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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131441
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用スパッツ装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20240920BHJP
   B62D 35/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B62D37/02 B
B62D35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041700
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松本 和也
(57)【要約】
【課題】車両用スパッツ装置に関して、スパッツに加えられる荷重を有効に緩和する。
【解決手段】スパッツ装置10は、展開位置と格納位置との間でスパッツ20を移動させるリンク機構70を備えている。リンク機構70は、回転軸部材52を備えている。回転軸部材52の軸心に沿った線は、スパッツ20を展開位置と格納位置との間で移動させる際の回転軸線C1である。リンク機構70は、回転軸部材52よりも後方において回転軸線C1の周りを回転運動できる移動軸部材53を備えている。スパッツ装置10は、スパッツ20に対する外力の入力に基づいて、移動軸部材53の軸心に沿った線であるクラッチ軸線C2を回転中心とするスパッツ20の相対回転を許容するクラッチ機構80を備えている。リンク機構70は、スパッツ20が格納位置にある際には、回転軸部材52に対して後方D3且つ上方D1の位置に移動軸部材53が配置されるように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の空力部材であるスパッツと、
前記車両が有する車輪よりも当該車両の前端に近い位置に前記スパッツを配置する展開位置と前記スパッツを格納する格納位置との間で、前記スパッツを移動させることができるリンク機構と、
クラッチ軸線を回転中心とする前記スパッツの相対回転を規制するとともに、前記スパッツに対する外力の入力に基づいて前記クラッチ軸線を回転中心とする前記スパッツの前記相対回転を許容するように構成されているクラッチ機構と、を備え、
前記リンク機構は、回転軸部材と、移動軸部材と、を有し、前記回転軸部材の軸心に沿った線が前記スパッツを前記展開位置と前記格納位置との間で移動させる際の回転軸線であり、前記移動軸部材の軸心に沿った線が前記クラッチ軸線であり、
前記車両の前記前端から後端に向かう方向を後方とすると、
前記回転軸部材よりも前記後方において前記移動軸部材が前記回転軸線の周りを回転運動できるように構成されており、
前記スパッツが前記格納位置にある際には、前記回転軸部材に対して前記後方且つ鉛直上方の位置に前記移動軸部材が配置されるように構成されている
車両用スパッツ装置。
【請求項2】
前記スパッツが固定されているベースを備え、
前記移動軸部材と前記ベースとが連結されている
請求項1に記載の車両用スパッツ装置。
【請求項3】
前記リンク機構は、幅広部と、前記車両の幅方向における長さが前記幅広部よりも短い幅狭部と、からなる段差構造を有する
請求項1又は請求項2に記載の車両用スパッツ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スパッツ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪の前方に空力部材となるスパッツを配置することによって、当該車輪に当たる走行風を整流する車両用のスパッツ装置が知られている。こうしたスパッツ装置は、展開位置と格納位置との間でスパッツを移動させることができる。
【0003】
特許文献1に開示されている車両用整流装置は、展開位置に配置したスパッツに外力が作用した際に、スパッツに加えられる荷重が駆動装置に伝わることを抑制するための構成として連結機構を備えている。なお、特許文献1では、スパッツについて整流部材と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-93785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている車両用整流装置は、展開位置に配置したスパッツに対して、スパッツを展開位置から格納位置に移動させるような外力が作用する場合を想定している。特許文献1に開示されているような車両用整流装置では、格納位置に配置したスパッツに外力が作用した場合には、スパッツに加えられる荷重を緩和できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための車両用スパッツ装置の各態様を記載する。
[態様1]車両の空力部材であるスパッツと、前記車両が有する車輪よりも当該車両の前端に近い位置に前記スパッツを配置する展開位置と前記スパッツを格納する格納位置との間で、前記スパッツを移動させることができるリンク機構と、クラッチ軸線を回転中心とする前記スパッツの相対回転を規制するとともに、前記スパッツに対する外力の入力に基づいて前記クラッチ軸線を回転中心とする前記スパッツの前記相対回転を許容するように構成されているクラッチ機構と、を備え、前記リンク機構は、回転軸部材と、移動軸部材と、を有し、前記回転軸部材の軸心に沿った線が前記スパッツを前記展開位置と前記格納位置との間で移動させる際の回転軸線であり、前記移動軸部材の軸心に沿った線が前記クラッチ軸線であり、前記車両の前記前端から後端に向かう方向を後方とすると、前記回転軸部材よりも前記後方において前記移動軸部材が前記回転軸線の周りを回転運動できるように構成されており、前記スパッツが前記格納位置にある際には、前記回転軸部材に対して前記後方且つ鉛直上方の位置に前記移動軸部材が配置されるように構成されている車両用スパッツ装置。
【0007】
上記構成によれば、スパッツに対する外力の入力に基づいてクラッチ機構が作動した場合に、回転軸線とは独立したクラッチ軸線を回転中心としてスパッツを相対回転させることができる。これによって、スパッツが配置されている位置にかかわらず、スパッツに外力が加えられた場合にはクラッチ機構がスパッツの相対回転を許容できる。このため、スパッツを格納位置に配置している場合でも、スパッツに加えられる荷重を緩和することができる。
【0008】
[態様2]前記スパッツが固定されているベースを備え、前記移動軸部材と前記ベースとが連結されている態様1に記載の車両用スパッツ装置。
上記構成によれば、ベースの長さ分だけスパッツとクラッチ軸線との距離が離れる。これによって、スパッツに対して加わりうる外力の力点と、クラッチ軸線とを離すことができる。外力が入力された場合にスパッツの相対回転が許容されやすくなるため、スパッツが過度に大きな荷重を受けることを抑制できる。
【0009】
[態様3]前記リンク機構は、幅広部と、前記車両の幅方向における長さが前記幅広部よりも短い幅狭部と、からなる段差構造を有する態様1又は態様2に記載の車両用スパッツ装置。
【0010】
上記構成によれば、幅方向におけるリンク機構の広がりを抑制することができる。これによって、スパッツ装置の周囲に空間を確保しやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スパッツが配置されている位置にかかわらず、スパッツに加えられる荷重を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、車両用スパッツ装置の一実施形態と、車両用スパッツ装置を適用する車両と、を示す概略図である。
図2図2は、図1の車両用スパッツ装置に関して、スパッツを展開位置に支持している状態を示す側面図である。
図3図3は、図1の車両用スパッツ装置に関して、スパッツを格納位置に支持している状態を示す側面図である。
図4図4は、図1の車両用スパッツ装置の分解斜視図である。
図5図5は、図1の車両用スパッツ装置を車両の下方から見た下面図である。
図6図6は、図1の車両用スパッツ装置に関して、クラッチ機構が作動している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、車両用スパッツ装置の一実施形態であるスパッツ装置10について説明する。
図1に示すように、スパッツ装置10は、車両90に適用される。
車両90は、複数の車輪を備えている。例えば車両90は、四つの車輪を備えている。図1には、車両90が備える車輪のうち一つの前輪93を示している。車両90は、車体91を備えている。車体91は、前輪93を収容するホイールハウス92を備えている。
【0014】
図1図6には、鉛直上方を示す矢印を上方D1として、鉛直下方を示す矢印を下方D2として表示している。図1図6には、車両90の車体91における前端91aから後端に向かう方向を示す矢印を後方D3として表示している。図1図6には、車両90の車幅方向における一方の方向を示す矢印を幅方向D4として表示している。
【0015】
図1に示すように、スパッツ装置10は、車体91に取り付けられている。例えば、スパッツ装置10は、前輪93よりも前端91aに近い位置に取り付けられている。例えば車両90は、各前輪に対応するスパッツ装置10を備えている。なお、図1は、車両90及びスパッツ装置10を模式的に示したものであり、図1における車両90に対するスパッツ装置10の大きさは、実際のスパッツ装置10の大きさを表すものではない。
【0016】
図1図3に示すように、スパッツ装置10は、スパッツ20を備えている。
図2及び図3に示すように、スパッツ装置10は、スパッツ20を移動させることができるリンク機構70を備えている。
【0017】
スパッツ装置10は、スパッツ20を移動させる駆動力をリンク機構70に付与するアクチュエータ12を備えていてもよい。アクチュエータ12の一例は、駆動源として電気モータを備えている。この場合には、電気モータが駆動することによる回転運動をリンク機構70に伝達することによって、スパッツ20が移動するように構成される。
【0018】
スパッツ装置10は、クラッチ機構80を備えている。クラッチ機構80については後述する。
スパッツ装置10は、ケース11を備えていてもよい。例えば、ケース11にリンク機構70を収容することができる。一例としてケース11は、リンク機構70を挟み込むように収容する複数の分割体によって構成されている。ケース11の外側には、例えばアクチュエータ12を取り付けることができる。例えばケース11が車体91に固定されることによって、スパッツ装置10が車両90に取り付けられる。
【0019】
スパッツ装置10は、スパッツ20が固定されているベース23を備えていてもよい。例えば、ベース23を介してスパッツ20がリンク機構70に取り付けられている。例えば、スパッツ20は、締結部材28によってベース23に固定されている。ベース23の一例は、スパッツ20を固定する支持部24と、リンク機構70が取り付けられる挿入穴25と、を備えている。
【0020】
<スパッツ>
スパッツ20は、車両90の空力部材である。空力部材は、車輪に当たる走行風を整流することで、車両90の空力性能を向上させることのできる部材である。
【0021】
図1に示すように、スパッツ20は、空力部材として機能するフラップ部21を備えている。フラップ部21の一例は、後述する展開位置P1において前輪93に向かう走行風と交差する板状である。図1は、当該展開位置P1にスパッツ20を配置している状態を示している。
【0022】
スパッツ装置10は、スパッツ20が備えるフラップ部21を、車体91の下端91bよりも下方D2に配置することができる。車体91の下端91bは、車体91のうち最も下方D2の端に対応する。
【0023】
<展開位置及び格納位置>
スパッツ装置10は、リンク機構70によって、展開位置P1と格納位置P0との間でスパッツ20を移動させることができる。
【0024】
図2は、スパッツ20を展開位置P1に支持している状態のスパッツ装置10を示す。
展開位置P1は、前輪93よりも前端91aに近い位置にスパッツ20を配置する位置として設定されている。展開位置P1は、フラップ部21を空力部材として機能させるために、車輪に当たる走行風を整流する位置にスパッツ20を配置する位置である。
【0025】
図3は、スパッツ20を格納位置P0に支持している状態のスパッツ装置10を示す。
格納位置P0は、スパッツ20を格納する位置として設定されている。格納位置P0の一例は、展開位置P1からスパッツ20が上方D1に移動した位置として設定されている。例えば、格納位置P0は、格納位置P0にスパッツ20が配置されている場合には、フラップ部21の先端21aが車両90の下端91bよりも上方D1に位置するように設定されている。
【0026】
図2及び図3には、水平な仮想平面を示す格納下線S1を表示している。図2に示す展開位置P1では、格納下線S1よりも下方D2にフラップ部21が配置されている。図3に示す格納位置P0では、格納下線S1よりも上方D1にフラップ部21の先端21aが位置するようにフラップ部21が配置されている。格納下線S1は、一例として、水平な路面上にある車両90の下端91bに沿っている。
【0027】
例えば、スパッツ装置10は、車両90が停止状態にある場合には、スパッツ20を格納位置P0に支持する。例えば、スパッツ装置10は、車両90の走行速度が所定速度以上となった場合に、スパッツ20を格納位置P0から展開位置P1に移動させる。例えば、スパッツ装置10は、車両90の走行速度が所定速度以上から所定速度よりも低くなった場合には、スパッツ20を展開位置P1から格納位置P0に移動させる。上記のようにスパッツ20を移動させるように構成すると、所定速度よりも低い低速で車両90が走行している際には、スパッツ20が格納位置P0に支持されるようになる。
【0028】
<リンク機構>
図2図3図4及び図5を用いて、リンク機構70の一例を説明する。
リンク機構70は、駆動リンク部材30、伝達リンク部材40、メインリンク部材50及びサブリンク部材60を備えている。
【0029】
図2図4に示すように、駆動リンク部材30は、入力軸部材31と出力軸部材32と駆動リンク本体33とを備えている。入力軸部材31及び出力軸部材32は、スパッツ装置10が車両90に搭載されている姿勢において、幅方向D4に延びている軸部材である。駆動リンク本体33は、入力軸部材31と出力軸部材32とを連結している。入力軸部材31は、アクチュエータ12に接続されている。入力軸部材31は、アクチュエータ12が発生させる駆動力によって回転するように構成されている。出力軸部材32は、入力軸部材31と一体に回転することができる。
【0030】
図4及び図5に示すように、メインリンク部材50及びサブリンク部材60は、一対のリンク部材を構成している。
図2図4に示すように、メインリンク部材50は、連結軸部材51と回転軸部材52と移動軸部材53とメインリンク本体54とを備えている。連結軸部材51、回転軸部材52及び移動軸部材53は、メインリンク本体54を基端として、スパッツ装置10が車両90に搭載されている姿勢において、幅方向D4に延びている軸部材である。回転軸部材52は、回転可能にケース11に支持されている。回転軸部材52は、駆動リンク部材30の入力軸部材31よりも下方D2の位置において支持されている。移動軸部材53は、回転軸部材52よりも後方D3の位置に配置されている。連結軸部材51は、回転軸部材52と移動軸部材53との間に位置している。
【0031】
図4及び図5に示すように、サブリンク部材60は、メインリンク部材50の連結軸部材51と連結されている軸状突部63を備えている。サブリンク部材60は、軸状突部63から延びている第1板部61と第2板部62とを備えている。第1板部61は、軸状突部63から回転軸部材52に向けて延びている。第1板部61は、回転軸部材52に連結されている。第2板部62は、軸状突部63から移動軸部材53に向けて延びている。第2板部62は、移動軸部材53に連結されている。
【0032】
図2~4に示すように、移動軸部材53がベース23に挿入されている。より詳しくは、図4に示すように、移動軸部材53がベース23の挿入穴25に挿入されている。挿入穴25は、スパッツ装置10が車両90に搭載されている姿勢において、幅方向D4に延びるように形成されている。
【0033】
展開位置P1及び格納位置P0において、ベース23が備える支持部24は、移動軸部材53が挿入されている挿入穴25よりも後方D3に位置している。このため、スパッツ装置10では、ベース23を備えていることによって、挿入穴25から支持部24までのベース23の長さ分だけ移動軸部材53よりも後方D3にスパッツ20が支持されている。
【0034】
図2図4に示すように、伝達リンク部材40は、第1連結部41と第2連結部42と伝達リンク本体43とを備えている。第1連結部41は、駆動リンク部材30の出力軸部材32に連結されている。第2連結部42は、メインリンク部材50の連結軸部材51に連結されている。伝達リンク本体43は、第1連結部41と第2連結部42とを連結している。例えば、伝達リンク本体43は、第1連結部41と第2連結部42とを結ぶ線が湾曲している。例えば、伝達リンク本体43は、L字状に曲げられている。
【0035】
図2及び図3を用いて、展開位置P1と格納位置P0との間でスパッツ20を移動させる際のリンク機構70の動きについて説明する。
図2及び図3には、入力軸部材31の軸心に沿った線である駆動軸線C0を表示している。図2及び図3には、回転軸部材52の軸心に沿った線である回転軸線C1を表示している。
【0036】
図3に示す格納位置P0から図2に示す展開位置P1にスパッツ20を移動させる際には、回転軸線C1の周りを移動軸部材53が図3における半時計回りに回転運動する。この回転運動によって、スパッツ20が下方D2に引き下げられる。これによって、スパッツ20が格納位置P0から展開位置P1に移動できる。図2に示すように、展開位置P1においては、メインリンク部材50の移動軸部材53は、回転軸部材52よりも後方D3且つ下方D2に位置している。
【0037】
図2に示す展開位置P1から図3に示す格納位置P0にスパッツ20を移動させる際には、回転軸線C1の周りを移動軸部材53が図2における時計回りに回転運動する。この回転運動によって、スパッツ20が上方D1に引き上げられる。これによって、スパッツ20が展開位置P1から格納位置P0に移動できる。図3に示すように、格納位置P0においては、メインリンク部材50の移動軸部材53は、回転軸部材52よりも後方D3且つ上方D1に位置している。
【0038】
図2及び図3に示すように、展開位置P1及び格納位置P0において、入力軸部材31、移動軸部材53及び回転軸部材52は、車両90の前端91aから後方D3に向かって、回転軸部材52、入力軸部材31、移動軸部材53の順に配置されている。スパッツ装置10は、展開位置P1から格納位置P0にスパッツ20を移動させる際に、移動軸部材53が入力軸部材31に近づくように、上方D1に移動できるように構成されている。
【0039】
一例として、格納位置P0から展開位置P1にスパッツ20を移動させる際の動きを、より具体的に説明する。なお、詳細は省略するが、下記の説明とは逆の動きによって、スパッツ20を展開位置P1から格納位置P0に移動させることができる。
【0040】
アクチュエータ12の駆動力によって駆動リンク部材30の入力軸部材31が回転すると、駆動軸線C0の周りを出力軸部材32が回転運動できる。詳述すると、入力軸部材31が図3における時計回りに回転することで、駆動軸線C0の周りを出力軸部材32が図3における時計回りに回転する。
【0041】
駆動軸線C0の周りを出力軸部材32が図3における時計回りに回転運動することによって、出力軸部材32に連結されている伝達リンク部材40が下方D2に移動する。伝達リンク部材40が下方D2に移動することによって、伝達リンク部材40に連結されているメインリンク部材50の連結軸部材51が下方D2に引き下げられる。
【0042】
メインリンク部材50は、回転軸部材52がケース11に支持されていることで、回転軸線C1の周りを移動軸部材53が回転運動するように移動できる。すなわち、連結軸部材51が下方D2に引き下げられる場合には、メインリンク部材50は、回転軸線C1の周りを移動軸部材53が図3における半時計回りに回転するように移動する。これによって、スパッツ20が格納位置P0から展開位置P1に移動できる。
【0043】
図5を用いて、リンク機構70についてさらに説明する。なお、図5では、スパッツ装置10が備える部材の一部について、説明の便宜上、図示を省略している。
リンク機構70は、幅広部と、幅方向D4における長さが幅広部よりも短い幅狭部と、からなる段差構造を有する。段差構造の一例を具体的に説明する。
【0044】
図5に示すように、リンク機構70では、メインリンク部材50が備える回転軸部材52の長さは、メインリンク部材50が備える移動軸部材53の長さよりも短い。換言すると、メインリンク本体54を基端とする回転軸部材52の先端は、メインリンク本体54を基端とする移動軸部材53の先端よりも、メインリンク本体54に近い位置にある。
【0045】
サブリンク部材60は、第1板部61が第2板部62よりもメインリンク本体54に近い位置に配置されるように構成されている。第1板部61は、移動軸部材53よりも回転軸部材52が短い分だけメインリンク本体54に近い位置で回転軸部材52に連結されている。
【0046】
図5には、メインリンク本体54と第1板部61との間の幅方向D4における長さを第1幅W1と表示している。メインリンク本体54と第2板部62との間の幅方向D4における長さを第2幅W2と表示している。第1幅W1は、第2幅W2よりも短い。
【0047】
リンク機構70において第2幅W2の長さを持つ範囲が「幅広部」に対応する。リンク機構70において第1幅W1の長さを持つ範囲が「幅狭部」に対応する。すなわち、幅狭部は、幅方向D4における長さが幅広部よりも短い。リンク機構70は、幅狭部と幅広部との関係に依拠した段差構造を備えている。また、ケース11は、当該段差構造に沿うような形状を有している。
【0048】
<クラッチ機構>
クラッチ機構80について説明する。図6には、移動軸部材53の軸心に沿った線であるクラッチ軸線C2を表示している。クラッチ機構80は、クラッチ軸線C2を回転中心とするスパッツ20の相対回転を規制するとともに、スパッツ20に対する外力の入力に基づいてクラッチ軸線C2を回転中心とするスパッツ20の相対回転を許容するように構成されている。具体的には、クラッチ機構80が作動していない状態では、移動軸部材53とスパッツ20とが一体に支持されている。クラッチ機構80が作動している状態では、移動軸部材53に対してスパッツ20が相対的に移動できる。
【0049】
一例として、格納位置P0に配置されているスパッツ20の回転が許容される態様を説明する。図6は、クラッチ機構80が作動してスパッツ20を格納位置P0から退避させた状態を実線で示す。図6には、比較のために、格納位置P0に配置されているスパッツ20及びベース23を二点鎖線で示している。クラッチ機構80が作動している状態において、クラッチ軸線C2を回転中心としてスパッツ20が図6における時計回りに回転することで、スパッツ20が上方D1に退避できる。このようにしてスパッツ20は、図6に二点鎖線で示す格納位置P0から、実線で示す位置に退避することができる。
【0050】
クラッチ機構80の詳細な構成は、特に制限されない。以下、クラッチ機構80の一例を説明する。
スパッツ装置10は、図4に示すように、クラッチ部材81とコイルばね82とを備えている。
【0051】
クラッチ機構80は、移動軸部材53、クラッチ部材81、コイルばね82及びベース23によって構成されている。
クラッチ部材81は、扁平な六角筒状の外形を有している。クラッチ部材81は、移動軸部材53と同軸に配置されている。具体的には、クラッチ部材81における六角筒の中空部分に移動軸部材53が挿入されている。
【0052】
クラッチ部材81は、山部81a及び谷部81bを備えている。山部81a及び谷部81bは、移動軸部材53の基端と向かい合う面に形成されている。山部81aと谷部81bとは、クラッチ軸線C2の周りに交互に連続するように配置されている。
【0053】
移動軸部材53の基端には、第1受部53a及び第2受部53bが形成されている。第1受部53aと第2受部53bとは、クラッチ軸線C2の周りに交互に連続するように配置されている。第1受部53aは、クラッチ部材81の山部81aと噛み合うことのできる形状を有している。第2受部53bは、クラッチ部材81の谷部81bと噛み合うことのできる形状を有している。このため、山部81a及び谷部81bは、第1受部53a及び第2受部53bと噛み合うことができる。
【0054】
山部81a、谷部81b、第1受部53a及び第2受部53bは、噛み合っている状態のクラッチ部材81及び移動軸部材53に対して、クラッチ軸線C2周りに回転する力が作用すると、山部81aと第2受部53bとが互いに乗り上げるように構成されている。例えば、クラッチ軸線C2を中心とする回転方向のうち一方の方向に回転する力が作用した場合に、山部81aと第2受部53bとが互いに乗り上げることができる。一方でクラッチ軸線C2を中心とする回転方向のうち他方の方向に回転する力が作用した場合には、山部81aと第2受部53bとが互いに乗り上げることができない。
【0055】
山部81aと第2受部53bとが互いに乗り上げると、山部81a、谷部81b、第1受部53a及び第2受部53bの噛み合いが解消される。山部81aと第2受部53bとが互いに乗り上げると、クラッチ部材81及び移動軸部材53の基端がクラッチ軸線C2上において離れるようになる。すなわち、クラッチ部材81及び移動軸部材53は、クラッチ軸線C2周りに回転する力をクラッチ軸線C2に沿った力に変換できるように構成されている。
【0056】
クラッチ部材81は、移動軸部材53に対して相対回転可能且つ軸方向移動可能にクラッチ部材81に移動軸部材53が挿入されている状態で、移動軸部材53とともに、ベース23の挿入穴25に挿入されている。ベース23の挿入穴25は、挿入穴25内に挿入されているクラッチ部材81が相対回転不能且つ軸方向移動可能に嵌め込まれる六角穴部26を備えている。
【0057】
コイルばね82は、クラッチ部材81に移動軸部材53が挿入されている状態、且つコイルばね82に移動軸部材53が挿入されている状態で、クラッチ部材81とともに挿入穴25に挿入されている。クラッチ部材81及びコイルばね82は、クラッチ軸線C2上における移動軸部材53の基端から先端に向かう方向において、クラッチ部材81、コイルばね82の順に配置されている。コイルばね82の一端は、クラッチ部材81に接している。コイルばね82の他端は、例えば、サブリンク部材60の第2板部62に接している。コイルばね82は、クラッチ軸線C2に沿って圧縮されている。コイルばね82は、クラッチ部材81を移動軸部材53の基端に押し付ける方向に付勢している。
【0058】
クラッチ機構80が作動していない状態では、コイルばね82の付勢力によってクラッチ部材81が移動軸部材53の基端に押し付けられることで山部81a、谷部81b、第1受部53a及び第2受部53bが噛み合っている。クラッチ機構80は、山部81a、谷部81b、第1受部53a及び第2受部53bが噛み合っていることによって、クラッチ部材81と移動軸部材53とが一体に回転するように構成されている。このようにして、移動軸部材53とスパッツ20とが一体に支持されている。言い換えれば、移動軸部材53に対するスパッツ20の相対回転が規制されている。
【0059】
クラッチ機構80では、山部81aと第2受部53bとが互いに乗り上げるようにスライドすることで、クラッチ部材81と移動軸部材53の基端とを離す方向の力が発生する。当該力の作用によってクラッチ部材81と移動軸部材53の基端とがコイルばね82の付勢力に抗して離れると、クラッチ部材81と移動軸部材53との相対回転が許容される。これによって、移動軸部材53に対するスパッツ20の相対回転が許容される。
【0060】
クラッチ機構80は、山部81a、谷部81b、第1受部53a及び第2受部53bの形状と、コイルばね82の付勢力と、に基づいて、クラッチ機構80が作動する外力のしきい値を設定している。このため、山部81a、谷部81b、第1受部53a及び第2受部53bの形状と、コイルばね82の付勢力と、を変更することによって、クラッチ機構80が作動する外力のしきい値を調整できる。
【0061】
上記では、格納位置P0に配置されているスパッツ20がクラッチ機構80の作動によって退避する例を説明した。スパッツ装置10は、スパッツ20が展開位置P1に配置されている場合でも、クラッチ機構80が作動できるように構成されている。すなわち、スパッツ20が展開位置P1に配置されている場合でも、移動軸部材53に対するスパッツ20の相対回転を許容できる。
【0062】
<本実施形態の作用>
スパッツ装置10によれば、図2に示すようにスパッツ20を展開位置P1に配置している状態において、スパッツ20を後方D3に押す方向の外力がスパッツ20に入力されることに基づいて、クラッチ機構80が作動する。
【0063】
スパッツ装置10によれば、図3に示すようにスパッツ20を格納位置P0に配置している状態において、スパッツ20を上方D1に突き上げる方向の外力が入力されることに基づいて、クラッチ機構80が作動する。
【0064】
クラッチ機構80の作動によって、移動軸部材53に対してスパッツ20が相対回転することで、図6に示すようにスパッツ20が上方D1に退避できる。このようにスパッツ装置10によれば、スパッツ20に対する外力の入力に基づいてクラッチ機構80が作動した場合に、回転軸線C1とは独立したクラッチ軸線C2を回転中心としてスパッツ20を相対回転させることができる。これによって、スパッツ20が配置されている位置にかかわらず、スパッツ20に外力が加えられた場合にはクラッチ機構80がスパッツ20の相対回転を許容できる。
【0065】
なお、クラッチ機構80を作動させうるほど大きな外力がスパッツ20に入力される場合としては、例えば、車両90の走行中に、スパッツ20が障害物に干渉する場合等が挙げられる。
【0066】
スパッツ装置10は、スパッツ20を固定するベース23を備えている。このため、スパッツ20は、挿入穴25から支持部24までのベース23の長さ分だけ移動軸部材53よりも後方D3に支持されている。すなわち、ベース23の長さ分だけクラッチ軸線C2とスパッツ20との距離が離れている。
【0067】
スパッツ装置10では、リンク機構70が段差構造を有している。段差構造によって、幅方向D4におけるリンク機構70の広がりが抑制される。段差構造を有していない場合と比較して、幅方向D4におけるスパッツ装置10の大きさを小さくできる。
【0068】
<本実施形態の効果>
(1)スパッツ装置10は、スパッツ20が配置されている位置にかかわらず、スパッツ20に外力が加えられた場合には、移動軸部材53に対するスパッツ20の相対回転を許容できる。このため、スパッツ20を格納位置P0に配置している場合でも、スパッツ20を展開位置P1に配置している場合でも、スパッツ20に加えられる荷重を緩和することができる。
【0069】
(2)スパッツ装置10は、スパッツ20に対して加わりうる外力の力点と、クラッチ軸線C2との距離を離すことができる。これによって、スパッツ20に入力される外力が小さい場合でも、クラッチ機構80が作動しやすくなる。外力が入力された場合に移動軸部材53に対するスパッツ20の相対回転が許容されやすくなるため、スパッツ20が過度に大きな荷重を受けることを抑制できる。仮にスパッツ20が過度に大きな荷重を受けると、スパッツ20が変形するおそれがある。スパッツ装置10によれば、スパッツ20の変形を抑制できる。また、クラッチ機構80が作動しやすいことによって、クラッチ機構80が過度に大きな荷重を受けることを抑制できる。
【0070】
(3)スパッツ装置10は、幅方向D4におけるリンク機構70の広がりを抑制することができる。これによって、段差構造として第1幅W1が第2幅W2よりも短い分だけ、幅方向D4におけるスパッツ装置10の大きさを小さくできる。換言すれば、段差構造がスパッツ装置10の小型化に寄与する。このため、スパッツ装置10が取り付けられている車両90では、スパッツ装置10の位置に対して幅方向D4の空間を大きく確保することができる。
【0071】
このようにスパッツ装置10によれば、スパッツ装置10の周囲に空間を確保しやすくなる。これによって、スパッツ装置10が取り付けられている周囲に配置されている他の部材と、スパッツ装置10との干渉を抑制できる。また、スパッツ装置10との干渉を抑制するようにスパッツ装置10の周囲に他の部材を配置しやすくなる。車両90の前輪93よりも前端91aに近い位置の空間が限られている場合でも、スパッツ装置10を取り付けやすくなる。
【0072】
(4)スパッツ装置10は、スパッツ20が格納位置P0にある際には、回転軸部材52に対して後方D3且つ上方D1の位置に移動軸部材53が配置されるように構成されている。このため、スパッツ20を格納位置P0に配置している際には、移動軸部材53を格納下線S1に対してより上方D1に離れた位置に配置できる。すなわち、メインリンク部材50と、移動軸部材53に連結されているベース23とを、格納下線S1に対して上方D1に離れた位置に配置しやすくなる。これによって、メインリンク部材50及びベース23が障害物等に干渉することを抑制できる。
【0073】
(5)仮に回転軸部材52の軸心に沿った線をクラッチ軸線とするようなクラッチ機構を採用すると、回転軸部材52の周辺が大型化あるいは複雑化するおそれがある。
これに対して、スパッツ装置10では、クラッチ軸線C2を持つ移動軸部材53が回転軸部材52とは独立した軸部材である。これによって、スパッツ装置10は、回転軸部材52の周辺を比較的小さくすることができる。
【0074】
(6)スパッツ装置10では、回転軸部材52を有するメインリンク部材50が移動軸部材53を有している。このため、回転軸線C1を回転中心としてメインリンク部材50が回転することによってスパッツ20を移動させることができる。こうしたスパッツ装置10によれば、例えば四節リンク機構のような機構を採用する場合と比較して、簡易な構成でスパッツ20の移動を実現できる。
【0075】
(7)スパッツ装置10では、クラッチ軸線C2を持つ移動軸部材53が回転軸部材52とは独立した軸部材である。このため、クラッチ機構80が作動するような外力が入力された場合には、アクチュエータ12に負荷をかけることなく、アクチュエータ12に外力が伝達される経路を遮断できる。
【0076】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0077】
・上記実施形態では、回転軸部材52の長さが移動軸部材53の長さよりも短い。これに替えて、移動軸部材53の長さが回転軸部材52の長さよりも短くてもよい。これによって段差構造が構成されていてもよい。このように、リンク機構70が備える段差構造は、上記実施形態に例示した構成に限らない。段差構造は、幅広部と、幅方向D4における長さが幅広部よりも短い幅狭部と、によって構成されていればよい。
【0078】
・上記実施形態では、メインリンク本体54と第1板部61との間の幅方向D4における長さを幅狭部に対応する長さとして、メインリンク本体54と第2板部62との間の幅方向D4における長さを幅広部に対応する長さとした。幅狭部及び幅広部を規定するための第1幅W1及び第2幅W2の基点は、メインリンク本体54であることに限らない。第1幅W1の基点と第2幅W2の基点とが同一であればよい。例えば、駆動リンク本体33と第1板部61との間の幅方向D4における長さを幅狭部に対応する長さとして、駆動リンク本体33と第2板部62との間の幅方向D4における長さを幅広部に対応する長さとしてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、リンク機構70が段差構造を有している例を示した。スパッツ装置10としては、リンク機構70が段差構造を有していることは必須の構成ではない。例えば、回転軸部材52の長さと移動軸部材53の長さとが等しくてもよい。
【0080】
・上記実施形態が備えるベース23の形状は一例である。ベース23の形状は、任意に変更することができる。ベース23の形状を変更する場合でも、ベース23の形状は、移動軸部材53に対して離れた位置にスパッツ20を支持することができる形状であることが好ましい。
【0081】
・上記実施形態では、スパッツ20を固定するベース23を備えている構成を例示した。これに替えて、スパッツ20が移動軸部材53に直接連結されている構成を採用してもよい。この場合におけるスパッツは、例えば、移動軸部材53を挿入する挿入穴と、クラッチ部材81を固定する六角穴部と、を備えていることが好ましい。この場合には、クラッチ機構80は、移動軸部材53、クラッチ部材81、コイルばね82及びスパッツによって構成されることになる。
【0082】
・クラッチ機構80の構成は、任意に変更してもよい。例えば、山部81a、谷部81b、第1受部53a及び第2受部53bの形状は、任意に変更してもよい。例えば、コイルばね82以外の付勢部材を採用してもよい。例えば、コイルばね82を省略した構成を採用してもよい。クラッチ機構80としては、クラッチ軸線C2を回転中心とするスパッツ20の相対回転を規制するとともに、スパッツ20に対する外力の入力に基づいてクラッチ軸線C2を回転中心とするスパッツ20の相対回転を許容することができればよい。
【0083】
・展開位置P1の設定、及び展開位置P1に支持されたスパッツ20の姿勢等については、任意に変更してもよい。そして、格納位置P0、及び格納位置P0に支持されたスパッツ20の姿勢等についてもまた、任意に変更してもよい。
【0084】
スパッツ20が格納位置P0に配置されている状態では、フラップ部21は、車両90を側方から見た場合に隠れていることが好ましい。しかしながら、例えば、以下のように構成してもよい。例えば、格納位置P0にスパッツ20を配置している状態で、フラップ部21の一部が車体91の下端91bよりも下方D2に突出するようにスパッツ20が支持される構成であってもよい。
【0085】
・展開位置P1に配置されているスパッツ20に対する外力の入力に基づいてスパッツ20が退避される際には、スパッツ20が格納下線S1よりも上方D1に退避することが可能に構成されていることが好ましい。これに限らず、スパッツ20が退避される際に、スパッツ20の一部が格納下線S1よりも下方D2に配置されていてもよい。スパッツ装置10としては、スパッツ20に印加された衝撃荷重を、有効に緩和することのできる構成を備えていればよい。ただし、衝撃荷重を緩和する観点では、スパッツ20が退避する際のストロークは、大きいことが好ましい。
【0086】
・格納位置P0にスパッツ20が支持されている状態において、クラッチ機構80が作動する外力の入力方向については、上記実施形態において例示した方向に限らない。スパッツ装置10は、スパッツ20を上方D1に突き上げる方向の外力に限らず、クラッチ機構80が作動してスパッツ20の相対回転が許容されることで、スパッツ20に入力される外力に基づく荷重を緩和することができる。
【0087】
・上記実施形態では、スパッツ装置10は、リンク機構70に駆動力を付与するアクチュエータ12を備えている。スパッツ装置10としては、アクチュエータ12を備えていない構成を採用することもできる。例えば、ワイヤーケーブル等を介して、利用者の手動操作による駆動力をリンク機構70に伝達する構成を採用してもよい。
【0088】
・上記実施形態では、スパッツ装置10は、車両90の前輪93よりも前端91aに近い位置に取り付けられている例を示した。これに限らず、例えば、車両90の後輪に向かう走行風を整流できる位置にスパッツ装置10を取り付けてもよい。すなわち、車輪よりも前端91aに近い位置にスパッツ20を配置する際の当該車輪については、任意に設定できる。スパッツ20の形状及び大きさについてもまた、任意に変更してもよい。
【符号の説明】
【0089】
10…スパッツ装置
20…スパッツ
23…ベース
52…回転軸部材
53…移動軸部材
70…リンク機構
80…クラッチ機構
90…車両
93…車輪のうち前輪
C1…回転軸線
C2…クラッチ軸線
D1…上方
D2…下方
D3…後方
D4…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6