IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図1
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図2
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図3
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図4
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図5
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図6
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図7
  • 特開-ケース及び加熱調理器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131481
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ケース及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20240920BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K5/02 P
F24C15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041753
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】塩野 岳
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB08
4E360AB12
4E360BD02
4E360EA05
4E360EA14
4E360EA24
4E360EB03
4E360EC04
4E360EC05
4E360EC12
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED13
4E360ED23
4E360GA04
4E360GA47
4E360GA53
4E360GB71
4E360GC02
4E360GC06
4E360GC08
4E360GC12
(57)【要約】
【課題】第1部品の被係合部と第2部品の係合部との係合を解除するときの作業性を向上させる。
【解決手段】第2部品6の係合部70は、第1部品4の係合孔51に係合部が挿入されると、係合孔51の外方に突出して、被係合部50に係合する係合爪部71を有し、第1部品4の被係合部50は、係合爪部71が当接及び係合する係合孔51の周縁の当接面52から係合部70の挿入方向に沿って延びる当接係合帯部53を有しており、当接係合帯部53は、当接面52から係合部70の挿入方向に沿って延び、且つ当接係合帯部53の外側面530を貫通する貫通溝部55を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合孔を有する被係合部が設けられた第1部品と、前記係合孔に挿入される係合部が設けられた第2部品とが連結されて構成されるケースであって、
前記係合部は、前記係合孔に前記係合部が挿入されると、前記係合孔の外方に突出して、前記被係合部に係合する係合爪部を有し、
前記被係合部は、前記係合爪部が当接及び係合する前記係合孔の周縁の当接面から前記係合部の挿入方向に沿って延びる当接係合帯部を有しており、
前記当接係合帯部は、前記当接面から前記係合部の前記挿入方向に沿って延び、且つ前記当接係合帯部の外側面を貫通する貫通溝部を有するケース。
【請求項2】
請求項1に記載のケースであって、
前記係合爪部は、前記当接面に当接及び係合する前記係合爪部の係合面から前記係合爪部の先端に向かって延びる凹溝部を有し、
前記貫通溝部と前記凹溝部とは、前記係合爪部の前記係合面が前記当接係合帯部の前記当接面に当接及び係合すると、前記係合部の前記挿入方向で連通するように形成されているケース。
【請求項3】
請求項2に記載のケースにおいて、
前記係合爪部は、前記係合面から前記係合爪部の前記先端に向かって均一な肉厚で延びる平坦面を有するケース。
【請求項4】
請求項3に記載のケースにおいて、
前記平坦面は、前記係合爪部の前記係合面が前記当接係合帯部の前記当接面に当接及び係合すると、前記貫通溝部及び前記凹溝部と直交するように形成されているケース。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載のケースにおいて、
前記凹溝部は、前記係合面から前記係合爪部の前記先端より手前の所定位置まで形成されており、
前記係合爪部は、前記係合爪部の前記先端と前記凹溝部の先端との間に壁部を有するケース。
【請求項6】
請求項2~4のいずれか1項に記載のケースにおいて、
前記第1部品と前記第2部品との間に被収納部品が収納され、
前記ケースと前記被収納部品、または前記ケースと前記ケースの周辺の部材とは、十文字溝付き締結部材によって締結され、
前記貫通溝部または前記凹溝部の幅は、前記十文字溝付き締結部材の十文字溝の翼の幅以上であるケース。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載のケースにおいて、
前記第1部品または前記第2部品の少なくともいずれか一方が、ガラス板に取り付けられるケース。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載のケースを有する加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース及びそれを有する加熱調理器に関する。特に、本発明は、第1部品の被係合部と第2部品の係合部とを係合させることによって第1部品と第2部品とが連結されて構成されるケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一方のケース半体である樹脂製の第1部品と他方のケース半体である樹脂製の第2部品との間に電装基板などの基板を挟み込み、第1部品と第2部品とを連結させることによって、基板を収納するケースがある。このような第1部品と第2部品とが連結されたケースを作製する場合、組立作業やメンテナンス作業の容易性の観点から、第1部品に形成された係合孔に、第2部品の係合爪部を有する弾性変形可能な係合部を挿入させ、係合爪部を係合孔の周縁にスナップフィット係合させる部品連結構造が採用されている(例えば、特許文献1の図4)。
【0003】
ところで、係合部位が小さかったり、係合部位がケースの表面から奥まった位置にあったりすると、人の指で係合爪部を押圧することができない。そのため、係合部と被係合部との係合を解除するにはドライバなどの工具を必要とする。
【0004】
しかしながら、小さな係合爪部を工具で押圧すると、係合爪部から工具がずれたり、工具が回転したりする。そのため、係合を解除するとき、工具が不安定となり、ケースの周辺の部材が傷つきやすいという問題がある。特に、作業者がプラスドライバを使用する場合、プラスドライバが係合爪部に引っ掛かり難いため、上記の問題が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-211153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、第1部品の被係合部と第2部品の係合部との係合を解除するときの作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の態様によれば、
係合孔を有する被係合部が設けられた第1部品と、前記係合孔に挿入される係合部が設けられた第2部品とが連結されて構成されるケースであって、
前記係合部は、前記係合孔に前記係合部が挿入されると、前記係合孔の外方に突出して、前記被係合部に係合する係合爪部を有し、
前記被係合部は、前記係合爪部が当接及び係合する前記係合孔の周縁の当接面から前記係合部の挿入方向に沿って延びる当接係合帯部を有しており、
前記当接係合帯部は、前記当接面から前記係合部の前記挿入方向に沿って延び、且つ前記当接係合帯部の外側面を貫通する貫通溝部を有するケースが提供される。
【0008】
上記第1の態様によれば、被係合部の当接係合帯部は、係合爪部が当接及び係合する当接面から係合部の挿入方向に沿って延び、且つ当接係合帯部の外側面を貫通する貫通溝部を有しているから、ケースの外方から貫通溝部に工具を容易に挿入させることができる。また、係合爪部が当接及び係合している当接面から貫通溝部が延びているから、工具の先端が係合爪部に引っ掛かりやすい。さらに、工具の先端が貫通溝部に挿入されるから、工具のずれや回転が抑えられる。これにより、係合を解除するとき、工具を安定化させることができるから、作業性を向上させることができる。
【0009】
本技術の第2の態様によれば、上記第1の態様において、
前記係合爪部は、前記当接面に当接及び係合する前記係合爪部の係合面から前記係合爪部の先端に向かって延びる凹溝部を有し、
前記貫通溝部と前記凹溝部とは、前記係合爪部の前記係合面が前記当接係合帯部の前記当接面に当接及び係合すると、前記係合部の前記挿入方向で連通するように形成される。
【0010】
上記第2の態様によれば、係合部と被係合部との係合状態で、貫通溝部と凹溝部とが係合部の挿入方向で連通した連通溝が形成される。従って、ケースの外方から連通溝に工具を容易に挿入させることができる。また、連通溝によって工具の先端が係合爪部にさらに引っ掛かりやすくなり、工具のずれや回転がさらに抑えられる。さらに、係合を解除するとき、締結工具として汎用されているプラスドライバの刃の一部を連通溝に挿入させて、係合爪部を押圧することができる。これにより、作業性を一層、向上させることができる。
【0011】
本技術の第3の態様によれば、上記第1または第2の態様のケースにおいて、
前記係合爪部は、前記係合面から前記係合爪部の前記先端に向かって均一な肉厚で延びる平坦面を有する。
【0012】
上記第3の態様によれば、工具の先端で係合爪部の平坦面を押圧することができる。これにより、係合を解除するとき、工具のずれや回転をさらに抑えることができる。
【0013】
本技術の第4の態様によれば、上記第3の態様のケースにおいて、
前記平坦面は、前記係合爪部の前記係合面が前記当接係合帯部の前記当接面に当接及び係合すると、前記貫通溝部及び前記凹溝部と直交するように形成される。
【0014】
上記第4の態様によれば、汎用のプラスドライバを用いて容易に係合を解除することができるから、さらに作業性を向上することができる。
【0015】
本技術の第5の態様によれば、上記第2~第4のいずれかの態様のケースにおいて、
前記凹溝部は、前記係合面から前記係合爪部の前記先端より手前の所定位置まで形成されており、
前記係合爪部は、前記係合爪部の前記先端と前記凹溝部の先端との間に壁部を有する。
【0016】
上記第5の態様によれば、工具の先端が凹溝部に挿入されると、壁部によって工具が凹溝部から外れ難くなる。これにより、係合を解除するとき、工具のずれや回転をさらに抑えることができる。
【0017】
本技術の第6の態様によれば、上記第2~第5のいずれか1つの態様のケースにおいて、
前記第1部品と前記第2部品との間に被収納部品が収納され、
前記ケースと前記被収納部品、または前記ケースと前記ケースの周辺の部材とは、十文字溝付き締結部材によって締結され、
前記貫通溝部または前記凹溝部の幅は、前記十文字溝付き締結部材の十文字溝の翼の幅以上である。
【0018】
上記第6の態様によれば、係合を解除するとき、十文字溝付き締結部材の着脱に使用される工具と同じ工具を使用することができる。これにより、工具の持ち替えが不要となるから、さらに作業性を向上させることができる。
【0019】
本技術の第7の態様によれば、上記第1~第6のいずれか1つの態様のケースにおいて、
前記第1部品または前記第2部品の少なくともいずれか一方は、ガラス板に取り付けられる。
【0020】
上記第7の態様によれば、第1部品または第2部品が取り付けられているガラス板の傷つきを防止しながら、係合を解除することができる。
【0021】
本技術の第8の態様によれば、上記第1~第7のいずれか1つの態様のケースを有する加熱調理器が提供される。
【0022】
上記第8の態様によれば、作業性に優れる加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るケースが用いられる加熱調理器を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るケースが用いられる加熱調理器を示す要部概略斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るケースを示す概略分解斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るケースを示す要部概略分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るケースを示す要部概略斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るケースを示す要部概略断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る上ケースの他の一例を示す要部概略斜視図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る下ケースの他の一例を示す要部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のケースをガスコンロの操作表示器に適用した実施の形態について説明する。
図1は、システムキッチンのカウンタトップに組み込まれるドロップイン式コンロ1の概略斜視図である。このドロップイン式コンロ1は、コンロ本体(図示せず)と、コンロ本体の上部を覆うガラス製の天板100とを備えている。
【0025】
図示しないが、天板100には、バーナ用開口が開設されており、コンロ本体には、ガスバーナ8の本体部分が収容されている。ガスバーナ8のバーナヘッド80は、天板100のバーナ用開口から上方に突出している。天板100上には、その手前側に、ガスバーナ8を運転操作するための操作摘み101が設けられ、更に、バーナヘッド80の周囲にはバーナヘッド80の上方に調理容器を載置するための五徳81が配置されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、天板100には、透明な透過窓110が形成されている。ユーザは、透過窓110を介して天板100の下面に取り付けられた操作表示器2の7セグメントの表示盤90の表示を視認できる。図示しないが、透過窓110の近傍の天板100には、下方から操作表示器2の操作スイッチ91のスイッチ本体が挿通される挿通孔が開設されている。操作スイッチ91の下端周縁の操作表示器2の上面には、ネジ部が形成されている。天板100の下方からスイッチ本体を挿通孔に挿通させ、天板100の上面からスイッチ本体を上方に突出させた状態で、天板100の上面側からネジ部に化粧ナットを螺着させることにより、操作表示器2が天板100の下面に取り付けられる。なお、本明細書では、ユーザがドロップイン式コンロ1を操作する側を正面側とし、ドロップイン式コンロ1を正面側から見たときの奥行方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。これらの方向や位置を表す表現は、説明の便宜上用いられるものであって本開示を限定するものではない。なお、天板100を透過性のよいガラスなどの材料を使用し、透過窓110が形成されていなくてもよい。
【0027】
図2及び図3に示すように、操作表示器2は、ケース3と、ケース3内に収納された電装基板9とを有する。ケース3は、上下に分割された樹脂製の上ケース4(第1部品)と樹脂製の下ケース6(第2部品)とが連結されて構成されている。電装基板9は、既述した上ケース4から上方に突出する操作スイッチ91のスイッチ本体と、上ケース4の開口から露出する7セグメントの表示盤90とを備えている。電装基板9は、上ケース4に十文字溝付き締結部材93(例えば、プラスネジやプラスボルト)によって締結されている。操作スイッチ91を操作することにより、例えば、タイマがセットされ、セットされた時間が表示盤90に表示される。
【0028】
上ケース4は、下方に開放する扁平な箱体からなる。上ケース4は、矩形平板状の上板40と、上板40の周縁から下方に延びる前板41、後板42、左板43、及び右板44とを有する。上ケース4の前板41の左右両端部には、後述する下ケース6の前壁61から上方に延びる係止片610が挿入されるガイド孔410が開設されている。前板41の外側面には、ガイド孔410の下半分を覆うようにガイド孔410の左右両端部を接続する梁部411が形成されている。この梁部411には、後述する下ケース6の係止片610の先端のフック部611が係合する。なお、左右のガイド孔410を含む左右の係合構造における各構成は、形成されている箇所が相違する以外は、左右で同一である。このため、同一の構成については同一の引用番号を使用し、以下では、一方の係合構造の構成のみを説明する。
【0029】
図2図4に示すように、上ケース4の後方部の左右両端部はそれぞれ、上板40の後端近傍から後板42の上下中央部まで、上板40と後板42とに跨る態様でU字状に切り欠かれている。また、上板40の下面には、切欠きの上端から下方に向かって後板42の後端近傍まで延びる前周壁46、左周壁47、及び右周壁48が形成されている。従って、上ケース4の後方部の左右両端部には、前周壁46、左周壁47、及び右周壁48の一部によって囲まれて、後方及び上下に開放する凹部45と、前周壁46、左周壁47、及び右周壁48の一部と、後板42の一部とによって囲まれて、上下に開放するトンネル状の貫通孔(以下、「係合孔51」という)とが連続して形成されている。この係合孔51には、後述する下ケース6の係合部70が下方から挿入され、係合部70の上端の係合爪部71が、係合孔51の上端開口の周縁を形成する後板42の上端面(以下、「当接面52」という)に当接及び係合する。このため、このケース3では、係合孔51を構成する前周壁46、左周壁47、及び右周壁48の一部と、後板42の一部(以下、「当接係合帯部53」という)とが、被係合部50を構成する。
【0030】
係合孔51を構成する当接係合帯部53には、当接面52の左右中央部から当接係合帯部53の下端(すなわち、後板42の下端)よりも上方の所定位置まで切り込まれた貫通溝部55が形成されている。このため、貫通溝部55は、当接係合帯部53の外側面530から係合孔51内まで貫通し、係合孔51の内外は、貫通溝部55によって連通している。当接係合帯部53に形成される貫通溝部55の長さ及び幅は、汎用されているプラスドライバの先端(例えば、ISO-8764-1:2004(E)に掲載されているPH Tip2)の一部が挿入可能な大きさに設定される。例えば、貫通溝部55の長さは、2~3mm、貫通溝部55の幅は、1.5~2.5mmである。このような汎用のプラスドライバの先端を挿入可能な貫通溝部55が形成されれば、既述した十文字溝付き締結部材93で電装基板9を上ケース4に締結する工具と同じ工具が使用することができる。これにより、1つの工具で、電装基板9を着脱したり、係合を解除したりすることができる。なお、貫通溝部55の幅を、貫通溝部55にプラスドライバの先端の一部ではなく、先端が挿入可能なように設定してもよい。これにより、貫通溝部55の左右の側壁によって工具のずれを抑制することができる。
【0031】
下ケース6は、平板形状を有する。下ケース6は、矩形状の下壁60と、下壁60の周縁から上方に延びる前壁61と、前壁61より低い後壁62、左壁63、及び右壁64とを有する。また、下ケース6の下壁60の上面の左右壁63,64及び後壁62の周縁よりも内方部分には、下壁60から前壁61と同一の高さ位置まで上方に突出する段部65が形成されている。このため、下ケース6には、段部65の周縁から外方に向かって延びるフランジ部が形成されている。段部65は、上ケース4と下ケース6とを連結させるとき、上ケース4の左右板43,44及び後板42に内嵌される。
【0032】
下ケース6の前壁61の左右両端部にはそれぞれ、前壁61の上端から上方(すなわち、係合状態における上ケース4側)に向かって延びるL字状の係止片610が形成されている。係止片610の上端部には、前方に向かって屈曲して延びるフック部611が形成されている。係止片610は、上ケース4と下ケース6とを連結させるとき、既述した上ケース4の前板41に形成されたガイド孔410に挿入される。また、係止片610がガイド孔410に挿入されると、フック部611は既述した上ケース4の梁部411に係合される。
【0033】
下ケース6の後壁62の左右両端部は浅く前方に切り欠かれている。下ケース6の下壁60の後方部の左右両端部にはそれぞれ、切り欠かれた部分から段部65を越えて上方(すなわち、係合状態における上ケース4側)に向かって延びるL字状の板状片からなる係合部70が形成されている。係合部70の上端部には、後方に向かって屈曲して延びる係合爪部71が形成されている。係合部70は、上ケース4と下ケース6とを連結させるとき、既述した上ケース4の係合孔51に挿入される。段部65より前方に突出する係合部70は、係合部70の基端となる段部65の上端を支点として前後に変形可能な弾性を有する。
【0034】
係合部70の幅は、係合部70が係合孔51に挿入されるように係合孔51の幅よりも若干小さく設定される。係合爪部71の左右両端部は、係合爪部71の上端77(先端)から係合部70の基端側に向かって肉厚が厚くなるように外方に傾斜する傾斜面72と、傾斜面72の頂部から下方に向かって均一な肉厚で直線的に延びる平坦面73と、平坦面73の下端から前方に向かって屈曲して延びる起立面(以下、「係合面74」という)とを有する(図6参照)。係合爪部71の傾斜面72が係合孔51の後板42の内面に摺接しながら係合孔51に挿入されるため、係合部70を係合孔51に円滑に挿入させることができる。係合部70が最終位置まで係合孔51に挿入されると、係合爪部71が係合孔51から外方に突出し、係合爪部71の係合面74が係合孔51を構成する当接係合帯部53の当接面52に当接及び係合する。
【0035】
係合爪部71の左右中央部には、係合部70の延びる上下方向に沿って切り欠かれた凹溝部75が形成されている。凹溝部75は、係合面74から係合爪部71の上端77まで形成されている。例えば、凹溝部75の長さは、1.5~2mm、凹溝部75の幅は、1.5~2.5mm、凹溝部75の深さ(最深部)は、0.5~1.5mmである。また、凹溝部75の幅は、上ケース4の当接係合帯部53に形成された貫通溝部55の幅と略同一に設定される。凹溝部75は、係合部70が係合孔51に挿入されて、係合爪部71の係合面74が当接係合帯部53の当接面52に当接及び係合すると、係合部70が延びる上下方向で当接係合帯部53の貫通溝部55と連通するように形成されている。このため、係合状態では、貫通溝部55と凹溝部75とによって、ケース3の外方に開放する上下方向に長い連通溝が形成される。また、連通溝と係合爪部71の平坦面73とが直交する態様で、係合爪部71の係合面74が当接係合帯部53の当接面52に当接及び係合する(図5参照)。凹溝部75の底面は、平坦に形成されている。
【0036】
図5及び図6に示すように、係合爪部71は、係合状態で、係合面74が当接面52の後端(すなわち、当接係合帯部53の外側面530)よりも前方位置で当接面52に係合するように形成されている。このため、係合状態で、係合爪部71の平坦面73は、当接係合帯部53の外側面530よりも内方に位置している。従って、平坦面73と当接係合帯部53の外側面530との間には、一定の大きさの隙間が形成されている。
【0037】
上ケース4と下ケース6とを連結させる場合、図4に示すように、上ケース4の開口側の下面と下ケース6の係合部70が突出する側の上面とが対向するように、上ケース4と下ケース6とを配置させる。そして、下ケース6の前壁61から上方に突出する係止片610を上ケース4のガイド孔410に挿入させて、フック部611を梁部411に係合させる。また、下ケース6の下壁60から上方に突出する係合部70を、上ケース4の係合孔51に挿入させる。このとき、係合部70は係合部70の挿入方向に直交する前後方向に弾性変形可能な弾性体からなるため、係合部70が前方に撓むように弾性変形し、係合爪部71は当接係合帯部53の内面に接触しながら上方に向かって移動する。そして、図2及び図5図6に示すように、係合爪部71が係合孔51を通過して係合爪部71が係合孔51から外方に突出すると、係合部70の弾性反力によって係合爪部71が後方に移動し、係合爪部71の下端面、すなわち係合面74が、当接係合帯部53の上端面、すなわち係合孔51の周縁の当接面52に当接して、係合部70と被係合部50とが係合される。
【0038】
上ケース4と下ケース6とを分割させる場合、図5及び図6に示すように、後方から工具の先端、例えば、プラスドライバ10の十文字刃のうち、一方向に連なる2つの刃を貫通溝部55及び凹溝部75によって形成される連通溝に挿入させ、一方向に直交する方向に連なる他の2つの刃を平坦面73に当接させる。そして、工具の先端が連通溝に挿入されている状態で、工具で係合爪部71を上ケース4側に押圧すれば、係合を解除することができる。
【0039】
上記実施の形態によれば、上ケース4の被係合部50の当接係合帯部53は、下ケース6の係合部70の係合爪部71が当接及び係合する当接面52から係合部70の挿入方向に沿って下ケース6側に向かって延び、且つ当接係合帯部53の外側面530を貫通する貫通溝部55を有しているから、ケース3の外方から貫通溝部55に工具を容易に挿入させることができる。また、係合爪部71が当接及び係合している当接面52から貫通溝部55が延びているから、工具の先端が係合爪部71に引っ掛かりやすくなる。さらに、工具の先端が貫通溝部55に挿入されるから、工具のずれや回転が抑えられる。これにより、係合を解除するとき、工具を安定化させることができるから、作業性を向上させることができる。また、ガラス製の天板100にケース3が取り付けられている状態でも、天板100の傷つきを防止しながら、円滑に係合を解除することができる。従って、作業性に優れる加熱調理器を提供することができる。
【0040】
また、上記実施の形態によれば、係合部70と被係合部50との係合状態で、貫通溝部55と凹溝部75とが係合部70の挿入方向で連通した連通溝が形成される。従って、ケース3の外方から連通溝に工具を容易に挿入させることができる。また、連通溝によって工具の先端が係合爪部71にさらに引っ掛かりやすくなり、工具のずれや回転がさらに抑えられる。さらに、係合を解除するとき、マイナスドライバだけでなく、汎用されているプラスドライバの刃の一部を連通溝に挿入させて、係合爪部71を押圧することができる。これにより、作業性を一層、向上させることができる。
【0041】
なお、被係合部50の当接係合帯部53に貫通溝部55を形成することなく、係合爪部71の係合面74と係合爪部71の上端77との間に凹溝部75のみを形成してもよい。このような係合部70を用いれば、ケース3の外方から凹溝部75に工具を容易に挿入させることができる。
【0042】
また、上記実施の形態によれば、工具の先端で係合爪部71の平坦面73を押圧することができるから、工具のずれや回転をさらに抑えることができる。特に、上記実施の形態によれば、平坦面73は凹溝部75と隣接し、係合状態で、連通溝と係合爪部71の平坦面73とは直交しているから、プラスドライバの十文字刃のうち、一方向に連なる2つの刃を連通溝に挿入させると、一方向に直交する方向に連なる2つの刃は平坦面73に当接する。これにより、工具のずれや回転をさらに抑えることができる。また、係合爪部71の平坦面73と当接係合帯部53の外側面530との間に一定の大きさの隙間が形成されているから、当接面52が工具を支持する台座部として機能する。これにより、さらに工具が安定するから、作業性を一層、向上させることができる。
【0043】
また、上記実施の形態によれば、係合を解除するとき、被収納部品の着脱に使用される工具と同じ工具を使用することができるから、工具の持ち替えが不要となり、さらに作業性を向上させることができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことができる。例えば、以下の変形例やこれらを組み合わせた構成は、本発明に含まれる。図7図8中、上記ケース3の構成と同様の構成については、類似の引用番号が付されている。
【0045】
図7に示すように、被係合部50aの当接係合帯部53aの貫通溝部55aは、既述した係合部70aの挿入方向に沿って当接係合帯部53a全体を貫通するように形成されてもよい。このような貫通溝部55aが形成されれば、ケース3の外方から容易に工具を貫通溝部55aに挿入させることができる。
【0046】
また、図8に示すように、係合爪部71aの凹溝部75aは、係合面74aから係合爪部71aの上端77aより手前の所定位置まで形成され、係合爪部71aの上端77aと凹溝部75aの先端750との間に壁部78が形成されてもよい。このような係合爪部71aが形成されれば、工具の先端が凹溝部75aに嵌まり込んだとき、壁部78によって工具が凹溝部75aから外れ難くなる。これにより、係合を解除するとき、工具のずれや回転をさらに抑えることができる。なお、壁部78の上端77a側に傾斜面72と同様の傾斜面を設けて、係合部70aを被係合部50aに挿入しやすくしてもよい。
【0047】
また、図示しないが、係合爪部71の凹溝部75は、凹溝部75の先端から係合面74に向かって深さが深くなるように形成されてもよい。このような凹溝部75が形成されれば、三角形状に尖った先端を有する棒状の工具を用いる場合、凹溝部75に挿入される工具の先端が凹溝部75の底面に嵌まり込んで工具が滑り難くなる。これにより、係合を解除するとき、工具のずれや回転をさらに抑えることができる。
【0048】
また、ケース3とケース3周辺の部材とが十文字溝付き締結部材で締結されている場合、貫通溝部55及び凹溝部75の幅は上記十文字溝付き締結部材の十文字溝の翼の幅以上に形成されてもよい。また、係合部70が弾性変形可能であれば、下ケースは他の材料(例えば、ゴムや金属など)から製造してもよい。また、凹溝部75は、工具を挿入可能であれば、任意の形状(例えば、円形状や十文字形状など)に形成してもよい。また、凹溝部75は、一部が貫通していてもよい。また、ケース3は、基板以外の部品を収納してもよい。また、ケース3は、ドロップイン式コンロ1だけでなく、他の加熱調理器(例えば、ビルトイン式コンロやオーブン)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 ドロップイン式コンロ
3 ケース
4 上ケース
6 下ケース
9 電装基板
50 被係合部
51 係合孔
52 当接面
53 当接係合帯部
55 貫通溝部
70 係合部
71 係合爪部
73 平坦面
74 係合面
75 凹溝部
78 壁部
93 十文字溝付き締結部材
100 天板
530 外側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8