(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131608
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20240920BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q40/02
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041982
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】高岡 淳
(72)【発明者】
【氏名】山田 圭
(72)【発明者】
【氏名】冨田 敬勝
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 麻由子
(72)【発明者】
【氏名】田口 真悟
(72)【発明者】
【氏名】冨田 純希
【テーマコード(参考)】
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB02
5L049CC35
5L050CC35
5L055BB02
(57)【要約】
【課題】差押え業務を好適に支援することが可能な差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】差押え支援装置は、債権差押通知書の内容を含む差押えデータを、行政機関端末から受信する差押えデータ受信手段と、差押えデータ受信手段で受信した差押えデータにより特定される口座について、差押えを行うものの強制的に債権額を回収する取立てを行わない取立保留を行うことを金融機関へ指示する指示手段と、を備える。これにより、差押え業務を好適に支援することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
債権差押通知書の内容を含む差押えデータを、行政機関端末から受信する差押えデータ受信手段と、
前記差押えデータ受信手段で受信した前記差押えデータにより特定される口座について、差押えを行うものの強制的に債権額を回収する取立てを行わない取立保留を行うことを金融機関へ指示する指示手段と、
を備える差押え支援装置。
【請求項2】
前記指示手段は、前記差押えを行うと同時に前記取立てを行う即時取立と、前記取立保留と、のいずれかを行うことを、前記金融機関へ指示する、
請求項1に記載の差押え支援装置。
【請求項3】
前記差押えデータには、前記即時取立と前記取立保留のいずれを行うのかを識別する差押え種別情報が含まれ、
前記指示手段は、金融機関端末へ前記差押えデータを送信することにより、前記即時取立と前記取立保留のいずれを行うのかを前記金融機関へ指示する、
請求項2に記載の差押え支援装置。
【請求項4】
前記差押えデータ受信手段で受信した前記差押えデータを記憶する差押えデータ記憶手段と、
前記行政機関端末からの検索依頼に基づいて、前記差押えデータ記憶手段で記憶した前記差押えデータから、前記検索依頼に対応する前記差押えデータを特定する差押えデータ特定手段と、
前記差押えデータ特定手段で特定した前記差押えデータにより特定される口座について、前記差押えの解除または前記取立てを行うことを示す解除取立て指示情報を受信する解除取立て指示情報受信手段と、をさらに備え、
前記解除取立て指示情報受信手段で受信した前記解除取立て指示情報を前記金融機関端末へ送信することで、前記解除取立て指示情報により示される前記差押えの解除または前記取立てを行うことを前記金融機関へ指示する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の差押え支援装置。
【請求項5】
差押え支援装置による差押え支援方法であって、
債権差押通知書の内容を含む差押えデータを、行政機関端末から受信する差押えデータ受信ステップと、
前記差押えデータ受信ステップで受信した前記差押えデータにより特定される口座について、差押えを行うものの強制的に債権額を回収する取立てを行わない取立保留を行うことを金融機関へ指示する指示ステップと、
を備える差押え支援方法。
【請求項6】
コンピュータを、
債権差押通知書の内容を含む差押えデータを、行政機関端末から受信する差押えデータ受信手段、
前記差押えデータ受信手段で受信した前記差押えデータにより特定される口座について、差押えを行うものの強制的に債権額を回収する取立てを行わない取立保留を行うことを金融機関へ指示する指示手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、滞納者に対する差押えを支援するためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、行政機関や金融機関における差押えの業務負担低減を図る取引調査・差押支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、差押えおよび取立てを即時に行う場合や、差押えのみ行った後に当該差押えを解除または取立てを行う場合など、自治体などによって異なる差押え方法に対応できず、差押え業務を好適に支援するという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、差押え業務を好適に支援することが可能な差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る差押え支援装置は、
債権差押通知書の内容を含む差押えデータを、行政機関端末から受信する差押えデータ受信手段と、
前記差押えデータ受信手段で受信した前記差押えデータにより特定される口座について、差押えを行うものの強制的に債権額を回収する取立てを行わない取立保留を行うことを金融機関へ指示する指示手段と、
を備える。
【0007】
前記指示手段は、前記差押えを行うと同時に前記取立てを行う即時取立と、前記取立保留と、のいずれかを行うことを、前記金融機関へ指示する、
ようにしてもよい。
【0008】
前記差押えデータには、前記即時取立と前記取立保留のいずれを行うのかを識別する差押え種別情報が含まれ、
前記指示手段は、金融機関端末へ前記差押えデータを送信することにより、前記即時取立と前記取立保留のいずれを行うのかを前記金融機関へ指示する、
ようにしてもよい。
【0009】
前記で受信した前記差押えデータを記憶する差押えデータ記憶手段と、
前記行政機関端末からの検索依頼に基づいて、前記差押えデータ記憶手段で記憶した前記差押えデータから、前記検索依頼に対応する前記差押えデータを特定する差押えデータ特定手段と、
前記差押えデータ特定手段で特定した前記差押えデータにより特定される口座について、前記差押えの解除または前記取立てを行うことを示す解除取立て指示情報を受信する解除取立て指示情報受信手段と、をさらに備え、
前記解除取立て指示情報受信手段で受信した前記解除取立て指示情報を前記金融機関端末へ送信することで、前記解除取立て指示情報により示される前記差押えの解除または前記取立てを行うことを前記金融機関へ指示する、
ようにしてもよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る差押え支援方法は、
差押え支援装置による差押え支援方法であって、
債権差押通知書の内容を含む差押えデータを、行政機関端末から受信する差押えデータ受信ステップと、
前記差押えデータ受信ステップで受信した前記差押えデータにより特定される口座について、差押えを行うものの強制的に債権額を回収する取立てを行わない取立保留を行うことを金融機関へ指示する指示ステップと、
を備える。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
債権差押通知書の内容を含む差押えデータを、行政機関端末から受信する差押えデータ受信手段、
前記差押えデータ受信手段で受信した前記差押えデータにより特定される口座について、差押えを行うものの強制的に債権額を回収する取立てを行わない取立保留を行うことを金融機関へ指示する指示手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、差押え業務を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】差押え支援システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】差押え支援装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】差押え支援システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】差押え支援システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
本発明を実施するための形態に係る差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同一符号を付す。以下では、本発明における差押え支援装置を、
図1に示す差押え支援システム1に適用した例を用いて説明する。
【0015】
差押え支援システム1は、
図1に示すように、行政端末200、金融機関端末300、差押え支援装置100により構成され、それぞれがネットワーク210を介して通信可能に接続されている。なお、図示する例では、行政端末200および金融機関端末300が単数である例を示しているが、複数存在する。
【0016】
行政端末200は、例えば、裁判所、税務署、地方公共団体、日本年金機構など、債務者に対し差押えの業務を行う行政機関(執行機関)におけるスマートフォン、タブレットやPC(Personal Computer)などの情報端末(所謂コンピュータ)であり、ネットワーク210を介して差押え支援装置100と各種データを送受信可能である。
【0017】
金融機関端末300は、銀行、保険会社、証券会社など、行政機関からの指示に基づいて債務者の口座の差押えを行う金融機関におけるスマートフォン、タブレットやPC(Personal Computer)などの情報端末(所謂コンピュータ)であり、ネットワーク210を介して差押え支援装置100と各種データを送受信可能である。
【0018】
差押え支援装置100は、サーバなどのコンピュータであり、ネットワーク210を介し行政端末200および金融機関端末300と各種データを送受信可能である。差押え支援装置100は、行政端末200に対し差押えを金融機関に依頼する業務の支援や、差押えを行う情報を金融機関に提供する機能を有している。この実施の形態における差押え支援装置100は、債務者の金融機関への預金債権を行使できないようにする差押えと、当該差押えを行った口座から強制的に債権額を回収する取立てと、のうち、差し押えを行うと同時に取立ても行う即時取立と、差押えのみを行う取立保留と、の2種類の差押え業務の支援が可能である。また、差押え支援装置100は、取立保留を行った後に、当該差押えを行った口座からの取立てを指示する機能や、当該差押えの解除を指示する機能を有している。
【0019】
次に、
図2を参照し、差押え支援装置100の構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、差押え支援装置100は、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。
【0021】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備える。ROMは制御部120のCPU(Central Processing Unit)が実行するプログラム111と、プログラム111を実行する上で予め必要な各種データ(図示省略)と、債権差押え情報112を記憶する。
【0022】
プログラム111は、後述する差押え支援システムの処理を実行するプログラムであり、予め記憶部110に記憶されている。
【0023】
債権差押え情報112は、差押えデータを特定するための情報の一覧(
図3参照)であり、差押えデータを受信する度に記憶部110に記憶される。
【0024】
図3に示すように、債権差押え情報112には、差押えを行う対象の債権を特定可能な、予め割り当てられている債権差押え通知番号と、氏名や住所など債務者を特定可能な情報と、銀行名、支店名、および口座番号など差押えを行う預金口座を特定可能な差押え口座情報と、債務金額を特定可能な金額の情報と、即時取立を行うのか取立保留を行うのかを特定する差押え種別の情報と、その他必要な情報と、を含む差押えデータが複数含まれている。その他必要な情報としては、例えば、執行機関である行政機関を特定する情報や、税金を滞納していることにより当該債権が生じている場合、滞納している税金の種類を特定する情報などが含まれる。なお、差押え種別の情報は、差押え種別情報に対応する。
【0025】
制御部120は、CPUやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成される。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111に従って動作し、当該プログラム111に従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111により提供される主要な機能部として、差押えデータ送受信部121と、差押えデータ登録部122と、結果送受信部123と、取立て保留処理部124と、を備える。
【0026】
差押えデータ送受信部121は、行政端末200にて生成された差押えデータを、通信部140を介して受信する処理や、金融機関端末300からの要求に応じて、受信した差押えデータを、通信部140を介して金融機関端末300へ送信する処理を行う機能部である。差押えデータ送受信部121により金融機関端末300へ差押えデータが送信されることで、当該差押えデータに含まれる差押え種別の内容に応じて、即時取立または取立保留といった処理が行われることとなる。また、差押えデータ送受信部121は、後述する解除または取立て指示情報を受信する機能も有している。
【0027】
差押えデータ登録部122は、行政端末200から受信した差押えデータを、債権差押え情報112に登録する機能部である。具体的に、差押えデータ登録部122は、行政端末200から差押えデータを受信する度に、記憶部110に記憶されている債権差押え情報112に、受信した差押えデータを追加する。
【0028】
結果送受信部123は、金融機関端末300において行った即時取立や取立保留の処理の結果を、通信部140を介して受信する処理や、当該結果を、通信部140を介して行政端末200へ送信する処理を行う機能部である。
【0029】
取立て保留処理部124は、金融機関端末300において取立保留が行われている差押えデータについて、保留している取立てを実行する取立て処理の実行指示または、差押え状態を解除する解除処理の実行指示を、行政端末200から受信する機能や、当該取立て処理の実行指示または解除処理の実行指示を金融機関端末300へ送信する機能を有する機能部である。また、取立て保留処理部124は、取立て処理の実行指示または解除処理の実行指示を行う対象となる差押えデータを、債権差押え情報112から検索する機能を有する。
【0030】
入出力部130は、キーボード、マウス、カメラ、マイク、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等から構成され、各種データの入出力を行うための装置である。
【0031】
通信部140は、差押え支援装置100が、ネットワーク210を介して、行政端末200および金融機関端末300などといった他の情報端末と通信を行うためのデバイスである。以上が、差押え支援装置100の構成である。
【0032】
続いて差押え支援システム1の動作について、
図4および5を参照して説明する。具体的に、
図4は、即時取立または取立保留の処理を行うまでにおける差押え支援システム1の処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、取立保留の処理を行った後における差押え支援システム1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、ユーザによる行政端末200に対する操作により、行政端末の処理1が開始される。具体的には、行政端末200に対し、差押えデータを作成するために必要な操作が行われることにより、行政端末の処理が開始される。
【0034】
行政端末の処理1を開始すると、行政端末200は、差押えデータを作成するための差押えデータ作成画面の表示を差押え支援装置100に要求するため、リクエスト情報を送信することで、差押えデータ作成要求を行う(ステップS11)。具体的に、ステップS11の処理において、行政端末200は、例えば差押えデータを作成するためのアプリケーションを起動するための操作により、リクエスト情報を差押え支援装置100に対して送信する。
【0035】
差押え支援装置100の側では、リクエスト情報を受信すると、差押え支援装置の処理1が開始される。差押え支援装置の処理1を開始すると、差押え支援装置100の制御部120は、差押えデータ作成画面を送信することで、行政端末200へ当該差押えデータ作成画面を提供する(ステップS12)。
【0036】
続いて行政端末200の側において、差押えデータ作成画面を受信すると、当該差押えデータ作成画面が当該行政端末200に表示されることとなるため、当該債権差押え通知番号と、氏名や住所など債務者を特定可能な情報と、銀行名、支店名、および口座番号など差押えを行う預金口座を特定可能な差押え口座情報と、債務金額を特定可能な金額の情報と、即時取立を行うのか取立保留を行うのかを特定する差押え種別の情報と、その他必要な情報と、を入力し、差押えデータを作成する(ステップS13)。
【0037】
ステップS13の処理を実行した後、行政端末200は、作成した差押えデータを差押え支援装置100へ送信する(ステップS14)。送信された差押えデータは、差押え支援装置100における制御部120の差押えデータ送受信部121の機能により受信されることとなる。すなわち、差押えデータ送受信部121は、差押えデータ受信手段に対応し、当該差押えデータを受信するステップは、差押えデータ受信ステップに対応する。なお、ステップS14の処理において差押えデータが差押え支援装置100へ送信される際には、当該差押えデータに対応した、債権者が強制的に債務を回収することを通知する債権差押通知書が、当該行政機関から差押え対象の銀行口座の金融機関に、差押えデータを取得するために必要なパスワードとともに郵送される。詳しくは後述するが、金融機関の側では、債権差押通知書に同封されたパスワードを、金融機関端末300を介して入力することで、差押え支援装置100から対象となる差押えデータを取得することが可能となる。また、パスワードについては、差押えデータに対応付けられて差押え支援装置100に送信されればよい。
【0038】
差押え支援装置100の側では、差押えデータを受信すると、制御部120は、受信した差押えデータを、債権差押え情報112に登録する(ステップS15)。具体的に、ステップS15の処理において制御部120は、差押えデータ登録部122の機能により、記憶部110に記憶されている債権差押え情報112に受信した差押えデータを追加することで、受信した差押えデータを債権差押え情報112として記憶する。また、ステップS15の処理において、制御部120は、差押えデータ登録部122の機能により、差押えデータに対応付けられているパスワードの情報についても、記憶部110へ記憶する。パスワードは、債権差押え情報112として記憶してもよいし、例えば債権差押え通知番号に対応づけられて、債権差押え情報112とは別に記憶部110へ記憶してもよい。なお、ステップS15の処理を実行する制御部120は、差押えデータ記憶手段に対応する。
【0039】
一方、金融機関では、行政機関から郵送された債権差押通知書を受領すると、同封されたパスワードを取得する。そして、金融機関端末300において、ユーザによる操作により、金融機関端末の処理1を開始する。具体的には金融機関端末300に対し、差押えデータをダウンロードするために必要な操作が行われることにより、金融機関端末の処理が開始される。
【0040】
金融機関端末の処理1を開始すると、まず、金融機関端末300の側では、ユーザによる入力操作により、取得したパスワードを入力し、差押え支援装置100に対し差押えデータリクエスト情報を送信することで、差押えデータの取得依頼を行う(ステップS16)。なお、当該差押えデータリクエスト情報には、入力されたパスワードと、例えば債権差押え通知番号などといった取得対象の差押えデータを特定するための情報とが含まれる。
【0041】
差押え支援装置100の側において、差押えデータリクエスト情報を受信すると、制御部120は、差押えデータ送受信部121の機能により、取得対象の差押えデータに対応するパスワードが一致するか否かの認証を行い、認証に成功した場合に、取得対象の差押えデータを金融機関端末300の側へ送信する(ステップS17)。具体的に、ステップS17の処理において、差押えデータ送受信部121は、差押えデータリクエスト情報に含まれる、取得対象の差押えデータを特定するための情報に基づいて差押えデータを特定するとともに、対応するパスワードを特定する。そして、差押えデータ送受信部121は、受信した差押えデータリクエスト情報に含まれるパスワードを用いて認証を行う。認証に成功した場合、差押えデータ送受信部121は、当該特定した差押えデータを、金融機関端末300へ送信する。すなわち、差押えデータ送受信部121は、ステップS17の処理にて差押えデータを金融機関端末300の側へ送信することにより、差押えデータにより示される口座について、即時取立を行うのか取立保留を行うのかを当該金融機関に指示している。したがって、ステップS17の処理を実行する差押えデータ送受信部121およびステップS17は、それぞれ指示手段および指示ステップに対応する。
【0042】
差押え支援装置100から差押えデータを受信した金融機関端末300の側では、受信した差押えデータに含まれる差押え口座情報により特定される預金口座を差押える処理を実行する(ステップS18)。
【0043】
ステップS18の処理を実行した後、金融機関端末300は、受信した差押えデータに含まれる差押え種別の情報を確認し、即時取立であるか否か、すなわち即時取立を行うのか取立保留を行うのかを判定する(ステップS19)。即時取立を行うと判定した場合(ステップS19;Yes)、金融機関端末300は、差押えデータに含まれる差押え口座情報により特定される預金口座から、差押えデータに含まれる金額の情報により特定される金額の取立てを行う(ステップS20)。なお、取立て後の金額の入金先についても、差押えデータにより特定されればよい。また、ステップS20の処理を行った後は、当該預金口座の差押えを解除してもよいし、行政端末200からの指示を受信するまで差押えの状態を継続してもよい。
【0044】
ステップS20の処理を実行した後、またはステップS19の処理にて即時取立ではなく取立て保留を行うと判定した場合(ステップS19;No)、金融機関端末300は、処理結果を差押え支援装置100へ送信し(ステップS21)、金融機関端末の処理1を終了する。具体的に、ステップS21の処理では、処理結果として、少なくとも差押えデータを特定するための情報と、即時取立と取立て保留のいずれを実行したのかという情報と、その実行結果が送信されればよい。
【0045】
ステップS21の処理が実行されると、差押え支援装置100の側では、制御部120の結果送受信部123の機能により、金融機関端末300から送信された処理結果を受信する(ステップS22)。そして、結果送受信部123の機能により、受信した処理結果を、行政端末200へ送信し(ステップS23)、差押え支援装置の処理1を終了する。
【0046】
行政端末200の側では、差押え支援装置100から送信された処理結果を受信し(ステップS24)、行政端末の処理1を終了する。
【0047】
これにより、差押えデータを用いて即時取立または取立保留といった複数種類の差押えが実行可能となる。なお、取立保留を行った場合には、上述したように差押えのみを行った状態となる。この場合、行政機関は債務者と交渉を一定期間行い、その後、取立てを行うのか、差押えを解除するのかを行政機関側で決定する。そのため、取立保留を行った後、行政機関側で取立てを行うのか差押えを解除するのかを決定した場合における差押え支援システム1の処理について、
図5を参照して説明する。
【0048】
まず、ユーザによる行政端末200に対する操作により、行政端末の処理2が開始される。具体的には、行政端末200に対し、取立てを行うのか差押えを解除するのかを指示するために必要な操作が行われることにより、行政端末の処理2が開始される。
【0049】
行政端末の処理2を開始すると、行政端末200は、差押えデータの検索を差押え支援装置100に要求するため、検索リクエスト情報を送信することで、差押え支援装置100に対し、差押えデータの検索を依頼する(ステップS31)。具体的に、ステップS31の処理において、行政端末200は、例えば検索対象の差押えデータを特定するための債権差押え通知番号を入力し、これを検索リクエスト情報として差押え支援装置100に対し送信する。
【0050】
差押え支援装置100の側では、検索リクエスト情報を受信すると、差押え支援装置の処理2が開始される。差押え支援装置の処理2を開始すると、差押え支援装置100における制御部120の取立て保留処理部124は、債権差押え情報112から、当該検索リクエスト情報により特定される債権差押え通知番号に対応する差押えデータを特定する(ステップS32)。なお、検索リクエスト情報は検索依頼に対応し、ステップS32の処理を実行する取立て保留処理部124は、差押えデータ特定手段に対応する。
【0051】
ステップS32の処理を実行した後、制御部120は、差押えデータ送受信部121の機能により、ステップS32の処理で特定した差押えデータを、行政端末200へ送信する(ステップS33)。
【0052】
行政端末200の側では、差押え支援装置100から差押えデータを受信すると、ユーザによる入力操作により、当該差押えデータにより示される口座の差押えの解除または取立てを選択し、解除または取立て指示情報として差押え支援装置100へ送信する(ステップS34)。解除または取立て指示情報には、差押えデータと、解除または取立てのいずれを行うのかの情報と、が含まれる。なお、解除または取立て指示情報は、解除取立て指示情報に対応する。送信された解除または取立て指示情報は、差押え支援装置100における制御部120の差押えデータ送受信部121の機能により受信されることとなる。すなわち、差押えデータ送受信部121は、解除取立て指示情報受信手段に対応する。
【0053】
解除または取立て指示情報を受信した差押え支援装置100は、制御部120の取立て保留処理部124の機能により、受信した解除または取立て指示情報を、金融機関端末300へ送信する(ステップS35)。
【0054】
金融機関端末300の側では、解除または取立て指示情報を受信すると、金融機関端末の処理2が開始される。金融機関端末の処理2を開始すると、金融機関端末の処理2は、受信した解除または取立て指示情報により特定される内容が取立てであるか否かを判定する(ステップS36)。取立てであると判定した場合(ステップS36;Yes)、金融機関端末300は、解除または取立て指示情報に含まれる差押えデータにより特定される預金口座から、差押えデータに含まれる金額の情報により特定される金額の取立てを行う(ステップS37)。一方、取立てでないと判定した場合(ステップS36;No)、すなわち差押えの解除であると判定した場合、金融機関端末300は、解除または取立て指示情報に含まれる差押えデータにより特定される預金口座の差押えを解除する(ステップS38)。なお、ステップS37の処理を行った後は、当該預金口座の差押えを解除してもよいし、行政端末200からの指示を受信するまで差押えの状態を継続してもよい。
【0055】
ステップS37またはステップS38の処理を実行した後、金融機関端末300は、処理結果を差押え支援装置100へ送信し(ステップS39)、金融機関端末の処理2を終了する。具体的に、ステップS39の処理では、処理結果として、少なくとも差押えデータを特定するための情報と、取立てと差押えの解除のいずれを実行したのかという情報と、その実行結果が送信されればよい。
【0056】
ステップS39の処理が実行されると、差押え支援装置100の側では、制御部120の結果送受信部123の機能により、金融機関端末300から送信された処理結果を受信する(ステップS40)。そして、結果送受信部123の機能により、受信した処理結果を、行政端末200へ送信し(ステップS41)、差押え支援装置の処理2を終了する。なお、例えば、差押えの解除が行われた場合には、ステップS40の処理にて処理結果を受信した後に、債権差押え情報112から当該処理結果に対応する差押えデータを削除してもよい。
【0057】
行政端末200の側では、差押え支援装置100から送信された処理結果を受信し(ステップS42)、行政端末の処理2を終了する。
【0058】
これにより、取立保留といった差押えが実行された場合に、その後の債務者と交渉次第で取立てと差押えの解除といった柔軟な対応が可能となる。
【0059】
以上が差押え支援システム1の動作である。このように、この実施の形態における差押え支援システム1によれば、差押えデータを用いた即時取立や取立保留といった複数種類の差押えが実行可能となる。また、取立保留を行った後に、行政機関側で取立てを行うのか差押えを解除するのかを決定した場合にも、柔軟に対応することができる。したがって、差押え業務を好適に支援することができる。
【0060】
(変形例)
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態に係る差押え支援装置100は、上記で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0061】
上記実施の形態では、行政端末200におけるユーザの入力操作により差押えデータを作成する例を示したが、これは一例である。例えば、ユーザの入力操作ではなく、予め作成されたcsvファイルなどを読み込むことにより差押えデータを作成してもよい。また、差押えデータを作成する主体は、行政端末200でなくてもよく、例えば行政端末200に記憶されているcsvファイルを差押え支援装置100が読み込むことにより、差押え支援装置100が差押えデータを作成してもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、差押えデータを取得するために必要なパスワードが行政機関から差押え対象の銀行口座の金融機関に、債権差押通知書とともに郵送される例を示したが、これは一例である。差押えデータを取得するために必要なパスワードは、郵送ではなく、行政機関から差押え対象の銀行口座の金融機関に対し、暗号化されたうえで送信されてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、行政端末200から受信した差押えデータを金融機関端末300へ送信し、当該差押えデータに含まれる差押え種別に対応した処理を金融機関に指示する例を示したが、これは一例である。例えば、即時取立を行うのか取立保留を行うのかといった差押え種別の情報については、差押えデータとは別に送信されてもよい。この場合、即時取立を行うのか取立保留を行うのかといった差押え種別の情報は、例えば債権差押え通知番号など、いずれの差押えデータに対応する差押え種別であるかが特定可能な情報と対応づけられていればよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、
図5に示すステップS31の処理にて差押えデータの検索を依頼し、ステップS32の処理にて差押え支援装置100の側で、債権差押え情報112から、当該検索リクエスト情報により特定される債権差押え通知番号に対応する差押えデータを特定する例を示したが、これは一例である。この他にも、例えば行政端末200の側において、取立保留を行っている差押えデータに対応する情報と、解除または取立て指示情報と、を含む指示データを作成し、当該指示データを差押え支援装置100に送信してもよい。そして、差押え支援装置100の側では、受信した指示データをそのまま金融機関端末300へ転送すればよい。すなわち、差押え支援装置100における検索を行わず、解除または取立ての対象となる差押えデータの情報と、解除または取立てのいずれを行うのかを特定する情報と、を行政端末200から直接送信するようにしてもよい。なお、このように差押え支援装置100における検索を行わない場合、
図4のステップS15の処理を行う必要はない。すなわち、差押えデータを債権差押え情報112として記憶しなくてよい。
【0065】
なお、上記実施の形態に係る差押え支援装置100は、専用の装置によらず、通常のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述のいずれかを実行するためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する差押え支援装置100を構成してもよい。また、複数のコンピュータが協働して動作することによって、1つの差押え支援装置100を構成してもよい。
【0066】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0067】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 差押え支援システム、100 差押え支援装置、110 記憶部、111 プログラム、112 債権差押え情報、120 制御部、121 差押えデータ送受信部、122 差押えデータ登録部、123 結果送受信部、124 取立て保留処理部、130 入出力部、140 通信部、210 ネットワーク、200 行政端末、300 金融機関端末