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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131528
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】チェーンガイド
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/08 20060101AFI20240920BHJP
   F02B 67/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F16H7/08 B
F02B67/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041852
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】新貝 育也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和生
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA08
3J049BB02
3J049BE08
3J049BE09
3J049CA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成で、チェーンガイドの構成が複雑化することなく、十分な強度を保ち、管理コストや輸送コストの増加を抑制できるとともに、組み立て間違えの発生を抑制可能なチェーンガイドを提供する。
【解決手段】本体部110と、走行するチェーンのリンクプレートを摺動案内する摺動面121が形成された板状の摺動部材120とを有したチェーンガイド100であって、本体部110には、摺動部材120を装着する装着面111と、装着面111の周囲の少なくとも一部に形成された保持部113とが設けられ、摺動部材120は、装着面111に摺動面121の裏側の面である被装着面122を当接させるとともに、摺動部材120の周囲の少なくとも一部を保持部113によって保持されるように位置固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、走行するチェーンのリンクプレートを摺動案内する摺動面が形成された板状の摺動部材とを有したチェーンガイドであって、
前記本体部には、前記摺動部材を装着する装着面と、前記装着面の周囲の少なくとも一部に形成された保持部とが設けられ、
前記摺動部材は、前記装着面に前記摺動面の裏側の面である被装着面を当接させるとともに、前記摺動部材の周囲の少なくとも一部を前記保持部によって保持されるように位置固定されることを特徴とするチェーンガイド。
【請求項2】
前記装着面の両側方には、上方に突出形成されたガイド部材が設けられ、
前記ガイド部材の少なくともいずれか一方は、前記ガイド部材を側方から貫通した誘導孔が設けられた誘導ガイド部材であり、
前記誘導孔は、前記摺動部材を挿通可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド。
【請求項3】
前記ガイド部材の他方は、前記装着面を挟んで前記誘導孔に対向する位置に、前記装着面側を開放した溝状の前記保持部が形成された保持ガイド部材であり、
前記保持部は、前記摺動部材が嵌入可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のチェーンガイド。
【請求項4】
前記装着面は、前記誘導ガイド部材から前記保持ガイド部材側に向かって上方に傾斜する傾斜面で構成され、
前記摺動部材の前記被装着面は、前記装着面と同じ傾斜を有していることを特徴とする請求項2に記載のチェーンガイド。
【請求項5】
前記摺動部材は、チェーンの走行方向と直交する向きの一方の側方に突出形成された嵌入突起と、他方の側方に突出形成された係合突起とをさらに有し、
前記嵌入突起および前記係合突起は、前記摺動面と前記被装着面との間の厚みよりも薄く形成され、
前記保持部は、前記嵌入突起が嵌入可能に構成され、
前記係合突起は、前記誘導孔に係合可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のチェーンガイド。
【請求項6】
前記摺動面は、前記摺動部材の両面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のチェーンガイド。
【請求項7】
前記摺動部材は、複数に分割されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のチェーンガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部と、走行するチェーンのリンクプレートを摺動案内する摺動面が形成摺動部材とを有したチェーンガイドに関する。
【0002】
従来、自動車のエンジンルーム内のタイミングシステムに組み込まれ、スプロケット間を走行するチェーンを案内し、チェーン張力を適正に保持するチェーンガイドが知られており、このようなチェーンガイドは、摺動面(12)を有したシュー部(10)と、このシュー部(10)をチェーン走行方向に沿って支持するベース部(11)とから構成されているチェーンガイド(チェーンテンショナ1)が特許文献1で公知である。
【0003】
この特許文献1で公知のチェーンガイド(チェーンテンショナ1)は、摺動面(12)としてシュー部(10)の基材(14)表面に溶射皮膜(13)を形成している。
この溶射皮膜(13)によってチェーンの走行時に摺動面(12)上をチェーンが摺動してチェーン表面が研磨され、溶射皮膜(13)が剥離された後の摺動面(12)と研磨されたチェーン表面との摺動抵抗が低くなり、チェーンやチェーンガイド(チェーンテンショナ1)の寿命が向上するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-266141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1で公知のチェーンガイドには、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1で公知のチェーンガイドは、摺動面を形成するコの字型のシュー部を断面略T字状のベース部材に機械的にはめ込んで組み付けているため、それぞれ大きな部材であるシュー部とベース部材とが位置ズレしないように強固に組み付けるための構成や組付け手順が複雑化し、工数や製造コストが増加してしまう虞があった。
また、ベース部材にシュー部を取り付けるための凹部や切り欠きを設ける必要があるため、ベース部材の強度が低下してしまう虞があった。
【0006】
また、溶射皮膜を用いず、シュー部の成形時に摺動面を一体形成している場合、摺動面の仕様ごとにシュー部を複数管理する必要があるため、在庫管理コストの増加や、輸送コストが増加する虞があった。
また、シュー部とベース部材が別部材で構成されているため、シュー部とベース部材との方向を間違えて組み付けてしまう虞があった。
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、チェーンガイドの構成が複雑化することなく、十分な強度を保ち、管理コストや輸送コストの増加を抑制できるとともに、組み立て間違えの発生を抑制可能なチェーンガイドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチェーンガイドは、本体部と、走行するチェーンのリンクプレートを摺動案内する摺動面が形成された板状の摺動部材とを有したチェーンガイドであって、前記本体部には、前記摺動部材を装着する装着面と、前記装着面の周囲の少なくとも一部に形成された保持部とが設けられ、前記摺動部材は、前記装着面に前記摺動面の裏側の面である被装着面を当接させるとともに、前記摺動部材の周囲の少なくとも一部を前記保持部によって保持されるように位置固定されることにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
請求項1に係るチェーンガイドによれば、摺動面および被装着面を構成する摺動部材のみが本体部とは別体の板状に形成されているため、摺動面の仕様ごとにシュー部のような大きな構成を管理する必要がなく、本体部を各仕様共通のものを使用でき、管理コストや輸送コストを低減できる。
また、摺動部材は板状であるため、保管スペースを大きくとる必要なく効率的に保管できる。
さらに、摺動面を有するシュー部に比べて摺動部材の構造が簡単なため、十分な強度を保ったまま設計工数を削減でき、製造コストを低減できる。
【0010】
請求項2に記載の構成によれば、装着面の両側方には、上方に突出形成されたガイド部材が設けられ、ガイド部材の少なくともいずれか一方は、ガイド部材を側方から貫通した誘導孔が設けられた誘導ガイド部材であり、誘導孔は、摺動部材を挿通可能に構成されているため、摺動部材を誘導孔を通して側方から挿入することのみで、簡単に装着面に被装着面を合わせて摺動部材を本体部に配置することができる。
また、誘導孔の長手方向の長さを摺動部材の長手方向の長さと略同じに形成すれば、摺動部材の長手方向の位置を細かく調整することなく確実且つ簡単に本体部の適正な位置に摺動部材を配置することができる。
請求項3に記載の構成によれば、ガイド部材の他方は、装着面を挟んで誘導孔に対向する位置に、装着面側を開放した溝状の保持部が形成されているため、摺動部材を誘導孔を通して保持部に嵌入することのみで、簡単に摺動部材を本体部に装着固定することができる。
【0011】
請求項4に記載の構成によれば、装着面は、誘導ガイド部材から保持ガイド部材側に向かって上方に傾斜する傾斜面で構成され、摺動部材の被装着面は、装着面と同じ傾斜を有しているため、摺動部材の誘導孔への挿入方向を簡単に判別できる。
また、摺動部材の厚肉側の厚みを誘導孔の縦方向の幅よりも厚く構成することで、摺動部材を誘導孔から押し込んだ際、摺動部材の厚肉側を誘導孔に圧入してより強固に摺動部材を本体部に固定することもできる。
請求項5に記載の構成によれば、摺動部材は、チェーンの走行方向と直交する向きの一方の側方に突出形成された嵌入突起と、他方の側方に突出形成された係合突起とをさらに有し、嵌入突起および係合突起は、摺動面と被装着面との間の厚みよりも薄く形成され、保持部は、嵌入突起が嵌入可能に構成され、係合突起は、誘導孔に係合可能に構成されているため、より一層強固に摺動部材を本体部に固定することができる。
【0012】
請求項6に記載の構成によれば、摺動面は摺動部材の両面に形成されているため、摺動部材全体の上下方向の厚みが均一に形成されていれば、摺動部材の表裏関係なくどちらの向きで本体部に装着しても摺動面を適正な位置に配置できる。
請求項7に記載の構成によれば、摺動部材は複数に分割されているため、例えば、仕様の異なる摺動面を本体部の位置ごとに組み合わせて構成することができ、摺動面のより細かく部分的な仕様変更も容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の側面図。
図3】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100のA部断面図。
図4】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の、本体部110を示す斜視図。
図5】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の、本体部110の断面図。
図6】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の、摺動部材120を示す斜視図。
図7】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の、摺動部材120の断面図。
図8】本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の、組み立て途中の状態を示すA部断面図。
図9】本発明の他の実施形態に係るチェーンテンショナ200の斜視図。
図10】本発明の他の実施形態に係るチェーンテンショナ200の側面図。
図11】本発明の他の実施形態に係るチェーンテンショナ200のB部断面図。
図12】本発明の他の実施形態に係るチェーンテンショナ200の、本体部210を示す斜視図。
図13】本発明の他の実施形態に係るチェーンテンショナ200の、摺動部材220を示す斜視図。
図14】本発明の他の実施形態に係るチェーンテンショナ200の、組み立て途中の状態を示すB部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100について、図1乃至図14を用いて説明する。
【0015】
本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100は、図1乃至図7に示すように、本体部110と、走行するチェーン(図示しない)のリンクプレート(図示しない)を摺動案内する摺動面121が形成された摺動部材120とを有している。
本体部110には、摺動部材120を装着する装着面111と、装着面の両側方から上方に突出したガイド部材112(誘導ガイド部材112a、保持ガイド部材112b)とが設けられ、誘導ガイド部材112aには、誘導ガイド部材112aを側方から貫通する誘導孔113が形成され、保持ガイド部材112bには、保持ガイド部材112bの誘導孔113に対向する位置の装着面111側を開放した溝状の保持部である保持溝114が形成されている。
【0016】
装着面111は、誘導孔113側が低く保持溝114側が高くなるように傾斜した傾斜面で構成され、誘導孔113および保持溝114の装着面111に隣接する面は、装着面111の傾斜面と同じ傾斜で連続して形成されている。
また、装着面111のチェーン走行方向の前後には、装着面111よりも上方に突出した突出壁部115が設けられている。
【0017】
摺動部材120には、摺動面121と、摺動面121の裏面の被装着面122とが設けられ、被装着面122は、装着面111と同様の傾斜面で形成されている。
すなわち、摺動部材120は被装着面122の傾斜に沿って厚みが変化するように形成されている。
ここで、摺動部材120の薄肉側の側面端部を嵌入部123とし、摺動部材120の厚肉側の側面端部を圧入部124とする。
【0018】
なお、摺動部材120の嵌入部123側の厚みd1は、少なくとも保持溝114の奥の幅t1よりも若干大きく、摺動部材120の圧入部124側の厚みd2は、少なくとも誘導孔113の本体部110側面側の開口幅t2よりも若干大きく形成されている。
また、摺動部材120のチェーン走行方向側の長さは、装着面111のチェーン走行方向側の長さと同じである。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の組み立て方について、図3乃至図8を用いて説明する。
まず、図8に示すように、摺動部材120の嵌入部123を、本体部110の外側から誘導孔113へ進入させる。
ここで、被装着面122の傾斜により摺動部材120の厚みは嵌入部123から圧入部124にかけて徐々に厚くなっており、嵌入部123の端部の厚みd1は誘導孔113の開口幅よりも小さく、圧入部124の厚みが少なくとも誘導孔113の本体部110側面側の開口幅t2よりも若干大きく形成されているため、摺動部材120の嵌入部123側の側面は誘導孔113を干渉することなく通過できる。
【0020】
摺動部材120をさらに誘導孔113側へ押し込むと、摺動部材120は装着面111に被装着面122を沿わせるように保持溝114側への移動を続ける。
なお、摺動部材120の嵌入部123側の厚みd1は、少なくとも保持溝114の奥の幅t1よりも若干大きく、摺動部材120の圧入部124側の厚みd2は、少なくとも誘導孔113の本体部110側面側の開口幅t2よりも若干大きく形成されているため、装着面111に被装着面122を接触させながら保持溝114に嵌入部123を圧入するとともに、誘導孔113に圧入部124を圧入することで、摺動部材120を本体部110に固定できる。
【0021】
このように、板状の摺動部材120を誘導孔113から挿入することのみで、簡単に本体部110に摺動部材120を取り付けてチェーンガイド100を組み立てることができる。
また、摺動部材120は単純な形状であるため、摺動面121の仕様が異なる摺動部材120を複数保管しても、保管場所を省スペースにできるとともに、輸送コストも削減できる。
【0022】
さらに、摺動部材120の被装着面111を摺動面121とすることで、摺動部材の表裏両方に摺動面121とすることができるため、例えば、平板状の板状部材120を組み立て直前に後加工で曲げて使用する場合、表面裏面を意識する必要なく摺動部材120を取り扱うことができる。
また、誘導孔113の長手方向の長さを摺動部材120の長手方向の長さと略同じに形成すれば、摺動部材120の長手方向の位置を細かく調整することなく確実且つ簡単に本体部110の適正な位置に摺動部材120を配置することができる。
【0023】
また、装着面111のチェーン走行方向の前後には、突出壁部115が形成されているため、本体部110に装着した摺動部材120が走行するチェーンから力を受けても、位置ずれしたり本体部から離脱することがない。
また、摺動部材120を複数に分割して構成すれば、例えば、チェーンガイドの位置ごとに仕様の異なる摺動面121を組み合わせて構成することができ、摺動面121のより細かい仕様変更も容易に実施できる。
【0024】
次に、本発明の他の実施形態であるチェーンテンショナ200について、図9乃至図14を用いて説明する。
なお、チェーンテンショナ100と同様の箇所については説明を一部省略する。
【0025】
本発明の他の実施形態に係るチェーンテンショナ200は、図9乃至図11に示すように、本体部210と、走行するチェーン(図示しない)のリンクプレート(図示しない)を摺動案内する摺動面221が形成された摺動部材220とを有している。
本体部210には、摺動部材220を装着する装着面211と、装着面の両側方から上方に突出したガイド部材212(誘導ガイド部材212a、保持ガイド部材212b)とが設けられ、誘導ガイド部材212aには、誘導ガイド部材212aを側方から貫通する誘導孔213が形成され、保持ガイド部材212bには、保持ガイド部材212bの誘導孔213に対向する位置で側方から貫通した孔状の保持部である保持孔214が形成されている。
【0026】
装着面211は、誘導孔213と保持孔214との間に形成され、誘導孔213および保持溝214の装着面211に隣接する面は、装着面111と連続して形成されている。
また、装着面211のチェーン走行方向の前後には、装着面211よりも上方に突出した突出壁部215が設けられている。
【0027】
摺動部材220には、摺動面221と、摺動面221の裏面の被装着面222とが設けられ、被装着面222は、摺動面221と平行な面で構成されている。
また、摺動部材220は、チェーンの走行方向と直交する向きの一方の側方に突出形成された嵌入突起223と、他方の側方に突出形成された係合突起224とを有しており、嵌入突起223および係合突起224の厚みは、摺動面221と被装着面222との間の厚みよりも薄く形成されている。
なお摺動部材220は、少なくとも若干撓む程度の弾性変形が可能な素材で構成されている。
【0028】
なお、嵌入突起223の厚みは、保持孔214の幅とほぼ同じ大きさで形成され、係合突起224の厚みは、誘導孔213の幅とほぼ同じ大きさで形成されている。
また、摺動部材220のチェーン走行方向側の長さは、装着面211のチェーン走行方向側の長さと同じである。
【0029】
次に、本発明の一実施形態に係るチェーンテンショナ100の組み立て方について、図9乃至図14を用いて説明する。
まず、図14に示すように、本体部220の装着面211の上方に摺動部材220を位置させ、嵌入部223の端部を保持孔214に斜め上側から挿入する。
【0030】
次に、被装着面222が装着面211と徐々に平行になるように摺動部材220を押し込むと、摺動部材220が若干変形し、嵌入突起223が保持孔214の奥へ進入するとともに、係合突起224が誘導ガイド部材212aの側面に沿って徐々に誘導孔213側へ移動する。
さらに摺動部材220を押し込むと、嵌入突起223が保持孔214に収まるとともに、係合突起224が誘導孔213に収まり、摺動部材220は装着面211に被装着面222を接触させた状態で本体部210に装着される。
このとき、摺動部材220の弾性変形は解消される。
【0031】
なお、嵌入突起223の厚みは、保持孔214の幅とほぼ同じ大きさで形成され、係合突起224の厚みは、誘導孔213の幅とほぼ同じ大きさで形成され、摺動部材220のチェーン走行方向側の長さは、装着面211のチェーン走行方向側の長さと同じであるため、本体部210に装着された摺動部材220は、嵌入突起223と保持孔214が係合するとともに係合突起224が誘導孔213と係合して強固に抜け止めされており本体部210から離脱してしまうことがない。
また、嵌入突起223および係合突起224の厚みは、摺動面221と被装着面222との間の厚みよりも薄く形成されているため、例えば、嵌入突起223および係合突起224の片面が、摺動面221および被装着面222のいずれか一方と連続した面で構成されていれば、嵌入突起223および係合突起224の位置関係だけで摺動面221と被装着面222とを簡単に判別できる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態および本発明の他の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0033】
なお、上述した実施形態では、保持ガイド部材112bには、保持ガイド部材112bの誘導孔113に対向する位置の装着面111側を開放した溝状の保持部である保持溝114が形成されているものとして説明したが、保持部の構成はこれに限定されず、例えば、保持部が保持ガイド部材112bを貫通する孔状に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、装着面111は、誘導孔113側が低く保持溝114側が高くなるように傾斜した傾斜面で構成され、誘導孔113および保持溝114の装着面111に隣接する面は、装着面111の傾斜面と同じ傾斜で連続して形成されているものとして説明したが、装着面111、誘導孔113、保持溝114の構成はこれに限定されず、例えば、装着面111が傾斜面でなくてもよく、誘導孔113および保持溝114の装着面に隣接する面が装着面111と連続して形成されていなくてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、装着面111、211のチェーン走行方向の前後には、装着面111、211よりも上方に突出した突出壁部115、215が設けられているものとして説明したが、本体部110、210の構成はこれに限定されず、例えば、突出壁部115、215がなくてもよい。
また、上述した実施形態では、摺動部材120の嵌入部123側の厚みd1は、少なくとも保持溝114の奥の幅t1よりも若干大きく、摺動部材120の圧入部124側の厚みd2は、少なくとも誘導孔113の本体部110側面側の開口幅t2よりも若干大きく形成されているものとして説明したが、嵌入部123と保持溝114との関係および圧入部124と誘導孔113との関係はこれに限定されず、例えば、嵌入部123のみが保持溝114の幅よりも若干大きく形成されて嵌入可能に構成されていてもよく、圧入部124のみが誘導孔113の幅よりも若干大きく形成されて圧入可能に構成されていてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、誘導ガイド部材212aには、誘導ガイド部材212aを側方から貫通する誘導孔213が形成され、保持ガイド部材212bには、保持ガイド部材212bの誘導孔213に対向する位置で側方から貫通した孔状の保持部である保持孔214が形成されているものとして説明したが、誘導ガイド部材212a、保持ガイド部材212bの構成はこれに限定されず、例えば、誘導孔213および保持孔214が、それぞれ誘導ガイド部材212aおよび保持ガイド部材212bを貫通しない穴状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
100、200 ・・・ チェーンテンショナ
110、210 ・・・ 本体部
111、211 ・・・ 装着面
112、212 ・・・ ガイド部材
112a、212a ・・・ 誘導ガイド部材
112b、212b ・・・ 保持ガイド部材
113、213 ・・・ 誘導孔
114 ・・・ 保持溝(保持部)
214 ・・・ 保持孔(保持部)
115、215 ・・・ 突出壁部
120、220 ・・・ 摺動部材
121、221 ・・・ 摺動面
122、222 ・・・ 被装着面
123 ・・・ 嵌入部
223 ・・・ 嵌入突起
124 ・・・ 圧入部
224 ・・・ 係合突起
t1 ・・・ 保持溝114の奥側の幅
t2 ・・・ 誘導孔113の本体部側面側の幅
d1 ・・・ 嵌入部123の端部の厚み
d2 ・・・ 圧入部124の端部の厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14