IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

特開2024-131532光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置
<>
  • 特開-光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置 図1
  • 特開-光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置 図2
  • 特開-光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置 図3
  • 特開-光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置 図4
  • 特開-光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131532
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/16 20150101AFI20240920BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240920BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240920BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240920BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240920BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240920BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240920BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240920BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240920BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240920BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240920BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240920BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20240920BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240920BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
G02B1/16
H10K59/10
G09F9/30 365
G09F9/00 313
G02F1/1335 510
G02F1/13363
C09J7/38
C09J133/00
C09J133/14
C09J11/06
C09J175/04
B32B7/025
B32B27/00 D
B32B7/023
B32B27/18 D
G02B1/14
G02B5/30
H10K50/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041859
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100222302
【弁理士】
【氏名又は名称】南原 克行
(72)【発明者】
【氏名】小野 寛大
(72)【発明者】
【氏名】米澤 一晃
(72)【発明者】
【氏名】木村 智之
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
2K009
3K107
4F100
4J004
4J040
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AA18
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA13
2H149CA02
2H149DA02
2H149DA04
2H149DA05
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA12
2H149EA22
2H149FA01Y
2H149FA02X
2H149FA03W
2H149FA21Y
2H149FA51Z
2H149FA63
2H149FA66
2H149FC04
2H149FD19
2H149FD30
2H149FD37
2H291FA02Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB02
2H291FB05
2H291FC05
2H291FC07
2H291FC08
2H291GA01
2H291HA06
2H291HA09
2H291HA11
2H291HA12
2H291HA13
2H291HA15
2H291KA05
2H291LA21
2H291PA42
2H291PA44
2K009CC01
2K009CC24
2K009CC25
2K009CC34
2K009CC38
2K009DD02
2K009EE00
2K009EE03
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107CC41
3K107EE21
3K107EE26
3K107FF04
4F100AH02A
4F100AH02H
4F100AJ06B
4F100AK21
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK51B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA02A
4F100CA06A
4F100CA22A
4F100CB05A
4F100EC04A
4F100EH46A
4F100EH46B
4F100EJ37
4F100EJ67A
4F100GB41
4F100JA05A
4F100JB14B
4F100JG03A
4F100JG05A
4F100JK09B
4F100JL11
4F100JL13A
4F100JN10
4J004AA10
4J004AA14
4J004AA17
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB03
4J004FA08
4J040DF021
4J040DF031
4J040DF061
4J040EF282
4J040HC23
4J040HD18
4J040HD32
4J040JB09
4J040KA12
4J040KA16
4J040KA27
4J040KA32
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA09
4J040NA17
5C094AA31
5C094BA27
5C094BA43
5C094ED11
5C094ED14
5C094ED20
5C094FB11
5C094JA05
5G435AA16
5G435BB05
5G435BB12
5G435FF03
5G435FF05
5G435FF07
5G435HH15
(57)【要約】
【課題】表示不良の抑制により適した光学積層体を提供する。
【解決手段】光学積層体は、粘着シートと、光学フィルムと、を備えている。粘着シートは、ポリマー(A)と帯電防止剤とを含む粘着剤組成物から形成される。光学積層体における粘着シート側の-15℃での表面抵抗率は、1.0×1010Ω/□以下である。FOXの式から算出したポリマー(A)のガラス転移温度は、-55℃未満であってもよい。周波数100Hzにおける粘着シートの比誘電率は、1000以上であってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着シートと、光学フィルムと、を備えた光学積層体であって、
前記粘着シートは、ポリマー(A)と帯電防止剤とを含む粘着剤組成物から形成され、
前記光学積層体における前記粘着シート側の-15℃での表面抵抗率が1.0×1010Ω/□以下である、光学積層体。
【請求項2】
FOXの式から算出した前記ポリマー(A)のガラス転移温度が-55℃未満であり、周波数100Hzにおける前記粘着シートの比誘電率が1000以上である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
23℃及び55%RHの環境下における前記粘着シートの飽和水分率が2.0重量%以下である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項4】
85℃及び85%RHの環境下における前記粘着シートの飽和水分率が5.0重量%以下である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記帯電防止剤は、有機カチオン塩を含む、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項6】
前記ポリマー(A)は、(メタ)アクリル系ポリマーである、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項7】
前記ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を有する、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項8】
前記ポリマー(A)は、以下の式(1)に示す単量体に由来する構成単位を有する、請求項1に記載の光学積層体。
【化1】
前記式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は、直鎖状であっても分岐を有していてもよいアルキル基であり、nは、1~15の整数である。
【請求項9】
前記式(1)において、nは、2~15の整数である、請求項8に記載の光学積層体。
【請求項10】
前記粘着剤組成物が、過酸化物系架橋剤及びラジカル捕捉剤をさらに含む、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項11】
前記ラジカル捕捉剤が酸化防止剤である、請求項10に記載の光学積層体。
【請求項12】
前記粘着剤組成物がイソシアネート系架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の光学積層体を備える、画像表示パネル。
【請求項14】
請求項13に記載の画像表示パネルを備える、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体、画像表示パネル、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置及びエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。これら各種の画像表示装置は、例えば、液晶セル、EL発光素子等の画像表示セルと、偏光板及び粘着シートを含む光学積層体と、の積層構造を有している。粘着シートは、主に、光学積層体に含まれるフィルム間の接合や、画像表示セルと光学積層体との接合に使用される。
【0003】
画像表示装置では、その製造時、例えば粘着シートを介して光学積層体を画像表示セルに貼り合わせるとき、又は、使用時、例えば使用者が画像表示装置に触れるとき、に静電気が生じる。この静電気によって、画像表示装置が帯電すると、表示不良などの問題が生じうる。特許文献1は、帯電防止剤を粘着シートに含有することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-180305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討によると、光学積層体は、画像表示装置の表示不良を十分に防止する観点から改善の余地がある。そこで本発明は、表示不良の抑制により適した光学積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、低温環境下で画像表示装置の表示不良が生じやすいことを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、
粘着シートと、光学フィルムと、を備えた光学積層体であって、
前記粘着シートは、ポリマー(A)と帯電防止剤とを含む粘着剤組成物から形成され、
前記光学積層体における前記粘着シート側の-15℃での表面抵抗率が1.0×1010Ω/□以下である、光学積層体を提供する。
【0008】
さらに本発明は、
上記の光学積層体を備える、画像表示パネルを提供する。
【0009】
さらに本発明は、
上記の画像表示パネルを備える、画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低温環境下での表示不良の抑制により適した光学積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る光学積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る画像表示パネルの一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、本実施形態に係る画像表示パネルの別の一例を模式的に示す断面図である。
図5図5は、本実施形態に係る画像表示パネルの別の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1態様に係る光学積層体は、
粘着シートと、光学フィルムと、を備えた光学積層体であって、
前記粘着シートは、ポリマー(A)と帯電防止剤とを含む粘着剤組成物から形成され、
前記光学積層体における前記粘着シート側の-15℃での表面抵抗率が1.0×1010Ω/□以下である。
【0013】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様に係る光学積層体では、FOXの式から算出した前記ポリマー(A)のガラス転移温度が-55℃未満であり、周波数100Hzにおける前記粘着シートの比誘電率が1000以上である。
【0014】
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様に係る光学積層体では、23℃及び55%RHの環境下における前記粘着シートの飽和水分率が2.0重量%以下である。
【0015】
本発明の第4態様において、例えば、第1~第3態様のいずれか1つに係る光学積層体では、85℃及び85%RHの環境下における前記粘着シートの飽和水分率が5.0重量%以下である。
【0016】
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記帯電防止剤は、有機カチオン塩を含む。
【0017】
本発明の第6態様において、例えば、第1~第5態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記ポリマー(A)は、(メタ)アクリル系ポリマーである。
【0018】
本発明の第7態様において、例えば、第1~第6態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を有する。
【0019】
本発明の第8態様において、例えば、第1~第7態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記ポリマー(A)は、以下の式(1)に示す単量体に由来する構成単位を有する。
【0020】
【化1】
【0021】
前記式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は、直鎖状であっても分岐を有していてもよいアルキル基であり、nは、1~15の整数である。
【0022】
本発明の第9態様において、例えば、第8態様に係る光学積層体では、前記式(1)において、nは、2~15の整数である。
【0023】
本発明の第10態様において、例えば、第1~第9態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記粘着剤組成物が、過酸化物系架橋剤及びラジカル捕捉剤をさらに含む。
【0024】
本発明の第11態様において、例えば、第10態様に係る光学積層体では、前記ラジカル捕捉剤が酸化防止剤である。
【0025】
本発明の第12態様において、例えば、第1~第11態様のいずれか1つに係る光学積層体では、前記粘着剤組成物がイソシアネート系架橋剤をさらに含む。
【0026】
本発明の第13態様に係る画像表示パネルは、
第1~第12態様のいずれか1つに係る光学積層体を備える。
【0027】
本発明の第14態様に係る画像表示装置は、
第13態様に係る画像表示パネルを備える。
【0028】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0029】
本実施形態に係る光学積層体は、粘着シート及び光学フィルムを備えている。粘着シートは、ポリマー(A)と帯電防止剤とを含む粘着剤組成物(I)から形成されている。光学積層体における粘着シート側の-15℃での表面抵抗率は、1.0×1010Ω/□以下である。
【0030】
[光学積層体]
図1は、本実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。光学積層体10Aは、粘着シート1及び光学フィルム2を含む。粘着シート1と光学フィルム2とは互いに積層されている。光学積層体10Aは、粘着シート1を介して、対象物(例えば、画像表示パネル)と貼り合わせることが可能である。
【0031】
粘着シート1は、例えば、光学フィルム2上に形成されている。粘着シート1は、光学フィルム2に接して形成されている。粘着シート1は、光学フィルム2の一方の主面に形成されている。図1では、粘着シート1は、光学フィルム2の一方の主面の全体に形成されている。ただし、光学フィルム2の一方の主面の一部のみに粘着シート1が形成されていてもよい。本明細書において、「主面」は、フィルム又は層の最も広い面積を有する面を意味する。
【0032】
[粘着シート]
光学積層体10Aにおける粘着シート1側の-15℃での表面抵抗率Rは、1.0×1010Ω/□以下である。光学積層体10Aが、1.0×1010Ω/□以下の表面抵抗率Rを有する粘着シート1を備えていることによって、低温環境下であっても、画像表示装置の帯電による表示不良を抑制できる。
【0033】
表面抵抗率Rは、7.0×109Ω/□以下、5.0×109Ω/□以下、3.0×109Ω/□以下、2.0×109Ω/□以下、さらには5.0×108Ω/□以下であってもよい。表面抵抗率Rの下限値は、例えば、1.0×106Ω/□であり、1.0×107Ω/□であってもよい。ただし、光学積層体10Aを、タッチセンシング機能を内蔵する画像表示パネルに利用する場合、タッチセンサの誤作動を抑制する観点から、表面抵抗率Rは、5.0×106Ω/□以上が好ましく、1.0×107Ω/□以上がさらに好ましい。表面抵抗率Rは、例えば、高抵抗抵抗率計(一例として、三菱化学アナリテック製、ハイレスタシリーズ)を用いて、印加電圧250V、印加時間10秒の条件で測定できる。
【0034】
光学積層体10Aにおける粘着シート1側の25℃での表面抵抗率R1は、例えば、1.0×1010Ω/□以下である。表面抵抗率R1は、例えば、1.0×109Ω/□以下であり、8.0×108Ω/□以下、6.0×108Ω/□以下、5.0×108Ω/□以下、3.0×108Ω/□以下、2.0×108Ω/□以下、1.0×108Ω/□以下、さらには8.0×107Ω/□以下であってもよい。表面抵抗率R1の下限値は、例えば、1.0×106Ω/□以上であり、1.0×107Ω/□であってもよい。
【0035】
光学積層体10Aは、例えば、低温環境下においても、粘着シート1側の表面抵抗率が上昇しにくい。光学積層体10Aにおける粘着シート1側の25℃での表面抵抗率R1(Ω/□)に対する、光学積層体10Aにおける粘着シート1側の-15℃での表面抵抗率R(Ω/□)の比R/R1は、例えば、50.0以下であり、40.0以下、30.0以下、20.0以下、15.0以下、10.0以下、8.0以下、さらには5.0以下であってもよい。比R/R1の下限値は、例えば、0.1であり、0.5、さらには1.0であってもよい。比R/R1が50.0以下である場合、表示不良をより抑制できる。
【0036】
上記したとおり、光学積層体10Aにおける粘着シート1側の-15℃での表面抵抗率は、1.0×1010Ω/□以下である。これにより、光学積層体10Aは、低温環境下であっても、画像表示装置の帯電による表示不良を抑制できる。加えて、光学積層体10Aは、所定条件下における粘着シート1の飽和水分率を適切に調節することによって、上記した効果に加えて、タッチセンサ感度の低下を抑制できるという効果も奏される。
【0037】
23℃及び55%RHの環境下における粘着シート1の飽和水分率Ab1は、例えば、2.0重量%以下である。粘着シート1の飽和水分率Ab1が、例えば2.0重量%以下であることによって、加湿試験後のコンダクタンスの上昇を抑制できる。これによりタッチセンサの感度の低下を抑制できる。飽和水分率Ab1は、1.5重量%以下であってもよく、1.0重量%以下であってもよい。飽和水分率Ab1の下限値は、例えば、0.5重量%である。
【0038】
85℃及び85%RHの環境下における粘着シート1の飽和水分率Ab2は、例えば、5.0重量%以下である。粘着シート1の飽和水分率Ab2が、例えば5.0重量%以下であることによって、高温高湿下におけるタッチセンサの感度の低下を抑制できる。飽和水分率Ab2は、4.0重量%以下であってもよく、3.0重量%以下であってもよい。飽和水分率Ab2の下限値は、例えば、2.0重量%である。
【0039】
粘着シート1は、ポリマー(A)と帯電防止剤とを含む粘着剤組成物(I)から形成される。
【0040】
<ポリマー(A)>
ポリマー(A)の例は、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、及びゴム系ポリマーである。ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を有していてもよい。ポリマー(A)は、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマーである。換言すれば、粘着剤組成物(I)は(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として含んでいてもよい。さらに換言すれば、粘着剤組成物(I)はアクリル系粘着剤組成物であってもよい。主成分とは、組成物において重量基準で最も含有率の大きな成分を意味する。主成分の含有率は、例えば50重量%以上であり、60重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、さらには80重量%以上であってもよい。本明細書において、「(メタ)アクリル系ポリマー」は、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を有するポリマーを意味する。(メタ)アクリル系ポリマーにおける(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、例えば40重量%以上であり、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、さらには95重量%以上であってもよい。(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位のみからなってもよい。本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを意味する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0041】
ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を有していてもよい。ポリエーテル構造は、少なくとも2つのエーテル基(-O-)を含む構造である。ポリエーテル構造は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。ポリエーテル構造の一例は、直鎖状であっても分岐を有していてもよいアルキル基と、少なくとも2つのエーテル基とを含む。ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を主鎖に有していても側鎖に有していてもよく、側鎖に有することが好ましい。ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーであってもよい。
【0042】
ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を有する構成単位を有していてもよい。当該構成単位においてポリエーテル構造は、主鎖に位置していても側鎖に位置していてもよく、側鎖に位置することが好ましい。ポリマー(A)は、ポリエーテル構造を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を有していてもよい。
【0043】
ポリエーテル構造を側鎖に有するポリマー(A)は、例えば、以下の式(1)に示す単量体(A1)に由来する構成単位を有する。式(1)のR1は、水素原子又はメチル基である。式(1)のR2は、直鎖状であっても分岐を有していてもよいアルキル基であり、好ましくは、直鎖状のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、1~10、さらに1~4であってもよい。R2の例は、メチル基及びエチル基である。nは、例えば、1~15の整数であり、好ましくは1~10の整数であり、より好ましくは1~5の整数である。場合によっては、nは、2~15の整数であってもよく、2~10の整数であってもよく、2~5の整数であってもよい。nが1のとき、単量体(A1)は、COO基の「-O-」を含め、2つのエーテル基を含む。nが2のとき、の単量体(A1)は、COO基の「-O-」を含め、3つのエーテル基を含む。単量体(A1)は、(メタ)アクリル系単量体の1種であり、より具体的には、(メタ)アクリレート単量体の1種である。側鎖末端のR2O基に着目すると、単量体(A1)は、アルコキシ基含有(メタ)アクリレート単量体の1種でもある。単量体(A1)に由来する構成単位は、ポリエーテル構造を側鎖に有する。
【0044】
【化2】
【0045】
単量体(A1)の例は、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートであり、好ましくは2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(CBA)及び2-メトキシエチルアクリレート(MEA)からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくは2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート(CBA)である。単量体(A1)に由来する構成単位は、粘着剤組成物(I)から形成された粘着シートにおける表面抵抗率の低下に特に寄与しうる。加えて、単量体(A1)に由来する構成単位は、ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)の低下に寄与しうる。さらに、ポリマー(A)が単量体(A1)に由来する構成単位を有することによって、加湿試験後のコンダクタンスの上昇を抑制できる。これにより画像表示装置が備えるタッチセンサの感度の低下を抑制できる。
【0046】
ポリマー(A)におけるポリエーテル構造を有する構成単位(例えば、単量体(A1)に由来する構成単位)の含有率は、例えば0重量%以上であり、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、さらには50重量%以上であってもよい。当該含有率の上限は、例えば100重量%以下であり、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、さらには60重量%未満であってもよい。
【0047】
単量体(A1)において、nが2~15の整数である場合、ポリマー(A)における、単量体(A1)に由来する構成単位の含有率は、例えば、0重量%以上であり、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、さらには40重量%以上であってもよい。当該含有率の上限は、例えば、80重量%であり、70重量%以下、60重量%以下、さらには55重量%以下であってもよい。
【0048】
ポリマー(A)は、以下の単量体(A2)に由来する構成単位を1種又は2種以上有していてもよい。なお、以下に示す単量体(A2)は、単量体(A1)との共重合が可能である。
【0049】
単量体(A2)の例は、炭素数1~30のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体である。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体の例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びオクタデシル(メタ)アクリレートである。ポリマー(A)における、アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、例えば、5重量%以上80重量%以下である。ポリマー(A)におけるアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、70重量%以下であってもよく、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、さらには5重量%以下であってもよい。場合によっては、ポリマー(A)におけるアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、0重量%であっても(当該構成単位を有さなくても)よい。
【0050】
単量体(A2)の別の例は、水酸基含有単量体である。水酸基含有単量体は、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体であってもよい。水酸基含有単量体の例は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート及び12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びに(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートである。粘着剤組成物(I)から形成された粘着シートの耐久性を向上させる観点からは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。ポリマー(A)における水酸基含有単量体に由来する構成単位の含有率は、例えば1~5重量%であり、3重量%以下、さらには2重量%以下であってもよい。ポリマー(A)は、水酸基含有単量体に由来する構成単位を有さなくてもよい。
【0051】
単量体(A2)は、芳香環含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体であってもよい。芳香環含有単量体は、芳香環含有(メタ)アクリル系単量体であってもよい。芳香環含有単量体の例は、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化β-ナフトール(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレートである。カルボキシル基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びクロトン酸である。アミノ基含有単量体の例は、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートである。アミド基含有単量体の例は、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロール-N-プロパン(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトメチル(メタ)アクリルアミド及びメルカプトエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;N-(メタ)アクリロイルモルフォリン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン及びN-(メタ)アクリロイルピロリジン等のN-アクリロイル複素環単量体;並びにN-ビニルピロリドン及びN-ビニル-ε-カプロラクタム等のN-ビニル基含有ラクタム系単量体である。
【0052】
単量体(A2)は、多官能性単量体であってもよい。多官能性単量体の例は、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート)、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート及びウレタンアクリレート等の多官能アクリレート;並びにジビニルベンゼンである。多官能アクリレートは、好ましくは1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
【0053】
ポリマー(A)における芳香環含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体及び多官能性単量体に由来する構成単位の含有率の合計は、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下である。ポリマー(A)が当該構成単位を有する場合、含有率の合計は、例えば0.01重量%以上であり、1重量%以上、2重量%以上、さらには3重量%以上であってもよい。ポリマー(A)は、これらの構成単位を有さなくてもよい。特に、ポリマー(A)において、カルボキシル基含有単量体に由来する構成単位の含有率は、0.1重量%未満であってもよく、0重量%であっても(当該構成単位を有さなくても)よい。
【0054】
その他の単量体(A2)の例は、アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸グリシジル及び(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体;ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有単量体;リン酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン及びイソブチレン等のオレフィン類、又はジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;並びに塩化ビニルである。
【0055】
ポリマー(A)における上記その他の単量体(A2)に由来する構成単位の含有率の合計は、例えば30重量%以下であり、10重量%以下であってもよく、0重量%である(当該構成単位を有さない)ことが好ましい。
【0056】
ポリマー(A)は、上述した1種又は2種以上の単量体を公知の方法により重合して形成できる。単量体と、単量体の部分重合物とを重合してもよい。重合は、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、熱重合、活性エネルギー線重合により実施できる。光学的透明性に優れる粘着シートを形成できる観点からは、溶液重合、活性エネルギー線重合が好ましい。重合は、単量体及び/又は部分重合物と酸素との接触を避けて実施することが好ましく、このために、例えば、窒素等の不活性ガス雰囲気下における重合、あるいは樹脂フィルム等により酸素を遮断した状態での重合を採用できる。形成するポリマー(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの態様であってもよい。
【0057】
ポリマー(A)を形成する重合系は、1種又は2種以上の重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤の種類は、重合反応により選択でき、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤であってもよい。
【0058】
溶液重合に使用する溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類である。ただし、溶媒は上記例に限定されない。溶媒は、2種以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
【0059】
溶液重合に使用する重合開始剤は、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系重合開始剤である。過酸化物系重合開始剤は、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルマレエートである。なかでも、特開2002-69411号公報に開示のアゾ系重合開始剤が好ましい。当該アゾ系重合開始剤は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸である。ただし、重合開始剤は上記例に限定されない。アゾ系重合開始剤の使用量は、例えば、単量体の全量100重量部に対して0.05~0.5重量部であり、0.1~0.3重量部であってもよい。
【0060】
活性エネルギー線重合に使用する活性エネルギー線は、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線、及び紫外線である。活性エネルギー線は、紫外線が好ましい。紫外線の照射による重合は、光重合とも称される。活性エネルギー線重合の重合系は、典型的には、光重合開始剤を含む。活性エネルギー重合の重合条件は、ポリマー(A)が形成される限り、限定されない。
【0061】
光重合開始剤は、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤である。ただし、光重合開始剤は上記例に限定されない。
【0062】
ベンゾインエーテル系光重合開始剤は、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテルである。アセトフェノン系光重合開始剤は、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノンである。α-ケトール系光重合開始剤は、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オンである。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤は、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライドである。光活性オキシム系光重合開始剤は、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシムである。ベンゾイン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾインである。ベンジル系光重合開始剤は、例えば、ベンジルである。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。ケタール系光重合開始剤は、例えば、ベンジルジメチルケタールである。チオキサントン系光重合開始剤は、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンである。
【0063】
光重合開始剤の使用量は、例えば、単量体の全量100重量部に対して0.01~1重量部であり、0.05~0.5重量部であってもよい。
【0064】
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、例えば、100万~300万であり、好ましくは180万~300万である。ポリマー(A)の重量平均分子量が100万~300万であることによって、粘着シートのクラックを抑制できるとともに、粘度の上昇やゲル化の発生を抑制できる傾向がある。本明細書におけるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)の測定に基づく値(ポリスチレン換算)である。
【0065】
粘着剤組成物(I)におけるポリマー(A)の含有率は、固形分比で、例えば50重量%以上であり、60重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、さらには80重量%以上であってもよい。含有率の上限は、例えば99重量%以下であり、97重量%以下、さらには95重量%以下であってもよい。
【0066】
<帯電防止剤>
粘着剤組成物(I)は、帯電防止剤を含む。粘着剤組成物(I)は、1種又は2種以上の帯電防止剤を含んでいてもよい。帯電防止剤の例は、塩等のイオン性化合物である。イオン性化合物は、常温(25℃)で液体のイオン液体であってもよい。
【0067】
イオン性化合物の例は、無機カチオン塩及び有機カチオン塩である。無機カチオン塩の例は、無機カチオン-アニオン塩である。無機カチオン塩に含まれるカチオンの例は、アルカリ金属イオンである。アルカリ金属イオンは、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンであり、好ましくはリチウムイオンである。無機カチオン塩は、リチウム塩であってもよい。
【0068】
無機カチオン塩に含まれるアニオンの例は、Cl-、Br-、I-、AlCl4 -、Al2Cl7 -、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、NO3 -、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、(CN)2-、C49SO3 -、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N--3S(CF23SO3 -、及び下記一般式(a)~(d)で表されるアニオンである。
(a) (Cn2n+1SO22- (nは1~10の整数)
(b) CF2(Cm2mSO22- (mは1~10の整数)
(c) -3S(CF2lSO3 - (lは1~10の整数)
(d) (Cp2p+1SO2)N-(Cq2q+1SO2) (p及びqは、互いに独立して1~10の整数)
【0069】
無機カチオン塩に含まれるアニオンは、好ましくはフッ素含有アニオンであり、より好ましくはフッ素含有イミドアニオンである。フッ素含有イミドアニオンの例は、ペルフルオロアルキル基を有するイミドアニオンである。フッ素含有イミドアニオンのより具体的な例は、(CF3SO2)(CF3CO)N-や、上記の一般式(a)、(b)又は(d)で表されるアニオンであり、好ましくは(CF3SO22-、(C25SO22-等の一般式(a)で表わされる(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドであり、より好ましくは(CF3SO22-で表わされるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。好ましい無機カチオン塩の例は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)である。
【0070】
有機カチオン塩の例は、有機カチオン-アニオン塩である。有機カチオン塩に含まれるカチオンの例は、有機基を含む有機オニウムである。有機オニウムに含まれるオニウムの例は、含窒素オニウム、含硫黄オニウム、含リンオニウムであり、好ましくは、含窒素オニウム、含硫黄オニウムである。含窒素オニウムの例は、アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオンである。含硫黄オニウムの例は、スルホニウムカチオンである。含リンオニウムの例は、ホスホニウムカチオンである。有機オニウムに含まれる有機基の例は、アルキル基、アルコキシル基、アルケニル基である。好ましい有機オニウムの具体例は、テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、トリブチルメチルアンモニウムカチオン)、アルキルピペリジニウムカチオン、アルキルピロリジニウムカチオンである。
【0071】
有機カチオン塩に含まれるアニオンの例は、無機カチオン塩に含まれるアニオンの例と同じである。好ましい有機カチオン塩の例は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
【0072】
帯電防止剤は、無機カチオン塩と有機カチオン塩とを組み合わせて用いてもよい。帯電防止剤は、好ましくは有機カチオン塩を含む。帯電防止剤が有機カチオン塩を含むことによって、加湿試験後のコンダクタンスの上昇を抑制できる。これにより画像表示装置が備えるタッチセンサの感度の低下を抑制できる。
【0073】
粘着剤組成物(I)における帯電防止剤の配合量は、ポリマー(A)100重量部に対して、例えば0.5重量部以上であり、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、さらには4重量部以上であってもよい。配合量の上限は、ポリマー(A)100重量部に対して、例えば20重量部以下であり、15重量部以下、10重量部以下、10重量部未満、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、さらには6重量部以下であってもよい。粘着剤組成物(I)における帯電防止剤の配合量を適切に調節することによって、粘着シート1の耐久性をより向上させることができる。加えて、帯電防止剤の含有量を適切に調節することによって、加湿試験後のコンダクタンスの上昇を抑制できる。これにより画像表示装置が備えるタッチセンサの感度の低下を抑制できる。さらに、帯電防止剤の含有量を適切に調節することによって、低温環境下においても、光学積層体10Aにおける粘着シート1側の表面抵抗率がより上昇しにくくなる、すなわち、比R/R1を小さくできる。
【0074】
<ラジカル捕捉剤>
粘着剤組成物(I)は、ラジカル捕捉剤をさらに含んでいてもよい。ラジカル捕捉剤の例は、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系、フェノール系及びチオエーテル系、並びにこれらの系統を混合したブレンド系等の各種の酸化防止剤である。ラジカル捕捉剤は、酸化防止剤であってもよい。
【0075】
酸化防止剤の種類は、例えば、ラジカル連鎖禁止剤及び過酸化物分解剤である。
【0076】
酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系及びホスファイト系から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0077】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、フェノールのOH基が結合した芳香環上の炭素原子に隣接した少なくとも1つの炭素原子に対してターシャリーブチル基が結合した構造を有していてもよい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT);並びにIrganox1010、Irganox1010FF、Irganox1035、Irganox1035FF、Irganox1076、Irganox1076FD、Irganox1076DWJ、Irganox1098、Irganox1135、Irganox1330、Irganox1726、Irganox1425WL、Irganox1520L、Irganox245、Irganox245FF、Irganox259、Irganox3114、Irganox565及びIrganox295(いずれも商品名であり、BASF社製)である。
【0078】
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、一分子中に少なくとも1つのヒンダードピぺリジン基を有していてもよい。ヒンダードアミン系酸化防止剤の例は、アデカスタブLA-63、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-52及びアデカスタブLA-57(いずれも商品名であり、ADEKA社製)である。
【0079】
ホスファイト系酸化防止剤の例は、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト及びフェニルジイソデシルホスファイト;並びにアデカスタブ2112、アデカスタブ2112RG、アデカスタブ1178及びアデカスタブ3010(いずれも商品名であり、ADEKA社製)である。
【0080】
フェノール系酸化防止剤の例は、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤及び高分子型フェノール系酸化防止剤である。モノフェノール系酸化防止剤の例は、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリン-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである。ビスフェノール系酸化防止剤の例は、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンである。高分子型フェノール系酸化防止剤の例は、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン及びトコフェノールである。
【0081】
チオエーテル系酸化防止剤の例は、アデカスタブAO-503及びアデカスタブAO-26(いずれも商品名であり、ADEKA社製)である。
【0082】
ラジカル捕捉剤(例えば酸化防止剤)の分子量は、1000以下であってもよく、900以下、850以下、800以下、700以下、600以下、500以下、450以下、さらには400以下であってもよい。分子量の下限は、例えば100以上である。本発明者らの検討によれば、分子量が上記範囲にあるラジカル捕捉剤は、粘着剤組成物(I)から形成された粘着シートにおけるラジカル発生量の抑制に特に適している。
【0083】
ラジカル捕捉剤(例えば酸化防止剤)は、常温(25℃)で液体であってもよい。
【0084】
粘着剤組成物(I)におけるラジカル捕捉剤の配合量は、ポリマー(A)100重量部に対して、例えば0.1重量部以上であり、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、さらには0.5重量部以上であってもよい。配合量の上限は、ポリマー(A)100重量部に対して、例えば15重量部以下であり、10重量部以下、7重量部以下、5重量部以下、5重量部未満、4重量部以下、3重量部以下、さらには2重量部以下であってもよい。
【0085】
<添加剤>
粘着剤組成物(I)は、ポリマー(A)、帯電防止剤、及びラジカル捕捉剤以外の材料をさらに含んでいてもよい。当該材料の例は、添加剤である。添加剤の例は、架橋剤、シランカップリング剤、顔料及び染料等の着色剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、リワーク向上剤、軟化剤、重合禁止剤、防錆剤、無機充填材、有機充填材、金属粉等の粉体、粒子、及び箔状物である。添加剤は、ポリマー(A)100重量部に対して合計で、例えば10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下の範囲で配合できる。
【0086】
架橋剤の例は、有機系架橋剤及び多官能性金属キレートである。有機系架橋剤の例は、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤及びイミン系架橋剤である。有機系架橋剤及び多官能性金属キレートは、溶剤型及び活性エネルギー線硬化型のいずれの型の粘着剤組成物(I)に対しても使用できる。粘着剤組成物(I)が溶剤型である場合、架橋剤は、好ましくは過酸化物系架橋剤、イソシアネート系架橋剤である。過酸化物系架橋剤とイソシアネート系架橋剤とを併用してもよい。粘着剤組成物(I)は、イソシアネート系架橋剤を含んでいてもよく、過酸化物系架橋剤を含んでいてもよく、イソシアネート系架橋剤及び過酸化物系架橋剤の双方を含んでいてもよい。粘着剤組成物(I)は、過酸化物系架橋剤及びラジカル捕捉剤を含んでいることが好ましい。
【0087】
イソシアネート系架橋剤の例は、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート化合物;ブチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアナート及びヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物である。イソシアネート系架橋剤は、上記イソシアネート化合物をトリメチロールプロパン等の多価アルコール化合物に付加した化合物(アダクト体);上記イソシアネート化合物をポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等のポリオールと付加反応させた化合物;イソシアヌレート化物等の上記イソシアネート化合物の誘導体であってもよい。誘導体の具体例は、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー社製、コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー社製、コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(例えば、東ソー社製、コロネートHX)である。
【0088】
粘着剤組成物(I)がイソシアネート系架橋剤を含む場合、その配合量は、ポリマー(A)100重量部に対して、例えば0.1~10重量部であり、0.2~5重量部、0.25~3重量部、0.3~1重量部、さらには0.3~0.5重量部であってもよい。
【0089】
過酸化物系架橋剤の例は、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジ-n-オクタノイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンである。過酸化物系架橋剤は、架橋反応効率が優れることから、ベンゾイルパーオキサイドであってもよい。
【0090】
粘着剤組成物(I)が過酸化物系架橋剤を含む場合、その配合量は、ポリマー(A)100重量部に対して、例えば0.005~5重量部であり、0.01~3重量部、0.05~2重量部、0.07~1重量部、0.07~0.5重量部、0.07~0.3重量部、さらには0.07~0.2重量部であってもよい。
【0091】
シランカップリング剤の例は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤である。
【0092】
粘着剤組成物(I)がシランカップリング剤を含む場合、その配合量は、ポリマー(A)100重量部に対して、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、1重量部以下、0.5重量部以下、0.2重量部以下、0.1重量部以下、さらには0.05重量部以下であってもよい。粘着剤組成物(I)は、シランカップリング剤を含まなくてもよい。
【0093】
粘着剤組成物(I)の型は、例えば、エマルション型、溶剤型(溶液型)、活性エネルギー線硬化型(光硬化型)、熱溶融型(ホットメルト型)である。耐久性に優れる粘着シートを形成できる観点からは、粘着剤組成物(I)は、溶剤型又は活性エネルギー線硬化型であってもよく、溶剤型であってもよい。溶剤型の粘着剤組成物(I)は、紫外線硬化剤等の光硬化剤を含まなくてもよい。
【0094】
粘着剤組成物(I)は、例えば、光学積層体に使用できる。換言すれば、粘着剤組成物(I)は光学積層体用であってもよい。ただし、粘着剤組成物(I)の用途は、上記例に限定されない。
【0095】
本実施形態では、上記の単量体群からポリマー(A)を合成した場合に、FOXの式から算出した当該ポリマー(A)のガラス転移温度Tgが-55℃未満であってもよい。ポリマー(A)のガラス転移温度Tgは、粘着シート1のガラス転移温度と相関する傾向がある。ポリマー(A)のガラス転移温度Tgが、例えば55℃未満であることによって、粘着シート1に含まれるポリマー(A)は、低温環境下であっても、自由体積が小さくなりにくい。ポリマー(A)の自由体積が小さくなりにくいと、粘着シート1において、帯電防止剤が移動できる空間が生じやすい。これにより、粘着シート1内を帯電防止剤が移動しやすくなり、表面抵抗率の上昇を抑制できるので、画像表示装置が備えるタッチセンサの感度の低下を抑制できる傾向がある。加えて、ポリマー(A)のガラス転移温度Tgが、例えば55℃未満であることによって、光学積層体10Aは、例えば、低温環境下においても、ポリマー(A)の側鎖の動きが低下しにくい。これにより、低温環境下においても、イオン伝導性の低下をより抑制できる。その結果、低温環境下においても、光学積層体10Aにおける粘着シート1側の表面抵抗率の上昇をより抑制できる。すなわち、比R/R1をより小さくできる。
【0096】
ガラス転移温度Tgは、-60℃以下であってもよく、-65℃以下であってもよい。ガラス転移温度Tgの下限値は、例えば、-70℃である。なお、FOXの式は、以下の式で表される。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+wm/Tgm
【0097】
上記の式において、Tgは、ポリマー(A)のガラス転移温度[K]である。w1、w2、・・・wmは、それぞれ、単量体群における各単量体の重量分率である。Tg1、Tg2、・・・Tgmは、それぞれ、各単量体の単一重合体のガラス転移温度[K]である。mは、正の整数である。一例として、w1は、単量体群における第1単量体の重量分率であり、Tg1は、当該第1単量体の単一重合体のガラス転移温度[K]である。上記の式から、ポリマー(A)のガラス転移温度[K]を算出し、単位換算することによって、ポリマー(A)のガラス転移温度Tg[℃]を算出できる。
【0098】
周波数100Hzにおける粘着シート1の比誘電率Pは、例えば、1000以上である。比誘電率Pが、例えば1000以上であることによって、比誘電率が低い光学フィルム、特に偏光フィルムと粘着シート1とを組み合わせて用いた場合であっても、画像表示装置が備えるタッチセンサの感度の低下を抑制できる傾向がある。加えて、粘着シート1の比誘電率Pが、例えば1000以上であることによって、粘着シート1の導電性をより向上させることができる。このため、光学積層体10Aは、例えば、低温環境下においても、光学積層体10Aにおける粘着シート1側の表面抵抗率の上昇をより抑制できる。すなわち、比R/R1をより小さくできる。
【0099】
比誘電率Pは、次の方法によって測定できる。まず、試験片として、厚さ30μmに調節した粘着シート1を作製する。この試験片について、JIS K6911:1995に準拠して、周波数100Hzにおける比誘電率を自動平衡ブリッジ法(変成器ブリッジ法)により測定する。得られた測定値を比誘電率Pとみなすことができる。比誘電率の測定条件の詳細は、以下のとおりである。
・測定条件
測定方法:容量法(装置:Agilent Technologies社製の4294A Precision Impedance Analyzer)
電極構成:直径12.1mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板
対向電極:3oz 銅板
測定環境:23±1℃、52±1%RH
【0100】
比誘電率Pは、1300以上、1800以上、2000以上、さらには2500以上であってもよい。比誘電率Pの上限値は、例えば5000以下である。
【0101】
上記したとおり、粘着シート1において、例えば、ポリマー(A)のガラス転移温度Tgは、-55℃未満であり、かつ周波数100Hzにおける粘着シート1の比誘電率Pは、1000以上である。これにより、ポリマー(A)の側鎖の動きが低下しにくく、かつ粘着シート1の導電性をより向上させることができる。その結果、光学積層体10Aにおける粘着シート1側の25℃での表面抵抗率の上昇及び光学積層体10Aにおける粘着シート1側の-15℃での表面抵抗率の上昇、をより抑制できる。その結果、比R/R1をより小さくできる。
【0102】
[光学フィルム]
光学フィルム2は、例えば、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。光学フィルム2は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層フィルムであってもよい。光学フィルム2は、ガラス製のフィルムを含んでいてもよい。
【0103】
偏光フィルムは、偏光子を含む。偏光フィルムは、典型的には、偏光子及び保護フィルム(透明保護フィルム)を含む。保護フィルムは、例えば、偏光子の主面に接して配置されている。偏光子は、2つの保護フィルムの間に配置されていてもよい。保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置されていてもよい。
【0104】
偏光子としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの;ポリビニルアルコールの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。偏光子は、典型的には、ポリビニルアルコール系フィルム(ポリビニルアルコール系フィルムには、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムが含まれる)、及び、ヨウ素等の二色性物質からなる。
【0105】
偏光子の厚さは、特に限定されず、例えば80μm以下であり、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。偏光子の厚さの下限は、特に限定されず、例えば1μm以上であり、5μm以上、10μm以上、さらには15μm以上であってもよい。薄型の偏光子(例えば、厚さ20μm以下)は、寸法変化が抑制されており、光学積層体の耐久性、特に高温下の耐久性、の向上に寄与しうる。
【0106】
保護フィルムの材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、これらの混合物が挙げられる。保護フィルムの材料は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂であってもよい。偏光フィルムが2つの保護フィルムを有する場合、2つの保護フィルムの材料は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、偏光子の一方の主面に対して、接着剤を介して、熱可塑性樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされ、偏光子の他方の主面に対して、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされていてもよい。保護フィルムは、任意の添加剤を1種類以上含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。
【0107】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には、強度及び取扱性等の作業性、薄膜性等の点より10~200μm程度である。
【0108】
偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の接着剤以外の他の接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。接着剤は、金属化合物フィラーを含んでいてもよい。
【0109】
偏光フィルムでは、保護フィルムに代えて、位相差フィルム等を偏光子上に形成することもできる。保護フィルム上には、さらに別の保護フィルムを設けること、位相差フィルム等を設けること等もできる。
【0110】
保護フィルムについて、偏光子と接着している表面と対向する表面には、ハードコート層が設けられていてもよく、反射防止、スティッキング防止、拡散、アンチグレア等を目的とした処理を施すこともできる。
【0111】
偏光フィルムは、円偏光フィルムであってもよい。
【0112】
位相差フィルムとしては、高分子フィルムを延伸させて得られるものや液晶材料を配向、固定化させたものを用いることができる。位相差フィルムは、例えば、面内及び/又は厚さ方向に複屈折を有する。
【0113】
位相差フィルムとしては、反射防止用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0221〕、〔0222〕、〔0228〕参照)、視野角補償用相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0225〕、〔0226〕参照)、視野角補償用の傾斜配向位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0227〕参照)等が挙げられる。
【0114】
位相差フィルムとしては、実質的に上記の機能を有するものであれば、例えば、位相差値、配置角度、3次元複屈折率、単層か多層かなどは特に限定されず、公知の位相差フィルムを使用することができる。
【0115】
位相差フィルムの厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは1~9μmであり、特に好ましくは3~8μmである。
【0116】
位相差フィルムは、例えば、液晶材料が配向、固定化された1/4波長板、1/2波長板の2層から構成される。
【0117】
[粘着シートの製造方法]
粘着シート1は、粘着剤組成物(I)から形成される。粘着シート1は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーの架橋物を含む。粘着シート1は、粘着剤組成物(I)から、以下の方法によって形成される。
【0118】
粘着シート1の製造方法は、例えば、粘着剤組成物(I)を基材に塗布し、塗布膜を形成することと、得られた塗布膜を乾燥することと、を含む。塗布膜を乾燥させることによって、基材上に粘着シート1が形成される。これにより、基材及び粘着シート1からなる積層体L1が得られる。
【0119】
基材としては、例えば、離型フィルムを用いることができる。離型フィルムに形成された粘着シート1は、例えば、光学フィルム2などに転写できる。基材は、光学フィルム2であってもよい。
【0120】
離型フィルムは、粘着シート1を光学フィルム2に転写した後において、粘着シート1が実用に供されるまでセパレータとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0121】
離型フィルムの構成材料としては、例えば、プラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0122】
プラスチックフィルムとしては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0123】
離型フィルムの厚みは、通常5~200μm、好ましくは5~100μm程度である。離型フィルムには、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などの離型処理が施されている。離型フィルムには、脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型及び防汚処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理が施されていてもよい。
【0124】
基材には、粘着剤組成物(I)を含む溶液(粘着剤溶液)を塗布してもよい。粘着剤溶液の固形分濃度は、例えば5~50重量%であり、好ましくは10~40重量%である。なお、粘着剤溶液は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重合形態に応じて、重合溶剤と同じ溶媒又は異なる溶媒を粘着剤組成物(I)に適宜添加することによって調製できる。
【0125】
粘着剤組成物(I)を基材に塗布する方法としては、各種方法が用いられ、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。粘着剤組成物(I)の塗布量は、目的とする粘着シート1の厚さに応じて適宜調節できる。
【0126】
塗布膜を乾燥させることによって塗布膜が硬化し、粘着シート1が形成される。塗布膜の乾燥温度は、例えば、130℃以下であり、好ましくは125℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは110℃以下であり、特に好ましくは100℃以下である。塗布膜の乾燥温度は、60℃以上であってもよく、80℃以上であってもよい。乾燥温度が60℃以上である場合、例えば、イソシアネート系架橋剤の反応がスムーズに進行し、粘着シート1の凝集力を向上させることができ、画像表示装置の表示ムラを低減できる傾向がある。乾燥温度が130℃以下である場合、例えば、イソシアネート系架橋剤の反応速度を適切に調整でき、透明性を確保できる傾向がある。
【0127】
塗布膜の乾燥時間は、粘着剤組成物(I)の組成に応じて適宜調節でき、好ましくは30秒~300秒、さらに好ましくは40秒~240秒、特に好ましくは60秒~180秒である。
【0128】
粘着シート1の厚さは、2~150μmであってもよく、2~100μmであってもよく、5~50μmであってもよい。粘着シート1の厚さを適切に調節することによって、粘着シート1と光学フィルム2との密着性を向上させることができる。加えて、粘着シート1の厚さを適切に調節することによって、ガラス及び画像表示装置等の被着体から粘着シート1の剥離を抑制できる。
【0129】
図2は、本実施形態に係る光学積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。図2に示すように、光学積層体10Bは、はく離ライナー3、粘着シート1、及び光学フィルム2がこの順に積層された積層構造を有する。光学積層体10Bは、はく離ライナー3を剥離した後、例えば画像表示セルに貼付して使用できる。以下の各例は、技術的に矛盾しない限り、相互に組み合わされてもよい。
【0130】
はく離ライナー3の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0131】
プラスチックフィルムとしては、粘着シート1を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
【0132】
はく離ライナー3の厚みは、通常5~200μm、好ましくは5~100μm程度である。はく離ライナー3には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理が施されてもよい。特に、はく離ライナー3の表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜行うことにより、粘着シート1からの剥離性をより高めることができる。
【0133】
なお、上述のとおり、粘着シート1を作製するときに利用した離型フィルムをはく離ライナー3として用いてもよい。
【0134】
本実施形態の光学積層体は、例えば、帯状の光学積層体を巻回した巻回体として、あるいは枚葉状の光学積層体として、流通及び保管が可能である。本実施形態の光学積層体は、静電気が特に生じやすい環境で用いられる画像表示装置、特に車載用ディスプレイ、の用途に適している。車載用ディスプレイとしては、例えば、カーナビゲーション装置用パネル、クラスタパネル、ミラーディスプレイなどが挙げられる。クラスタパネルは、車両の走行速度やエンジンの回転数などを表示するパネルである。
【0135】
[画像表示パネルの実施形態]
図3は、本実施形態に係る画像表示パネルの一例を模式的に示す断面図である。図3に示すように、画像表示パネル11Aは、光学積層体10Aを備え、例えば画像表示セル30Aをさらに備える。詳細には、粘着シート1を介して、光学積層体10Aが画像表示セル30Aに貼り合わされている。
【0136】
画像表示セル30Aは、例えば、画像形成層32、第1透明基板31及び第2透明基板33を備えている。画像形成層32は、例えば、第1透明基板31及び第2透明基板33の間に配置されており、第1透明基板31及び第2透明基板33のそれぞれに接している。光学積層体10Aの粘着シート1は、例えば、画像表示セル30Aの第1透明基板31に接している。
【0137】
画像形成層32は、例えば、電界が存在しない状態でホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層である。このような液晶分子を含む液晶層は、IPS(In-Plane-Switching)方式に適している。ただし、液晶層は、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、π型、VA(Vertical Alignment)型等に用いられてもよい。本明細書では、液晶層を備えた画像表示セルを液晶セルと呼び、液晶セルを備えた画像表示パネルを液晶パネルと呼ぶことがある。なお、画像形成層32は、EL発光層であってもよい。
【0138】
画像形成層32の厚さは、例えば、1.5μm~4μmである。
【0139】
第1透明基板31及び第2透明基板33の材料としては、例えば、ガラス及びポリマーが挙げられる。本明細書では、ポリマーで構成された透明基板をポリマーフィルムと呼ぶことがある。透明基板を構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート等が挙げられる。ガラスで構成された透明基板の厚さは、例えば、0.1mm~1mmである。ポリマーで構成された透明基板の厚さは、例えば、10μm~200μmである。
【0140】
画像表示セル30Aは、画像形成層32、第1透明基板31及び第2透明基板33以外の他の層をさらに含んでいてもよい。他の層としては、例えば、カラーフィルタ、易接着層及びハードコート層が挙げられる。カラーフィルタは、例えば、画像形成層32よりも視認側に配置されており、好ましくは第1透明基板31と光学積層体10Aの粘着シート1との間に位置する。易接着層及びハードコート層は、例えば、第1透明基板31又は第2透明基板33の表面上に配置されている。
【0141】
画像表示パネル11Aは、光学積層体10A及び画像表示セル30A以外の他の部材をさらに備えていてもよい。例えば、画像表示パネル11Aは、光学積層体10Aの側面に電気的に接続している導通構造(図示せず)をさらに備えていてもよい。導通構造をアースに接続すれば、光学積層体10Aが静電気によって帯電することを抑制しやすい。導通構造は、光学積層体10Aの側面全体を覆っていてもよく、光学積層体10Aの側面を部分的に覆っていてもよい。光学積層体10Aの側面全体の面積に対する導通構造によって覆われた光学積層体10Aの側面の面積の比率は、例えば1%以上であり、好ましくは3%以上である。
【0142】
導通構造の材料としては、例えば銀、金等の金属で構成された導電性ペースト;導電性接着剤;他の導電材料が挙げられる。導通構造は、光学積層体10Aの側面から伸びる配線であってもよい。
【0143】
画像表示パネル11Aは、光学フィルム2以外の他の光学フィルムをさらに備えていてもよい。他の光学フィルムとしては、例えば、偏光板、反射板、反透過板、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム等の画像表示装置に用いられるフィルムが挙げられる。画像表示パネル11Aは、これらの1種又は2種以上の他の光学フィルムを備えていてもよい。
【0144】
他の光学フィルムが偏光板である場合、当該偏光板は、例えば、粘着シート1を介して、画像表示セル30Aの第2透明基板33と貼り合わされる。この偏光板は、例えば、光学フィルム2について上述した構成を有する。他の光学フィルムとしての偏光板において、偏光子の透過軸(又は吸収軸)は、例えば、偏光板における偏光子の透過軸(又は吸収軸)と直交している。偏光板と第2透明基板33とを貼り合わせるための粘着シートの材料としては、粘着シート1について上述したものを用いることができる。この粘着シートの厚さは、特に限定されず、例えば1~100μmであり、好ましくは2~50μmであり、より好ましくは2~40μmであり、さらに好ましくは5~35μmである。
【0145】
図4は、本実施形態に係る画像表示パネルの別の一例を模式的に示す断面図である。図4に示すように、画像表示パネル11Bは、光学積層体10A及び画像表示セル30Aの間に配置された導電層40をさらに備えている。ただし、画像表示パネルは、導電層40を含まない画像表示パネル11Aであることが好ましい。導電層40が設けられた画像表示パネル11Bでは、反射率が高くなる傾向があり、ディスプレイの視認性が低下することがある。導電層40を含まない画像表示パネル11Aでは、粘着シート1に隣接する導通部(上述の導通構造)を設けることが好ましい。導通部としては、例えば導電性銀ペーストが用いられる。画像表示セル30Aに光学積層体10Aを貼り合わせた後、粘着シート1の側面部に導電性銀ペースト等を塗布して導通部を設け、そこから他の配線や画像表示装置の筐体等に導通させることで、画像表示パネルの帯電防止性を高めることができる。
【0146】
導電層40は、例えば、導電剤を含む層である。導電剤としては、金属酸化物、導電性ポリマー、及び粘着シート1について上述したもの等を用いることができる。導電層40の厚さは、例えば、5nm~180nmである。導電層40の表面抵抗率は、例えば、1.0×106Ω/□~1.0×1010Ω/□であり、好ましくは1.0×108Ω/□~1.0×109Ω/□である。
【0147】
本実施形態の画像表示パネルは、タッチセンシング機能を内蔵する画像表示パネルであってもよい。タッチセンシング機能を内蔵する画像表示パネルの一例を図5に示す。図5は、本実施形態に係る画像表示パネルの別の一例を模式的に示す断面図である。図5示すように、画像表示パネル11Cは、タッチセンシング電極部35をさらに含む画像表示セル30Bを備えている。画像表示セル30Bにおいて、タッチセンシング電極部35は、第1透明基板31と第2透明基板33との間に配置されている。タッチセンシング電極部35は、タッチセンサ及びタッチ駆動の機能を有する。画像表示パネル11Cは、いわゆるインセル型画像表示パネルであり、画像表示セル30Bは、いわゆるインセル型画像表示セルである。ただし、画像表示セル30Bにおいて、タッチセンシング電極部35は、第1透明基板31よりも視認側に配置されていてもよい。すなわち、画像表示パネル11Cは、いわゆるオンセル型画像表示パネルであってもよく、画像表示セル30Bは、いわゆるオンセル型画像表示セルであってもよい。
【0148】
タッチセンシング電極部35は、例えば、タッチセンサ電極36及びタッチ駆動電極37を有する。タッチセンサ電極36とは、タッチ検出用の(受信)電極を意味する。タッチセンサ電極36及びタッチ駆動電極37は、それぞれ独立して各種パターンにより形成することができる。例えば、画像表示セル30Bが平板状である場合、タッチセンサ電極36及びタッチ駆動電極37をそれぞれX軸方向及びY軸方向に独立して設け、これらが直角に交差するようなパターンに形成することができる。図5では、タッチセンシング電極部35において、タッチセンサ電極36がタッチ駆動電極37よりも視認側に配置されている。ただし、タッチ駆動電極37がタッチセンサ電極36よりも視認側に配置されていてもよい。タッチセンシング電極部35において、タッチセンサ電極36及びタッチ駆動電極37は、一体化されていてもよい。
【0149】
図5において、タッチセンシング電極部35は、画像形成層32と第1透明基板31との間(画像形成層32よりも視認側)に配置されている。ただし、タッチセンシング電極部35は、画像形成層32と第2透明基板33との間(画像形成層32よりも照明システム側)に配置されていてもよい。
【0150】
タッチセンシング電極部35において、タッチセンサ電極36及びタッチ駆動電極37は、互いに接していなくてもよい。例えば、タッチセンサ電極36が画像形成層32と第1透明基板31との間に配置され、タッチ駆動電極37が画像形成層32と第2透明基板33との間に配置されていてもよい。
【0151】
タッチセンシング電極部35における駆動電極(タッチ駆動電極37、又は、タッチセンサ電極36とタッチ駆動電極37とが一体化された電極)は、画像形成層32を制御する共通電極を兼ねることができる。
【0152】
タッチセンシング電極部35を構成するタッチセンサ電極36(静電容量センサー)、タッチ駆動電極37、又は、これらを一体化して形成した電極は、透明導電層として機能する。この透明導電層の材料は、特に限定されず、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫、マグネシウム、タングステン等の金属、及び、これらの合金等が挙げられる。透明導電層の材料は、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、ジルコニウム、カドミウムなどの金属の酸化物であってもよい。この酸化物としては、具体的には、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウム及びこれらの混合物等が挙げられる。透明導電層の材料は、ヨウ化銅等の金属化合物であってもよい。透明導電層の材料は、酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ等が好ましく、ITOが特に好ましい。透明導電層の材料がITOである場合、透明導電層における酸化インジウムの含有率が80~99重量%であり、かつ酸化スズの含有率が1~20重量%であることが好ましい。
【0153】
タッチセンシング電極部35を構成する電極(タッチセンサ電極36、タッチ駆動電極37、又は、これらを一体化して形成した電極)は、第1透明基板31と第2透明基板33との間において、常法により透明電極パターンとして形成することができる。この透明電極パターンは、例えば、透明基板の端部に形成された引き回し線に電気的に接続されている。引き回し線は、例えば、コントローラICと接続されている。透明電極パターンの形状としては、櫛状、ストライプ状、ひし形状等、用途に応じて任意の形状を採用することができる。透明電極パターンの厚さは、例えば10nm~100nmである。透明電極パターンの幅は、例えば0.1mm~5mmである。
【0154】
[画像表示装置の実施形態]
本実施形態の画像表示装置は、例えば、画像表示パネル11A及び照明システムを備えている。なお、画像表示パネル11Aに代えて、図4及び5の画像表示パネル11B及び11Cも使用可能である。画像表示装置において、画像表示パネル11Aは、例えば、照明システムよりも視認側に配置されている。照明システムは、例えば、バックライト又は反射板を有し、画像表示パネル11Aに光を照射する。
【0155】
画像表示装置は、有機ELディスプレイであってもよく、液晶ディスプレイであってもよい。ただし、画像表示装置はこの例に限定されない。画像表示装置は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などであってもよい。画像表示装置は、家電用途、車載用途、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)用途などに用いることができ、車載用ディスプレイであることが好ましい。
【実施例0156】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0157】
<(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量>
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。(メタ)アクリル系ポリマーのMw/Mnについても、同様に測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC-8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0158】
[(メタ)アクリル系ポリマーA1の調製]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、エトキシエトキシエチルアクリレート(CBA)20重量部、n-ブチルアクリレート(BA)79重量部、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1重量部を含有する単量体混合物を仕込んだ。さらに、単量体混合物100重量部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;キシダ化学社製)0.1重量部を酢酸エチル100重量部と共に仕込んだ。混合物を緩やかに攪拌しながら、フラスコ内について窒素ガスを導入して窒素置換した。フラスコ内の液温を55℃付近に維持して8時間重合反応を行うことによって、重量平均分子量(Mw)190万の(メタ)アクリル系ポリマーA1の溶液を調製した。FOXの式から算出した(メタ)アクリル系ポリマーA1のガラス転移温度は、-57.0℃であった。
【0159】
[(メタ)アクリル系ポリマーA2の調製]
フラスコに仕込む単量体混合物を、CBA51重量部、BA48重量部、及びHBA1重量部とした以外は、(メタ)アクリル系ポリマーA1の調製と同様にして、重量平均分子量(Mw)130万の(メタ)アクリル系ポリマーA2の溶液を調製した。FOXの式から算出した(メタ)アクリル系ポリマーA2のガラス転移温度は、-61.1℃であった。
【0160】
[(メタ)アクリル系ポリマーA3の調製]
フラスコに仕込む単量体混合物を、CBA51重量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)48重量部、及びHBA1重量部とした以外は、(メタ)アクリル系ポリマーA1の調製と同様にして、重量平均分子量(Mw)170万の(メタ)アクリル系ポリマーA3の溶液を調製した。FOXの式から算出した(メタ)アクリル系ポリマーA3のガラス転移温度は、-68.2℃であった。
【0161】
[(メタ)アクリル系ポリマーA4の調製]
フラスコに仕込む単量体混合物を、CBA20重量部、BA39重量部、2EHA40重量部、及びHBA1重量部とした以外は、(メタ)アクリル系ポリマーA1の調製と同様にして、重量平均分子量(Mw)180万の(メタ)アクリル系ポリマーA4の溶液を調製した。FOXの式から算出した(メタ)アクリル系ポリマーA4のガラス転移温度は、-63.4℃であった。
【0162】
[(メタ)アクリル系ポリマーA5の調製]
フラスコに仕込む単量体混合物を、2-メトキシエチルアクリレート(MEA)98重量部、BA1重量部、及びHBA1重量部とした以外は、(メタ)アクリル系ポリマーA1の調製と同様にして、重量平均分子量(Mw)210万の(メタ)アクリル系ポリマーA5の溶液を調製した。FOXの式から算出した(メタ)アクリル系ポリマーA5のガラス転移温度は、-49.9℃であった。
【0163】
[(メタ)アクリル系ポリマーA6の調製]
フラスコに仕込む単量体混合物を、BA99重量部及びHBA1重量部とした以外は、(メタ)アクリル系ポリマーA1の調製と同様にして、重量平均分子量(Mw)180万の(メタ)アクリル系ポリマーA6の溶液を調製した。FOXの式から算出した(メタ)アクリル系ポリマーA6のガラス転移温度は、-55.0℃であった。
【0164】
各(メタ)アクリル系ポリマーの合成に使用した単量体及び仕込み量を以下の表1にまとめる。表中の「-」の表記は、当該成分を含んでいないことを意味する。
【0165】
【表1】
【0166】
(実施例1)
[ハードコート層付きTACフィルム]
まず、ウレタンアクリレートを主成分として含む紫外線硬化型樹脂モノマー又はオリゴマーが酢酸ブチルに溶解している樹脂溶液(DIC社製,商品名:ユニディック17-806、固形分濃度:80%)を準備した。この樹脂溶液の固形分100重量部に対して、光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRGACURE907)5重量部及びレベリング剤(DIC社製、商品名:GRANDIC PC4100)0.1重量部を樹脂溶液に添加した。次に、樹脂溶液中の固形分濃度が36%に調節されるように、樹脂溶液にシクロペンタノンとプロピレングリコールモノメチルエーテルを45:55の重量比率で加えた。これにより、ハードコート層形成材料を作製した。得られた形成材料を厚み40μmのトリアセチルセルロースを含む透明保護フィルム(コニカミノルタ社製のTACフィルム、商品名「KC4UY」)の上に塗布して塗膜を形成した。このとき、形成材料を硬化することによって得られるハードコート層の厚さが7μmに調節されるように塗膜の厚さを調節した。次に、塗膜を90℃で1分間乾燥し、さらに高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を塗膜に照射した。これにより、塗膜が硬化し、ハードコート層(HC)付きTACフィルムが得られた。
【0167】
[偏光板]
まず、速度比が互いに異なる複数のロールの間において、厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを濃度0.3%のヨウ素溶液(温度30℃)中で1分間染色しながら、延伸倍率が3倍になるように延伸した。次に、得られた延伸フィルムをホウ酸の濃度が4%であり、ヨウ化カリウムの濃度が10%である水溶液(温度60℃)中に0.5分間浸漬しながら、総延伸倍率が6倍になるように延伸した。次に、延伸フィルムを濃度1.5%のヨウ化カリウムを含む水溶液(温度30℃)中に10秒間浸漬することによって洗浄した。次に、延伸フィルムを50℃で4分間乾燥させることによって、厚さ30μmの偏光子を得た。得られた偏光子の一方の主面には、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、ラクトン環構造を有する変性アクリル系ポリマーからなる透明保護フィルム(厚さ30μm)を接合させた。偏光子の他方の主面には、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、上述したハードコート層付きTACフィルム(厚さ47μm)を接合させた。このとき、偏光子の他方の主面を透明保護フィルムと接合させた。偏光子と透明保護フィルムとの接合は、ロール貼合機を用いて行った。偏光子と透明保護フィルムとを接合させた後に、オーブンを用いて、得られた積層体を70℃で5分間加熱乾燥させることによってハードコート層及び偏光フィルムからなる偏光板を得た。
【0168】
[粘着シート]
(メタ)アクリル系ポリマーA1の溶液の固形分100重量部に対して、0.1重量部の過酸化物架橋剤(日本油脂社製、製品名;ナイパーBMT40SV)、0.4重量部のイソシアネート架橋剤(東ソー社製、製品名;コロネート2770)帯電防止剤として6重量部の1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)(第一工業製薬社製、製品名;エレクセルAS110)、0.5重量部の酸化防止剤(BASF社製、製品名;Irganox1010)、及び0.2重量部のシランカップリング剤(綜研化学社製、製品名;A100)をさらに配合することによって、実施例1の(メタ)アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
【0169】
次に、得られた溶液をセパレータ(三菱化学ポリエステルフィルム社製のMRF38)の片面に塗布した。セパレータは、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムであった。得られた塗布膜を155℃で1分間乾燥させることによって、セパレータの表面に粘着シートが形成された積層体L1を得た。粘着シートの厚さは、20μmであった。
【0170】
[光学積層体]
次に、得られた積層体L1の粘着シートを偏光板の上に転写することによって、偏光板、粘着シート、及びセパレータがこの順に積層された積層体L2を作製した。積層体L2からセパレータを剥離することによって、実施例1に係る光学積層体を得た。
【0171】
(実施例2)
粘着シートの作製において、(メタ)アクリル系ポリマーA2の溶液を使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって実施例2に係る光学積層体を得た。
【0172】
(実施例3)
粘着シートの作製において、(メタ)アクリル系ポリマーA3の溶液を使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって実施例3に係る光学積層体を得た。
【0173】
(実施例4)
粘着シートの作製において、(メタ)アクリル系ポリマーA3の溶液を使用したことと、帯電防止剤として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)(ソルベイ社製)を使用したことと、を除き、実施例1と同じ方法によって実施例4に係る光学積層体を得た。
【0174】
(実施例5)
粘着シートの作製において、(メタ)アクリル系ポリマーA4の溶液を使用したことと、帯電防止剤として10重量部のEMI-FSIを使用したことと、を除き、実施例1と同じ方法によって実施例5に係る光学積層体を得た。
【0175】
(比較例1)
粘着シートの作製において、(メタ)アクリル系ポリマーA4の溶液を使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって比較例1に係る光学積層体を得た。
【0176】
(比較例2)
粘着シートの作製において、(メタ)アクリル系ポリマーA5の溶液を使用したことと、帯電防止剤として5重量部のLiTFSIを使用したことと、を除き、実施例1と同じ方法によって比較例2に係る光学積層体を得た。
【0177】
(比較例3)
粘着シートの作製において、(メタ)アクリル系ポリマーA6の溶液を使用したことと、帯電防止剤として11重量部のEMI-FSIを使用したことと、を除き、実施例1と同じ方法によって比較例3に係る光学積層体を得た。
【0178】
実施例1~5及び比較例1~3について以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0179】
<光学積層体における粘着シート側の表面抵抗率の測定>
各実施例及び比較例に係る光学積層体を用いて、光学積層体における粘着シート側の25℃での表面抵抗率R1を測定した。光学積層体における粘着シート側の25℃での表面抵抗率R1の測定は、抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製のハイレスタ MCP-HT800)を用いて、印加電圧250V、印加時間10秒の条件で実施した。
【0180】
光学積層体における粘着シート側の-15℃での表面抵抗率Rの測定は、以下のようにして測定した。積層体L2の偏光板側(ハードコート層側)を、-15℃に設定したコールドプレート上に配置した。約30秒間経過した後、直ちに積層体L2からセパレータを離して粘着シート側の表面抵抗率を測定した。光学積層体における粘着シート側の-15℃での表面抵抗率Rの測定は、上記した抵抗率計を用いて、印加電圧250V、印加時間10秒の条件で実施した。
【0181】
<粘着シートの飽和水分率の測定方法>
各実施例及び比較例に係る光学積層体の粘着シートから、約50mgのサンプルを採取した。当該サンプルを、水分吸脱着測定装置(IGA-Sorp、Hiden社製)に配置し、100℃で1時間静置させることによって、サンプルから水分を除去した。このときの重量を測定し、その重量をW1[mg]とした。次いで、23℃及び55RHの環境下又は85℃及び85%RHの環境下にサンプルを静置させ、サンプルの重量変化を観察した。サンプルの重量が変化しなくなったときのサンプルの重量を測定し、その重量をW2[mg]として。下記式より、飽和水分率を測定した。
飽和水分率[重量%]={(W2-W1)/W1}×100
【0182】
<白抜けの評価>
光学積層体の光学フィルム側に、OCA(日東電工社製、LUCIACS CS9821;アクリル酸モノマーフリー粘着剤、厚さ200μm)を介して、前面透明部材を模したガラス板を貼り合わせて、画像表示装置を模した評価用の積層体を作製した。次に、評価用の積層体を、その粘着シートを介して、インセル型液晶セルの視認側に貼り合わせることによって、積層体付きインセル型液晶セルを作製した。次に、積層体付きインセル型液晶セルの視認側と反対側に、クロスニコルの関係になるように偏光板を貼り合わせることによって液晶表示パネルを作製した。この液晶表示パネルを、-15℃に設定したコールドプレートで冷却後、すぐにバックライト装置上にセットし、視認側の偏光板面をニトリル手袋で数回擦ることによって静電気を発生させた。静電気により生じた、白抜けした部分が消失するまでの時間を測定して、下記の基準により評価した。なお、実用上問題となる評価結果は、「D」である。
(評価基準)
A:白抜けが発生しない。
B:数回擦ると白抜けが発生するが、1秒以内に消失する。
C:数回擦ると白抜けが発生するが、1秒を超え、5秒未満に消失する。
D:一回擦るだけで白抜けが発生し、消失までに5秒以上かかる。
【0183】
【表2】
【0184】
表2に示すように、実施例では、光学積層体における粘着シート側の-15℃での表面抵抗率が1.0×1010Ω/□以下であった。実施例に係る光学積層体は、低温環境下での表示不良、典型的には帯電による白抜け、の抑制により適している。
【0185】
<コンダクタンスの測定>
10cm×7cmのサイズ及び0.7mmの厚さを有するガラス板を2枚積層させた。このとき、上側のガラス板は、下側のガラス板の長さ方向に1cm程度ずらして段差を形成した状態で積層させた。この段差部分の両端に、5mm角程度の大きさになるように導電ペーストを塗布して乾燥させた。導電ペースト間の距離は、約7cmであった。次に、積層体L2からセパレータを剥離し、光学積層体を、粘着シートを介して、導電ペースト及び上側のガラス板に貼り合わせることによってサンプルを作製した。
【0186】
上記で作製したサンプルを、50℃及び5気圧(絶対圧)のオートクレーブで15分間加熱した。次に、サンプルを25℃に冷えるまで静置して、粘着シートとガラス板との接合を安定させて、コンダクタンス測定用のサンプルを得た。その後、コンダクタンス測定用のサンプルの各導電ペーストに、工業用マルチメーター(フルーク社製、製品名;FLUKE87V)の陽極及び陰極をそれぞれ接続した状態で、25℃のコンダクタンスを測定した。このときのコンダクタンスの値を、初期のコンダクタンスCAとした。
【0187】
次に、コンダクタンス測定用のサンプルを85℃及び85%RHの条件下に250時間静置させた後、直ちにコンダクタンス測定用のサンプルのコンダクタンスを測定した。このときのコンダクタンスの値を、高温高湿下のコンダクタンスCBとした。CAに対するCBの比CB/CAを算出して、下記の基準により評価した。なお、実用上問題となる評価結果は、「D」である。
(評価基準)
A:比CB/CAが1.5以下
B:比CB/CAが1.5を超え、2.5以下
C:比CB/CAが2.5を超え、3.0以下
D:比CB/CAが3.0を超える
【0188】
【表3】
【0189】
表3に示すように、実施例では、初期のコンダクタンスに比べて、高温高湿下でのコンダクタンスの上昇が抑制されていた。このため、実施例に係る光学積層体は、低温環境下での表示不良の抑制に加えて、高温高湿下においても、画像表示装置が備えるタッチセンサの感度の低下の抑制にも適している。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明の光学積層体は、静電気が生じやすい環境、特に車両の内部のように他の電子機器が周囲に存在する環境、で用いられる画像表示装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0191】
1 粘着シート
2 光学フィルム
3 はく離ライナー
10A、10B 光学積層体
11A、11B、11C 画像表示パネル
30A、30B 画像表示セル
31 第1透明基板
32 画像形成層
33 第2透明基板
35 タッチセンシング電極部
36 タッチセンサ電極
37 タッチ駆動電極
40 導電層
図1
図2
図3
図4
図5