(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131471
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ステータ、モータ、および送風機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/38 20060101AFI20240920BHJP
H02K 3/46 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02K3/38 A
H02K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041743
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】ニデックアドバンスドモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝則
(72)【発明者】
【氏名】香川 義久
(72)【発明者】
【氏名】井内 一博
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB15
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604PB03
5H604PC01
5H604QB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】渡り線部の絶縁性を安定して確保できるステータを提供する。
【解決手段】ステータ30は、ステータコア31とインシュレータ40とコイル部35とを備える。インシュレータは、ステータコアの軸方向一方側の部分に装着される第1インシュレータ部41と、ステータコアの軸方向他方側の部分に装着される第2インシュレータ部45と、対向部49と、を有する。コイル部は、複数のティース部33に装着される複数のコイル本体部36と、周方向に隣り合う一方のコイル本体部の軸方向一方側の部分と他方のコイル本体部の軸方向他方側の部分とを通り、対向部の一部と径方向に対向する渡り線部37と、を有する。対向部は、第1対向部44と、第1対向部の軸方向他方側に配置される第2対向部48と、を有する。渡り線部は、第1対向部または第2対向部のいずれか一方のみと径方向に対向する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターロータのモータが備えるステータであって、
回転軸線を中心とする環状のステータコアと、
前記ステータコアに装着されるインシュレータと、
コイル部と、
を備え、
前記ステータコアは、環状のコアバック部と、前記コアバック部の外周面から径方向外側に延び、前記コアバック部の外周面に沿って配置される複数のティース部と、を有し、
前記インシュレータは、
前記ステータコアの軸方向一方側の部分に装着される第1インシュレータ部と、
前記ステータコアの軸方向他方側の部分に装着される第2インシュレータ部と、
対向部と、
を有し、
前記コイル部は、前記インシュレータを介して、複数の前記ティース部のそれぞれに装着される複数のコイル本体部と、周方向に隣り合う一方の前記コイル本体部の軸方向一方側の部分と他方の前記コイル本体部の軸方向他方側の部分とを通り、前記対向部の一部と径方向に対向する渡り線部と、を有し、
前記対向部は、前記第1インシュレータ部が有する第1対向部と、前記第2インシュレータ部が有し前記第1対向部の軸方向他方側に配置される第2対向部と、を有し、
前記渡り線部は、前記第1対向部または前記第2対向部のいずれか一方のみと径方向に対向する、ステータ。
【請求項2】
前記第1対向部の軸方向の長さと前記第2対向部の軸方向の長さは互いに異なる、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記対向部は、周方向に互いに対向する前記ティース部同士の間に配置され、
前記渡り線部は、前記対向部と径方向に接触する、請求項1に記載のステータ。
【請求項4】
前記第1インシュレータ部は、前記ティース部の軸方向一方側の部分に装着される第1本体部を有し、
前記第2インシュレータ部は、前記ティース部の軸方向他方側の部分に装着される第2本体部を有し、
前記第1本体部の軸方向の長さと前記第2本体部の軸方向の長さとの差分は、前記第1対向部の軸方向の長さと前記第2対向部の軸方向の長さとの差分よりも小さい、請求項1に記載のステータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のステータと、
前記回転軸線を中心に回転可能であり、前記ステータの径方向外側に配置されるロータと、
を備えるモータ。
【請求項6】
前記ステータに電流を供給する回路基板と、
前記回路基板および前記コイル部と接続される接続ピンと、
を備え、
前記対向部は、軸方向に貫通する貫通孔が設けられる筒状対向部を含み、
前記貫通孔には、前記接続ピンが通される、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
請求項5に記載のモータと、
前記ロータと接続され、前記回転軸線を中心として回転可能なインペラ部と、
を備える送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、モータ、および送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
軸方向に分割した2つのインシュレータのそれぞれをステータコアの軸方向一方側および軸方向他方側に装着して、ステータコアとコイルとを絶縁する構成のモータが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータにおいては、2つのインシュレータを介してステータコアに装着される複数のコイル本体部同士を繋ぐ渡り線部が2つのインシュレータ同士の境界部と干渉すると、渡り線部が各インシュレータの軸方向端部の角部と擦れることによって、渡り線部の絶縁被覆が摩耗し、渡り線部の絶縁性が損なわれる虞があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、渡り線部の絶縁性を安定して確保できるステータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のステータの一つの態様は、アウターロータのモータが備えるステータであって、回転軸線を中心とする環状のステータコアと、前記ステータコアに装着されるインシュレータと、コイル部と、を備える。前記ステータコアは、環状のコアバック部と、前記コアバック部の外周面から径方向外側に延び、前記コアバック部の外周面に沿って配置される複数のティース部と、を有する。前記インシュレータは、前記ステータコアの軸方向一方側の部分に装着される第1インシュレータ部と、前記ステータコアの軸方向他方側の部分に装着される第2インシュレータ部と、対向部と、を有する。前記コイル部は、前記インシュレータを介して、複数の前記ティース部のそれぞれに装着される複数のコイル本体部と、周方向に隣り合う一方の前記コイル本体部の軸方向一方側の部分と他方の前記コイル本体部の軸方向他方側の部分とを通り、前記対向部の一部と径方向に対向する渡り線部と、を有する。前記対向部は、前記第1インシュレータ部が有する第1対向部と、前記第2インシュレータ部が有し前記第1対向部の軸方向他方側に配置される第2対向部と、を有する。前記渡り線部は、前記第1対向部または前記第2対向部のいずれか一方のみと径方向に対向する。
【0007】
本発明のモータの一つの態様は、上記のステータと、前記回転軸線を中心に回転可能であり、前記ステータの径方向外側に配置されるロータと、を備える。
【0008】
本発明の送風機の一つの態様は、上記のモータと、前記ロータと接続され、前記回転軸線を中心として回転可能なインペラ部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、ステータ、モータ、および送風機において、渡り線の絶縁性を安定して確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態の送風機を示す上面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の送風機を示す断面図であって、
図1のII-II断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のコイル部の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のステータを示す断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のステータを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のインシュレータを示す第1の斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態のステータを示す第1の側面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態のステータを示す第2の側面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態のインシュレータを示す第2の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る送風機について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0012】
以下の説明において図には、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、モータの回転軸線Jが延びる方向を示す。各図に示す回転軸線Jは、仮想軸線である。以下の説明において、回転軸線Jが延びる方向、つまりZ軸方向と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。回転軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。回転軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「軸方向一方側」または「上側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「軸方向他方側」または「下側」と呼ぶ。なお、上側および下側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0013】
周方向は、各図において矢印θで示される。周方向のうち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と反対側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、上側から見て回転軸線J回りに反時計回りに進む側である。周方向他方側は、上側から見て回転軸線J回りに時計回りに進む側である。
【0014】
X軸方向は、Z軸方向と直交する方向である。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方と直交する方向である。
【0015】
図1に示す本実施形態の送風機10は、例えば、電子機器を空冷するための電動式冷却ファンとして用いられる。本実施形態の送風機10は、軸方向に送風する軸流ファンである。
図2に示すように、送風機10は、モータ15と、ハウジング50と、インペラ部60と、を備える。
【0016】
インペラ部60は、回転軸線Jを中心として回転可能である。インペラ部60は、インペラカップ61と、複数の翼部62と、を有する。インペラカップ61は、回転軸線Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。インペラカップ61は、下側に開口する。インペラカップ61の内部には、モータ15が収容される。
【0017】
複数の翼部62のそれぞれは、インペラカップ61の外周面のうち上側の部分から径方向外側に突出する。
図1に示すように、本実施形態において、インペラ部60は、5個の翼部62を有する。各翼部62は、インペラカップ61の外周面に沿って周方向に並んで配置される。インペラ部60が回転軸線Jを中心として回転すると、各翼部62は軸方向に向けて送風する。
【0018】
図2に示すように、ハウジング50は、モータ15およびインペラ部60を内部に収容する。ハウジング50は、モータ15およびインペラ部60を保持する。ハウジング50は、周壁部51を有する。
【0019】
図1および
図2に示すように、周壁部51は、軸方向に延びる角筒状である。
図2に示すように、周壁部51は、インペラ部60およびモータ15を径方向外側から囲む。インペラ部60が回転軸線Jを中心として回転すると、周壁部51の内部を軸方向に向けて空気が流れる。
【0020】
モータ15は、インペラ部60を回転軸線J回りに回転させる。本実施形態において、モータ15は、単相モータである。モータ15は、ハウジング50の内部に収容される。モータ15は、ロータ20と、ステータ30と、回路基板70と、2本の接続ピン80a,80bと、を備える。モータ15は、ステータ30の径方向外側にロータ20が配置されるアウターロータのモータである。
【0021】
ステータ30は、回転軸線Jを周方向外側から囲む環状である。ステータ30は、ロータ20の内部に配置される。ステータ30は、磁石22と径方向に隙間を介して対向する。ステータ30は、ステータコア31と、コイル部35と、インシュレータ40と、を備える。コイル部35に電流が供給されると、ステータ30は電磁石を構成する。ステータ30が構成する電磁石の磁極と磁石22との磁気力によって、ロータ20に回転トルクが発生する。
【0022】
ステータコア31は、回転軸線Jを中心とする環状である。ステータコア31は、モータ保持部55を径方向外側から囲む。ステータコア31の内周面は、モータ保持部55の外周面に固定される。これにより、ステータコア31は、ハウジング50に固定される。
図4に示すように、ステータコア31は、コアバック部32と、複数のティース部33と、を有する。
【0023】
コアバック部32は、回転軸線Jを中心とする環状である。
図2に示すように、コアバック部32の内周面は、モータ保持部55の外周面に固定される。
図4に示すように、複数のティース部33のそれぞれは、コアバック部32の外周面から径方向外側に延びる。複数のティース部33は、コアバック部32の外周面に沿って略等間隔をあけて配置される。本実施形態において、ティース部33は、4個設けられる。各ティース部33は、ティース本体部33aと、アンブレラ部33bと、を有する。
【0024】
ティース本体部33aは、コアバック部32の外周面から径方向外側に延びる。軸方向に見て、ティース本体部33aは、略長方形状である。複数のティース本体部33aは、周方向に沿って略等間隔をあけて配置される。
【0025】
アンブレラ部33bは、ティース本体部33a径方向外側の端部と繋がっている。アンブレラ部33bは、ティース本体部33aよりも周方向の両側に突出する。軸方向に見て、アンブレラ部33bの径方向外側を向く面は、回転軸線Jを中心とする円弧状である。
図2に示すように、アンブレラ部33bは、磁石22と径方向に隙間を介して対向する。
【0026】
インシュレータ40は、ステータコア31とコイル部35とを絶縁する。
図5に示すように、インシュレータ40は、ステータコア31に装着される。インシュレータ40は、第1インシュレータ部41と、第2インシュレータ部45と、対向部49と、を有する。
【0027】
第1インシュレータ部41は、ステータコア31の上側、すなわち軸方向一方側の部分に装着される。第1インシュレータ部41は、ステータコア31の上側の部分と、コイル部35とを絶縁する。第1インシュレータ部41は、第1本体部42と、第1筒状部42gと、第1対向部44と、を有する。
【0028】
第1本体部42は、ステータコア31のコアバック部32およびティース部33の上側、すなわち軸方向一方側の部分に装着される。第1本体部42は、コアバック部32の上側の部分およびティース部33の上側の部分とコイル部35とを絶縁する。
図6に示すように、第1本体部42は、第1内壁部42aと、第1蓋部42fと、を有する。
【0029】
図5に示すように、第1蓋部42fは、コアバック部32および4個のティース部33の上側に配置される板状である。第1蓋部42fの板面は、軸方向を向く。本実施形態において、第1蓋部42fは、コアバック部32および4個のティース部33のそれぞれと軸方向に接触する。第1蓋部42fは、コアバック部32および4個のティース部33のそれぞれと軸方向に隙間をあけて配置されてもよい。
【0030】
図6に示すように、第1内壁部42aは、第1蓋部42fの縁部から下側に突出する板状である。軸方向において、第1内壁部42aの上端の位置は、ステータコア31の上端と同じ位置である。軸方向において、第1内壁部42aの下端の位置は、ステータコア31の軸方向中央の位置と略同じ位置である。
図4に示すように、第1本体部42は、8個の第1内壁部42aを有する。各第1内壁部42aは、周方向に沿って間隔をあけて配置される。一対の第1内壁部42aは、周方向に隣り合って配置されるティース本体部33a同士の間に配置される。各第1内壁部42aは、コアバック部32の外周面、ティース本体部33aの外側面、およびアンブレラ部33bの径方向内側を向く面を覆う。
【0031】
図6に示すように、第1筒状部42gは、第1蓋部42fの径方向内縁から上側に突出する。第1筒状部42gは、回転軸線Jを中心とする円筒状である。第1筒状部42gは、上側および下側に開口する。
【0032】
図4に示すように、第1対向部44は、第1インシュレータ部41のうち、周方向に隣り合って配置されるティース本体部33aの間に配置される1対の第1内壁部42a同士を周方向に繋ぐ部分である。第1対向部44は、一対の第1内壁部42aと繋がる部分から径方向外側に突出する。第1対向部44は、第1筒状対向部44aと、第1凸状対向部44dと、を有する。
【0033】
本実施形態において、第1対向部44は、2個の第1筒状対向部44aを有する。2個の第1筒状対向部44aは、回転軸線Jを挟んで配置される。
図7に示すように、第1筒状対向部44aは、軸方向に延びる柱状である。軸方向において、第1筒状対向部44aの上端は、第1蓋部42fよりも上側に位置し、第1筒状部42gの上端よりも下側に位置する。本実施形態では、軸方向において、第1筒状対向部44aの下端は、ステータコア31の軸方向中央よりも下側に位置する。
図6に示すように、第1筒状対向部44aには、軸方向に貫通する貫通孔44bが設けられる。
【0034】
図4に示すように、本実施形態において、第1対向部44は、2個の第1凸状対向部44dを有する。第1凸状対向部44dは、1対の第1内壁部42aから径方向外側に突出する。
図8に示すように、軸方向において、第1凸状対向部44dの上端は、第1蓋部42fと同じ位置である。軸方向において、第1凸状対向部44dの下端は、ステータコア31の軸方向中央よりも上側に位置する。
図4に示すように、2個の第1凸状対向部44dは、回転軸線Jを挟んで配置される。各第1凸状対向部44dは、第1筒状対向部44aから略90°周方向に離れた位置に配置される。軸方向に見て、第1凸状対向部44dは、1対の第1内壁部42aから径方向外側に突出する略半円弧状である。第1凸状対向部44dの内部には、コアバック部32の外周面から径方向外側に突出するステータ凸部32aが配置される。軸方向に見て、ステータ凸部32aは、略半円状である。本実施形態において、ステータ凸部32aの外周面は、第1凸状対向部の内周面と接触する。これにより、ステータコア31に対するインシュレータ40の周方向の位置が決まる。
【0035】
図5に示すように、第2インシュレータ部45は、ステータコア31の下側、すなわち軸方向他方側の部分に装着される。第2インシュレータ部45は、ステータコア31の下側の部分と、コイル部35とを絶縁する。
図9に示すように、第2インシュレータ部45は、第2本体部46と、第2筒状部46gと、第2対向部48と、を有する。
【0036】
第2本体部46は、ステータコア31のコアバック部32およびティース部33の下側、すなわち軸方向他方側の部分に装着される。第2本体部46は、ステータコア31のコアバック部32およびティース部33の下側の部分とコイル部35とを絶縁する。第2本体部46は、第2内壁部46aと、第2蓋部46fと、を有する。
【0037】
第2蓋部46fは、コアバック部32および4個のティース部33の下側に配置される板状である。第2蓋部46fの板面は、軸方向を向く。本実施形態において、第2蓋部46fは、コアバック部32および複数のティース部33と軸方向に接触する。第2蓋部46fは、コアバック部32および複数のティース部33のそれぞれと軸方向に隙間をあけて配置されてもよい。
【0038】
第2内壁部46aは、第2蓋部46fの縁部から上側に突出する板状である。軸方向において、第2内壁部46aの下端の位置は、ステータコア31の下端と同じ位置である。軸方向において、第2内壁部46aの上端の位置は、ステータコア31の軸方向中央の位置と略同じ位置である。第2本体部46は、8個の第2内壁部46aを有する。各第2内壁部46aは、周方向に沿って間隔をあけて配置される。一対の第2内壁部46aは、周方向に隣り合うティース本体部33a同士の間に配置される。各第2内壁部46aは、コアバック部32の外周面、ティース本体部33aの外側面、およびアンブレラ部33bの径方向内側を向く面を覆う。各第2内壁部46aは、第1内壁部42aの下側に配置される。軸方向に見て、各第2内壁部46aは、第1内壁部42aと重なる。
【0039】
第2筒状部46gは、第2蓋部46fの径方向内縁から上側に突出する。第2筒状部46gは、回転軸線Jを中心とする円筒状である。第2筒状部46gは、上側および下側に開口する。
【0040】
第2対向部48は、第2インシュレータ部45のうち、周方向に隣り合って配置されるティース本体部33aの間に配置される一対の第2内壁部46a同士を周方向に繋ぐ部分である。第2対向部48は、一対の第2内壁部46aと繋がる部分から径方向外側に突出する。第2対向部48は、第2筒状対向部48aと、第2凸状対向部48dと、を有する。
【0041】
本実施形態において、第2対向部48は、2個の第2筒状対向部48aを有する。2個の第2筒状対向部48aは、回転軸線Jを挟んで配置される。
図7に示すように、第2筒状対向部48aは、軸方向に延びる柱状である。軸方向において、第2筒状対向部48aの下端は、第2筒状部46gの下端と同じ位置である。本実施形態では、軸方向において、第2筒状対向部48aの上端は、ステータコア31の軸方向中央よりも下側に位置する。第2筒状対向部48aの軸方向の長さは、第1筒状対向部44aの軸方向の長さよりも短い。第2筒状対向部48aは、第1筒状対向部44aの下側、すなわち軸方向他方側に配置される。軸方向に見て、第2筒状対向部48aは、第1筒状対向部44aと重なる。各第2筒状対向部48aの上端は、第1筒状対向部44aの下端と軸方向に対向する。
図9に示すように、第2筒状対向部48aには、軸方向に貫通する貫通孔44bが設けられる。貫通孔48bは、第1筒状対向部44aの貫通孔44bと軸方向に重なる。
【0042】
本実施形態において、第2対向部48は、2個の第2凸状対向部48dを有する。各第2凸状対向部48dは、一対の第2内壁部46aから径方向外側に突出する。2個の第2凸状対向部48dは、回転軸線Jを挟んで配置される。各第2凸状対向部48dは、第2筒状対向部48aから略90°周方向に離れた位置に配置される。図示は省略するが、軸方向に見て、第2凸状対向部48dは、一対の第2内壁部46aから径方向外側に突出する略半円弧状である。図示は省略するが、第2凸状対向部48dの内部には、ステータ凸部32aが配置される。
図8に示すように、軸方向において、第2凸状対向部48dの下端の位置は、第2蓋部46fの下端と同じ位置である。軸方向において、第2凸状対向部48dの上端は、ステータコア31の軸方向中央よりも上側に位置する。第2凸状対向部48dは、第1凸状対向部44dの下側に配置される。軸方向に見て、第2凸状対向部48dは、第1凸状対向部44dと重なる。第2凸状対向部48dの上端は、第1凸状対向部44dの下端と軸方向に対向する。上述のように、各第2筒状対向部48aのそれぞれは、第1筒状対向部44aの下側に配置される。よって、第2対向部48は、第1対向部44の下側、すなわち軸方向他方側に配置される。
【0043】
第2凸状対向部48dの軸方向の長さは、第1凸状対向部44dの軸方向の長さよりも長い。上述のように、第2筒状対向部48aの軸方向の長さは、第1筒状対向部44aの軸方向の長さよりも短い。よって、第1対向部44の軸方向の長さと第2対向部48の軸方向の長さは互いに異なる。また、上述のように、第2本体部46の軸方向の長さは、第1本体部42の軸方向の長さと同じである。よって、第1本体部42の軸方向の長さと第2本体部46の軸方向の長さとの差分は、第1対向部44の軸方向の長さと第2対向部48の軸方向の長さとの差分よりも小さい。
【0044】
一般的に、モータ15の出力を高めるためには、ティース部33に装着されるコイル本体部36の巻き数を多く、さらにコイル線を太くする必要がある。このとき、コイル本体部36の体積が大きくなるため、コイル本体部36を配置する空間を確保するために、第1本体部42および第2本体部46の板厚を薄くする場合がある。この場合、第1本体部42および第2本体部46の軸方向の長さが長くなるほど、第1本体部42および第2本体部46を所望の形状に成形しづらくなるため、インシュレータ40の歩留まりを高めることが困難になる。これに対して、本実施形態によれば、上述のように、第1本体部42の軸方向の長さと第2本体部46の軸方向の長さとの差分は、第1対向部44の軸方向の長さと第2対向部48の軸方向の長さとの差分よりも小さいため、第1本体部42の軸方向の長さおよび第2本体部46の軸方向の長さが長くなりすぎることを抑制し易い。したがって、第1本体部42および第2本体部46を所望の形状に成形し易いため、インシュレータ40の歩留まりを向上させ易い。よって、モータ15および送風機10の製造工数および製造コストが増大することを抑制し易い。
【0045】
また、本実施形態では、上述のように、第1本体部42および第2本体部46それぞれの軸方向の長さが長くなりすぎることを抑制できるため、第1本体部42および第2本体部46のそれぞれをステータコア31に容易に装着できる。したがって、インシュレータ40をステータコア31に装着する作業工数が増大することを抑制できるため、モータ15および送風機10の製造工数が増大することを抑制できる。
【0046】
図6および
図9に示すように、対向部49は、周方向に互いに対向するティース部33同士の間に配置される。対向部49は、第1対向部44および第2対向部48によって構成される。対向部49は、筒状対向部49aと、凸状対向部49bと、を含む。
【0047】
筒状対向部49aは、第1筒状対向部44aと、第1筒状対向部44aの下側に配置される第2筒状対向部48aによって構成される。本実施形態において、対向部49は、2個の筒状対向部49aを有する。2個の筒状対向部49aは、回転軸線Jを挟んで配置される。
図7に示すように、筒状対向部49aは軸方向に延びる柱状である。軸方向において、第1筒状対向部44aと第2筒状対向部48aとが互いに軸方向に対向する部分である筒状境界部40bの位置は、ステータコア31の軸方向中心よりも下側に位置する。筒状境界部40bは、本体境界部40aよりも、下側に位置する。
図6および
図9に示すように、各筒状対向部49aには、軸方向に貫通する貫通孔44b,48bが設けられる。上述のように、貫通孔44bおよび貫通孔48bは、軸方向に重なる。
【0048】
凸状対向部49bは、第1凸状対向部44dと、第1凸状対向部44dの下側に配置される第2凸状対向部48dによって構成される。本実施形態において、対向部49は、2個の凸状対向部49bを有する。2個の凸状対向部49bは、回転軸線Jを挟んで配置される。
図8に示すように、凸状対向部49bは軸方向に延びる。軸方向において、第1凸状対向部44dと第2凸状対向部48dとが互いに軸方向に対向する部分である凸状境界部40cは、ステータコア31の軸方向中心よりも上側に位置する。凸状境界部40cは、本体境界部40aよりも、上側に位置する。なお、以下の説明において、筒状境界部40bおよび凸状境界部40cを対向境界部40dと呼ぶ場合がある。対向境界部40dは、筒状境界部40bおよび凸状境界部40cを含む概念である。対向境界部40dは、インシュレータ40のうち、第1対向部44と第2対向部48とが軸方向に対向する部分である。
【0049】
図5に示すように、2本の接続ピン80a,80bのそれぞれは、軸方向に延びる柱状である。接続ピン80a,80bは、導電性を有する。接続ピン80aと接続ピン80bは、回転軸線Jを挟んで配置される。接続ピン80aは、一方の筒状対向部49aの貫通孔44b,48bを軸方向に通される。接続ピン80bは、他方の筒状対向部49aの貫通孔44b,48bを軸方向に通される。各接続ピン80a,80bそれぞれの上端は、筒状対向部49aよりも上側に位置する。各接続ピン80a,80bそれぞれの上端は、筒状対向部49aよりも下側に位置し、
図2に示す回路基板70に接続される。
【0050】
コイル部35は、回路基板70と電気的に接続され、回路基板70から電流が供給される。コイル部35は、導電性を有する例えば銅製の導電線の周りを、例えばエナメル製の絶縁被膜で被覆したコイル線によって構成される。
図5に示すように、コイル部35は、複数のコイル本体部36と、渡り線部37と、コイル引出線38a,38bと、を有する。
【0051】
複数のコイル本体部36のそれぞれは、インシュレータ40を介して、ステータコア31のティース本体部33aに装着される。本実施形態において、ステータ30は、4個のコイル本体部36を有する。各コイル本体部36は、周方向に沿って間隔をあけて配置される。各コイル本体部36は、インシュレータ40を介して、互いに異なるティース本体部33aに装着される。複数のコイル本体部36は、第1コイル本体部36a、第2コイル本体部36b、第3コイル本体部36c、および第4コイル本体部36dを含む。
【0052】
ティース本体部33aに装着される各コイル本体部36の巻付方向、渡り線部37の配線、およびコイル引出線38a,38bの配線を
図3に示す。
図3に示す第1巻付方向D1および第2巻付方向D2は、ティース本体部33aに対する各コイル本体部36の巻付方向を示す。第1巻付方向D1は、径方向外側から見て、コイル本体部36がティース本体部33aに時計回りに巻き付けられていることを示す。第2巻付方向D2は、径方向外側から見て、コイル本体部36がティース本体部33aに反時計回りに巻き付けられていることを示す。
【0053】
図5に示すように、第1コイル本体部36aは、接続ピン80aの周方向他方側(-θ側)、且つ、接続ピン80aと周方向に隣り合って配置されるティース本体部33aに装着される。
図3に示すように、第1コイル本体部36aは、第1巻付方向D1に巻付けられる。
【0054】
図5に示すように、第2コイル本体部36bは、第1コイル本体部36aが装着されるティース本体部33aと回転軸線Jを挟んで配置されるティース本体部33aに装着される。第2コイル本体部36bは、第1コイル本体部36aと回転軸線Jを挟んで配置される。
図3に示すように、第2コイル本体部36bは、第1巻付方向D1に巻付けられる。
【0055】
図5に示すように、第3コイル本体部36cは、第1コイル本体部36aの周方向他方側(-θ側)、且つ、第2コイル本体部36bの周方向一方側(+θ側)に配置されるティース本体部33aに装着される。
図3に示すように、第3コイル本体部36cは、第2巻付方向D2に巻付けられる。
【0056】
図5に示すように、第4コイル本体部36dは、第1コイル本体部36aの周方向一方側(+θ側)、且つ、第2コイル本体部36bの周方向他方側(-θ側)に配置されるティース本体部33aに装着される。第4コイル本体部36dは、第3コイル本体部36cと回転軸線Jを挟んで配置される。
図3に示すように、第4コイル本体部36dは、第2巻付方向D2に巻付けられる。よって、周方向に互いに隣り合って配置されるコイル本体部36同士の巻付方向は逆方向である。そのため、回路基板70から各コイル本体部36に電流が供給されると、周方向に隣り合って配置されるコイル本体部36は、互いに異極の電磁石を構成できる。これにより、ロータ20を回転軸線J回りに回転させることができる。
【0057】
コイル引出線38a,38bのそれぞれは、コイル本体部36から引き出され、接続ピン80a,80bと接続される。より詳細には、コイル引出線38aは、第1コイル本体部36aから引き出され、
図5に示すように、接続ピン80aの上側の部分に接続される。
図3に示すように、コイル引出線38bは、第4コイル本体部36dから引き出され、
図5に示すように、接続ピン80bの上側の部分に接続される。これにより、接続ピン80a,80bを介して、コイル部35と回路基板70とが電気的に接続される。
【0058】
図3に示すように、渡り線部37は、コイル本体部36同士を接続する。渡り線部37は、第1渡り線37aと、第2渡り線37bと、第3渡り線37cと、第4渡り線37dと、第5渡り線37eと、を有する。第1渡り線37aと第2渡り線37bとは直接的に直列に接続される。第1渡り線37aは、第1コイル本体部36aと接続される。第2渡り線37bは、第2コイル本体部36bと接続される。これにより、第1コイル本体部36aと第2コイル本体部36bとが電気的に接続される。第3渡り線37cは、第2コイル本体部36bおよび第3コイル本体部36cと接続される。これにより、第2コイル本体部36bと第3コイル本体部36cとが電気的に接続される。第4渡り線37dと第5渡り線37eとは直接的に直列に接続される。第4渡り線37dは、第3コイル本体部36cと接続される。第5渡り線37eは、第4コイル本体部36dと接続される。これにより、第3コイル本体部36cと第4コイル本体部36dとが電気的に接続される。これらにより、渡り線部37を介して、各コイル本体部36が電気的に接続される。
【0059】
図7に示すように、第1渡り線37aは、第1コイル本体部36aの上側の部分から周方向一方側(+θ側)と下側との間を向く方向に延び、筒状対向部49aの径方向外側を通過した後、第4コイル本体部36dの下側を通る。第1渡り線37aは、筒状対向部49aの軸方向中央近傍の部分と径方向に対向する。つまり、第1渡り線37aは、筒状対向部49aの一部と径方向に対向する。第1渡り線37aは、第1筒状対向部44aと径方向に対向し、第2筒状対向部48aとは径方向に対向しない。つまり、第1渡り線37aは、第1対向部44のみと径方向に対向する。第1渡り線37aは、筒状境界部40bと径方向に対向しない。また、
図4に示すように、第1渡り線37aは、筒状対向部49aと径方向に接触する。これにより、第1渡り線37aには径方向外側を向く張力が加わる。
【0060】
図8に示すように、第2渡り線37bは、第4コイル本体部36dの下側から周方向一方側(+θ側)と上側との間を向く方向に延び、凸状対向部49bの径方向外側を通過した後、第2コイル本体部36bの上側の部分と接続される。第2渡り線37bは、凸状対向部49bの軸方向中央近傍の部分と径方向に対向する。つまり、第2渡り線37bは、凸状対向部49bの一部と径方向に対向する。第2渡り線37bは、第2凸状対向部48dと径方向に対向し、第1凸状対向部44dとは径方向に対向しない。つまり、第2渡り線37bは、第2対向部48のみと径方向に対向する。第2渡り線37bは、凸状境界部40cと径方向に対向しない。また、
図4に示すように、第2渡り線37bは、凸状対向部49bと径方向に接触する。これにより、第2渡り線37bには径方向外側を向く張力が加わる。
【0061】
図示は省略するが、第3渡り線37cは、第2コイル本体部36bの上側の部分から周方向一方側(+θ側)と下側との間を向く方向に延び、
図4に示すように、筒状対向部49aの径方向外側を通過した後、第3コイル本体部36cの下側の部分に接続される。図示は省略するが、
図7に示す第1渡り線37aと同様に、第3渡り線37cは、筒状対向部49aの軸方向中央近傍の部分と径方向に対向する。つまり、第3渡り線37cは、筒状対向部49aの一部と径方向に対向する。第3渡り線37cは、第1対向部44のみと径方向に対向する。第3渡り線37cは、筒状境界部40bと径方向に対向しない。また、
図4に示すように、第3渡り線37cは、筒状対向部49aと径方向に接触するため、第3渡り線37cには径方向外側を向く張力が加わる。
【0062】
図示は省略するが、第4渡り線37dは、第3コイル本体部36cの上側の部分から周方向他方側(-θ側)と下側との間を向く方向に延び、筒状対向部49aの径方向外側を通過した後、第2コイル本体部36bの下側を通る。図示は省略するが、第4渡り線37dは、筒状対向部49aの軸方向中央近傍の部分と径方向に対向する。つまり、第4渡り線37dは、筒状対向部49aの一部と径方向に対向する。第4渡り線37dは、第1対向部44のみと径方向に対向する。第4渡り線37dは、筒状境界部40bと径方向に対向しない。また、第4渡り線37dは、第3渡り線37cを介して筒状対向部49aと径方向に接触する。これにより、第4渡り線37dには径方向外側を向く張力が加わる。
【0063】
図8に示すように、第5渡り線37eは、第2コイル本体部36bの下側から周方向他方側(-θ側)と上側との間を向く方向に延び、凸状対向部49bの径方向外側を通過した後、第4コイル本体部36dの上側の部分と接続される。第5渡り線37eは、凸状対向部49bの軸方向中央近傍の部分と径方向に対向する。つまり、第5渡り線37eは、凸状対向部49bの一部と径方向に対向する。第5渡り線37eは、第2対向部48のみと径方向に対向する。第5渡り線37eは、凸状境界部40cと径方向に対向しない。また、
図4に示すように、第5渡り線37eは、第2渡り線37bを介して凸状対向部49bと径方向に接触する。これにより、第5渡り線37eには径方向外側を向く張力が加わる。
【0064】
上述のように、第1渡り線37a、第3渡り線37c、および第4渡り線37dのそれぞれは、筒状対向部49aの一部と径方向に対向し、第2渡り線37b、および第5渡り線37eは、凸状対向部49bの一部と径方向に対向する。つまり、渡り線部37は、対向部49の一部と径方向に対向する。また、上述のように、第1渡り線37a、第3渡り線37c、および第4渡り線37dのそれぞれは、第1対向部44のみと径方向に対向し、第2渡り線37b、および第5渡り線37eのそれぞれは、第2対向部48のみと径方向に対向する。つまり、渡り線部37は、第1対向部44または第2対向部48のいずれか一方のみと径方向に対向する。また、上述のように、第1渡り線37a、第3渡り線37c、および第4渡り線37dのそれぞれは、筒状対向部49aと径方向に接触し、第2渡り線37b、および第5渡り線37eのそれぞれは、凸状対向部49bと径方向に接触する。つまり、渡り線部37は、対向部49と径方向に接触する。
【0065】
本実施形態によれば、ステータ30は、ステータコア31と、ステータコア31に装着されるインシュレータ40と、コイル部35と、を備え、インシュレータ40は、ステータコア31の上側、すなわち軸方向一方側の部分に装着される第1インシュレータ部41と、ステータコア31の下側、すなわち軸方向他方側の部分に装着される第2インシュレータ部45と、対向部49と、を有する。コイル部35は、周方向に隣り合う一方のコイル本体部36の上側の部分と他方のコイル本体部36の下側の部分とを通り、対向部49の一部と径方向に対向する渡り線部37と、を有する。対向部49は、第1対向部44と、第1対向部44の下側に配置される第2対向部48と、を有し、渡り線部37は、第1対向部44または第2対向部48のいずれか一方のみと径方向に対向する。よって、渡り線部37が、第1対向部44と第2対向部48とが軸方向に対向する部分である対向境界部40dと干渉することを抑制できる。したがって、渡り線部37が第1対向部44の下端の角部および第2対向部48の上端の角部と擦れることによって、渡り線部37の絶縁被覆が摩耗することを抑制できるため、渡り線部37の絶縁性を安定して確保できる。これにより、コイル部35の絶縁性を安定して確保できるため、モータ15および送風機10の動作を安定させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、渡り線部37が、周方向に隣り合って配置される一対のコイル本体部36のうち一方のコイル本体部36の上側の部分と他方のコイル本体部36の下側の部分とを通る。よって、各ティース本体部33aにコイル線を巻き付けて複数のコイル本体部36を構成する作業において、周方向に隣り合って配置されるコイル本体部36同士の巻付方向を互いに異なる方向にし易い。したがって、モータ15の製造工数が増大することを抑制できる。これにより、周方向に隣り合って配置されるコイル本体部36に電流を流すことで構成される各電磁石の磁極を容易に異極にできる。そのため、コイル部35に電流を供給することによって、ロータ20を回転軸線J回りに容易に回転させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、対向部49によって、渡り線部37とステータコア31とが接触することを抑制できるため、渡り線部37とステータコア31との絶縁を確保できる。したがって、モータ15および送風機10の動作を安定させることができる。
【0068】
本実施形態によれば、第1対向部44の軸方向の長さと第2対向部48の軸方向の長さは互いに異なる。よって、軸方向において、対向境界部40dの位置を対向部49の軸方向中心からずれた位置に配置できるため、周方向に隣り合って配置される一対のコイル本体部36のうち一方のコイル本体部36の上側の部分と他方のコイル本体部36の下側の部分をと通る渡り線部37が対向境界部40dと径方向に対向することを容易に抑制できる。したがって、渡り線部37が第1対向部44の下端の角部および第2対向部48の上端の角部と擦れることによって、渡り線部37の絶縁被覆が摩耗することをより好適に抑制できる。そのため、渡り線部37の絶縁性をより安定して確保できる。これにより、コイル部35の絶縁性をより安定して確保できるため、モータ15および送風機10の動作をより安定させることができる。
【0069】
本実施形態によれば、対向部49は、周方向に互いに対向するティース部33同士の間に配置され、渡り線部37は、対向部49と径方向に接触する。これにより、渡り線部37に径方向外側を向く張力を加えることができるため、対向部49と渡り線部37との間の摩擦力を大きくし易い。よって、対向部49に対して渡り線部37が軸方向に移動することを抑制し易いため、渡り線部37が対向境界部40dと干渉することをより好適に抑制できる。したがって、渡り線部37の絶縁被覆が摩耗することをより好適に抑制できるため、渡り線部37の絶縁性をより安定して確保できる。
【0070】
また、本実施形態では、各ティース本体部33aにコイル線を巻き付けて複数のコイル本体部36を構成する作業において、1つのティース本体部33aにコイル線を巻き付けてコイル本体部36を構成した後に、コイル線を他のティース本体部33aに移動する際に、渡り線部37に径方向外側を向く張力を加えることができる。よって、ティース本体部33a同士の間において渡り線部37が弛んだ状態で配線されることを抑制できるため、他のティース本体部33aにコイル線を巻き付ける際に、渡り線部37がコイル本体部36に巻き込まれることを抑制できる。したがって、容易にティース本体部33aにコイル線を巻き付けることができるため、複数のコイル本体部36を構成する作業工数が増大することを抑制できる。
【0071】
本実施形態によれば、モータ15は、ステータ30に電流を供給する回路基板70と、回路基板70およびコイル部35と接続される接続ピン80と、を備え、対向部49は、軸方向に貫通する貫通孔44b,48bが設けられる筒状対向部49aを含み、貫通孔44b,48bには、接続ピン80が通される。よって、筒状対向部49aによって、渡り線部37と接続ピン80とが接触することを抑制できるため、渡り線部37と接続ピン80との絶縁を確保できる。したがって、モータ15および送風機10の動作を安定させることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、筒状対向部49aは、第1本体部42と繋がる第1筒状対向部44aと、第2本体部46と繋がる第2筒状対向部48aと、によって構成される。したがって、上端が第1本体部42よりも上側に延びる第2筒状対向部のみによって筒状対向部49aが構成される場合と比較して、筒状対向部49aの上側の部分が、軸方向と直交する方向に撓むことを抑制できる。したがって、接続ピン80が筒状対向部49aの係る撓みによって軸方向と直交する方向に変形することを抑制できるため、接続ピン80の上端の位置を安定させることができる。これにより、接続ピン80とコイル引出線38a,38bとを容易に接続できるため、ステータ30およびモータ15の製造工数が増大することを抑制できる。
【0073】
また、下端が第2本体部46よりも下側に延びる第1筒状対向部44aのみによって筒状対向部49aが構成される場合と比較して、筒状対向部49aの下側の部分が、軸方向と直交する方向に撓むことを抑制できる。したがって、回路基板70に対する接続ピン80の位置がばらつくことを抑制できるため、容易に接続ピン80を回路基板70に接続できる。よって、モータ15の製造工数が増大することを抑制できる。
【0074】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。例えば、上述した実施形態に示したステータ、モータおよび送風機の用途は特に限定されない。
【0075】
第1対向部の軸方向の長さと第2対向部の軸方向の長さの関係は本実施形態に限定されず、第1筒状対向部の軸方向の長さは、第2筒状対向の軸方向の長さよりも短くてもよいし、第1凸状対向部の軸方向の長さは、第2凸状対向部の軸方向の長さよりも長くてもよい。
【0076】
インシュレータが有する筒状対向部の個数および凸状対向部の個数は、コイル部の配線構成、特に、渡り部の配線構成等に応じて適宜決められる。筒状対向部の個数および凸状対向部の個数は、それぞれ、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、例えば、コイル部と回路基板が直接的に接続され、モータが接続ピンを有さない場合、筒状対向部は設けられなくてもよい。この場合、凸状対向部のみによって対向部を構成できる。
【0077】
ステータコアの構成は本実施形態の構成に限定されず、例えば、ステータコアが有するティース部の個数は、3個であってもよいし、5個以上であってもよい。また、ステータコアは、ステータ凸部を有していなくてもよい。
【0078】
コイル部の構成は本実施形態の構成に限定されず、例えば、各コイル本体部の巻付方向、および渡り線部の配線は、ステータの構成等に応じて適宜決められる。
【0079】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) アウターロータのモータが備えるステータであって、回転軸線を中心とする環状のステータコアと、前記ステータコアに装着されるインシュレータと、コイル部と、を備え、前記ステータコアは、環状のコアバック部と、前記コアバック部の外周面から径方向外側に延び、前記コアバック部の外周面に沿って配置される複数のティース部と、を有し、前記インシュレータは、前記ステータコアの軸方向一方側の部分に装着される第1インシュレータ部と、前記ステータコアの軸方向他方側の部分に装着される第2インシュレータ部と、対向部と、を有し、前記コイル部は、前記インシュレータを介して、複数の前記ティース部のそれぞれに装着される複数のコイル本体部と、周方向に隣り合う一方の前記コイル本体部の軸方向一方側の部分と他方の前記コイル本体部の軸方向他方側の部分とを通り、前記対向部の一部と径方向に対向する渡り線部と、を有し、前記対向部は、前記第1インシュレータ部が有する第1対向部と、前記第2インシュレータ部が有し前記第1対向部の軸方向他方側に配置される第2対向部と、を有し、前記渡り線部は、前記第1対向部または前記第2対向部のいずれか一方のみと径方向に対向する、ステータ。
(2) 前記第1対向部の軸方向の長さと前記第2対向部の軸方向の長さは互いに異なる、(1)に記載のステータ。
(3) 前記対向部は、周方向に互いに対向する前記ティース部同士の間に配置され、前記渡り線部は、前記対向部と径方向に接触する、(1)または(2)に記載のステータ。
(4) 前記第1インシュレータ部は、前記ティース部の軸方向一方側の部分に装着される第1本体部を有し、前記第2インシュレータ部は、前記ティース部の軸方向他方側の部分に装着される第2本体部を有し、前記第1本体部の軸方向の長さと前記第2本体部の軸方向の長さとの差分は、前記第1対向部の軸方向の長さと前記第2対向部の軸方向の長さとの差分よりも小さい、(1)から(3)のいずれか一項に記載のステータ。
(5) (1)から(4)のいずれか一項に記載のステータと、前記回転軸線を中心に回転可能であり、前記ステータの径方向外側に配置されるロータと、を備えるモータ。
(6) 前記ステータに電流を供給する回路基板と、前記回路基板および前記コイル部と接続される接続ピンと、を備え、前記対向部は、軸方向に貫通する貫通孔が設けられる筒状対向部を含み、前記貫通孔には、前記接続ピンが通される、(5)に記載のモータ。
(7) (5)または(6)に記載のモータと、前記ロータと接続され、前記回転軸線を中心として回転可能なインペラ部と、を備える送風機。
【符号の説明】
【0080】
10…送風機、15モータ、20…ロータ、30…ステータ、31…ステータコア、32…コアバック部、33…ティース部、35…コイル部、36…コイル本体部、37…渡り線部、40…インシュレータ、41…第1インシュレータ部、42…第1本体部、44…第1対向部、44b…貫通孔、45…第2インシュレータ部、46…第2本体部、48…第2対向部、48b…貫通孔、49…対向部、49a…筒状対向部、60…インペラ部、70…回路基板、80…接続ピン、J…回転軸線