(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131467
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両走行制御装置およびサーバ装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/14 20060101AFI20240920BHJP
B60W 30/165 20200101ALI20240920BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60W30/14
B60W30/165
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041739
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】溝口 雅人
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA02
3D241BA12
3D241BA33
3D241BA39
3D241BA51
3D241BB01
3D241BB03
3D241BB31
3D241CD05
3D241CD07
3D241CE04
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3D241DA13Z
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3D241DC59Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC27
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】車両走行制御装置の制御による車両の走行を改善する。
【解決手段】車両走行制御装置は、車両の進路を撮像するカメラと、カメラの画像に基づいて先行車追従制御を含む自動運転制御により車両の走行制御を実行する自動運転御装置と、を有する。自動運転御装置は、車両が信号機のある交差点について停止した後に、交差点の信号機が通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、交差点に停止している車両の現在位置についての交差点の停止位置からの突出量に基づいて、車両の発進の可否を判断する。突出量が閾値以上である場合、自動運転御装置は、先行車追従制御を強制的に実行し、交差点に停止している車両を、交差点から脱出するように再発進させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、前記車両の進路を撮像するカメラと、
前記カメラによって撮像される画像に基づいて、先行車追従制御を含む自動運転制御により、信号機のある交差点を含む道路を走行可能な車両の走行制御を実行する自動運転御装置と、
を有し、
前記自動運転御装置は、
前記車両が信号機のある前記交差点について停止した後に、前記交差点の信号機が前記車両の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、
前記交差点について停止している前記車両の現在位置についての前記交差点の停止位置からの突出量に基づいて、前記車両についての前記自動運転制御での発進の可否を判断し、
前記突出量が閾値以上である場合には、前記先行車追従制御を強制的に実行して、前記交差点について停止している前記車両を、前記交差点から脱出するように再発進させる、
車両走行制御装置。
【請求項2】
前記自動運転御装置は、前記先行車追従制御により、少なくとも、前記車両の前を走行する先行車に追従して走行することが可能である、
請求項1記載の、車両走行制御装置。
【請求項3】
前記自動運転御装置は、
前記車両が前記先行車追従制御により前記交差点を直進通過する場合において、前記交差点の信号機が直進についての通過可能を示す点灯状態であるとしても、前記車両の先行車が前記交差点または前記交差点の先において停止しているときには、前記先行車追従制御により、前記交差点の停止位置を目標にして停止する強制停止制御を実行する、
請求項1または2記載の、車両走行制御装置。
【請求項4】
前記自動運転御装置は、
前記強制停止制御により前記車両が停止すると、前記先行車追従制御を一時停止し、
前記交差点または前記交差点の先において前記先行車が停止していなくなると、前記先行車追従制御を再開する、
請求項3記載の、車両走行制御装置。
【請求項5】
前記走行制御装置は、
前記突出量を取得する際に、前記交差点の停止位置と比較する前記車両の現在位置として、前記車両についてのドライバより前側となる位置を用いる、
請求項4記載の、車両走行制御装置。
【請求項6】
先行車追従制御を含む自動運転制御により、信号機のある交差点を含む道路を走行可能な車両と通信するサーバ通信部と、
前記車両に設けられて前記車両の進路を撮像するカメラの画像に基づいて、前記車両の走行制御を実行するサーバ制御部と、
を有し、
前記サーバ制御部は、
前記車両が信号機のある前記交差点について停止した後に、前記交差点の信号機が前記車両の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、
前記交差点について停止している前記車両の現在位置についての前記交差点の停止位置からの突出量に基づいて、前記車両についての前記自動運転制御での発進の可否を判断し、
前記突出量が閾値以上である場合には、前記先行車追従制御を強制的に実行して、前記交差点について停止している前記車両を、前記交差点から脱出するように再発進させる、
サーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行制御装置およびサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車といった車両では、自動運転の開発が進められている。自動運転は、レベル1からレベル5まで類別されている。たとえばレベル1の自動運転は、ドライバの運転操作を支援する自動運転である。レベル5は、完全自動運転と呼ばれるものであり、車両のドライバの操作によらずに車両を走行させる自動運転である。現段階において多くのメーカは、レベル2からレベル3の市販車両を開発している。
このような自動運転により走行可能な車両は、基本的に、先行車追従制御、レーンキープ制御、干渉抑制制御といった複数の走行制御を組み合わせることにより、自動運転を実現している。
レーンキープ制御とは、車両が走行している道路の車線からはみ出さないように操舵などを制御することをいう。
先行車追従制御とは、車両の前を走行する先行車との間で車速に応じた車間を確保しながら追従して走行させる制御をいう。先行車が近づくと、車両は、先行車追従制御により、先行車の速度に合わせて減速する。先行車が停止すると、車両は、先行車追従制御により、先行車との間に少なくとも最小限の車間を確保して停止する。なお、車両が走行している道路の車線において近くの先行車がない場合、先行車追従制御は、セットされた速度で車両を走行させる制御を実行する。このような先行車追従制御には、たとえばACC(Adaptive Cruise Control)として、車両に組み込まれることがある。
干渉抑制制御とは、車両の進路に走行障害物がある場合、または予想される場合に、その走行障害物との干渉を抑制する制御をいう。走行障害物には、たとえば先行車、対向車、歩行者、サイクリスト、縁石、などがある。干渉抑制制御は、たとえば車両に設けられるカメラが撮像する画像を解析して進路での走行障害物との干渉を予測し、走行障害物との干渉が予測される場合には、その干渉を回避または抑制するための制御を実行する。
また、特許文献1、2は、自動運転に関連する技術として、上述したような基本的な自動運転制御とは仕組みが異なる、信号機のある交差点を通過するための特別な走行制御を開示する。このような特別な走行制御を、上述したような基本的な自動運転制御と併用しようとする場合、それらの間での制御の切り替えなどが必要になり、走行制御全体での制御の複雑化を招くことになる。走行制御全体での制御の信頼性を確保することが難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-043497号公報
【特許文献2】特開2017-222317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような自動運転で走行可能な車両は、ドライバの運転操作にしたがって走行する車両と同様に、交通ルールにしたがって走行することが望まれる。
そして、上述した基本的な自動運転制御で走行している車両は、先行車が交差点に進入して交差点で停止すると、その先行車に続けて交差点に進入して交差点で停止することになる。そして、その後に信号機の点灯状態が変化してしまうと、交差点内で停止している自動運転制御で走行している車両は、変化後の信号機の点灯状態において交差点を通過可能な他の車両などの通過を阻害してしまう。特に、信号機が設けられている交差点では、その交差点内で停止し続けることは、法律などにより禁止している国もあり、望ましいことではない。
また、自動運転制御により走行している車両の走行が、ドライバが運転して走行している場合とは大きく異なってしまうと、ドライバはその自動運転制御について違和感を覚えてしまう可能性がある。
車両の走行制御装置は、これらの事態ができるだけ生じ難くなるように、車両の走行を制御する必要がある。
【0005】
このように車両走行制御装置には、その制御による車両の走行を改善することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る車両走行制御装置は、車両に設けられ、前記車両の進路を撮像するカメラと、前記カメラによって撮像される画像に基づいて、先行車追従制御を含む自動運転制御により、信号機のある交差点を含む道路を走行可能な車両の走行制御を実行する自動運転御装置と、を有し、前記自動運転御装置は、前記車両が信号機のある前記交差点について停止した後に、前記交差点の信号機が前記車両の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、前記交差点について停止している前記車両の現在位置についての前記交差点の停止位置からの突出量に基づいて、前記車両についての前記自動運転制御での発進の可否を判断し、前記突出量が閾値以上である場合には、前記先行車追従制御を強制的に実行して、前記交差点について停止している前記車両を、前記交差点から脱出するように再発進させる、ものである。
【0007】
本発明の一形態に係るサーバ装置は、先行車追従制御を含む自動運転制御により、信号機のある交差点を含む道路を走行可能な車両と通信するサーバ通信部と、前記車両に設けられて前記車両の進路を撮像するカメラの画像に基づいて、前記車両の走行制御を実行するサーバ制御部と、を有し、前記サーバ制御部は、前記車両が信号機のある前記交差点について停止した後に、前記交差点の信号機が前記車両の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、前記交差点について停止している前記車両の現在位置についての前記交差点の停止位置からの突出量に基づいて、前記車両についての前記自動運転制御での発進の可否を判断し、前記突出量が閾値以上である場合には、前記先行車追従制御を強制的に実行して、前記交差点について停止している前記車両を、前記交差点から脱出するように再発進させる、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明において、車両は、先行車追従制御を含む自動運転制御により、信号機のある交差点を含む道路を走行可能である。しかも、自動運転御装置は、車両が信号機のある交差点について停止した後に、交差点の信号機が車両の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、交差点について停止している車両の現在位置についての交差点の停止位置からの突出量に基づいて、車両についての自動運転制御での発進の可否を判断する。そして、突出量が閾値以上である場合には、自動運転御装置は、先行車追従制御を強制的に実行して、交差点について停止している車両を、交差点から脱出するように再発進させる。
これにより、車両は、交差点の信号機が車両の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した後において、交差点について停止し続けないようになり得る。車両は、交差点の信号機の点灯状態から変化した後に走行が許可されている他の自動車や歩行者についての交差点の通過を妨げ難くなる。
本発明では、車両走行制御装置の制御による車両の走行を改善することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る車両走行制御装置が適用可能な自動車が、自動運転により交差点へ向けて走行している状態の一例の説明図である。
【
図2】
図2は、
図1の自動車に設けられて、車両走行制御装置として機能する自動車の制御系の説明図である。
【
図4】
図4は、
図3の走行制御装置のCPUが、基本的な自動運転制御のために実行する先行車追従制御の一例のフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図3の走行制御装置のCPUが、基本的な自動運転制御とともに実行する交差点再発進制御のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の第二実施形態に係る走行制御装置のCPUが、基本的な自動運転制御とともに実行する交差点進入前制御のフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の第三実施形態において、自動運転により走行可能な自動車と通信するサーバ装置の基本的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る車両走行制御装置が適用可能な自動車1が、自動運転により交差点10へ向けて走行している状態の一例の説明図である。
図1において、自動運転により走行可能な自動車1は、道路の車線9を、交差点10へ向かって走行している。
【0012】
交差点10では、自動運転により走行可能な自動車1の前を走行する第一先行車2が、交差点10を直進通過したり、第二先行車3が交差点10を左折したり、第三先行車7が交差点を右折したりしている。
そして、第一先行車2は、交差点10を直進通過した後、渋滞などにより交差点10の先において停止することがある。
第二先行車3は、交差点10を左折通過する際に、道路を横断する歩行者4の通過を待つために、交差点10の出口付近で停止することがある。
第三先行車7は、交差点10を右折するために設けられた右折専用車線11において、対向車5や道路を横断する歩行者6の通過を待つために、交差点10内の右折停止線14において停止することがある。
この場合、自動運転により走行可能な自動車1は、自車の進路にしたがって交差点10へ向かって進み、これらの第一先行車2から第三先行車7の後ろで、停止することになる。
その後、たとえば第一先行車2は、渋滞が流れ始めると、交差点10から離れるように走行を再開する。
また、第二先行車3は、歩行者4が横断し終えると、交差点10を左折通過するために走行を再開する。
また、第三先行車7は、対向車5や歩行者6が道路を通過し終えると、交差点10を右折通過するために走行を再開する。
自動運転により走行可能な自動車1は、これら第一先行車2から第三先行車7に続いて、交差点10を通過することができる。
【0013】
また、交差点10には、交差点10での交通整理のために、信号機21~23が設けられることがある。
図1には、自動運転により走行可能な自動車1が走行する車線のための自動車用の信号機21と、複数の歩行者用の信号機22,23、とが示されている。
歩行者用の信号機22,23は、歩行者4,6の横断を許可する青色ランプと、歩行者4,6の横断を禁止する赤色ランプとの間で、点灯状態が切り替わる。
自動車用の信号機21は、自動車の通過を許可する青色ランプ、自動車の通過を禁止する赤色ランプ、および青色ランプから赤色ランプへ点灯状態を変化させる際に点灯する黄色ランプの間で、点灯状態が切り替わる。
また、自動車用の信号機21は、赤色ランプを点灯している最中に、たとえば右折専用車線11の自動車7のみの通過を許可する赤色矢印ランプを有するものがある。
信号機21~23は、交差点10の通過方向ごとに時分割で、通過を許可する点灯状態となる。通過を許可する点灯状態の信号機とは別の方向の信号機は、通過を許可するものではない点灯状態になる。これにより、自動車および歩行者は、信号機の点灯状態を確認して、交差点10を安全に通過することが可能になる。
【0014】
また、
図1の交差点10には、さらに、第一停止線12、第二停止線13、が示されている。
第一停止線12は、自動運転により走行可能な自動車1が走行している道路の車線9において、交差点10の手前に設けられる停止線である。
第二停止線13は、右折専用車線11において、交差点10の手前に設けられる停止線である。
自動車用の信号機21が通過を許可するものではない点灯状態である場合、自動車は、これらの第一停止線12または第二停止線13において停止することが望まれる。これにより、交差する道路を走行する第四自動車8が交差点10を通過する走行を妨げないようにできる。
【0015】
自動運転により走行する自動車1であっても、ドライバの運転操作により走行する自動車と同様に、これらの各種の走行環境に対応しながら、交差点10での安全性を確保するように、交通ルールにしたがって走行することが望まれる。
たとえば、上述した基本的な自動運転制御で走行している自動車1は、先行車2,3,7が交差点10に進入して交差点10で停止すると、その先行車2,3,7に続けて交差点10に進入して交差点10で停止することになる。自動運転制御で走行している自動車1は、交差点10内で停止してしまうことになる。
そして、その後に自動車用の信号機21の点灯状態が変化してしまうと、交差点10内のたとえばP1の位置で停止している自動運転制御で走行している自動車1は、変化後の信号機21の点灯状態において交差点10を通過可能な第四自動車8などの通過を阻害してしまう。信号機21が設けられている交差点10内で自動車が停止し続けることは、法律などにより禁止している国もあり、望ましいことではない。
また、自動運転制御により走行している自動車1の走行が、ドライバが運転して走行している場合とは大きく異なってしまうと、ドライバはその自動運転制御について違和感を覚えてしまう可能性がある。
自動車1の走行制御装置32は、これらの事態ができるだけ生じ難くなるように、自動車1の走行を制御する必要がある。
このように自動運転制御には、その制御による自動車1の走行を改善することが望まれる。
【0016】
図2は、
図1の自動車1に設けられて、車両走行制御装置として機能する自動車1の制御系30の説明図である。
図2の制御系30は、複数の制御装置と、複数の制御装置が接続される車ネットワーク38を有する。車ネットワーク38は、たとえばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった規格に準拠した車ネットワーク38でよい。複数の制御装置は、車ネットワーク38を通じて互いに情報を送受できる。
そして、
図2には、複数の制御装置として、操作制御装置31、走行制御装置32、駆動制御装置33、制動制御装置34、操舵制御装置35、車載センサ制御装置36、外通信装置37、が例示されている。制御系30は、これ以外の制御装置を備えてよい。
【0017】
操作制御装置31には、自動車1において乗員が操作する各種の操作部材が接続される。乗員により操作される乃至複数の操作部材は、自動車1の走行を操作するために自動車1に設けられるものでよい。ここでは、ステアリングホイール41、アクセルペダル42、ブレーキペダル43、シフトレバー44、が例示されている。操作制御装置31は、各操作部材に対する乗員の操作入力を取得し、操作情報を、車ネットワーク38を通じて他の制御装置へ出力する。
【0018】
駆動制御装置33には、たとえば不図示のエンジン、モータ、トランスミッション、などといった自動車1の車輪を駆動するための駆動装置が接続される。駆動制御装置33は、車ネットワーク38から駆動についての制御情報を取得し、駆動装置の動作状態を制御する。これにより、自動車1は、加速したり、速度を維持したり、できる。なお、駆動についての制御情報は、主に、操作制御装置31がアクセルペダル42についての乗員の操作量に応じて周期的に生成してよい。
【0019】
制動制御装置34には、たとえば不図示のブレーキ、回生装置、などといった自動車1の車輪を制動するための制動装置が接続される。制動制御装置34は、車ネットワーク38から制動についての制御情報を取得し、制動装置の動作状態を制御する。これにより、自動車1は、減速したり、停止したり、できる。なお、制動についての制御情報は、主に、操作制御装置31がブレーキペダル43についての乗員の操作量に応じて周期的に生成してよい。
【0020】
操舵制御装置35には、たとえば不図示の操舵装置、が接続される。操舵制御装置35は、車ネットワーク38から操舵についての制御情報を取得し、操舵装置の動作状態を制御する。これにより、自動車1は、右方向へ走行したり、左方向へ走行したり、できる。なお、操舵についての制御情報は、主に、操作制御装置31がステアリングホイール41についての乗員の操作量に応じて周期的に生成してよい。
【0021】
車載センサ制御装置36には、自動車1に設けられる各種の車載センサが接続される。ここでは、車載センサとして、カメラ45、加速度センサ46、GNSS受信機47、が例示されている。車載センサ制御装置36には、この他にもたとえば、車外をスキャンして車外の空間情報を生成するLidarなどが接続されてよい。空間情報は、カメラ45の画像の替わり、または補間するものとして使用することが可能である。
【0022】
カメラ45は、たとえば自動車1において前向きで設けられて、自動車1が走行により進行している前方の進路を撮像する。この他にもたとえば、カメラ45と、自動車1の周囲360度を撮像するものでもよい。また、カメラ45は、所定の距離に並べられた複数のカメラで構成されるステレオカメラでもよい。
【0023】
加速度センサ46は、走行する自動車1の現在の加速度を検出する。加速度センサ46は、直交軸方向の加速度を検出するものでよい。
【0024】
GNSS受信機47は、GNSS衛星からの電波を受信して、自動車1の現在位置および現在時刻の情報を生成する。
【0025】
そして、車載センサ制御装置36は、自動車1に設けられる各種の車載センサから検出情報を取得し、車ネットワーク38を通じて他の制御装置へ出力する。また、車載センサ制御装置36は、車載センサの検出情報を処理して、その処理結果を検出情報として車ネットワーク38を通じて他の制御装置へ出力してよい。たとえば、車載センサ制御装置36は、加速度センサ46が検出した加速度に基づいて、自動車1の走行についての速度の大きさや方向の情報や、自動車1の挙動を示すロー、ピッチおよびロールの情報を生成し、その生成情報を検出情報として、車ネットワーク38を通じて他の制御装置へ出力してよい。これにより、車載センサ制御装置36は、たとえば、自動車1の現在位置を含む走行状態の情報を、車ネットワーク38を通じて他の制御装置へ出力することができる。
また、車載センサ制御装置36は、自動車1において車外を撮像するように設けられるカメラ45の画像を解析して、たとえば
図1に示す先行車2,3,7や対向車5などの他の自動車、歩行者4,6、交差点10についての各種の情報を生成し、その検出情報を、車ネットワーク38を通じて他の制御装置へ出力してよい。これにより、車載センサ制御装置36は、たとえば、自動車1が通過する交差点における停止位置の情報、その停止位置までの残距離の情報、信号機の点灯状態についての情報、自動車1の前を走行する先行車の情報、といった情報を取得して出力することができる。ここで、交差点の停止位置は、たとえば停止線の位置としてよい。
【0026】
外通信装置37は、自動車1の外にある基地局100との間で無線通信路を確立し、確立してる無線通信路を用いてサーバ装置101との間で情報を送受する。サーバ装置101には、たとえばADAS(Advanced Driver Assistance System)用のもの、自動車のメーカなどが提供するもの、緊急対応のためのもの、などがある。外通信装置37は、必要に応じて、これらのサーバ装置101との間で情報を送受してよい。
【0027】
走行制御装置32は、自動車1を自動運転制御により走行させるための制御値を生成して、駆動制御装置33、制動制御装置34、操舵制御装置35へ出力する。
また、走行制御装置32は、操作制御装置31から自動車1のドライバの運転操作の情報を取得し、それに対応する制御値を生成して、駆動制御装置33、制動制御装置34、操舵制御装置35へ出力したり、調整した制御値を生成して、駆動制御装置33、制動制御装置34、操舵制御装置35へ出力したり、してよい。
これにより、自動車1は、自動運転により走行することができる。自動運転は、レベル1からレベル5まで類別されている。たとえばレベル1の自動運転は、ドライバの運転操作を支援する自動運転である。レベル5は、完全自動運転と呼ばれるものであり、自動車1のドライバの操作によらずに自動車1を走行させる自動運転である。現段階において多くのメーカは、レベル2からレベル3の市販自動車を開発している。
【0028】
このような自動運転により走行可能な自動車1は、基本的に、先行車追従制御、レーンキープ制御、干渉抑制制御といった複数の走行制御を組み合わせることにより、自動運転を実現している。
レーンキープ制御とは、自動車1が走行している道路の車線からはみ出さないように操舵などを制御することをいう。
先行車追従制御とは、自動車1の前を走行する先行車との間で車速に応じた車間を確保しながら追従して走行させる制御をいう。先行車が近づくと、自動車1は、先行車追従制御により、先行車の速度に合わせて減速する。先行車が停止すると、自動車1は、先行車追従制御により、先行車との間に少なくとも最小限の車間を確保して停止する。なお、自動車1が走行している道路の車線において近くの先行車がない場合、先行車追従制御は、基本的に、道路の制限速度で自動車1を走行させる制御を実行する。このような先行車追従制御には、たとえばACC(Adaptive Cruise Control)として、自動車1に組み込まれることがある。
干渉抑制制御とは、自動車1の進路に走行障害物がある場合、または予想される場合に、その走行障害物との干渉を抑制する制御をいう。走行障害物には、たとえば先行車、対向車、歩行者、サイクリスト、縁石、などがある。干渉抑制制御は、たとえば自動車1に設けられるカメラ45の画像を解析して進路での走行障害物との干渉を予測し、走行障害物との干渉が予測される場合には、その干渉を回避または抑制するための制御を実行する。
【0029】
このような基本的な自動運転制御により、走行制御装置32は、自動車1に設けられるカメラ45の画像に基づいて、自動運転制御により、自動車1を、信号機のある交差点を含む道路において安全を確保しながらスムースに走行させることが求められる。自動車1は、たとえば
図1で説明したような交差点10で生じる各種の走行環境に対応しながら、交差点10での安全性を確保するように、交通ルールにしたがって走行することが望まれる。
そして、走行制御装置32は、基本的には、先行車追従制御において、交差点で生じる各種の走行環境に対応することになる。
【0030】
図3は、
図2の走行制御装置32の基本的な構成図である。
図3の走行制御装置32は、入出力部51、タイマ52、CPU(Central Processing Unit)53、メモリ54、および、これらが接続される内部バス55、を有する。
なお、
図2に示す他の制御装置も、
図3と同様な基本構造を備えてよい。
【0031】
入出力部51は、車ネットワーク38に接続され、走行制御装置32が他の制御装置との間で送受する情報の送受信を実行する。
【0032】
タイマ52は、時刻、時間を計測する。タイマ52の時刻は、GNSS受信機47が生成する現在時刻により校正されてよい。
【0033】
メモリ54は、CPU53が実行するプログラム、各種の情報が記録される。ここでは、自動運転のための先行車追従制御プログラム56、レーンキープ制御プログラム57、干渉回避制御プログラム58、交差点進入前制御プログラム59、交差点再発進制御プログラム60、高精度地図データ61、を例示している。メモリ54は、たとえば不揮発性の半導体メモリ、HDD、RAM、などで構成されてよい。
【0034】
CPU53は、メモリ54に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、走行制御装置32には、その動作および自動車1の自動運転による走行制御を実行するための制御部が実現される。
走行制御装置32のCPU53は、先行車追従制御プログラム56を実行することにより、自動車1が先行車に追従して走行するための制御値を生成して、駆動制御装置33や制動制御装置34などへ出力する。
走行制御装置32のCPU53は、レーンキープ制御プログラム57を実行することにより、自動車1が走行している車線を維持して走行するための制御値を生成して、操舵制御装置35や制動制御装置34などへ出力する。
走行制御装置32のCPU53は、干渉回避制御プログラム58を実行することにより、自動車1の進路にある障害を避けて走行するための制御値を生成して、操舵制御装置35や制動制御装置34などへ出力する。
これにより、自動車1は、その進路にある障害を避けながら、基本的に走行中の車線を維持して先行車に追従して走行することができる。
【0035】
このような基本的な自動運転制御のためのプログラムの他に、走行制御装置32のCPU53は、さらに、交差点進入前制御プログラム59や、交差点再発進制御プログラム60を実行する。本実施形態では、走行制御装置32のCPU53が、交差点再発進制御プログラム60を実行する場合を例に説明する。交差点進入前制御プログラム59については、第二実施形態において説明する。
ただし、後述するように、交差点進入前制御プログラム59や、交差点再発進制御プログラム60は、駆動制御装置33、制動制御装置34、操舵制御装置35などへ出力する制御値を生成するものではなく、基本的な自動運転制御の実行や動作を、制御するためのものである。
これに対して仮にたとえば、交差点進入前制御プログラム59や、交差点再発進制御プログラム60が、基本的な自動運転制御のプログラムと同様に、駆動制御装置33などへ出力する制御値を生成するものである場合、走行制御装置32のCPU53は、これらの動作を走行状況などに応じて切り替えるように管理して制御する必要がある。走行制御全体において、制御が複雑化してしまう。走行制御全体での制御の信頼性を確保することが難しくなる。本実施形態でのプログラムの組み合わせは、このような課題が生じ難い。
【0036】
図4は、
図3の走行制御装置32のCPU53が、基本的な自動運転制御のために実行する先行車追従制御の一例のフローチャートである。
CPU53は、自動車1が自動運転で走行する場合に先行車追従制御プログラム56を繰り返しに実行することにより、
図4の先行車追従制御を繰り返し実行する。
【0037】
ステップST1において、走行制御装置32のCPU53は、車載センサ制御装置36から、自動車1に設けられるカメラ45による自動車1の前側の最新の画像を取得する。また、CPU53は、車載センサ制御装置36からカメラ45による自動車1の前側の画像の解析結果である、他の自動車、歩行者、交差点、信号機の有無および点灯状態、についての各種の情報を取得してよい。なお、CPU53は、これらの情報を取得できない場合、自ら画像を解析して、他の自動車、歩行者、交差点についての各種の情報を取得してよい。
【0038】
ステップST2において、走行制御装置32のCPU53は、ステップST1で取得した情報に基づいて、自動運転で走行する自動車1の進路に、交差点があるか否かを判断する。進路に交差点がある場合、CPU53は、処理をステップST3へ進める。進路に交差点がない場合、CPU53は、処理をステップST4へ進める。
【0039】
ステップST3において、走行制御装置32のCPU53は、自動車1の進路にある交差点についての、自動運転による交差点の通過進路の情報を取得する。CPU53は、たとえば高精度地図データ61に基づいて走行を開始する際に予め設定している経路に基づいて、交差点における自動車1の進路を取得する。自動車1は、交差点を直進通過したり、交差点において左折通過したり、交差点において右折通過したり、することがある。
【0040】
ステップST4において、走行制御装置32のCPU53は、ステップST1で取得した情報に基づいて、自車の進路での先行車があるか否かを判断する。自車の進路での先行車がある場合、その先行車は、カメラ45の画像に撮像され得る。自車の進路での先行車がある場合、CPU53は、処理をステップST5へ進める。自車の進路での先行車がない場合、CPU53は、処理をステップST6へ進める。
【0041】
ステップST5において、走行制御装置32のCPU53は、先行車との車間を取得する。CPU53は、カメラ45の画像において、自動車1との相対的な向きおよび距離に応じた部分に撮像される。CPU53は、たとえば画像での先行車の撮像位置に基づいて、自車である自動車1からみた先行車の相対的な向きおよび距離を演算する。これにより、CPU53は、先行車との車間を取得できる。その後、CPU53は、処理をステップST7へ進める。
【0042】
ステップST6において、走行制御装置32のCPU53は、自動運転で自動車1が走行している道路または車線についての制限速度を取得する。道路に対して制限速度を表示する標識が設けられている場合、その標識は、カメラ45の画像に撮像され得る。CPU53は、たとえばカメラ45の画像を解析して、自動車1の制限速度を取得し得る。
【0043】
ステップST7において、走行制御装置32のCPU53は、自動車1についての車速制御値を生成する。CPU53は、ステップST5における先行車との車間に応じた速度、または、ステップST6において取得した道路または車線についての制限速度に基づいて、車速制御値を生成する。
【0044】
ステップST8において、走行制御装置32のCPU53は、カメラ45の画像に含まれる交差点についての信号機の点灯状態が、ステップST3で取得した進路について、通過を許可するものであるか否かを判断する。
たとえば自動車1が交差点を直進通過する進路である場合、CPU53は、交差点の信号機が直進についての通過可能を示す点灯状態であるか否かを判断する。信号機が青色ランプを点灯している場合、自動車1は、交差点を直進通過可能である。信号機が青以外のランプを点灯している場合、自動車1は、交差点を直進通過不可である。
また、自動車1が交差点を左折通過する進路である場合、CPU53は、交差点の信号機が左折についての通過可能を示す点灯状態であるか否かを判断する。信号機が青色ランプを点灯している場合、自動車1は、交差点を左折通過可能である。信号機が青以外のランプを点灯している場合、自動車1は、交差点を左折通過不可である。
また、自動車1が交差点を右折通過する進路である場合、CPU53は、交差点の信号機が右折についての通過可能を示す点灯状態であるか否かを判断する。信号機が青色ランプを点灯している場合、自動車1は、交差点を右折通過可能である。信号機が青以外のランプを点灯している場合、自動車1は、基本的に、交差点を右折通過不可である。ただし、信号機が赤色ランプを点灯している場合であっても、右折についての赤色矢印ランプについても点灯している場合、自動車1は、交差点を右折通過可能である。
そして、信号機が進路についての通過可能を示す点灯状態である場合、CPU53は、処理をステップST9へ進める。
信号機が進路についての通過可能を示す点灯状態でない場合、CPU53は、処理をステップST10へ進める。
【0045】
ステップST9において、走行制御装置32のCPU53は、自動車1が進路により交差点を通過するように、先行車追従での走行制御を実行する。これにより、CPU53は、自動運転制御として、道路の制限速度以下で、且つ、自動車1の前を走行する先行車との間で車速に応じた車間を維持して追従して走行するように、自動車1の走行を制御することができる。先行車が交差点で減速したり、停止したりする場合、CPU53は、それに応じて減速したり停止したりするように自動車1の走行を制御することができる。また、CPU53は、停止している先行車との間に最小限の車間を確保するように、先行車の直後に自動車1を停止させることができる。
なお、CPU53は、先行車追従制御とともに、走行中の車線を維持するレーンキープ制御や、自動車1の干渉を抑制する干渉抑制制御を実行している。これにより、自動車1は、走行中の車線を維持しながら、先行車に追従して、交差点を通過することができる。また、たとえば、交差点を通過する対向車がいる場合、交差点またはその付近を横断する歩行者がいる場合、CPU53は、それらとの干渉を抑制するように、自動車1を減速させて停止させる。
その後、CPU53は、本制御を終了する。
【0046】
ステップST10において、走行制御装置32のCPU53は、交差点に進入する前に停止するように、自動車1を減速停止させる走行制御を実行する。ここで、CPU53は、停止するまでの減速度を、たとえば停止線までの残距離において車速を0にすることができる程度に制御すればよい。これにより、自動車1は、たとえば
図1の第一停止線12または第二停止線13において停止できる。その後、CPU53は、本制御を終了する。CPU53は、次回以降の
図4の先行車追従制御の際に、ステップST8において交差点についての信号機の点灯状態が通過を許可するものであると判断すると、ステップST9を実行して、自動車1の先行車追従での走行制御を開始できる。信号により交差点において停止していた自動車1は、先行車追従での走行を再開できる。
【0047】
なお、
図4の先行車追従制御は、一例である。先行車追従制御は、少なくとも、自動車1の前を走行する先行車との間で車速に応じた車間を維持して追従して走行するように、自動車1の走行を制御することができるものであればよい。
そして、自動運転制御のための先行車追従制御などは、
図4に例示するように、基本的に各種の処理を実行する必要があり、制御が既に複雑となっている。制御の内容が増えると、制御の遅れが大きくなり、制御のリアルタイム性に影響が生じ得る。
その一方で、自動運転で走行する自動車1は、交差点において、単に、所定の進路で対向車や歩行者などと干渉しないように通過することができればよいというものではない。
たとえば、自動運転で走行する自動車1が、先行車に追従して交差点内へ直進して侵入している間に、交差点の信号機の点灯状態が、直進の通過可能を示すものから、通過不可を示すものへ切り替わることがあり得る。
自動運転で走行する自動車1が、先行車に追従して交差点内へ左折して侵入している間に、交差点の信号機の点灯状態が、左折の通過可能を示すものから、通過不可を示すものへ切り替わることがあり得る。
自動運転で走行する自動車1が、先行車に追従して交差点内へ右折して侵入している間に、交差点の信号機の点灯状態が、右折の通過可能を示すものから、通過不可を示すものへ切り替わることがあり得る。
そして、その交差点の信号機の点灯状態が変化した後は、たとえば
図1に示すように、交差する道路を走行する第四自動車8などの交差点の通過を妨げないようにする必要がある。自動運転で走行する自動車1は、交差点の信号機の点灯状態が変化した後においても、第四自動車8などの交差点の通過を妨げないようにする必要がある。
【0048】
そこで、本実施形態では、走行制御装置32のCPU53は、ステップST8において信号機が進路についての通過可能を示す点灯状態ではないと判断した場合、処理をステップST11へ進める。
ステップST11において、走行制御装置32のCPU53は、他の制御から、先行車追従処理についての強制実行の指示があるか否かを判断する。そして、強制実行の指示がない場合、CPU53は、処理をステップST10へ進め、自動車1を減速停止させる走行制御を実行する。
これに対し、他の制御から、先行車追従処理についての強制実行の指示がある場合、CPU53は、処理をステップST9へ進める。この場合、CPU53は、
図4での自らの処理において、信号機が進路についての通過可能を示す点灯状態でないと判断しているとしても、処理をステップST9へ進める。CPU53は、ステップST9の先行車追従処理を実行する。
【0049】
また、本実施形態では、走行制御装置32のCPU53は、ステップST8において信号機が進路についての通過可能を示す点灯状態であると判断した場合、処理をステップST12へ進める。
ステップST12において、走行制御装置32のCPU53は、他の制御から、先行車追従処理についての強制停止の指示があるか否かを判断する。そして、強制停止の指示が場合、CPU53は、処理をステップST9へ進め、先行車追従処理を実行する。
これに対し、他の制御から、先行車追従処理についての強制停止の指示がある場合、CPU53は、処理をステップST10へ進める。この場合、CPU53は、
図4での自らの処理において、信号機が進路についての通過可能を示す点灯状態であると判断しているとしても、処理をステップST10へ進める。CPU53は、ステップST10の自動車1を減速停止させる走行制御を実行する。
【0050】
図5は、
図3の走行制御装置32のCPU53が、基本的な自動運転制御とともに実行する交差点再発進制御のフローチャートである。
CPU53は、基本的な自動運転制御とともに
図5の交差点再発進制御を繰り返し実行する。
【0051】
ステップST41において、走行制御装置32のCPU53は、車載センサ制御装置36から、自動車1に設けられるカメラ45による自動車1の前側の最新の画像を取得する。また、CPU53は、車載センサ制御装置36からカメラ45による自動車1の前側の画像の解析結果である、他の自動車、歩行者、交差点、信号機の有無および点灯状態、についての各種の情報を取得してよい。なお、CPU53は、これらの情報を取得できない場合、自ら画像を解析して、他の自動車、歩行者、交差点についての各種の情報を取得してよい。
【0052】
ステップST42において、走行制御装置32のCPU53は、自車である自動車1の車速などと、画像とに基づいて、自車が交差点において停止しているか否かを判断する。CPU53は、GNSS受信機47の最新の位置情報と高精度地図データ61とに基づいて、自車が交差点において停止しているか否かを判断してもよい。たとえば、自車が先行車に続いて交差点内において停止している場合、CPU53は、自車が交差点において停止していると判断してよい。また、CPU53は、交差点の停止線において停止している場合についても、自車が交差点において停止していると判断してもよい。これらの場合、CPU53は、処理をステップST43へ進める。自車が交差点において停止していると判断しない場合、CPU53は、本制御を終了する。
【0053】
ステップST43において、走行制御装置32のCPU53は、カメラ45の画像に含まれる交差点についての信号機の点灯状態が、通過可能のものから変化したか否かを判断する。信号機の点灯状態が、通過可能のものから変化した場合、CPU53は、処理をステップST44へ進める。信号機の点灯状態が、通過可能のものから変化していない場合、CPU53は、本制御を終了する。
【0054】
ステップST44において、走行制御装置32のCPU53は、交差点について停止している自車の交差点における現在位置を取得する。CPU53は、たとえばGNSS受信機47の最新の位置情報と高精度地図データ61とに基づいて、交差点について停止している自車の交差点における現在位置を取得する。
ここで、CPU53は、自車の交差点における現在位置として、GNSS受信機47の位置を取得してもよいが、好ましくは、自動車1についてのドライバの着座位置より前側となる任意の位置を取得するとよい。これにより、ドライバが自ら判断するものと同等の判断が可能となる。ドライバの違和感を減らすことができる。
【0055】
ステップST45において、走行制御装置32のCPU53は、自車が停止している交差点についての停止位置を取得する。CPU53は、走行中の車線についての停止線の位置を、交差点についての停止位置として取得してよい。CPU53は、たとえばカメラ45の画像において撮像したたとえば
図1の交差点10の第一停止線12や第二停止線13の位置を、交差点10についての停止位置として取得してよい。CPU53は、高精度地図データ61における停止線の情報を、交差点についての停止位置として取得してよい。また、自動車1が右折専用車線11において交差点10内で停止することができる場合、CPU53は、右折停止線14の位置を、交差点10についての停止位置として取得してもよい。
【0056】
ステップST46において、走行制御装置32のCPU53は、交差点について停止している自動車1の現在位置についての交差点の停止位置からの突出量を演算する。
【0057】
ステップST47において、走行制御装置32のCPU53は、ステップST46で演算した突出量が、閾値以上であるか否かを判断する。ここで、閾値は、たとえば0.5m程度の値としてよい。そして、突出量が閾値以上である場合、CPU53は、処理をステップST48へ進める。突出量が閾値以上でない場合、CPU53は、処理をステップST49へ進める。
【0058】
ステップST48において、走行制御装置32のCPU53は、先行車追従処理の強制実行を指示する。これにより、走行制御装置32のCPU53は、
図4の先行車追従制御のステップST11において、強制実行の指示があると判断し、処理をステップST9へ進めて、先行車追従処理を実行する。交差点について停止していた自動車1は、先行車追従制御により再発進して、交差点を通過し終えることができる。その後、CPU53は、本制御を終了する。
【0059】
ステップST49において、走行制御装置32のCPU53は、先行車追従処理の強制実行を指示しない。これにより、交差点について停止していた自動車1は、その停止を維持する。
【0060】
このように本実施形態において、走行制御装置32のCPU53は、自動車1が信号機のある交差点について停止した後に、交差点の信号機が自動車1の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、自動車1の再発進を判断する。そして、交差点について停止している自動車1についての、再発進と停止との判断は、ドライバの判断に近いものとなることが期待できる。ドライバは、走行制御装置32による再発進と停止との判断について、違和感を覚えにくくなる。
【0061】
以上のように、本実施形態において、自動車1は、先行車追従制御を含む自動運転制御により、信号機のある交差点を含む道路を走行可能である。しかも、自動運転御装置としてのCPU53は、自動車1が信号機のある交差点について停止した後に、交差点の信号機が自動車1の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、交差点について停止している自動車1の現在位置についての交差点の停止位置からの突出量に基づいて、自動車1についての自動運転制御での発進の可否を判断する。そして、突出量が閾値以上である場合には、CPU53は、先行車追従制御を強制的に実行して、交差点について停止している自動車1を、交差点から脱出するように再発進させる。
これにより、自動車1は、交差点の信号機が自動車1の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した後において、交差点について停止し続けないようになり得る。自動車1は、交差点の信号機の点灯状態から変化した後に走行が許可されている第四自動車8や歩行者9についての交差点の通過を妨げ難くなる。
本実施形態では、車両走行制御装置の制御による自動車1の走行を改善することが期待できる。
【0062】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。本実施形態では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を使用して図示および説明を省略し、主に上述した実施形態との相違点について説明する。
【0063】
図6は、本発明の第二実施形態に係る走行制御装置32のCPU53が、基本的な自動運転制御とともに実行する交差点進入前制御のフローチャートである。
CPU53は、基本的な自動運転制御および
図5の交差点再発進制御とともに、
図6の交差点進入前制御を繰り返し実行する。
【0064】
ステップST21において、走行制御装置32のCPU53は、車載センサ制御装置36から、自動車1に設けられるカメラ45による自動車1の前側の最新の画像を取得する。また、CPU53は、車載センサ制御装置36からカメラ45による自動車1の前側の画像の解析結果である、他の自動車、歩行者、交差点、信号機の有無および点灯状態、についての各種の情報を取得してよい。なお、CPU53は、これらの情報を取得できない場合、自ら画像を解析して、他の自動車、歩行者、交差点についての各種の情報を取得してよい。
【0065】
ステップST22において、走行制御装置32のCPU53は、ステップST21で取得した情報に基づいて、自動運転で走行する自動車1の進行方向に、交差点があるか否かを判断する。自動運転で走行する自動車1の進行方向に交差点がない場合、CPU53は、本制御を終了する。進行方向に交差点がある場合、CPU53は、処理をステップST23へ進める。
【0066】
ステップST23において、走行制御装置32のCPU53は、自動車1の進行方向にある交差点での、自動車1の進路の情報を取得する。CPU53は、たとえば走行開始時に予め設定している経路に基づいて、交差点における自動車1の進路を取得する。自動車1は、経路にしたがって、交差点を直進通過したり、交差点において左折通過したり、交差点において右折通過したり、する。
【0067】
ステップST24において、走行制御装置32のCPU53は、交差点での自動車1の進路が、交差点を直進通過するものであるか否かを判断する。交差点を直進通過する進路である場合、CPU53は、交差点を直進通過するための制御を実行するために、処理をステップST25へ進める。交差点を直進通過する進路でない場合、CPU53は、本制御を終了する。
【0068】
ステップST25において、走行制御装置32のCPU53は、交差点の信号機の点灯状態を判断する。そして、侵入前の信号機の点灯状態が直進通過を許可するものである場合、CPU53は、処理をステップST26へ進める。侵入前の信号機の点灯状態が直進通過を許可するものでない場合、CPU53は、処理をステップST29へ進める。
【0069】
ステップST26において、走行制御装置32のCPU53は、先行車の有無および走行状態を判断する。そして、交差点から自車までの間の先行車がない場合、または先行車が交差点内で停止していない場合、CPU53は、処理をステップST27へ進める。先行車が交差点内で停止している場合、CPU53は、処理をステップST29へ進める。ここで、CPU53は、先行車の車速が閾値以下である場合に、先行車が交差点内で停止していると判断してよい。また、先行車は、自車の直前にいる先行車のみを対象にしてよい。
【0070】
ステップST27において、走行制御装置32のCPU53は、さらに先行車の走行状態を判断するために、先行車が交差点の先で停止しているか否かを判断する。先行車が交差点の先で停止していない場合、CPU53は、処理をステップST28へ進める。先行車が交差点の先で停止している場合、CPU53は、処理をステップST29へ進める。
【0071】
ステップST28において、走行制御装置32のCPU53は、自車である自動車1が先行車追従制御により交差点を直進通過可能であるか否かを総合的に判断する。ステップST25からステップST27の各判断は、先行車追従制御により交差点を直進通過可能であるか否かを個別に判断するものである。CPU53は、ステップST28において、ステップST25からステップST27での個別判断以外の要因について、自車である自動車1が先行車追従制御により交差点を直進通過可能であるか否かを総合的に判断してよい。
たとえば、CPU53は、現時点での自車である自動車1の位置から、交差点に進入する前の停止線までの残距離が、たとえば50m以下の所定の距離範囲内であるか否かを判断してよい。
また、CPU53は、現在の車速から通常の減速により停止するまでに必要となるターゲット距離が、交差点の停止線までの残距離以上であるか否かを判断してよい。
また、CPU53は、現在の車速から通常の減速により停止するまでに必要となるターゲット距離が、交差点を通過し終えるまでの距離以下であるか否かを判断してよい。
また、CPU53は、現時点での先行車追従制御によるターゲット車速が、閾値以下であるか否かを判断してもよい。
そして、交差点を直進通過可能である場合、CPU53は、処理をステップST32へ進める。交差点を直進通過可能でない場合、CPU53は、処理をステップST29へ進める。
【0072】
ステップST29において、走行制御装置32のCPU53は、先行車追従制御に対して、強制停止指示を出力する。CPU53は、
図4の先行車追従制御のステップST12において、強制停止指示の有無を判断する。この場合、CPU53は、
図4のステップST12の判断をした後、ステップST10において、交差点に進入する前に停止するように、自動車1を減速停止させる走行制御を実行する。これにより、自動車1は、交差点に進入する前に停止することができる。
なお、CPU53は、本ステップの処理において、現時点での自車である自動車1の位置から、交差点に進入する前の停止線までの残距離の情報などの、
図4の先行車追従制御において減速停止させる走行制御を実行するために必要となる各種の情報を生成してよい。CPU53は、生成した情報を、減速停止指示とともに、先行車追従制御に対して出力してよい。この場合、CPU53は、
図4のステップST10において、残距離において停止するように、自動車1を減速停止させる走行制御を実行することができる。
ここで、現時点での自動車1の位置には、GNSS受信機47の位置であってもよいが、自動車1のドライバより前側となる位置を用いるとよい。これにより、自動車1は、ドライバが停止線において停止させようとする場合に近い状態で、停止線に対して停止することができる。
また、残距離には、オフセット距離の情報を持たせてもよい。これにより、CPU53は、
図4のステップST10において、残距離での停止が急減速となる可能性がある場合において、オフセット距離を加えた距離で減速度を抑えて停止するように、減速停止制御を実行することができる。この場合、自動車1は、交差点に進入して停止する可能性もある。ただし、急減速が抑制されることにより、自動車1のドライバや、後続車のドライバなどに、自動運転での交差点停止制御についての違和感を与え難くできる。
【0073】
ステップST30において、走行制御装置32のCPU53は、車載センサ制御装置36から、自動車1の速度を取得して、自動車1が停止したか否かを判断する。自動車1が停止していない場合、CPU53は、処理をステップST29へ戻し、強制停止指示を出力し続ける。停止するための減速停止制御が継続される。そして、自動車1が停止すると、CPU53は、処理をステップST31へ進める。
【0074】
ステップST31において、走行制御装置32のCPU53は、先行車追従制御を一時停止する。これにより、CPU53は、一時的に、
図4の先行車追従制御を一時的に実行しないようになる。停止した自動車1は、先行車追従制御により走行を再開しないようになる。停止している自動車1は、先行車との間隔が開いているとしても、停止した状態を維持できる。
なお、CPU53は、先行車追従制御以外の基本的な自動運転制御についても、一時停止してもよい。
その後、CPU53は、本制御を終了する。
【0075】
このように、走行制御装置32のCPU53は、先行車追従制御で走行する自動車1が信号機のある交差点に進入する前に、先行車追従制御で走行する自動車1についての交差点の通過の可否を判断する。そして、先行車追従制御での交差点の通過が不可と判断する場合には、CPU53は、先行車追従制御に、自動車1を交差点の停止位置を目標にして停止する走行制御を実行させ、さらに自動車1が停止すると先行車追従制御を一時的に停止する。
先行車は、たとえば交差点の先が渋滞している場合に、交差点内で停車することがある。先行車追従制御により自動運転で走行可能な自動車1は、先行車が交差点に進入して交差点で停止すると、その先行車に続けて交差点に進入して交差点で停止することになる。先行車追従制御で走行可能な自動車1は、交差点内で停止してしまうことになる。そして、その後に信号機の点灯状態が変化してしまうと、交差点内で停止している自動車1は、変化後の信号機の点灯状態において交差点を通過可能な第四自動車8の走行を阻害してしまう可能性がある。特に、信号機が設けられている交差点では、その交差点内で停止し続けることは、法律などにより禁止している国もあり、望ましいことではない。
このため、本実施形態では、CPU53は、自動車1が先行車追従制御で交差点を直進通過する場合において、交差点の信号機が直進についての通過可能を示す点灯状態であるとしても、自動車1の先行車が交差点内または交差点の先において停止しているときには、先行車追従制御での通過が不可であると判断する。そして、CPU53は、先行車追従制御に、交差点の停止位置を目標にして停止する走行制御を実行させることができる。これにより、自動車1は、交差点を直進通過する際に、先行車に続いて交差点へ進入して、交差点内で停止してしまうことが起き難くなる。
【0076】
また、走行制御装置32のCPU53は、ステップST28において、自車である自動車1が先行車追従制御により交差点を直進通過可能であると判断すると、処理をステップST32へ進める。
この場合、CPU53は、少なくとも、ステップST25において信号機の点灯状態が直進通過を許可するものであること、ステップST26およびステップST27において交差点において先行車が停止していないこと、を判断している。
【0077】
ステップST32において、走行制御装置32のCPU53は、ステップST31の処理により先行車追従制御を一時的に停止中であるか否かを判断する。先行車追従制御を一時的に停止中でない場合、CPU53は、本制御を終了する。先行車追従制御を一時的に停止中である場合、CPU53は、処理をステップST33へ進める。
【0078】
ステップST33において、走行制御装置32のCPU53は、一時的に停止していた先行車追従制御を再開する。これにより、CPU53は、
図4の先行車追従制御を再開する。停止していた自動車1は、先行車追従制御による走行を再開することができる。自動車1は、先行車に追従するように走行を開始する。
なお、CPU53は、先行車追従制御以外の基本的な自動運転制御についても一時停止している場合、同様に再開するとよい。
その後、CPU53は、本制御を終了する。
【0079】
このように、走行制御装置32のCPU53は、自動車1が先行車追従制御により交差点を直進通過する場合において、交差点の信号機が直進についての通過可能を示す点灯状態であるとしても、自動車1の先行車が交差点内または交差点の先において停止しているときには、先行車追従制御により、交差点の停止位置を目標にして停止する強制停止制御を実行できる。
また、走行制御装置32のCPU53は、強制停止制御により自動車1が停止すると、先行車追従制御を一時停止し、交差点内または交差点の先において先行車が停止していなくなると、先行車追従制御を再開する、ことができる。
【0080】
以上のように、本実施形態では、走行制御装置32のCPU53は、自動車1が先行車追従制御により交差点を直進通過する場合において、交差点の信号機が直進についての通過可能を示す点灯状態であるとしても、自動車1の先行車が交差点内または交差点の先において停止しているときには、先行車追従制御により、交差点の停止位置を目標にして停止することができる。
これにより、自動車1は、交差点を直進通過する場合において、先行車が交差点内または交差点の先において停止しているときには、交差点内へ進入しないようにできる。
【0081】
また、本実施形態では、走行制御装置32のCPU53は、強制停止制御により自動車1が停止すると、先行車追従制御を一時停止し、交差点内または交差点の先において先行車が停止していなくなると、先行車追従制御を再開する。これにより、自動車1は、交差点内または交差点の先において先行車が停止している期間において、先行車追従制御を実行しないようにできる。
これに対し、交差点の停止位置を目標にして停止した後においても、走行制御装置32のCPU53が先行車追従制御を継続して実行している場合、その後に信号機の点灯状態が直進についての通過可能を示す点灯状態に戻ったことに基づいて、自動車1が発進してしまう可能性がある。この信号が変わった場合においても、交差点内または交差点の先において先行車が停止し続けているとき、自動車1は、交差点内で停止することになる。その後に、信号機の点灯状態が直進についての通過可能を示す点灯状態からさらに変化すると、交差点内で停止している自動車1は、交差点の信号機の点灯状態から変化した後に走行が許可されている第四自動車8や歩行者9についての交差点の通過を妨げてしまうことになる。本実施形態では、このような状況が生じ難くなる。
【0082】
このように本実施形態では、車両走行制御装置の制御による自動車1の走行を改善することが期待できる。
【0083】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。本実施形態では、自動運転制御により走行可能な自動車1の制御系30ではなく、その自動車1と通信して自動車1の走行を遠隔または管制により制御するサーバ装置101において、上述した実施形態の制御を実行する。本実施形態において、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を使用して図示および説明を省略し、主に上述した実施形態との相違点について説明する。
【0084】
図7は、本発明の第三実施形態において、自動運転により走行可能な自動車1と通信するサーバ装置101の基本的な構成図である。
図7のサーバ装置101は、サーバ通信部102、サーバタイマ103、サーバメモリ105、サーバCPU(Central Processing Unit)104、および、これらが接続されるサーババス106、を有する。
【0085】
サーバ通信部102は、たとえばインターネットなどの通信網に接続される。サーバ通信部102は、
図2に示すように、通信網に接続されているたとえば基地局100を通じて、道路を走行する自動車1の外通信装置37との間で、情報を送受する。
【0086】
サーバタイマ103は、時刻または時間を計測する。
【0087】
サーバメモリ105は、サーバCPU104が実行するプログラムおよびデータを記録する。サーバメモリ105は、たとえば不揮発性の半導体メモリ、HDD、RAM、などで構成されてよい。
【0088】
サーバCPU104は、サーバメモリ105に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、サーバ装置101にサーバ制御部が実現される。サーバCPU104は、サーバ装置101の動作を管理する。サーバCPU104は、自動車1の走行を遠隔的に制御または支援する、自動車1の自動運転制御装置として機能し得る。この場合、サーバCPU104は、サーバ通信部102を用いて、自動車1から各種の情報を取得し、自動車1の制御系30のCPU53が自車の走行制御に使用することができる情報を自動車1へ送信する。
【0089】
そして、車両走行制御装置として機能するサーバCPU104は、自動車1の走行を遠隔に制御または管理するために、自動車1から取得した情報を用いて
図5の交差点再発進制御、
図6の交差点進入前制御、またはこれらの双方の制御を実行してよい。
この場合、自動車1の制御系30の走行制御装置32は、
図4の先行車追従制御などの基本的な自動運転制御とともに、サーバCPU104が実行しない制御を実行すればよい。そして、自動車1の制御系30の走行制御装置32は、サーバ装置101から強制停止指示や強制実行指示がある場合、それらの指示に基づいて上述した実施形態と同様の処理を実行すればよい。
【0090】
なお、サーバ装置101のサーバCPU104と、自動車1の制御系30のCPU53とは、上述したものとは異なる分担により各々の制御を実行してもよい。いずれにしても、サーバ装置101のサーバCPU104と、自動車1の制御系30のCPU53とは、それらが協働して、上述した実施形態の各種の制御を実行すればよい。
【0091】
以上のように、本実施形態のサーバ装置101は、サーバ通信部102により、先行車追従制御を含む自動運転制御により、信号機のある交差点を含む道路を走行可能な自動車1と通信する。そして、サーバ装置101のサーバCPU104は、サーバ制御部として、自動車1に設けられて自動車1の進路を撮像するカメラ45の画像に基づいて、自動車1の走行制御を実行することができる。
たとえば、サーバCPU104は、自動車1が信号機のある交差点について停止した後に、交差点の信号機が自動車1の進路についての通過可能を示す点灯状態から変化した場合に、交差点について停止している自動車1の現在位置についての交差点の停止位置からの突出量に基づいて、自動車1についての自動運転制御での発進の可否を判断できる。また、サーバCPU104は、突出量が閾値以上である場合には、先行車追従制御を強制的に実行して、交差点について停止している自動車1を、交差点から脱出するように再発進させる、ことができる。
【0092】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…自動車(車両)、2…第一先行車、3…第二先行車、4,6,9…歩行者、5…対向車、7…第三先行車、8…第四自動車、9…車線、10…交差点、11…右折専用車線、12…第一停止線(停止位置の一例)、13…第二停止線(停止位置の一例)、14…右折停止線(停止位置の一例)、21…自動車用の信号機、22,23…歩行者用の信号機、30…制御系(車両走行制御装置)、31…操作制御装置、32…走行制御装置、33…駆動制御装置、34…制動制御装置、35…操舵制御装置、36…車載センサ制御装置、37…外通信装置、38…車ネットワーク、41…ステアリングホイール、42…アクセルペダル、43…ブレーキペダル、44…シフトレバー、45…カメラ、46…加速度センサ、47…GNSS受信機、51…入出力部、52…タイマ、53…CPU(自動運転御装置)、54…メモリ、55…内部バス、56…先行車追従制御プログラム、57…レーンキープ制御プログラム、58…干渉回避制御プログラム、59…交差点進入前制御プログラム、60…交差点再発進制御プログラム、61…高精度地図データ、100…基地局、101…サーバ装置(車両走行制御装置)、102…サーバ通信部、103…サーバタイマ、104…サーバCPU(自動運転御装置)、105…サーバメモリ、106…サーババス