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特開2024-131464LED駆動制御装置、LED表示器、及びLED駆動制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131464
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】LED駆動制御装置、LED表示器、及びLED駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20240920BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20240920BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20240920BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B47/11
H05B47/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041736
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】矢原 英樹
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA02
3K273PA09
3K273QA07
3K273QA37
3K273SA04
3K273SA09
3K273SA32
3K273SA39
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA42
3K273TA47
3K273TA49
3K273UA12
3K273UA14
3K273UA22
3K273UA29
3K273UA30
(57)【要約】
【課題】環境照度に応じたLEDの輝度制御を簡易な構成により実現可能なLED駆動制御装置、LED表示器、及びLED駆動制御方法を提供する。
【解決手段】LED駆動制御装置は、太陽電池の発電力を蓄電する蓄電部と、前記太陽電池の短絡電流を測定する短絡電流測定部と、前記短絡電流の測定値に基づいてLEDを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させるLED駆動部と、を備える。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池で駆動するLEDの駆動を制御するLED駆動制御装置であって、
前記太陽電池の発電力を蓄電する蓄電部と、
前記太陽電池の短絡電流を測定する短絡電流測定部と、
前記短絡電流の測定値に基づいて前記LEDを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させるLED駆動部と、
を備えるLED駆動制御装置。
【請求項2】
前記短絡電流測定部は、所定の周期で前記短絡電流を測定する、
請求項1に記載のLED駆動制御装置。
【請求項3】
前記駆動信号生成部は、前記短絡電流の測定値に対応する照度を算出し、算出した照度に基づいて前記駆動信号を生成する、
請求項1に記載のLED駆動制御装置。
【請求項4】
前記駆動信号生成部は、前記短絡電流の測定値が大きいほど前記LEDの輝度が高くなる駆動信号を生成する、
請求項1に記載のLED駆動制御装置。
【請求項5】
前記駆動信号生成部は、前記LEDを第1輝度で点灯可能な第1駆動信号と、前記LEDを前記第1輝度よりも高輝度の第2輝度で点灯可能な第2駆動信号とを生成する、
請求項1に記載のLED駆動制御装置。
【請求項6】
前記LED駆動部は、前記第2駆動信号により前記LEDを駆動し、前記蓄電部の電圧が所定値未満になった場合に前記第1駆動信号により前記LEDを駆動する、
請求項5に記載のLED駆動制御装置。
【請求項7】
前記LED駆動部は、環境照度が所定値以上の場合に、前記第2駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させ、環境照度が所定値未満の場合に、前記第2駆動信号に基づいて1次電池の電力と前記蓄電部の電力とにより前記LEDを駆動する、
請求項5に記載のLED駆動制御装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のLED駆動制御装置と、
前記LED駆動制御装置により駆動されるLEDと、
を備えるLED表示器。
【請求項9】
太陽電池で駆動するLEDの駆動を制御するLED駆動制御方法であって、
前記太陽電池の発電力を蓄電部に蓄電することと、
前記太陽電池の短絡電流を測定することと、
前記短絡電流の測定値に基づいて前記LEDを駆動する駆動信号を生成することと、
前記駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させることと、
を一又は複数のプロセッサーが実行するLED駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池で駆動するLEDの駆動を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池で駆動するLEDが知られている。一般的に、太陽電池は、照度の上昇で発電力が増加するが、太陽電池は内部抵抗が高い定電流源に似た負荷特性(電流-電圧特性、電力-電圧特性)を有するため、同一照度でも、負荷電流の大小によって出力電圧が大きく変化する。従来、太陽電池の出力特性を測定する様々な技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-196115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、LEDの輝度を環境照度に合わせて調整する方法として、電気エネルギーを一時的に蓄える部品の端子電圧の上昇、下降を測定して調整する方法、照度センサーの検出結果に基づいて調整する方法などがある。前記の方法の場合、測定自体は容易であるものの充電、放電がある程度進まないと有意な電圧変化が生じないため、大容量にするほど即応性が悪化する問題が生じる。一方、後者の方法の場合、小型化を追求する製品ではセンサーを搭載することにより太陽電池の面積が減少したり、センサーと太陽電池の発電量との整合を取り難かったりする問題が生じる。
【0005】
本開示の目的は、環境照度に応じたLEDの輝度制御を簡易な構成により実現可能なLED駆動制御装置、LED表示器、及びLED駆動制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様に係るLED駆動制御装置は、太陽電池で駆動するLEDの駆動を制御する。前記LED駆動制御装置は、前記太陽電池の発電力を蓄電する蓄電部と、前記太陽電池の短絡電流を測定する短絡電流測定部と、前記短絡電流の測定値に基づいて前記LEDを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させるLED駆動部と、を備える。
【0007】
本開示の他の態様に係るLED表示器は、前記LED駆動制御装置と前記LED駆動制御装置により駆動されるLEDとを備える。
【0008】
本開示の他の態様に係るLED駆動制御方法は、太陽電池で駆動するLEDの駆動を制御する方法である。前記LED駆動制御方法は、前記太陽電池の発電力を蓄電部に蓄電することと、前記太陽電池の短絡電流を測定することと、前記短絡電流の測定値に基づいて前記LEDを駆動する駆動信号を生成することと、前記駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させることと、を一又は複数のプロセッサーが実行する方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、環境照度に応じたLEDの輝度制御を簡易な構成により実現可能なLED駆動制御装置、LED表示器、及びLED駆動制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る通信システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る保管棚の外観図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る保管棚に設置されるタグの構成を示す図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る通信システムの記憶部に記憶されるタグ情報の一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る通信システムの記憶部に記憶される関連情報の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係るコントローラーとタグとの対応関係を示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係るコントローラーが割り当てられる時間区分の一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る通信方法の具体例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る通信方法の具体例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係る通信システムにおいて実行される通信処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、本開示の実施形態に係るコントローラーと通信エリアとの対応関係を示す図である。
図12図12は、本開示の実施形態に係る複数のコントローラーのそれぞれをチャネル及び時間区分に割り当てた様子を示す図である。
図13図13は、本開示の実施形態に係るタグの概略構成を示す機能ブロック図である。
図14図14は、太陽電池の電流-電圧特性の一例を示すグラフである。
図15図15は、太陽電池の電力-電圧特性の一例を示すグラフである。
図16図16は、本開示の実施形態に係るタグの概略構成を示す機能ブロック図である。
図17図17は、本開示の実施形態に係る短絡電流の測定方法の一例を示す図である。
図18図18は、本開示の実施形態に係るLEDの駆動方法の一例を示す図である。
図19図19は、本開示の実施形態に係るタグにおいて実行されるLED輝度調整処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図20図20は、本開示の実施形態に係るLEDの駆動方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
本開示に係るLED駆動装置は、太陽電池及びLEDを含む表示器(以下タグTgと称す)に適用される。タグTgは、例えば物品を保管する保管棚に設けられて、管理サーバーからの命令(点灯命令)に従ってLEDを点灯させる。例えば管理サーバーは、複数のタグTgと通信可能に構成されており、各タグTgの点灯、消灯を制御することが可能である。各タグTgは、太陽電池を搭載しており、太陽電池に充電された電力により駆動する。また、各タグTgは、太陽電池に加えて1次電池が搭載されてもよい。この場合、タグTgは、太陽電池の電力と1次電池の電力とを併用して駆動する。タグTgは、本開示のLED表示器の一例である。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る通信システム10の概略構成を示すブロック図である。通信システム10は、管理サーバー1と、コントローラー2と、タグTgとを含んでいる。通信システム10は、例えば、物品を保管する保管棚3(図2参照)から作業者が目的の物品をピッキングする作業現場(工場、倉庫など)に導入される。前記物品は、特に限定されず、部品、小売商品、薬剤、書籍、書類、雑貨類など種々の分野の物品が含まれる。本実施形態では、前記物品の一例として所定の製品(車両、電化製品など)の組み立て作業に使用される部品を例に挙げる。すなわち、本実施形態における通信システム10は、部品を保管する保管棚3から作業者が目的の部品をピッキングする施設F1(工場など)に導入される。
【0014】
管理サーバー1及びコントローラー2は、ネットワークN1を介して互いに接続されている。ネットワークN1は、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などの通信網である。コントローラー2及びタグTgは、電波を用いた本通信方法により接続されている。タグTgは、保管棚3の各収納棚31(図2参照)に設置される。
【0015】
図3に示すように、タグTgは、部品名などを表示する表示部23(LCD)、複数の色で点灯、点滅、及び消灯するLED29、表示部23及びLED29に電力を供給する太陽電池25、コントローラー2と通信する通信部24(図13参照)などを備えている。太陽電池25は、タグTg内において、外光(太陽光、施設F1の照明光など)により充電可能な位置(例えば天面)に配置されている。LED29は、ユーザインターフェースとしてボタン機能を有してもよい。タグTgは、コントローラー2からの命令(送信データ)に従って、所定の情報を表示部23に表示させたり、LED29を点灯、消灯させたりすることが可能である。作業者は、例えばLED29が点灯しているタグTgが設置された収納棚31の部品をピッキングする。タグTgはLED29が押されたことを本通信方式によりコントローラー2に通知し、コントローラー2はそれを管理サーバー1に通知する。管理サーバー1はタグTgが正しい部品に対応していれば、次に取り出すべき部品に対応するタグTgに、LED29を所定の周期で点滅動作させる信号を本通信方式により、コントローラー2を介して通知する。図2では、タグ1が点灯した状態を表している。管理サーバー1は、各コントローラー2を一括制御しており、ピッキング対象の情報に基づいて、所定のコントローラー2に送信データ(タグTgの点灯命令など)の送信指示を出力する。
【0016】
施設F1内には、複数の保管棚3が配列されている。コントローラー2は施設F1内に分散して複数設置されており、複数のコントローラー2が、施設F1内に配置された複数の保管棚3のタグTgと通信を行う。このように、通信システム10は、施設F1内に配置された複数のタグTgを複数のコントローラー2により制御することにより、施設F1のピッキングシステムを構築する。具体的には、通信システム10は、複数のコントローラー2と複数のタグTgとの電波通信が所定の周期で行われるように管理するシステムである。
【0017】
管理サーバー1はコントローラー2を管理、制御する調停局として機能し、コントローラー2はホスト機器(親局)として機能し、タグTgはスレーブ機器(子局)として機能する。
【0018】
[管理サーバー1]
図1に示すように、管理サーバー1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信部14などを備える。管理サーバー1は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置であってもよい。また、管理サーバー1は、クラウドサーバーで構成されてもよい。
【0019】
通信部14は、管理サーバー1を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介してコントローラー2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。
【0020】
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス、又はキーボードなどの操作部とを備えるユーザインターフェースである。
【0021】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、タグ情報D1、関連情報D2などのデータが記憶される。
【0022】
図4は、タグ情報D1の一例を示す図である。タグ情報D1には、施設F1に配置される全てのタグTgに関する情報が登録される。具体的には、タグ情報D1には、タグID、位置情報、部品名などの情報が含まれる。前記タグIDは、タグTgの識別情報である。前記位置情報は、タグTgが設置されている位置の位置情報であり、例えば保管棚3の位置、保管棚3(収納棚31)の棚番号、施設F1の地図上の座標などの情報である。前記部品名は、タグTgが設置されている収納棚31に保管されている部品の名称である。
【0023】
タグ情報D1は、例えば施設F1の管理者により登録される。また、タグ情報D1は、管理サーバー1とは異なるサーバーに記憶されてもよい。
【0024】
図5は、関連情報D2の一例を示す図である。関連情報D2は、複数のコントローラー2のそれぞれに関連付けられたタグTgを識別する情報である。具体的には、関連情報D2には、コントローラーID、タグIDなどの情報が含まれる。前記コントローラーIDは、コントローラー2の識別情報であり、前記タグIDは、タグTgの識別情報である。なお、実際には、各コントローラー2には最も通信が安定するタグTgが関連付けられるため、タグTgのIDは規則性がなくランダムになる。
【0025】
図6に示すように、一つのコントローラー2には、複数のタグTgが関連付けられる。各コントローラー2は複数のタグTgと通信可能であり、各タグTgは一つのコントローラー2と通信可能である。例えばコントローラーAは、通信エリアAR1内のタグTgと通信可能であり、コントローラーBは、通信エリアAR2内のタグTgと通信可能である。なお、実際には十分な通信安定度を見込むため、一つのタグTgが複数のコントローラー2の通信エリアAR内に入っていることが多い。それぞれのタグTgは、それら複数のコントローラー2の中で最も通信が安定するコントローラー2と関連付けられる。本実施形態では、5台のコントローラー2(コントローラーA~E)により、施設F1の全作業エリアを網羅して、施設F1内の全てのタグTgと通信可能に構成されている。関連情報D2は、制御部11の処理(後述)により登録される。
【0026】
また、記憶部12には、部品を取り出す順番などを含むピッキング情報が記憶されてもよい。前記ピッキング情報は、ピッキング対象の部品ごとに、タグID、位置情報、ピッキング状況などの情報が関連付けられて登録される。管理サーバー1は、ピッキング指示に基づいて、ピッキング対象の情報を前記ピッキング情報に登録する。なお、管理サーバー1は、製品の製造工程を管理するサーバーから前記ピッキング指示を取得してもよいし、記憶部12に記憶された当該製造工程に基づいて前記ピッキング情報を生成してもよい。
【0027】
また、記憶部12には、制御部11に後述の通信処理(図10参照)を実行させるための通信プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記通信プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、管理サーバー1に電気的に接続されるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。
【0028】
制御部11は、CPUなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。そして、制御部11は、記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより管理サーバー1を制御する。
【0029】
具体的に、制御部11は、複数のタグTgのそれぞれを、複数のコントローラー2のうちいずれか一つのコントローラー2に関連付ける。
【0030】
例えば図5に示すように、制御部11は、通信エリアAR1に配置されるタグID「tg0001~tg0100」までの複数のタグTgを、通信エリアAR1に配置されるコントローラーID「c0001」のコントローラーAに関連付ける。また、制御部11は、通信エリアAR2に配置されるタグID「tg0101~tg0200」までの複数のタグTgを、通信エリアAR2に配置されるコントローラーID「c0002」のコントローラーBに関連付ける。また、制御部11は、通信エリアAR3に配置されるタグID「tg0201~tg0300」までの複数のタグTgを、通信エリアAR3に配置されるコントローラーID「c0003」のコントローラーCに関連付ける。また、制御部11は、通信エリアAR4に配置されるタグID「tg0301~tg0400」までの複数のタグTgを、通信エリアAR4に配置されるコントローラーID「c0004」のコントローラーDに関連付ける。また、制御部11は、通信エリアAR5に配置されるタグID「tg0401~tg0500」までの複数のタグTgを、通信エリアAR5に配置されるコントローラーID「c0005」のコントローラーEに関連付ける。
【0031】
なお、上記関連付けは、それぞれのタグTgにとって最も通信が安定するコントローラー2と関連付けた後、適宜番号を割り振った結果である。本開示では、複数の子局のそれぞれが、複数の親局のうちいずれか一つの親局に予め関連付けられていてもよい。
【0032】
制御部11は、互いに関連付けたコントローラー2とタグTgとの情報を関連情報D2(図5参照)に登録する。
【0033】
制御部11は、複数のコントローラー2のそれぞれを、所定のチャネルにおいて、所定の周期を時間分割した複数の時間区分(タイムスロット)のそれぞれに割り当てる。例えば図7に示すように、周期を「C1」とした場合に、周期C1を複数の時間区分に分割する。ここでは、周期C1を5つの時間区分t1~t5に分割する。また、ここでは、所定の一つのチャネルCH1が利用されるものとする。チャネルCH1に対して、所定の周期で複数のタグTgと通信可能な数のコントローラー2が割り当てられる。例えば、制御部11は、コントローラーAを第1時間区分t1に割り当て、コントローラーBを第2時間区分t2に割り当て、コントローラーCを第3時間区分t3に割り当て、コントローラーDを第4時間区分t4に割り当て、コントローラーEを第5時間区分t5に割り当てる。
【0034】
制御部11は、周期C1ごとに、コントローラーA~Eを時間区分t1~t5に順に割り当てる。
【0035】
また、制御部11は、複数の時間区分のそれぞれにおいて、コントローラー2と、当該コントローラー2に関連付けた複数のタグTgとを、前記時間区分内に通信させる。図8を参照しつつ、通信方法の具体例を説明する。
【0036】
図8に示す例では、チャネルCH1において、周期C1を「200ms」、時間区分t1~t5のそれぞれの時間幅を「40ms」としている。制御部11は、周期C1の最初の第1時間区分t1において、コントローラーAに送信データの送信指示を出力する。前記送信データは、例えばビーコンである。なお、時間区分t1~t5のそれぞれの時間幅が「200ms」であってもよい。
【0037】
ここで、前記送信データは、図9に示すように、タグTgに所定の処理を実行させるコマンドの情報(コマンド情報)と、当該コマンドを実行させるタグTgを識別する識別情報(宛先情報)とを含む。具体的には、前記送信データは、所定数のタグTgのそれぞれの宛先情報と、所定数のタグTgのそれぞれに所定のコマンドを実行させるコマンド情報とを含む。例えば、図9には、コントローラーAが送信する送信データの一例を示している。制御部11は、コントローラーAに関連付けられた複数のタグTg(図5参照)のうち、ピッキング対象の5個の部品に関連付けられた5個のタグTg(図4参照)を特定し、特定した5個のタグ1~5を宛先に含めた送信データの送信指示を、コントローラーAに出力する。
【0038】
すなわち、制御部11は、コントローラーAから、当該コントローラーAに関連付けられた複数のタグTgのうち所定数のタグTgに対して送信データを送信させる。また、コントローラーAは、時間区分内にコントローラーAと通信可能な所定数のタグTgに対して前記送信データを送信する。
【0039】
コントローラーAは、管理サーバー1から前記送信指示を取得すると、第1時間区分t1(図8参照)において、前記送信データ(図9参照)を、コントローラーAに関連付けられた全てのタグTg(図5参照)に送信する。
【0040】
コントローラーAに関連付けられた各タグTgは、前記送信データを受信すると、前記送信データに含まれる宛先を確認し、自身宛のコマンドが含まれる場合に所定の処理を実行する。例えば、タグ1は、LED29(図3参照)を点灯させる自身宛のコマンドが含まれる前記送信データを受信すると、LED29(図3参照)を点灯させる。また、タグ1は、コマンドを実行した場合にレスポンス(確認応答)をコントローラーAに送信する。同様に、タグ2~5のそれぞれは、前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29(図3参照)を点灯させ、レスポンス(確認応答)をコントローラーAに送信する。コントローラーAは、タグ1~5のそれぞれからレスポンスを受信する(図9参照)。このとき、タグ1~5は、送信データ内の何番目に自身宛のコマンドが入っていたかに応じて、お互いが衝突しないタイミングで適宜送信を行う。本実施の形態では、コマンドが入っていた順にそれぞれのタグTgが同じサイズの確認応答を送信し、それぞれの確認応答送信に係る時間と所定のマージン量を加味した時間を空けることで、それぞれの確認応答信号が衝突しないようにする。
【0041】
また、本実施の形態では、時間区分内においてすべての5台の確認応答を送信後にタグデータ受信期間R1(図9)が余るよう設計しており、LED29が有するボタン機能が押下されたタグTgは、その後のタグデータ受信期間R1において、CSMA/CA方式により送信を行う。図9に示すタグデータ受信期間R1は、CSMA/CA方式によるタグTgからコントローラー2へのアップリンク期間である。
【0042】
なお、前記確認応答は、ボタン押下情報に限らず、他のユーザインターフェースを備えていれば、その操作内容であってもよい。また、タグTgがセンサー機能を有していれば、測定値が所定の条件を満たす場合にタグTgが自発的に送信するようにしてもよい。
【0043】
コントローラーAが、周期C1(200ms)の第1時間区分t1(40ms)において、前記送信データをタグ1~5に送信し、タグ1~5のコマンドの実行が完了すると、制御部11は、周期C1(200ms)の次の第2時間区分t2において、コントローラーBに送信データの送信指示を出力する(図8参照)。前記送信データには、タグ6~10の宛先とコマンドとが含まれる。
【0044】
コントローラーBに関連付けられた各タグTgは、前記送信データを受信すると、前記送信データに含まれる宛先を確認し、自身宛のコマンドが含まれる場合に所定の処理を実行する。例えば、タグ6は、LED29(図3参照)を点灯させる自身宛のコマンドが含まれる前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させる。また、タグ6は、コマンドを実行した場合にレスポンス(確認応答)をコントローラーBに送信する。同様に、タグ7~10のそれぞれは、前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させ、レスポンス(確認応答)をコントローラーBに送信する。コントローラーBは、タグ6~10のそれぞれからレスポンスを受信する。
【0045】
コントローラーBが、周期C1(200ms)の第2時間区分t2(40ms)において、前記送信データをタグ6~10に送信し、タグ6~10のコマンドの実行が完了すると、制御部11は、周期C1(200ms)の次の第3時間区分t3において、コントローラーCに送信データの送信指示を出力する。前記送信データには、タグ11~15の宛先とコマンドとが含まれる(図8参照)。
【0046】
コントローラーCに関連付けられた各タグTgは、前記送信データを受信すると、前記送信データに含まれる宛先を確認し、自身宛のコマンドが含まれる場合に所定の処理を実行する。例えば、タグ11は、LED29を点灯させる自身宛のコマンドが含まれる前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させる。また、タグ11は、コマンドを実行した場合にレスポンス(確認応答)をコントローラーCに送信する。同様に、タグ12~15のそれぞれは、前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させ、レスポンス(確認応答)をコントローラーCに送信する。コントローラーCは、タグ11~15のそれぞれからレスポンスを受信する(図8参照)。
【0047】
コントローラーCが、周期C1(200ms)の第3時間区分t3(40ms)において、前記送信データをタグ11~15に送信し、タグ11~15のコマンドの実行が完了すると、制御部11は、周期C1(200ms)の次の第4時間区分t4において、コントローラーDに送信データの送信指示を出力する。前記送信データには、タグ16~20の宛先とコマンドとが含まれる。
【0048】
コントローラーDに関連付けられた各タグTgは、前記送信データを受信すると、前記送信データに含まれる宛先を確認し、自身宛のコマンドが含まれる場合に所定の処理を実行する。例えば、タグ16は、LED29を点灯させる自身宛のコマンドが含まれる前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させる。また、タグ16は、コマンドを実行した場合にレスポンス(確認応答)をコントローラーDに送信する。同様に、タグ17~20のそれぞれは、前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させ、レスポンス(確認応答)をコントローラーDに送信する。コントローラーDは、タグ16~20のそれぞれからレスポンスを受信する(図8参照)。
【0049】
コントローラーDが、周期C1(200ms)の第4時間区分t4(40ms)において、前記送信データをタグ16~20に送信し、タグ16~20のコマンドの実行が完了すると、制御部11は、周期C1(200ms)の次の第5時間区分t5において、コントローラーEに送信データの送信指示を出力する。前記送信データには、タグ21~25の宛先とコマンドとが含まれる。
【0050】
コントローラーEに関連付けられた各タグTgは、前記送信データを受信すると、前記送信データに含まれる宛先を確認し、自身宛のコマンドが含まれる場合に所定の処理を実行する。例えば、タグ21は、LED29を点灯させる自身宛のコマンドが含まれる前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させる。また、タグ21は、コマンドを実行した場合にレスポンス(確認応答)をコントローラーEに送信する。同様に、タグ22~25のそれぞれは、前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させ、レスポンス(確認応答)をコントローラーEに送信する。コントローラーEは、タグ21~25のそれぞれからレスポンスを受信する(図8参照)。
【0051】
コントローラーEが、周期C1(200ms)の第5時間区分t5(40ms)において、前記送信データをタグ21~25に送信し、タグ21~25のコマンドの実行が完了すると、制御部11は、次の周期C1(200ms)の最初の第1時間区分t1において、再度、コントローラーAに送信データの送信指示を出力する。前記送信データには、タグ1~5の宛先とコマンドとが含まれる。
【0052】
コントローラーAに関連付けられた各タグTgは、前記送信データを受信すると、前記送信データに含まれる宛先を確認し、自身宛のコマンドが含まれる場合に所定の処理を実行する。例えば、タグ1は、LED29を点灯させる自身宛のコマンドが含まれる前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させる。また、タグ1は、コマンドを実行した場合にレスポンス(確認応答)をコントローラーAに送信する。同様に、タグ2~5のそれぞれは、前記送信データを受信すると、自身宛のコマンドが含まれるため、LED29を点灯させ、レスポンス(確認応答)をコントローラーAに送信する。コントローラーAは、タグ1~5のそれぞれからレスポンスを受信する(図8参照)。
【0053】
以上のように、制御部11は、複数の時間区分のそれぞれにおいて、コントローラー2と、当該コントローラー2に関連付けられた複数のタグTgとを、時間区分内に通信させる。また、制御部11は、複数のコントローラー2のそれぞれに、前記送信データの送信指示を時間区分の順に出力する。これにより、例えばコントローラーA~Eのそれぞれは、時間区分t1~t5の順に、各コントローラーが制御するタグTgと通信を行う。
【0054】
例えばコントローラーAが第1時間区分t1において前記送信データをコントローラーAに関連付けられた複数のタグTgのうち5個のタグ1~5に対して送信した後に、コントローラーBが第1時間区分t1に続く第2時間区分t2において前記送信データをコントローラーBに関連付けられた複数のタグTgのうち5個のタグ6~10に対して送信する。
【0055】
また、コントローラーAが第1時間区分t1において前記送信データをタグ1~5に対して送信し、コントローラーAがタグ1~5からレスポンスを受信した後に、コントローラーBが第2時間区分t2において前記送信データをタグ6~10に対して送信する。
【0056】
ここで、制御部11は、管理サーバー1と各コントローラーとを同期(時刻同期)させる処理を実行する。また、各コントローラー2は、対応する各タグTgと同期(時刻同期)させる処理を実行する。これにより、各コントローラー2は、所定の周期(例えば200ms)でタグTgに送信データを送信し、各タグTgは、所定の周期(例えば200ms)で前記送信データを受信する。例えば各タグTgは、前記送信データの受信時刻に合わせて起動を開始し、当該受信時刻に前記送信データの受信を開始する。また、各タグTgは、コントローラー2における前記送信データの送信完了時刻に受信処理を完了し、受信処理の完了後に時刻同期を行う。各タグTgは、次の前記送信データの受信時刻までタイマーをセットして待機(パワーセーブ)する。
【0057】
なお、各コントローラー2間の時刻同期は例えばIEEE 1588 Precision Time Protocolによりコントローラー2間で自律的に行われてもよい。また、制御部11はそれぞれのコントローラー2に周期C1と時間区分t1~t5を通知し、それぞれのコントローラー2が図7に示したタイミングで通信を行うように制御してもよい。
【0058】
[通信処理]
以下、図10を参照しつつ、通信システム10において実行される通信処理の手順の一例について説明する。
【0059】
なお、本開示は、前記通信処理に含まれる一又は複数のステップを実行する通信方法のとして捉えることができ、ここで説明する当該通信処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記通信処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは管理サーバー1及びコントローラー2によって前記通信処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーが前記通信処理における各ステップを分散して実行する通信方法も他の実施形態として考えられる。
【0060】
ここでは、上述した図8及び図9に示す通信方法を例に挙げて説明する。管理サーバー1の制御部11は、所定のチャネルCH1を利用して、所定の周期(200ms)を時分割した5つの時間区分t1~t5(各40ms)のそれぞれに割り当てたコントローラーA~Eのそれぞれに対して送信データ(図8参照)の送信指示を出力する。
【0061】
先ず、第1周期(N=1)が開始すると(S1)、ステップS2において、制御部11は、第1時間区分t1が開始したか否かを判定する。第1時間区分t1が開始すると(S2:Yes)、ステップS3において、制御部11は、コントローラーAに対して前記送信データの送信指示を出力する。コントローラーAは、前記送信指示を取得すると、コマンドを実行させるタグTg(例えばタグ1~5)を宛先に含む前記送信データを、コントローラーAに関連付けられた全てのタグTg(図5参照)に送信する。
【0062】
次に、ステップS4において、制御部11は、タグTgのレスポンス(確認応答)を受信したか否かを判定する。例えばタグ1~5が前記送信データを受信してコマンド(点灯コマンド)を実行し、レスポンスをコントローラーAに送信すると、コントローラーAは受信したレスポンスを管理サーバー1に送信する。これにより、管理サーバー1の制御部11は、前記レスポンスを受信する。制御部11が前記レスポンスを受信すると(S4:Yes)、処理はステップS5に移行する。
【0063】
ステップS5において、制御部11は、第2時間区分t2が開始したか否かを判定する。第2時間区分t2が開始すると(S5:Yes)、ステップS6において、制御部11は、コントローラーBに対して前記送信データの送信指示を出力する。コントローラーBは、前記送信指示を取得すると、コマンドを実行させるタグTg(例えばタグ6~10)を宛先に含む前記送信データを、コントローラーBに関連付けられた全てのタグTg(図5参照)に送信する。
【0064】
次に、ステップS7において、制御部11は、タグTgのレスポンスを受信したか否かを判定する。例えばタグ6~10が前記送信データを受信してコマンド(点灯コマンド)を実行し、レスポンスをコントローラーBに送信すると、コントローラーBは受信したレスポンスを管理サーバー1に送信する。これにより、管理サーバー1の制御部11は、前記レスポンスを受信する。制御部11が前記レスポンスを受信すると(S7:Yes)、処理はステップS8に移行する。
【0065】
ステップS8において、制御部11は、第3時間区分t3が開始したか否かを判定する。第3時間区分t3が開始すると(S8:Yes)、ステップS9において、制御部11は、コントローラーCに対して前記送信データの送信指示を出力する。コントローラーCは、前記送信指示を取得すると、コマンドを実行させるタグTg(例えばタグ11~15)を宛先に含む前記送信データを、コントローラーCに関連付けられた全てのタグTg(図5参照)に送信する。
【0066】
次に、ステップS10において、制御部11は、タグTgのレスポンスを受信したか否かを判定する。例えばタグ11~15が前記送信データを受信してコマンド(点灯コマンド)を実行し、レスポンスをコントローラーCに送信すると、コントローラーCは受信したレスポンスを管理サーバー1に送信する。これにより、管理サーバー1の制御部11は、前記レスポンスを受信する。制御部11が前記レスポンスを受信すると(S10:Yes)、処理はステップS11に移行する。
【0067】
ステップS11において、制御部11は、第4時間区分t4が開始したか否かを判定する。第4時間区分t4が開始すると(S11:Yes)、ステップS12において、制御部11は、コントローラーDに対して前記送信データの送信指示を出力する。コントローラーDは、前記送信指示を取得すると、コマンドを実行させるタグTg(例えばタグ16~20)を宛先に含む前記送信データを、コントローラーDに関連付けられた全てのタグTg(図5参照)に送信する。
【0068】
次に、ステップS13において、制御部11は、タグTgのレスポンスを受信したか否かを判定する。例えばタグ16~20が前記送信データを受信してコマンド(点灯コマンド)を実行し、レスポンスをコントローラーDに送信すると、コントローラーDは受信したレスポンスを管理サーバー1に送信する。これにより、管理サーバー1の制御部11は、前記レスポンスを受信する。制御部11が前記レスポンスを受信すると(S13:Yes)、処理はステップS14に移行する。
【0069】
ステップS14において、制御部11は、第5時間区分t5が開始したか否かを判定する。第5時間区分t5が開始すると(S14:Yes)、ステップS15において、制御部11は、コントローラーEに対して前記送信データの送信指示を出力する。コントローラーEは、前記送信指示を取得すると、コマンドを実行させるタグTg(例えばタグ21~25)を宛先に含む前記送信データを、コントローラーEに関連付けられた全てのタグTg(図5参照)に送信する。
【0070】
次に、ステップS16において、制御部11は、タグTgのレスポンスを受信したか否かを判定する。例えばタグ21~25が前記送信データを受信してコマンド(点灯コマンド)を実行し、レスポンスをコントローラーEに送信すると、コントローラーEは受信したレスポンスを管理サーバー1に送信する。これにより、管理サーバー1の制御部11は、前記レスポンスを受信する。制御部11が前記レスポンスを受信すると(S16:Yes)、処理はステップS1に戻る。
【0071】
ステップS1に戻ると、第2周期(N=2)が開始し、ステップS2において、制御部11は、第1時間区分t1が開始したか否かを判定し、第1時間区分t1が開始すると(S2:Yes)、ステップS3において、制御部11は、コントローラーAに対して前記送信データの送信指示を出力する。コントローラーAは、前記送信指示を取得すると、コマンドを実行させるタグTg(例えばタグ1~5)を宛先に含む前記送信データを、コントローラーAに関連付けられた全てのタグTg(図5参照)に送信する。以降は上述の処理と同様である。以上のようにして、通信システム10は、前記通信処理を実行する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る通信システム10は、複数のコントローラー2(親局)と複数のタグTg(子局)とが所定の周期で無線通信を行う通信システムである。また、通信システム10は、複数のタグTgのそれぞれを、複数のコントローラー2のうちいずれか一つのコントローラー2に関連付ける。また、通信システム10は、複数のコントローラー2のそれぞれを、所定のチャネルにおいて、前記所定の周期を時間分割した複数の時間区分(タイムスロット)のそれぞれに割り当てる。また、通信システム10は、複数の時間区分のそれぞれにおいて、コントローラー2と、当該コントローラー2に関連付けられた複数のタグTgとを、前記時間区分内に通信させる。
【0073】
上記構成において、各コントローラー2は、前記周期(例えば200ms)のうち前記時間区分(40ms)の間だけ電波を使用する。また、コントローラー2間で互いの電波使用時間が重複しないように割り当てる(調整する)ことで、一つのチャネル(CH1)を最大5台までの複数のコントローラー2で共有することができる。これにより、図11のように互いの通信エリアARが重複する状態であっても多数のコントローラー2を設置することが可能となる。例えば周波数チャネル数が20あれば、互いに電波的に干渉するエリア内であってもチャネル数の5倍の100台のコントローラー2を設置することが可能となる。
【0074】
なお、工場レイアウトや各ラインの種別に応じて、各コントローラー2が使用するチャネルを共有可能な最大数を意識しながら割り振りたい場合も考えられる。こうした場合は、図12のように各コントローラーの番号(ここでは一例として「1」~「64」)を、縦横に時間スロット(スロット番号)とチャネル(周波数チャネル)の軸を設定した表にマップして設定できるような表示画面(UI)を提供してもよい。すなわち、制御部11は、複数のコントローラー2(親局)のそれぞれを割り当てた所定チャネル及び所定時間区分のそれぞれを視覚的に識別可能に表示させてもよい。
【0075】
なお、図12は、各コントローラー2は、前記周期(例えば200ms)のうち前記時間区分の長さを12.5msとした場合で、お互いに干渉せずに配置できる周波数チャネルが5チャネルあった場合のチャネルマップの例である。チャネルマッピングにおいてパラメータとなる周期(200ms)、スロット時間(12.5ms)、スロット数(16スロット)、チャネル数(5チャネル)のそれぞれの値は一例であり、電波法や使用する通信速度、占有帯域幅、必要となるレスポンス時間、などの要件に基づいて、適宜設定すればよい。
【0076】
また、前記送信データは、複数のタグTgの宛先情報を含んでいる。上記構成によれば、一つのチャネルを使用して、各周期において、複数のコントローラー2に割り当てられた各時間区分に、各コントローラー2は複数のタグTgと通信することが可能になる。このため、広範囲に多数のタグTgを設置することができる。また、通信システム10において、通信量を増大させることができる。よって、コントローラー2及びタグTgの通信の高速応答性を確保しつつ多数のタグTgを設置することが可能となる。
【0077】
本実施形態に係る通信システム10では、複数のコントローラー2(親局)は互いに時刻の同期を行い、制御部11により割り当てられた時間区分内に通信を行う。また、複数のコントローラー2は、有線通信により互いに接続されてもよい。
【0078】
また、制御部11は、タグTg(子局)において送信すべきデータが発生すると、当該タグTgが関連付けられたコントローラー2に割り当てられた時間区分内において、当該コントローラー2に対して当該データを送信させる。
【0079】
また、タグTgにおいて送信すべきデータは、当該タグTgで観測されたデータである。また、タグTgで観測されたデータは、当該タグTgのユーザインターフェースの操作内容に応じたデータである。
【0080】
[タグTg]
以下、タグTgの具体的構成について説明する。図13は、タグTgの構成を示す機能ブロック図である。図13に示すように、タグTgは、制御部21、記憶部22、表示部23、通信部24、太陽電池25、電源回路26、短絡電流測定部27、LEDドライバ28、LED29などを備える。複数のタグTgのそれぞれは、同一の構成を備えている。
【0081】
通信部24は、コントローラー2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。
【0082】
表示部23は、部品名や取り出し個数などを表示するLCDで構成される(図3参照)。
【0083】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD、SSD、FeRAM(強誘電体メモリ)、又はフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。本実施形態では、記憶部22はフラッシュメモリーとFeRAMから構成される。記憶部22には、各種の処理を実行する制御プログラムが記憶されている。また、記憶部22には、タグTgに関連付けられたコントローラー2の識別情報(コントローラーID)などのデータが記憶される。
【0084】
また、記憶部22には、制御部21に後述のLED輝度調整処理(図19参照)を実行させるためのLED輝度調整プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記LED輝度調整プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、タグTgに電気的に接続される読取装置(不図示)で読み取られて、又は外部サーバーから記憶部12に記憶される。
【0085】
制御部21は、CPUなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。そして、制御部21は、記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりタグTgを制御する。
【0086】
具体的に、制御部21は、各種の処理を実行する処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記通信プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部21に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記通信プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0087】
制御部21は、コントローラー2(親局)から複数のタグTg(子局)のそれぞれを制御する複数のコマンド(制御指示)を含むビーコン(制御データ、送信データ)を受信する。ビーコンには送信元のコントローラー2の識別情報(コントローラーID)が含まれ、さらにそれぞれのコマンド(制御指示)には、宛先となるそれぞれのタグTgの識別情報(タグID)が含まれる。例えば、前記ビーコンには、1又は複数のタグTg宛のコマンドが含まれる。
【0088】
タグTgは、自身が紐づけられているコントローラー2が200ms周期で出力するビーコンが出力される直前のタイミングでスリープ状態から復帰し、該ビーコンの受信を行う。該ビーコンに、自身が紐づけられているコントローラー2の識別情報(コントローラーID)と、自身のタグTgの識別情報(タグID)とが含まれていた場合に、タグTgは自身宛てのコマンド(点灯命令)を実行し、確認応答をコントローラー2に返信する。
【0089】
制御部21は、前記点灯命令を取得すると、環境照度に応じた輝度でLED29を駆動(点灯)させる。ここで、作業者に速くLED29の点灯に気付かせるためには、環境照度に負けない高輝度での点灯、点滅が望ましい。タグTgは、以下に示すように、環境照度に応じたLED29の輝度制御を実現し、さらにタグTg自体の小型化を実現可能な構成を備えている。
【0090】
図14は太陽電池の電流-電圧特性の一例を示すグラフであり、図15は太陽電池の電力-電圧特性の一例を示すグラフであある。図14及び図15において、「L1」は例えば100ルクス(lx)の変化特性を示し、「L2」は例えば200ルクスの変化特性を示し、「L3」は例えば300ルクスの変化特性を示し、「L4」は例えば500ルクスの変化特性を示し、「L5」は例えば1000ルクスの変化特性を示し、「L6」は例えば2000ルクスの変化特性を示し、「L7」は例えば2500ルクスの変化特性を示している。
【0091】
一般的に、太陽電池は、照度の上昇で発電力が増加するが、定電流源に似た負荷特性(電流-電圧特性、電力-電圧特性)を有するため、高い内部抵抗による負荷電流によって出力電圧が大きく変化する。太陽電池の通常の動作状態は、最大電力点付近の電圧値(約3V)であるが、端子電圧は負荷電流に大きく依存するため端子電圧で発電力を推定することはできない。また、開放電圧を測定する場合、電圧と照度とが比例関係にないため誤差が大きくなる。このため、従来の技術では、太陽電池25の発電力を推定することが困難である。
【0092】
そこで、本実施形態に係るタグTgは、太陽電池25の内部抵抗に対して十分小さな抵抗により端子間を接続して、太陽電池25が出力可能な最大電流(短絡電流)を測定する。この短絡電流は概ね照度に比例するため、短絡電流を利用することにより太陽電池25の発電力を容易に推定することが可能になる。
【0093】
例えば図16に示すように、太陽電池25は、電源回路26に接続されるとともに、制御部21との間に配置される短絡電流測定部27に接続される。制御部21は、短絡電流測定部27、電源回路26、LEDドライバ28に接続される。LEDドライバ28は、電源回路26、制御部21、LED29に接続される。
【0094】
図17には、短絡電流測定部27の具体例を示している。短絡電流測定部27は、太陽電池25の短絡電流を測定する。短絡電流測定部27は、トランジスタTr1と抵抗R1とを含んで構成されている。トランジスタTr1の第1端子(ドレイン端子)は太陽電池25の第1端子(+端子)に接続され、トランジスタTr1の第2端子(ソース端子)は抵抗R1の第1端子に接続され、トランジスタTr1の制御端子(ゲート端子)は制御部21に接続されている。また、抵抗R1の第2端子は太陽電池25の第2端子(-端子)、グランド(GND)、制御部21に接続されている。
【0095】
制御部21は、所定の周期でトランジスタTr1をONする。例えば制御部21は、5~10秒の周期でトランジスタTr1をONする制御信号G1(所定期間だけハイレベルの信号)を出力してトランジスタTr1をON状態にする。前記所定の周期は、特に限定されず、例えば数時間の周期であってもよい。トランジスタTr1がON状態になると、太陽電池25が抵抗R1(例えば1kΩ)を介してGNDに短絡される。これにより、太陽電池25に短絡電流が流れる。短絡電流測定部27は、抵抗R1の両端の電圧により短絡電流A1(電流値)を測定し、測定した短絡電流A1を制御部21に出力する。すなわち、短絡電流測定部27は、所定の周期で短絡電流A1を測定する。
【0096】
制御部21は、短絡電流A1を取得すると、トランジスタTr1をOFF状態にする。例えば、制御部21は、トランジスタTr1をOFFする制御信号G1(ローレベルの信号)を出力してトランジスタTr1をOFF状態にする。
【0097】
また、制御部21は、短絡電流A1を取得すると、短絡電流A1の測定値に基づいてLED29を駆動する駆動信号(PWM信号)を生成する。具体的には、制御部21は、短絡電流A1の測定値に対応する照度を算出し、算出した照度に基づいてPWM信号を生成する。また、制御部21は、短絡電流A1の測定値が大きいほどLED29の輝度が高くなるPWM信号を生成する。制御部21は、本開示の駆動信号生成部の一例である。
【0098】
例えば図14に示す電流-電圧特性において、電流値(uA)の約1.5倍が照度(lx値)となっている。この関係式から、制御部21は、短絡電流A1の電流値から照度を算出する。
【0099】
制御部21は、照度を算出すると、算出した照度に対応するPWM値を算出する。具体的には、制御部21は、照度とPWM信号のDuty比(デューティー比)とが予め関連付けられたテーブルを参照して、算出した照度に関連付けられたDuty比を取得する。なお、他の実施形態として、制御部21は、所定の算出式を用いて照度からDuty比を算出してもよい。制御部21は、算出したDuty比のPWM信号をLEDドライバ28に出力する。
【0100】
図18に示すように、LEDドライバ28は、トランジスタTr2及び抵抗R2を含んでいる。また、電源回路26は、蓄電部261、DCDCコンバータ262を含んでいる。蓄電部261は、太陽電池25の発電力を蓄電する。電源回路26の電力はLED29に供給される。LEDドライバ28は、PWM信号(駆動信号)に基づいて蓄電部261の電力によりLED29を駆動させる。トランジスタTr2は、第1端子(ドレイン端子)が抵抗R2に接続され、第2端子(ソース端子)がグランド(GND)に接続され、制御端子(ゲート端子)が制御部21に接続されている。LEDドライバ28は、制御部21から出力されるPWM信号に基づいてLED29を駆動する。LED29は、PWM信号(Duty比)のON/OFF時間の比率に応じて駆動することにより輝度が調整される。
【0101】
このように、タグTgは、所定の周期で太陽電池25を短絡させて短絡電流A1を測定し、短絡電流A1から換算した照度(環境照度)に対応するLED駆動信号(PWM信号)を算出してLED29の輝度を調整する。
【0102】
[LED輝度調整処理]
以下、図19を参照しつつ、タグTgにおいて実行されるLED輝度調整処理の手順の一例について説明する。
【0103】
なお、本開示は、前記LED輝度調整処理に含まれる一又は複数のステップを実行するLED輝度調整方法(本開示のLED駆動制御方法の一例)のとして捉えることができ、ここで説明する当該LED輝度調整処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記LED輝度調整処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここではタグTgの制御部21によって前記LED輝度調整処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーが前記LED輝度調整処理における各ステップを分散して実行するLED輝度調整方法も他の実施形態として考えられる。
【0104】
ステップS21において、制御部21は、所定の周期が到来したか否かを判定する。制御部21は、所定の周期が到来したと判定すると(S21:Yes)、処理をステップS22に移行させる。制御部21は、所定の周期が到来するまで待機する(S21:No)。例えば、制御部21は、10秒が経過するごとに処理をステップS22に移行させる。
【0105】
ステップS22において、制御部21は、短絡電流測定部27のトランジスタTr1にハイレベルの制御信号G1(ON信号)を出力する(図17参照)。これにより、太陽電池25の両端子(+端子、-端子)がトランジスタTr1及び抵抗R1を介して短絡し、太陽電池25が出力可能な最大電流(短絡電流)が流れる。
【0106】
ステップS23において、制御部21は、短絡電流A1の電流値を取得する。具体的には、制御部21が制御信号G1を出力して、太陽電池25が短絡すると、短絡電流測定部27は、抵抗R1の電圧を測定して短絡電流を測定する。短絡電流測定部27は、短絡電流A1の電流値を制御部21に出力する。
【0107】
ステップS24において、制御部21は、短絡電流A1の電流値を取得すると、トランジスタTr1にローレベルの制御信号G1(OFF信号)を出力する。
【0108】
ステップS25において、制御部21は、取得した短絡電流A1の電流値に基づいて照度を算出する。例えば、制御部21は、電流-電圧特性(図14参照)に基づく関係式から、短絡電流A1の電流値を照度に換算する。
【0109】
ステップS26において、制御部21は、算出した照度に基づいてPWM値を算出する。具体的には、制御部21は、予め設定されたテーブル又は算出式を利用して、照度に対応するDuty比を算出する。
【0110】
ステップS27において、制御部21は、PWM信号によりLE29を駆動する。具体的には、制御部21は、算出したDuty比のON/OFF時間の比率に応じてLED29を駆動する。
【0111】
ステップS27の後、制御部21は、処理をステップS21に戻す。制御部21は、次の周期が到来するまで待機(制御信号G1をローレベルに維持)し、次の周期が到来すると制御信号G1をハイレベルに切り替えて(S22)、上述の処理を再度実行する。制御部21は、所定の周期で繰り返し上述の処理を実行する。
【0112】
以上のように、本開示に係るタグTgは、太陽電池25で駆動するLED29の駆動を制御する。具体的には、タグTgは、太陽電池25の発電力を蓄電する蓄電部261と、太陽電池25の短絡電流A1を測定する短絡電流測定部27と、短絡電流A1の測定値に基づいてLED29を駆動する駆動信号(PWM信号)を生成する制御部21(駆動信号生成部)と、駆動信号に基づいて蓄電部261の電力によりLED29を駆動させるLEDドライバ28(LED駆動部)とを備えている。
【0113】
また、制御部21は、定期的に短絡電流測定部27を使用して太陽電池25の短絡電流A1を測定する。測定値は、太陽電池25の受光面照度(環境照度)と発電力の両方に対して概ね比例関係にあることから、制御部21は、LEDドライバ28に対して自動調光を行う。例えば、制御部21は、発電力から輝度上限とエネルギー収支を計算し、環境照度により輝度下限条件を計算し、これらの計算結果と蓄電部261の蓄電状況とに基づいて適切なLED輝度を算出する。
【0114】
上記構成によれば、短絡電流A1を用いることにより発電力は直接測定のため確度が高くなる。なお、環境照度は太陽電池25の個体ばらつきを含んだ推定照度となるが、人間の目の明るさに対する感じ方は照度の対数に比例するため、自動調光に必要な情報としては十分な正確度である。
【0115】
また、上記構成によれば、例えば太陽電池のセル電圧を用いて発電力の推定を行う場合と比較して、負荷の影響を受け難いため誤差が小さくなる。また、上記構成によれば、太陽電池から直接短絡電流を読み取るため、照度センサーが不要になり、また照度センサーを駆動させる電力も不要になる。また、照度センサーを用いる場合、タグTg内の配置する位置によっては太陽電池の発電力との相関関係に比例関係以外の差が生じる恐れがある。また、太陽電池の一部が隠れてしまい環境照度と発電力の差が大きくなる恐れがある。この点、本実施形態の構成によれば、太陽電池の発電量の収支を合わせることができる。
また、上記構成によれば、低コスト、即応性、機器の小型化、デザインの自由度の向上を実現することができる。
【0116】
他の実施形態として、制御部21は、LED29を第1輝度で点灯可能な第1PWM信号(本開示の第1駆動信号の一例)と、LED29を第1輝度よりも高輝度の第2輝度で点灯可能な第2PWM信号(本開示の第2駆動信号の一例)とを生成してもよい。図20は、この構成のLEDの駆動方法の一例を示す図である。図20に示すように、タグTGは、さらに1次電池263を備えてもよい。なお、1次電池263には逆流阻止のダイオードが接続されてもよい。具体的には、制御部21は、第2PWM信号によりLED29を駆動し、蓄電部261の電圧が所定値未満になった場合に第1PWM信号によりLED29を駆動してもよい。例えば、制御部21は、1次電池263から電力補充なく永続的に点灯できる値の第1PWM信号と、環境照度に対してインジケーターとして望ましい値の第2PWM信号を生成する。
【0117】
制御部21は、例えば、初めに第2PWM信号によりLEDの点灯を開始する。この場合、太陽電池25の出力以上の電力で点灯するため、蓄電部261に蓄えられている電圧が下がり始める。制御部21は、蓄電部261の電圧を監視し、電圧が予め設定された措定値未満になった場合に第1PWM信号に切り替える。
【0118】
また、何らかの外的要因で環境照度が非常に低く、太陽電池25の発電量だけでは暗すぎて視認困難になる場合は、制御部21は、1次電池263を併用して、第2PWM信号によりLEDを点灯する動作モードを維持してもよい。すなわち、制御部21は、環境照度が所定値以上の場合に、第2PWM信号に基づいて蓄電部261の電力によりLED29を駆動させ、環境照度が所定値未満の場合に、第2PWM信号に基づいて1次電池263の電力と蓄電部261の電力とによりLED29を駆動する。
【0119】
本開示の他の実施形態として、各タグTgの制御部21は、環境照度が所定値未満になった場合に低電力モードに移行してもよい。また制御部21は、環境照度が所定値未満の状態が所定時間継続した場合に、LED29の駆動を停止(電源OFF)してもよい。
【0120】
また、本開示の他の実施形態として、管理サーバー1又はコントローラー2は、各タグTgから短絡電流A1の測定値を取得して測定値に対応するDuty比を算出し、算出結果をタグTg宛に送信するビーコンに含めてもよい。管理サーバー1は、各タグTgの短絡電流A1の測定値に基づいて、施設F1内の環境照度の情報、太陽電池25の状態をユーザーに提示してもよい。
【0121】
なお、タグTgは、本開示のLED駆動制御装置の一例であるが、本開示のLED駆動制御装置は、制御部21単体で構成されてもよい。また、本開示のLED駆動制御装置は、タグTgに含まれる構成要素の一部、例えば制御部21、短絡電流測定部27、LEDドライバ28により構成されてもよい。また、本開示のLED表示器(タグTg)は、LED駆動制御装置(制御部21、短絡電流測定部27、LEDドライバ28)と、LED29とにより構成されてもよい。
【0122】
[開示の付記]
以下、実施形態から抽出される開示の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0123】
<付記1>
太陽電池で駆動するLEDの駆動を制御するLED駆動制御装置であって、
前記太陽電池の発電力を蓄電する蓄電部と、
前記太陽電池の短絡電流を測定する短絡電流測定部と、
前記短絡電流の測定値に基づいて前記LEDを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させるLED駆動部と、
を備えるLED駆動制御装置。
【0124】
<付記2>
前記短絡電流測定部は、所定の周期で前記短絡電流を測定する、
付記1に記載のLED駆動制御装置。
【0125】
<付記3>
前記駆動信号生成部は、前記短絡電流の測定値に対応する照度を算出し、算出した照度に基づいて前記駆動信号を生成する、
付記1又は2に記載のLED駆動制御装置。
【0126】
<付記4>
前記駆動信号生成部は、前記短絡電流の測定値が大きいほど前記LEDの輝度が高くなる駆動信号を生成する、
付記1~3のいずれかに記載のLED駆動制御装置。
【0127】
<付記5>
前記駆動信号生成部は、前記LEDを第1輝度で点灯可能な第1駆動信号と、前記LEDを前記第1輝度よりも高輝度の第2輝度で点灯可能な第2駆動信号とを生成する、
付記1~4のいずれかに記載のLED駆動制御装置。
【0128】
<付記6>
前記LED駆動部は、前記第2駆動信号により前記LEDを駆動し、前記蓄電部の電圧が所定値未満になった場合に前記第1駆動信号により前記LEDを駆動する、
付記5に記載のLED駆動制御装置。
【0129】
<付記7>
前記LED駆動部は、環境照度が所定値以上の場合に、前記第2駆動信号に基づいて前記蓄電部の電力により前記LEDを駆動させ、環境照度が所定値未満の場合に、前記第2駆動信号に基づいて1次電池の電力と前記蓄電部の電力とにより前記LEDを駆動する、
付記5又は6に記載のLED駆動制御装置。
【0130】
<付記8>
付記1~7のいずれかに記載のLED駆動制御装置と、
前記LED駆動制御装置により駆動されるLEDと、
を備えるLED表示器。
【符号の説明】
【0131】
1 :管理サーバー
2 :コントローラー
3 :保管棚
10 :通信システム
21 :制御部
22 :記憶部
23 :表示部
24 :通信部
25 :太陽電池
26 :電源回路
27 :短絡電流測定部
28 :LEDドライバ
29 :LED
261 :蓄電部
263 :1次電池
A1 :短絡電流
G1 :制御信号
R1 :抵抗
R2 :抵抗
Tg :タグ
図1
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図3
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