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特開2024-131544撮像装置、撮像方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131544
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20240920BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20240920BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240920BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N23/63
H04N23/45
G03B15/00 S
G03B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041877
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕史
【テーマコード(参考)】
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H102AA41
2H102BB06
2H102BB08
5C122DA11
5C122DA16
5C122DA30
5C122EA47
5C122EA55
5C122EA61
5C122EA67
5C122FA11
5C122FA18
5C122FD02
5C122FK23
5C122FK24
5C122FL01
5C122FL03
5C122FL05
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA81
5C122HA86
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】表示画像の種類を切り替えることなく、所望の種類の画像を容易に撮像することができる撮像装置、撮像方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置は、複数種類の画像を撮像する撮像部と、撮像された画像を表示する表示部と、撮像部に対するフォーカス調整を行うフォーカス調整部と、フォーカス調整部によるフォーカス調整の開始を検知するフォーカス調整検知部と、フォーカス調整の開始が検知された場合に、表示部に表示させる画像を、フォーカス調整の対象となる種類の画像に切り替える画像切替部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の画像を撮像する撮像部と、
撮像された前記画像を表示する表示部と、
前記撮像部に対するフォーカス調整を行うフォーカス調整部と、
前記フォーカス調整部による前記フォーカス調整の開始を検知するフォーカス調整検知部と、
前記フォーカス調整の開始が検知された場合に、前記表示部に表示させる画像を、前記フォーカス調整の対象となる種類の画像に切り替える画像切替部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記フォーカス調整検知部は、
前記フォーカス調整の終了を検知し、
前記画像切替部は、
前記フォーカス調整検知部により前記フォーカス調整の終了が検知された場合に、前記表示部に表示させる画像を、切り替え前の種類の画像に切り替える
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記フォーカス調整検知部は、
最後に前記フォーカス調整が行われてから所定時間経過した場合に、前記フォーカス調整の終了を検知する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記フォーカス調整部を有する操作入力部を備え、
前記フォーカス調整検知部は、
前記操作入力部に対する前記フォーカス調整の終了を示す操作により、前記フォーカス調整の終了を検知する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像部は、
赤外画像を撮像する赤外線撮像部を含み、
前記フォーカス調整部は、
赤外線撮像部に対する前記フォーカス調整を行う赤外フォーカス調整部を含む
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記赤外フォーカス調整部に対する操作により、前記赤外線撮像部に対して前記フォーカス調整が行われる場合に、撮像された前記赤外画像の温度分布情報に基づき、前記赤外画像の温度範囲を設定する自動温度設定部をさらに備える
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記フォーカス調整検知部は、
前記フォーカス調整の終了を検知し、
前記自動温度設定部は、
前記フォーカス調整検知部により前記フォーカス調整の終了が検知された場合に、設定した前記温度範囲を設定前の状態に戻す
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記自動温度設定部による前記温度範囲の設定の可否を設定する操作手段をさらに備える
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記フォーカス調整の開始が検知された場合に、前記表示部に表示される画像の種類の切り替えの要否を判定する画像表示判定部をさらに備える
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記画像表示判定部は、
前記フォーカス調整の対象となる種類の画像を撮像する前記撮像部と、前記表示部に表示させる画像の種類とが対応付けられた表示設定リストを参照し、前記表示部に表示されている画像の種類と、前記フォーカス調整の対象となる画像の種類とを比較して、前記表示部に表示させる画像の種類の切り替えの要否を判定する
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記フォーカス調整部は、
フォーカスリング、スイッチまたはタッチパネルであり、
前記フォーカス調整検知部は、
前記フォーカスリングの回転操作、前記スイッチの押下操作、または、前記タッチパネルのタッチ操作により、前記フォーカス調整の開始を検知する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
複数種類の画像を撮像する撮像部に対するフォーカス調整を行い、
前記フォーカス調整の開始を検知し、
前記フォーカス調整の開始が検知された場合に、撮像された前記画像を表示する表示部に表示させる画像を、前記フォーカス調整の対象となる種類の画像に切り替える
撮像方法。
【請求項13】
請求項12に記載の撮像方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数種類の画像を撮像する撮像装置、撮像方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可搬性のガス監視カメラは、可視画像および赤外画像等の複数種類の画像を撮像できるように、可視レンズおよび赤外レンズを備えている。また、ガス監視カメラには、可視画像および赤外画像以外にも、例えば、ガスが見やすくなるように可視画像または赤外画像を加工したガス強調画像、あるいは、赤外画像に対してカラーパレットを用いて視認性を向上させた温度画像等が用意されている。
【0003】
このような複数種類の画像を撮像するガス監視カメラ等の撮像装置では、撮像するシーンに合わせて、ユーザが確認したい画像の種類を装置上で選択または切り替えながら撮像が行われる。また、可搬性のガス監視カメラは、撮像する場所に移動しながら、様々な距離および角度で撮像し、ガスの視認性をより向上させるために、赤外画像を撮像する赤外レンズのフォーカスを調整する必要がある。
【0004】
近年、撮像装置においては、被写体へのフォーカスを自動的に合わせるオートフォーカス(以下、「AF」と適宜称する)機能が実用化されている。例えば、特許文献1には、設定パラメータをより細かく設定することにより、フォーカスのずれを低減する、AF機能に関する技術が開示されている。このように、AF機能を有する撮像装置においては、ユーザは、フォーカス調整を意識することなく、被写体を容易に撮像することができる。
【0005】
しかしながら、撮像装置にAF機能を設けた場合には、コストおよび設計難易度が増大する。また、AF機能を用いて撮像する場合、所望の被写体に対してフォーカスが合うとは限らない。例えば、所定の施設の手前に建造物が存在し、ユーザが建造物の奥の施設にフォーカスを調整したい場合でも、AF機能によって手前の建造物にフォーカスが自動的に調整されることがある。そのため、所望の被写体にフォーカスを合わせた画像を、ユーザが撮像できない場合がある。
【0006】
このような点から、用途によっては、撮像装置には、AF機能が搭載されることなく、手動によってフォーカスを調整する機能のみが搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-167936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、手動で被写体へのフォーカスを調整する場合には、フォーカス調整の結果を装置に表示される画像を見ながら確認する必要がある。例えば、撮像装置がガス監視カメラである場合には、高温施設やガスを確認する必要があることから、ユーザは、赤外レンズに対してフォーカスを調整し、フォーカス調整の結果を赤外画像で確認する。
【0009】
しかしながら、撮像が開始される際に撮像装置に表示される画像の種類は、可視画像であることが一般的である。そのため、ユーザは、赤外レンズに対するフォーカス調整を行っても、表示されている画像が可視画像であるので、適切にフォーカス調整が行われたか否かを判断することができない。したがって、この場合、赤外画像によりフォーカス調整の結果を確認したいユーザは、赤外レンズに対するフォーカスを調整する前に、表示画像を可視画像から赤外画像に切り替える必要がある。
【0010】
このように、従来の撮像装置では、ユーザは、フォーカス調整の結果を確認する際に、表示画像の種類を所望の画像種類に切り替えてから、当該画像種類に対応するレンズのフォーカス調整を行う必要があり、手順が煩雑であるという問題点があった。
【0011】
本開示は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、表示画像の種類を切り替えることなく、所望の種類の画像を容易に撮像することができる撮像装置、撮像方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係る撮像装置は、
複数種類の画像を撮像する撮像部と、
撮像された前記画像を表示する表示部と、
前記撮像部に対するフォーカス調整を行うフォーカス調整部と、
前記フォーカス調整部による前記フォーカス調整の開始を検知するフォーカス調整検知部と、
前記フォーカス調整の開始が検知された場合に、前記表示部に表示させる画像を、前記フォーカス調整の対象となる種類の画像に切り替える画像切替部と
を備える。
【0013】
また、本開示に係る撮像方法は、
複数種類の画像を撮像する撮像部に対するフォーカス調整を行い、
前記フォーカス調整の開始を検知し、
前記フォーカス調整の開始が検知された場合に、撮像された前記画像を表示する表示部に表示させる画像を、前記フォーカス調整の対象となる種類の画像に切り替える。
【0014】
さらに、本開示に係るプログラムは、
上記の撮像方法を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表示画像の種類を切り替えることなく、所望の種類の画像を容易に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施の形態に係る撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、表示設定リストの一例を示す概略図である。
図3図3は、本実施の形態に係る撮像装置による撮像動作時の処理の流れの一例について説明するためのフローチャートである。
図4図4は、第1のフォーカス調整終了検知方法について説明するためのシーケンス図である。
図5図5は、第2のフォーカス調整終了検知方法について説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0018】
[撮像装置100の構成]
図1は、本実施の形態に係る撮像装置100の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態に係る撮像装置100は、例えば、可搬性のガス監視カメラである。撮像装置100は、例えば、ガス生産施設におけるプラント等の監視対象を含む監視領域を撮像し、撮像した画像に対してガス漏れを監視するための画像処理を行ってガス監視用の動画像を生成して表示させるものである。
【0019】
図1に示すように、撮像装置100は、カメラ部1、処理部2、操作入力部3、表示部4、記憶部5および制御部6を含んで構成されている。
【0020】
(カメラ部1)
カメラ部1は、赤外線撮像部11および可視光撮像部12を備えている。カメラ部1は、赤外線撮像部11および可視光撮像部12のそれぞれにおいて、レンズおよびフォーカス機構を含む光学系、絞り機構、撮像素子、レンズ駆動部および絞り駆動部(いずれも図示せず)等を有し、制御部6によって各部の動作が制御される。なお、以下の説明において、赤外線撮像部11および可視光撮像部12を特に区別する必要がない場合には、「撮像部10」と総称することがある。
【0021】
赤外線撮像部11は、図示しない赤外線フィルタおよび撮像素子としての赤外線センサを有し、被写体となる監視領域から入射した赤外線を赤外線センサに結像させて、赤外画像データを生成する。赤外線撮像部11により生成される赤外画像データは、監視領域の温度分布を示している。
【0022】
赤外線フィルタは、所定の波長帯に含まれる赤外線のみを通過させる。赤外線フィルタの通過波長帯は、例えば、被検出ガスの吸収波長帯域に合わせて設定されればよい。赤外線センサは、赤外線フィルタを通過した赤外線を受光して赤外画像データを生成する。
【0023】
赤外線撮像部11は、監視領域を撮像してフレーム毎に赤外画像データを生成し、複数フレームの赤外画像データを、処理部2に対して順次出力する。
【0024】
可視光撮像部12は、赤外線カットフィルタおよび撮像素子としての可視光センサを有し、被写体となる監視領域から入射した可視光線を、可視光センサに結像させて、可視画像データを生成する。
【0025】
赤外線カットフィルタは、赤外線を遮断し、可視光線のみを通過させる。可視光センサは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。可視光センサは、赤外線カットフィルタを通過した可視光をそれぞれ受光して可視画像データを生成する。
【0026】
可視光撮像部12は、監視領域を撮像してフレーム毎に可視画像データを生成し、複数フレームの可視画像データを、処理部2に対して順次出力する。
【0027】
(処理部2)
処理部2は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)等の、複数の専用ハードウェア(電子回路)で構成される。それぞれのハードウェアは、例えば処理部2が有する複数の機能のそれぞれに対応する。また、これに限られず、1つのハードウェアが複数の機能を実現してもよい。
【0028】
処理部2は、画像処理部21、フォーカス調整検知部22、自動温度範囲作成部23、自動温度設定部24、画像表示判定部25および画像切替部26を備えている。処理部2の各機能は、制御部6の制御によって実現される。
【0029】
画像処理部21は、赤外線撮像部11から、監視領域が撮像された複数フレームの赤外画像データを時系列に沿って順次受け取る。また、画像処理部21は、可視光撮像部22から、監視領域が撮像された複数フレームの可視画像データを時系列に沿って順次受け取る。画像処理部21は、フレーム毎に、受け取った赤外画像データおよび可視画像データに対して所定の画像処理を行い、複数種類のガス監視用画像データを生成する。画像処理部21は、生成したガス監視用画像データを画像切替部26に供給する。
【0030】
ここで、複数種類のガス監視用画像データとしては、例えば、以下の4種類が挙げられる。
(1)赤外画像データ
(2)可視画像データ
(3)温度画像データ
(4)ガス強調画像データ
【0031】
赤外画像データは、赤外線撮像部11から取得した、監視領域が撮像された画像データである。可視画像データは、可視光撮像部12から取得した、監視領域が撮像された画像データである。
【0032】
温度画像データは、監視領域が撮像された赤外画像データに基づき、予め用意したカラーパレット(色温度)を用いてRGBで表現した画像データである。温度画像データは、予め設定された温度範囲内の温度毎に異なる色が設定されることにより、画像内の温度が表現される。このような温度画像データを生成する場合、画像処理部21は、自動温度設定部24で設定された温度パラメータに基づき、自動温度範囲作成部23で生成された温度範囲による温度画像データを生成する。
【0033】
ガス強調画像データは、監視領域が撮像された赤外画像データに対して所定の画像処理を行い、画像データに含まれるガスに相当する画素のみを強調した画像データである。すなわち、ガス強調画像データは、監視領域内のガスの分布を示す。
【0034】
なお、ガス監視用画像データは、上述した4種類の画像に限られない。例えば、画像処理部21は、ガス強調画像データと可視画像データとを重畳させる等、複数種類の画像データを重ねた画像データを生成してもよい。
【0035】
フォーカス調整検知部22は、後述する操作入力部3のフォーカス調整部30から供給される操作信号に基づき、カメラ部1の撮像部10に対してフォーカス調整が行われたことを検知する。このときの操作信号は、赤外線撮像部11または可視光撮像部12に対するフォーカス調整が行われたことを示す操作信号である。
【0036】
特に、本実施の形態においては、カメラ部1による監視領域の撮像が開始されてから最初にフォーカス調整部30から操作信号を受け取った場合、フォーカス調整検知部22は、撮像部10に対するフォーカス調整が開始されたことを検知する。フォーカス調整の開始を検知した場合、フォーカス調整検知部22は、調整開始検知信号を、自動温度範囲作成部23および画像表示判定部25に供給する。
【0037】
調整開始検知信号は、撮像部10に対するフォーカス調整の開始を示す信号である。調整開始検知信号には、フォーカス調整の対象となる撮像部10を示す情報が含まれている。例えば、フォーカス調整検知部22が赤外フォーカス調整部31から操作信号を受け取った場合、調整開始検知信号には、赤外線撮像部11がフォーカス調整の対象であることを示す情報が含まれる。また、フォーカス調整検知部22が可視フォーカス調整部32から操作信号を受け取った場合、調整開始検知信号には、可視光撮像部12がフォーカス調整の対象であることを示す情報が含まれる。
【0038】
また、フォーカス調整検知部22は、撮像部10に対するフォーカス調整が終了した場合に、フォーカス調整が終了したことを検知する。フォーカス調整の終了を検知した場合、フォーカス調整検知部22は、調整終了検知信号を、自動温度範囲作成部23を介して自動温度設定部24に供給するとともに、画像表示判定部25に供給する。調整終了検知信号は、撮像部10に対するフォーカス調整の終了を示す信号である。なお、フォーカス調整検知部22によるフォーカス調整の終了の検知方法の詳細については、後述する。
【0039】
自動温度範囲作成部23は、赤外線撮像部11から赤外画像データを受け取るとともに、フォーカス調整検知部22から調整開始検知信号または調整終了検知信号を受け取る。
【0040】
調整開始検知信号を受け取った場合、自動温度範囲作成部23は、調整開始検知信号を受け取ったことを契機に、赤外画像データに含まれる温度情報に基づいて、当該赤外画像データの温度範囲を生成する。具体的には、例えば、自動温度範囲作成部23は、赤外画像データ内の最低温度および最高温度を抽出し、最低温度よりも低く、かつ、最高温度よりも高い温度範囲を生成する。そして、自動温度範囲作成部23は、生成した赤外画像データの温度範囲を示す温度情報を生成し、自動温度設定部24に供給する。
【0041】
調整終了検知信号を受け取った場合、自動温度範囲作成部23は、受け取った調整終了検知信号を自動温度設定部24に供給する。
【0042】
自動温度設定部24は、自動温度範囲作成部23から温度情報または調整終了検知信号を受け取り、赤外画像データの温度範囲を設定する。また、自動温度設定部24は、受け取った温度情報に基づき、温度範囲を示す温度パラメータを設定するとともに、画像処理部21に供給する。調整終了検知信号を受け取った場合、自動温度設定部24は、設定されている温度パラメータを、元の温度パラメータに戻す。なお、「元の温度パラメータ」とは、設定変更される前の温度パラメータである。
【0043】
画像表示判定部25は、フォーカス調整が開始されたことを契機として、表示部4に表示される画像種類の切り替えの要否を判定する。この場合、画像表示判定部25は、フォーカス調整検知部22から調整開始検知信号を受け取り、受け取った調整開始検知信号に基づき、記憶部5に記憶された表示設定リストを参照して、画像種類の切り替えの要否を判定する。
【0044】
図2は、表示設定リストの一例を示す概略図である。図2に示すように、表示設定リストは、フォーカス調整の対象となる撮像部10と、表示部4に表示させる画像の種類とが対応付けられている。
【0045】
この例では、フォーカス調整の対象となる撮像部10としての赤外線撮像部11に、画像種類として赤外画像が対応付けられている。また、フォーカス調整の対象となる撮像部10としての可視光撮像部12に、画像種類として可視画像が対応付けられている。
【0046】
画像表示判定部25は、表示設定リストを参照し、表示部4に現在表示されている画像の種類と、フォーカス調整対象の撮像部10に対応する画像種類とを比較し、両画像の種類が一致するか否かにより、画像種類の切り替えの要否を判定する。判定の結果、画像種類の切替が必要である場合、画像表示判定部25は、表示部4に表示される画像の種類を切り替えるための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。
【0047】
また、画像表示判定部25は、フォーカス調整が終了したことを契機として、表示部4に表示される画像の種類を元に戻す。すなわち、画像表示判定部25は、フォーカス調整の終了により、表示画像を切り替える前の種類の画像に戻す。この場合、画像表示判定部25は、フォーカス調整検知部22から調整終了検知信号を受け取り、受け取った調整終了検知信号に基づき、表示部4に表示される画像の種類を元に戻すための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。
【0048】
画像切替部26は、表示部4に表示される画像の種類を制御する。画像切替部26は、画像表示判定部25から受け取った画像切替指示に基づき、表示部4に表示される画像の種類を切り替えるための表示制御信号を、表示部4に対して供給する。
【0049】
(操作入力部3)
操作入力部3は、ユーザが撮像装置100を操作する際に用いられる操作手段である。操作入力部3は、例えば、各種の操作子が筐体等に設けられている。具体的には、例えば、操作入力部3には、電源のONおよびOFFを切り替える電源キー、画像を撮像する際に用いられるレリーズボタン、ならびに、撮影条件の設定を切り替えるための撮影モード切り換えキー等の各種の操作手段が設けられている。操作入力部3は、それぞれの操作子に対するユーザの操作に応じた操作信号を出力する。
【0050】
また、本実施の形態において、操作入力部3は、赤外フォーカス調整部31および可視フォーカス調整部32を備えている。なお、以下の説明において、赤外フォーカス調整部31および可視フォーカス調整部32を特に区別する必要がない場合には、「フォーカス調整部30」と総称することがある。
【0051】
赤外フォーカス調整部31は、赤外線撮像部11におけるレンズのフォーカスを調整するための操作手段である。赤外フォーカス調整部31は、ユーザによってフォーカス調整の操作が行われた場合に、操作内容に応じた操作信号をフォーカス調整検知部22に対して供給する。
【0052】
可視フォーカス調整部32は、可視光撮像部12におけるレンズのフォーカスを調整するための操作手段である。可視フォーカス調整部32は、ユーザによってフォーカス調整の操作が行われた場合に、操作内容に応じた操作信号をフォーカス調整検知部22に対して供給する。
【0053】
赤外フォーカス調整部31および可視フォーカス調整部32は、例えば、フォーカスリング、フォーカス調整スイッチ、あるいは、タッチパネルであり、それぞれのフォーカス調整部30に対応して配置されている。
【0054】
フォーカスリングは、例えば、リング状の操作手段である。フォーカス調整部30がフォーカスリングである場合には、ユーザによってフォーカス調整部30に対する回転操作が行われることにより、フォーカスが調整される。
【0055】
フォーカス調整部30がフォーカス調整スイッチである場合には、例えば、ユーザによってフォーカス調整部30に対する押下操作が行われることにより、フォーカスが調整される。フォーカス調整部30がタッチパネルである場合には、例えば、ユーザによってフォーカス調整部30に対するタッチ操作が行われることにより、フォーカスが調整される。
【0056】
なお、フォーカス調整部30がタッチパネルである場合において、フォーカス調整の準備段階としてのタッチ操作が行われた場合にも、フォーカス調整検知部22においてフォーカス調整の開始が検知されてもよい。具体的には、例えば、カメラ部1による撮像が開始された後、フォーカスの調整を行うフォーカス調整モードに切り替える等のタッチ操作も、フォーカス調整の開始が検知される。
【0057】
フォーカス調整部30は、この例に限られず、例えば、それぞれのフォーカス調整部30に共通して設けられてもよい。ただし、この場合、操作入力部3には、赤外線撮像部11および可視光撮像部12のいずれに対してフォーカス調整が行われるのかを設定するための操作手段等が配置されると好ましい。
【0058】
(表示部4)
表示部4は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイで構成されている。表示部4は、例えば、タッチパネル付きのフラットパネルディスプレイであって、操作入力部3を兼ねていてもよい。
【0059】
表示部4は、処理部21の画像切替部26から受け取った表示制御信号に基づき、所定の画像を表示する。具体的には、表示部4には、ユーザが視認により監視領域におけるガスを監視するための監視画面等が表示される。
【0060】
(記憶部5)
記憶部5は、撮像装置100で用いられる各種の情報を記憶する。例えば、記憶部5は、画像表示判定部25で表示部4に対する表示画像の切り替えの要否判定を行う際に用いられる表示設定リストを予め記憶している。
【0061】
記憶部5は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂フラッシュメモリ)、HDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。記憶部5は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、またはMO(Magneto-Optical disk)等の光磁気ディスクを駆動して情報を読み書きするディスクドライブであってもよい。また、例えば、記憶部5は、USB(Universal Serial Bus)メモリ、またはSD(Secure Digital)カード等のメモリカードであってもよい。
【0062】
(制御部6)
制御部6は、演算装置としてのCPU61(Central Processing Unit)、RAM62(Random Access Memory)、および主記憶装置としてのROM63(Read Only Memory)等を有し、撮像装置100の各機能ブロックの動作を制御する。ROM63には、基本プログラムおよび基本的な設定データ等が記憶される。CPU61は、ROM63または記憶部5から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM62に展開し、展開したプログラムを実行することにより、撮像装置100の各機能ブロックの動作を集中制御する。
【0063】
本実施の形態では、機能ブロックを構成する各ハードウェアと制御部6とが協働することにより、各機能ブロックの機能が実現される。なお、撮像装置100の各機能ブロックの少なくとも一部または全部は、制御部6がプログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現されてもよい。
【0064】
[撮像装置100による撮像動作]
撮像装置100による撮像動作について説明する。通常、複数種類の画像を撮像する撮像装置による撮像が開始された場合、表示部には、複数種類の画像のうちの予め設定された種類の画像が表示される。例えば、可視画像データおよび赤外画像データを撮像できる撮像装置では、撮像が開始された場合に可視画像が表示されることが一般的である。
【0065】
一方、撮像装置がガス監視を行うガス監視カメラである場合には、ガス漏れを検知する必要があることから、可視画像よりも赤外画像を確認したいという要望がある。そのため、フォーカス調整は、主に赤外線撮像部に対して行われることが多い。
【0066】
しかしながら、予め設定された画像種類が可視画像である場合において、撮像装置による撮像が開始されたときの表示部には、可視画像が表示されている。したがって、ユーザは、赤外線撮像部に対するフォーカス調整を行っても、赤外線撮像部に対するフォーカス調整の結果を赤外画像から確認することができず、適切にフォーカスを調整できたか否かを判断することができない。そのため、従来から、赤外線撮像部に対するフォーカス調整を行う場合には、ユーザは、フォーカス調整を開始する前に、表示部に表示される画像の種類を可視画像から赤外画像に切り替える必要があり、フォーカス調整を開始する際の手順が煩雑であった。
【0067】
そこで、本実施の形態に係る撮像装置100は、ユーザによるフォーカス調整が開始された際に、表示部4に表示される画像の種類を、フォーカス調整の対象となる撮像部10に対応する画像の種類に自動的に切り替える。
【0068】
また、赤外画像データは、上述したように、監視領域等の撮像領域の温度分布を示している。そして、撮像装置100には、通常、低温側から高温側まで温度分布が広範囲である赤外画像を適切に表示できるように、-10℃~+70℃等の所定の温度範囲が予め設定されている。
【0069】
一方で、例えば、撮像装置がガス監視カメラである場合、撮像装置は、高温施設を被写体として撮像することがある。この場合には、被写体である高温施設の温度分布が高温側に偏ることが考えられる。そのため、撮像装置に予め設定されている温度範囲では、高温施設の温度分布を適切に表示させることが困難である。
【0070】
そこで、本実施の形態に係る撮像装置100は、撮像により得られる赤外画像データの温度分布に応じて、表示部4に表示される赤外画像の温度範囲を設定する。
【0071】
(撮像動作時の処理)
図3は、本実施の形態に係る撮像装置100による撮像動作時の処理の流れの一例について説明するためのフローチャートである。
【0072】
まず、ユーザから撮像開始を示す操作が操作入力部3を介して入力されると、ステップS1において、カメラ部1による監視領域の撮像が開始される。
【0073】
ステップS2において、処理部2のフォーカス調整検知部22は、カメラ部1のフォーカス調整部30から供給される操作信号に基づき、フォーカス調整の開始が検知されたか否かを判定する。フォーカス調整検知部22でフォーカス調整の開始が検知された場合(ステップS2:YES)には、処理がステップS3に移行する。また、フォーカス調整検知部22でフォーカス調整の開始が検知されない場合(ステップS2:NO)には、処理がステップS2に戻り、フォーカス調整の開始が検知されるまで、ステップS2の処理が繰り返される。
【0074】
ステップS3において、フォーカス調整検知部22は、自動温度範囲作成部23に対して、フォーカス調整の開始を示す調整開始検知信号を供給する。自動温度範囲作成部23は、赤外線撮像部11から赤外画像データを受け取るとともに、フォーカス調整検知部22から調整開始検知信号を受け取る。そして、自動温度範囲作成部23は、調整開始検知信号を受け取ったことを契機に、赤外画像データに含まれる温度情報に基づいて温度範囲を生成し、当該温度範囲を示す温度情報を生成する。自動温度範囲作成部23は、生成した温度情報を自動温度設定部24に供給する。
【0075】
ステップS4において、自動温度設定部24は、自動温度範囲作成部23から受け取った温度情報に基づき、温度パラメータを設定する。これにより、画像処理部21は、画像処理を行う際に、設定された温度範囲に応じた赤外画像データを生成する。
【0076】
ステップS5において、画像表示判定部25は、フォーカス調整検知部22から調整開始検知信号を受け取る。そして、画像表示判定部25は、記憶部5に記憶された表示設定リストを参照し、調整開始検知信号に含まれる情報に基づき、表示部4に表示される画像の種類の切り替えが必要であるか否かを判定する。この場合、画像表示判定部25は、表示部4に表示された画像の種類が、表示設定リストを参照して得られるフォーカス調整対象の撮像部10に対応する画像種類と一致するか否かにより、画像種類の切り替えの要否を判定する。
【0077】
画像表示判定部25で画像種類の切り替えが必要であると判定された場合(ステップS5:YES)には、処理がステップS6に移行する。また、画像表示判定部25で画像種類の切り替えが不要であると判定された場合(ステップS5:NO)には、処理がステップS7に移行する。
【0078】
ステップS6において、画像表示判定部25は、表示部4に表示される画像の種類を切り替えるための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。画像切替部26は、画像表示判定部25からの画像切替指示に基づき、表示部4に対して表示画像を切り替える表示制御信号を供給する。これにより、表示部4に表示される画像が、所望の種類の画像に切り替えられる。
【0079】
次に、ステップS7において、フォーカス調整検知部22は、所定の方法によりフォーカス調整の終了が検知されたか否かを判定する。フォーカス調整検知部22でフォーカス調整の終了が検知された場合(ステップS7:YES)には、処理がステップS8に移行する。また、フォーカス調整検知部22でフォーカス調整の終了が検知されない場合(ステップS7:NO)には、処理がステップS7に戻り、フォーカス調整の終了が検知されるまで、ステップS8の処理が繰り返される。
【0080】
ステップS8において、フォーカス調整検知部22は、フォーカス調整の終了を示す調整終了検知信号を、自動温度範囲作成部23を介して自動温度設定部24に供給する。自動温度設定部24は、フォーカス調整検知部22からの調整終了検知信号に基づき、温度パラメータを元の状態に戻す。
【0081】
また、ステップS9において、フォーカス調整検知部22は、フォーカス調整の終了を示す調整終了検知信号を、画像表示判定部25に供給する。画像表示判定部25は、フォーカス調整検知部22からの調整終了検知信号に基づき、表示部4に表示される画像の種類を元に戻すための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。画像切替部26は、画像表示判定部25から受け取った画像切替指示に基づき、表示部4に対して表示画像の種類を元に戻す表示制御信号を供給する。これにより、表示部4には、切り替えられる前の種類の画像が表示される。
【0082】
なお、表示部4に表示される画像が元の種類の画像に戻された後も、ユーザによってフォーカス調整部30が操作された場合には、フォーカス調整の開始が検知され、上述したステップS2からステップS9までの処理が繰り返される。
【0083】
ここで、図3に示す処理による表示画像の切り替えについて、具体例を挙げて説明する。ここでは、表示部4に可視画像データが表示された状態で、赤外線撮像部11に対するフォーカスが調整される場合について考える。
【0084】
カメラ部1による監視領域の撮像が開始され(ステップS1)、赤外フォーカス調整部31に対するユーザの操作により、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整が行われる。この場合、赤外フォーカス調整部31は、フォーカス調整に対応する操作信号を供給する。
【0085】
フォーカス調整検知部22は、赤外フォーカス調整部31から操作信号を受け取り、受け取った操作信号に基づき、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整が開始されたことを検知する(ステップS2:YES)。そして、フォーカス調整検知部22は、自動温度範囲作成部23および画像表示判定部25に対して、フォーカス調整の開始を示す調整開始検知信号を供給する。
【0086】
ここで、フォーカス調整検知部22は、赤外フォーカス調整部31から操作信号を受け取っている。そのため、自動温度範囲作成部23および画像表示判定部25に供給する調整開始検知信号には、赤外線撮像部11がフォーカス調整の対象であることを示す情報が含まれている。
【0087】
自動温度範囲作成部23は、フォーカス調整検知部22から調整開始検知信号を受け取るとともに、赤外線撮像部11から赤外画像データを受け取る。そして、自動温度範囲作成部23は、調整開始検知信号を受け取ったことを契機に、赤外画像データに含まれる温度情報に基づいて温度範囲を生成し、当該温度範囲を示す温度情報を生成する(ステップS3)。また、自動温度設定部24は、自動温度範囲作成部23から温度情報または調整終了検知信号を受け取り、赤外画像データの温度範囲を設定する(ステップS4)。
【0088】
一方、画像表示判定部25は、フォーカス調整検知部22から調整開始検知信号を受け取り、受け取った調整開始検知信号に含まれる情報に基づき、表示部4に表示される画像の種類を切り替える必要があるか否かを判定する。この場合、画像表示判定部25は、記憶部5に記憶された表示設定リスト(図2参照)を参照し、現在の表示部4に表示された可視画像を赤外画像に切り替える必要があると判定する(ステップS5:YES)。そのため、画像表示判定部25は、表示部4に表示される画像の種類を赤外画像に切り替えるための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。
【0089】
画像切替部26は、画像切替指示を画像表示判定部25から受け取る。そして、画像切替部26は、受け取った画像切替指示に基づき、表示部4に表示される画像の種類を赤外画像に切り替えるための表示制御信号を、表示部4に対して供給する。表示部4は、画像切替部26から表示制御信号を受け取り、受け取った表示制御信号に基づき、表示画像を可視画像から赤外画像に切り替える(ステップS6)。
【0090】
次に、赤外フォーカス調整部31に対するユーザの操作が終了すると、フォーカス調整検知部22は、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整の終了を検知する(ステップS7:YES)。この場合、フォーカス調整検知部22は、フォーカス調整の終了を示す調整終了検知信号を、自動温度範囲作成部23を介して自動温度設定部24に供給するとともに、画像表示判定部25に供給する。
【0091】
自動温度範囲作成部23は、フォーカス調整検知部22から調整終了検知信号を受け取ると、受け取った調整終了検知信号を自動温度設定部24に供給する。自動温度設定部24は、フォーカス調整検知部22から調整終了検知信号を受け取り、受け取った調整終了検知信号に基づき、温度パラメータを元の状態に戻す(ステップS8)。
【0092】
また、画像表示判定部25は、フォーカス調整検知部22から調整終了検知信号を受け取り、受け取った調整終了検知信号に基づき、表示部4に表示される画像の種類を元に戻すための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。
【0093】
画像切替部26は、画像切替指示を画像表示判定部25から受け取る。そして、画像切替部26は、受け取った画像切替指示に基づき、表示部4に表示される画像の種類を可視画像に戻すための表示制御信号を、表示部4に対して供給する。表示部4は、画像切替部26から表示制御信号を受け取り、受け取った表示制御信号に基づき、表示画像を赤外画像から可視画像に戻す(ステップS9)。
【0094】
このようにして、本実施の形態1に係る撮像装置100は、所定の撮像部10に対するフォーカス調整が開始されると、表示部4に表示される画像の種類を、フォーカス調整対象の撮像部10に対応する種類の画像に自動的に切り替える。これにより、ユーザは、表示部4に表示する画像の種類をフォーカス調整前に変更する必要がないため、表示画像の種類を切り替えることなく、所望の種類の画像を容易に撮像することができる。
【0095】
また、所定の撮像部10に対するフォーカス調整が終了すると、撮像装置100は、表示部4に表示される画像の種類を、元の種類の画像に自動的に切り替える。これにより、撮像装置100に対する次の操作に迅速に移行することができる。例えば、フォーカス調整の際には赤外画像を確認したいが、次の作業では可視画像を確認したい場合には、フォーカス調整が終了した後に表示画像が元の種類の画像である可視画像に切り替えられることにより、ユーザによる煩雑な操作が不要となる。
【0096】
(フォーカス調整の終了検知)
次に、フォーカス調整が終了した場合の検知方法について説明する。所定の撮像部10に対するフォーカス調整が終了した際の、フォーカス調整検知部22による終了の検知方法として、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
(1)最後のフォーカス調整操作からの経過時間
(2)ユーザによるフォーカス調整終了操作
【0097】
(第1のフォーカス調整終了検知方法)
第1のフォーカス調整終了検知方法は、最後にフォーカス調整が行われてからの経過時間により、フォーカス調整が終了したことを検知する方法である。フォーカス調整は、ユーザによる操作入力部3のフォーカス調整部30に対する操作によって行われる。このとき、ユーザによるフォーカス調整が最後に行われてから所定時間が経過した場合には、フォーカス調整が終了したと考えることができる。
【0098】
そこで、第1のフォーカス調整終了検知方法では、フォーカス調整が開始されてからの経過時間に対する閾値を記憶部5に予め記憶しておき、最後にフォーカス調整の操作が行われてからの経過時間が閾値を超えた場合に、フォーカス調整の終了が検知される。すなわち、第1のフォーカス調整終了検知方法では、フォーカス調整が最後に検知されてから、閾値が示す所定時間が経過した時点で、フォーカス調整の終了が検知される。
【0099】
図4は、第1のフォーカス調整終了検知方法について説明するためのシーケンス図である。以下では、表示部4に可視画像データが表示された状態で、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整が行われる場合を例にとって説明する。
【0100】
まず、ステップS11において、表示部4には可視画像が表示されている。ステップS12において、ユーザによって赤外フォーカス調整部31が操作されると、赤外フォーカス調整部31は、ステップS13において、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整を開始する。そして、ステップS14において、赤外フォーカス調整部31は、フォーカス調整検知部22に対して、フォーカス調整を行うことを示す操作信号を供給する。
【0101】
ステップS15において、フォーカス調整検知部22は、赤外フォーカス調整部31から受け取った操作信号に基づき、フォーカス調整が行われたことを検知する。ここで、撮像装置100による監視領域の撮像が開始されてから最初にフォーカス調整が行われたことを検知した場合、フォーカス調整検知部22は、フォーカス調整が開始されたことを検知する。そして、ステップS16において、フォーカス調整検知部22は、画像表示判定部25に対して調整開始検知信号を供給する。
【0102】
ステップS17において、画像表示判定部25は、表示設定リスト(図2参照)を参照し、フォーカス調整検知部22から受け取った調整開始検知信号に含まれる情報に基づき、表示部4に表示される可視画像を赤外画像に切り替える必要があると判定する。そして、ステップS18において、画像表示判定部25は、表示部4に表示される画像を赤外画像に切り替えるための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。
【0103】
ステップS19において、画像切替部26は、画像表示判定部25から受け取った画像切替指示に基づき、表示部4に対して表示画像を赤外画像に切り替えるための表示制御信号を供給する。ステップS20において、表示部4は、受け取った表示制御信号に基づき、表示画像を可視画像から赤外画像に切り替える。
【0104】
以下、図示しないが、ユーザにより赤外フォーカス調整部31に対する操作が行われる度に、赤外フォーカス調整部31は、フォーカス調整が行われたこと示す操作信号をフォーカス調整検知部22に対して供給する。これにより、フォーカス調整検知部22は、フォーカス調整が行われたことを検知する。
【0105】
ここで、第1のフォーカス調整終了検知方法によってフォーカス調整の終了を検知する場合、フォーカス調整検知部22は、時間を計測するためのタイマーを有している。ステップS15でフォーカス調整の開始が検知されると、フォーカス調整検知部22は、ステップS21において、タイマーによるカウントを開始する。
【0106】
このとき、フォーカス調整検知部22は、赤外フォーカス調整部31から操作信号を受け取る度に、タイマーのカウントをリセットしてカウントを再開する。すなわち、フォーカス調整検知部22のタイマーは、赤外フォーカス調整部31に対する最後の操作からの経過時間をカウントするものとなる。
【0107】
フォーカス調整検知部22のタイマーによるカウントが、記憶部5に記憶された閾値を超えると、ステップS22において、フォーカス調整検知部22は、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整の終了を検知する。そして、ステップS23において、フォーカス調整検知部22は、画像表示判定部25に対して調整終了検知信号を供給する。
【0108】
ステップS24において、画像表示判定部25は、フォーカス調整検知部22から受け取った調整終了検知信号に基づき、表示部4に表示されている赤外画像を可視画像に切り替えるための画像切替指示を画像切替部26に対して通知する。
【0109】
ステップS25において、画像切替部26は、画像表示判定部25から受け取った画像切替指示に基づき、表示部4に表示される画像の種類を可視画像に戻すための表示制御信号を、表示部4に対して供給する。ステップS26において、表示部4は、画像切替部26から受け取ったに基づき、表示画像を赤外画像から可視画像に戻す。
【0110】
(第2のフォーカス調整終了検知方法)
第2のフォーカス調整終了検知方法は、ユーザによってフォーカス調整の終了を示す操作が行われることにより、フォーカス調整が終了したことを検知する方法である。この場合、例えば、フォーカス調整が終了した際にユーザによって操作される調整終了キー等の操作手段が、操作入力部3に予め設けられる。そして、フォーカス調整が終了した時点で、ユーザにより、操作入力部3の調整終了キーが操作される。すなわち、第2のフォーカス調整終了検知方法では、ユーザによって操作入力部3の調整終了キーが操作されることにより、フォーカス調整の終了が検知される。
【0111】
図5は、第2のフォーカス調整終了検知方法について説明するためのシーケンス図である。以下では、第1のフォーカス調整終了検知方法と同様に、表示部4に可視画像データが表示された状態で、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整が行われる場合を例にとって説明する。
【0112】
表示部4に可視画像が表示されている状態から、表示画像を赤外画像に切り替えるまでの処理(ステップS11~ステップS20)については、図4に示す第1のフォーカス調整終了検知方法と同様であるため、説明を省略する。
【0113】
表示部4に赤外画像が表示されている状態で、ステップS31において、ユーザによって操作入力部3の調整終了キーが操作されると、赤外フォーカス調整部31は、ステップS32において、赤外線撮像部11に対するフォーカス調整を終了する。そして、ステップS33において、赤外フォーカス調整部31は、フォーカス調整検知部22に対して、フォーカス調整を終了することを示す操作信号を供給する。
【0114】
ステップS22において、フォーカス調整検知部22は、赤外フォーカス調整部31から受け取った操作信号に基づき、フォーカス調整の終了を検知する。そして、ステップS23において、フォーカス調整検知部22は、画像表示判定部25に対して調整終了検知信号を供給する。
【0115】
以下、ステップS24からステップS26までの処理については、第1のフォーカス調整終了検知方法と同様であり、フォーカス調整の終了が検知されることにより、表示部4の表示画像が赤外画像から可視画像に戻される。
【0116】
以上のように、本実施の形態に係る撮像装置100は、撮像部10に対するフォーカス調整の開始が検知された場合に、撮像された画像を表示する表示部4に表示させる画像を、フォーカス調整の対象となる種類の画像に切り替える。これにより、ユーザは、表示部4に表示する画像の種類をフォーカス調整前に変更する必要がない。そのため、表示画像の種類を切り替えることなく、所望の種類の画像を容易に撮像することができる。
【0117】
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、フォーカス調整の開始が検知された場合に、自動温度範囲作成部23が表示する赤外画像に対応する温度範囲を生成して変更するように説明したが、これに限られない。例えば、フォーカス調整の開始が検知された場合の温度範囲の変更は、ユーザにより設定されてもよい。この場合、温度範囲の変更の可否を設定する操作手段が操作入力部3に予め設けられ、ユーザにより、フォーカス調整が行われる前に、当該操作手段が操作されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 カメラ部
2 処理部
3 操作入力部
4 表示部
5 記憶部
6 制御部
10 撮像部
11 赤外線撮像部
12 可視光撮像部
21 画像処理部
22 フォーカス調整検知部
23 自動温度範囲作成部
24 自動温度設定部
25 画像表示判定部
26 画像切替部
30 フォーカス調整部
31 赤外フォーカス調整部
32 可視フォーカス調整部
100 撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5