(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131537
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20240920BHJP
B65F 3/28 20060101ALI20240920BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20240920BHJP
G01G 19/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65F3/00 L
B65F3/00 A
B65F3/00 B
B65F3/28
B60P3/00 Q
G01G19/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041866
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓一
(72)【発明者】
【氏名】山内 正輝
(72)【発明者】
【氏名】尾原 歩希
(72)【発明者】
【氏名】早川 千鶴
(72)【発明者】
【氏名】福原 健大朗
(72)【発明者】
【氏名】木原 柊平
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA01
3E024AA03
3E024AA05
3E024BA01
3E024CA02
3E024DA08
3E024DC01
3E024EA04
3E024HA02
3E024HA03
3E024HB01
3E024HB02
3E024HB04
3E024HB06
3E024HC02
3E024HC03
3E024HD06
3E024HE02
3E024HE03
(57)【要約】
【課題】塵芥収集車における積み込み処理、または、排出処理において、作業者に対して、より便宜を図った制御を行う。
【解決手段】塵芥収集車1は、塵芥を収集する筐体3および筐体3内に設けられた塵芥を排出する排出板561、排出板561を駆動する排出板駆動部521、排出板駆動部521を制御する制御手段513、筐体3に収集された塵芥の総収集重量を計測する重量計測手段510を備えている。また、排出板駆動部521は、縮み方向への負荷が増減可能であり、制御手段513は、重量計測手段510が計測した総収集重量に応じて、排出板駆動部521の縮み方向への負荷を増減するように制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥を収集する筐体、
前記筐体内に設けられた塵芥を排出する排出板、
前記排出板を駆動する排出板駆動部、
前記排出板駆動部を制御する制御手段、
前記筐体に収集された塵芥の総収集重量を計測する重量計測手段、
を備えた塵芥収集車において、
前記排出板駆動部は、縮み方向への負荷が増減可能であり、
前記制御手段は、前記総収集重量に応じて前記縮み方向への負荷を増減するように制御すること、
を特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
塵芥を収集する筐体、
前記筐体内に設けられた塵芥を排出する排出板、
前記排出板を駆動する排出板駆動部、
前記排出板駆動部を制御する制御手段、
塵芥の種類ごとに重量と容積との関係を示す重量容積関数を記憶する塵芥別重量容積関数記憶手段、
収集する塵芥の種類を記憶する塵芥種別記憶手段、
を備え、
前記排出板駆動部は、縮み方向への負荷が増減可能であり、
前記制御手段は、前記塵芥種別記憶手段に記憶された塵芥の種別に対応する重量容積関数を、前記塵芥別重量容積関数記憶手段から読みだして、この塵芥別重量容積関数に応じて前記縮み方向への負荷を増減するように制御すること、
を特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
塵芥を収集する筐体であって、塵芥が投入される第1収納部および前記塵芥を収納する第2収納部を有する筐体、
前記第1収納部の塵芥を前記第2収納部へ積み込む積込装置、
前記積込装置を駆動制御する積込装置駆動部、
前記第2収納部に収集される塵芥の満載度を決定する満載度決定手段、
を備え、
前記積込装置は、前記第1収納部の塵芥を前記第2収納部へ加圧状態で積込可能であり、
前記制御手段は、前記満載度が高くなると、前記積込装置の加圧力を低くするように前記積込装置駆動部を制御すること、
を特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
塵芥を収集する筐体であって、塵芥が投入される第1収納部と、前記塵芥を収納する第2収納部を有する筐体、
前記第1収納部の塵芥を前記第2収納部へ積み込む積込装置、
前記積込装置を駆動制御する制御手段、
前記第2収納部に収集された塵芥の総収集重量を計測する重量計測手段、
左右振り分け命令が与えられると、前記第1収納部に投入される塵芥を左右に振り分ける左右振り分け手段、
を備え、
前記重量計測手段は、前記第2収納部における左右方向の重量の偏りを計測可能であり、
前記制御手段は、前記重量偏りに応じて前記左右振り分け手段に前記左右振り分け命令を与えること、
を特徴とする塵芥収集車。
【請求項5】
塵芥を収集する筐体、
排出命令を受けると、前記収集した塵芥を前記筐体外に排出する排出機構、
前記筐体の重量を計測する重量計測手段、
前記筐体が空状態である場合の重量を初期重量として記憶する空重量記憶手段、
前記排出機構から排出完了指示を受け取ると、前記重量計測手段により前記筐体の重量を計測させる制御手段、
警告命令を受けると作業者に警告する警告手段、
を備え、
前記制御手段は、前記計測結果と前記初期重量とを比較して、前記筐体内に塵芥が残存していると判断した場合は、前記警告命令を前記警告手段に与えること、
を特徴とする塵芥収集車。
【請求項6】
塵芥を収集する筐体、
排出命令を受けると、前記収集した塵芥を筐体外に排出する排出機構、
前記排出機構を制御する制御手段、
前記筐体に収集された塵芥の総重量を計測する重量計測手段、
を備えた塵芥収集車において、
前記排出機構は、排出速度の増減が可能であり、
前記制御手段は、排出開始時の総重量に応じて前記排出速度を調整するように前記排出機構を制御すること、
を特徴とする塵芥収集車。
【請求項7】
請求項6の塵芥収集車において、
前記排出機構は、排出板、前記排出板を駆動させる駆動部、および前記排出板の位置を検出する位置検出部で構成されており、
前記制御手段は、前記排出板による排出中に、前記重量計測手段による重量計測、または、前記位置検出部に位置検出を行わせ、前記計測した重量または前記検出した位置に基づいて、前記駆動部による前記排出板の排出速度を調整すること、
を特徴とする塵芥収集車。
【請求項8】
車高調整機能付きの空気バネ式サスペンションを有する塵芥収集車であって、
塵芥を収集する筐体、
前記筐体を支持する基本骨格、
前記基本骨格とタイヤ支持部の間に位置する後輪側空気バネ式サスペンション、
車高調整命令を受けると、前記後輪側空気バネ式サスペンションの空気量を調整する空気量制御機構、
前記空気量制御機構に車高調整命令を与える制御手段、
前記筐体に収集された塵芥の総重量を計測する重量計測手段、
を備えた塵芥収集車において、
前記制御手段は、前記塵芥の総重量に応じて前記後輪側空気バネ式サスペンションの車高を調整する車高調整命令を前記空気量制御機構に与えること、
を特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塵芥収集車に関し、特に、収集した塵芥による悪影響の解消に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロードセルより、収集した塵芥を計量する塵芥収集車が開示されている(段落0036、
図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、特許文献1の塵芥収集車においては、各種のセンサなどで状態を検出しているにも関わらず、塵芥収集車における積み込み処理、または、排出処理におけるこれらを用いた制御を行うことはできなかったいう問題があることに気がついた。
【0005】
この発明は、塵芥収集車において、作業者に対して、より便宜を図った制御を行うこことのできる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明にかかる塵芥収集車は、塵芥を収集する筐体、前記筐体内に設けられた塵芥を排出する排出板、前記排出板を駆動する排出板駆動部、前記排出板駆動部を制御する制御手段、前記筐体に収集された塵芥の総収集重量を計測する重量計測手段を備え、前記排出板駆動部は、縮み方向への負荷が増減可能であり、前記制御手段は、前記総収集重量に応じて前記縮み方向への負荷を増減するように制御する。したがって、計測した総収集重量に応じて、排出板駆動部の縮み方向への負荷を増減することができる。
【0007】
(2)本発明にかかる塵芥収集車は、塵芥を収集する筐体、前記筐体内に設けられた塵芥を排出する排出板、前記排出板を駆動する排出板駆動部、前記排出板駆動部を制御する制御手段、塵芥の種類ごとに重量と容積との関係を示す重量容積関数を記憶する塵芥別重量容積関数記憶手段、収集する塵芥の種類を記憶する塵芥種別記憶手段を備え、前記排出板駆動部は、縮み方向への負荷が増減可能であり、前記制御手段は、前記塵芥種別記憶手段に記憶された塵芥の種別に対応する重量容積関数を、前記塵芥別重量容積関数記憶手段から読みだして、この塵芥別重量容積関数に応じて前記縮み方向への負荷を増減するように制御する。したがって、塵芥の種類に応じて、排出板駆動部の縮み方向への負荷を増減することができる。
【0008】
(3)本発明にかかる塵芥収集車
塵芥を収集する筐体であって、塵芥が投入される第1収納部および前記塵芥を収納する第2収納部を有する筐体、前記第1収納部の塵芥を前記第2収納部へ積み込む積込装置、前記積込装置を駆動制御する積込装置駆動部、前記第2収納部に収集される塵芥の満載度を決定する満載度決定手段を備え、前記積込装置は、前記第1収納部の塵芥を前記第2収納部へ加圧状態で積込可能であり、前記制御手段は、前記満載度が高くなると、前記積込装置の加圧力を低くするように前記積込装置駆動部を制御する。したがって、
前記積込装置による過度な圧縮を回避でき、筐体の変形を抑止できる
(4)本発明にかかる塵芥収集車は、塵芥を収集する筐体であって、塵芥が投入される第1収納部と、前記塵芥を収納する第2収納部を有する筐体、前記第1収納部の塵芥を前記第2収納部へ積み込む積込装置、前記積込装置を駆動制御する制御手段、前記第2収納部に収集された塵芥の総収集重量を計測する重量計測手段、左右振り分け命令が与えられると、前記第1収納部に投入される塵芥を左右に振り分ける左右振り分け手段を備え、前記重量計測手段は、前記第2収納部における左右方向の重量の偏りを計測可能であり、前記制御手段は、前記重量偏りに応じて前記左右振り分け手段に前記左右振り分け命令を与える。これにより、前記第2収納部に収集した塵芥の積載の偏りを抑制することができる。
【0009】
(5)本発明にかかる塵芥収集車は、塵芥を収集する筐体、排出命令を受けると、前記収集した塵芥を前記筐体外に排出する排出機構、前記筐体の重量を計測する重量計測手段、前記筐体が空状態である場合の重量を初期重量として記憶する空重量記憶手段、前記排出機構から排出完了指示を受け取ると、前記重量計測手段により前記筐体の重量を計測させる制御手段、警告命令を受けると作業者に警告する警告手段、を備え、前記制御手段は、前記計測結果と前記初期重量とを比較して、前記筐体内に塵芥が残存していると判断した場合は、前記警告命令を前記警告手段に与える。したがって、排出完了した後の塵芥の残量把握が容易となる。
【0010】
(6)本発明にかかる塵芥収集車は、塵芥を収集する筐体、排出命令を受けると、前記収集した塵芥を筐体外に排出する排出機構、前記排出機構を制御する制御手段、前記筐体に収集された塵芥の総重量を計測する重量計測手段を備え、前記排出機構は、排出速度の増減が可能であり、前記制御手段は、排出開始時の総重量に応じて前記排出速度を調整するように前記排出機構を制御する。これにより、排出機構にかかる負荷を減らすことができる。
【0011】
(7)本発明にかかる塵芥収集車においては、前記排出機構は、排出板、前記排出板を駆動させる駆動部、および前記排出板の位置を検出する位置検出部で構成されており、前記制御手段は、前記排出板による排出中に、前記重量計測手段による重量計測、または、前記位置検出部に位置検出を行わせ、前記計測した重量または前記検出した位置に基づいて、前記駆動部による前記排出板の排出速度を調整する。したがって、前記排出板にかかる負荷を減らしつつ、排出完了までの総時間を制御できる。
【0012】
(8)本発明にかかる塵芥収集車は、車高調整機能付きの空気バネ式サスペンションを有する塵芥収集車であって、塵芥を収集する筐体、前記筐体を支持する基本骨格、前記基本骨格とタイヤ支持部の間に位置する後輪側空気バネ式サスペンション、車高調整命令を受けると、前記後輪側空気バネ式サスペンションの空気量を調整する空気量制御機構、前記空気量制御機構に車高調整命令を与える制御手段、前記筐体に収集された塵芥の総重量を計測する重量計測手段を備え、前記制御手段は、前記塵芥の総重量に応じて前記後輪側空気バネ式サスペンションの車高を調整する車高調整命令を前記空気量制御機構に与える。したがって、筐体3に大量の塵芥を収集した場合に、筐体の後部が地面または地面上の異物と干渉するのを回避できる
請求項にて用いた用語と、実施形態における対応について説明する。
【0013】
「前記総収集重量に応じて前記縮み方向への負荷を増減する」とは、直線的または曲線的に変化させる場合はもちろん、複数段階で切り替える場合も含む。また、実施形態では、油圧の作動媒体の量を調整することで変動させるようにしたが、油圧以外の、他の作動媒体についても同様に適用可能である。
【0014】
「排出板駆動部」とは、実施形態では、シリンダA4が該当する。「積込装置駆動部」とは実施形態では、シリンダA2、シリンダA3が該当する。
【0015】
「筐体」とは、塵芥収集車における投入箱3および塵芥収容箱1が該当する。「第1収納部」は投入箱3、「第2収納部」は塵芥収納箱1が該当する。
【0016】
「左右方向」とは、塵芥収集車における車体の幅方向である。「重量容積関数」とは、実施形態では、前記塵芥収集車から受け取った過去の実績積載総重量情報と排出板位置情報の関係から決定される単位容積あたりの重量とした。これは排出板位置は、塵芥収集車においては、塵芥の種類ごとの単位容積あたりの質量と相関するからである。しかしながら、これに限定されず、実際の積載量から決まる容積だけでなく、塵芥別に分かっている密度と塵芥車の容積を計算した値であってもよいし、さらに、その都度計算するようにしてもよい。また、重量と容積の関係を示すものであれば、どのようなものでもよく、単位重量当たりの容積であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】塵芥収集車1における各部の制御関係を説明するための概略図である。
【
図4】塵芥収集車1の各部の制御をCPUで実現する場合のハードウェア構成(一部)を示す図である。
【
図7】ユーザ携帯装置160の表示画面および対応テーブルの一例である。
【
図8】塵芥収集車1000の機能ブロック図である。
【
図9】塵芥収集車1100の機能ブロック図である。
【
図10】塵芥収集車1200の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明にかかる塵芥収集車について、図面を参照して説明する。
【0019】
(1.塵芥収集車の概要)
塵芥収集車1の詳細構造について、
図1を用いて、説明する。塵芥収集車1は、ベース車両Vbと、そのベース車両Vbの組立完成後にその車体F上に架装される塵芥収集作業用の架装物Kとから構成されている。ベース車両Vbには車両側制御装置UVが、また架装物Kには架装物側制御装置UKがそれぞれ配備されている。
【0020】
図1に示すように、ベース車両Vbの車体Fには、エンジンE、バッテリB、電動モータM、動力選択取出機構PS、および車両側制御装置UVが搭載されている。
【0021】
エンジンEは車輪Wに駆動力を付与する。電動モータMはバッテリBにインバータ12を介して接続されてバッテリBからの電力で作動する。動力選択取出機構PSは、エンジンE及び電動モータMを含む駆動系としての車輪駆動系DからエンジンE又は電動モータMの動力を選択的に取出可能である。車両側制御装置UVはマイコンを主要部として構成されており、エンジンE、電動モータM、バッテリB及び電磁クラッチ11を制御する。エンジンEを始動操作するためのスタータスイッチS-SWも、車両側制御装置UVに接続されている。
【0022】
なお、車両側制御装置UVと、エンジンE、電動モータM及びバッテリBとの各間は、実際には複数の電力線及び/又は信号線で各々接続されるが、その表示を
図1では簡略的に示している。
【0023】
動力取出装置PTOの出力側は、架装物Kの一部である油圧ポンプPに連動、連結される。また、動力取出装置PTOは、車両側制御装置UVに接続されており、同じく車両側制御装置UVに接続された動力取出スイッチP-SWへの操作入力に応じて、変速機10(
図2参照)の出力を車輪W側と油圧ポンプP側とに選択的に切り換えて伝達する。具体的には、動力取出スイッチP-SWがオフ(OFF)の状態では、変速機10の出力が車輪W側に伝達されて走行駆動に利用される。これに対して、同スイッチP-SWがオン操作された状態では、変速機10の出力が油圧ポンプP側に伝達されてポンプ駆動に利用される。
【0024】
架装物Kは、後端を開放したボックス状の塵芥収容箱1をベース体(架装物本体)としており、この塵芥収容箱1は、ベース車両Vbの車体F上に後付けで搭載、固定される。塵芥収容箱1の後端には塵芥投入箱3が連設されている。塵芥投入箱3は、塵芥を塵芥収容箱1内に投入するための塵芥投入口3aを後端に有する。開閉扉3tは塵芥投入口3aを開閉する。
【0025】
塵芥投入箱3内には、作業機としての積込装置2が設けられる。積込装置2は、投入箱3が積込位置にあるときに、投入箱3内の投入塵芥を塵芥収容箱1内に強制的に積み込む。
【0026】
積込装置2の構造は、圧縮板式と呼ばれる従来周知のものであり昇降体4、第2シリンダA2、圧縮板5、第3シリンダA3とを有する。昇降体4は、塵芥収容箱1の後端開口1aに臨む位置で塵芥投入箱3の左右両側壁に昇降可能に支持されている。第2シリンダA2は、昇降体4と、その昇降体4を強制昇降させる。圧縮板5は、昇降体昇降用の第2シリンダA2と、塵芥投入箱3内でその横幅一杯に延び且つ昇降体4の下部に前後回動可能に軸支されている。第3シリンダA3は圧縮板5を強制回動させる。
【0027】
また、塵芥排出装置7は、第4シリンダA4および排出板6を有している。排出板6は第4シリンダA4により、運転席側またはその逆側にスライド制御される。塵芥投入箱3のテールゲート3aは、第1シリンダA1により、実線で示す閉状態、または2点鎖線で示す開状態に開閉制御される。
【0028】
また、
図1に示す塵芥投入箱3の塵芥投入口3a周辺の外面には、後部操作盤CRが固定、支持されている。後部操作盤CRには、操作スイッチCR-SW1~3、第1動力源選択スイッチM-SW1、および報知ランプL1~L5が設けられる。操作スイッチCR-SW1~3は、積込装置2の作動態様を選択操作する。特に操作スイッチCR-SW3は危険状態の場合に緊急停止を指示するスイッチである。第1動力源選択スイッチM-SW1はオン操作されたときモータ選択信号を出力する。これにより、油圧ポンプPはエンジンEで駆動されるエンジン駆動状態から、電動モータMで駆動されるモータ駆動状態に切り換えられる。
【0029】
ベース車両Vbの運転室内には、操作盤CFを有するキャビン内制御装置UFが設けられている。キャビン内制御装置UFは
図1に示すように、マイコン61、近距離無線通信ユニット63、アンテナ65、および操作盤CFを有する。
【0030】
操作盤CFには、操作スイッチCF-SW1~4、第2動力源選択スイッチM-SW2、および報知ランプL1~L5が設けられる。操作スイッチCF-SW1~3は、操作スイッチCR-SW1~3と同様、積込装置2及び塵芥排出装置7の作動態様を選択操作する。第2動力源選択スイッチM-SW2は、前記第1動力源選択スイッチM-SW2と同様、オン操作されたときモータ選択信号を出力する。操作盤CFには、後部操作盤CRに加えて、テールゲート開閉スイッチ-CF-SW4が設けられている。
【0031】
油圧ポンプPとマルチバルブMVには図示しない圧力センサが設けられている。かかる圧力センサの検出値は架装物側制御装置UKに与えられる。架装物側制御装置UKは前記圧力センサだけでなく、各種のセンサが接続されており、かかるセンサからの検出信号に基づいてエラーがあれば、これを検出し、積算回数と関連づけて関連データを生成し、キャビン内制御装置UFを介して、ユーザ携帯装置160に送信する。詳しくは後述する。
【0032】
また、
図1に示すように、塵芥投入箱3の上部にはカメラ53が設けられている。かかるカメラ53からの画像は、制御ユニットボックスUKB内に設けられた画像処理部51にて画像が解析される。画像処理部51は架装物側制御装置UKと接続されており、前記画像解析により危険状態と判断すると架装物側制御装置UKに緊急停止信号を出力する。すなわち操作スイッチCR-SW3が押された状態と同じとなる。
【0033】
(2.1 第1実施形態)
第1実施形態の機能的模式図について、
図3を用いて説明する。
【0034】
塵芥収集車1は、塵芥を収集する筐体3および筐体3内に設けられた塵芥を排出する排出板561、排出板561を駆動する排出板駆動部521、排出板駆動部521を制御する制御手段513、筐体3に収集された塵芥の総収集重量を計測する重量計測手段510を備えている。また、排出板駆動部521は、縮み方向への負荷が増減可能であり、制御手段513は、重量計測手段510が計測した総収集重量に応じて、排出板駆動部521の縮み方向への負荷を増減するように制御する。
【0035】
図4に、塵芥収集車1の収集作業に関する駆動部分の動きを検出するセンサ類、および駆動系のハードウェア構成模式図を示す。
【0036】
塵芥収集車1は、スライドカバーセンサ161、排出板位置センサ163、テールゲートセンサ165、ロードセル153、コントローラ151、近距離無線通信ユニット167、各種スイッチ162および各種の制御ユニット173~179を有する。
【0037】
スライドカバーセンサ161は、塵芥収集車における塵芥投入箱後面の投入口を覆うスライド式のカバーの開閉状態を検出するセンサである。排出板位置センサ163は、塵芥収容箱2の内部で、車両前後方向に往復動可能な排出板の車両前後方向の位置を検出するセンサである。排出板を車両前方向に移動させることにより、塵芥を積み込むための空間は拡大する。すなわち、塵芥収容箱における塵芥の収容量が漸増する。また、排出板6(
図1参照)が車両後方向に移動すると、塵芥収容箱に収容された塵芥は後方へ排出される。テールゲートセンサ165は、塵芥収集車における塵芥投入箱の開閉状態を検出するセンサである。本実施形態においては、テールゲートセンサ165をテールゲートロック用電磁弁で構成した。ロードセル153は、塵芥収集車における塵芥投入箱の重さを計測する。本実施形態においては、ロードセル153を、筐体3の下部に、前左、前右、後左、後右の4カ所配置するようにした。これにより、後述するように、塵芥収容箱に収集した塵芥の左右バランスを判断することができる。なお、ロードセル153の配置については、これに限定されない。
【0038】
各制御ユニットについて説明する。
【0039】
テールゲート制御ユニット176は、収集した塵芥を排出する際にテールゲートを開閉制御する。振り分け装置制御ユニット175は、後述するように、投入口に投入された塵芥を左右に振り分ける。エアサス制御ユニット179は、コントローラ151からの指令に基づいて、空気の圧縮抵抗を利用した空気バネ装置(図示せず)の空気量を調整することで、塵芥収集車のエアサスペンションの車高調整をおこなう。近距離無線通信ユニット167は、作業者が使用するユーザ携帯装置160(
図6参照)とデータ通信を行う。
【0040】
排出板制御ユニット177は、
図1に示す第4シリンダA4および排出板6が該当し、排出板6を運転席側またはその逆側にスライド制御する。積込装置制御ユニット173は、
図1に示す第3シリンダA3および圧縮板5が該当し、投入箱3内の投入塵芥を塵芥収容箱1内に積み込む。
【0041】
コントローラ151は、各種のセンサからの情報を用いた演算処理を行うとともに、各ユニットの制御を行う。かかる制御は、メインプログラム126mに基づいて、CPU152cが実行する。演算結果は、データ記憶領域152aに記憶される。
【0042】
各種スイッチ162は、
図2に示す操作スイッチCF-SW1~4、および操作スイッチCR-SW1~3である。
【0043】
このように本実施形態においては、ロードセル169が計測した塵芥の総収集重量に応じて、排出板制御ユニット177の縮み方向への負荷が増減調整される。したがって、収集した塵芥の密度を調整することができる。
【0044】
また、前記総収集重量が重ければ排出板制御ユニット177の縮み方向への負荷を弱くし(縮みやすくし)、前記総収集重量が軽ければ排出板制御ユニット177の縮み方向への負荷を強くし(縮みにくくし)調整することにより、十分に塵芥を積載した状態で更に強く圧縮することがなく、ボディ変形を回避できる。また、塵芥が少ない状態で圧縮の負荷が弱いと余裕があるのに積み込めなくなってしまうことを回避できる。また、収集した塵芥の密度を均一化できる。また、前記総収集重量が重くなると、縮み負荷を増やすようにしてもよい。
【0045】
また、総収集重量ではなく、容積的な満載度によって、縮み負荷を増減させてもよい。かかる満載度は、排出板の位置をセンサで検知することにより判断可能である。例えば、排出板の位置が真ん中を過ぎたことを検知すると、縮み負荷を増やし、満載度後半でより強く圧縮するなどである。また、逆に満載度が増えると、縮み負荷を減らすようにしてもよい。
【0046】
(2.1.1 変形実施形態1.1)
また、以下のように構成することもできる。
図3に示す筐体3を、塵芥が投入される第2収納部3aおよび、前記塵芥を収納する第2収納部3bで構成する。積込装置563は第1収納部3aの塵芥を収納部3bへ積み込む。積込装置駆動部523は、積込装置563の積込動作を駆動制御する。積込装置563は、第1収納部3aの塵芥を第2収納部3bへ加圧状態で積込可能であり、制御手段513は、重量検出手段510または排出板位置情報検出手段518からの検出結果に基づいて、第2収納部3bに収集される塵芥の満載度を決定するとともに、前記満載度が高くなると、積込装置563の加圧力を低くするように積込装置駆動部523を制御する。すなわち、重量検出手段510または排出板位置情報検出手段518と、制御手段513とで満載度決定手段が構成される。
【0047】
図4のハードウェア構成模式図は同様である。このように、ロードセル153または、排出板位置センサ163の検出結果から、筐体3に収集される塵芥の満載度を推定するとともに、前記満載度が高くなると、積込装置の加圧力を低くするように積込装置制御ユニット173を制御する。これにより、積込装置による過度な圧縮を回避でき、筐体の変形を抑止できる。
【0048】
なお、ロードセル153の検出結果は重量からわかる満載度であり、この場合、満載時の積載量を記憶しておき、それと検出結果を比較すればよい。また、排出板位置センサ163の検出結果は筐体3の容積からわかる満載度であり、排出板6が筐体の先端(キャビン側)に移動した位置を満載として記憶しておき、これと比較すればよい。
【0049】
(2.1.2 変形実施形態1.2)
また、以下のように構成することもできる。
図3に示す重量計測手段510が、第2収納部3bに収集された塵芥の総収集重量を計測する。左右振り分け手段525は、左右振り分け装置525bとこれを駆動する左右振り分け装置駆動部525aを備え、左右振り分け命令が与えられると、第1収納部3aに投入される塵芥を左右に振り分けるよう構成する。重量計測手段510は、第2収納部3bにおける左右方向の重量の偏りを計測可能であり、制御手段513は、前記重量偏りに応じて左右振り分け手段525に前記左右振り分け命令を与える。
【0050】
このように、
図4に示すロードセル169を前後左右で1つずつ、計4つ設け、それぞれの重量を計測することで、筐体3の左右方向(
図5矢印β方向)の重量偏りを求めることができる。かかる重量偏りが所定値以上、ある場合には、これに基づいて、第1収納部3aに投入される塵芥を左右振り分け装置525bによって、左右に振り分ける。かかる振り分け処理は制御手段513により左右振り分け装置駆動部525aが左右振り分け装置525bを制御することで実行される。
【0051】
これにより塵芥の積載の偏りを抑制するともに、積載効率も向上する。また前記左右方向の重量バランスがとれ、走行安定性が向上する。
【0052】
本実施形態において採用した振り分け装置の一例について、
図5を用いて説明する。投入箱3の開口部603に振り分け箱601を設ける。振り分け箱601は、スライドバー605に筐体3の左右方向(矢印β方向)にスライド自在に取り付けられており、図示しない油圧モータにより矢印β方向にスライド制御される。これにより、塵芥を投入させたい位置に振り分け箱601に移動させ、その位置で、作業者が開口部603に塵芥を投入すれば、左右方向への塵芥の振り分けが可能となる。
【0053】
なお、
図5においては、水平方向に開口するような開口部603としたが、振り分け箱601の上部を開口するようにしてもよい。
【0054】
また、左右振り分け装置の構成については、これに限定されない。たとえば、車のワイパーのように軸中心に扇状に板の向きが変更制御可能な振り分け板をホッパーの入り口部分に設け、これを軸中心に駆動させる機構であってもよい。この場合、たとえば、車体右側が重い場合、板の向きを左に向いている時間を長くすることで、塵芥を車体左側に振り分け処理することができる。
【0055】
また、駆動については、油圧モータに限らず、シリンダまたは電動モータなどで構成してもよい。
【0056】
なお、第1実施形態に変形実施形態1.1および/または1.2と組み合わせることもできる。
【0057】
(2.2 第2実施形態)
第2実施形態の機能的模式図について、
図6を用いて説明する。第1実施形態と同じ構成については、共通の符号を付与している。当該部分については説明は省略する。
【0058】
塵芥収集車2は、塵芥を収集する筐体3、筐体3内に設けられた塵芥を排出する排出板561、排出板561を駆動する排出板駆動部521、排出板駆動部521を制御する制御手段513、塵芥の種類ごとに重量と容積との関係を示す重量容積関数を記憶する塵芥別重量容積関数記憶手段531、収集する塵芥の種類を記憶する塵芥種別記憶手段533、を備え、排出板駆動部521は、縮み方向への負荷が増減可能であり、制御手段513は、塵芥種別記憶手段533に記憶された塵芥の種別に対応する重量容積関数を、塵芥別重量容積関数記憶手段531から読みだして、この塵芥別重量容積関数に応じて排出板駆動部521の縮み方向への負荷を増減するように制御する。
【0059】
排出板駆動部521、制御手段513、塵芥別重量容積関数記憶手段531、塵芥種別記憶手段533を、
図4のハードウェア構成で実現する場合、以下のように構成すればよい。なお同じ部分については説明は省略する。
【0060】
データ記憶領域152aには、作業者により、投入する塵芥の種類、たとえば、プラスチック、アルミ、可燃物などのいずれかが記憶されている。かかるデータは、
図6に示すユーザ携帯装置160から与えられ、
図4に示す近距離無線通信ユニット167を介して、CPU152cがデータ記憶領域152aに記憶したものである。
図6Aに、ユーザ携帯装置160の塵芥収集の際の、入力画面の一例を示す。
図6Aでは、表示領域285には塵芥の種別「可燃」と入力されている。
【0061】
また、データ記憶領域152aには、塵芥の種類ごとに重量と容積との関係を示す重量容積関数が記憶されている。本実施形態においては、重量容積関数として
図7Bに示すような塵芥別の単位容積あたりの重量を記憶するようにした。かかる塵芥別の単位容積あたりの重量は、過去の塵芥別の収集における実績から演算するようにしてもよい。また、公表されているアルミなどは、塵芥の比重を採用してもよい。
【0062】
ここで、排出板制御ユニット177は、油圧式であるので、油の量を調整することで縮み方向への負荷が増減可能である。
【0063】
コントローラ151は、データ記憶領域152aに記憶された塵芥の種別を決定し、これに対応する単位容積あたりの重量を、データ記憶領域152aから読みだして、単位容積あたりの重量の値が所定値以上なら、前記縮み方向への負荷を弱くし、かかる値が所定値未満であれば排出板制御ユニット177の縮み方向への負荷を強くする。本実施形態においては、所定値として、車両最大積載量の80%としたが、これに限定されない。かかる塵芥の種別は、出発時に設定し、排出時まで変更無しとしてもよい。また、積込の際に、毎回設定するようにしてもよい。
【0064】
なお、排出板制御ユニット177は、油圧駆動以外でも同様に適用できる。
【0065】
このように本実施形態においては、単位容積あたりの重量の値に応じて、排出板駆動部521の縮み方向への負荷が増減調整される。したがって、収集した塵芥の密度を調整することができる。
【0066】
また、前記単位容積あたりの重量の値が大きければ排出板駆動部521の縮み方向への負荷を弱くし(縮みやすくし)、前記値が小さければ排出板駆動部521の縮み方向への負荷を強くするように(縮みにくくし)、調整することによって、十分に塵芥を積載した状態で更に強く圧縮することがなく、ボディ変形を回避できる。また、塵芥が少ない状態で圧縮の負荷が弱いと余裕があるのに積み込めなくなってしまうことを回避できる。また、収集した塵芥の密度を均一化できる。
【0067】
本実施形態においては、重量容積関数として、単位容積あたりの重量を採用したが、単位重量あたりの容積でもよく、また、過去の実績として、各塵芥別に、重量排出板の移動量と重量の関係を示す値を求めて、それを採用してもよい。
【0068】
なお、変形実施形態2.1および2.2については、第1実施形態の変形実施形態1.1と同じであるので、説明は省略する。また、第2実施形態と変形実施形態1.1および/または1.2とを組み合わせることもできる。
【0069】
(2.3 第3実施形態)
第3実施形態の機能的模式図について、
図8を用いて説明する。
【0070】
塵芥収集車1000は、塵芥を収集する筐体3、排出命令を受けると、前記収集した塵芥を筐体3外に排出する排出機構551、筐体3の重量を計測する重量計測手段510、筐体3が空状態である場合の重量を初期重量として記憶する空重量記憶手段537、排出機構551から排出完了指示を受け取ると、重量計測手段510により筐体3の重量を計測させる制御手段513、警告命令を受けると作業者に警告する警告手段519を備え、制御手段513は、前記計測結果と空重量記憶手段537の初期重量とを比較して、筐体3内に塵芥が残存していると判断した場合は、警告命令を警告手段519に与える。
【0071】
排出機構551、重量計測手段510、空重量記憶手段537、制御手段513、警告手段519を、
図4のハードウェア構成で実現する場合、以下のように構成すればよい。なお同じ部分については説明は省略する。
【0072】
作業者が、テールゲート開閉スイッチ-CF-SW4(
図2参照)を操作すると、
図4に示すテールゲート制御ユニット176は、テールゲート(
図1参照)を開状態とする。この状態で、排出板制御ユニット177に、作業者より収集した塵芥の排出命令が与えられると、排出板制御ユニット177は、排出板6を
図1矢印α方向に移動させ、収集した塵芥を排出する。本実施形態においては、排出板駆動方式を採用したので、排出板位置センサ163および排出板駆動ユニット177が排出機構となる。この場合、排出板駆動ユニット177は、シリンダーA4および
図4コントローラ151が該当する。なお、前記排出命令は、例えば、後部操作盤CRの排出ボタン(図示せず)から与えられる。
【0073】
排出板位置センサー163は、排出板6が最前位置(
図1における矢印α方向)まで移動すると、これを検出し、コントローラ151に与える。コントローラ151はかかる検出を受けると、排出完了指示があったと判断して、ロードセル169により筐体3の重量を計測させる。コントローラ151のデータ記憶領域152aには、筐体3が空状態である場合の重量が初期重量として記憶されている。コントローラ151は、かかる初期重量と排出完了時の計測結果が一致するか否か判断し、一致しない場合は、警告部168に警告命令を与える。警告部168は、警告命令を受けると作業者にブザー音または操作画面にアラート表示(警告等という)をおこなう。
【0074】
これにより、排出完了したと間違って認識をし、テールゲートを閉状態としてから、塵芥が排出できていないことが判明して、再度、テールゲートを上げて、排出作業をするという煩雑さを防止できる。
【0075】
なお、本実施形態においては、残塵芥がある場合には、警告を行うようにしたが、それにかえて、テールゲートを閉状態にできないようロックするようにしてもよい。また警告とともにかかるロック処理をするようにしてもよい
本実施形態においては、排出板を用いた排出機構である場合について説明したが、ダンプシリンダを用いた排出機構についても同様に適用できる。この場合、ダンプ上げ後、ダンプ下げ完了時に、排出完了指示を行うようにすればよい。
【0076】
本実施形態においては、排出板排出方式である場合について説明したが、ダンプ排出方式の場合も同様である。この場合、排出板制御ユニット177および排出板位置センサ163に変えて、ダンプ制御機構(ダンプ制御ユニットおよびダンプ位置センサ)を設け、筐体3は水平となったタイミングで、ロードセルによる計測を行い、初期重量と比較するようにすればよい。この場合、ダンプ機構が排出機構に該当する。
【0077】
(2.4 第4実施形態)
第4実施形態の機能的模式図について、
図9を用いて説明する。
【0078】
塵芥収集車1100は、塵芥を収集する筐体3、収集した塵芥を筐体3外に排出する排出機構551、排出機構551を制御する制御手段513、筐体3に収集された塵芥の総重量を計測する重量計測手段510を備えている。排出機構551は、排出速度の増減が可能であり、制御手段513は、排出開始命令が与えられると、排出開始時の総重量を計測し、これに応じて排出速度を調整するように排出機構551を制御する。
【0079】
なお、排出機構551を、第3実施形態と同様に、排出板、前記排出板を駆動させる駆動部、および前記排出板の位置を検出する位置検出部で構成し、制御手段513が、前記排出板による排出中に、重量計測手段510による重量計測、または、前記位置検出部による位置検出を行わせ、前記計測した重量または前記検出した位置に基づいて、前記駆動部による前記排出板の排出速度を調整するようにしてもよい。
【0080】
排出機構551、制御手段513、重量計測手段510を、
図4のハードウェア構成で実現する場合、以下のように構成すればよい。なお同じ部分については説明は省略する。
【0081】
作業者が、テールゲート開閉スイッチ-CF-SW4(
図2参照)を操作すると、
図4に示すテールゲート制御ユニット176はテールゲートを開状態とする。この状態で、後部操作盤CRの排出ボタン(図示せず)が操作されると、コントローラ151は、ロードセル169により、排出開始時の筐体3の重量を取得する。コントローラ151は、かかる排出開始時の塵芥の重量と、予め定めた所定値とを比較し、比較結果に応じて、排出板制御ユニット177の排出速度を増減調整する。
【0082】
本実施形態においては、前記計測結果が最大積載量の75%未満である場合を通常速度、75%以上を通常速度の70%とした。しかしながら、かかる所定値については限定されない。
【0083】
また、通常モードと低速モードの2種類としたが、通常モードと低速モードと、高速モードの3種類としてもよい。たとえば、前記計測結果が最大積載量の50%未満を高速、50~75%未満を通常速度、75%以上を低速としてもよい。
【0084】
このように満載度に応じて、排出開始時の速度を変更することにより、排出板にかかる負荷を減らすことができ、また、排出板の変形を抑制できる。また、シリンダでダンプして塵芥を排出する場合、重い状態で急なダンプ動作により車両が後転するのを抑制することができる。
【0085】
また、この実施形態では、開始時の計測重量に応じて、一定で排出するようにしたが、排出する塵芥の重量が変化すると、リニアにまたは曲線状に速度を変化させるように制御してもよい。たとえば、重量と排出速度との対応関数を記憶しておき、動的に重量を計測して、計測した重量に対応する排出速度を決定すればよい。これにより、排出板にかかる負荷を減らしつつ、排出完了までの総時間を短縮することができる。
【0086】
また、この実施形態では、積載重量により満載度を判断するようにしたが、排出板位置センサ163の検出する排出板の位置から満載度を判断するようにしてもよい。また、その際、開始時は重量を計測し、途中で速度を調整する場合に排出板の位置で決定するようにしてもよい。
【0087】
この実施形態では、排出板式塵芥収集車について説明したが、塵芥を収集する筐体3を斜めにダンプさせることで排出するダンプ式塵芥収集車についても同様に適用できる。ダンプ式の場合、満載度が高い状態で高速でダンプさせると車両が後方に転倒するおそれがある。本実施形態ではかかる問題を回避できる。また、狙ったピットに塵芥が落ちないで、飛び散ってしまうという問題も回避できる。なお、ダンプ式の場合には満載度を積載重量で判断すればよい。
【0088】
なお、本実施形態においては、塵芥の種類にかかわらず、満載度だけで排出開始時の速度を決定するようにしたが、第2実施形態のように、収集した塵芥の種類ごとに速度調整を変更してもよい。たとえば、○○ゴミの場合は、満載度が75%未満なら通常、75%以上なら低速、XXゴミの場合は、満載度が90%未満なら通常、90%以上なら低速という対応表を記憶しておき、これを読みだして、速度を決定すればよい。塵芥の種類は、第2実施形態のように、収集時に作業者の携帯端末300から指定するようにすればよい。
【0089】
(2.5 第5実施形態)
第5実施形態の機能的模式図について、
図10を用いて説明する。
【0090】
塵芥収集車1200は、車高調整機能付きの空気バネ式サスペンションを有する塵芥収集車であって、筐体3、基本骨格であるシャーシ613、前輪側空気バネ式サスペンション611および後輪側空気バネ式サスペンション612、空気量制御手段555、制御手段513、重量計測手段510を備えている。筐体3は塵芥を収集する。シャーシ613は筐体3を支持する。前輪側空気バネ式サスペンション611および後輪側空気バネ式サスペンション612はシャーシ613とタイヤ支持部621、622の間に位置している。空気量制御手段555は車高調整命令を受けると、前輪側空気バネ式サスペンション611および/または後輪側空気バネ式サスペンションの空気量612を調整する。制御手段513は空気量制御手段555に車高調整命令を与える。重量計測手段510は筐体3に収集された塵芥の総重量を計測する。また、制御手段513は、前記塵芥の総重量に応じて、後輪側空気バネ式サスペンション612の車高を調整する車高調整命令を空気量調整手段555に与える。
【0091】
これにより、塵芥収集車特有の課題である筐体3に大量の塵芥を収集した場合の、底着きを防止できる。
【0092】
空気量制御手段555、制御手段513、重量計測手段510を、
図4のハードウェア構成で実現する場合、以下のように構成すればよい。なお同じ部分については説明は省略する。
【0093】
コントローラ151は、ロードセル169によって、筐体3に収集された塵芥の総重量を計測する。コントローラ151は、計測した総重量に応じて、後輪側空気バネ式サスペンション612の車高を調整する車高調整命令を、空気量調整手段として機能するエアサス制御ユニット179に車高調整命令を与える。車高調整としては、塵芥の重量に応じた車高を対応表として記憶しておけばよい。
【0094】
本実施形態においては、前後輪とも空気バネ式サスペンションおよび空気量制を可能としたが、後輪側だけであってもよい。
【0095】
(3 その他の実施形態)
上記実施形態においては、機能ブロック図を構成する手段を実現するために、CPUを用い、ソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部もしくは全てを、ロジック回路などのハードウェアによって実現してもよい。なお、プログラムの一部の処理を、オペレーティングシステム(OS)にさせるようにしてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】