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  • 特開-水系液体化粧料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131640
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】水系液体化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240920BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/73
A61K8/02
A61Q1/10
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042033
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 藍
(72)【発明者】
【氏名】篠原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 祐一
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB221
4C083AB222
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC482
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB36
4C083CC14
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】直液式のアイライナー、アイシャド、眉毛にラインを描くアイブローなどでの吐出が可能で低粘度の液体中でも光輝性顔料の沈降が起こることなく、一定の濃度を保った塗布が容易にできる水系液体化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の水系液体化粧料は、少なくとも、(a)平均粒子径が5~200μmの板状顔料を0.1~10.0質量%と、(b)粘土鉱物、セルロース類の中から選ばれる少なくとも1種の増粘剤を0.4~1.0質量%と、(c)質量平均分子量が100,000以下の水に溶解するアクリル系高分子分散剤を0.5~20質量%と、(d)水とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、(a)平均粒子径が5~200μmの板状顔料を0.1~10.0質量%と、(b)粘土鉱物、セルロース類の中から選ばれる少なくとも1種の増粘剤を0.4~1.0質量%と、(c)質量平均分子量が100,000以下の水に溶解するアクリル系高分子分散剤を0.5~20質量%と、(d)水とを含むことを特徴とする水系液体化粧料。
【請求項2】
25℃、ずり速度191.5s-1(50rpm)で測定した粘度が10.0mPa・s以下であることを特徴とする請求項1記載の水系液体化粧料。
【請求項3】
さらにアクリル系樹脂エマルションを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の水系液体化粧料。
【請求項4】
前記(b)/(c)の質量比の値が0.01~10であることを特徴とする請求項1又は2記載の水系液体化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性を発揮する板状顔料を含有する水系液体化粧料に関し、更に詳しくは、板状顔料の沈降抑制により、直液式のアイライナー、アイシャド、眉毛にラインを描くアイブローなどに好適に使用することができる水系液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、肌や眉毛などの被塗布面上に光輝性の塗膜を形成させようとする水系液体化粧料では、光輝性を発揮する板状顔料(光輝性顔料)を含有することが一般的に行われている。
しかしながら、この板状顔料は、沈降しやすく、一旦沈降し層状にハードケークを作ってしまうと、層状の構造体は再度の剥離が困難で、液体中で再分散させることは困難であった。
そこで、上記の点を解消するものとして、例えば、ベヒクルを高粘度として層状の板状顔料のハードケークの形成を防止する方法も知られているが、この手法など吐出手段やその構造等が限定される点などに課題のあるものであった。
【0003】
一方、これまでの板状顔料の沈降を抑制したりする技術やその塗布具等としては、例えば、
1) 高い輝度を有しつつ、筆ペンタイプのアイライナーとして使用可能な水系化粧料を提供するために、(a)平均粒子径10~100μmの光輝性顔料、(b)アクリル系樹脂エマルション、および(c)シリカ、粘度鉱物、パルミトイルジペプチド、セルロース、セルロースナノファイバーおよびキサンタンガムからなる群から選択される増粘剤を含んでなる水系化粧料であって、前記水系化粧料において、前記成分(c)の含有量が0.1~0.35質量%であり、25℃における粘度が5~30mPa・sである水系化粧料(例えば、特許文献1参照)、
【0004】
2) 少ない量の光輝性を有する板状顔料を含有する液体化粧料組成物を穂筆などの塗布部を有する塗布具に充填して、肌などの被塗布面上に塗布しても、板状顔料は重なることなく鮮明な光輝性の塗膜が容易に得られる液体化粧料組成物を提供するために、少なくともA群(セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン)から選ばれる化合物を表面に被覆された板状顔料を0.01~10質量%と、層状粘土鉱物粒子を0.05~5質量%と、アクリル系共重合体を固形分量で1~20質量%と、水とを含有し、穂筆を有する塗布部を備えた塗布具に充填されることを特徴とする液体化粧料組成物(例えば、特許文献2参照)、
【0005】
3) 滑らかにのび広がり、発色、光沢感に優れ化粧効果が高く、肌への付着性が良好で化粧持続性に優れ、かつ保存安定性にも優れる水系メイクアップ化粧料の提供するために、(A)水性アルカリ増粘型ポリマーエマルションと、(B)少なくともカーボンブラックを含有する顔料と、(C)光輝性粉体と、(D)エタノール溶解型皮膜形成剤と、(E)アルカリとを含有する水系メイクアップ化粧料(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1~3の板状顔料を含有する水系液体化粧料などは従来よりも板状顔料の沈降が抑制されるものであるが、未だ板状顔料の沈降抑制が不十分であり、沈降が生じたり、また、直液式のアイライナー、アイシャドーなどに搭載した場合、吐出が不十分であったり、筆記性(塗布性)が不良となったりするなどの課題が未だあるのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-131500号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2021-14412号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2017-114803号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の課題や現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、直液式のアイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブローなどでの吐出が可能で低粘度の液体中でも光輝性顔料である板状顔料の沈降が起こることなく、一定の濃度を保った塗布が容易にできる水系液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、少なくとも、(a)特定物性の板状顔料と、特定の増粘剤と、特定物性のアクリル系高分子分散剤と、水とをそれぞれ所定量の範囲で含むことにより、上記目的の水系液体化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0010】
すなわち、本発明の水系液体化粧料は、少なくとも、(a)平均粒子径が5~200μmの板状顔料を0.1~10.0質量%と、(b)粘土鉱物、セルロース類の中から選ばれる少なくとも1種の増粘剤を0.4~1.0質量%と、(c)質量平均分子量が100,000以下の水に溶解するアクリル系高分子分散剤を0.5~20質量%と、(d)水とを含むことを特徴とする。
前記水系液体化粧料は、25℃、ずり速度191.5s-1(50rpm)で測定した粘度が10.0mPa・s以下であることが好ましい。
前記水系液体化粧料には、さらにアクリル系樹脂エマルションを含むことが好ましい。
前記(b)/(c)の質量比の値が0.01~10であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、直液式のアイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブローなどでの吐出が可能で低粘度の液体中でも光輝性顔料の沈降が起こることなく、一定の濃度を保った塗布が容易にできる水系液体化粧料が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)及び(b)は本発明の水系液体化粧料を充填する塗布具の実施形態の一例を示す斜視図と縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識(設計事項、自明事項を含む)に基づいて実施することができる。
【0014】
本発明の水系液体化粧料は、少なくとも、(a)平均粒子径が5~200μmの板状顔料を0.1~10.0質量%と、(b)粘土鉱物、セルロース類の中から選ばれる少なくとも1種の増粘剤を0.4~1.0質量%と、(c)質量平均分子量が100,000以下の水に溶解するアクリル系高分子分散剤を0.5~20質量%と、(d)水とを含むことを特徴とするものである。
【0015】
本発明に用いる(a)成分の板状顔料は、平均粒子径が5~200μmの光輝性を有する板状顔料であれば特に限定されず、例えば、パール顔料、アルミニウムフレーク顔料(アルミニウム粉顔料)、金属または金属酸化物被覆ガラスフレーク、及びアルミ被覆ポリエステルフィルムなどの少なくとも1種が挙げられる。
用いる板状顔料の平滑面の平均粒子径は、一般的には平均粒子径が大きい程輝度感が高いが、本発明の効果を好適に発揮せしめる点から、5μm~200μmの範囲のものが用いられ、好ましく、10~100μmであるものが望ましい。
【0016】
本発明(実施例を含む)において、「平均粒子径」は、動的光散乱法〔粒径アナライザー FPAR-1000、大塚電子社製〕により測定し算出した値をいう。
この板状顔料の平均粒子径が5μm未満であると、光輝感に乏しくなり、一方、板状顔料の平均粒子径が200μm超過であると、容器からの吐出性を損なう恐れがある。
具体的に用いることができる(a)成分の板状顔料としては、市販品では、金属酸化物被覆ガラスフレークでは商品名「メタシャイン」等、金属酸化物被覆マイカでは、商品名「Lumina」等などを挙げることができる。
【0017】
これらの板状顔料の含有量は、水系液体化粧料全量に対して、製品使用時に十分な光輝性と隠蔽力を得るため、0.1~10.0質量%(以下、「質量%」を単に「%」という)であり、好ましくは、0.5~5%とすることが望ましい。
この板状顔料の含有量が0.1%未満であると、光輝性に乏しくなり、一方、10.0%を越えると、板状顔料が高濃度であれば必然的に輝度感が高くなるが、高価となり、また、塗布を進めると塗布性の低下乃至塗布不良になりやすく、好ましくない。
【0018】
本発明に用いる(b)成分の増粘剤は、塗布性、保存安定性、上述の板状顔料の更なる沈降抑制などの点から、粘土鉱物、セルロース類の中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
用いることができる粘土鉱物としては、層状の粘土鉱物粒子が挙げられ、例えば、層状ケイ酸塩鉱物に代表される層状の構造を有する結晶性の無機化合物を用いることができる。
層状の粘土鉱物粒子は、天然のものでもよく、また、人工的に製造されたものであってもよい。具体的には、カオリナイト族、スメクタイト族及びマイカ族等に代表される粘土鉱物を挙げることができる。カオリナイト族の粘土鉱物としては、例えば、カオリナイトが挙げられる。スメクタイト族の粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、スティブンサイト及びノントロナイトなどが挙げられる。マイカ族の粘土鉱物としては、例えば、バーミキュライト、ハロイサイト及びテトラシリシックマイカなどが挙げられる。これらの他に、層状複水酸化物であるハイドロタルサイトなども用いることができる。
市販品では、クニピア-F、スメクトン-SWN、スメクトン-SA、(以上、クニミネ工業社製)、ベンゲルFW(以上、ホージュン社製)などを用いることができる。
【0019】
用いることができるセルロース類としては、結晶セルロース、発酵セルロース、セルロースナノファイバー、キサンタンガム、デキストリンなどを挙げることができる。
市販品としては、結晶セルロースでは、例えば、一次粒子の微細なセルロース結晶体の表面を水溶性高分子等を用いてコーティング処理したコロイダルグルードからなるものが挙げられ、具体例としては、セオラスRC-591、RCN81、RC-591NF、CL-611、セオラスクリーム〔以上、旭化成社製〕、SunSpheres BIO SPF Booster [ダウケミカル社製]などを挙げることができる。
【0020】
好ましい(b)成分の増粘剤としては、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイト、結晶セルロース、発酵セルロース、キサンタンガムが挙げられ、更に好ましくは、沈降抑制の点、容器からの吐出性の確保の点などから、層状の粘土鉱物粒子とセルロース類との併用、具体的には、ベントナイトと発酵セルロースとの併用、ベントナイトと結晶セルロースとの併用、スメクタイトと結晶セルロースとの併用などが望ましい。
【0021】
これらの増粘剤の合計含有量は、水系液体化粧料全量に対して、沈降を抑制しつつ、容器からの吐出性を確保する観点より、0.4~1.0%であり、好ましくは、0.4~0.8%とすることが望ましい。
この増粘剤の含有量が0.4%未満であると、光輝性顔料が沈降し、一方、1.0%を越えると、容器からの吐出性が確保できず、好ましくない。
【0022】
本発明に用いる(c)成分のアクリル系高分子分散剤は、沈降抑制の点、容器からの吐出性を確保する観点より、質量平均分子量が100,000以下で、水に溶解するアクリル系高分子から構成されるものを用いることができる。
好ましくは、質量平均分子量が1000~80000のアクリル系高分子、具体的には、上記所定範囲以下などのアクリレーツコポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)アクリレーツコポリマーなどを挙げることができる。
【0023】
水に溶解する上記特性のアクリル系高分子分散剤としては、例えば、市販品であるLuvimer100P(以上、BASFジャパン社製)、AMPHOMER HC(以上、ヌーリオン・ジャパン社製)、SYNTRAN EX149PE、SYNTRAN 5402(以上、インターポリマー社製)などが挙げられる。
【0024】
これらのアクリル系高分子分散剤の含有量は、水系液体化粧料全量に対して、沈降を抑制しつつ、容器からの吐出性を確保するため、固形分量で0.5~20%であり、好ましくは、0.5~10%とすることが望ましい。
このアクリル系高分子分散剤の含有量が0.5%未満であると、沈降を抑制できず、一方、20%を越えると、容器からの吐出性を確保できず、好ましくない。
更に好ましくは、前記(b)成分の増粘剤/(c)成分のアクリル系高分子分散剤の質量比の値は、沈降抑制の点、容器からの吐出性を確保する観点より、0.01~10であることが望ましく、更に好ましくは、0.1~5であることが望ましい。
【0025】
本発明の水系液体化粧料では、固着性と分散安定性の点から、好ましくはアクリル系樹脂エマルションを用いることが望ましい。
用いるアクリル系樹脂エマルションとしては、例えば、アクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、アクリル樹脂アルカノールアミン液、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)共重合体、シリコーン変性アクリル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸共重合体のうち、少なくとも一種を含むものである。
特に、本発明に使用するアクリル系樹脂エマルションは、本発明の効果を更に発揮せしめる点、固着性を向上させる点から、アクリルアルキル樹脂エマルション又はアクリレーツコポリマーなどが好ましい。
【0026】
使用できるアクリル系樹脂エマルションとしては、例えば、市販品であるDAITOSOL 5000STY、DAITOSOL 5000AD、DAITOSOL 5000SJ、DAITOSOL 4000SJT、DAITOSOL 5500GM、DAITOSOL 5000PO(以上、大東化成工業社製)、ヨドゾールGH34F、ヨドゾールGH800F(以上、ヌーリオン・ジャパン社製)、ビニゾール1086DB、ビニゾール1087FT、ビニゾール1089HT、ビニゾール1012JC、ビニゾール1013JH、ビニゾール2140L、ビニゾール2140LH、ビニゾール1086WP、ビニゾール1087FT、ビニゾール1089HT(以上、大同化成工業社製)を挙げることができる。
【0027】
これらのアクリル系樹脂エマルションの含有量は、水系液体化粧料全量に対して、固形分量で3~25%とすることが好ましく、より好ましく、5~20%とすることが望ましい。
このアクリル系樹脂エマルションの含有量が3%以上とすることにより、更に、耐水性を付与することができ、一方、25%以下とすることにより、良好な塗布等が行うことができることとなる。
【0028】
本発明の水系液体化粧料には、上記各成分の他、残部は溶媒となる水(精製水、イオン交換水、蒸留水、純水等)で調製される。
【0029】
更に、本発明の水系液体化粧料には、保湿剤、防菌剤、また、消泡剤、無機顔料や有機顔料、染料、界面活性剤、水溶性有機溶剤などを分散系に支障をもたらさず、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有せしめることができる。
用いることができる保湿剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の水に可溶なグリコール類が挙げられる。
これらの保湿剤の含有量は、水系液体化粧料全量に対して、好ましくは、1~30%、更に好ましくは、5~20%の範囲で使用される。
【0030】
用いることができる防菌剤としては、パラベン類、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールなどが挙げられる。なお、本発明の防菌剤には防腐剤を含むものであり、防腐剤であるパラベン類としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル等を適宜量用いることができる。
また、用いることができる消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン(シメチコン)が挙げられる。このポリジメチルシロキサンは、末端がトリメチルシロキシ単位でブロックされメチル化された線状シロキサンポリマーの混合物からなるシリコーン油であり、市販品として、KS-66(信越シリコーン社製)などを適宜量用いることができる。
更に本発明において、鮮やかな発色を更に得るために、上記板状顔料の他に、有機顔料、ALレーキ顔料、染料を配合せしめて、鮮やかな色調とすることができる。
【0031】
本発明において、水系液体化粧料のpHは、皮膚刺激抑制の点から、6~9の範囲とすることが好ましい。なお、pHの調整は、クエン酸、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリエタノールアミン、L-アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム等のpH調整剤を用いることができ、特に好ましいものは、クエン酸、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールによりpH調整することが望ましい。
【0032】
また、本発明における水系液体化粧料の粘度は、高すぎると穂筆(筆穂)から吐出せず、低すぎると描線がにじみ使用することが難しくなる。そのため、粘度は、25℃において、ずり速度191.5s-1のときの粘度が10mPa・s以下の範囲とすることが好ましく、更に好ましくは、2~10mPa・sの範囲とすることが望ましい。
上記粘度範囲以下とすることにより、十分な流量が確保され、更ににじまずラインが描きやすく、塗り(筆記し)やすいものとなる。
また、上記粘度範囲の調整は、上記板状顔料、増粘剤、水、更に、アクリル系樹脂エマルションなどを好適な含有量となるように組み合わせることなどにより調整することができる。
【0033】
本発明の水系液体化粧料は、上述した各成分を上記各範囲の含有量等で混合分散機、例えば、ビーズミル、ホモミキサー、ディスパー、アトライター、ボールミル、サンドグラインダー等で混合分散することで調製される。
【0034】
このように構成される本発明の水系液体化粧料は、塗布部が穂筆(穂首)から構成される塗布具に収容して好適に使用することができる。
なお、塗布部が繊維を樹脂等で固めたものや、繊維同士を融着した、いわゆるペン芯タイプの塗布部を備えた塗布具では、塗布により板状顔料を塗布面上にスライドできるが、塗布液を掻き取ってしまうため、結果輝度感の上昇の効果が薄くなり、塗布性が若干劣ることとなる。
用いることができる塗布具としては、例えば、図1に示す、上記構成の液体化粧料組成物が内蔵される塗布具が挙げられる。
本発明の液体化粧料組成物を搭載した液体化粧料塗布具としては、例えば、図1(a)に示すように、先軸210と該先軸210の後部側の軸本体212とが嵌合する軸体214とを有し、図1(b)に示すように、軸体214の前部に枚葉部が軸方向に複数配列された態様の櫛歯状に形成されたコレクター216が配置され、軸体214内の後部の収容空間214a内に上述の液体化粧料組成物が収容されるタイプのコレクター式の塗布具である。
【0035】
前記軸体214の後部の軸本体212は、内部が連通し前後に開口したパイプ状に形成されている。前記軸体の後部でもある軸本体212の後部には、尾栓214bが嵌合して軸本体212の後部が閉鎖されており、該尾栓214bの前端とコレクター216後端とで挟まれた軸体214内空間(軸本体212内空間でもある)が収容空間214aになっている。
この収容空間214a内には、中綿等の含浸体を配置せず、直接塗布液が収容されており、また、該塗布液の撹拌をするための撹拌体(ボール等)214cが配置されている。
【0036】
先軸210、軸本体212、コレクター216、キャップ等は樹脂成形品とすることができる。また、撹拌体214cは、金属製、樹脂製等のボール材を用いることができる。
前記コレクター216は、先軸210及び軸本体212によって覆われて保持される構造である。
そして、先軸210の前端部の開口から、先細のテーパ状を呈した筆体からなる塗布部218が突出しており、その塗布部218を覆うキャップが前記先軸210に着脱自在に嵌合する構造である。前記先軸210はほぼ円錐側面形状を呈して先細く形成されており、該先軸210の先端角度は、塗布部218の先端角度と略同角度に形成することが望ま
しい。
【0037】
塗布部218は、樹脂繊維、天然繊維束、樹脂製多孔質体から構成されるなる先細の筆体(穂筆)である。塗布部218は、後端部がフランジ状に拡径しており、この拡径した箇所が先軸210内に係合して抜け止めされている。
【0038】
中空の先細く形成された先軸210の内部には、筆記部218の後方に蛇腹状のコレクター216が配設されており、このコレクター216の中空部内に中芯222が貫通して配置されている。中芯222は、樹脂繊維束、天然繊維束、樹脂製多孔質体等の毛管部材から構成できる。
中芯222においては、コレクター216の後端部から軸体214の収容空間214a内に中芯222が突出していない(図1(b)参照)。コレクター216の後端面に中芯222の後端面がほぼ一致している。中芯222を一致させることで、収容空間214a内に中芯222の後端が突出することがなく、収容空間214a内の容積を確保することができる。また、収容空間214a内に中芯222の後端が突出することがないので、攪拌体214cを収容空間214a内に設けた場合、攪拌体214cが収容空間214a内で動いても中芯222に衝突せず中芯222を変形させることないので、十分に塗布液を浸透することができる。
【0039】
上記形態の液体化粧料塗布具では、本発明の水系液体化粧料となるリキッドアイライナーやリキッドアイシャドの液体化粧料塗布具を例にして説明したが、これに限られるものではなく、眉毛にラインを描くアイブロー塗布具、肌にラインを描くことにも適用することができる。
また、上記形態の液体化粧料塗布具の液押圧機構として、図1に示す、回転式繰出タイプとなる塗布具を用いたが、ノック式繰出タイプとなる液体化粧料塗布具を用いても良いものである。
【0040】
このように構成される本発明の水系液体化粧料は、穂筆などの塗布部を有する塗布具に充填して、肌などの被塗布面上に塗布しても、板状顔料は重なることなく鮮明な光輝性の塗膜が容易に得られるなどの本発明の効果が効果的に発揮できることについては下記の作用効果等によるものと推測される。
本発明の水系液体化粧料によれば、沈降抑制されることで、容器中で光輝性顔料が重なることを防ぐため、塗布した描線でも光輝性顔料が重ならず、高い輝度感を発揮するものと推測される。従って、本発明の水系液体化粧料は、上記作用効果を有するので、アイライナーなどのアイメイク用等に好適に用いることができるものとなる。
【実施例0041】
以下に、本発明について、更に実施例、比較例を参照して詳しく説明する。なお、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0042】
〔実施例1~11、比較例1~8〕
下記表1及び2に示す配合処方で、ホモミキサーあるいはディスパーで混合分散して、各水系液体化粧料を調製した。
上記で得られた実施例1~11及び比較例1~8の各水系液体化粧料について、下記各測定方法、評価方法により、25℃での粘度、輝度感、上下差、筆記性について評価した。なお、これらの各水系液体化粧料のpHは、6.5~8.5の範囲であった。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0043】
〔粘度の測定方法〕
得られた各液体化粧料組成物について、温度25℃で、コーンプレート型粘度計(TV-30型粘度計のうち、ELD型粘度計、標準コーンプレート、トキメック社製)を用いて所定のずり速度(50rpm:191.5s-1)における粘度を測定した。
【0044】
〔輝度感の評価方法〕
図1に示す塗布具を用いて肌に塗り広げて下記試験方法で輝度感、上下差の輝度感、筆記性について評価した。
図1の各実施例等に用いる穂首は、φ0.05~0.3mmのポリブチレンテレフタレート製樹脂繊維を束ねものから構成される先細の筆体(穂筆)である。
この塗布具を用いて、肌に塗布し、目視で観察して下記評価基準にて輝度感について官能評価した。
評価基準:
◎:輝度感が高い。
○:輝度感がある。
△:輝度感が低い。
×:輝度感がほぼない。
【0045】
〔上下差の輝度感の評価方法〕
塗布具を上向きの状態で固定し、室温(25℃)下で1か月静置する。その後、上記光輝感と同様の方法により塗布し、輝度感があるか否かを目視で観察して下記評価基準にて光輝感について官能評価した。
評価基準:
◎:輝度感が高い。
○:輝度感がある。
△:輝度感が低い。
×:輝度感がほぼない。
【0046】
〔筆記性の評価方法〕
図1に示す塗布具を用いて、肌に塗布し、目視で観察して下記評価基準にて筆記性(塗布性)について官能評価した。
評価基準:
〇:液が均一に吐出され、均一に筆記(塗布)することができる。
△:液が均一に吐出されないため、筆記(塗布)箇所に不均一な箇所ができる。
×:液がほとんど吐出されないため、筆記(塗布)することができなかった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
上記表1及び表2中の*1~*8は、下記のとおりである。
*1:日本板硝子社製、平均粒子径30μm
*2:東洋アルミ社製、平均粒子径20μm
*3:クニピアF、クニミネ工業社製
*4:スメクトンSA、クニミネ工業社製
*5:セオラスRC-N30、旭化成社製
*6:シントランEX149PE、インターポリマー社製
*7:ヨドゾールGH800F、ヌーリオン・ジャパン社製
*8:フェノキシエタノールSP、四日市合成社製
【0050】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明をサポートする実施例1~11は、本発明の範囲外となる比較例1~8に較べ、上下差も無く、輝度感、筆記性に優れ、低粘度の液体中でも光輝性顔料の沈降が起こることなく、一定の濃度を保った塗布が容易にできる水系液体化粧料であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の水系液体化粧料は、リキッドアイライナー、リキッドアイシャド、眉毛にラインを描くアイブローなどに好適に使用することができる。
図1