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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131606
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/12 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L29/78 652T
H01L29/78 657A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652M
H01L29/86 301D
H01L29/86 301M
H01L29/48 D
H01L29/48 M
H01L29/78 652B
H01L29/78 652D
H01L29/78 652C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041976
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】朝羽 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB14
4M104CC03
4M104GG03
4M104GG18
(57)【要約】
【課題】ゲート-ドレイン間容量を低減可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1電極と、前記第1電極に接続され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型である複数の第2半導体層と、前記第2半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第3半導体層と、前記第1半導体層における前記第2半導体層間の部分に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型の第4半導体層と、絶縁膜を介して前記第2半導体層と対向する第2電極と、前記第2半導体層及び前記第3半導体層に接続された第3電極と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極に接続され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型である複数の第2半導体層と、
前記第2半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第3半導体層と、
前記第1半導体層における前記第2半導体層間の部分に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型の第4半導体層と、
絶縁膜を介して前記第2半導体層と対向する第2電極と、
前記第2半導体層及び前記第3半導体層に接続された第3電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第2半導体層、前記第3半導体層及び前記第3電極とオーミック接続された導電層と、
前記第1半導体層上に配置され、前記第1半導体層とショットキー接合された金属層と、
をさらに備え、
前記第2半導体層は第1方向に延び、前記第1方向に沿って複数の第1開口部が配列されており、
前記第3半導体層は前記第1方向に延び、前記第1方向に沿って第2開口部と第3開口部が交互に配列されており、
前記導電層は前記第2開口部内に配置されており、
前記金属層は、前記第3開口部内において、前記第1半導体層における前記第1開口部内に配置された部分と接している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属層及び前記導電層は、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿って交互に配列されている請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電層と前記第4半導体層との間に前記第1半導体層が介在している請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属層と前記第4半導体層との間に前記第1半導体層が介在している請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第4半導体層は、前記第1半導体層の上面から離隔している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4半導体層は、前記第2半導体層に接している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第4半導体層の上面は前記第2半導体層の上面よりも下方に位置し、前記第4半導体層の下面は前記第2半導体層の下面よりも上方に位置した請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記金属層はチタンを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記導電層はニッケル及びシリコンを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1電極と、
前記第1電極に接続され、第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層上の一部に配置され、第2導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層上の一部に配置され、第1導電型の第3半導体層と、
前記第1半導体層における前記第2半導体層の側面上に配置され、第2導電型の第4半導体層と、
前記第4半導体層の直上域を含む領域に配置され、前記第2半導体層と対向する第2電極と、
前記第2半導体層及び前記第3半導体層に接続された第3電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項12】
前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層及び前記第4半導体層は、シリコン及び炭素を含む請求項11に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力制御用の半導体装置においては、還流電流を安全に流すためにSBD(Schottky Barrier diode:ショットキーバリアダイオード)を内蔵したMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が用いられることがある。このような半導体装置においては、動作の高速化を図るために、ゲート-ドレイン間の容量を低減することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6649183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、ゲート-ドレイン間の容量を低減可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、前記第1電極に接続され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型である複数の第2半導体層と、前記第2半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第3半導体層と、前記第1半導体層における前記第2半導体層間の部分に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型の第4半導体層と、絶縁膜を介して前記第2半導体層と対向する第2電極と、前記第2半導体層及び前記第3半導体層に接続された第3電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図3図3は、図2の領域Aを示す上面図である。
図4図4は、図3に示すB-B’線による断面図である。
図5図5(a)は第1の実施形態に係る半導体装置の動作を示す断面図であり、図5(b)は比較例に係る半導体装置の動作を示す断面図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図7図7は、図6に示すC-C’線による断面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る半導体装置の動作を示す断面図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図3は、図2の領域Aを示す上面図である。
図4は、図3に示すB-B’線による断面図である。
【0008】
図1においては、後述するドレイン電極11、ドレイン層21、ソース電極12、ショットキー金属層15、ソースコンタクト層26及びp型層27は図示を省略している。図2においては、半導体部分20、ゲート電極13、オーミック導電層14及びショットキー金属層15のみを示している。図3においては、ソース電極12及び絶縁膜30を省略し、ゲート電極13及びショットキー金属層15を二点鎖線で示している。
【0009】
図1図4に示すように、本実施形態に係る半導体装置1においては、ドレイン電極11(第1電極)、ソース電極12(第3電極)、ゲート電極13(第2電極)、オーミック導電層14(導電層)、ショットキー金属層15(金属層)、半導体部分20、及び、絶縁膜30が設けられている。
【0010】
半導体部分20の形状は、例えば矩形の板状である。ドレイン電極11は半導体部分20の下面20a上の全面に設けられている。ソース電極12は半導体部分20の上面20b上の略全面に設けられている。半導体部分20はシリコン(Si)及び炭素(C)を含む半導体材料からなり、例えば、炭化シリコン(SiC)の単結晶からなる。半導体部分20の各部は不純物が導入されることにより、導電型がp型又はn型とされている。半導体部分20においては、ドレイン層21、ドリフト層22、ベース層23、ベースコンタクト層24、ソース層25、ソースコンタクト層26、p型層27(第4半導体層)が設けられている。
【0011】
ドレイン層21の導電型はn型であり、ドレイン電極11に接続されている。本明細書において、「接続」とは電気的な接続を意味する。ドレイン層21は半導体部分20の下面20aを構成している。ドリフト層22の導電型はn型である。すなわち、ドリフト層22のキャリア濃度はドレイン層21のキャリア濃度よりも低い。ドリフト層22はドレイン層21上に配置されており、ドレイン層21に接している。ドレイン層21及びドリフト層22により、第1半導体層が構成されている。
【0012】
ベース層23は複数設けられており、ドリフト層22上の一部に配置されている。ベース層23の導電型はp型である。各ベース層23の形状は、一方向に延びる帯状である。
【0013】
本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。ドレイン電極11からソース電極12に向かう方向を「Z方向」とし、各ベース層23が延びる方向を「Y方向」とし、Z方向及びY方向に直交する方向を「X方向」とする。なお、Z方向を「上」ともいい、その反対方向を「下」ともいうが、この表現も便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。
【0014】
複数のベース層23はX方向に沿って配列されており、各ベース層23はY方向に延びている。隣り合うベース層23間にはドリフト層22の部分22aが介在している。各ベース層23には複数の開口部23aが形成されており、Y方向に沿って一列に配列されている。開口部23a内にはドリフト層22の部分22bが進入している。ドリフト層22のうち、隣り合うベース層23間に配置された部分22a、及び、開口部23a内に進入した部分22bは、半導体部分20の上面20bに到達している。X方向において隣り合うベース層23において、Y方向における開口部23aの位置は相互にずれている。このため、Z方向から見て、開口部23aは千鳥状に配列されている。
【0015】
図2に示すように、半導体装置1においては、複数のオーミック接続領域Roと複数のショットキーバリアダイオード領域Rsが設定されており、チェッカーパターン状に配列されている。すなわち、オーミック接続領域Roとショットキーバリアダイオード領域Rsは、X方向及びY方向に沿って交互に配列されている。図2においては、図を見やすくするために、オーミック接続領域Ro及びショットキーバリアダイオード領域Rsにそれぞれハッチングを付している。
【0016】
オーミック接続領域Roには、オーミック導電層14が配置されている。オーミック導電層14は半導体部分20上に配置され、半導体部分20の上面20bに接し、半導体部分20とオーミック接続している。オーミック導電層14は導電材料からなり、例えば、ニッケルシリサイド(NiSi)からなる。
【0017】
ショットキーバリアダイオード領域Rsは、ベース層23の開口部23aに対応している。ショットキーバリアダイオード領域Rsには、ショットキー金属層15が配置されている。ショットキー金属層15は半導体部分20上に配置され、ドリフト層22の部分22b、ベース層23におけるドリフト層22の部分22bの周囲に配置された部分、及び、ソース層25の一部に接している。
【0018】
ショットキー金属層15は、ドリフト層22の部分22bとの間でショットキーバリアダイオードを構成している。ショットキー金属層15は、炭化シリコンからなるn型のドリフト層22とショットキー接合する材料で形成されており、例えば、チタン(Ti)によって形成されている。
【0019】
図3及び図4に示すように、半導体部分20において、ソース層25はベース層23上の一部に配置されており、ベース層23に接している。また、ソース層25はドリフト層22から離隔しており、ソース層25とドリフト層22との間にはベース層23が介在している。ソース層25の導電型はn型である。例えば、1つのベース層23上に1つのソース層25が配置されている。
【0020】
Z方向から見て、ソース層25の形状は梯子状であり、複数の開口部25a及び25bが形成されている。開口部25aはオーミック接続領域Roに配置されており、開口部25bはショットキーバリアダイオード領域Rsに配置されている。したがって、各ソース層25においては、開口部25aと開口部25bがY方向に沿って一列に交互に配列されている。複数のベース層23上に配置された複数のソース層25については、開口部25aと開口部25bはX方向に沿って交互に配列されている。
【0021】
オーミック導電層14は、ソース層25の開口部25aの内部に配置されている。ソース層25とオーミック導電層14との間には、ソースコンタクト層26が配置されている。ソースコンタクト層26の導電型はn++型である。すなわち、ソースコンタクト層26のキャリア濃度はソース層25のキャリア濃度よりも高い。ソースコンタクト層26はソース層25及びオーミック導電層14に接している。ソース層25及びソースコンタクト層26により、第3半導体層が構成されている。
【0022】
また、ベース層23とオーミック導電層14との間には、ベースコンタクト層24が配置されている。ベースコンタクト層24の導電型はp++型である。すなわち、ベースコンタクト層24のキャリア濃度はベース層23のキャリア濃度よりも高い。ベースコンタクト層24は、オーミック導電層14、ベース層23及びソースコンタクト層26に接している。ベース層23及びベースコンタクト層24により、第2半導体層が構成されている。
【0023】
ショットキー金属層15は、ソース層25の開口部25bの直上域に配置されている。Z方向から見て、ベース層23の開口部23aはソース層25の開口部25bの内部に配置されている。ショットキー金属層15は、ベース層23の開口部23a内においてドリフト層22の部分22bと接しており、ソース層25の開口部25b内においてベース層23と接しており、開口部25bの周囲においてソース層25と接している。
【0024】
p型層27は、ドリフト層22におけるベース層23間の部分22a内に配置されており、部分22aに接している。p型層27の導電型はp型であり、そのキャリア濃度はベース層23のキャリア濃度と略等しい。p型層27は、半導体部分20の上面20bから離隔している。p型層27の上面はベース層23の上面、すなわち、ベース層23と絶縁膜30との界面よりも下方に位置し、p型層27の下面はベース層23の下面、すなわち、ベース層23とドリフト層22との界面よりも上方に位置している。
【0025】
本実施形態においては、p型層27は部分22aにおけるショットキーバリアダイオード領域Rs側に配置されており、ベース層23におけるショットキーバリアダイオード領域Rsに対応した部分の側面に接している。このため、p型層27とオーミック導電層14との間には、ドリフト層22の部分22aが介在している。
【0026】
ゲート電極13は、半導体部分20上に配置されており、Y方向に延びている。X方向において、ゲート電極13は、ドリフト層22におけるベース層23間の部分22aの直上域、ベース層23におけるドリフト層22とソース層25との間の部分の直上域、及び、ソース層25における部分22a側に位置する部分の直上域にわたって配置されている。p型層27はゲート電極13の直下域に配置されている。
【0027】
ソース電極12は、半導体部分20上の略全面に配置されており、ゲート電極13を覆っている。ソース電極12は、オーミック導電層14及びショットキー金属層15に接しており、これらにオーミック接続されている。
【0028】
絶縁膜30は、ゲート電極13と半導体部分20との間、及び、ゲート電極13とソース電極12との間に配置されている。これにより、ゲート電極13は、半導体部分20及びソース電極12から絶縁膜30によって絶縁されている。
【0029】
次に、本実施形態に係る半導体装置の動作について説明する。
図5(a)は本実施形態に係る半導体装置の動作を示す断面図であり、図5(b)は比較例に係る半導体装置の動作を示す断面図である。
【0030】
図4及び図5(a)に示すように、半導体装置1において、ドレイン電極11とソース電極12との間に、ドレイン電極11を正極としソース電極12を負極とする電圧が印加されると、ドリフト層22とベース層23との界面を起点として空乏層(図示せず)が拡がる。この状態で、ゲート電極13に閾値よりも高い電位が印加されると、ベース層23における絶縁膜30を介してゲート電極13に対向した部分に反転層(図示せず)が形成されて、ソース電極12、オーミック導電層14、ソースコンタクト層26、ソース層25、ベース層23の反転層、ドリフト層22、ドレイン層21及びドレイン電極11の経路で電子電流200が流れる。これにより、ドレイン電極11からソース電極12に電流が流れる。一方、ゲート電極13に閾値よりも低い電位が印加されると、反転層が消失し、電流が遮断される。
【0031】
半導体装置1には、外部のインダクタンスに起因して、ソース電極12からドレイン電極11に向けて還流電流が流れる場合がある。この場合、オーミック接続領域Roにおいては、ソース電極12、オーミック導電層14、ベースコンタクト層24、ベース層23、ドリフト層22、ドレイン層21及びドレイン電極11の経路で正孔電流が流れる。また、ドレイン電極11、ドレイン層21、ドリフト層22、ショットキー金属層15及びソース電極12の経路で電子電流が流れる。ショットキーバリアダイオード領域Rsにおいては、ドレイン電極11、ドレイン層21、ドリフト層22、ショットキー金属層15及びソース電極12の経路で電子電流が流れる。
【0032】
そして、半導体装置1には、ドリフト層22の部分22a内にp型層27が設けられているため、ゲート電極13とドリフト層22との対向面積が小さくなり、ゲート-ドレイン間容量Cgdが小さくなる。ドリフト層22におけるp型層27と絶縁膜30との間の部分は、空乏層で満たされる。
【0033】
また、半導体装置1がオン状態となったときの電子電流200は、上述の如く、オーミック接続領域Ro及びショットキーバリアダイオード領域Rsの双方において流れる。p型層27は部分22aにおけるショットキーバリアダイオード領域Rs側に配置されているため、ショットキーバリアダイオード領域Rsを流れる電子電流200には多少の影響を及ぼす可能性があるものの、オーミック接続領域Roを流れる電子電流200にはあまり影響を及ぼさない。このため、p型層27を設けても、半導体装置1のオン抵抗Ronの増加を抑制できる。なお、短絡時には、通常のオン状態時と比較して、より大きな電流が流れるため、電流経路の近傍はより多く発熱し、より高温になる。このため、抵抗が増大し、短絡電流が抑制される。
【0034】
これに対して、図5(b)に示すように、比較例に係る半導体装置101においては、p型層27が設けられていない。このため、ゲート電極13とドリフト層22との対向面積が大きく、ゲート-ドレイン間容量Cgdが大きい。
【0035】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る半導体装置1においては、ドリフト層22の部分22aにおけるショットキーバリアダイオード領域Rs側にp型層27が設けられているため、ゲート-ドレイン間容量Cgdを低減しつつ、オン抵抗Ronの増加を抑制できる。このため、半導体装置1はゲート-ドレイン間容量Cgdとオン抵抗Ronとのバランスが良好である。
【0036】
また、半導体装置1においては、ショットキーバリアダイオード領域Rsを設定してショットキー金属層15を設けているため、還流電流が流れる際にショットキーバリアダイオード領域Rsに電子電流が流れ、この電子電流に起因したポテンシャル変化によって、pn接合に印加される実効的なバイアスが抑制され、これにより、MOSFETにバイポーラ電流が流れることを抑制し、半導体部分20を形成する炭化シリコン中の欠陥が拡張して電気抵抗が増大することを抑制できる。
【0037】
更に、半導体装置1においては、オーミック接続領域Roとショットキーバリアダイオード領域Rsがチェッカーパターン状に配列されているため、X方向におけるゲート電極13の配列密度を向上させることができる。これにより、半導体装置1のオン抵抗を低減してオン電流を増加させることができる。これに対して、仮に、オーミック接続領域Roとショットキーバリアダイオード領域Rsがストライプ状に配列されていると、ショットキーバリアダイオード領域Rsにはゲート電極13を配置できないため、オン電流の最大値が減少する。
【0038】
<第2の実施形態>
図6は、本実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図7は、図6に示すC-C’線による断面図である。
図6においては、ソース電極12及び絶縁膜30を省略し、ゲート電極13及びショットキー金属層15を二点鎖線で示している。後述する図9においても同様である。
【0039】
図6及び図7に示すように、本実施形態に係る半導体装置2は、第1の実施形態に係る半導体装置1と比較して、p型層27の位置が異なっている。半導体装置2においては、p型層27は、ドリフト層22の部分22aにおけるオーミック接続領域Ro側に配置されている。すなわち、p型層27は、ベース層23におけるオーミック接続領域Roに対応した部分の側面に接している。このため、p型層27とショットキー金属層15との間には、ドリフト層22の部分22aが介在している。
【0040】
次に、本実施形態に係る半導体装置2の動作及び効果について説明する。
図8は、本実施形態に係る半導体装置の動作を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ドリフト層22の部分22a内にp型層27が設けられているため、ゲート電極13とドリフト層22との対向面積が小さくなり、ゲート-ドレイン間容量Cgdが小さくなる。
【0041】
また、p型層27がオーミック接続領域Ro側に配置されているため、オーミック接続領域Roを流れる電子電流200には多少の影響を及ぼす可能性があるものの、ショットキーバリアダイオード領域Rsを流れる電子電流200にはあまり影響を及ぼさない。このように、オーミック接続領域Roを流れる電子電流200とショットキーバリアダイオード領域Rsを流れる電子電流200には、p型層27の位置に依存するトレードオフの関係がある。このように本実施形態によっても、半導体装置2の短絡耐量が向上する。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0042】
<第3の実施形態>
図9は、本実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図9に示すように、本実施形態に係る半導体装置3においては、p型層27がドリフト層22の部分22aにおけるX方向の一方側に配置されている。このため、p型層27はベース層23の一方の側面に沿ってY方向に延びている。
【0043】
本実施形態においても、ゲート-ドレイン間容量Cgdを低減することができる。また、オン抵抗Ron及び短絡時に流れる短絡電流については、第1の実施形態と第2の実施形態の中間の効果が得られる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0044】
なお、上述の各実施形態においては、p型層27がベース層23に接している例を示したが、p型層27はベース層23から離れていてもよい。また、上述の各実施形態においては、p型層27が半導体部分20の上面20bから離れている例を示したが、p型層27は上面20bに到達し、絶縁膜30に接していてもよい。
【0045】
以上説明した実施形態によれば、ゲート-ドレイン間容量を低減可能な半導体装置を実現することができる。
【0046】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。
【0047】
本発明は、以下の態様を含む。
【0048】
(付記1)
第1電極と、
前記第1電極に接続され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型である複数の第2半導体層と、
前記第2半導体層上の一部に配置され、シリコン及び炭素を含み、第1導電型の第3半導体層と、
前記第1半導体層における前記第2半導体層間の部分に配置され、シリコン及び炭素を含み、第2導電型の第4半導体層と、
絶縁膜を介して前記第2半導体層と対向する第2電極と、
前記第2半導体層及び前記第3半導体層に接続された第3電極と、
を備えた半導体装置。
【0049】
(付記2)
前記第2半導体層、前記第3半導体層及び前記第3電極とオーミック接続された導電層と、
前記第1半導体層上に配置され、前記第1半導体層とショットキー接合された金属層と、
をさらに備え、
前記第2半導体層は第1方向に延び、前記第1方向に沿って複数の第1開口部が配列されており、
前記第3半導体層は前記第1方向に延び、前記第1方向に沿って第2開口部と第3開口部が交互に配列されており、
前記導電層は前記第2開口部内に配置されており、
前記金属層は、前記第3開口部内において、前記第1半導体層における前記第1開口部内に配置された部分と接している付記1に記載の半導体装置。
【0050】
(付記3)
前記金属層及び前記導電層は、前記第1方向に対して交差する第2方向に沿って交互に配列されている付記2に記載の半導体装置。
【0051】
(付記4)
前記導電層と前記第4半導体層との間に前記第1半導体層が介在している付記2または3に記載の半導体装置。
【0052】
(付記5)
前記金属層と前記第4半導体層との間に前記第1半導体層が介在している付記2または3に記載の半導体装置。
【0053】
(付記6)
前記第4半導体層は、前記第1半導体層の上面から離隔している付記1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0054】
(付記7)
前記第4半導体層は、前記第2半導体層に接している付記1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0055】
(付記8)
前記第4半導体層の上面は前記第2半導体層の上面よりも下方に位置し、前記第4半導体層の下面は前記第2半導体層の下面よりも上方に位置した付記1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0056】
(付記9)
前記金属層はチタンを含む付記1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0057】
(付記10)
前記導電層はニッケル及びシリコンを含む付記1~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0058】
(付記11)
第1電極と、
前記第1電極に接続され、第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層上の一部に配置され、第2導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層上の一部に配置され、第1導電型の第3半導体層と、
前記第1半導体層における前記第2半導体層の側面上に配置され、第2導電型の第4半導体層と、
前記第4半導体層の直上域を含む領域に配置され、前記第2半導体層と対向する第2電極と、
前記第2半導体層及び前記第3半導体層に接続された第3電極と、
を備えた半導体装置。
【0059】
(付記12)
前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第3半導体層及び前記第4半導体層は、シリコン及び炭素を含む付記11に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3 半導体装置
11 ドレイン電極
12 ソース電極
13 ゲート電極
14 オーミック導電層
15 ショットキー金属層
20 半導体部分
20a 下面
20b 上面
21 ドレイン層
22 ドリフト層
22a、22b ドリフト層の部分
23 ベース層
23a 開口部
24 ベースコンタクト層
25 ソース層
25a、25b 開口部
26 ソースコンタクト層
27 p型層
30 絶縁膜
101 半導体装置
200 電子電流
Cgd ゲート-ドレイン間容量
Ro オーミック接続領域
Rs ショットキーバリアダイオード領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9