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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131555
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】商品販売システム及び商品販売方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240920BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20240920BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q30/06
G07G1/12 321L
G07G1/12 321H
G07G1/00 311Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041892
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 希昭
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 治
(72)【発明者】
【氏名】藤野 徹
【テーマコード(参考)】
3E142
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3E142DA08
3E142FA03
3E142FA04
3E142FA08
3E142GA24
3E142GA35
3E142GA41
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】購入資格を要する特定商品の購入者にとっての無人店舗の利便性を高める。
【解決手段】販売時に購入資格の確認を要する特定商品を販売する商品販売システムを、入店した客を検出する客検出センサと、客が商品棚から取り出した商品を検出する商品検出センサと、客が購入する特定商品の選択を受け付ける選択装置と、客検出センサ及び商品検出センサを利用して検出した商品、及び選択装置で選択された商品を、客との取引対象に加える管理装置と、管理装置が取引対象に加えた商品を対象に、客との取引金額の精算処理を実行する精算装置とを備え、管理装置は、客との取引対象に特定商品が含まれるときは、確認処理を実行して客が特定商品の購入資格を有することを確認して、特定商品を客に引き渡すための処理を実行するように構成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売時に購入資格の確認を要する特定商品を販売する商品販売システムであって、
入店した客を検出する客検出センサと、
前記客が商品棚から取り出した商品を検出する商品検出センサと、
客が購入する特定商品の選択を受け付ける選択装置と、
前記客検出センサ及び前記商品検出センサを利用して検出した商品、及び前記選択装置で選択された商品を、前記客との取引対象に加える管理装置と、
前記管理装置が取引対象に加えた商品を対象に、客との取引金額の精算処理を実行する精算装置と
を備え、
前記管理装置は、前記客との取引対象に特定商品が含まれるときは、確認処理を実行して前記客が前記特定商品の購入資格を有することを確認して、前記特定商品を前記客に引き渡すための処理を実行する
商品販売システム。
【請求項2】
前記特定商品を排出する排出装置
をさらに備え、
前記確認処理で前記購入資格を確認できたときに、前記排出装置が前記特定商品を排出する
請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項3】
前記精算装置で取引金額の決済を完了したときに、前記排出装置が前記特定商品を排出する請求項2に記載の商品販売システム。
【請求項4】
客が所持する資格証明書から情報を読み取る読取装置
をさらに備え、
前記管理装置は、前記購入資格に関する情報を前記読取装置で読み取って前記確認処理を実行する
請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項5】
前記選択装置が前記読取装置を含む請求項4に記載の商品販売システム。
【請求項6】
前記精算装置は、客が所持する電子決済媒体から電子決済用の情報を取得する電子決済装置を備え、
前記管理装置は、前記電子決済装置で取得した情報に基づいて、電子決済を実行するサーバに前記客の購入資格に関する情報を要求し、前記サーバから得られた情報に基づいて前記確認処理を実行する
請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記選択装置で特定商品を選択する操作が行われたときに、特定商品の購入を求める客がいることを知らせる通知処理を実行する請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項8】
前記確認処理で前記客が前記購入資格を有することを確認できなかったとき、及び前記客が前記精算装置で前記特定商品の購入をキャンセルする操作を行ったときは、
前記精算装置が前記特定商品を取引対象から除外して前記精算処理を実行する
請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項9】
前記特定商品は購入者の年齢が制限される商品であり、前記確認処理では前記客の年齢確認が行われる請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項10】
前記特定商品は、たばこと酒の少なくともいずれか一方を含む請求項9に記載の商品販売システム。
【請求項11】
販売時に購入資格の確認を要する特定商品を販売する商品販売方法であって、
客検出センサを利用して、入店した客を検出する工程と、
商品検出センサを利用して、前記客が商品棚から取り出した商品を検出する工程と、
特定商品を選択可能な選択装置で、特定商品の選択を受け付ける工程と、
前記客検出センサ及び前記商品検出センサを利用して検出した商品、及び前記選択装置で選択された商品を、前記客との取引対象に加える工程と、
取引対象に加えられた前記商品を対象に前記客との取引金額の精算処理を精算装置で実行する工程と、
前記客との取引対象に特定商品が含まれるときに、前記客が前記特定商品の購入資格を有することを確認する工程と、
前記客が前記購入資格を有することが確認できたときに、前記特定商品を前記客に引き渡す工程と
を含む商品販売方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、店舗での販売時に購入資格の確認が必要な特定商品を無人店舗で販売するための商品販売システム及び商品販売方法に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗では、購入者の制限がない一般商品に加えて、購入者が制限される特定商品が販売されることがある。客が特定商品の購入を求めた場合、販売者である店舗は、客が特定商品の購入資格を有することを確認する必要がある。例えば、購入者の年齢に制限がある酒やたばこが特定商品に含まれる。客が酒やたばこの購入を求めた場合、店員による客の年齢確認が行われる。
【0003】
近年、商品売場に店員がいない無人店舗と呼ばれる店舗が登場している。無人店舗の客は、商品売場で商品を選択し、該商品の精算を精算装置で済ませて退店することができる。無人店舗では商品売場に常駐する店員がいないため、有人店舗とは異なる方法で特定商品を販売する必要がある。
【0004】
特許文献1には、無人店舗で酒やたばこ等の年齢制限商品を販売するためのシステムが開示されている。無人店舗の店舗内に、ロックを解除しなければ商品を取り出せない商品棚を設けて、この商品棚に年齢制限商品を陳列する。年齢確認を経て客を会員登録する処理が事前に行われ、無人店舗の出入口に設けられた装置で、入店する客を識別する処理が実行される。入店した客が年齢確認済みの会員であれば、客は、商品棚のロック制御装置に顧客特定情報を入力してロックを解除し、年齢制限商品を購入することができる。会員登録時に年齢確認が行われていない客については、店舗内の装置で運転免許証等の情報を読み取って年齢確認の処理が行われ、年齢確認済みであることが客の会員情報に追加登録されると、客は特定商品を購入できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/066000号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は、客の会員登録を前提としたシステムであるため、客は、店舗を利用する前に各種情報を入力して会員登録を行う必要がある。会員以外の客は無人店舗を利用することができず、客にとって利用しやすい店舗とは言い難い。
【0007】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、特定商品を購入する客が利用しやすい無人店舗を実現するための商品販売システム及び商品販売方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る商品販売システムは、販売時に購入資格の確認を要する特定商品を販売する商品販売システムであって、入店した客を検出する客検出センサと、前記客が商品棚から取り出した商品を検出する商品検出センサと、客が購入する特定商品の選択を受け付ける選択装置と、前記客検出センサ及び前記商品検出センサを利用して検出した商品、及び前記選択装置で選択された商品を、前記客との取引対象に加える管理装置と、前記管理装置が取引対象に加えた商品を対象に、客との取引金額の精算処理を実行する精算装置とを備え、前記管理装置は、前記客との取引対象に特定商品が含まれるときは、確認処理を実行して前記客が前記特定商品の購入資格を有することを確認して、前記特定商品を前記客に引き渡すための処理を実行する。
【0009】
上記構成において、前記特定商品を排出する排出装置をさらに備え、前記確認処理で前記購入資格を確認できたときに、前記排出装置が前記特定商品を排出してもよい。
【0010】
上記構成において、前記精算装置で取引金額の決済を完了したときに、前記排出装置が前記特定商品を排出してもよい。
【0011】
上記構成において、客が所持する資格証明書から情報を読み取る読取装置をさらに備え、前記管理装置は、前記購入資格に関する情報を前記読取装置で読み取って前記確認処理を実行してもよい。
【0012】
上記構成において、前記選択装置が前記読取装置を含んでいてもよい。
【0013】
上記構成において、前記精算装置は、客が所持する電子決済媒体から電子決済用の情報を取得する電子決済装置を備え、前記管理装置は、前記電子決済装置で取得した情報に基づいて、電子決済を実行するサーバに前記客の購入資格に関する情報を要求し、前記サーバから得られた情報に基づいて前記確認処理を実行してもよい。
【0014】
上記構成において、前記管理装置は、前記選択装置で特定商品を選択する操作が行われたときに、特定商品の購入を求める客がいることを知らせる通知処理を実行してもよい。
【0015】
上記構成において、前記確認処理で前記客が前記購入資格を有することを確認できなかったとき、及び前記客が前記精算装置で前記特定商品の購入をキャンセルする操作を行ったときは、前記精算装置が前記特定商品を取引対象から除外して前記精算処理を実行してもよい。
【0016】
上記構成において、前記特定商品は購入者の年齢が制限される商品であり、前記確認処理では前記客の年齢確認が行われてもよい。
【0017】
上記構成において、前記特定商品は、たばこと酒の少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。
【0018】
本開示に係る商品販売方法は、販売時に購入資格の確認を要する特定商品を販売する商品販売方法であって、客検出センサを利用して、入店した客を検出する工程と、商品検出センサを利用して、前記客が商品棚から取り出した商品を検出する工程と、特定商品を選択可能な選択装置で、特定商品の選択を受け付ける工程と、前記客検出センサ及び前記商品検出センサを利用して検出した商品、及び前記選択装置で選択された商品を、前記客との取引対象に加える工程と、取引対象に加えられた前記商品を対象に前記客との取引金額の精算処理を精算装置で実行する工程と、前記客との取引対象に特定商品が含まれるときに、前記客が前記特定商品の購入資格を有することを確認する工程と、前記客が前記購入資格を有することが確認できたときに、前記特定商品を前記客に引き渡す工程とを含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係る商品販売システム及び商品販売方法によれば、会員登録を行わなくても無人店舗を利用することができる。年齢制限商品等の特定商品を購入する客にとっても利用しやすい無人店舗を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一般商品の販売方法を説明するための図である。
図2図2は、商品販売システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、店舗における装置の配置例を説明するための図である。
図4図4は、管理装置が客の購入商品を検出する方法を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、精算処理時の客の操作制限を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、特定商品の第1の販売方法を説明するための図である。
図7図7は、客の購入資格を確認する処理の例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、特定商品排出装置の例を説明するための図である。
図9図9は、特定商品選択装置を含む商品販売システムの構成例を示す図である。
図10図10は、特定商品の第2の販売方法を説明するための図である。
図11図11は、特定商品収納装置を含む商品販売システムの構成例を示す図である。
図12図12は、特定商品の第3の販売方法を説明するための図である。
図13図13は、特定商品収納装置の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る商品販売システム及び商品販売方法の実施の形態について説明する。本開示に係る商品販売システムは、客との取り引きが行われる無人店舗で商品を販売するために利用される。無人店舗で販売される商品の中には、客が購入資格を有していることを、販売前に確認する必要がある特定商品が含まれる。
【0022】
本実施形態で言う無人店舗には、完全無人店舗及び省人店舗が含まれる。本実施形態で言う特定商品には、所定の購入資格を有する客のみが購入できる商品が含まれる。特定商品は、店舗によって、或いは店舗が在る地域や国によって異なるもので、その種類は特に限定されない。例えば、購入者の年齢が制限される酒やたばこ等の年齢制限商品が特定商品に含まれる。特定商品が、購入者が制限される医薬品、劇物等を含んでいてもよい。特定商品が所定価格を超える高額商品を含んでいてもよい。本実施形態では、商品売場及びチェックアウトカウンタに常駐する店員は居ないが店舗のバックオフィスに店員が控えている無人店舗で、年齢制限商品である特定商品を販売する場合を例に説明する。以下、特定商品以外の商品を一般商品と記載して区別する。特定商品及び一般商品、或いは特定商品又は一般商品を示す場合に、単に商品と記載する場合がある。
【0023】
商品販売システムにおける一般商品の販売方法を説明した後、特定商品の販売方法について説明する。図1は、一般商品の販売方法を説明するための図である。無人店舗の商品販売システム1は、客検出センサ10、商品検出センサ20、管理装置100及び精算装置200を利用して商品を販売する。管理装置100は、客検出センサ10を利用して客を検出する(S1)。管理装置100は、商品検出センサ20を利用して、客が購入する商品を検出する(S2)。
【0024】
客検出センサ10は、店舗内を移動する客の位置を検出するためのセンサである。客検出センサ10が、客の位置に加えて、客の動きや客の手の動きを検出するセンサであってもよい。客検出センサ10の種類は特に限定されない。赤外光、可視光、レーザ、超音波等の電磁波を利用して客を検出可能なセンサを客検出センサ10として利用することができる。例えば、TOF(Time of Flight)センサ、深度センサ、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ、赤外線センサ、超音波センサ、赤外光カメラ、可視光カメラ等を客検出センサ10として利用すればよい。複数の客検出センサ10を、店舗内に設置した商品棚600それぞれに対応して設けることにより、管理装置100は、商品棚600見て回る客を検出して、店舗内を移動する客を追跡することができる。
【0025】
商品検出センサ20は、客が購入する商品の名称及び個数を検出するためのセンサである。商品検出センサ20の種類は特に限定されない。商品の陳列場所における重量の変化に基づいて商品の有無を検出可能なセンサを商品検出センサ20として利用することができる。赤外光、可視光、レーザ、超音波等の電磁波を照射したり投受光したりすることで商品の有無を検出可能なセンサを商品検出センサ20として利用することができる。商品に付したタグを利用して、NFC(Near Field Communication)、RFID(Radio Frequency Identifier)等の近距離無線技術で商品を検出するセンサを商品検出センサ20として利用することができる。例えば、複数の商品が陳列された商品棚における重量変化に基づいて商品の有無を検出する重量検出型のセンサを商品検出センサ20として利用すればよい。撮像画像を解析して商品を検出するカメラ型のセンサを商品検出センサ20として利用してもよい。複数の商品検出センサ20を、商品棚に陳列した各商品に対応して設けることにより、管理装置100は、客が商品棚から取り出して購入する商品の名称及び個数を検出することができる。
【0026】
管理装置100は、客検出センサ10及び商品検出センサ20を利用して、客が購入する一般商品700を検出し、客と関連付けて管理する。客は、購入する一般商品700を持ってチェックアウトカウンタに移動して、精算装置200で、購入金額、すなわち店舗と客との取引金額を支払う精算処理を行う。客が精算処理 を開始するときには、管理装置100が、客が購入する一般商品700、すなわち客との取引対象である一般商品700の名称及び個数を検出済みである。管理装置100には一般商品700の名称と販売価格との対応が予め登録されている。管理装置100は、一般商品700の名称から商品の販売価格を特定し、一般商品700の名称及び個数に基づいて客との取引金額を算出することができる。管理装置100は、客が購入する商品の名称及び個数と取引金額とを精算装置200の画面上に表示する。このため、客は、購入する一般商品700の情報を精算装置200に入力する作業を行うことなく、精算処理を開始することができる。
【0027】
客は、精算装置200の画面に表示された一般商品700の名称及び個数と取引金額とを確認する(S3)。客が取引金額を支払って取り引きが終了する(S4)。客は、精算装置200の電子決済装置230を利用して、取引金額を電子決済で支払うことができる。例えば、客は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー等を利用して取引金額を支払うことができる。客がカード、スマートフォン等の電子決済媒体から電子決済に必要な情報を電子決済装置230に読み取らせることで電子決済が実行される。客は、精算装置200の現金処理装置220を利用して、取引金額を現金で支払うこともできる。客が現金処理装置220に現金を入金すると、現金処理装置220は現金を識別計数して入金金額を算出する。入金金額が取引金額を超えていれば、現金処理装置220は、客へ返す釣銭を出金する。このように、商品販売システム1を利用すれば、客は、会員登録を行うことなく、無人店舗で商品を購入することができる。商品販売システム1では、客との取り引きを行うために店舗内で取得された情報を、客の退店時に消去する設定とすることができる。これにより、個人情報の開示を好まない客にとっても利用しやすい無人店舗とすることができる。
【0028】
図2は、商品販売システム1の構成例を示すブロック図である。商品販売システム1は、図1に示した客検出センサ10、商品検出センサ20、管理装置100及び精算装置200に加えて、監視カメラ11、資格情報読取装置300、特定商品排出装置400及び商品情報読取装置410を含む。監視カメラ11は、客の挙動を監視するために利用される。資格情報読取装置300、特定商品排出装置400及び商品情報読取装置410は、客に特定商品を販売するために利用される。
【0029】
管理装置100は、操作部、表示部、制御部及び記憶部を備えるコンピュータ装置を含んで構成される。ただし、本実施形態に記載する機能及び動作を実現できれば、管理装置100の構成は特に限定されない。例えば、管理装置100が複数のコンピュータ装置で構成されていてもよいし、クラウド型のサーバを含んで構成されていてもよい。管理装置100は、管理装置100と通信可能に接続された外部装置を制御することができる。外部装置には、客検出センサ10、商品検出センサ20、監視カメラ11、精算装置200、資格情報読取装置300、特定商品排出装置400及び商品情報読取装置410が含まれる。これらの各外部装置が管理装置100によって制御されることで、本実施形態に記載する商品販売システム1の機能及び動作が実現されている。
【0030】
精算装置200は、操作端末210、現金処理装置220及び電子決済装置230を含む。操作端末210は、タッチパネル式の液晶表示装置を含んで構成される。操作端末210は、客との商品取引に関する各種情報を入力するための操作部として機能する。また、操作端末210は、商品取引に関する各種情報を表示する表示部として機能する。例えば、客が精算処理を開始すると、取引対象の商品の名称、数、価格等の情報が操作端末210の画面上に表示される。客は、必要に応じて操作端末210を操作して、表示された情報の修正、追加、削除等の操作を行うことができる。現金処理装置220は、客が支払う現金の入金処理と、客へ返す釣銭の出金処理とを実行することができる。電子決済装置230は、客が電子決済を求める場合に、客が所持する電子決済媒体から必要な情報を取得して電子決済に関する処理を実行する。
【0031】
資格情報読取装置300は、客が所持する資格証明物から、特定商品の購入資格に関する情報を読み取る。資格証明物の種類は、店舗の在る地域や国によって異なるもので、その種類は特に限定されないが、以下、資格証明書を例に説明を続ける。例えば、日本であれば、運転免許証、保険証、マイナンバーカード、パスポート等の公的証明書を資格証明書として利用することができる。資格情報読取装置300がカメラ、スキャナ等を利用して資格証明書を撮像すると、管理装置100が撮像画像の文字認識等を実行し、資格証明書の記載事項を読み取って客の購入資格の有無を確認する。資格証明書が資格情報を記憶するICチップを含む場合は、資格情報読取装置300がICチップに対応する読取装置を利用して資格情報を読み取り、管理装置100が、資格情報に基づいて客の購入資格の有無を確認する。管理装置100は、資格情報読取装置300を利用せず、電子決済装置230で得られた電子決済情報を利用して、客の購入資格に関する情報を外部装置に問い合わせる場合もあるが、これについては後述する。
【0032】
特定商品排出装置400は、客が購入した特定商品を客へ向けて排出する装置である。商品情報読取装置410は、客が選択した特定商品の代替品から、特定商品の情報を読み取る読取装置である。客が、特定商品の情報を含む代替品を持ってチェックアウトカウンタ612へ移動し、商品情報読取装置410に代替品の情報を読み取らせると、特定商品排出装置400から特定商品が排出されるが、特定商品の販売方法については後述する。
【0033】
図3は、店舗における装置の配置例を説明するための図である。図3は、上方から見た店舗を模式的に示している。例えば、図3に示すように、店舗は、複数の商品棚600が設置された商品売場611と、精算装置200が設置されたチェックアウトカウンタ612と、管理装置100が設置されたバックオフィス613とに分かれている。店員は、通常、バックオフィス613に待機している。管理装置100が客への対応を指示する通知処理を実行すると、通知を確認した店員は客に対応する。例えば、管理装置100が、管理装置100が備える表示部に通知内容を表示して通知音を再生すると、店員は通知を確認して客に対応する。なお、バックオフィス613とは、商品が保管される倉庫、店員の待機場所等、商品の売り場に供さない場所を言い、日本の流通店舗ではバックヤードと呼ばれる場合もある。
【0034】
管理装置100が、店舗の入口から入店した客を検出して、店舗内を移動しながら買い物する客を追跡できるように、複数の客検出センサ10が商品売場611に設置される。客検出センサ10の数及び設置位置は特に限定されない。客検出センサ10の種類に応じて、商品売場611に設置する数及び設置位置が決定される。例えば、撮像画像を解析して客を検出するカメラ型の客検出センサ10が、商品売場611の天井に設置される。客検出センサ10が店舗の壁や床に設置されてもよいし商品棚600に設置されてもよい。
【0035】
管理装置100が、客が商品棚600から取り出して購入する商品の名称及び個数を検出できるように、複数の商品検出センサ20が商品売場611に設置される。商品検出センサ20の数及び設置位置は特に限定されない。商品検出センサ20の種類に応じて、商品売場611に設置する数及び設置位置が決定される。例えば、重量変化に基づいて商品を検出する重量検出型の商品検出センサ20が、商品棚600に設置される。重量検出型の商品検出センサ20が、各商品棚600に対応させて、或いは商品棚600に陳列される各商品に対応させて、複数設置されてもよい。また、例えば、撮像画像を解析して商品を検出するカメラ型の商品検出センサ20が、各商品棚600に対応して設置される。設置位置は天井であってもよいし、壁や床であってもよいし、商品棚600であってもよい。カメラ型の商品検出センサ20が1つの商品棚600に対して複数設置されてもよい。
【0036】
商品売場611には、店内の客の挙動を監視するための監視センサである監視カメラ11が設置される。監視カメラ11の数及び設置位置は特に限定されない。例えば、入口から入った客、チェックアウトカウンタ612の客、及び出口から出る客を撮像できるように、監視カメラ11が設置される。客検出センサ10が可視光カメラである場合、客検出センサ10が、監視カメラ11としても利用される態様であってもよい。
【0037】
図4は、管理装置100が客の購入商品を検出する方法を説明するためのフローチャートである。管理装置100は、客検出センサ10及び監視カメラ11を利用して、来店客の有無を監視している(ステップS11;No)。来店客を検出すると(ステップS11; Yes)、管理装置100は、客検出センサ10を利用して客の追跡を開始する。管理装置100は、複数の客検出センサ10の少なくともいずれか1つで、入口から入った客を検出し続けることで、来店した客が店舗内を移動して退店するまで追跡し続けることができる。管理装置100は、店舗内に複数の客が居る場合でも各客を追跡することができる。管理装置100は、各客を追跡しながら購入商品を特定して精算処理を実行することができるが、各客についての処理は同じであるため、以下、1人の客を対象に説明を続ける。
【0038】
管理装置100は、客が商品を購入する動作の監視を、客がチェックアウトカウンタ612で精算処理を開始するまで、継続して実行する(ステップS12;No、ステップS14;No、ステップS16;No)。
【0039】
客が商品棚から商品を取り出すと(ステップS12;Yes)、商品検出センサ20によってこれを検出した管理装置100は、取り出された商品を、客との取引対象に追加する(ステップS13)。客が商品棚へ商品を戻すと(ステップS14;Yes)、商品検出センサ20によってこれを検出した管理装置100は、戻された商品を客との取引対象から削除する(ステップS15)。すなわち、管理装置100は、客検出センサ10で客を追跡しながら、客が購入する購入商品を商品検出センサ20で検出し、検出した購入商品を客と関連付けて管理する。
【0040】
例えば、管理装置100は、カメラ型の商品検出センサ20で得られた撮像画像を解析することで、客が商品棚から取り出した商品及び商品棚へ戻した商品の名称及び個数を特定する。また、例えば、管理装置100は、商品検出センサ20を利用して、重量変化、電磁波の変化、商品に付されたタグとの通信状態の変化等に基づいて、取り出された商品及び戻された商品の商品棚における陳列位置を検出する。各商品の陳列位置と、各商品の名称等の情報との対応を予め管理装置100に登録することで、管理装置100は、商品棚から取り出された商品及び商品棚へ戻された商品の名称及び個数を特定することができる。また、管理装置100には商品の名称と販売価格との対応も予め登録されているため、管理装置100は各商品の販売価格を特定することができる。
【0041】
客がチェックアウトカウンタ612に移動して精算処理を開始すると(ステップS16;Yes)、管理装置100は、客による購入商品の検出を終了して、精算処理を開始する。
【0042】
精算処理は、管理装置100が検出して客との取引対象に追加した商品の名称及び個数に基づいて開始される。精算装置200が備える操作端末210の表示部に、管理装置100が客と関連付けた商品の名称及び個数が表示される。客は、操作端末210に表示される取引画面を確認して、商品の名称及び個数に誤りがあれば、操作端末210を操作して、購入商品を変更することができる。ただし、管理装置100が客の不審な挙動を検出していた場合は、客による変更操作が制限される。
【0043】
図5は、精算処理時の客の操作制限を説明するためのフローチャートである。管理装置100は、監視カメラ11の撮像画像から客の動きを検出することができる。撮像画像から人を検出したり、連続して撮像された静止画像や動画像から人の動きを検出したりする技術は従来知られているため詳細な説明は省略するが、例えば画像間の差分から人や人の動きを検出すればよい。動体検出及び動き検出が、赤外画像や可視光画像の画像解析で行われる態様に限定されず、深度画像等を利用して行われてもよいし、機械学習やAI(Artificial Intelligence)技術を利用して行われてもよい。
【0044】
管理装置100は、検出した客の挙動が、要注意動作に該当するか否かを判定する(ステップS21)。要注意動作を検出した場合、管理装置100は、客を確認対象に追加する(ステップS22)。管理装置100は、要注意動作を検出しない場合も(ステップS21;No)、客が精算処理を開始するまで(ステップS23;No)、客の監視を継続する。
【0045】
要注意動作には、客が商品を万引きした可能性がある動作が含まれる。例えば、精算処理を終える前に客が商品を衣服や鞄の中に入れる動作が、要注意動作として検出される。商品を入れるところまで検出されない場合でも、衣服や鞄の中に手を入れる動作を要注意動作として検出してもよい。この他、周囲を気にする動作、カメラを気にする動作、手にした商品を体で隠す動作等が要注意動作として検出される。また、必要以上に長時間店舗に滞在している場合や、何も買わずに短時間で店舗を出入りする場合も、要注意動作として検出される。
【0046】
また、要注意動作には、管理装置100が客の購入商品を正しく検出できていない可能性がある動作が含まれる。例えば、カメラ型の商品検出センサ20を利用している場合に、商品棚から商品を取ろうとする2人の客の腕が交差して、いずれの客が商品を購入したのかを正確に特定できないことがある。このような客の動きを要注意動作として検出して店員への通知処理を実行することで、客が精算処理を行う際に、店員は購入商品を確認することができる。
【0047】
検出対象とする要注意動作を予め管理装置100に登録すれば、管理装置100は登録された動作を要注意動作として検出する。管理装置100が、AI技術を利用して、所定の挙動情報を教師データとして客の挙動を学習し、学習結果に基づいて挙動検出を実行してもよい。店舗における客の通常動作を管理装置100に学習させて、この動作から外れる挙動を要注意動作として検出させてもよい。
【0048】
客がチェックアウトカウンタ612に移動して精算処理を開始すると(ステップS23;Yes)、管理装置100は、この客が確認対象であるか否かを判定する(ステップS24)。この客が確認対象である場合(ステップS24;Yes)、精算装置200で実行可能な客の操作が制限される。精算装置200の操作端末210には、管理装置100が検出した客の購入商品が表示されるが、確認対象でない客が精算装置200を操作して商品の名称及び個数を変更できる一方で、確認対象である客は商品の名称及び個数を変更できない。
【0049】
確認対象の客が、商品の名称又は個数の変更を求める場合(ステップS25;Yes)、管理装置100は、これを店員に知らせる通知処理を実行する(ステップS26)。 管理装置100は、客が確認対象であるか否かによって取引画面を変更し、確認対象である客が店員呼出ボタンを押すと店員への通知を実行する。例えば、客が確認対象でない場合は商品を変更するためボタンが取引画面に表示される一方で、客が確認対象である場合は、商品変更の希望があれば押すように説明を付して店員呼出ボタンが表示される。客が確認対象であるか否かによらず、操作端末210に同じ取引画面を表示して、確認対象の客が取引画面で商品の変更操作を行った場合は、管理装置100が変更操作を受け付けずに店員への通知処理を実行する態様であってもよい。
【0050】
管理装置100が通知処理を実行する際、通知内容には、店員への通知の理由と、店員への指示とが含まれる。管理装置100による通知処理の実行方法は特に限定されない。例えば、管理装置100が、画面上に通知内容を表示して所定の通知音を再生してもよい。バックオフィス613に、ライト等の警報装置を設けて、管理装置100が通知の実行時にライトを点灯させたり点滅させたりしてもよい。管理装置100が、店員が所持する携帯型の通信端末に通知を送信してもよい。
【0051】
確認対象の客が商品変更を求めて通知処理が実行された場合、客が商品の変更を希望していること、この客が確認対象であること及び確認対象とされた理由、この客の購入商品及び変更内容に問題がないか確認する必要があること等が、店員に通知される。
【0052】
確認対象である客が商品の変更を求めない場合でも(ステップS25;No)、管理装置100が異常を検出した場合は(ステップS27;Yes)、店員への通知処理が実行される(ステップS26)。客が確認対象ではない場合でも(ステップS24;No)、管理装置100が異常を検出した場合は(ステップS27;Yes)、店員への通知処理が実行される(ステップS26)。
【0053】
客の購入商品、すなわち操作端末210に表示された商品の名称及び個数が、チェックアウトカウンタ612の監視カメラ11で撮像した商品の名称及び個数と一致しない場合に通知処理が実行される。例えば、チェックアウトカウンタ612の監視カメラ11で客が所持する2本のペットボトル飲料を撮像しているにも拘わらず、客が購入するペットボトル飲料の本数が1本になっている場合に通知処理が実行される。
【0054】
確認対象ではない客には、操作端末210で商品の名称及び個数を変更する操作が許可されるが、客が変更操作を行って、変更後の商品の名称及び個数が、チェックアウトカウンタ612の監視カメラ11で撮像した商品の名称及び個数と一致しなくなった場合に通知が実行される。例えば、チェックアウトカウンタ612の監視カメラ11で客が所持する2本のペットボトル飲料を撮像しているにも拘わらず、客がペットボトル飲料を精算対象から除外したり本数を1本に変更したりした場合に通知処理が実行される。
【0055】
店員への通知処理が実行されると、通知を受けた店員はチェックアウトカウンタ612へ移動する。店員は、必要に応じて、客が購入する商品を確認したり変更したりする対応をとることができる。確認対象が商品変更を求めた場合、通知を受けた店員が確認作業を行って操作端末210で所定操作を行うと、管理装置100は、客による商品の変更操作を受け付けるようになる。管理装置100が異常を検出した場合は、例えば、店員が確認作業を行って店員の監視下で精算処理が進められる。
【0056】
管理装置100によるチェックアウトカウンタ612の監視は、精算処理が完了するまで継続して行われる(ステップS27;No、ステップS28;No)。精算処理を終えると(ステップS28;Yes)、客は商品を持って退店することができる。
【0057】
商品販売システム1では、商品変更時や異常検出時以外にも、店員への通知処理を実行するように設定することができる。例えば、管理装置100が、客の不審な挙動を検出したら、精算処理の開始を待たずに通知処理を実行する設定とすることもできる。客との取引対象に特定商品が追加されたら、この客の精算処理開始時に通知処理を実行する設定とすることもできる。客の購入商品を正確に検出できていない可能性がある挙動が検出されたら、この客の精算処理開始時に通知処理を実行する設定とすることもできる。店員は、通知を受けて、必要に応じて客の購入商品を確認したり客へ引き渡し特定商品を準備したりする対応をとることができる。
【0058】
次に、商品販売システム1による特定商品の販売方法について説明する。以下、特定商品の販売方法について、一般商品700の販売方法と異なる点を中心に、3つの例を説明する。また、3つの例において同じ構成には同じ符号を付して重複する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0059】
[第1の特定商品販売方法]
図6は、特定商品701の第1の販売方法を説明するための図である。図6に示すように、一般商品700を陳列した商品棚600に加えて、特定商品701を購入するための商品棚601が商品売場611に設置される。一般商品700を陳列した商品棚600の一部を特定商品701の商品棚601として利用してもよい。
【0060】
一般商品700の商品棚600には、一般商品700の現物が陳列される。一方、特定商品701の商品棚600には、特定商品701の現物ではなく、代替品711が陳列される。例えば、図6に示すように、特定商品701の写真、名称及び価格を含む商品情報711aと、特定商品701の名称等が符号化された図形コード711bとが印刷されたカードが、代替品711として利用される。代替品711が、特定商品701の名称等の情報を記憶するカード型の記憶媒体であってもよい。
【0061】
特定商品701を購入する客は、商品棚601から、購入したい特定商品701の代替品711を取り出してチェックアウトカウンタ612へ移動する。客がチェックアウトカウンタ612へ移動すると、上述したように、操作端末210の取引画面に、管理装置100が検出した客との取引対象、すなわち客の購入商品が表示されて精算処理が開始される。精算処理時に、客が特定商品701の購入資格を有することを確認する処理が行われる。
【0062】
図7は、客の購入資格を確認する処理の例を説明するためのフローチャートである。客は、商品棚601から持ってきたカード型の代替品711を、図6に示す商品情報読取装置410に読み取らせる(ステップS31)。例えば、操作端末210の取引画面に、代替品711の情報を商品情報読取装置410に読み取らせるよう客に指示する情報が表示される。客が、代替品711を商品情報読取装置410の挿入口に挿入すると、商品情報読取装置410は、挿入された代替品711を装置内に取り込み、代替品711に印刷された図形コード711bを読み取って管理装置100へ出力する。代替品711は商品情報読取装置410の装置内に回収されて再利用される。図形コード711bが入力されると、管理装置100は、図形コード711bの情報に基づいて認識した特定商品701を客の購入商品に追加する。代替品711がカード型の記憶媒体である場合は、商品情報読取装置410が、記憶媒体が記憶している特定商品701の名称等の情報を読み出して管理装置100に入力し、管理装置100が、特定商品701を客の購入商品に追加する。代替品711に対応する特定商品701が客との取引対象に追加される。
【0063】
管理装置100は、代替品711から取得した情報に基づいて購入商品に追加した特定商品701の情報を、操作端末210の取引画面に表示する。画面上には、客が購入した一般商品700及び特定商品701それぞれの名称、価格及び個数と、取引金額とが表示される。客は、操作端末210を操作して、特定商品701の購入をキャンセルすることができる(ステップS32;Yes)。客が特定商品701の購入をキャンセルした場合は、購入資格の確認処理を行うことなく処理が終了して、図1で説明したように一般商品700の精算処理が実行される。この場合、来店してから退店するまでの間、客は特定商品701の現物を手にすることなく、代替品711による処理のみが行われて客との取り引きが終了する。
【0064】
客が特定商品701を購入する場合(ステップS32;No)、客が特定商品701の購入資格を有することを確認する処理が開始される。客が、購入商品の代金すなわち取引金額を、電子決済で支払うことを選択した場合(ステップS33;Yes)、客は、図6に示す電子決済装置230に、電子決済媒体から電子決済情報を読み取らせる。管理装置100は、客が利用する電子決済に対応する電子決済サーバへ、電子決済装置230で取得した電子決済情報を送信して電子決済を要求する。このとき、管理装置100は、電子決済サーバに対して、客の購入資格に関する情報を要求する(図7ステップS34)。特定商品701が年齢制限商品である場合、管理装置100は電子決済サーバに客の年齢情報を要求する。このように、管理装置100は、特定商品701の購入資格に関する情報を有する外部サーバに対して客の情報を要求する処理を実行することができる。
【0065】
電子決済サーバから客の年齢情報が得られて、客が特定商品701の購入資格を有することが確認できた場合(ステップS35;Yes)、管理装置100は、図6に示すように、特定商品排出装置400の排出口401から、客が購入した特定商品701を排出させる(図7ステップS40)。客が取引金額の支払いを終えた後、特定商品排出装置400から特定商品701の現物が排出される。特定商品排出装置400については後述する。
【0066】
客が現金による支払いを選択した場合(ステップS33;No)、管理装置100は客に資格情報を要求する(ステップS36)。電子決算サーバから客の購入資格に関する情報が得られなかった場合も(ステップS35;No)、管理装置100は、客に資格情報を要求する(ステップS36)。
【0067】
管理装置100は、特定商品701の購入資格を確認可能な資格証明書を、図6に示す資格情報読取装置300に読み取らせるよう客に指示する情報を、操作端末210の取引画面に表示する。客は、運転免許証等の資格証明書を資格情報読取装置300に読み取らせる(図7ステップS37)。管理装置100は、資格情報読取装置300で読み取った情報に基づいて、客が特定商品701の購入資格を有することを確認する。特定商品701が年齢制限商品である場合、管理装置100は、資格証明書の記載事項、資格証明書のICチップから取得した情報等から、客の年齢を特定して購入資格の有無を確認する。
【0068】
客の購入資格を確認できなかった場合(ステップS38;No)、管理装置100は、客の購入商品から特定商品701を除外する(ステップS39)。管理装置100は、操作端末210の取引画面に、購入資格を確認できないため特定商品701を販売できないことを示す情報を表示する。この場合、特定商品排出装置400から特定商品701は排出されない。この後、客が一般商品700を購入していれば、一般商品700の精算処理が行われる。客は、一般商品700の取引金額を支払って、一般商品700を持って退店する。客が、特定商品701のみを購入しようとして購入資格を証明できなかった場合、代替品711は既に商品情報読取装置410の装置内に回収済みであるため、客はそのまま退店する。これらの場合も、来店してから退店するまでの間、客が特定商品701の現物を手にすることはない。なお、代替品711が他の方法で処理される態様であってもよい。例えば、代替品711が紙媒体等である場合は、特定商品排出装置400の近傍に設けたごみ箱等に投入して廃棄するようにしてもよい。
【0069】
資格情報読取装置300を利用して、客が特定商品701の購入資格を有することが確認できた場合(ステップS38;Yes)、管理装置100は、特定商品排出装置400の排出口401から、客が購入した特定商品701を排出させる(ステップS40)。客が特定商品701に加えて一般商品700を購入していれば、一般商品700及び特定商品701の購入代金を支払う処理が行われる。客が一般商品700を購入していなければ特定商品701の購入代金を支払う処理が行われる。客が取引金額の支払いを終えた後、特定商品排出装置400から特定商品701の現物が排出される。
【0070】
特定商品701を購入する場合も、上述した一般商品700を購入する場合と同様に、客は、電子決済又は現金決済で取引金額支払うことができる。図6に示すように、客が電子決済を選択した場合、管理装置100が電子決済装置230で取得した決済情報に基づいて、決済サーバで電子決済が行われる。客が現金による支払いを選択した場合、客は、現金処理装置220に現金を入金して取引金額を支払い、必要に応じて現金処理装置220から出金された釣銭を受け取る。
【0071】
客が購入代金を支払った後、特定商品排出装置400から特定商品701の現物が排出されて客との取り引きが終了し、客は特定商品701を含む購入商品を持って退店する。特定商品701の現物は、客が取引金額を支払った後に、特定商品排出装置400から排出されて客に引き渡されることが好ましいが、客の購入資格を確認した後であれば、特定商品701現物の引き渡しタイミングは特に限定されない。客に特定商品701の現物を引き渡した後に、取引金額の支払いが行われる態様であってもよい。
【0072】
図8は、特定商品排出装置400の例を説明するための図である。特定商品排出装置400は、排出口401、複数の収納部402、搬送部403及び排出部404を含む。店舗で販売される特定商品701が複数の収納部402に商品別に収納されている。搬送部403は、各収納部402から特定商品701を1つずつ取り出して排出部404へ搬送することができる。排出部404は、搬送部403が搬送してきた特定商品701を受けて排出口401から装置外へ排出する。上述したように、管理装置100は、客が購入資格を有することを確認できたことを条件に、特定商品排出装置400を制御して、客が選択した代替品711に対応する特定商品701を排出口401から排出させる。
【0073】
例えば、図6に示すように、前面に排出口401を有する特定商品排出装置400は、装置背面を、チェックアウトカウンタ612と店舗のバックオフィス613の間を仕切る壁に接して配置される。特定商品排出装置400の背面に、特定商品701を収納部402へ補充するための補充口が設けられ、この補充口がバックオフィス613側に露出していていもよい。バックオフィス613の店員は補充口から特定商品排出装置400の各収納部402へ特定商品701を補充することができる。
【0074】
図8に示すように、特定商品排出装置400が、装置背面側に投入部405を含んでいてもよい。客が、収納部402に収納されていない特定商品701を購入した場合、管理装置100は、バックオフィス613の店員に特定商品701の引き渡しを指示する通知処理を実行する。客が購入した特定商品701を示す情報と、この特定商品701を投入部405に投入することを指示する情報とが店員に通知される。店員が、バックオフィス613で管理している特定商品701を投入部405へ投入すると、搬送部403が投入部405から排出部404へ特定商品701を搬送して、排出口401から特定商品701が排出される。
【0075】
図8は例示であって、特定商品排出装置400の構成を限定するものではない。客が、購入した特定商品701の現物を受け取ることができれば、特定商品排出装置400の構成は特に限定されない。例えば、特定商品排出装置400の前面に、各収納部402に対応させて通常はロックされて開かない扉を設け、管理装置100が、客が購入した特定商品701に対応する扉のロックを解除することで、客が扉を開いて特定商品701を取り出せるようにしてもよい。特定商品排出装置400が、図6に示す商品情報読取装置410を内蔵する態様であってもよい。
【0076】
管理装置100が、客が購入する特定商品701を店員に通知する通知処理を実行して、通知を受けた店員が、バックオフィス613にある特定商品701を客に手渡しで引き渡す態様であってもよい。購入資格の確認についても、管理装置100が、購入資格の確認が必要であることを店員に通知する通知処理を実行して、通知を受けた店員が客の資格証明書を目視確認する態様であってもよい。この場合、客が購入資格を有することを確認した店員が管理装置100で所定操作を行うことで、購入資格を確認できたものとして、上述したように精算処理を実行すればよい。
【0077】
客が商品情報読取装置410に代替品711を挿入することで、管理装置100が、客が特定商品701を購入することを認識する態様に限定されない。管理装置100が、一般商品700と同様に、商品検出センサ20を利用して、客が商品棚601から取り出した代替品711を検出して、客が特定商品701を購入することを認識する態様であってもよい。例えば、商品検出センサ20が撮像画像から商品を検出するセンサである場合、管理装置100が、撮像画像に写った代替品711の商品情報711a又は図形コード711bから、客が購入する特定商品701を検出すればよい。この場合、管理装置100は、図7に示すステップS31の処理を省略して、ステップS32から処理を開始すればよい。
【0078】
代替品711は、カード型である態様に限定されず立体形状を有していてもよい。商品検出センサ20が重量に基づいて商品を検出するセンサである場合、このセンサが検出可能な重量を有する箱等を代替品711として商品棚601に陳列すればよい。例えば、図6に示す商品情報711a及び図形コード711bを印刷した箱を利用すればよい。特定商品701であるたばこの空箱、酒を模した缶や瓶を代替品711として利用してもよい。外観を特定商品701に似せたダミーボックスを代替品711として利用してもよい。この場合、商品情報読取装置410が、立体形状の代替品711から図形コード711bを読み取る構成として、例えば代替品711用の回収箱等をチェックアウトカウンタ612に設けて代替品711を回収すればよい。
【0079】
このように、商品販売システム1では、会員登録等の作業を行わずとも客は特定商品701を購入することができる。特定商品701を販売するための商品棚601には、特定商品701の現物ではなく代替品711が陳列される。特定商品701を購入したい客は、代替品711を持ってチェックアウトカウンタ612へ移動し、購入資格を有することを証明して初めて特定商品701の現物を受け取ることができる。
【0080】
買い物の途中で特定商品701の購入をとりやめる場合、客は、代替品711を商品棚601へ戻せばよい。精算処理の開始後に特定商品701の購入をとりやめる場合も、客は、代替品711を商品情報読取装置410に挿入して装置内に取り込ませた後、精算装置200の操作端末210でキャンセル操作を行うだけでよい。客は、精算処理を中断して代替品711を商品棚601へ戻しに戻ったり、店員を呼び出して特定商品701の現物を返したりする必要はない。客は、特定商品701を購入することを決めてチェックアウトカウンタ612で代金を支払う際に購入資格を証明すればよい。
【0081】
[第2の特定商品販売方法]
上述した特定商品701の第1の販売方法では、客が購入する特定商品701の選択が代替品711を利用して行われる例を示したが、第2の販売方法では、特定商品選択装置500を利用して、特定商品701の選択が行われる。
【0082】
図9は、特定商品選択装置500を含む商品販売システム1の構成例を示す図である。図9に示した構成例では、図2に示した商品情報読取装置410は含まれず、特定商品選択装置500が追加されている。
【0083】
図10は、特定商品701の第2の販売方法を説明するための図である。図10に示すように、一般商品700を陳列した商品棚600に加えて、特定商品701を選択するための特定商品選択装置500が商品売場611に設置される。
【0084】
特定商品選択装置500は、タッチパネル式の液晶表示装置である操作表示部を備える。特定商品選択装置500は、予め管理装置100に登録されている複数の特定商品701の中から、購入する特定商品701を選択するための選択画面を表示する。例えば、特定商品701の画像、名称、価格等の商品情報がボタンの形で選択画面上に表示される。商品情報を表示して、その近傍に選択用のボタンを表示してもよい。
【0085】
特定商品701を購入する客は、特定商品選択装置500の選択画面でボタンを押して特定商品701を選択する。客が選択した特定商品701の情報は、特定商品選択装置500から管理装置100に入力される。客検出センサ10で客を追跡している管理装置100は、特定商品選択装置500の前に立ってボタンを押す操作を行った客の取引対象、すなわち購入商品に、特定商品選択装置500で選択された特定商品701を追加する。
【0086】
客がチェックアウトカウンタ612へ移動すると、操作端末210の画面上に、管理装置100が検出した客の購入商品が表示されて精算処理が開始される。購入商品には、管理装置100が、商品検出センサ20を利用して検出した一般商品700と、特定商品選択装置500を利用して選択を受け付けた特定商品701とが含まれる。
【0087】
客が購入する特定商品701は既に取引対象に含まれている。このため、図7で説明した処理のうちステップS31の処理は行われず、ステップS32から処理が開始される。客の購入資格の有無を確認して精算処理を実行し、特定商品701の現物を客に引き渡すまでの処理は、上述した特定商品701の第1の販売方法と同様に行われる。
【0088】
なお、特定商品選択装置500が、一般商品700を選択可能な画面を表示する態様であってもよい。一般商品700を特定商品選択装置500で購入可能とする場合、上述した特定商品701と同様の方法で一般商品700を客に引き渡して販売すればよい。例えば、通常は、一般商品700の選択画面を表示して、客の資格確認ができた場合にのみ、特定商品701の選択画面を表示する態様であってもよい。例えば、資格確認ができていない客に対しては、アルコールが入っていない飲料の選択画面を表示して、資格確認ができている客に対しては、アルコール飲料を選択可能に表示する態様であってもよい。
【0089】
図10は例示であって、特定商品選択装置500の構成を限定するものではない。例えば、タッチパネル式の小型の液晶表示装置を商品棚600に配置して、特定商品選択装置500として利用する態様であってもよい。特定商品選択装置500が、タッチパネル式のボタンではなく物理ボタンを利用して客の選択を受け付ける態様であってもよい。
【0090】
商品番号の選択のみを特定商品選択装置500に受け付けるようにしてもよい。例えば、特定商品701のサンプル品に商品番号を付して商品棚600等に陳列して、購入する特定商品701の番号を特定商品選択装置500に受け付ければよい。
【0091】
特定商品選択装置500が資格情報読取装置300を含む態様であってもよい。この場合、管理装置100が、特定商品選択装置500の資格情報読取装置300で客の購入資格を確認した後、特定商品701の選択画面を表示して、客に特定商品701を選択させてもよい。客がチェックアウトカウンタ612へ移動する際には、既に購入資格の確認を終えているため、図1で説明した一般商品700の購入方法と同様に精算処理を実行して取引金額が支払われた後、特定商品排出装置400から、客が購入した特定商品701を排出して取り引きを終えればよい。
【0092】
特定商品選択装置500が、特定商品701の選択画面を所定のタイミングで表示する態様であってもよい。例えば、通常は画面を消灯した状態にして、客検出センサ10で客を追跡する管理装置100が、客が特定商品選択装置500から所定の距離範囲に近付いたことを検出して、特定商品選択装置500に特定商品701の選択画面を表示させてもよい。例えば、客検出センサ10を利用して、客が特定商品選択装置500の前に立ったときに選択画面を表示するようにしてもよいし、客が特定商品選択装置500の前に選択画面の方を向いて立ったときに選択画面を表示するようにしてもよい。特定商品選択装置500が、通常は広告等を表示して、客が近付いたときに特定商品701の選択画面を表示してもよい。
【0093】
このように、商品販売システム1では、特定商品701を店舗内の商品売場611に陳列することなく、特定商品701を客に販売することができる。特定商品701を購入したい客は、特定商品選択装置500で特定商品701を選択するだけで、選択した特定商品701が客の購入商品に追加される。客は、チェックアウトカウンタ612へ移動し、購入資格を有することを証明して特定商品701現物を受け取ることができる。客は、事前に会員登録等の作業を行うことなく特定商品701を購入することができる。客は、特定商品701の購入をとりやめる場合も、精算装置200の操作端末210でキャンセル操作を行うだけでよい。客は、特定商品701を購入する場合にのみ購入資格を証明すればよい。
【0094】
[第3の特定商品販売方法]
上述した第1及び第2の特定商品701の販売方法では、商品売場611に特定商品701の現物を陳列しない例を説明したが、第3の販売方法では、特定商品701の現物を収納した特定商品収納装置450が商品売場611に設置される。
【0095】
図11は、特定商品収納装置450を含む商品販売システム1の構成例を示す図である。図11に示した構成例には、資格情報読取装置300、特定商品排出装置400、商品情報読取装置410、及び特定商品選択装置500は含まれず、資格確認装置310及び特定商品収納装置450が追加されている。
【0096】
図12は、特定商品701の第3の販売方法を説明するための図である。図12に示すように、一般商品700を陳列した商品棚600に加えて、特定商品701を収納した特定商品収納装置450と、資格確認装置310とが商品売場611に設置される。設置場所は特に限定されないが、例えば、店舗の入口近傍に資格確認装置310が設置され、一般商品700の商品棚600と並べて特定商品収納装置450が設置される。
【0097】
資格確認装置310は、タッチパネル式の液晶表示装置と、資格情報読取装置300とを含んで構成されている。資格確認装置310の筐体に、資格証明書を挿入して資格情報読取装置300に資格情報を読み取らせるための挿入口が設けられている。
【0098】
液晶表示装置は、資格確認装置310の上部に設けられている。資格確認装置310は、店舗の入口近傍で液晶表示装置の画面を来店客に向けて設置される。画面上には、特定商品701を購入する場合は、資格証明書を資格確認装置310に読み取らせて購入資格の確認処理を実行するよう客に指示する情報が表示される。画面上に、資格証明書から取得する情報の種類や、取り引きを正常終了して退店すれば取得した情報を消去することなどが表示されていてもよい。
【0099】
入口から入った客は、資格確認装置310の画面を確認する。特定商品701を購入したい客は、画面の指示に従って、特定商品701の購入資格を有することを証明するめの処理を開始する。客が画面上の処理開始ボタンを押すと、運転免許証等の資格証明書を筐体前面の挿入口に挿入するよう指示する情報が画面に表示される。客が資格証明書を挿入口に挿入すると、資格確認装置310は、資格証明書を装置内に取り込んで、資格情報読取装置300で資格情報を読み取る。資格情報の読み取り後、資格確認装置310は、挿入口から資格証明書を客に返却する。資格確認装置310で読み取られた資格情報は管理装置100へ入力される。管理装置100は、資格情報に基づいて、客が特定商品701の購入資格を有することを確認する。確認結果は、資格確認装置310の画面上に表示される。
【0100】
入店時から客検出センサ10で客を追跡している管理装置100は、資格確認装置310を操作する客の情報に、購入資格の確認結果を関連付ける。客の購入資格を確認できると、管理装置100は、この客を、特定商品701の購入資格を有する客として取り扱う。
【0101】
図12に示すように、特定商品収納装置450は装置内に商品棚を有し、一般商品700の商品棚600と同様に、特定商品701を装置内に陳列できるようになっている。特定商品収納装置450の商品棚にも、一般商品700の商品棚600と同様に、客が購入する特定商品701を検出するための商品検出センサ20が設けられている。管理装置100は、商品検出センサ20を利用して、客が特定商品収納装置450から取り出した特定商品701の名称及び個数と、客が特定商品収納装置450に戻した特定商品701の名称及び個数とを検出することができる。
【0102】
図13は、特定商品収納装置450の構成例を説明するための図である。特定商品収納装置450は、装置内の商品棚から特定商品701を取り出せないようにロックするロック機構452と、ロック機構452を制御する施解錠部451とを含む。特定商品収納装置450は開閉可能な扉を有し、この扉は、客が開くことができないように、ロック機構452によってロックされている。ロック機構452の種類は特に限定されないが、例えば電磁ロックを利用すればよい。
【0103】
客検出センサ10で客を追跡する管理装置100は、資格確認装置310で購入資格を確認済みの客が、特定商品収納装置450から所定の距離範囲内に近付いたことを検出すると、特定商品収納装置450を制御して扉のロックを解除させる。例えば、客検出センサ10を利用して、客が特定商品収納装置450の前に立ったときにロックを解除するようにしてもよいし、客が特定商品収納装置450の前に装置の方を向いて立ったときにロックを解除するようにしてもよい。施解錠部451がロック機構452による扉のロックを解除することで、客は、特定商品収納装置450の扉を開いて特定商品701を取り出せるようになる。
【0104】
資格確認装置310で資格確認を終えていれば、客は、特定商品収納装置450の前に移動するだけで、扉を開いて特定商品701を取り出すことができる。客が、購入したい特定商品701を特定商品収納装置450から取り出すと、管理装置100は、商品検出センサ20によって特定商品701の名称及び個数を検出して、客との取引対象に追加する。客が扉を閉めて特定商品収納装置450から離れると、これを検出した管理装置100が、特定商品収納装置450を制御して扉をロックさせる。施解錠部451がロック機構452により扉をロックすることで、他の客は特定商品701を取り出せなくなる。
【0105】
客がチェックアウトカウンタ612へ移動すると、上述したように、操作端末210の取引画面に、管理装置100が検出した客の購入商品が表示されて精算処理が開始される。購入商品には、管理装置100が、商品棚600の商品検出センサ20を利用して検出した一般商品700と、特定商品収納装置450の商品検出センサ20を利用して検出した特定商品701とが含まれる。
【0106】
客が購入する特定商品701は既に取引対象に含まれている。客が特定商品701の購入資格を有することも既に資格確認装置310で確認済みである。このため、図1で説明した一般商品700の購入方法と同様に、精算処理が行われて客との取り引きが終了する。
【0107】
第3の方法では、チェックアウトカウンタ612で精算処理を開始するときには既に特定商品701の現物が客の手元にある。このため、客が、精算装置200の操作端末210で特定商品701の購入をキャンセルする操作を行った場合、管理装置100は、店員に特定商品701の回収を指示する通知処理を実行する。通知を受けた店員は、バックオフィス613からチェックアウトカウンタ612に移動して、キャンセルされた特定商品701を回収する。
【0108】
図12は例示であって、資格確認装置310及び特定商品収納装置450の構成を限定するものではない。例えば、資格確認装置310が、上部の液晶表示装置周辺に、資格証明書から資格情報を読み取る読取装置を備え、客が資格証明書を読取装置に翳して資格情報を読み取らせてもよい。入口の資格確認装置310に代えて又は加えて、特定商品収納装置450の近傍に資格確認装置310が配置されてもよい。特定商品収納装置450が、資格情報読取装置300を内蔵し、資格確認装置310の機能を兼ねる態様であってもよい。
【0109】
特定商品収納装置450に物理ボタンが設けられ、物理ボタンを押した客が資格確認装置310で資格確認を終えていることを条件に、管理装置100が、特定商品収納装置450の扉のロックを解除してもよい。例えば扉の把手が物理ボタンとして機能し、購入資格を確認済みの客が把手に手をかけることでロックが解除されるようにすればよい。特定商品収納装置450が複数の扉を備え、各扉でロックの施解錠が行われてもよい。例えば、たばこ用の商品棚、酒用の商品棚というように、特定商品収納装置450の収納空間が複数に仕切られていて、収納空間毎に扉が設けられていてもよい。たばこ用、酒用というように、複数台の特定商品収納装置450が商品売場611に設置されてもよい。
【0110】
このように、商品販売システム1では、特定商品701を購入したい客は、事前に会員登録等の作業を行うことなく、資格確認装置310で資格確認の処理を行うだけで、特定商品収納装置450から特定商品701を取り出して購入することができる。
【0111】
本実施形態では、特定商品701の販売方法を複数説明したが、各方法が個別に実施される態様に限定されず、複数の方法が組み合わせて利用される態様であってもよい。例えば、特定商品701の一部が第1の販売方法で販売されて、他の特定商品701が第2の販売方法で販売されるというように、特定商品701の販売に複数の販売方法が利用される態様であってもよい。
【0112】
第1又は第2の販売方法で客に特定商品701を選択させて、特定商品701の引き渡しを、特定商品排出装置400に代えて、第3の方法に示した特定商品収納装置450を利用して行う態様であってもよい。第3の販売方法で説明したように資格確認装置310を利用して客の資格確認を行ってから、第1又は第2の販売方法で説明したように、客に特定商品701を選択させて販売する態様であってもよい。
【0113】
図12に示す第3の販売方法では、特定商品収納装置450が、資格確認装置310で特定商品701の購入資格を確認できた客に対して、特定商品701を選択可能にする商品取扱装置として機能する例を説明したが、特定商品収納装置450に代えて又は加えて、図10に示す特定商品選択装置500が商品取扱装置として機能する態様であってもよい。この場合、特定商品選択装置500が、資格確認装置310で資格確認を終えた客に対しては特定商品701を選択可能な画面を表示して、資格確認ができていない客に対しては一般商品700の選択画面を表示したり画面を消灯したりすればよい。購入資格を確認できた客が特定商品701を取引対象に加える際に、特定商品収納装置450からの取り出しや、特商品選択装置500での選択を可能にすることで、上述したように特定商品701を販売することができる。例えば、客検出センサ10を利用して、客が装置の前に立ったときや、客が装置の前に装置の方を向いて立ったときに、特定商品701の取り出しや選択を行えるようにすればよい。
【0114】
本実施形態では商品の販売例を複数説明したが、いずれの例においても、管理装置100が取得した客に関する情報を、客の退店後に消去する設定とすることができる。具体的には、客検出センサ10、監視カメラ11、資格情報読取装置300、資格確認装置310等で取得した客の検出データ、客の購入資格に関するデータを、客の退店時に消去する設定とすることができる。例えば、店舗の入口近傍に、データの取扱方法を客に通知するための表示装置が設置される。管理装置100は、表示装置の画面上に、店内での買い物中に客について取得するデータの種類及びデータの利用目的を表示すると共に、取得した客のデータは全て退店後に消去することを表示する。また、管理装置100は、表示装置の画面に、客は、会員登録することなく、一般商品700及び特定商品701を購入可能であることを示す情報を表示する。これにより、個人情報の開示を好まない客も、自身が利用しやすい無人店舗であることを容易に認識することができる。
【0115】
本実施形態では、商品販売システム1が、管理装置100、精算装置200、資格情報読取装置300、資格確認装置310、特定商品排出装置400、商品情報読取装置410、特定商品収納装置450、特定商品選択装置500を含む例を説明した。各構成例は、機能概略的なものであり、商品販売システム1の構成が物理的に該構成に限定されるものではない。例えば、管理装置100が、精算装置200の機能及び動作の一部を実現する態様であってもよいし、精算装置200が、管理装置100の機能及び動作の一部を実現する態様であってもよい。各装置の分散・統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0116】
上述したように、商品販売システムでは、販売時に購入資格の確認を要する特定商品を、無人店舗或いは省人店舗と呼ばれる店舗で客に販売することができる。店舗を利用する際に会員登録等の作業を行う必要はなく、客は、所定の資格証明書によって購入資格を証明することで特定商品を購入することができる。客が退店する際には、客へ商品を販売するために店内で取得された客のデータを消去することも可能であるため、個人情報の取り扱いを重要視する客にとっても利用しやすい店舗とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上のように、本開示に係る商品販売システム及び商品販売方法は、特定商品の購入を求める客にとっての利便性を高めるために有用である。
【符号の説明】
【0118】
1 商品販売システム
10 客検出センサ
11 監視カメラ
20 商品検出センサ
100 管理装置
200 精算装置
210 操作端末
220 現金処理装置
230 電子決済装置
300 資格情報読取装置
310 資格確認装置
400 特定商品排出装置
410 商品情報読取装置
450 特定商品収納装置
500 特定商品選択装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13