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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013165
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】移動支援装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 21/00 20060101AFI20240124BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G09B21/00 D
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115151
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】野田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】池田 寛志
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA64
5E555AA74
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555BE08
5E555CA42
5E555DA23
5E555DA24
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】一般の路面に敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックを指標としてユーザに対する通知を行える移動支援装置を実現すること。
【解決手段】移動支援装置10は、撮像部22と、撮像部22から取得した撮像画像に基づく処理を実行する処理部30と、処理部30による処理の結果に基づいて通知を行う通知部40と、を備えている。処理部30は、視覚障がい者用誘導ブロックBを検出するブロック検出処理と、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設位置を把握するための基準点Sを導出する基準点導出処理と、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出する敷設方向導出処理とを実行する。通知部40は、敷設方向導出処理により導出された敷設方向を通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが移動する路面を含む撮像画像を取得可能な撮像部と、
前記撮像部から取得した前記撮像画像に基づく処理を実行する処理部と、
前記処理部による前記処理の結果に基づいて通知を行う通知部と、
を備えており、
前記処理部が、
前記撮像画像に含まれる視覚障がい者用誘導ブロックを検出するブロック検出処理と、
前記ブロック検出処理によって検出された前記視覚障がい者用誘導ブロックの少なくとも一部について、敷設位置を把握するための基準点を導出する基準点導出処理と、
前記基準点導出処理により導出された複数の前記視覚障がい者用誘導ブロックの前記基準点を結んで形成される線の延びる方向に基づいて、前記路面に並べて敷設されている前記視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を導出する敷設方向導出処理と、
を実行し、
前記通知部が、前記敷設方向導出処理により導出された前記敷設方向を通知すること、を特徴とする移動支援装置。
【請求項2】
前記基準点導出処理が、前記撮像画像において含まれる前記視覚障がい者用誘導ブロックを包含するバウンディングボックスの中心を前記基準点として導出するものであること、を特徴とする請求項1に記載の移動支援装置。
【請求項3】
ユーザが移動する路面を含む撮像画像を取得可能な撮像部と、
前記撮像部から取得した前記撮像画像に基づく処理を実行する処理部と、
前記処理部による前記処理の結果に基づいて通知を行う通知部と、
を備えており、
前記処理部が、
前記撮像画像において、隣接する二つ以上の視覚障がい者用誘導ブロックからなる視覚障がい者用誘導ブロック群を検出し、前記視覚障がい者用誘導ブロック群を包含するバウンディングボックスを形成するブロック群検出処理と、
前記ブロック群検出処理において形成された前記バウンディングボックスの形状に基づいて、前記路面に並べて敷設されている前記視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を導出する敷設方向導出処理と、
を実行し、
前記通知部が、前記敷設方向導出処理により導出された前記敷設方向を通知すること、を特徴とする移動支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されている音声案内装置付白杖のような移動支援装置が提供されている。特許文献1の音声案内装置付白杖は、白杖の先端部が、点字ブロックの任意の部分に接することで、カメラが、点字ブロックのコード化された点状突起を撮影し、画像データが制御部に送られるものとされている。また、特許文献1の音声案内装置付白杖においては、制御部が画像データと対応する音声データに変換してスピーカーに伝送し、スピーカーで音声データが音声に変換され、例えば、警告情報としての階段です、という音声が伝達されるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3208458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている音声案内装置付白杖のような移動支援装置においては、点字ブロックのコード化された点状突起を備えた点字ブロックが存在していることを前提として利用可能なものである。そのため、特許文献1に記載されている音声案内装置付白杖は、コード化された点状突起を備えた点字ブロックが設けられていない場所においては用をなさないという問題がある。従って、特許文献1に記載されている音声案内装置付白杖は、一般の路面に敷設されている点字ブロック等の視覚障がい者用誘導ブロックを指標として、ユーザの移動を支援するための通知を行えないという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、一般の路面に敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックを指標としてユーザに対する通知を行える移動支援装置の実現を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の移動支援装置は、ユーザが移動する路面を含む撮像画像を取得可能な撮像部と、前記撮像装置から取得した前記撮像画像に基づく処理を実行する処理部と、前記処理部による前記処理の結果に基づいて通知を行う通知部と、を備えており、前記処理部が、前記撮像画像に含まれる視覚障がい者用誘導ブロックを検出するブロック検出処理と、前記ブロック検出処理によって検出された前記視覚障がい者用誘導ブロックの少なくとも一部について、敷設位置を把握するための基準点を導出する基準点導出処理と、前記基準点導出処理により導出された複数の前記視覚障がい者用誘導ブロックの前記基準点を結んで形成される線の延びる方向に基づいて、前記路面に並べて敷設されている前記視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を導出する敷設方向導出処理と、を実行し、前記通知部が、前記敷設方向導出処理により導出された前記敷設方向を通知するものである。
【0007】
本発明の移動支援装置は、基準点導出処理を行うことにより、路面を含む撮像画像から検出された視覚障がい者用誘導ブロックの少なくとも一部について、敷設位置を把握するための基準点を導出できる。また、本発明の移動支援装置は、基準点導出処理によって導出された基準点を結んで形成される線の延びる方向に基づいて、路面における視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を導出することができる。本発明の移動支援装置は、このようにして導出された視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向をユーザに通知することにより、ユーザの移動を支援できる。従って、本発明の移動支援装置は、従来技術のように特別に準備された視覚障がい者用誘導ブロックを用いるのではなく、路面において一般的に敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックに基づいて、ユーザの移動を支援するための通知を行える。
【0008】
(2)本発明の移動支援装置は、前記基準点導出処理が、前記撮像画像において含まれる前記視覚障がい者用誘導ブロックを包含するバウンディングボックスの中心を前記基準点として導出するものであると良い。
【0009】
本発明の移動支援装置は、かかる構成とすることにより、視覚障がい者用誘導ブロックの位置を精度良く把握し、視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を適切に通知することができる。
【0010】
(3)本発明の移動支援装置は、前記基準点を結んで形成される複数の線が交差することを条件として、前記視覚障がい者用誘導ブロックが分岐をなすように並べて敷設されているとの判定を行う分岐判定処理を実行可能であり、前記通知部が、前記分岐判定処理による判定結果を通知可能なものであると良い。
【0011】
本発明の移動支援装置は、かかる構成とすることにより、視覚障がい者用誘導ブロックが分岐をなすように敷設されている場合に、分岐の存在を適切に把握して通知することができる。
【0012】
(4)本発明の移動支援装置は、ユーザが移動する路面を含む撮像画像を取得可能な撮像部と、前記撮像装置から取得した前記撮像画像に基づく処理を実行する処理部と、前記処理部による前記処理の結果に基づいて通知を行う通知部と、を備えており、前記処理部が、前記撮像画像において、隣接する二つ以上の視覚障がい者用誘導ブロックからなる視覚障がい者用誘導ブロック群を検出し、前記視覚障がい者用誘導ブロック群を包含するバウンディングボックスを形成するブロック群検出処理と、前記ブロック群検出処理において形成された前記バウンディングボックスの形状に基づいて、前記路面に並べて敷設されている前記視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を導出する敷設方向導出処理と、を実行し、前記通知部が、前記敷設方向導出処理により導出された前記敷設方向を通知するものであると良い。
【0013】
本発明の移動支援装置は、ブロック群検出処理を行うことにより、隣接する二つ以上の視覚障がい者用誘導ブロックを視覚障がい者用誘導ブロック群として検出し、バウンディングボックスを形成できる。また、本発明の移動支援装置は、敷設方向導出処理を実行することにより、バウンディングボックスの形状に基づいて、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を導出できる。本発明の移動支援装置は、このようにして導出された視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向をユーザに通知することにより、ユーザの移動を支援できる。従って、本発明の移動支援装置は、従来技術のように特別に準備された視覚障がい者用誘導ブロックを用いるのではなく、路面において一般的に敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックに基づいて、ユーザの移動を支援するための通知を行える。
【0014】
(5)本発明の移動支援装置は、前記バウンディングボックスのアスペクト比に基づいて、前記視覚障がい者用誘導ブロックが分岐をなすように並べて敷設されているか否かの判定を行う分岐判定処理を実行可能であり、前記通知部が、前記分岐判定処理による判定結果を通知可能なものであると良い。
【0015】
本発明の移動支援装置は、かかる構成とすることにより、視覚障がい者用誘導ブロックが分岐をなすように敷設されている場合に、バウンディングボックスのアスペクト比に基づいて分岐の存在を適切に把握して通知することができる。
【0016】
(6)本発明の移動支援装置は、前記バウンディングボックスのアスペクト比に基づいて、前記視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向についての判定を行う敷設方向導出処理を実行可能であり、前記通知部が、前記敷設方向導出処理による判定結果を通知可能なものであると良い。
【0017】
本発明の移動支援装置は、かかる構成とすることによりバウンディングボックスのアスペクト比に基づいて視覚障がい者用誘導ブロックの敷設方向を適切に把握して通知することができる。
【0018】
(7)本発明の移動支援装置は、前記撮像部が、ユーザが装着する端末に設けられ、前記端末をユーザが装着した状態において前記路面を含む前記撮像画像を取得可能なものであり、前記端末が、首又は肩に装着可能なウエアラブル端末によって構成されたものであると良い。
【0019】
本発明の移動支援装置は、かかる構成とすることにより、ユーザが負担を感じることなく撮像部によって路面を撮影しつつ使用可能なものとすることができる。
【0020】
(8)本発明の移動支援装置は、前記撮像部が、ユーザが装着する端末に設けられ、前記端末をユーザが装着した状態において前記路面を含む前記撮像画像を取得可能なものであり、前記端末が、眼鏡型のウエアラブル端末によって構成されたものであると良い。
【0021】
本発明の移動支援装置は、かかる構成とすることにより、ユーザが負担を感じることなく撮像部によって路面を撮影しつつ使用可能なものとすることができる。
【0022】
(9)本発明の移動支援装置は、前記撮像装置から取得した撮像画像に基づいて、前記ユーザの移動予測経路上の障害物の存在を検知して報知可能なものであると良い。
【0023】
本発明の移動支援装置は、かかる構成とすることにより、障害物の存在を検知してユーザに認識させることにより、ユーザの移動を適切に支援可能なものとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記課題を解決した移動支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る移動支援装置の斜視図である。
図2図1の移動支援装置の装置構成を示すブロック図である。
図3】第一実施形態に係る移動支援装置が敷設状態検出処理動作を行う際に形成されるバウンディングボックス、基準点、及び線を示す画像図である。
図4】第一実施形態に係る移動支援装置が敷設状態検出処理動作を行う際の動作を示すフローチャートである。
図5】第二実施形態に係る移動支援装置が敷設状態検出処理動作を行う際に形成されるバウンディングボックスを示す画像図である。
図6】第二実施形態に係る移動支援装置が敷設状態検出処理動作を行う際の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
≪第一実施形態≫
以下、本発明の第一実施形態に係る移動支援装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下左右等の位置関係については、特に断りのない限り、図示した姿勢を基準として説明する。
【0027】
図1に示した移動支援装置10は、視覚障がいを有するユーザの移動を支援するためのものである。図2に示すように、移動支援装置10は、大別して端末20、処理部30、通知部40を備えている。
【0028】
端末20は、ユーザが装着して使用するものである。端末20は、撮像部22やバッテリー24を具備している。撮像部22やバッテリー24は、端末20をなす筐体の内部に収容されている。端末20は、ユーザが負担を感じることなく、安定的に装着可能なものであると良い。例えば、端末20は、首又は肩に装着可能なウエアラブル端末や、眼鏡型のウエアラブル端末等とすると良い。図1に示す例では、端末20は、首に装着可能なウエアラブル端末とされている。また、端末20は、使用状態においてユーザの前方側の領域を撮影可能なように撮像部22を組み込んだものとされている。端末20は、バッテリー24を具備しており、バッテリー24から供給される電力によって撮像部22や処理部30、通知部40等の移動支援装置10を構成する各部を作動させることができる。
【0029】
処理部30は、端末20が備える撮像部22から取得した撮像画像に基づく処理を実行可能なものである。処理部30は、端末20をなす筐体の内部に収容されている。処理部30は、撮像画像に基づく処理として、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設状態を検出する処理(敷設状態検出処理)を実行可能なものとされている。敷設状態検出処理は、ブロック検出処理、基準点導出処理、敷設方向導出処理、及び分岐判定処理を実行することにより行われる。
【0030】
ブロック検出処理は、撮像画像に含まれる視覚障がい者用誘導ブロックBを検出するものである。ブロック検出処理においては、画像マッチング等の手法により、撮像画像において視覚障がい者用誘導ブロックBを包含するバウンディングボックスXを形成する処理が行われる(図3参照)。
【0031】
基準点導出処理は、ブロック検出処理によって検出された視覚障がい者用誘導ブロックBの少なくとも一部について、敷設位置を把握するための基準点Sを導出する処理である。図3に示すように、基準点導出処理においては、ブロック検出処理において形成されたバウンディングボックスXの中心を基準点Sとして導出する処理が行われる。
【0032】
敷設方向導出処理は、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出する処理である。図3に示すように、敷設方向導出処理においては、敷設位置導出処理により導出された複数の視覚障がい者用誘導ブロックBの基準点Sを結ぶことにより線Lが形成される。敷設方向導出処理においては、線Lの延びる方向を視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向として導出する処理が行われる。具体的には、図3(a)に示すように、線Lが縦方向に形成される場合、処理部30は、視覚障がい者用誘導ブロックBがユーザに対して前後方向に延びるように敷設されているものとして敷設方向を導出する。図3(a)に示すように、線Lが縦方向に形成される場合には、視覚障がい者用誘導ブロックBがユーザに対して前後方向に延びるように敷設されているものとして敷設方向を導出する。また、図3(b)に示すように、線Lが横方向に形成される場合、処理部30は、視覚障がい者用誘導ブロックBがユーザに対して左右方向に延びるように敷設されているものとして敷設方向を導出する。
【0033】
分岐判定処理は、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているか否かを判定するための処理である。分岐判定処理は、基準点Sを結んで形成される線Lが複数存在している場合に、線Lが交差することを条件として、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているとの判定を行う。具体的には、図3(c)、(d)に示すように、互いに交差する複数の線Lが存在ている場合、処理部30は、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているとの判定を行う。また、図3(c)に示すように、前後方向に延びる線Lに対して交差し、かつ左右に延びる線Lが存在している場合には、ユーザの前方において左右方向への分岐が存在しているとの判定を行う。また、図3(d)に示すように、前後方向に延びる線Lに対して交差し、かつ左右方向一方側(図示例では右側)に延びる線Lが存在している場合には、ユーザの前方において左右方向一方側(図示例では右側)に向かう分岐が存在しているとの判定を行う。
【0034】
処理部30は、撮像画像に基づく処理として、上述した視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設状態を検出するための処理に加えて、他の処理を行うものとすることができる。本実施形態では、処理部30は、撮像部22から取得した撮像画像に基づいて、ユーザの移動予測経路上の障害物の存在を検出する処理(障害物検出処理)を行う等して、ユーザの移動(歩行)を支援するうえで必要な情報(移動支援情報)を撮影画像に基づいて導出する処理を行う。
【0035】
通知部40は、処理部30による処理の結果に基づいてユーザの移動を支援する移動支援通知を行う。通知部40は、報知情報生成部42、出力部44を有する。
【0036】
報知情報生成部42は、通知部40により行われる移動支援通知に係る情報を生成する処理を行うものである。報知情報生成部42は、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設状態を知らせるための通知情報や、障害物の存在を通知する障害物存在通知等の通知情報を生成できる。
【0037】
具体的には、報知情報生成部42は、処理部30による敷設状態検出処理により取得された視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設状態に係る情報に基づいて、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向や、分岐に関する情報を知らせるための通知情報を生成する。さらに詳細には、報知情報生成部42は、処理部30により行われる敷設方向導出処理の結果に基づいて視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を知らせるための通知情報を生成する。また、報知情報生成部42は、分岐判定処理の結果に基づいて、視覚障がい者用誘導ブロックBの分岐が存在している場合に、その旨を知らせるための通知情報を生成する。これに加えて、報知情報生成部42は、障害物検出処理により、ユーザの移動予測経路上における障害物の存在が検出された場合に、障害物の存在を報知するための通知情報を生成する。
【0038】
出力部44は、報知情報生成部42により生成された通知情報を出力するためのものである。出力部44は、例えばスピーカーによって音声により通知情報を出力するもの、バイブレータによって振動により通知情報を出力するもの等とすることができる。本実施形態では、出力部44は、スピーカーによって音声により通知情報を出力可能なものとされている。
【0039】
上述した移動支援装置10は、図4に示したフローに則って視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設状態を検出する処理(敷設状態検出処理)を実行し、敷設状態についての報知を行う。以下、移動支援装置10により行われる敷設状態検出処理動作、及び報知について、図4を参照しつつ詳細に説明する。
【0040】
≪移動支援装置10の敷設状態検出処理動作に係る動作フロー≫
(ステップ1-1)
図4に示すように、移動支援装置10が敷設状態検出処理動作を行う場合には、先ずステップ1-1において撮像部22によりユーザの前方側の領域を撮影して撮像画像を取得する。その後、制御フローは、ステップ1-2に進められる。
【0041】
(ステップ1-2)
ステップ1-2において、処理部30は、撮像部22によって取得された撮像画像に係るデータ(撮像画像データ)に基づいて上述したブロック検出処理を行うことにより、視覚障がい者用誘導ブロックBを包含するバウンディングボックスXを形成する処理が行われる。バウンディングボックスXが形成されると、制御フローはステップ1-3に進められる。
【0042】
(ステップ1-3)
ステップ1-3において、処理部30は、上述した基準点導出処理により基準点Sを設定する処理を行う。具体的には、処理部30は、ステップ1-2において形成された複数のバウンディングボックスXについて、それぞれの中心を基準点Sとして設定する。基準点Sの設定が完了すると、制御フローはステップ1-4に進められる。
【0043】
(ステップ1-4)
ステップ1-4において、処理部30は、ステップ1-3において設定された複数の基準点Sを結ぶ線Lを導出する。線Lが形成されると、制御フローはステップ1-5に進められる。
【0044】
(ステップ1-5)
ステップ1-5において、処理部30は、線Lが1本以上存在しているか否かを確認する。ここで、線Lが1本以上存在している場合には、制御フローがステップ1-6に進められる。一方、線Lが存在していない場合には、撮像部22によって取得された撮像画像に視覚障がい者用誘導ブロックBが写っていない、あるいは視覚障がい者用誘導ブロックBが一つだけ写っている場合である。そのため、線Lが存在していない場合には、通知を行う必要がないため、制御フローが後述のステップ1-12に進められる。
【0045】
(ステップ1-6)
制御フローがステップ1-5からステップ1-6に進むと、処理部30は、線Lが2本以上存在しているか否かを確認する。ここで、線Lが2本以上存在している場合には、制御フローがステップ1-7に進められる。一方、線Lが2本以上存在していない場合、すなわち線Lが1本である場合には、制御フローがステップ1-10に進められる。
【0046】
(ステップ1-7)
制御フローがステップ1-7に進んだ場合には、線Lが2本以上存在している場合である。この場合、撮像部22によって取得された撮像画像において、視覚障がい者用誘導ブロックBが複数列に亘って略並行に敷設されている場合と、視覚障がい者用誘導ブロックBが交差し、分岐をなすように敷設されている場合とが想定される。そのため、制御フローがステップ1-7に進むと、処理部30は、線Lの交差の有無を確認する。ここで、線Lの交差が存在している場合には、制御フローがステップ1-8に進められ、線Lの交差が存在していない場合には、制御フローがステップ1-10に進められる。
【0047】
(ステップ1-8)
制御フローがステップ1-8に進んだ場合は、複数の線Lが交差をなすように存在している場合である。そのため、この場合には、撮像部22によって取得された撮像画像に写っている範囲内において、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように敷設されているものと想定される。そこで、処理部30は、線Lの交差状態に基づいて、分岐方向を導出する処理を行う。具体的には、図3(c)のような状態である場合には、処理部30は、左に向かって伸びる分岐が存在しているとの判定を行う。また、図3(d)のような状態である場合には、処理部30は、右に向かって伸びる分岐が存在しているとの判定を行う。
【0048】
(ステップ1-9)
制御フローがステップ1-9に進むと、分岐方向の通知が行われる。具体的には、ステップ1-9においては、通知部40の報知情報生成部42が、ステップ1-8において導出された分岐方向を通知するための通知情報を生成する。これに基づき、出力部44は、報知情報生成部42により生成された通知情報を出力し、分岐方向をユーザに通知する。ステップ1-9における通知が完了すると、制御フローがステップ1-1に戻される。
【0049】
(ステップ1-10)
一方、上述したステップ1-6において線Lが1本であると判断された場合や、ステップ1-7において2本以上の線Lが交差することなく存在していると判断された場合には、制御フローがステップ1-10に進められる。ステップ1-10においては、線Lの延びる方向を視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向として導出する処理が行われる。その後、制御フローがステップ1-11に進められる。
【0050】
(ステップ1-11)
制御フローがステップ1-11に進むと、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向の通知が行われる。具体的には、ステップ1-11においては、通知部40の報知情報生成部42が、ステップ1-10において導出された敷設方向を通知するための通知情報を生成する。これに基づき、出力部44は、報知情報生成部42により生成された通知情報を出力し、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向をユーザに通知する。ステップ1-11における通知が完了すると、制御フローがステップ1-1に戻される。
【0051】
(ステップ1-12)
一方、上述したステップ1-5において線Lが存在していないとの判定がなされた場合には、制御フローがステップ1-12に進められる。ここで上述したように、線Lが存在していない場合には、撮像部22によって取得された撮像画像に視覚障がい者用誘導ブロックBが写っていない、あるいは視覚障がい者用誘導ブロックBが一つだけ写っている場合である。そのため、線Lが存在していない場合には、通知を行う必要がない。そのため、制御フローがステップ1-12に進んだ場合には特段の通知を行うことなく、制御フローがステップ1-1に戻される。
【0052】
≪移動支援装置10による効果について≫
上述した移動支援装置10は、以下の(a)~(e)のような特徴的構成を備えている。そのため、移動支援装置10は、以下のような従来技術では達し得ない特有の効果を奏することができる。
【0053】
(a)本発明の一態様である移動支援装置10は、ユーザが移動する路面を含む撮像画像を取得可能な撮像部22と、撮像部22から取得した撮像画像に基づく処理を実行する処理部30と、処理部30による処理の結果に基づいて通知を行う通知部40と、を備えており、処理部30が、撮像画像に含まれる視覚障がい者用誘導ブロックBを検出するブロック検出処理と、ブロック検出処理によって検出された視覚障がい者用誘導ブロックBの少なくとも一部について、敷設位置を把握するための基準点Sを導出する基準点導出処理と、基準点導出処理により導出された複数の視覚障がい者用誘導ブロックBの基準点Sを結んで形成される線Lの延びる方向に基づいて、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出する敷設方向導出処理と、を実行し、通知部40が、敷設方向導出処理により導出された敷設方向を通知するものである。
【0054】
具体的には、移動支援装置10は、上述したステップ1-1において、撮像部22により、ユーザが移動する路面を含む撮像画像を取得可能である。また、移動支援装置10は、ステップ1-2、ステップ1-8、ステップ1-10において、処理部30が、撮像部22から取得した撮像画像に基づく処理を実行する。移動支援装置10は、ステップ1-9、ステップ1-11において、通知部40が処理部30による処理の結果に基づいて通知を行う。処理部30は、ステップ1-2において、撮像画像に含まれる視覚障がい者用誘導ブロックBを検出するブロック検出処理を行う。また、処理部30は、ステップ1-3において、ブロック検出処理によって検出された視覚障がい者用誘導ブロックBの少なくとも一部について、敷設位置を把握するための基準点Sを導出する基準点導出処理を行う。さらに、処理部30は、ステップ1-4において敷設位置導出処理により導出された複数の視覚障がい者用誘導ブロックBの基準点Sを結んで線Lを形成するとともに、ステップ1-10において線Lの延びる方向に基づいて、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出する処理(敷設方向導出処理)を実行する。移動支援装置10は、敷設方向導出処理により導出された敷設方向を通知部40によって通知するものとされている。
【0055】
本実施形態の移動支援装置10は、基準点導出処理を行うことにより、路面を含む撮像画像から検出された視覚障がい者用誘導ブロックBの少なくとも一部について、敷設位置を把握するための基準点Sを導出できる。また、移動支援装置10は、基準点導出処理によって導出された基準点Sを結んで形成される線Lの延びる方向に基づいて、路面における視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出することができる。移動支援装置10は、このようにして導出された視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向をユーザに通知することにより、ユーザの移動を支援できる。従って、移動支援装置10は、従来技術のように特別に準備された点字ブロック等を用いるのではなく、路面において一般的に敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBに基づいて、ユーザの移動を支援するための通知を行える。
【0056】
(b)上述した移動支援装置10は、基準点導出処理が、撮像画像において含まれる視覚障がい者用誘導ブロックBを包含するバウンディングボックスXの中心を基準点Sとして導出するものとされている。
【0057】
移動支援装置10は、上記(b)のような構成を採用しているため、視覚障がい者用誘導ブロックBの位置を精度良く把握し、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を適切に通知することができる。
【0058】
(c)上述した移動支援装置10は、基準点Sを結んで形成される複数の線Lが交差することを条件として、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているとの判定を行う分岐判定処理を実行可能であり、通知部40が、分岐判定処理による判定結果を通知可能なものとされている。
【0059】
具体的には、移動支援装置10は、上述したステップ1-7において2本以上存在している線Lが交差しているとの判定がなされることを条件として、処理部30が視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているとの判定を行う処理(分岐判定処理)を行い、ステップ1-9において判定結果を通知することとしている。
【0060】
また、本実施形態では、ステップ1-7において線Lが交差しているとの判定がなされた場合に、分岐が存在しているとの判定を行う処理(分岐判定処理)を行うだけではなく、ステップ1-8において分岐方向を導出する処理を行うこととしている。そのため、本実施形態の移動支援装置10は、ステップ1-9において、通知部40により、分岐の存在だけでなく、分岐の方向まで通知することができる。
【0061】
移動支援装置10は、上記(c)のような構成とすることにより、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように敷設されている場合に、分岐の存在を適切に把握して通知することができる。
【0062】
(d)上述した移動支援装置10は、撮像部22が、ユーザが装着する端末20に設けられ、端末20をユーザが装着した状態において路面を含む撮像画像を取得可能なものであり、端末20が、首又は肩に装着可能なウエアラブル端末によって構成されたものとされている。
【0063】
移動支援装置10は、上記(d)のような構成とすることにより、ユーザが負担を感じることなく撮像部22によって路面を撮影しつつ使用可能なものとすることができる。
【0064】
(e)上述した移動支援装置10は、撮像部22から取得した撮像画像に基づいて、ユーザの移動予測経路上の障害物の存在を検知して報知可能なものとされている。
【0065】
移動支援装置10は、上記(e)のような構成とすることにより、障害物の存在を検知してユーザに認識させ、ユーザの移動を適切に支援可能なものとすることができる。
【0066】
なお、上述した移動支援装置10は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜構成を変更することが可能である。例えば、移動支援装置10は、上述した(a)~(e)に係る全ての構成を備えたものに限らず、これらの構成のいずれかを省略したり、他の構成に置換したりしたものとすることも可能である。
【0067】
具体的には、移動支援装置10は、上記(b)のように、基準点導出処理により、撮像画像において含まれる視覚障がい者用誘導ブロックBを包含するバウンディングボックスXの中心を基準点Sとして導出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動支援装置10は、バウンディングボックスXの角部など、適宜の位置を基準点Sとして導出するものとすることも可能である。
【0068】
移動支援装置10は、上記(c)のように、分岐判定処理を実行可能なものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動支援装置10は、分岐判定処理を実行しないものや、他の方法により分岐の有無や方向を判定するものとすることも可能である。
【0069】
また、上記実施形態では、ステップ1-7において線Lの交差の有無に基づいて分岐の存在を判定するだけではなく、ステップ1-8において分岐方向を導出する処理も行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動支援装置10は、ステップ1-8を省略し、ステップ1-9において分岐の方向を通知する代わりに、分岐が存在していることを通知するようにすることも可能である。
【0070】
移動支援装置10は、上記(d)のように、首又は肩に装着可能なウエアラブル端末を端末20とし、この端末20に撮像部22を設けることにより、端末20をユーザが装着した状態において路面を含む撮像画像を取得可能なものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、本実施形態の移動支援装置10は、例えば端末20が眼鏡型のウエアラブル端末によって構成されるものとすると良い。移動支援装置10は、かかる構成とすることによっても、ユーザが負担を感じることなく使用可能なものとすることができる。
【0071】
本実施形態の移動支援装置10は、上記(e)のように、撮像部22から取得した撮像画像に基づいて、ユーザの移動予測経路上の障害物の存在を検知して報知可能なものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動支援装置10は、撮像部22から取得した撮像画像に代えて、あるいはこれに加えて、例えば各種のセンサ類によって障害物の存在を検知して報知可能なものとしたもの等とすることも可能である。また、移動支援装置10は、ユーザの移動予測経路上の障害物の存在を検知して報知する機能を備えていないものとすることも可能である。
【0072】
≪第二実施形態≫
続いて、第二実施形態に係る移動支援装置100について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、第二実施形態に係る移動支援装置100において上述した第一実施形態の移動支援装置10と共通する構成については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0073】
移動支援装置100は、視覚障がいを有するユーザの移動を支援するためのものである。移動支援装置100は、上述した移動支援装置10と同様に端末20、処理部130、通知部40を備えている。移動支援装置100は、端末20及び通知部40について移動支援装置10と同様の構成とされている一方で、処理部130については上述した処理部30と実行できる処理の内容が一部相違している。
【0074】
具体的には、処理部130は、端末20が備える撮像部22から取得した撮像画像に基づく処理を実行可能なものである。処理部130は、端末20をなす筐体の内部に収容されている。処理部130は、上述した処理部30と同様に、撮像画像に基づく処理として、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設状態を検出する処理(敷設状態検出処理)を実行可能なものとされている。敷設状態検出処理は、ブロック群検出処理、敷設方向導出処理、分岐判定処理を実行することにより敷設状態検出処理を実行可能なものとされている。
【0075】
ブロック群検出処理は、撮像画像において、隣接する二つ以上の視覚障がい者用誘導ブロックBからなる視覚障がい者用誘導ブロック群Gを検出する処理である。図5に示すように、ブロック群検出処理を行うことにより、視覚障がい者用誘導ブロック群Gを包含するバウンディングボックスYが形成される。
【0076】
敷設方向導出処理は、ブロック群検出処理において形成された視覚障がい者用誘導ブロック群Gを包含するバウンディングボックスYの形状に基づいて、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出する処理である。図5(a)に示すように、撮像画像中において、バウンディングボックスYが縦長の形状(上下方向に長い形状)に形成される場合には、視覚障がい者用誘導ブロックBがユーザに対して前後方向に視覚障がい者用誘導ブロックBが敷設されているとの判定が行われる。図5(b)に示すように、撮像画像中において、バウンディングボックスYが横長の形状(左右方向に長い形状)に形成される場合には、視覚障がい者用誘導ブロックBがユーザに対して左右方向に視覚障がい者用誘導ブロックBが敷設されているとの判定が行われる。
【0077】
本実施形態では、処理部130は、バウンディングボックスYの縦方向の長さ及び横方向の長さの比であるアスペクト比r(r=(縦方向の長さ)/(横方向の長さ))に基づいて視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向の判定を行う。具体的には、処理部130は、アスペクト比rが第一の基準値r1(r1>1)よりも大きい場合にユーザに対して前後方向に視覚障がい者用誘導ブロックBが敷設されているとの判定を行うものとされている。また、処理部130は、アスペクト比rが第二の基準値r2(r2<1)よりも小さい場合にユーザに対して左右方向に視覚障がい者用誘導ブロックBが敷設されているとの判定を行う。
【0078】
分岐判定処理は、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているか否かを判定するための処理である。処理部130は、バウンディングボックスYの形状に基づいて分岐判定処理を行うことができる。具体的には、処理部130は、バウンディングボックスYのアスペクト比rに基づいて、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているか否かの判定を行うことができる。さらに詳細には、処理部130は、アスペクト比rが第二の基準値r2(r2<1)以上、かつ、第一の基準値r1(r1>1)以下の範囲にある場合、すなわちr2≦r≦r1の関係が成立する場合には、図5(c)や図5(d)のように視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているとの判定を行う。
【0079】
上述した移動支援装置100は、図6に示したフローに則って視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設状態を検出する処理(敷設状態検出処理)を実行し、敷設状態についての報知を行う。以下、移動支援装置100により行われる敷設状態検出処理動作、及び報知について、図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0080】
≪移動支援装置100の敷設状態検出処理動作に係る動作フロー≫
(ステップ2-1)
図6に示すように、移動支援装置100が敷設状態検出処理動作を行う場合には、先ずステップ2-1において撮像部22によりユーザの前方側の領域を撮影して撮像画像を取得する。その後、制御フローは、ステップ2-2に進められる。
【0081】
(ステップ2-2)
制御フローがステップ2-2に進むと、ステップ2-1において取得された撮像画像に係るデータ(撮像画像データ)に基づいて上述したブロック検出処理を行うことにより、複数の視覚障がい者用誘導ブロックBからなる視覚障がい者用誘導ブロック群Gを包含するバウンディングボックスYを形成する処理が行われる。バウンディングボックスYが形成されると、制御フローはステップ2-3に進められる。
【0082】
(ステップ2-3)
ステップ2-3において、処理部130は、バウンディングボックスYのアスペクト比rを導出する処理を行う。その後、制御フローは、ステップ2-4に進められる。
【0083】
(ステップ2-4)
ステップ2-4において、処理部130は、アスペクト比rが第二の基準値r2以上であって、第二の基準値r2以下の範囲(r2≦r≦r1)にあるか否かの判定を行う。その結果、アスペクト比rがr2≦r≦r1の関係を満足する場合には、制御フローがステップ2-5に進められる。一方、アスペクト比rがr2≦r≦r1の関係を満足しない場合には、制御フローがステップ2-6に進められる。
【0084】
(ステップ2-5)
制御フローがステップ2-5に進んだ場合には、アスペクト比rがr2≦r≦r1の関係を満足する状態にあるため、ユーザの前方において視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設された状態にある。そのため、ステップ2-5においては、通知部40の報知情報生成部42が、ユーザの前方に視覚障がい者用誘導ブロックBの分岐が存在していることを通知するための通知情報を生成する。これに基づき、出力部44は、報知情報生成部42により生成された通知情報を出力し、分岐の存在をユーザに通知する。ステップ2-5における通知が完了すると、制御フローがステップ2-1に戻される。
【0085】
(ステップ2-6)
一方、制御フローが上述したステップ2-4からステップ2-6に進んだ場合には、アスペクト比rが第二の基準値r2以上であって、アスペクト比rが第一の基準値r1(r1>1)よりも大きいか否かの判定を行う。ここで、アスペクト比rが第一の基準値r1よりも大きいと判定された場合には、制御フローがステップ2-7に進められる。一方、アスペクト比rが第一の基準値r1よりも小さい場合は、制御フローがステップ2-8に進められる。
【0086】
(ステップ2-7)
制御フローがステップ2-7に進んだ場合には、アスペクト比rが第一の基準値r1よりも大きいため、バウンディングボックスYが縦長であり、視覚障がい者用誘導ブロックBが縦方向(ユーザに対して前後方向)に並ぶように敷設されている。そのため、制御フローがステップ2-7に進むと、通知部40の報知情報生成部42により、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向が縦方向であることを通知するための通知情報を生成する。これに基づき、出力部44は、視覚障がい者用誘導ブロックBが縦方向に敷設されていることをユーザに通知するための出力を行う。ステップ2-7における通知が完了すると、制御フローがステップ2-1に戻される。
【0087】
(ステップ2-8)
一方、制御フローがステップ2-8に進んだ場合は、ステップ2-4においてアスペクト比rがr2≦r≦r1の関係を満足せず、かつ、ステップ2-6においてr>r1の関係を満足しないと判定された状態にある。すなわち、制御フローがステップ2-8に進んだ場合は、バウンディングボックスYのアスペクト比rが、r<r2の関係にあり、視覚障がい者用誘導ブロックBが横方向に敷設されている状態にある。そのため、制御フローがステップ2-8に進むと、通知部40の報知情報生成部42により、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向が横方向であることを通知するための通知情報を生成する。これに基づき、出力部44は、視覚障がい者用誘導ブロックBが横方向に敷設されていることをユーザに通知するための出力を行う。ステップ2-8における通知が完了すると、制御フローがステップ2-1に戻される。
【0088】
≪移動支援装置100による効果について≫
上述した移動支援装置100は、以下の(f)~(h)のような特徴的構成を備えている。そのため、移動支援装置100は、以下のような従来技術では達し得ない特有の効果を奏することができる。
【0089】
(f)本発明の一態様である第二実施形態の移動支援装置100は、ユーザが移動する路面を含む撮像画像を取得可能な撮像部22と、撮像部22から取得した撮像画像に基づく処理を実行する処理部130と、処理部130による処理の結果に基づいて通知を行う通知部40と、を備えており、処理部130が、撮像画像において、隣接する二つ以上の視覚障がい者用誘導ブロックBからなる視覚障がい者用誘導ブロック群Gを検出し、視覚障がい者用誘導ブロック群Gを包含するバウンディングボックスYを形成するブロック群検出処理と、ブロック群検出処理において形成されたバウンディングボックスYの形状に基づいて、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出する敷設方向導出処理と、を実行し、通知部40が、敷設方向導出処理により導出された敷設方向を通知するものとされている。
【0090】
移動支援装置100は、上述したステップ2-2のように、ブロック群検出処理を行うことにより、隣接する二つ以上の視覚障がい者用誘導ブロックBを視覚障がい者用誘導ブロック群として検出し、バウンディングボックスYを形成できる。また、移動支援装置100は、ステップ2-3やステップ2-4、ステップ2-6に係る処理を経て敷設方向導出処理を実行することにより、バウンディングボックスYの形状に基づいて、路面に並べて敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を導出できる。移動支援装置100は、このようにして導出された視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向をユーザに通知することにより、ユーザの移動を支援できる。従って、移動支援装置100は、従来技術のように特別に準備された視覚障がい者用誘導ブロックBを用いるのではなく、路面において一般的に敷設されている視覚障がい者用誘導ブロックBに基づいて、ユーザの移動を支援するための通知を行える。
【0091】
(g)上述した移動支援装置100は、バウンディングボックスYのアスペクト比rに基づいて、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように並べて敷設されているか否かの判定を行う分岐判定処理を実行可能であり、通知部40が、分岐判定処理による判定結果を通知可能なものとされている。
【0092】
移動支援装置100は、上記(g)のような構成とすることにより、視覚障がい者用誘導ブロックBが分岐をなすように敷設されている場合に、バウンディングボックスXのアスペクト比rに基づいて分岐の存在を適切に把握して通知することができる。
【0093】
(h)上述した移動支援装置100は、バウンディングボックスYのアスペクト比rに基づいて、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向についての判定を行う敷設方向導出処理を実行可能であり、通知部40が、敷設方向導出処理による判定結果を通知可能なものとされている。
【0094】
移動支援装置100は、上記(h)のような構成とすることにより、バウンディングボックスYのアスペクト比rに基づいて視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方向を適切に把握して通知することができる。
【0095】
移動支援装置100は、上述した第一実施形態の移動支援装置10と同様の構成を備えている。具体的には、移動支援装置10は、上記(d)や上記(e)のような構成を備えている。そのため、移動支援装置100は、移動支援装置10と同様に上記(d)や上記(e)のような構成による効果を奏することができる。
【0096】
なお、上述した移動支援装置100は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜構成を変更することが可能である。例えば、移動支援装置100は、上述した(f)~(h)に係る全ての構成を備えたものに限らず、これらの構成のいずれかを省略したり、他の構成に置換したりしたものとすることも可能である。
【0097】
具体的には、上述した第二実施形態においては、敷設方向導出処理において、バウンディングボックスYの形状をアスペクト比rに基づいて把握し、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方法を導出するものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動支援装置100は、上記(f)のようにバウンディングボックスYの形状を把握し、視覚障がい者用誘導ブロックBの敷設方法を導出するものであれば良く、アスペクト比rに基づいた判定方法とは異なる方法によってバウンディングボックスYの形状を把握して、敷設状態を導出するようにすることも可能である。
【0098】
上述した移動支援装置100は、上記(g)や(h)のようにバウンディングボックスYのアスペクト比rに基づいて分岐判定処理や敷設方向についての判定を行うものに限定されず、他の方法によって分岐判定処理や敷設方向の判定を実行するものでも良い。
【0099】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、視覚障がい者用誘導ブロックの敷設状態に基づいて移動支援を行う移動支援装置全般において好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0101】
10 :移動支援装置
20 :端末
22 :撮像部
30 :処理部
40 :通知部
100 :移動支援装置
130 :処理部
B :者用誘導ブロック
G :者用誘導ブロック群
S :基準点
X :バウンディングボックス
Y :バウンディングボックス
r :アスペクト比
図1
図2
図3
図4
図5
図6