(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131582
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】飲食品用組成物、飲食品の製造方法及び飲食品
(51)【国際特許分類】
A23L 27/21 20160101AFI20240920BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20240920BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240920BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240920BHJP
A23L 11/65 20210101ALI20240920BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
A23L27/21
A23L27/00 Z
A23L2/00 B
A23L2/52
A23L11/65
A23L27/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041933
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000238164
【氏名又は名称】扶桑化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100141346
【弁理士】
【氏名又は名称】潮崎 宗
(74)【代理人】
【識別番号】100181456
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 拓男
(74)【代理人】
【識別番号】100131255
【弁理士】
【氏名又は名称】阪田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠暉
(72)【発明者】
【氏名】新堀 絵美子
【テーマコード(参考)】
4B020
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B020LB18
4B020LC02
4B020LG05
4B020LG09
4B020LK03
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF07
4B047LG09
4B047LG15
4B047LG40
4B047LP02
4B117LG11
4B117LK08
4B117LK14
(57)【要約】
【課題】ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすようなマスキング
剤を用いると、風味が大きく損なわれる植物性飲食品において、不快風味を低減すること
ができる飲食品用組成物、不快風味が低減された植物性飲食品を製造する方法及び不快風
味が低減された飲食品を提供すること。
【解決手段】(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩の
うちの1種以上と、(B)有機酸及び無機酸のうちの1種以上と、を含有し、該(B)の
含有量が、該(A)100.0質量部に対し、20.0~180.0質量部であること、
を特徴とする飲食品用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩のうちの1種
以上と、(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩のうちの1種以上と、を含有
し、
該(B)の含有量が、該(A)100.0質量部に対し、20.0~180.0質量部
であること、
を特徴とする飲食品用組成物。
【請求項2】
前記(B)が、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、乳酸、フィチン酸、アジピ
ン酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸及びリン酸並びにそれらの塩類のうちの1種以
上であることを特徴とする請求項1記載の飲食品用組成物。
【請求項3】
植物性飲食品素材に、少なくとも、(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン
及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上と、該(A)100.0質量部に対し、20.0
~180.0質量部の(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩のうちの1種以
上と、を混合する混合工程を有することを特徴とする飲食品の製造方法。
【請求項4】
前記(B)が、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、乳酸、フィチン酸、アジピ
ン酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸及びリン酸並びにそれらの塩類のうちの1種以
上であることを特徴とする請求項3記載の飲食品の製造方法。
【請求項5】
前記植物性飲食品素材が、ヘキサナールを含む飲食品素材であること、又は酸化により
ヘキサナールが生成される飲食品素材であることを特徴とする請求項3記載の飲食品の製
造方法。
【請求項6】
前記植物性飲食品素材に、前記請求項1又は2記載の飲食品用組成物を混合することに
より、前記混合工程を行なうことを特徴とする請求項3記載の飲食品の製造方法。
【請求項7】
植物性飲食品素材に、少なくとも、(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン
及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上と、該(A)100.0質量部に対し、20.0
~180.0質量部の(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩のうちの1種以
上と、を混合する混合工程を行い得られたものであることを特徴とする飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性の飲料又は食品の不快風味を低減するための飲食品用組成物、不快風
味が低減された植物性の飲食品の製造方法及び植物性の飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康に対する消費者の関心や、プラントベースフードの需要が高まっていること
から、植物性の飲料や植物性の食品に注目が集まっている。例えば、大豆は良質のタンパ
ク質を含んでおり、大量生産されることから安価であるため、大豆由来の飲食品素材は、
有用なタンパク源として広く使用されている。また、植物性の飲食品素材としては、他に
は、エンドウ豆由来の飲食品素材、オーツ麦由来の飲食品素材、青汁等が使用されている
。
【0003】
大豆由来の飲食品素材等の植物性の飲食品素材には、特有の風味があることから、植物
性の飲食品素材を用いた最終飲食品に、不快な異味又は異臭が感じられることが問題であ
った。
【0004】
最終飲食品が、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすようなマ
スキング剤を用いても、風味が大きく損なわれない食品、例えば、ハンバーグ、ハムなど
の畜肉加工食品や水産練り製品、もしくはそれらを模して作ったプラントベースフードで
あれば、グルコン酸ナトリウム等のナトリウム塩系の添加剤を多く添加することで、不快
風味を低減させることができる。
【0005】
一方、最終飲食品が、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすよ
うなマスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる飲食品、例えば、無調整豆乳、調
整豆乳、大豆飲料、おからを含有する大豆飲料、大豆などのマメ科植物から作られる飲料
、米やオーツ麦といった穀類から作られる飲料、アーモンドなどのナッツ類から作られる
飲料、フラックスミルク、ヘンプミルク、ジャガイモミルク、野菜飲料、青汁等野菜粉末
飲料、果汁飲料等の飲料や、ケーキ生地、ホイップクリーム等の菓子では、ナトリウム塩
系の添加剤を多量に添加することはできない。
【0006】
特許文献1では、低変性脱脂大豆にリン酸もしくは有機酸又はそれらの塩を添加し、p
H2.9~3.4の酸性下で、所定温度に加熱した後、カルシウム化合物又はマグネシウ
ム化合物を添加し、中和した後に再度所定温度で加熱・噴霧乾燥を行なうことにより、不
快臭の少ない大豆タンパクを得ている。
【0007】
しかしながら、特許文献1のように植物性の飲食品素材の製法や原料品種を厳選するこ
とにより、不快風味が少ない飲食品を得ることは可能であるが、これらの方法では、コス
ト高になるという問題があった。
【0008】
通常の原料でも適用可能な技術として、甘味成分によりマスキングする方法が開発され
てきた。例えば、特許文献2には、アセスルファムK、アルパルテーム及びマルチトール
シラップを特定の配合比率で含有させた豆乳が、豆乳由来のコクを残しつつ、不快な豆臭
やエグ味がマスキングされたことが開示されている。また、特許文献3には、スクラロー
スと特定の糖類又は酸類等を併用することによって調製された甘味組成物の添加によって
、不快臭・不快味がマスキングされたことが開示されている。
【0009】
また、香気成分によりマスキングする方法が挙げられる。例えば、特許文献4には、レ
モンなどの柑橘類の特定の成分を含む抽出物を含有する組成物によって豆乳臭がマスキン
グされたことが開示されている。
【0010】
しかしながら、植物性飲食品素材に起因する不快風味については、上記のように甘味料
や香料などの添加により改善する場合もあるが、飲食品素材に対する相性が限定的である
ことや、配合した添加物の特有の味や香りが最終飲食品としての風味に過度に影響しやす
く、風味設計の自由度が限定されるとの問題があった。
【0011】
ここで、大豆等の植物性飲食品素材由来の不快臭については、飲食品素材中の多価不飽
和脂肪酸が酵素や加熱等の物理化学的要因より酸化されることで発生するn-ヘキサナー
ル等によるものであることから、特許文献5には、酸化防止剤によるヘキサナール発生を
抑制する方法が開示されている。
【0012】
しかし、酸化防止剤はあくまでも酸化によるn-ヘキサナール等の異臭物質の生成の抑
制が目的であるため、飲食品素材中で既に発生したn-ヘキサナール等の異臭物質や、飲
食品素材由来のn-ヘキサナール等の異臭物質が存在する場合には、酸化防止剤の添加に
よっては、最終飲食品の不快風味を抑制することができない。
【0013】
そこで、塩基性アミノ酸により臭気改善ことが行なわれている。例えば、特許文献6に
は、リジン等の塩基性アミノ酸が不飽和アルデヒド化合物と速やかにイミン化合物を形成
して不揮発化し、さらにオリゴマー化することにより悪臭を顕著に低減できることが開示
されている。また、特許文献7には、豆乳にアルギニンもしくはリジン又はそれらの付加
塩により選ばれるアミノ酸の1種あるいは2種以上を含有させることにより、大豆臭・収
斂味・渋みを改善することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第5058427号公報
【特許文献2】特許第5093808号公報
【特許文献3】特開2018-121638号公報
【特許文献4】特開2004-105011号公報
【特許文献5】特開2021-175387号公報
【特許文献6】特開2011-156227号公報
【特許文献7】特開昭56-131341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、アルギニン等の塩基性アミノ酸を飲食品に添加すると、それ自体の苦味
等の異味が発生するため、添加量に限度があり、十分な不快風味の低減効果が得られない
という問題がある。一方で、上記のように、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大
きな影響を及ぼすようなマスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる植物性飲食品
においては、マスキング効果が高いナトリウム塩系の添加剤を多量に使用することはでき
ない。
【0016】
そのため、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすようなマスキ
ング剤を用いると、風味が大きく損なわれる植物性飲食品においては、十分な不快風味の
低減効果が得ることが難しかった。
【0017】
従って、本発明の目的は、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼ
すようなマスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる植物性飲食品において、不快
風味を低減することができる飲食品用組成物、不快風味が低減された植物性飲食品を製造
する方法及び不快風味が低減された飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は、以下の本発明によって解決される。
すなわち、本発明(1)は、(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリ
ジンの酸付加塩のうちの1種以上と、(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩
のうちの1種以上と、を含有し、
該(B)の含有量が、該(A)100.0質量部に対し、20.0~180.0質量部
であること、
を特徴とする飲食品用組成物を提供するものである。
【0019】
また、本発明(2)は、前記(B)が、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、乳
酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸及びリン酸並びにそれ
らの塩類のうちの1種以上であることを特徴とする(1)の飲食品用組成物を提供するも
のである。
【0020】
また、本発明(3)は、植物性飲食品素材に、少なくとも、(A)アルギニン、アルギ
ニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上と、該(A)100.0
質量部に対し、20.0~180.0質量部の(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無
機酸の塩のうちの1種以上と、を混合する混合工程を有することを特徴とする飲食品の製
造方法を提供するものである。
【0021】
また、本発明(4)は、前記(B)が、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、乳
酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸及びリン酸並びにそれ
らの塩類のうちの1種以上であることを特徴とする(3)の飲食品の製造方法を提供する
ものである。
【0022】
また、本発明(5)は、前記植物性飲食品素材が、ヘキサナールを含む飲食品素材であ
ること、又は酸化によりヘキサナールが生成される飲食品素材であることを特徴とする(
3)の飲食品の製造方法を提供するものである。
【0023】
また、本発明(6)は、前記植物性飲食品素材に、(1)又は(2)の飲食品用組成物
を混合することにより、前記混合工程を行なうことを特徴とする(3)の飲食品の製造方
法を提供するものである。
【0024】
また、本発明(7)は、植物性飲食品素材に、少なくとも、(A)アルギニン、アルギ
ニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上と、該(A)100.0
質量部に対し、20.0~180.0質量部の(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無
機酸の塩のうちの1種以上と、を混合する混合工程を行い得られたものであることを特徴
とする飲食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすような
マスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる植物性飲食品において、不快風味を低
減することができる飲食品用組成物、不快風味が低減された植物性飲食品を製造する方法
及び不快風味が低減された飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の飲食品用組成物は、(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリ
ジンの酸付加塩のうちの1種以上と、(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩
のうちの1種以上と、を含有し、
該(B)の含有量が、該(A)100.0質量部に対し、20.0~180.0質量部
であること、
を特徴とする飲食品用組成物である。
【0027】
本発明において、本発明の飲食品用組成物を混合して得られるものは、消費者が消費の
対象とする最終飲食品、及び最終飲食品を製造するための材料として用いられる最終飲食
品の製造用中間飲食品の両方を含む。そのため、以下では「飲食品」との記載は、最終飲
食品と最終飲食品の製造用中間飲食品の両方を含む記載である。例えば、(1)大豆を絞
って得られる無調整豆乳に、本発明の飲食品用組成物を混合して、最終飲食品である豆乳
飲料を得る場合、最終飲食品である豆乳飲料が「飲食品」であり、また、(2)大豆を絞
って得られる無調整豆乳に、本発明の飲食品用組成物を混合して、最終飲食品の製造する
ための中間材料である調整豆乳を得る場合、最終飲食品を製造するための材料として用い
られる中間材料の調整豆乳が「飲食品」であり、また、(3)大豆を絞って得られる無調
整豆乳に添加剤等を混合して得られる調整豆乳に、本発明の飲食品用組成物を混合して、
最終飲食品である豆乳飲料を得る場合、最終飲食品である豆乳飲料が「飲食品」である。
また、植物性飲食品素材とは、本発明の飲食品用組成物を混合する対象であり、最終飲
食品又は最終飲食品の製造用中間飲食品を製造するために、本発明の飲食品用組成物を混
合する前の材料である。例えば、上記(1)及び(2)の場合は、大豆を絞って得られた
無調整豆乳が、植物性飲食品素材であり、また、(3)の場合は、無調整豆乳に添加剤等
を混合して得られた調整豆乳が、植物性飲食品素材である。
【0028】
本発明の飲食品用組成物は、少なくとも、(A)成分と、(B)成分と、を含有する。
【0029】
(A)成分は、アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩のう
ちの1種以上である。つまり、(A)成分は、アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジ
ン及びリジンの酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種である。アルギニンの
酸付加塩としては、アルギニン塩酸塩、L-アルギニンL-グルタミン酸塩等が挙げられ
る。また、リジンの酸付加塩としては、リジン塩酸塩、L-リジンL-アスパラギン酸塩
、L-リジンL-グルタミン酸塩等が挙げられる。本発明の飲食品用組成物が、(A)成
分として、アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩のうちの1
種以上を含有することにより、(B)成分との相乗効果で、植物性飲食品の不快風味が抑
制される。一方、ヒスチジンは、塩基性アミノ酸ではあるが、飲食品用組成物が、ヒスチ
ジン又はその酸付加塩と(B)成分を含有していても、植物性飲食品の不快風味の抑制効
果は得られない。(A)成分は、アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリジン
の酸付加塩は、1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0030】
(B)成分は、有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩のうちの1種以上である。
有機酸としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、乳酸、フィチン酸が挙げら
れ、好ましくはクエン酸である。有機酸塩としては、クエン酸一カリウム、酒石酸水素カ
リウム、フマル酸一ナトリウム等が挙げられる。(B)成分に係る有機酸と有機酸の塩は
、1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。無機酸としては、リン酸が挙
げられる。また、無機酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等
が挙げられる。本発明の飲食品用組成物は、(A)成分と共に、(B)成分を含有するこ
とにより、(B)成分の作用で(A)成分の不快風味の抑制効果が高められるため、植物
性飲食品素材への(A)成分の混合量が少なくても、植物性飲食品の不快風味を抑制する
ことができる。なお、(B)成分としては、臭気が強いもの、例えば、酢酸や、味が強い
もの、例えば、コハク酸や、その他、植物性飲食品素材由来の不快風味とは別の異臭又は
異味を発生させるものは、好ましくないので、(B)成分からは除かれる。
【0031】
本発明の飲食品用組成物中、(B)成分の含有量は、(A)成分100.0質量部に対
し、20.0~180.0質量部、好ましくは100.0~140.0質量部である。飲
食品用組成物中の(B)成分の含有量が、上記範囲にあることにより、植物性飲食品の不
快風味が抑制される。一方、飲食品用組成物中の(B)成分の含有量が、上記範囲未満だ
と、(B)成分の作用による(A)成分の不快風味の抑制効果を高める効果が得られず、
また、上記範囲を超えると、(B)成分に由来する酸味が生じることとなる。
【0032】
本発明の飲食品用組成物は、(A)成分及び(B)成分以外に、調味料、甘味料、香料
、酸化防止剤、乳化剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の含有量は、
使用目的、使用される飲食品等により、適宜選択される。
【0033】
本発明の飲食品用組成物は、粉末状の(A)成分及び粉末状の(B)成分を少なくとも
含有する粉末状の混合物であっても、(A)成分及び(B)成分が水、水飴又はエタノー
ル等の水溶性溶媒に溶解又は分散されている溶液又は分散液の状態であってもよい。
【0034】
本発明の飲食品組用成物は、植物性の飲食品であって、ナトリウム塩や香辛料など、味
又は香りに大きな影響を及ぼすようなマスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる
飲食品の製造に用いられる。ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼ
すようなマスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる飲食品としては、ヘキサナー
ルを含む植物性飲食品素材又は酸化によりヘキサナールが生成される植物性飲食品素材を
原料として製造される飲食品が挙げられる。つまり、本発明の飲食品用組成物を混合して
得られる飲食品は、ヘキサナールを含む植物性飲食品素材又は酸化によりヘキサナールが
生成される植物性飲食品素材を材料として製造される飲食品であり、特に制限されないが
、例えば、無調整豆乳、調整豆乳、大豆飲料、おからを含有する大豆飲料等大豆由来の飲
食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品);ピーミルク(エンドウマメミルク
)、ヒヨコマメミルク等のマメ科植物から作られる飲食品(最終飲食品及び最終飲食品製
造用中間飲食品);オーツミルク、ライスミルク、キヌアミルク等の穀類から作られる飲
食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品);ココナッツミルク、アーモンドミ
ルク、マカダミアミルク、カシューミルク、ピスタチオミルク、ピーナッツミルク、ヘー
ゼルナッツミルク等のナッツ類から作られる飲食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中
間飲食品);青汁、ジャガイモミルク、野菜飲料等の野菜から作られる飲食品(最終飲食
品及び最終飲食品製造用中間飲食品);フルーツジュース等の果実から作られる飲食品;
ヘンプミルク等の飲食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品);フラックスミ
ルク等の飲食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品)が挙げられ、また、植物
由来の乳製品代替飲食品(一部置き換えを含む)(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間
飲食品)、グルテンフリーを目的とした小麦粉代替飲食品(一部置き換えを含む)(最終
飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品)等が挙げられる。そして、本発明の飲食品組用
成物は、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすようなマスキング
剤を用いると、風味が大きく損なわれる飲食品に用いる場合に、不快風味を低減する効果
が高く現れる。
【0035】
本発明の飲食品用組成物は、塩基性アミノ酸として、アルギニン、アルギニンの酸付加
塩、リジン及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上((A)成分)を含有し、且つ、(A
)成分に対して、上記所定の含有割合で、有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩の
うちの1種以上((B)成分)を含有することにより、(B)成分の作用で、(A)成分
の不快風味の抑制効果が高められるため、本発明の飲食品用組成物は、植物性飲食品素材
への(A)成分の混合量が少なくても、植物性飲食品の不快風味を抑制することができる
。そのため、植物性飲食品素材に混合される塩基性アミノ酸の量を少なくできるので、ナ
トリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすようなマスキング剤を用いる
と、風味が大きく損なわれる飲食品に多量の塩基性アミノ酸を混合することによる特有の
苦み発生の問題を防止することができる。
【0036】
本発明の飲食品の製造方法は、植物性飲食品素材に、少なくとも、(A)アルギニン、
アルギニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上と、該(A)10
0.0質量部に対し、20.0~180.0質量部の(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸
及び無機酸の塩のうちの1種以上と、を混合する混合工程を有することを特徴とする飲食
品の製造方法である。
【0037】
本発明において、本発明の飲食品の製造方法を行い得られるものは、消費者が消費の対
象とする最終飲食品、及び最終飲食品を製造するための材料として用いられる最終飲食品
の製造用中間飲食品の両方を含む。そのため、以下では「飲食品」との記載は、最終飲食
品と最終飲食品の製造用中間飲食品の両方を含む記載である。例えば、(1)大豆を絞っ
て得られる無調整豆乳を、植物性飲食品素材として用い、本発明の飲食品の製造方法を行
い、最終飲食品である豆乳飲料を得る場合、最終飲食品である豆乳飲料が「飲食品」であ
り、また、(2)大豆を絞って得られる無調整豆乳を、植物性飲食品素材として用い、本
発明の飲食品の製造方法を行い、最終飲食品の製造するための中間材料である調整豆乳を
得る場合、最終飲食品を製造するための材料として用いられる中間材料の調整豆乳が「飲
食品」であり、また、(3)大豆を絞って得られる無調整豆乳に添加剤等を混合して得ら
れる調整豆乳を、植物性飲食品素材として用い、本発明の飲食品の製造方法を行い、最終
飲食品である豆乳飲料を得る場合、最終飲食品である豆乳飲料が「飲食品」である。
また、植物性飲食品素材とは、本発明の飲食品の製造方法を実施対象の原料であり、最
終飲食品又は最終飲食品の製造用中間飲食品を製造するために、本発明の飲食品の製造方
法に用いられる原料である。例えば、上記(1)及び(2)の場合は、大豆を絞って得ら
れた無調整豆乳が、植物性飲食品素材であり、また、(3)の場合は、無調整豆乳に添加
剤等を混合して得られた調整豆乳が、植物性飲食品素材である。
【0038】
本発明の飲食品の製造方法は、混合工程を有する。
【0039】
混合工程に係る植物性飲食品素材は、ヘキサナールを含む植物性飲食品素材又は酸化に
よりヘキサナールが生成される植物性飲食品素材である。混合工程に係る植物性飲食品素
材としては、例えば、大豆由来の飲食品素材、大豆、エンドウ豆、ひよこ豆等のマメ科植
物由来の飲食品素材、米、オーツ麦、キヌア等の穀類由来の飲食品素材、アーモンド、マ
カダミア、カシューナッツ、ピスタチオ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ等のナッツ由来の
飲食品素材、ジャガイモ、ケール等の野菜由来の飲食品素材、果実由来の飲食品素材、ア
マニ由来の食品素材、麻由来の食品素材、植物由来の乳製品代替品(一部置き換えを含む
)素材、グルテンフリーを目的とした小麦粉代替品(一部置き換えを含む)素材等が挙げ
られる。例えば、無調整豆乳、調整豆乳、大豆飲料、おからを含有する大豆飲料等大豆由
来の飲食品製造用の素材;ピーミルク(エンドウマメミルク)、ヒヨコマメミルク等のマ
メ科植物から作られる飲食品製造用の素材;オーツミルク、ライスミルク、キヌアミルク
等の穀類から作られる飲食品製造用の素材;ココナッツミルク、アーモンドミルク、マカ
ダミアミルク、カシューミルク、ピスタチオミルク、ピーナッツミルク、ヘーゼルナッツ
ミルク等のナッツ類から作られる飲食品製造用の素材;青汁、ジャガイモミルク、野菜飲
料等の野菜から作られる飲食品製造用の素材;フルーツジュース等の果実から作られる飲
食品;ヘンプミルク等の飲食品製造用の素材;フラックスミルク等の飲食品製造用の素材
が挙げられ、また、植物由来の乳製品代替飲食品(一部置き換えを含む)製造用の素材、
グルテンフリーを目的とした小麦粉代替飲食品(一部置き換えを含む)製造用の素材等が
挙げられる。混合工程に係る植物性飲食品素材としては、より具体的には、無調整豆乳、
調整豆乳、大豆飲料、おからを含有する大豆飲料、ピーミルク(エンドウマメミルク)、
ヒヨコマメミルク、オーツミルク、ライスミルク、キヌアミルク、ココナッツミルク、ア
ーモンドミルク、マカダミアミルク、カシューミルク、ピスタチオミルク、ピーナッツミ
ルク、ヘーゼルナッツミルク、青汁、ジャガイモミルク、フルーツジュース、ヘンプミル
ク、フラックスミルク等が挙げられる。
【0040】
混合工程に係る(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加
塩のうちの1種以上、及び(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及び無機酸の塩のうちの1
種以上は、本発明の飲食品用組成物に係る(A)アルギニン、アルギニンの酸付加塩、リ
ジン及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上、及び(B)有機酸、有機酸の塩、無機酸及
び無機酸の塩のうちの1種以上と同様である。
【0041】
混合工程では、植物性飲食品素材に、(A)成分と(B)成分を添加し、撹拌又は混練
り等により混合する。
【0042】
混合工程において、植物性飲食品素材に対する(A)成分の混合量は、特に制限されず
、植物性飲食品素材の種類、不飽和アルデヒド類の含有量等の品質、製造する飲食品、(
A)成分の品質等により、適宜選択されが、飲料を製造する場合、(A)成分の混合量は
、例えば、植物性飲料素材100.00質量部に対し、0.01~1.00質量部である
。
【0043】
混合工程において、(B)成分の混合量は、(A)成分の混合量100.0質量部に対
し、20.0~180.0質量部、好ましくは100.0~140.0質量部である。(
B)成分の含有量が、上記範囲にあることにより、植物性飲食品の不快風味が抑制される
。一方(B)成分の混合量が、上記範囲未満だと、(B)成分の作用による(A)成分の
不快風味の抑制効果を高める効果が得られず、また、上記範囲を超えると、(B)成分に
由来する酸味が生じることとなる。
【0044】
混合工程では、予め(A)成分と(B)成分を混合し、それらの混合物を植物性飲食品
素材に混合することができる。例えば、本発明の飲食品用組成物を、植物性飲食品素材に
混合することにより混合工程を行うことができる。
【0045】
また、混合工程では、植物性飲食品素材に、(A)成分と(B)成分を別々に混合する
ことができる。混合工程において、植物性飲食品素材に、(A)成分と(B)成分を別々
に混合する場合、植物性飲食品素材に、先に(A)成分を混合し、次いで(B)成分を混
合してもよいし、あるいは、植物性飲食品素材に、先に(B)成分を混合し、次いで(A
)成分を混合してもよいし、あるいは、植物性飲食品素材に、(A)成分と(B)成分の
それぞれを同時期に混合してもよい。
【0046】
混合工程では、植物性飲食品素材に、(A)成分及び(B)成分以外に、調味料、甘味
料、香料、酸化防止剤、乳化剤等の添加剤を混合してもよい。これらの添加剤の混合量は
、使用目的、使用される飲食品等により、適宜選択される。
【0047】
混合工程では、植物性飲食品素材に、(A)成分及び(B)成分を添加し、必要に応じ
てその他の添加剤を添加した後は、任意の方法、例えば、食品製造に一般的に用いられる
混合機、混練機、撹拌機、分散機、捏和機、分散機、手混ぜ等で、これらを撹拌又は混練
りして混合する。
【0048】
混合工程において、植物性飲食品素材に、(A)成分及び(B)成分を添加し、必要に
応じてその他の添加剤も添加した後、これらを撹拌又は混練りするときの温度及び時間は
、適宜選択される。
【0049】
本発明の飲食品の製造方法では、混合工程を行い、必要に応じて混合工程を行い得られ
る混合処理物を成形し、また、必要に応じて加熱、焼成、冷却、殺菌等を実施して、飲食
品(最終飲食品又は最終飲食品製造用中間飲食品)を得る。
【0050】
本発明の飲食品の製造方法を行い得られる飲食品は、植物性の飲食品であって、ナトリ
ウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすようなマスキング剤を用いると、
風味が大きく損なわれる飲食品である。ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな
影響を及ぼすようなマスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる飲食品としては、
ヘキサナールを含む植物性飲食品素材又は酸化によりヘキサナールが生成される植物性飲
食品素材を材料として製造される飲食品が挙げられる。例えば、本発明の飲食品の製造方
法を行い得られる飲食品は、ヘキサナールを含む植物性飲食品素材又は酸化によりヘキサ
ナールが生成される植物性飲食品素材を材料として製造される飲食品である。
【0051】
本発明の飲食品の製造方法では、植物性飲食品素材に、(A)成分と、(A)成分に対
し所定割合の(B)成分を混合することにより、植物性飲食品であり、且つ、不快風味が
抑制されている飲食品を製造することができる。そして、本発明の飲食品の製造方法は、
ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及ぼすようなマスキング剤を用い
ると、風味が大きく損なわれる飲食品の製造において、得られる飲食品の不快風味を低減
する効果が高く現れる。
【0052】
本発明の飲食品は、植物性飲食品素材に、少なくとも、(A)アルギニン、アルギニン
の酸付加塩、リジン及びリジンの酸付加塩のうちの1種以上と、該(A)100.0質量
部に対し、20.0~180.0質量部の(B)有機酸及び有機酸塩、無機酸、無機酸塩
のうちの1種以上と、を混合する混合工程を行い得られたものであることを特徴とする飲
食品である。すなわち、本発明の飲食品は、本発明の飲食品の製造方法を行い得られたも
のである。
【0053】
本発明の飲食品に係る混合工程は、本発明の飲食品の製造方法に係る混合工程と同様で
ある。
【0054】
本発明の飲食品は、植物性飲食品であり、且つ、不快風味が抑制されている飲食品であ
る。また、本発明の飲食品は、ナトリウム塩や香辛料など、味又は香りに大きな影響を及
ぼすようなマスキング剤を用いると、風味が大きく損なわれる飲食品である。
【0055】
本発明の飲食品及び本発明の飲食品の製造方法を行い得られる飲食品は、例えば、無調
整豆乳、調整豆乳、大豆飲料、おからを含有する大豆飲料等大豆由来の飲食品(最終飲食
品及び最終飲食品製造用中間飲食品);ピーミルク(エンドウマメミルク)、ヒヨコマメ
ミルク等のマメ科植物から作られる飲食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品
);オーツミルク、ライスミルク、キヌアミルク等の穀類から作られる飲食品(最終飲食
品及び最終飲食品製造用中間飲食品);ココナッツミルク、アーモンドミルク、マカダミ
アミルク、カシューミルク、ピスタチオミルク、ピーナッツミルク、ヘーゼルナッツミル
ク等のナッツ類から作られる飲食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品);青
汁、ジャガイモミルク、野菜飲料等の野菜から作られる飲食品(最終飲食品及び最終飲食
品製造用中間飲食品);フルーツジュース等の果実から作られる飲食品;ヘンプミルク等
の飲食品(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品);フラックスミルク等の飲食品
(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品)が挙げられ、また、植物由来の乳製品代
替飲食品(一部置き換えを含む)(最終飲食品及び最終飲食品製造用中間飲食品)、グル
テンフリーを目的とした小麦粉代替飲食品(一部置き換えを含む)(最終飲食品及び最終
飲食品製造用中間飲食品)等が挙げられる。
【実施例0056】
以下に本発明の飲食品用組成物、飲食品の製造方法及び飲食品について、実施例により
説明する。ただし、本発明が当該実施の形態に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1~7、比較例1~2)
無調整大豆飲料(大塚食品社製)100.00gに、表1に示す添加量で、各成分を混
合して溶解させ、飲料を得た。得られた飲料を飲んだ際に感じる大豆飲料特有の青臭さを
評価した。その結果を表1に示す。なお、専門パネル3名により、各評価を行なった。
【0058】
<青臭さの評価基準>
3:コントロールと比べ、青臭さがかなり抑えられている。
2:コントロールと比べ、青臭さが抑えられている。
1:コントロールと比べ、青臭さがやや抑えられている。
0:コントロールと同程度の青臭さである。
-1:コントロールと比べ、青臭さがやや強い。
-2:コントロールと比べ、青臭さが強い。
-3:コントロールと比べ、青臭さがかなり強い。
【0059】
【0060】
表1中、各成分の添加量の単位は(g)である。つまり、表1中の各成分の添加量は、
無調整大豆飲料(大塚食品社製)100.00gに対する添加量(g)である。また、成
分が水等の溶媒に溶解又は分散している場合は、表1中の各成分の添加量は、有効成分量
を指す。
【0061】
表1の結果より、アルギニンと有機酸又は無機酸を本発明の範囲で混合した実施例では
、アルギニンの不快風味の抑制効果が高められていた。一方、アルギニン又は有機酸の一
方しか混合していない比較例では、不快風味の抑制効果は低かった。
【0062】
(実施例8~10、比較例3~6)
無調整大豆飲料(大塚食品社製)100.00gに、表2に示す添加量で、各成分を混
合して溶解させ、飲料を得た。得られた飲料を飲んだ際に感じる大豆飲料特有の青臭さを
評価した。その結果を表2に示す。なお、専門パネル3名により、各評価を行なった。
【0063】
【0064】
表2中、各成分の添加量の単位は(g)である。つまり、表2中の各成分の添加量は、
無調整大豆飲料(大塚食品社製)100.00gに対する添加量(g)である。また、成
分が水等の溶媒に溶解又は分散している場合は、表2中の各成分の添加量は、有効成分量
を指す。
【0065】
表2の結果より、塩基性アミノ酸又はその酸付加塩として、アルギニン、アルギニン塩
酸塩又はリジン塩酸塩と、有機酸と、を本発明の範囲で混合した実施例では、塩基性アミ
ノ酸又はその酸付加塩の不快風味の抑制効果が高められていた。一方、ヒスチジン、その
塩酸付加塩又はトリプトファンと、有機酸と、を混合した比較例では、不快風味の抑制効
果は低かった。
【0066】
(実施例11~23、比較例7~10)
無調整大豆飲料(大塚食品社製)100.00gに、表3に示す添加量で、各成分を混
合して溶解させ、飲料を得た。得られた飲料を飲んだ際に感じる大豆飲料特有の青臭さを
評価した。その結果を表3に示す。なお、専門パネル3名により、各評価を行なった。
【0067】
【0068】
表3中、各成分の添加量の単位は(g)である。つまり、表3中の各成分の添加量は、
無調整大豆飲料(大塚食品社製)100.00gに対する添加量(g)である。また、成
分が水等の溶媒に溶解又は分散している場合は、表2中の各成分の添加量は、有効成分量
を指す。
【0069】
表3の結果より、アルギニンと有機酸を本発明の範囲で混合した実施例では、アルギニ
ンの不快風味の抑制効果が高められていた。一方、アルギニンに対する有機酸の混合割合
が本発明の範囲を超えている比較例では、不快風味の抑制効果は低かった。
【0070】
(実施例24、比較例9~10)
青汁飲料(アサヒグループ食品製)100.00gに、表4に示す添加量で、各成分を
混合して溶解させ、飲料を得た。得られた飲料を飲んだ際に感じる青汁飲料特有の青臭さ
を評価した。その結果を表4に示す。なお、専門パネル3名により、各評価を行なった。
【0071】
【0072】
表4中、各成分の添加量の単位は(g)である。つまり、表3中の各成分の添加量は、
青汁飲料(アサヒグループ食品製)100.00gに対する添加量(g)である。また、
成分が水等の溶媒に溶解又は分散している場合は、表4中の各成分の添加量は、有効成分
量を指す。
【0073】
表4の結果より、青汁飲料においても、アルギニンと有機酸を本発明の範囲で混合した
実施例では、アルギニンの不快風味の抑制効果が高められていた。一方、アルギニン又は
有機酸の一方しか混合していない比較例では、不快風味の抑制効果は低かった。
【0074】
(実施例25、比較例11~12)
エンドウ豆タンパク粉末10.00gに水90.00gを加えた後、表5に示す添加量
で、各成分を混合して溶解させ、飲料を得た。得られた飲料を飲んだ際に感じるエンドウ
豆特有の青臭さを評価した。その結果を表5に示す。なお、専門パネル3名により、各評
価を行なった。
【0075】
【0076】
表5中、各成分の添加量の単位は(g)である。つまり、表3中の各成分の添加量は、
エンドウ豆タンパク粉末10.00g及び水90.00gに対する添加量(g)である。
また、成分が水等の溶媒に溶解又は分散している場合は、表5中の各成分の添加量は、有
効成分量を指す。
【0077】
表5の結果より、エンドウ豆タンパク水溶液においても、アルギニンと有機酸を本発明
の範囲で混合した実施例では、アルギニンの不快風味の抑制効果が高められていた。一方
、アルギニン又は有機酸の一方しか混合していない比較例では、不快風味の抑制効果は低
かった。