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特開2024-131526ハンドル付きのキャップユニット及びキャップ付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131526
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ハンドル付きのキャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/04 20060101AFI20240920BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D51/04
A47J41/00 304Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041848
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高広
【テーマコード(参考)】
3E084
4B002
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA20
3E084KB01
3E084LB02
3E084LD01
4B002AA13
4B002BA01
4B002BA57
4B002CA11
(57)【要約】
【課題】キャップ本体に対してハンドル部材が邪魔にならず、使用時にハンドルをキャップ本体の上方に保持することを可能としたキャップユニットを提供する。
【解決手段】上部が開口した容器本体2に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニット1Aであって、容器本体2の上部開口部を閉塞するキャップ本体7と、キャップ本体7に対して、その両端部が一対のヒンジ部8を介して回動自在に取り付けられたハンドル部材9とを備え、ハンドル部材9は、キャップ本体7の上方に位置する第1の位置と、キャップ本体7の側方に位置する第2の位置との間で回動され、ヒンジ部8は、ハンドル部材9を少なくとも第1の位置に保持するハンドル保持機構を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞するキャップ本体と、
前記キャップ本体に対して、その両端部が一対のヒンジ部を介して回動自在に取り付けられたハンドル部材とを備え、
前記ハンドル部材は、前記キャップ本体の上方に位置する第1の位置と、前記キャップ本体の側方に位置する第2の位置との間で回動され、
前記ヒンジ部は、前記キャップ本体と前記ハンドル部材との何れか一方に設けられたヒンジ軸と、前記キャップ本体と前記ハンドル部材との何れか他方に設けられたヒンジ軸受とを有して、前記ヒンジ軸が前記ヒンジ軸受に軸支された構成を有し、
前記ヒンジ部には、前記ハンドル部材を少なくとも前記第1の位置に保持するハンドル保持機構が設けられ、
前記ハンドル保持機構は、前記ヒンジ軸と前記ヒンジ軸受との互いに対向する面の間に配置されて、少なくとも前記第1の位置にて摺動抵抗を付与する摺動部材を有することを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記ハンドル保持機構は、前記第2の位置にて前記摺動部材が摺動抵抗を付与することによって、前記ハンドル部材を前記第2の位置に保持することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記ハンドル保持機構は、前記第1の位置と前記第2の位置との間に亘って前記摺動部材が摺動抵抗を付与することによって、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記ハンドル部材を無段階に保持することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記ヒンジ部は、前記キャップ本体に設けられたヒンジ軸と、前記ハンドル部材に設けられたヒンジ軸受と、前記ヒンジ軸受を貫通した前記ヒンジ軸の先端側に取り付けられたキャップ部材とを有することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記ヒンジ軸は、軸部と、前記軸部の先端側に設けられた抜け止め部とを有し、
前記ヒンジ軸受は、前記軸部が挿入される軸孔と、前記軸孔の周囲を前記抜け止め部に対応した形状に切り欠く切り欠き部とを有し、
前記第1の位置と前記第2の位置との間にある第3の位置にて、前記切り欠き部から前記抜け止め部が進入可能となることを特徴とする請求項4に記載のキャップユニット。
【請求項6】
前記ヒンジ部には、前記キャップ本体に対して前記ハンドル部材の両端部が前記ヒンジ軸の軸線方向の外側に向かって押し広げられる方向に弾性変形したときに、前記ヒンジ軸と前記ヒンジ軸受とが当接することによって、前記ハンドル部材の弾性変形を抑える外れ防止機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル付きのキャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられるキャップユニット(蓋体)を備えたキャップ付き容器がある。このようなキャップユニットは、容器本体の上部開口部を閉塞するキャップ本体を有して、容器本体に対してキャップ本体が螺合により取り付けられる構造となっている。
【0003】
また、このようなキャップユニットを備えたキャップ付き容器では、持ち運びを容易とするため、例えばハンドルなどの把手をキャップ本体にヒンジ部を介して回動自在に取り付けることが行われている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3083937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来のキャップユニットでは、キャップ本体に対してハンドルの両端が一対のヒンジ部を介して回動自在に取り付けられている。ハンドルは、一対のヒンジ部の間で湾曲したアーチ形状を有している。
【0006】
このようなキャップユニットを備えるキャップ付き容器では、容器本体を傾けたり倒立状態とした際に、若しくは、容器本体からキャップ本体を取り外した際に、ハンドルが自重によりキャップ本体から垂れ下がった状態となり、邪魔となることがあった。
【0007】
また、キャップ付き容器を鞄などに入れて持ち運ぶ際には、ハンドルが邪魔にならないように収納したい。一方、鞄から出して使用する際には、すぐにハンドルに指を掛けられるように、ハンドルをキャップ本体の上方に起立した状態で保持したい。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、キャップ本体に対してハンドル部材が邪魔にならず、使用時にハンドルをキャップ本体の上方に保持することを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞するキャップ本体と、
前記キャップ本体に対して、その両端部が一対のヒンジ部を介して回動自在に取り付けられたハンドル部材とを備え、
前記ハンドル部材は、前記キャップ本体の上方に位置する第1の位置と、前記キャップ本体の側方に位置する第2の位置との間で回動され、
前記ヒンジ部は、前記キャップ本体と前記ハンドル部材との何れか一方に設けられたヒンジ軸と、前記キャップ本体と前記ハンドル部材との何れか他方に設けられたヒンジ軸受とを有して、前記ヒンジ軸が前記ヒンジ軸受に軸支された構成を有し、
前記ヒンジ部には、前記ハンドル部材を少なくとも前記第1の位置に保持するハンドル保持機構が設けられ、
前記ハンドル保持機構は、前記ヒンジ軸と前記ヒンジ軸受との互いに対向する面の間に配置されて、少なくとも前記第1の位置にて摺動抵抗を付与する摺動部材を有することを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記ハンドル保持機構は、前記第2の位置にて前記摺動部材が摺動抵抗を付与することによって、前記ハンドル部材を前記第2の位置に保持することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔3〕 前記ハンドル保持機構は、前記第1の位置と前記第2の位置との間に亘って前記摺動部材が摺動抵抗を付与することによって、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記ハンドル部材を無段階に保持することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔4〕 前記ヒンジ部は、前記キャップ本体に設けられたヒンジ軸と、前記ハンドル部材に設けられたヒンジ軸受と、前記ヒンジ軸受を貫通した前記ヒンジ軸の先端側に取り付けられたキャップ部材とを有することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記ヒンジ軸は、軸部と、前記軸部の先端側に設けられた抜け止め部とを有し、
前記ヒンジ軸受は、前記軸部が挿入される軸孔と、前記軸孔の周囲を前記抜け止め部に対応した形状に切り欠く切り欠き部とを有し、
前記第1の位置と前記第2の位置との間にある第3の位置にて、前記切り欠き部から前記抜け止め部が進入可能となることを特徴とする前記〔4〕に記載のキャップユニット。
〔6〕 前記ヒンジ部には、前記キャップ本体に対して前記ハンドル部材の両端部が前記ヒンジ軸の軸線方向の外側に向かって押し広げられる方向に弾性変形したときに、前記ヒンジ軸と前記ヒンジ軸受とが当接することによって、前記ハンドル部材の弾性変形を抑える外れ防止機構が設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔7〕 前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、キャップ本体に対してハンドル部材が邪魔にならず、使用時にハンドルをキャップ本体の上方に保持することを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の外観を示す斜視図である。
図2図1に示すキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
図3図1に示すキャップユニットにおいて、(A)はハンドル部材がキャップ本体の上方に位置する状態を示す斜視図、(B)はハンドル部材がキャップ本体の側方に位置する状態を示す斜視図である。
図4図1に示すキャップユニットが備えるヒンジ部において、キャップ本体側に設けられたヒンジ軸の構成を示す斜視図である。
図5図1に示すキャップユニットが備えるヒンジ部において、ハンドル部材側に設けられたヒンジ軸受の構成を示し、(A)はその斜視図、(B)はその側面図である。
図6図1に示すキャップユニットが備えるヒンジ部において、ヒンジ軸がヒンジ軸受に軸支された状態を示す斜視図である。
図7図1に示すキャップユニットが備えるヒンジ部において、ヒンジ軸の先端側に取り付けられるキャップ部材の構成を示し、(A)はその表側から見た斜視図、(B)はその裏側から見た斜視図である。
図8図1に示すキャップユニットが備えるヒンジ部の構成を示し、(A)はその鉛直断面図、(B)はその水平断面図である。
図9図1に示すキャップユニットが備えるヒンジ部において、(A)はハンドル部材がキャップ本体の上方に位置する状態を示す断面図、(B)はハンドル部材がキャップ本体の側方に位置する状態を示す断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るキャップユニットが備えるヒンジ部において、キャップ本体側に設けられたヒンジ軸及び摺動部材の構成を示す斜視図である。
図11図10に示すキャップユニットが備えるヒンジ部の構成を示し、(A)はその鉛直断面図、(B)はその水平断面図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係るキャップユニットが備えるヒンジ部において、キャップ本体側に設けられたヒンジ軸及び摺動部材の構成を示す斜視図である。
図13図12に示すキャップユニットが備えるヒンジ部の構成を示す水平断面図である。
図14図12に示すキャップユニットが備えるヒンジ部において、(A)はハンドル部材がキャップ本体の上方に位置する状態を示す断面図、(B)はハンドル部材がキャップ本体の側方に位置する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1図9に示すキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100について説明する。
【0013】
なお、図1は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100の外観を示す斜視図である。図2は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100の構成を示す断面図である。図3(A)は、キャップユニット1Aにおいて、ハンドル部材9がキャップ本体7の上方に位置する状態を示す斜視図である。図3(B)は、キャップユニット1Aにおいて、ハンドル部材9がキャップ本体7の側方に位置する状態を示す斜視図である。図4は、キャップユニット1Aが備えるヒンジ部8において、キャップ本体7側に設けられたヒンジ軸17の構成を示す斜視図である。図5は、キャップユニット1Aが備えるヒンジ部8において、ハンドル部材9側に設けられたヒンジ軸受18の構成を示し、(A)はその斜視図、(B)はその側面図である。図6は、キャップユニット1Aが備えるヒンジ部8において、ヒンジ軸17がヒンジ軸受18に軸支された状態を示す斜視図である。図7は、キャップユニット1Aが備えるヒンジ部8において、ヒンジ軸17の先端側に取り付けられるキャップ部材19の構成を示し、(A)はその表側から見た斜視図、(B)はその裏側から見た斜視図である。図8は、キャップユニット1Aが備えるヒンジ部8の構成を示し、(A)はその鉛直断面図、(B)はその水平断面図である。図9(A)は、キャップユニット1Aが備えるヒンジ部8において、ハンドル部材9がキャップ本体7の上方に位置する状態を示す断面図である。図9(B)は、キャップユニット1Aが備えるヒンジ部8において、ハンドル部材9がキャップ本体7の側方に位置する状態を示す断面図である。
【0014】
本実施形態のキャップ付き容器100は、図1及び図2に示すように、本実施形態のキャップユニット1Aと、このキャップユニット1Aが着脱自在に取り付けられる容器本体2とを備えている。
【0015】
キャップ付き容器100は、真空断熱構造を有する容器本体2によって、この容器本体2に収容された飲料(内容物)を保冷又は保温することが可能な飲料用容器である。
【0016】
具体的に、この容器本体2は、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0017】
容器本体2は、略円形状の底部2aと、底部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。また、口頸部2cの上端部は、容器本体2の上部開口部2dとして、円形状に開口している。
【0018】
また、容器本体2は、口頸部2cの外周面が胴部2bの外周面よりも縮径されると共に、口頸部2cの内周面が胴部2bの内周面よりも縮径された形状を有している。さらに、口頸部2cの内周面には、リング状の張出部6が全周に亘って突出して設けられている。
【0019】
なお、本実施形態のキャップ付き容器100は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器100の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0020】
本実施形態のキャップユニット1Aは、容器本体2の口頸部2cに螺合により着脱自在に取り付けることによって、容器本体2の上部開口部2dを開閉する蓋体を構成するものである。
【0021】
具体的に、このキャップユニット1Aは、図1及び図2に示すように、容器本体2の上部開口部2dを閉塞するキャップ本体7と、キャップ本体7に対して、その両端部が一対のヒンジ部8を介して回動自在に取り付けられたハンドル部材9とを備えている。
【0022】
すなわち、このキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100では、ハンドル部材9を把持しながら、持ち運ぶことが可能となっている。
【0023】
キャップ本体7は、容器本体2の上部開口部2dを覆う外蓋10と、上部開口部2dから容器本体2の内側に嵌め込まれる中栓11とを有している。
【0024】
外蓋10は、例えば耐熱性樹脂からなり、外観が容器本体2の胴部2bと連続するように略円筒状に形成された周壁部10aと、周壁部10aの上部を閉塞する上壁部10bとを有している。
【0025】
中栓11は、例えば耐熱性樹脂からなり、略円形状の底壁部11aと、底壁部11aの周囲から略円筒状に立ち上がる周壁部11bとを有している。
【0026】
中栓11は、外蓋10の内側中央部に位置しており、溶着等により周壁部11bが外蓋10の下面に一体に取り付けられている。また、中栓11の内側には、例えば発泡樹脂などの断熱材12が配置されている。なお、中栓11の内側は、上述した断熱材12が配置された構成に限らず、断熱層となる空気(空間)が設けられた構成としてもよい。これにより、容器本体2に収容された飲料(液体)を長時間に亘って保温又は保冷することが可能となっている。
【0027】
周壁部11b(中栓11)の外周面には、雄ネジ部13が設けられている。一方、口頸部2c(容器本体2)の内周面には、雌ネジ部14が張出部6よりも上方に位置して設けられている。
【0028】
本実施形態のキャップ付き容器100では、上部開口部2dから容器本体2の内側に中栓11を嵌め込んだ状態から、容器本体2に対して外蓋10(キャップ本体7)を上面視で右回り(以下、「閉方向」という。)に回転させることによって、雄ネジ部13と雌ネジ部14との螺合により容器本体2に対してキャップ本体7(キャップユニット1A)を取り付けることが可能である。
【0029】
一方、本実施形態のキャップ付き容器100では、容器本体2にキャップ本体7(キャップユニット1A)が取り付けられた状態から、容器本体2に対して外蓋10(キャップ本体7)を上面視で左回り(以下、「開方向」という。)に回転させることによって、雄ネジ部13と雌ネジ部14との螺合を解除し、容器本体2からキャップ本体7(キャップユニット1A)を取り外すことが可能である。
【0030】
さらに、雄ネジ部13と雌ネジ部14とは、互いに相補形を為す二条ネジからなる。二条ネジを用いた場合、容器本体2に対してキャップ本体7(キャップユニット1A)を少ない回転操作(本実施形態では約360°)で着脱することが可能である。
【0031】
中栓11の下端側の外周部には、止水パッキン15が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン15は、容器本体2の張出部6と中栓11との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有する弾性部材からなる。
【0032】
中栓11の下端側には、周壁部11bの外径よりも全周に亘って縮径されたリング状の溝部11cと、溝部11cの下端から全周に亘って拡径方向に突出されたリング状のフランジ部11dとが設けられている。
【0033】
一方、止水パッキン15の内周面には、溝部11cに嵌合されるリング状の嵌合凸部15aと、フランジ部11dが嵌合されるリング状の嵌合凹部15bとが設けられている。
【0034】
止水パッキン15は、溝部11cに嵌合凸部15aが嵌合されると共に、嵌合凹部15bにフランジ部11dが嵌合されることによって、中栓11の下端側の外周部に着脱自在に取り付けられている。
【0035】
また、止水パッキン15の外周面には、2つの弾性フランジ部15cが拡径方向に突出して設けられている。止水パッキン15は、容器本体2にキャップ本体7(キャップユニット1A)が取り付けられた際に、弾性フランジ部15cが弾性変形しながら、容器本体2の張出部6に全周に亘って密着した状態となる。これにより、張出部6(容器本体2)と中栓11(キャップ本体7)との間を密閉(止水)することが可能となっている。
【0036】
一方、止水パッキン15は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、中栓11(キャップ本体7)から取り外すことが可能である。これにより、キャップ本体7と止水パッキン15とをそれぞれ別々に洗浄することができ、止水パッキン15とキャップ本体7との間を衛生的に保つことができる。
【0037】
なお、止水パッキン15については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば、弾性フランジ部15cの数については、上述した2つに限らず、1つ又は3つ以上の複数とすることが可能である。
【0038】
また、止水パッキン15は、上述した弾性フランジ部15cが設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。例えば、止水パッキン15の外周面の上端から下方に向かって湾曲しながら突出した形状を有する弾性フランジ部を設けた構成としてもよい。
【0039】
また、止水パッキン15は、中栓11(キャップ本体7)に着脱自在に取り付けられた構成に限定されるものではなく、中栓11(キャップ本体7)と一体に成形された構成であってもよい。この場合、止水パッキン15を中栓11(キャップ本体7)から取り外して別々に洗浄するといった手間が不要となる。
【0040】
ハンドル部材9は、例えばポリプロピレン(PP)などの高強度且つ軽量な合成樹脂からなり、その両端部の間で略円弧状に湾曲したアーチ部9aを有している。
【0041】
また、ハンドル部材9は、その両端部からアーチ部9aの中間に向かって厚みが連続的に小さくなる形状を有しており、アーチ部9aの中間部が最も厚みが薄い形状となっている。一方、ハンドル部材9は、その両端部の間でアーチ部9aの幅が一定となる形状を有している。
【0042】
ハンドル部材9は、その両端部における厚みよりもアーチ部9aの中間における厚みが小さいため、アーチ部9aが弾性変形し易くなっている。これにより、ハンドル部材9をキャップ本体7に取り付ける組立時において、このハンドル部材9を撓ませるように弾性変形させることで、組み立て易くすることが可能である。
【0043】
ハンドル部材9は、図3(A)に示すキャップ本体7の上方に位置する第1の位置と、図3(B)に示すキャップ本体7の側方に位置する第2の位置との間で回動自在に取り付けられている。
【0044】
これに対応して、キャップ本体7には、第2の位置において、ハンドル部材9を収納する収納凹部16が設けられている。収納凹部16は、外蓋10の周壁部10aと上壁部10bとの間を全周に亘って切り欠くように設けられている。すなわち、外蓋10は、収納凹部16において周壁部10aの外周面よりも縮径された形状を有している。
【0045】
ハンドル部材9は、外蓋10(キャップ本体7)の収納凹部16が設けられた側面の相対する位置において、それぞれ外側へ突出する一対のヒンジ部8の間を連結しながら、これら一対のヒンジ部8を介して回動自在に取り付けられている。
【0046】
これにより、ハンドル部材9は、収納凹部16の底面からアーチ部9aが上向きに直立した第1の位置(収納凹部16の底面に対して90°となる位置)と、収納凹部16の底面にアーチ部9aが横倒しに接触した第2の位置(収納凹部16の底面に対して0°又は180°となる位置)との間で、180°の角度範囲で回動可能となっている。
【0047】
ハンドル部材9は、第1の位置において、アーチ部9aの中間がキャップ本体7の最上部に位置している。一方、ハンドル部材9は、第2の位置において、収納凹部16の内側に収納されると共に、アーチ部9aの外面が周壁部10a(外蓋10)の外周面と略一致した形状となっている。これにより、ハンドル部材9を第2の位置に収容した際の見た目(美感)を良くすることが可能である。
【0048】
一対のヒンジ部8は、キャップ本体7に対してハンドル部材9の両端部を回動自在に支持している。一対のヒンジ部8は、ハンドル部材9の両端部に互いに対称に配置されると共に、互いに一致した構造を有している。
【0049】
具体的に、各ヒンジ部8は、図4図8に示すように、キャップ本体7とハンドル部材9との何れか一方(本実施形態ではキャップ本体7)に設けられたヒンジ軸17と、キャップ本体7とハンドル部材9との何れか他方(本実施形態ではハンドル部材9)に設けられたヒンジ軸受18と、ヒンジ軸17の先端側に取り付けられるキャップ部材19とを有している。
【0050】
ヒンジ軸17は、図4に示すように、キャップ本体7の収納凹部16が設けられた側面から外側に突出された円柱状の軸部17aと、軸部17aの先端側における上下両側から拡径方向に突出された抜け止め部17bとを有している。
【0051】
ヒンジ軸受18は、図5(A),(B)に示すように、ハンドル部材9の端部を厚み方向に貫通する軸孔18aと、ハンドル部材9のキャップ本体7と対向する面(内面)における軸孔18aの周囲を抜け止め部17bに対応した形状に切り欠く切り欠き部18bと、ハンドル部材9の内面とは反対側の面(外面)における軸孔18aの周囲を抜け止め部17bに外径に合わせて全周に亘って凹ませたガイド凹部18cと、ガイド凹部18cの底面において平坦となる底面部18dとを有している。
【0052】
各ヒンジ部8では、図6に示すように、切り欠き部18bから抜け止め部17bが進入可能な第3の位置(本実施形態では収納凹部16の底面に対してハンドル部材9が約15°となる位置)から、軸部17aを軸孔18aに挿入する。この状態から、ハンドル部材9を第3の位置を除く位置に回動させることで、ガイド凹部18cの内側に位置する抜け止め部17bが回動自在に案内される。これにより、軸部17aが軸孔18aから抜け止めされた状態となり、ヒンジ軸17がヒンジ軸受18に軸支された状態となる。
【0053】
キャップ部材19は、図7(A),(B)に示すように、ガイド凹部18cに対応した円板状のキャップ本体部19aと、キャップ本体部19aの一面の中央部から内側に突出された嵌合凸部19bと、キャップ本体部19aの嵌合凸部19bを挟んだ両側から突出されると共に、その先端が内側に向かって屈曲した一対の係止爪19cとを有している。
【0054】
一方、ヒンジ軸17は、軸部17aの先端中央部を内側に凹ませた嵌合凹部17cと、抜け止め部17bを挟んだ軸部17aの両側の側面から拡径方向に突出された一対の係止受け部17dと、抜け止め部17bの内面側で底面部18dと対向する平坦な当接面17eとを有している。
【0055】
キャップ部材19は、図8(A),(B)に示すように、ヒンジ軸17がヒンジ軸受18に軸支された状態において、ガイド凹部18cの内側にキャップ本体部19aが嵌め込まれた状態で、嵌合凸部19bが嵌合凹部17cに嵌合されると共に、一対の係止爪19cが一対の係止受け部17dに係止される。これにより、キャップ部材19のずれを防止し、ヒンジ軸17の先端側に固定された状態となる。
【0056】
ヒンジ部8では、ヒンジ軸17の先端側にキャップ部材19が取り付けられることによって、第3の位置にて切り欠き部18bから抜け止め部17bを抜き出すことが不可能となり、ヒンジ軸17がヒンジ軸受18に軸支された状態が維持される。
【0057】
従来、キャップユニット1Aが容器本体2に取り付けられた状態において、ハンドル部材9が容器本体2に干渉して取り外しができない位置に第3の位置を設定することが行われている。
【0058】
すなわち、キャップユニット1Aを容器本体2に取り付ける前は、ハンドル部材9をキャップ本体7に着脱することができるが、キャップユニット1Aを容器本体2に取り付けた状態では、ハンドル部材9をキャップ本体7に着脱することができなくなる。
【0059】
これに対して、本実施形態では、ハンドル部材9が容器本体2と干渉することがないため、第3の位置を第1の位置と第2の位置の間に設けている。このため、使用者が第2の位置(収納凹部16の底面に対して0°又は180°となる位置)にあるハンドル部材9を起こす際には、ハンドル部材9に指を掛けたときに指の厚み程度で第3の位置(収納凹部16の底面に対してハンドル部材9が約15°となる位置)を越えるような設定とすることが好ましい。
【0060】
また、通常の使用時において、第3の位置にハンドル部材9を固定することは難しく、切り欠き部18bから抜け止め部17bを抜き出しづらい構造となっている。
【0061】
キャップ部材19は、ヒンジ部8を隠して外観の見栄え(美感)を向上させると共に、仮にハンドル部材9が第3の位置にある場合でも、ハンドル部材9が外れることを防ぐ効果を有している。
【0062】
各ヒンジ部8は、図8(A),(B)に示すように、ハンドル部材9を下に向けて落下した場合などの落下の衝撃によって、ハンドル部材9及びキャップ部材19が外れないようにするための外れ防止機構20を有している。
【0063】
外れ防止機構20は、ガイド凹部18cにおけるヒンジ部8の軸線方向底の平面である底面部18dと、抜け止め部17bの内面側で底面部18dと対向する平面である当接面17eとを有している。
【0064】
外れ防止機構20では、ハンドル部材9を下に向けて落下した場合、落下の衝撃によってハンドル部材9の両端部がキャップ本体7に対してヒンジ軸17の軸線方向の外側に押し広げられる方向に弾性変形する。
【0065】
このとき、ヒンジ軸17の当接面17eとヒンジ軸受18の底面部18dとが最初に当接することで、ハンドル部材9がそれ以上弾性変形によって外側へ押し広げられることを阻止する。
【0066】
これにより、ハンドル部材9の大きな変形によるキャップ本体7からの外れや破損を防ぐと共に、ハンドル部材9がキャップ部材19と接触し、キャップ部材19が外れることを防ぐことが可能である。
【0067】
各ヒンジ部8は、図4及び図9(A),(B)に示すように、少なくとも第1の位置(本実施形態では第1の位置及び第2の位置)にてクリック感を付与すると共に、ハンドル部材9を少なくとも第1の位置(本実施形態では第1の位置及び第2の位置)に保持するクリック機構21を有している。
【0068】
クリック機構21は、ヒンジ軸17とヒンジ軸受18との互いに対向する面のうち、一方(本実施形態ではヒンジ軸受18)の面側に設けられた複数(本実施形態では3つ)の係合凹部22と、他方(本実施形態ではヒンジ軸17)の面側に設けられた係合凸部23とを有している。
【0069】
複数の係合凹部22は、第1の位置(収納凹部16の底面に対して90°となる位置)と、第2の位置(収納凹部16の底面に対して0°又は180°となる位置)とに対応して、ハンドル部材9の内面における軸孔18aの周囲を係合凸部23に対応した形状に切り欠き形成されている。
【0070】
係合凸部23は、キャップ本体7の収納凹部16が設けられた側面の軸部17aの下方から外側に突出して設けられている。
【0071】
クリック機構21では、図9(A)に示すように、ハンドル部材9を回動させた際に、第1の位置にて係合凹部22の1つに係合凸部23が係合されることによって、クリック感を付与すると共に、ハンドル部材9を第1の位置に保持することが可能である。
【0072】
また、クリック機構21では、図9(B)に示すように、ハンドル部材9を回動させた際に、第2の位置にて係合凹部22の1つに係合凸部23が係合されることによって、クリック感を付与すると共に、ハンドル部材9を第2の位置に保持することが可能である。
【0073】
なお、本実施形態では、第1の位置を収納凹部16の底面に対して90°となる位置としているが、このような構成に限らず、例えば収納凹部16の底面に対して45°となる位置など、任意の角度に設定することが可能である。
【0074】
また、本実施形態では、第1の位置及び第2の位置に合わせた複数(3つ)の係合凹部22を備えているが、クリック機構21が第1の位置のみにある場合には、係合凹部22を1つのみとすることも可能である。
【0075】
一方、クリック機構21では、第1の位置及び第2の位置にて係合凹部22に係合凸部23が係合された状態から、ハンドル部材9を回動させたときに、ヒンジ軸17(ヒンジ部8)の軸線方向の外側に、ヒンジ軸17に対してヒンジ軸受18が広げられるように相対的に移動することによって、係合凹部22と係合凸部23との係合状態が解除される。これにより、ハンドル部材9を第1の位置と第2の位置との間で回動させることが可能である。
【0076】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100では、ハンドル部材9を把持しながら、持ち運ぶことが可能である。また、クリック機構21により第1の位置及び第2の位置にてクリック感を付与すると共に、ハンドル部材9を第1の位置及び第2の位置に保持できるため、ハンドル部材9がキャップ本体7から垂れ下がった状態とはならず、邪魔となることがない。これにより、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0077】
また、本実施形態のキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100では、例えばハンドル部材9を下に向けて落下した場合など、第1の位置に保持されたハンドル部材9に衝撃が加わった際に、地面と接触したアーチ部9aが押圧されることによって、ハンドル部材9の両端部がキャップ本体7に対してヒンジ軸17の軸線方向の外側に押し広げられる方向に弾性変形する。
【0078】
ハンドル部材9は、その両端部における厚みよりもアーチ部9aの中間における厚みが小さいため、ハンドル部材9の中間部を弾性変形させ易い。このため、ヒンジ軸17(ヒンジ部8)の軸線方向外側に広げられる方向に弾性変形し易くなっている。
【0079】
ここで、外れ防止機構20によりヒンジ軸17の当接面17eとヒンジ軸受18の底面部18dとが最初に当接することで、ハンドル部材9がそれ以上弾性変形によって外側へ押し広げられることを抑えることができる。
【0080】
これにより、ハンドル部材9の大きな変形によるキャップ本体7からの外れや破損を防ぐと共に、ハンドル部材9がキャップ部材19と接触し、キャップ部材19が外れることを防ぐことが可能である。
【0081】
また、ハンドル部材9を下に向けて落下した場合など、第1の位置に保持されたハンドル部材9に衝撃が加わった際に、地面と接触したアーチ部9aが押圧されることによって、ハンドル部材9の両端部がキャップ本体7に対してヒンジ軸17の軸線方向の外側に押し広げられる方向に弾性変形する。
【0082】
このとき、クリック機構21によるハンドル部材9の保持状態が解除され、ハンドル部材9が第2の位置へと倒れ込みながら収納凹部16に収納される。これにより、ハンドル部材9やヒンジ部8への衝撃をハンドル部材9の回動動作へと変換することで、緩和しながらヒンジ部8やハンドル部材9の損傷を防ぐことが可能である。
【0083】
また、ハンドル部材9の両端部にあたるヒンジ軸受18の周囲は、アーチ部9aに対して厚みが大きいため、剛性が高い。したがって、ハンドル部材9を下に向けて落下した場合でも、ハンドル部材9が破損しづらくなっている。
【0084】
また、本実施形態では、キャップ本体7の側面方向から外側へ突出されるようにヒンジ軸17が設けられ、ハンドル部材9の端部を厚み方向に貫通するようにヒンジ軸受18が設けられた構成となっている。
【0085】
一方、ヒンジ軸17とヒンジ軸受18とをキャップ本体7とハンドル部材9とのどちらに設けるか、若しくはヒンジ軸17を外側と内側とのどちらへ突出させるかは、適宜選択することが可能である。
【0086】
但し、洗浄性、製造時の成形の容易さや組立性、外観の美感等を考慮すると、本実施形態によるヒンジ軸17をキャップ本体7の側面方向から外側へ突出されるように設け、ヒンジ軸受け18をハンドル部材9の端部に設ける構成が最も理想的である。
【0087】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図10及び図11に示すキャップユニット1Bについて説明する。
【0088】
なお、図10は、キャップユニット1Bが備えるヒンジ部8において、キャップ本体7側に設けられたヒンジ軸17及び摺動部材25の構成を示す斜視図である。図11(A)は、キャップユニット1Bが備えるヒンジ部8の構成を示す鉛直断面図である。図11(B)は、キャップユニット1Bが備えるヒンジ部8の構成を示す水平断面図である。また、以下の説明では、上記キャップユニット1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0089】
本実施形態のキャップユニット1Bは、図10及び図11(A),(B)に示すように、上記ヒンジ部8において、クリック機構21を省略する代わりに、第1の位置と第2の位置との間でハンドル部材9を無段階に保持するハンドル保持機構24が設けられた構成である。それ以外は、上記キャップユニット1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0090】
具体的に、このハンドル保持機構24は、ヒンジ軸17とヒンジ軸受18との互いに対向する面の間に配置されて、第1の位置と第2の位置との間で摺動抵抗を付与する摺動部材25を有している。
【0091】
摺動部材25は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するリング状の弾性部材からなり、軸部17aの周囲に嵌め付けられている。一方、軸部17aの周囲には、摺動部材25が嵌め付けられるリング状の溝部17fが設けられている。
【0092】
ハンドル保持機構24では、ヒンジ軸17がヒンジ軸受18に軸支された状態において、ハンドル部材9の回動に対して、軸部17aと軸孔18aとの間で摺動部材25が押し潰されることで、摺動抵抗を付与する。これは、ハンドル部材9が第1の位置及び第2の位置のみに限らず、ハンドル部材9が回動できる範囲全域において同様である。
【0093】
この摺動抵抗によって、ハンドル部材9が自重によって第2の位置に倒れこむことを抑制し、第1の位置と第2の位置との間の任意の位置で、ハンドル部材9を無段階に保持することが可能である。
【0094】
さらに、この摺動抵抗は、使用者がハンドル部材9の回動操作を行う際に、操作感が良い状態に設定されている。これらは、摺動部材25の材質や、表面処理(コーティング等を含む)、弾性変形の度合い(押し潰しの具合)等で調節することが可能である。
【0095】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100では、ハンドル部材9を把持しながら、持ち運ぶことが可能である。また、ハンドル保持機構24により第1の位置と第2の位置との間でハンドル部材9を無段階に保持できるため、キャップ付き容器100をひっくり返す、いわゆる倒立状態としても、ハンドル部材9がキャップ本体7から垂れ下がった状態とはならず、邪魔となることがない。これにより、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0096】
また、本実施形態のキャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100では、例えばハンドル部材9を下に向けて落下した場合など、第1の位置に保持されたハンドル部材9に衝撃が加わった際に、地面と接触したアーチ部9aが押圧されることによって、ハンドル部材9が第2の位置へと倒れ込みながら収納凹部16に収納される。これにより、ハンドル部材9及びヒンジ部8への衝撃をハンドル部材9の回動動作へと変換することで、ヒンジ部8やハンドル部材9の損傷を防ぐことが可能である。
【0097】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図12図14に示すキャップユニット1Cについて説明する。
【0098】
なお、図12は、キャップユニット1Cが備えるヒンジ部8において、キャップ本体7側に設けられたヒンジ軸17及び摺動部材27の構成を示す斜視図である。図13は、キャップユニット1Cが備えるヒンジ部8の構成を示す水平断面図である。図14(A)は、キャップユニット1Cが備えるヒンジ部8において、ハンドル部材9がキャップ本体7の上方に位置する状態を示す断面図である。図14(B)は、キャップユニット1Cが備えるヒンジ部8において、ハンドル部材9がキャップ本体7の側方に位置する状態を示す断面図である。また、以下の説明では、上記キャップユニット1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0099】
本実施形態のキャップユニット1Cは、図12図14に示すように、上記ヒンジ部8において、クリック機構21を省略する代わりに、ハンドル部材9を少なくとも第1の位置(本実施形態では第1の位置及び第2の位置)に保持するハンドル保持機構26が設けられた構成である。それ以外は、上記キャップユニット1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0100】
具体的に、このハンドル保持機構26は、ヒンジ軸17とヒンジ軸受18との互いに対向する面の間に配置されて、第1の位置及び第2の位置にて摺動抵抗を付与する摺動部材27を有している。
【0101】
摺動部材27は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有する略円筒状の弾性部材からなり、軸部17aの周囲に嵌め付けられている。摺動部材27は、第1の位置(収納凹部16の底面に対して90°となる位置)と、第2の位置(収納凹部16の底面に対して0°又は180°となる位置)とに対応して、その外周面の一部が突出した複数(本実施形態では4つ)の摺動凸部27aを有している。
【0102】
一方、ヒンジ軸受18は、第1の位置(収納凹部16の底面に対して90°となる位置)と、第2の位置(収納凹部16の底面に対して0°又は180°となる位置)とに対応して、軸孔18aの内周面の一部が突出した複数(本実施形態では2つ)の摺動凸部18eを有している。
【0103】
また、摺動部材27には、軸部17aに固定するための固定孔27bが設けられている。 一方、軸部17aの外周面には、この固定孔27bに嵌合される固定凸部17gが設けられている。
【0104】
ハンドル保持機構26では、ヒンジ軸17がヒンジ軸受18に軸支された状態において、ハンドル部材9の回動に対して、図14(A)に示す第1の位置にて、摺動部材27側の摺動凸部27aと、ヒンジ軸受18側の摺動凸部18eとが互いに摺動されることで、摺動抵抗を付与する。これにより、ハンドル部材9を第1の位置に保持すると共に、使用者に第1の位置であることを触感から認識させることが可能である。
【0105】
また、ハンドル保持機構26では、ヒンジ軸17がヒンジ軸受18に軸支された状態において、ハンドル部材9の回動に対して、図14(B)に示す第2の位置にて、摺動部材27側の摺動凸部27aと、ヒンジ軸受18側の摺動凸部18eとが互いに摺動されることで、摺動抵抗を付与する。これにより、ハンドル部材9を第2の位置に保持すると共に、使用者に第2の位置であることを触感から認識させることが可能である。
【0106】
この摺動凸部27aと摺動凸部18eとの間の摺動抵抗は、使用者がハンドル部材9の回動操作を行う際の操作感が良い状態に設定されている。また、この摺動抵抗は、摺動部材27の材質や、表面処理(コーティング等を含む)、摺動凸部27aの弾性変形の度合い(押し潰しの具合)等で調節することが可能である。
【0107】
一方、ハンドル保持機構26では、第1の位置又は第2の位置からハンドル部材9を回動させたときに、摺動部材27側の摺動凸部27aと、ヒンジ軸受18側の摺動凸部18eとが離間することで、摺動抵抗が無くなる。これにより、ハンドル部材9を第1の位置と第2の位置との間で抵抗感無く回動させることが可能である。
【0108】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100では、ハンドル部材9を把持しながら、持ち運ぶことが可能である。また、ハンドル保持機構26によりハンドル部材9を第1の位置及び第2の位置に保持できるため、キャップ付き容器100をひっくり返す、いわゆる倒立状態としても、ハンドル部材9がキャップ本体7から垂れ下がった状態とはならず、邪魔となることがない。これにより、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0109】
また、本実施形態のキャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100では、例えばハンドル部材9を下に向けて落下した場合など、第1の位置に保持されたハンドル部材9に衝撃が加わった際に、地面と接触したアーチ部9aが押圧されることによって、ハンドル部材9が第2の位置へと倒れ込みながら収納凹部16に収納される。これにより、ハンドル部材9及びヒンジ部8への衝撃をハンドル部材9の回動動作へと変換することで、ヒンジ部8やハンドル部材9の損傷を防ぐことが可能である。
【0110】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記キャップユニット1Cにおいて、上述したハンドル保持機構26を構成する摺動部材27に弾性部材の代わりに硬質樹脂を用いることで、第1の位置又は第2の位置までハンドル部材9を回動させたときに、摺動部材27側の摺動凸部27aと、ヒンジ軸受18側の摺動凸部18eとの接触による摺動抵抗の急な増加を発生させることで、クリック感を付与することが可能である。
【0111】
なお、上記実施形態では、真空断熱構造を有する容器本体2によって保冷(又は保温)機能を持たせたキャップ付き容器100に本発明を適用した場合を例示しているが、このような真空断熱構造を有する容器本体2を備えたものに必ずしも限定されるものではない。すなわち、本発明は、キャップユニットが容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップ付き容器に対して幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1A~1C…キャップユニット 2…容器本体 3…外容器 4…内容器 5…真空断熱層 6…張出部 7…キャップ本体 8…ヒンジ部 9…ハンドル部材 10…外蓋 11…中栓 12…断熱材 13…雄ネジ部 14…雌ネジ部 15…止水パッキン 16…収納凹部 17…ヒンジ軸 18…ヒンジ軸受 19…キャップ部材 20…外れ防止機構 21…クリック機構 22…係合凹部 23…係合凸部 24…ハンドル保持機構 25…摺動部材 26…ハンドル保持機構 27…摺動部材 100…キャップ付き容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14