(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131657
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】善玉菌増殖方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
C12N1/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042063
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】509317531
【氏名又は名称】株式会社MARS Company
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】大野 正樹
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA21X
4B065AA30X
4B065AC20
4B065CA44
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】乳酸菌増殖促進物質を経口摂取する以外の方法で、体内の善玉菌を効率的に増殖させることのできる善玉菌増殖方法を提供すること。
【解決手段】善玉菌増殖方法は、善玉菌を摂取する善玉菌摂取ステップと、体内の善玉菌に電界を作用させて善玉菌を増殖させる善玉菌増殖ステップと、を有する。また、善玉菌は、乳酸菌である。また、増殖させたい善玉菌の種類に応じて異なる電界を作用させる。また、腸を間に挟んで、腹側と背中側とに一対の電極を配置し、一対の電極の間に交番電圧を印加することにより電界を発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
善玉菌を摂取する善玉菌摂取ステップと、
体内の前記善玉菌に電界を作用させて前記善玉菌を増殖させる善玉菌増殖ステップと、を有することを特徴とする善玉菌増殖方法。
【請求項2】
前記善玉菌は、乳酸菌である請求項1に記載の善玉菌増殖方法。
【請求項3】
増殖させたい前記善玉菌の種類に応じて異なる前記電界を作用させる請求項1に記載の善玉菌増殖方法。
【請求項4】
腸を間に挟んで、腹側と背中側とに一対の電極パッドを配置し、
前記一対の電極パッドの間に交番電圧を印加することにより前記電界を発生させる請求項1に記載の善玉菌増殖方法。
【請求項5】
一方の前記電極パッドに第1交番電圧を印加し、他方の前記電極パッドに前記第1交番電圧と逆位相の第2交番電圧を印加する請求項4に記載の善玉菌増殖方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、善玉菌増殖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には乳酸菌増殖促進物質が記載されており、この乳酸菌増殖促進物質を摂取することにより、体内でビフィドバクテリウム属およびラクトバチルス属に属する細菌が選択的に増殖し、有益菌が優勢な腸内フローラを形成することができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の乳酸菌増殖促進物質は、経口摂取しなければならず、摂取者によって呈味の好みが分かれてしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、乳酸菌増殖促進物質を経口摂取する以外の方法で、体内の善玉菌(有益菌)を効率的に増殖させることのできる善玉菌増殖方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
【0007】
(1) 善玉菌を摂取する善玉菌摂取ステップと、
体内の前記善玉菌に電界を作用させて前記善玉菌を増殖させる善玉菌増殖ステップと、を有することを特徴とする善玉菌増殖方法。
【0008】
(2) 前記善玉菌は、乳酸菌である上記(1)に記載の善玉菌増殖方法。
【0009】
(3) 増殖させたい前記善玉菌の種類に応じて異なる前記電界を作用させる上記(1)に記載の善玉菌増殖方法。
【0010】
(4) 腸を間に挟んで、腹側と背中側とに一対の電極パッドを配置し、
前記一対の電極パッドの間に交番電圧を印加することにより前記電界を発生させる上記(1)に記載の善玉菌増殖方法。
【0011】
(5) 一方の前記電極パッドに第1交番電圧を印加し、他方の前記電極パッドに前記第1交番電圧と逆位相の第2交番電圧を印加する上記(4)に記載の善玉菌増殖方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の善玉菌増殖方法によれば、電界の作用により善玉菌を効率的に増殖させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る電界発生装置を装着した様子を示す図である。
【
図2】第2実施形態に係る電界発生装置の電極に印加する交番電圧を示す図である。
【
図3】第2実施形態に係る電界発生装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の善玉菌増殖方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
<第1実施形態>
本実施形態の善玉菌増殖方法によれば、体内の善玉菌を効率的に増殖させることができる。このような善玉菌増殖方法は、善玉菌を摂取して体内に取り込む善玉菌摂取ステップと、体内の善玉菌に電界を作用させて善玉菌を増殖させる善玉菌増殖ステップと、を有する。なお、増殖させる善玉菌としては、特に限定されないが、例えば、乳酸菌(ビフィズス菌を含む)、酪酸菌、麹菌、納豆菌、酢酸菌等が挙げられる。この中でも、乳酸菌を増殖させることが好ましい。これにより、以下に述べるような様々な効果が期待される。
【0016】
乳酸菌は、腸内の悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整える。酪酸菌は、食物繊維を分解して酪酸をつくり出し、乳酸菌の増殖を助け、腸内環境を良好にする。納豆菌および麹菌は、乳酸菌の餌となる糖をつくり出し、乳酸菌の増殖を助ける。
【0017】
乳酸菌は、400種以上が存在し、種類によって期待できる効能が異なる。例えば、シールド菌は、免疫を高める効果があると言われている。また、ヘルベティカス菌は、うつ症状の軽減に効果があると言われている。また、ヘルベティカス菌、カゼイ菌は、花粉症の症状を和らげる効果があると言われている。また、アシドフィルス菌は、口臭を抑える効果があると言われている。また、ロイコノストック菌は、コレステロール高値の改善に効果があると言われている。また、ブルガリア菌、サーモフィルス菌、ラクトコッカス菌は、ニキビ改善に効果があると言われている。また、ロイコノストック菌、カゼイ菌は、ダイエット効果があると言われている。また、ブルガリア菌、サーモフィルス菌、アシドフィルス菌、ビフィズス菌、カゼイ菌は、便秘予防や便秘解消に効果があると言われている。
【0018】
本発明の善玉菌増殖方法は、乳酸菌、酪酸菌、麹菌、納豆菌、酢酸菌に代表される善玉菌を腸内で増殖させ、体調を整える方法である。以下、善玉菌摂取ステップ、善玉菌増殖ステップについて順番に説明する。
【0019】
[善玉菌摂取ステップ]
善玉菌摂取ステップでは、善玉菌を摂取して体内に取り込む。善玉菌の摂取方法は、特に限定されず、例えば、善玉菌入りの食品を摂取することにより、善玉菌を体内に取り込むことができる。
【0020】
[善玉菌増殖ステップ]
善玉菌増殖ステップでは、腸内の善玉菌に電界を作用させて、善玉菌を増殖させる。電界は、
図1に示す電界発生装置100を用いて形成する。
図1に示すように、電界発生装置100は、装置本体110と、身体に貼り付ける一対の電極パッド121,122と、装置本体110と電極パッド121,122とを接続するコード131,132と、を有する。
【0021】
また、装置本体110には、電源のオンオフや各種の設定等を行うために設けられた複数のボタンからなる操作部111と、設定内容等を表示するための表示部112と、が設けられている。また、装置本体110の内部には、各部の動作を制御するCPU113と、電極パッド121,122の間に交番電圧を印加する電圧印加部114と、が設けられている。CPU113は、操作部111から送られる信号に基づいて表示部112に設定内容等を表示させる。また、CPU113は、電圧印加部114に電極パッド121,122の間に所定の交番電圧を印加させる。
【0022】
図1に示すように、電極パッド121,122は、腸を間に挟むようにして腹側と背中側とに分かれて装着される。図示の例では、電極パッド121を腹に装着し、電極パッド122を背中に装着している。そして、電圧印加部114によって電極パッド121,122の間に交番電圧を印加することで電極パッド121,122の間に電界(静電場)が形成される。そして、この電界が腸内の善玉菌に作用することで善玉菌の増殖が促進される。このように、善玉菌を摂取した後に腸内で増殖させることにより、増殖後と同等の数の善玉菌を食品から摂取する場合と比べて身体的な負荷を低減することができる。
【0023】
ただし、電極パッド121,122の配置は、腸内の善玉菌に電界を作用させることができれば、特に限定されない。例えば、電極パッド121を左脇腹に装着し、電極パッド122を右脇腹に装着してもよい。また、電極パッド121を首に装着し、電極パッド122を鼠径部に装着してもよい。また、電極パッドの数(電極数)も特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0024】
ここで、前述したように、善玉菌には免疫改善効果、うつ症状の軽減効果、花粉症の軽減効果、口臭の軽減効果、コレステロール高値の改善効果、ニキビ改善効果、ダイエット効果、便秘予防・解消効果が期待できる。また、その効果に起因する善玉菌の種類も異なる。また、善玉菌の種類によって増殖に適した電界環境が異なる。そこで、電界発生装置100は、目的の効果に応じた複数の駆動モードを有する。特に、本実施形態では、駆動モードとして、免疫改善モード、うつ症状軽減モード、花粉症軽減モード、口臭軽減モード、コレステロール値改善モード、ニキビ改善モード、ダイエットモード、便秘予防解消モードの計8種のモードを有する。そして、使用者は、操作部111を操作して目的のモードを選択・実行することができる。これにより、目的に応じて、効率的に乳酸菌を増殖させることができる。
【0025】
これら各モードは、それぞれ、腸に作用する電界が異なっている。つまり、免疫改善モードでは、免疫改善効果を有するシールド菌の増殖に適した電界を腸内に作用させ、うつ症状軽減モードでは、うつ症状軽減効果を有するヘルベティカス菌の増殖に適した電界を腸内に作用させ、花粉症軽減モードでは、花粉症軽減効果を有するヘルベティカス菌やカゼイ菌の増殖に適した電界を腸内に作用させ、口臭軽減モードでは、口臭軽減効果を有するアシドフィルス菌の増殖に適した電界を腸内に作用させ、コレステロール値改善モードでは、コレステロール値改善効果を有するロイコノストック菌の増殖に適した電界を腸内に作用させ、ニキビ改善モードでは、ニキビ改善効果を有するブルガリア菌、サーモフィルス菌、ラクトコッカス菌の増殖に適した電界を腸内に作用させ、ダイエットモードでは、ダイエット効果を有するロイコノストック菌、カゼイ菌の増殖に適した電界を腸内に作用させる。
【0026】
<第2実施形態>
本実施形態の善玉菌増殖方法は、電界発生装置100の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0027】
本実施形態では、電界発生装置100は、電極パッド121に第1交番電圧V1を印加すると共に、電極パッド122に第2交番電圧V2を印加する。これにより、電極パッド121,122の間に電位差が生じ、これらの間に電界(静電場)が形成される。第1交番電圧V1および第2交番電圧V2は、互いに同じ振幅および周波数であるが逆位相すなわち位相が180°ずれている。これにより、例えば、前述した第1実施形態と比べて、電極パッド121,122の間の電位差が大きくなり、腸内の善玉菌に、電界をより効率的に作用させることができる。
【0028】
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0029】
<第3実施形態>
本実施形態の善玉菌増殖方法は、電界発生装置100の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0030】
図3に示す電界発生装置100は、腹巻きのようにして腹部に装着される帯体140と、帯体140に設けられた装置本体110および電極パッド121,122と、を有する。帯体140の両端部は、面ファスナーとなっており、帯体140を腹部に巻いた状態で両端部を固定することにより、優れたフィット感を得ることができる。このような構成によれば、簡単に、電極パッド121,122を装着することができる。ただし、帯体140の構成は、特に限定されず、面ファスナーに代えてファスナーを用いて両端部を固定してもよいし、伸縮性のある環状にして、脚または頭部側から被るようにして装着してもよい。
【0031】
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0032】
以上、本発明の善玉菌増殖方法を図示の実施形態に基づいて説明したが本発明はこれに限定されるものではない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や他の任意の工程が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100…電界発生装置、110…装置本体、111…操作部、112…表示部、113…CPU、114…電圧印加部、121…電極パッド、122…電極パッド、131…コード、132…コード、140…帯体、V1…第1交番電圧、V2…第2交番電圧