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特開2024-131623商品生産計画生成装置、炭素化合物製造設備の運転制御システム、コンピュータプログラム、商品生産計画生成方法及び炭素化合物製造設備の運転制御方法
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  • 特開-商品生産計画生成装置、炭素化合物製造設備の運転制御システム、コンピュータプログラム、商品生産計画生成方法及び炭素化合物製造設備の運転制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131623
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】商品生産計画生成装置、炭素化合物製造設備の運転制御システム、コンピュータプログラム、商品生産計画生成方法及び炭素化合物製造設備の運転制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042002
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】人見 周二
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる商品生産計画生成装置、炭素化合物製造設備の運転制御システム、コンピュータプログラム、商品生産計画生成方法及び炭素化合物製造設備の運転制御方法を提供する。
【解決手段】商品生産計画生成装置は、二酸化炭素の取引価格を取得する取得部と、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する生成部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素の取引価格を取得する取得部と、
取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する生成部と
を備える、
商品生産計画生成装置。
【請求項2】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を特定する特定部と、
特定した二酸化炭素の回収量及び前記取引価格に基づいて二酸化炭素の取引売上を算出する売上算出部と
を備え、
前記生成部は、
前記売上算出部で算出した二酸化炭素の取引売上に応じて商品の生産計画を生成する、
請求項1に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項3】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する回収費用を算出する回収費用算出部と、
前記売上算出部で算出した二酸化炭素の取引売上及び前記回収費用に基づいて二酸化炭素の取引利益を算出する利益算出部と
を備え、
前記生成部は、
前記利益算出部で算出した二酸化炭素の取引利益に応じて商品の生産計画を生成する、
請求項2に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項4】
前記生成部は、
種類が異なる複数の商品の生産に伴って排出される排ガス中に含まれる二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、前記複数の商品それぞれの生産計画を生成する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項5】
現在及び過去の少なくとも一方における二酸化炭素の取引価格に基づいて将来の二酸化炭素の取引価格を予測する予測モデルを備え、
前記取得部は、
前記予測モデルが予測した将来の二酸化炭素の取引価格を取得する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項6】
二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の取引価格を取得する取得部と、
取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する生成部と
を備える、
商品生産計画生成装置。
【請求項7】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を特定する特定部と、
前記回収量と、前記炭素化合物の合成量との関係を示す関係情報を取得する情報取得部と、
特定した二酸化炭素の回収量、前記関係情報及び前記取引価格に基づいて前記炭素化合物の取引売上を算出する売上算出部と
を備え、
前記生成部は、
前記売上算出部で算出した前記炭素化合物の取引売上に応じて商品の生産計画を生成する、
請求項6に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項8】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素のうち回収される二酸化炭素を用いて合成される前記炭素化合物の合成費用を算出する合成費用算出部と、
前記売上算出部で算出した前記炭素化合物の取引売上及び前記合成費用に基づいて前記炭素化合物の取引利益を算出する利益算出部と
を備え、
前記生成部は、
前記利益算出部で算出した前記炭素化合物の取引利益に応じて商品の生産計画を生成する、
請求項7に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項9】
前記生成部は、
種類が異なる複数の商品の生産に伴って排出される排ガス中に含まれる二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、前記複数の商品それぞれの生産計画を生成する、
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項10】
現在及び過去の少なくとも一方における前記炭素化合物の取引価格に基づいて将来の前記炭素化合物の取引価格を予測する予測モデルを備え、
前記取得部は、
前記予測モデルが予測した将来の前記炭素化合物の取引価格を取得する、
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項11】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、前記炭素化合物の合成量との関係を示す関係情報を取得する情報取得部と、
前記回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上と、前記合成量及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成売上とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定する決定部と
を備える、
請求項6に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項12】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、前記炭素化合物の合成量との関係を示す関係情報を取得する情報取得部と、
前記回収量、二酸化炭素の回収費用及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収利益と、前記合成量、前記炭素化合物の合成費用及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成利益とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定する決定部と
を備える、
請求項6に記載の商品生産計画生成装置。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の商品生産計画生成装置と、
前記排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収ユニット及び前記炭素化合物を合成する炭素化合物合成ユニットを有する炭素化合物製造設備の運転を制御する運転制御装置と
を備え、
前記運転制御装置は、
前記商品生産計画生成装置が二酸化炭素の回収を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む前記二酸化炭素回収ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する、
炭素化合物製造設備の運転制御システム。
【請求項14】
請求項11又は請求項12に記載の商品生産計画生成装置と、
前記排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収ユニット及び前記炭素化合物を合成する炭素化合物合成ユニットを有する炭素化合物製造設備の運転を制御する運転制御装置と
を備え、
前記運転制御装置は、
前記商品生産計画生成装置が前記炭素化合物の合成を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む前記炭素化合物合成ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を用いて前記炭素化合物を合成する、
炭素化合物製造設備の運転制御システム。
【請求項15】
二酸化炭素の取引価格を取得し、
取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する、
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項16】
二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の取引価格を取得し、
取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する、
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項17】
二酸化炭素の取引価格を取得し、
取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する、
商品生産計画生成方法。
【請求項18】
二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の取引価格を取得し、
取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する、
商品生産計画生成方法。
【請求項19】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の合成量との関係を示す情報を取得し、
前記回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上と、前記合成量及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成売上とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定し、
二酸化炭素の回収を行うと決定した場合、炭素化合物製造設備内の電気化学的な工程を含む二酸化炭素回収ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する、
炭素化合物製造設備の運転制御方法。
【請求項20】
商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の合成量との関係を示す情報を取得し、
前記回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上と、前記合成量及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成売上とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定し、
前記炭素化合物の合成を行うと決定した場合、炭素化合物製造設備内の電気化学的な工程を含む炭素化合物合成ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を用いて前記炭素化合物を合成する、
炭素化合物製造設備の運転制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品生産計画生成装置、炭素化合物製造設備の運転制御システム、コンピュータプログラム、商品生産計画生成方法及び炭素化合物製造設備の運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスの中でも二酸化炭素が地球温暖化への影響度が最も大きい。国内外では、温室効果ガスの排出量の削減に向けて様々な取り組みがなされている。また、温室効果ガスの排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて温室効果ガスを排出した国や企業との間で取引する排出権取引も行われている。
【0003】
特許文献1には、二酸化炭素を回収する装置を備える発電システムにおいて、二酸化炭素の排出権の取引市場から得られる取引価格情報を利用して、二酸化炭素の回収に係わる発電事業者のコストを低減できる発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-169282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の排出権という考え方では、二酸化炭素の排出量の削減目標を定めて、目標を上回って削減できた分を、市場を通じて売買することはできるものの、排出された二酸化炭素を有効利用することは考慮されていない。一方で、製造業などの産業部門での二酸化炭素排出量は全部門の排出量の中で大きな割合を占めているため、特に製造業等の生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することが望まれる。
【0006】
本発明の一態様は、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる商品生産計画生成装置、炭素化合物製造設備の運転制御システム、コンピュータプログラム、商品生産計画生成方法及び炭素化合物製造設備の運転制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る商品生産計画生成装置は、二酸化炭素の取引価格を取得する取得部と、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する生成部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様の商品生産計画生成装置によれば、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】炭素化合物製造設備の運転制御システムの構成の一例を示す図である。
図2】商品生産計画生成装置の構成の一例を示す図である。
図3】予測モデルによる予測処理の一例を示す図である。
図4】商品の生産量と二酸化炭素の排出量との関係の一例を示す図である。
図5】二酸化炭素の排出量と回収量との関係の一例を示す図である。
図6】二酸化炭素の取引価格の推移の一例を示す図である。
図7】商品の生産量と二酸化炭素の取引売上との関係の一例を示す図である。
図8】二酸化炭素の排出量と回収費用との関係の一例を示す図である。
図9】商品の生産量と二酸化炭素の取引利益との関係の一例を示す図である。
図10】有価物の取引価格の推移の一例を示す図である。
図11】有価物の合成量と合成に必要な二酸化炭素量との関係の一例を示す図である。
図12】商品の生産量と有価物の取引売上との関係の一例を示す図である。
図13】二酸化炭素の排出量と有価物の合成費用との関係の一例を示す図である。
図14】商品の生産量と有価物の取引利益との関係の一例を示す図である。
図15】商品の生産計画の一例を示す図である。
図16】回収ユニットが備える電解セルの第1例を示す図である。
図17】回収ユニットが備える電解セルの第2例を示す図である。
図18】合成ユニットが備える電解セルの第1例を示す図である。
図19】合成ユニットが備える電解セルの第2例を示す図である。
図20】商品生産計画生成装置による二酸化炭素の取引価格に連動する商品生産計画の生成方法の一例を示す図である。
図21】商品生産計画生成装置による有価物の取引価格に連動する商品生産計画の生成方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)本発明の一実施形態にかかる商品生産計画生成装置は、二酸化炭素の取引価格を取得する取得部と、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する生成部とを備える。
【0011】
(15)本発明の一実施形態にかかるコンピュータプログラムは、二酸化炭素の取引価格を取得し、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する、処理をコンピュータに実行させる。
【0012】
(17)本発明の一実施形態にかかる商品生産計画生成方法は、二酸化炭素の取引価格を取得し、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する。
【0013】
本発明の一実施形態にかかる商品生産計画生成装置、コンピュータプログラム及び商品生産計画生成方法によれば、二酸化炭素の取引価格に基づいて、生産設備によって生産される商品の生産計画を生成するので、例えば、二酸化炭素の取引価格が高い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が増加するように商品の生産量を増やすことで、排出された二酸化炭素の取引量を多くする。また、二酸化炭素の取引価格が安い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が減少するように商品の生産量を減らして、排出された二酸化炭素の取引量を少なくする。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0014】
(2)上記(1)に記載の商品生産計画生成装置は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を特定する特定部と、特定した二酸化炭素の回収量及び前記取引価格に基づいて二酸化炭素の取引売上を算出する売上算出部とを備え、前記生成部は、前記売上算出部で算出した二酸化炭素の取引売上に応じて商品の生産計画を生成してもよい。
【0015】
上記(2)の商品生産計画生成装置によれば、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づいて二酸化炭素の取引売上を算出する。例えば、二酸化炭素の回収量に取引価格を乗算すれば二酸化炭素の取引売上を算出できる。算出した二酸化炭素の取引売上に応じて商品の生産計画を生成する。例えば、二酸化炭素の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて取引売上が増加するので、商品の生産量を増やす。また、二酸化炭素の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても取引売上が増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、二酸化炭素の回収量の多少がある場合には、回収量の多い商品を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0016】
(3)上記(2)に記載の商品生産計画生成装置は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する回収費用を算出する回収費用算出部と、前記売上算出部で算出した二酸化炭素の取引売上及び前記回収費用に基づいて二酸化炭素の取引利益を算出する利益算出部とを備え、前記生成部は、前記利益算出部で算出した二酸化炭素の取引利益に応じて商品の生産計画を生成してもよい。
【0017】
上記(3)の商品生産計画生成装置によれば、二酸化炭素の取引売上及び商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する回収費用に基づいて二酸化炭素の取引利益を算出する。例えば、二酸化炭素の取引売上から回収費用を減算すれば二酸化炭素の取引利益を算出できる。算出した二酸化炭素の取引利益に応じて商品の生産計画を生成する。例えば、二酸化炭素の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて取引売上が増加し取引利益も増加するので、商品の生産量を増やす。また、二酸化炭素の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても取引売上が増加せず取引利益も増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、二酸化炭素の回収費用に相違がある場合には、回収費用の安い商品を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の商品生産計画生成装置において、前記生成部は、種類が異なる複数の商品の生産に伴って排出される排ガス中に含まれる二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、前記複数の商品それぞれの生産計画を生成してもよい。
【0019】
上記(4)の商品生産計画生成装置によれば、二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、複数の商品それぞれの生産計画を生成してもよい。例えば、二酸化炭素の排出量が多い場合には、排出量に比例して二酸化炭素の回収量も増える傾向となる。二酸化炭素の取引価格に商品毎の二酸化炭素の回収量を乗算すれば二酸化炭素の取引売上を商品毎に求めることができる。これにより、種類が異なる複数の商品の中から二酸化炭素の取引売上が多い商品を優先的に生産することができる。
【0020】
(5)上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の商品生産計画生成装置は、現在及び過去の少なくとも一方における二酸化炭素の取引価格に基づいて将来の二酸化炭素の取引価格を予測する予測モデルを備え、前記取得部は、前記予測モデルが予測した将来の二酸化炭素の取引価格を取得してもよい。
【0021】
上記(5)の商品生産計画生成装置によれば、取得する二酸化炭素の取引価格は、現在又は過去の取引価格でもよく、予測モデルが予測した将来の二酸化炭素の取引価格でもよい。これにより、過去又は現在だけでなく、将来の二酸化炭素の取引価格に基づいて商品の生産計画を生成することができる。
【0022】
(6)本発明の一実施形態にかかる商品生産計画生成装置は、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の取引価格を取得する取得部と、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する生成部とを備える。
【0023】
(16)本発明の一実施形態にかかるコンピュータプログラムは、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の取引価格を取得し、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する、処理をコンピュータに実行させる。
【0024】
(18)本発明の一実施形態にかかる商品生産計画生成方法は、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の取引価格を取得し、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備によって生産される商品の生産計画を生成する。
【0025】
本発明の一実施形態にかかる商品生産計画生成装置、コンピュータプログラム及び商品生産計画生成方法によれば、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物(有価物)の取引価格に基づいて、生産設備によって生産される商品の生産計画を生成するので、例えば、炭素化合物の取引価格が高い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が増加するように商品の生産量を増やすことで、排出された二酸化炭素を原料とする炭素化合物の取引量を多くする。また、炭素化合物の取引価格が安い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が減少するように商品の生産量を増やすことで、排出された二酸化炭素を原料とする炭素化合物の取引量を少なくする。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0026】
(7)上記(6)に記載の商品生産計画生成装置は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を特定する特定部と、前記回収量と、前記炭素化合物の合成量との関係を示す関係情報を取得する情報取得部と、特定した二酸化炭素の回収量、前記関係情報及び前記取引価格に基づいて前記炭素化合物の取引売上を算出する売上算出部とを備え、前記生成部は、前記売上算出部で算出した前記炭素化合物の取引売上に応じて商品の生産計画を生成してもよい。
【0027】
上記(7)の商品生産計画生成装置によれば、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量、二酸化炭素の回収量と炭素化合物の合成量との関係を示す関係情報及び炭素化合物の取引価格に基づいて炭素化合物の取引売上を算出する。例えば、炭素化合物の合成量に取引価格を乗算すれば炭素化合物の取引売上を算出できる。算出した炭素化合物の取引売上に応じて商品の生産計画を生成する。例えば、炭素化合物の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて炭素化合物の合成量が増加して炭素化合物の取引売上が増加するので、商品の生産量を増やす。また、炭素化合物の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても炭素化合物の取引売上が増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、二酸化炭素の回収量の多少がある場合には、回収量の多い商品を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0028】
(8)上記(7)に記載の商品生産計画生成装置は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素のうち回収される二酸化炭素を用いて合成される前記炭素化合物の合成費用を算出する合成費用算出部と、前記売上算出部で算出した前記炭素化合物の取引売上及び前記合成費用に基づいて前記炭素化合物の取引利益を算出する利益算出部とを備え、前記生成部は、前記利益算出部で算出した前記炭素化合物の取引利益に応じて商品の生産計画を生成してもよい。
【0029】
上記(8)の商品生産計画生成装置によれば、炭素化合物の取引売上及び炭素化合物の合成費用に基づいて炭素化合物の取引利益を算出する。例えば、炭素化合物の取引売上から炭素化合物の合成費用を減算すれば炭素化合物の取引利益を算出できる。算出した炭素化合物の取引利益に応じて商品の生産計画を生成する。例えば、炭素化合物の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて炭素化合物の合成量が増加して炭素化合物の取引利益が増加するので、商品の生産量を増やす。また、炭素化合物の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても炭素化合物の取引利益が増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、炭素化合物の合成費用に相違がある場合には、合成費用の安い商品を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0030】
(9)上記(6)から(8)のいずれか一つに記載の商品生産計画生成装置において、前記生成部は、種類が異なる複数の商品の生産に伴って排出される排ガス中に含まれる二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、前記複数の商品それぞれの生産計画を生成してもよい。
【0031】
上記(9)の商品生産計画生成装置によれば、二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、複数の商品それぞれの生産計画を生成してもよい。例えば、二酸化炭素の排出量が多い場合には、排出量に比例して二酸化炭素の回収量も増え、炭素化合物の合成量も増える傾向となる。炭素化合物の取引価格に商品毎の炭素化合物の合成量を乗算すれば炭素化合物の取引売上を商品毎に求めることができる。これにより、種類が異なる複数の商品の中から炭素化合物の取引売上が多い商品を優先的に生産することができる。
【0032】
(10)上記(6)から(9)のいずれか一つに記載の商品生産計画生成装置は、現在及び過去の少なくとも一方における前記炭素化合物の取引価格に基づいて将来の前記炭素化合物の取引価格を予測する予測モデルを備え、前記取得部は、前記予測モデルが予測した将来の前記炭素化合物の取引価格を取得してもよい。
【0033】
上記(10)の商品生産計画生成装置によれば、取得する炭素化合物の取引価格は、現在又は過去の取引価格でもよく、予測モデルが予測した将来の炭素化合物の取引価格でもよい。これにより、過去又は現在だけでなく、将来の炭素化合物の取引価格に基づいて商品の生産計画を生成することができる。
【0034】
(11)上記(6)から(10)のいずれか一つに記載の商品生産計画生成装置は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、前記炭素化合物の合成量との関係を示す関係情報を取得する情報取得部と、前記回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上と、前記合成量及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成売上とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定する決定部とを備えてもよい。
【0035】
上記(11)の商品生産計画生成装置によれば、例えば、二酸化炭素の回収売上が炭素化合物の合成売上より多い場合には、二酸化炭素の回収を行う。また、炭素化合物の合成売上が二酸化炭素の回収売上より多い場合には、炭素化合物の合成を行う。これにより、二酸化炭素の回収にとどめるのか、さらに回収した二酸化炭素を利用した炭素化合物を合成するのかを判定できる。
【0036】
(12)上記(6)から(11)のいずれか一つに記載の商品生産計画生成装置は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、前記炭素化合物の合成量との関係を示す関係情報を取得する情報取得部と、前記回収量、二酸化炭素の回収費用及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収利益と、前記合成量、前記炭素化合物の合成費用及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成利益とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定する決定部とを備えてもよい。
【0037】
上記(12)の商品生産計画生成装置によれば、例えば、二酸化炭素の回収利益が炭素化合物の合成利益より多い場合には、二酸化炭素の回収を行う。また、炭素化合物の合成利益が二酸化炭素の回収利益より多い場合には、炭素化合物の合成を行う。これにより、二酸化炭素の回収にとどめるのか、さらに回収した二酸化炭素を利用した炭素化合物を合成するのかを判定できる。
【0038】
(13)本発明の一実施形態にかかる炭素化合物製造設備の運転制御システムは、前述の商品生産計画生成装置と、前記排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収ユニット及び前記炭素化合物を合成する炭素化合物合成ユニットを有する炭素化合物製造設備の運転を制御する運転制御装置とを備え、前記運転制御装置は、前記商品生産計画生成装置が二酸化炭素の回収を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む前記二酸化炭素回収ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する。
【0039】
(19)本発明の一実施形態にかかる炭素化合物製造設備の運転制御方法は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の合成量との関係を示す情報を取得し、前記回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上と、前記合成量及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成売上とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定し、二酸化炭素の回収を行うと決定した場合、炭素化合物製造設備内の電気化学的な工程を含む二酸化炭素回収ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する。
【0040】
上記の運転制御システム及び炭素化合物製造設備の運転制御方法によれば、二酸化炭素の回収を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む二酸化炭素回収ユニットの運転を制御して二酸化炭素を回収できる。
【0041】
(14)本発明の一実施形態にかかる炭素化合物製造設備の運転制御システムは、前述の商品生産計画生成装置と、前記排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収ユニット及び前記炭素化合物を合成する炭素化合物合成ユニットを有する炭素化合物製造設備の運転を制御する運転制御装置とを備え、前記運転制御装置は、前記商品生産計画生成装置が前記炭素化合物の合成を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む前記炭素化合物合成ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を用いて前記炭素化合物を合成する。
【0042】
(20)本発明の一実施形態にかかる炭素化合物製造設備の運転制御方法は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量と、二酸化炭素を原料の一つとする炭素化合物の合成量との関係を示す情報を取得し、前記回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上と、前記合成量及び前記炭素化合物の取引価格に基づく前記炭素化合物の合成売上とを対比して、二酸化炭素の回収又は前記炭素化合物の合成のいずれを行うかを決定し、前記炭素化合物の合成を行うと決定した場合、炭素化合物製造設備内の電気化学的な工程を含む炭素化合物合成ユニットの運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を用いて前記炭素化合物を合成する。
【0043】
上記の運転制御システム及び炭素化合物製造設備の運転制御方法によれば、炭素化合物の合成を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む炭素化合物合成ユニットの運転を制御して炭素化合物を合成できる。
【0044】
以下、図面を参照しながら、商品生産計画生成装置、炭素化合物製造設備の運転制御システム、コンピュータプログラム、商品生産計画生成方法及び炭素化合物製造設備の運転制御方法の実施形態を説明する。
【0045】
図1は炭素化合物製造設備の運転制御システムの構成の一例を示す図である。運転制御システムは、運転制御装置20、及び商品生産計画生成装置50を備える。運転制御装置20と商品生産計画生成装置50とは、通信ネットワーク1を介して接続されている。通信ネットワーク1には、データサーバ30及び予測サーバ40が接続されている。
【0046】
炭素化合物製造設備は、回収ユニット(二酸化炭素回収ユニット)10、合成ユニット(炭素化合物合成ユニット)11、12、補助材料供給ユニット13、14、15、貯蔵タンク16、17、18、及びセンサS1~S12などを備える。
【0047】
生産設備100は、例えば、工場などの設備であり、商品(例えば、電池、電源装置、照明装置などを含む)の生産に伴って二酸化炭素を含む排ガスを排出する。生産設備100から排出された二酸化炭素を含む排ガスは、センサS1で組成、濃度、温度、流量などを計測した後、回収ユニット10に送り込まれる。回収ユニット10は、排ガス中の二酸化炭素を回収するユニットであり、送り込まれた排ガスに適した条件で二酸化炭素が濃縮され回収される。二酸化炭素の回収は、化学吸着法、物理吸着法、膜分離法および電気化学的な方法などを用いればよい。化学吸収法は、アミンや炭酸カリウム水溶液のようなアルカリ性溶液に二酸化炭素を吸収させて回収する手法である。物理吸着法は、吸着剤にゼオライト、活性炭などを用い、吸着剤に接触した燃焼排ガスから二酸化炭素のみを吸着させて回収する手法である。吸着後、脱離して吸着性能を回復する。回復には、圧力スイング式吸着(PSA)法、熱スイング式吸着(TSA)法などがある。膜分離法は、多孔質の膜に燃焼排ガスを通し、気体の透過速度の違いを利用して、二酸化炭素を分離して回収する手法である。そして電気化学的な方法は、例えば後述する電解セルを用いて、電気化学的に二酸化炭素を回収する方法であり、比較的小型化が容易であることから好ましい。補助材料供給ユニット13は、二酸化炭素の回収の際に、必要に応じて二酸化炭素の回収に必要な補助材料を回収ユニット10へ供給する。補助材料を供給する際には、センサS3で補助材料の組成、温度、供給量を計測して、回収ユニット10に適切な量の補助材料を供給する。
【0048】
回収ユニット10で回収された、二酸化炭素が濃縮されたガスは、センサS6で当該ガスの組成、各組成の濃度(組成比)、温度などを計測した後、貯蔵タンク16に貯蔵されてもよく、あるいは、回収ユニット10で回収された、二酸化炭素が濃縮されたガスは、センサS7で当該ガスの組成、各組成の濃度(組成比)、温度などを計測した後、合成ユニット11に送られてもよい。貯蔵タンク16に貯蔵されたガス(二酸化炭素が濃縮されたガス)は、センサS8で当該ガスの組成、各組成の濃度(組成比)、温度などを計測した後、合成ユニット11に送られてもよく、あるいは、タンクローリ等で需要地に運搬されてもよい。
【0049】
合成ユニット11は、有価物(炭素化合物)を合成する合成ユニットであり、回収ユニット10又は貯蔵タンク16から送られた二酸化炭素を濃縮したガスを用いて有価物Aを合成する。本明細書において、有価物(炭素化合物)は、二酸化炭素を原料の一つとして合成される炭素化合物である。有価物Aは、例えば、メタノール、一酸化炭素を含む。補助材料供給ユニット14は、有価物の合成の際に、必要に応じて有価物の合成に必要な補助材料を合成ユニット11へ供給する。補助材料を供給する際には、センサS4で補助材料の組成、温度、供給量を計測して、合成ユニット11に適切な量の補助材料を供給する。
【0050】
合成ユニット11で合成された有価物は、センサS9で組成、各組成の濃度(組成比)、温度などを計測した後、貯蔵タンク17に貯蔵されてもよく、あるいは、合成ユニット11で合成された有価物は、センサS10で組成、各組成の濃度(組成比)、温度などを計測した後、合成ユニット12に送られてもよい。貯蔵タンク17に貯蔵された有価物は、センサS11で組成、各組成の濃度(組成比)、温度などを計測した後、合成ユニット12に送られてもよく、あるいは、タンクローリ等で需要地に運搬されてもよい。
【0051】
合成ユニット12は、有価物(炭素化合物)の合成ユニットであり、合成ユニット11又は貯蔵タンク17から送られた有価物を用いて有価物Bを合成する。有価物Bは、例えば、メタンを含む。補助材料供給ユニット15は、有価物の合成の際に、必要に応じて有価物の合成に必要な補助材料を合成ユニット12へ供給する。補助材料を供給する際には、センサS5で補助材料の組成、温度、供給量を計測して、合成ユニット12に適切な量の補助材料を供給する。合成ユニット12で合成された有価物は、センサS12で組成、各組成の濃度(組成比)、温度などを計測した後、貯蔵タンク18に貯蔵される。貯蔵タンク18に貯蔵された有価物は、タンクローリ等で需要地に運搬される。
【0052】
なお、貯蔵タンク16、17、18は必須の構成ではないが、貯蔵タンク16、17、18を備えることにより、市場の取引価格の変動と生産設備100での二酸化炭素の回収の時間に多少のずれが生じても適切な取引価格のタイミングで濃縮された二酸化炭素や、有価物を市場に提供(販売)できる。
【0053】
運転制御装置20は、制御部21、及び通信部22を備える。
【0054】
通信部22は、通信モジュールを備え、通信ネットワーク1を介して商品生産計画生成装置50から、二酸化炭素を回収する指示、あるいは有価物(炭素化合物)を合成する指示を取得する。
【0055】
制御部21は、コントローラ、メモリ等を備え、通信部22を介して取得した指示に基づいて、炭素化合物製造設備の運転を制御する。例えば、二酸化炭素を回収する指示を取得した場合、制御部21は、回収ユニット10の運転を制御するとともに、必要に応じて補助材料供給ユニット13の運転を制御する。また、有価物を合成する指示を取得した場合、制御部21は、回収ユニット10~12の運転を制御するとともに、必要に応じて補助材料供給ユニット13~15の運転を制御する。
【0056】
データサーバ30は、二酸化炭素(二酸化炭素が濃縮されたガス)の市場での取引価格、有価物(炭素化合物)の市場での取引価格を過去から現在までに亘って時系列的に収集されたデータを記録するサーバである。有価物(炭素化合物)は、例えば、メタン(CH4 )、メタノール(CH3 OH)、エタン(C2 6 )、エチレン(C2 4 )、エタノール(C2 5 OH)、一酸化炭素(CO)などを含む。
【0057】
予測サーバ40は、二酸化炭素の市場での将来の取引価格、有価物(炭素化合物)の市場での将来の取引価格を記録するサーバである。予測サーバ40は、予測モデルを備え、データサーバ30から取得した、二酸化炭素及び有価物の過去から現在までに亘る取引価格に基づいて、二酸化炭素及び有価物の将来の取引価格を予測して記録してもよい。
【0058】
図2は商品生産計画生成装置50の構成の一例を示す図である。商品生産計画生成装置50は、装置全体を制御する制御部51、通信部52、メモリ53、記憶部54、生産計画生成部55、特定部56、算出部57、及び決定部58を備える。
【0059】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等が所要数組み込まれて構成されてもよい。また、制御部51は、DSP(Digital Signal Processors)、FPGA(Field-Programmable Gate Arrays)等を組み合わせて構成してもよい。
【0060】
通信部52は、通信モジュールを備え、運転制御装置20,データサーバ30,及び予測サーバ40との間で通信を行う機能を有する。
【0061】
記憶部54は、例えば、ハードディスク又は半導体メモリ等で構成することができ、コンピュータプログラム61(プログラム製品)、予測モデル62及び所要の情報を記憶する。
【0062】
コンピュータプログラム61は、商品生産計画生成装置50で動作するプログラムであり、通信部52を介して外部の装置からダウンロードして記憶部54に記憶してもよく、記録媒体(例えば、CD-ROM等の光学可読ディスク記憶媒体)に記録されたコンピュータプログラム61を記録媒体読取部で読み取って記憶部54に記憶してもよい。
【0063】
メモリ53は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリで構成することができる。コンピュータプログラム61をメモリ53に展開して、制御部51がコンピュータプログラム61を実行することができる。制御部51は、コンピュータプログラム61で定められた処理を実行することができる。すなわち、制御部51による処理は、コンピュータプログラム61による処理でもある。
【0064】
生産計画生成部55は、生成部としての機能を有し、生産設備100で生産する商品の生産計画を生成する。生産設備100で生産する商品が、複数の異なる種類の商品である場合、生産計画生成部55は、異なる種類の商品毎に生産計画を生成してもよい。
【0065】
特定部56は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を特定してもよい。
【0066】
算出部57は、売上算出部としての機能を有し、二酸化炭素の回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づいて二酸化炭素の取引売上を算出してもよい。二酸化炭素の取引価格は、過去、現在、あるいは将来の取引価格でもよい。
【0067】
算出部57は、回収費用算出部としての機能を有し、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する回収費用を算出してもよい。
【0068】
算出部57は、利益算出部としての機能を有し、二酸化炭素の取引売上及び二酸化炭素の回収費用に基づいて二酸化炭素の取引利益を算出してもよい。
【0069】
算出部57は、売上算出部としての機能を有し、二酸化炭素の回収量、二酸化炭素の回収量と有価物(炭素化合物)の合成量との関係を示す関係情報、及び有価物の取引価格に基づいて有価物の取引売上を算出してもよい。有価物の取引価格は、過去、現在、あるいは将来の取引価格でもよい。
【0070】
算出部57は、合成費用算出部としての機能を有し、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素のうち回収される二酸化炭素を用いて合成される有価物の合成費用を算出してもよい。
【0071】
算出部57は、利益算出部としての機能を有し、有価物の取引売上及び有価物の合成費用に基づいて有価物の取引利益を算出してもよい。
【0072】
決定部58は、二酸化炭素の回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上と、有価物の合成量及び有価物の取引価格に基づく有価物の合成売上とを対比して、二酸化炭素の回収又は有価物の合成のいずれを行うかを決定してもよい。
【0073】
決定部58は、二酸化炭素の回収量、二酸化炭素の回収費用及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収利益と、有価物の合成量、有価物の合成費用及び有価物の取引価格に基づく有価物の合成利益とを対比して、二酸化炭素の回収又は有価物の合成のいずれを行うかを決定してもよい。
【0074】
生産計画生成部55、特定部56、算出部57、及び決定部58は、ハードウェアで構成してもよく、ソフトウェア(コンピュータプログラム61による処理)で構成してもよい。
【0075】
図3は予測モデル62による予測処理の一例を示す図である。予測モデル62(予測モデル62a、62bを含む)は、例えば、RNN(Recurrent Neural Network)で構成することができる。図3Aに示す予測モデル62aは、二酸化炭素の将来の取引価格を予測する学習モデルである。二酸化炭素の取引価格の過去から現在までの時系列データを予測モデル62aに入力すると、予測モデル62aは、二酸化炭素の将来の取引価格を出力する。
【0076】
予測モデル62aは、現在及び過去の少なくとも一方における二酸化炭素の取引価格が入力されると、将来の二酸化炭素の取引価格を出力(予測)する。制御部51は、予測モデル62aが予測した将来の二酸化炭素の取引価格を取得することができる。これにより、過去又は現在だけでなく、将来の二酸化炭素の取引価格に基づいて商品の生産計画を生成することができる。
【0077】
図3Bに示す予測モデル62bは、有価物(炭素化合物)の将来の取引価格を予測する学習モデルである。有価物の取引価格の過去から現在までの時系列データを予測モデル62bに入力すると、予測モデル62bは、有価物の将来の取引価格を出力する。有価物は、例えば、メタン(CH4 )、エタノール(C2 5 OH)、メタノール(C3 3 OH)などを含む。有価物の種類毎に予測モデルを準備してもよい。
【0078】
予測モデル62bは、現在及び過去の少なくとも一方における有価物の取引価格が入力されると、将来の有価物の取引価格を出力(予測)する。制御部51は、予測モデル62bが予測した将来の有価物の取引価格を取得することができる。これにより、過去又は現在だけでなく、将来の炭素化合物の取引価格に基づいて商品の生産計画を生成することができる。
【0079】
なお、予測モデル62は、RNNに限定されるものではなく、LSTM(Long Short Term Memory)、Transformerなどの深層学習を用いたものでもよく、自己回帰モデル、移動平均モデル、指数平滑化モデル、状態空間モデルなどを用いてもよい。
【0080】
予測サーバ40が、前述の予測モデル62を備え、二酸化炭素及び有価物の将来の取引価格を予測する場合、予測サーバ40から、二酸化炭素及び有価物の将来の取引価格を取得してもよい。この場合、商品生産計画生成装置50は、予測モデル62を具備しなくてもよい。
【0081】
次に、二酸化炭素の取引価格と連動した商品の生産計画生成方法について説明する。
【0082】
制御部51は、通信部52を介して、二酸化炭素の取引価格を取得する。生産計画生成部55は、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備100によって生産される商品の生産計画を生成する。
【0083】
二酸化炭素の取引価格に基づいて、生産設備100によって生産される商品の生産計画を生成するので、例えば、二酸化炭素の取引価格が高い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が増加するように商品の生産量を増やすことで、排出された二酸化炭素の取引量を多くする。また、二酸化炭素の取引価格が安い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が減少するように商品の生産量を減らして、排出された二酸化炭素の取引量を少なくする。これにより、生産設備100から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0084】
以下、商品の生産計画を生成するための具体例について説明する。
【0085】
図4は商品の生産量と二酸化炭素の排出量との関係の一例を示す図である。図4において、横軸は商品の生産量を個数Nで示し、縦軸は商品の生産に伴い排出される排ガス中の二酸化炭素の排出量を示す。商品A、Bも生産量が増加すると、二酸化炭素の排出量も増加する。また、商品Bの方が商品Aよりも同じ生産量に対する二酸化炭素の排出量が多い。図4に示す情報は、予め記憶部54に記憶しておいてもよく、あるいはデータサーバ30から取得してもよい。
【0086】
図5は二酸化炭素の排出量と回収量との関係の一例を示す図である。図5において、横軸は商品の生産に伴い排出される排ガス中の二酸化炭素の排出量を示し、縦軸は商品の生産に伴い排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を示す。ここでは、商品の種類による回収率(回収量/排出量)に大きな差はなく、商品A、Bともに略100%(排出量≒回収量)である。図5に示す情報は、予め記憶部54に記憶しておいてもよく、あるいはデータサーバ30から取得してもよい。
【0087】
図6は二酸化炭素の取引価格の推移の一例を示す図である。図6には、過去から将来に亘る二酸化炭素の取引価格の推移が示されている。制御部51が、過去から現在までの二酸化炭素の取引価格の時系列データをデータサーバ30から取得し、取得した時系列データを予測モデル62aに入力して、将来の二酸化炭素の取引価格の時系列データを得ることにより、制御部51は、図6に示すような取引価格の推移の情報を入手できる。また、制御部51は、予測サーバ40から図6に示すような取引価格の推移の情報を入手してもよい。
【0088】
図7は商品の生産量と二酸化炭素の取引売上との関係の一例を示す図である。図7において、横軸は商品の生産量を個数Nで示し、縦軸は二酸化炭素の取引売上を示す。特定部56は、図4及び図5に示す情報を参照して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を特定する。
【0089】
算出部57は、特定部56が特定した二酸化炭素の回収量及び図6に示す二酸化炭素の取引価格に基づいて二酸化炭素の取引売上を算出する。例えば、二酸化炭素の回収量に取引価格を乗算すれば二酸化炭素の取引売上を算出できる。図7の例では、商品Aよりも商品Bの方が同じ生産量に対する二酸化炭素の取引売上が高い。
【0090】
生産計画生成部55は、算出した二酸化炭素の取引売上に応じて商品の生産計画を生成してもよい。例えば、二酸化炭素の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて取引売上が増加するので、商品の生産量を増やす。また、二酸化炭素の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても取引売上が増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、二酸化炭素の回収量の多少がある場合には、回収量の多い商品を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0091】
図8は二酸化炭素の排出量と回収費用との関係の一例を示す図である。図8において、横軸は商品の生産に伴い排出される排ガス中の二酸化炭素の排出量を示し、縦軸は二酸化炭素の回収費用を示す。回収費用は、商品の生産に伴い排出される排ガス中の二酸化炭素の濃度を所定濃度に濃縮して回収するための費用である。二酸化炭素の濃度を所定濃度に濃縮して回収する方法には、化学吸収法、物理吸着法、膜分離法、電気化学的な方法などがある。回収費用には、回収装置自体の費用、回収装置の設置費用、運用費用(電気代など)、及び保守費用などが含まれる。図8の例では、商品Aよりも商品Bの方が、二酸化炭素の同じ排出量に対する回収費用が高い。
【0092】
図9は商品の生産量と二酸化炭素の取引利益との関係の一例を示す図である。図9において、横軸は商品の生産量を個数Nで示し、縦軸は二酸化炭素の取引利益を示す。算出部57は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収する回収費用を算出する。算出部57は、二酸化炭素の取引売上(図7参照)及び算出した回収費用に基づいて二酸化炭素の取引利益を算出する。例えば、二酸化炭素の取引売上から回収費用を減算すれば二酸化炭素の取引利益を算出できる。
【0093】
生産計画生成部55は、算出した二酸化炭素の取引利益に応じて商品の生産計画を生成してもよい。例えば、二酸化炭素の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて取引売上が増加し取引利益も増加するので、商品の生産量を増やす。また、二酸化炭素の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても取引売上が増加せず取引利益も増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、二酸化炭素の回収費用に相違がある場合には、回収費用の安い商品(例えば、図8の商品A)を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0094】
二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、複数の商品それぞれの生産計画を生成してもよい。例えば、二酸化炭素の排出量が多い場合には、排出量に比例して二酸化炭素の回収量も増える傾向となる。二酸化炭素の取引価格に商品毎の二酸化炭素の回収量を乗算すれば二酸化炭素の取引売上を商品毎に求めることができる。これにより、種類が異なる複数の商品の中から二酸化炭素の取引売上が多い商品を優先的に生産することができる。
【0095】
二酸化炭素の取引価格は、現在又は過去の取引価格でもよく、予測モデル62が予測した将来の二酸化炭素の取引価格でもよい。これにより、過去又は現在だけでなく、将来の二酸化炭素の取引価格に基づいて商品の生産計画を生成することができる。
【0096】
また、図7及び図9に示すように、売上を重視するのであれば、商品1個当たりの二酸化炭素排出量の多い商品Bを優先的に生産してもよい。また、利益を重視するのであれば、二酸化炭素の回収費用が少ない商品Aを優先的に生産してもよい。
【0097】
また、図7において、商品Aの需要は順調に伸びているのに対して、商品Bの需要が落ち込んでいる場合には、売上重視であっても、商品の需要の状況を考慮して、例えば、商品Bに代えて商品Aの生産に切り替える、商品Bの生産量を少なくして商品Aの生産量を増加する、などの対応を取ってもよい。これにより、商品の在庫が増えることを抑制できる。
【0098】
また、図6に示すように、例えば、5日後の二酸化炭素の取引価格が下落するような場合において、二酸化炭素の回収によって収益の赤字と排出削減目標の達成とが見込まれるとき、あるいは、いずれかの見込みがたたないときで安価な排出権の購入によって収益の黒字が見込まれるときは、排ガスの一部又は全部を大気放出してもよい。また、収益の赤字と排出削減目標の達成のいずれかの見込みがたたない場合に、安価な排出権の購入ができないときは、5日後の商品の生産を停止することも選択肢とすることができる。なお、排出権は価格変動するので、安価な時に購入しておくことが望ましい。
【0099】
次に、有価物(炭素化合物)の取引価格と連動した商品の生産計画生成方法について説明する。
【0100】
制御部51は、通信部52を介して、有価物の取引価格を取得する。生産計画生成部55は、取得した取引価格に基づいて、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が含まれる生産設備100によって生産される商品の生産計画を生成する。
【0101】
二酸化炭素を原料の一つとする有価物の取引価格に基づいて、生産設備100によって生産される商品の生産計画を生成するので、例えば、有価物の取引価格が高い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が増加するように商品の生産量を増やすことで、排出された二酸化炭素を原料とする有価物の取引量を多くする。また、有価物の取引価格が安い場合には、商品の生産に伴って排出される排ガス中に二酸化炭素が減少するように商品の生産量を増やすことで、排出された二酸化炭素を原料とする有価物の取引量を少なくする。これにより、生産設備100から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0102】
以下、商品の生産計画を生成するための具体例について説明する。
【0103】
図10は有価物の取引価格の推移の一例を示す図である。図10には、過去から将来に亘る有価物の取引価格の推移が示されている。有価物としては、メタン及びメタノールを挙げているが、これらに限定されない。制御部51が、過去から現在までの有価物の取引価格の時系列データをデータサーバ30から取得し、取得した時系列データを予測モデル62bに入力して、将来の有価物の取引価格の時系列データを得ることにより、制御部51は、図10に示すような取引価格の推移の情報を入手できる。また、制御部51は、予測サーバ40から図10に示すような取引価格の推移の情報を入手してもよい。
【0104】
図11は有価物の合成量と合成に必要な二酸化炭素量との関係の一例を示す図である。図11において、横軸は有価物の合成量を示し、縦軸は有価物の合成に必要な二酸化炭素の量を示す。図11に示すように、メタンとメタノールとでは、同じ合成量に対して必要となる二酸化炭素の量は、メタンの方がメタノールよりも多い。このような有価物の種類によって、合成に必要となる二酸化炭素の量が異なる。図11に示す情報は、予め記憶部54に記憶しておいてもよく、あるいはデータサーバ30から取得してもよい。
【0105】
図12は商品の生産量と有価物の取引売上との関係の一例を示す図である。図12において、横軸は商品の生産量を個数Nで示し、縦軸は有価物の取引売上を示す。図12の例では、メタンとメタノールの取引売上を図示している。特定部56は、図4及び図5に示す情報を参照して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素の回収量を特定する。
【0106】
算出部57は、特定部56が特定した二酸化炭素の回収量、図11に示す有価物の合成量と合成に必要な二酸化炭素の量(すなわち、二酸化炭素の回収量)との関係を示す関係情報及び図10に示す有価物の取引価格に基づいて有価物の取引売上を算出する。例えば、有価物の合成量に取引価格を乗算すれば有価物の取引売上を算出できる。図12の例では、メタノールよりもメタンの方が商品の同じ生産量に対する有価物の取引売上が高い。
【0107】
生産計画生成部55は、算出した有価物の取引売上に応じて商品の生産計画を生成してもよい。例えば、有価物の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて有価物の合成量が増加して有価物の取引売上が増加するので、商品の生産量を増やす。また、有価物の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても有価物の取引売上が増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、二酸化炭素の回収量の多少がある場合には、回収量の多い商品を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備100から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0108】
図13は二酸化炭素の排出量と有価物の合成費用との関係の一例を示す図である。図13において、横軸は商品の生産に伴い排出される排ガス中の二酸化炭素の排出量を示し、縦軸は有価物の合成費用を示す。排ガス中の二酸化炭素を用いてメタノールを合成する場合には、室温レベルの温度で比較的小型な装置を用いることができるが、メタンを合成する場合には、高温で大型の設備が必要であることから、メタンの合成費用がメタノールよりも高い。有価物の合成費用は、二酸化炭素の回収方法、有価物の合成方法、装置の運用のエネルギー源などによって異なる。
【0109】
図14は商品の生産量と有価物の取引利益との関係の一例を示す図である。図14において、横軸は商品の生産量を個数Nで示し、縦軸は有価物の取引利益を示す。算出部57は、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素のうち回収される二酸化炭素を用いて合成される有価物の合成費用を算出する。算出部57は、算出した有価物の取引売上(図12参照)及び有価物の合成費用(図13参照)に基づいて有価物の取引利益を算出する。例えば、有価物の取引売上から有価物の合成費用を減算すれば有価物の取引利益を算出できる。
【0110】
生産計画生成部55は、算出された炭素化合物の取引利益に応じて商品の生産計画を生成してもよい。例えば、有価物の取引価格が高い場合には、二酸化炭素の回収量に応じて有価物の合成量が増加して有価物の取引利益が増加するので、商品の生産量を増やす。また、有価物の取引価格が安い場合には、二酸化炭素を回収しても有価物の取引利益が増加しないので、商品の生産量を減らす。また、商品の種類に応じて、有価物の合成費用に相違がある場合には、合成費用の安い商品を優先して生産量を増やしてもよい。これにより、生産設備100から排出される二酸化炭素を有効利用することができる。
【0111】
二酸化炭素の排出量が商品毎に異なる場合、複数の商品それぞれの生産計画を生成してもよい。例えば、二酸化炭素の排出量が多い場合には、排出量に比例して二酸化炭素の回収量も増え、有価物の合成量も増える傾向となる。有価物の取引価格に商品毎の有価物の合成量を乗算すれば有価物の取引売上を商品毎に求めることができる。商品毎の有価物の合成量は、商品毎の二酸化炭素の排出量、回収量、及び有価物を合成するのに必要な二酸化炭素量に基づき求めることができる。これにより、種類が異なる複数の商品の中から有価物の取引売上が多い商品を優先的に生産することができる。
【0112】
図15は商品の生産計画の一例を示す図である。図6に例示した二酸化炭素の取引価格の推移、及び図10に例示した有価物の取引価格の推移に基づき、生産計画の日程を、現在~3日後、4日後~8日後、及び9日後~10日後の3つの期間に分けている。生産計画生成部55は、各期間での商品の生産数量、有価物の合成量を生成することができる。
【0113】
現在~3日後の期間では、図10に示すようにメタンの取引価格が高値で推移する一方、メタノールの取引価格は低迷している。そこで、メタンの単位重量当たりの生産に必要な二酸化炭素量がメタノールの場合よりも多いので、1個生産する際に排出する二酸化炭素量が多い商品Bを選択して生産する。例えば、商品Bを1日当たり300個生産し、商品Aは生産しない。また、メタンの合成を行ってもよい。
【0114】
4日後~8日後の期間では、図10に示すようにメタンの取引価格が急落し、また図6に示すように二酸化炭素の取引価格も一旦急落するが持ち直す傾向が見られる。そこで、利益重視で生産及び取引の品目を決定する。具体的には、高い利益率が期待できる商品Aを生産する。例えば、商品Aを1日当たり220個生産し、商品Bは生産しない。また、メタノールの取引価格が高い間に販売可能な範囲でメタノールの合成を行ってもよい。
【0115】
9日後~10日後の期間では、図6に示すように二酸化炭素の取引価格が高騰するとともに、図10に示すように、メタン及びメタノールの取引価格が暴落する。そこで、有価物の合成は行わずに、売上と利益のバランスを考慮して、商品A及び商品Bを生産する。例えば、商品Aを1日当たり220個生産し、商品Bを1日当たり200個生産する。
【0116】
制御部51は、排ガス中の二酸化炭素の回収量と有価物の合成量との関係を示す関係情報を取得する。決定部58は、二酸化炭素の回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収売上(回収に伴う売上)と、有価物の合成量及び有価物の取引価格に基づく有価物の合成売上(合成に伴う売上)とを対比して、二酸化炭素の回収又は有価物の合成のいずれを行うかを決定してもよい。
【0117】
二酸化炭素の回収に伴う売上は、(濃縮二酸化炭素に含まれる二酸化炭素の量)×(二酸化炭素の取引単価)という式で算出できる。また、有価物の合成に伴う売上は、(合成品に含まれる対象有価物の量)×(対象有価物の取引単価)という式で算出できる。
【0118】
例えば、二酸化炭素の回収売上が有価物の合成売上より多い場合には、二酸化炭素の回収を行う。また、有価物の合成売上が二酸化炭素の回収売上より多い場合には、有価物の合成を行う。これにより、二酸化炭素の回収にとどめるのか、さらに回収した二酸化炭素を利用した有価物を合成するのかを判定できる。
【0119】
決定部58は、二酸化炭素の回収量、二酸化炭素の回収費用及び二酸化炭素の取引価格に基づく二酸化炭素の回収利益(回収に伴う利益)と、有価物の合成量、有価物の合成費用及び有価物の取引価格に基づく有価物の合成利益(合成に伴う利益)とを対比して、二酸化炭素の回収又は有価物の合成のいずれを行うかを決定してもよい。
【0120】
二酸化炭素の回収に伴う利益は、例えば、(二酸化炭素の回収に伴う利益)=(濃縮二酸化炭素の売上)-(回収ユニット10の運用費用)-(濃縮二酸化炭素の運搬費用)という式で算出できる。ここで、(濃縮二酸化炭素の売上)=(回収される二酸化炭素の量)×(二酸化炭素の取引単価)で求めることができ、(回収ユニット10の運用費用)=(回収ユニット10の運用に必要な光熱費用)+(二酸化炭素回収用補助材料費用)+(回収ユニット10の1日当たりの原価償却)で求めることができる。
【0121】
有価物の合成に伴う利益は、例えば、(有価物の合成に伴う利益)=(有価物の売上)-(回収ユニット10の運用費用)-(合成ユニット11の運用費用)という式で算出できる。ここで、(有価物の売上)=有価物の合成品に含まれる対象有価物の量)×(対象有価物の取引単価)で求めることができ、(合成ユニット11の運用費用)=(合成ユニット11の運用に必要な光熱費用)+(有価物合成用補助材料費用)+(合成ユニット11の1日当たりの原価償却)で求めることができる。
【0122】
例えば、二酸化炭素の回収利益が有価物の合成利益より多い場合には、二酸化炭素の回収を行う。また、有価物の合成利益が二酸化炭素の回収利益より多い場合には、有価物の合成を行う。これにより、二酸化炭素の回収にとどめるのか、さらに回収した二酸化炭素を利用した有価物を合成するのかを判定できる。
【0123】
次に、商品生産計画生成装置50からの指示(例えば、二酸化炭素の回収指示、あるいは有価物の合成指示)に基づいて、運転制御装置20が炭素化合物製造設備に対して実施する運転制御について説明する。
【0124】
まず、二酸化炭素を回収する場合について説明する。
【0125】
運転制御装置20は、商品生産計画生成装置50が二酸化炭素の回収を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む回収ユニット10(二酸化炭素回収ユニット)の運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を回収してもよい。
【0126】
図16は回収ユニット10が備える電解セルの第1例を示す図である。図16に示す電解セル(電気化学セル)は、SOEC(固体酸化物形電解セル)である。生産設備100の排ガスの組成が、二酸化炭素、酸素、窒素であり、窒素の含有量が比較的少ない場合、イットリア安定化ジルコニアを電解質とする電解セル(SOEC)の陰極に排ガスを投入する。図16に示すケース1の反応式に従い、陰極で酸素が酸素イオン(O2-)に還元され、陽極に運ばれる。これにより、陰極の酸素が除去又は酸素の濃度が低減される。その結果、陰極より窒素を含有するものの、酸素濃度の低い二酸化炭素の濃縮ガスが排出される。酸素濃度が十分に低減されていない場合には、陰極から排出されたガスを再度電解セルの陰極に投入すればよい。ケース2については後述する。
【0127】
図17は回収ユニット10が備える電解セルの第2例を示す図である。図17に示す電解セル(電気化学セル)は、MCEC(溶融炭酸塩形電解セル)である。生産設備100の排ガスの組成が、二酸化炭素、酸素、窒素であり、窒素の含有量が比較的多い場合、溶融炭酸塩を電解質とするMCECを用い、電解セル(MCEC)の陰極に排ガスを投入する。図17に示す反応式に従い、陰極で酸素と二酸化炭素とが電子を受け取り、CO3 2-イオンとなって電解質中を移動し、陽極で再び酸素と二酸化炭素になる。窒素が取り除かれることで、陽極では二酸化炭素が濃縮される。この濃縮されたガス中の酸素を除去又は酸素の濃度を低減したい場合には、図16に例示した電解セル(SOEC)の陰極に濃縮されたガスを投入する。図16のケース2の反応式に従い、酸素濃度を低減できる。
【0128】
上述のように、MCECを用いて電気化学的に二酸化炭素を濃縮して回収する場合、酸素と二酸化炭素との比が1:2であることが好ましい。酸素の組成比が二酸化炭素の1/2より低いと、一部の二酸化炭素が酸素と反応して、CO3 2-イオンとなって電解質中を移動することができない結果、陰極から大気に排出されるガスが多くの二酸化炭素を含んだものとなるからである。そこで、電解セルへ投入する排ガス中の酸素濃度が二酸化炭素の1/2以下である場合、補助材料供給ユニット13から酸素ガス又は酸素を含む空気などを回収ユニット10に供給することで、二酸化炭素の大気への放出を防止できる。また、酸素の組成比が二酸化炭素の1/2以上である場合、二酸化炭素の濃度が低くなり二酸化炭素の反応率が低下することがある。この場合、図16に示すSOECを用いて酸素の組成比を低減した後でMCECを用いて二酸化炭素を回収することが好ましい。
【0129】
なお、回収ユニット10は、電解セル以外に、化学吸収法、物理吸着法、膜分離法、深冷分離法による装置を備えていてもよい。また、これらの方法を組み合わせた装置を備えていてもよい。これにより、濃度の高い二酸化炭素の濃縮ガスを得ることができる。二酸化炭素の濃度が高い濃縮ガスであることは、有価物合成の際に、不要な副反応による不純物の発生を抑制することから好ましい。
【0130】
次に、有価物を合成する場合について説明する。
【0131】
運転制御装置20は、商品生産計画生成装置50が有価物の合成を行うと決定した場合、電気化学的な工程を含む合成ユニット11、12(炭素化合物合成ユニット)の運転を制御して、商品の生産に伴って排出される排ガス中の二酸化炭素を用いて有価物を合成してもよい。
【0132】
図18は合成ユニット11が備える電解セルの第1例を示す図である。図18に示す電解セル(電気化学セル)は、SOEC(固体酸化物形電解セル)である。図18の例では、電解セルの陰極で一酸化炭素が合成される。回収ユニット10で回収された二酸化炭素濃縮ガスは、センサS7で組成、組成比などを計測した後、合成ユニット11に備えられた電解セルの陰極に送られる。ここでは、二酸化炭素濃縮ガスは、濃度が高いガスであるとする。電解セルの陰極には、有価物合成の補助材料として、補助材料供給ユニット14から、組成比にして二酸化炭素の3倍量のH2 Oが供給される。合成ユニット11に備えられたイットリア安定化ジルコニアを電解質とする電解セル(SOEC)では、図19に示すように、陰極で水と二酸化炭素とが還元されて水素と一酸化炭素との混合ガスが生成される。陽極では、酸素を生成し、大気へ放出される。
【0133】
合成ユニット11の電解セルの陰極で生成された水素と一酸化炭素との混合ガスは、センサS10で組成や組成比を計測した後、メタン合成装置を備える合成ユニット12に送られる。メタン合成装置では、ニッケル合金などの触媒を用いて、3H2 +CO→CH4+H2Oという反応式に従って、メタン(CH4)を合成する。
【0134】
図19は合成ユニット11が備える電解セルの第2例を示す図である。図19に示す電解セル(電気化学セル)は、イオン交換膜を電解質とするDMEC(ジメチレンエチレンカーボネート)である。図19の例では、電解セルの陰極でメタノールが合成される。回収ユニット10で回収された二酸化炭素濃縮ガスは、センサS7で組成、組成比などを計測した後、合成ユニット11に備えられた電解セルの陰極に送られる。ここでは、二酸化炭素濃縮ガスは、化学吸着法、物理吸着法、膜分離法および電気化学的な方法などにより、二酸化炭素の濃度を高くしたガスであるとする。電解セルの陰極には、有価物合成の補助材料として、補助材料供給ユニット14から、組成比にして3倍量のH2 Oが供給される。合成ユニット11に備えられたイオン交換膜を電解質とするDMECの電解セルでは、図19に示すように、陰極では二酸化炭素が還元されてメタノール(CH3 OH)とH2 Oとを含むメタノール水を生成する。陽極では、H2 Oが酸化されて酸素が生成され、大気に放出される。
【0135】
図20は商品生産計画生成装置50による二酸化炭素の取引価格に連動する商品生産計画の生成方法の一例を示す図である。制御部51は、二酸化炭素の取引価格を取得し(S11)、商品毎に、商品の生産に伴う二酸化炭素の排出量を特定する(S12)。制御部51は、商品毎に、商品の二酸化炭素排出量に対する二酸化炭素の回収量を特定する(S13)。
【0136】
制御部51は、商品毎に、二酸化炭素の回収量及び二酸化炭素の取引価格に基づいて二酸化炭素の取引売上を算出する(S14)。制御部51は、商品毎に、二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の回収費用を特定し(S15)、商品毎に二酸化炭素の取引利益を算出する(S16)。
【0137】
制御部51は、売上と利益との優先度を判定し(S17)、売上を優先する場合(S17で売上)、二酸化炭素の取引売上の多い商品を優先して生産計画を生成し(S18)、処理を終了する。利益を優先する場合(S17で利益)、制御部51は、二酸化炭素の取引利益の多い商品を優先して生産計画を生成し(S19)、処理を終了する。
【0138】
図21は商品生産計画生成装置50による有価物の取引価格に連動する商品生産計画の生成方法の一例を示す図である。制御部51は、有価物の取引価格を取得し(S31)、商品毎に、商品の生産に伴う二酸化炭素の排出量を特定する(S32)。制御部51は、商品毎に、商品の二酸化炭素排出量に対する二酸化炭素の回収量を特定する(S33)。
【0139】
制御部51は、有価物の合成量と有価物の合成に必要な二酸化炭素の量との関係を示す関係情報を取得し(S34)、商品の二酸化炭素排出量、前述の関係情報、及び有価物の取引価格に基づいて有価物の合成売上を算出する(S35)。制御部51は、有価物の合成費用を算出し(S36)、有価物の合成利益を算出する(S37)。
【0140】
制御部51は、売上と利益との優先度を判定し(S38)、売上を優先する場合(S38で売上)、有価物の合成売上と二酸化炭素の回収売上とを対比して有価物の合成又は二酸化炭素の回収を決定する(S39)。制御部51は、運転制御装置20に対して、有価物の合成又は二酸化炭素の回収を指示し(S40)、処理を終了する。
【0141】
利益を優先する場合(S38で利益)、制御部51は、有価物の合成利益と二酸化炭素の回収利益とを対比して有価物の合成又は二酸化炭素の回収を決定し(S41)、ステップS40の処理を行う。
【0142】
本実施形態によれば、二酸化炭素が有価物を生み出す原料になること、そのために、有価物の取引価格と連動して商品の生産計画を生成することで、商品の生産を通じて二酸化炭素の回収や有価物の合成に必要な費用(ランニングコスト)を回収できると共に、利益を生み出すことができる。
【符号の説明】
【0143】
1 通信ネットワーク
10 回収ユニット
11、12 合成ユニット
13、14、15 補助材料供給ユニット
16、17、18 貯蔵タンク
20 運転制御装置
21 制御部
22 通信部
30 データサーバ
40 予測サーバ
50 商品生産計画生成装置
51 制御部
52 通信部
53 メモリ
54 記憶部
55 生産計画生成部
56 特定部
57 算出部
58 決定部
61 コンピュータプログラム
62、62a、62b 予測モデル
100 生産設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21