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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131522
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/657 20180101AFI20240920BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20240920BHJP
【FI】
F21S41/657
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041843
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山形 直也
(57)【要約】
【課題】光源ユニットを安定した状態で支持することができ、なお且つ、光源ユニットの光軸調整を安定的に行うことを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】光軸調整機構10は、ハウジング2に対する光源ユニットの傾きを調整するエイミング部20を有し、エイミング部20は、光源ユニットの背面側に位置して、ハウジング2の前後方向にスライド可能に設けられたエイミングブラケット21と、エイミングブラケット21の背面側に位置して、エイミングブラケット21の前後方向の位置を調整するアジャスタ部22とを有し、アジャスタ部22は、エイミングブラケット21の背面側に第1のピボット部26を介して接続され、エイミングブラケット21は、光源ユニットの背面側に第2のピボット部27を介して接続され、エイミングブラケット21を正面視したときに、第1のピボット部26と第2のピボット部27とが互いにずれた位置にある。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口したハウジングの正面側に、車両前方に向けて光を照射する光源ユニットが配置されると共に、前記光源ユニットから車両前方に向けて照射される光の光軸を調整する光軸調整機構を備えた車両用灯具であって、
前記光軸調整機構は、前記ハウジングに対する前記光源ユニットの傾きを調整するエイミング部を有し、
前記エイミング部は、前記光源ユニットの背面側に位置して、前記ハウジングの前後方向にスライド可能に設けられたエイミングブラケットと、
前記エイミングブラケットの背面側に位置して、前記エイミングブラケットの前後方向の位置を調整するアジャスタ部とを有し、
前記アジャスタ部は、前記エイミングブラケットの背面側に第1のピボット部を介して接続され、
前記エイミングブラケットは、前記光源ユニットの背面側に第2のピボット部を介して接続され、
前記エイミングブラケットを正面視したときに、前記第1のピボット部と前記第2のピボット部とが互いにずれた位置にあることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光軸調整機構は、前記ハウジングに対して前記光源ユニットを支持する3つの支持点のうち、
第1の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記光源ユニットの位置を固定しながら、前記光源ユニットを傾き自在に支持する固定支持部と、
第2の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記光源ユニットの左右方向の傾きを調整する第1のエイミング部と、
第3の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記光源ユニットの上下方向の傾きを調整する第2のエイミング部とを有し、
前記エイミング部は、前記第1のエイミング部と前記第2のエイミング部との少なくとも一方を構成していることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記エイミング部は、前記ハウジングの正面側に位置して、前記ハウジングに対して前記エイミングブラケットをスライド可能に支持するスライド機構を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記スライド機構は、前記ハウジングに対して前記エイミングブラケットの左右両側をスライド可能に支持する一対の第1のスライダ部を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記スライド機構は、前記ハウジングに対して前記エイミングブラケットの下側をスライド可能に支持する第2のスライダ部を有することを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光源ユニットは、光源と、前記光源から出射された光を車両前方に向けて反射するリフレクタとを有し、
前記エイミングブラケットは、前記リフレクタの背面側に前記第2のピボット部を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用前照灯(ヘッドランプ)などの車両用灯具では、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズ(カバーレンズ)とにより構成される灯体の内側に、車両前方に向けて光を照射する光源ユニットを配置し、この光源ユニットから車両前方に向けて照射される光の光軸を調整する光軸調整(エイミング)機構を備えたものがある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このような光軸調整機構を備えた車両用灯具では、光源ユニットの左右方向の傾きと上下方向の傾きとを調整するエイミング操作によって、光源ユニットから車両前方に向けて照射される光の光軸を調整することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-81040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した光軸調整機構を備えた車両用灯具では、例えば灯体の形状や、この灯体の内側に配置される光源ユニットの位置や形状、車体への灯体の取付位置などによって、光軸調整機構を配置するための十分なスペースを確保できなくなることがあった。
【0006】
このようなスペースが不足した場合、光軸調整機構による光源ユニットの支持位置が不安定な位置に制限されたり、光軸調整機構による光軸の調整範囲に制約が生じたりすることがある。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、光源ユニットを安定した状態で支持することができ、なお且つ、光源ユニットの光軸調整を安定的に行うことを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 前面が開口したハウジングの正面側に、車両前方に向けて光を照射する光源ユニットが配置されると共に、前記光源ユニットから車両前方に向けて照射される光の光軸を調整する光軸調整機構を備えた車両用灯具であって、
前記光軸調整機構は、前記ハウジングに対する前記光源ユニットの傾きを調整するエイミング部を有し、
前記エイミング部は、前記光源ユニットの背面側に位置して、前記ハウジングの前後方向にスライド可能に設けられたエイミングブラケットと、
前記エイミングブラケットの背面側に位置して、前記エイミングブラケットの前後方向の位置を調整するアジャスタ部とを有し、
前記アジャスタ部は、前記エイミングブラケットの背面側に第1のピボット部を介して接続され、
前記エイミングブラケットは、前記光源ユニットの背面側に第2のピボット部を介して接続され、
前記エイミングブラケットを正面視したときに、前記第1のピボット部と前記第2のピボット部とが互いにずれた位置にあることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記光軸調整機構は、前記ハウジングに対して前記光源ユニットを支持する3つの支持点のうち、
第1の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記光源ユニットの位置を固定しながら、前記光源ユニットを傾き自在に支持する固定支持部と、
第2の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記光源ユニットの左右方向の傾きを調整する第1のエイミング部と、
第3の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記光源ユニットの上下方向の傾きを調整する第2のエイミング部とを有し、
前記エイミング部は、前記第1のエイミング部と前記第2のエイミング部との少なくとも一方を構成していることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記エイミング部は、前記ハウジングの正面側に位置して、前記ハウジングに対して前記エイミングブラケットをスライド可能に支持するスライド機構を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記スライド機構は、前記ハウジングに対して前記エイミングブラケットの左右両側をスライド可能に支持する一対の第1のスライダ部を有することを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記スライド機構は、前記ハウジングに対して前記エイミングブラケットの下側をスライド可能に支持する第2のスライダ部を有することを特徴とする前記〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記光源ユニットは、光源と、前記光源から出射された光を車両前方に向けて反射するリフレクタとを有し、
前記エイミングブラケットは、前記リフレクタの背面側に前記第2のピボット部を介して接続されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、光源ユニットを安定した状態で支持することができ、なお且つ、光源ユニットの光軸調整を安定的に行うことを可能とした車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る光軸調整機構を備えた車両用灯具の構成を示す斜視図である。
図2図1に示す光軸調整機構を備えた車両用灯具の構成を示す正面図である。
図3図1に示す光軸調整機構の要部を拡大した斜視図である。
図4図1に示す光軸調整機構の要部を拡大した正面図である。
図5図4中に示す線分A-Aによる光軸調整機構の断面図である。
図6図1に示す光軸調整機構を備えた車両用灯具の構成を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば図1図6に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、光軸調整機構10を備えた車両用灯具1の構成を示す斜視図である。図2は、光軸調整機構10を備えた車両用灯具1の構成を示す正面図である。図3は、光軸調整機構10の要部を拡大した斜視図である。図4は、光軸調整機構10の要部を拡大した正面図である。図5は、図4中に示す線分A-Aによる光軸調整機構10の断面図である。図6は、光軸調整機構10を備えた車両用灯具1の構成を示す背面図である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部に搭載される車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用したものである。なお、本実施形態の車両用灯具1では、車両の前端側の両コーナー部において左右対称に配置されるヘッドランプのうち、左前端側のコーナー部に搭載されるヘッドランプを例示している。
【0015】
具体的に、この車両用灯具1は、図1図3及び図6に示すように、前面が開口したハウジング2と、ハウジング2の開口を覆う透明なアウターレンズ(カバーレンズ)3とにより構成される灯体4の内側に、車両前方(+X軸方向)に向けて光を照射する光源ユニット5が配置された構造を有している。
【0016】
光源ユニット5は、ハウジング2の正面側に位置して、光源6と、光源6から出射された光を反射するリフレクタ7とを含み、リフレクタ7の反射面7aにより反射された光を車両前方に向けて照射する構成となっている。
【0017】
光源6は、例えば、ハロゲンランプや高輝度放電(HID)ランプ、発光ダイオード(LED)ランプ、レーザーダイオード(LD)ランプなどの交換可能なバルブ型の光源からなる。光源6は、ハウジング2に設けられた開口部2aを通して、リフレクタ7に設けられた取付孔7bの周囲に着脱自在に取り付けられている。また、ハウジング2には、開口部2aを閉塞するキャップ8が着脱自在に取り付けられている。
【0018】
リフレクタ7は、上下方向に沿った断面視において、光源6の中心(発光点)を焦点とする放物線を基調とした凹状の反射面7aを有している。反射面7aは、樹脂成形部材からなるリフレクタ7の内面(正面)に、例えばアルミ蒸着膜などの反射膜が成膜されることによって形成されている。
【0019】
なお、反射面7aについては、その面内において複数の反射領域に分割し、各反射領域に入射した光の反射方向を制御する構成としてもよい。
【0020】
光源ユニット5は、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成する光を車両前方に向けて照射する。若しくは、走行用ビーム(ハイビーム)として、ロービーム用配光パターンよりも上方にハイビーム用配光パターンを形成する光を車両前方に向けて照射する。
【0021】
なお、光源ユニット5については、上述したリフレクタ7により反射された光を車両前方に向けて照射する構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、光源から出射された光をレンズを用いて車両前方に向けて照射する構成であってもよい。
【0022】
本実施形態の車両用灯具1は、光源ユニット5から車両前方に向けて投影される光の光軸を調整する光軸調整機構10を備えている。
【0023】
光軸調整機構10を備えた車両用灯具1では、光源ユニット5の左右方向の傾きと上下方向の傾きとを調整するエイミング操作によって、光源ユニット5から車両前方に向けて照射される光の光軸を調整することが可能である。
【0024】
具体的に、この光軸調整機構10は、図2に示すように、ハウジング2に対して光源ユニット5を支持する3つの支持点S1,S2,S3のうち、第1の支持点S1に位置してハウジング2に対する光源ユニット5の位置を固定しながら、光源ユニット5を傾き自在に支持する固定支持部11と、第2の支持点S2に位置してハウジング2に対する光源ユニット5の左右方向の傾きを調整する第1のエイミング部12と、第3の支持点S3に位置してハウジング2に対する光源ユニット5の上下方向の傾きを調整する第2のエイミング部13とを有している。
【0025】
また、光源ユニット5を正面視したときに、第1の支持点S1及び第2の支持点S2が光源ユニット5の光軸中心Oよりも上方に位置して、第1の支持点S1と第2の支持点S2とを結ぶラインLHが水平方向に対して平行となっている。また、第3の支持点S3が光源ユニット5の光軸中心Oよりも下方に位置して、第1の支持点S1と第3の支持点S3とを結ぶラインLVが鉛直方向に対して平行となっている。さらに、第1の支持点S1、第2の支持点S2及び第3の支持点S3で囲まれるエリアEの内側に光源ユニット5の光軸中心Oが位置している。
【0026】
本実施形態の光軸調整機構10では、光源ユニット5を構成するリフレクタ7が固定支持部11、第1のエイミング部12及び第2のエイミング部13を介して光源ユニット5の左右方向と上下方向とに傾き自在に支持されている。
【0027】
本実施形態の光軸調整機構10では、第1のエイミング部12のアジャスタを回転操作することによって、第1のエイミング部12がリフレクタ7の第2の支持点S2を前後方向にスライドさせる。このとき、固定支持部11(第1の支持点S1)を支点にして、リフレクタ7が左右方向に揺動することになる。これにより、光源ユニット5を構成するリフレクタ7の左右方向の傾きを調整することが可能である。
【0028】
一方、本実施形態の光軸調整機構10では、第2のエイミング部13のアジャスタを回転操作することによって、第2のエイミング部13がリフレクタ7の第3の支持点S3を前後方向にスライドさせる。このとき、固定支持部11(第1の支持点S1)を支点にして、リフレクタ7が上下方向に揺動することになる。これにより、光源ユニット5を構成するリフレクタ7の上下方向の傾きを調整することが可能である。
【0029】
なお、本実施形態の光軸調整機構10では、上述した光源ユニット5を構成するリフレクタ7を傾き自在に支持する構成となっているが、例えば、リフレクタ7の背面側を保持するホルダ(図示せず。)を固定支持部11、第1のエイミング部12及び第2のエイミング部13を介して傾き自在に支持する構成としてもよい。
【0030】
ところで、本実施形態の光軸調整機構10では、第1のエイミング部12と第2のエイミング部13との少なくとも一方(本実施形態では第1のエイミング部12)が本発明を適用したエイミング部20を構成している。
【0031】
具体的に、このエイミング部20は、図3図6に示すように、リフレクタ7(光源ユニット5)の背面側に位置して、ハウジング2の前後方向にスライド可能に設けられたエイミングブラケット21と、エイミングブラケット21の背面側に位置して、エイミングブラケット21の前後方向の位置を調整するアジャスタ部22とを有している。
【0032】
エイミングブラケット21は、ハウジング2の正面側に位置するスライド機構23を介してハウジング2の前後方向にスライド可能に支持されている。
【0033】
スライド機構23は、図3及び図4に示すように、ハウジング2に対してエイミングブラケット21の左右両側をスライド可能に支持する一対の第1のスライダ部24と、ハウジング2に対してエイミングブラケット21の下側をスライド可能に支持する第2のスライダ部25とを有している。
【0034】
一対の第1のスライダ部24は、エイミングブラケット21の左右の両面から突出し、且つ、エイミングブラケット21の前後方向に延在する一対の第1のガイド凸部24aと、ハウジング2の正面側のエイミングブラケット21の左右両側を挟んだ位置から前方に向かって突出した一対の第1のアーム部24bと、一対の第1のアーム部24bの互いに対向する内面を前後方向に切り欠く一対の第1のガイド凹部24cとを有している。
【0035】
一対の第1のスライダ部24では、一対の第1のガイド凹部24cに一対の第1のガイド凸部24aが係合された状態で、ハウジング2に対してエイミングブラケット21の左右両側をスライド可能に支持している。
【0036】
第2のスライダ部25は、エイミングブラケット21の下面から突出し、且つ、エイミングブラケット21の前後方向に延在する第2のガイド凸部25aと、ハウジング2の正面側のエイミングブラケット21の下側から前方に向かって突出した第2のアーム部25bと、第2のアーム部25bの上面を前後方向に切り欠く第2のガイド凹部25cとを有している。
【0037】
第2のスライダ部25では、第2のガイド凹部25cに第2のガイド凸部25aが係合された状態で、ハウジング2に対してエイミングブラケット21の下側をスライド可能に支持している。
【0038】
なお、第1のスライダ部24及び第2のスライダ部25については、ハウジング2に対してエイミングブラケット21を前後方向にスライド可能に支持する構成であればよく、上述した構成に必ずしも限定されるものではない。例えば、エイミングブラケット21側に第1及び第2のガイド凹部24c,25cを設け、第1及び第2のアーム部24b,25b側に第1及び第2のガイド凸部24a,25aを設けた構成とすることも可能である。
【0039】
アジャスタ部22は、図3図6に示すように、ハウジング2の背面側に位置する調整用ダイヤル22aを回転操作することで、アジャスタ軸22bが前後方向にスライドする構成を有している。
【0040】
また、アジャスタ部22は、エイミングブラケット21の背面側に第1のピボット部26を介してアジャスタ軸22bの先端が接続された構成を有している。
【0041】
第1のピボット部26は、アジャスタ軸22bの先端に設けられたピボットボール26aと、エイミングブラケット21に設けられたピボット軸受26bとを有している。また、ピボット軸受26bは、球面凹部26cと、この球面凹部26cの周囲に位置する複数の係止爪26dとを有している。
【0042】
第1のピボット部26では、球面凹部26cにピボットボール26aを嵌合し、このピボットボール26aを複数の係止爪26dによりピボット軸受26bに係止した状態で軸支されている。
【0043】
一方、エイミングブラケット21は、図3図5に示すように、その正面側から突出したエイミング軸21aを有して、リフレクタ7(光源ユニット5)の背面側に第2のピボット部27を介してエイミング軸21aの先端が接続された構成を有している。
【0044】
第2のピボット部27は、エイミング軸21aの先端に設けられたピボットボール27aと、リフレクタ7に設けられたピボット軸受27bとを有している。また、ピボット軸受27bは、球面凹部27cと、この球面凹部27cの周囲に位置する複数の係止爪27dとを有している。
【0045】
第2のピボット部27では、球面凹部27cにピボットボール27aを嵌合し、このピボットボール27aを複数の係止爪27dによりピボット軸受27bに係止した状態で軸支されている。
【0046】
なお、ピボット軸受26b,27bについては、上述したエイミングブラケット21とは別部材により構成されているが、エイミングブラケット21と一体に形成されたものであってもよい。
【0047】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、エイミングブラケット21を正面視したときに、第1のピボット部26と第2のピボット部27とが互いにずれた位置にある。
【0048】
具体的には、図4に示すエイミングブラケット21の正面視において、第1のピボット部26を構成するアジャスタ軸22bがエイミングブラケット21の下側に位置し、第2のピボット部27を構成するエイミング軸21aがエイミングブラケット21の上側に位置している。
【0049】
また、図2に示すように、第2のピボット部27を構成するエイミング軸21aは、リフレクタ7の正面視において、第2の支持点S2に位置している。一方、第1のピボット部26を構成するアジャスタ軸22bは、リフレクタ7の正面視において、第2の支持点S2の下方に位置している(以下、この位置を「第4の支持点S4」とする。)。
【0050】
すなわち、この第4の支持点S4は、第1の支持点S1、第2の支持点S2及び第3の支持点S3で囲まれるエリアEの外側に位置している。
【0051】
本実施形態の車両用灯具1では、灯体4の形状や、この灯体4の内側に配置される光源ユニット5(本実施形態ではリフレクタ7)の位置や形状、車体への灯体4の取付位置などによって、第1のエイミング部12を構成するアジャスタ部22の配置に制約がある。
【0052】
すなわち、このアジャスタ部22は、図2に示す車両用灯具1の正面視において、第1の支持点S1、第2の支持点S2及び第3の支持点S3で囲まれるエリアEの外側に配置する必要がある。
【0053】
この場合、第1のエイミング部12では、リフレクタ7(光源ユニット5)の第2の支持点S2に合わせて、アジャスタ軸22bの先端を接続することは困難である。
【0054】
一方、アジャスタ部22の配置に合わせて、リフレクタ7(光源ユニット5)の第2の支持点S2からずれた位置、すなわち第4の支持点S4にアジャスタ軸22bの先端を接続した場合、第1の支持点S1と第4の支持点S4とを結ぶラインLH’は、水平方向に対して非平行となる。
【0055】
この場合、光軸調整機構10による光源ユニット5の支持位置が不安定な位置に制限されたり、光軸調整機構10による光軸の調整範囲に制約が生じたりすることがある。
【0056】
これに対して、本発明を適用したエイミング部20では、上述した前後方向にスライドされるエイミングブラケット21を用いて、第2の支持点S2に位置するエイミング軸21aと、第4の支持点S4に位置するアジャスタ軸22bとを互いにずらして配置することが可能である。
【0057】
また、エイミング部20では、アジャスタ部22の調整用ダイヤル22aを回転操作することで、アジャスタ軸22bと接続されたエイミングブラケット21が前後方向にスライドする。同時に、リフレクタ7の第2の支持点S2に接続されたエイミング軸21aを前後方向にスライドさせる。
【0058】
これにより、固定支持部11(第1の支持点S1)を支点にして、リフレクタ7を左右方向に揺動させながら、光源ユニット5を構成するリフレクタ7の左右方向の傾きを適切に調整することが可能である。
【0059】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1では、上述したエイミング部20を備えた光軸調整機構10によって、車両走行時の振動や衝撃等による光源ユニット5のガタツキを抑えつつ、光源ユニット5を安定した状態で支持することが可能である。
【0060】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した光軸調整機構10によるレベリング操作を精度良く且つ安定的に行うことが可能である。さらに、上述したアジャスタ部22の配置の自由度を高めることが可能である。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0062】
例えば、上記車両用灯具1では、上述した第1のエイミング部12に本発明のエイミング部20の構成を適用した場合を例示しているが、第2のエイミング部13に本発明のエイミング部20の構成を適用してもよく、第1及び第2のエイミング部12,13の各々に本発明のエイミング部20の構成を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…車両用灯具 2…ハウジング 3…アウターレンズ(カバーレンズ) 4…灯体 5…光源ユニット 6…光源 7…リフレクタ 10…光軸調整機構 11…固定支持部 12…第1のエイミング部 13…第2のエイミング部 20…エイミング部 21…エイミングブラケット 22…アジャスタ部 23…スライド機構 24…第1のスライダ部 25…第2のスライダ部 26…第1のピボット部 27…第2のピボット部 S1…第1の支持点 S2…第2の支持点 S3…第3の支持点 S4…第4の支持点 E…エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6