(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131590
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加熱調理容器及び加熱装置
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20240920BHJP
F24C 15/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47J37/06 311
A47J37/06 361
F24C15/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041955
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】畑岡 完
(72)【発明者】
【氏名】坂元 愛理
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB03
4B040AD04
4B040CA02
4B040CB02
4B040EB20
4B040ED01
4B040GB03
4B040GB10
(57)【要約】
【課題】利便性に優れた加熱調理容器及び加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明の加熱装置9は、加熱庫95と加熱調理容器1とを備えている。加熱調理容器1は、容器本体30と蓋体10とを備えている。容器本体30は本体底壁35と本体周壁36とを有している。蓋体10は、蓋体上壁11と蓋体周壁12と蓋体フランジ13と把持部14とを有している。把持部14は使用者が把持可能である。蓋体フランジ13は、第1フランジ部13Aと第2フランジ部13Bとを有している。第2フランジ部13Bは、蓋体周壁12と第1フランジ部13Aとの間に位置しており、蓋体周壁12の下端と第1フランジ部13Aとに接続している。把持部14は、蓋体10が容器本体30に取り付けられた状態で蓋体10を上方から見た際、少なくとも一部が本体周壁36の上方に重なるように第1フランジ部13Aに設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物の加熱を行う加熱庫に用いられる加熱調理容器であって、
前記被調理物を収容する容器本体と、
前記容器本体に取り付けられて前記容器本体を上方から覆う蓋体とを備え、
前記容器本体は、本体底壁と、前記本体底壁と接続し、前記本体底壁を囲いつつ上方に向かって延びる本体周壁とを有し、
前記蓋体は、蓋体上壁と、前記蓋体上壁と接続し、前記蓋体上壁を囲いつつ下方に向かって延びる蓋体周壁と、前記蓋体周壁と接続し、前記蓋体周壁の外側に向かって延びる蓋体フランジと、使用者が把持可能な把持部とを有し、
前記蓋体フランジは、前記蓋体が前記容器本体に取り付けられた際に前記本体周壁の上端に載置される第1フランジ部と、
前記蓋体周壁と前記第1フランジ部との間に位置して前記蓋体周壁の下端と前記第1フランジ部とに接続し、前記蓋体が前記容器本体に取り付けられた際に前記本体周壁の前記上端よりも下方に位置する第2フランジ部とを有し、
前記把持部は、前記蓋体が前記容器本体に取り付けられた状態で前記蓋体を上方から見た際、少なくとも一部が前記本体周壁の上方に重なるように前記第1フランジ部に設けられていることを特徴とする加熱調理容器。
【請求項2】
前記把持部は、前記第1フランジ部よりも上方に向かって突出し、
前記把持部の上端は前記蓋体上壁よりも下方に位置している請求項1記載の加熱調理容器。
【請求項3】
前記把持部は前記第1フランジ部に一体に形成されている請求項1又は2記載の加熱調理容器。
【請求項4】
前記把持部は、前記蓋体における幅方向の一端に位置して長手方向に延びる第1把持部と、前記幅方向の他端に位置して前記長手方向に延びる第2把持部とからなり、
前記第1フランジ部には、前記第1把持部の前記長手方向の一端と接続する個所に位置して下方に突出する第1凸部と、前記第1把持部の前記長手方向の他端と接続する個所に位置して下方に突出する第2凸部と、前記第2把持部の前記長手方向の一端と接続する個所に位置して下方に突出する第3凸部と、前記第2把持部の前記長手方向の他端と接続する個所に位置して下方に突出する第4凸部とが形成され、
前記第1凸部、前記第2凸部、前記第3凸部及び前記第4凸部は、前記蓋体が前記容器本体に取り付けられた際に前記本体周壁の上端にそれぞれ当接する請求項3記載の加熱調理容器。
【請求項5】
前記第1把持部及び前記第2把持部は、前記本体周壁よりも内側に位置して前記第2フランジ部に向かって延び、前記第2フランジ部と接続する立壁を有している請求項4記載の加熱調理容器。
【請求項6】
前記本体周壁は、外側に面する外周面と、前記外周面の反対側に位置して前記立壁と面する内周面とを有し、
前記幅方向における前記立壁から前記外周面までの長さは第1長さとされ、
前記第1把持部及び前記第2把持部は、前記幅方向において前記外周面よりも外側に向かって前記第1長さよりも短い第2長さで突出している請求項5記載の加熱調理容器。
【請求項7】
前記蓋体上壁には、前記幅方向に延びつつ前記蓋体上壁を貫通する開口が形成され、
前記開口における前記幅方向の最外縁部は、前記第1把持部及び前記第2把持部の前記長手方向の一端よりも内側、かつ、前記第1把持部及び前記第2把持部の前記長手方向の他端よりも内側に位置している請求項4記載の加熱調理容器。
【請求項8】
被調理物の加熱を行う加熱庫と、
請求項1記載の加熱調理容器とを備えていることを特徴とする加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理容器及び加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の加熱調理容器が開示されている。この加熱調理容器は、被調理物を収容する容器本体と、容器本体に取り付けられて容器本体を上方から覆う蓋体とを備えている。容器本体は、本体底壁と本体周壁とを有している。本体底壁は略矩形をなす平面の板状に形成されている。本体周壁は、本体底壁と接続しており、本体底壁を囲いつつ上方に向かって延びている。
【0003】
蓋体は、蓋体上壁と蓋体周壁と蓋体フランジとを有している。蓋体上壁は蓋体における上端に位置している。蓋体上壁には、支持具を挿入するための挿入孔が形成されている。蓋体周壁は、蓋体上壁と接続しており、蓋体上壁を囲いつつ下方に向かって延びている。蓋体フランジは、蓋体周壁の下端と接続しており、蓋体周壁の外側に向かって延びている。蓋体フランジは、蓋体が容器本体に取り付けられた際に本体周壁の上端に載置されるようになっている。
【0004】
この加熱調理容器は加熱庫に用いられる。より具体的には、この加熱調理容器は、被調理物が収容された容器本体に蓋体を取り付けた状態で加熱庫内に配置される。こうして、加熱庫内において加熱調理容器が被調理物とともに加熱源によって加熱されることにより、容器本体に収容された被調理物が加熱調理される。
【0005】
このように加熱調理容器は被調理物とともに加熱庫内で加熱されることから、被調理物の加熱が終了した直後は、蓋体を含め加熱調理容器全体が高温となっている。そこで、この加熱調理容器では、使用者は、挿通孔に専用の支持具を挿通しつつ、この支持具によって容器本体からの蓋体の取り外しを行う。こうして、加熱された被調理物を容器本体から取り出すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の加熱調理容器は、容器本体からの蓋体の取り外しを行うに当たって専用の支持具が必要であることから、使用者は、加熱調理容器を用いて被調理物の加熱を行う際には、その都度、支持具を準備する必要がある。このため、この加熱調理容器は利便性が低い。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、利便性に優れた加熱調理容器及び加熱装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加熱調理容器は、被調理物の加熱を行う加熱庫に用いられる加熱調理容器であって、
前記被調理物を収容する容器本体と、
前記容器本体に取り付けられて前記容器本体を上方から覆う蓋体とを備え、
前記容器本体は、本体底壁と、前記本体底壁と接続し、前記本体底壁を囲いつつ上方に向かって延びる本体周壁とを有し、
前記蓋体は、蓋体上壁と、前記蓋体上壁と接続し、前記蓋体上壁を囲いつつ下方に向かって延びる蓋体周壁と、前記蓋体周壁と接続し、前記蓋体周壁の外側に向かって延びる蓋体フランジと、使用者が把持可能な把持部とを有し、
前記蓋体フランジは、前記蓋体が前記容器本体に取り付けられた際に前記本体周壁の上端に載置される第1フランジ部と、
前記蓋体周壁と前記第1フランジ部との間に位置して前記蓋体周壁の下端と前記第1フランジ部とに接続し、前記蓋体が前記容器本体に取り付けられた際に前記本体周壁の前記上端よりも下方に位置する第2フランジ部とを有し、
前記把持部は、前記蓋体が前記容器本体に取り付けられた状態で前記蓋体を上方から見た際、少なくとも一部が前記本体周壁の上方に重なるように前記第1フランジ部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の加熱調理容器では、蓋体が把持部を有しているため、被調理物の加熱が終了した後、使用者はミトン等の耐熱手袋を装着した状態で把持部を把持して蓋体を容器本体から取り外すことができる。こうして、この加熱調理容器では、容器本体からの蓋体の取り外しを行うに当たって、専用の支持具等を準備する必要がない。
【0011】
ところで、把持部を第1フランジ部に設けた状態で把持部を第1フランジ部から外側に向かって大きく突出させれば、使用者は把持部を把持し易くなる。しかし、この場合には、加熱調理容器を加熱庫内に配置した際、加熱庫内において把持部が加熱源に接近することで把持部がより高温に加熱されてしまう。このため、たとえミトン等を装着していても使用者は把持部を把持することが困難となることから、利便性を十分に高くすることができない。また、加熱調理容器を加熱庫内に配置させるに当たって、加熱調理容器には全体としての大きさに制限がある。このため、把持部を第1フランジ部から外側に向かって大きく突出させつつも加熱調理容器を加熱庫内に配置可能な大きさに形成すると、その分、容器本体の容積を確保し難くなってしまう。これにより、容器本体に収容可能な被調理物の大きさや量についての制約が増えてしまうことから、この場合にも、利便性を十分に高くすることができない。
【0012】
この点、この加熱調理容器では、把持部は、蓋体が容器本体に取り付けられた状態で蓋体を上方から見た際に少なくとも一部が本体周壁の上方に重なるように第1フランジ部に設けられている。このため、この加熱調理容器では、加熱庫内において把持部が加熱源に接近することを可及的に抑制できるため、把持部が高温に加熱され難い。また、この加熱調理容器では、第1フランジ部に把持部を設けつつも、加熱調理容器を加熱庫内に配置可能な大きさとするに当たって、容器本体の容積を制限し難い。
【0013】
したがって、本発明の加熱調理容器は利便性に優れている。
【0014】
また、この加熱調理容器では、蓋体が容器本体に取り付けられた際、蓋体フランジでは、第1フランジ部が本体周壁の上端に載置される一方、第2フランジ部は本体周壁の上端よりも下方に位置する。このため、この加熱調理容器では、被調理物が加熱されることによる蒸気や被調理物から生じた油脂等が本体周壁と蓋体フランジとの間から外部に放出され難い。これにより、この加熱調理容器では、被調理物を好適に加熱できるとともに、油脂等が本体周壁と蓋体フランジとの間から外部に放出されることによる容器本体及び蓋体の汚れの他、加熱庫内の汚れを防止できる。この点においても、この加熱調理容器は利便性に優れている。
【0015】
把持部は、第1フランジ部よりも上方に向かって突出し得る。そして、把持部の上端は蓋体上壁よりも下方に位置していることが好ましい。
【0016】
この場合には、使用者が把持部をより把持し易くなる。また、加熱調理容器を加熱庫内に配置した際に、把持部が高さ方向で加熱源に接近することも抑制できるため、把持部が高温に加熱されることを好適に抑制できる。さらに、この加熱調理容器では、把持部を含め、加熱調理容器が高さ方向に大型化することを抑制できるため、加熱調理容器を加熱庫内に配置可能な大きさとするに当たって、容器本体の容積がより制限され難い。
【0017】
把持部は第1フランジ部に一体に形成されていることが好ましい。この場合には、把持部を第1フランジ部に容易に設けることができる。
【0018】
また、把持部は、蓋体における幅方向の一端に位置して長手方向に延びる第1把持部と、幅方向の他端に位置して長手方向に延びる第2把持部とからなり得る。さらに、第1フランジ部には、第1把持部の長手方向の一端と接続する個所に位置して下方に突出する第1凸部と、第1把持部の長手方向の他端と接続する個所に位置して下方に突出する第2凸部と、第2把持部の長手方向の一端と接続する個所に位置して下方に突出する第3凸部と、第2把持部の長手方向の他端と接続する個所に位置して下方に突出する第4凸部とが形成され得る。そして、第1凸部、第2凸部、第3凸部及び第4凸部は、蓋体が容器本体に取り付けられた際に本体周壁の上端にそれぞれ当接することが好ましい。
【0019】
この場合には、使用者が第1把持部及び第2把持部をそれぞれ把持することにより、容器本体からの蓋体の取り外しを容易かつ安定的に行うことができる。ここで、例えば、プレス加工によって第1把持部及び第2把持部を第1フランジ部に一体に形成する場合、第1把持部及び第2把持部の形成時に第1フランジ部に歪みが生じ得る。また、第1把持部及び第2把持部の形成以外の蓋体の製造時にも第1フランジ部に歪みが生じ得る。これらのため、容器本体に蓋体を取り付けた際、容器本体と蓋体とにガタツキが生じることが懸念される。
【0020】
この点、この加熱調理容器では、第1フランジ部に第1~4凸部が形成され、これらの第1~4凸部は、容器本体に蓋体が取り付けられることにより、本体周壁の上端にそれぞれ当接する。これにより、この加熱調理容器では、第1フランジ部が本体周壁の上端に安定的に載置されるため、容器本体と蓋体とにガタツキが生じ難い。
【0021】
第1把持部及び第2把持部は、本体周壁よりも内側に位置して第2フランジ部に向かって延び、第2フランジ部と接続する立壁を有していることが好ましい。
【0022】
この場合には、被調理物が加熱されることによる蒸気や油脂等が本体周壁と第1把持部との間、及び、本体周壁と第2把持部との間から加熱調理容器の外部に放出されることを防止できる。
【0023】
本体周壁は、外側に面する外周面と、外周面の反対側に位置して立壁と面する内周面とを有し得る。また、幅方向における立壁から外周面までの長さは第1長さとされ得る。そして、第1把持部及び第2把持部は、幅方向において外周面よりも外側に向かって第1長さよりも短い第2長さで突出していることが好ましい。
【0024】
この場合には、第1把持部及び第2把持部に対する把持のし易さの向上を図りつつも、第1把持部及び第2把持部が本体周壁の外周面よりも外側に大きく突出することを好適に防止できる。このため、加熱庫内で第1把持部及び第2把持部が加熱源に接近し難く、第1把持部及び第2把持部が高温に加熱され難い。
【0025】
蓋体上壁には、幅方向に延びつつ蓋体上壁を貫通する開口が形成され得る。そして、開口における幅方向の最外縁部は、第1把持部及び第2把持部の長手方向の一端よりも内側、かつ、第1把持部及び第2把持部の長手方向の他端よりも内側に位置していることが好ましい。
【0026】
この場合には、被調理物の加熱時に開口を通じて加熱庫内と加熱調理容器内とで空気を好適に対流させることができるため、被調理物を好適に加熱することができる。また、この加熱調理容器では、油脂等が開口から蓋体周壁を伝って第1把持部や第2把持部まで流れた場合であっても、これらの油脂等を第1把持部の立壁や第2把持部の立壁によって堰き止めることができる。このため、第1把持部及び第2把持部において立壁以外には油脂等が付着し難くなるため、この加熱調理容器では、使用者がミトン等を装着して第1把持部及び第2把持部を把持した際、ミトン等が汚れ難くなる。
【0027】
本発明の加熱装置は、被調理物の加熱を行う加熱庫と、
請求項1記載の加熱調理容器とを備えていることを特徴とする。
【0028】
本発明の加熱装置が備える加熱調理容器は、請求項1の作用効果を奏する。
【0029】
したがって、本発明の加熱装置は利便性に優れている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の本発明の加熱調理容器は利便性に優れている。また、本発明の加熱装置は利便性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、実施例のガスコンロを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例のガスコンロに係り、加熱調理容器が加熱庫内で用いられている状態を示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、実施例のガスコンロに係り、加熱調理容器の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例のガスコンロに係り、加熱調理容器の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例のガスコンロに係り、
図3のA-A断面を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施例のガスコンロに係り、
図3のB-B断面を示す要部拡大断面図である。
【
図7】
図7は、実施例のガスコンロに係り、
図5のX部分を示す要部拡大断面図である。
【
図8】
図8は、実施例のガスコンロに係り、蓋体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図1に示すように、実施例のガスコンロ9は、コンロ本体90と、天板99と、前面パネル98と、3つのコンロバーナ97と、加熱グリル95と、加熱調理容器1とを備えている。ガスコンロ9は、本発明における「加熱装置」の一例である。加熱グリル95は、本発明における「加熱庫」の一例である。実施例のガスコンロ9は、所謂ビルトイン式のガスコンロである。
【0034】
本実施例では、
図1において、ガスコンロ9の前面パネル98側を前方と規定し、天板99側を上方と規定して、前後方向及び上下方向を表示する。また、前面パネル98に対面する状態でガスコンロ9を見たときに左に来る側を左方と規定して、左右方向を表示する。そして、
図2以降の各図に示す前後、左右及び上下の各方向は、全て
図1に対応させて表示する。また、左右方向は本発明における「幅方向」に相当しており、前後方向は本発明における「長手方向」に相当している。
【0035】
図1に示すように、コンロ本体90は略矩形の箱状に形成されている。天板99は、コンロ本体90の上方に配置されており、コンロ本体90の上面を覆っている。また、天板の後部には、排気口99Hが設けられている。
【0036】
前面パネル98は、コンロ本体90の前方に配置されており、コンロ本体90の前面を覆っている。前面パネル98には、使用者(図示略)が各コンロバーナ97の操作を行う第1操作部98Aと、加熱グリル95の操作を行う第2操作部98Bとが設けられている。
【0037】
各コンロバーナ97は天板99上に設けられている。各コンロバーナ97は、燃料ガスを燃焼させることにより、フライパンや鍋等を通じて被調理物F1(
図2参照)の加熱調理を行う。なお、コンロバーナ97の個数は適宜設計可能である。
【0038】
図2に示すように、加熱グリル95はコンロ本体90の内部に設けられている。また、
図1に示すように、加熱グリル95は、前面パネル98に開く開口部95Hと、開口部95Hを閉鎖可能なグリル扉96とを有している。詳細な図示を省略するものの、加熱グリル95の内部空間は、排気筒を通じて排気口99Hからコンロ本体90の外部に排出されるようになっている。なお、
図2では、説明を容易にするため、コンロ本体90、天板99及び各コンロバーナ97を二点鎖線で示している。
【0039】
図2に示すように、加熱グリル95内の底部側には、トレー保持部材94が前後方向にスライド可能に設けられている。トレー保持部材94は、被調理物F1の油脂や水分を受けるための皿状のグリルトレー94Aを保持している。
【0040】
図1において二点鎖線で簡略して示すように、トレー保持部材94の前端部は、グリル扉96の下端部に接続されている。これにより、使用者がグリル扉96を前向きに引くことにより、開口部95Hを開放し、トレー保持部材94及びグリルトレー94Aを加熱グリル95の外部に引き出すことができる。そして、使用者がグリル扉96を後向きに押すことにより、トレー保持部材94及びグリルトレー94Aを加熱グリル95内に収容し、開口部95Hを閉鎖することができる。
【0041】
また、
図2に示すように、グリルトレー94Aの上面には、容器固定部材93が取り付けられている。容器固定部材93は、金属製の複数の線材が互いに接合されることで形成されている。容器固定部材93は、加熱調理容器1が加熱グリル95に使用される際、加熱グリル95内で加熱調理容器1を下方から支持可能となっている。なお、容器固定部材93に換えて、焼き網等(図示略)をグリルトレー94Aの上面に取り付けることにより、その焼き網に被調理物F1を載置することも可能となっている。
【0042】
また、加熱グリル95は、加熱源としての上火バーナ91と、第1下火バーナ92Lと、第2下火バーナ92Rとを有している。上火バーナ91は、加熱グリル95の上壁95Uの中央部に配置されている。第1下火バーナ92Lは、加熱庫95の左側壁95Lにおける下方側に配置されている。第2下火バーナ92Rは、加熱庫95の右側壁95Rにおける下方側に配置されている。こうして、加熱グリル95では、上火バーナ91が加熱グリル95内の上方に位置しており、第1下火バーナ92Lと第2下火バーナ92Rとが加熱グリル95内の左右にそれぞれ位置している。
【0043】
上火バーナ91は、セラミック製の燃焼板91Aを有している。燃焼板91Aは、加熱庫95の上壁95Uの下面に沿って配置されている。図示を省略するものの、燃焼板91Aは、上面視略U字状である。燃焼板91Aの下面の略全域には、複数の炎孔91Hが形成されている。
【0044】
上火バーナ91が点火した際には、燃焼板91Aの炎孔91Hから噴射されたガスの燃焼炎が燃焼板91Aの下面の略全域に形成される。これにより、上火バーナ91は、輻射熱及び燃焼熱を加熱庫95内の中央の領域へ向けて下向きに放射する。これにより、上火バーナ91は、加熱庫95内の被調理物F1等を上方から加熱する。
【0045】
第1下火バーナ92Lは、加熱庫95の左側壁95Lに沿って前後方向に延びるように配置されている。第2下火バーナ92Rは、加熱庫95の右側壁95Rに沿って前後方向に延びるように配置されている。第1、2下火バーナ92L、92Rのそれぞれにおける加熱庫95の中央を向く側端面の略全域には、複数の炎孔92Hが形成されている。
【0046】
第1、2下火バーナ92L、92Rが点火した際には、第1、2下火バーナ92L、92Rのそれぞれの炎孔92Hから噴射されたガスの燃焼排ガスが加熱庫95内の中央及び下方の領域に向けて放出される。これにより、第1下火バーナ92Lは、加熱庫95内の被調理物F1等を左方及び左下方から加熱する。一方、第2下火バーナ92Rは、加熱庫95内の被調理物F1等を右方及び右下方から加熱する。
【0047】
図3~
図5に示すように、加熱調理容器1は、容器本体30と蓋体10とで構成されている。容器本体30及び蓋体10は、アルミニウム合金等の金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。ここで、蓋体10は、容器本体30よりも薄い金属板によって形成されている。なお、容器本体30及び蓋体10は、鋳物やダイキャスト製等であっても良い。
【0048】
容器本体30は、上面が開放された略箱状をなしている。より具体的には、容器本体30は、前後方向の長さが左右方向の長さに比べて長い略矩形の箱状をなしている。容器本体30は、本体底壁35と本体周壁36とからなる。
【0049】
本体底壁35は、容器本体30の下部に位置しており、容器本体30、ひいては加熱調理容器1の底部を構成している。
図5に示すように、本体底壁35は、本体部35Aと第1脚部35Bと、第2脚部35Cと、外周部35Dと、複数のリブ35Eとを有している。
【0050】
本体部35Aは、本体底壁35における中央に位置しており、前後方向の長さが左右方向の長さに比べて長い略矩形の板状をなしている。第1脚部35Bは本体部35Aの左方に位置しており、本体部35Aの左端と接続している。第2脚部35Cは本体部35Aの右方に位置しており、本体部35Aの右端と接続している。第1脚部35B及び第2脚部35Cは、本体部35Aよりも下方に突出しつつ、前後方向に延びている。
【0051】
外周部35Dは、本体部35A及び第1、2脚部35B、35Cの外周側に位置しており、本体部35A及び第1、2脚部35B、35Cと接続している。
図4及び
図5に示すように、各リブ35Eは、本体部35Aに形成されており、本体部35Aから上方に向かって突出している。各リブ35E同士は、前後方向に一定の間隔を設けつつ、左右方向に延びている。なお、各リブ35Eの形状や個数を含め、本体底壁35の形状は適宜設計可能である。
【0052】
本体周壁36は、本体底壁35と前後方向の長さ及び左右方向の長さが等しい略矩形の環状をなしている。本体周壁36は、本体底壁35の外周部35Dと接続しており、外周部35D、すなわち本体底壁35から上方に向かって延びている。この際、本体周壁36は、各リブ35Eの上端よりも上方に延びている。つまり、本体周壁36は、各リブ35Eよりも高い長さで延びている。これにより、本体周壁36は本体底壁35を囲っている。なお、本体周壁36が上方に向かって延びる長さは適宜設計可能である。
【0053】
図6及び
図7に示すように、本体周壁36は、外周面36Aと、内周面36Bと、上端面36Cとを有している。上端面36Cは、本発明における「本体周壁の上端」の一例である。
【0054】
外周面36Aは本体周壁36の外側、つまり、容器本体30の外側に面している。外周面36Aは、本体周壁36、ひいては容器本体30において最も外側に位置している。内周面36Bは外周面36Aの反対側に位置しており、本体周壁36の内側に面している。上端面36Cは、外周面36Aと内周面36Bとの間に位置しており、外周面36Aと内周面36Bとに接続している。上端面36Cは、本体周壁36において最も上部に位置している。上端面36Cは平坦に形成されている。
【0055】
図3~
図5に示すように、蓋体10は、容器本体30の上部に位置している。蓋体10は、下面が開放された略箱状をなしている。ここで、蓋体10は、容器本体30に対応する形状となっており、前後方向の長さが左右方向の長さに比べて長い略矩形の箱状をなしている。
【0056】
蓋体10は、蓋体上壁11と、蓋体周壁12と、蓋体フランジ13と、第1把持部14と、第2把持部15とを有している。蓋体上壁11は、蓋体10上部中央に位置しており、蓋体10、ひいては加熱調理容器1の上端部分を構成している。蓋体上壁11は、前後方向の長さが左右方向の長さに比べて長い略矩形の板状をなしている。また、蓋体上壁11には、4つの開口16が形成されている。なお、各開口16についての詳細は後述する。
【0057】
蓋体周壁12は、蓋体上壁11の外周縁と接続しており、蓋体上壁11から下方に向かって延びている。これにより、蓋体周壁12は蓋体上壁11を囲っている。また、蓋体周壁12は、蓋体上壁11から下方に向かうにつれて外側に広がる形状をなしている。
【0058】
蓋体フランジ13は、蓋体上壁11及び蓋体周壁12の外側に位置しており、蓋体上壁11及び蓋体周壁12を囲っている。蓋体フランジ13は、第1フランジ部13Aと、第2フランジ部13Bとからなる。
【0059】
図6及び
図8に示すように、第1フランジ部13Aは、蓋体フランジ13における外側部分を構成している。第1フランジ部13Aは、第1前縁部位131と、第1後縁部位132と、第1左縁部位133と、第1右縁部位134と、接続部位135とを有している。
【0060】
第1前縁部位131は、第1フランジ部13Aの前部を構成しており、左右方向に延びている。第1後縁部位132は、第1フランジ部13Aの後部を構成しており、第1前縁部位131と等しい長さで左右方向に延びている。第1左縁部位133は、第1フランジ部13Aの左部を構成しており、前後方向に延びている。第1右縁部位134は、第1フランジ部13Aの右部を構成しており、第1左縁部位133と等しい長さで前後方向に延びている。
【0061】
第1左縁部位133及び第1右縁部位134は、第1前縁部位131と第1後縁部位132との間に位置している。そして、第1左縁部位133及び第1右縁部位134は、それぞれ前端が第1前縁部位131と接続しており、後端が第1後縁部位132と接続している。より具体的には、第1左縁部位133の前端は、第1前縁部位131に向かって右方に湾曲しつつ第1前縁部位131の左端と接続している。また、第1左縁部位133の後端は、第1後縁部位132に向かって右方に湾曲しつつ第1後縁部位132の左端と接続している。一方、第1右縁部位134の前端は、第1前縁部位131に向かって左方に湾曲しつつ第1前縁部位131の右端と接続している。そして、第1右縁部位134の後端は、第1後縁部位132に向かって左方に湾曲しつつ第1後縁部位132の右端と接続している。
【0062】
第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134は、第2フランジ部13B側から外側に向かって、本体周壁36の上端面36Cと略平行に延びている(
図6参照)。
【0063】
接続部位135は、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134の内側に位置しており、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134と接続している。これにより、第1フランジ部13Aにおいて、接続部位135は、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134と、第2フランジ部13Bとの間となる個所に位置している。
【0064】
接続部位135は、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134から下方に向かって延びている。こうして、接続部位135は、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134と接続する略矩形の環状をなしている。
【0065】
図6及び
図8に示すように、第2フランジ部13Bは、第1フランジ部13Aと蓋体周壁12との間に位置している。これにより、第2フランジ部13Bは、蓋体フランジ13における内側部分を構成している。
図6に示すように、第2フランジ部13Bは、第1フランジ部13Aよりも下方に位置している。
【0066】
図8に示すように、第2フランジ部13Bは、第2前縁部位136と、第2後縁部位137と、第2左縁部位138と、第2右縁部位139とを有している。第2前縁部位136は、第2フランジ部13Bの前部を構成しており、左右方向に延びている。第2後縁部位137は、第2フランジ部13Bの後部を構成しており、第2前縁部位136と等しい長さで左右方向に延びている。第2左縁部位138は、第2フランジ部13Bの左部を構成しており、前後方向に延びている。第2右縁部位139は、第2フランジ部13Bの右部を構成しており、第2左縁部位138と等しい長さで前後方向に延びている。
【0067】
第2左縁部位138及び第2右縁部位139は、第2前縁部位136と第2後縁部位137との間に位置している。そして、第2左縁部位138及び第2右縁部位139は、それぞれ前端が第2前縁部位136と接続しており、後端が第2後縁部位137と接続している。より具体的には、第2左縁部位138の前端は、第2前縁部位136に向かって右方に湾曲しつつ第2前縁部位136の左端と接続している。また、第2左縁部位138の後端は、第2後縁部位137に向かって右方に湾曲しつつ第2後縁部位137の左端と接続している。一方、第2右縁部位139の前端は、第2前縁部位136に向かって左方に湾曲しつつ第2前縁部位136の右端と接続している。そして、第2右縁部位139の後端は、第2後縁部位137に向かって左方に湾曲しつつ第2後縁部位137の右端と接続している。
【0068】
第2前縁部位136、第2後縁部位137、第2左縁部位138及び第2右縁部位139は、蓋体周壁12側から外側に向かって、第1フランジ部13Aの第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134と略平行に延びている(
図6参照)。
【0069】
また、第2前縁部位136、第2後縁部位137、第2左縁部位138及び第2右縁部位139、すなわち第2フランジ部13Bは、第1フランジ部13Aの接続部位135の下端と接続している。つまり、第2前縁部位136は、接続部位135を通じて第1前縁部位131と接続しており、第2後縁部位137は、接続部位135を通じて第1後縁部位132と接続している。そして、第2左縁部位138は、接続部位135を通じて第1左縁部位133と接続しており、第2右縁部位139は、接続部位135を通じて第1右縁部位134と接続している。こうして、第1フランジ部13Aと第2フランジ部13Bとは一体をなしている。
【0070】
また、第2フランジ部13Bは、第1フランジ部13Aとは反対側となる蓋体周壁12側において、蓋体周壁12の下端と接続している。こうして、第2フランジ部13B、ひいては蓋体フランジ13は、蓋体周壁12と接続しており、蓋体周壁12の外側に向かって延びている。
【0071】
図8に示すように、第1把持部14は、第1フランジ部13Aの第1左縁部位133に形成されている。一方、第2把持部15は、第1フランジ部13Aの第1右縁部位134に形成されている。これにより、第1把持部14は、蓋体10における左端に位置しており、第2把持部15は、蓋体10における右端に位置している。つまり、蓋体10において、第1把持部14と第2把持部15とは、蓋体上壁11及び蓋体周壁12を挟んで左右に離隔して配置されている。
【0072】
ここで、上述のように、蓋体10は金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。このため、第1把持部14及び第2把持部15は、蓋体10を形成する際のプレス加工によって、第1左縁部位133及び第1右縁部位134にそれぞれ一体に形成されている。
【0073】
図3~
図5に示すように、第1把持部14と第2把持部15とは左右対称の形状をなしている。第1把持部14は、第1把持本体14Aと第1立壁14Bとからなる。第2把持部15は、第2把持本体15Aと第2立壁15Bとからなる。第1立壁14B及び第2立壁15Bは、本発明における「立壁」の一例である。
【0074】
図3及び
図4に示すように、第1把持本体14Aは、前後方向に延びるとともに、状右方に向かって円弧状に湾曲する略アーチ形状に形成されている。より具体的には、第1把持本体14Aは、前端141及び後端142において第1左縁部位133と接続している。前端141は、本発明における「第1把持部の長手方向の一端」に相当しており、後端142は、本発明における「第1把持部の長手方向の他端」に相当している。第1把持本体14Aは、前端141から後方に向かうにつれて上方に向かって円弧状に延びている。そして、第1把持本体14Aは、前後方向の中央が最も上方に位置する上端143となっている。そして、第1把持本体14Aは、前後方向の中央から後端142に向かうにつれて下方に向かって円弧状に延びている。また、第1把持本体14Aは、左右方向に延びている。この際、第1把持本体14Aは、第1左縁部位133よりも左右方向に長く延びている。
【0075】
図5に示すように、第1立壁14Bは、第1把持本体14Aの右端と接続しており、第1把持本体14Aの右端から下方に向かって略垂直に延びている。そして、第1立壁14Bは、下端で第2フランジ部13Bと接続している。こうして、第1立壁14Bは、第1把持部14における右端、すなわち、第1把持部14における蓋体周壁12側に位置している。また、第1立壁14Bは、第1把持本体14Aに沿う形状となっている。つまり、第1立壁14Bは、前後方向の中央が最も上下方向に長く延びており、前後方向の中央から前端及び後端に向かうにつれて上下方向の長さが短くなっている。
【0076】
図3及び
図4に示すように、第2把持本体15Aは、前端151及び後端152において第1右縁部位134と接続している。前端151は、本発明における「第2把持部の長手方向の一端」に相当しており、後端152は、本発明における「第2把持部の長手方向の他端」に相当している。第1把持本体14Aと同様、第2把持本体15Aは、前後方向の中央が最も上方に位置する上端153となる略アーチ形状をなしている。また、第1把持本体15も左右方向に延びている。この際、第2把持本体15Aは、第1右縁部位134よりも左右方向に長く延びている。
【0077】
ここで、
図5に示すように、第1把持本体14Aの上端143と第2把持本体15Aの上端153とは等しい高さに位置している。そして、第1把持本体14Aの上端143と第2把持本体15Aの上端153とは、ともに蓋体上壁11よりも下方に位置している。つまり、第1把持部14及び第2把持部15は、蓋体上壁11よりも低く形成されている。
【0078】
第2立壁15Bは、第2把持本体15Aの左端と接続しており、第2把持本体15Aの左端から下方に向かって略垂直に延びている。そして、第2立壁15Bも下端で第2フランジ部13Bと接続している。こうして、第2立壁15Bは、第2把持部15における左端、すなわち、第2把持部15における蓋体周壁12側に位置している。また、第2立壁15Bは、第2把持本体15Aに沿う形状となっている。これにより、第2立壁15Bについても、前後方向の中央が最も上下方向に長く延びており、前後方向の中央から前端及び後端に向かうにつれて上下方向の長さが短くなっている。なお、第1、2把持部14、15について、上述の形状とは異なる形状に形成しても良い。
【0079】
図5~
図7に示すように、蓋体10では、第1、2把持本体14A、15Aにおける外側の端部と、第1フランジ部13Aの第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134における外側の端部とに対して、それぞれヘミング曲げ加工が施されている。
【0080】
また、
図3、
図4及び
図8に示すように、第1左縁部位133において、第1把持本体14Aの前端141と接続する個所には、第1凸部17Aが形成されており、第1把持本体14Aの後端142と接続する個所には、第2凸部17Bが形成されている。そして、第1右縁部位134において、第2把持本体15Aの前端151と接続する個所には、第3凸部17Cが形成されており、第2把持本体15Aの後端152と接続する個所には、第4凸部17Dが形成されている。
【0081】
つまり、第1左縁部位133において、第1凸部17Aと第2凸部17Bとは、第1把持部14を挟んで前後方向に離隔して配置されている。また、第1右縁部位134において、第3凸部17Cと第4凸部17Dとは、第2把持部15を挟んで前後方向に離隔して配置されている。さらに、第1凸部17Aと第3凸部17Cとは左右方向に離隔して配置されており、第2凸部17Bと第4凸部17Dとは左右方向に離隔して配置されている。
【0082】
これらの第1~4凸部17A~17Dは、第1左縁部位133及び第1右縁部位134において第1~4凸部17A~17Dを除いた箇所の他、第1前縁部位131及び第1後縁部位132よりも下方に向かって略半球状に突出している(
図7参照)。
【0083】
図8に示すように、各開口16は、いずれも同一の形状に形成されており、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い略矩形状をなしている。各開口16は、蓋体上壁11を上下方向に貫通している。また、蓋体上壁11において、各開口16同士は、前後方向に等間隔に整列して配置されている。
【0084】
また、各開口16の外周縁16Aのうち、最も左側に位置する個所は左最外縁部161とされており、最も右側に位置する個所は右最外縁部162とされている。つまり、各開口16は、左最外縁部161と右最外縁部162との間で左右方向に最も長く開口しており、蓋体周壁12に対して左右方向で最も接近している。換言すれば、左最外縁部161と右最外縁部162とは、開口16において左右方向に最も離隔している。
【0085】
そして、各左最外縁部161は、第1把持本体14Aにおける前端141よりも内側、かつ、第1把持本体14Aにおける後端142よりも内側に位置している。同様に、各右最外縁部162は、第2把持本体15Aにおける前端151よりも内側、かつ、第2把持本体15Aにおける後端152よりも内側に位置している。つまり、各左最外縁部161は、前後方向において、第1把持部14の前端141と後端142との間にそれぞれ位置している。また、各右最外縁部162は、前後方向において、第2把持部15の前端151と後端152との間にそれぞれ位置している。なお、
図6に示すように、蓋体上壁11において各外周縁16Aを形成する個所にもヘミング曲げ加工が施されている。なお、開口16の形状及び個数は適宜設計可能である。
【0086】
図2に示すように、この加熱調理容器1では、容器本体30に対して被調理物F1が収容される。この際、被調理物F1は、各リブ35E上に載置された状態で容器本体30に収容される。これにより、容器本体30に収容された被調理物F1は、本体底壁35よりも僅かに上方に離隔した状態となっている。
【0087】
そして、加熱調理容器1では、容器本体30に被調理物F1が収容された状態で容器本体30に蓋体10を被せることにより、容器本体30に対して蓋体10が取り付けられる。これにより、蓋体10は、被調理物F1とともに容器本体30を上方から覆っている。また、容器本体30に蓋体10が取り付けられることにより、
図2及び
図5に示すように、容器本体30と蓋体10との間に収容空間1Aが形成される。収容空間1Aは、各開口16を通じて蓋体10の外部と連通している。
【0088】
また、容器本体30に対して蓋体10が取り付けられることにより、
図6に示すように、蓋体フランジ13では、第1フランジ部13Aの第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134がそれぞれ本体周壁36の上方に位置する。この際、第1左縁部位133に形成された第1凸部17A及び第2凸部17Bと、第1右縁部位134に形成された第3凸部17C及び第4凸部17Dとが、それぞれ本体周壁36の上端面36Cに当接する(
図7参照)。こうして、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134は、それぞれ本体周壁36の上端面36Cに載置される。
【0089】
ここで、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134が本体周壁36の上端面36Cに載置された際、
図6に示すように、第1前縁部位131と本体周壁36の外周面36Aとは、高さ方向で略面一となっている。つまり、第1前縁部位131は、本体周壁36の外周面36Aよりも外側に突出してはいない。図示を省略するものの、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134と、本体周壁36の外周面36Aとについても、高さ方向で略面一となっている。この結果、蓋体10が容器本体30に取り付けられた状態で蓋体10を上方から見た際、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134は、それぞれ全体が本体周壁36の上方に重なるようになっている。
【0090】
また、第1フランジ部13Aの接続部位135は、本体周壁36の内周面36Bよりも内側に位置しつつ、本体周壁36と対向している。さらに、第2フランジ部13Bは、本体周壁36の上端面36Cよりも下方に位置している。
【0091】
さらに、容器本体30に対して蓋体10が取り付けられることにより、
図5に示すように、第1、2把持部14、15では、第1、2把持本体14A、15Aがそれぞれ本体周壁36の上方に位置する。また、第1、2把持部14、15では、第1、2立壁14B、15Bがそれぞれ本体周壁36の内周面36Bよりも内側に位置しつつ、本体周壁36と対向する。
【0092】
ここで、第2把持部15を例に具体的に説明すると、容器本体30に対して蓋体10が取り付けられ、上述のように、第1フランジ部13Aにおいて、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134が本体周壁36の上端面36Cに載置された際、第2立壁15Bから本体周壁36の外周面36Aまでの左右方向の長さ、つまり、第2立壁15Bから外周面36Aまでの距離は、第1長さL1となっている。第1立壁14Bから外周面36Aまでの距離も同様に第1長さL1となっている。また、
図6に示す接続部位135から外周面36Aまでの距離についても、第1長さL1となっている。
【0093】
また、上述のように、第2把持本体15Aは、第1右縁部位134よりも左右方向に長く延びている。このため、第2把持本体15Aは、本体周壁36の上方に位置しつつ、その一部が本体周壁36よりも右方に向かって突出している。具体的には、第2把持本体15Aは、外周面36Aよりも右方に向かって第2長さL2で突出している。この第2長さL2は、第1長さL1よりも短くなっている。第1把持部14の第1把持本体14Aについても同様に、外周面36Aよりも左方に向かって第2長さL2で突出している。
【0094】
このように、第1、2把持部14、15では、第1、2把持本体14A、15Aの一部が本体周壁36よりも外側に突出しているものの、蓋体10が容器本体30に取り付けられた状態で蓋体10を上方から見た際、第1、2把持本体14A、15Aの他の部分は、本体周壁36の上方に重なるようになっている。
【0095】
このガスコンロ9において、加熱調理容器1を用いつつ、加熱グリル95で被調理物F1の加熱を行う場合、使用者は、上述のように、容器本体30に対して被調理物F1を収容するとともに容器本体30に対して蓋体10を取り付ける。そして、
図2に示すように、使用者は、加熱調理容器1を加熱グリル95内に収容する。これにより、各開口16を通じて、加熱調理容器1の収容空間1Aと加熱グリル95内とが連通する。こうして、加熱グリル95において、被調理物F1に応じた火力及び加熱時間で被調理物F1の加熱が行われる。つまり、加熱調理容器1についても被調理物F1とともに加熱グリル95内で加熱されることになる。
【0096】
そして、被調理物F1の加熱が終了すれば、使用者は、グリル扉96を前向きに引くことによって、トレー保持部材94及びグリルトレー94Aとともに加熱調理容器1を加熱グリル95の外部に引き出す。
【0097】
そして、使用者は、容器本体30からの蓋体10の取り外しを行う。ここで、被調理物F1の加熱が終了した直後は、加熱調理容器1も高温となっている。このため、使用者は、ミトン等の耐熱手袋を装着した状態で第1把持部14の第1把持本体14A、及び、第2把持部15の第2把持本体15Aをそれぞれ把持しつつ、容器本体30からの蓋体10の取り外しを行う。こうして、使用者は、加熱を終えた被調理物F1を容器本体30から取り出すことができる。
【0098】
このように、この加熱調理容器1では、容器本体30からの蓋体10の取り外しを行うに当たって、使用者は、専用の支持具等を準備する必要がない。
【0099】
また、この加熱調理容器1では、第1、2把持本体14A、15Aは、蓋体10が容器本体30に取り付けられた状態で蓋体10を上方から見た際に一部が本体周壁36の上方に重なるようになっている。このため、
図2に示すように、この加熱調理容器1では、加熱グリル95内に収容された際に、第1把持本体14Aを含め、第1把持部14が第1下火バーナ92L及び炎孔92Hに接近し難くなっている。同様に、第2把持本体15Aを含め、第2把持部15についても、第2下火バーナ92R及び炎孔92Hに接近し難くなっている。こうして、この加熱調理容器1では、加熱グリル95内において、第1、2把持部14、15が第1、2下火バーナ92L、92Rによって過度に加熱されることを抑制している。
【0100】
ここで、このように第1、2下火バーナ92L、92Rによる過度の加熱を抑制しつつも、第1把持本体14Aは、本体周壁36の外周面36Aよりも左方に向かって第2長さL2で突出しており、第2把持本体15Aは、外周面36Aよりも右方に向かって第2長さL2で突出している。また、第1、2把持本体14A、15Aは、上方に向かってアーチ状に湾曲している。これらのため、容器本体30からの蓋体10の取り外しを行うに当たって、使用者は、第1、2把持本体14A、15Aを下側から掴み易い。このため、この加熱調理容器1では、使用者が第1、2把持本体14A、15Aを好適に把持できる。
【0101】
さらに、第1把持本体14Aの上端143及び第2把持本体15Aの上端153は、いずれも蓋体上壁11よりも下方に位置している。このため、この加熱調理容器1では、加熱グリル95内に収容された際に、第1、2把持部14、15が上火バーナ91及び炎孔91Hに接近し難くなっている。このため、この加熱調理容器1では、加熱グリル95内において、第1、2把持部14が上火バーナ91によって過度に加熱されることも抑制している。
【0102】
これらのように、この加熱調理容器1では、第1、2把持部14、15における過度の加熱の抑制と、第1、2把持部14、15に対する使用者の把持のし易さの向上とを両立させている。
【0103】
また、この加熱調理容器1では、容器本体30に蓋体10が取り付けられた際、蓋体フランジ13では、第1フランジ部13Aの第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134が本体周壁36の上端面36Cに載置される一方、第2フランジ部13Bは本体周壁36の上端面36Cよりも下方に位置する。そして、第1フランジ部13Aの接続部位135が本体周壁36に対して内側から対向する。同様に、第1、2把持部14、15では、第1、2立壁14B、15Bが本体周壁36に対して内側から対向する。
【0104】
これにより、この加熱調理容器1では、被調理物F1が加熱されることによる蒸気や被調理物F1から生じた油脂等が本体周壁36と蓋体フランジ13との間、及び、本体周壁36と第1、2把持部14、15との間から外部に放出され難くなっている。これにより、この加熱調理容器1では、被調理物F1を好適に加熱できるとともに、油脂等が外部に放出されることによる容器本体30及び蓋体10の汚れの他、加熱グリル95内の汚れを防止することが可能となっている。
【0105】
したがって、加熱調理容器1を備えた実施例のガスコンロ9は、利便性に優れている。
【0106】
また、加熱調理容器1では、蓋体10が第1、2把持部14、15を有しており、第1把持部14と第2把持部15とは、蓋体上壁11及び蓋体周壁12を挟んで左右に離隔して配置されている。このため、使用者は、第1把持部14の第1把持本体14A及び第2把持部15の第2把持本体15Aをそれぞれ把持することにより、容器本体30からの蓋体10の取り外しを容易かつ安定的に行うことが可能となっている。
【0107】
さらに、第1、2把持部14、15は、それぞれ第1フランジ部13Aの第1左縁部位133及び第1右縁部位134に一体に形成されている。このため、第1、2把持部14、15を蓋体10とは別体で形成しつつ、第1、2把持部14、15を第1左縁部位133及び第1右縁部位134に対して溶接等によって固定する場合に比べて、加熱調理容器1の製造が容易となっている。
【0108】
また、第1左縁部位133には第1、2凸部17A、17Bが形成されており、第1右縁部位134には第3、4凸部17C、17Dが形成されている。このため、第1、2把持部14、15の形成時等に第1フランジ部13Aに不可避的な歪みが生じた場合であっても、第1~4凸部17A~17Dが本体周壁36の上端面36Cにそれぞれ当接することにより、第1前縁部位131、第1後縁部位132、第1左縁部位133及び第1右縁部位134を本体周壁36の上端面36Cに安定的に載置させることが可能となっている。換言すれば、第1フランジ部13Aは、第1~4凸部17A~17Dの4点で本体周壁36の上端面36Cに接触する。これにより、加熱調理容器1では、容器本体30に蓋体10が取り付けられた際、容器本体30と蓋体10とにガタツキが生じ難くなっている。
【0109】
ここで、第1左縁部位133において、第1凸部17Aと第2凸部17Bとは、第1把持部14を挟んで前後方向に離隔して配置されている。また、第1右縁部位134において、第3凸部17Cと第4凸部17Dとは、第2把持部15を挟んで前後方向に離隔して配置されている。さらに、第1凸部17Aと第3凸部17Cとは左右方向に離隔して配置されており、第2凸部17Bと第4凸部17Dとは左右方向に離隔して配置されている。これにより、この加熱調理容器1では、第1~4凸部17A~17D同士が好適に離隔しつつ本体周壁36の上端面36Cに当接するため、この点においても、容器本体30と蓋体10とにガタツキが生じ難くなっている。
【0110】
また、加熱調理容器1では、被調理物F1の加熱時に各開口16を通じて収容空間1Aと加熱グリル95内との間で空気を好適に対流させることができるため、被調理物F1を好適に加熱することが可能となっている。そして、各開口16における左最外縁部161及び右最外縁部162は、前後方向において、第1把持部14の前端141と後端142との間、及び、第2把持部15の前端151と後端152との間に位置している。このため、被調理物F1の加熱によって油脂等が各開口16から蓋体周壁12を伝って第1把持部14や第2把持部15まで流れた場合であっても、これらの油脂等を第1立壁14Bや第2立壁15Bによって堰き止めることが可能となっている。このため、この加熱調理容器1では、第1、2把持本体14A、15Aには油脂等が付着し難くなっており、第1、2把持本体14A、15Aを把持した際にミトン等が汚れ難くなっている。
【0111】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0112】
例えば、第1、2把持部14、15の第1、2把持本体14A、15Aについて、蓋体10が容器本体30に取り付けられた状態で蓋体10を上方から見た際に全体が本体周壁36の上方に重なる形状とされても良い。
【0113】
また、実施例では、第1、2把持部14、15を第1左縁部位133及び第1右縁部位134に一体に形成している。しかし、これに限らず、第1、2把持部14、15を蓋体10とは別体で形成しつつ、第1、2把持部14、15を第1左縁部位133及び第1右縁部位134に対して溶接等によって固定しても良い。この場合には、第1、2把持部14、15を第1左縁部位133及び第1右縁部位134に一体に形成する場合に比べて、第1、2把持部14、15の設計の自由度を高くすることができる。
【0114】
また、第1、2把持部14、15を第1前縁部位131及び第1後縁部位132に設けることにより、第1、2把持部14、15がそれぞれ左右方向に延びる形状となっていても良い。
【0115】
また、実施例では、蓋体10が第1把持部14と第2把持部15の2つを有しているが、これに限らず、蓋体10は、第1把持部14及び第2把持部15の一方のみを有していても良い。また、蓋体10は、第1把持部14及び第2把持部15の他に把持部を有していても良い。
【0116】
また、実施例では、第2フランジ部13Bが第2前縁部位136と、第2後縁部位137と、第2左縁部位138と、第2右縁部位139とを有している。しかし、これに限らず、第2フランジ部13Bは、第2左縁部位138及び第2右縁部位139のみを有していても良い。
【0117】
また、実施例では、加熱グリル95が上火バーナ91及び第1、2下火バーナ92L、92Rによって被調理物F1の加熱を行っているが、これに限らず、加熱グリル95は、誘導加熱等によって被調理物F1の加熱を行っても良い。
【0118】
また、実施例では、ガスコンロ9を本発明における「加熱装置」としているが、これに限らず、グリル装置等を本発明における「加熱装置」としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、ガスコンロやグリル装置等の加熱調理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
1…加熱調理容器
9…ガスコンロ(加熱装置)
10…蓋体
11…蓋体上壁
12…蓋体周壁
13…蓋体フランジ
13A…第1フランジ部
13B…第2フランジ部
14…第1把持部(把持部)
14B…第1立壁(立壁)
15…第2把持部(把持部)
15B…第2立壁(立壁)
16…開口
17A~17D…第1~4凸部
30…容器本体
35…本体底壁
36…本体周壁
36A…外周面
36B…内周面
36C…上端面(上端)
95…加熱グリル(加熱庫)
141、151…前端(一端)
142、152…後端(他端)
143、153…上端
F1…被調理物
L1…第1長さ
L2…第2長さ