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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131527
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20240920BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240920BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20240920BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20240920BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20240920BHJP
   F24F 1/0076 20190101ALI20240920BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F8/108 110
F24F8/22
F24F11/61
F24F11/41 120
F24F1/0076
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041849
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 元貴
(72)【発明者】
【氏名】石川 廉
【テーマコード(参考)】
3L051
3L260
【Fターム(参考)】
3L051BA02
3L051BC03
3L260BA54
3L260CA12
3L260EA07
3L260FC28
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】
紫外線灯の不点灯異常を正確に判定することができる空気清浄部を有する空気調和機を提供することである。
【解決手段】
実施形態の空気調和機は、空気吸込口と空気吹出口とを連通する通風路に、空気吸込口から吸い込まれる空気の温度を検出する温度センサと、送風機と、熱交換器と、が配置されている。また、実施形態の空気調和機は、通風路上の温度センサおよび送風機の上流側に配置される遮光グリルと殺菌灯と集塵フィルタとを有する空気清浄部と、殺菌灯の点灯および消灯を制御する制御部と、を備える。殺菌灯は、温度センサが閾値以上の温度を検出する場合にのみ、点灯するように制御されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸込口と空気吹出口とを連通する通風路に、前記空気吸込口から吸い込まれる空気の温度を検出する温度センサと、送風機と、熱交換器と、が配置された空気調和機において、
前記通風路上の前記送風機および前記温度センサの上流側に配置される遮光グリルと、殺菌灯と、集塵フィルタと、を有する空気清浄部と、前記殺菌灯の点灯および消灯を制御する制御部と、を備え、
前記殺菌灯は、前記温度センサが閾値以上の温度を検出するとき、点灯するように制御されることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記殺菌灯の不点灯異常を判定し、一定時間以上が経過したのちに、前記殺菌灯を再点灯させる再点灯待機タイマを有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記殺菌灯の不点灯異常を検出する毎に、前記殺菌灯へ再点灯指示を出し、前記再点灯指示の回数が所定回数に達すると、前記殺菌灯の不点灯異常と確定することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
空気吸込口と空気吹出口とを連通する通風路に、送風機と、熱交換器と、が配置された空気調和機において、
前記通風路上の前記送風機の上流側に配置される遮光グリルと、LEDである殺菌灯と、集塵フィルタと、を有する空気清浄部と、前記殺菌灯の点灯および消灯を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記殺菌灯の不点灯異常を判定し、一定時間以上が経過したのちに、前記殺菌灯を再点灯させる再点灯待機タイマを有することを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記殺菌灯の不点灯異常を検出する毎に、前記殺菌灯へ再点灯指示を出し、前記再点灯指示の回数が所定回数に達すると、前記殺菌灯の不点灯異常と確定することを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気清浄部を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗などの広い空間を空調する場合には、空気調和機の室内機として壁面に取り付けられる、いわゆる壁掛け形よりも天井裏に据え付けられるビルトインタイプのものの方が有利である。この種の室内機は、天井に設けられる複数の吹出口とダクトを介して連通され、室内全体に均一に熱交換空気を吹き出すことで、快適空調を提供している。
従来、フィルタ等の捕集エレメントが捕らえた細菌などを死滅させるための紫外線灯が設けられている空気調和機が知られている。紫外線灯には、殺菌ランプやLEDなどが用途に合わせて用いられる。例えば、特許文献1では、殺菌ランプを密閉空間に内蔵し、一定時間空気を密閉空間に留め、殺菌を十分に行った後、殺菌された空気を室内に吐出している。
しかし、殺菌ランプを用いた紫外線灯は、吸い込み空気温度に対する照度特性を有し、吸い込み空気温度が低温である場合、紫外線灯の照度は低くなる。そのため、紫外線灯制御部は、紫外線灯の照度が低い状態を不点灯異常だと誤って判定してしまうことが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4―347425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、紫外線灯の不点灯異常を正確に判定することができる空気清浄部を有する空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の空気調和機は、空気吸込口と空気吹出口とを連通する通風路に、空気吸込口から吸い込まれる空気の温度を検出する温度センサと、送風機と、熱交換器と、が配置されている。また、実施形態の空気調和機は、通風路上の温度センサおよび送風機の上流側に配置される遮光グリルと殺菌灯と集塵フィルタとを有する空気清浄部と、殺菌灯の点灯および消灯を制御する制御部と、を備える。殺菌灯は、温度センサが閾値以上の温度を検出する場合にのみ、点灯するように制御されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の縦断面図。
図2】本発明の実施形態に係る室内ユニット制御基板と空気清浄ユニット制御基板の制御ブロック図。
図3】本発明の第一の実施形態に係る紫外線灯制御部の動作を示すフローチャート。
図4】本発明の第二の実施形態に係る紫外線灯制御部の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第一の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る空気調和機について、図1図3を参照して説明する。
【0008】
図1は、ビルトイン形の空気調和機1の縦断面図である。空気調和機1は、室内ユニット2と、空気清浄部である空気清浄ユニット3と、を備えている。この室内ユニット2と空気清浄ユニット3は、連結された状態において、連通した通風路18を有している。
【0009】
室内ユニット2は、高さ方向寸法が、幅方向(図1の表裏方向)の寸法および奥行き方向(図1の左右方向)の寸法よりも短い扁平な矩形状の箱体である。室内ユニット2には、室内ユニット2の幅方向に亘って、室内ユニット2を送風機室4と熱交換室5に区画する仕切板6が設けられている。
【0010】
室内ユニット2は、熱交換室5の下面部が下面板2a、上面部が天板2b、手前側の側面部が側面板2c、奥側の側面部が側面板2d、送風機室4の下面部が遮風板2eでそれぞれ構成され、各板2a~2eは、それぞれ金属薄板を板金加工して成形される。室内ユニット2の正面部2fには、空気吹出口7が設けられている。
【0011】
送風機室4には、室内ユニット2内に天井裏の空気を吸い込む空気吸込口8が設けられている。この空気吸込口8は、下面部に設けられる空気吸込口8aと、背面部に設けられる空気吸込口8bが設けられている。据付現場の事情に応じて、いずれか一方の空気吸込口8aもしくは8bが選択され、他方の空気吸込口8aもしくは8bが、遮風板2eで閉塞される。本発明の実施形態では、送風機室4は、下面部の空気吸込口8aを閉塞し、背面部の空気吸込口8bを開口して、後述する空気清浄ユニット3に連結されている。
【0012】
そして、室内ユニット2は、送風機室4に収容される送風機9と、熱交換室5に収容される熱交換器10と、熱交換室5に収容されて熱交換器10の下方に配置されるドレンパン11と第一電気部品箱12と、を備えている。
【0013】
送風機室4は、空気吸込口8から空気を吸い込み、熱交換室5へ空気を吐出させる。熱交換室5へ吐出された空気は、熱交換器10で熱交換される。つまり、送風機9は、熱交換室5に熱交換空気を通風させる。このようにして構成される送風機室4には、室内ユニット2内に収容される全ての電気部品を制御する電気制御部品と、この電気制御部品を実装して電気回路を構成する制御基板などを備えた第一電気部品箱12が、後述するようにして備えられている。
【0014】
送風機9は、室内ユニット2の幅方向に延びる回転軸を有するファンモータ13と、ファンモータ13によって駆動されるファン(図示省略)と、を備えている。
ファンは、回転に伴って軸方向から空気を吸い込み、周方向へ空気を吹き出す方式のファン、いわゆる多翼送風機(シロッコファン)である。ファンは、ファンケーシング14に収納されている。
ファンケーシング14の側面には、空気を吸い込む吸込口15が設けられている。ファンケーシング14の仕切板6側の端部には、吹き出しノズル16が設けられている。吹き出しノズル16は、仕切板6を貫通して熱交換室5内に突出している。
【0015】
送風機9の上流側には、吸い込み空気温度センサ19が設けられている。吸い込み空気温度センサ19は、空気吸込口8、または吸込口15に設けられ、後述する空気清浄ユニット3から室内ユニット2に吸い込まれる空気温度を検出する。
【0016】
熱交換器10は、フィンアンドチューブ型の熱交換器であり、17aと17bの2つの熱交換部材17から構成される。熱交換器10は、複数枚のアルミフィン17aと、複数本の伝熱管(チューブ)17bと、を備える。熱交換器10は、その両側端部に端板(図示省略)が配置され、この端板間に複数枚のアルミフィン17aが所定の間隔を置いて並設される。そして、上記両端板およびアルミフィン17aに複数本の伝熱管17bが貫通している。熱交換器10は、伝熱管17bの内部を流れる冷媒とアルミフィン17aの間を流れる空気との間で熱交換を行う。複数のアルミフィン17aは、空気の通風方向と直行する方向に重ねて並べられている。熱交換器10は、空気吹出口7の方へ向けて傾けた姿勢、例えば、前傾させた姿勢で熱交換室5に収容されている。これにより、空気調和機1は、扁平な室内ユニット2内により大きい熱交換面積を確保している。室内ユニット2の内壁面における熱交換器10の周辺および熱交換器10の空気吹出口7側には、断熱材(図示省略)が設けられている。
【0017】
ドレンパン11は、冷房運転時に熱交換器10の熱交換で生成されるドレン水(凝縮水)を受け、ドレン受け部11aに溜める。ドレン受け部11aの上方には、ドレンポンプ(図示省略)が設けられている。空気調和機1は、ドレンポンプを作動させてドレン受け部11aに溜まったドレン水を室内ユニット2の外部に排水する。
ドレンパン11の下面は、室内ユニット2の下面板2aによって略全面が覆われている。
【0018】
室内ユニット2の側部には、第一電気部品箱12が設けられている。第一電気部品箱12は、室内ユニット2の内側にあり、側面板2c、または2dに設けられている。第一電気部品箱12には、送風機9の駆動に伴って、内部に冷却用空気が流通するよう適宜、開口部が設けられる。側面には、後述する室内ユニット制御基板20が取り付けられる。
【0019】
空気清浄ユニット3は、室内ユニット2と同様に、高さ方向寸法が、幅方向(図1の表裏方向)の寸法および奥行き方向(図1の左右方向)の寸法よりも短い扁平な矩形状の箱体である。空気清浄ユニット3の箱体は、下面板3aと、天板3bと、手前側の側面板3cと、奥側の側面板3dからなる。その内部に空気吸込口31と、第一集塵フィルタ32と、遮光グリル33と、紫外線モジュール34と、第二集塵フィルタ35と、第二電気部品箱36と、を備えている。第一集塵フィルタ32と、遮光グリル33と、紫外線モジュール34と、第二集塵フィルタ35と、第二電気部品箱36と、は、通風路18上の送風機9および吸い込み空気温度センサ19の上流側に配置される。
【0020】
空気吸込口31は、空気清浄ユニット3の背面部3eに設けられており、開口部から外気を空気清浄ユニット3内に吸い込む。
【0021】
第一集塵フィルタ32は、空気清浄ユニット3の高さ方向寸法および幅方向寸法に亘って、空気吸込口31を覆うように、空気清浄ユニット3の外壁に取り付けられている。
【0022】
遮光グリル33は、空気清浄ユニット3の高さ方向寸法および幅方向寸法に亘って、空気吸込口31を覆うように、空気清浄ユニット3内に取り付けられている。
【0023】
紫外線モジュール34は、直方体状の枠体である外枠34a内に形成された通風路18に殺菌灯である2本の紫外線灯34bを上下方向に配置して構成されている。例えば、直管状の紫外線灯34bを、外枠34aの長手方向に並べて配置したものが用いられる。紫外線モジュール34は、第一集塵フィルタ32と第二集塵フィルタ35との間に設けられている。設置する紫外線モジュール34の数は、送風機9の最大風量や流路面積に応じて、適宜変更してもよい。
紫外線モジュール34は、通風路18内に配置される2本の紫外線灯34bから紫外線を照射し、空気吸込口31から入ってくる空気に含まれる菌を殺菌する。ここで、紫外線灯34bは、波長が100nm~280nmのUV―Cを照射するものとすることで、ウイルスの不活性化にも効果を発揮する。
【0024】
第二集塵フィルタ35は、空気清浄ユニット3の高さ方向寸法および幅方向寸法に亘って、室内ユニット2と空気清浄ユニット3との接続口を覆うように、空気清浄ユニット3内に取り付けられている。
【0025】
第二電気部品箱36は、側面板3c、または3dの外壁に取り付けられている。第二電気部品箱36内には、空気清浄ユニット制御基板30が設けられており、室内ユニット制御基板20と空気清浄ユニット制御基板30とは、電気的に接続されている。
【0026】
なお、上記した遮光グリル33、第二集塵フィルタ35は、紫外線モジュール34と同様に、直方体状の枠体であり、その内側に通風路18を備えた外枠を有している。空気清浄ユニット3の下面板3aと天板3bとに設けられた凹部に、上記外枠を側面板3c、または3d側から空気清浄ユニット3の幅方向へ滑らせて収納することで、箱体の空気清浄ユニット3をなしている。
【0027】
また、第一集塵フィルタ32は、主に塵埃を捕捉するのに対し、第二集塵フィルタ35は、より目が細かく塵埃に加えて菌やウイルス、カビ等も捕捉する。
【0028】
このように構成された空気清浄ユニット3を室内ユニット2の空気吸込口8側に設けることで、第一集塵フィルタ32と第二集塵フィルタ35で塵埃や菌、ウイルス、カビ等を捕捉する。さらに、通風路18を流通する空気に紫外線を照射することで、殺菌およびウイルスの不活性化を行うことができる。なお、便宜上、以降の説明においては、紫外線による殺菌およびウイルスの不活性化を併せて除菌という。
【0029】
室内ユニット制御基板20は、室内ユニット2の制御を行うとともに、空気清浄ユニット3との制御信号の授受を行い、空気清浄ユニット制御基板30は、室内ユニット制御基板20からの信号に基づき、紫外線モジュール34の制御を行う。
【0030】
図2は、室内ユニット制御基板20と空気清浄ユニット制御基板30の制御ブロック図である。
【0031】
室内ユニット制御基板20は、制御機能として、室内制御部51と、電源出力部52と、制御出力部53と、異常信号受信部54と、を備える。室内制御部51は、送風機9と吸い込み空気温度センサ19と接続されている。空気清浄ユニット制御基板30は、制御機能として、電源入力部61と、制御入力部62と、紫外線灯制御部63と、紫外線灯制御通電部64と、異常出力部65と、を備える。紫外線灯制御通電部64は、紫外線灯34bと接続されている。
【0032】
空気調和機1が運転すると、室内制御部51は、室内ユニット2の空調運転を制御するとともに、空気清浄ユニット3への電源供給および制御信号の出力を行う。すなわち、電源出力部52を介して、電源入力部61へ電力を供給し、制御出力部53を介して、制御入力部62へ制御信号を送る。ここで、制御入力部62に送信される信号は、送風機9のオン・オフ、または吸い込み空気温度センサ19にて検出した検出温度に関する情報である。そして、紫外線灯制御部63は、電源入力部61を介して供給される電力と、制御入力部62で受信した信号(情報)に基づいて、紫外線灯34bのオン・オフを決定し、紫外線灯制御通信部64を介して、紫外線灯34bへオン・オフ通電を行う。これにより、紫外線灯34bは、室内ユニット制御基板20から得た検出温度をもとに、オン・オフ動作を制御する。
【0033】
また、紫外線灯34bの故障によって通電ができない等の不具合が発生した場合には、紫外線灯制御通電部64で異常を検出し、紫外線灯制御部63から異常出力部65を介して、異常信号受信部54へ信号を送る。異常信号受信部54は、室内制御部51へ信号を送る。
【0034】
次に、上記の構成の作用を図3のフローチャートを参照しながら説明する。図3は、本発明の第一の実施形態に係る紫外線灯制御部の動作を示すフローチャートである。このとき、紫外線灯34bには、JISC7605で規定される殺菌ランプを用いるとする。
【0035】
リモコンの操作等によって空気調和機1がオンになると、送風機9もオンになる(S11)。その後、空気吸込口31から吸い込まれた空気の温度が吸い込み空気温度センサ19で検出され、その検出温度の情報が室内制御部51から紫外線灯制御部63に送られる。紫外線灯制御部63では、検出温度Tが閾値Ts以上であるか否かが判定される(S12)。例えば、検出温度Tが閾値Ts以上の場合(S12のYES)、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bへ点灯指示を出す(S13)。紫外線灯34bは、点灯する。検出温度Tが閾値Ts以下の場合(S12のNO)、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bへ点灯指示を出さない。紫外線灯34bは、消灯したままである。このとき、閾値Tsを5℃と定めることで、不点灯異常を判定するのに十分な高さの照度を確保することができる。
【0036】
殺菌ランプを用いた紫外線灯34bは、吸い込み空気温度に対して照度特性を有し、吸い込み空気温度が低い場合は照度が低くなる。上記したように、検出した吸い込み空気温度の情報に応じて、紫外線灯34bへ点灯指示を出すか否かを判定することで、不点灯異常に対して、十分な高さの照度が確保できる条件でのみ、紫外線灯34bを点灯することができる。これにより、紫外線灯制御部63が、吸い込み空気温度の影響を受けて、照度が低下した紫外線灯34を不点灯異常だと誤判定することを防ぐ。
【0037】
紫外線灯34bの点灯後、吸い込み空気温度センサ19は、再び吸い込み空気温度を検出する。そして、紫外線灯制御部63は、その検出温度Tが閾値Ts以上であるか否かを判定する(S14)。検出温度Tが閾値Ts以上の場合(S14のYES)、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bへ消灯指示を出さない。紫外線灯34bは、そのまま点灯し続ける。検出温度Tが閾値Ts以下の場合(S14のNO)、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bへ消灯指示を出す(S15)。紫外線灯34bは、消灯する。
【0038】
上記したように、殺菌ランプを用いた紫外線灯34bは、吸い込み空気温度が低い場合、照度が低くなる。紫外線灯34bの点灯後、再び吸い込み空気温度を検出することで、吸い込み空気温度の影響を受けて、照度が低下した紫外線灯34bを、不点灯異常と誤判定することを防ぐ。
【0039】
S14で吸い込み空気温度Tが閾値Ts以上であるか否かを判定したのちに、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bが消灯しているか否かを判定する(S16)。紫外線灯34bが消灯している場合(S16のYES)、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bの不点灯異常を検出する。紫外線灯34bが消灯していない(点灯している)場合(S16のNO)、紫外線灯34bは正常に動作していると判定され、再び検出温度Tが閾値Ts以上であるか否かを判定する(S14)。S16の判定で紫外線灯34bが消灯していない場合、紫外線灯制御部63は、S14、S16の動作を繰り返す。
【0040】
1回目の紫外線灯34bの不点灯異常が検出された場合、紫外線灯制御部63は、一定時間が経過すると、再点灯待機タイマによって紫外線灯34bへ再点灯指示を出す(S17)。紫外線灯制御部63は、不点灯異常の検出回数nを1とする(S18)。2回目以降は、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bの不点灯異常を検出する毎に、紫外線灯34bへ再点灯指示を出し、不点灯異常の検出回数nを1つずつ加算する。このとき、点灯用電気回路にリレーを用いる場合、不点灯異常の検出から再点灯指示を出すまでに、一定時間以上の間隔を置く再点灯待機タイマを設ける。
【0041】
紫外線灯34bの不点灯異常を検出したのちに、すぐに紫外線灯制御部63が紫外線灯34bへ再点灯指示を出した場合、リレーコイル温度およびリレーの感動電圧が上昇する。このとき、紫外線灯34bは、再点灯指示を受けたのにも関わらず、点灯しない。そのため、不点灯異常の検出から一定時間以上経過したのちに、再点灯指示を出す再点灯待機タイマを設けることで、リレーコイル温度が低下し、紫外線灯34bを確実に点灯させることができる。さらに、紫外線灯制御部63が、紫外線灯34bの意図せぬ消灯を不点灯異常と誤って判定することを防ぐ。
【0042】
紫外線灯制御部63は、不点灯異常の検出回数nが閾値nsに達した場合(S19のYES)、つまりは再点灯指示の回数が所定回数を超えた場合にのみ、紫外線灯34bの不点灯異常と確定する(S21)。紫外線灯34bの不点灯異常の検出回数nが閾値nsに達しない場合(S19のNO)、紫外線灯制御部63は、ステップS12の処理に戻る。紫外線灯制御部63は、S12からS13、S14の処理に進んだ後、S16において紫外線灯34bが消灯していない(点灯している)と判定すると、不点灯異常の検出回数nを0にリセットする(S20)。
【0043】
殺菌ランプを用いた紫外線灯34bは、上記した吸い込み空気温度に加えて、ランプや安定器等の電気部品類の製造ばらつきにより、紫外線灯34bの寿命に起因しない偶発的な不点灯異常が発生する可能性がある。紫外線灯34bの1回の不点灯異常の検出だけで、不点灯異常と判定すると、偶発的な不点灯異常も、紫外線灯34bの故障による不点灯異常だと誤って判定してしまう。不点灯異常の検出回数が閾値に達したときにのみ、紫外線灯34bの不点灯異常と確定することで、不点灯異常の誤判定を防ぐ。
【0044】
(第二の実施形態)
紫外線灯34bは、LEDを用いてもよい。このときの作用を図4のフローチャートを参照しながら説明する。図4は、本発明の第二の実施形態に係る紫外線灯制御部の動作を示すフローチャートである。
【0045】
リモコンの操作等によって空気調和機1がオンになると、送風機9もオンになる(S21)。その後、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bへ点灯指示を出す(S22)。紫外線灯34bは、点灯する。紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bが消灯しているか否かを判定する(S23)。紫外線灯34bが消灯している場合(S23のYES)、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bの不点灯異常を検出する。紫外線灯34bが消灯していない(点灯している)場合(S23のNO)、紫外線灯34bは正常に動作していると判定される。紫外線灯34bは、そのまま点灯し続け、S23の動作を繰り返す。
【0046】
LEDは、吸い込み空気温度に対して、殺菌ランプと異なる照度特性を有し、吸い込み空気温度が低い場合は照度が高くなる。そのため、第一の実施形態のように、検出温度の情報に応じて紫外線灯34bへ点灯指示を出すか否かを判定する必要がない。
【0047】
このとき、LED素子一つ当たりの入力電力を小さくしてもよい。上記したように、LEDを用いた紫外線灯34bは、吸い込み空気温度が低い場合、照度が高くなる。このため、LED素子一つ当たりの入力電力が小さくても、吸い込み空気の殺菌に十分な高さの照度を得ることができる。これにより、紫外線灯34bの消費するエネルギーを減らすことができる。
【0048】
また、点灯させるLED素子の数を減らしてもよい。LEDを用いた紫外線灯34bは、吸い込み空気温度が低い場合、LED素子一つ当たりの照度が高くなるため、点灯させるLED素子の数が少なくても、吸い込み空気に対して、十分な殺菌能力を発揮する。これにより、紫外線灯34bの省エネルギー化を実現することができる。
【0049】
1回目の紫外線灯34bの不点灯異常が検出された場合、紫外線灯制御部63は、一定時間が経過すると、再点灯待機タイマによって紫外線灯34bへ再点灯指示を出す(S24)。紫外線灯制御部63は、不点灯異常の検出回数nを1とする(S25)。2回目以降は、紫外線灯制御部63は、紫外線灯34bの不点灯異常を検出する毎に、紫外線灯34bへ再点灯指示を出し、不点灯異常の検出回数nを1つずつ加算する。このとき、点灯用電気回路にリレーを用いる場合、不点灯異常の検出から再点灯指示を出すまでに、一定時間以上の間隔を置く再点灯待機タイマを設ける。
【0050】
紫外線灯34bの不点灯異常の検出後、すぐに再点灯指示を出すと、リレーコイル温度およびリレーの感動電圧が上昇し、再点灯指示を出したのにも関わらず、紫外線灯34bが点灯しない可能性がある。そのため、不点灯異常の検出から一定時間以上経過したのちに、再点灯指示を出す再点灯待機タイマを設けることで、リレーコイル温度が低下し、紫外線灯34bを確実に点灯させることができる。さらに、紫外線灯制御部63が、紫外線灯34bの意図せぬ消灯を不点灯異常と誤って判定することを防ぐ。
【0051】
紫外線灯制御部63は、不点灯異常の検出回数nが閾値nsに達した場合(S26のYES)、つまりは再点灯指示の回数が所定回数を超えた場合にのみ、紫外線灯34bの不点灯異常と確定する(S28)。紫外線灯34bの不点灯異常の検出回数が閾値に達しない場合(S26のNO)、紫外線灯制御部63は、S22に戻る。紫外線灯制御部63は、S22からS23の処理に進んだ後、S23において紫外線灯34bが消灯していない(点灯している)と判定すると、不点灯異常の検出回数nを0にリセットする(S27)。
【0052】
LEDを用いた紫外線灯34bも殺菌ランプを用いた紫外線灯34bと同様に、ランプや安定器等の電気部品類の製造ばらつきにより、紫外線灯34bの寿命に起因しない偶発的な不点灯異常が発生する可能性がある。紫外線灯34bの1回の不点灯異常の検出だけで、不点灯異常と確定すると、偶発的な不点灯異常も、紫外線灯34bの故障による不点灯異常だと誤って判定してしまう。そのため、不点灯異常の検出回数が閾値に達したときにのみ、紫外線灯34bの不点灯異常と確定することで、不点灯異常の誤判定を防ぐ。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…空気調和機
2…室内ユニット
2a…下面板
2b…天板
2c…側面板
2d…側面板
2e…遮風板
2f…正面部
3…空気清浄ユニット
3a…下面板
3b…天板
3c…側面板
3d…側面板
3e…背面部
4…送風機室
5…熱交換室
6…仕切板
7…空気吹出口
8…空気吸込口
8a…空気吸込口
8b…空気吸込口
9…送風機
10…熱交換器
11…ドレンパン
11a…ドレン受け部
12…第一電気部品箱
13…ファンモータ
14…ファンケーシング
15…吸込口
16…吹き出しノズル
17…熱交換部材
18…通風路
19…吸い込み空気温度センサ
20…室内ユニット制御基板
30…空気清浄ユニット制御基板
31…空気吸込口
32…第一集塵フィルタ
33…遮光グリル
34…紫外線モジュール
34a…外枠
34b…紫外線灯
35…第二集塵フィルタ
36…第二電気部品箱
図1
図2
図3
図4