(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131506
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】スクレイパー及びそれを用いたスクリーン印刷機、ならびに該印刷機を用いた回路基板および半導体装置
(51)【国際特許分類】
B41F 15/44 20060101AFI20240920BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240920BHJP
H05K 1/09 20060101ALI20240920BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41F15/44 B
H01L23/12 D
H05K1/09 A
B41F15/08 303E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041810
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔太
【テーマコード(参考)】
2C035
4E351
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA24
2C035FD01
2C035FD42
4E351AA07
4E351AA09
4E351BB01
4E351BB30
4E351BB31
4E351CC11
4E351CC19
4E351DD04
4E351DD10
4E351DD12
4E351DD17
4E351EE02
4E351GG20
(57)【要約】
【課題】
大型セラミックス基板にペーストを印刷する場合にコストパフォーマンスに優れて均一な印刷を可能にするスクレイパー及びそれを用いたスクリーン印刷機などを提供する。
【解決手段】スキージで印刷後にペーストを印刷開始点に戻
すスクリーン印刷機用スクレイパーにおいて、前記スクレイパーの略中央において両側の矩形状平板部が進行方向に屈曲している。屈曲した角度が1~15°であり、本スクレイパーを搭載したスクリーン印刷機により活性金属ペーストをセラミックス基板に印刷することにより金属板との良好な接合が可能である。セラミックス基板に金属板を接合したセラミックス回路基板や、セラミックス回路基板を用いた半導体装置が得られる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージで印刷後にペーストを印刷開始点に戻すにスクリーン印刷機用スクレイパーにおいて、
スクレイパーの略中央において両側の矩形状平板部が進行方向に屈曲したこと特徴とするスクリーン印刷機用スクレイパー。
【請求項2】
前記スクリーン印刷機用スクレイパーにおいて、屈曲した角度が1~15°であることを特徴とした請求項1に記載のスクリーン印刷機用スクレイパー。
【請求項3】
請求項1ないし請求項2のいずれかに記載のスクレイパーを備えたスクリーン印刷機。
【請求項4】
請求項3に記載のスクリーン印刷機によりペーストを印刷し、印刷したペーストによりセラミックス基板と金属回路を接合したセラミックス回路基板。
【請求項5】
前記ペーストの金属成分中において、銅は50質量%以上、活性金属元素が4質量%以上30質量%以下、錫又はインジウムから選ばれる1種又は2種を5質量%以上45質量%以下、炭素を0質量%以上2質量%以下であることを特徴とした請求項4に記載のセラミックス回路基板。
【請求項6】
前記ペーストの金属成分中において、銀は20質量%以上60質量%以下、銅は15質量%以上40質量%以下、活性金属元素が1質量%以上15質量%以下、錫又はインジウムから選ばれる1種又は2種を5質量%以上25質量%以下であることを特徴とした請求項4に記載のセラミックス回路基板。
【請求項7】
前記セラミックス基板は、酸化アルミニウム基板、窒化アルミニウム基板、及び窒化珪素基板のいずれか1種であることを特徴とする請求項4に記載のセラミックス回路基板。
【請求項8】
前記金属回路は、銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金のいずれか1種であることを特徴とする請求項4に記載のセラミックス回路基板。
【請求項9】
請求項4に記載のセラミックス回路基板と、前記金属回路に接合層を介して実装された半導体素子と、を備えたことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、おおむね、クレイパー及びそれを用いたスクリーン印刷機、ならびに該印刷機を用いた回路基板および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス回路基板は、パワー素子などの半導体素子を搭載した半導体装置に用いられている。セラミックス基板と金属回路部は、活性金属ろう材などを用いた接合層を介して互いに接合されている。これにより、接合強度及びヒートサイクル特性を向上させている。信頼性の向上に伴い、セラミックス回路基板は、自動車(電気自動車含む)や、電鉄車両、太陽光発電設備、産業機械のインバータ等に使用されている。パワーモジュールなどの半導体装置では、回路部に半導体素子が実装されている。また、半導体素子の導通のために、ワイヤボンディングや金属端子が接合されることもある。半導体装置の製造において、半導体素子、ワイヤボンディング、金属端子などが回路部に接合される。
【0003】
セラミックス回路基板の接合層を形成する方法としては、活性金属ろう材などをペースト化してセラミックス基板にスクリーン印刷する方法が開示されている(特許文献1)。特許文献1によれば、40mm×50mm×0.32mmの窒化珪素基板に活性金属ペーストをパターン印刷している。
【0004】
一方で、セラミックス基板の製造コストを下げるために、より大きな形状で製造をすることが行われている。セラミックス基板のなかで高強度・高靭性を有し高い放熱性を兼ね備えた窒化珪素基板では、220mm×220mm×0.32mmの大きさの基板が開示されている(特許文献2)。
【0005】
また、パターン印刷には、スクリーン印刷が使用されるが、スクリーン印刷版のパターン形成部材の上面に置かれたインクをスクレイパーによって平面状に均す際に、スクレイパーの両側端から塗布物が食み出ることを防止する方法が開示されている(特許文献3)。特許文献3によれば、スクレイパーの矩形状平板部の長手方向における両側に、移動方向に対して内側へ傾斜したはみ出し防止用板状部を延設することによりパターン形成部材上に供給されたインクを有効に活用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2022/131273号
【特許文献2】特許第6399252号公報
【特許文献3】特開平6-182967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体装置の高性能小型化にともない、絶縁性と放熱特性を求められるセラミックス回路部品も小型化・高放熱化が求められている。セラミックス基板のなかで窒化珪素基板は高強度と高絶縁性を兼ね備えているため、窒化珪素基板を使用してセラミックス回路基板を薄化している。一方で、製造コストを下げるために製造には、多数の回路基板を一度に製造できるように大型のセラミックス基板が使用されている。
【0008】
ところが、セラミックス基板は、無機材料の焼結体であるため薄く大きくなると表面に反りやうねりが発生しやすくなる。一方で活性金属ペーストは、粒径の大きな金属粒子を使用し、かつ加熱接合前に除去する有機成分を少なめに設定するために、均一に印刷することが難しい。
【0009】
実施形態は、このような問題を解決するためのものであり、大型のセラミックス基板に活性金属ペーストを印刷するような場合にコストパフォーマンスに優れて均一な印刷を可能にする、スクレイパー及びそれを用いたスクリーン印刷機、ならびに該印刷機を用いたセラミックス回路基板および半導体装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態にかかるスキージで印刷後にペーストを印刷開始点に戻すにスクリーン印刷機用スクレイパーは、前記スクレイパーの略中央において両側の矩形状平板部が進行方向に屈曲したことを特徴とするスクリーン印刷機用スクレイパーである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態にかかるスクレイパーの一例を示す模式図
【
図2】実施形態にかかる印刷機によるスクリーン印刷の一例を示す工程フローの断面図
【
図3】実施形態にかかるスクレイパーの印刷状態を示す上面からの模式図
【
図4】比較例のスクレイパーの印刷状態を示す上面からの模式図
【
図5】実施形態にかかる印刷されたセラミックス基板の一例を示す模式図
【
図6】実施形態にかかるセラミックス回路基板の一例を示す側面図
【
図7】実施形態にかかる半導体装置の一例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態にかかるスキージで印刷後にペーストを印刷開始点に戻すにスクリーン印刷機用スクレイパーは、前記スクレイパーの略中央において両側の矩形状平板部が進行方向に屈曲したことを特徴とするスクリーン印刷機用スクレイパーである。
【0013】
図1は、実施形態にかかるスクレイパーの一例を示す模式図である。
図1において、1はスクレイパーである。2はスクレイパーの中央部である。3は矩形状平板部である。矩形状平板部3は中央部2により屈曲している。なお、ここで屈曲した角度Aはスクレイパーの進行方向に垂直の平板の状態から屈曲した角度をいう。
【0014】
図2は、実施形態にかかるスクレイパーによる印刷工程の一例を示す断面図である。(A)は印刷前の断面図である。枠8にパターン7が形成されたスクリーン版6の上にペースト5がある。ペースト5はスキージ4の進行方向に位置している。印刷台10の上にセラミックス基板9が固定されている。スクレイパー1はスクリーン版から離れた上方に位置している。(B)は印刷後の断面図である。スクリーン版にかかっていた圧力はなくなりスクリーンは(A)の状態に戻っている。スキージ4によりペースト5がセラミックス基板9の上面にペースト5を印刷した状態である。スキージ4は下方に圧力を加えながら移動することによりペーストをセラミックス基板に押し出す。スクレイパー1は上方に位置したままスキージ4と連動して移動する。(C)はスキージ4が上方に移動した状態である。スクレイパー1は下方に移動する。(D)はスクレイパーが(B)の印刷方向と反対に移動してスクリーン版上のペーストを印刷前の位置に戻した状態である。スキージ4は上方に位置したまま移動する。(D)の状態の後にスクレイパー1は上方に移動し、スキージ4が下方に移動する。印刷されたセラミックス基板9は排出され新たなセラミックス基板9が印刷台10に設置されて(A)の状態に戻る。
【0015】
図3は、実施形態にかかるスクレイパーの印刷状態を示す上面からの模式図である。(a)にあるようにスキージにより印刷に寄与しなかったペーストをスクレイパーは印刷と反対方向に移動することにより印刷開始の状態にまでペースト5を移動する。このときスクレイパーは略中央部2において両側の矩形状平板部3が進行方向に屈曲しており、屈曲していることにより進行するに従いペーストを中央部2に集めることができる。矩形状平板部の屈曲する角度Aは大きくなるほど中央部にペーストを集めやすくなる。このときの角度は1~15°である。角度が1°よりも小さいと中央部に集中する機能が小さくなりスクレイパーの両端部よりペーストがはみ出す可能性がある。また、15°よりも大きいと中央部2にペーストが集まりすぎて印刷ムラが発生する可能性がある。このため、角度は2~13°が好ましく、さらには3~11°が好ましい。また、(b)にあるように矩形状平板部の端部を屈曲させて屈曲部11を設けても良い。屈曲部11により外側にペーストが広がるのが防げるため同量のペーストであれが、中央部2の屈曲角度Aを小さくすることができる。
【0016】
図4は、比較例にかかるスクレイパーの印刷状態を示す上面からの模式図である。スクレイパー1は中央部に屈曲部がない平板であるために、進行するに従いペースト5は周囲に向かうため、印刷を繰り返すうちに両側にペーストがはみ出した状態になる。このため、
図3に比較して同量のペーストであれば印刷中部にペースト切れが発生しやすく、印刷ムラの原因になりやすい。
【0017】
図4は、実施形態にかかる印刷されたセラミックス基板の一例を示す模式図である。
図2で示した製造方法でセラミックス基板9の上面に活性金属ペースト5が印刷されている。印刷された活性金属ペースト5は溶剤成分を除去するために乾燥する。乾燥した活性金属ペースト表面に金属板を接するように配置して加熱することによるセラミックス基板と金属板を接合してセラミックス回路基板を得る。いいかえれば金属板は活性金属ペーストからなる接合層13を介してセラミックス基板9に接合されている。
図6の例では、複数の上面の金属板14が、複数の接合層13を介してセラミックス基板上面部にそれぞれ接合されて金属回路を形成している。実施形態は、図示した形に限定されず、1つ、2つ、又は4つ以上の金属回路が、セラミックス基板に接合されても良い。また、
図5の例では、下面の金属板14が、セラミックス基板下面部に接合されている。下面の金属板14は、回路ではなく放熱板として機能する。
【0018】
活性金属ペーストはセラミックス接合に使用するペーストに比較して印刷ムラが発生しやすい。高融点金属メタライズに使用されるモリブデン(Mo)ペーストは、Mo粉末にマンガン(Mn)粉末を加えて解砕して粒径を小さく均一化することが行われている。これはセラミックスのガラス成分との反応を促進するためである。また、1400℃以上の高温で加熱して接合を行うため、印刷性を向上するペースト中の有機成分を多くすることが可能である。有機成分は高温に加熱する過程で除去される。これに対して活性金属ペーストは、活性金属を含む金属成分を混合させることが行われている。これは活性金属による接合が900℃以下の低温でセラミックスと反応させるため、活性金属粉末の特性を発揮させることができるためである。また、活性金属ペーストは低温で加熱するため有機成分が除去しにくく有機成分の量は少なく設定することが望ましい。このように、高融点金属ペーストに比較して、活性金属ペーストは、大きな粒径の金属成分と少ない有機成分のため印刷ムラが発生しやすいという特徴がある。
【0019】
セラミックス回路基板はセラミックス基板と金属板をペーストからなる接合層により接合する。接合される金属板はセラミックス基板に対して平板であり、表面の凹凸は少ない状態である。これに対してセラミックス基板は焼結体であるため、研磨加工等を行わなければ反りや凹凸が残った状態である。また、それぞれのセラミックス基板の反りや凹凸には差が発生しやすい。このため印刷面は平面に近い状態ではなく印刷ムラは発生しやすい。また、接合層を形成するための活性金属ペーストは、セラミックス基板と金属板を接合する機能に加えて熱膨張差を緩和する役割もあるための厚さも必要である。このため、活性金属ペーストをセラミックス基板に印刷ムラが発生することなく均一に塗ることが求められている。
【0020】
セラミックス基板9は、窒化珪素基板、窒化アルミニウム基板、及び酸化アルミニウム基板のいずれか1種であることが好ましい。また、アルジル基板も酸化アルミニウム基板の1種として挙げられる。アルジルは、酸化アルミニウム20~80質量%に対して残部が酸化ジルコニウムである焼結体である。窒化アルミニウム基板及び酸化アルミニウム基板の三点曲げ強度は、300~450MPa程度である。アルジル基板の強度も、550MPa前後である。窒化珪素基板の三点曲げ強度は、600MPa以上、更には700MPa以上に高めることができる。また、窒化珪素基板の熱伝導率は、50W/(m・K)以上、更には80W/(m・K)以上に高めることができる。特に、近年は、高強度と高熱伝導の両方を併せ持つ窒化珪素基板もある。窒化珪素基板は、高強度であるため薄くすることができ、より放熱性を高めることが可能である。このため、窒化珪素基板の厚さは、0.635mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましい。厚さの下限値は特に設定するものではないが、0.1mm以上であることが好ましい。これは、窒化珪素基板の電気絶縁性を確保するためである。ここでいう厚さは、セラミックス基板上面部と下面部を結ぶ方向における寸法を指す。これらのセラミックス基板は、単板であってもよいし、多層構造などの立体構造を有していても良い。セラミックス基板の厚さは、特に限定されない。セラミックス回路基板を薄くすること及び金属回路を厚くすることで、放熱性が向上する。
【0021】
金属回路に使用する金属板14は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。銅及び銅合金は、電気伝導性が高く電気回路として優れており、また熱伝導性が高く搭載した半導体素子の放熱についても優れている。
【0022】
また、セラミックス基板9と金属板14、接合層13を介して接合されていることが好ましい。接合層13は、銀、銅、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、錫、インジウム、亜鉛、アルミニウム、珪素、炭素、及びマグネシウムからなる群より選択された少なくとも2つを含むことが好ましい。金属回路が銅又は銅合金の場合は、セラミックス基板と回路の間に、Cu(銅)及びTi(チタン)を含む接合層を設けることが好ましい。Cu及びTiを含む接合層は、活性金属ろう材を用いて形成される。Tiは、活性金属である。活性金属として、Ti以外にも、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Nb(ニオブ)が挙げられる。活性金属ろう材としては、Ti、Cu、及びAg(銀)の混合物などが挙げられる。例えば、金属成分中のTiの含有量は0.1~10質量%であり、Cuの含有量は10~60質量%であり、残部はAgである。また、必要に応じ、In(インジウム)、Sn(錫)、Al(アルミニウム)、Si(珪素)、C(炭素)、及びMg(マグネシウム)からなる群より選択される1種以上を1~15質量%添加してもよい。活性金属ろう材を用いた活性金属接合法は、セラミックス基板表面に活性金属ろう材ペーストを印刷し、その上に金属板を配置する。これを600~900℃で加熱して接合する。活性金属接合法によれば、セラミックス基板と金属回路の接合強度を50MPa以上にできる。
【0023】
また、金属回路表面に、Ni(ニッケル)、Ag(銀)、及びAu(金)からなる群より選択される1種を主成分とする金属薄膜が設けられても良い。これら金属薄膜としては、めっき膜、スパッタ膜などが挙げられる。金属薄膜を設けることにより、耐食性、はんだ濡れ性などを向上させることができる。
【0024】
このようなセラミックス回路基板は、金属回路部に接合層を介して半導体素子が実装される半導体装置に好適である。
図7は、半導体装置の一例である。
図7において、15は半導体装置、12はセラミックス回路基板、16は半導体素子、17はワイヤボンディング、18はリードフレームである。
図7では、セラミックス回路基板12の回路部上に、接合層(図示せず)を介して半導体素子16が接合されている。隣り合う回路部同士がワイヤボンディング17で導通されている。実施形態にかかる半導体装置は、このような構造に限定されるものではない。例えば、半導体素子16、ワイヤボンディング17は、上面の金属板14にそれぞれ複数個設けられても良い。また、下面の金属板14には、半導体素子、ワイヤボンディングが、必要に応じ接合されても良い。また、これらの回路基板にはリードフレームなどの金属端子が接合されていても良い。また、半導体素子16を接合する接合層には、はんだ、ろう材などが用いられる。はんだは、鉛フリーはんだが好ましい。また、はんだは、融点が450℃以下のものを指す。ろう材は、融点が450℃を越えたものを指す。また、融点が500℃以上のものを高温ろう材と呼ぶ。高温ろう材は、Agを主成分とするものが挙げられる。
【0025】
また、半導体素子の小型化が進む一方で、チップからの発熱量は増加している。そのため、半導体素子を搭載するセラミックス回路基板においては、放熱性の向上が重要になっている。また、半導体装置(半導体モジュール)の高性能化のために、セラミックス回路基板上に、複数の半導体素子が実装されうる。半導体素子の一つだけでも素子の真性温度を超えてしまうと、抵抗が負のマイナス側の温度係数に変化してしまう。これに伴い、電力が集中的に流れる熱暴走を起こし、瞬時に半導体装置が破壊される現象がおきる。よって、半導体素子と回路部の接合の信頼性を向上させることは非常に有効である。また、実施形態にかかる半導体装置は、自動車(電気自動車含む)、電鉄車両、産業機械及びエアコン等のインバータに用いられるPCU、IGBT、IPMモジュールに用いることができる。自動車については、電気自動車の普及が進んでいる。半導体装置の信頼性が向上するほど、自動車の安全性を高めることができる。電鉄車両、産業機器などについても同様である。
【0026】
次に、実施形態にかかるセラミックス銅回路基板の製造方法について説明する。セラミックス回路基板は、前述の構成を有していれば、その製造方法は特に限定されない。ここでは、歩留まり良くセラミックス回路基板を得るための方法の一例を挙げる。まず、セラミックス基板と金属板を用意する。セラミックス基板は、窒化珪素基板、窒化アルミニウム基板、及び酸化アルミニウム基板から選ばれる1種が好ましい。特に、回路基板全体の放熱性を考慮すると、セラミックス基板は、熱伝導率50W/(m・K)以上かつ三点曲げ強度600MPa以上の窒化珪素基板であることが好ましい。また、金属板は銅又は銅合金から選ばれる1種が好ましい。また、セラミックス基板の上面に設けられた回路と、下面に設けられた回路と、を貫通孔により導通させるときは、貫通孔を有するセラミックス基板を用意する。セラミックス基板に貫通孔を設ける場合は、予め成形体の段階で貫通孔を設けても良い。また、セラミックス基板(セラミックス焼結体)に貫通孔を設けても良い。貫通孔は、レーザ加工、切削加工などにより設けられる。切削加工としては、ドリルなどによる穴あけ加工が挙げられる。
【0027】
また、セラミックス基板と銅板又は銅合金板は、活性金属接合法で接合されることが好ましい。活性金属接合法では、Tiなどの活性金属とCuを混合した活性金属ろう材を用いる。活性金属ろう材としては、Ti及びCuの混合物やTi、Ag、及びCuの混合物が挙げられる。例えば、Ti及びCuの混合物では、金属成分中のCuの含有量50質量%以上、Tiの含有量は4質量%以上30質量%以上、Sn又はInから選ばれる1種又は2種を5質量%以上45質量%以下、Cを0質量%以上2質量%以下である。Ti、Ag、及びCuの混合物では、金属成分中のAgは20質量%以上60質量%以下、Cuは15質量%以上40質量%以下、Tiが1質量%以上15質量%以下、Sn又はInから選ばれる1種又は2種を5質量%以上25質量%以下である。また、必要に応じ、Al、Si、及びMgからなる群より選択される1種以上が、1~15質量%の範囲内で添加してもよい。
【0028】
つぎに、活性金属ろう材をペースト化する。活性金属ろう材ペーストに使用する金属質量比の金属粉末を準備する。金属粉末は細かすぎると凝集しやすく均一に分散しにくい。また、粗すぎると接合で溶融したときに金属成分同士が混ざりにくい。このため、前述の組成であれば1~5μmの平均粒径の金属粉末が好ましい。ペースト中の金属粉末の割合が小さすぎると、乾燥・接合の加熱により有機成分が蒸発したときに接合に必要とするろう材金属成分が得られない。また、大きすぎるとペーストとして印刷に必要な粘度を得られない。このため、金属粉末は、活性金属ろう材の配合比により全体の比重が変わってくるが、ペースト中に60~95質量%含むことが好ましい。
【0029】
活性金属ペーストをセラミックス基板に印刷する。印刷はスクリーン印刷法などにより均一な厚さで印刷するようにする。前述のように印刷台にセラミックス基板を吸引などにより固定して、スクリーン版上に活性金属ペーストを配置し、スキージを移動することによりセラミックス基板の表面に活性金属ペーストを印刷する。印刷を活性金属ペーストの印刷厚さは15~40μmが好ましい。スキージによって移動したペーストはスクレイパーによって印刷開始の位置に移動する。印刷が終わったセラミックス基板は大気中で加熱することなどにより活性金属ペーストを乾燥する。両面に金属回路があるセラミックス回路基板であれば片面を印刷しペーストを乾燥した後に他の面を印刷し、同様に活性金属ペーストを乾燥する。
【0030】
つぎに、活性金属ペーストを印刷乾燥したセラミックス基板に金属板を配置する。金属板が配置されたセラミックス基板を、銅板及び銅合金板であれば700~900℃で、アルミニウム板及びアルミニウム合金板の場合は500~700℃で加熱して接合する。加熱工程は、必要に応じ、真空中又は非酸化性雰囲気で行われる。また、真空中で行う場合は、1×10-2Pa以下であることが好ましい。非酸化性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などが挙げられる。加熱接合することによりペーストは接合層として機能する。
【0031】
予め金属板に回路が形成されている場合は接合によりセラミックス回路基板となる。回路が形成されていない金属板を接合した場合はエッチング加工などにより回路を形成する。金属板だけでなく接合層もエッチングにより回路を形成することも可能である。
【0032】
前述の工程により、セラミックス回路基板が製造できる。次に、半導体素子などをセラミックス回路基板に接合する工程を行う。半導体素子を接合する箇所に、接合層を設ける。接合層は、はんだ又はろう材を含むことが好ましい。接合層を介して、その上に半導体素子を設ける。また、必要に応じ、ワイヤボンディングが設けられる。また、半導体素子及びワイヤボンディングは、必要な数が設けられる。
【0033】
(実施例1~10、比較例1~10)
表1に示すセラミックス基板を各25枚ずつ用意した。セラミックス基板は、窒化珪素基板及び窒化アルミニウム基板である。窒化珪素基板の熱伝導率は、90W/(m・K)であり、三点曲げ強度は、650MPである。窒化アルミニウム基板の熱伝導率は、170W/(m・K)であり、三点曲げ強度は、300MPaである。セラミックス基板のサイズは、縦100mm×横100mmである。窒化珪素基板の厚さは0.32mm、窒化アルミニウム基板の厚さは0.635mmである。なお、表1において、窒化珪素基板はSi3N4、窒化アルミニウム基板はAlNと表記している。
【0034】
つぎに、表1に示すペーストの金属成分である金属粉末を用意した。金属粉末は、銀系粉末(Ag-Cu-Sn-Ti)及び銅系粉末(Cu-Sn-TiH)である。金属成分中の銀系粉末の比率は、Ag58質量%、Cu30質量%、Sn10質量%、Ti2質量%である。銅系粉末の比率は、Cu68質量%、Sn20質量%、TiH12質量%である。それぞれの金属粉末の平均粒径は、Ag2μm、Cu1μm、Sn5μm、Ti5μm、TiH6μmである。次に金属粉末100質量%に対して有機成分を溶剤で溶かしたバインダー20質量%を加えて混錬することにより活性金属ペーストを作製した。
【0035】
活性金属ペーストをセラミックス基板に印刷した。大きさ320mm×320mm、メッシュサイズ200μmに、縦方向に10列、横方向に10列の合計100カ所の正方形回路のスクリーン版を使用した。それぞれの活性金属ペーストは25gずつ秤量して、スクリーン版上スキージが移動する方向のスキージ中央と両端の略中央、すなわちスキージ端からスキージの略4分の1の距離の2カ所の位置に合計で50gを配置した。この後スキージを移動してセラミックス基板の片面に活性金属ペーストにて印刷し、スクレイパーを移動させてペーストをもとの位置近傍に戻した。25枚の印刷を終了した表面の活性金属ペーストの印刷ムラの状態を目視で観察した。すべての印刷パターンが印刷されているものを印刷ムラがない状態として表1では〇とした。印刷されていない箇所があった場合を印刷ムラが発生した状態とした表1で×とした。印刷が終了したセラミックス基板は活性金属ペーストを除去するために有機溶剤中で洗浄をしたのち乾燥して他の印刷条件にて使用した。
【0036】
【0037】
実施例1~10では印刷ムラが発生しなかった。これはスクレイパーに形成された屈曲部により活性金属ペーストが周囲に広がることなく所定の位置まで適正に戻されたためである。これに対してスクレイパーの角度が0度であり屈曲部がないスクレイパーを使用した比較例1、3,5は進行方向中央列の奥側を中心に印刷されていない箇所があり印刷ムラが発生した。これは、スクレイパーの両端から活性金属ペーストがはみ出したため中央列の印刷に必要な活性金属ペーストが得られなかったためである。また、スクレイパーの角度が21度であるクレイパーを使用した比較例2、4,6は進行方向両端列の奥側を中心に印刷されていない箇所があり印刷ムラが発生した。これは、スクレイパーの屈曲角度が大きすぎて中央部に集まる活性金属ペーストが多くなったため両端列の印刷に必要な活性金属ペーストが得られなかったためである。
【0038】
前述の印刷ムラの評価する試験に続き、実施例1,5,8~9、比較例1,3、5~6について追加して同じ種類のセラミックス基板を1枚ずつ印刷した。片面を印刷した後に大気中120℃で1分間加熱することによりペーストを乾燥してから、他の片面を印刷し同様に乾燥した。これらのセラミックス基板では両面を印刷乾燥したセラミックス基板では、前述の印刷ムラ試験と同様に、実施例では両面に印刷ムラは発生せず、比較例では両面に印刷ムラが発生していた。
【0039】
つぎに、ペーストを印刷乾燥したセラミックス基板の両面に縦50mm×横50mm×厚さ0.8mmの無酸素銅板をそれぞれ配置して加熱接合を行った。接合温度は銀系ペースト(Ag-Cu-Sn-Ti)820℃、銅系ペースト(Cu-Sn-TiH)の場合は600℃とした。それぞれの接合時間は10分に設定し、真空中(1×10-2Pa以下)で接合した。
【0040】
つぎに、無酸素銅板を接合したセラミックス基板をエッチング加工して、セラミックス基板の両面それぞれに100カ所に金属回路を形成した。金属回路の接合状態を目視で観察したところ、実施例では良好な接合状態が観察された。これは、活性金属ペーストの印刷ムラがなく良好な接合層を形成したためである。これに対して比較例では、印刷ムラが発生した箇所に未接合箇所が観察された。これは、印刷ムラにより接合層を形成するのに必要な活性金属ペーストが得られなかったためである。
【0041】
つぎに、実施例にかかるペーストによる金属回路とセラミックス基板の接合性を確認するために、金属回路とセラミックス基板の間の接合強度としてピール強度を測定した。ピール強度は、セラミックス回路基板を治具に固定して、上面金属回路の一部を垂直方向に50mm/分で引きはがすことにより測定した。それぞれのピール強度は実施例1で31KN/m、実施例5で29KN/m、実施例9で19KN/m、実施例10で18KN/mと、良好な強度を示した。これは、活性金属ペーストの印刷ムラがないことにより金属板とセラミックスの間に強固な接合層が形成されたためである。
【0042】
このように実施例に係るセラミックス回路基板は接合不良が少なく接合強度が高いため、半導体素子を搭載した半導体装置に最適である。
【0043】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…スクレイパー
2…中央部
3…矩形状平板部
4…スキージ
5…活性金属ペースト
6…スクリーン版
7…印刷パターン
8…枠
9…セラミックス基板
10…印刷台
11…屈曲部
12…セラミックス回路基板
13…接合層
14…金属板
15…半導体装置
16…半導体素子
17…ワイヤボンディング
18…リードフレーム
19…樹脂モールド
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
スキージで印刷後にペーストを印刷開始点に戻すスクリーン印刷機用スクレイパーにおいて、
スクレイパーの略中央において両側の矩形状平板部が進行方向に屈曲したこと特徴とするスクリーン印刷機用スクレイパー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
また、パターン印刷には、スクリーン印刷が使用されるが、スクリーン印刷版のパターン形成部材の上面に置かれたインクをスクレイパーによって平面状に均す際に、スクレイパーの両側端から塗布物がはみ出ることを防止する方法が開示されている(特許文献3)。特許文献3によれば、スクレイパーの矩形状平板部の長手方向における両側に、移動方向に対して内側へ傾斜したはみ出し防止用板状部を延設することによりパターン形成部材上に供給されたインクを有効に活用している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
このようなセラミックス回路基板は、金属回路部に接合層を介して半導体素子が実装される半導体装置に好適である。
図7は、半導体装置の一例である。
図7において、15は半導体装置、12はセラミックス回路基板、16は半導体素子、17はワイヤボンディング、18はリードフレーム
、19は樹脂モールドである。
図7では、セラミックス回路基板12の回路部上に、接合層(図示せず)を介して半導体素子16が接合されている。隣り合う回路部同士がワイヤボンディング17で導通されている。実施形態にかかる半導体装置は、このような構造に限定されるものではない。例えば、半導体素子16、ワイヤボンディング17は、上面の金属板14にそれぞれ複数個設けられても良い。また、下面の金属板14には、半導体素子、ワイヤボンディングが、必要に応じ接合されても良い。また、これらの回路基板にはリードフレームなどの金属端子が接合されていても良い。また、半導体素子16を接合する接合層には、はんだ、ろう材などが用いられる。はんだは、鉛フリーはんだが好ましい。また、はんだは、融点が450℃以下のものを指す。ろう材は、融点が450℃を越えたものを指す。また、融点が500℃以上のものを高温ろう材と呼ぶ。高温ろう材は、Agを主成分とするものが挙げられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
また、セラミックス基板と銅板又は銅合金板は、活性金属接合法で接合されることが好ましい。活性金属接合法では、Tiなどの活性金属とCuなどのろう材金属を混合した活性金属ろう材を用いる。活性金属ろう材としては、Ti及びCuの混合物やTi、Ag、及びCuの混合物が挙げられる。例えば、Ti及びCuの混合物では、金属成分中のCuの含有量50質量%以上、Tiの含有量は4質量%以上30質量%以上、Sn又はInから選ばれる1種又は2種を5質量%以上45質量%以下、Cを0質量%以上2質量%以下である。Ti、Ag、及びCuの混合物では、金属成分中のAgは20質量%以上60質量%以下、Cuは15質量%以上40質量%以下、Tiが1質量%以上15質量%以下、Sn又はInから選ばれる1種又は2種を5質量%以上25質量%以下である。また、必要に応じ、Al、Si、及びMgからなる群より選択される1種以上が、1~15質量%の範囲内で添加してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
つぎに、活性金属ペーストを印刷乾燥したセラミックス基板に金属板を配置する。金属板が配置されたセラミックス基板を、銅板及び銅合金板であれば700~900℃で、アルミニウム板及びアルミニウム合金板の場合は500~700℃で加熱して接合する。加熱工程は、必要に応じ、真空中又は非酸化性雰囲気で行われる。また、真空中で行う場合は、1×10
-2
Pa以下であることが好ましい。非酸化性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などが挙げられる。加熱接合することによりペーストは接合層として機能する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
つぎに、ペーストを印刷乾燥したセラミックス基板の両面に縦50mm×横50mm×厚さ0.8mmの無酸素銅板をそれぞれ配置して加熱接合を行った。接合温度は銀系ペースト(Ag-Cu-Sn-Ti)820℃、銅系ペースト(Cu-Sn-TiH)の場合は600℃とした。それぞれの接合時間は10分に設定し、真空中(1×10
-2
Pa以下)で接合した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
実施形態にかかるスキージで印刷後にペーストを印刷開始点に戻すスクリーン印刷機用スクレイパーは、前記スクレイパーの略中央において両側の矩形状平板部が進行方向に屈曲したことを特徴とするスクリーン印刷機用スクレイパーである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
実施形態にかかるスキージで印刷後にペーストを印刷開始点に戻すスクリーン印刷機用スクレイパーは、前記スクレイパーの略中央において両側の矩形状平板部が進行方向に屈曲したことを特徴とするスクリーン印刷機用スクレイパーである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
図
5は、実施形態にかかる印刷されたセラミックス基板の一例を示す模式図である。
図2で示した製造方法でセラミックス基板9の上面に活性金属ペースト5が印刷されている。印刷された活性金属ペースト5は溶剤成分を除去するために乾燥する。乾燥した活性金属ペースト表面に金属板を接するように配置して加熱することによるセラミックス基板と金属板を接合してセラミックス回路基板を得る。いいかえれば金属板は活性金属ペーストからなる接合層13を介してセラミックス基板9に接合されている。
図6の例では、複数の上面の金属板14が、複数の接合層13を介してセラミックス基板上面部にそれぞれ接合されて金属回路を形成している。実施形態は、図示した形に限定されず、1つ、2つ、又は4つ以上の金属回路が、セラミックス基板に接合されても良い。また、
図5の例では、下面の金属板14が、セラミックス基板下面部に接合されている。下面の金属板14は、回路ではなく放熱板として機能する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
また、セラミックス基板と銅板又は銅合金板は、活性金属接合法で接合されることが好ましい。活性金属接合法では、Tiなどの活性金属とCuなどのろう材金属を混合した活性金属ろう材を用いる。活性金属ろう材としては、Ti及びCuの混合物やTi、Ag、及びCuの混合物が挙げられる。例えば、Ti及びCuの混合物では、金属成分中のCuの含有量50質量%以上、Tiの含有量は4質量%以上30質量%以下、Sn又はInから選ばれる1種又は2種を5質量%以上45質量%以下、Cを0質量%以上2質量%以下である。Ti、Ag、及びCuの混合物では、金属成分中のAgは20質量%以上60質量%以下、Cuは15質量%以上40質量%以下、Tiが1質量%以上15質量%以下、Sn又はInから選ばれる1種又は2種を5質量%以上25質量%以下である。また、必要に応じ、Al、Si、及びMgからなる群より選択される1種以上が、1~15質量%の範囲内で添加してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
活性金属ペーストをセラミックス基板に印刷した。大きさ320mm×320mm、メッシュサイズ200μmに、縦方向に10列、横方向に10列の合計100カ所の正方形回路のスクリーン版を使用した。それぞれの活性金属ペーストは25gずつ秤量して、スクリーン版上スキージが移動する方向のスキージ中央と両端の略中央、すなわちスキージ端からスキージの略4分の1の距離の2カ所の位置に合計で50gを配置した。この後スキージを移動してセラミックス基板の片面に活性金属ペーストにて印刷し、スクレイパーを移動させてペーストをもとの位置近傍に戻した。25枚の印刷を終了した表面の活性金属ペーストの印刷ムラの状態を目視で観察した。すべての印刷パターンが印刷されているものを印刷ムラがない状態として表1では〇とした。印刷されていない箇所があった場合を印刷ムラが発生した状態として表1で×とした。印刷が終了したセラミックス基板は活性金属ペーストを除去するために有機溶剤中で洗浄をしたのち乾燥して他の印刷条件にて使用した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
実施例1~10では印刷ムラが発生しなかった。これはスクレイパーに形成された屈曲部により活性金属ペーストが周囲に広がることなく所定の位置まで適正に戻されたためである。これに対してスクレイパーの角度が0度であり屈曲部がないスクレイパーを使用した比較例1、3,5は進行方向中央列の奥側を中心に印刷されていない箇所があり印刷ムラが発生した。これは、スクレイパーの両端から活性金属ペーストがはみ出したため中央列の印刷に必要な活性金属ペーストが得られなかったためである。また、スクレイパーの角度が21度であるスクレイパーを使用した比較例2、4,6は進行方向両端列の奥側を中心に印刷されていない箇所があり印刷ムラが発生した。これは、スクレイパーの屈曲角度が大きすぎて中央部に集まる活性金属ペーストが多くなったため両端列の印刷に必要な活性金属ペーストが得られなかったためである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
つぎに、ペーストを印刷乾燥したセラミックス基板の両面に縦50mm×横50mm×厚さ0.8mmの無酸素銅板をそれぞれ配置して加熱接合を行った。接合温度は銀系ペースト(Ag-Cu-Sn-Ti)の場合は820℃、銅系ペースト(Cu-Sn-TiH)の場合は600℃とした。それぞれの接合時間は10分に設定し、真空中(1×10-2Pa以下)で接合した。