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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131513
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ミスト機能付き浴室暖房乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F24D 15/00 20220101AFI20240920BHJP
   A61H 33/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F24D15/00 B
A61H33/06 Z
A61H33/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041829
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中島 匠
(72)【発明者】
【氏名】滝島 裕貴
【テーマコード(参考)】
3L072
4C094
【Fターム(参考)】
3L072AA05
3L072AB06
3L072AC01
4C094AA01
4C094BA18
4C094DD09
4C094EE03
4C094EE08
4C094EE14
4C094EE20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ミスト運転でのミスト効果を確保しつつ、グリル板の内面側を洗浄可能にして、その内面側に白い異物が溜ることに起因してユーザに不快感を与える恐れを回避する。
【解決手段】噴霧側端部23Aがグリル板11の外面11Cと面一又は外面11Cよりも浴用空間側に位置する浴用ミスト噴霧位置と、噴霧側端部23Aがグリル板11の内面11Bから所定距離を隔てたケーシング内に位置するグリル内面洗浄位置とにわたって、ミストノズル23を移動させるミストノズル移動手段80を備え、ミストノズル移動手段80は、制御部がミストノズル23の噴霧側端部23Aから浴用空間にミストを噴霧させるミスト運転を実行する場合にミストノズル23を浴用ミスト噴霧位置に移動させ、制御部がミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11にミストを噴霧させるグリル内面洗浄運転を実行する場合にミストノズル23をグリル内面洗浄位置に移動させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧側端部をグリル板から浴室の浴用空間に臨ませた状態でケーシング内に配置されるミストノズルと、前記ミストノズルに湯水を供給して当該湯水をミスト状にして前記噴霧側端部から前記浴用空間に噴霧させるミスト運転を実行可能な制御部とが備えられたミスト機能付き浴室暖房乾燥機であって、
前記噴霧側端部が前記グリル板の外面と面一又は外面よりも前記浴用空間側に位置する浴用ミスト噴霧位置と、前記噴霧側端部が前記グリル板の内面から所定距離を隔てた前記ケーシング内に位置するグリル内面洗浄位置とにわたって、前記ミストノズルを移動させるミストノズル移動手段が備えられ、
前記制御部は、前記ミストノズルに湯水を供給して、前記噴霧側端部から前記グリル板に向けてミストを噴霧させて前記グリル板の内面側を洗浄するグリル内面洗浄運転が実行可能に構成され、
前記ミストノズル移動手段は、前記制御部が前記ミスト運転を実行する場合に前記ミストノズルを前記浴用ミスト噴霧位置に移動させ、前記制御部が前記グリル内面洗浄運転を実行する場合に前記ミストノズルを前記グリル内面洗浄位置に移動させるミスト機能付き浴室暖房乾燥機。
【請求項2】
前記ミストノズルに供給される湯水の流量を調整する流量調整手段が備えられ、
前記グリル内面洗浄運転には、前記流量調整手段にて調整される湯水の流量を多くして、前記噴霧側端部から前記グリル板に向けて噴霧されるミストの噴霧量を増加させる噴霧量増加処理が含まれている請求項1に記載のミスト機能付き浴室暖房乾燥機。
【請求項3】
前記ミストノズルを揺動させるミストノズル揺動手段が備えられ、
前記グリル内面洗浄運転には、前記ミストノズル揺動手段にて前記ミストノズルを揺動させるミストノズル揺動処理が含まれている請求項1又は2に記載のミスト機能付き浴室暖房乾燥機。
【請求項4】
前記浴用空間での人の存否を検知する人感検知器が備えられ、
前記制御部は、前記人感検知器にて前記浴用空間での人の存在が検知された場合に前記グリル内面洗浄運転の実行を禁止する請求項1又は2に記載のミスト機能付き浴室暖房乾燥機。
【請求項5】
前記グリル板の汚れ具合を評価する汚れ具合評価手段が備えられ、
前記制御部は、前記グリル板の汚れ具合が所定の閾値に達した場合に前記グリル内面洗浄運転を実行する請求項1又は2に記載のミスト機能付き浴室暖房乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧側端部をグリル板から浴室の浴用空間に臨ませた状態でケーシング内に配置されるミストノズルが備えられて、ミストノズルに供給される湯水をミスト状にして前記噴霧側端部から前記浴用空間に噴霧させるミスト運転が実行可能に備えられたミスト機能付き浴室暖房乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、例えば、乾燥機能やミスト機能などに加えて、機内に備えられた放熱用熱交換器などの構成部品を洗浄する洗浄機能が備えられた浴室乾燥機がある。この浴室乾燥機においては、ミスト放出用のノズルを有するノズル配管が、その長手軸周りに回転可能な状態で機内に備えられている。そして、このノズル配管を、その長手軸周りに回転させることにより、ノズルの状態を、ノズルから浴室内の空間に向けてミストを放出させるミスト放出状態と、ノズルから機内の放熱用熱交換器に向けて高温水を吐出させる洗浄状態とに切り替え可能に構成されている。又、この浴室乾燥機においては、ケーシングに形成された温風吹き出し開口を開閉するルーバが備えられており、前述したミスト放出状態ではルーバが開状態に切替えられ、前述した洗浄状態ではルーバが閉状態に切替えられるように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-211124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミスト機能付き浴室暖房乾燥機においては、ミスト運転の実行中にミストノズルに供給される湯水として上水道からの水道水が使用されている。そのため、水道水に含まれている塩素やカルシウムなどの不純物が多い場合は、それらの不純物が白い異物としてグリル板の内面側に溜ることがある。例えば、温水ミスト運転や水ミスト運転の実行後は少なからず水滴がグリル板の内面側に付着していることから、温水ミスト運転や水ミスト運転の実行後に十分な換気運転が行われなかった場合には、水滴に含まれている不純物が石灰化した白い異物としてグリル板の内面側に溜ることになる。
【0005】
このように、白い異物がグリル板の内面側に溜っている状態において、ユーザの入浴中に暖房運転が実行されていると、グリル板の内面側に溜っている白い異物がグリル板の吸気口から落下して、入浴中のユーザに不快感を与える恐れがある。
【0006】
このような不快感を与えないようにするために、特許文献1に記載の洗浄機能に関する構成を採用することが考えられるが、特許文献1に記載の洗浄機能に関する構成では、ミスト放出用のノズルがノズル配管とともに機内に備えられていることにより、ミスト放出状態においてノズルから浴用空間に向けて噴霧されるミストの一部がケーシングによって遮られてしまい、ミスト機能で得られる本来の効果が薄れることが懸念される。又、ケーシングで遮られたミストの一部がケーシングの内面側に付着し、白い異物としてケーシングの内面側に溜ることも懸念される。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ミスト運転で得られる本来のミスト効果を確保しつつ、グリル板の内面側を洗浄できるようにして、グリル板の内面側に白い異物が溜ることに起因してユーザに不快感を与える恐れを回避できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、噴霧側端部をグリル板から浴室の浴用空間に臨ませた状態でケーシング内に配置されるミストノズルと、前記ミストノズルに湯水を供給して当該湯水をミスト状にして前記噴霧側端部から前記浴用空間に噴霧させるミスト運転を実行可能な制御部とが備えられたミスト機能付き浴室暖房乾燥機であって、
前記噴霧側端部が前記グリル板の外面と面一又は外面よりも前記浴用空間側に位置する浴用ミスト噴霧位置と、前記噴霧側端部が前記グリル板の内面から所定距離を隔てた前記ケーシング内に位置するグリル内面洗浄位置とにわたって、前記ミストノズルを移動させるミストノズル移動手段が備えられ、
前記制御部は、前記ミストノズルに湯水を供給して、前記噴霧側端部から前記グリル板に向けてミストを噴霧させて前記グリル板の内面側を洗浄するグリル内面洗浄運転が実行可能に構成され、
前記ミストノズル移動手段は、前記制御部が前記ミスト運転を実行する場合に前記ミストノズルを前記浴用ミスト噴霧位置に移動させ、前記制御部が前記グリル内面洗浄運転を実行する場合に前記ミストノズルを前記グリル内面洗浄位置に移動させる点にある。
【0009】
本構成によると、ミスト運転においては、ミストノズル移動手段にてミストノズルを浴用ミスト噴霧位置に位置させることにより、ミストノズルの噴霧側端部から浴用空間に向けて噴霧されるミストを、ケーシングにて遮られることなく好適に浴用空間に噴霧させることができる。これにより、ミストノズルを浴用ミスト噴霧位置とグリル内面洗浄位置とに移動可能にしてグリル板の洗浄に利用する構成としながらも、ミスト運転で得られる本来のミスト効果を確保することができる。
【0010】
又、グリル内面洗浄運転においては、ミストノズル移動手段にてミストノズルをグリル内面洗浄位置に位置させることにより、グリル板の内面から所定距離を隔てたケーシング内に位置するミストノズルの噴霧側端部からグリル板に向けてミストを噴霧させることができる。これにより、ミストノズルの噴霧側端部から噴霧されるミストにてグリル板の内面側を好適に洗浄することができ、この洗浄により、グリル板の内面側に溜っている水道水の含有不純物に起因した白い異物を取り除くことができる。
【0011】
つまり、ミスト運転で得られる本来のミスト効果を確保しつつ、グリル板の内面側を洗浄することができ、この洗浄にてグリル板の内面側に溜っている白い異物を取り除くことができる。その結果、グリル板の内面側に白い異物が溜ることに起因して、例えば、その白い異物が入浴中のユーザに向けて落下することなどにより、ユーザに不快感を与える恐れを回避することができる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記ミストノズルに供給される湯水の流量を調整する流量調整手段が備えられ、
前記グリル内面洗浄運転には、前記流量調整手段にて調整される湯水の流量を多くして、前記噴霧側端部から前記グリル板に向けて噴霧されるミストの噴霧量を増加させる噴霧量増加処理が含まれている点にある。
【0013】
本構成によると、グリル内面洗浄運転においては、噴霧量増加処理にてミストノズルの噴霧側端部からグリル板に向けて噴霧されるミストの噴霧量が増加されることから、グリル板の内面側をより強力に洗浄することができ、グリル板の内面側に溜っている白い異物をより確実に取り除くことができる。
【0014】
その結果、グリル板の内面側に白い異物が溜ることに起因してユーザに不快感を与える恐れをより確実に回避することができる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、前記ミストノズルを揺動させるミストノズル揺動手段が備えられ、
前記グリル内面洗浄運転には、前記ミストノズル揺動手段にて前記ミストノズルを揺動させるミストノズル揺動処理が含まれている点にある。
【0016】
本構成によると、グリル内面洗浄運転においては、ミストノズル揺動処理にてグリル内面洗浄位置のミストノズルが揺動することから、ミストノズルの噴霧側端部から噴霧されるミストがグリル板の内面側に対してより広範囲に及ぶようになる。これにより、ミストによるグリル板の内面側に対する洗浄をより広範囲で行うことができる。
【0017】
その結果、グリル板の内面側に溜っている白い異物の除去をより広範囲で行うことができ、グリル板の内面側に白い異物が溜ることに起因してユーザに不快感を与える恐れをより確実に回避することができる。
【0018】
本発明の第4特徴構成は、前記浴用空間での人の存否を検知する人感検知器が備えられ、
前記制御部は、前記人感検知器にて前記浴用空間での人の存在が検知された場合に前記グリル内面洗浄運転の実行を禁止する点にある。
【0019】
本構成によると、例えば、浴室内に設置されたリモコンの誤操作でグリル内面洗浄運転の実行が指令された場合には、浴室内のリモコンを誤操作したユーザの浴用空間での存在が人感検知器にて検知されることから、この検知に基づいてグリル内面洗浄運転の実行が禁止される。
【0020】
その結果、例えば、入浴中の誤操作でグリル内面洗浄運転が実行されることに起因して、グリル板の内面側に溜っている白い異物が入浴中のユーザに降りかかる恐れを回避することができる。
【0021】
本発明の第5特徴構成は、前記グリル板の汚れ具合を評価する汚れ具合評価手段が備えられ、
前記制御部は、前記汚れ具合評価手段にて評価された前記グリル板の汚れ具合が所定の閾値に達した場合に前記グリル内面洗浄運転を実行する点にある。
【0022】
本構成によると、グリル板の汚れ具合を評価するにあたり、例えば、グリル板の汚れの原因となるミストノズルに供給される湯水(水道水)の含有不純物に応じて変動する湯水の導電率を測定するとともに、測定した導電率を累積する。そして、この累積値をグリル板の汚れ具合とし、累積値が所定の閾値に達した場合に、グリル板の内面側に白い異物が溜り始めていると推定してグリル内面洗浄運転を実行する。
【0023】
これにより、グリル板の内面側に白い異物が溜り始めた好適なタイミングで自動的にグリル内面洗浄運転を実行させることができ、グリル板の内面側に溜っている白い異物を効率良く取り除くことができる。
【0024】
尚、このようにグリル内面洗浄運転を自動的に実行させる場合には、前述したように、浴用空間での人の存否を検知する人感検知器を備えて、この人感検知器にて浴用空間での人の存在が検知された場合にグリル内面洗浄運転の実行が禁止されるように構成すると好適である。この構成によると、例えば、ミスト運転の実行中にグリル板の汚れ具合が所定の閾値に達しても、浴用空間にユーザが居る間はグリル内面洗浄運転が実行されないことから、グリル内面洗浄運転の実行でグリル板の内面側から取り除かれた白い異物が浴用空間に居るユーザに降りかかる恐れを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ミスト機能付き浴室暖房乾燥機の概略構成図
図2】浴室の斜視図
図3】浴室用リモコンの正面図
図4】ミストノズル移動手段やミストノズル揺動手段の構成などを示す要部の縦断正面図
図5】(a)はミストノズルを浴用ミスト噴霧位置に位置させた状態を示す要部の縦断側面図(b)はミストノズルをグリル内面洗浄位置に位置させた状態を示す要部の縦断側面図
図6】ミストノズル移動手段の他の構成を示す要部の縦断正面図
図7】実行条件成立判別制御のフローチャート
図8】グリル内面洗浄運転のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を天井埋め込み型のミスト機能付き浴室暖房乾燥機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、本発明は、天井埋め込み型のミスト機能付き浴室暖房乾燥機に限らず、例えば、壁掛け型のミスト機能付き浴室暖房乾燥機などに適用することが可能である。
【0027】
図1~2に示すように、本実施形態で例示するミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKは、浴室Yの天井部Yaに備えられており、浴室Yの外部に備えられた熱源機Nから熱媒が循環供給されるように構成されている。ミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKは、換気運転、涼風運転、暖房運転、乾燥運転、水ミスト運転、温水ミスト運転、カビ抑制運転などが実行可能に構成されている。熱源機Nは、例えば、家庭用の給湯器などによって構成され、ミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKに熱媒を循環供給する機能に加えて、一般給湯栓などに対して湯水を供給する給湯機能などが備えられている。
【0028】
ミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKには、その運転を制御する制御部としての乾燥機用運転制御部Ckが備えられている。乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkと各種の情報が送受信可能に通信接続されている。熱源機Nには、その運転を制御する制御部として熱源機用運転制御部Cnが備えられている。熱源機用運転制御部Cnは、熱源機用リモコンRnと各種の情報が送受信可能に通信接続されている。乾燥機用リモコンRkとしては、例えば、図2に示すように、浴室Yの内部に設置される浴室用リモコンRk1と、浴室Yに隣接する脱衣室に設置される脱衣室用リモコンRk2とが備えられている。浴室用リモコンRk1と脱衣室用リモコンRk2には、主要な機能が同様に備えられている。熱源機用リモコンRnは、例えば台所又は洗面所などに設置されている。
【0029】
乾燥機用運転制御部Ckと熱源機用運転制御部Cnとは、各種の情報が送受信可能に通信接続されている。これにより、例えば浴室用リモコンRk1から乾燥機用運転制御部Ckに乾燥運転の実行が指令されると、この指令に基づいて、乾燥機用運転制御部Ckから熱源機用運転制御部Cnに乾燥運転用の熱媒要求指令が送信される。又、乾燥機用運転制御部Ckが乾燥運転を停止する場合は、乾燥機用運転制御部Ckから熱源機用運転制御部Cnに熱媒要求終了指令が送信される。
【0030】
熱源機用運転制御部Cnは、乾燥機用運転制御部Ckからの熱媒要求指令を受信すると、熱媒供給運転を実行して、加熱した熱媒(例えば、80°の熱媒)を、熱源機Nとミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKとにわたる熱媒往き管1や熱媒戻り管2などを通じてミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKに循環供給する。又、熱源機用運転制御部Cnは、乾燥機用運転制御部Ckからの熱媒要求終了指令を受信すると、熱媒供給運転を終了して、加熱した熱媒のミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKへの循環供給を終了する。
【0031】
(ミスト機能付き浴室暖房乾燥機の構成)
ミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKの構成について説明すると、図1に示すように、ミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKには、浴室Yの天井部Yaの裏側に設置されるケーシング10と、浴室Yの天井部Yaの表側に設置されるグリル板11とが備えられている。グリル板11には、浴室Yにおける浴用空間Ybの空気をケーシング10内に取り入れるための吸気口11Aが形成されている。
【0032】
ケーシング10の内部には、浴用空間Ybの空気をグリル板11の吸気口11Aからケーシング10内に取り入れて加熱した後に送風路12から浴用空間Ybに送風する温風供給手段HA、浴用空間Ybの空気をグリル板11の吸気口11Aからケーシング10内に取り入れた後に外部に排出する換気ファン13、送風路12から浴用空間Ybに送風される空気の送風方向を変更する可動ルーバ14、などが備えられている。換気ファン13には、換気ファン13にてケーシング10内に取り入れられた浴用空間Ybの空気を屋外に導く排気ダクト3が接続されている。
【0033】
温風供給手段HAには、浴用空間Ybの空気をグリル板11の吸気口11Aから吸い込んでケーシング10内に取り入れるとともに、取り入れた空気を送風路12から浴用空間Ybに送風する循環ファン15と、循環ファン15にてケーシング10内に取り入れられた浴用空間Ybの空気を加熱する空気加熱用熱交換器16とが備えられている。
【0034】
図1図3に示すように、ケーシング10の内部には、湯水をミスト状にした温水ミスト又は水ミストを浴用空間Ybに噴霧するミスト噴霧手段MSが備えられている。ミスト噴霧手段MSには、図外の上水道に接続されてミスト噴霧手段MSに対する水道水の供給を可能にする給水路20、給水路20からの給水を断続可能にする給水電磁弁21、給水電磁弁21を通じて供給される水道水を加熱するミスト用熱交換器22、ミストを発生させる複数のミストノズル23、ミスト用熱交換器22からの湯水をミストノズル23に供給する湯水供給経路24、などが備えられている。
【0035】
湯水供給経路24は、図4に示すように、ミスト用熱交換器22の出口側に接続される熱交換器側配管25、ミストノズル23が外周部から突出する状態で連接されたノズル側配管26、熱交換器側配管25とノズル側配管26とを接続する可撓性配管27、などによって形成されている。可撓性配管27には、耐熱性を有するフレキシブル配管やゴムホースなどを使用することができる。
【0036】
ノズル側配管26は、その下流側端部が塞がれた状態で、ケーシング10の内部においてグリル板11に対して平行に配置されている。各ミストノズル23は、それらの噴霧側端部23Aをグリル板11から浴用空間Ybに臨ませた状態でケーシング10内に配置されるように、ノズル側配管26の外周部に備えられている。
【0037】
ミスト噴霧手段MSは、図1に示すように、給水路20を通じてミストノズル23に供給される水道水をミスト用熱交換器22にて加熱することで、図4に示すように、温水ミストをミストノズル23の噴霧側端部23Aから浴用空間Ybに噴霧することができる。又、ミストノズル23に供給される水道水をミスト用熱交換器22にて加熱しないことで、常温の水ミストをミストノズル23の噴霧側端部23Aから浴用空間Ybに噴霧することができる。
【0038】
空気加熱用熱交換器16には、図1に示すように、熱源機Nからの熱媒が、前述した熱媒往き管1とミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKのケーシング10内に備えられた熱媒供給管30とを通じて供給される。又、空気加熱用熱交換器16からは、熱交換後の熱媒が、ミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKのケーシング10内に備えられた熱媒排出管31と前述した熱媒戻り管2とを通じて熱源機Nに戻される。熱媒供給管30には、空気加熱用熱交換器16に対する熱媒供給の断続を可能にする熱動弁32が備えられている。
【0039】
熱媒供給管30は、その熱動弁32の設置箇所よりも上流側においてミスト用熱媒供給管33が分岐されている。ミスト用熱媒供給管33は、熱媒供給管30からミスト用熱交換器22を経由して熱媒排出管31に至るように配管されている。
【0040】
ミスト用熱媒供給管33には、ミスト用熱交換器22に対する熱媒供給量を調整する電磁式の比例弁34が備えられている。比例弁34は、ミストノズル23の噴霧側端部23Aから温水ミストを噴出させる温水ミスト運転が実行される際に開操作されて、ミスト用熱交換器22への熱媒の供給を許容する。比例弁34は、湯水供給経路24を通じてミストノズル23に供給される温水の温度を検出する温水温度検出センサ(図示せず)の検出温度が目標温度(例えば、60°)になるように開度調整される。
【0041】
給水電磁弁21は、ミストノズル23の噴霧側端部23Aからミストを噴霧させる温水ミスト運転や水ミスト運転などが実行される際に開操作されて、ミスト用熱交換器22を通じたミストノズル23への湯水の供給を許容する。給水電磁弁21は、ミストノズル23に供給される湯水の流量を調整する流量調整手段として機能する。
【0042】
(乾燥機用リモコンの構成)
乾燥機用リモコンRkの構成について説明する。
尚、乾燥機用リモコンRkのうち、浴室用リモコンRk1は、浴用以外の一部の機能が省略されている以外は、脱衣室用リモコンRk2に備えられた機能と同様の機能を有していることから、以下においては、脱衣室用リモコンRk2について説明し、浴室用リモコンRk1の説明は省略する。
【0043】
図3に示すように、脱衣室用リモコンRk2には、ミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKの運転状態などを含む各種の情報を表示する液晶式の表示部40、暖房運転や乾燥運転などの実行を乾燥機用運転制御部Ckに指令する各種の運転指令スイッチ41~48、暖房運転や乾燥運転などの運転時間を設定するタイマー設定スイッチ49、可動ルーバ14の向き変更を指令する風向スイッチ50、運転の停止を指令する停止スイッチ51、などが備えられている。
【0044】
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられた各種のスイッチ41~51が操作されて、それらの操作に応じた指令が乾燥機用リモコンRkから指令されると、その指令に応じた各種の運転を実行するように構成されている。具体的には、乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkからの指令に基づいて、換気ファン13、可動ルーバ14、循環ファン15、熱動弁32、給水電磁弁21、などの制御対象機器の作動を制御して、換気運転、涼風運転、暖房運転、乾燥運転、水ミスト運転、温水ミスト運転、カビ抑制運転、などを実行するように構成されている。
【0045】
以下、図1図3などを参照して、換気運転、涼風運転、暖房運転、乾燥運転、水ミスト運転、温水ミスト運転、カビ抑制運転に関する乾燥機用運転制御部Ckの制御作動について説明する。
【0046】
(換気運転)
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられた換気運転用の運転指令スイッチ41が操作されて換気運転の実行が指令されると、循環ファン15を停止させた状態で、かつ、熱動弁32を閉じて空気加熱用熱交換器16に対する熱媒の供給を停止させた状態で、換気ファン13を作動させる換気運転を実行する。これにより、換気ファン13の作動で、浴用空間Ybの空気が屋外に排出されるとともに、この排出に応じて、浴室Y外の空気が、浴室Yのドアに備えられた通気ガラリ(図示せず)などから浴用空間Ybに流入して、浴用空間Ybの空気が入れ替えられる。
【0047】
(涼風運転)
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられた涼風運転用の運転指令スイッチ42が操作されて涼風運転の実行が指令されると、熱動弁32を閉じて空気加熱用熱交換器16に対する熱媒の供給を停止させた状態で、換気ファン13と循環ファン15とを作動させる涼風運転を実行する。これにより、換気ファン13の作動で、浴用空間Ybの空気が屋外に排出されるとともに、この排出に応じて、浴室Yの通気ガラリなどから浴室Y外の空気が浴用空間Ybに流入して補充され、かつ、循環ファン15の作動で、浴用空間Ybの空気が浴用空間Ybからケーシング10内に取り入れられた後に、涼風として送風路12から浴用空間Ybに送風される。
【0048】
(暖房運転)
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられた暖房運転用の運転指令スイッチ43が操作されて暖房運転の実行が指令されると、換気ファン13を停止させた状態で、かつ、熱動弁32を開いて熱源機Nからの熱媒を空気加熱用熱交換器16に供給させた状態で、循環ファン15を作動させる暖房運転を実行する。これにより、循環ファン15の作動で、浴用空間Ybからケーシング10内に取り入れられた浴用空間Ybの空気が、空気加熱用熱交換器16にて加熱された後に、暖房用空気として送風路12から浴用空間Ybに送風される。
【0049】
(乾燥運転)
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられた乾燥運転用の運転指令スイッチ44が操作されて乾燥運転の実行が指令されると、熱動弁32を開いて熱源機Nからの熱媒を空気加熱用熱交換器16に供給させた状態で、換気ファン13と循環ファン15とを作動させる乾燥運転を実行する。これにより、換気ファン13の作動で、浴用空間Ybの空気が屋外に排出されるとともに、この排出に応じて、浴室Yの通気ガラリなどから浴室Y外の空気が浴用空間Ybに流入して補充され、かつ、循環ファン15の作動で、浴用空間Ybからケーシング10内に取り入れられた浴用空間Ybの空気が、空気加熱用熱交換器16にて加熱された後に、乾燥用空気として送風路12から浴用空間Ybに送風される。
【0050】
(水ミスト運転)
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられた水ミスト運転用の運転指令スイッチ45が操作されて水ミスト運転の実行が指令されると、比例弁34を閉じてミスト用熱交換器22に対する熱媒の供給を停止させた状態で、給水電磁弁21を開いて、給水路20からの水道水を、ミスト用熱交換器22を通じてミストノズル23に供給する水ミスト運転を実行する。これにより、給水路20からの水道水が、ミスト用熱交換器22にて加熱されずに常温のままミストノズル23に供給され、ミストノズル23に供給された常温水が、水ミストとしてミストノズル23の噴霧側端部23Aから浴用空間Ybに噴霧される。
【0051】
(温水ミスト運転)
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられた温水ミスト運転用の運転指令スイッチ46が操作されて温水ミスト運転の実行が指令されると、比例弁34を開いて熱源機Nからの熱媒をミスト用熱交換器22に供給させた状態で、給水電磁弁21を開いて、給水路20からの水道水を、ミスト用熱交換器22を通じてミストノズル23に供給する温水ミスト運転を実行する。これにより、給水路20からの水道水が、ミスト用熱交換器22にて加熱された後に温水としてミストノズル23に供給され、ミストノズル23に供給された温水が、温水ミストとしてミストノズル23の噴霧側端部23Aから浴用空間Ybに噴霧される。つまり、温水ミスト運転用の運転指令スイッチ46を操作して、乾燥機用運転制御部Ckに温水ミスト運転を実行させることにより、温水ミストを浴びるミストサウナ浴を行うことができる。
【0052】
(カビ抑制運転)
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられたカビ抑制運転用の運転指令スイッチ47が操作されてカビ抑制運転の実行が指令されると、前述した温水ミスト運転を予め設定したミスト用運転時間が経過するまで実行し、その後、前述した乾燥運転を予め設定した乾燥用運転時間が経過するまで実行するカビ抑制運転を実行する。このカビ抑制運転を実行することにより、浴室Yに存在するカビ(菌)を死滅させることができ、浴室Yでのカビの繁殖を抑制することができる。
【0053】
水ミスト運転と温水ミスト運転について説明を加えると、乾燥機用リモコンRkは、水ミスト運転用の運転指令スイッチ45が操作されるごとに、水ミスト運転でのミスト噴霧量の「強」「弱」切り替えを乾燥機用運転制御部Ckに指令する。乾燥機用リモコンRkは、温水ミスト運転用の運転指令スイッチ46が操作されるごとに、温水ミスト運転でのミスト噴霧量の「強」「弱」切り替えを乾燥機用運転制御部Ckに指令する。
【0054】
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkからミスト噴霧量の「強」「弱」切り替えが指令されると、指令された「強」又は「弱」のミスト噴霧量に応じた湯水の必要流量を目標流量とし、湯水供給経路24を通じてミストノズル23に供給される湯水の流量を検出する湯水流量検出センサ(図示せず)の検出流量が目標流量になるように、給水電磁弁21の開度を調整する。
【0055】
つまり、水ミスト運転と温水ミスト運転においては、ミスト噴霧量を「強」と「弱」の2段階に切り替えることができる。これにより、ユーザが水ミスト運転又は温水ミスト運転によるミスト浴を行う場合には、乾燥機用リモコンRkに備えられた水ミスト運転用の運転指令スイッチ45又は温水ミスト運転用の運転指令スイッチ46を操作することにより、ミスト浴でのミスト噴霧量を、好みなどに応じて「強」と「弱」のいずれかを選ぶことができる。
【0056】
上記のように、本実施形態で例示するミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKにおいては前述した水ミスト運転と温水ミスト運転とが実行可能に構成されていることにより、これらのミスト運転で使用する水道水に含まれている塩素やカルシウムなどの不純物が多い場合に、それらの不純物が白い異物としてグリル板11の内面11B側に溜ることがある。例えば、温水ミスト運転や水ミスト運転の実行後は少なからず水滴がグリル板11の内面11B側に付着していることから、温水ミスト運転や水ミスト運転の実行後に十分な換気運転が行われなかった場合には、水滴に含まれている不純物が石灰化した白い異物としてグリル板11の内面11B側に溜ることになる。
【0057】
そこで、本実施形態で例示するミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKは、前述した換気運転、涼風運転、暖房運転、乾燥運転、水ミスト運転、温水ミスト運転、カビ抑制運転に加えて、ミストノズル23に洗浄水を供給して、ミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて洗浄水ミストを噴霧させてグリル板11の内面11B側を洗浄するグリル内面洗浄運転が実行可能に構成されている。
【0058】
以下、図4~5を参照してグリル内面洗浄運転を実行可能にするための構成について説明する。
【0059】
図4~5に示すように、ケーシング10の内部には、湯水供給経路24を通じてミストノズル23に供給される湯水に対する洗浄液の混入を可能にする洗浄液混入手段60、ミストノズル23を揺動させるミストノズル揺動手段70、ミストノズル23を上下方向に移動させるミストノズル移動手段80などが備えられている。
【0060】
洗浄液混入手段60には、洗浄液を貯留する洗浄液貯留部61、洗浄液貯留部61を湯水供給経路24の熱交換器側配管25に接続する洗浄液供給管62、湯水に対する洗浄液の混入量を調整する電磁式の洗浄用比例弁63が備えられている。洗浄用比例弁63は、グリル内面洗浄運転が実行される際に開操作されて、グリル内面洗浄運転の実行中にミストノズル23に供給される湯水に洗浄液を混入する。洗浄用比例弁63は、グリル内面洗浄運転が終了される際に閉操作されて、湯水に対する洗浄液の混入を停止する。洗浄用比例弁63は、前述した湯水流量検出センサの検出流量に応じて開度が調整される。
【0061】
ミストノズル揺動手段70には、湯水供給経路24のノズル側配管26をその菅中心周りに回転自在に支持する支持ユニット71、ミストノズル23の揺動を可能にするノズル揺動用の電動モータ72、などが備えられており、これにより、ミストノズル揺動手段70はモータ駆動式に構成されている。ノズル揺動用の電動モータ72は、支持ユニット71に支持されている。ミストノズル揺動手段70は、グリル内面洗浄運転が実行されると、ノズル揺動用の電動モータ72の駆動が制御される。そして、これに連動して、ノズル側配管26がその菅中心周りに回転するとともに、その回転方向が所定周期で切り替えられることにより、ノズル側配管26の外周部に備えられたミストノズル23が、図5の(b)にて矢印で示すように、所定の浴用ミスト噴霧姿勢を起点にして所定範囲で揺動する。
【0062】
ミストノズル移動手段80には、ミストノズル23の上下方向への昇降移動を可能にする昇降ユニット81、昇降ユニット81を駆動させてミストノズル23を昇降させるノズル昇降用の電動モータ82、などが備えられており、これにより、ミストノズル移動手段80はモータ駆動式に構成されている。ミストノズル移動手段80は、グリル内面洗浄運転が実行されると、ノズル昇降用の電動モータ82の駆動が制御される。そして、これに連動して、昇降ユニット81が、支持ユニット71やミストノズル揺動手段70とともに、ミストノズル23が備えられたノズル側配管26を所定の浴用ミスト噴霧位置(図5の(a)参照)とグリル内面洗浄位置(図5の(b)参照)とにわたって移動させて、それらの位置を浴用ミスト噴霧位置又はグリル内面洗浄位置に切り替える。
【0063】
浴用ミスト噴霧位置は、図5の(a)に示すように、ノズル側配管26に備えられたミストノズル23の噴霧側端部23Aがグリル板11の外面11Cと面一になる位置に設定されている。グリル内面洗浄位置は、図5の(b)に示すように、ノズル側配管26に備えられたミストノズル23の噴霧側端部23Aがグリル板11の内面11Bから所定距離を隔てたケーシング10内の洗浄適正位置に位置するように設定されている。
【0064】
尚、浴用ミスト噴霧位置は、ミストノズル23の噴霧側端部23Aがグリル板11の外面11Cよりも浴用空間Yb側(機体外側)に位置するように設定されていてもよい。
【0065】
図4~5に示すように、ミストノズル揺動手段70の支持ユニット71には、ノズル側配管26を回転自在に支持するベアリングやブッシュなどの支承部材(図示せず)が備えられている。ミストノズル揺動手段70には、ノズル揺動用の電動モータ72にて駆動される駆動ギヤ73と、駆動ギヤ73と噛み合う従動ギヤ74とが備えられている。従動ギヤは、ノズル側配管26の外周部における支持ユニット71の支持位置に近い安定した位置に一体的に備えられている。
【0066】
尚、ミストノズル揺動手段70の構成としては種々の変更が可能であり、前述したモータ駆動式に代えて、例えば、電動シリンダの出退操作で、ノズル側配管26をその菅中心周りに所定範囲で正逆回転させることにより、ミストノズル23を所定範囲で揺動させるシリンダ駆動式に構成されていてもよい。
【0067】
ミストノズル移動手段80の昇降ユニット81には、ノズル昇降用の電動モータ82にて駆動される駆動スプロケットや駆動プーリなどの駆動回転体83、駆動回転体83と所定距離を隔てて配置された従動スプロケットや従動プーリなどの従動回転体84、それらの回転体83,84にわたって掛け渡された無端チェーンや無端ベルトなどの無端回動帯85、無端回動帯85の内周側を案内支持するガイドレール86、などが備えられている。無端回動帯85における外周側の所定位置には、支持ユニット71を昇降可能に支持する支持部材87が取り付けられている。
【0068】
尚、ミストノズル移動手段80の構成としては種々の変更が可能であり、前述したモータ駆動式に代えて、例えば、電動シリンダの出退動作で、支持ユニット71やミストノズル揺動手段70とともにミストノズル23が備えられたノズル側配管26を所定の浴用ミスト噴霧位置とグリル内面洗浄位置とにわたって移動させて、それらの位置を浴用ミスト噴霧位置又はグリル内面洗浄位置に切り替えるシリンダ駆動式に構成されていてもよい。
【0069】
又、本実施形態では、図4に示すように、熱交換器側配管25とノズル側配管26とを可撓性配管27にて接続することで、浴用ミスト噴霧位置とグリル内面洗浄位置とにわたるミストノズル23の移動を可能にしているが、これに代えて、例えば、図6に示すように、浴用ミスト噴霧位置に配置したミスト運転用配管35と、グリル内面洗浄位置に配置した洗浄運転用配管36とに対するミストノズル23側の接続管37の脱着で前述したミストノズル23の移動を可能にしてもよい。
尚、図6の(a)には、ミストノズル23を浴用ミスト噴霧位置に位置させた状態で、ミストノズル23側の接続管37をミスト運転用配管35に接続させた状態が示されている。図6の(b)には、ミストノズル23を浴用ミスト噴霧位置に位置させた状態で、ミストノズル23側の接続管37とミスト運転用配管35との接続を解除した状態が示されている。図6の(c)には、ミストノズル23をグリル内面洗浄位置に位置させた状態で、ミストノズル23側の接続管37を洗浄運転用配管36に接続させた状態が示されている。
【0070】
図6に示すミストノズル移動手段80の構成について説明を加えると、このミストノズル移動手段80には、ミスト運転用配管35と洗浄運転用配管36に対する接続管37の脱着を可能にする電動シリンダ88が備えられている。電動シリンダ88は、ミストノズル23や接続管37とともに、昇降ユニット81の作動で浴用ミスト噴霧位置とグリル内面洗浄位置とにわたって移動する。電動シリンダ88は、グリル内面洗浄運転が実行されると、ミストノズル23の浴用ミスト噴霧位置(図6の(a)参照)からグリル内面洗浄位置(図6の(c)参照)への移動が開始される前に、図6の(b)の実線矢印で示すように、ミストノズル23側の接続管37をミスト運転用配管35から引き離してミスト運転用配管35との接続を解除することで、図6の(b)の破線矢印で示すように、ミストノズル23の浴用ミスト噴霧位置からグリル内面洗浄位置への移動を可能にする。そして、ミストノズル23のグリル内面洗浄位置への移動後は、図6の(c)の実線矢印で示すように、ミストノズル23側の接続管37を洗浄運転用配管36に押しはめて洗浄運転用配管36に接続することで、グリル内面洗浄位置のミストノズル23に対する洗浄水の供給を可能にする。
【0071】
尚、図6に示す構成においては、洗浄運転用配管36に前述した洗浄液混入手段60が備えられている。又、湯水供給経路24とミスト運転用配管35と洗浄運転用配管36との接続箇所に、湯水供給経路24からの湯水をミスト運転用配管35に供給する状態と、洗浄運転用配管36に供給する状態とに切り替える切替弁38が備えられている。
【0072】
次に、図1図3などを参照して、グリル内面洗浄運転に関する乾燥機用運転制御部Ckの制御作動について説明する。
【0073】
乾燥機用運転制御部Ckは、乾燥機用リモコンRkに備えられたグリル内面洗浄運転用の運転指令スイッチ48が操作されてグリル内面洗浄運転の実行が指令された場合にグリル内面洗浄運転の実行が可能になる。
【0074】
乾燥機用リモコンRkには、乾燥機用運転制御部Ckの判断でグリル内面洗浄運転を自動的に実行させる自動モードの選択を可能にする自動モード選択スイッチ52が備えられている。乾燥機用運転制御部Ckは、自動モード選択スイッチ52が操作されてグリル内面洗浄運転の自動モードが選択されると、グリル板11の汚れ具合を評価する汚れ具合評価手段90にて評価されたグリル板11の汚れ具合が所定の閾値に達した場合にグリル内面洗浄運転の実行が可能になる。
【0075】
汚れ具合評価手段90には、図1に示すように、グリル板11の汚れの原因となるミストノズル23に供給される水道水の含有不純物に応じて変動する水道水の導電率を測定する導電率測定器91と、導電率測定器91の測定結果に基づいてグリル板11の汚れ具合を評価する汚れ具合評価部92とが含まれている。導電率測定器91は給水路20に備えられている。汚れ具合評価部92は、乾燥機用運転制御部Ckに備えられたプロセッサなどのハードウェアや制御プログラムなどのソフトウェアにて構築されている。
【0076】
汚れ具合評価部92は、前述した水ミスト運転又は温水ミスト運転の実行中に導電率測定器91にて測定された水道水の導電率を所定時間ごとに取得するとともに、取得した導電率を累積する。そして、この累積値をグリル板11の汚れ具合とし、累積値が所定の閾値に達した場合に、グリル板11の内面11B側に白い異物が溜り始めていると推定してグリル内面洗浄運転の実行を可能にする。
【0077】
尚、汚れ具合の評価方法に関しては種々の変更が可能であり、例えば、前述した水ミスト運転又は温水ミスト運転の実行中に導電率測定器91にて測定された水道水の導電率を所定時間ごとに取得し、取得した導電率が所定の閾値を超えているか否かを判別するとともに、所定の閾値を超えている導電率の取得回数をカウントする。そして、カウントした取得回数が設定回数(例えば10回)に達した場合に、グリル板11の内面11B側に白い異物が溜り始めていると推定してグリル内面洗浄運転の実行を可能にするようにしてもよい。
【0078】
グリル板11には、図1に示すように、浴用空間Ybでの人の存否を検知する人感検知器95が備えられている。人感検知器95には、赤外線式や超音波式の人感センサなどが使用されている。乾燥機用運転制御部Ckは、人感検知器95にて浴用空間Ybでの人の存在が検知された場合にグリル内面洗浄運転の実行を禁止する。
【0079】
以上の通り、乾燥機用運転制御部Ckが実行するミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKの運転制御には、グリル内面洗浄運転を実行するための条件が成立しているか否かを判別するための実行条件成立判別制御が含まれている。
【0080】
以下、図7に示す実行条件成立判別制御のフローチャートに基づいて、実行条件成立判別制御での乾燥機用運転制御部Ckの制御作動について説明する。
【0081】
乾燥機用運転制御部Ckは、先ず、グリル内面洗浄運転の自動モードが選択されているか否かを判別する自動モード選択判別処理を行う(ステップ#1)。そして、この自動モード選択判別処理にて自動モードが選択されている場合(Yesの場合)は、汚れ具合評価手段90の評価結果に基づいて、グリル板11の汚れ具合が所定の閾値に達した否かを判別する汚れ具合判別処理を行う(ステップ#2)。
【0082】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#1の自動モード選択判別処理にて自動モードが選択されていない場合(Noの場合)、又は、ステップ#2の汚れ具合判別処理にて汚れ具合が所定の閾値に達していない場合(Noの場合)は、グリル内面洗浄運転用の運転指令スイッチ48にてグリル内面洗浄運転の実行が指令されたか否かを判別する手動実行指令判別処理を行う(ステップ#3)。そして、手動実行指令判別処理にてグリル内面洗浄運転の実行が指令されていない場合(Noの場合)は、グリル内面洗浄運転を実行するための条件が成立していないと判別して通常の運転制御に戻る。
【0083】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#2の汚れ具合判別処理にてグリル板11の汚れ具合が所定の閾値に達している場合(Yesの場合)、又は、ステップ#3の手動実行指令判別処理にてグリル内面洗浄運転の実行が指令されている場合(Yesの場合)は、人感検知器95にて浴用空間Ybでの人の存在が検知されているか否かを判別する人検知判別処理を行う(ステップ#4)。
【0084】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#4の人検知判別処理にて人の存在が検知されている場合(Yesの場合)は、グリル板11の汚れ具合が所定の閾値に達している、又は、グリル内面洗浄運転用の運転指令スイッチ48にてグリル内面洗浄運転の実行が指令されていても、グリル内面洗浄運転を実行するための条件が成立していないと判別して、グリル内面洗浄運転の実行を禁止する洗浄運転禁止処理を行い(ステップ#5)、その後、通常の運転制御に戻る。
【0085】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#4の人検知判別処理にて人の存在が検知されていない場合(Noの場合)は、グリル内面洗浄運転を実行するための条件が成立していると判別して、グリル内面洗浄運転を実行させる洗浄運転実行処理を行い(ステップ#6)、その後、通常の運転制御に戻る。
【0086】
次に、図8に示すグリル内面洗浄運転のフローチャートに基づいて、グリル内面洗浄運転での乾燥機用運転制御部Ckの制御作動について説明する。
【0087】
乾燥機用運転制御部Ckは、先ず、ノズル昇降用の電動モータ82に対する制御作動を実行して昇降ユニット81を作動させることで、図5に示すように、ミストノズル移動手段80にて、支持ユニット71やミストノズル揺動手段70とともにミストノズル23が備えられたノズル側配管26を浴用ミスト噴霧位置(図5の(a)参照)からグリル内面洗浄位置(図5の(b)参照)に移動させて、それらの位置をグリル内面洗浄位置に切り替える洗浄用ミスト位置切替処理を行う(ステップ#11)。
これにより、ノズル側配管26に備えられたミストノズル23を、支持ユニット71やミストノズル揺動手段70とともにグリル内面洗浄位置に位置させることができ、ミストノズル23の噴霧側端部23Aを、グリル板11の内面11Bから所定距離を隔てたケーシング10内の洗浄適正位置に位置させることができる。
【0088】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#11の洗浄用ミスト位置切替処理を行った後、図4に示すように、給水電磁弁21と洗浄用比例弁63とを開操作して、給水路20からの水道水に洗浄液を混入させた混合水を洗浄水としてミストノズル23に供給する洗浄水供給処理を行う(ステップ#12)。
これにより、ミストノズル23に供給される洗浄水を、グリル板11の内面11Bから所定距離を隔てたミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて洗浄水ミストとして適切に噴霧させることができ、グリル板11の内面11B側を洗浄することができる。
【0089】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#12の洗浄水供給処理とともに、給水電磁弁21の開度を、水ミスト運転用の運転指令スイッチ45又は温水ミスト運転用の運転指令スイッチ46にてミスト噴霧量が「強」に設定された場合と同じ開度に調整することで、給水電磁弁21にて調整される水道水の流量を多くして、ミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて噴霧される洗浄水ミストの噴霧量を増加させる噴霧量増加処理を行う(ステップ#13)。
これにより、噴霧量が増加された洗浄水ミストを、ケーシング10内の洗浄適正位置に位置するミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて強力に噴霧させることができ、グリル板11の内面11B側をより強力に洗浄することができる。
【0090】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#12の洗浄水供給処理やステップ#13の噴霧量増加処理とともに、図5の(b)に示すように、ノズル揺動用の電動モータ72に対する制御作動を実行して、ミストノズル揺動手段70にて、ミストノズル23を所定の浴用ミスト噴霧姿勢を起点にしてノズル側配管26の菅中心周りで揺動させるミストノズル揺動処理を行う(ステップ#14)。
これにより、ミストノズル23の噴霧側端部23Aから噴霧される洗浄水ミストがグリル板11の内面11B側に対してより広範囲に及ぶようになり、洗浄水ミストによるグリル板11の内面11B側に対する洗浄をより広範囲で行うことができる。
【0091】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#12~14の各処理を行うことで洗浄水ミストによるグリル板11の内面11B側の洗浄が開始されると、洗浄の開始から所定時間(例えば5分)が経過したか否かを判別する時間経過判別処理を行い(ステップ#15)、所定時間が経過していない場合(Noの場合)はステップ#15の時間経過判別処理に戻る。
これにより、所定時間が経過するまでの間、洗浄水ミストによるグリル板11の内面11B側に対する洗浄が継続される。
【0092】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#15の時間経過判別処理にて所定時間が経過した場合(Yesの場合)は、給水電磁弁21と洗浄用比例弁63とを閉操作して、ミストノズル23への洗浄水の供給を停止する洗浄水供給停止処理を行う(ステップ#16)。
これにより、ミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けた洗浄水ミストの噴霧が停止される。
【0093】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#16の洗浄水供給停止処理とともに、ノズル揺動用の電動モータ72に対する制御作動で、ミストノズル23が所定の浴用ミスト噴霧姿勢にて揺動停止するようにノズル揺動用の電動モータ72を停止させて、ミストノズル揺動手段70によるミストノズル23の揺動を停止させるミストノズル揺動停止処理を行う(ステップ#17)。
【0094】
乾燥機用運転制御部Ckは、ステップ#16の洗浄水供給停止処理とステップ#17のミストノズル揺動停止処理とを行った後、ノズル昇降用の電動モータ82に対する制御作動を実行して昇降ユニット81を作動させることで、図5に示すように、ミストノズル移動手段80にて、支持ユニット71やミストノズル揺動手段70とともにミストノズル23が備えられたノズル側配管26をグリル内面洗浄位置(図5の(b)参照)から浴用ミスト噴霧位置(図5の(a)参照)に移動させて、それらの位置を浴用ミスト噴霧位置に切り替える浴用ミスト位置切替処理を行い(ステップ#18)、その後、通常の運転制御に戻る。
これにより、ノズル側配管26に備えられたミストノズル23を、支持ユニット71やミストノズル揺動手段70とともに浴用ミスト噴霧位置に位置させることができ、ミストノズル23の噴霧側端部23Aを、グリル板11の外面11Cと面一に位置させることができる。
【0095】
以上の通り、本実施形態で例示するミスト機能付き浴室暖房乾燥機DKは、水ミスト運転や温水ミスト運転においては、図5の(a)に示すように、乾燥機用運転制御部Ckが、ミストノズル移動手段80にてミストノズル23を浴用ミスト噴霧位置に位置させることにより、ミストノズル23の噴霧側端部23Aから浴用空間Ybに向けて噴霧される水ミスト又は温水ミストを、ケーシング10にて遮られることなく好適に浴用空間Ybに噴霧させることができる。これにより、ミストノズル23を浴用ミスト噴霧位置とグリル内面洗浄位置とに移動可能にしてグリル板11の洗浄に利用する構成としながらも、水ミスト運転又は温水ミスト運転で得られる本来のミスト効果を確保することができる。
【0096】
一方、グリル内面洗浄運転においては、図5の(b)に示すように、乾燥機用運転制御部Ckが、ミストノズル移動手段80にてミストノズル23をグリル内面洗浄位置に位置させることにより、グリル板11の内面11Bから所定距離を隔てたケーシング10内の洗浄適正位置に位置するミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて洗浄水ミストを噴霧させることができる。
【0097】
更に、グリル内面洗浄運転においては、乾燥機用運転制御部Ckが、噴霧量増加処理にてミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて噴霧される洗浄水ミストの噴霧量を増加させることにより、グリル板11の内面11B側をより強力に洗浄することができる。
【0098】
しかも、グリル内面洗浄運転においては、乾燥機用運転制御部Ckが、ミストノズル揺動処理にてグリル内面洗浄位置のミストノズル23を揺動させることにより、ミストノズル23の噴霧側端部23Aから噴霧される洗浄水ミストがグリル板11の内面11B側に対してより広範囲に及ぶようになる。
【0099】
つまり、グリル内面洗浄運転においては、洗浄適正位置に位置するミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて、噴霧量が増加された洗浄水ミストを、グリル板11における内面11B側の広範囲に及ぶように噴霧させることができる。
【0100】
これにより、グリル板11における内面11B側の広範囲を、噴霧量が増加された洗浄水ミストにて強力に洗浄することができ、この洗浄により、グリル板11の内面11B側に溜っている水道水の含有不純物に起因した白い異物を効果的に取り除くことができる。
【0101】
その結果、水ミスト運転や温水ミスト運転においては、それらで得られる本来のミスト効果を確保しつつ、グリル内面洗浄運転の実行で、グリル板11の内面11B側に溜っている白い異物が取り除かれることにより、グリル板11の内面11B側に白い異物が溜ることに起因して、例えば、その白い異物が入浴中のユーザに向けて落下することなどにより、ユーザに不快感を与える恐れを回避することができる。
【0102】
これに加えて、本実施形態で例示するミスト機能付き浴室暖房乾燥機は、前述したように、乾燥機用リモコンRkの自動モード選択スイッチ52が操作されてグリル内面洗浄運転の自動モードが選択されると、乾燥機用運転制御部Ckが、汚れ具合評価手段90にて評価されたグリル板11の汚れ具合が所定の閾値に達した場合にグリル内面洗浄運転を実行するように構成されている。
【0103】
これにより、グリル板11の内面11B側に白い異物が溜り始めた好適なタイミングで自動的にグリル内面洗浄運転を実行させることができ、グリル板11の内面11B側に溜っている白い異物を効率良く取り除くことができる。
【0104】
更に、本実施形態で例示するミスト機能付き浴室暖房乾燥機は、前述したように、人感検知器95にて浴用空間Ybでの人の存在が検知された場合は、乾燥機用運転制御部Ckがグリル内面洗浄運転の実行を禁止するように構成されている。
【0105】
これにより、例えば、浴室用リモコンRk1に備えられたグリル内面洗浄運転用の運転指令スイッチ48(図3参照)の誤操作でグリル内面洗浄運転の実行が指令された場合には、その運転指令スイッチ48を誤操作した人物の浴用空間Ybでの存在が人感検知器95にて検知されることから、この検知に基づいて乾燥機用運転制御部Ckがグリル内面洗浄運転の実行を禁止する。
【0106】
又、例えば、前述したグリル内面洗浄運転の自動モードが選択されている場合において、水ミスト運転又は温水ミスト運転の実行中にグリル板11の汚れ具合が所定の閾値に達しても、浴用空間Ybに人が居る間は、その存在が人感検知器95にて検知されることから、この検知に基づいて乾燥機用運転制御部Ckがグリル内面洗浄運転の実行を禁止する。
【0107】
その結果、例えば、入浴中の前述した誤操作や、水ミスト運転又は温水ミスト運転の実行中にグリル板11の汚れ具合が所定の閾値に達することなどに起因して、浴用空間Ybにユーザが居るにもかかわらず、グリル内面洗浄運転が実行されることで、洗浄水ミストや、グリル板11の内面11B側から取り除かれた白い異物が浴用空間Ybに居るユーザに降りかかる恐れを回避することができる。
【0108】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0109】
(1)上記の実施形態においては、グリル内面洗浄運転の洗浄水供給処理(図8のステップ#12参照)にて、給水路20からの水道水に洗浄液を混入させた混合水を洗浄水としてミストノズル23に供給するようにしたが、これに限らず、例えば、給水路20からの水道水を加熱した後に洗浄液を混入させた混合温水を洗浄水としてミストノズル23に供給するようにしてもよい。
又、給水路20からの水道水、又は、給水路20からの水道水を加熱した温水を洗浄水としてミストノズル23に供給するようにしてもよい。
更に、洗浄水として、前述した水道水、温水、水道水と洗浄液との混合水、温水と洗浄液との混合温水、から選択可能にしてもよい。
【0110】
(2)上記の実施形態においては、グリル内面洗浄運転にて噴霧量増加処理(図8のステップ#13参照)を行うようにしたが、これに限らず、例えば、噴霧量増加処理に代えて、給水電磁弁21の開度を、水ミスト運転用の運転指令スイッチ45又は温水ミスト運転用の運転指令スイッチ46にてミスト噴霧量が「強」に設定された場合の開度と、ミスト噴霧量が「弱」に設定された場合の開度とに、所定時間ごとに切り替えることで、ミストノズル23の噴霧側端部23Aからグリル板11に向けて噴霧される洗浄水ミストの噴霧量を所定時間ごとに「強」と「弱」とに切り替える噴霧量切替処理を行うようにしてもよい。
又、グリル内面洗浄運転での洗浄水ミストの噴霧量を、水ミスト運転用の運転指令スイッチ45又は温水ミスト運転用の運転指令スイッチ46の操作による「強(多い)」と「弱(少ない)」の選択式にしてもよい。
【0111】
(3)上記の実施形態においては、グリル内面洗浄運転にてグリル板11の洗浄を開始してから所定時間の経過後に、給水電磁弁21と洗浄用比例弁63とを閉操作して、ミストノズル23への洗浄水の供給を停止する洗浄水供給停止処理(図8のステップ#16参照)を行うようにしたが、これに限らず、例えば、洗浄水供給停止処理に代えて、先に洗浄用比例弁63を閉操作する洗浄液混入停止処理を行い、洗浄液混入停止処理から所定時間の経過後に給水電磁弁21を閉操作する給水停止処理を行うようにしてもよい。
このようにすると、ミストノズル23内などに残留する洗浄水(水道水と洗浄液との混合水)や、グリル板11の内面11B側に付着した洗浄水などを、給水路20からの水道水にて洗い流すことができる。
【0112】
(4)上記の実施形態においては、グリル内面洗浄運転にて浴用ミスト位置切替処理(図8のステップ#18参照)を行った後、通常の運転制御に戻るようにしたが、これに限らず、例えば、浴用ミスト位置切替処理を行った後、前述した乾燥運転を予め設定した乾燥用運転時間が経過するまで実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 ケーシング
11 グリル板
11B 内面
11C 外面
21 給水電磁弁(流量調整手段)
23 ミストノズル
23A 噴霧側端部
70 ミストノズル揺動手段
80 ミストノズル移動手段
90 汚れ具合評価手段
95 人感検知器
Ck 乾燥機用運転制御部(制御部)
Y 浴室
Yb 浴用空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8