(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131488
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】路面評価装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240920BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240920BHJP
E01C 23/01 20060101ALI20240920BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240920BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240920BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/13
E01C23/01
G16Y10/40
G16Y40/20
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041765
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592090555
【氏名又は名称】パシフィックコンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】鬼丸 寛之
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 篤樹
(72)【発明者】
【氏名】徳永 武雄
(72)【発明者】
【氏名】大石 康夫
(72)【発明者】
【氏名】飯星 明
【テーマコード(参考)】
2D053
5H181
【Fターム(参考)】
2D053AA32
2D053AB06
2D053FA02
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181EE11
5H181MC04
5H181MC12
5H181MC16
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】路面の状態を精度よく評価する。
【解決手段】路面評価装置10は、道路を走行中の複数の車両の位置情報と、複数の車両の加速度を示す加速度情報と、道路の路面の撮像画像を含む走行画像情報と、複数の車両の走行音を示す走行音情報とを、複数の車両の走行情報として取得する情報取得部111と、道路の路面の粗さを示す粗さ情報を含む地図情報を記憶する記憶部120と、情報取得部111により取得された複数の車両の走行情報に基づいて、道路の路面の粗さを評価する評価部と、評価部の評価結果に基づき、記憶部に記憶された道路に対応した粗さ情報を更新する更新部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行中の複数の車両の位置情報と、前記複数の車両の加速度を示す加速度情報と、前記道路の路面の撮像画像を含む走行画像情報と、前記複数の車両の走行音を示す走行音情報とを、前記複数の車両の走行情報として取得する走行情報取得部と、
前記道路の路面の粗さを示す粗さ情報を含む地図情報を記憶する記憶部と、
前記走行情報取得部により取得された前記複数の車両の前記走行情報に基づいて、前記道路の路面の粗さを評価する評価部と、
前記評価部の評価結果に基づき、前記記憶部に記憶された前記道路に対応した前記粗さ情報を更新する更新部と、を備えることを特徴とする路面評価装置。
【請求項2】
請求項1記載の路面評価装置において、
前記道路を走行中の前記複数の車両の外部環境を示す外部環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記評価部において前記道路の路面の粗さの評価に用いられる前記加速度情報と前記走行画像情報と前記走行音情報とに重み付けをする重み付け部と、をさらに備え、
前記重み付け部は、前記環境情報取得部により取得された前記外部環境情報に基づいて、前記加速度情報と前記走行画像情報と前記走行音情報とに付される重みを変化させることを特徴とする路面評価装置。
【請求項3】
請求項2記載の路面評価装置において、
前記外部環境情報は、前記道路を走行中の前記複数の車両の外部の照度を示す照度情報を含み、
前記評価部は、前記照度情報により示される前記照度が所定値以下を示すとき、該照度が前記所定値より大きいときよりも前記走行画像情報に付される前記重みを小さくすることを特徴とする路面評価装置。
【請求項4】
請求項2記載の路面評価装置において、
前記外部環境情報は、前記複数の車両が前記道路を走行しているときの天候を示す天候情報を含み、
前記評価部は、前記天候情報により示される前記天候が悪天候であるとき、該天候が前記悪天候でないときよりも前記走行画像情報に付される前記重みを小さくし、
前記悪天候には、降雨、降雪、積雪または霧が含まれることを特徴とする路面評価装置。
【請求項5】
請求項4記載の路面評価装置において、
前記評価部は、前記天候情報に基づき前記走行音情報に含まれるノイズをスペクトラム解析により除去し、該ノイズが除去された前記走行音情報を前記道路の路面の粗さの評価に用いることを特徴とする路面評価装置。
【請求項6】
請求項5記載の路面評価装置において、
前記評価部は、前記天候情報により示される前記天候に起因する前記ノイズを前記走行音情報からスペクトラム解析により除去することを特徴とする路面評価装置。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の路面評価装置において、
前記走行情報取得部は、さらに、前記複数の車両の前記位置情報の時間的推移から算出される前記複数の車両の走行速度を示す走行速度情報、または、前記複数の車両から送信される前記複数の車両の前記速度の測定値を前記走行情報として取得し、
前記評価部は、前記走行速度情報に基づいて速度帯域に応じて前記走行音情報に含まれるノイズをスペクトラム解析により除去し、該ノイズが除去された前記走行音情報を前記道路の路面の粗さの評価に用いることを特徴とする路面評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面の凹凸形状を表す路面プロファイルを評価する路面評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、走行中の車両から取得された走行加速度に基づき算出された路面の粗さ指数を地図上に表示するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、路面の状態を効率的に把握可能なように、車載カメラの撮像画像に基づき検知された路面のひび割れ率を路面の粗さ指数とともに地図上に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮像画像に基づき検知された路面の状態は、天候などの車両外部の環境によってばらつきが生じる場合がある。したがたって、上記特許文献1記載の装置のように撮像画像を用いるようにしたのでは、路面の状態を精度よく評価できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である路面評価装置は、道路を走行中の複数の車両の位置情報と、複数の車両の加速度を示す加速度情報と、道路の路面の撮像画像を含む走行画像情報と、複数の車両の走行音を示す走行音情報とを、複数の車両の走行情報として取得する走行情報取得部と、道路の路面の粗さを示す粗さ情報を含む地図情報を記憶する記憶部と、走行情報取得部により取得された複数の車両の走行情報に基づいて、道路の路面の粗さを評価する評価部と、評価部の評価結果に基づき、記憶部に記憶された道路に対応した粗さ情報を更新する更新部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、路面の状態を精度よく評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る路面評価装置を備える路面評価システムの構成の一例を示す図。
【
図3】本発明の実施形態に係る路面評価装置の要部構成を示すブロック図。
【
図4A】車両が走行する道路の地図の一例を示す図。
【
図5A】路面粗さ値と横加速度との相関関係の導出方法を説明するための図。
【
図5B】路面粗さ値と横加速度との相関関係の導出方法を説明するための図。
【
図7】路面状態推論モデルの更新を説明するための図。
【
図8A】車両振動データの補正を説明するための図。
【
図9A】道路画像データの補正を説明するための図。
【
図9B】カメラにより撮像される路面の位置を説明するための図。
【
図10】
図7の路面状態推論モデルを用いた路面粗さ値の算出を説明するための図。
【
図11】
図3の演算部で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図11を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る路面評価装置は、車両が走行する道路の路面プロファイルを評価するための装置である。
図1は、本実施形態に係る路面評価装置を備える路面評価システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、路面評価システム1は、路面評価装置10と、車載端末30とを備える。路面評価装置10は、例えばサーバ装置により構成される。車載端末30は、通信網2を介して路面評価装置10と通信可能に構成される。
【0009】
通信網2には、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。
【0010】
車載端末30は、車両20に搭載される。車両20には、複数の車両20-1,20-2,・・・,20-nが含まれる。なお、車両20は、手動運転車両であってもよいし、自動運転車両であってもよい。また、車両20には、車種やグレードが異なる車両が含まれていてもよい。
【0011】
図2は、本実施形態に係る車載端末30の要部構成を示すブロック図である。車載端末30は、電子制御ユニット(ECU)31と、測位センサ32と、加速度センサ33と、舵角センサ34と、車速センサ35と、照度センサ36と、カメラ37と、マイクロフォン(以下、単にマイクと称する。)38と、TCU(Telematic Control Unit)39とを有する。
【0012】
測位センサ32は、例えばGPSセンサであり、GPS衛星から送信された測位信号を受信し、車両20の絶対位置(緯度、経度など)を検出する。なお、測位センサ32には、GPSセンサだけでなく準天頂軌道衛星をはじめとしたGNSS衛星と言われる各国の衛星から送信される電波を利用して測位するセンサも含まれる。以下、測位センサ32により検出された車両の位置を示す情報を位置情報と呼ぶ。位置情報には、車両20がその位置を走行した時刻を示す情報(以下、走行時刻情報と呼ぶ。)も含まれる。
【0013】
加速度センサ33は、車両20の左右方向の加速度、すなわち横加速度を検出する。なお、加速度センサ33は、車両20の横加速度とともに前後方向の加速度や上下方向の加速度を検出するように構成されてもよい。以下、加速度センサ33により検出された加速度の情報を加速度情報または車両振動データと呼ぶ。舵角センサ34は、車両20のステアリングホイール(不図示)の操舵角を検出する。車速センサ35は、車両20の車速を検出する。
【0014】
照度センサ36は、受光素子を有し、受光素子に入射する光の明るさ(照度)を検出する。照度センサ36は、車両20の周囲の照度を検出可能なように、車両20の外側(例えば、ルーフ上)または車両20の内側(ダッシュボード上)に設置される。なお、フロントガラスを通過する光は、ガラスによって幾分減衰するので、照度センサ36を車両20の内側に設置する場合には、この減衰量を考慮してセンサ値を補正してもよい。
【0015】
カメラ37は、CCDやCMOS等の撮像素子(イメージセンサ)を有する。カメラ37は、車両20の前方空間を連続的に撮像して画像データを取得する。カメラ37は、車両20が走行中である道路の路面が撮像範囲に含まれるように、車両20の所定位置(前部)に取り付けられる。以下、カメラ37により取得された撮像画像データを道路画像データまたは単に道路画像と呼ぶ。なお、カメラ37は、単眼カメラであってもよいしステレオカメラであってもよい。
【0016】
マイク38は、入力された音を電気信号に変換して出力する。マイク38は、車両20の走行音を集音可能なように車両20の所定位置に取り付けられる。以下、マイク38から出力された走行音のデータを走行音データと呼ぶ。なお、マイク38は、車内に取り付けられてもよいし車外に取り付けられてもよい。また、マイク38は、単一のマイクロフォンで構成されていてもよいし、複数のマイクロフォンを有するマイクロフォンアレイで構成されていてもよい。
【0017】
図2に示すように、ECU31は、CPU等の演算部310と、ROM、RAM等の記憶部320と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。演算部310は、予め記憶部320に記憶されたプログラムを実行することで、センサ値取得部311および通信制御部312として機能する。
【0018】
センサ値取得部311は、測位センサ32の検出値(位置情報)と、加速度センサ33の検出値(車両振動データ)とを所定のサンプリング周期で取得する。通信制御部312は、センサ値取得部311により取得された情報(以下、走行情報と呼ぶ。)を、車両20を識別可能な車両IDとともにTCU36を介して所定周期で路面評価装置10に送信する。
【0019】
センサ値取得部311により取得される走行情報には、さらに、車速センサ35の検出値、すなわち、車両20の走行速度の測定値(以下、走行速度情報と呼ぶ。)と、照度センサ36の検出値(以下、照度情報と呼ぶ。)と、カメラ37の検出値(道路画像データ)と、マイク38の検出値(走行音データ)とが含まれる。なお、走行情報に、舵角センサ34の検出値、すなわち、車両20のステアリングホイールの操舵角の測定値(以下、操舵角情報と呼ぶ。)が含まれていてもよい。
【0020】
路面評価装置10は、車両20(車載端末30)の加速度センサ33の検出値(車両振動データ)に基づいて路面の凹凸形状、すなわち路面の粗さ(以下、路面プロファイルともいう。)を検出する。この検出された路面プロファイルの情報は、道路管理会社等が有する端末に出力され、道路管理会社等により補修の要否等を検討する際の参照データとして用いられる。すなわち、加速度センサの検出値が、路面プロファイルを評価するために用いられる。
【0021】
図3は、本実施形態に係る路面評価装置10の要部構成を示すブロック図である。路面評価装置10は、CPU等の演算部110と、ROM、RAM等の記憶部120と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。記憶部120は、道路の地図を含む地図情報や演算部110により処理される各種情報を記憶する。
【0022】
演算部110は、記憶部120に記憶されたプログラムを実行することで、情報取得部111、評価部112、出力部113、および通信制御部114として機能する。
【0023】
情報取得部111は、通信制御部114を介して、道路を走行中の車両20それぞれの車載端末30から走行情報を受信する。なお、情報取得部111は、走行情報に付随する車両IDにより走行情報の送信元の車両20を特定可能である。
【0024】
情報取得部111は、複数の車両20(車載端末30)から受信した走行情報を記憶部120に時系列に記憶する。以下、記憶部120に時系列に記憶された走行情報を、時系列走行情報と呼ぶ。また、情報取得部111は、車両20が走行する道路の情報を含む地図情報を記憶部120から取得する。さらに、情報取得部111は、天候情報を配信する外部の情報配信サーバ(不図示)から、車両20の走行情報により示される車両20の走行位置および走行時刻に対応する、天候情報を取得する。情報取得部111は、車両20の走行情報に対応付けて天候情報を記憶部120に記憶する。
【0025】
評価部112は、情報取得部111により所定期間内に取得された複数の車両20の走行情報に基づいて、路面の凹凸の量(深さまたは高さ)、つまり路面粗さを評価する。より詳しくは、評価部112は、情報取得部111により所定期間内に取得された複数の車両20の車両振動データに含まれる横加速度に基づいて、路面の粗さの程度を示す路面粗さ値を算出する。路面粗さ値は、例えば、国際的な指標であるIRI(国際ラフネス指標)で表される値である。以下、路面粗さ値を単に粗さ値と表現する場合がある。
【0026】
図4Aは、車両20が走行する道路の地図の一例を示す図である。
図4Aには、路面の粗さの評価対象となる所定道路(国道X号の緯度Y~Z)が示される。
図4Aにおいて上方向が北方向に対応し、右方向が東方向に対応する。路面粗さの評価対象となる所定道路(以下、評価対象道路と呼ぶ。)は、ユーザ(例えば、道路管理会社)により指定可能である。より詳細には、道路管理会社等が有する端末から評価対象区間の道路の名称や位置(緯度や経度)など、評価対象道路を特定可能な情報が路面評価装置10に送信されることで、評価対象道路が指定される。評価対象道路が片側複数車線である場合には、路面粗さの評価対象となる車線をユーザにより指定可能であってもよい。また、評価対象道路は、始点座標からの距離により指定されてもよい。
【0027】
車載端末30において所定のサンプリング周期で取得された走行情報は、通信制御部312を介して路面評価装置10に送信される。
図4Bには、
図4Aの評価対象道路(国道X号の緯度Y~Z)を走行中の車両20-1の車載端末30から路面評価装置10が取得した、時系列走行情報の一例を示す図である。図中の横軸は、車両20-1の走行車線に沿った進行方向の位置(緯度)であり、縦軸は、車両20-1の横加速度である。特性D1,D2,・・・,Dnはそれぞれ、車両20-1が評価対象道路を1,2,・・・,n回目に走行したときに取得された時系列走行情報を表す。
【0028】
一般に、路面の凹凸の量が大きいほど車両20の横加速度は大きく、路面粗さ値と横加速度とは所定の相関関係を有する。評価部112は、この相関関係を示す情報(以下、路面状態推論モデルまたは単に推論モデルと呼ぶ。)を用いて、横加速度から道路上の車両位置に対応する路面粗さ値を算出する。
【0029】
まず、評価部112は、予め測定された路面粗さ値と横加速度とを教師データとして機械学習(後述する
図7の機械学習LN)を行い、路面状態推論モデルを生成する。
図5Aおよび
図5Bはそれぞれ、路面粗さ値および横加速度の教師データを説明するための図である。
図5Aに示す車両V1は、路面粗さを測定する測定機器MAを搭載する専用車両である。測定機器MAは、所定の道路(測定用コース等)RDを車両V1が走行しているときに、道路RDの路面粗さ値を測定する。
図5Aの特性P1は、このとき測定される路面粗さ値、すなわち教師データとして用いられる路面粗さ値を示す。
【0030】
図5Bには、
図1の車両20が
図5Aと同一の道路RDを走行する様子が示される。
図5Bの特性P2は、車両20が所定の道路RDを、所定の走行速度(以下、基準走行速度と呼ぶ。)Vrefで走行中に、車両20に設けられた加速度センサ33により検出された横加速度、すなわち、教師データとして用いられる横加速度を示す。
【0031】
路面粗さ値および横加速度の教師データは、路面評価装置10の記憶部120に記憶されていてもよいし、外部の記憶装置に記憶されていてもよい。評価部112は、記憶部120または外部の記憶装置から読み出した路面粗さ値および横加速度の教師データを用いて機械学習を行い、路面状態推論モデルを生成する。なお、教師データとして、前後方向加速度、ステアリング角度を加えて機械学習を行ってもよい。
【0032】
評価部112は、生成した路面状態推論モデルを用いて、車両20が評価対象道路を走行中に取得された走行情報に基づいて、評価対象道路の路面粗さ値を算出する。
【0033】
出力部113は、評価部112により評価された路面の粗さ情報、すなわち評価部112により算出された路面粗さ値を、記憶部120の地図情報に含まれる道路の情報に対応付けて記憶する処理(以下、地図情報更新処理と呼ぶ。)を実行する。なお、評価対象道路に対応した路面粗さ値がすでに記憶されている場合には、出力部113は、その路面粗さ値を、評価部112により算出された路面粗さ値で更新する。
【0034】
また出力部113は、評価部112により評価された路面の粗さ情報を、情報取得部111により取得された道路の情報に対応付けて出力する。このとき出力される情報を路面プロファイル情報と呼ぶ。出力部113は、通信網2を介して道路管理会社等の端末から路面プロファイルの出力指示を受信すると、出力指示の送信元の端末や予め定められた出力先の端末に路面プロファイル情報を出力する。路面プロファイル情報はディスプレイ等の表示装置に表示可能な情報であり、ユーザは、ユーザの端末が有するディスプレイに路面プロファイル情報を表示させることで、路面プロファイルを確認することができる。
図6は、路面プロファイル情報の一例を示す図である。
図6に示す特性P11は、
図4Bの時系列走行情報D1に基づいて算出された路面粗さ値を表す。
図6に示す特性P12は、
図4Bの時系列走行情報D2に基づいて算出された路面粗さ値を表す。
図6に示す特性P13は、
図4Bの時系列走行情報Dnに基づいて算出された路面粗さ値を表す。
【0035】
ところで、車両20の走行情報に含まれる加速度センサ33の検出値は、天候等、車両20の外部環境に起因するノイズ等を含む場合がある。したがって、車両20が同じ道路を走行した場合でも走行時の外部環境が異なると、
図6に示されるように、異なった路面粗さ値が算出される。この場合、路面の状態を精度よく評価できないおそれがある。そこで、このような問題に対処するように、評価部112は、以下のようにして路面粗さを評価する。
【0036】
図7は、路面状態推論モデルの更新を説明するための図である。
図7のモデルRMは、
図5Aおよび
図5Bの教師データを用いて機械学習LNにより生成された路面状態推論モデルである。評価部112は、
図7に示すように、情報取得部111により取得された車両振動データを機械学習LNに入力して推論モデルRMを更新する。このとき、評価部112は、車両振動データとともに、その車両振動データと同じタイミングで検出された道路画像データと走行音データとを機械学習LNに入力する。このように、車両振動データとともに道路画像データと走行音データとを機械学習LNに入力することで、推論モデルRMの推論精度を向上させることができる。
【0037】
一方で、車両振動データ、道路画像データ、および走行音データは、車両20が同じ道路を同じ環境下で走行したとしても車両20の走行速度によって変化する。したがって、車両振動データ、道路画像データ、および走行音データをそのまま機械学習LNに入力すると、所望の路面状態推論モデルRMが得られない可能性がある。この点を考慮し、評価部112は、
図7に示すように、道路画像データ、車両振動データおよび走行音データに対して、車両20の走行速度に基づく補正CR1、補正CR2および補正CR3を施す。
【0038】
図8Aは、車両振動データの補正CR2を説明するための図である。
図8Aには、補正前の車両振動データ、すなわち、情報取得部111により取得された走行情報に含まれる車両振動データ(左図)の時間軸に補正係数を乗算して、補正後の車両振動データ(右図)が得られる様子が示されている。補正係数は、基準走行速度Vrefを、情報取得部111により取得された走行速度情報により示される走行速度、すなわち、車両振動データが検出された時点の車両20の走行速度Vで除算した値である。
図8Bは、走行音データの補正CR3を説明するための図である。走行音データの補正は、車両振動データの補正と同様にして行われる。具体的には、補正前の走行音データ、すなわち、情報取得部111により取得された走行情報に含まれる走行音データ(左図)の時間軸に補正係数(Vref/V)を乗算することで補正後の走行音データ(右図)が得られる。
【0039】
図9Aは、道路画像データの補正CR1を説明するための図である。
図9Aに示すように、道路画像データSDは、複数のフレームからなる動画像データである。図においてカッコ内の番号は、フレーム番号を表す。フレームNは現在フレームであり、フレームN-1,・・・,N―5は、フレームNと連続した過去フレームである。
図9Bは、車載端末30のカメラ37により撮像される路面の位置を説明するための図である。
図9Bに示すように、カメラ37により撮像される路面の位置P1は車両20よりも距離Lだけ前方に位置する。距離Lは、路面に対するカメラ37の位置および姿勢により算出される。現在フレームNがカメラ37により取得された時点における車両20の走行位置の路面(より詳細には、車両20のタイヤの直下の路面)は、現在フレームNよりも所定時間Δt(=L/V)前に取得されたフレーム(
図9Aの例ではフレームN―3)に含まれる。したがって、評価部112は、時間軸をΔt分過去にずらした道路画像データを、補正後の道路画像データとして取得する。
【0040】
また、評価部112は、
図7に示すように、車両20の走行速度に基づき補正された道路画像データ、車両振動データ、および走行音データに対して、重みW1、重みW2および重みW3を付す。重みW1、重みW2および重みW3の算出について説明する。
【0041】
評価部112は、情報取得部111により取得された走行情報に含まれる照度情報に基づいて、道路画像データに付す重みW1を算出する。具体的には、評価部112は、照度情報に基づいて車両20の周囲の明るさ(照度)を判定し、照度が所定値以下であるときには所定値より大きいときよりも重みW1を小さくする。なお、評価部112は、照度が小さいほど重みW1を小さくしてもよい。また、走行時間帯が悪天候であるときには好天であるときよりも画像認識精度(カメラ画像に基づく路面状態の認識精度)が低下するので、評価部112は、情報取得部111により取得された天候情報に基づいて車両20の走行位置および走行時間帯の天候を認識し、悪天候であるときには好天であるときよりも重みW1を小さくしてもよい。悪天候は、画像認識精度を低下させる天候であって、例えば降雨、降雪、積雪または霧である。
【0042】
また、評価部112は、車両20の走行速度に基づいて、車両振動データに付す重みW2を算出する。車両20の走行速度によって路面の凹凸により生じる車両20の振動は変化する。具体的には、走行速度が大きいほど路面の凹凸により生じる車両の振動は大きくなる。この点を考慮し、評価部112は、車両20の走行速度が大きいほど重みW2を小さくする。
【0043】
また、評価部112は、車両20の走行時間帯の天候に基づいて、走行音データの重みW3を算出する。例えば、走行時間帯が降雨である場合には、雨音や水しぶきによるノイズが走行音データに含まれる場合がある。この点を考慮し、評価部112は、車両20の走行時間帯の天候に基づき、天候に起因するノイズが走行音データに含まれか否かを判定する。そして、評価部112は、ノイズが含まれるときにはノイズが含まれないときよりも重みW3を小さくする。
【0044】
評価部112は、
図7に示すような機械学習を定期的にまたは間欠的に繰り返して、路面状態推論モデルRMを成長させる。例えば、評価部112は、
図7に示すような機械学習を所定期間ごとに、または、評価対象道路に対応した新たな走行情報が記憶部120に所定量蓄積されるたびに実行する。または、通信制御部114を介して入力されるユーザ指示に基づき実行する。
【0045】
図10は、
図7の路面状態推論モデルRMを用いた路面粗さ値の算出を説明するための図である。評価部112は、路面状態推論モデルRMに、車両20が評価対象道路を走行中に取得された車両振動データ、道路画像データおよび走行音データを入力して、評価対象道路の路面粗さ値を算出する。このとき、評価部112は、
図10に示すように、車両振動データ、道路画像データおよび走行音データに対して補正CR1,CR2,CR3を施すとともに重みW1,W2,W3を付してから、それらのデータを路面状態推論モデルRMに入力する。これにより、車両20の走行速度や外部環境に左右されることなく路面粗さ値を精度よく算出できる。
【0046】
図11は、予め定められたプログラムに従い路面評価装置10の演算部110(CPU)で実行される処理(地図情報更新処理)の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、路面評価装置10が起動している間、所定周期で繰り返される。まず、ステップS11で、車両20の車載端末30から走行情報を受信したか否かを判定する。ステップS11は否定されると、処理を終了する。ステップS11で肯定されると、ステップS12で、ステップS11で受信した車両情報を記憶部120に記憶する。ステップS13で、ユ評価対象道路がユーザにより指定されているか否かを判定する。
【0047】
ステップS13で否定されると、処理を終了する。ステップS13で肯定されると、ステップS14で、記憶部120の地図情報に含まれる路面粗さ値を更新するか否かを判定する。より詳細には、前回更新時(ステップS18の前回実行時)から所定期間が経過したか否かを判定する。なお、評価対象道路に対応した新たな走行情報が記憶部120に所定量蓄積されたか否かを判定してもよい。また、通信網2を介して道路管理会社等の端末から更新指示を受け付けたか否かを判定してもよい。
【0048】
ステップS14で否定されると、処理を終了する。ステップS14で肯定されると、ステップS15で、記憶部120から、評価対象道路に対応した車両20の走行情報を取得する。ステップS16で、ステップS15で取得した走行情報に含まれる、車両振動データ、道路画像データおよび走行音データに対して補正CR1,CR2,CR3を施すとともに重みW1,W2,W3を付す。ステップS17で、路面粗さを評価する。具体的には、ステップS16で補正および重み付けが施された車両振動データ、道路画像データおよび走行音データを路面状態推論モデルRMに入力して、路面粗さ値を算出する。ステップS18で、ステップS17で算出された路面粗さ値を、記憶部120の地図情報に含まれる道路の情報に対応付けて記憶する。これにより、地図情報に含まれる、評価対象道路に対応した路面粗さ値が更新される。
【0049】
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)路面評価装置10は、道路を走行中の複数の車両20の位置情報と、複数の車両20の加速度を示す加速度情報と、道路の路面の撮像画像を含む走行画像情報と、複数の車両20の走行音を示す走行音情報とを、複数の車両20の走行情報として取得する情報取得部111と、道路の路面の粗さを示す粗さ情報を含む地図情報を記憶する記憶部120と、情報取得部111により取得された複数の車両20の走行情報に基づいて、道路の路面の粗さを評価する評価部112と、評価部112の評価結果に基づき、記憶部120に記憶された道路に対応した粗さ情報を更新する出力部113と、を備える。情報取得部111は、道路を走行中の複数の車両20の外部環境を示す外部環境情報を取得する。評価部112は、道路の路面の粗さの評価に用いられる加速度情報と走行画像情報と走行音情報とに重み付けをする。評価部112は、情報取得部111により取得された外部環境情報に基づいて、加速度情報と走行画像情報と走行音情報とに付される重みを変化させる。これにより、外部環境に左右されずに精度よく路面の状態を評価できる。
【0050】
(2)外部環境情報は、道路を走行中の複数の車両20の外部の照度を示す照度情報を含む。評価部112は、照度情報により示される照度が所定値以下を示すとき、該照度が所定値より大きいときよりも走行画像情報に付される重みを小さくする。これにより、車両20の外部の明るさによらずに精度よく路面の状態を評価できる。
【0051】
(3)外部環境情報は、複数の車両20が道路を走行しているときの天候を示す天候情報を含む。評価部112は、天候情報により示される天候が悪天候であるとき、該天候が悪天候でないときよりも走行画像情報に付される重みを小さくする。悪天候には、降雨、降雪、積雪または霧が含まれる。これにより、車両20の走行時の天候によらずに精度よく路面の状態を評価できる。
【0052】
(4)情報取得部111は、さらに、複数の車両20の位置情報の時間的推移から算出される複数の車両の走行速度を示す走行速度情報、または、複数の車両20から送信される複数の車両の速度の測定値を走行情報として取得する。評価部112は、走行速度情報に基づいて速度帯域に応じて走行音情報に含まれるノイズをスペクトラム解析により除去し、該ノイズが除去された走行音情報を道路の路面の粗さの評価に用いる。これにより、路面粗さの評価に用いる走行音に含まれるノイズを、車両20の走行速度に応じて適切に除去できる。その結果、精度よく路面の状態を評価できる。
【0053】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
【0054】
上記実施形態では、評価部112が、情報取得部111により取得された車両振動データを機械学習LNに入力して推論モデルRMを更新するようにした。通常、複数の車両20が同じ道路を走行した場合でも、各車両20の車種やグレードが異なると、評価部112により算出される路面粗さ値が異なる可能性がある。その理由は、各車両20に装着されているサスペンションやタイヤなど、車両の運動に影響を与える部品が車種やグレードごとに異なるためである。この点を考慮して、評価部は、各車両20の車種やグレードに応じて、各車両20の走行情報に含まれる車両振動データを補正してから機械学習LNに入力してもよい。一般に、サスペンションやタイヤの衝撃吸収性能(垂直方向の衝撃吸収性能)が低くなるほど、路面の凹凸による衝撃や振動が車両に伝わりやすくなり、車両20の加速度センサ33により検出される横加速度が大きくなる。また、通常、サスペンションやタイヤの衝撃吸収性能は、同じ車種間においてはグレードが高くなるほど高くなり、異なる車種間においては乗り心地が重視された車種ほど高くなる。これにより、各車両20が同一の道路を走行した場合でも、各車両20において検出される横加速度にばらつきが発生する。そこで、情報取得部111は、走行情報に付随する車両20の車両ID(例えば、車台番号)に基づいて、車両20の車種やグレードを特定し、特定した車種およびグレードに基づきサスペンションやタイヤの衝撃吸収性能を認識し、衝撃吸収性能が高いほど対応する衝撃吸収性能に基づく重みを車両振動データに付してもよい。具体的には、衝撃吸収性能が低いほど車両振動データに付す重みを小さくしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、評価部112が、道路の路面粗さを評価する例を示した。しかしながら、評価部は、路面粗さ以外の路面の状態を評価してもよい。すなわち、路面状態推論モデルRMに対して、路面の他の状態を表すデータを入力してもよい。路面の他の状態は、例えば、路面のひび割れ率や、轍掘れ、平坦性、ポットホールの、段差、ドライ路面、ウェット路面、積雪路面、凍結路面である。また、路面評価装置10は、路面粗さを表す指標としてIRIの代わりに、MCI(維持管理指数:Maintenance Control Index)を用いてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、走行情報取得部としての情報取得部111が、車速センサ35の検出値を走行速度情報として取得するようにした。しかしながら、走行情報取得部は、車両20の位置情報の時間的推移に基づき車両20の走行速度を算出し、その算出結果を走行速度情報として取得してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、評価部112が、
図7に示すように、車両振動データおよび走行音データに対して、走行速度に基づく補正CR2および補正CR3を施すようにした。しかしながら、評価部は、車両振動データおよび走行音データに対して、走行速度に基づく補正を行う代わりに、速度帯域毎に機械学習を行うようにしてもよい。具体的には、車両振動データおよび走行音データが検出された時点の車両20の走行速度に基づき、車両振動データおよび走行音データを速度帯域毎に区分し、各速度帯域に対応した車両振動データおよび走行音データを、速度帯域ごとに用意された機械学習LNにそれぞれ入力してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、環境情報取得部としての情報取得部111が、車両20が道路を走行しているときの天候を示す天候情報を取得し、評価部112が、天候情報に基づいて車両20の走行時間帯の天候を認識し、該天候に基づき算出した重みW3を用いて、走行音データに対して重み付けするようにした。しかしながら、評価部は、走行音データに対して重み付けする代わりに、天候情報に基づいて、走行音情報に含まれるノイズをスペクトラム解析により除去してもよい。より詳細には、評価部は、スペクトラム解析を用いて、走行音データに含まれる走行時間帯の天候に対応したノイズ(例えば、水しぶきの音)を検出し、検出したノイズを走行音データから除去してもよい。また、上記のように速度帯域ごとに機械学習を行う場合には、評価部は、走行速度情報に基づいて、車両20の走行速度に対応した速度帯域に応じて走行音データに含まれるノイズをスペクトラム解析により除去してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、重み付け部としての評価部112が、照度センサ36の検出値に基づいて、道路画像データに付す重みW1を算出するようにした。しかしながら、重み付け部は、情報取得部111により取得された走行情報に含まれる走行時刻情報に基づき、道路画像データに付す重みW1を算出してもよい。より詳細には、夜間は日中よりも画像認識精度が低下するので、評価部112は、車両20の走行時間帯が夜間に含まれるときは、走行時間帯が日中に含まれるときよりも重みW1を小さくしてもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態では、出力部113が、評価部112により算出された路面粗さ値を、記憶部120の地図情報に含まれる道路の情報に対応付けて記憶するようにした。しかしながら、出力部は、地図上の評価対象道路の位置に路面粗さ値を示す情報(文字情報や色情報)が重畳表示されるように、路面粗さ値を道路の情報に対応付けて記憶してもよい。また、更新部としての出力部113が、評価部112の評価結果に基づき、記憶部120に記憶された道路に対応した粗さ値を更新するようにしたが、更新部は、粗さ値を更新するときに、粗さ値が更新されたことを示す情報をその粗さ値に対応付けて記憶部120に記憶してもよい。
【0061】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 路面評価装置、20,20-1~20-n 車両、30 車載端末、110 演算部、111 情報取得部、112 評価部、113 出力部、114 通信制御部、120 記憶部
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行中の複数の車両の位置情報と、前記複数の車両の加速度を示す加速度情報と、前記道路の路面の撮像画像を含む走行画像情報と、前記複数の車両の走行音を示す走行音情報とを、前記複数の車両の走行情報として取得する走行情報取得部と、
前記道路の路面の粗さを示す粗さ情報を含む地図情報を記憶する記憶部と、
前記走行情報取得部により取得された前記複数の車両の前記走行情報に基づいて、前記道路の路面の粗さを評価する評価部と、
前記評価部の評価結果に基づき、前記記憶部に記憶された前記道路に対応した前記粗さ情報を更新する更新部と、を備えることを特徴とする路面評価装置。
【請求項2】
請求項1記載の路面評価装置において、
前記道路を走行中の前記複数の車両の外部環境を示す外部環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記評価部において前記道路の路面の粗さの評価に用いられる前記加速度情報と前記走行画像情報と前記走行音情報とに重み付けをする重み付け部と、をさらに備え、
前記重み付け部は、前記環境情報取得部により取得された前記外部環境情報に基づいて、前記加速度情報と前記走行画像情報と前記走行音情報とに付される重みを変化させることを特徴とする路面評価装置。
【請求項3】
請求項2記載の路面評価装置において、
前記外部環境情報は、前記道路を走行中の前記複数の車両の外部の照度を示す照度情報を含み、
前記評価部は、前記照度情報により示される前記照度が所定値以下を示すとき、該照度が前記所定値より大きいときよりも前記走行画像情報に付される前記重みを小さくすることを特徴とする路面評価装置。
【請求項4】
請求項2記載の路面評価装置において、
前記外部環境情報は、前記複数の車両が前記道路を走行しているときの天候を示す天候情報を含み、
前記評価部は、前記天候情報により示される前記天候が悪天候であるとき、該天候が前記悪天候でないときよりも前記走行画像情報に付される前記重みを小さくし、
前記悪天候には、降雨、降雪、積雪または霧が含まれることを特徴とする路面評価装置。
【請求項5】
請求項4記載の路面評価装置において、
前記評価部は、前記天候情報に基づき前記走行音情報に含まれるノイズをスペクトラム解析により除去し、該ノイズが除去された前記走行音情報を前記道路の路面の粗さの評価に用いることを特徴とする路面評価装置。
【請求項6】
請求項5記載の路面評価装置において、
前記評価部は、前記天候情報により示される前記天候に起因する前記ノイズを前記走行音情報からスペクトラム解析により除去することを特徴とする路面評価装置。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の路面評価装置において、
前記走行情報取得部は、さらに、前記複数の車両の前記位置情報の時間的推移から算出される前記複数の車両の走行速度を示す走行速度情報、または、前記複数の車両から送信される前記複数の車両の走行速度の測定値を前記走行情報として取得し、
前記評価部は、前記走行速度情報に基づいて速度帯域に応じて前記走行音情報に含まれるノイズをスペクトラム解析により除去し、該ノイズが除去された前記走行音情報を前記道路の路面の粗さの評価に用いることを特徴とする路面評価装置。