(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131452
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】膨化煎餅の製造装置及び膨化煎餅の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23P 30/32 20160101AFI20240920BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20240920BHJP
A23G 3/36 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A23P30/32
A23G3/34 102
A23G3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041717
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】595018064
【氏名又は名称】株式会社オカモト
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】山崎 僚二
【テーマコード(参考)】
4B014
4B048
【Fターム(参考)】
4B014GG17
4B014GP14
4B014GP27
4B014GQ11
4B014GQ17
4B014GU02
4B014GU13
4B048PE15
4B048PS05
4B048PS13
4B048PS18
(57)【要約】
【課題】膨化煎餅を安定して製造可能な膨化煎餅の製造装置及び膨化煎餅の製造方法を提供する。
【解決手段】膨化煎餅の製造装置1は、上方から供給された原料を所定厚さに圧縮して下方に送り出す一対の上側ロール4と、下側加熱部14を有するとともに、上側ロール4の下方に配設された一対の下側ロール5と、を備える。下側ロール5は、上側ロール4において圧縮された原料を下側加熱部14により加熱しながら圧延して下方に送り出すことで、原料を膨化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨化煎餅の製造装置であって、
上方から供給された原料を所定厚さに圧縮して下方に送り出す一対の第1ロールと、
第1加熱部を有するとともに、前記第1ロールの下方に配設された一対の第2ロールと、を備え、
前記第2ロールは、前記第1ロールにおいて圧縮された原料を第1加熱部により加熱しながら圧延して下方に送り出すことで、前記原料を膨化させることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記第2ロールのロール間の間隔は、前記第1ロールのロール間の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記第1ロールには、該第1ロール間に供給された原料を加熱する第2加熱部が備えられていることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記第2加熱部の加熱温度は、前記第1加熱部の加熱温度よりも低く、かつ、前記原料が膨化しない温度に設定されていることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記第2加熱部により前記第1ロール間に供給された原料を加熱する状態と、加熱しない状態とを切り替え可能な切替部を更に有していることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記第1ロールと前記第2ロールとの上下方向の間隔は、供給される原料の長さよりも大きいことを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記第1ロールと一体回転する第1支持軸に連結され、前記第1支持軸を手動で回転させるためのハンドルと、
前記第1支持軸と前記第2ロールと一体回転する第2支持軸とに巻き掛けられた第1巻き掛け部材と、を備え、
前記ハンドルを回すことで、前記第1支持軸及び前記第2支持軸が回転するようになっていることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記第2ロールの下方に配設されたモータと、
前記モータが出力する回転力を、前記第2ロール及び前記第1ロールに伝達する伝達機構と、を備えていることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項9】
請求項8に記載の膨化煎餅の製造装置において、
前記伝達機構は、前記モータの出力軸と前記第2ロールと一体回転する第3支持軸とに巻き掛けられた第2巻き掛け部材と、前記第3支持軸と前記第1ロールと一体回転する第4支持軸とに巻き掛けられた第3巻き掛け部材と、を備え、かつ、前記モータが出力する回転力を、前記第2巻き掛け部材及び前記第3巻き掛け部材を介して、前記2ロール及び前記第1ロールに伝達することを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項10】
請求項8に記載の膨化煎餅の製造装置において、
上下方向において前記第2ロールと前記モータとの間には、前記第2ロールを通過することにより製造された膨化煎餅を下方から受けることが可能な受け部が備えられていることを特徴とする膨化煎餅の製造装置。
【請求項11】
膨化煎餅の製造方法であって、
原料を一対の第1ロールにより所定厚さに圧縮する工程と、
前記圧縮された原料を一対の第2ロールにより加熱しながら圧延することで、前記原料を膨化させて膨化煎餅を得る工程と、
を有していることを特徴とする膨化煎餅の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、乾燥させた魚介類を膨化させることにより、膨化煎餅を製造可能な膨化煎餅の製造装置及び膨化煎餅の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚介類を原料とした加工製品の製造装置が知られている。例えば、特許文献1に開示されている製造装置では、表面温度を110~150℃に調整された一対回転ドラムを備え、一対の回転ドラムにより原料の圧延と乾燥とを行うことで、鰹の削り節風の外観を有する加工製品を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、健康に対する意識が高まっており、例えば、乾燥させた煮干し等の魚介類から栄養成分を得たいというニーズがある。しかし、煮干し等の魚介類は、子供や高齢者とって非常に硬いので、噛む力が比較的低い子供等にとって食べ難いといった問題がある。これに対して、魚介類等の乾燥させた原料を加熱及び圧延することで、煮干し等に比べてやわらかな膨化煎餅とすることが考えられる。
【0005】
しかし、特許文献1の如き製造装置を用いて膨化煎餅を製造しようとした場合、原料となる魚介類等は、厚みにばらつきがあるので、例えば、比較的厚みの大きい原料では適切に原料の加熱や圧延が行われない場合がある。この場合、原料が膨化しない、或いは、原料の膨化が不十分となるので、膨化煎餅を安定して製造することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、膨化煎餅を安定して製造可能な膨化煎餅の製造装置及び膨化煎餅の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、膨化煎餅の製造装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、上方から供給された原料を所定厚さに圧縮して下方に送り出す一対の第1ロールと、第1加熱部を有するとともに、前記第1ロールの下方に配設された一対の第2ロールと、を備え、前記第2ロールは、前記第1ロールにおいて圧縮された原料を第1加熱部により加熱しながら圧延して下方に送り出すことで、前記原料を膨化させることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記第2ロールのロール間の間隔は、前記第1ロールのロール間の間隔よりも狭くなっていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1の発明において、前記第1ロールには、該第1ロール間に供給された原料を加熱する第2加熱部が備えられていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記第2加熱部の加熱温度は、前記第1加熱部の加熱温度よりも低く、かつ、前記原料が膨化しない温度に設定されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第3又は第4の発明において、前記第2加熱部により前記第1ロール間に供給された原料を加熱する状態と、加熱しない状態とを切り替え可能な切替部を更に有していることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第1又は第2の発明において、前記第1ロールと前記第2ロールとの上下方向の間隔は、供給される原料の長さよりも大きいことを特徴とする。
【0014】
第7の発明では、第1又は第2の発明において、前記第1ロールと一体回転する第1支持軸に連結され、前記第1支持軸を手動で回転させるためのハンドルと、前記第1支持軸と前記第2ロールと一体回転する第2支持軸とに巻き掛けられた第1巻き掛け部材と、を備え、前記ハンドルを回すことで、前記第1支持軸及び前記第2支持軸が回転するようになっていることを特徴とする。
【0015】
第8の発明では、第1又は第2の発明において、前記第2ロールの下方に配設されたモータと、前記モータが出力する回転力を、前記第2ロール及び前記第1ロールに伝達する伝達機構と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
第9の発明では、第8の発明において、前記伝達機構は、前記モータの出力軸と前記第2ロールと一体回転する第3支持軸とに巻き掛けられた第2巻き掛け部材と、前記第3支持軸と前記第1ロールと一体回転する第4支持軸とに巻き掛けられた第3巻き掛け部材と、を備え、かつ、前記モータが出力する回転力を、前記第2巻き掛け部材及び前記第3巻き掛け部材を介して、前記2ロール及び前記第1ロールに伝達することを特徴とする。
【0017】
第10の発明では、第8の発明において、上下方向において前記第2ロールと前記モータとの間には、前記第2ロールを通過することにより製造された膨化煎餅を下方から受けることが可能な受け部が備えられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、膨化煎餅の製造方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0019】
すなわち、第11の発明では、原料を一対の第1ロールにより所定厚さに圧縮する工程と、前記圧縮された原料を一対の第2ロールにより加熱しながら圧延することで、前記原料を膨化させて膨化煎餅を得る工程と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1及び第11の発明では、原料が一対の第1ロール間に供給されると、該第1ロールにより所定厚さに圧縮されるようになる。そして、第2ロールには、第1ロールにより所定厚さに圧縮された原料が供給されるようになるので、第2ロールにおける原料の加熱及び圧延を適切に行うことが可能となる。これにより、第2ロールを通過した後に、原料が膨化しない事態、或いは、膨化が不十分となる事態が発生するのを回避できる。したがって、膨化煎餅を安定して製造可能な膨化煎餅の製造装置を提供することができる。
【0021】
第2の発明では、第2ロールのロール間の間隔が第1ロールのロール間の間隔よりも狭くなっているので、第1ロールで圧縮した原料を第2ロールにおいて適切に圧延することができる。
【0022】
第3の発明では、原料が第1ロールにより圧縮される際に第2加熱部によって加熱されるようになる。これにより、エビ等の比較的硬い原料を用いた場合であっても、所定厚さに容易に圧縮することができる。
【0023】
第4の発明では、第2加熱部の加熱温度は、第1加熱部の加熱温度よりも低く、かつ、原料が膨化しない温度に設定されているので、第2加熱部において過剰な加熱が行われることで、原料が誤って膨化するのを防ぐことができる。
【0024】
第5の発明では、エビ等の比較的硬い原料を用いる場合は、切替部により第2加熱部による原料の加熱が行われる状態とされることで、第1ロールにおける原料が確実に圧縮されるようになる。また、煮干し等の比較的柔らかい原料を用いる場合は、切替部により第2加熱部による原料の加熱が行われない状態にされることで、誤って原料が膨化することを防ぐことができる。
【0025】
第6の発明では、第1ロールと第2ロールとの上下方向の間隔が供給される原料の長さよりも大きくなっているので、原料が第1ロール及び第2ロールの双方において挟まれることで、原料がちぎれてしまうのを抑制することができる。
【0026】
第7の発明では、ハンドルが回されると、第1支持軸及び第1ロールが回転するようになる。そして、該第1支持軸と第2支持軸とが第1巻き掛け部材により連絡されているので、第1支持軸及び第1ロールが回転すると、第2支持軸及び第2ロールが回転するようになる。これにより、モータ等の駆動手段を用いずに第1ロール及び第2ロールを回転させることができる。また、ハンドルが第2ロールよりも回転させる力が必要な第1ロールに連結されているので、ハンドルが第2ロールに連結されている場合に比べてハンドルの操作力を軽減することができる。
【0027】
第8の発明では、モータが出力する回転力が伝達機構を介して第1ロール及び第2ロールに伝達されるようになる。これにより、モータを用いて第1ロール及び第2ロールを回転させることができるので、エビ等の比較的硬い原料が供給された場合であっても、第1ロールにおいて容易に圧縮することや第2ロールにおいて容易に圧延することが可能となる。したがって、例えば、比較的筋力が弱い高齢者や子供であっても比較的硬い原料を用いて膨化煎餅を製造することができる。
【0028】
第9の発明では、モータの出力軸と第3支持軸とが第2巻き掛け部材により連絡されているので、モータの出力軸が回転すると、第3支持軸及び第2ロールが回転するようになる。そして、第3支持軸と第4支持軸とが第3巻き掛け部材により連絡されているので、第3支持軸が回転すると、第4支持軸及び第1ロールが回転するようになる。これにより、エビ等の比較的硬い原料であっても第1ロールにおいて容易に圧縮することや第2ロールにおいて容易に圧延することが可能となる。
【0029】
第10の発明では、上下方向において第2ロールとモータとの間に受け部が配設されるようになるので、第2ロールから下方に送り出された膨化煎餅がモータ等に接触することを抑えながら受け部において受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る膨化煎餅の製造装置の内部構成を示す概略正面図である。
【
図2】
図1のII-II線における概略断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線における概略断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る膨化煎餅の製造装置の内部構成を示す概略側面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る膨化煎餅の製造装置の内部構成を示す概略正面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る膨化煎餅の製造装置の内部構成を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る膨化煎餅の製造装置1を示す。該製造装置1は、略直方体状のケース2を備えている。該ケース2内には、ホッパ3、一対の上側ロール4、一対の下側ロール5、及び、受け部6が収容されている。
【0033】
ホッパ3は、略漏斗状をなしており、上側開口を介してホッパ3内に原料(例えば、乾燥させたエビや煮干し等の魚介類)が導入されるようになっている。ホッパ3内に導入された原料は、該ホッパ3の下側開口から下方に排出されるようになっている。
【0034】
一対の上側ロール4は、ホッパ3の下方に配設されており、ホッパ3の下側開口から落下された原料を所定厚さに圧縮して下方に送り出すように構成されている。
【0035】
一対の上側ロール4は、第1上側ロール4a及び第2上側ロール4bを有している。第1上側ロール4a及び第2上側ロール4bの各々は、略円柱状をなしており、互いに外周面が対向する姿勢において所定の第1間隔CL1(例えば、2mm)を空けて配設されている。また、第1上側ロール4a及び第2上側ロール4bは、それぞれの内部に上側加熱部7(例えば、電気ヒータ)を備えている。本実施形態では、上側加熱部7の加熱温度(特許請求の範囲における「第2加熱温度」に対応)は、原料が膨化しない温度(例えば、30~50℃)に設定されている。
【0036】
上側加熱部7は、図示しない切替スイッチ(切替部)に接続されている。該切替スイッチは、上側加熱部7により上側ロール4間に供給された原料を加熱する状態(オン状態)と、加熱しない状態(オフ状態)とを切り替え可能となっている。
【0037】
第1上側ロール4aは、その中心部分に設けられた第1貫通孔4cに第1上側支持軸8aが挿通されている。第1上側ロール4aと第1上側支持軸8aとは、一体回転するよう固定され、つまり、相対回転不能に構成されている。
【0038】
第2上側ロール4bは、その中心部分に設けられた第2貫通孔4dに第2上側支持軸8bが挿通されている。第2上側ロール4bと第2上側支持軸8bとは、一体回転するよう固定され、つまり、相対回転不能に構成されている。
【0039】
第1上側支持軸8a及び第2上側支持軸8bは、
図2に示すように、一対の第1上側支持部9aと第2上側支持部9bとに回転自在に支持されている。第1上側支持部9aと第2上側支持部9bは、第1上側支持軸8a及び第2上側支持軸8bと直交かつ水平方向に延びており、各々の長手方向の一端部分がケース2に固定されている。また、第1上側支持部9aと第1上側支持軸8a及び第2上側支持軸8bとの間、第2上側支持部9bと第1上側支持軸8a及び第2上側支持軸8bとの間には、第1軸受10aがそれぞれ介設されている。
【0040】
第1上側支持軸8aには、該第1上側支持軸8aと一体に回転する第1ギヤ11aが設けられている。また、第2上側支持軸8bには、該第2上側支持軸8bと一体に回転するとともに、第1ギヤ11aと常時噛合する第2ギヤ11bが設けられている。本実施形態では、第1ギヤ11a及び第2ギヤ11bの歯数が同一に設定されている。
【0041】
第1上側支持軸8aには、該第1上側支持軸8aと一体に回転する第1プーリ12が取り付けられている。該第1プーリ12には、第1ベルト13(例えば、平ベルト)が巻き掛けられている。
【0042】
第2上側支持軸8bには、ハンドルHが取り付けられている。換言すると、ハンドルHは、第2上側支持軸8bと連結している。該ハンドルHを手動操作する(手動で回す)ことにより、第2上側支持軸8bが回転するようになっている。
【0043】
一対の下側ロール5は、
図1に示すように、一対の上側ロール4の下方に配設されている。本実施形態では、一対の上側ロール4と一対の下側ロール5との上下方向の第2間隔CL2は、供給される原料の長さよりも大きくなっている。例えば、煮干しを原料に用いる場合、一般的に煮干しの大きさは3~10cmであるため、第2間隔CL2を10cmよりも大きく設定する。
【0044】
また、一対の下側ロール5は、一対の上側ロール4において圧縮された原料を加熱しながら圧延するように構成されている。
【0045】
一対の下側ロール5は、第1下側ロール5a及び第2下側ロール5bを有している。第1下側ロール5a及び第2下側ロール5bの各々は、略円柱状をなしており、互いに外周面が対向する姿勢において所定の第3間隔CL3(例えば、0.5mm)を空けて配設されている。該第3間隔CL3は、第1間隔CL1よりも小さくなっている。
【0046】
また、第1下側ロール5a及び第2下側ロール5bは、それぞれの内部に下側加熱部14(例えば、電気ヒータ)を備えている。本実施形態では、下側加熱部14の加熱温度(特許請求の範囲における「第1加熱温度」に対応)は、上側加熱部7の加熱温度よりも高い温度(例えば、150℃)に設定されている。また、本実施形態では、下側加熱部14は、常時作動するようになっている。
【0047】
第1下側ロール5aは、その中心部分に設けられた第3貫通孔5cに第1下側支持軸15aが挿通されている。第1下側ロール5aと第1下側支持軸15aとは、一体回転するように固定され、つまり、相対回転不能に構成されている。
【0048】
第2下側ロール5bは、その中心部分に設けられた貫通孔5dに第2下側支持軸15bが挿通されている。第2下側ロール5bと第2下側支持軸15bとは、一体回転するように固定され、つまり、相対回転不能に構成されている。
【0049】
第1下側支持軸15a及び第2下側支持軸15bは、
図3に示すように、左右一対の第1下側支持部16aと第2下側支持部16bとに回転自在に支持されている。第1下側支持部16aと第2下側支持部16bは、第1下側支持軸15a及び第2下側支持軸15bと直交かつ水平方向に延びており、各々の長手方向の一端部分がケース2に固定されている。また、第1下側支持部16aと第1下側支持軸15a及び第2下側支持軸15bとの間、第2下側支持部16bと第1下側支持軸15a及び第2下側支持軸15bとの間には、第2軸受10bがそれぞれ介設されている。
【0050】
第1下側支持軸15aには、該第1下側支持軸15aと一体に回転する第3ギヤ17aが設けられている。また、第2下側支持軸15bには、該第2下側支持軸15bと一体に回転するとともに、第3ギヤ17aと常時噛合する第4ギヤ17bが設けられている。本実施形態では、第3ギヤ17a及び第4ギヤ17bの歯数が同一に設定されている。
【0051】
第1下側支持軸15aには、該第1下側支持軸15aと一体に回転する第2プーリ18が取り付けられている(
図4参照)。該第2プーリ18には、第1ベルト13が巻き掛けられている。ここで、第1ベルト13は、第1プーリ12と第2プーリ18とに巻き掛けられているので、第1プーリ12が回転すると、該第1プーリ12と第1ベルト13を介して連絡された第2プーリ18が回転するようになっている。
【0052】
受け部6は、
図1及び
図4に示すように、一対の下側ロール5の下方に配設されている。該受け部6は、略皿状をなしている。これにより、受け部6は、一対の下側ロール5から下方に送り出され後において、原料が膨化することにより製造される膨化煎餅を受けることが可能となっている。
【0053】
上下方向において下側ロール5と受け部6との間には、
図1に示すように、一対の第1スクレーパ23と一対の第2スクレーパ24とが配設されている。第1スクレーパ23は、第2スクレーパ24の下方に配設されている。
【0054】
また、第1スクレーパ23には、外側に行くに従って下方となるよう傾斜する傾斜部23aと、該傾斜部23aの中途部分から下方に延びる壁部23bと、を備えている。
【0055】
傾斜部23aの内側端部は、下側ロール5の外周面に接近している。これにより、傾斜部23aは、下側ロール5に付着した膨化煎餅を下方に落下させるようになっている。
【0056】
壁部23bの上端が傾斜部23aに固定されているとともに、その下側部分が受け部6の内部に位置している。これにより、壁部23bは、膨化煎餅を受け部6の内部に案内するようになっている。
【0057】
第2スクレーパ24の内周端部(先端部)は、下側ロール5の外周面に接近している。本実施形態では、第2スクレーパ24の内周端部は、第1スクレーパ23(傾斜部23a)の内周端部よりも下側ロール5の外周面に接近している。これにより、第2スクレーパ24は、下側ロール5の外周面に付着したカス等を下方に落下させるようになっている。該カス等は、第1スクレーパ23の傾斜部23aの上面において受けられた後、該傾斜部23aの傾斜により外側に案内されるようになっている。これにより、上記カス等が誤って受け部6内に入り込むのを抑制することができる。
【0058】
次に、第1実施形態における製造装置1の各ロールの回転動作について説明する。
【0059】
製造装置1の使用者が、
図2において反時計回りにハンドルHを回転させるように操作すると、該ハンドルHに連結された第2上側支持軸8b及び該第2上側支持軸8bに固定された第2上側ロール4bが反時計回りに回転する(
図1参照)。
【0060】
また、第2上側支持軸8bに設けられた第2ギヤ11bと第1上側支持軸8aに設けられた第1ギヤ11aとが噛合しているので、第2上側支持軸8bが回転すると、第1上側支持軸8a及び該第1上側支持軸8aに固定された第1上側ロール4aが時計回りに回転する(
図1参照)。
【0061】
図4に示すように、第1上側支持軸8aの第1プーリ12と第1下側支持軸15aに設けられた第2プーリ18には、第1ベルト13が巻き掛けられているので、第1上側支持軸8aと第1下側支持軸15aとは、同方向に回転する。つまり、第1下側支持軸15a及び該第1下側支持軸15aに固定された第1下側ロール5aは時計回りに回転する(
図1参照)。
【0062】
また、第1下側支持軸15aに設けられた第3ギヤ17aと第2下側支持軸15bに設けられた第4ギヤ17bとが噛合しているので、第1下側支持軸15aが回転すると、第2下側支持軸15b及び該第2下側支持軸15bに固定された第2下側ロール5bが反時計回りに回転する(
図1参照)。
【0063】
次に、実施形態1に係る製造装置1を用いた膨化煎餅の製造方法について説明する。
【0064】
<準備工程>
まず、乾燥したエビ(原料)を準備する。該エビは、予め殻等が取り除かれている。また、エビは、完全に乾燥させたものではなく、膨化に必要な水分が含まれている。
【0065】
<投入工程>
次に、エビをホッパ3に投入する。該投入されたエビは、ホッパ3の下側開口から下方に排出された後、一対の上側ロール4間に供給される。
【0066】
<圧縮工程>
上方から一対の上側ロール4に供給されたエビは、該一対の上側ロール4により挟まれることで所定厚さに圧縮された後、下方に送り出される。本実施形態では、原料として比較的硬いエビが用いられているので、上側加熱部7によりエビが所定の加熱温度(例えば、30~50℃)で加熱されるようになっている。これにより、エビが上側加熱部7により加熱されながら圧縮されるので、つぶし易くなる。したがって、上記エビを圧縮する際に一対の上側ロール4を回転させるのに必要なハンドルHの操作力を低減することが可能となる。
【0067】
<圧延工程>
上方から一対の下側ロール5に供給されたエビ(所定厚さに圧縮されたエビ)は、下側加熱部14により所定の加熱温度(例えば、150℃)で加熱されながら一対の下側ロール5により圧延された後、下方に送り出される。該下方に送り出されたエビは、一対の下側ロール5間を通過する際に所定の圧力及び熱が加えられた状態から開放されるようになるので、エビに含まれる水分が膨張する、つまり、エビが膨化する。そして、エビが膨化することにより製造される(得られる)膨化煎餅は、受け部6において受けられる。
【0068】
以上より、第1実施形態によれば、原料が一対の上側ロール4間に供給されると、該上側ロール4により所定厚さに圧縮されるようになる。そして、下側ロール5には、上側ロール4により所定厚さに圧縮された原料が供給されるようになるので、下側ロール5における原料の加熱及び圧延を適切に行うことが可能となる。これにより、下側ロール5を通過した後に、原料が膨化しない事態、或いは、膨化が不十分となる事態が発生するのを回避できる。したがって、膨化煎餅を安定して製造可能な膨化煎餅の製造装置1を提供することができる。
【0069】
また、下側ロール5のロール間の間隔が上側ロール4のロール間の間隔よりも狭くなっているので、上側ロール4で圧縮した原料を下側ロール5において適切に圧延することができる。
【0070】
また、原料が上側加熱部7において加熱されながら上側ロール4により圧縮されるようになる。これにより、エビ等の比較的硬い原料を用いた場合であっても、所定厚さに容易に圧縮することができる。
【0071】
また、上側加熱部7の加熱温度は、下側加熱部14の加熱温度よりも低く、かつ、原料が膨化しない温度に設定されているので、上側加熱部7において過剰な加熱が行われることで、原料が誤って膨化するのを防ぐことができる。
【0072】
また、エビ等の比較的硬い原料を用いる場合は、切替部により上側加熱部7による原料の加熱が行われる状態とされることで、上側ロール4における原料が確実に圧縮されるようになる。また、煮干し等の比較的柔らかい原料を用いる場合は、切替部により上側加熱部7による原料の加熱が行われない状態にされることで、誤って原料が膨化することを防ぐことができる。また、上側加熱部7による消費電力等を低減することが可能となるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0073】
また、上側ロール4と下側ロール5との上下方向の間隔が供給される原料の長さよりも大きくなっているので、原料が上側ロール4及び下側ロール5の双方において挟まれることで、原料がちぎれてしまうのを抑制することができる。
【0074】
また、ハンドルHが回されると、第1上側支持軸8a、第2上側支持軸8b及び上側ロール4が回転するようになる。そして、該第1上側支持軸8aと第1下側支持軸15aとが第1ベルト13により連絡されているので、第1上側支持軸8a、第2上側支持軸8b及び上側ロール4が回転すると、第1下側支持軸15a、第2下側支持軸15b及び下側ロール5が回転するようになる。これにより、モータ等の駆動手段を用いずに上側ロール4及び下側ロール5を回転させることができる。また、ハンドルHが下側ロール5よりも回転させる力が必要な上側ロール4に連結されているので、ハンドルHが下側ロール5に連結されている場合に比べてハンドルHの操作力を軽減することができる。
【0075】
<第1実施形態の変形例>
なお、第1実施形態では、上側加熱部7及び下側加熱部14について電気ヒータの例を用いて説明したが、誘導加熱式や熱媒循環式を用いても良い。
【0076】
また、第1実施形態では、ハンドルHが第2上側支持軸8bに連結されている例について説明したが、第1上側支持軸8a、第1下側支持軸15a及び第2下側支持軸15bのいずれかに連結されていてもよい。
【0077】
また、第1上側支持軸8a及び第2上側支持軸8bのいずれか一方と、第1下側支持軸15a及び第2下側支持軸15bとにそれぞれハンドルHを連結するようにしてもよい。このようにすることで、各ハンドルHにより第1上側支持軸8a及び第2上側支持軸8bと第1下側支持軸15a及び第2下側支持軸15bとを独立して回転させることが可能となるとともに、第1プーリ12、第1ベルト13及び第2プーリ18を無くすことができる。
【0078】
また、第1実施形態では、原料としてエビを用いた例について説明したが、エビ以外の原料を用いることも可能である。例えば、煮干し等の比較的柔らかい原料を用いる場合には、切替部(不図示)を用いて上側加熱部7により上側ロール4間に供給された原料を加熱する状態(オン状態)から該原料を加熱しない状態(オフ状態)に切り替えてもよい。
【0079】
<第2実施形態>
次に、
図5及び
図6を用いて本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明し、該第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。なお、実施形態2に係る製造装置1を用いた膨化煎餅の製造方法は、実施形態1に係る製造装置1を用いた膨化煎餅の製造方法と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
第1実施形態では、ハンドルHを用いて各ロールを回転動作させる手動式であったが、第2実施形態では、電動モータ19を用いて各ロールを回転動作させる電動式となっている。
【0081】
電動モータ19は、
図5及び
図6に示すように、一対の下側ロール5の下方に配設されている。これにより、一対の下側ロール5と電動モータ19との上下方向間に受け部6が配設されている。また、電動モータ19の出力軸19aには、第3プーリ20が設けられている。
【0082】
該第3プーリ20と、第1下側支持軸15aに設けられた第4プーリ21には、第2ベルト22(例えば、平ベルト)が巻き掛けられている。
【0083】
次に、第2実施形態における製造装置1の各ロールの回転動作について説明する。
【0084】
図5において電動モータ19の出力軸19aを時計回りに回転させると、該出力軸19aに設けられた第3プーリ20が時計回りに回転する。すると、第3プーリ20と第2ベルト22を介して連絡されている第4プーリ21が時計回りに回転する(
図5参照)。
【0085】
第4プーリ21が時計回りに回転すると、第1下側支持軸15a及び該第1下側支持軸15aに固定された第1下側ロール5aが時計周りに回転する(
図5参照)。
【0086】
また、第1下側支持軸15aに設けられた第3ギヤ17aと第2下側支持軸15bに設けられた第4ギヤ17bとが噛合しているので、第1下側支持軸15aが回転すると、第2下側支持軸15b及び該第2下側支持軸15bに固定された第2下側ロール5bが反時計回りに回転する(
図5参照)。
【0087】
図6に示すように、第1下側支持軸15aの第2プーリ18と第1上側支持軸8aに設けられた第1プーリ12には、第1ベルト13が巻き掛けられているので、第1上側支持軸8aと第1下側支持軸15aとは、同方向に回転する。つまり、第1上側支持軸8a及び該第1上側支持軸8aに固定された第1上側ロール4aは時計回りに回転する(
図5参照)。
【0088】
また、第1上側支持軸8aに設けられた第1ギヤ11aと第2上側支持軸8bに設けられた第2ギヤ11bとが噛合しているので、第1上側支持軸8aが回転すると、第2上側支持軸8b及び該第2上側支持軸8bに固定された第2上側ロール4bは反時計回りに回転する(
図5参照)。
【0089】
以上より、第2実施形態によれば、電動モータ19が出力する回転力が第1ベルト13及び第2ベルト22を介して上側ロール4及び下側ロール5に伝達されるようになる。これにより、電動モータ19を用いて上側ロール4及び下側ロール5を回転させることができるので、エビ等の比較的硬い原料が供給された場合であっても、上側ロール4において容易に圧縮することや下側ロール5において容易に圧延することが可能となる。したがって、例えば、比較的筋力が弱い高齢者や子供であっても比較的硬い原料を用いて膨化煎餅を製造することができる。
【0090】
また、電動モータ19の出力軸19aと第1下側支持軸15aとが第2ベルト22により連絡されているので、電動モータ19の出力軸19aが回転すると、第1下側支持軸15a、第2下側支持軸15b及び下側ロール5が回転するようになる。そして、第1下側支持軸15aと第1上側支持軸8aとが第1ベルト13により連絡されているので、第1下側支持軸15aが回転すると、第1上側支持軸8a、第2上側支持軸8b及び上側ロール4が回転するようになる。これにより、エビ等の比較的硬い原料であっても上側ロール4において容易に圧縮することや下側ロール5において容易に圧延することが可能となる。また、電動モータ19が下側ロール5の下方に配設されることで、上側ロール4、下側ロール5、電動モータ19が上下方向に並ぶようになる。これにより、製造装置1が水平方向に大型化するのを抑制することができる。
【0091】
また、上下方向において下側ロール5と電動モータ19との間に受け部6が配設されるようになるので、下側ロール5から下方に送り出された膨化煎餅が電動モータ19等に接触することを抑えながら受け部6において受けることができる。
【0092】
<第2実施形態の変形例>
なお、第2実施形態では、モータとして、電動モータ19を用いた例について説明したが、電動モータ19に代えて油圧モータを用いてもよい。
【0093】
<第1実施形態及び第2実施形態の変形例>
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、第1ベルト13及び第2ベルト22には平ベルトが用いられていたが、平ベルト以外の巻き掛け部材(例えば、Vベルト、チェーン等)を用いてもよく、或いは、ギヤを用いて各支持軸を連絡するようにしてもよい。ギヤを用いる場合には、各支持軸に設けられたギヤの間にアイドラギヤを設けてもよい。
【0094】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、原料として、エビや煮干しの例を用いて説明したが、これら以外の魚介類(例えば、貝)であってもよく、或いは、魚介類以外(例えば、乾燥させたシイタケなどキノコ)であってもよい。
【0095】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、上側加熱部7及び下側加熱部14の加熱温度が固定である例について説明したが、これらの加熱温度を例えば、外気温、原料の性質等に応じて任意に変更してもよい。
【0096】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、上側ロール4及び下側ロール5の回転数が固定である例について説明したが、原料の種類や大きさに応じて、各ロールの回転数を変更してもよい。
【0097】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、第1間隔CL1、第2間隔CL2及び第3間隔CL3が変更できない例について説明したが、各間隔を変更可能に構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、例えば、乾燥させた魚介類を膨化させることにより、膨化煎餅を製造可能な膨化煎餅の製造装置及び膨化煎餅の製造方法に適している。
【符号の説明】
【0099】
1 製造装置
4 上側ロール(第1ロール)
5 下側ロール(第2ロール)
6 受け部
7 上側加熱部(第1加熱部)
8a 第1上側支持軸(第1支持軸、第4支持軸)
8b 第2上側支持軸(第1支持軸、第4支持軸)
13 第1ベルト(第1巻き掛け部材、第3巻き掛け部材、伝達機構)
14 下側加熱部(第2加熱部)
15a 第1下側支持軸(第2支持軸、第3支持軸)
15b 第2下側支持軸(第2支持軸、第3支持軸)
19 電動モータ(モータ)
19a 出力軸
22 第2ベルト(第2巻き掛け部材、伝達機構)
H ハンドル