IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加熱調理器 図1
  • 特開-加熱調理器 図2
  • 特開-加熱調理器 図3
  • 特開-加熱調理器 図4
  • 特開-加熱調理器 図5
  • 特開-加熱調理器 図6
  • 特開-加熱調理器 図7
  • 特開-加熱調理器 図8
  • 特開-加熱調理器 図9
  • 特開-加熱調理器 図10
  • 特開-加熱調理器 図11
  • 特開-加熱調理器 図12
  • 特開-加熱調理器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131569
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/20 20060101AFI20240920BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20240920BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F24C15/20 C
F24C3/00 L
F24C3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041913
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直行
(57)【要約】
【課題】加熱庫内での調理を円滑に進めることが可能な技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する加熱調理器は、被加熱物を収容可能な加熱庫と、加熱庫に設けられるバーナと、加熱庫に設けられる排気通路と、排気通路に設けられる排気口と、加熱庫の内部の気体を排気口へと導くように構成された排気ファンと、排気ファンを動作させて加熱庫の内部の気体を排気口から排出する排気運転を実行可能に構成された制御部と、バーナの燃焼状態を検出し、燃焼状態を示す燃焼指標を制御部に出力する燃焼状態検出部と、を備える。制御部は、排気運転の開始時には、排気ファンの排気能力を第1排気能力に設定する。制御部は、排気運転の実行中、バーナによる燃焼が行われており、燃焼指標に基づいて燃焼状態が良好であると判断される場合、排気ファンの排気能力を第1排気能力よりも低い第2排気能力に設定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容可能な加熱庫と、
前記加熱庫に設けられるバーナと、
前記加熱庫に設けられる排気通路と、
前記排気通路に設けられる排気口と、
前記加熱庫の内部の気体を前記排気口へと導くように構成された排気ファンと、
前記排気ファンを動作させて前記加熱庫の内部の気体を前記排気口から排出する排気運転を実行可能に構成された制御部と、
前記バーナの燃焼状態を検出し、前記燃焼状態を示す燃焼指標を前記制御部に出力する燃焼状態検出部と、を備えており、
前記制御部は、前記排気運転の開始時には、前記排気ファンの排気能力を第1排気能力に設定し、
前記制御部は、前記排気運転の実行中、前記バーナによる燃焼が行われており、前記燃焼指標に基づいて前記燃焼状態が良好であると判断される場合、前記排気ファンの排気能力を前記第1排気能力よりも低い第2排気能力に設定する、加熱調理器。
【請求項2】
被加熱物を収容可能な加熱庫と、
前記加熱庫に設けられるバーナと、
前記加熱庫に設けられる排気通路と、
前記排気通路に設けられる排気口と、
前記加熱庫の内部の気体を前記排気口へと導くように構成された排気ファンと、
前記排気ファンを動作させて前記加熱庫の内部の気体を前記排気口から排出する排気運転を実行可能に構成された制御部と、
前記バーナの燃焼状態を検出し、前記燃焼状態を示す燃焼指標を前記制御部に出力する燃焼状態検出部と、を備えており、
前記制御部は、前記排気運転の停止中、前記バーナによる燃焼が行われており、前記燃焼指標に基づいて前記燃焼状態が良好でないと判断される場合、前記排気運転を開始する、加熱調理器。
【請求項3】
前記制御部は、前記排気運転の実行中、前記バーナによる燃焼が行われており、前記燃焼指標に基づいて前記燃焼状態が定常状態に至ったと判断される場合、前記排気運転を終了する、請求項1または2の加熱調理器。
【請求項4】
前記燃焼状態検出部は、熱電対を備えており、
前記熱電対の温接点は、前記バーナの炎口に対して、前記炎口の開口方向にオフセットされた位置に配置されており、
前記燃焼指標は、前記熱電対で生じる熱起電力を含む、請求項1または2の加熱調理器。
【請求項5】
前記排気ファンは、前記加熱庫の外部に配置された第1外部ファンを備えており、
前記加熱調理器は、
前記第1外部ファンから送られる風を案内する第1案内通路と、
前記第1案内通路に設けられ、前記第1外部ファンから送られる風が前記第1案内通路の外部に流出する第1流出口と、を備えており、
前記第1流出口は、前記排気口の近傍に配置されている、請求項1または2の加熱調理器。
【請求項6】
前記排気ファンは、前記加熱庫の外部に配置された第2外部ファンを備えており、
前記加熱調理器は、
前記第2外部ファンから送られる風を案内する第2案内通路と、
前記第2案内通路に設けられ、前記第2外部ファンから送られる風が前記第2案内通路の外部に流出する第2流出口と、を備えており、
前記第2流出口は、前記排気通路の途中に接続される、請求項1または2の加熱調理器。
【請求項7】
前記排気ファンは、前記バーナよりも上流側に配置されており、前記バーナに空気を供給するように構成された上流ファンを備える、請求項1または2の加熱調理器。
【請求項8】
前記バーナは、第1バーナと第2バーナを備えており、
前記燃焼状態検出部は、前記第1バーナの燃焼状態を検出する第1燃焼状態検出部と、前記第2バーナの燃焼状態を検出する第2燃焼状態検出部と、を備えており、
前記上流ファンは、前記第1バーナよりも上流側に配置されており、前記第1バーナに空気を供給するように構成された第1上流ファンと、前記第2バーナよりも上流側に配置されており、前記第1バーナに空気を供給するように構成された第2上流ファンと、を備えており、
前記制御部は、前記第1バーナの燃焼状態に基づいて前記第1上流ファンを動作させるとともに、前記第2バーナの燃焼状態に基づいて前記第2上流ファンを動作させる、請求項7の加熱調理器。
【請求項9】
電力が供給されることにより駆動される電装部品と、
前記電装部品を冷却するための冷却ユニットと、を備えており、
前記冷却ユニットは、前記電装部品を内部に保持する冷却通路と、前記冷却通路に空気の流れを発生させる冷却ファンと、を備える、請求項1または2の加熱調理器。
【請求項10】
前記冷却ファンが、前記排気ファンとして機能する、請求項9の加熱調理器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被加熱物を収容可能な加熱庫と、前記加熱庫に設けられるバーナと、前記加熱庫に設けられる排気通路と、前記排気通路に設けられる排気口と、前記加熱庫の内部の気体を前記排気口へと導くように構成された排気ファンと、前記排気ファンを動作させて前記加熱庫の内部の気体を前記排気口から排出する排気運転を実行可能に構成された制御部を備える加熱調理器が開示されている。前記排気運転は、前記加熱庫内に滞留する燃焼ガスの排出を促進し、前記バーナに供給される酸素が不足することを回避し、前記バーナの燃焼状態を良好に保つために実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-132851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の加熱調理器では、バーナの燃焼状態に応じて排気ファンの動作を制御することができなかった。その結果、加熱庫内での調理に支障が出ることがあった。本明細書では、加熱庫内での調理を円滑に進めることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様では、加熱調理器は、被加熱物を収容可能な加熱庫と、前記加熱庫に設けられるバーナと、前記加熱庫に設けられる排気通路と、前記排気通路に設けられる排気口と、前記加熱庫の内部の気体を前記排気口へと導くように構成された排気ファンと、前記排気ファンを動作させて前記加熱庫の内部の気体を前記排気口から排出する排気運転を実行可能に構成された制御部と、前記バーナの燃焼状態を検出し、前記燃焼状態を示す燃焼指標を前記制御部に出力する燃焼状態検出部と、を備える。前記制御部は、前記排気運転の開始時には、前記排気ファンの排気能力を第1排気能力に設定する。前記制御部は、前記排気運転の実行中、前記バーナによる燃焼が行われており、前記燃焼指標に基づいて前記燃焼状態が良好であると判断される場合、前記排気ファンの排気能力を前記第1排気能力よりも低い第2排気能力に設定する。
【0006】
本明細書における「排気能力」とは、加熱庫の内部の気体を排気口から排出する能力を意味する。排気ファンの排気能力は、排気ファンの回転数によって評価されることもあれば、排気ファンの送風量によって評価されることもある。
【0007】
通常、燃焼ガスは、加熱庫で暖められた気体が上昇することに伴って発生する気流(いわゆるドラフト)によって排気口へと導かれる。燃焼状態が良好であるにも関わらず、排気ファンの排気能力を低下させることなく排気ファンを動作させ続けると、ドラフトが過度に強くなるおそれがある。この場合、燃焼ガスが過剰に排出されるので、加熱庫内の温度が低下するおそれがある。その結果、加熱庫内での調理に支障が出るおそれがある。上記の構成によれば、排気運転の実行中、燃焼状態が良好となることに応じて、排気ファンの排気能力を低下させることができる。このため、ドラフトが過度に強くなることを抑制できるので、燃焼ガスが過剰に排出されることを抑制できる。これにより、加熱庫内の温度が低下することを抑制できるので、加熱庫内での調理を円滑に進めることができる。
【0008】
本技術の第2の態様では、加熱調理器は、被加熱物を収容可能な加熱庫と、前記加熱庫に設けられるバーナと、前記加熱庫に設けられる排気通路と、前記排気通路に設けられる排気口と、前記加熱庫の内部の気体を前記排気口へと導くように構成された排気ファンと、前記排気ファンを動作させて前記加熱庫の内部の気体を前記排気口から排出する排気運転を実行可能に構成された制御部と、前記バーナの燃焼状態を検出し、前記燃焼状態を示す燃焼指標を前記制御部に出力する燃焼状態検出部と、を備える。前記制御部は、前記排気運転の停止中、前記バーナによる燃焼が行われており、前記燃焼指標に基づいて前記燃焼状態が良好でないと判断される場合、前記排気運転を開始する。
【0009】
従来では、バーナの燃焼状態が良好でないと予想される所定の時期(例えば、バーナの燃焼初期)に排気運転を実行し、それ以外の時期では排気運転を停止するものがあった。しかしながら、バーナの燃焼状態は様々な外乱から影響を受けるので、予期しないタイミングでバーナの燃焼状態が悪化することがある。従来の構成では、この場合にバーナの燃焼状態を改善することができないので、加熱庫内での調理に支障が出るおそれがある。上記の構成によれば、排気運転の停止中、燃焼指標に基づいてバーナの燃焼状態が良好でないと判断される場合、排気運転を開始することができる。このため、予期しないタイミングでバーナの燃焼状態が悪化したとしても、バーナの燃焼状態を直ちに改善することができる。従って、加熱庫内での調理を円滑に進めることができる。
【0010】
本技術の第3の態様では、上記第1または第2の態様において、前記制御部は、前記排気運転の実行中、前記バーナによる燃焼が行われており、前記燃焼指標に基づいて前記燃焼状態が定常状態に至ったと判断される場合、前記排気運転を終了してもよい。
【0011】
バーナの燃焼状態が過渡状態(例えば、バーナの燃焼初期)である場合、加熱庫内の気体が十分に暖まっておらず、ドラフトが比較的弱いことが予想される。この場合、燃焼ガスが加熱庫内に滞留する可能性があるので、排気運転を実行してドラフトを増強する必要がある。一方、バーナの燃焼状態が定常状態である場合、加熱庫内の気体が十分に暖まっており、ドラフトが比較的強いことが予想される。この場合、燃焼ガスが加熱庫内に滞留する可能性が低いので、排気運転を実行してドラフトを増強する必要はない。むしろこの状況で排気運転を実行すると、排気ファンを無駄に動作させることになり、加熱調理器の消費電力が無駄に増加してしまう。上記の構成によれば、バーナの燃焼状態が定常状態に至ることに応じて、排気運転を停止することができる。このため、加熱調理器の消費電力が無駄に増加してしまうことを抑制できる。
【0012】
本技術の第4の態様では、上記第1から第3の態様の何れか一つにおいて、前記燃焼状態検出部は、熱電対を備えてもよい。前記熱電対の温接点は、前記バーナの炎口に対して、前記炎口の開口方向にオフセットされた位置に配置されてもよい。前記燃焼指標は、前記熱電対で生じる熱起電力を含んでもよい。
【0013】
バーナの燃焼状態が良好である場合、バーナの炎口に形成される火炎の勢いが強くなる。その結果、熱電対の温接点の温度が高くなるので、熱電対で生じる熱起電力は比較的大きくなる。一方、バーナの燃焼状態が良好でない場合、炎口に形成される火炎の勢いが低減される。その結果、熱電対の温接点の温度が低くなるので、熱電対で生じる熱起電力は比較的小さくなる。従って、上記の構成によれば、バーナの燃焼状態の良し悪しを、熱電対で生じる熱起電力の大小として検出することができる。
【0014】
本技術の第5の態様では、上記第1から第4の態様の何れか一つにおいて、前記排気ファンは、前記加熱庫の外部に配置された第1外部ファンを備えてもよい。前記加熱調理器は、前記第1外部ファンから送られる風を案内する第1案内通路と、前記第1案内通路に設けられ、前記第1外部ファンから送られる風が前記第1案内通路の外部に流出する第1流出口と、を備えてもよい。前記第1流出口は、前記排気口の近傍に配置されてもよい。
【0015】
加熱庫で調理が行われる際、加熱庫の内部は高温となる。仮に排気ファンが加熱庫の内部に配置されていると、排気ファンが高温にさらされるので、排気ファンが劣化するおそれがある。上記の構成によれば、排気ファンに相当する第1外部ファンが、加熱庫の外部に配置される。このため、第1外部ファンが高温にさらされることを抑制でき、排気ファンが劣化することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、第1流出口から流出する風によって、加熱庫の内部から排気口に向けて気体を引き出すような負圧が生じる。当該負圧によって、ドラフトが増強される。
【0016】
本技術の第6の態様では、上記第1から第5の態様の何れか一つにおいて、前記排気ファンは、前記加熱庫の外部に配置された第2外部ファンを備えてもよい。前記加熱調理器は、前記第2外部ファンから送られる風を案内する第2案内通路と、前記第2案内通路に設けられ、前記第2外部ファンから送られる風が前記第2案内通路の外部に流出する第2流出口と、を備えてもよい。前記第2流出口は、前記排気通路の途中に接続されてもよい。
【0017】
調理が行われる際、加熱庫の内部は高温となる。仮に排気ファンが加熱庫の内部に配置されていると、排気ファンが高温にさらされるので、排気ファンが劣化するおそれがある。上記の構成によれば、排気ファンに相当する第2外部ファンが、加熱庫の外部に配置される。このため、第2外部ファンが高温にさらされることを抑制でき、排気ファンが劣化することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、第2流出口から流出する風によって、排気通路の内部の空気が排気口に向けて押し流される。これによって、ドラフトが増強される。
【0018】
本技術の第7の態様では、上記第1から第6の態様の何れか一つにおいて、前記排気ファンは、前記バーナよりも上流側に配置されており、前記バーナに空気を供給するように構成された上流ファンを備えてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、上流ファンによって、バーナの上流側から風を送ることができる。このため、バーナに対して積極的に酸素を供給することができる。
【0020】
本技術の第8の態様では、上記第7の態様において、前記バーナは、第1バーナと第2バーナを備えてもよい。前記燃焼状態検出部は、前記第1バーナの燃焼状態を検出する第1燃焼状態検出部と、前記第2バーナの燃焼状態を検出する第2燃焼状態検出部と、を備えてもよい。前記上流ファンは、前記第1バーナよりも上流側に配置されており、前記第1バーナに空気を供給するように構成された第1上流ファンと、前記第2バーナよりも上流側に配置されており、前記第1バーナに空気を供給するように構成された第2上流ファンと、を備えてもよい。前記制御部は、前記第1バーナの燃焼状態に基づいて前記第1上流ファンを動作させるとともに、前記第2バーナの燃焼状態に基づいて前記第2上流ファンを動作させてもよい。
【0021】
例えば、第1バーナの燃焼状態は良好だが、第2バーナの燃焼状態が良好でない、といった状況が存在する。この状況では、第1バーナの近傍の環境は正常である(即ち、燃焼ガスが滞留しておらず、酸素が十分に存在する)が、第2バーナの近傍の環境は正常でない(即ち、燃焼ガスが滞留しており、酸素が十分に存在しない)ことが予想される。この状況において、加熱庫の全体にわたって一様にドラフトが増強されると、第2バーナの近傍の環境は改善できるものの、第1バーナの近傍の環境を悪化させるおそれがある。その結果、加熱庫内での調理に支障が出るおそれがある。上記の構成によれば、この状況において、第1上流ファンを停止しつつ、第2上流ファンのみを動作させることができる。このため、第2バーナの近傍においてのみドラフトを増強することができるので、第1バーナの近傍の環境については現状を維持しつつ、第2バーナの近傍の環境を改善することができる。従って、加熱庫内での調理を円滑に進めることができる。
【0022】
本技術の第9の態様では、上記第1から第8の態様の何れか一つにおいて、前記加熱調理器は、電力が供給されることにより駆動される電装部品と、前記電装部品を冷却するための冷却ユニットと、を備えてもよい。前記冷却ユニットは、前記電装部品を内部に保持する冷却通路と、前記冷却通路に空気の流れを発生させる冷却ファンと、を備えてもよい。
【0023】
加熱調理器が冷却ファンを備える構成では、冷却ファンを動作させると、例えば加熱調理器の筐体内の圧力が低下するなどして、加熱庫への空気の導入量が低下することがある。このため、加熱庫において、燃焼ガスが滞留しやすく、バーナへの酸素の供給量も少なくなる傾向がある。その結果、バーナの燃焼状態が悪化しやすいので、バーナの燃焼状態を良好に保つことが特に望まれる。上記の構成によれば、バーナの燃焼状態を良好に保つ効果が顕著に発揮される。
【0024】
本技術の第10の態様では、上記第9の態様において、前記冷却ファンが、前記排気ファンとして機能してもよい。
【0025】
上記の構成によれば、冷却ファンを、排気ファンとして利用することができる。このため、排気ファンを別個に用意する必要がないので、加熱調理器の部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例1の加熱調理器2を前方右方上方から見た図である。
図2】実施例1の加熱調理器2が備える加熱庫32の内部構造を示す断面図である。
図3】実施例1の加熱調理器2が備える上火バーナ48、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、およびアフターバーナ52を前方左方上方から見た図である。
図4】実施例1の加熱調理器2が備える左側下火バーナ88を前方右方上方から見た図である。
図5】実施例1の加熱調理器2の構成を模式的に示す図である。
図6】実施例1の加熱調理器2の制御部134が実行する第1燃焼促進処理のフローチャートである。
図7】実施例1の加熱調理器2の制御部134が実行する右側排気運転のフローチャートである。
図8】実施例1の加熱調理器2の制御部134が実行する左側排気運転のフローチャートである。
図9】実施例2の加熱調理器202を前方右方上方から見た図である。
図10】実施例2の加熱調理器202の構成を模式的に示す図である。
図11】実施例2の加熱調理器202の制御部134が実行する第2燃焼促進処理のフローチャートである。
図12】実施例2の加熱調理器202の制御部134が実行する冷却排気運転のフローチャートである。
図13】実施例3の加熱調理器302の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施例1;加熱調理器2)
図1に示す加熱調理器2は、システムキッチンに組み込んで使用されるビルトインコンロである。加熱調理器2は、調理器本体4と天板6を備えている。調理器本体4は、加熱調理器2がシステムキッチンに組み込まれたときに、システムキッチンの手前側に露出する前面4aを備えている。天板6は、調理器本体4の上部に配置されており、加熱調理器2がシステムキッチンに組み込まれたときに、システムキッチンのカウンタトップに露出する。なお、以下の説明において、加熱調理器2の前後方向、左右方向とは、システムキッチンの手前側を前方とし、システムキッチンの奥側を後方としたときの、前後方向、左右方向を意味する。このため、加熱調理器2の前後方向、左右方向は、加熱調理器2を使用するユーザから見た前後方向、左右方向とは異なることに留意されたい。
【0028】
天板6には、第1コンロ加熱部8と、第2コンロ加熱部10と、第3コンロ加熱部12が設けられている。第1コンロ加熱部8と、第2コンロ加熱部10と、第3コンロ加熱部12は、いずれも都市ガス等の燃料を熱源として被加熱物を加熱するガスコンロである。第1コンロ加熱部8は、調理容器(例えば鍋)を載置可能な五徳14と、五徳14に載置された調理容器を加熱するコンロバーナ16と、五徳14に調理容器が載置されているか否かを検出可能であるとともに、五徳14に載置された調理容器の温度を検出可能な鍋底温度センサ18を備えている。第2コンロ加熱部10は、調理容器(例えば鍋)を載置可能な五徳20と、五徳20に載置された調理容器を加熱するコンロバーナ22と、五徳20に調理容器が載置されているか否かを検出可能であるとともに、五徳20に載置された調理容器の温度を検出可能な鍋底温度センサ24を備えている。第3コンロ加熱部12は、調理容器(例えば鍋)を載置可能な五徳26と、五徳26に載置された調理容器を加熱するコンロバーナ28と、五徳26に調理容器が載置されているか否かを検出可能であるとともに、五徳26に載置された調理容器の温度を検出可能な鍋底温度センサ30を備えている。また、天板6の後部には、調理器本体4の内部と外部の間を連通させる天板開口部6aが設けられている。
【0029】
調理器本体4の内部には、加熱庫32が設けられている。加熱庫32は、例えばグリル庫である。加熱庫32には、前面4aに形成された前面開口部32aを介して食材や調理容器を出し入れすることができる。前面開口部32aは、扉部材32bにより開閉される。
【0030】
調理器本体4の前面4aにおいて扉部材32bの左側には、主電源スイッチ33と、第1コンロ操作ノブ34と、第2コンロ操作ノブ35と、第3コンロ操作ノブ36と、コンロ操作パネル37が設けられている。主電源スイッチ33は、加熱調理器2の主電源のオン操作およびオフ操作を受け入れる。第1コンロ操作ノブ34は、第1コンロ加熱部8による加熱の開始操作および終了操作、および第1コンロ加熱部8の加熱量の調整操作を受け入れる。第2コンロ操作ノブ35は、第2コンロ加熱部10による加熱の開始操作および終了操作、および第2コンロ加熱部10の加熱量の調整操作を受け入れる。第3コンロ操作ノブ36は、第3コンロ加熱部12による加熱の開始操作および終了操作、および第3コンロ加熱部12の加熱量の調整操作を受け入れる。コンロ操作パネル37は、いわゆるカンガルーポケット式の操作パネルである。図示しないが、通常時、コンロ操作パネル37は閉じられる。図1に示すように、ユーザがコンロ操作パネル37を開くと、表示部37aと操作部37bが露出する。表示部37aには、第1コンロ加熱部8、第2コンロ加熱部10、第3コンロ加熱部12の動作状態などが表示される。操作部37bは、第1コンロ加熱部8、第2コンロ加熱部10および/または第3コンロ加熱部12を用いた自動調理の開始操作および終了操作、および自動調理のための設定操作などを受け入れる。
【0031】
調理器本体4の前面4aにおいて扉部材32bの右側には、加熱庫操作ノブ38と、加熱庫操作パネル39と、が設けられている。加熱庫操作ノブ38は、加熱庫32による加熱の開始操作および終了操作、および加熱庫32の加熱量の調整操作を受け入れる。加熱庫操作パネル39は、いわゆるカンガルーポケット式の操作パネルである。図示しないが、通常時、加熱庫操作パネル39は閉じられる。図1に示すように、ユーザが加熱庫操作パネル39を開くと、表示部39aと操作部39bが露出する。表示部39aには、加熱庫32の動作状態などが表示される。操作部39bは、加熱庫32を用いた自動調理の開始操作および終了操作、および自動調理のための設定操作などを受け入れる。
【0032】
図2に示すように、加熱庫32は、被加熱物を収容するための加熱庫本体42と、加熱庫本体42に設けられた排気通路44を備える。加熱庫本体42には、被加熱物を載置するための焼網46と、焼網46の上方に配置された上火バーナ48と、焼網46の下方に配置された下火バーナ50が設けられる。上火バーナ48は、焼網46に載置された被加熱物を上方から加熱する。下火バーナ50は、焼網46に載置された被加熱物を下方から加熱する。また、排気通路44には、アフターバーナ52が設けられる。アフターバーナ52は、加熱庫本体42での調理に伴って生じる臭気を加熱することにより、当該臭気の臭気強度を低減する。
【0033】
図3に示すように、上火バーナ48は、加熱庫32(図2参照)の内部の上方において、前後方向および左右方向に広がるように配置されている。上火バーナ48は、取入口54と、混合管56と、混合室58と、複数の炎口60(図2参照)を備えている。取入口54は、加熱庫32の外部に配置されている。混合管56は、加熱庫32を外部から内部に貫通するように配置されている。混合室58は、加熱庫32の内部に配置されている。図2に示す複数の炎口60は、混合室58の下面に配置されたセラミックプレート58aに形成されており、下方に向けて開口している。図3に示す取入口54には、加熱庫32の外部に配置された噴射ノズル(図示せず)から、燃料が噴射される。取入口54に噴射された燃料は、周囲の空気を一次空気として引き込みながら、混合管56へ流入する。混合管56に流入した燃料と一次空気は、混合ガスとなって混合室58へと流入する。混合室58に流入した混合ガスは、複数の炎口60(図2参照)から流出して燃焼する。また、混合ガスの燃焼に伴ってセラミックプレート58a(図2参照)が加熱されると、セラミックプレート58aから赤外線が放射される。上火バーナ48は、いわゆるシュバンクバーナである。
【0034】
上火バーナ48には、上火バーナ48の燃焼状態を検出するための上火バーナ用熱電対62が取り付けられる。上火バーナ用熱電対62は、ケーブル64が設けられる基端から、温接点66が設けられる先端まで、略直線的に延在している。上火バーナ用熱電対62は、基端から先端に向かうにつれて、複数の炎口60(図2参照)に近づくように配置されている。上火バーナ用熱電対62の先端(温接点66)は、複数の炎口60の一部に対して下方にオフセットされた位置に配置される。複数の炎口60に対する温接点66のオフセット幅は、例えば5mmから7mmの範囲内であって、本実施例では6mmである。上火バーナ48の燃焼状態が良好である場合、複数の炎口60に形成される火炎によってセラミックプレート58a(図2参照)が十分に加熱されるので、セラミックプレート58aからの放熱量が大きくなる。その結果、温接点66の温度が高くなるので、上火バーナ用熱電対62で生じる熱起電力は大きくなる。一方、上火バーナ48の燃焼状態が良好でない場合、複数の炎口60に形成される火炎の勢いが低減されるので、セラミックプレート58aが十分に加熱されず、セラミックプレート58aからの放熱量が小さくなる。その結果、温接点66の温度が低くなるので、上火バーナ用熱電対62で生じる熱起電力は小さくなる。従って、上火バーナ用熱電対62は、上火バーナ48の燃焼状態の良し悪しを、熱起電力の大小として検出することができる。
【0035】
下火バーナ50は、右側下火バーナ68を備える。右側下火バーナ68は、加熱庫32(図2参照)の内部の右方下方において、前後方向に伸びるように配置されている。右側下火バーナ68は、取入口70と、混合管72と、混合室74と、炎口76を備えている。取入口70は、加熱庫32の外部に配置されている。混合管72は、加熱庫32を外部から内部に貫通するように配置されている。混合室74は、加熱庫32の内部に配置されている。炎口76は、混合室74の左部に形成されており、左方に向けて開口している。炎口76は、前後方向に沿って離散的に設けられた複数の主炎口78と、前後方向に沿って連続的に設けられた保炎口80を備える。取入口70には、加熱庫32の外部に配置された噴射ノズル(図示せず)から、燃料が噴射される。噴射ノズルから取入口70に噴射された燃料は、周囲の空気を一次空気として引き込みながら、混合管72へ流入する。混合管72に流入した燃料と一次空気は、混合ガスとなって混合室74へと流入する。混合室74に流入した混合ガスは、炎口76から流出して燃焼する。右側下火バーナ68は、いわゆるブンゼンバーナである。
【0036】
右側下火バーナ68には、右側下火バーナ68の燃焼状態を検出するための右側下火バーナ用熱電対82が取り付けられる。右側下火バーナ用熱電対82は、ケーブル84が設けられる基端から、温接点86が設けられる先端まで、略直線的に延在している。右側下火バーナ用熱電対82は、基端から先端に向かうにつれて、炎口76に近づくように配置されている。右側下火バーナ用熱電対82の先端(温接点86)は、複数の主炎口78のうちの一つに対して、左方にオフセットされた位置に配置される。主炎口78に対する右側下火バーナ用熱電対82のオフセット幅は、例えば4mmから6mmの範囲内であって、本実施例では5mmである。右側下火バーナ68の燃焼状態が良好である場合、主炎口78に形成される火炎は温接点86にまで及ぶ。その結果、温接点86の温度が高くなるので、右側下火バーナ用熱電対82で生じる熱起電力は大きくなる。一方、右側下火バーナ68の燃焼状態が良好でない場合、主炎口78に形成される火炎の勢いが低減されるので、火炎が小さくなったり、火炎が揺らいだりする。その結果、主炎口78に形成される火炎が温接点86に及ばなくなるので、温接点86の温度が低くなり、右側下火バーナ用熱電対82で生じる熱起電力は小さくなる。従って、右側下火バーナ用熱電対82は、右側下火バーナ68の燃焼状態の良し悪しを、熱起電力の大小として検出することができる。
【0037】
下火バーナ50は、左側下火バーナ88をさらに備える。左側下火バーナ88は、加熱庫32(図2参照)の内部の左方下方において、前後方向に伸びるように配置されている。左側下火バーナ88は、取入口90と、混合管92と、混合室94と、炎口96を備えている。取入口90は、加熱庫32の外部に配置されている。混合管92は、加熱庫32を外部から内部に貫通するように配置されている。混合室94は、加熱庫32の内部に配置されている。図4に示すように、炎口96は、混合室74の右部に形成されており、右方に向けて開口している。炎口96は、前後方向に沿って離散的に設けられた複数の主炎口98と、前後方向に沿って連続的に設けられた保炎口100を備える。取入口90(図3参照)には、加熱庫32の外部に配置された噴射ノズル(図示せず)から、燃料が噴射される。噴射ノズルから取入口90に噴射された燃料は、周囲の空気を一次空気として引き込みながら、混合管92へ流入する。混合管92に流入した燃料と一次空気は、混合ガスとなって混合室94へと流入する。混合室94に流入した混合ガスは、炎口96から流出して燃焼する。左側下火バーナ88は、いわゆるブンゼンバーナである。
【0038】
左側下火バーナ88には、左側下火バーナ88の燃焼状態を検出するための左側下火バーナ用熱電対102が取り付けられる。左側下火バーナ用熱電対102は、ケーブル104が設けられる基端から、温接点106が設けられる先端まで、略直線的に延在している。左側下火バーナ用熱電対102は、基端から先端に向かうにつれて、炎口96に近づくように配置されている。左側下火バーナ用熱電対102の先端(温接点106)は、複数の主炎口98のうちの一つに対して、右方にオフセットされた位置に配置される。主炎口98に対する左側下火バーナ用熱電対102のオフセット幅は、例えば4mmから6mmの範囲内であって、本実施例では5mmである。左側下火バーナ88の燃焼状態が良好である場合、主炎口98に形成される火炎は温接点106にまで及ぶ。その結果、温接点106の温度が高くなるので、左側下火バーナ用熱電対102で生じる熱起電力は大きくなる。一方、左側下火バーナ88の燃焼状態が良好でない場合、主炎口98に形成される火炎の勢いが低減されるので、火炎が小さくなったり、火炎が揺らいだりする。その結果、主炎口98に形成される火炎が温接点106に及ばなくなるので、温接点106の温度が低くなり、左側下火バーナ用熱電対102で生じる熱起電力は小さくなる。従って、左側下火バーナ用熱電対102は、左側下火バーナ88の燃焼状態の良し悪しを、熱起電力の大小として検出することができる。
【0039】
図3に示すアフターバーナ52は、加熱庫32(図2参照)の内部において、左右方向に伸びるように配置されている。アフターバーナ52は、取入口108と、混合管110と、混合室112と、複数の炎口114を備えている。取入口108は、加熱庫32の外部に配置されている。混合管110は、加熱庫32を外部から内部に貫通するように配置されている。混合室112は、加熱庫32の内部に配置されている。複数の炎口114は、混合室112の上面に形成されており、上方に向けて開口している。取入口108には、噴射ノズル(図示せず)から燃料が噴射される。噴射ノズルから取入口108に噴射された燃料は、周囲の空気を一次空気として引き込みながら、混合管110へ流入する。混合管110に流入した燃料と一次空気は、混合ガスとなって混合室112へと流入する。混合室112に流入した混合ガスは、複数の炎口114から流出して燃焼する。アフターバーナ52は、いわゆる赤外線バーナである。
【0040】
アフターバーナ52には、アフターバーナ52の燃焼状態を検出するためのアフターバーナ用熱電対116が取り付けられる。アフターバーナ用熱電対116は、ケーブル118が設けられる基端から、温接点120が設けられる先端まで、略直線的に延在している。アフターバーナ用熱電対116は、基端から先端に向かうにつれて、複数の炎口114に近づくように配置されている。アフターバーナ用熱電対116の先端(温接点120)は、複数の炎口114の一部に対して上方にオフセットされた位置に配置される。複数の炎口114に対する温接点120のオフセット幅は、例えば5mmから7mmの範囲内であって、本実施例では6mmである。アフターバーナ52の燃焼状態が良好である場合、複数の炎口114に形成される火炎は温接点120にまで及ぶ。その結果、温接点120の温度が高くなるので、アフターバーナ用熱電対116で生じる熱起電力は大きくなる。一方、アフターバーナ52の燃焼状態が良好でない場合、複数の炎口114に形成される火炎の勢いが低減されるので、火炎が小さくなったり、火炎が揺らいだりする。その結果、複数の炎口114に形成される火炎が温接点120に及ばなくなるので、温接点120の温度が低くなり、アフターバーナ用熱電対116で生じる熱起電力は小さくなる。従って、アフターバーナ用熱電対116は、アフターバーナ52の燃焼状態の良し悪しを、熱起電力の大小として検出することができる。
【0041】
図5に示すように、加熱庫本体42には、右側下火バーナ68の右方に配置される右側吸気口122と、左側下火バーナ88の左方に配置される左側吸気口124と、加熱庫本体42と排気通路44(図2参照)の間を連通させる連通口126が設けられる。図2に示すように、排気通路44の後方上部には、排気口128が設けられる。排気口128は、天板開口部6aを介して、調理器本体4の外部に連通している。
【0042】
加熱庫本体42で調理が行われる場合、加熱庫本体42で空気が暖められることにより、ドラフトDが発生する。ドラフトDは、調理器本体4に設けられた吸気口(図示せず)を介して調理器本体4の内部に流入した後、右側吸気口122(図5参照)および左側吸気口124(図5参照)を介して加熱庫本体42の内部に流入する。そして、ドラフトDは、加熱庫本体42から連通口126を介して排気通路44に流れた後、排気口128および天板開口部6aを介して調理器本体4の外部に流出する。図2および図5では、ドラフトDを、矢印を用いて図示している。本明細書では、ドラフトDの流れにおける上流側および下流側を、単に「上流側」および「下流側」と呼ぶことがある。
【0043】
図5に示すように、加熱調理器2は、調理器本体4の内部において加熱庫32の右側に配置された右側ファン130と、調理器本体4の内部において加熱庫32の左側に配置された左側ファン132を備える。右側ファン130は、例えばシロッコファンである。右側ファン130は、右側下火バーナ68よりも上流側に配置されている。右側ファン130は、右側吸気口122を介して、右側下火バーナ68に向けて送風するように構成されている。このため、右側ファン130が動作されると、右側下火バーナ68の近傍において、ドラフトDが増強される。また、左側ファン132は、例えばシロッコファンである。左側ファン132は、左側下火バーナ88よりも上流側に配置されている。左側ファン132は、左側吸気口124を介して、左側下火バーナ88に向けて送風するように構成されている。このため、左側ファン132が動作されると、左側下火バーナ88の近傍において、ドラフトDが増強される。
【0044】
加熱調理器2は、加熱調理器2の動作を制御するための制御部134をさらに備える。制御部134は、CPU、ROM、RAM等を備える。制御部134は、加熱調理器2の各電装部品(例えば、右側ファン130、左側ファン132)に電気的に接続される。また、制御部134には、図3に示す上火バーナ用熱電対62、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、およびアフターバーナ用熱電対116のそれぞれで生じた熱起電力が出力される。
【0045】
(第1燃焼促進処理;図6
制御部134は、加熱調理器2の電源がオンとなっている間、図6に示す第1燃焼促進処理を繰り返し実行する。S2では、制御部134は、加熱庫32による加熱が開始されたか否かを判断する。制御部134は、例えば、加熱庫操作ノブ38に対して加熱庫32による加熱の開始操作がされた場合に、加熱庫32による加熱が開始されたと判断する。加熱庫32による加熱が開始されていない場合(NOの場合)、処理はS2を再度実行する。加熱庫32による加熱が開始された場合(YESの場合)、処理はS4へ進む。
【0046】
S4では、制御部134は、右側排気運転(図7参照)を開始する。詳細は後述するが、右側排気運転では、右側ファン130が動作される。これにより、右側下火バーナ68の近傍においてドラフトDが増強され、右側下火バーナ68に供給される酸素の量が増加する。その結果、右側下火バーナ68の燃焼が促進される。副次的に、上火バーナ48、左側下火バーナ88、およびアフターバーナ52の燃焼も促進される。S4の後、処理はS6へ進む。
【0047】
S6では、制御部134は、左側排気運転(図8参照)を開始する。詳細は後述するが、左側排気運転では、左側ファン132が動作される。これにより、左側下火バーナ88の近傍においてドラフトDが増強され、左側下火バーナ88に供給される酸素の量が増加する。その結果、左側下火バーナ88の燃焼が促進される。副次的に、上火バーナ48、右側下火バーナ68、およびアフターバーナ52の燃焼も促進される。S6の後、処理はS8へ進む。
【0048】
S8では、制御部134は、右側排気運転が実行中であるか否かを判断する。右側排気運転が実行中でない場合(NOの場合)、処理はS10へ進む。
【0049】
S10では、制御部134は、右側下火バーナ68の燃焼状態が良好であるか否かを判断する。具体的には、制御部134は、右側下火バーナ用熱電対82で生じる熱起電力が第1電圧閾値(例えば、5mV)以上であるか否かを判断する。右側下火バーナ68の燃焼状態が良好でない場合(NOの場合)、処理はS12へ進む。
【0050】
S12では、制御部134は、右側排気運転を開始する。
【0051】
S8で右側排気運転が実行中であると判断される場合(YESの場合)、S10で右側下火バーナ68の燃焼状態が良好であると判断される場合(YESの場合)、またはS12の後、処理はS14へ進む。S14では、制御部134は、左側排気運転が実行中であるか否かを判断する。左側排気運転が実行中でない場合(NOの場合)、処理はS16へ進む。
【0052】
S16では、制御部134は、左側下火バーナ88の燃焼状態が良好であるか否かを判断する。具体的には、制御部134は、左側下火バーナ用熱電対102で生じる熱起電力が第2電圧閾値(例えば、5mV)以下であるか否かを判断する。左側下火バーナ88の燃焼状態が良好でない場合(NOの場合)、処理はS18へ進む。
【0053】
S18では、制御部134は、左側排気運転を開始する。
【0054】
S14で左側排気運転が実行中であると判断される場合(YESの場合)、S16で左側下火バーナ88の燃焼状態が良好であると判断される場合(YESの場合)、またはS18の後、処理はS20へ進む。S20では、制御部134は、加熱庫32による加熱が終了したか否かを判断する。制御部134は、例えば、加熱庫操作ノブ38に対して加熱庫32による加熱の終了操作がされた場合に、加熱庫32による加熱が終了したと判断する。加熱庫32による加熱が終了していない場合(NOの場合)、処理はS8に戻る。加熱庫32による加熱が終了した場合(YESの場合)、図6に示す第1燃焼促進処理は終了する。
【0055】
(右側排気運転;図7
右側排気運転は、第1燃焼促進処理(図6参照)のS4またはS12において開始される。なお、第1燃焼促進処理の中で右側排気運転が開始された後は、第1燃焼促進処理と右側排気運転が互いに並行して実行されることに留意されたい。
【0056】
S22では、制御部134は、右側ファン130の動作を開始する。この時、制御部134は、右側ファン130の回転数を通常回転数(例えば、2000rpm)に設定する。S22の後、処理はS24へ進む。
【0057】
S24では、制御部134は、右側下火バーナ68の燃焼状態が良好であるか否かを判断する。具体的には、制御部134は、右側下火バーナ用熱電対82で生じる熱起電力が第3電圧閾値(例えば、10mV)以上であるか否かを判断する。なお、第3電圧閾値は、図6のS10における第1電圧閾値よりも大きい値に設定される。これは、図6のS10では右側ファン130が停止されているが、S24では右側ファン130が動作されていることにより右側下火バーナ68の燃焼が比較的促進される、という事情を加味してのものである。右側下火バーナ68の燃焼状態が良好である場合(YESの場合)、処理はS26へ進む。
【0058】
S26では、制御部134は、右側ファン130の排気能力を低下させる。具体的には、制御部134は、右側ファン130の回転数を、通常回転数よりも低い低回転数(例えば、1000rpm)に設定する。S26の後、処理はS28へ進む。
【0059】
S28では、制御部134は、右側下火バーナ68の燃焼状態が定常状態に至ったか否かを判断する。制御部134は、例えば、S28が開始されてから所定期間(例えば、5秒)の間、右側下火バーナ用熱電対82で生じる熱起電力を監視する。そして、制御部134は、当該期間中の熱起電力の変化量が所定量(例えば、2mV)以下である場合に、右側下火バーナ68の燃焼状態が定常状態に至ったと判断する。右側下火バーナ68の燃焼状態が定常状態に至った場合(YESの場合)、処理はS30へ進む。
【0060】
S30では、制御部134は、右側ファン130を停止させる。S30の後、図7に示す右側排気運転は終了する。
【0061】
S24で右側下火バーナ68の燃焼状態が良好でないと判断される場合(NOの場合)、処理はS32へ進む。S32では、制御部134は、S22で右側ファン130の動作を開始してから60秒経過したか否かを判断する。S22で右側ファン130の動作を開始してから60秒経過していない場合(NOの場合)、処理はS24に戻る。
【0062】
S28で右側下火バーナ68の燃焼状態が定常状態に至っていないと判断される場合(NOの場合)、処理はS34へ進む。S34では、制御部134は、S26で右側ファン130の排気能力を低下させてから30秒経過したか否かを判断する。S26で右側ファン130の排気能力を低下させてから30秒経過していない場合(NOの場合)、処理はS28に戻る。
【0063】
S22で右側ファン130の動作を開始してから60秒経過した場合(S32でYESの場合)、またはS26で右側ファン130の排気能力を低下させてから30秒経過した場合(S34でYESの場合)、処理はS36へ進む。S36では、制御部134は、加熱庫32に異常が発生したと判断し、右側ファン130を停止させた上で、加熱庫32による加熱を終了する。S36の後、図7に示す右側排気運転は終了する。
【0064】
(左側排気運転;図8
左側排気運転は、第1燃焼促進処理(図6参照)のS6またはS18において開始される。なお、第1燃焼促進処理の中で左側排気運転が開始された後は、第1燃焼促進処理と左側排気運転が互いに並行して実行されることに留意されたい。
【0065】
S38では、制御部134は、左側ファン132の動作を開始する。この時、制御部134は、左側ファン132の回転数を通常回転数(例えば、2000rpm)に設定する。S38の後、処理はS40へ進む。
【0066】
S40では、制御部134は、左側下火バーナ88の燃焼状態が良好であるか否かを判断する。具体的には、制御部134は、左側下火バーナ用熱電対102で生じる熱起電力が第4電圧閾値(例えば、10mV)以上であるか否かを判断する。なお、第4電圧閾値は、図6のS16における第2電圧閾値よりも大きい値に設定される。これは、図6のS16では左側ファン132が停止されているが、S40では左側ファン132が動作されていることにより左側下火バーナ88の燃焼が比較的促進される、という事情を加味してのものである。左側下火バーナ88の燃焼状態が良好である場合(YESの場合)、処理はS42へ進む。
【0067】
S42では、制御部134は、左側ファン132の排気能力を低下させる。具体的には、制御部134は、左側ファン132の回転数を、通常回転数よりも低い低回転数(例えば、1000rpm)に設定する。S42の後、処理はS44へ進む。
【0068】
S44では、制御部134は、左側下火バーナ88の燃焼状態が定常状態に至ったか否かを判断する。制御部134は、例えば、S44が開始されてから所定期間(例えば、5秒)の間、左側下火バーナ用熱電対102で生じる熱起電力を監視する。そして、制御部134は、当該期間中の熱起電力の変化量が所定量(例えば、2mV)以下である場合に、左側下火バーナ88の燃焼状態が定常状態に至ったと判断する。左側下火バーナ88の燃焼状態が定常状態に至った場合(YESの場合)、処理はS46へ進む。
【0069】
S46では、制御部134は、左側ファン132を停止させる。S46の後、図8に示す左側排気運転は終了する。
【0070】
S40で左側下火バーナ88の燃焼状態が良好でないと判断される場合(NOの場合)、処理はS48へ進む。S48では、制御部134は、S38で左側ファン132の動作を開始してから60秒経過したか否かを判断する。S38で左側ファン132の動作を開始してから60秒経過していない場合(NOの場合)、処理はS40に戻る。
【0071】
S44で左側下火バーナ88の燃焼状態が定常状態に至っていないと判断される場合(NOの場合)、処理はS50へ進む。S50では、制御部134は、S42で左側ファン132の排気能力を低下させてから30秒経過したか否かを判断する。S42で左側ファン132の排気能力を低下させてから30秒経過していない場合(NOの場合)、処理はS44に戻る。
【0072】
S38で左側ファン132の動作を開始してから60秒経過した場合(S48でYESの場合)、またはS42で左側ファン132の排気能力を低下させてから30秒経過した場合(S50でYESの場合)、処理はS52へ進む。S52では、制御部134は、加熱庫32に異常が発生したと判断し、左側ファン132を停止させた上で、加熱庫32による加熱を終了する。S52の後、図8に示す左側排気運転は終了する。
【0073】
(実施例2;加熱調理器202)
図9に示す加熱調理器202は、実施例1の加熱調理器2と同様に、システムキッチンに組み込んで使用されるビルトインコンロである。以下では、加熱調理器2と加熱調理器202の間で相違する構成についてのみ説明を行う。加熱調理器2と加熱調理器202の間で共通する構成については、共通の符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0074】
加熱調理器202の天板6には、第1コンロ加熱部208と、第2コンロ加熱部210と、第3コンロ加熱部212が設けられる。第1コンロ加熱部208は、都市ガス等の燃料を熱源として被加熱物を加熱するガスコンロである。第1コンロ加熱部208は、実施例1の第1コンロ加熱部8等と略同様に構成されているため、第1コンロ加熱部208に係る説明は省略する。第2コンロ加熱部210と第3コンロ加熱部212は、電気を熱源として被加熱物を加熱するIHコンロである。第2コンロ加熱部210は、調理容器(例えば鍋)を載置可能な範囲を示す載置標識214と、調理器本体4内に収容されており、載置標識214に載置された調理容器を加熱する誘導加熱コイル216を備えている。第3コンロ加熱部212は、調理容器(例えば鍋)を載置可能な範囲を示す載置標識218と、調理器本体4内に収容されており、載置標識218に載置された調理容器を加熱する誘導加熱コイル220を備えている。
【0075】
図10に示すように、加熱調理器202は、誘導加熱コイル216に供給される電力を調整するインバータ基板222と、誘導加熱コイル220に供給される電力を調整するインバータ基板224を備える。インバータ基板222、224は、例えば、高周波電流を生成するためのスイッチング回路(図示せず)を備える。第2コンロ加熱部210による加熱が行われると、インバータ基板222と誘導加熱コイル216は、大電流が繰り返し流れるため高温となる。また、第3コンロ加熱部212による加熱が行われると、インバータ基板224と誘導加熱コイル220は、大電流が繰り返し流れるため高温となる。そこで、加熱調理器202は、インバータ基板222、224を冷却するための基板冷却ユニット226と、誘導加熱コイル216、220を冷却するためのコイル冷却ユニット228を備えている。
【0076】
基板冷却ユニット226は、インバータ基板222、224を内部に保持する基板冷却通路230と、基板冷却通路230に空気の流れを発生させる基板冷却ファン232を備える。基板冷却通路230は、流入口234と流出口236を備える。流出口236は、加熱庫32の排気口128の後方であって、加熱庫32の排気口128の近傍に配置される。流出口236は、上方に向けて開口している。基板冷却ファン232は、例えばシロッコファンである。基板冷却ファン232が動作されると、流入口234から基板冷却通路230に空気が流入する。基板冷却通路230に流入した空気は、インバータ基板222、224を冷却した後、流出口236から流出する。本明細書では、基板冷却ファン232の動作に伴って基板冷却通路230に発生する空気の流れを「基板冷却風A1」とも呼ぶ。
【0077】
コイル冷却ユニット228は、誘導加熱コイル216、220を内部に保持するコイル冷却通路238と、コイル冷却通路238に空気の流れを発生させるコイル冷却ファン240を備える。コイル冷却通路238は、流入口242と流出口244を備える。流出口244は、加熱庫32の排気口128の前方であって、加熱庫32の排気口128の近傍に配置される。流出口244は、上方に向けて開口している。コイル冷却ファン240は、例えばシロッコファンである。コイル冷却ファン240が動作されると、流入口242からコイル冷却通路238に空気が流入する。コイル冷却通路238に流入した空気は、誘導加熱コイル216、220を冷却した後、流出口244から流出する。本明細書では、コイル冷却ファン240の動作に伴ってコイル冷却通路238に発生する空気の流れを「コイル冷却風A2」とも呼ぶ。
【0078】
基板冷却風A1(コイル冷却風A2)が流出口236(流出口244)から流出すると、加熱庫32の排気口128の近傍に負圧が生じる。この負圧により、加熱庫32の内部の空気が、排気口128を介して加熱庫32の外部へと引き出される。その結果、ドラフトDが増強される。なお、図10では、ドラフトD、基板冷却風A1、およびコイル冷却風A2のそれぞれを、矢印を用いて図示している。
【0079】
通常、基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240は、インバータ基板222、224および誘導加熱コイル216、220を冷却するために利用される。このため、基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240は、第2コンロ加熱部210または第3コンロ加熱部212による加熱が行われている間、動作される。ただし本実施例では、基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240を、ドラフトDを増強するために利用することもできる。このため、基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240は、第2コンロ加熱部210または第3コンロ加熱部212による加熱が行われていない場合でも、例外的に動作されることがある。以下では、基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240の例外的な動作に関して、制御部134が実行する処理について説明する。
【0080】
(第2燃焼促進処理;図11
制御部134は、加熱調理器202の電源がオンとなっている間、第1燃焼促進処理(図6参照)の代わりに、図11に示す第2燃焼促進処理を繰り返し実行する。S102では、制御部134は、加熱庫32による加熱が開始されたか否かを判断する。制御部134は、例えば、加熱庫操作ノブ38に対して加熱庫32による加熱の開始操作がされた場合に、加熱庫32による加熱が開始されたと判断する。加熱庫32による加熱が開始されていない場合(NOの場合)、処理はS102を再度実行する。加熱庫32による加熱が開始された場合(YESの場合)、処理はS104へ進む。
【0081】
S104では、制御部134は、冷却排気運転(図12参照)を開始する。詳細は後述するが、冷却排気運転では、基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240が動作される。これにより、基板冷却風A1およびコイル冷却風A2が発生するとともに、ドラフトDが増強される。ドラフトDが増強されることにより、上火バーナ48、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、およびアフターバーナ52のそれぞれに供給される酸素の量が増加する。その結果、上火バーナ48、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、およびアフターバーナ52の燃焼が促進される。S104の後、処理はS106へ進む。
【0082】
S106では、制御部134は、冷却排気運転が実行中であるか否かを判断する。冷却排気運転が実行中でない場合(NOの場合)、処理はS108へ進む。
【0083】
S108では、制御部134は、上火バーナ48の燃焼状態が良好であるか否かを判断する。具体的には、制御部134は、上火バーナ用熱電対62で生じる熱起電力が第5電圧閾値(例えば、5mV)以上であるか否かを判断する。上火バーナ48の燃焼状態が良好でない場合(NOの場合)、処理はS110へ進む。
【0084】
S110では、制御部134は、冷却排気運転を開始する。
【0085】
S106で冷却排気運転が実行中であると判断される場合(YESの場合)、S108で上火バーナ48の燃焼状態が良好であると判断される場合(YESの場合)、またはS110の後、処理はS112へ進む。S112では、制御部134は、加熱庫32による加熱が終了したか否かを判断する。制御部134は、例えば、加熱庫操作ノブ38に対して加熱庫32による加熱の終了操作がされた場合に、加熱庫32による加熱が終了したと判断する。加熱庫32による加熱が終了していない場合(NOの場合)、処理はS106に戻る。加熱庫32による加熱が終了した場合(YESの場合)、図11に示す第2燃焼促進処理は終了する。
【0086】
(冷却排気運転;図12
冷却排気運転は、第2燃焼促進処理(図11参照)のS104またはS110において開始される。なお、第2燃焼促進処理の中で冷却排気運転が開始された後は、第2燃焼促進処理と冷却排気運転が互いに並行して実行されることに留意されたい。
【0087】
S114では、制御部134は、基板冷却ファン232の動作を開始する。この時、制御部134は、基板冷却ファン232の回転数を通常回転数(例えば、3000rpm)に設定する。S114の後、処理はS116へ進む。
【0088】
S116では、制御部134は、コイル冷却ファン240の動作を開始する。この時、制御部134は、コイル冷却ファン240の回転数を通常回転数(例えば、3000rpm)に設定する。S116の後、処理はS118へ進む。
【0089】
S118では、制御部134は、上火バーナ48の燃焼状態が良好であるか否かを判断する。具体的には、制御部134は、上火バーナ用熱電対62で生じる熱起電力が第6電圧閾値(例えば、10mV)以上であるか否かを判断する。なお、第6電圧閾値は、図11のS108における第5電圧閾値よりも大きい値に設定される。これは、図11のS108では基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240が停止されているが、S118では基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240が動作されていることにより上火バーナ48の燃焼が比較的促進される、という事情を加味してのものである。上火バーナ48の燃焼状態が良好である場合(YESの場合)、処理はS120へ進む。
【0090】
S120では、制御部134は、基板冷却ファン232の排気能力を低下させる。具体的には、制御部134は、基板冷却ファン232の回転数を、通常回転数よりも低い低回転数(例えば、1500rpm)に設定する。S120の後、処理はS122へ進む。
【0091】
S122では、制御部134は、コイル冷却ファン240の排気能力を低下させる。具体的には、制御部134は、コイル冷却ファン240の回転数を、通常回転数よりも低い低回転数(例えば、1500rpm)に設定する。S122の後、処理はS124へ進む。
【0092】
S124では、制御部134は、上火バーナ48の燃焼状態が定常状態に至ったか否かを判断する。制御部134は、例えば、S124が開始されてから所定期間(例えば、5秒)の間、上火バーナ用熱電対62で生じる熱起電力を監視する。そして、制御部134は、当該期間中の熱起電力の変化量が所定量(例えば、2mV)以下である場合に、上火バーナ48の燃焼状態が定常状態に至ったと判断する。上火バーナ48の燃焼状態が定常状態に至った場合(YESの場合)、処理はS126へ進む。
【0093】
S126では、制御部134は、基板冷却ファン232を停止させる。S126の後、処理はS128へ進む。
【0094】
S128では、制御部134は、コイル冷却ファン240を停止させる。S128の後、図12に示す冷却排気運転は終了する。
【0095】
S118で上火バーナ48の燃焼状態が良好でないと判断される場合(NOの場合)、処理はS130へ進む。S130では、制御部134は、S116でコイル冷却ファン240の動作を開始してから60秒経過したか否かを判断する。S116でコイル冷却ファン240の動作を開始してから60秒経過していない場合(NOの場合)、処理はS118に戻る。
【0096】
S124で上火バーナ48の燃焼状態が定常状態に至っていないと判断される場合(NOの場合)、処理はS132へ進む。S132では、制御部134は、S122でコイル冷却ファン240の排気能力を低下させてから30秒経過したか否かを判断する。S122でコイル冷却ファン240の排気能力を低下させてから30秒経過していない場合(NOの場合)、処理はS124に戻る。
【0097】
S116でコイル冷却ファン240の動作を開始してから60秒経過した場合(S130でYESの場合)、またはS122でコイル冷却ファン240の排気能力を低下させてから30秒経過した場合(S132でYESの場合)、処理はS134へ進む。S134では、制御部134は、加熱庫32に異常が発生したと判断し、基板冷却ファン232とコイル冷却ファン240を停止させた上で、加熱庫32による加熱を終了する。S134の後、図12に示す冷却排気運転は終了する。
【0098】
基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240は、実施例1で説明した右側ファン130(図5参照)および左側ファン132(図5参照)の代替物である。このため、加熱調理器202は、右側ファン130(図5参照)および左側ファン132(図5参照)を備えていなくてもよい。
【0099】
(実施例3;加熱調理器302)
図13に示す加熱調理器302は、実施例2の加熱調理器202と略同様の構成を備える。以下では、加熱調理器202と加熱調理器302の間で相違する構成についてのみ説明を行う。加熱調理器202と加熱調理器302の間で共通する構成については、共通の符号を付すとともに、その説明を省略する。
【0100】
本実施例では、基板冷却通路230の流出口236が、排気通路44の途中に接続される。流出口236は、アフターバーナ52よりも下流側に配置されるとともに、下流側に向けて開口している。このため、流出口236から基板冷却風A1が流出すると、排気通路44の内部の空気が、基板冷却風A1によって加熱庫32の排気口128に向けて押し流される。その結果、ドラフトDが増強される。また、コイル冷却通路238の流出口244は、実施例2と同様に配置されている。このため、本実施例においても、流出口244からコイル冷却風A2が流出すると、加熱庫32の内部の空気を排気口128から引き出すような負圧が生じる。その結果、ドラフトDが増強される。
【0101】
制御部134は、加熱調理器302の電源がオンとなっている間、第2燃焼促進処理(図11参照)を繰り返し実行する。
【0102】
(変形例)
加熱調理器2、202、302は、第1コンロ加熱部8、208、第2コンロ加熱部10、210、および/または第3コンロ加熱部12、212を備えていなくてもよい。
【0103】
加熱庫32は、グリル庫とは異なる種類の加熱庫(例えば、オーブン庫、電子レンジ庫、トースター庫)であってもよい。
【0104】
加熱庫32に設けられるバーナの数・種類・配置は、適宜変更されてもよい。例えば、加熱庫32に、右側下火バーナ68と左側下火バーナ88が設けられていなくてもよい。上火バーナ48は、ブンゼンバーナであってもよい。右側下火バーナ68と左側下火バーナ88は、シュバンクバーナであってもよい。アフターバーナ52は、加熱庫本体42の内部に配置されてもよい。
【0105】
加熱調理器2、202、302が備える排気ファンの数・種類・配置は、適宜変更されてもよい。例えば、加熱調理器2、202、302は、排気通路44の内部に配置されており、排気口128に向かって送風するファンをさらに備えてもよい。右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)は、プロペラファンであってもよい。
【0106】
加熱調理器2、202、302は、熱電対とは異なる燃焼状態検出部(例えば、赤外線センサ、画像センサ)を備えてもよい。このため、制御部134に出力される燃焼指標は、熱起電力とは異なる指標(例えば、バーナの近傍における赤外線量、バーナで生じる火炎の輝度、バーナで生じる火炎の形状)であってもよい。
【0107】
基板冷却通路230(または、コイル冷却通路238)は、少なくとも一部が、調理器本体4の内壁や排気通路44の外壁によって規定されてもよい。例えば、調理器本体4の内壁と排気通路44の外壁との間の隙間が、基板冷却通路230として機能してもよい。
【0108】
図6に示す第1燃焼促進処理において、制御部134は、S2でYESとなった後、S4およびS6をスキップして、S8を実行してもよい。同様に、図11に示す第2燃焼促進処理において、制御部134は、S102でYESとなった後、S104をスキップして、S106を実行してもよい。この構成では、加熱庫32が十分に暖まっている状況で加熱庫32による加熱が開始される場合、右側排気運転と左側排気運転(または冷却排気運転)の実行を見送ることができる。このため、右側ファン130と左側ファン132(または基板冷却ファン232とコイル冷却ファン240)を無駄に動作させることを抑制できる。
【0109】
図6のS10、図7のS24、S28において、制御部134は、右側下火バーナ用熱電対82で生じる熱起電力の代わりに、上火バーナ用熱電対62(または、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)で生じる熱起電力を参照してもよい。
【0110】
図6のS16、図8のS40、S44において、制御部134は、左側下火バーナ用熱電対102で生じる熱起電力の代わりに、上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、アフターバーナ用熱電対116)で生じる熱起電力を参照してもよい。
【0111】
図11のS108、図12のS118、S124において、制御部134は、上火バーナ用熱電対62で生じる熱起電力の代わりに、右側下火バーナ用熱電対82(または、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)で生じる熱起電力を参照してもよい。
【0112】
加熱調理器2、202、302は、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)の送風量を調整する調整機構(例えば、流量調整バルブ、流量調整ダンパ)を備えてもよい。この場合、制御部134は、ファンの回転数を変化させる代わりに、調整機構を用いてファンの送風量を変化させてもよい。例えば、図7のS26において、制御部134は、右側ファン130の回転数を低下させる代わりに、調整機構によって右側ファン130の送風量を低下させてもよい。
【0113】
上記の実施例では、制御部134が、ファンの動作を開始した後、ファンの出力を1段階低下させた上で、ファンを停止する構成について説明した。別の実施例では、制御部134は、ファンの動作を開始した後、ファンの出力を2段階以上低下させた上で、ファンを停止してもよい。
【0114】
加熱調理器202、302は、加熱調理器2と同様に、右側ファン130および左側ファン132を備えていてもよい。この場合、加熱調理器202、302の制御部134は、第2燃焼促進処理を実行する代わりに、第1燃焼促進処理を実行してもよい。そして、基板冷却ファン232およびコイル冷却ファン240は、インバータ基板222、224および誘導加熱コイル216、220を冷却するためだけに利用されてもよい。
【0115】
(実施例の特徴)
1つまたはそれ以上の実施形態において、加熱調理器2、202、302は、被加熱物を収容可能な加熱庫32と、加熱庫32に設けられる上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)(バーナの例)と、加熱庫32に設けられる排気通路44と、排気通路44に設けられる排気口128と、加熱庫32の内部の気体を排気口128へと導くように構成された右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)(排気ファンの例)と、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)を動作させて加熱庫32の内部の気体を排気口128から排出する右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)(排気運転の例)を実行可能に構成された制御部134と、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態を検出し、燃焼状態を示す熱起電力(燃焼指標の例)を制御部134に出力する上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)(燃焼状態検出部の例)と、を備える。制御部134は、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)の開始時には、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)の回転数(排気能力の例)を通常回転数(第1排気能力の例)に設定する。制御部134は、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)の実行中、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)による燃焼が行われており、熱起電力に基づいて燃焼状態が良好であると判断される場合、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)の回転数を通常回転数よりも低い低回転数(第2排気能力の例)に設定する。
【0116】
通常、燃焼ガスは、ドラフトDによって排気口128へと導かれる。燃焼状態が良好であるにも関わらず、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)の排気能力を低下させることなく右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)を動作させ続けると、ドラフトDが過度に強くなるおそれがある。この場合、燃焼ガスが過剰に排出されるので、加熱庫32内の温度が低下するおそれがある。その結果、加熱庫32内での調理に支障が出るおそれがある。上記の構成によれば、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)の実行中、燃焼状態が良好となることに応じて、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)の排気能力を低下させることができる。このため、ドラフトDが過度に強くなることを抑制できるので、燃焼ガスが過剰に排出されることを抑制できる。これにより、加熱庫32内の温度が低下することを抑制できるので、加熱庫32内での調理を円滑に進めることができる。
【0117】
1つまたはそれ以上の実施形態において、加熱調理器2、202、302は、被加熱物を収容可能な加熱庫32と、加熱庫32に設けられる上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)と、加熱庫32に設けられる排気通路44と、排気通路44に設けられる排気口128と、加熱庫32の内部の気体を排気口128へと導くように構成された右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)と、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)を動作させて加熱庫32の内部の気体を排気口128から排出する右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を実行可能に構成された制御部134と、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態を検出し、燃焼状態を示す熱起電力を制御部134に出力する上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)と、を備える。制御部134は、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)の停止中、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)による燃焼が行われており、熱起電力に基づいて燃焼状態が良好でないと判断される場合、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を開始する。
【0118】
上記の構成によれば、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)の停止中、熱起電力に基づいて上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が良好でないと判断される場合、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を開始することができる。このため、予期しないタイミングで上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が悪化したとしても、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態を直ちに改善することができる。従って、加熱庫32内での調理を円滑に進めることができる。
【0119】
1つまたはそれ以上の実施形態において、制御部134は、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)の実行中、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)による燃焼が行われており、熱起電力に基づいて燃焼状態が定常状態に至ったと判断される場合、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を終了する。
【0120】
上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が過渡状態である場合、加熱庫32内の気体が十分に暖まっておらず、ドラフトDが比較的弱いことが予想される。この場合、燃焼ガスが加熱庫32内に滞留する可能性があるので、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を実行してドラフトDを増強する必要がある。一方、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が定常状態である場合、加熱庫32内の気体が十分に暖まっており、ドラフトDが比較的強いことが予想される。この場合、燃焼ガスが加熱庫32内に滞留する可能性が低いので、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を実行してドラフトDを増強する必要はない。むしろこの状況で右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を実行すると、右側ファン130(または、左側ファン132、基板冷却ファン232、コイル冷却ファン240)を無駄に動作させることになり、加熱調理器2、202、302での消費電力が無駄に増加してしまう。上記の構成によれば、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が定常状態に至ることに応じて、右側排気運転(または、左側排気運転、冷却排気運転)を停止することができる。このため、加熱調理器2、202、302での消費電力が無駄に増加してしまうことを抑制できる。
【0121】
1つまたはそれ以上の実施形態において、上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)の温接点66(または、温接点86、温接点106、温接点120)は、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の炎口60(または、炎口76、炎口96、炎口114)に対して、炎口60(または、炎口76、炎口96、炎口114)の開口方向にオフセットされた位置に配置される。
【0122】
上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が良好である場合、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の炎口60(または、炎口76、炎口96、炎口114)に形成される火炎の勢いが強くなる。その結果、上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)の温接点66(または、温接点86、温接点106、温接点120)の温度が高くなるので、上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)で生じる熱起電力は比較的大きくなる。一方、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が良好でない場合、炎口60(または、炎口76、炎口96、炎口114)に形成される火炎の勢いが低減される。その結果、上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)の温接点66(または、温接点86、温接点106、温接点120)の温度が低くなるので、上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)で生じる熱起電力は比較的小さくなる。従って、上記の構成によれば、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態の良し悪しを、上火バーナ用熱電対62(または、右側下火バーナ用熱電対82、左側下火バーナ用熱電対102、アフターバーナ用熱電対116)で生じる熱起電力の大小として検出することができる。
【0123】
1つまたはそれ以上の実施形態において、加熱調理器202、302は、加熱庫32の外部に配置された基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)(第1外部ファンの例)を備える。また、加熱調理器202、302は、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)から送られる風を案内する基板冷却通路230(または、コイル冷却通路238)(第1案内通路の例)と、基板冷却通路230(または、コイル冷却通路238)に設けられ、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)から送られる風が基板冷却通路230(または、コイル冷却通路238)の外部に流出する流出口236(または、流出口244)(第1流出口の例)と、を備える。流出口236(または、流出口244)は、排気口128の近傍に配置される。
【0124】
上記の構成によれば、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)が、加熱庫32の外部に配置される。このため、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)が高温にさらされることを抑制でき、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)が劣化することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、流出口236(または、流出口244)から流出する風によって、加熱庫32の内部から排気口128に向けて気体を引き出すような負圧が生じる。当該負圧によって、ドラフトDが増強される。
【0125】
1つまたはそれ以上の実施形態において、加熱調理器302は、加熱庫32の外部に配置された基板冷却ファン232(第2外部ファンの例)を備える。また、加熱調理器302は、基板冷却ファン232から送られる風を案内する基板冷却通路230(第2案内通路の例)と、基板冷却通路230に設けられ、基板冷却ファン232から送られる風が基板冷却通路230の外部に流出する流出口236(第2流出口の例)と、を備える。流出口236は、排気通路44の途中に接続される。
【0126】
上記の構成によれば、基板冷却ファン232が、加熱庫32の外部に配置される。このため、基板冷却ファン232が高温にさらされることを抑制でき、基板冷却ファン232が劣化することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、流出口236から流出する風によって、排気通路44の内部の空気が排気口128に向けて押し流される。これによって、ドラフトDが増強される。
【0127】
1つまたはそれ以上の実施形態において、加熱調理器2は、右側下火バーナ68(または、左側下火バーナ88)よりも上流側に配置されており、右側下火バーナ68(または、左側下火バーナ88)に空気を供給するように構成された右側ファン130(または、左側ファン132)(上流ファンの例)を備える。
【0128】
上記の構成によれば、右側ファン130(または、左側ファン132)によって、右側下火バーナ68(または、左側下火バーナ88)の上流側から風を送ることができる。このため、右側下火バーナ68(または、左側下火バーナ88)に対して積極的に酸素を供給することができる。
【0129】
1つまたはそれ以上の実施形態において、加熱調理器2は、右側下火バーナ68(第1バーナの例)と左側下火バーナ88(第2バーナの例)を備える。また、加熱調理器2は、右側下火バーナ68の燃焼状態を検出する右側下火バーナ用熱電対82(第1燃焼状態検出部の例)と、左側下火バーナ88の燃焼状態を検出する左側下火バーナ用熱電対102(第2燃焼状態検出部の例)と、を備える。また、加熱調理器2は、右側下火バーナ68よりも上流側に配置されており、右側下火バーナ68に空気を供給するように構成された右側ファン130(第1上流ファンの例)と、左側下火バーナ88よりも上流側に配置されており、左側下火バーナ88に空気を供給するように構成された左側ファン132(第2上流ファンの例)と、を備える。制御部134は、右側下火バーナ68の燃焼状態に基づいて右側ファン130を動作させるとともに、左側下火バーナ88の燃焼状態に基づいて左側ファン132を動作させる。
【0130】
例えば、右側下火バーナ68の燃焼状態は良好だが、左側下火バーナ88の燃焼状態が良好でない、といった状況が存在する。この状況では、右側下火バーナ68の近傍の環境は正常である(即ち、燃焼ガスが滞留しておらず、酸素が十分に存在する)が、左側下火バーナ88の近傍の環境は正常でない(即ち、燃焼ガスが滞留しており、酸素が十分に存在しない)ことが予想される。この状況において、加熱庫32の全体にわたって一様にドラフトDが増強されると、左側下火バーナ88の近傍の環境は改善できるものの、右側下火バーナ68の近傍の環境を悪化させるおそれがある。その結果、加熱庫32内での調理に支障が出るおそれがある。上記の構成によれば、この状況において、第1上流ファンを停止しつつ、第2上流ファンのみを動作させることができる。このため、左側下火バーナ88の近傍においてのみドラフトDを増強することができるので、右側下火バーナ68の近傍の環境については現状を維持しつつ、左側下火バーナ88の近傍の環境を改善することができる。従って、加熱庫32内での調理を円滑に進めることができる。
【0131】
1つまたはそれ以上の実施形態において、加熱調理器2、202、302は、電力が供給されることにより駆動されるインバータ基板222、224(または、誘導加熱コイル216、220)(電装部品の例)と、インバータ基板222、224(または、誘導加熱コイル216、220)を冷却するための基板冷却ユニット226(または、コイル冷却ユニット228)(冷却ユニットの例)と、を備える。基板冷却ユニット226(または、コイル冷却ユニット228)は、インバータ基板222、224(または、誘導加熱コイル216、220)を内部に保持する基板冷却通路230(または、コイル冷却通路238)(冷却通路の例)と、基板冷却通路230(または、コイル冷却通路238)に空気の流れを発生させる基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)(冷却ファンの例)と、を備える。
【0132】
加熱調理器2、202、302が基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)を備える構成では、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)を動作させると、例えば調理器本体4(加熱調理器の筐体の例)内の圧力が低下するなどして、加熱庫32への空気の導入量が低下することがある。このため、加熱庫32において、燃焼ガスが滞留しやすく、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)への酸素の供給量も少なくなる傾向がある。その結果、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態が悪化しやすいので、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態を良好に保つことが特に望まれる。上記の構成によれば、上火バーナ48(または、右側下火バーナ68、左側下火バーナ88、アフターバーナ52)の燃焼状態を良好に保つ効果が顕著に発揮される。
【0133】
1つまたはそれ以上の実施形態において、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)が、排気ファンとして機能する。
【0134】
上記の構成によれば、基板冷却ファン232(または、コイル冷却ファン240)を、ドラフトDを増強するように構成された排気ファンとして利用することができる。このため、排気ファンを別個に用意する必要がないので、加熱調理器2、202、302の部品点数を削減できる。
【0135】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0136】
2 :加熱調理器
4 :調理器本体
4a :前面
6 :天板
6a :天板開口部
8 :第1コンロ加熱部
10 :第2コンロ加熱部
12 :第3コンロ加熱部
14 :五徳
16 :コンロバーナ
18 :鍋底温度センサ
20 :五徳
22 :コンロバーナ
24 :鍋底温度センサ
26 :五徳
28 :コンロバーナ
30 :鍋底温度センサ
32 :加熱庫
32a :前面開口部
32b :扉部材
33 :主電源スイッチ
34 :第1コンロ操作ノブ
35 :第2コンロ操作ノブ
36 :第3コンロ操作ノブ
37 :コンロ操作パネル
37a :表示部
37b :操作部
38 :加熱庫操作ノブ
39 :加熱庫操作パネル
39a :表示部
39b :操作部
42 :加熱庫本体
44 :排気通路
46 :焼網
48 :上火バーナ
50 :下火バーナ
52 :アフターバーナ
54 :取入口
56 :混合管
58 :混合室
58a :セラミックプレート
60 :複数の炎口
62 :上火バーナ用熱電対
64 :ケーブル
66 :温接点
68 :右側下火バーナ
70 :取入口
72 :混合管
74 :混合室
76 :炎口
78 :複数の主炎口
80 :保炎口
82 :右側下火バーナ用熱電対
84 :ケーブル
86 :温接点
88 :左側下火バーナ
90 :取入口
92 :混合管
94 :混合室
96 :炎口
98 :複数の主炎口
100 :保炎口
102 :左側下火バーナ用熱電対
104 :ケーブル
106 :温接点
108 :取入口
110 :混合管
112 :混合室
114 :複数の炎口
116 :アフターバーナ用熱電対
118 :ケーブル
120 :温接点
122 :右側吸気口
124 :左側吸気口
126 :連通口
128 :排気口
130 :右側ファン
132 :左側ファン
134 :制御部
202 :加熱調理器
208 :第1コンロ加熱部
210 :第2コンロ加熱部
212 :第3コンロ加熱部
214 :載置標識
216 :誘導加熱コイル
218 :載置標識
220 :誘導加熱コイル
222 :インバータ基板
224 :インバータ基板
226 :基板冷却ユニット
228 :コイル冷却ユニット
230 :基板冷却通路
232 :基板冷却ファン
234 :流入口
236 :流出口
238 :コイル冷却通路
240 :コイル冷却ファン
242 :流入口
244 :流出口
302 :加熱調理器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13