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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131652
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/237 20180101AFI20240920BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20240920BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20240920BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240920BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/249
F21S43/241
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:55
F21W103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042053
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一貴
(72)【発明者】
【氏名】今関 規文
(57)【要約】
【課題】一方の導光体から他方の導光体へと光の一部を導く構成において、一方側からのみ光の一部を導き、点灯時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】第1の光源2A及び第2の光源2Bと、第1の光源2Aから出射された第1の光L1を導光させる第1の導光体3Aと、第2の光源2Bから出射された第2の光L2を導光させる第2の導光体3Bとを備え、第1の導光体3Aは、棒状の第1の導光部31と、第1の導光部31の基端側に位置する第1の入射部32と、第1の導光部31の内部で導光される第1の光L1の一部を第1の導光部31の外部へと出射する分岐出射部42とを有し、第2の導光体3Bは、棒状の第2の導光部35と、第2の導光部35の基端側に位置する第2の入射部36と、分岐出射部42から出射された第1の光L1を第2の導光部35の内部へと入射する分岐入射部44とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源及び第2の光源と、
前記第1の光源から出射された第1の光を導光させる第1の導光体と、
前記第2の光源から出射された第2の光を導光させる第2の導光体とを備え、
前記第1の導光体は、棒状の第1の導光部と、前記第1の導光部の基端側に位置して、前記第1の光源から出射した前記第1の光を前記第1の導光部の内部へと入射する第1の入射部と、前記第1の導光部の内部で導光される前記第1の光の一部を前記第1の導光部の外部へと出射する分岐出射部とを有し、
前記第2の導光体は、棒状の第2の導光部と、前記第2の導光部の基端側に位置して、前記第2の光源から出射した前記第2の光を前記第2の導光部の内部へと入射する第2の入射部と、前記分岐出射部から出射された前記第1の光を前記第2の導光部の内部へと入射する分岐入射部とを有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1の導光体は、前記第1の導光部から前記第2の導光部の先端側に向けて分岐した第1の分岐部を有し、
前記分岐出射部は、前記第1の分岐部の先端側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2の導光体は、前記第2の導光部から前記第1の導光部の基端側に向けて分岐した第2の分岐部を有し、
前記分岐入射部は、前記第2の分岐部の先端側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記分岐出射部と前記分岐入射部とが互いに向かい合った状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて前記第1の光及び前記第2の光を出射することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1の光源と前記第2の光源との間に設けられて、前記第1の光源と前記第2の光源との間を遮光する遮光部材を備えることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第1の導光体は、前記第1の導光部の背面側に位置して、前記第1の導光部の先端側に向かって導光される第1の光を前記第1の導光部の正面側に向けて反射する第1の反射部と、前記第1の導光部の正面側に位置して、前記第1の反射部により反射された第1の光を前記第1の導光部の外部へと出射することにより発光する第1の出射部とを有し、
前記第2の導光体は、前記第2の導光部の背面側に位置して、前記第2の導光部の先端側に向かって導光される第2の光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する第2の反射部と、前記第2の導光部の正面側に位置して、前記第2の反射部により反射された第2の光を前記第2の導光部の外部へと出射することにより発光する第2の出射部とを有し、
前記分岐入射部から前記第2の導光体の内部に入射した第1の光は、前記第2の反射部により反射された後、前記第2の出射部から前記第2の導光部の外部へと出射されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第2の光源を点灯することによって、テールランプとして前記第1の出射部及び前記第2の出射部を赤色発光させた状態から、
前記第1の光源を点灯することによって、ストップランプとして前記第1の出射部及び前記第2の出射部を赤色発光させた状態へと切り替わることを特徴とする請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第2の光源を点灯することによって、テールランプとして前記第2の出射部を赤色発光させた状態から、
前記第1の光源及び前記第2の光源を点灯することによって、ストップランプとして前記第1の出射部及び前記第2の出射部を赤色発光させた状態へと切り替わることを特徴とする請求項7に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、棒状の導光体(導光棒)とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側に設けられた入射面から導光体の内部へと入射し、導光体の内部で反射を繰り返しながら、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から導光体の外部へと出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光面を発光させることが可能となっている。
【0004】
また、車両用灯具の中には、別々の発光面によりテールランプとブレーキランプとを構成するリアコンビネーションランプにおいて、発光面の発光ムラを抑制するため、それぞれの発光面を形成する導光体の隣り合うもの同士の間で光を通過させるものがある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-220195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した導光体を備えた車両用灯具では、ブレーキランプの法規的な発光面積を満たすために、ブレーキランプの点灯時にテールランプも同時点灯させ、ブレーキランプの一部とすることが行われている。
【0007】
しかしながら、上述した一方の導光体から他方の導光体へと光の一部を導く構成では、テールランプのみを点灯させた場合に、ブレーキランプ側の導光体へ光の一部を導いてしまうことから、テールランプとブレーキランプとが同時に点灯してしまい、意図しない発光面が発光してしまうことから、点灯時の見栄えが悪くなる。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、一方の導光体から他方の導光体へと光の一部を導く構成において、一方側からのみ光の一部を導き、点灯時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 第1の光源及び第2の光源と、
前記第1の光源から出射された第1の光を導光させる第1の導光体と、
前記第2の光源から出射された第2の光を導光させる第2の導光体とを備え、
前記第1の導光体は、棒状の第1の導光部と、前記第1の導光部の基端側に位置して、前記第1の光源から出射した前記第1の光を前記第1の導光部の内部へと入射する第1の入射部と、前記第1の導光部の内部で導光される前記第1の光の一部を前記第1の導光部の外部へと出射する分岐出射部とを有し、
前記第2の導光体は、棒状の第2の導光部と、前記第2の導光部の基端側に位置して、前記第2の光源から出射した前記第2の光を前記第2の導光部の内部へと入射する第2の入射部と、前記分岐出射部から出射された前記第1の光を前記第2の導光部の内部へと入射する分岐入射部とを有することを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記第1の導光体は、前記第1の導光部から前記第2の導光部の先端側に向けて分岐した第1の分岐部を有し、
前記分岐出射部は、前記第1の分岐部の先端側に位置することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第2の導光体は、前記第2の導光部から前記第1の導光部の基端側に向けて分岐した第2の分岐部を有し、
前記分岐入射部は、前記第2の分岐部の先端側に位置することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記分岐出射部と前記分岐入射部とが互いに向かい合った状態で配置されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて前記第1の光及び前記第2の光を出射することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記第1の光源と前記第2の光源との間に設けられて、前記第1の光源と前記第2の光源との間を遮光する遮光部材を備えることを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記第1の導光体は、前記第1の導光部の背面側に位置して、前記第1の導光部の先端側に向かって導光される第1の光を前記第1の導光部の正面側に向けて反射する第1の反射部と、前記第1の導光部の正面側に位置して、前記第1の反射部により反射された第1の光を前記第1の導光部の外部へと出射することにより発光する第1の出射部とを有し、
前記第2の導光体は、前記第2の導光部の背面側に位置して、前記第2の導光部の先端側に向かって導光される第2の光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する第2の反射部と、前記第2の導光部の正面側に位置して、前記第2の反射部により反射された第2の光を前記第2の導光部の外部へと出射することにより発光する第2の出射部とを有し、
前記分岐入射部から前記第2の導光体の内部に入射した第1の光は、前記第2の反射部により反射された後、前記第2の出射部から前記第2の導光部の外部へと出射されることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記第2の光源を点灯することによって、テールランプとして前記第1の出射部及び前記第2の出射部を赤色発光させた状態から、
前記第1の光源を点灯することによって、ブレーキランプとして前記第1の出射部及び前記第2の出射部を赤色発光させた状態へと切り替わることを特徴とする前記〔7〕に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記第2の光源を点灯することによって、テールランプとして前記第2の出射部を赤色発光させた状態から、
前記第1の光源及び前記第2の光源を点灯することによって、ブレーキランプとして前記第1の出射部及び前記第2の出射部を赤色発光させた状態へと切り替わることを特徴とする前記〔7〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、一方の導光体から他方の導光体へと光の一部を導く構成において、一方側からのみ光の一部を導き、点灯時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具が備えるテールランプ及びブレーキランプの構成を示す正面図である。
図2】テールランプ及びブレーキランプを構成する第1の導光体及び第2の導光体の要部を拡大した斜視図である。
図3】テールランプ及びブレーキランプの構成を示す模式図である。
図4】テールランプの点灯時における第1の光の光路を示す模式図である。
図5】ブレーキランプの点灯時における第2の光の光路を示す模式図である。
図6】テールランプ及びブレーキランプの変形例を示す模式図である。
図7】テールランプ及びブレーキランプの変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0013】
本発明の一実施形態として、例えば図1図7に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、車両用灯具1が備えるテールランプTLL及びブレーキランプBRLの構成を示す正面図である。図2は、テールランプTLL及びブレーキランプBRLを構成する第1の導光体及び第2の導光体の要部を拡大した斜視図である。図3は、テールランプTLL及びブレーキランプBRLの構成を示す模式図である。図4は、テールランプTLLの点灯時における第1の光L1の光路を示す模式図である。図5は、ブレーキランプBRLの点灯時における第2の光L2の光路を示す模式図である。図6は、テールランプTLL及びブレーキランプBRLの変形例を示す模式図である。図7は、テールランプTLL及びブレーキランプBRLの変形例を示す模式図である。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0015】
本実施形態の車両用灯具1は、図1に示すように、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部(本実施形態では左後端側のコーナー部)に搭載されるリアコンビネーションランプRCLのうち、テールランプTLL及びブレーキランプBRLを構成するものである。
【0016】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0017】
具体的に、この車両用灯具1は、灯体10と、この灯体10の内側に配置された、第1の光源2A及び第2の光源2Bを含む光源ユニット20と、棒状の第1の導光体3A及び第2の導光体3Bを含む導光部30とを有している。
【0018】
灯体10は、正面(前面)が開口したハウジング11と、このハウジング11の開口を覆う透明なアウターレンズ(図示せず。)とにより構成されている。また、灯体10は、車両の後端側の両コーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の中央部から両端部に向かって湾曲した形状を有している。なお、灯体10の形状については、このような湾曲した形状に限らず、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0019】
光源ユニット20は、交換(取替)可能なカプラー付ソケットを構成するものであり、ハウジング11(灯体10)の背面(後面)側に設けられた取付孔(図示せず。)から、その正面(前面)側を灯体10の内側に挿入した状態で、取付孔の周囲に着脱自在に取り付けることが可能となっている。
【0020】
光源ユニット20は、互いに隣り合う第1の光源2A及び第2の光源2Bと、第1の光源2A及び第2の光源2Bが実装された回路基板21と、回路基板21と熱的に接続されたヒートシンク22と、回路基板21と電気的に接続されたコネクタ部23とを有している。
【0021】
第1の光源2A及び第2の光源2Bは、それぞれ赤色光(以下、「光」という。)L1,L2を発する少なくとも1つ又は複数(本実施形態では各光源2A,2Bに対して1つずつ)の発光素子24a,24bを有している。
【0022】
発光素子24a,24bは、例えばLEDからなり、このLEDを駆動する駆動回路(図示せず。)が設けられた回路基板21の面上に実装されて、正面側に向けて光L1,L2を放射状に出射する。すなわち、第1の光源2Aと第2の光源2Bとは、同じ回路基板21の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて光L1,L2を出射する。
【0023】
また、複数の発光素子24a,24bのうち、第1の光源2Aを構成する第1の発光素子24aが第1の光L1を出射し、第2の光源2Bを構成する第2の発光素子24bが第2の光L2を出射する。
【0024】
導光部30は、図1図2及び図3に示すように、第1の光源2Aから出射された第1の光L1を導光させる第1の導光体3Aと、第2の光源2Bから出射された第2の光L2を導光させる第2の導光体3Bとを有している。
【0025】
第1の導光体3A及び第2の導光体3Bは、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの長尺棒状の光透過性部材からなる。また、第1の導光体3A及び第2の導光体3Bは、その軸線方向とは直交する方向の断面(以下、「鉛直断面」という。)において、1つの円の外形を基調とした断面形状を有している。
【0026】
第1の導光体3Aは、全体として棒状を為す第1の導光部31と、第1の導光部31の基端側に位置する第1の入射部32と、第1の導光部31の背面側に位置する第1の反射部33と、第1の導光部31の正面側に位置する第1の出射部34とを有している。
【0027】
第2の導光体3Bは、全体として棒状を為す第2の導光部35と、第2の導光部35の基端側に位置する第2の入射部36と、第2の導光部35の背面側に位置する第2の反射部37と、第2の導光部35の正面側に位置する第2の出射部38とを有している。
【0028】
第1の導光部31は、第1の反射部33及び第1の出射部34が設けられた第1の延長部31aと、第1の延長部31aと第1の入射部32との間で湾曲した第1の湾曲部31bとを有している。
【0029】
また、第1の導光部31のうち、第1の延長部31aは、第1の光L1により発光する発光部を構成し、第1の湾曲部31bは、第1の光L1により発光しない助走部を構成している。なお、助走部については、第1の湾曲部31bのような湾曲した形状に必ずしも限定されるものではない。
【0030】
第2の導光部35は、第2の反射部37及び第2の出射部38が設けられた第2の延長部35aと、第2の延長部35aと第2の入射部36との間で湾曲した第2の湾曲部35bとを有している。
【0031】
また、第2の導光部35のうち、第2の延長部35aは、第2の光L2により発光する発光部を構成し、第2の湾曲部35bは、第2の光L2により発光しない助走部を構成している。なお、助走部については、第2の湾曲部35bのような湾曲した形状に必ずしも限定されるものではない。
【0032】
第1及び第2の延長部31a,35aは、互いに並行しながら、車幅方向に延在し、且つ、車両の後端側の両コーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって湾曲した形状を有している。なお、本実施形態では、第1の延長部31aよりも第2の延長部35aが上方に位置している。
【0033】
第1及び第2の湾曲部31b,35bは、第1及び第2の光源2A,2Bと対向する位置から第1及び第2の延長部31a,35aに向かって湾曲した形状を有している。
【0034】
なお、第1及び第2の導光部31,35の形状については、このような形状に必ずしも限定されるものではなく、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。例えば、灯体10内に配置される第1及び第2の光源2A,2B(光源ユニット20)の場所や向きに応じて、第1及び第2の光源2A,2Bから第1及び第2の延長部31a,35aに至る第1及び第2の湾曲部31b,35bの形状を適宜変更することが可能である。
【0035】
第1の入射部32は、第1の光源2Aと対向する平坦(平面)な第1の入射面32aを有して、第1の光源2Aから出射された第1の光L1を第1の入射面32aから第1の導光部31の内部へと入射する。これにより、第1の入射部32から入射した第1の光L1は、第1の導光部31の内部で反射を繰り返しながら、第1の導光部31の先端側に向けて導光されることになる。
【0036】
第2の入射部36は、第2の光源2Bと対向する平坦(平面)な第2の入射面36aを有して、第2の光源2Bから出射された第2の光L2を第2の入射面36aから第2の導光部35の内部へと入射する。これにより、第2の入射部36から入射した第2の光L2は、第2の導光部35の内部で反射を繰り返しながら、第2の導光部35の先端側に向けて導光されることになる。
【0037】
なお、第1及び第2の入射部32,36については、上述した平坦(平面)な第1及び第2の入射面32a,36aを有する構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、第1及び第2の光源2A,2Bから放射状に出射された第1及び第2の光L1,L2を平行化又は集光しながら、第1及び第2の導光部31,35の内部へと入射するレンズ形状を有する構成であってもよい。
【0038】
第1の反射部33は、第1の延長部31aの背面側に複数の第1の反射カット33aを有して、これら複数の第1の反射カット33aにより第1の導光部31の内部で導光される第1の光L1を第1の延長部31aの正面側に向けて反射する。
【0039】
第2の反射部37は、第2の延長部35aの背面側に複数の第2の反射カット37aを有して、これら複数の第2の反射カット37aにより第2の導光部35の内部で導光される第2の光L2を第2の延長部35aの正面側に向けて反射する。
【0040】
第1及び第2の反射カット33a,37aは、第1及び第2の導光部31,35の背面側に入射した第1及び第2の光L1,L2を第1及び第2の導光部31,35の正面側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。
【0041】
本実施形態では、例えば、第1及び第2の導光部31,35の背面側を第1及び第2の導光部31,35の軸線方向とは直交する鉛直方向(本実施形態では上下方向)に切り欠く断面略三角形状の第1及び第2の反射カット33a,37aが第1及び第2の導光部31,35の軸線方向(本実施形態では左右方向)に並ぶことによって構成されている。
【0042】
また、本実施形態では、第1及び第2の反射カット33a,37aの隣り合う間隔が等しくなっている。一方、第1及び第2の反射カット33a,37aは、後述する第1及び第2の出射部34,38をより均一に発光させるため、第1及び第2の導光部31,35の基端側から先端側に向かって、第1及び第2の反射カット33a,37aの隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよく、若しくは、第1及び第2の反射カット33a,37aを形成する溝部の深さが漸次深くなっていてもよい。
【0043】
なお、第1及び第2の延長部31a,35aの背面側には、その鉛直断面において複数の第1及び第2の反射カット33a,37aを挟んだ両側を円弧状に切り欠く一対の反射面(図示せず。)が、第1及び第2の導光部31,35の軸線方向に延在して設けられていてもよい。
【0044】
第1の出射部34は、第1の延長部31aの正面側に、断面略円弧状に湾曲した凸状の第1の出射面34aを有している。第1の出射部34は、この第1の出射面34aから第1の光L1を第1の導光部31の外部へと出射することによりライン状に発光する。
【0045】
第2の出射部38は、第2の延長部35aの正面側に、断面略円弧状に湾曲した凸状の第2の出射面38aを有している。第2の出射部38は、この第2の出射面38aから第2の光L2を第2の導光部35の外部へと出射することによりライン状に発光する。
【0046】
なお、第1及び第2の延長部31a,35aの正面側には、第1及び第2の出射面34a,38aから出射される第1及び第2の光L1,L2を拡散させるための複数の拡散カット(図示せず。)が設けられた構成であってもよい。
【0047】
拡散カットとしては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。
【0048】
また、拡散カットの形状等を調整することによって、第1及び第2の出射面34a,38aから出射される第1及び第2の光L1,L2の拡散度合いを制御することが可能である。さらに、第1及び第2の延長部31a,35aの正面側に別の拡散レンズを配置した構成としてもよい。
【0049】
ところで、本実施形態の車両用灯具1において、第1の導光体3Aは、第1の湾曲部31b(助走部)から第2の導光部35の先端側に向けて分岐した第1の分岐部41と、第1の分岐部41の先端側に位置して、第1の導光部31の内部で導光される第1の光L1の一部を第1の導光部31の外部へと出射する分岐出射部42とを有している。
【0050】
一方、第2の導光体3Bは、第2の湾曲部35b(助走部)から第1の導光部31の基端側に向けて分岐した第2の分岐部43と、第2の分岐部43の先端側に位置して、分岐出射部42から出射された第1の光L1を第2の導光部35の内部へと入射する分岐入射部44とを有している。
【0051】
第1の分岐部41と第2の分岐部43とは、第1の湾曲部31bと第2の湾曲部35bとの間で、互いに逆向きに分岐して設けられている。また、分岐出射部42と分岐入射部44とは、互いに向かい合った状態で配置されている。
【0052】
分岐出射部42は、分岐入射部44と対向する平坦(平面)な分岐出射面42aを有して、第1の分岐部41を介して分岐された第1の光L1を分岐出射面42aから第1の分岐部41の外部へと出射する。
【0053】
分岐入射部44は、分岐出射部42と対向する平坦(平面)な分岐入射面44aを有して、分岐出射部42から出射された第1の光L1を分岐入射面44aから第2の分岐部43の内部へと入射する。
【0054】
これにより、第2の分岐部43から入射した第1の光L1は、第2の分岐部43を介して第2の導光部35の内部へと入射し、第2の導光部35の内部で反射を繰り返しながら、第2の導光部35の先端側に向けて導光されることになる。
【0055】
したがって、第2の導光部35の内部に入射した第1の光L1は、第2の反射部37により反射された後、第2の出射部38から第2の導光部35の外部へと出射される。
【0056】
なお、本実施形態では、分岐出射面42aと分岐入射面44aとが互いに平行となるように、互いに対向する間隔が設けられた構成となっているが、場合よっては分岐出射面42aと分岐入射面44aとが互いに接する構成としてもよい。
【0057】
また、本実施形態の車両用灯具1において、光源ユニット20は、第1の光源2A及び第2の光源2Bの正面側に位置して、これら第1の光源2Aと第2の光源2Bとの間を遮光する遮光部材25を有している。
【0058】
遮光部材25は、有色(例えば黒色)の樹脂部材からなり、第1の光源2Aから出射されて第2の入射面36a(第2の入射部36)に向かう第1の光L1を遮光すると共に、第2の光源2Bから出射されて第1の入射面32a(第1の入射部32)に向かう第2の光L2を遮光する。これにより、互いに隣り合う第1及び第2の光源2A,2Bから出射される第1及び第2の光L1,L2をその間で適切に遮光することが可能である。
【0059】
なお、遮光部材25については、第1及び第2の光源2A,2Bから出射された第1及び第2の光L1,L2を通過させる孔部が設けられた構成であってもよい。また、遮光部材25については、第1の導光部31と第2の導光部35との間を仕切るように配置された構成であってもよい。
【0060】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、図4に示すように、第2の光源2Bを点灯させることによって、第2の光源2Bから出射された第2の光L2を第2の導光体3Bの第2の入射面36a(第2の入射部36)から第2の導光部35の内部へと入射し、第2の導光部35の内部で反射を繰り返しながら、第2の導光部35の先端側に向けて第2の光L2を導光させる。また、第2の導光部35の第2の延長部35aにおいて、背面側の複数の第2の反射カット37a(第2の反射部37)で反射された第2の光L2を正面側の第2の出射面38a(第2の出射部38)から第2の導光部35の外部へと出射する。
【0061】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、テールランプTLLとして、第2の光L2により第2の導光体3Bの第2の出射面38a(第2の出射部38)を赤色発光させることが可能である。
【0062】
一方、本実施形態の車両用灯具1では、図5に示すように、第1の光源2Aを点灯させることによって、第1の光源2Aから出射された第1の光L1を第1の導光体3Aの第1の入射面32a(第1の入射部32)から第1の導光部31の内部へと入射し、第1の導光部31の内部で反射を繰り返しながら、第1の導光部31の先端側に向けて第1の光L1を導光させる。また、第1の導光部31の第1の延長部31aにおいて、背面側の複数の第1の反射カット33a(第1の反射部33)で反射された第1の光L1を正面側の第1の出射面34a(第1の出射部34)から第1の導光部31の外部へと出射する。
【0063】
また、第1の湾曲部31b(助走部)の内部で導光される第1の光L1の一部は、第1の湾曲部31b(助走部)から分岐した第1の分岐部41に入射し、分岐出射面42a(分岐出射部42)から出射された後、第2の湾曲部35b(助走部)から分岐した第2の分岐部43の分岐入射面44a(分岐入射部44)から入射し、第2の導光部35の内部へと入射する。
【0064】
第2の導光部35の内部に入射した第1の光L1は、第2の導光部35の先端側に向けて導光されながら、第2の導光部35の第2の延長部35aにおいて、背面側の複数の第2の反射カット37a(第2の反射部37)で反射された後、正面側の第2の出射面38a(第2の出射部38)から第2の導光部35の外部へと出射される。
【0065】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、ブレーキランプBRLとして、第1の光L1により第1の導光体3Aの第1の出射面34a(第1の出射部34)と、第2の導光体3Bの第2の出射面38a(第2の出射部38)とを赤色発光させることが可能である。
【0066】
また、本実施形態の車両用灯具1では、第1の光源2A及び第2の光源2Bを点灯させることによって、ブレーキランプBRLとして、第1の光L1及び第2のL2により第1の導光体3Aの第1の出射面34a(第1の出射部34)と、第2の導光体3Bの第2の出射面38a(第2の出射部38)とを赤色発光させることも可能である。
【0067】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1では、上述したブレーキランプBRLの点灯時に、第1の導光体3Aで導光される第1の光L1の一部を第2の導光体3Bに導くことによって、第1の導光体3Aの第1の出射面34a(第1の出射部34)と、第2の導光体3Bの第2の出射面38a(第2の出射部38)とを赤色発光させることから、このブレーキランプBRLの法規的な発光面積を満たすことが可能である。
【0068】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述したテールランプTLLの点灯時に、第1の導光体3Aの第1の出射面34a(第1の出射部34)を発光させることなく、第2の光L2を第2の導光体3Bのみに導くことによって、第2の導光体3Bの第2の出射面38a(第2の出射部38)のみを赤色発光させることができ、テールランプTLLの点灯時における見栄えを良くすることが可能である。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0070】
具体的に、上記車両用灯具1では、上述した第1の分岐部41及び第2の分岐部43が設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、第1の分岐部41を省略し、第1の湾曲部31b(助走部)に分岐出射面42a(分岐出射部42)を設けて、この分岐出射面42a(分岐出射部42)に分岐入射面44a(分岐入射部44)が対向する位置まで、第2の分岐部43を延長した構成としてもよい。
【0071】
一方、図7に示すように、第2の分岐部43を省略し、第2の湾曲部35b(助走部)に分岐入射面44a(分岐入射部44)を設けて、この分岐入射面44a(分岐入射部44)に分岐出射面42a(分岐出射部42)が対向する位置まで、第1の分岐部41を延長した構成としてもよい。
【0072】
また、上記車両用灯具1では、上述した分岐出射面42a(分岐出射部42)と分岐入射面44a(分岐入射部44)とが対向する部分が少なくとも1箇所設けられた構成となっているが、第1及び第2の湾曲部31b,35b(助走部)に2箇所以上(複数)設けられた構成とすることも可能である。
【0073】
なお、本実施形態の車両用灯具1では、上述した光源ユニット20を構成する第1及び第2の光源2A,2Bや、導光部30を構成する第1及び第2の導光体3A,3Bの他にも、例えば、別のインナーレンズやリフレクタ、エクステンションなどの他の部材と組み合わせることが可能である。
【0074】
なお、上記実施形態では、車両の後端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具1として、上述したテールランプTLLとブレーキランプBRLとを発光させる構成を例示しているが、テールランプと、橙色発光で点滅するターンランプ又は白色発光するバックランプとを発光させる構成に本発明を適用することも可能である。
【0075】
また、車両の前端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、白色発光するポジションランプ又は昼間点灯ランプ(DRL)とターンランプとを発光させる構成に本発明を適用することも可能である。
【0076】
また、上記光源ユニット20が備える複数の発光素子24a,24bについては、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色についても、白色光や赤色光、橙色光など、その用途に応じて適宜変更することが可能である。
【0077】
なお、本発明は、上述した車両用灯具以外にも、例えば、車両用室内照明やアクセサリーランプなどにも適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…車両用灯具 2A…第1の光源 2B…第2の光源 3A…第1の導光体 3B…第2の導光体 10…灯体 20…光源ユニット 25…遮光部材 30…導光部 31…第1の導光部 32…第1の入射部 33…第1の反射部 34…第1の出射部 35…第2の導光部 36…第2の入射部 37…第2の反射部 38…第2の出射部 41…第1の分岐部 42…分岐出射部 43…第2の分岐部 44…分岐入射部 L1…第1の光 L2…第2の光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7