームに開閉可能に支持されている。ドアパネルDR1は、外側板2と、内側板3と、締結具1とを有している。内側板3は、貫通孔31bを有し、外側板2と隙間を空けて重ねられている。締結具1は、貫通孔31bを貫通するスタッドボルト部1aと、スタッドボルト部1aの外周面よりも外周方向へ延びたフランジ部1bとを有する。締結具1のフランジ部1bは、外側板2と内側板3との間の隙間に位置し、かつ内側板3に接続固定されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、前記車体フレームに開閉可能に支持されたドアパネルとを有する作業機械であって、
前記ドアパネルは、
外側板と、
貫通孔を有し、前記外側板と隙間を空けて重ねられた内側板と、
前記貫通孔を貫通するスタッドボルト部と、前記スタッドボルト部の外周面よりも外周方向へ延びたフランジ部とを有する締結具と、を備え、
前記締結具の前記フランジ部は、前記外側板と前記内側板との間の前記隙間に位置し、かつ前記内側板に接続固定されている、作業機械。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記スタッドボルト部の外径よりも大きな外径を有する円盤形状を有している、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記締結具は、前記スタッドボルト部と前記フランジ部との間にテーパ部を有し、
前記テーパ部は、前記スタッドボルト部から前記フランジ部に向かって拡径するよう構成されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記テーパ部の軸方向の長さは前記フランジ部の軸方向の長さ以下である、請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記フランジ部の軸方向の長さは、前記内側板と前記外側板との間の前記隙間の寸法以下である、請求項3に記載の作業機械。
【請求項6】
前記テーパ部の軸方向の長さは、前記内側板の厚み以上である、請求項3に記載の作業機械。
【請求項7】
前記フランジ部の前記スタッドボルト部とは反対側に位置する天面は、外周端から中央部に向かって厚みが増加するように構成されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記フランジ部の前記天面は前記中央部が前記外周端に対して盛り上がるような曲面を有している、請求項7に記載の作業機械。
【請求項9】
前記ドアパネルと前記車体フレームとを繋ぐ回転機構をさらに備えた、請求項1に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010-47935号公報(特許文献1)、特開2010-43481号公報(特許文献2)には、油圧ショベルなどの作業機械におけるサイドドアなどとしてドアパネルが開示されている。このドアパネルは、外側板と内側板との2重構造よりなっている。内側板にはスタッドボルトがスタッド溶接により接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-47935号公報
【特許文献2】特開2010-43481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2では、スタッドボルトに外力が作用するとスタッドボルトが内側板から外れるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、スタッドボルト部が外れにくい作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の作業機械は、車体フレームと、車体フレームに開閉可能に支持されたドアパネルとを有する作業機械である。ドアパネルは、外側板と、内側板と、締結具とを備えている。内側板は、貫通孔を有し、外側板と隙間を空けて重ねられている。締結具は、貫通孔を貫通するスタッドボルト部と、スタッドボルト部の外周面よりも外周方向へ延びたフランジ部とを有する。締結具のフランジ部は、外側板と内側板との間の隙間に位置し、かつ内側板に接続固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スタッドボルト部が外れにくい作業機械を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態における作業機械の一例として油圧ショベルの構成を示す斜視図である。
図2図1に示す油圧ショベルにおいてドアパネル付近を拡大して示す斜視図である。
図3図2に示すドアパネルの分解斜視図である。
図4】締結具の構成を示す正面図(A)、右側面図(B)および斜視図(C)である。
図5図2のV-V線に沿ってドアパネルの厚み方向に切断した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0010】
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0011】
以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、図1に示す運転室14内の運転席14Sに着座したオペレータを基準とした方向である。また作業機械の一例として以下においては油圧ショベルについて説明するが、本開示が適用される作業機械は、ホイールローダ、モータグレーダなどの他の作業機械であってもよく、車体フレームに開閉可能に支持されたドアパネルを有する作業機械であればよい。
【0012】
<作業機械の構成>
【0013】
図1は、本開示の一実施形態における作業機械の一例として油圧ショベルの構成を示す斜視図である。図1に示されるように、本実施形態の油圧ショベル10は、本体11と、油圧により作動する作業機12とを有している。本体11は、旋回体13と、走行体15とを有している。
【0014】
走行体15は、一対の履帯15Crと、走行モータ15Mとを有している。油圧ショベル10は、履帯15Crの回転により走行可能である。走行モータ15Mは、走行体15の駆動源として設けられている。
【0015】
旋回体13は、走行体15の上に配置され、かつ走行体15により支持されている。旋回体13は、旋回モータ(図示せず)により旋回軸RXを中心として走行体15に対して旋回可能である。旋回軸RXは、旋回体13の旋回中心となる仮想の直線である。
【0016】
旋回体13は、運転室14(キャブ)を有している。運転室14内には、オペレータが着座する運転席14Sが設けられている。運転者(乗員)は、運転室14に搭乗して、作業機12の操作、走行体15に対する旋回体13の旋回操作、および走行体15による油圧ショベル10の走行操作が可能である。
【0017】
作業機12は、旋回体13に支持されている。作業機12は、ブーム16と、アーム17と、バケット18とを有している。作業機12は、ブームシリンダ19aと、アームシリンダ19bと、バケットシリンダ19cとをさらに有している。
【0018】
ブーム16は、本体11に回動可能に接続されている。具体的にはブーム16の基端部は、ブームフートピンBFを支点として旋回体13に回動可能に接続されている。アーム17は、ブーム16に回動可能に接続されている。具体的にはアーム17の基端部は、ブームトップピンBTを支点としてブーム16の先端部に回動可能に接続されている。バケット18は、アーム17に回転可能に接続されている。具体的にはバケット18の基端部は、アームトップピンATを支点としてアーム17の先端部に回動可能に接続されている。
【0019】
ブーム16は、ブームシリンダ19aにより本体11に対して駆動可能である。この駆動により、ブーム16は、ブームフートピンBFを支点として旋回体13に対して上下方向に回動可能である。
【0020】
アーム17は、アームシリンダ19bによりブーム16に対して駆動可能である。この駆動により、アーム17は、ブームトップピンBTを支点としてブーム16に対して上下方向または前後方向に回動可能である。
【0021】
バケット18は、バケットシリンダ19cによりアーム17に対して駆動可能である。この駆動により、バケット18は、アームトップピンATを支点としてアーム17に対して上下方向に回動可能である。
【0022】
旋回体13は、車体フレームと、ドアパネルDRとを有している。車体フレームは、ドアフレームDFを有している。ドアパネルDRは、ドアフレームDFに対して開閉可能に支持されている。ドアパネルDRは、複数のドアパネルDR1、DR2、DR3を含んでいる。
【0023】
ドアパネルDR1、DR2、DR3の各々は、旋回体13の側面を開閉可能である。ドアパネルDR1、DR2は、たとえば旋回体13の左側面に配置されており、ドアパネルDR3は旋回体13の右側面に配置されている。ドアパネルDR1、DR2は、たとえば観音開きとなるように設けられている。ドアパネルDR1、DR2、DR3の各々を開いた状態では、旋回体13の内部に配置された機器に作業者はアクセスすることができる。これにより旋回体13内部の機器のメンテナンスなどが可能となる。
【0024】
<ドアパネルの構成とドアパネルの取り付け機構>
【0025】
次に、本実施形態におけるドアパネルの構成とドアパネルの取り付け機構について図2図5を用いてドアパネルDR1を例に挙げて説明する。ドアパネルDR2、DR3もドアパネルDR1と同様の構成および機構を有しているため、その説明を繰り返さない。
【0026】
図2は、図1に示す油圧ショベルにおけるドアパネル付近を拡大して示す斜視図である。図3は、図2に示すドアパネルの分解斜視図である。図4は、締結具の構成を示す正面図(A)、右側面図(B)、斜視図(C)である。図5は、図2のV-V線に沿ってドアパネルの厚み方向に切断した部分断面図である。
【0027】
図2に示されるように、ドアパネルDR1は、ヒンジ4を介在してドアフレームDFに取付けられている。ヒンジ4は、1対の羽根4a、4bと、軸とを有している。1対の羽根4a、4bの各々は、軸を支点にして回転可能である。羽根4aはドアパネルDR1に取付けられており、羽根4bはドアフレームDFに取付けられている。これによりドアパネルDR1は、ドアフレームDFに対して開閉可能に支持されている。
【0028】
図3に示されるように、ドアパネルDR1は、締結具1と、外側板2と、内側板3とを有している。外側板2は、ドアパネルDR1が閉じた状態において旋回体13の外側に位置する部分である。
【0029】
外側板2は、複数の通気口21を有している。複数の通気口21の各々は、ドアパネルDR1が閉じた状態において旋回体13の内部と外部とを繋いでいる。外側板2には、ドアロック22が設けられていてもよい。ドアロック22は、ドアパネルDR1が閉じた状態でドアパネルDR1の開閉動作をロックする。
【0030】
内側板3は、ドアパネルDR1が閉じた状態において外側板2よりも旋回体13の内側に位置する部分である。内側板3は、たとえば上下方向に延びる2本の縦板31、32と、横方向に延びる2本の横板33、34とを有している。
【0031】
2本の横板33、34の各々の一方端には縦板31が接続されている。2本の横板33、34の各々の他方端には縦板32が接続されている。縦板31、32と横板33、34は、たとえば溶接により接続されている。内側板3は、縦板31、32と横板33、34とにより、たとえば矩形の枠形状を有している。
【0032】
縦板31には、外側板2とは反対側に突き出した凸部31aが設けられている。凸部31aには、複数の貫通孔31bが設けられている。複数の貫通孔31bは、締結具1のスタッドボルト部1aが挿入される部分である。
【0033】
内側板3は外側板2の内側の面にたとえば溶接により接続されている。内側板3は、外側板2と隙間を空けて重ねられている。具体的には内側板3が外側板2に取付けられた状態において、縦板31の凸部31aと外側板2との間には隙間が生じている。縦板31の凸部31aと外側板2との間の隙間に、締結具1のフランジ部1bが位置する。
【0034】
図4(A)、(B)、(C)に示されるように、締結具1は、スタッドボルト部1aと、フランジ部1bと、テーパ部1c、1dと、円筒部1eとを有している。スタッドボルト部1aは、軸方向AXに延びている。スタッドボルト部1aは、外周に雄ねじを有している。
【0035】
フランジ部1bは、スタッドボルト部1aの軸方向AXの一方端側に位置している。フランジ部1bは、スタッドボルト部1aの外周面よりも外周方向へ張り出している。フランジ部1bは、たとえば円盤形状を有している。フランジ部1bは、スタッドボルト部1aの外径D2よりも大きな外径D1を有している。
【0036】
テーパ部1c、1dの各々は、スタッドボルト部1aとフランジ部1bとの間に配置されている。円筒部1eは、テーパ部1cとテーパ部1dとの間に配置されている。テーパ部1cの軸方向の一端はフランジ部1bに接続されている。テーパ部1dの軸方向の一端はスタッドボルト部1aに接続されている。テーパ部1cの軸方向の他端とテーパ部1dの軸方向の他端とは円筒部1eに接続されている。
【0037】
テーパ部1cは、軸方向AXに沿ってスタッドボルト部1a側からフランジ部1bに向かって拡径するよう構成されている。つまりテーパ部1cは、スタッドボルト部1a側からフランジ部1bに向かうにしたがって外径が大きくなるように構成されている。テーパ部1cは、フランジ部1bとの接続部において最も大きい外径D3を有している。テーパ部1cは、円筒部1eとの接続部において最も小さい外径D4を有している。テーパ部1cは、たとえば円錐台の形状を有している。
【0038】
テーパ部1cの最大の外径D3は、フランジ部1bの外径D1よりも小さい。テーパ部1cの最大の外径D3は、スタッドボルト部1aの外径D2よりも大きい。テーパ部1cの最小の外径D4は、スタッドボルト部1aの外径D2よりも小さい。
【0039】
テーパ部1dは、軸方向AXに沿ってスタッドボルト部1aからフランジ部1b側に向かって縮径するよう構成されている。つまりテーパ部1dは、スタッドボルト部1aからフランジ部1b側に向かうにしたがって外径が小さくなるように構成されている。テーパ部1dは、スタッドボルト部1aとの接続部において最も大きい外径を有している。テーパ部1dは、円筒部1eとの接続部において最も小さい外径D4を有している。テーパ部1dは、たとえば円錐台の形状を有している。
【0040】
円筒部1eは、円筒形状を有している。円筒部1eは、テーパ部1cとテーパ部1dとの間で外径D4を維持しながら軸方向AXに延びている。
【0041】
フランジ部1bの軸方向の長さ(厚み)L1aおよびL1bの各々は、テーパ部1cの軸方向の長さL2以上である。フランジ部1bは、互い対向する天面1baと底面1bbとを有している。天面1baは、フランジ部1bを基準としてスタッドボルト部1aとは反対側に位置する面である。天面1baは、フランジ部1bの外周端から中央部に向かってフランジ部1bの厚みが増加するように構成されている。このためフランジ部1bの中央部における軸方向の長さ(厚み)L1aはフランジ部1bの外周端における軸方向の長さ(厚み)L1bよりも大きい。天面1baは、外周端から中央部に向かって曲面で構成されていてもよい。この場合、天面1baの曲面は、外側板2側に膨らむような曲面であり、中央部が外周端よりも盛り上がるような曲面である。
【0042】
天面1baに対向するフランジ部1bの底面1bb(フランジ部1bのスタッドボルト部1a側に位置する面)は、円環形状を有し、平面で構成されている。底面1bbは、軸方向AXに垂直な面に沿う平面により構成されている。
【0043】
図3に示されるように、締結具1は、フランジ部1bの外周部を内側板3にたとえば溶接することにより接続されている。フランジ部1bは、凸部31aにおける外側板2側の面に溶接により接続されている。
締結具1のスタッドボルト部1aは、内側板3の貫通孔31bを貫通し、内側板3に対して外側板2とは反対側に突き出している。内側板3から突き出したスタッドボルト部1aにおいて、ヒンジ4における羽根4aが取付けられている。
【0044】
スタッドボルト部1aは、羽根4aの孔4aaを貫通している。羽根4aから突き出したスタッドボルト部1aにワッシャ5を介在してナット6が締め上げられている。これにより内側板3とナット6との間で羽根4aが締付けられ、ドアパネルDR1にヒンジ4の羽根4aが取付けられている。
【0045】
ヒンジ4の羽根4bは、ドアフレームDFに取付けられている。ボルト8がドアフレームDFの孔とヒンジ4における羽根4bの孔4baとを貫通している。羽根4bから突き出したボルト8のスタッドボルト部1aにワッシャ(図示せず)を介在してナット(図示せず)が締め上げられている。これによりドアフレームDFとナットとの間で羽根4bが締付けられ、ドアフレームDFにヒンジ4の羽根4bが取付けられている。
【0046】
上記によりヒンジ4を介在して、ドアパネルDR1がドアフレームDFに取付けられている。ヒンジ4の羽根4aが羽根4bに対して回転することにより、ドアパネルDR1がドアフレームDFに対して回転し、ドアフレームDR1が旋回体13を開閉可能となっている。
【0047】
図5に示されるように、締結具1のフランジ部1bは、外側板2と内側板3との間の隙間に位置しており、外側板2と内側板3との間に挟まれている。締結具1のフランジ部1bの底面1bbは、内側板3の表面に接している。フランジ部1bの外周部は内側板3の表面にたとえば溶接により接続固定されている。
【0048】
フランジ部1bの軸方向の長さ(厚み)L1a、L1b(図4)は、内側板3と外側板2との間の隙間の寸法以下である。フランジ部1bの天面1baにおける一部の形状は、外側板2の内側の面に沿う形状を有している。つまりフランジ部1bの天面1baの一部は、外側板2の内側の面の形状の曲がりまたは折れに沿う形状を有している。
【0049】
テーパ部1cは、内側板3の貫通孔31bおよび羽根4aの孔4aa内に位置している。テーパ部1cは、内側板3および羽根4aとのいずれにも接しておらず、内側板3および羽根4aとのいずれとの間にも隙間を有している。テーパ部1cの軸方向AXの長さL2(図4)は、内側板3の厚みT以上である。テーパ部1cの軸方向AXの長さL2(図4)は、内側板3の厚みTと同じであってもよい。
【0050】
テーパ部1dおよび円筒部1eの各々は、羽根4aの孔4aa内に位置している。テーパ部1dおよび円筒部1eの各々は、羽根4aに接しておらず、羽根4aとの間に隙間を有している。
なお締結具1のフランジ部1bは、スタッドボルト部1aの軸方向からみて円形状を有していてもよく、また多角形状を有していてもよい。また締結具1は、削り出しにより形成されてもよく、またフランジ部1bとスタッドボルト部1aとが接続固定されることにより形成されてもよい。
【0051】
<効果>
【0052】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0053】
本実施形態においては図5に示されるように、締結具1はスタッドボルト部1aと、スタッドボルト部1aの外周面よりも外周方向へ延びたフランジ部1bとを有している。フランジ部1bは、外側板2と内側板3との間に位置している。このため締結具1は、外側板2および内側板3からはずれにくい。
【0054】
またフランジ部1bを内側板3と接触させることにより、スタッドボルト部1aを内側板3に接触させる場合よりも広い面積でフランジ部1bを内側板3と接触させることができる。このためフランジ部1bと内側板3との面圧を低減することができ、強度が向上する。
【0055】
またフランジ部1bは、スタッドボルト部1aの外周面よりも外側に張り出している。このためフランジ部1bを内側板3と接続固定(たとえば溶接)することにより、スタッドボルト部1aを内側板3に接続固定する場合よりも広い部分で内側板3に接続固定することができる。これにより、強固な接続固定が可能となり、締結具1に外力が作用しても締結具1が内側板3から外れにくくなる。
【0056】
また本実施形態においては図4(B)、(C)に示されるように、フランジ部1bは、スタッドボルト部1aの外径D2よりも大きな外径D1を有する円盤形状を有している。これによりフランジ部1bを内側板3と接続固定することにより、スタッドボルト部1aを内側板3に接続固定する場合よりも広い部分で内側板3に接続固定することができる。
【0057】
また本実施形態においては図4(A)に示されるように、締結具1は、スタッドボルト部1aとフランジ部1bとの間にテーパ部1cを有している。テーパ部1cは、スタッドボルト部1aからフランジ部1bに向かって拡径するように構成されている。このようにテーパ部1cが拡径されることにより、フランジ部1bの厚みが薄くてもテーパ部1dにより締結具1の強度を担保することができる。
【0058】
また本実施形態においては図4(A)に示されるように、フランジ部1bの軸方向の長さ(厚み)L1aおよびL1bの各々はテーパ部1cの軸方向の長さL2以上である。これによりフランジ部1bの強度を向上させることができ、締結具1が内側板3から外れにくくなる。
【0059】
また本実施形態においては図4(A)、図5に示されるように、フランジ部1bの軸方向の長さL1a、L1bは、内側板3と外側板2との間の隙間の寸法以下である。これによりフランジ部1bを内側板3と外側板2との間の隙間に配置することができる。
【0060】
また本実施形態においては図4(A)、図5に示されるように、テーパ部1cの軸方向の長さL2は、内側板3の厚みT以上である。これによりテーパ部1cと内側板3との接触を避けることができる。
【0061】
また本実施形態においては図4(A)に示されるように、フランジ部1bのスタッドボルト部1aとは反対側に位置する天面1baは、外周端から中央部に向かって厚みが増加するように構成されている。これによりフランジ部1bの天面1baを外側板2の曲がった形状に沿わすことができる。このため外側板2と内側板3との間の隙間の形状に合わせてフランジ部1bの厚みを最適な厚みとできるためフランジ部1bの強度が向上する。
【0062】
また本実施形態においては図4(A)、図5に示されるように、フランジ部1bの天面1baは中央部が外周端に対して盛り上がるような曲面を有している。天面1baの曲面により外側板2の曲面に合せることが可能となる。またフランジ部1bの中央部が盛り上がって中央部の厚みL1aが外周端の厚みL1bよりも厚くなっているため、フランジ部1bの強度が向上する。
【0063】
また本実施形態においては図6に示されるように、ドアパネルDR1、DR2、DR3と車体フレームとを繋ぐヒンジ4が設けられている。これによりドアパネルDR1、DR2、DR3の各々は車体フレームに対して開閉可能となる。
【0064】
<付記>
【0065】
上述したような実施形態は、以下のような技術思想を含む。
【0066】
(付記1)
車体フレームと、前記車体フレームに開閉可能に支持されたドアパネルとを有する作業機械であって、
前記ドアパネルは、
外側板と、
貫通孔を有し、前記外側板と隙間を空けて重ねられた内側板と、
前記貫通孔を貫通するスタッドボルト部と、前記スタッドボルト部の外周面よりも外周方向へ延びたフランジ部とを有する締結具と、を備え、
前記締結具の前記フランジ部は、前記外側板と前記内側板との間の前記隙間に位置し、かつ前記内側板に接続固定されている、作業機械。
【0067】
(付記2)
前記フランジ部は、前記スタッドボルト部の外径よりも大きな外径を有する円盤形状を有している、付記1に記載の作業機械。
【0068】
(付記3)
前記締結具は、前記スタッドボルト部と前記フランジ部との間にテーパ部を有し、
前記テーパ部は、前記スタッドボルト部から前記フランジ部に向かって拡径するよう構成されている、付記1または付記2に記載の作業機械。
【0069】
(付記4)
前記テーパ部の軸方向の長さは前記フランジ部の軸方向の長さ以下である、付記3に記載の作業機械。
【0070】
(付記5)
前記フランジ部の軸方向の長さは、前記内側板と前記外側板との間の前記隙間の寸法以下である、付記3または付記4に記載の作業機械。
【0071】
(付記6)
前記テーパ部の軸方向の長さは、前記内側板の厚み以上である、付記3から付記5のいずれか1つに記載の作業機械。
【0072】
(付記7)
前記フランジ部の前記スタッドボルト部とは反対側に位置する天面は、外周端から中央部に向かって厚みが増加するように構成されている、付記1から付記6のいずれか1つに記載の作業機械。
【0073】
(付記8)
前記フランジ部の前記天面は前記中央部が前記外周端に対して盛り上がるような曲面を有している、付記7に記載の作業機械。
【0074】
(付記9)
前記ドアパネルと前記車体フレームとを繋ぐ回転機構をさらに備えた、付記1から付記8のいずれか1つに記載の作業機械。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 締結具、1a スタッドボルト部、1b フランジ部、1ba 天面、1bb 底面、1c,1d テーパ部、2 外側板、3 内側板、4 ヒンジ、4a,4b 羽根、5 ワッシャ、6 ナット、8 ボルト、10 油圧ショベル、11 本体、12 作業機、13 旋回体、14 運転室、14S 運転席、15 走行体、15Cr 履帯、15M 走行モータ、16 ブーム、17 アーム、18 バケット、19a ブームシリンダ、19b アームシリンダ、19c バケットシリンダ、21 通気口、22 ドアロック、31,32 縦板、31a 凸部、31b 貫通孔、33 横板、AT アームトップピン、AX 軸方向、BF ブームフートピン、BT ブームトップピン、DF ドアフレーム、DR1 ドアパネル、RX 旋回軸。
図1
図2
図3
図4
図5