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  • 特開-測定モジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131571
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】測定モジュール
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041915
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 学世
(57)【要約】
【課題】容器内の温度制御によって植物が放出するガスを高精度に測定できる技術を提供する。
【解決手段】測定モジュールは、植物の少なくとも一部を内部に収容する容器と、容器内の温度を制御する温度制御部と、容器内に収容された植物の少なくとも一部から放出されるガスを検出し、検出されたガスの情報を出力するガスセンサと、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の少なくとも一部を内部に収容する容器と、
前記容器内の温度を制御する温度制御部と、
前記容器内に収容された前記植物の少なくとも一部から放出されるガスを検出し、検出された前記ガスの情報を出力するガスセンサと、
を備える、測定モジュール。
【請求項2】
前記植物の少なくとも一部は、前記植物の葉を含み、
前記容器は、
前記葉の表面と対向するように配置される第1部分と、
前記葉の裏面と対向するように配置される第2部分と、
前記第1部分及び前記第2部分を互いに接続する第3部分と、を有し、
前記温度制御部は、
前記容器内に配置された温調デバイスと、
前記容器内に配置された温度センサと、
前記温調デバイスに電力を供給する温度コントローラと、を有し、
前記ガスセンサは、前記容器内に配置される、
請求項1に記載の測定モジュール。
【請求項3】
前記温度制御部は、緑の香りを放出する酵素の最適温度を含む温度範囲に前記容器内の温度を制御する、請求項1又は2に記載の測定モジュール。
【請求項4】
前記温度範囲は、25℃以上、かつ、30℃以下である、請求項3に記載の測定モジュール。
【請求項5】
前記容器は、セルロースナノファイバを含む非金属の材料から構成される、請求項1又は2に記載の測定モジュール。
【請求項6】
前記容器の内面は、光沢面を含む、請求項1又は2に記載の測定モジュール。
【請求項7】
前記植物の少なくとも一部から放出される前記ガスは、エチレン及びテルペンを含む、請求項1又は2に記載の測定モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、小型植物を内部に収容する筐体を備える育成機を開示する。筐体の内部には、送風機、加熱器、冷却器、及び温度センサが設けられる。育成機は、筐体の内部の温度を一定に保つことで、小型植物の育成に適した環境を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-320941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、植物は、その状態に応じて種々のガスを放出することが知られている。植物が放出する種々のガスの種類及び濃度によって、植物の状態が推定される。本開示は、容器内の温度制御によって植物が放出する種々のガスを高精度に測定できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る測定モジュールは、容器、温度制御部、及びガスセンサを備える。容器は、植物の少なくとも一部を内部に収容する。温度制御部は、容器内の温度を制御する。ガスセンサは、容器内に収容された植物の少なくとも一部から放出されるガスを検出し、検出されたガスの情報を出力する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、容器内の温度制御によって植物が放出するガスを高精度に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る測定モジュールの外観を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る測定モジュールの断面の構成を概略的に示す図である。
図3図3は、温度と植物から放出されるエチレンの濃度との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の概要]
最初に、本開示の実施形態の概要を説明する。
【0009】
(条項1) 本開示の一側面に係る測定モジュールは、容器、温度制御部、及びガスセンサを備える。容器は、植物の少なくとも一部を内部に収容する。温度制御部は、容器内の温度を制御する。ガスセンサは、容器内に収容された植物の少なくとも一部から放出されるガスを検出し、検出されたガスの情報を出力する。
【0010】
本発明者は、植物が放出する種々のガスと植物が配置された環境における温度とに相関があることに着目した。植物が放出するガスの種類は植物の状態に起因して変化し、植物が放出するガスの量は、環境温度に応じて変化するという知見である。この測定モジュールでは、植物の少なくとも一部が容器の内部に収容される。容器の内部の温度が温度制御部によって制御されるので、容器の内部に収容された植物の少なくとも一部は、温度制御部によって設定された温度に応じた量の種々のガスを放出する。ガスセンサは、温度に応じて放出された量の種々のガスのそれぞれを測定する。容器の内部の温度が、測定対象とするガスが放出されやすい温度に制御され得るので、この測定モジュールは、容器内の温度制御によって植物が放出するガスを高精度に測定できる。例えば、測定モジュールは、植物の健康状態を化学的に測ることができる。
【0011】
(条項2) 条項1に記載の測定モジュールにおいて、植物の少なくとも一部は、植物の葉を含んでもよい。容器は、第1部分、第2部分、及び第3部分を有してもよい。第1部分は、葉の表面と対向するように配置される。第2部分は、葉の裏面と対向するように配置される。第3部分は、第1部分及び第2部分を互いに接続する。温度制御部は、温調デバイス、温度センサ、及び温度コントローラを有してもよい。温調デバイスは、容器内に配置される。温度センサは、容器内に配置される。温度コントローラは、温調デバイスに電力を供給する。ガスセンサは、容器内に配置されてもよい。容器は、第1部分、第2部分、及び第3部分を有するので、植物の葉の形状に対応する。植物の葉の形状に対応する容器の内部に温調デバイス、温度センサ、及びガスセンサが配置されるので、容器の内部の温度を調整することが容易になり、かつ、ガスセンサが検出するガスの濃度を高めることが容易になる。したがって、この測定モジュールは、植物が放出するガスをより高精度に測定できる。
【0012】
(条項3) 条項1又は2に記載の測定モジュールにおいて、温度制御部は、緑の香りを放出する酵素の最適温度を含む温度範囲に容器内の温度を制御してもよい。緑の香りは、植物から放出される炭素数6のアルデヒド(例えば、青葉アルデヒド)、アルコール(例えば、青葉アルコール)、及びエステルなどの揮発性化合物の総称である。緑の香りは、食害などにより傷つけられた植物に含まれる酵素の働きによって放出される。最適温度とは酵素活性が最大となる温度である。緑の香りを放出する酵素の最適温度を含む温度範囲に容器内の温度が制御されることによって、植物が傷つけられたときに緑の香りがより放出され易くなる。このため、この測定モジュールは、植物の傷を高精度に検出できる。例えば、測定モジュールは、植物の傷害、食害の状況を高精度に検出できる。
【0013】
(条項4) 条項3に記載の測定モジュールにおいて、温度範囲は、25℃以上、かつ、30℃以下であってもよい。緑の香りを放出する酵素は、25℃以上、かつ、30℃以下の温度範囲で最も活性になる。このため、25℃以上、かつ、30℃以下の温度範囲は、緑の香りが最も活発に放出される温度範囲である。したがって、この測定モジュールは、植物の傷をより高精度に検出できる。
【0014】
(条項5) 条項1~4の何れか一項に記載の測定モジュールにおいて、容器は、セルロースナノファイバを含む非金属の材料から構成されてもよい。容器が非金属から構成されるので、金属から構成される容器と比べて、この容器は、軽量かつ高断熱に構成される。さらに、この容器は、ガスバリア性を有するセルロースナノファイバを含む。したがって、この測定モジュールは、植物への負担を小さくし、かつ、容器からのガス漏れを抑制できる。
【0015】
(条項6) 条項1~5の何れか一項に記載の測定モジュールにおいて、容器の内面は、光沢面を含んでもよい。光沢面は、光が反射して輝くつやを有する程度に滑らかな面である。したがって、光沢面では、その表面へのガスの吸着量が減少する。この測定モジュールでは、容器の内面が光沢面を含むので、容器の内面へのガスの吸着量が低減される。したがって、検出対象とするガスに、容器に吸着して残留したガスが混入することが抑制される。よって、この測定モジュールは、植物が放出する種々のガスをより高精度に測定できる。
【0016】
(条項7) 条項1~6の何れか一項に記載の測定モジュールにおいて、植物の少なくとも一部から放出されるガスは、エチレン及びテルペンを含んでもよい。エチレンは、成熟又は腐敗した植物から多く放出される。テルペンは、病害などによるストレスがある植物から多く放出される。したがって、この測定モジュールは、植物の健康状態を高精度に検出できる。例えば、測定モジュールは、植物における生育具合、劣化具合、又は細菌やウィルスによる病気感染の状況を高精度に検出できる。
【0017】
[本開示の実施形態の例示]
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0018】
図1は、実施形態に係る測定モジュール1,1Aの外観を示す図である。図1に示される測定モジュール1,1Aは、栽培されている植物Pの少なくとも一部を内部に収容する。栽培されているとは、植えられて育てられていることをいう。一例として、植物Pは、箱状の培地(地面)で栽培される。植物Pは、測定対象となる植物である。植物Pは、例えば、トマトなどの草本植物又はリンゴなどの果樹であってもよい。
【0019】
測定モジュール1,1Aは、収容可能な容積が異なり、その他は同一である。以下では、測定モジュール1を例に説明する。測定モジュール1は、植物Pの少なくとも一部を内部に収容する容器10を備える。容器10は、植物Pの一部のみを収容してもよく、植物Pの全体を収容してもよい。図1に示されるように、測定モジュール1の容器10は、植物Pの葉Lを内部に収容する。容器10が収容する植物Pの一部は、実を含んでもよく、花、蕾、茎、及び根を含んでもよい。容器10は、例えば、ストラップ(不図示)を介して植物Pの枝に固定される。容器10は、容器10を支持する支柱(不図示)に固定されてもよい。
【0020】
図2は、実施形態に係る測定モジュール1の断面の構成を概略的に示す図である。測定モジュール1は、容器10、温度制御部20、及びガスセンサ30を備える。本実施形態においては、容器10は、上部11、下部12、及び蝶番14を有する。上部11及び下部12のそれぞれは、互いに対向する向きに開口が形成された箱形状の部材である。蝶番14は、当該開口を開閉可能に上部11及び下部12を互いに連結する。葉Lは、当該開口が開いた状態で容器10の内部に配置され、当該開口が閉じられることで容器10の内部に収容される。測定モジュール1は、容器10に設けられると共に、葉Lの葉柄を挟む一対の軟質部材15を有してもよい。一例として、一対の軟質部材15は、上部11に配置される部材15aと下部12に配置される部材15bとを含む。軟質部材15は、例えば、ゴム、スポンジ、又はシリコンから構成される。
【0021】
上部11は、葉Lの表面と対向するように配置されている部分11a(第1部分の一例)と、部分11aから葉Lを囲むように突出している部分11bとを含む。下部12は、葉Lの裏面と対向するように配置されている部分12a(第2部分の一例)と、部分12aから葉Lを囲むように突出している部分12bとを含む。部分11b及び部分12bは、部分11a及び部分12aを互いに接続する部分13(第3部分の一例)を構成する。容器10は、葉Lの形状に沿うように構成される。
【0022】
容器10は、可視光を透過する材料から構成されてもよい。本実施形態においては、容器10は、セルロースナノファイバを含む非金属の材料から構成される。例えば、容器10は、アクリル樹脂から構成される。容器10が非金属から構成されるので、金属から構成される容器と比べて、この容器10は、軽量かつ高断熱に構成される。さらに、容器10は、ガスバリア性を有するセルロースナノファイバを含んでもよい。この場合、測定モジュール1は、植物Pへの負担を小さくし、かつ、容器10からのガス漏れを抑制できる。
【0023】
本実施形態では、容器10の内面は、光沢面を含んでいる。当該光沢面の算術平均高さは、一例として、0.1μm以下である。算術平均高さは、例えば、白色光干渉方式の三次元測定器によって測定される。当該光沢面の光沢度は、一例として、90%以上である。光沢度は、例えば、光源入射角が60度の白色光によって測定される。容器10の内面は、研磨されてもよい。容器10の内面は、容器10を構成する材料とは別の材料によってコーティングされてもよい。例えば、容器10の内面は、容器10を構成する材料とは別の材料の層から形成されてもよい。光沢面は、当該別の材料の層から形成されてもよい。容器10を構成する材料とは別の材料の層の算術平均高さは、0.1μm以下であってもよい。本実施形態においては、容器10の内面に形成されたセルロースナノファイバの層の算術平均高さは、0.1μm以下であってもよい。容器10の内面の算術平均高さは、容器10の外面の算術平均高さよりも小さくてもよい。
【0024】
光沢面は、光が反射して輝くつやを有する程度に滑らかな面である。したがって、光沢面では、その表面へのガスの吸着量が減少する。また、算術平均高さが小さいほど表面積が小さくなるので、光沢面では、その表面へのガスの吸着量が減少する。結果として、検出対象とするガスに、容器10に吸着して残留したガスが混入することが抑制され得る。
【0025】
温度制御部20は、温度コントローラ21、温調デバイス22、及び温度センサ23を有する。温度コントローラ21は、温調デバイス22に電力を供給する。温調デバイス22は、容器10内の温度を調節する。温調デバイス22は、例えば、熱電素子又はヒータである。温調デバイス22は、容器10内に配置されてもよい。温度センサ23は、容器10内の温度を測定する。温度センサ23は、容器10内に配置されてもよい。
【0026】
本実施形態においては、温度制御部20は、葉Lから緑の香りを含むガスが放出されやすい温度範囲に容器10内の温度を制御する。温度制御部20は、緑の香りを放出する酵素の最適温度を含む温度範囲に容器10内の温度を制御する。最適温度とは酵素活性が最大となる温度である。つまり、最適温度付近の温度において、植物Pから緑の香りが最も放出されやすくなる。葉Lに含まれる酵素活性が最大となる温度は、25℃以上、かつ、30℃以下の温度範囲に含まれる。したがって、葉Lから当該ガスが放出されやすい温度範囲は、25℃以上、かつ、30℃以下である。この場合、測定対象とするガスが放出さやすい温度に容器10の内部の温度が制御されるので、ガスセンサ30が検出するガスの濃度を一層高めることができる。
【0027】
温度制御部20は、葉L以外の植物の一部に含まれる酵素活性が最大となる温度に容器10内の温度を制御してもよい。温度制御部20は、エチレン又はテルペンを放出する酵素の最適温度を含む温度範囲に容器10内の温度を制御してもよい。図3は、温度と植物Pから放出されるエチレンの濃度との関係の一例を示すグラフである。図3の例に示されるように、エチレンを放出する酵素の活性が最大となる温度は、24℃以上、かつ、30℃以下の温度範囲に含まれる。したがって、エチレンを放出する酵素の最適温度を含む温度範囲は、24℃以上、かつ、30℃以下である。
【0028】
植物Pから放出されるガスは大気に拡散するので、当該ガスを濃縮する濃縮手段を用いて測定する場合がある。測定モジュール1では、植物Pから測定対象とするガスが放出されやすい温度に容器10の内部の温度が制御され得るので、濃縮手段が無くてもガスセンサ30が検出するガスの濃度は高められる。したがって、測定モジュール1は、容器10内の温度制御によって植物Pが放出する種々のガスを高精度に測定できる。結果として、測定モジュール1は、濃縮手段を備える別の測定モジュールなどよりも、小型化され得る。
【0029】
本実施形態においては、測定モジュール1は、一例として、バッテリー41、制御部42、及び通信部43を更に備える。温度制御部20及びガスセンサ30は、制御部42を介して通信部43と接続される。温度制御部20、ガスセンサ30、制御部42、及び通信部43のそれぞれは、バッテリー41から電力を供給される。バッテリー41、制御部42、通信部43、及び温度コントローラ21は、例えば、回路基板40に配置されてもよい。一例として、ガスセンサ30、温調デバイス22、温度センサ23、及び回路基板40は、容器10内に配置される。部分11a及び部分12bの一方に温調デバイス22が配置されるとき、部分11a及び部分12bの他方に温度センサ23が配置されてもよい。温調デバイス22と温度センサ23とは、葉L(植物Pの一部)を挟んで互いに対向して配置されてもよい。
【0030】
ガスセンサ30は、容器10内に収容された葉Lから放出されるガスを検出する。葉Lから放出されるガスは、緑の香り、エチレン及びテルペン類を含んでもよい。エチレンは、成熟又は腐敗した植物Pから多く放出される。テルペンは、病害などによるストレスがある植物Pから多く放出される。エチレン及びテルペン類を計測対象とすることにより、植物Pの健康状態が高精度に検出される。ガスセンサ30は、半導体方式、電気化学式、水晶振動子式などのガスセンサであってもよい。ガスセンサ30は、例えば、ポリアニリンなどの有機膜と酸化スズ(SnO)などの酸化物半導体とを含むVOCセンサである。ガスセンサ30は、検出されたガスの情報を出力する。当該ガスの情報は、ガスの種類及びガスの濃度を含んでもよい。ガスセンサ30は、複数の異なる匂いガスを検出する場合、複数のセンサによって構成されてもよい。
【0031】
緑の香りは、炭素数六つの骨格を持つアルデヒド、アルコール、及びそれらのエステルなどの揮発性物質である。具体的には、緑の香り物質は、ヘキセノール(青葉アルコール)、及びセキセナール(青葉アルデヒド)などである。テルペン類は、(Cの不飽和炭化水素を基本骨格とする有機化合物、及びテルペンアルコールなどの物質である。具体的には、テルペン類物質は、α-ピネン、及びβ-カリオフィレンなどである。
【0032】
制御部42は、ガスセンサ30から出力された情報を解析して植物Pの状態を推定してもよい。制御部42は、例えば、ガスの種類に基づいて植物Pの状態を推定する。制御部42は、容器10内の温度、時間、ガスの種類、及びガスの濃度に基づいて植物Pの状態を推定してもよい。具体的な一例として、制御部42は、容器10内の温度、時間、ガスの種類、及びガスの濃度と、植物Pの状態とが対応するテーブルを参照して、植物Pの状態を推定する。
【0033】
通信部43は、例えば、無線通信器である。通信部43は、制御部42によって推定された植物Pの状態を示す情報を外部に送信する。通信部43は、ガスセンサ30が出力した情報を外部に送信してもよい。情報端末は、据置型又は携帯型のパーソナルコンピュータ又はワークステーションであってもよいし、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。なお、ガスセンサ30が出力した情報を通信部43が情報端末に送信する場合には、植物Pの状態は、情報端末によって推定され得る。
【0034】
通信部43は、情報端末から送信される情報を受信してもよい。例えば、容器10内の温度は、情報端末から送信される情報に基づいて制御されてもよい。
【0035】
[実施形態のまとめ]
測定モジュール1によれば、容器10の内部の温度は温度制御部20によって制御されるので、容器10の内部に収容された葉Lは、温度制御部20によって設定された温度に応じた量の種々のガスを放出する。ガスセンサ30は、温度に応じて放出された量の種々のガスのそれぞれを測定する。したがって、測定対象とするガスが放出されやすい温度に容器10の内部の温度が制御され得るので、測定モジュール1は、容器10内の温度制御によって植物Pが放出する種々のガスを高精度に測定できる。
【0036】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0037】
温度制御部20及びガスセンサ30は、容器10内に配置されなくてもよい。例えば、測定モジュール1は、複数の容器と連結された本体部を更に備えてもよい。本体部と複数の容器とは、通気可能に連結される。この場合、温度制御部20及びガスセンサ30は、本体部に配置されればよい。
【0038】
容器10は、軟質素材から構成されてもよい。軟質素材は、例えば、ゴム又はエラストマゲルである。容器10は、例えば、袋形状を有する軟質素材でもよい。容器10には、ガスを放出する弁が設けられてもよい。当該弁は、制御部42によって開閉されてもよい。
【0039】
測定モジュール1は、検出対象のガス種と、温度範囲とを関連付けて記憶する記憶装置を備えてもよい。この場合、温度コントローラ21は、検出対象のガス種を作業者から受け付け、受け付けたガス種に対応する温度範囲を記憶装置から取得できる。これにより、測定モジュール1は、検出対象のガス種に応じて、当該ガスがより放出されやすい環境を植物Pに提供できる。あるいは、測定モジュール1は、植物Pの測定対象とする状態(例えば健康状態など)と、温度範囲とを関連付けて記憶する記憶装置を備えてもよい。この場合、温度コントローラ21は、植物Pの測定対象とする状態を作業者から受け付け、受け付けた植物Pの測定対象とする状態に対応する温度範囲を記憶装置から取得できる。これにより、測定モジュール1は、植物Pの測定対象とする状態に応じて、測定対象とする状態を判定するためのガスがより放出されやすい環境を植物Pに提供できる。
【符号の説明】
【0040】
1,1A…測定モジュール、10…容器、20…温度制御部、21…温度コントローラ、22…温調デバイス、23…温度センサ、30…ガスセンサ、P…植物、L…葉。
図1
図2
図3