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特開2024-131449作業進捗管理装置、作業進捗管理システム、および作業進捗管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131449
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】作業進捗管理装置、作業進捗管理システム、および作業進捗管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240920BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240920BHJP
   G06Q 50/163 20240101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q10/20
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041713
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】樋口 隆史
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】屋内の特別な設備を設置することなく、作業者の進捗度を管理することができる作業進捗管理装置、作業進捗管理システム、および作業進捗管理方法を提供する。
【解決手段】作業進捗管理装置21は、建物設備の管理のための複数の作業の各々ごとの作業者の歩数特徴パターンを記憶するメモリ24と、作業者の歩数実績パターンを含む歩数通知信号を受信する第1通信装置25と、受信した作業者の歩数実績パターンと、メモリに記憶されている作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、作業者の実行中の作業の進捗度を推定するプロセッサ23とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物設備の管理のための複数の作業の各々ごとの作業者の歩数特徴パターンを記憶するメモリと、
作業者の歩数実績パターンを含む歩数通知信号を受信する第1通信装置と、
前記受信した前記作業者の前記歩数実績パターンと、前記メモリに記憶されている前記作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、前記作業者の実行中の作業の進捗度を推定するプロセッサと、を備えた作業進捗管理装置。
【請求項2】
前記作業者の歩数特徴パターンおよび前記作業者の歩数実績パターンは、時系列データによって表され、
前記プロセッサは、前記作業者の歩数実績パターンの時系列データのうち、前記作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンの時系列データと一致または類似する部分を検出し、前記検出した部分の時間の前記作業者の実行中の作業の所有時間に対する割合を前記作業の進捗度として推定する、請求項1記載の作業進捗管理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンの時系列データに基づいて、前記作業者の実行中の作業の所有時間を求める、請求項2記載の作業進捗管理装置。
【請求項4】
請求項2記載の作業進捗管理装置と、
作業者が携帯する作業者端末と、を備え、
前記作業進捗管理装置において、
前記第1通信装置は、前記作業者端末に、歩数送信依頼信号を送信し、
前記作業者端末は、
前記作業者の歩数を計測するセンサと、
前記計測された歩数の時系列データを記憶するメモリと、
前記作業進捗管理装置から、前記歩数送信依頼信号を受信する通信装置と、
前記メモリから前記歩数送信依頼信号を受信した時刻から遡って所定時間分の歩数の時系列データを読み出して、前記読み出した歩数の時系列データを前記歩数実績パターンとして含む前記歩数通知信号を前記通信装置を通じて前記作業進捗管理装置へ送信するプロセッサと、を備えた作業進捗管理システム。
【請求項5】
管理者端末をさらに備え、
前記管理者端末は、
通信装置と、
管理者から作業者名および作業名の入力を受け付ける入力装置と、
前記作業者名と前記作業名とを含む調査依頼信号を前記通信装置を通じて前記作業進捗管理装置へ送信するプロセッサと、
表示装置とを備え、
前記作業進捗管理装置は、
第2通信装置を備え、
前記作業進捗管理装置において、
前記メモリは、作業者ごとの前記作業者端末のアドレスを定めたテーブルを記憶し、
前記プロセッサは、前記第2通信装置を通じて、前記調査依頼信号を受信し、前記テーブルを参照して、前記調査依頼信号に含まれる前記作業者名の作業者端末のアドレスを特定し、前記第1通信装置を通じて、前記作業者端末に前記歩数送信依頼信号を送信し、
前記プロセッサは、推定した前記作業者の実行中の作業の進捗度を前記第2通信装置を通じて、前記管理者端末に送信し、
前記管理者端末において、
前記プロセッサは、前記通信装置を通じて、前記作業者の実行中の作業の進捗度を受信し、前記表示装置に前記作業者の実行中の作業の進捗度を表示させる、請求項4記載の作業進捗管理システム。
【請求項6】
管理者端末と、作業者端末と、作業進捗管理装置とを備えた作業進捗管理システムにおける作業進捗管理方法であって、
前記管理者端末が、管理者から作業者名および作業名の入力を受け付けるステップと、
前記管理者端末が、前記入力された作業者名の作業者端末のアドレスを特定するステップと、
前記管理者端末が、前記作業者名と前記作業名とを含む調査依頼信号を前記作業進捗管理装置へ送信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記調査依頼信号を受信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、作業者ごとの前記作業者端末のアドレスを定めたテーブルを参照して、前記調査依頼信号に含まれる前記作業者名の作業者端末のアドレスを特定するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記作業者端末に歩数送信依頼信号を送信するステップと、
前記作業者端末が、前記歩数送信依頼信号を受信するステップと、
前記作業者端末が、前記歩数送信依頼信号を受信した時刻から遡って所定時間分の歩数の時系列データを前記作業者の歩数実績パターンとして含む歩数通知信号を前記作業進捗管理装置へ送信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、歩数通知信号を受信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記受信した歩数通知信号に含まれる前記作業者の前記歩数実績パターンと、記憶している作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、前記作業者の実行中の作業の進捗度を推定するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記作業者の実行中の作業の進捗度を前記管理者端末に送信するステップと、
前記管理者端末が、前記作業者の実行中の作業の進捗度を受信するステップと、
前記管理者端末が、前記作業者の実行中の作業の進捗度を表示するステップと、を備えた作業進捗管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業進捗管理装置、作業進捗管理システム、および作業進捗管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物設備の常駐管理業務は、日次巡回点検などの定型業務と、設備故障対応、建物利用者からの依頼、およびクレームへの対応などの非定型業務とがある。定型業務のうち、設備技術の知識を不要とする館内目視巡回、および計測器の検針業務については、決まった作業および移動ルートとなるので、業務担当者は、常駐管理業務の初心者であることが多い。また、日々の業務を確実に完了させるために、定型業務の性質として、所要時間を守り、計画通りに進めることが重要である。
【0003】
定型業務を担当する初心者は、想定外のことがおこると即座に対応できず、作業が遅延してしまう可能性が高い。初心者は、全体の業務を理解していないことがあるので、他の作業への影響がわからず、作業が遅れていることを関係者に周知するのを忘れることもある。そのため、業務管理者は、作業者の作業進捗を管理する必要がある。
【0004】
作業者の作業進捗を管理する方法として、たとえば、作業者の現在位置から作業進捗を推測する方法が考えられる。
【0005】
また、特許文献1には、作業者の歩数に基づいて、作業者がどこで立ち止まったかを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2020-213131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、作業者の現在位置から作業進捗を推測する方法では、作業者の位置情報を検出するために高価な屋内位置測位設備を建物に設置する必要がある。
【0008】
特許文献1では、作業者がどこで立ち止まったかを検出することができるが、作業者の進捗度を知ることができない。
【0009】
それゆえに、本開示の目的は、屋内の特別な設備を設置することなく、作業者の進捗度を管理することができる作業進捗管理装置、作業進捗管理システム、および作業進捗管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の作業進捗管理装置は、建物設備の管理のための複数の作業の各々ごとの作業者の歩数特徴パターンを記憶するメモリと、作業者の歩数実績パターンを含む歩数通知信号を受信する第1通信装置と、受信した作業者の歩数実績パターンと、メモリに記憶されている作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、作業者の実行中の作業の進捗度を推定するプロセッサと、を備える。
【0011】
本開示の作業進捗管理方法は、管理者端末と、作業者端末と、作業進捗管理装置とを備えた作業進捗管理システムにおける作業進捗管理方法であって、管理者端末が、管理者から作業者名および作業名の入力を受け付けるステップと、管理者端末が、入力された作業者名の作業者端末のアドレスを特定するステップと、管理者端末が、作業者名と作業名とを含む調査依頼信号を作業進捗管理装置へ送信するステップと、作業進捗管理装置が、調査依頼信号を受信するステップと、作業進捗管理装置が、作業者ごとの作業者端末のアドレスを定めたテーブルを参照して、調査依頼信号に含まれる作業者名の作業者端末のアドレスを特定するステップと、作業進捗管理装置が、作業者端末に歩数送信依頼信号を送信するステップと、作業者端末が、歩数送信依頼信号を受信するステップと、作業者端末が、歩数送信依頼信号を受信した時刻から遡って所定時間分の歩数の時系列データを作業者の歩数実績パターンとして含む歩数通知信号を作業進捗管理装置へ送信するステップと、作業進捗管理装置が、歩数通知信号を受信するステップと、作業進捗管理装置が、受信した歩数通知信号に含まれる作業者の歩数実績パターンと、記憶している作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、作業者の実行中の作業の進捗度を推定するステップと、作業進捗管理装置が、作業者の実行中の作業の進捗度を管理者端末に送信するステップと、管理者端末が、作業者の実行中の作業の進捗度を受信するステップと、管理者端末が、作業者の実行中の作業の進捗度を表示するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、屋内の特別な設備を設置することなく、作業者の進捗度を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1の作業進捗管理システムの構成を表わす図である。
図2】館内温度巡回の移動ルートを表わす図である。
図3】月次電気点検の移動ルートを表わす図である。
図4】月次電気点検の歩数特徴パターンF1を表わす図である。
図5】館内温度巡回の移動ルートを表わす図である。
図6】館内温度巡回の歩数特徴パターンF2を表わす図である。
図7】排気ファン点検の移動ルートを表わす図である。
図8】排気ファン点検の歩数特徴パターンF3を表わす図である。
図9】水量計数値確認の移動ルートを表わす図である。
図10】水量計数値確認の歩数特徴パターンF4を表わす図である。
図11】エスカレータ起動の移動ルートを表わす図である。
図12】エスカレータ起動の歩数特徴パターンF5を表わす図である。
図13】実施の形態1の作業進捗管理方法の処理手順を表わすフローチャートである。
図14】ユーザテーブルの例を表わす図である。
図15】歩数通知信号に含まれるデータの例を表わす図である。
図16】歩数実績パターンFXの例を表わす図である。
図17】作業者の作業進捗度の算出例を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の作業進捗管理システムの構成を表わす図である。
【0015】
作業進捗管理システムは、管理者端末11と、作業進捗管理装置21と、作業者が携帯する作業者端末31とを備える。
【0016】
管理者端末11は、通信装置12と、表示装置14と、入力装置13と、メモリ15と、プロセッサ16とを備える。
【0017】
通信装置12は、作業進捗管理装置21との間で通信を行なう。通信装置12は、作業者名と作業名とを含む調査依頼信号を作業進捗管理装置21へ送信する。通信装置12は、作業進捗管理装置21から作業者の実行中の作業の進捗度を受信する。
【0018】
入力装置13は、管理者から進捗度を調べたい作業者名および作業名の入力を受け付ける。
【0019】
表示装置14は、作業者の作業の進捗度を表示する。
メモリ15は、プログラムなどを記憶する。
【0020】
プロセッサ16は、メモリ15に記憶されたプログラムを実行するように構成される。プロセッサ16は、作業者名と作業名とを含む調査依頼信号を通信装置12を通じて作業進捗管理装置21へ送信する。プロセッサ16は、通信装置12を通じて、作業者の実行中の作業の進捗度を受信し、表示装置14に作業者の実行中の作業の進捗度を表示させる。
【0021】
作業者端末31は、通信装置32と、メモリ34と、プロセッサ33と、センサ35とを備える。
【0022】
通信装置32は、作業進捗管理装置21との間で通信を行なう。通信装置32は、作業進捗管理装置21から歩数送信依頼信号を受信する。通信装置32は、歩数通知信号を作業進捗管理装置21へ送信する。
【0023】
センサ35は、作業者端末31を携帯している作業者の歩数を計測する。
メモリ34は、センサ35によって計測された作業者の歩数の時系列データを記憶する。メモリ34は、プログラムなどを記憶する。
【0024】
プロセッサ33は、メモリ34に記憶されたプログラムを実行するように構成される。プロセッサ33は、メモリ34から歩数送信依頼信号を受信した時刻から遡って所定時間分の歩数の時系列データを読み出して、読み出した歩数の時系列データを歩数実績パターンとして含む歩数通知信号を通信装置32を通じて作業進捗管理装置21へ送信する。
【0025】
作業進捗管理装置21は、メモリ24と、プロセッサ23と、第1通信装置25と、第2通信装置22とを備える。
【0026】
第1通信装置25は、作業者端末31との間で通信を行なう。第1通信装置25は、作業者端末31から送信される作業者の歩数実績パターンを含む歩数通知信号を受信する。第1通信装置25は、歩数送信依頼信号を作業者端末31へ送信する。
【0027】
第2通信装置22は、管理者端末11との間で通信を行なう。第2通信装置22は、管理者端末11から送信される調査依頼信号を受信する。
【0028】
メモリ24は、建物設備の管理のための複数の作業の各々ごとの作業者の歩数特徴パターンを記憶する。歩数特徴パターンは、時系列データによって表される。メモリ24は、作業者ごとの作業者端末のアドレスを定めたユーザテーブルを記憶する。メモリ24は、プログラムなどを記憶する。
【0029】
プロセッサ23は、メモリ24に記憶されたプログラムを実行するように構成される。プロセッサ23は、第2通信装置22を通じて、調査依頼信号を受信し、ユーザテーブルを参照して、調査依頼信号に含まれる作業者名の作業者端末のアドレスを特定し、第1通信装置25を通じて、作業者端末に歩数送信依頼信号を送信する。
【0030】
プロセッサ23は、受信した作業者の歩数実績パターンと、メモリ24に記憶されている作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、作業者の実行中の作業の進捗度を推定する。より具体的には、プロセッサ23は、作業者の歩数実績パターンの時系列データのうち、作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンの時系列データと一致または類似する部分を検出し、検出した部分の時間の作業者の実行中の作業の所有時間に対する割合を作業の進捗度として推定する。ここで、プロセッサ23は、作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンの時系列データに基づいて、作業者の実行中の作業の所有時間を求めることとしてもよい。プロセッサ23は、推定した作業者の実行中の作業の進捗度を第2通信装置22を通じて、管理者端末11に送信する。
【0031】
図3は、月次電気点検の移動ルートを表わす図である。図4は、月次電気点検の歩数特徴パターンF1を表わす図である。図4に示すように、月次電気点検では、作業者は、移動と電気設備の点検作業とを交互に実行する。移動は、短時間で、移動中に歩数が大きくなる。電気設備点検は、長時間で、電気設備点検中に歩数が小さくなる。
【0032】
図2および図5は、館内温度巡回の移動ルートを表わす図である。図6は、館内温度巡回の歩数特徴パターンF2を表わす図である。図6に示すように、館内温度巡回では、作業者は、40秒ほど歩行移動し、15秒ほど停止して、温度を測定する。これを繰り返す。フロア間を移動時は、エスカレータを利用するため、歩数は小さくなる。
【0033】
図7は、排気ファン点検の移動ルートを表わす図である。図8は、排気ファン点検の歩数特徴パターンF3を表わす図である。図8に示すように、排気ファン点検では、作業者は防災センタから屋上まで移動し、屋上に点在する排気ファンを目視、または異音点検する。防災センタから屋上までの移動時、および屋上から防災センタまでの移動時において、作業者の歩数は大きくなる。点検時は、歩数は小さくなる。
【0034】
図9は、水量計数値確認の移動ルートを表わす図である。図10は、水量計数値確認の歩数特徴パターンF4を表わす図である。図10に示すように、水量計数値確認では、作業者は防災センタから水量計が設置されている場所まで移動し、水量計の数値を読み取って記録する。これを繰り返す。
【0035】
図11は、エスカレータ起動の移動ルートを表わす図である。図12は、エスカレータ起動の歩数特徴パターンF5を表わす図である。図12に示すように、エスカレータ起動では、作業者は防災センタから出発して、エスカレータの起動作業を行い、次のエスカレータに移動する。防災センタから西側エスカレータ群の設置場所へ移動時、西側エスカレータ群の設置場所から東側エスカレータ群の設置場所へ移動時、および東側エスカレータ群の設置場所から防災センタへの移動時に、作業者の歩数は大きくなる。西側エスカレータを順次起動している間、および東エレベータを順次起動している間は、作業者の歩数は小さくなる。
【0036】
図13は、実施の形態1の作業進捗管理方法の処理手順を表わすフローチャートである。
【0037】
ステップS100において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、図4図6図8図10、および図12に示すような作業ごとの歩数特徴パターンを作成する。これらの歩数特徴パターンは、たとえば、作業者に実際に作業を実行させることによって得られた歩数の時系列データから作成されるものとしてもよい。
【0038】
ステップS101において、作業者端末31において、センサ35は、作業者の歩数の計測を開始し、プロセッサ33は、歩数計測アプリケーションを実行して、作業者の歩数をメモリ34に記憶する。
【0039】
ステップS102において、管理者端末11において、管理者は、入力装置13を通じて、調べたい作業者の作業者名と作業名とを入力する。
【0040】
ステップS103において、管理者端末11において、プロセッサ16は、通信装置12を通じて、作業者名と作業名とを含む調査依頼信号を作業進捗管理装置21に送信する。
【0041】
ステップS104において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、第2通信装置22を通じて、調査依頼信号を受信する。
【0042】
ステップS105において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、メモリ24に記憶されているユーザテーブルを参照して、調査依頼信号に含まれる作業者名の端末(作業者端末)のアドレスを特定する。図14は、ユーザテーブルの例を表わす図である。作業者(指名またはID)に対して、作業者端末のアドレスが定められている。
【0043】
ステップS106において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、第1通信装置25を通じて、歩数送信依頼信号を特定した作業者端末31に送信する。
【0044】
ステップS107において、作業者端末31において、プロセッサ33は、通信装置32を通じて、歩数送信依頼信号を受信する。
【0045】
ステップS108において、作業者端末31において、プロセッサ33は、歩数送信依頼信号を受信した時刻から過去X時間分の歩数をメモリ34から読出す。X時間は、たとえば、3時間とすることができる。プロセッサ33は、過去X時間分の歩数の時系列データを歩数実績パターンFXとして含む歩数通知信号を通信装置32を通じて、作業進捗管理装置21に送信する。図15は、歩数通知信号に含まれるデータの例を表わす図である。歩数通知信号は、日、時刻、歩数、およびユーザIDのデータのセットを含む。
【0046】
ステップS109において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、第1通信装置25を通じて、歩数通知信号を受信する。
【0047】
ステップS110において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、歩数通知信号から、過去X時間分の歩数に基づいて、歩数実績パターンFXを作成する。図16は、歩数実績パターンFXの例を表わす図である。歩数実績パターンは、歩数特徴パターンと同様に、時系列データで表される。
【0048】
ステップS111において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、調査依頼信号に含まれる作業名の作業の歩数特徴パターンFYをメモリ24から読出す。
【0049】
ステップS112において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、歩数実績パターンFXと、歩数特徴パターンFYとを比較することによって、作業者の作業進捗度を算出する。図17は、作業者の作業進捗度の算出例を表わす図である。図17の例では、調査依頼信号に含まれる作業名の作業が「水量計数値確認」であり、歩数特徴パターンFYがF4の場合が示されている。
【0050】
プロセッサ23は、歩数実績パターンFXの時系列データのうち、歩数特徴パターンFYの時系列データと一致または類似する部分を検出する。図17の例では、歩数実績パターンFXの最新時刻を起点とした過去7分分の時系列データが、歩数特徴パターンFYの7分分の時系列データとが類似する。
【0051】
プロセッサ23は、検出した部分の時間の実行中の作業の所有時間に対する割合を実行中の作業の進捗度として推定する。図17の例では、検出した部分の時間が7分であり、実行中の作業「水量計数値確認」の所要時間が11分であるので、作業の進捗度が7/11であると推定される。
【0052】
ここで、時系列データ類似の判断は、たとえば、波形のパターンマッチングの手法などを用いることができる。
【0053】
たとえば、プロセッサ23は、歩数実績パターンの最新時刻tcからk×Δt時間前の時刻から最新時刻tcまでの時刻tx(すなわちtc-k×Δt≦tx≦tc)の歩数の時系列データと、歩数特徴パターンFYの時刻0からk×Δt時間後の時刻までの時刻ty(すなわち、0≦ty≦k×Δt)の歩数の時系列データとの類似度R(k)を算出する。プロセッサ23は、kを順次変化させて、R(k)を算出し、R(k)が最大となるkをKmとして特定する。プロセッサ23は、歩数実績パターンFXの最新時刻を起点とした過去Km×Δt分の時系列データが、歩数特徴パターンFYのKm×Δt分の時系列データとが類似すると判断することができる。類似度R(k)として、たとえば、2つの時系列データの相関を用いることができる。
【0054】
プロセッサ23は、実行中の作業の歩数特徴パターンの時系列データに基づいて、実行中の作業の所有時間を求めることができる。たとえば、図17の例では、歩数特徴パターンF4において非零が連続する区間が「11分」であるので、プロセッサ23は、実行中の作業「水量計数値確認」の所要時間が「11分」であると判断することができる。図4の「月次電気点検」では、歩数特徴パターンF1において非零が連続する区間が「120分」であるので、プロセッサ23は、「月次電気点検」の所有時間が「120分」であると判断することができる。図6の「館内温度巡回」では、歩数特徴パターンF2において非零が連続する区間が「60分」であるので、プロセッサ23は、「館内温度巡回」の所有時間が「60分」であると判断することができる。図8の「排気ファン点検」では、歩数特徴パターンF3において非零が連続する区間が「40分」であるので、プロセッサ23は、「排気ファン点検」の所有時間が「40分」であると判断することができる。図12の「エスカレータ起動」では、歩数特徴パターンF5において非零が連続する区間が「30分」であるので、プロセッサ23は、「エスカレータ起動」の所有時間が「30分」であると判断することができる。
【0055】
ステップS113において、作業進捗管理装置21において、プロセッサ23は、第2通信装置22を通じて、作業者の作業進捗度を含む作業進捗度通知信号を管理者端末11に送信する。
【0056】
ステップS114において、管理者端末11において、プロセッサ16は、通信装置12を通じて、作業進捗度通知信号を受信する。
【0057】
ステップS115において、管理者端末11において、プロセッサ16は、作業進捗度通知信号に含まれる作業者の作業進捗度を表示装置14に表示する。
【0058】
以上のように、本開示によれば、作業者の作業ごとの歩行特徴パターンと、作業者が現在実行中の作業の歩行実績パターンと比較することによって、屋内の特別な設備を設置することなく、遠隔で作業者の進捗度を推定することができる。
【0059】
上述した実施形態は、以下の付記の具体例である。
(付記1)
建物設備の管理のための複数の作業の各々ごとの作業者の歩数特徴パターンを記憶するメモリと、
作業者の歩数実績パターンを含む歩数通知信号を受信する第1通信装置と、
前記受信した前記作業者の前記歩数実績パターンと、前記メモリに記憶されている前記作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、前記作業者の実行中の作業の進捗度を推定するプロセッサと、を備えた作業進捗管理装置。
【0060】
(付記2)
前記作業者の歩数特徴パターンおよび前記作業者の歩数実績パターンは、時系列データによって表され、
前記プロセッサは、前記作業者の歩数実績パターンの時系列データのうち、前記作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンの時系列データと一致または類似する部分を検出し、前記検出した部分の時間の前記作業者の実行中の作業の所有時間に対する割合を前記作業の進捗度として推定する、付記1記載の作業進捗管理装置。
【0061】
(付記3)
前記プロセッサは、前記作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンの時系列データに基づいて、前記作業者の実行中の作業の所有時間を求める、付記1または2記載の作業進捗管理装置。
【0062】
(付記4)
付記1~3のいずれか1項に記載の作業進捗管理装置と、
作業者が携帯する作業者端末と、を備え、
前記作業進捗管理装置において、
前記第1通信装置は、前記作業者端末に、歩数送信依頼信号を送信し、
前記作業者端末は、
前記作業者の歩数を計測するセンサと、
前記計測された歩数の時系列データを記憶するメモリと、
前記作業進捗管理装置から、前記歩数送信依頼信号を受信する通信装置と、
前記メモリから前記歩数送信依頼信号を受信した時刻から遡って所定時間分の歩数の時系列データを読み出して、前記読み出した歩数の時系列データを前記歩数実績パターンとして含む前記歩数通知信号を前記通信装置を通じて前記作業進捗管理装置へ送信するプロセッサと、を備えた作業進捗管理システム。
【0063】
(付記5)
管理者端末をさらに備え、
前記管理者端末は、
通信装置と、
管理者から作業者名および作業名の入力を受け付ける入力装置と、
前記作業者名と前記作業名とを含む調査依頼信号を前記通信装置を通じて前記作業進捗管理装置へ送信するプロセッサと、
表示装置とを備え、
前記作業進捗管理装置は、
第2通信装置を備え、
前記作業進捗管理装置において、
前記メモリは、作業者ごとの前記作業者端末のアドレスを定めたテーブルを記憶し、
前記プロセッサは、前記第2通信装置を通じて、前記調査依頼信号を受信し、前記テーブルを参照して、前記調査依頼信号に含まれる前記作業者名の作業者端末のアドレスを特定し、前記第1通信装置を通じて、前記作業者端末に前記歩数送信依頼信号を送信し、
前記プロセッサは、推定した前記作業者の実行中の作業の進捗度を前記第2通信装置を通じて、前記管理者端末に送信し、
前記管理者端末において、
前記プロセッサは、前記通信装置を通じて、前記作業者の実行中の作業の進捗度を受信し、前記表示装置に前記作業者の実行中の作業の進捗度を表示させる、付記1~4のいずれか1項に記載の作業進捗管理システム。
【0064】
(付記6)
管理者端末と、作業者端末と、作業進捗管理装置とを備えた作業進捗管理システムにおける作業進捗管理方法であって、
前記管理者端末が、管理者から作業者名および作業名の入力を受け付けるステップと、
前記管理者端末が、前記入力された作業者名の作業者端末のアドレスを特定するステップと、
前記管理者端末が、前記作業者名と前記作業名とを含む調査依頼信号を前記作業進捗管理装置へ送信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記調査依頼信号を受信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、作業者ごとの前記作業者端末のアドレスを定めたテーブルを参照して、前記調査依頼信号に含まれる前記作業者名の作業者端末のアドレスを特定するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記作業者端末に歩数送信依頼信号を送信するステップと、
前記作業者端末が、前記歩数送信依頼信号を受信するステップと、
前記作業者端末が、前記歩数送信依頼信号を受信した時刻から遡って所定時間分の歩数の時系列データを前記作業者の歩数実績パターンとして含む歩数通知信号を前記作業進捗管理装置へ送信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、歩数通知信号を受信するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記受信した歩数通知信号に含まれる前記作業者の前記歩数実績パターンと、記憶している作業者の実行中の作業の歩数特徴パターンとを比較することによって、前記作業者の実行中の作業の進捗度を推定するステップと、
前記作業進捗管理装置が、前記作業者の実行中の作業の進捗度を前記管理者端末に送信するステップと、
前記管理者端末が、前記作業者の実行中の作業の進捗度を受信するステップと、
前記管理者端末が、前記作業者の実行中の作業の進捗度を表示するステップと、を備えた作業進捗管理方法。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
11 管理者端末、12,32 通信装置、13 入力装置、14 表示装置、15,24,34 メモリ、16,23,33 プロセッサ、21 作業進捗管理装置、22 第2通信装置、25 第1通信装置、31 作業者端末。35 センサ。
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