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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131443
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】成膜方法及び成膜装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/28 20060101AFI20240920BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/203 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C23C14/28
C23C14/06 A
H01L21/203 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041707
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】519338902
【氏名又は名称】有限会社アルファシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 大助
【テーマコード(参考)】
4K029
5F103
【Fターム(参考)】
4K029AA07
4K029AA21
4K029AA24
4K029BA58
4K029CA02
4K029DB03
4K029DB13
4K029DB20
4K029EA03
4K029EA04
4K029EA08
4K029EA09
4K029JA01
4K029JA08
5F103AA10
5F103BB02
5F103BB23
5F103BB32
5F103BB36
5F103BB42
5F103DD30
5F103NN01
5F103NN04
5F103NN05
5F103RR04
(57)【要約】
【課題】面積の大きい良質な成膜を容易に実現することができる成膜方法及び成膜装置を提供すること。
【解決手段】チャンバ10内に配置されたターゲット2にパルス状のレーザ光3を照射することにより、ターゲット2からターゲット材料を蒸発させて、蒸発したターゲット材料を、チャンバ10内に配置した基板4の表面に供給すると共に、ラジカル50を基板4の表面に照射することで、基板4の表面にターゲット材料の化合物を含む膜を成膜する、成膜方法。チャンバ10内における基板4を、基板4の表面に平行な方向に二次元的に移動させながら成膜を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内に配置されたターゲットにパルス状のレーザ光を照射することにより、上記ターゲットからターゲット材料を蒸発させて、蒸発した該ターゲット材料を、上記チャンバ内に配置した基板の表面に供給すると共に、ラジカルを上記基板の表面に照射することで、該基板の表面に上記ターゲット材料の化合物を含む膜を成膜する、成膜方法であって、
上記チャンバ内における上記基板を、該基板の表面に平行な方向に二次元的に移動させながら成膜を行う、成膜方法。
【請求項2】
上記基板の表面への上記ターゲット材料の供給位置の中心と、上記基板の表面への上記ラジカルの照射位置の中心とを、互いにずらし、上記基板の移動方向は、上記基板の表面への上記ターゲット材料の供給位置の中心から、上記基板の表面への上記ラジカルの照射位置の中心へ向かう方向である、請求項1に記載の成膜方法。
【請求項3】
チャンバ内に配置されたターゲットにパルス状のレーザ光を照射することにより、上記ターゲットからターゲット材料を蒸発させて、蒸発した該ターゲット材料を、上記チャンバ内に配置した基板の表面に供給すると共に、ラジカルを上記基板の表面に照射することで、該基板の表面に上記ターゲット材料の化合物を含む膜を成膜する、成膜装置であって、
上記チャンバ内における上記基板を、該基板の表面に平行な方向に二次元的に移動させる基板移動装置を有する、成膜装置。
【請求項4】
上記基板移動装置は、上記チャンバの本体部に対して上記基板の表面に平行な方向に移動する可動部を有し、該可動部の少なくとも一部は、上記チャンバの外部に配置されており、上記チャンバ内において上記基板を保持する基板保持部は、上記可動部に固定されており、上記チャンバは、上記本体部と上記可動部との間の少なくとも一部を連結する連結封止部を有し、該連結封止部は、上記チャンバの気密性を確保しつつ、上記本体部に対する上記可動部の動きに追従して変形するよう構成されている、請求項3に記載の成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パルスレーザ堆積法を用いて、III族金属等の膜を基板上に成膜する方法が提案されている。パルスレーザ堆積法は、成膜材料からなるターゲットの表面に、パルス状のレーザ光を照射し、材料を蒸発させ、基板に成膜する方法である。以下において、パルスレーザ堆積法を、PLD法ともいう。PLDは、Pulsed Laser Depositionの略である。
【0003】
ここで、量産等を考慮すると、成膜すべき基板表面の面積をある程度大きくする必要がある。この場合、ターゲット材料の供給位置を基板全体にわたり移動させる必要がある。そのために、例えば、特許文献1には、ターゲットに対するレーザ光の照射位置を走査させることで、基板表面の全体にわたりターゲット材料を供給し、基板全体にわたって均一な成膜を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-172981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板表面にラジカルを照射しながらターゲット材料を基板表面に供給して、ターゲット材料の化合物を成膜する場合には、上述のようなレーザ光を走査させる技術を適用することは困難である。
【0006】
例えば、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)等の化合物を、PLD法によって基板表面に成膜する場合、基板表面へのターゲット材料の供給と共に、窒素等のラジカルを基板表面に供給する。これにより、基板表面において、GaやAl等のターゲット材料と、窒素等のラジカルとが化学反応し、ターゲット材料の化合物(例えば、GaN、AlN等)が成膜される。
【0007】
ここで、良質な膜を形成するにあたり、基板表面における、ターゲット材料の供給位置と、ラジカルの照射位置とを、所定の位置関係に保ちながら成膜を行うことが必要な場合がある。この位置関係を実現しつつ、レーザ光を走査させる場合には、ラジカルの照射位置も同期して走査させる必要がある。この場合、レーザ光を走査させる機構とラジカルの照射位置を走査させる機構とを設けることとなると共に、その動作精度を高精度に維持する必要がある。その結果、制御が複雑となると共にコストが増大してしまう。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、面積の大きい良質な成膜を容易に実現することができる成膜方法及び成膜装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、チャンバ内に配置されたターゲットにパルス状のレーザ光を照射することにより、上記ターゲットからターゲット材料を蒸発させて、蒸発した該ターゲット材料を、上記チャンバ内に配置した基板の表面に供給すると共に、ラジカルを上記基板の表面に照射することで、該基板の表面に上記ターゲット材料の化合物を含む膜を成膜する、成膜方法であって、
上記チャンバ内における上記基板を、該基板の表面に平行な方向に二次元的に移動させながら成膜を行う、成膜方法にある。
【0010】
本発明の他の態様は、チャンバ内に配置されたターゲットにパルス状のレーザ光を照射することにより、上記ターゲットからターゲット材料を蒸発させて、蒸発した該ターゲット材料を、上記チャンバ内に配置した基板の表面に供給すると共に、ラジカルを上記基板の表面に照射することで、該基板の表面に上記ターゲット材料の化合物を含む膜を成膜する、成膜装置であって、
上記チャンバ内における上記基板を、該基板の表面に平行な方向に二次元的に移動させる基板移動装置を有する、成膜装置にある。
【発明の効果】
【0011】
上記成膜方法においては、上記チャンバ内における上記基板を、該基板の表面に平行な方向に二次元的に移動させながら成膜を行う。これにより、成膜の間、基板に対するターゲット材料の供給位置とラジカルの照射位置との関係を一定に保ちやすい。そして、これらの位置に対して基板表面を移動させることで、ターゲット材料の供給位置及びラジカルの照射位置を、基板表面に対して相対的に走査させることができる。その結果、基板表面の広い範囲に、良質な成膜を容易に実現することができる。
【0012】
上記成膜装置においては、上記チャンバ内における上記基板を、該基板の表面に平行な方向に二次元的に移動させる基板移動装置を有する。これにより、上記成膜方法を容易に実現することができる。
【0013】
以上のごとく、上記態様によれば、面積の大きい良質な成膜を容易に実現することができる成膜方法及び成膜装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1における、成膜装置の説明図。
図2】実施形態1における、ターゲットへのレーザ光の入射を示す断面説明図。
図3】実施形態1における、Y方向から見た基板のX方向の移動を示す説明図。
図4】実施形態1における、基板の法線方向から見た基板の移動を示す説明図。
図5】実施形態1における、基板の動かし方のフロー図。
図6】実施形態1における、基板に対する原料供給位置の軌跡を示す説明図。
図7】実験例における、膜厚分布の測定結果を示す線図。
図8】実施形態2における、基板に対する原料供給位置の軌跡を示す説明図。
図9】実施形態2における、基板の法線方向から見た基板の移動を示す説明図。
図10図9に続く、基板の移動を示す説明図。
図11図10に続く、基板の移動を示す説明図。
図12】実施形態2における、成膜装置の説明図。
図13】実施形態3における、成膜装置の説明図。
図14】実施形態3における、(a)基板表面の局所へ供給されるガリウム及び窒素ラジカルを模式的に表した断面説明図、(b)(a)に対応して、各部に供給されるN/Ga比を示す線図。
図15】実施形態3における、基板の移動に伴う基板に対するガリウム及び窒素ラジカルの供給位置の移動を示す、Y方向から見た説明図。
図16】実施形態3における、基板のX方向の移動に伴う、ガリウム及び窒素ラジカルの供給位置に対する基板上の特定箇所の移動を示す、基板法線方向から見た説明図。
図17】実施形態3における、基板の自転に伴う、ガリウム及び窒素ラジカルの供給位置に対する基板上の特定箇所の移動を示す、基板法線方向から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において「二次元的に移動」とは、一つの直線に沿った直線運動のみの移動や、一つの円に沿った円運動のみの移動ではなく、その動きの軌跡が面状に広がるような移動を意味する(図6図8参照)。
【0016】
上記成膜方法において、上記基板の表面への上記ターゲット材料の供給位置の中心と、上記基板の表面への上記ラジカルの照射位置の中心とを、互いにずらし、上記基板の移動方向は、上記基板の表面への上記ターゲット材料の供給位置の中心から、上記基板の表面への上記ラジカルの照射位置の中心へ向かう方向である、ものとすることができる。この場合には、基板上へ均一な成膜を容易に実現することができる。
【0017】
上記成膜装置において、上記基板移動装置は、上記チャンバの本体部に対して上記基板の表面に平行な方向に移動する可動部を有し、該可動部の少なくとも一部は、上記チャンバの外部に配置されており、上記チャンバ内において上記基板を保持する基板保持部は、上記可動部に固定されており、上記チャンバは、上記本体部と上記可動部との間の少なくとも一部を連結する連結封止部を有し、該連結封止部は、上記チャンバの気密性を確保しつつ、上記本体部に対する上記可動部の動きに追従して変形するよう構成されている、ものとすることができる。この場合には、上記基板移動装置のメンテナンス性を確保しつつ、基板の移動を実現することができる。
【0018】
(実施形態1)
成膜方法及び成膜装置に係る実施形態について、図1図6を参照して説明する。
本形態の成膜方法は、以下のようにして基板4の表面に成膜を行う方法である。すなわち、図1図2に示すごとく、チャンバ10内に配置されたターゲット2にパルス状のレーザ光3を照射する。これにより、ターゲット2からターゲット材料を蒸発させて、蒸発したターゲット材料を、チャンバ10内に配置した基板4の表面に供給する。これと共に、ラジカル50を基板4の表面に照射する。基板4の表面にターゲット材料の化合物を含む膜を成膜する。本形態の成膜方法は、いわゆるパルスレーザ堆積法(PLD法)である。
【0019】
そして、チャンバ10内における基板4を、基板4の表面に平行な方向に二次元的に移動させながら成膜を行う。
【0020】
図1は、PLD法によって成膜を行う成膜装置1の概略図である。同図に示すように、成膜装置1は、チャンバ10と、ターゲット保持部12と、レーザ照射装置13と、基板保持部14とラジカル照射装置5とを有する。ターゲット保持部12は、チャンバ10内に配置され、ターゲット2を保持する。基板保持部14も、チャンバ10内に配置され、基板4を保持する。ターゲット2と基板4における被成膜面とが互いに対向するように、それぞれターゲット保持部12と基板保持部14とに保持される。また、基板保持部14は、基板4を加熱するヒータを有する。
【0021】
レーザ照射装置13は、チャンバ10の外部に配置されている。チャンバ10には、レーザ光3を透過する光透過窓101が設けてある。レーザ照射装置13と光透過窓101との間には、レンズ16が介在している。レーザ照射装置13から放射されるレーザ光3は、レンズ16によって、ターゲット2の表面に集光される。なお、レーザ照射装置13と光透過窓101との間には、適宜、他のレンズ等の光学素子を設置してもよい。
【0022】
ラジカル照射装置5は、チャンバ10内に配置された基板4へ向かってラジカル50を照射する。また、チャンバ10には、排気口102が設けてある。排気口102は、真空ポンプ(図示略)に接続されている。これにより、チャンバ10内のガスを排気口102から排気して、チャンバ10内を実質的な真空状態とすることができるよう構成されている。
【0023】
本形態においては、ターゲット2の表面を鉛直上向き、基板4の被成膜面を鉛直下向きとしている。ただし、ターゲット2及び基板4の配置の向きと、鉛直方向との関係は、特に限定されるものではない。基板保持部14は、基板4の表面に平行な方向に二次元的に移動することができるよう構成されている。本形態においては、基板保持部14は、水平面に沿って、二次元的に移動することができることとなる。なお、以下において、基板4の表面に平行な互いに直交する2つの方向を、X方向及びY方向というものとする。
【0024】
基板移動装置は、チャンバ10の本体部100に対して基板4の表面に平行な方向に移動する可動部61を有する。可動部61の少なくとも一部は、チャンバ10の外部に配置されている。チャンバ10内において基板4を保持する基板保持部14は、可動部61に固定されている。チャンバ10は、本体部100と可動部61との間の少なくとも一部を連結する連結封止部103を有する。連結封止部103は、チャンバ10の気密性を確保しつつ、チャンバ10の本体部100に対する可動部61の動きに追従して変形するよう構成されている。
【0025】
基板保持部14は、チャンバ10の上方に配置された可動部61に、連結固定部62を介して固定されている。可動部61は、チャンバ10の本体に対して、X方向に移動できるよう構成されている。すなわち、チャンバ10に固定されたターゲット2及びラジカル照射装置5に対して、X方向に移動できるよう構成されている。可動部61は、図示を省略するモータ等によって、X方向に移動できるよう構成されている。また、基板保持部14は、基板4の法線方向の回転軸の周りに自転できるよう構成されている。なお、可動部61は、X方向及びY方向の双方に移動できるよう構成することもできる。
【0026】
また、可動部61の移動は、図示を省略する制御部によって制御される。制御部は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成することができる。可動部61、連結固定部62、モータ、制御部等によって、基板移動装置が構成されている。
【0027】
また、チャンバ10の上部には、連結封止部103が設けてある。連結封止部103は、可動部61の動きに追従しつつ気密性を確保するよう構成されている。具体的には、連結封止部103は、ベローズ構造(蛇腹構造)を有する。略筒状の連結封止部103の内側に、連結固定部62が挿通されている。これにより、可動部61及びこれに付随するモータ等をチャンバ10の外部に配置しつつ、チャンバ10の気密性を確保し、チャンバ10の真空状態を確保している。可動部61及びこれに付随するモータ等の配置をチャンバ10の外部とすることで、これらのメンテナンス性を向上させることができる。
【0028】
以下において、上記成膜装置1を用いた本形態の成膜方法の一例につき、説明する。
ここでは、ターゲット2として、ガリウム(Ga)を用いる。ターゲット保持部12としては、例えば、酸化アルミニウムからなるるつぼを用いる。図2に示すごとく、ターゲット保持部12としてのるつぼ内に、ガリウムが液体の状態にて保持されている。液体のガリウムからなるターゲット2の表面は、その表面張力によって、一部が曲面状となっている。ただし、ターゲット2の表面の中央部付近は、法線方向が略鉛直上向きとなっており、基板4の方向を向いている。
【0029】
まず、チャンバ10内からガスを吸引して、チャンバ10内を実質的に真空の状態とする。また、基板保持部14のヒータにより、基板4を所定の温度(例えば400~800℃程度)に加熱する。また、ターゲット2の温度は、室温~100℃程度に保つ。なお、ターゲット2は、例えば、基板保持部14のヒータの加熱による輻射熱により加熱される構成としてもよい。この状態において、ラジカル照射装置5から、窒素ラジカル50を基板4へ向かって照射する。それと共に、レーザ照射装置13から、レンズ16、光透過窓101を介して、レーザ光3を、ターゲット2へ照射する。
【0030】
レーザ光3は、ターゲット2の表面に対して、斜めに入射する。すなわち、図2に示すごとく、ターゲット2の表面に対するレーザ光3の入射角θが、90°未満となるようにする。パルス状のレーザ光3は、例えば、パルス幅10~50ps、パルスの繰り返し周波数1~100kHz、照射エネルギ50~100μJ程度とすることができる。
【0031】
これにより、ターゲット2から、ガリウムが蒸発する。すなわち、ターゲット2の表面の一部がアブレーションされる。アブレーションされたターゲット2の材料であるガリウムは、イオン、原子、分子等となり、図1に示すごとく、プルーム20を形成する。プルーム20は、ターゲット2におけるレーザ光3の照射面の法線方向に向かうように形成される。これにより、ガリウムのイオン、原子、分子等が、基板4の表面に堆積する。
【0032】
基板4上において、ガリウムは、ラジカル照射装置5から基板4に供給される窒素ラジカル50と化学反応して、窒化ガリウム(GaN)が生成される。これにより、GaNの薄膜が基板4上に形成される。
【0033】
成膜中において、上述のように基板4をXY平面に沿って二次元的に移動させる。具体的には、例えば、図3図4に示すごとく、基板4のX方向への移動(図3図4における矢印s)と、基板4の自転(図4における矢印r)との双方を行う。この動作を実現するために、基板移動装置は、基板保持部14を自転させる機構と、基板保持部14をX方向に移動させる機構とを、少なくとも備える。
【0034】
基板4の自転と、基板4のX方向への移動との双方を行うことにより、基板4に対するターゲット材料(すなわちGa)と窒素ラジカル50との供給位置を、基板4の表面に対して相対的にスキャンすることができる。すなわち、Ga及び窒素ラジカルの供給位置を、基板4に対して、相対的に、極座標スキャンすることとなる(図6参照)。図3において、矢印200は、ターゲット材料の供給を示す。
【0035】
なお、本形態においては、基板4に対するGaの供給位置と窒素ラジカルの供給位置とは、重なっているものとする。以下において、基板4に対するGaの供給位置と窒素ラジカル50の供給位置を、適宜「原料供給位置P」というものとする。また、この原料供給位置Pへガリウムと窒素ラジカルを供給することを、単に「原料供給」ともいうものとする。
【0036】
さらには、基板4に対するGaの供給位置の中心と窒素ラジカルの供給位置の中心とは、概ね一致しているものとする。なお、基板4に対するGaの供給量と窒素ラジカルの供給量とは、適切な化学量論比となるように調整する。
【0037】
基板4の動かし方の一例を、図5のフローチャートに沿って説明する。
図3図4に示すごとく、まず、原料供給位置Pが基板4の中央からX方向に所定距離(例えば9mm)離れた位置となる状態から始めるとする。そして、原料供給位置Pが、当該位置から、基板4の中央を通る直線D(図6参照)に沿って、基板4の中央を通り越して、中央から反対側に所定距離(例えば9mm)離れた位置まで移動するように、基板4をX方向に移動させるものとする。図3図4において、実線にて表した基板4が成膜開始時点における基板4の位置を表し、破線にて表した基板4が成膜開始後の各時点における基板4の位置を表す。
【0038】
まず、基板4を自転させる(図5のステップS1参照)。基板4の自転は、成膜の間、定速にて継続させておく。そして、原料供給位置Pが基板4の中央からX方向に所定距離離れた位置となる状態において、原料供給を開始する(図5のステップS2参照)。なお、基板4の中央は、基板4の自転中心である。原料供給開始から、所定時間、基板4のX方向の移動は停止しておく(図5のステップS3参照)。
【0039】
次に、基板4をX方向に所定距離Δx(例えば1mm)移動させる(図5のステップS4参照)。基板4をX方向に所定距離Δx移動させた時点で、一旦、X方向の移動は停止する(図5のステップS5参照)。そして、所定時間、基板4のX方向の移動は停止する。すなわち、この間、基板4は、X方向へ移動させず、自転させるのみとする。この基板4の自転を、少なくとも1回転以上行う。
【0040】
基板4のX方向の移動の停止時間が所定時間経過した後、すなわち、基板4を所定回数(1回転以上)回転させた後、さらに、基板4をX方向に所定距離Δx移動させる(図5のステップS4参照)。その後、基板4のX方向の移動を一旦停止し、自転のみとする(図5のステップS5参照)。なお、基板4のステップS5におけるX方向の移動停止時間は、基板4における原料供給位置Pに応じて、適宜調整することが好ましい。すなわち、基板4の表面の各部に対する原料供給時間が一定となるように、基板4を移動、回転させることが好ましい。そのためには、特にステップS3、S5における基板4のX方向の移動停止時間を、基板4における回転中心からの原料供給位置Pの距離に応じて、変化させる必要がある。つまり、基板4の回転中心から遠い位置に原料供給位置Pが位置するときほど、X方向の移動停止時間を長くする。
【0041】
例えば、原料供給位置Pが基板中心(自転中心)から距離r離れた位置にあるときの基板4のX方向の移動停止時間は、rに比例する時間とすることが好ましい。これにより、基板4の表面全体における膜厚の均一性を向上させることができる。ただし、r=0のときは、この式は適用されない。
【0042】
このように、基板4を自転させつつ、基板4のX方向への所定距離Δxの移動と停止とを、順次繰り返して、成膜を行う。そして、原料供給位置Pが最外周において所定回数周回したところで、成膜を完了する(図5のステップS6参照)。なお、最外周とは、原料供給すべき範囲の最外周を意味する。最外周は、得ようとする基板4上の膜の範囲に応じて、予め設定しておく。また、本形態においては、基板4のX方向の移動時も、停止時も、原料供給は継続する。ただし、後述するブランキング法を利用する場合は、必要に応じて、ターゲット材料の供給が断続することとなる。
【0043】
以上のような基板4の移動及び自転を行うことにより、図6に示すごとく、基板4の表面における原料供給位置Pが、相対的に、基板4の略全体にわたり、走査されることとなる。つまり、本形態の場合は、基板4の表面に対して、原料供給位置Pが極座標スキャンされることとなる。図6においては、基板4上における、原料供給位置Pの移動の軌跡を、矢印を付して示している。
【0044】
なお、基板4に対する成膜開始時点における原料供給位置Pは、特に限定されるものではなく、例えば、基板4の最外周付近としたり、中央としたりすることもできる。
【0045】
次に、本形態の作用効果につき説明する。
上記成膜方法においては、チャンバ10内における基板4を、基板4の表面に平行な方向に二次元的に移動させながら成膜を行う。これにより、成膜の間、基板4に対するターゲット材料の供給位置とラジカルの照射位置との関係を一定に保ちやすい。そして、これらの位置(すなわち原料供給位置P)に対して基板4の表面を移動させることで、ターゲット材料の供給位置及びラジカルの照射位置を、基板4表面に対して相対的に走査させることができる。したがって、所定の比率(ここでは、GaとNとの比率)にて原料が供給される原料供給位置Pを、相対的に、基板4の表面における広い範囲に移動させることができる。その結果、基板4の表面の広い範囲に、良質な成膜を容易に実現することができる。
【0046】
また、上記成膜装置1は、チャンバ10内における基板4を、基板4の表面に平行な方向に二次元的に移動させる基板移動装置を有する。これにより、上述の成膜方法を容易に実現することができる。
【0047】
以上のごとく、本形態によれば、面積の大きい良質な成膜を容易に実現することができる成膜方法及び成膜装置を提供することができる。
【0048】
(実験例)
本例においては、実施形態1の成膜方法による、成膜の均一化の効果を確認した。
なお、本例以降において用いる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0049】
本例においては、試料1として、実施形態1の成膜方法にて基板4に窒化ガリウムの膜を成膜したものを作製した。また、比較のために、試料2として、基板4を動かすことなく窒化ガリウムを成膜したものも作製した。これらの試料につき、膜厚の面内分布を調べた。試料1及び試料2の作製は、成膜中における基板4の移動及び回転の有無以外については、同様の条件にて行った。
【0050】
レーザ照射装置13としては、Panasonic Boston Lab.社製のピコ秒レーザを用いた。レーザ照射装置13からは、波長が1064nm、パルス幅が15ps、繰り返し周波数が50kHzのパルス状のレーザ光3を放射させた。ターゲット2の表面に対するレーザ光3の入射角θ(図2参照)は、30°とした。
【0051】
また、ラジカル照射装置5としては、ICP(誘導結合型プラズマ)とCCP(容量結合型プラズマ)とを組み合わせた高密度ラジカル源を用いた。ラジカル照射装置5においては、窒素ラジカルを生成し、図1に示すごとく、窒素ラジカル50を基板4に向かって照射した。すなわち、基板4に窒素ラジカル50を照射しながら、ターゲット2にレーザ光3を照射して、GaNの成膜を行った。
【0052】
他の成膜条件として、基板4の温度は650℃、ターゲット2の温度は27℃、チャンバ10内の圧力は5×10-2Pa、窒素の流量は20sccm、ラジカル出力は600Wとした。また、レーザ光3の照射の仕方として、本願発明者らが既に提案しているレーザブランキング法(児玉和樹他、第66回春季応用物理学会11p-W541-11(2019)参照)を利用し、照射オン/オフ時間を、それぞれ3秒/10秒とした。また、基板4としては、直径50mmの円盤状のC面サファイヤ基板を用いた。
【0053】
試料2の作製においては、基板4を動かすことなく、基板4の表面への原料供給を行った。すなわち、基板4に対する原料供給の位置は、動かないようにした。原料供給位置の中心は、基板4の中央となるようにした。
【0054】
試料1の作製にあたっては、実施形態1に示したような、極座標スキャン(図3図6参照)にて、行った。
また、上記所定距離Δx(すなわち基板4の1回のX方向の移動距離)は1mm、原料供給位置Pが基板4の中央(自転中心)に留まる時間は13.33秒とした。この場合、原料供給位置Pの基板中心(自転中心)からの距離rが1mmのときは、X方向の移動停止時間は約84秒となる。すなわち、上述のように、原料供給位置Pが基板中心(自転中心)から距離r離れた位置にあるときの基板4のX方向の移動停止時間は、13.33×2πr とした。ただし、r=0のときは、この式は適用されない。
【0055】
本例においては、基板4のX方向への所定距離Δxの移動(図5のステップS4)と、X方向の移動停止(図5のステップS5)とを、18回繰り返した。つまり、原料供給位置Pの中心が、基板4の中心に対してX方向に9mm離れた位置から、基板4の中心に対してX方向の反対側に9mm離れた位置となるまで、基板4の所定距離Δxの移動(ステップS4)と、X方向の移動停止(ステップS5)とを、18回繰り返して、成膜を行った。
【0056】
上記のようにして得られた試料1及び試料2につき、成膜されたGaN膜の膜厚の分布を測定した。膜厚測定は、成膜されたGaN膜の断面を、SEM(電子顕微鏡)にて観察測定することにより行った。その測定結果を図7に示す。
【0057】
同図から分かるように、試料2においては、膜厚分布が、基板中心をピークとするガウス分布となり、そのばらつきが大きい。膜厚分布がガウス分布となるのは、ターゲット2からのガリウムの供給量(すなわちプルーム20の強度)が、基板4への供給位置の中心(すなわち基板中心)をピークとするガウス分布となることに由来すると考えられる。
【0058】
これに対して、試料1においては、基板全体にわたり、膜厚が平準化され、膜厚ばらつきが大きく低減している。特に、基板中心からの距離が10mmまでの範囲(つまり、基板中心を中心とした直径20mmの範囲)で、膜厚ばらつきが、±3.8%以内であった。
【0059】
本例の結果から、上記実施形態1の成膜方法によると、成膜の膜厚分布を均一化することができることが分かる。
【0060】
(実施形態2)
本形態は、図8図12に示すごとく、基板4の動かし方を変更した形態である。
すなわち、図8に示すごとく、基板4の表面に対して、原料供給位置Pが、いわゆるラスタスキャンされるように、基板4を、XY平面に沿って移動させる。
【0061】
これを実現させるために、本形態の成膜装置1においては、基板移動装置が、基板保持部14をX方向に移動させる機構と、基板保持部14をY方向に移動させる機構とを備える。すなわち、例えば、基板移動装置における可動部61が、X方向とY方向との双方に可動となっており、X方向に移動させるためのモータと、Y方向に移動させるためのモータとを備えるものとすることができる。
【0062】
例えば、図9に示すごとく、基板4への原料供給を行いながら、基板4をX方向に移動させる(図9の矢印s1参照)。これにより、原料供給位置Pが、相対的に基板4において、X方向にスキャンされる。そして、原料供給位置Pが、基板4の外周端部に到達した段階で、一旦基板4への原料供給を中断する。原料供給の中断は、例えば、図12に示すごとく、成膜装置1に設けたシャッター17を閉じることにより、行うことができる。
【0063】
基板4への原料供給を中断している間に、基板4をY方向に移動させる。また、基板4をX方向にも移動させて、原料供給位置Pが、基板4における他の外周端部となるようにする(図10のs2参照)。そして、この位置から、シャッター17を開けて基板4への原料供給を再開し、基板4をX方向に移動させる(図11の矢印s3参照)。
【0064】
このような基板4の動作及び原料供給を繰り返すことにより、基板4への原料供給位置Pを、図8に示すように、基板4表面の全体にわたり、走査させることができる。すなわち、基板4の表面に対して、原料供給位置Pをラスタスキャンすることができる。これにより、基板4の表面の全体にわたり、GaN膜を成膜することができる。
【0065】
その他は、実施形態1と同様である。本形態の場合にも、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
(実施形態3)
本形態は、図13図17に示すごとく、基板4の表面へのターゲット材料の供給位置P1の中心と、基板4の表面へのラジカル50の照射位置P2の中心とを、互いにずらして成膜する形態である。
本形態においても、基板4を移動させる。基板4の移動方向は、基板4の表面へのターゲット材料の供給位置P1の中心から、基板4の表面へのラジカル50の照射位置P2の中心へ向かう方向である。
【0067】
本形態においても、ターゲット材料をガリウム、ラジカル50を窒素ラジカルとした形態につき、説明する。
図14(a)は、ある時点における、基板4表面の局所への、ガリウムの供給と窒素ラジカル50の供給とを模式的に表した断面説明図である。そして、図14(b)は、同図(a)に対応して、各部に供給されるガリウムと、窒素ラジカル50との供給比(以下において、N/Ga比ともいう。)である。すなわち、同図(b)の縦軸は、ガリウムの供給量に対する窒素ラジカル50の供給量の比率を表す。
【0068】
図14(a)に示すように、基板4へのガリウムの供給量の分布は、供給中心をピークとしたガウス分布となる。基板4へのガリウムの供給位置P1の中心と窒素ラジカル50の供給位置P2の中心とを、例えば、X方向にずらす。図においては、ガリウムの供給位置P1と、窒素ラジカル50の供給位置P2とは、一部が重複しているが、供給中心は、ずれている。この供給中心のずらし方は、適宜調整することができる。また、ガリウムの供給位置と、窒素ラジカル50の供給位置とは、重複しないようにずらすこともできる。
【0069】
図14(b)に示すように、ガリウム及び窒素ラジカル50が供給された基板4の表面の局所において、N/Ga比が小さい部分から大きい部分へ、徐々にN/Ga比が変化することとなる。それゆえ、仮に、基板4を動かさずに、成膜を行うと、N/Ga比が小さい状態で成膜される部分と、N/Ga比が大きい状態で成膜される部分とが生じることとなる。
【0070】
本形態においては、図15に示すように、ガリウムの供給位置P1の中心から、窒素ラジカル50の供給位置P2の中心へ向かう方向sに、基板4を移動させる。なお、ここで言う移動は、図16に示すように、基板4の全体の位置が移動することのみならず、図17に示すように、基板4の自転により基板4の各部が移動することをも含む。
【0071】
これにより、基板4の各部において、ガリウムが供給された直後に、窒素ラジカル50が供給されることとなる。すなわち、例えば、図15に示すごとく、基板4の表面における特定箇所Qに着目する。同図(a)に示すように、特定箇所Qには、まず、主としてガリウムが供給される。その直後、基板4が移動して、同図(b)に示すように、特定箇所Qに、主として窒素ラジカルが供給される。この間、特定箇所QにおけるN/Ga比は徐々に大きくなることとなる。
【0072】
特定箇所Qにおいて、Gaの供給比率が高い時間帯においては、基板4上の特定箇所QにGaが液相の状態で多く付着する。その直後の時間帯において、特定箇所Qに対しては、Gaの供給比率が低く、窒素ラジカルの供給比率が高い状態となり、既に基板4の特定箇所Qに付着しているGa膜の窒化が進む。これらの現象が、基板4の表面の全体にわたって繰り返されることにより、結晶性に優れたGaN膜が、均一に形成される。このように、基板4上への窒化ガリウムの均一な成膜を容易に実現することができる。
【0073】
なお、この効果は、上述のレーザブランキング法により得られる効果に近似するものである。ただし、レーザブランキング法は、基板へのガリウムの供給量を時間的に変化させて、N/Ga比を変化させるものであるのに対し、本形態の方法は、基板4をXY平面に沿って移動させることで、基板4の表面の各部におけるN/Ga比を変化させる点で、異なる。前者の場合は、レーザ光3のフルエンスを時間変化させる等の必要があるが、後者の場合は、その必要が特にない。
【0074】
なお、図16における矢印sは、基板4のX方向の移動を示し、同図の矢印Qは、基板4の移動に伴う上述の特定箇所Qの移動を示す。また、図17における矢印rは、基板4の自転を示し、同図の矢印Qは、基板4の自転に伴う上述の特定箇所Qの移動を示す。
【0075】
また、図16図17に示すように、チャンバ10内において基板4を動かすことにより、基板4の広い範囲に、ガリウム及び窒素ラジカル50を供給する点は、実施形態1又は実施形態2と同様である。すなわち、実施形態1と同様に、基板4に対するガリウム及び窒素ラジカル50の供給位置を、極座標スキャンさせるように基板4を動かしたり、実施形態2と同様に、基板4に対するガリウム及び窒素ラジカル50の供給位置を、ラスタスキャンさせるように基板4を動かしたりすることができる。図16に示す、基板4とガリウム及び窒素ラジカル50の供給位置との相対運動が、ラスタスキャンの一部をイメージしたものであり、図17に示す、基板4とガリウム及び窒素ラジカル50の供給位置との相対運動が、極座標スキャンの一部をイメージしたものである。
【0076】
その他は、実施形態1と同様であり、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0077】
基板の二次元的な移動の仕方は、上記実施形態において示したものに限らず、種々の移動の仕方を採用することができる。
【0078】
例えば、実施形態1に示した極座標スキャンにおいては、基板4のX方向への所定距離Δxの移動と停止とを繰り返す例を示したが、X方向の移動の仕方は、これに限定されるものではない。例えば、X方向の移動の停止を行わずに、連続して移動させることもできる。また、この場合、X方向の移動速度を適宜変化させることもできる。例えば、原料供給位置Pが基板中央から遠ざかるほど、X方向の移動速度を遅くすることが考えられる。
【0079】
また、実施形態1に示した極座標スキャンにおいて、基板4の自転速度を一定とする例を示したが、自転速度を適宜変化させることも考えられる。例えば、原料供給位置Pが基板中央から遠ざかるほど、自転速度を遅くすることが考えられる。そして、基板表面に対する原料供給位置Pの周速度(基板4の表面と原料供給位置Pとの間の相対速度)が、略一定になるようにすることが考えられる。
【0080】
また、上記実施形態においては、ターゲット材料をGaとした形態を示したが、ターゲット材料は、特に限定されるものではない。例えば、ターゲット材料として、Al、Ti等、他の金属、或いは合金等とすることもできる。なお、実施形態3においては、ターゲット材料として、成膜温度よりも融点が低い材料を用いることが好ましい。この場合には、ターゲット材料が、液体の状態にて基板に付着することで、基板上におけるターゲット材料の移動が生じやすくなり、その直後にラジカルと反応して成膜される際、より均一な成膜が実現しやすいと考えられる。
【0081】
また、上記実施形態においては、レーザアブレーションと共に窒素ラジカルの供給を行う形態を示したが、これに限らず、例えば、基板へ供給するラジカルを、酸素ラジカル等、他のラジカルとすることもできる。
【0082】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 成膜装置
10 チャンバ
2 ターゲット
3 レーザ光
4 基板
50 ラジカル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17