(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131458
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】業務端末装置、始業前健康チェックプログラム及び配達業務システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240920BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q10/08
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041727
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】大垣 聡子
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】運輸業務を行う者が、意識することなく、始業前の適切なタイミングで自ら健康チェックを実施し、その結果を記録して蓄積できる業務端末装置、始業前健康チェックプログラム及び配達業務システムを提供する。
【解決手段】配達業務システムにおいて、運輸業務を行う利用者が業務中に所持し、ネットワークを通じて管理サーバ装置との間で相互に通信を行う業務端末装置1は、業務アプリケーションソフトウェアを起動した場合に、始業時か否かを判別し、始業時であると判別した場合に、近距離無線通信アンテナ110A及び近距離無線通信部110やタッチパネル120を通じて利用者の始業前の健康管理情報の入力を受け付け、受け付けた健康管理情報を健康チェックファイル107に記録する健康チェック部151を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運輸業務を行う利用者が、業務中に所持し、所定の業務アプリケーションソフトウェアを起動して利用する業務端末装置であって、
前記業務アプリケーションソフトウェアを起動した場合に、始業時か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により始業時であると判別された場合に、利用者の始業前の健康管理情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた前記健康管理情報を、記憶保持する記憶手段と
を備えることを特徴とする業務端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の業務端末装置であって
前記受付手段を通じて受け付けた前記健康管理情報に基づいて、就業が可能か否かを判別する就労可否判別手段と、
前記就労可否判別手段で就業が不能であると判別された場合に、通知メッセージを出力する出力手段と、
前記就労可否判別手段で就業が不能であると判別された場合に、前記業務アプリケーションソフトウェアの実行を終了させる終了処理手段と
を備えることを特徴とする業務端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の業務端末装置であって、
前記判別手段は、動作履歴情報に基づいて、少なくとも、
健康管理情報の前回の入力日時から所定時間以上経過している場合において、始業時であると判別する
ことを特徴とする業務端末装置。
【請求項4】
請求項1に記載の業務端末装置であって、
前記判別手段は、動作履歴情報に基づいて、少なくとも、
健康管理情報の前回の入力日時から所定時間以上経過している場合と、
前記業務アプリケーションソフトウェアの前回の終了日時が前日以前である場合と、
前記業務アプリケーションソフトウェアの終了日時から所定時間以上経過している場合と、
実行された業務が荷物の登録業務であり、かつ、前回の配達先案内業務の終了日時から所定時間経過している場合と、
実行された業務が荷物の登録業務以外であり、かつ、前回の荷物の登録業務の終了日時から所定時間以上経過している場合と
のいずれかであるときには、始業時であると判別する
ことを特徴とする業務端末装置。
【請求項5】
運輸業務を行う利用者が、業務中に所持し、所定の業務アプリケーションソフトウェアを起動して利用する業務端末装置に搭載されたコンピュータで実行される始業前健康チェックプログラムであって、
前記業務アプリケーションソフトウェアを起動した場合に、始業時か否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて始業時であると判別した場合に、利用者の始業前の健康管理情報の入力を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップを通じて受け付けた前記健康管理情報を、記憶手段に記録する記録ステップと
を実行することを特徴とする始業前健康チェックプログラム。
【請求項6】
運輸業務を行う利用者が、業務中に所持し、所定の業務アプリケーションソフトウェアを起動して利用する業務端末装置と、管理サーバ装置とがネットワークを通じて接続されて構成される配達業務システムであって、
前記業務端末装置は、
前記業務アプリケーションソフトウェアを起動した場合に、始業時か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により始業時であると判別された場合に、利用者の始業前の健康管理情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた前記健康管理情報を、前記管理サーバ装置に送信する送信手段と
を備え、
前記管理サーバ装置は、
前記業務端末装置からの前記健康管理情報を受信する受信手段と、
前記受信手段を通じて受信した前記健康管理情報を、前記利用者別に記憶保持する記憶手段と
を備えることを特徴とする配達業務システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自転車、原動機付き自転車、自動2輪車、自動車、トラック等の移動体を用いて運輸業務を行う者が使用する装置、プログラム、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
後に記す特許文献1には、酩酊運転によって交通事故を発生する例が少なくないことに鑑み、運転者が酩酊していると自動車の発進,走行が自動的に阻止されるようにする方法、装置に関する発明が開示されている。特許文献1に開示された発明は、簡単には運転席付近に運転席アルコールセンサ1を設け、その出力信号に基づき酩酊していると判別したときには、自動車の発進、走行を抑止するものである。
【0003】
また、後に記す特許文献2には、車両運転中における運転者の体調悪化を未然に防止する運転支援装置に関する発明が開示されている。特許文献2に開示された発明は、運転者監視部で運転者の身体情報を検出し、当該身体情報を基に体調診断部で体調診断を行い、判断部で体調診断の結果が休憩推奨案内しきい値以下と判断した場合、情報提供部で運転者に休憩を促す案内を行うというものである。
【0004】
特許文献1に開示された発明によって、酒酔い運転を効果的に防止することができる。また、特許文献2に開示された発明によって、長時間運転を効果的防止することができる。これらの発明によって、酒酔い運転や疲労が蓄積した運転者による自動車の運転を抑止し、交通事故の防止に資することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-249847号公報
【特許文献2】特開2013-109447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、運輸業界においては、ドライバーの労働環境の改善などを行うため法律改正が行われており、例えば、健康状態の入力やアルコールチェックを行い、これらの状況を記録して管理することが必要となってきている。すなわち、ハンドルを握る前(始業前)において、ドライバーの健康チェックを行って管理し、必要に応じて運転を回避させるなどの措置を講ずることができるようにすることが求められている。しかし、比較的に規模の大きな運送事業者の場合には、事業所において、始業前にドライバーの健康状態を管理者がチェックし、把握することが可能である。管理者が健康チェックを行うことにより、不正を生じさせることなく適切な健康チェックを行える。
【0007】
しかし、近年においては、数人で運営されている小規模運送事業者や個人が軽貨物自動車などを用いて荷物を配達して対価を得る個人事業主や飲食店の料理を配達して対価を得る個人事業主が多くなってきている。このような小規模運送事業者や個人で配達業を営む個人事業主の場合には、ドライバー自身が自ら健康チェックを実施し、記録して管理しなければならない。しかしながら、ドライバー自身に健康状態の入力やアルコールチェックを任せると多忙で時間がないために実施や記録を忘れてしまう可能性がある。健康チェックの実施や記録は、交通事故を未然に防ぐという意味合いにおいても有効であるが、もし事故に関与してしまった場合に、自己の健康状態に問題がないことを証明する有用な手段であるため、ドライバー自身の利益にもつながる。
【0008】
以上のことに鑑み、この発明は、運輸業務を行う者が、意識することなく、始業前の適切なタイミングで自ら健康チェックを実施し、その結果を記録して蓄積できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の業務端末装置は、
運輸業務を行う利用者が、業務中に所持し、所定の業務アプリケーションソフトウェアを起動して利用する業務端末装置であって、
前記業務アプリケーションソフトウェアを起動した場合に、始業時か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により始業時であると判別された場合に、利用者の始業前の健康管理情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた前記健康管理情報を、記憶保持する記憶手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、運輸業務を行う者が、意識することなく、始業前の適切なタイミングで自ら健康チェックを実施し、その結果を記録して蓄積できる。これにより、始業前に自己の体調を客観的に把握することができると共に、健康に問題がないことを証明する有用な手段を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の配達業務システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の業務端末装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3】実施の形態の業務端末装置の利用者情報ファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図4】実施の形態の業務端末装置の動作ログファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図5】実施の形態の業務端末装置の健康チェックファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態の業務端末装置と外部計測装置との連携について説明するための図である。
【
図7】実施の形態の業務端末装置で業務アプリケーションソフトウェアが実行された場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図7のステップS103で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施の形態の管理サーバ装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、プログラム、システムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態の装置、プログラム、システムは、広く運輸業務を行う事業者に適用することができるものである。この明細書において、運輸業務は、自転車、バイク、自動車を用いて荷物を輸送する業務、バスやタクシーで主に人を輸送する業務など、種々の荷物や人を輸送する業務が含まれるものとする。
【0013】
この発明は、大規模な運輸事業者において、個々の従業者が用いることももちろん可能である。さらに、この発明は、宅配などと呼ばれる、商品や荷物を個々の家まで配達する配達業務に関わる小規模事業者や1人で配達業務を行う個人事業主が用いて特に好適なものである。そこで、以下に説明する実施の形態では、説明を簡単にするため、1人で配達業務を行う個人事業主が、この発明を用いる場合を例にして説明する。
【0014】
なお、以下に説明する実施の形態において、1人で配達業務を行う個人事業主は、比較的に大きな運輸(運送)事業者のいわゆる下請け事業者として、あるいは、自ら荷物の配送を請け負って、自己の車両(例えば、軽貨物自動車)を用いて配達業務を行う者である。また、荷物は、本来、持ち運ぶ物品や運送する荷物を意味する。しかし、この実施の形態では、手紙や書類、小包、電子商取引(いわゆるインターネットショッピング)を通じて購入された商品、飲食店の料理など、個々の家である配達先に届けるべき種々の物品を含むものとする。
【0015】
[配達業務システムの構成例]
図1は、実施の形態の配達業務システムの構成例を説明するための図である。
図1において、利用者U1、U2、…は、自己の例えば軽貨物自動車CV1、CV2、…を用いて荷物の配達業務を行う個人事業主であり、業務端末装置1(1)、1(2)、…を利用して配達業務を行う者である。業務端末装置1(1)、1(2)、…は、スマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)などの携帯通信端末により実現される。
【0016】
業務端末装置1(1)、1(2)、…は、近隣の基地局BS(1)、BS(2)を通じてネットワーク2に接続し、このネットワーク2を通じて管理サーバ装置3との間で相互に通信を行うことができる。ネットワーク2は、主にはインターネットであるが、業務端末装置1(1)、1(2)、…や管理サーバ装置3からインターネットまでを繋ぐ携帯電話網、一般公衆電話網、無線LAN(Local Area Network)などをも含む。このため、
図1において、基地局BS(1)、BS(2)は、携帯電話網の基地局や無線LANのアクセスポイントである。
【0017】
管理サーバ装置3は、業務端末装置1(1)、1(2)、…を通じて管理サーバ装置3の利用が許可された利用者に関する情報を蓄積して管理する。管理サーバ装置3は、利用が許可された利用者に対して、地図情報を提供したり、配達する荷物に応じてルート探索を行い、探索された配達ルートを提供したりする機能を有する。管理サーバ装置3の運営会社は、管理サーバ装置3を利用して配達業務を支援するための業務携帯端末用の業務アプリケーションソフトウェア(以下、業務アプリと記載する。)を作成し、所定のWebサイトを通じてダウンロード可能にしている。
【0018】
当該業務アプリは、携帯端末において、配達する荷物の登録、配達エリアの地図情報の取得と表示、配達する荷物に応じた配達ルートの探索の要求、探索された配達ルートに従ったルート案内(ナビゲーション)などを行う機能を実現するものである。すなわち、当該業務アプリは、種々の携帯端末を業務端末装置として機能させるためのものである。このため、利用者U1、U2、…は、自己が利用するスマートフォンやタブレットPCに当該業務アプリをダウンロードし、実行可能にしておくことにより、それらの端末装置を業務端末装置1(1)、1(2)、…として機能させることができるようにする。
【0019】
なお、当該業務アプリのダウンロードには、対価の支払いが条件とされる場合もあるし、無償であるが利用可能な期間や機能が制限される場合もある。また、当該業務アプリを通じて管理サーバ装置3を利用する場合には、利用者IDやパスワードを用いて認証を取り、ログインした状態にしておく必要がある。
【0020】
利用者U1、U2、…は、配達業務を行うにあたり、配送業務の委託元の運送会社の集荷場(配送センター)に行き、自己の業務端末装置1(1)、1(2)、…で業務アプリを実行し、自分が配達する荷物を業務端末装置1(1)、1(2)、…に登録する。利用者U1、U2、…は、登録した荷物を自己の軽貨物自動車CV1、CV2、…に積み込み、配達に向かうことになる。この際に、利用者U1、U2、…は、自己の業務端末装置1(1)、1(2)、…で当該業務アプリを利用し、登録した荷物情報を管理サーバ装置3に提供し、配達ルートの探索を要求する。
【0021】
探索結果である配達ルートと配達エリアの地図情報は、管理サーバ装置3から要求元の業務端末装置1(1)、1(2)、…に提供され、業務端末装置1(1)、1(2)、…の表示画面に配達エリアの地図情報と配達ルートが表示される。利用者U1、U2、…は、自己の業務端末装置1(1)、1(2)、…の表示画面に表示された地図及び配達ルートを参照して、荷物の配達業務を行うことができる。また、初めて行く配達先で道順がよくわからない場合には、ナビゲーション機能を用いて配達を行うこともできる。
【0022】
このように、利用者U1、U2、…は、業務アプリがダウンロードされた業務端末装置1(1)、1(2)、…及び管理サーバ装置3を利用して、荷物の配達業務をスムーズかつ迅速に行うことができる。更に、この実施の形態の配達業務システムでは、業務アプリがダウンロードされた業務端末装置1(1)、1(2)、…を通じて、利用者U1、U2、…のそれぞれに対して、始業前の適切なタイミングで健康チェックの実施を促す。これにより、利用者U1、U2、…のそれぞれは、自己の業務端末装置1(1)、1(2)、…を通じて健康チェックを実施し、健康管理情報を入力して記憶保持することができるようにしている。
【0023】
すなわち、この実施の形態の配達業務システムでは、始業前の健康チェックの実施を、利用者U1、U2、…の意思に任せるものではない。この実施の形態では、利用者U1、U2、…のそれぞれに対して、業務端末装置1(1)、1(2)、…を通じて、始業前の適切なタイミングで健康チェックの実施を促すことで、確実かつ適切に始業前の健康チェックを実施できるようにしている。
【0024】
なお、業務端末装置1(1)、1(2)、…は、基本的な構成は同様のものであるため、以下の説明においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、業務端末装置1(1)、1(2)、…を業務端末装置1と総称する。また、利用者U1、U2、…についても、以下の説明においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、利用者Uと総称する。
【0025】
[業務端末装置1の構成例]
図2は、実施の形態の業務端末装置1の構成例を説明するためのブロック図である。送受信アンテナ101A及び無線通信部101は、ネットワーク2を通じて通信を行う機能を実現する。従って、管理サーバ装置3との間の通信は、送受信アンテナ101A及び無線通信部101を通じて行われる。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えて構成されたマイクロプロセッサである。制御部302は、業務端末装置1の各部を制御する機能を有する。
【0026】
記憶装置103は、例えば、半導体メモリとそのデバイスドライバとを備え、データの記録、変更、削除、読み出しなどを行うものであり、種々の処理の途中結果を保持する作業領域としても用いられる。操作部104は、例えば電源のオン/オフキーや幾つかのファンクションキーなどが設けられ、利用者による操作を受け付けて、受け付けた操作内容を電気信号として制御部102に通知する。
【0027】
利用者情報ファイル105は、業務端末装置1を利用する利用者Uに関する基本的な情報を記憶保持する。
図3は、業務端末装置1の利用者情報ファイル105の格納データの例を説明するための図である。
図3に示すように、利用者情報ファイル105には、利用者を特定する情報や利用者に関する種々の情報が登録される。これらの情報は、例えば、業務端末装置1に業務アプリをダウンロードして利用する際に登録される。
【0028】
もちろん、ダウンロード時に限定されるものではなく、適宜にタイミングにおいて、利用者Uが、自分が使用する業務端末装置1に個人情報を入力し、利用者情報ファイル105に登録することもできる。また、業務端末装置1は、例えば運送会社が、従業者に貸与して利用させることもできる。このため、利用者Uが運送会社に所属しており、業務端末装置1を当該運送会社から貸与を受ける場合には、当該運送会社において把握している従業者の個人情報を、業務端末装置1の利用者情報ファイル105に登録することもできる。この場合には、利用者U自身が、自分が使用する業務端末装置1に利用者情報を登録する必要もない。
【0029】
図3において、会社IDは、利用者Uが会社組織に所属し、その会社がこの実施の形態の管理サーバ装置3及び業務アプリを利用する場合に、当該会社を一意に特定するために当該会社に対して付与される会社の識別情報である。利用者IDは、業務端末装置1を利用する利用者を一意に特定するために当該利用者Uに対して付与される利用者の識別情報である。パスワードは、当該利用者Uが自己の業務端末装置1を通じて管理サーバ装置3にログインする場合に、利用者IDと共に用いられる認証情報である。
【0030】
図3において、氏名、生年月日及び年齢、電子メールアドレス、電話番号、住所は、利用者Uに関する基本情報である。輸送(運送)業界では、ドライバーは、1年以内ごとに1回、深夜業に従事する場合には6か月以内ごとに1回の健康診断を受けなければならないこととされている。
図3において、健康診断年月日は、利用者Uが直近に受けた健康診断の実施年月日である。健康診断情報は、直近に受けた健康診断の結果情報であり、所定の形式で電子データとして取り込まれた情報である。
【0031】
また、利用者Uの健康に関する情報として、疾病情報、就業条件、服薬条件といった情報を有する。疾病情報は、例えば、糖尿病、高血圧、てんかん、心臓病などの、配達業務に従事する場合には注意が必要な疾病にかかっている場合に、その疾病名称、疾病の状態などを示す情報である。就業条件は、配達業務に従事する場合には注意が必要な疾病にかかっている場合に、就業するために必要な条件を示すものであり、例えば、「1日8時間勤務」、「夜勤不可」などの情報である。また、服薬条件は、配達業務に従事する場合には注意が必要な疾病にかかっている場合に、就業するために必要な服薬に関する条件を示すものであり、例えば、「薬Xの1日3回の服用」、「薬Yの始業時の服用」などの服薬に関する情報である。
【0032】
また、
図3において「その他」として示したように、上述した情報以外にも必要な情報があれば、利用者情報として登録して管理することが可能である。このように、利用者情報ファイル105の格納データによって、業務端末装置1を利用する利用者Uに関する基本的な情報及び健康管理に関する情報などを登録して管理することができるようにしている。
【0033】
動作ログファイル106は、業務端末装置1の過去の動作状態を示す動作履歴データ(ログデータ)を記憶保持する。
図4は、実施の形態の業務端末装置1の動作ログファイルの格納データの例を説明するための図である。動作ログファイル106には、業務端末装置1において、どのような動作が、いつ、どこで行われたのかを把握できるようにするログデータが制御部102によって生成されて記録される。なお、「いつ」を示す時刻情報は、業務端末装置1が備える後述する時計回路170を通じて取得可能であり、「どこで」を示す位置情報は、後述するGPS部160を通じて測位可能になっている。
【0034】
具体的に、
図4では、主に2023年2月10日のログデータを示している。すなわち、
図4に示すように、2023年2月10日においては、業務アプリが午前7時50分に起動され、荷物登録処理が午前7時52分に開始するようにされている。しかし、荷物登録の前に、健康チェックが午前7時53分に開始され、午前7時58分に終了している。この後、実際に荷物の登録処理が行われ、午前8時40分に荷物の登録処理が終了している。
【0035】
この後、登録した荷物に応じたルート探索要求が、午前8時41分に管理サーバ装置3に対して行われ、午前8時45分にルート探索結果を得て、ルート設定が行われている。このルート設定に基づいて、午前9時にナビゲーション(ルート案内)を開始して、荷物の配達を開始している。ここまでの動作は、緯度x1,経度y1で特定される同じ位置である、例えば委託元の運送会社の集荷場(配送センター)などにおいて行われていることが把握できる。
【0036】
そして、午前9時18分には、緯度x2、経度y2で示される位置で、最初の配達を完了し、午前9時25分には、緯度x3、経度y3で示される位置で2件目の配達を完了している。配達業務が行われた後、午後12時3分にナビゲーションを終了させ、午後12時3分から業務アプリを止めて昼食休憩をとり、午後1時に業務アプリを起動し、午後1時1分にナビゲーションを再開させて、配達業務を再開している。昼食休憩の場所は、緯度a1、経度b1で示される場所で取られていることが把握できる。
【0037】
この後、午後7時27分に、緯度c1、経度d1で示される位置で、業務アプリが終了され、翌日である2023年2月11日の午前7時52分に、緯度x1、経度y1で示される位置で、業務アプリが起動されていることが分かる。従って、2023年2月10日の業務は、午前7時50分から午後7時27分まで行われたことが把握できる。このように、動作ログファイル106のデータにより、業務端末装置1においては、いつ、どこで
何が行われたのかを把握することができる。なお、動作ログファイル106には、少なくとも例えば1か月分以上のログデータの蓄積が可能になっている。
【0038】
健康チェックファイル107は、始業前に業務端末装置1の利用者Uに対して行われる健康チェックで得られる種々の健康管理情報を記憶保持する。
図5は、実施の形態の業務端末装置1の健康チェックファイル107の格納データの例を説明するための図である。
図5に示すように、健康チェックファイル107には、会社ID、利用者ID、パスワード、氏名といった利用者Uを特定するために用いられる情報の他、チェック日時以下の健康管理情報が、健康チェック日時ごとに蓄積される。
【0039】
この実施の形態において、健康管理情報は、健康チェックを実施した日時を示すチェック日時と、体温、心拍数、血圧、血中酸素飽和度、アルコール濃度、服薬情報、気分、眠気、疲労感、下痢、腹痛、頭痛といった情報を有する。また、健康チェック時において、後述するカメラ部130を通じて撮影した利用者Uの顔画像データ、及び、後述するマイクロフォン141を通じて収音した利用者Uの音声データも記録される。これらの顔画像データ及び音声データは、客観的に利用者Uの健康状態を認識するために用いられる。なお、音声データは、例えば、「〇〇年〇〇月〇〇日。今日の天気は〇〇です。」などいった予め決められた比較的に短い文章を読み上げたものなどである。
【0040】
図6は、実施の形態の業務端末装置1と外部計測装置との連携について説明するための図である。業務端末装置1は、
図7に示すように、スマートウォッチなど呼ばれる腕時計型の計測装置4を利用者Uの腕に装着して自動的に計測され、近距離無線通信により送信される体温、心拍数、血圧、血中酸素飽和度を受信して蓄積できる。すなわち、体温、心拍数、血圧、血中酸素飽和度は、個々に計測して、個々に利用者Uが業務端末装置に入力する必要はなく、スマートウォッチ4により一括して計測して、一括して登録できる。
【0041】
また、アルコール濃度は、利用者Uの呼気1リットル中のアルコールの濃度を示すものであり、0.15mg/L以上であれば酒気帯び、0.25mg/Lであれば酒酔いと判別可能なものである。アルコール濃度は、
図6に示すように、既に市販されているアルコールチェッカー5を用いて計測して、近距離無線通信により送信されてきたものを受信して蓄積できる。
【0042】
服薬情報は、
図6に示すように、業務端末装置1の後述するタッチパネル120を通じて入力される情報であり、具体的には服薬された薬の名称が入力される。なお、服薬した薬のパッケージや処方箋を後述するカメラ部130を通じて撮影することにより入力することもできる。また、気分、眠気、疲労感のそれぞれについては、
図6に示すように、業務端末装置1の後述するタッチパネル120を通じて選択入力される情報である。同様に、下痢、腹痛、頭痛のそれぞれについても、
図6に示すように、その有無(あるかないか)を、業務端末装置1の後述するタッチパネル120を通じて、選択入力される情報である。
【0043】
これらの健康管理情報が、健康チェックが行われるごとに取得され、健康チェックファイル107に記録される。なお、体温、心拍数、血圧、血中酸素飽和度、アルコール濃度には、就業しても問題がないことを確認できる基準値が設けもうけられている。このため、業務端末装置1は、
図4に示したように、当該基準値に基づいて、就労可能(OK)か、就労不能(NG)かの区別も記録保持するようにしている。
【0044】
また、業務端末装置1は、服薬情報については、上述した利用者情報ファイル105の服薬条件と照らし合わせることにより、就労可能(OK)か、就労不能(NG)かの区別を行うことができる。また、業務端末装置1は、利用者Uが服薬条件の無い者であっても、服薬した場合には、その薬の成分を特定して、その作用を把握することにより、就労可能(OK)か、就労不能(NG)かの区別を行うことができる。
【0045】
更に、業務端末装置1は、気分、眠気、疲労感については、その程度に応じて、また、下痢、腹痛、頭痛については、その有無に応じて、就労可能(OK)か、就労不能(NG)かの区別を行うことができる。従って、業務端末装置1は、服薬情報、気分、眠気、疲労感、下痢、腹痛、頭痛の各情報についても、
図4に示したように、就労可能(OK)か、就労不能(NG)かの区別を行い、その結果も記録保持するようにしている。このように、この実施の形態の業務端末装置1は、利用者Uの健康チェックを実施し、これにより得られた健康管理情報を健康チェックファイル107に記録し、蓄積することができるものである。
【0046】
荷物データファイル108は、利用者Uが配達を担当する荷物に関する情報を記憶保持する。利用者Uは、自分が配達を担当する荷物については、荷物に貼付されている二次元コードや送り先ラベルを業務端末装置1の後述するカメラ部130を通じて撮影することにより荷物登録処理を行う。これにより、業務端末装置1に、配達を担当する荷物の識別ID、送り先の氏名(名称)、住所、電話番号、指定がある場合には配達時間帯などの情報を取り込んで、荷物データファイル108に記録できる。
【0047】
ルート情報ファイル109は、管理サーバ装置3からの、荷物の配達ルートを示す情報や地図情報を記憶保持する。上述もしたように、業務端末装置1は、例えば、荷物データファイル108に取り込んだ荷物データを含むルート探索要求を管理サーバ装置3に送信する。これに応じて管理サーバ装置3では、配達する荷物の住所や配達時間帯を考慮してルート探索を行い、その結果の配達ルートと配達エリアの地図情報を返信してくる。
【0048】
この実施の形態の業務端末装置1は、これらの情報を受信し、ルート情報ファイル109に蓄積し、これらの情報を用いてナビゲーション処理を行うことができるようにしている。なお、配達ルートと地図情報とを別々のファイルで管理することももちろん可能であるが、この実施の形態では説明を簡単にするため、ナビゲーション処理で使用するデータは、ルート情報ファイル109で管理されているものとしている。
【0049】
近距離無線通信アンテナ110A及び近距離無線通信部110は、この実施の形態では、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能を実現するものである。従って、
図6を用いて説明したように、業務端末装置1は、近距離無線通信アンテナ110A及び近距離無線通信部110を通じて、スマートウォッチ4やアルコールチェッカー5との間で近距離無線通信を行い、必要となる情報を取得できるようになっている。なお、この実施の形態では、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能を実現するものとして説明したが、これに限るものではない。その他の種々の近距離無通信規格を採用することももちろん可能である。
【0050】
業務端末装置1は、ユーザインターフェースとして、タッチパネル120を備える。タッチパネル120は、LCD(Liquid Crystal Display)などの薄型の表示部(表示装置)121の表示画面の全面に対応するようにタッチセンサ122を設けて構成されたものであり、表示機能と指示入力受付機能とを実現するものである。カメラ部130は、被写体を撮影し、画像データとして取り込む機能を実現する。カメラ部130は、動画像と静止画像の両方の撮影が可能なものである。カメラ部130を通じて得た画像データは、例えば記憶装置103の所定のエリアに記録できる。また、上述もしたように、健康チェック時において、利用者Uの顔部分の動画像を、カメラ部130を通じて撮影し、健康チェックファイル107に含めるデータとしても記録できる。
【0051】
マイクロフォン141は、音声を収音して電気信号に変換し、音声処理部142に供給する機能を実現する。音声処理部142は、マイクロフォン141からの電気信号(アナログ音声信号)の供給を受けて、これをデジタル信号に変換して取り込む機能を実現する。マイクロフォン141及び音声処理部142を通じて取り込まれた音声データは、例えば、音声メモとして記憶装置103の所定のエリアに記録することができる。また、上述もしたように、健康チェック時において、マイクロフォン141及び音声処理部142を通じて、利用者Uの音声を収音し、健康チェックファイル107に含めるデータとして記録できる。
【0052】
健康チェック部151は、業務端末装置1において業務アプリが起動された場合に機能し、利用者Uに対して始業前の健康チェックを実施するタイミングか否かを判別する。健康チェック部151は、健康チェックを実施するタイミングである場合には、各部を制御し、健康チェックを実施するように機能する。更に、この実施の形態において、健康チェック部151は、健康チェックで問題があることが確認できた場合には、業務アプリを終了させることもできるものである。
【0053】
荷物管理処理部152は、タッチパネル120を通じた利用者Uからの指示入力に基づいて、荷物登録処理を実行したり、配達完了処理を実行したりするなど、荷物に関する処理を行う。すなわち、利用者Uにより荷物登録処理が選択された場合には、荷物管理処理部152は、カメラ部130を通じて荷物データを取得して、これを荷物データファイル108に登録する処理を行う。また、利用者Uにより配達完了処理が選択された場合には、荷物管理処理部152は、タッチパネル120を通じて、配達完了入力を受け付け、これに応じて荷物データファイル108の該当する荷物データに配達完了情報を更新する処理を行う。この他にも、荷物管理処理部152は、配達先が不在であったために配達できなかった荷物の荷物データを集計して処理するなどのことも行うことができる。
【0054】
ルート設定処理部153は、上述したように、管理サーバ装置3に対して配達対象の荷物データを含むルート探索要求を行ったり、管理サーバ装置3から提供される配達ルート情報や地図情報を受け付けて、ルート情報ファイル109に格納したりする処理を行う。また、ルート設定処理部153は、利用者Uからの指示入力に応じて、荷物の配達先周辺の住宅地図を要求して取得し、表示部121に表示するなどの処理も行うことができる。
【0055】
ナビゲーション処理部154は、ルート情報ファイル109に格納された地図情報及び配達ルート情報に基づいて、ナビゲーション処理を実行する機能を実現する。すなわち、ナビゲーション処理部154は、ルート情報ファイル109の地図情報に応じて地図を表示部121に表示すると共に、ルート情報ファイル109の配達ルート情報に応じたルートと業務端末装置1の位置を表示して配達ルートの案内を行う。この場合、業務端末装置1の図示しない音声出力処理部及びスピーカーを通じて音声案内を放音し、音声によっても案内することができる。
【0056】
GPS部160及びGPSアンテナ160Aは、人工衛星からの信号を利用した現在位置の測位機能を実現する。このため、ナビゲーション処理部154は、表示部121の表示画面に配達ルートを示すように表示した地図上に、上述したように業務端末装置1の現在位置をも示して、当該配達ルートを辿れるように案内を行うことができる。また、
図4を用いて説明したように、業務アプリを起動した位置や業務アプリで種々の動作を開始した位置や終了した位置などが把握できるのである。時計回路170は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供することができるものである。これにより、
図4を用いて説明したように、業務アプリを起動した日時や業務アプリで種々の動作を開始した日時や終了した日時などが把握できるのである。
【0057】
このような構成を備える業務端末装置1においては、特に健康チェック部151の機能が重要である。健康チェック部151が機能することによって、配達業務を行う個人事業主にとっては、自己管理の難しい健康チェックを、始業前の適切なタイミングで実行し、健康管理情報を収集して蓄積することができるようにしている。
【0058】
[業務端末装置1の健康チェック部151での処理のまとめ]
図7は、実施の形態の業務端末装置1で業務アプリが実行された場合の処理を説明するためのフローチャートである。業務端末装置1に電源が投入され、初期画面から当該業務アプリが実行するようにされた場合に、制御部102において、
図7に示す処理が実行され、制御部102が各部を制御して処理が進められる。
【0059】
当該業務アプリが実行するようにされると、制御部102は、当該業務アプリにおいて実行可能な処理の一覧リストであるメニューを表示部121に表示し、タッチパネル120を通じて選択入力を受け付ける(ステップS101)。当該メニューでは、例えば、荷物登録、荷物検索、ルート探索要求、ルート設定、配達完了入力などといった、当該業務アプリによって実行可能な配達業務に関する処理の選択が可能にされると共に、当該業務アプリの終了指示の入力もできる。
【0060】
ステップS101の処理により選択入力を受け付けると、制御部102は、タッチパネル120を通じて受け付けた選択入力は、終了指示か否かを判別する(ステップS102)。ステップS102の判別処理において、受け付けた選択入力が終了指示であると判別したときには、メニュー表示を初期画面に戻すなどの所定の終了処理を行って(ステップS113)、この
図7に示す処理を終了する。
【0061】
ステップS102の判別処理において、受け付けた選択入力が終了指示ではないと判別したときには、健康チェックタイミングの判定処理を実行する(ステップS103)。ステップS103の健康チェックタイミングの判定処理は、業務端末装置1の利用者Uに対する健康チェックを実施するタイミングか否かを判定する処理であり、処理内容の詳細は後述する。ステップS103の処理の後において、制御部102は、ステップS103での判定結果に基づいて、健康チェック要か否か、すなわち、健康チェックを実行するタイミングか否かを判別する(ステップS104)。
【0062】
ステップS104の判別処理において、健康チェック要である、すなわち、始業前の健康チェックを実施するタイミングであると判別されると、制御部102は、健康チェック部151を制御し、健康チェックを実施する。この場合、健康チェック部151は、制御部102の制御の下、まず、業務端末装置1の表示部121に、
図6に示した態様の健康チェック画面を表示する(ステップS105)。この後、健康チェック部151は、近距離無線通信部110を制御し、計測情報を受け付ける(ステップS106)。具体的には、
図6を用いて説明したように、計測情報として、利用者Uが使用するスマートウォッチ4からの体温、心拍数、血圧、血中酸素飽和度とアルコールチェッカー5からの呼気1リットル中のアルコール濃度とを受け付ける(ステップS106)。
【0063】
次に、健康チェック部151は、タッチパネル120を通じて、必要情報を受け付ける(ステップS107)。具体的には、
図6を用いて説明したように、タッチパネル120を通じて、服薬した薬の名称と、気分、眠気、疲労感の程度、下痢、腹痛、頭痛の有無を受け付ける。この後、健康チェック部151は、カメラ部130とマイクロフォン141及び音声処理部142を通じて、利用者Uの顔の動画と所定の音声の収録を行う(ステップS108)。なお、所定の音声は、上述もしたように、例えば、「〇〇年〇〇月〇〇日。今日の天気は〇〇です。」といった、利用者Uの呂律(物を言うときの調子)の状態を認識できる程度の長さを有する音声情報である。
【0064】
健康チェック部151は、ステップS106~ステップS108において受け付けた情報からなる健康管理情報を含む健康チェックデータ(
図5)を形成し、これを健康チェックファイル107に記録する(ステップS109)。更に、健康チェック部151は、受け付けた健康管理情報を評価し、配達業務に就業可能か否かを評価する(ステップS110)。具体的に、健康チェック部151は、
図5を用いて説明したように、体温、心拍数、血圧、アルコール濃度については、基準値以上の場合には、就業不可と評価する。また、血中酸素飽和度については、基準値以下である場合には、就業不可と評価する。
【0065】
また、健康チェック部151は、服薬情報については、上述もしたように、利用者情報ファイル105の服薬条件と照らし合わせることにより、就労可能(OK)か、就労不能(NG)かの評価を行う。すなわち、服薬条件を満たすように服薬していれば、就労可能であるが、服薬していない場合には就労不可となる。また、健康チェック部151は、利用者Uが服薬条件の無い者であっても、服薬した場合には、その薬の成分を特定して、その作用を把握することにより、就労可能(OK)か、就労不能(NG)かの評価を行う。すなわち、眠気をもよおすような風邪薬を服薬した場合には就労不可となる。服薬した薬の成分の特定は、無線通信部101及び送受信アンテナ101Aを通じて、インターネット上の所定のサーバ装置に問い合わせを行うことにより特定可能である。
【0066】
また、気分、眠気、疲労感については、例えば、気分が悪く、かつ、眠気が高く、かつ、疲労感も高い場合には、就労不可とするなどのように、組み合わせにより就労が可能か否かの評価を行うようにすることができる。また、下痢、腹痛、頭痛のいずれかがある場合には、既に体調が悪いことが症状として表れているので、就労不可とするなどのように評価を行うことができる。なお、ここで説明した就労が可能か否かの評価は一例であり、他の評価の仕方を適用することももちろん可能である。
【0067】
ステップS110の処理の後においては、健康チェック部151は、ステップS110の評価の結果に基づいて、業務端末装置1の利用者Uは、就労可能か否かを判別する(ステップS111)。ステップS111の判別処理において、就労不可であると判別されたとする。この場合、健康チェック部151は、健康チェックの結果、就労できない旨のメッセージを出力する(ステップS112)。例えば、「体温が38.2度です。就労できません。」、「アルコール濃度が基準値以上です。酒気帯び運転になるため就労できません。」などのメッセージを表示部121に表示したり、音声出力したりすることになる。この後、制御部102は、所定の終了処理を実行し(ステップS113)、この
図7に示す処理を終了する。
【0068】
また、ステップS104の判別処理において、健康チェック不要、すなわち、始業前の健康チェックを実行するタイミングではないと判別した場合には、制御部102はステップS114の処理に進む。同様に、ステップS111の判別処理において、健康チェックの結果、就労可能であると判別した場合にも、制御部102はステップS114の処理に進む。この結果、制御部102は、ステップS101において選択された処理を実行し(ステップS114)、実行された当該処理が終了したか否かを判別する(ステップS115)。
【0069】
ステップS115の判別処理において、実行された当該処理が終了していないと判別したときには、ステップS115の判別処理を繰り返し、当該処理が終了するのを待つ。ステップS115の判別処理において、実行された当該処理が終了したと判別したときには、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返し、当該業務アプリを終了したり、他の処理を実行したりすることができるようにする。
【0070】
<健康チェックタイミングの判別処理>
図8は、
図7のステップS103で実行される健康チェックタイミングの判別処理を説明するためのフローチャートである。健康チェック部151は、時計回路170から現在時刻を取得し、動作ログファイル106を参照して前回の健康チェックの終了日時を取得して、前回の健康チェックから所定時間(例えば、8時間)以上経過しているか否かを判別する(ステップS201)。ステップS201の判別処理において、前回の健康チェックから所定時間(例えば、8時間)以上経過していると判別したときには、健康チェック部151は、健康チェック要であると判定する(ステップS208)。この場合、前回の健康チェックからの経過時間が長いため、前日の配達業務を終えて、翌日の始業前である蓋然性が高いためである。なお、ここでは、所定時間を例えば8時間としたが、より長い時間としたり、逆に短い時間としたりすることももちろん可能である。
【0071】
ステップS201の判別処理において、前回の健康チェックから所定時間(例えば、8時間)以上経過していないと判別したとする。この場合、健康チェック部151は、動作ログファイル106を参照して前回の当該業務アプリの終了日時を取得し、前回の当該業務アプリの終了日時は、前日か否かを判別する(ステップS202)。ここで、現在時刻は、ステップS201で取得したものを用いればよい。ステップS202の判別処理において、前回の当該業務アプリの終了日時が前日であると判別したときには、健康チェック部151は、健康チェック要であると判定する(ステップS208)。前回の当該業務アプリの終了日時が前日であれば、日を跨いで配達業務が再開されており、前日の配達業務が終了して、新たな日の始業前である蓋然性が高いと考えられるためである。
【0072】
ステップS202の判別処理において、前回の当該業務アプリの終了日時が前日ではないと判別したとする。この場合、健康チェック部151は、前回の業務アプリの終了日時から所定時間(例えば、6時間)以上経過しているか否かを判別する(ステップS203)。ここで、現在時刻は、ステップS201で取得したものを、また、前回の業務アプリの終了日時は、ステップS202で取得したものを用いればよい。ステップS203の判別処理において、前回の当該業務アプリの終了日時から所定時間以上経過していると判別したときには、健康チェック部151は、健康チェック要であると判定する(ステップS208)。業務アプリを終了してから再度開始させるまでの時間が長い場合には、休憩ではなく、前日の配達業務は終了しており、現時点は始業前である蓋然性が高いためである。
【0073】
ステップS203の判別処理において、前回の当該業務アプリの終了日時から所定時間以上経過していないと判別したとする。この場合、健康チェック部151は、
図7のステップS101で選択された処理は、荷物の登録処理か否かを判別する(ステップS204)。ステップS204の判別処理において、荷物の登録処理であると判別されたとする。この場合、健康チェック部151は、動作ログファイル106を参照し、前回のナビゲーション処理の終了日時を取得して、前回のナビゲーション処理の終了日時から所定時間(例えば6時間)以上経過しているか否かを判別する(ステップS205)。ここで、現在時刻は、ステップS201で取得したものを用いればよい。
【0074】
ここで、ナビゲーション処理の終了日時を基準にしているのは、ナビゲーション処理は配達業務に際して使用されるものであるためである。しかし、慣れた配達エリアの場合には、ナビゲーション処理を利用しなくでも、地図と配達ルートとを表示部121に表示していれば滞りなく配達業務を行える場合もある。このため、ナビゲーション処理の終了日時だけを基準にするのでなく、ナビゲーション処理を含め、地図と配達ルート、あるいは、地図と配達先を表示部121に表示している処理の終了日時を用いるようにしてももちろんよい。従って、
図8における「ナビ終了日時」は、「地図情報等の表示終了日時」とし、動作ログファイル106から前回の地図情報等の表示終了日時を取得し、これを用いて所定時間以上経過しているか否かの判別処理を行うようにしてももちろんよい。
【0075】
ステップS205の判別処理において、前回のナビゲーション処理の終了日時から所定時間(例えば6時間)以上経過していると判別したときには、健康チェック要であると特定する(ステップS208)。行おうとしている処理が荷物登録処理で、配達業務のためのナビゲーション処理の終了から所定時間経過していれば、現時点は始業前である蓋然性が高いためである。また、ステップS205の判別処理において、前回のナビゲーション処理の終了日時から所定時間(例えば6時間)以上経過していないと判別したときには、ステップS206の処理に進む。同様に、ステップS204の判別処理において、荷物の登録処理ではないと判別した場合においても、ステップS206の処理に進む。
【0076】
この場合、健康チェック部151は、動作ログファイル106を参照し、前回の荷物登録処理の終了日時を取得して、前回の荷物登録処理の終了日時から所定時間(例えば6時間)以上経過しているか否かを判別する(ステップS206)。ここで、現在時刻は、ステップS201で取得したものを用いればよい。ステップS206の判別処理において、前回の荷物登録処理の終了日時から所定時間以上経過していると判別したときには、健康チェック部151は、健康チェック要であると判定する(ステップS208)。前回の荷物登録処理からの経過時間が所定時間以上であれば、今回の荷物登録処理を行おうとしている現時点は、新たな始業前である蓋然性が高いためである。
【0077】
ステップS206の判別処理において、前回の荷物登録処理の終了日時から所定時間以上経過していないと判別したときには、現時点は始業前である蓋然性は低いので、健康チェックは不要であると特定する(ステップS207)。ステップS207の処理の後と、ステップS208の処理の後においては、この
図8に示す処理を抜けて、
図7に示したフローチャートのステップS103の処理に戻り、ステップS104からの処理が行われる。
【0078】
このようにして、業務端末装置1では、健康チェックが必要となる始業前の適切なタイミングを特定して、健康チェックを行うようにすることができる。なお、
図8に示した健康チェックタイミングの判別処理は一例であり、例えば、ステップS201だけを行うようにしたり、ステップS201とステップS202とだけを行うようにしたりするなどの変形が可能である。また、他の条件を追加するなどのことももちろん可能である。すなわち、
図8に示した健康チェックタイミングの判別処理については、判別条件の削除、追加、変更を行って、例えば利用者Uの勤務態様に応じた判別処理を行うようにすることもできる。
【0079】
[管理サーバ装置3の構成例]
図9は、実施の形態の管理サーバ装置3の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子301Tは、ネットワーク2への接続端部を構成する。通信I/F(Inter Face)301は、ネットワーク2を通じた通信機能を実現する。従って、業務端末装置1との間で行われる通信は、接続端子301T及び通信I/F301を通じて行われる。制御部302は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えて構成されたマイクロプロセッサである。制御部302は、管理サーバ装置3の各部を制御する機能を有する。
【0080】
記憶装置303は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記録媒体とそのドライバーとからなる装置部であり、種々のデータの記録、変更、削除、読み出しなどを行う。記憶装置303は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0081】
利用者管理DB(Data Base)304は、少なくとも、この管理サーバ装置3を利用可能な利用者に付与された会社ID、利用者ID、パスワードを記憶保持する他、例えば、
図3を用いて説明した態様で、多数の利用者についての利用者情報を記憶保持する。利用者別健康チェックファイル305は、多数の利用者の業務端末装置1から当該利用者の健康チェックデータ(
図5)の提供を受けて、これを記憶保持する。
【0082】
地
図DB306は、HDDやSDDなどに形成され、経路案内にも利用可能な住宅地図、市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図情報を記憶する。住宅地図、市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図情報は、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記(注釈)データなどを含む。
【0083】
道路ネットワークDB307は、自動車用の道路ネットワークデータを記憶保持する。道路ネットワークDB307に格納されている道路ネットワークデータは、配達ルートを探索する場合に用いられるデータである。具体的に、道路ネットワークデータは、ノードデータとリンクデータとからなる。ノードデータは、ランドマーク、建物、施設、交差点、分岐点などの地点を表す。リンクデータは、ノードデータを結ぶ線分によって、国道、県道などの自動車が通行可能な道路などを示す。更に道路ネットワークDB307には、各リンクに対応して、リンクコストと、リンク種別とが対応付けられている。
【0084】
通常、リンクコストは、そのリンクの長さ(距離)、あるいは、通行に要する時間によって定められる。リンクコストは、いわゆるダイクストラ法により、リンクコストが最小となるルート(経路)を探索する場合に参照される。リンク種別は、当該地上リンク部分が、国道、県道、市道、私道などのどれであるかを示すものである。
【0085】
配達先管理DB(Data Base)308は、荷物の配達先に関する情報を記憶するものであり、荷物の配達先を特定する住所などの配達先特定情報に対応付けて、宅配ボックスの有無などについても把握可能な情報が記憶保持されている。利用者別荷物管理ファイル309は、業務端末装置1に登録された荷物データの提供を受けて、これを利用者別に記憶保持し、また、業務端末装置1からの配達完了通知に応じて、利用者別の荷物データについて、配達完了情報を更新しれて、これを保持する。利用者別荷物管理ファイル309の利用者別の荷物データに応じて、配達の進捗状況を把握したり、また、配達完了通知を配達先に例えば電子メールなどにより通知したりすることも可能になる。
【0086】
健康チェック機能部311は、業務端末装置1から提供される健康チェックデータを受け付けて、利用者別健康チェックファイルに記録する処理を行う。また、健康チェック機能部311は、複数の利用者を社員とする会社などの組織に対して、当該組織に属する利用者の健康チェックデータを提供するなどの処理を行う。
【0087】
地図情報提供機能部312は、例えば、業務端末装置1からからの要求に応じて、荷物の配達地域の地図情報を地
図DB306から抽出して、当該業務端末装置1に提供するなどの処理を行う。ルート探索機能部313は、上述もしたように、業務端末装置1から提供される荷物データを含むルート探索要求に応じて、道路ネットワークD307の道路ネットワークデータを参照して配達ルートの探索を行う。ルート探索機能部313は、探索の結果得られた配達ルートを示す情報やナビゲーションに用いる地図情報を地
図DBから取得して、要求元の業務端末装置1に提供する処理も行う。なお、配達ルートの探索に用いる荷物データは、利用者別荷物管理ファイル309に格納されているものを用いることも可能である。
【0088】
荷物管理機能部314は、業務端末装置1から提供される荷物データを利用者別荷物管理ファイル309に格納したり、業務端末装置1から提供される配達完了通知に応じて、利用者別の配達対象の荷物データについて、配達完了情報を更新したりする。これにより荷物管理機能部314は、上述もしたように、利用者別荷物管理ファイル309の利用者別の荷物データに応じて、配達の進捗状況を把握したり、また、配達完了通知を配達先に例えば電子メールなどにより通知したりすることができる。
【0089】
このように、管理サーバ装置3は、業務端末装置1と協働することによって、業務端末装置1の利用者Uの配達業務を支援することができると共に、業務端末装置1の利用者Uの健康チェックデータを記憶保持し、管理することができる。従って、業務端末装置1の利用者Uは、自己が使用する業務端末装置1を紛失したり、壊して動作不能にしたりした場合であっても、荷物データだけでなく、健康チェックデータについても安全に管理することができる。
【0090】
[実施の形態の効果]
上述したように、この実施の形態の配達業務システムの業務端末装置1は、利用者Uが何も意識することなく、始業前の適切なタイミングで、健康チェックを行うように促すことができる。また、健康チェックを行った場合には、利用者Uについての健康管理情報を取得し、これを記憶保持することができる。また、健康チェックを行った場合に、問題があることが把握できた場合には、就業を行わないように促すことができる。
【0091】
また、業務端末装置1と管理サーバ装置3とが連携することにより、業務端末装置1の利用者Uの健康管理情報を、管理サーバ装置3においても記憶保持することができる。これにより、業務端末装置1を紛失したり、業務端末装置1が故障で動作しなくなったりした場合であっても、管理サーバ装置3の健康管理情報により、利用者Uの健康状態を把握できる。また、複数の利用者が属する会社等の組織の場合には、管理サーバ装置3に記憶保持される利用者それぞれの健康管理情報に基づいて、利用者それぞれの健康状態を、当該組織の管理者が把握することができる。
【0092】
[変形例]
上述した実施の形態の業務端末装置1では、
図7、
図8を用いて説明したように、業務アプリが起動された場合に、始業前の健康チェックのタイミングか否かを自動判別するようにしたが、これに限るものではない。例えば、月曜日から金曜日の午前8時から午前8時30分の間に健康チェックを行うことが決まっている場合もある。この場合には、健康チェックの実施時間帯を事前に設定しておき、業務アプリを起動した時刻が、月曜日から金曜日の午前8時から午前8時30分の間であれば、自動的に健康チェックを実施するように構成することもできる。
【0093】
また、健康チェックを午前の始業開示時と、午後の始業開始時とに行うというように、1日に複数回の健康チェックを行うようにしたい場合には、午前に1回、午後に1回というように、健康チェックの実施時期を設定しておく。これにより、午前の始業開始時と午後の始業開始時を判別するようにし、設定された回数の健康チェックを行うようにすることもできる。この場合、健康チェックを行うか否かの判別方法の1つとして、例えば、業務アプリが起動された後、地図の表示あるいはナビゲーションの開始が指示された場合に、健康チェックを実施するか否かを判別すればよい。
【0094】
具体的には、起動時刻が午前であれば、午前の健康チェックが実施されているかどうかを健康チェックファイル107の格納データを確認する。この確認で実行されていないことが確認できた場合に、午前の健康チェックを実行するように構成すればよい。同様に、起動時刻が午後であれば、午後の健康チェックが実施されているかどうかを健康チェックファイル107の格納データを確認する。この確認で実行されていないことが確認できた場合に、午後の健康チェックを実行するように構成すればよい。
【0095】
このように、健康チェックの実施時間や回数を設定し、健康チェック画面へ誘導することもできる。しかし、近年においては、就業時間帯をフレキシブルに変更することも行われている。例えば、月曜日は、午前中だけ就労し、火曜日は午後から夜にかけて就労し、水曜日は休み、木曜日は1日就労するというように、就労時間帯が一定でなく、変わる場合もある。この場合には、
図7、
図8のフローチャートで説明した対応を取ることにより、就労時間帯の変化に関わらず、始業前の適切なタイミングで健康チェックを実施することが可能である。
【0096】
また、
図4を用いて説明したように、動作ログファイル106には、業務アプリ起動や荷物登録開始といった動作が行われた位置(緯度、経度)も把握されている。このため、配達業務の場合、集荷場で荷物を積み込んでから配達業務開始となる場合が多いため、荷物登録の開始が、所定の集荷場に対応する位置で行われた場合に、健康チェックを実施するようにしてもよい。すなわち、種々の動作の開始や終了の日時だけではなく、種々の動作が開始された場所や種々の動作が終了した場所を考慮して、健康チェックの実施タイミングか否かを判別するようにしてもよい。
【0097】
また、上述した実施の形態では、配達業務を行う個人事業主が、業務端末装置1を利用する場合を例にして説明したがこれに限るものではない。例えば、飲食店の食品を個人宅に配達する業務を行う者、個人タクシーのドライバー、長距離トラックのドライバー、観光バスのドライバーなどが、業務端末装置1を所持して、適切なタイミングで健康チェックを行うようにすることもできる。個人タクシーのドライバー、観光バスのドライバーなどのように、荷物登録処理が不必要な場合には、荷物登録処理の終了時間を基準にしない健康チャックタイミングの判別方法を用いるようにすればよい。
【0098】
また、業務端末装置1は、スマートフォンやタブレットPCにより実現できるものとして説明したが、例えば、配達業務に特化した専用の端末装置として実現することもできる。また、管理サーバ装置3は、1つの装置として説明したが、これに限るものではない。インターネット上に設けられた複数のサーバ装置により構成されるいわゆるクラウドシステムとして、管理サーバ装置3を実現することもできる。
【0099】
[その他]
上述した実施の形態の説明から分かるように、請求項の業務端末装置は、実施の形態の業務端末装置1に対応している。請求項の判別手段の機能は、業務端末装置1の健康チェック部151が実現している。また、請求項の受付手段の機能は、業務端末装置1の近距離無線通信アンテナ110A及び近距離無線通信部110とタッチパネル120とが実現し、請求項の記憶手段は、業務端末装置1の健康チェックファイル107が実現している。
【0100】
また、請求項の就労可否判別手段の機能は、業務端末装置1の健康チェック部151が実現し、出力手段の機能は、業務端末装置1の表示部121や図示しないスピーカーが実現している。また、請求項の終了処理手段の機能は、業務端末装置1の健康チェック部151と制御部102とが協働して実現している。
【0101】
また、
図7、
図8のフローチャートを用いて説明した処理を実機するプログラムが、この発明による始業前健康チェックプログラムの一実施の形態が適用されたものである。また、業務端末装置1の健康チェック部151の機能は、
図7、
図8を用いて説明した処理を実行する機能である。このため、
図7、
図8のフローチャートを用いて説明した処理を実機するプログラムを作成し、スマートフォンやタブレットPCに搭載して、制御部102で実行可能にしておく。これにより、健康チェック部151の機能を制御部102の機能として実現することができるので、既存のスマートフォンやタブレットPCに当該プログラムを搭載することにより、この発明の業務端末装置を実現できる。
【符号の説明】
【0102】
1…業務端末装置、101A…送受信号アンテナ、101…無線通信部、102…制御部、103…記憶装置、104…操作部、105…利用者情報ファイル、106…動作ログファイル、107…健康チェックファイル、108…荷物データファイル、109…ルート情報ファイル、110A…近距離無線通信アンテナ、110…近距離無線通信部、120…タッチパネル、121…表示部、122…タッチセンサ、130…カメラ部、141…マクロフォン、142…音声処理部、151…健康チェック部、152…荷物管理処理部、153…ルート設定処理部、154…ナビゲーション処理部、160…GPS部、160A…GPSアンテナ、170…時計回路、2…ネットワーク、3…管理サーバ装置、301T…接続端子、301…通信I/F、302…制御部、303…記憶装置、304…利用者管理DB、305…利用者健康チェックファイル、306…地
図DB、307…道路ネットワークデータ、308…配達先管理DB、309…利用者別荷物管理ファイル、311…健康チェック機能部、312…地図情報提供機能部、313…ルート探索機能部、314…荷物管理機能部、4…スマートウォッチ、5…アルコールチェッカー、U、U1、U2…利用者、CV1、CB2…軽貨物自動者、BS(1)、BS(2)…基地局