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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013160
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】身体温冷装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20240124BHJP
   A61F 7/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A41D13/005
A61F7/00 310J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115145
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 真吾
(72)【発明者】
【氏名】松本 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 祐也
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
4C099
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC21
3B011AC22
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC01
3B211AC21
3B211AC22
4C099JA02
4C099NA02
(57)【要約】
【課題】チューブ部材の引張力の高まりを軽減できる身体温冷装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る身体温冷装置は、熱源部と、排熱部と、チューブ部材とを備える。熱源部は、利用者の頸部を冷却または加熱する。排熱部は、熱源部から離れて配置され、熱源部の熱を排熱する。チューブ部材は、熱源部と排熱部の間に配置され、熱を伝達する熱媒体が流れる。チューブ部材は、可撓性を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の頸部を冷却または加熱する熱源部と、
前記熱源部から離れて配置され、前記熱源部の熱を排熱する排熱部と、
前記熱源部と前記排熱部の間に配置され、熱を伝達する熱媒体が流れるチューブ部材とを備え、
前記チューブ部材は、
可撓性を有する
身体温冷装置。
【請求項2】
前記チューブ部材は、
少なくとも一部に湾曲部を有することで前記可撓性を有する
請求項1に記載の身体温冷装置。
【請求項3】
前記チューブ部材の前記湾曲部は、
前記熱源部から前記排熱部へ最短経路で向かう方向とは異なる方向に延伸する延伸部を有する
請求項2に記載の身体温冷装置。
【請求項4】
前記チューブ部材の前記湾曲部は、
前記延伸部と連続し、前記延伸部から前記排熱部へ向かう方向へ前記チューブ部材の一部を折り返す折返部を有する
請求項3に記載の身体温冷装置。
【請求項5】
前記利用者が前記身体温冷装置を装着した場合、前記チューブ部材の一部が前記利用者に載った状態で前記熱源部と前記排熱部を接続する
請求項1に記載の身体温冷装置。
【請求項6】
前記利用者が前記身体温冷装置を装着した場合、
前記排熱部は、
前記利用者の背面側に配置され、
前記チューブ部材は、
前記利用者の前面側において前記熱源部と接続され、前記利用者の背面側において前記排熱部と接続される
請求項1に記載の身体温冷装置。
【請求項7】
前記チューブ部材は、
前記利用者の前面側から背面側に向かって前記利用者の体に沿うように配置される
請求項1に記載の身体温冷装置。
【請求項8】
前記チューブ部材は、
前記熱源部と前記排熱部との間で前記熱媒体が流れる第1チューブ部材と、
前記排熱部と前記熱源部との間で前記熱媒体が流れる第2チューブ部材と、
を有し、
前記第1チューブ部材は、
前記頸部に対して左側および右側のいずれか一方側を通って前記熱源部と前記排熱部を接続し、
前記第2チューブ部材は、
他方側を通って前記熱源部と前記排熱部を接続する
請求項1に記載の身体温冷装置。
【請求項9】
前記チューブ部材の前記湾曲部は、
前記利用者の後頚部の位置を迂回する迂回部を有する
請求項2に記載の身体温冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体温冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルティエ素子を用いて利用者の頸動脈を流れる血液を冷却または加熱することにより、利用者の体温を調節する身体温冷装置が知られている。また、この種の身体温冷装置は、利用者の頸部を冷却または加熱する熱源部と、熱源部の熱を排熱する排熱部と、利用者の背面側において熱源部と、排熱部との間で熱媒体を循環させるチューブ部材とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-83498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、チューブ部材の長さに余裕がない、言い換えれば、熱源部および排熱部の間を最短距離に近い長さのチューブ部材で接続している。このため、例えば、利用者が動くことでチューブ部材が伸びた場合、チューブ部材の引張力が高まることで利用者が頸部において引っ張られる感覚(引っ張られ感)が強くなるおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、チューブ部材の引張力の高まりを軽減できる身体温冷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の身体温冷装置は、熱源部と、排熱部と、チューブ部材とを備える。前記熱源部は、利用者の頸部を冷却または加熱する。前記排熱部は、前記熱源部から離れて配置され、前記熱源部の熱を排熱する。前記チューブ部材は、前記熱源部と前記排熱部の間に配置され、熱を伝達する熱媒体が流れる。前記チューブ部材は、可撓性を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する身体温冷装置の一態様によれば、チューブ部材の引張力の高まりを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施例の身体温冷装置用衣服および身体温冷装置を利用者が装着した状態を示す図である。
図2図2は、第1の実施例の身体温冷装置用衣服および身体温冷装置を利用者が装着した状態を示す図である。
図3図3は、第1の実施例のスリットを説明する説明図である。
図4図4は、第1の実施例のスリットを説明する説明図である。
図5図5は、第1の実施例のスリットを説明する説明図である。
図6図6は、身体温冷装置用衣服の第2の例を示す図である。
図7図7は、身体温冷装置用衣服の第2の例を示す図である。
図8図8は、身体温冷装置用衣服の第3の例を示す図である。
図9図9は、身体温冷装置用衣服の第3の例を示す図である。
図10図10は、身体温冷装置用衣服の第4の例を示す図である。
図11図11は、身体温冷装置用衣服の第4の例を示す図である。
図12図12は、襟部の他の例を示す図である。
図13図13は、襟部の他の例を示す図である。
図14図14は、第1の実施例のチューブ部材の配設方法を説明する説明図である。
図15図15は、第1の実施例のチューブ部材の配設方法を説明する説明図である。
図16図16は、第1の実施例の熱源部の内部における配設構造を説明する説明図である。
図17図17は、熱源部とチューブ部材との接続部の他の例を示す図である。
図18図18は、図17の熱源部の内部における配設構造を説明する図である。
図19図19は、熱源部とチューブ部材との接続部のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する身体温冷装置用衣服および身体温冷装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する身体温冷装置が限定されるものではない。
【0010】
図1および図2は、第1の実施例の身体温冷装置用衣服1および身体温冷装置3を利用者が装着した状態を示す図である。また、本実施例では、利用者の前面側を身体温冷装置用衣服1および身体温冷装置3の正面側とし、利用者の背面側を身体温冷装置用衣服1および身体温冷装置3の背面側とする。なお、図1および図2では、利用者が裸体の状態で身体温冷装置用衣服1を着ている図を示しているが、実際には、利用者が衣服(例えば、作業服等)を着た上から身体温冷装置用衣服1を着る場合もある。
【0011】
図1および図2に示すように、身体温冷装置用衣服1は、衣服部2を備える。衣服部2は、襟部21と、身頃部22とを備える。衣服部2は、利用者における上半身の着衣として構成されるとともに、身体温冷装置3が設けられる。身体温冷装置3は、利用者の頸部を冷却または加熱する機器であり、熱源部31と、排熱部32と、電源部33と、チューブ部材34とを備える。
【0012】
襟部21は、身体温冷装置用衣服1を利用者が着た場合に、利用者の頸部を覆う襟として構成される。以下、襟部21のうち利用者の頸部と対向する側を内周側といい、内周側の反対側を外周側という。また、襟部21は、利用者の頸部を冷却または加熱する熱源部31に対応する。具体的には、襟部21は、熱源部31を保持する保持部210(第1保持部)を有する。より具体的には、第1保持部210は、熱源部31を内部に収容する内部空間を有する。かかる内部空間に熱源部31を収容することで、襟部21は熱源部31を保持することができる。さらに具体的には、例えば、第1保持部210は、襟部21の外周側に第1保持部210の内部空間を開閉する不図示の開閉部(例えば、ファスナー)を有する。かかる開閉部を介して第1保持部210の内部に熱源部31を収容したり、第1保持部210の内部から取り出したりすることができるため、襟部21は熱源部31を着脱可能に保持することができる。なお、第1保持部210は、襟部21の内部に設けられた内部空間により熱源部31を保持する場合に限らず、襟部21の内周側に熱源部31を保持してもよい。
【0013】
なお、本開示では、襟部21と熱源部31とが別体で構成される例について説明するが、襟部21と熱源部31とが一体的に構成されてもよい。
【0014】
身頃部22は、身体温冷装置用衣服1を利用者が着た場合に、利用者の頸部を除く上半身の一部を覆う身頃として構成される。具体的には、身頃部22は、利用者の前面側となる前面部に対応した前身頃22aと、利用者の背面側となる背面部に対応した後身頃22bとが一体となって構成される。また、身頃部22は、熱源部31の熱を排熱する排熱部32に対応する。具体的には、身頃部22の後身頃22bは、排熱部32を着脱可能に保持する保持部221b(第2保持部)を有する。より具体的には、第2保持部221bは、排熱部32を着脱可能に内部に収容する内部空間を有し、かかる内部空間に収容することで排熱部32を保持する。
【0015】
なお、本開示では、身頃部22と排熱部32とが別体で構成される例について説明するが、身頃部22と排熱部32とが一体的に構成されてもよい。
【0016】
また、図1および図2に示すように、身頃部22は、熱源部31および排熱部32以外にも、電源部33およびチューブ部材34に対応する。具体的には、身頃部22は、熱源部31および排熱部32を接続するチューブ部材34を内部に収容する保持部23(第3保持部)を有する。なお、第3保持部23の詳細については後述する。また、身頃部22は、電源部33を内部に収容(支持)する保持部230b(第4保持部)を有する。すなわち、例えば身体温冷装置用衣服1は、身体温冷装置3の全ての構成を内部に収容することができる。
【0017】
また、身頃部22は、襟部21と接続されている。具体的には、身頃部22は、利用者の前面側において襟部21と前身頃22aが接続されている。つまり、襟部21と身頃部22とは接続した状態で、利用者が装着する。
【0018】
これにより、身体温冷装置3を装着する際に必要な利用者の動作は、身体温冷装置用衣服1を着る動作のみとなるため、装着動作に対する利用者の煩わしさを低減することができる。すなわち、実施形態に係る身体温冷装置用衣服1によれば、身体温冷装置3を利用者が容易に装着することができる。
【0019】
また、図1に示すように、身頃部22は、前身頃22aの下端位置が利用者の肋骨にかかる位置に重なる。つまり、身頃部22の丈の長さは、利用者が直立した状態で最も下方に位置する肋骨を最下位肋骨と呼ぶとき、最長でも最下位肋骨までの長さとなるようにする。これにより、通常の衣服(下腹部までの丈の衣服)に比べて、利用者の上半身を覆う範囲が小さくなることで、利用者の動きに対する制限を軽減できるため、身体温冷装置用衣服1を着用した場合の動きやすさを高めることができる。さらに、身頃部22により利用者の動きに伴い形状が変化する人体の部位(例えば腹部等の部位)を覆わないため、腹部等の動きが制限されにくくなるため、利用者の動きやすさを高めることができる。なお、身頃部22の丈の長さは、最下位肋骨よりも上位までの長さ、つまり、肋骨の一部を覆う長さであってもよい。
【0020】
なお、身体温冷装置用衣服1のより詳細な構成については、図3以降で後述する。
【0021】
次に、図1および図2を用いて、身体温冷装置3の各構成(熱源部31、排熱部32、電源部33およびチューブ部材34)について説明する。
【0022】
熱源部31は、利用者の頸部を冷却または加熱する機能を有する。具体的には、熱源部31は、利用者の右側頸部および左側頸部から後頸部に亘る位置に配置され、利用者の右側頸部および左側頸部における各頸動脈を流れる血液および後頸部を冷却または加熱する。
【0023】
より具体的には、熱源部31は、右側頸部、左側頸部および後頸部それぞれに対応した(接する)位置に金属製(例えばアルミニウム製)のプレートが設けられる。また、熱源部31の内部には、各プレートに対して接触する位置にそれぞれ熱電素子が設けられる。熱電素子は、例えば、ペルティエ素子である。
【0024】
つまり、熱源部31は、ペルティエ素子によって冷却または加熱されたプレートが利用者の頸部を冷却または加熱する。
【0025】
排熱部32は、例えば、ラジエータであり、熱源部31の熱を排熱する。具体的には、排熱部32は、熱源部31の熱を吸収した熱媒体がチューブ部材34を介して供給され、利用者を冷却する運転の場合には、供給された熱媒体を冷却するとともに、冷却した熱媒体をチューブ部材34を介して熱源部31へ供給する。
【0026】
電源部33は、例えば、充電型バッテリであり、接続コードを介して排熱部32と接続されることで、排熱部32へ電力を供給する。また、電源部33は、熱源部31および排熱部32を接続する電源コードを介して、排熱部32から熱源部31へ電力を供給する。なお、熱源部31および電源部33が直接電源コードで接続されてもよい。なお、詳細は後述するが、電源コードは、チューブ部材34とともに衣服部2の内部に収容される。
【0027】
チューブ部材34は、熱源部31および排熱部32の間に設けられ、内部を熱媒体が循環する。チューブ部材34は、例えば、ゴム等の弾性を有する樹脂材料で構成される。また、チューブ部材34は、一部が湾曲している。言い換えれば、チューブ部材34は、熱源部31との接続部24から排熱部32へ最短経路で向かう方向とは異なる方向に延伸した延伸部341(図14参照)を含んで熱源部31および排熱部32を接続する。つまり、チューブ部材34は、熱源部31および排熱部32の間を最短距離よりも長い距離を介して接続することで、チューブ部材34の一部が湾曲するように配設される。チューブ部材34の湾曲している部分の形状が変化することで、チューブ部材34全体が可撓性を有する。
【0028】
これにより、例えば、利用者の動きに伴い熱源部31と排熱部32との距離が近づいたり遠ざかったしても、チューブ部材34の余剰長さによりチューブ部材34全体が可撓性を発揮する。従って、チューブ部材34が熱源部31と排熱部32との距離の変化吸収することができるため、熱源部31および排熱部32の間におけるチューブ部材34の引張力がかからないようにできる。すなわち、実施形態に係る身体温冷装置3によれば、利用者が動く等して熱源部31と排熱部32との距離が変化した場合であっても、チューブ部材34の引張力を一定に保つことができるため、利用者の頸部が熱源部31から受ける力を一定に保つことができる。つまり、チューブ部材34の引張力の高まりを軽減できる。
【0029】
また、図1および図2に示すように、チューブ部材34は、利用者の前面側において熱源部31と接続され、利用者の背面側において排熱部32と接続される。これにより、利用者は、前面側である熱源部31とチューブ部材34との接続部24においてチューブ部材34の重量感を感じ、背面側において排熱部32や電源部33の重量感を感じる、すなわち、重量感を前面側と背面側とに分散されることで、チューブ部材34の前面側と背面側とでバランスが釣り合うことになる。つまり、チューブ部材34の前面側と背面側とのいずれか一方に負担がかかることによる重量感を軽減できるため、身体温冷装置3の装着感を高めることができる。
【0030】
また、衣服部2は、襟部21と身頃部22との間に、襟部21に沿うように空けられたスリット4を有する。ここで、図3図5を用いて、スリット4について詳細に説明する。
【0031】
図3図5は、第1の実施例のスリット4を説明する説明図である。図3に示すように、スリット4は、利用者の背面側において、襟部21および後身頃22bの間において湾曲した形状で形成される。具体的には、スリット4は、襟部21側が凹となる湾曲形状で形成される。
【0032】
また、図1および図2に示すように、スリット4は、利用者の背面側から側方に亘って形成される。言い換えれば、襟部21と見頃部22はスリット4を除いた部分(以下、接続部24ともいう)で繋がっているのであり、詳細には、襟部21の前面側の先端から前身頃22aに繋がる箇所が接続部24となる。
【0033】
これにより、図4および図5に示すように、襟110が付いた衣服100(例えば、作業服)を着た上から身体温冷装置用衣服1を着た場合に、スリット4を通して襟110を引き出すことができる。
【0034】
この結果、襟110の内側に熱源部31を配置できるため、熱源部31が利用者の頸部に直接接触することができる。つまり、熱源部31と利用者の頸部との間に襟110が配置されることにより熱源部31による利用者の頸部の冷却または加熱作用が妨げられることを回避できる。
【0035】
なお、襟部21および身頃部22の接続部24が設けられた箇所は、衣服100の襟110が存在しない箇所に対応している。そのため、襟部21と身頃部22とが接続された状態を維持しつつ、スリット4から襟110を引き出すことができる。
【0036】
また、図3に示すように、後身頃22bには、第2保持部221bと、第2保持部221bが有する内部空間を開閉する開閉部222bとが設けられる。開閉部222bは、例えば、ファスナーである。
【0037】
これにより、開閉部222bを開くことで、排熱部32および電源部33の着脱を容易に行うことができるとともに、開閉部222bを閉じることで、排熱部32および電源部33の意図しない脱落を防止することができる。なお、図3では、後身頃22bの外側に開閉部222bが設けられる例を示したが、後身頃22bの内側に開閉部222bが設けられてもよい。
【0038】
また、図3に示すように、第2保持部221bは、利用者が身体温冷装置用衣服1を装着した場合、後身頃22bのうち、利用者の左右の肩甲骨の間となる位置に設けられる。つまり、排熱部32および電源部33は、利用者の左右の肩甲骨の間となる位置に設けられる。
【0039】
これにより、仮に、排熱部32や電源部33を利用者の腰部のベルトに配置した場合に比べて、チューブ部材34の長さを短くできる(チューブ部材34の重量を軽くできる)ため、利用者が感じるチューブ部材34の重量感を低減できる。また、肩甲骨の間の位置に配置することで、利用者が肩を動かした場合であっても、肩の動きに追従して動く利用者の腕に対して排熱部32や電源部33が干渉することを低減できる。
【0040】
さらに、利用者が身体温冷装置用衣服1を装着した状態で椅子等に着座した場合であっても、利用者の肩甲骨よりも低い背もたれであれば、排熱部32や電源部33が椅子の背もたれと干渉することを防ぐことができる。また、利用者の腰部に排熱部32や電源部33が配置されないため、利用者の腰部に作業用工具などを配置することも可能となる。
【0041】
次に、図6および図7を用いて、身体温冷装置用衣服1の第2の例について説明する。図6および図7は、身体温冷装置用衣服1の他の例を示す図である。
【0042】
図6に示す例では、身体温冷装置用衣服1は、襟部21を固定する固定部211を備える。具体的には、固定部211は、利用者の前面側となる前面部に、襟部21の左側および右側の先端部同士を固定する。
【0043】
具体的には、固定部211は、利用者の頸部と、襟部21(熱源部31)とが密着した状態で襟部21を固定する。このように、利用者の頸部と熱源部31とを密着した状態で固定することができるため、熱源部31による冷却または加熱の効果を高めることができる。
【0044】
また、固定部211は、襟部21において、利用者の頸部周りに沿って複数の固定位置が設けられる。これにより、利用者の頸部の大きさ(首の太さ)に応じて固定部211の固定位置を変更することで、頸部の大きさに関わらず密着性を確保できる。このような例として、固定部211は、例えばベルトとバックルや、面ファスナー等で構成可能である。
【0045】
また、図6に示すように、身頃部22は、前身頃22aにおいて、利用者と身頃部22との密着度合いを調整する調整部221aを備える。調整部221aは、例えば、バックルである。
【0046】
具体的には、調整部221aは、一方側がベルトを介して前身頃22aに接続され、他方側がベルトを介して利用者の脇下を通って後身頃22bに接続される。また、調整部221aは、一方側と他方側とを着脱可能に連結する。これにより、調整部221aを着脱することで、利用者が身体温冷装置用衣服1を容易に着脱することができる。
【0047】
また、調整部221aは、一方側または他方側いずれかのベルトの長さを調整することで、身頃部22の胴回りの大きさを調整する。すなわち、調整部221aは、利用者の胴回りの大きさに応じて身頃部22の胴回りの大きさを調整することで、利用者と身頃部22との密着度合いを調整する。これにより、利用者の胴回りの大きさに関わらず、身頃部22が密着した状態で身体温冷装置用衣服1を装着することができる。
【0048】
また、図7に示すように、身体温冷装置用衣服1は、後身頃22bに換気部223bを備える。具体的には、換気部223bは、第2保持部221bが有する内部空間に接続して配置される。換気部223bは、例えば、メッシュ構造の生地で構成される。また、換気部223bは、例えば、ファン等のように、内部空間を能動的に換気する構成であってもよい。
【0049】
これにより、第2保持部221bが保持する排熱部32や電源部33で生じた熱を内部空間から換気部223bを介して外部へ排熱することができる。
【0050】
次に、図8および図9を用いて、身体温冷装置用衣服1の第3の例について説明する。図8および図9は、身体温冷装置用衣服1の他の例を示す図である。
【0051】
図8および図9は、上述した実施形態に比べて、スリット4が形成されていない点で異なる。具体的には、襟部21は、襟部21における利用者の頸部周り全体にわたって身頃部22と接続する。つまり、上述した実施形態とは異なり、襟部21と、後身頃22bとが接続する。なお、襟部21は、伸縮性を有する材料により構成されてもよい。
【0052】
また、図8に示すように、身体温冷装置用衣服1は、襟部21から前身頃22aに亘って設けられた開閉部222aを備える。開閉部222aは、開閉により、襟部21および前身頃22aを右側および左側に分離可能にする。これにより、利用者による身体温冷装置用衣服1の装着を容易にするとともに、身体温冷装置用衣服1を装着した際のフィット感を高めることができる。
【0053】
次に、図10および図11を用いて、身体温冷装置用衣服1の第4の例について説明する。図10および図11は、身体温冷装置用衣服1の他の例を示す図である。図10および図11に示す身体温冷装置用衣服1は、襟部21と、身頃部22とが背面側で接続される。
【0054】
具体的には、襟部21は、背面側に突出部213aを有する。具体的には、突出部213aは、襟部21に対して下方側(後身頃22b側)に突出し、後身頃22bと接続する。
【0055】
なお、図示はしていないが、チューブ部材34は、突出部213aを通って熱源部31と、排熱部32とを接続する。つまり、チューブ部材34は、背面側において熱源部31および排熱部32を接続する。これにより、チューブ部材34の長さを極力短くできるため、チューブ部材34の重量感を軽減できる。
【0056】
次に、図12および図13を用いて、襟部21の他の例について説明する。図12および図13は、襟部21の他の例を示す図である。図12に示すように、襟部21は、カラー部214aと、保持部215a(第1保持部の他の例)とを備える。
【0057】
カラー部214aは、保持部215aを支持する支持部として機能する。具体的には、カラー部214aは、上端側(利用者の頭側)において保持部215aと連結することで保持部215aを支持する。
【0058】
保持部215aは、着脱可能に熱源部31を保持する。具体的には、保持部215aは、熱源部31を着脱可能に内部に収容する内部空間を有し、かかる内部空間に収容することで熱源部31を保持する。
【0059】
また、カラー部214aおよび保持部215aは、衣服100の襟110を挟持した状態で配置される。具体的には、図13に示すように、カラー部214aは、襟110に対して外側に配置され、保持部215aは、襟110に対して内側に配置されることで、襟110を挟み込む。
【0060】
より具体的には、保持部215aは、上端であるカラー部214aとの連結箇所を中心にして、襟110の外側から内側に折り返することで、襟110の内側に配置される。
【0061】
これにより、利用者が襟110の衣服100を着ている場合であっても、襟110の干渉を受けることなく、熱源部31により利用者の頸部を冷却または加熱することができる。
【0062】
次に、図14および図15を用いて、第1の実施例のチューブ部材34の配設方法ついて説明する。図14および図15は、チューブ部材34の配設方法を説明する説明図である。
【0063】
図14および図15に示すように、チューブ部材34は、熱源部31における右側の先端に接続される第1チューブ部材34R(図16参照)と、熱源部31における左側の先端に接続される第2チューブ部材34L(図16参照)とを有する。
【0064】
第1チューブ部材34Rは、利用者の頸部に対して右側を通って熱源部31と排熱部32を接続し、第2チューブ部材34Lは、利用者の頸部に対して左側を通って熱源部31と排熱部32を接続する。なお、上記右側とは、利用者から見たときの右側であり、左側とは、利用者から見たときの左側である。
【0065】
第1チューブ部材34Rおよび第2チューブ部材34Lは、一方が熱源部31から排熱部32へ向かって熱媒体を循環させるチューブ部材であり、他方が排熱部32から熱源部31へ向かって熱媒体を循環させるチューブ部材である。
【0066】
つまり、本開示では、第1チューブ部材34Rおよび第2チューブ部材34Lを集約して配置するのではなく、分散して配置する。具体的には、第1チューブ部材34Rと第2チューブ部材34Lは、それぞれ利用者の右側と左側に分散して配置されることで、第1チューブ部材34Rと第2チューブ部材34Lの重量をそれぞれ利用者の右側と左側に分散させることができる。
【0067】
また、身頃部22は、第1チューブ部材34Rと第2チューブ部材34Lそれぞれを、熱源部31および排熱部32(電源部33)を接続した状態で保持する保持部23(第3保持部)を有する。具体的には、第3保持部23は、第1チューブ部材34Rおよび第2チューブ部材34Lそれぞれを、身頃部22の内部に収容することで保持する。より具体的には、第3保持部23は、図1に示すように前身頃22aと後身頃22bを繋ぐ肩側接続部と脇の下側接続部のうち、肩側接続部に沿うように設けられる。これにより、チューブ部材34が外部に露出しないため、すっきりとした外観となる。
【0068】
また、各チューブ部材34(第1チューブ部材34Rおよび第2チューブ部材34L)は、熱源部31側と排熱部32側にそれぞれ配置される湾曲部340,344と、湾曲部340,344同士を接続する接続部343と、を備える。湾曲部340(以下、第1湾曲部340ともいう)は、熱源部31から排熱部32へ向かう最短経路とは異なる方向に延びる第1延伸部341を有する。湾曲部344(以下、第2湾曲部344ともいう)は、熱源部31から排熱部32へ向かう最短経路とは異なる方向に延びる第2延伸部345を有する。
【0069】
第1湾曲部340を構成する第1延伸部341は、一端と他端が第1折返部342で折り返されて湾曲するとともに、一端(延伸部片3411ともいう)が熱源部31との接続部24に接続され、他端(延伸部片3412ともいう)が第1折返部342と連続する。また、第1延伸部341は、熱源部31との接続部24から排熱部32へ最短経路で向かう方向とは異なる方向に延伸する。最短経路とは、熱源部31と排熱部32とを利用者の体に沿って採点距離で結んだ仮想的な経路である。言い換えれば、第1延伸部341は、熱源部31との接続部24から排熱部32への最短経路よりも遠回りするよう延伸する。
【0070】
図14に示す例では、最短距離で向かう方向は、熱源部31の前面側における先端から排熱部32が位置する背面側へ向かう方向であり、第1延伸部341は、背面側へ向かう方向以外の方向へ延伸する。より具体的には、図14に示す例では、第1延伸部341は、熱源部31の前面側における先端から下方へ向かって延伸する。つまり、第1延伸部341は、最短経路で向かう方向とは異なる方向に延伸する。これにより、チューブ部材34は、熱源部31と排熱部32との間を、最短距離よりも長い距離を介して接続する。
【0071】
第1折返部342は、チューブ部材34の一部であり、第1延伸部341を排熱部32へ向かう方向へ折り返す部位である。図14に示す例では、第1折返部342は、下方へ向かう第1延伸部341から排熱部32が位置する背面側へ向かう方向へ折り返す。これにより、利用者の動きに伴い熱源部31と排熱部32との距離が近づいたり遠ざかったしても、チューブ部材34の余剰長さによりチューブ部材34全体が可撓性を発揮する。チューブ部材34全体の可撓性は、例えば、第1延伸部341が変形することで発揮される。第1延伸部341の変形は、例えば延伸部片3411と延伸部片3412とが近づいたり離れたりすることにより実現される。また、第1延伸部341の変形は、第1延伸部341上で第1折返部の位置が変化することによっても実現される。
【0072】
接続部343は、一端が第1湾曲部340と連続し、他端が第2湾曲部344に連続する。具体的には、接続部343は、利用者の前面側から背面側に向かって利用者の体に沿うように配置される。より具体的には、接続部343は、利用者の肩に載った状態で配置される。つまり、利用者が身体温冷装置3(身体温冷装置用衣服1)を装着した場合、チューブ部材34の一部である接続部343が利用者の肩に載った状態で熱源部31および排熱部32を接続する。
【0073】
第2湾曲部344は、一端が接続部343と連続し、他端が排熱部32に接続される。また、第2湾曲部344は、利用者の肩から背面側において利用者の体に沿うように配置される。また、第2湾曲部344は、利用者の後頸部200の位置を迂回するように湾曲している。すなわち、第2湾曲部344は、利用者の後頸部200の位置を迂回する迂回部を有する。
【0074】
このように、第2湾曲部344は、利用者の後頸部200の位置を迂回することで、上記したスリット4を利用者の後頸部200の位置に設けることができる。なお、チューブ部材34全体の可撓性は、第2湾曲部344が変形することによっても発揮される。例えば、第2湾曲部344が直線的に変形したり、より湾曲するように変形することによっても、チューブ部材34全体の可撓性が発揮される。
【0075】
次に、図16を用いて、熱源部31の内部における配設構造について説明する。図16は、第1の実施例の熱源部31の内部における配設構造を説明する説明図である。図16に示すように、熱源部31は、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cと、制御基板320とを備える。
【0076】
ペルティエ素子310Lは、熱源部31における左側の先端に配置され、利用者の左頸部を冷却または加熱する。ペルティエ素子310Rは、熱源部31における右側の先端に配置され、利用者の右頸部を冷却または加熱する。ペルティエ素子310Cは、熱源部31における中央に配置され、利用者の後頸部を冷却または加熱する。
【0077】
制御基板320は、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cへ電力を供給し、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cを制御する。
【0078】
まず、図16を用いて、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cを接続するチューブ部材34の配設構造について説明する。3つのペルティエ素子310L,310R,310Cは、チューブ部材34LC,34RC,34L,34Rに接続され、チューブ部材34LC,34RC,34L,34Rの中を熱媒体が流れる。ここで、図16では、熱媒体がチューブ部材34Lを通って熱源部31の内部に向かって流れ、チューブ部材34Rを通って熱源部31の外部、すなわち、排熱部32に向かって流れることとする。
【0079】
かかる場合、熱媒体は、チューブ部材34Lを通って熱源部31の内部に入った後、まず、左側のペルティエ素子310Lを通過する。この際、ペルティエ素子310Lで生じた熱を熱媒体が吸収する。
【0080】
次に、熱媒体は、ペルティエ素子310Lを出た後、チューブ部材34LCを通って中央のペルティエ素子310Cを通過する。この際、ペルティエ素子310Cで生じた熱を熱媒体が吸収する。
【0081】
次に、熱媒体は、ペルティエ素子310Cを出た後、チューブ部材34RCを通って右側のペルティエ素子310Rを通過する。この際、ペルティエ素子310Rで生じた熱を熱媒体が吸収する。
【0082】
そして、熱媒体は、ペルティエ素子310Rを出た後、チューブ部材34Rを通って熱源部31の外部へ出て排熱部32へ流れる。
【0083】
これにより、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cそれぞれへ熱媒体を供給できるとともに、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cそれぞれにチューブ部材34が接続されることで、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cで生じた熱を熱媒体により吸収することができる。
【0084】
次に、図16を用いて、3つのペルティエ素子310L,310R,310Cを接続する電源線の配線構造について説明する。
【0085】
図16に示すように、制御基板320は、熱源部31の左側の先端に配置され、熱源部31の左側の先端から熱源部31の内部に入り込んだ電源コード35に接続される。具体的には、制御基板320は、左側のペルティエ素子310Lに積層されて配置される。かかる電源コード35は、制御基板320と反対側の端部である他端が排熱部32に接続される。
【0086】
そして、制御基板320は、電源コード35を介して排熱部32から供給される電力を電源線321LRにより右側のペルティエ素子310Lへ供給し,電源線321LCにより中高のペルティエ素子310Cへ供給する。なお、左側のペルティエ素子310Lは、制御基板320が積層されるため電源線は不要である。
【0087】
次に、図17および図18を用いて、熱源部31とチューブ部材34との接続部24の他の例について説明する。図17および図18は、熱源部31とチューブ部材34との接続部24の他の例を示す図である。
【0088】
図17に示す例では、チューブ部材34は、熱源部31の前面側における先端よりも背面側に寄った位置で熱源部31に接続される。具体的には、チューブ部材34は、利用者が身体温冷装置用衣服1を装着した場合において、利用者における肩に対応した位置で熱源部31と接続される。
【0089】
また、チューブ部材34の延伸部341は、熱源部31との接続部24から背面側の排熱部32へ最短経路で向かう方向とは異なる方向に延伸する。具体的には、延伸部341は、利用者の肩に沿うように側方に延伸する。
【0090】
また、第1折返部342は、側方に延伸する第1延伸部341を排熱部32が配置された背面側に向かうように折り返す。また、接続部343は、利用者の肩の形状に湾曲し背面側へ延伸する。つまり、接続部343は、利用者の肩に載った状態で背面側へ延伸する。
【0091】
図18は、図17の熱源部31の内部の配設構造を説明する図である。なお、図18では、電源コード35や内部に配線される電源線の記載を省略している。図18では、熱媒体がチューブ部材34Lから熱源部31に入り、チューブ部材34Rから熱源部31の外部(排熱部32)へ出ることとする。
【0092】
図18に示すように、熱源部31の内部においては、チューブ部材34Lは、左側のペルティエ素子310Lを通る。また、チューブ部材34LCは、左側のペルティエ素子310Lと中央のペルティエ素子310Cを接続する。また、チューブ部材34RCは、中央のペルティエ素子310Cと右側のペルティエ素子310Rを接続する。また、チューブ部材34Rは、右側のペルティエ素子310Rから外部へ配設される。
【0093】
このような構成においては、熱媒体は、チューブ部材34Lからチューブ部材34LCへ流れる際に、左側のペルティエ素子310Lの熱を吸収する。また、熱媒体は、チューブ部材34LCからチューブ部材34RCへ流れる際に、中央のペルティエ素子310Cの熱を吸収する。また、熱媒体は、チューブ部材34RCからチューブ部材34Rへ流れる際に、右側のペルティエ素子310Rの熱を吸収する。
【0094】
また、図18に示すように、電源線321Lは、外部から熱源部31に入り、左側のペルティエ素子310Lに接続される。また、電源部321LCは、中央のペルティエ素子310Cと左側のペルティエ素子310Lとを接続する。また、電源線321RCは、中央のペルティエ素子310Cと右側のペルティエ素子310Rとを接続する。また、電源線321Lは、熱源部31の外部において不図示の電源コード35に接続される。
【0095】
次に、図19を用いて、熱源部31とチューブ部材34との接続部24の他の例について説明する。図19は、熱源部31とチューブ部材34との接続部24のさらに他の例を示す図である。
【0096】
図19に示すように、チューブ部材34は、背面側において熱源部31の側面に接続される。具体的には、チューブ部材34は、利用者が身体温冷装置用衣服1を装着した場合において、利用者の後頸部に対応した位置で熱源部31と接続される。なお、チューブ部材34は、背面側において熱源部31の背面に接続されてもよい。
【0097】
また、チューブ部材34の延伸部341は、熱源部31との接続部24から背面側の排熱部32へ最短経路で向かう方向とは異なる方向に延伸する。具体的には、延伸部341は、利用者の前面側へ向かって延伸する。
【0098】
また、第1折返部342は、前面側へ延伸する第1延伸部341から排熱部32が配置された背面側へ折り返す。つまり、第1折返部342は、略U字状に折り返す。また、接続部343は、利用者の肩の形状に湾曲し背面側へ延伸する。つまり、接続部343は、利用者の肩に載った状態で背面側へ延伸する。
【0099】
なお、図19では、チューブ部材34は、一方側(利用者の左側)のみで熱源部31と接続した例、言い換えれば、チューブ部材34は、熱源部31から排熱部32へ熱媒体を循環する流路と、排熱部32から熱源部31へ熱媒体を循環させる流路とが一体となったチューブ部材34の例を示したが、図17等で示したチューブ部材34のように、両側(利用者の左側および右側)において熱源部31と接続されてもよい。
【0100】
(効果)
上述してきたように、実施形態に係る身体温冷装置用衣服1は、襟部21と、身頃部22とを備える。襟部21は、利用者の頸部を冷却または加熱する熱源部31に対応する。身頃部22は、襟部21と接続すると共に、熱源部31の熱を排熱する排熱部32に対応する。これにより、身体温冷装置3を利用者が容易に装着することができる。
【0101】
身頃部22は、熱源部31および排熱部32を接続するチューブ部材34にも対応する。これにより、身体温冷装置3を利用者が容易に装着することができる。
【0102】
襟部21は、熱源部31を着脱可能に保持する第1保持部210を有する。これにより、熱源部31を着脱することができる。
【0103】
身頃部22は、利用者が身体温冷装置用衣服1を着用した場合、利用者の背面側となる背面部に、排熱部32を着脱可能に保持する第2保持部221bを有する。これにより、排熱部32を着脱することができる。
【0104】
第2保持部221bは、排熱部32を着脱可能に収容する内部空間を有する。これにより、排熱部32を内部空間に収容した状態で保持することができる。
【0105】
第2保持部221bは、内部空間に接続して配置され、内部空間を換気する換気部223bを有する。これにより、内部空間で生じる排熱部32の熱を外部へ放熱できる。
【0106】
第2保持部221bは、背面部のうち、利用者の左右の肩甲骨の間となる位置に設けられる。これにより、利用者の肩の動きに対して排熱部32が干渉することを低減できる。
【0107】
熱源部31および排熱部32を接続するチューブ部材34をさらに備え、身頃部22は、熱源部31および排熱部32を接続した状態のチューブ部材34を保持する第3保持部を有する。これにより、チューブ部材34を保持できるため、利用者のチューブ部材34の重量による負荷を軽減できる。
【0108】
スリット4は、襟部21と身頃部22の接続部に、襟部21に沿って空けられる。これにより、利用者が襟110付きの衣服100を着用した上から身体温冷装置用衣服1を着用した場合であっても、襟110をスリット4に通すことができる。
【0109】
利用者が襟110の付いた衣服100を着用した上から身体温冷装置用衣服1を着用した場合、襟110は、スリット4を通した状態となる。熱源部31は、利用者に対して襟110よりも内側に配置される。これにより、熱源部31を襟110よりも内側に配置できるため、熱源部31が利用者の頸部を冷却または加熱する場合に襟110が干渉することを防ぐことができる。
【0110】
身頃部22は、利用者が身体温冷装置用衣服1を着用した場合、下端位置が利用者の肋骨の位置に重なる。これにより、利用者の動きやすさを向上させることができる。
【0111】
身頃部22は、利用者の前面側となる前面部に、利用者と身頃部22との密着度合いを調整する調整部221aを有する。これにより、身頃部22と利用者とのフィット感を高めることができる。
【0112】
襟部21は、利用者の前面側となる前面部に、襟部21における左側と右側の先端部同士を固定する固定部211を有する。身頃部22は、熱源部31に電力を供給する電源部33を保持する。これにより、襟部21(熱源部31)と利用者の頸部とのフィット感を高めることができる。
【0113】
また、上述してきたように、実施形態に係る身体温冷装置3は、熱源部31と、排熱部32と、チューブ部材34とを備える。熱源部31は、利用者の頸部を冷却または加熱する。排熱部32は、熱源部31から離れて配置され、熱源部31の熱を排熱する。チューブ部材34は、熱源部31と排熱部32の間に配置され、熱を伝達する熱媒体が流れる。チューブ部材34は、可撓性を有する。これにより、例えば、利用者の動きに伴い熱源部31と排熱部32との距離が近づいたり遠ざかったしても、チューブ部材34の余剰長さによりチューブ部材34全体が可撓性を発揮する。従って、チューブ部材34が熱源部31と排熱部32との距離の変化を吸収することができるため、熱源部31および排熱部32の間におけるチューブ部材34の引張力を一定に保つことができる。すなわち、実施形態に係る身体温冷装置3によれば、利用者が動く等して熱源部31と排熱部32との距離が変化した場合であっても、チューブ部材34の引張力を一定に保つことができるため、利用者の頸部が熱源部31から受ける力を一定に保つことができる。つまり、チューブ部材34の引張力の高まりを軽減できる。
【0114】
チューブ部材34は、少なくとも一部に湾曲部を有することで可撓性を有する。これにより、配線の構造による可撓性を生じさせることができる。
【0115】
チューブ部材34の湾曲部は、熱源部31から排熱部32へ最短経路で向かう方向とは異なる方向に延伸する延伸部341とを有する。これにより、チューブ部材34を遠回りにして熱源部31と排熱部32とを接続できる。
【0116】
チューブ部材34の湾曲部は、延伸部341と連続し、延伸部341から排熱部32へ向かう方向へチューブ部材34の一部を折り返す第1折返部342を有する。これにより、チューブ部材34を遠回りにして熱源部31と排熱部32とを接続できる。
【0117】
利用者が身体温冷装置3を装着した場合、チューブ部材34の一部が利用者に載った状態で熱源部31と排熱部32を接続する。これにより、チューブ部材34の重量を利用者の体に分散させることができるため、チューブ部材34の前面側と背面側とのいずれか一方に負担がかかることによる重量感を軽減でき、身体温冷装置3の装着感を高めることができる。
【0118】
利用者が身体温冷装置3を装着した場合、排熱部32は、利用者の背面側に配置され、チューブ部材34は、利用者の前面側において熱源部31と接続され、利用者の背面側において排熱部32と接続される。これにより、チューブ部材34の前面側と背面側とでバランスが釣り合うことになるため、チューブ部材34の前面側と背面側とのいずれか一方に負担がかかることによる重量感を軽減でき、身体温冷装置3の装着感を高めることができる。
【0119】
チューブ部材34は、利用者の前面側から背面側に向かって利用者の体に沿うように配置される。これにより、身体温冷装置3を視認した第三者に対してすっきりとした印象を与えることができる。従って、身体温冷装置3を装着した際の利用者の外観が良くなる。
【0120】
チューブ部材34は、熱源部31と排熱部32との間で熱媒体が流れる第1チューブ部材34Rと、排熱部32と熱源部31との間で熱媒体が流れる第2チューブ部材34Lと、を有する。第1チューブ部材34Rは、頸部に対して左側および右側のいずれか一方側を通って熱源部31と排熱部32を接する。第2チューブ部材34Lは、他方側を通って熱源部31と排熱部32を接続する。これにより、チューブ部材34の重量を利用者の左側と右側とに分散することで利用者の左右でバランスが釣り合うため、チューブ部材34の左側と右側とのいずれか一方に負担がかかることによる重量感を軽減でき、身体温冷装置3の装着時に重量感を軽減できる。
【0121】
チューブ部材34の湾曲部は、利用者の後頚部の位置を迂回する迂回部を有する。これにより、スリット4を設けることができる。
【0122】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0123】
1 身体温冷装置用衣服
2 衣服部
3 身体温冷装置
4 スリット
21 襟部
22 身頃部
22a 前身頃
22b 後身頃
31 熱源部
32 排熱部
33 電源部
34 チューブ部材
100 衣服
110 襟
200 後頸部
211 固定部
213a 突出部
214a カラー部
215a 保持部
221a 調整部
222a 開閉部
222b 開閉部
223b 換気部
310C ペルティエ素子
310L ペルティエ素子
310R ペルティエ素子
320 制御基板
321LC 電源線
321LR 電源線
340 第1湾曲部
341 第1延伸部
342 第1折返部
343 接続部
344 第2湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19