(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013152
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】電力管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240124BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240124BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240124BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240124BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240124BHJP
B60L 53/51 20190101ALI20240124BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20240124BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20240124BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20240124BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20240124BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240124BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J13/00 301A
H02J7/00 P
H02J7/35 A
H02J7/35 J
B60L53/51
B60L53/53
B60L53/68
G16Y20/30
G16Y40/35
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115129
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】地田 祐太
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC08
5G064CB06
5G064CB10
5G064DA03
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA06
5G503BB01
5G503DA07
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BC24
5H125BE02
5H125CA18
5H125CC04
(57)【要約】
【課題】複数の建物間において、太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を確保することができる電力管理システムを得る。
【解決手段】電力管理システム10は、建物14の敷地内に設置された駐車スペース66に設けられた放電スタンド70と、被供給側情報取得部56を備えたデータサーバ16とを備えており、被供給側情報取得部56は、駐車スペース66の空き時間情報を含む被供給側情報を取得する。そして、被供給側情報を送信された建物12の使用者が、駐車スペース66に電気自動車26を駐車することで、放電スタンド70を介して電気自動車26のバッテリパック28に蓄積された電力を建物14側に供給することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の建物に設置されると共に太陽光で発電可能な太陽光発電装置と、
前記第1の建物に設置されると共に前記太陽光発電装置で発電された電力を蓄積可能な蓄電装置と、
通常時において前記第1の建物の敷地内に駐車された電気自動車に搭載された蓄電部と、
前記電気自動車と前記第1の建物との間に介在し、当該第1の建物側から前記蓄電部への電力の供給又は当該蓄電部から当該第1の建物側への電力の供給が可能な充放電装置と、
第2の建物の敷地内に設置された駐車スペースに設置されると共に、当該駐車スペースに停められた前記電気自動車の前記蓄電部から前記第2の建物側への電力の供給が可能な放電装置と、
前記駐車スペースの空き時間情報を含む被供給側情報を取得する被供給側情報取得部を備えると共に前記第1の建物の使用者に当該被供給側情報を送信可能とされたデータサーバと、
を有する電力管理システム。
【請求項2】
前記被供給側情報取得部は、複数の前記第2の建物において当該第2の建物の位置を前記被供給側情報として取得可能とされ、
前記データサーバは、
複数の前記第1の建物において当該第1の建物の位置を含む供給側情報を取得可能とされた供給側情報取得部と、
前記供給側情報と前記被供給側情報とに基づき前記第2の建物に対して電力を供給する前記電気自動車を選定し、前記使用者に対して当該被供給側情報を送信可能とされた選定部と、
をさらに有する、
請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記供給側情報には、前記使用者の前記電気自動車による移動時の目的地情報が含まれる、
請求項2に記載の電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ホームエネルギー管理システムに関する発明が開示されている。このホームエネルギー管理システムでは、太陽光発電装置によって得られた電力が余剰となった場合、この電力は、建物の分電盤と接続された蓄電池や電気自動車の車両用蓄電池に蓄えられるようになっている。そして、蓄電池や車両用蓄電池に蓄えられた電力は、太陽光発電装置が発電できない夜間等において、建物内の負荷に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽光発電装置が発電できない状態において、蓄電池及び車両用蓄電池の一方によって、建物内の負荷への電力供給を賄うことができる場合には、蓄電池及び車両用蓄電池の他方に蓄えられた電力は、余剰電力となることが考えられる。
【0005】
一方で、太陽光発電装置を備えていない建物では、そもそも太陽光による発電ができないため、使用する電力の大部分を送電施設から供給される電力で賄う必要がある。
【0006】
この点、電力の有効利用の観点では、太陽光発電装置を備えている建物で発生した太陽光発電装置による余剰電力を、太陽光発電装置を備えていない建物に供給できることが好ましい。そして、太陽光発電装置を備えている建物から太陽光発電装置を備えていない建物に電力を供給するには、電力を供給する経路を確保することが必要となる。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、複数の建物間において、太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を確保することができる電力管理システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る電力管理システムは、第1の建物に設置されると共に太陽光で発電可能な太陽光発電装置と、前記第1の建物に設置されると共に前記太陽光発電装置で発電された電力を蓄積可能な蓄電装置と、通常時において前記第1の建物の敷地内に駐車された電気自動車に搭載された蓄電部と、前記電気自動車と前記第1の建物との間に介在し、当該第1の建物側から前記蓄電部への電力の供給又は当該蓄電部から当該第1の建物側への電力の供給が可能な充放電装置と、第2の建物の敷地内に設置された駐車スペースに設置されると共に、当該駐車スペースに停められた前記電気自動車の前記蓄電部から前記第2の建物側への電力の供給が可能な放電装置と、前記駐車スペースの空き時間情報を含む被供給側情報を取得する被供給側情報取得部を備えると共に前記第1の建物の使用者に当該被供給側情報を送信可能とされたデータサーバと、を有している。
【0009】
第1の態様に係る電力管理システムでは、第1の建物に太陽光で発電可能な太陽光発電装置が設置されており、昼間等の太陽光発電装置が発電可能な時間帯において、太陽光発電装置によって発電された電力を第1の建物内の負荷に供給することができる。
【0010】
また、本態様では、第1の建物に蓄電装置が設置されており、太陽光発電装置が発電可能な時間帯において、太陽光発電装置で発電された電力が余った場合には、蓄電装置に当該電力の一部を蓄積させることができる。このため、夜間等の太陽光発電装置が発電不可能な時間帯において、蓄電装置に蓄積された電力を第1の建物内の負荷に供給することができる。
【0011】
さらに、本態様では、通常時において、第1の建物の敷地内に電気自動車が駐車されており、この電気自動車と第1の建物との間には、充放電装置が介在している。そして、充放電装置は、第1の建物側から電気自動車に搭載された蓄電部への電力の供給又は蓄電部から第1の建物側への電力の供給が可能とされている。このため、太陽光発電装置が発電可能な時間帯において、太陽光発電装置で発電された電力が余った場合には、蓄電部に当該電力の一部を蓄積させることができる。そして、太陽光発電装置が発電不可能な時間帯において、蓄電部に蓄積された電力を第1の建物内の負荷に供給することができる。
【0012】
ところで、太陽光発電装置が発電できない状態において、蓄電装置に蓄積された電力のみによって、第1の建物内の負荷への電力供給を賄うことができる場合には、電気自動車の蓄電部に蓄えられた電力が余剰電力となることが考えられる。この点、電力の有効利用の観点では、この余剰電力を、太陽光発電装置を備えていない建物に供給できることが好ましい。
【0013】
ここで、本態様では、第2の建物の敷地内に設置された駐車スペースに放電装置が設けられている。また、本態様では、被供給側情報取得部を備えたデータサーバを備えており、被供給側情報取得部は、駐車スペースの空き時間情報を含む被供給側情報を取得する。そして、データサーバは、被供給側情報を第1の建物の使用者に送信する。
【0014】
このため、本態様では、第1の建物の使用者が、第2の建物の駐車スペースが空いている時間帯を把握することができる。そして、第2の建物の駐車スペースがあいているときに、第1の建物の使用者が電気自動車を運転して、この駐車スペースに電気自動車を駐車し、放電装置を介して電気自動車の蓄電部に蓄積された電力を第2の建物側に供給することができる。すなわち、本態様では、蓄電部が搭載された電気自動車を第1の建物側から第2の建物側への電力輸送に用いることができる。
【0015】
第2の態様に係る電力供給システムは、第1の態様に係る電力管理システムにおいて、前記被供給側情報取得部は、複数の前記第2の建物において当該第2の建物の位置を前記被供給側情報として取得可能とされ、前記データサーバは、複数の前記第1の建物において当該第1の建物の位置を含む供給側情報を取得可能とされた供給側情報取得部と、前記供給側情報と前記被供給側情報とに基づき前記第2の建物に対して電力を供給する前記電気自動車を選定し、当該電気自動車の使用者に対して当該被供給側情報を送信可能とされた選定部と、をさらに有している。
【0016】
第2の態様に係る電力管理システムでは、被供給側情報取得部が、複数の第2の建物において、第2の建物の位置を被供給側情報として取得することができる。また、データサーバは、供給側情報取得部と、選定部とを有している。
【0017】
供給側情報取得部は、複数の第1の建物において、第1の建物の位置を含む供給側情報を取得することができる。一方、選定部は、供給側情報と被供給側情報とに基づき、第2の建物に対して電力を供給する電気自動車を選定し、当該電気自動車の使用者に対して当該被供給側情報を送信することができる。
【0018】
このため、本態様では、データサーバによって、例えば、複数の第1の建物と複数の第2の建物との組み合わせにおいて、最も近い第1の建物と第2の建物とを選定し、当該第1の建物の敷地内に駐車された電気自動車の使用者に第2の建物側への電力の供給を促すことができる。
【0019】
第3の態様に係る電力管理システムは、第2の態様に係る電力管理システムにおいて、前記供給側情報には、前記使用者の前記電気自動車による移動時の目的地情報が含まれる。
【0020】
第3の態様に係る電力管理システムでは、データサーバの供給側情報取得部で取得される供給側情報に、電気自動車の使用者の電気自動車による移動時の目的地情報が含まれる。
【0021】
このため、本態様では、データサーバによって、例えば、電気自動車の使用者の電気自動車による移動時の目的地から最も近い第2の建物を電力が供給される建物に設定することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、第1の態様に係る電力管理システムでは、複数の建物間において、太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を確保することができるという優れた効果を有する。
【0023】
第2の態様に係る電力管理システムでは、太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を短縮することができるという優れた効果を有する。
【0024】
第3の態様に係る電力管理システムでは、電気自動車の使用者の目的地に応じて太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を設定することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係る電力管理システムにおける第1の建物側の構成を模式的に示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る電力管理システムにおける第2の建物側の構成を模式的に示す概略図である。
【
図3】本実施形態に係る電力管理システムにおいて第1の建物側の制御装置のハードウェア構成並びにその周辺機器との関係を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る電力管理システムにおいて第2の建物側の制御装置のハードウェア構成並びにその周辺機器との関係を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る電力管理システムにおいてデータサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る電力管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、
図1~
図6を用いて、本発明に係る電力管理システムについて説明する。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る「電力管理システム10」は、第1の建物としての「建物12」側に配置された各種機器と、第2の建物としての「建物14」側に配置された各種機器と、「データサーバ16」とを含んで構成されている。なお、本実施形態では、一例として、建物12は、鉄道の駅から離れた場所に建てられた戸建ての住宅とされており、建物14は、鉄道の駅から近い場所に建てられると共に複数の住戸14Aを備えた集合住宅とされている。
【0027】
具体的には、建物12側の電力管理システム10の一部を構成する機器としては、建物12に設置された「太陽光発電装置18」、分電装置20、「蓄電装置22」、建物12の近傍に配置された「充放電装置24」並びに通常時において建物12の敷地内に駐車された「電気自動車26」に搭載された蓄電部としての「バッテリパック28」が挙げられる。
【0028】
太陽光発電装置18は、建物12の屋根面に設置されると共に、太陽光が照射されることで発電可能とされている。そして、太陽光発電装置18で発電された電力は、分電装置20を介して、蓄電装置22、バッテリパック28及び建物12内の複数の「負荷30」に供給されるようになっている。なお、負荷30としては、種々の家電機器等が挙げられる。
【0029】
分電装置20は、制御装置32、計測部34、切替部36、電力変換部38及び分電盤40を備えている。
【0030】
制御装置32は、
図3に示されるように、CPU(Central Processing Unit)32A、ROM(Read Only Memory)32B、RAM(Random Access Memory)32C、ストレージ32D、通信I/F(Inter Face)32E及び入出力I/F32Fを含んで構成されている。そして、CPU32A、ROM32B、RAM32C、ストレージ32D、通信I/F32E及び入出力I/F32Fは、バス32Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0031】
CPU32Aは、中央演算処理ユニットとされており、各種プログラムの実行によって各種機器を制御し、太陽光発電装置18で発電された電力の分配を制御可能とされている。具体的には、CPU32Aは、ROM32Bからプログラムを読み出し、RAM32Cを作業領域としてプログラムを実行可能とされている。そして、ROM32Bに記憶された実行プログラムが、CPU32Aで読み出されて実行されることで、制御装置32は、後述するように、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0032】
ストレージ32Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含んで構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データが記憶されている。また、ストレージ32Dには、建物12の位置情報、計測部34による計測結果が記憶されるようになっている。
【0033】
通信I/F32Eは、制御装置32とネットワークNとの接続に用いられるインターフェースとされており、データサーバ16等と通信することが可能とされている。このインターフェースには、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。また、通信I/F32Eは、無線装置を備えていてもよい。
【0034】
入出力I/F32Fは、制御装置32が、計測部34、切替部36及び電力変換部38と通信するためのインターフェースとされている。
【0035】
計測部34は、太陽光発電装置18で発電された電力、分電盤40を介して複数の負荷30で消費される電力及び蓄電装置22に蓄積されている電力を計測し、これらの計測結果を計測信号として制御装置32に送信可能とされている。
【0036】
切替部36は、図示しない複数のリレーを含んで構成されており、制御装置32による制御に基づいて、太陽光発電装置18と分電盤40との接続状態、太陽光発電装置18と蓄電装置22との接続状態、太陽光発電装置18と充放電装置24との接続状態、蓄電装置22と分電盤40との接続状態並びに充放電装置24と分電盤40との接続状態を切り替え可能とされている。
【0037】
電力変換部38は、太陽光発電装置18から供給された直流電力を蓄電装置22に供給可能な直流電力に変換可能な図示しないDC/DCコンバータと、太陽光発電装置18から供給された直流電力を充放電装置24に供給可能な直流電力に変換可能な図示しないDC/DCコンバータと、太陽光発電装置18や蓄電装置22から供給された直流電力を負荷30に供給可能な交流電力に変換可能な図示しないインバータとを備えている。
【0038】
分電盤40は、複数の負荷30と電力変換部38との間に介在しており、太陽光発電装置18から供給された電力は、分電盤40を介して各負荷30に供給されるようになっている。
【0039】
蓄電装置22は、図示しない複数のバッテリモジュールを含んで構成されており、切替部36及び電力変換部38を介して太陽光発電装置18から供給された電力を蓄積可能とされている。また、蓄電装置22に蓄積された電力は、太陽光発電装置18が発電できない状態において、電力変換部38及び分電盤40を介して各負荷30に供給されるようになっている。
【0040】
一方、電気自動車26は、モータ等を含んで構成された図示しないパワーユニットを備えており、このパワーユニットには、バッテリパック28から電力が供給されるようになっている。また、電気自動車26には、車両制御装置42が搭載されている。
【0041】
バッテリパック28は、図示しない複数のバッテリモジュールを含んで構成されている。そして、このバッテリパック28は、電気自動車26に設けられた接続部及びこの接続部に接続可能な図示しないケーブルを介して充放電装置24と電気的に接続されることで、建物12側との電力の受け渡しが可能とされている。
【0042】
車両制御装置42は、電気自動車26に搭載されたパワーユニット及びバッテリパック28を制御可能とされると共に、充放電装置24と相互に通信可能とされている。また、車両制御装置42は、バッテリパック28に蓄積されている電力残量に基づいてバッテリパック28側から送信される電力残量信号を受信可能とされている。
【0043】
一方、充放電装置24は、制御装置44と、電力変換部46とを備えている。そして、制御装置44は、電気自動車26のバッテリパック28の充電時(電力の供給時)において、電力変換部46の図示しないDC/DCコンバータを制御して、分電装置20から供給された直流電力をバッテリパック28に供給可能な直流電力に変換可能とされている。
【0044】
また、制御装置44は、バッテリパック28から分電装置20への電力の供給時において、電力変換部46のDC/DCコンバータを制御して、バッテリパック28から供給された直流電力を分電装置20に供給可能な直流電力に変換可能とされている。
【0045】
さらに、制御装置44は、分電装置20の制御装置32及び電気自動車26の車両制御装置42と通信可能とされており、車両制御装置42からバッテリパック28の電力残量情報を取得して、この電力残量情報に基づく電力残量信号を制御装置32に送信可能とされている。
【0046】
次に、
図6を用いて、制御装置32の機能構成について説明する。制御装置32は、CPU32AがROM32Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、通信部48、供給側情報生成部50及び充放電切替部52の集合体として機能する。
【0047】
通信部48は、ネットワークNを介して各種機器と通信可能とされており、
図1にも示されるように、データサーバ16及び建物12の使用者(電気自動車26の使用者)が使用する供給側端末49(以下、端末49と称する)と種々の情報を送受信可能とされている。
【0048】
供給側情報生成部50は、計測部34から送信される計測信号に基づき、蓄電装置22に蓄積されている電力の残量を取得可能とされている。また、端末49から、端末49の使用者が使用する電気自動車26に関する種々の情報を取得可能とされている。
【0049】
詳しくは、端末49には、所定のアプリケーションソフトウエア(以下、アプリと称する)がインストールされている。このアプリは、端末49の使用者によって起動されることで、所定の登録画面を表示するようになっており、端末49の使用者が、この登録画面に対して操作を行うことで、電気自動車26の目的地情報すなわち電気自動車26の駐車を希望する場所(例えば、利用する駅の周辺等)及び利用希望時間帯が一時的に端末49に記憶されるようになっている。そして、端末49に記憶された上記情報が、端末49から供給側情報生成部50に送信されるようになっている。
【0050】
一方、供給側情報生成部50は、端末49のID(IDentification)、建物12の位置情報、バッテリパック28の電力残量情報、電気自動車26の目的地情報及び利用希望時間帯が関連付けられた供給側情報を生成する。そして、供給側情報生成部50は、計測部34から送信される計測信号に基づいて、負荷30に対して太陽光発電装置18又は蓄電装置22で電力を供給可能であると判定した場合に、上記供給側情報をデータサーバ16に送信するようになっている。
【0051】
充放電切替部52は、計測信号に基づいて、太陽光発電装置18で発電された電力量と複数の負荷30で消費される電力量とを比較するようになっている。そして、充放電切替部52が、太陽光発電装置18で発電された電力が、複数の負荷30で消費される電力よりも大きいと判定した場合、充放電切替部52は、切替部36を制御することで、余剰電力を蓄電装置22又は充放電装置24に供給するようになっている。
【0052】
詳しくは、充放電切替部52は、太陽光発電装置18と蓄電装置22とが接続されている第1状態と、太陽光発電装置18と充放電装置24とが接続されている第2接続状態とを切り替えることが可能とされている。
【0053】
そして、充放電切替部52は、計測部34から送信された計測信号に基づいて蓄電装置22が満充電ではないと判定した場合に、切替部36を制御することで上記第1状態に切り替えるようになっている。
【0054】
また、充放電切替部52が、計測信号に基づいて蓄電装置22が満充電であると判定した場合には、充放電切替部52は、切替部36を制御することで上記第2状態に切り替えるようになっている。すなわち、本実施形態では、バッテリパック28の充電よりも蓄電装置22の充電が優先されるようになっている。
【0055】
一方、充放電切替部52が、計測信号に基づいて、太陽光発電装置18で発電された電力が、複数の負荷30で消費される電力よりも小さいと判定した場合、充放電切替部52は、切替部36を制御することで、蓄電装置22に蓄えられた電力又はバッテリパック28に蓄えられた電力を負荷30に対して供給させるようになっている。なお、本実施形態において、充放電切替部52は、バッテリパック28から負荷30への電力の供給よりも、蓄電装置22から負荷30への電力の供給を優先するようになっている。
【0056】
次に、
図5及び
図6を主に用いて、データサーバ16の構成について説明する。データサーバ16は、CPU16A、ROM16B、RAM16C、ストレージ16D及び通信I/F16Eを含んで構成されている。そして、CPU16A、ROM16B、RAM16C、ストレージ16D及び通信I/F16Eは、バス16Fを介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU16A、ROM16B、RAM16C、ストレージ16D及び通信I/F16Eは、上述した制御装置32を構成しているものと基本的に同様の機能を備えている。そして、ROM16Bに記憶された実行プログラムが、CPU16Aで読み出されて実行されることで、データサーバ16は、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0057】
なお、ストレージ16Dには、建物12の制御装置32、端末49及び建物14の使用者が使用する被供給側端末64(以下、端末64と称する)から取得した種々の情報が記憶されるようになっている。
【0058】
詳しくは、データサーバ16は、CPU16AがROM16Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、通信部54、「被供給側情報取得部56」、「供給側情報取得部58」、コード情報生成部60及び「選定部62」の集合体として機能する。
【0059】
通信部54は、ネットワークNを介して各種機器と通信可能とされており、制御装置32、端末49及び端末64と種々の情報を送受信可能とされている。
【0060】
被供給側情報取得部56は、複数の建物14において、建物14の使用者が使用する端末64から当該使用者が使用する後述する「駐車スペース66(
図2参照)」に関する種々の情報を取得可能とされている。
【0061】
詳しくは、端末64には、端末49と同じアプリがインストールされている。そして、端末64の使用者は、アプリの登録画面に対して操作を行うことで、端末64の使用者が使用している駐車スペース66の特定情報(建物14の位置情報等)、駐車スペース66の空いている時間帯を示す空き時間情報及び端末64の使用者が居住する建物14の住戸14Aで使用する電力使用量予測値が一時的に端末64に記憶されるようになっている。そして、端末64に記憶された上記情報が、端末64から被供給側情報取得部56に送信されるようになっている。
【0062】
そして、被供給側情報取得部56には、端末64のID、駐車スペース66の特定情報、駐車スペース66の空き時間情報及び端末64の使用者が居住する住戸14Aで使用する電力使用量予測値が関連付けられた被供給側情報が記憶されている。
【0063】
供給側情報取得部58は、複数の建物12において、建物12の制御装置32から上述した供給側情報を取得している。
【0064】
コード情報生成部60は、被供給側情報取得部56から取得した被供給側情報に基づき、端末64のID、駐車スペース66の特定情報及び駐車スペース66の空き時間情報を示すコード情報を生成するようになっている。
【0065】
選定部62は、供給側情報取得部58から取得した供給側情報と、被供給側情報取得部56から取得した被供給側情報とに基づき、電力が供給される建物14の住戸14Aと、この住戸14Aに電力を供給する電気自動車26との組み合わせを選定するようになっている。
【0066】
具体的には、選定部62は、建物12と建物14との距離、電気自動車26の目的地と建物14との距離、電気自動車26の利用希望時間帯、駐車スペース66の空き時間、住戸14Aで使用する電力使用量予測値及びバッテリパック28の電力残量情報のうち、少なくとも電気自動車26の利用希望時間帯及び駐車スペース66の空き時間を所定の評価関数に入力することで、電力が供給される住戸14Aと、電力を供給する電気自動車26との最適な組み合わせを選出するようになっている。
【0067】
そして、選定部62は、通信部54を介して、選定された電気自動車26の使用者が使用する端末49及び後述する制御装置74に、選定された住戸14A(選定された駐車スペース66)に対応する上記コード情報を送信するようになっている。
【0068】
なお、端末49は、アプリを起動させている状態において、上記コード情報を表示可能とされると共に、このコード情報に基づいて得られた被供給側情報を表示可能とされている。
【0069】
また、選定部62は、通信部54を介して、端末64に、選定された電気自動車26の利用希望時間帯及びバッテリパック28の電力残量情報を送信するようになっている。
【0070】
次に、電力管理システム10の一部を構成する建物14側に設置された機器について説明することとする。
図2及び
図4に示されるように、建物14側に設置された機器としては、電力供給装置68、建物14の敷地内に複数設置された駐車スペース66にそれぞれ設置された放電装置としての「放電スタンド70」及びコードリーダ72が挙げられる。
【0071】
電力供給装置68は、制御装置74、回路接続部76及び電力変換部78を含んで構成されている。
【0072】
制御装置74は、CPU74A、ROM74B、RAM74C、ストレージ74D及び通信I/F74E及び入出力I/F74Fを含んで構成されている。を含んで構成されている。そして、CPU74A、ROM74B、RAM74C、ストレージ74D、通信I/F74E及び入出力I/F74Fは、バス74Gを介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU74A、ROM74B、RAM74C、ストレージ74D、通信I/F74E及び入出力I/F74Fは、上述した制御装置32を構成しているものと基本的に同様の機能を備えている。そして、ROM74Bに記憶された実行プログラムが、CPU74Aで読み出されて実行されることで、制御装置74は、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0073】
なお、ストレージ74Dには、データサーバ16から送信された住戸14Aに対応するコード情報を記憶可能とされている。
【0074】
また、入出力I/F72Fは、制御装置74が、回路接続部76、放電スタンド70に設けられた図示しない制御装置及びコードリーダ72に設けられた図示しない制御装置と通信するためのインターフェースとされている。
【0075】
回路接続部76は、図示しない複数のリレーを含んで構成されており、制御装置72による制御に基づいて、所定の住戸14Aに付属する駐車スペース66に設けられた放電スタンド70と、この住戸14Aに設けられた図示しない分電盤とを電気的に接続することが可能とされている。
【0076】
電力変換部78は、後述するように、駐車スペース66に駐車された電気自動車26のバッテリパック28から放電スタンド70を介して供給された直流電力を、住戸14Aの分電盤に供給可能な交流電力に変換可能な図示しないインバータを備えている。
【0077】
放電スタンド70は、図示しないケーブルを介して駐車スペース66に駐車された電気自動車26のバッテリパック28と接続可能とされている。また、バッテリパック28から放電スタンド70から供給された電力は、図示しないケーブルを介して回路接続部76に供給されるようになっている。
【0078】
また、放電スタンド70には、照明装置70Aが設けられており、この照明装置70Aは、制御装置74の制御に基づいて点灯するようになっている。
【0079】
コードリーダ72は、建物14の敷地の入り口付近に設置されており、読み取り部72Aによって所定のコード情報の読み出しを行うことが可能とされている。そして、本実施形態において、コードリーダ72は、端末49に表示されたコード情報を読み取ると共に、このコード情報を制御装置74に図示しないケーブルを介して送信可能とされている。
【0080】
次に、
図6を用いて、制御装置74の機能構成について説明する。制御装置74は、CPU72AがROM72Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、通信部79、回路制御部80、コード情報取得部82及び照明制御部84の集合体として機能する。
【0081】
通信部79は、ネットワークNを介して各種機器と通信可能とされており、データサーバ16と種々の情報を送受信可能とされている。
【0082】
回路制御部80は、コード情報取得部82から後述するコード一致信号を受信したときに、回路接続部76を制御して、所定の住戸14Aに付属する放電スタンド70と、この住戸14Aに設けられた分電盤とを電気的に接続するようになっている。
【0083】
コード情報取得部82は、コードリーダ72で読み取られたコード情報と、データサーバ16から送信された所定の住戸14Aに対応するコード情報とが一致したときに、回路制御部80に、この住戸14Aに対応するコード一致信号を送信する。また、このとき、コード情報取得部82は、照明制御部84に、この住戸14Aの駐車スペース66に設置された放電スタンド70に対応する点灯指示信号を照明制御部84に送信するようになっている。
【0084】
照明制御部84は、所定の放電スタンド70に対応する点灯指示信号を受信したとき、すなわちこの放電スタンド70が設置された駐車スペース66への電気自動車26の進入時に、この放電スタンド70に設けられた照明装置70Aを点灯させるようになっている。また、照明制御部84は、放電スタンド70から電気自動車26のパワーユニットの停止(電気自動車26の駐車完了)及びバッテリパック28との接続を示す接続信号を受信すると、照明装置70Aを消灯させるようになっている。
【0085】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0086】
本実施形態では、
図1に示されるように、建物12に太陽光で発電可能な太陽光発電装置18が設置されており、昼間等の太陽光発電装置18が発電可能な時間帯において、太陽光発電装置18によって発電された電力を建物12内の負荷30に供給することができる。
【0087】
また、本実施形態では、建物12に蓄電装置22が設置されており、太陽光発電装置18が発電可能な時間帯において、太陽光発電装置18で発電された電力が余った場合には、蓄電装置22に当該電力の一部を蓄積させることができる。このため、夜間等の太陽光発電装置18が発電不可能な時間帯において、蓄電装置22に蓄積された電力を建物12内の負荷30に供給することができる。
【0088】
さらに、本実施形態では、通常時において、建物12の敷地内に電気自動車26が駐車されており、この電気自動車26と建物12との間には、充放電装置24が介在している。そして、充放電装置24は、建物12側から電気自動車26に搭載されたバッテリパック28への電力の供給又はバッテリパック28から建物12側への電力の供給が可能とされている。このため、太陽光発電装置18が発電可能な時間帯において、太陽光発電装置18で発電された電力が余った場合には、バッテリパック28に当該電力の一部を蓄積させることができる。そして、太陽光発電装置18が発電不可能な時間帯において、バッテリパック28に蓄積された電力を建物12内の負荷30に供給することができる。
【0089】
ところで、太陽光発電装置18が発電できない状態において、蓄電装置22に蓄積された電力のみによって、建物12内の負荷30への電力供給を賄うことができる場合には、電気自動車26のバッテリパック28に蓄えられた電力が余剰電力となることが考えられる。この点、電力の有効利用の観点では、この余剰電力を、太陽光発電装置を備えていない建物に供給できることが好ましい。
【0090】
ここで、本実施形態では、
図2に示されるように、建物14の敷地内に設置された駐車スペース66に放電スタンド70が設けられている。また、本実施形態では、
図6にも示されるように、被供給側情報取得部56を備えたデータサーバ16を備えており、被供給側情報取得部56は、駐車スペース66の空き時間情報を含む被供給側情報を取得する。そして、データサーバ16は、被供給側情報を建物12の使用者が使用する端末49に送信する。
【0091】
このため、本実施形態では、建物12の使用者が、建物14の駐車スペース66が空いている時間帯を把握することができる。そして、建物14の駐車スペース66があいているときに、建物12の使用者が電気自動車26を運転して、この駐車スペース66に電気自動車26を駐車し、放電スタンド70を介して電気自動車26のバッテリパック28に蓄積された電力を建物14側に供給することができる。すなわち、本実施形態では、バッテリパック28が搭載された電気自動車26を建物12側から建物14側への電力輸送に用いることができる。
【0092】
したがって、本実施形態では、複数の建物間において、太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を確保することができる。
【0093】
また、本実施形態では、被供給側情報取得部56が、複数の建物14において、建物14の位置を被供給側情報として取得することができる。また、データサーバ16は、供給側情報取得部58と、選定部62とを有している。
【0094】
供給側情報取得部58は、複数の建物12において、建物12の位置を含む供給側情報を取得することができる。一方、選定部62は、供給側情報と被供給側情報とに基づき、建物14に対して電力を供給する電気自動車26を選定し、この電気自動車26の使用者に対して被供給側情報を送信することができる。
【0095】
このため、本実施形態では、データサーバ16によって、例えば、複数の建物12と複数の建物14との組み合わせにおいて、最も近い建物12と建物14とを選定し、この建物12の敷地内に駐車された電気自動車26の使用者に建物14側への電力の供給を促すことができる。その結果、本実施形態では、太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を短縮することができる。
【0096】
また、本実施形態では、データサーバ16の供給側情報取得部58で取得される供給側情報に、電気自動車26の使用者の電気自動車26による移動時の目的地情報が含まれる。
【0097】
このため、本実施形態では、データサーバ16によって、例えば、電気自動車26の使用者の電気自動車26による移動時の目的地から最も近い建物14を電力が供給される建物に設定することができる。その結果、本実施形態では、電気自動車26の使用者の目的地に応じて太陽光発電で得られた余剰電力を供給する経路を設定することができる。
【0098】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、建物14が集合住宅とされていたが、建物14は、戸建ての住宅であってもよい。
【0099】
(2) また、上述した実施形態では、被供給側情報が建物12の使用者が使用する端末49に送信されていたが、建物12内に設置された所定の端末に被供給側情報を送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 電力管理システム
12 建物(第1の建物)
14 建物(第2の建物)
16 データサーバ
18 太陽光発電装置
22 蓄電装置
24 充放電装置
26 電気自動車
28 バッテリパック(蓄電部)
30 負荷
56 被供給側情報取得部
58 供給側情報取得部
62 選定部
66 駐車スペース
70 放電スタンド(放電装置)