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特開2024-131669半導体装置、半導体システム及び半導体装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131669
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体システム及び半導体装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 7/10 20060101AFI20240920BHJP
   G11C 16/26 20060101ALI20240920BHJP
   G11C 11/4093 20060101ALI20240920BHJP
   G11C 7/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G11C7/10 405
G11C16/26 140
G11C11/4093 150
G11C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042083
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 郁弥
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
(72)【発明者】
【氏名】久保田 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 厚子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 亮汰
(72)【発明者】
【氏名】阿部 花海
(72)【発明者】
【氏名】南雲 幹太
【テーマコード(参考)】
5B225
5M024
【Fターム(参考)】
5B225CA13
5B225CA14
5B225EA05
5B225EF13
5B225EH08
5B225FA01
5B225FA02
5M024AA92
5M024AA93
5M024DD52
5M024PP01
5M024PP03
5M024PP07
(57)【要約】
【課題】動作信頼性を向上する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1回路と、第2回路と、第1比較器と、第2比較器と、制御回路とを含む。第1回路は、それぞれの電流経路の一端が第1ノードに接続された第1の複数のトランジスタを含む。第1回路は、第1ノードをプルアップする。第2回路は、それぞれの電流経路の一端が第1ノードに接続された第2の複数のトランジスタを含む。第2回路は、第1ノードをプルダウンする。第1比較器は、第1ノードの電圧と第1基準電圧とを比較する。第2比較器は、第1ノードの電圧と第2基準電圧とを比較する。制御回路は、第1比較器の出力と第2比較器の出力とに基づいて、第2の複数のトランジスタを制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの電流経路の一端が第1ノードに接続された第1の複数のトランジスタを含み、前記第1ノードをプルアップする第1回路と、
前記第1ノードに接続され、パッケージ外部に設けられた抵抗素子と接続可能な第1パッドと、
前記第1ノードの電圧と第1基準電圧とを比較する第1比較器と、
前記第1ノードの電圧と第2基準電圧とを比較する第2比較器と、
前記第1比較器の出力と前記第2比較器の出力とに基づいて、前記第1の複数のトランジスタを制御する制御回路と、
を含む、半導体装置。
【請求項2】
それぞれの電流経路の一端が第2ノードに接続された第2の複数のトランジスタを含み、前記第2ノードをプルアップする第2回路と、
それぞれの電流経路の一端が前記第2ノードに接続された第3の複数のトランジスタを含み、前記第2ノードをプルダウンする第3回路と、
前記第2ノードの電圧と第1基準電圧とを比較する第1比較器と、
前記第2ノードの電圧と第2基準電圧とを比較する第2比較器と、
前記第1比較器の出力と前記第2比較器の出力とに基づいて、前記第3の複数のトランジスタを制御する制御回路と、
を含む、半導体装置。
【請求項3】
前記制御回路の制御に基づいて前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧を出力する分圧回路をさらに含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記分圧回路は、
直列に接続された複数の抵抗と、
前記複数の抵抗によって分圧された複数の電圧が入力されるセレクタと、
を含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記分圧回路は、電源電圧VCCQLと接地電圧VSSとのそれぞれに接続される、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体装置の温度を測定する温度センサをさらに含み、
前記制御回路は、前記分圧回路に、前記温度センサから取得した温度の変化に基づいた値の前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧を出力させる、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置に供給される電源電圧を測定する電圧センサをさらに含み、
前記制御回路は、前記分圧回路に、前記電圧センサから取得した電圧の変化に基づいた値の前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧を出力させる、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置に電源電圧を供給し、かつ前記電源電圧の値に関する情報を前記半導体装置に送信する電源装置と、
前記分圧回路に、前記情報の変化に基づいた値の前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧を出力させる、請求項3に記載の半導体装置と、
を含む、半導体システム。
【請求項9】
前記第1基準電圧と前記第2基準電圧とは異なる、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1比較器は負の入力オフセットを有し、
前記第2比較器は正の入力オフセットを有し、
前記第1基準電圧と前記第2基準電圧とは実質的に等しい、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1基準電圧は前記第1回路の電源電圧の1/2よりも低く、
前記第2基準電圧は前記第1回路の電源電圧の1/2よりも高い、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1基準電圧は前記第1回路の電源電圧の1/3よりも低く、
前記第2基準電圧は前記第1回路の電源電圧の1/3よりも高い、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
データを記憶する複数のメモリセルと、
前記データを入出力する入出力回路と、
をさらに含み、
前記半導体装置はNAND型フラッシュメモリであり、
前記入出力回路は前記制御回路によって出力インピーダンスを制御される、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項14】
データを記憶する複数のメモリセルと、
前記データを入出力する入出力回路と、
をさらに含み、
前記半導体装置はDRAMであり、
前記入出力回路は前記制御回路によって出力インピーダンスを制御される、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項15】
第1ノードに接続され、前記第1ノードをプルアップする第1回路と、
前記第1ノードに接続され、パッケージ外部に設けられた抵抗素子と接続可能な第1パッドと、
を含む半導体装置の制御方法であって、
前記第1ノードの電圧を第1基準電圧及び第2基準電圧それぞれと比較することと、
前記第1ノードの電圧と前記第1基準電圧との大小関係及び前記第1ノードの電圧と前記第2基準電圧との大小関係に基づいて、前記第1パッドの電圧を制御することと、
を含む、半導体装置の制御方法。
【請求項16】
前記半導体装置の制御方法は、ZQキャリブレーションのショートキャリブレーションにおいて実行される、
請求項15に記載の半導体装置の制御方法。
【請求項17】
前記第1ノードの電圧を前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧それぞれと比較する際の比較器の判定回数は1回である、請求項16に記載の半導体装置の制御方法。
【請求項18】
前記第1基準電圧が前記第2基準電圧よりも低い場合における半導体装置の制御方法であって、
前記第1ノードの電圧が、前記第1基準電圧よりも高く、かつ前記第2基準電圧よりも低い場合、前記第1パッドの電圧を維持し、
前記第1ノードの電圧が、前記第1基準電圧よりも低く、かつ前記第2基準電圧よりも低い場合、前記第1パッドの電圧を上昇させ、
前記第1ノードの電圧が、前記第1基準電圧よりも高く、かつ前記第2基準電圧よりも高い場合、前記第1ノードの電圧を下降させる、
請求項16に記載の半導体装置の制御方法。
【請求項19】
前記第1基準電圧が前記第2基準電圧よりも低い場合における半導体装置の制御方法であって、
前記第1ノードの電圧が、前記第1基準電圧よりも高く、かつ前記第2基準電圧よりも低い場合、前記第1パッドの電圧を所定電圧分下降させ、
前記第1ノードの電圧が、前記第1基準電圧よりも高く、かつ前記第2基準電圧よりも高い場合、前記第1パッドの電圧を前記所定電圧分よりも大きく下降させ、
前記第1ノードの電圧が、前記第1基準電圧よりも低く、かつ前記第2基準電圧よりも低い場合、前記第1パッドの電圧を前記所定電圧分よりも小さく上昇させる、
請求項16に記載の半導体装置の制御方法。
【請求項20】
前記第1基準電圧及び前記第2基準電圧の値は、前記半導体装置の温度又は電源電圧の変化に基づく、
請求項19に記載の半導体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、半導体システム及び半導体装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入出力回路の出力インピーダンスを較正するZQ較正回路が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-152147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動作信頼性を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1回路と、第2回路と、第1比較器と、第2比較器と、制御回路とを含む。第1回路は、それぞれの電流経路の一端が第1ノードに接続された第1の複数のトランジスタを含む。第1回路は、第1ノードをプルアップする。第2回路は、それぞれの電流経路の一端が第1ノードに接続された第2の複数のトランジスタを含む。第2回路は、第1ノードをプルダウンする。第1比較器は、第1ノードの電圧と第1基準電圧とを比較する。第2比較器は、第1ノードの電圧と第2基準電圧とを比較する。制御回路は、第1比較器の出力と第2比較器の出力とに基づいて、第2の複数のトランジスタを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る半導体装置のZQ較正回路と抵抗素子とシーケンサとの構成例を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る半導体装置のプルアップ回路の構成例を示す回路図。
図5】第1実施形態に係る半導体装置のレプリカプルアップ回路の構成例を示す回路図。
図6】第1実施形態に係る半導体装置のプルダウン回路の構成例を示す回路図。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の分圧回路の構成例を示す回路図。
図8】第1実施形態に係る半導体装置のZQキャリブレーション動作の一例を示すタイミングチャート。
図9】第1実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明するフローチャート。
図10】第1実施形態に係る半導体装置の分圧回路の構成例を示す回路図。
図11】第1実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するダイアグラム。
図12】第1実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するテーブル。
図13】第1実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を示す波形図。
図14】第1実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を示す波形図。
図15】比較例に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作を示す波形図。
図16】第2実施形態に係る半導体装置のZQ較正回路と抵抗素子とシーケンサとの構成例を示すブロック図。
図17】第2実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明するフローチャート。
図18】第2実施形態に係る半導体装置の電圧VN1のプラス側検出動作の一例を説明するフローチャート。
図19】第2実施形態に係る半導体装置の演算回路のプラス側検出動作における動作の一例を説明するダイアグラム。
図20】第2実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するテーブル。
図21】第2実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明する波形図。
図22】第2実施形態に係る半導体装置の電圧VN1のマイナス側検出動作の一例を説明するフローチャート。
図23】第2実施形態に係る半導体装置の演算回路のマイナス側検出動作における動作の一例を説明するダイアグラム。
図24】第2実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するテーブル。
図25】第2実施形態に係る半導体装置の電圧VN1の中央検出動作の一例を説明するフローチャート。
図26】第3実施形態に係る半導体装置のZQ較正回路と抵抗素子とシーケンサとの構成例を示すブロック図。
図27】第3実施形態に係る半導体装置に含まれる比較器の入出力特性の一例を示すグラフ。
図28】第3実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明するフローチャート。
図29】変形例に係る半導体装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図。
図30】変形例に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。説明に際し、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。また、以下に示す実施形態は、技術的思想を例示するものである。実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0008】
また、以下の説明において、構成要素X<n:0>とは、構成要素X<0>、X<1>、…、及びX<n>の集合を意味する。
【0009】
<1>第1実施形態
第1実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0010】
<1-1>構成
<1-1-1>半導体装置1の全体構成
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図である。メモリシステムSYSは、記憶装置である。メモリシステムSYSは、図示しない外部のホスト機器からの命令に応じて、データの書込み動作や読出し動作等を実行する。図1に示すように、メモリシステムSYSは、半導体装置1と、メモリコントローラ2と、抵抗素子3とを備える。
【0011】
半導体装置1は、不揮発性メモリである。半導体装置1は、例えばNAND型フラッシュメモリである。
【0012】
メモリコントローラ2は、例えばSoC(System-0n-a-Chip)のような集積回路である。メモリコントローラ2は、半導体装置1を制御する。
【0013】
抵抗素子3は、抵抗である。抵抗素子3は、抵抗値の基準として使用される。抵抗素子3の一端は半導体装置1に接続され、抵抗素子3の他端は接地される。
【0014】
半導体装置1とメモリコントローラ2とは、例えばNANDバスで接続される。NANDバスによる通信は、例えば信号DQ0~DQ7、DQS、BDQS、BCE、CLE、ALE、BWE、RE、BRE、BWP、及びBRBを含む。
【0015】
信号DQ0~DQ7は、例えば8ビットの信号である。信号DQ0~DQ7は、半導体装置1とメモリコントローラ2との間で送受信されるデータの実体である。信号DQ0~DQ7は、コマンド、アドレス、及びデータのいずれかを含み得る。
【0016】
信号DQS及びBDQSは、信号DQ0~DQ7を送受信する際の動作タイミングを制御するための信号である。信号DQS及びBDQSは、半導体装置1とメモリコントローラ2との間で送受信される。
【0017】
信号BCEは、半導体装置1を選択状態又は非選択状態にするための信号である。信号BCEは、メモリコントローラ2から半導体装置1に送信される。
【0018】
信号CLEは、信号DQ0~DQ7がコマンドであることを通知する信号である。信号ALEは、信号DQ0~DQ7がアドレスであることを通知する信号である。信号BWEは、半導体装置1に信号DQ0~DQ7を取り込むことを指示する信号である。信号RE及びBREは、半導体装置1に信号DQ0~DQ7を出力することを指示する信号である。また、信号RE及びBREは、半導体装置1が信号DQ0~DQ7を出力する際に、半導体装置1の動作タイミングを制御する。信号BWPは、半導体装置1に書込み及び消去動作を禁止させる信号である。信号CLE、ALE、BWE、RE、BRE、及びBWPのそれぞれは、メモリコントローラ2から半導体装置1に送信される。
【0019】
信号BRBは、半導体装置1がレディ状態(外部からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けない状態)であるかを示す信号である。信号BRBは、半導体装置1からメモリコントローラ2へと送信される。
【0020】
なお、本明細書において、符号の先頭が“B”である信号は、“L”レベルにおいてアサートされることを示している。具体的には、信号BDQS、BCE、BWE、BRE、BWP、及びBRBのそれぞれは、“L”レベルにおいてアサートされる。また、信号BDQSは、信号DQSの反転信号である。信号BREは、信号REの反転信号である。
【0021】
<1-1-2>半導体装置1の構成
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、半導体装置1は、入出力回路10、ロジック制御回路11、レジスタ12、シーケンサ13、メモリセルアレイ14、ロウデコーダ15、センスアンプ16、ドライバセット17、ZQ較正回路18、温度センサ19、電圧センサ20、入出力用パッド群21、ZQ較正用パッド22、ロジック制御用パッド群23、及び電源用パッド群24を備えている。
【0022】
入出力回路10は、信号DQ0~DQ7、DQS、及びBDQSをメモリコントローラ2から受信する。入出力回路10は、受信した信号DQ0~DQ7内のコマンド及びアドレス、並びに書込みデータを、それぞれレジスタ12及びセンスアンプ16に送信する。また、入出力回路10は、信号DQ0~DQ7、DQS、及びBDQSをメモリコントローラ2に送信する。入出力回路10は、信号DQ0~DQ7を、センスアンプ16からの読出しデータに基づいて生成する。入出力回路10は、信号DQS及びBDQSを、ロジック制御回路11からの基準信号に基づいて生成する。入出力回路10は、シーケンサ13からの制御に基づいて、信号DQ0~DQ7、DQS、及びBDQSを送信する際の出力インピーダンスを変更する。
【0023】
ロジック制御回路11は、信号BCE、CLE、ALE、BWE、RE、BRE、及びBWPをメモリコントローラ2から受信する。ロジック制御回路11は、信号RE及びBREに基づいて、基準信号を生成する。ロジック制御回路11は、信号BRBをメモリコントローラ2に送信する。
【0024】
レジスタ12は、入出力回路10を介して受信したコマンド及びアドレスを一時的に記憶する。レジスタ12は、アドレスをロウデコーダ15及びセンスアンプ16に転送する。また、レジスタ12は、コマンドをシーケンサ13に転送する。
【0025】
シーケンサ13は、半導体装置1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、レジスタ12からコマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて読出し動作等を実行する。また、シーケンサ13は、受信したコマンドに基づいて、ZQ較正回路18にZQ較正動作を実行させる。
【0026】
メモリセルアレイ14は、データを不揮発に記憶する。メモリセルアレイ14は、複数のビット線BL、複数のワード線WL、及び複数のメモリセルMCを含む。複数のメモリセルMCは、例えばロウ方向とカラム方向とに配列して設けられる。複数のビット線BLは、カラム方向に対応して設けられ、同一のカラムに対応する複数のメモリセルMCと接続される。複数のワード線WLは、ロウ方向に対応して設けられ、同一のロウに対応する複数のメモリセルMCと接続される。
【0027】
ロウデコーダ15は、レジスタ12からアドレス中のロウアドレスを受信し、当該ロウアドレスに基づくロウのメモリセルMCを選択する。そして、選択された行のメモリセルMCには、ロウデコーダ15を介してドライバセット17からの電圧が転送される。
【0028】
センスアンプ16は、データの読出し時には、メモリセルMCの閾値電圧をセンスし、センス結果に基づく読出しデータを入出力回路10に転送する。センスアンプ16は、レジスタ12からアドレス中のカラムアドレスを受信し、当該カラムアドレスに基づくカラムのデータを出力する。センスアンプ16は、データの書込み時には、ビット線BLを介して書き込まれる書込みデータをメモリセルMCに転送する。
【0029】
ドライバセット17は、メモリセルアレイ14、ロウデコーダ15及びセンスアンプ16の動作に用いられる電圧を生成する。
【0030】
ZQ較正回路18は、抵抗素子3の抵抗値に基づいて、入出力回路10の出力インピーダンスを較正するZQ較正動作を実行する。
【0031】
温度センサ19は、半導体装置1内の温度を測定し、測定結果をシーケンサ13へ送信する。
【0032】
電圧センサ20は、半導体装置1に印加される電圧を測定し、測定結果をシーケンサ13へ送信する。電圧センサ20は、例えば、電圧VCC、電圧VCCQ、及び電圧VCCQLを測定し、測定結果をシーケンサ13へ送信する。
【0033】
入出力用パッド群21は、メモリコントローラ2から受信した信号DQ0~DQ7、DQS、及びBDQSを入出力回路10に転送する。また、入出力用パッド群21は、入出力回路10から送信された信号DQ0~DQ7、DQS、及びBDQSを半導体装置1の外部に転送する。
【0034】
ZQ較正用パッド22は、半導体装置1のパッケージの外部に設けられた抵抗素子3の一端とZQ較正回路18とを接続する。
【0035】
ロジック制御用パッド群23は、メモリコントローラ2から受信した信号BCE、CLE、ALE、BWE、RE、BRE、及びBWPをロジック制御回路11に転送する。また、ロジック制御用パッド群23は、ロジック制御回路11から送信された信号BRBを半導体装置1の外部に転送する。
【0036】
電源用パッド群24には、半導体装置1の外部から電圧が印加される。半導体装置1は、電源用パッド群24に外部から印加された電圧VCC、VCCQ、VCCQL、及びVSSを用いて動作する。電圧VCCは、例えば2.5V程度の電圧である。電圧VCCQは、例えば1.2V程度の電圧である。電圧VCCQLは、例えば1.2V程度の電圧である。電圧VCCQLには、典型的には、電圧VCCQと同等かそれ以下の値が用いられる。電圧VSSは、例えば0Vの接地電圧である。電圧VCCは、例えば、ロジック制御回路11、レジスタ12、シーケンサ13、メモリセルアレイ14、ロウデコーダ15、センスアンプ16、ドライバセット17、温度センサ19、及び電圧センサ20に供給される。電圧VCCQは、例えば、入出力回路10に供給される。電圧VCCQLは、例えば、入出力回路10及びZQ較正回路18に供給される。なお、電圧VCC、VCCQ、及びVCCQLのそれぞれは、電源電圧とも呼ばれる。電圧VSSは、接地電圧とも呼ばれる。
【0037】
<1-1-3>ZQ較正回路18の構成
図3は、第1実施形態に係る半導体装置のZQ較正回路と抵抗素子とシーケンサとの構成例を示すブロック図である。図3に示すように、ZQ較正回路18は、プルアップ回路30、レプリカプルアップ回路31、プルダウン回路32、分圧回路33、セレクタ34~37、比較器38及び39、並びに演算回路40を含む。
【0038】
プルアップ回路30は、電源電圧として電圧VCCQLが印加され、シーケンサ13から制御信号ZQUPを受信する。プルアップ回路30は、プルアップ回路30の出力インピーダンスの値を、受信した制御信号ZQUPによって変更する。そしてプルアップ回路30は、その出力インピーダンスに基づいて、ノードN1を電圧VCCQLへと駆動、すなわちプルアップする。
【0039】
ノードN1にはZQ較正用パッド22が接続されている。ZQ較正用パッド22には、抵抗素子3の一端が接続されている。抵抗素子3の他端は、接地されている。よって、プルアップ回路30の出力インピーダンスと、抵抗素子3のインピーダンスとの関係によって決まる電圧を有する電圧VN1が、ノードN1に出力される。なお、ノードN1の電圧と、ZQ較正用パッド22の電圧とは、実質的に同一である。
【0040】
レプリカプルアップ回路31は、プルアップ回路30と同様の構成と機能を持つ。すなわち、レプリカプルアップ回路31は、電源電圧として電圧VCCQLが印加され、シーケンサ13から制御信号ZQUPを受信する。レプリカプルアップ回路31は、レプリカプルアップ回路31の出力インピーダンスの値を、受信した制御信号ZQUPによって変更する。そしてレプリカプルアップ回路31は、その出力インピーダンスに基づいて、ノードN2を電圧VCCQLへと駆動、すなわちプルアップする。レプリカプルアップ回路31及びプルアップ回路30は、同様の構成を有し、かつ同一の制御信号ZQUPに基づいて出力インピーダンスを設定する。このため、レプリカプルアップ回路31の出力インピーダンスは、プルアップ回路30の出力インピーダンスと略等しい。
【0041】
プルダウン回路32は、その電源端子が接地され、シーケンサ13から制御信号ZQDNを受信する。プルダウン回路32は、プルダウン回路32の出力インピーダンスの値を、受信した制御信号ZQDNによって変更する。そしてプルダウン回路32は、その出力インピーダンスに基づいて、ノードN2を接地電圧へと駆動、すなわちプルダウンする。この結果、ノードN2には、レプリカプルアップ回路31の出力インピーダンスと、プルダウン回路32の出力インピーダンスとの関係に基づく電圧VN2が出力される。
【0042】
分圧回路33には、電圧VCCQLと電圧VSSとが印加される。分圧回路33は、電圧VSS以上電圧VCCQL以下の電圧を複数生成する。分圧回路33は、シーケンサ13から制御信号を受信し、制御信号に従って生成した電圧を出力する。
【0043】
セレクタ34は、シーケンサ13からの制御に基づいて、ノードN1の電圧VN1又はノードN2の電圧VN2のいずれかを、比較器38の非反転入力端子に転送する。
【0044】
セレクタ35は、シーケンサ13からの制御に基づいて、分圧回路33の出力を比較器38の反転入力端子に転送する。
【0045】
セレクタ36は、シーケンサ13からの制御に基づいて、ノードN1の電圧VN1又はノードN2の電圧VN2のいずれかを、比較器39の非反転入力端子に転送する。
【0046】
セレクタ37は、シーケンサ13からの制御に基づいて、分圧回路33の出力を比較器39の反転入力端子に転送する。
【0047】
比較器38は、非反転入力端子に印加された電圧と、反転入力端子に印加された電圧とを比較し、比較結果を演算回路40へ送信する。
【0048】
比較器39は、非反転入力端子に印加された電圧と、反転入力端子に印加された電圧とを比較し、比較結果を演算回路40へ送信する。
【0049】
演算回路40は、比較器38の比較結果と、比較器39の比較結果とを受信し、演算を行い、演算結果をシーケンサ13へ送信する。演算の詳細は後述する。
【0050】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置のプルアップ回路の構成例を示す回路図である。プルアップ回路30は、一例として、5つのトランジスタ301<4:0>と、5つのトランジスタ302<4:0>と、トランジスタ303とを含む。
【0051】
トランジスタ301<4:0>のそれぞれは、pチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ301<4:0>のそれぞれは、ソースがトランジスタ303のドレインに接続され、ドレインがノードN1に接続されている。トランジスタ301<4:0>はそれぞれ、異なる電流駆動能力を持つ。例えば、トランジスタ301<m>のサイズは、トランジスタ301<m-1>のサイズの倍である。具体的には、トランジスタ301<m>が持つ電流駆動能力は、トランジスタ301<m-1>が持つ電流駆動能力の倍である。ただし、mは1以上4以下の整数である。
【0052】
トランジスタ302<4:0>のそれぞれは、nチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ302<4:0>のそれぞれは、ドレインがトランジスタ303のドレインに接続され、ソースがノードN1に接続されている。トランジスタ302<4:0>はそれぞれ、異なる電流駆動能力を持つ。例えば、トランジスタ302<m>のサイズは、トランジスタ302<m-1>のサイズの倍である。具体的には、トランジスタ302<m>が持つ電流駆動能力は、トランジスタ302<m-1>が持つ電流駆動能力の倍である。
【0053】
トランジスタ303は、pチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ303は、ソースに電圧VCCQLが印加される。
【0054】
シーケンサ13は、トランジスタ301<4:0>それぞれのゲートとトランジスタ302<4:0>それぞれのゲートとに、制御信号ZQUPを印加する。すなわち、本例では制御信号ZQUPは10ビットの信号である。制御信号ZQUPによって、トランジスタ301<4:0>及びトランジスタ302<4:0>のそれぞれは、個別にオンオフ制御される。また、シーケンサ13は、トランジスタ303のゲートに、制御信号CTRLを印加する。制御信号CTRLによって、トランジスタ303は、オンオフ制御される。
【0055】
以上のように構成されることで、プルアップ回路30は、制御信号ZQUP及びCTRLによって選択されたトランジスタがオン状態となる。すなわち、プルアップ回路30は、トランジスタ303がオン状態に制御されている間、制御信号ZQUPに基づいた出力インピーダンスで、ノードN1を電圧VCCQLへと駆動する。
【0056】
なお、トランジスタ301<4:0>とトランジスタ302<4:0>とは、ZQ較正を行う伝送路の終端方式によって使い分けられる。具体的には、トランジスタ301<4:0>は、ZQ較正を行う伝送路の終端方式がCTT(Center Tapped Termination)の場合に用いられる。トランジスタ302<4:0>は、ZQ較正を行う伝送路の終端方式がLTT(Low Tapped Termination)の場合に用いられる。
【0057】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置のレプリカプルアップ回路の構成例を示す回路図である。レプリカプルアップ回路31は、一例として、5つのトランジスタ311<4:0>と、5つのトランジスタ312<4:0>と、トランジスタ313とを含む。
【0058】
トランジスタ311<4:0>のそれぞれは、pチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ311<4:0>のそれぞれは、ソースがトランジスタ313のドレインに接続され、ドレインがノードN2に接続されている。トランジスタ311<4:0>はそれぞれ、異なる電流駆動能力を持つ。例えば、トランジスタ311<m>のサイズは、トランジスタ311<m-1>のサイズの倍である。具体的には、トランジスタ311<m>が持つ電流駆動能力は、トランジスタ311<m-1>が持つ電流駆動能力の倍である。
【0059】
トランジスタ312<4:0>のそれぞれは、nチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ312<4:0>のそれぞれは、ドレインがトランジスタ313のドレインに接続され、ソースがノードN2に接続されている。トランジスタ312<4:0>はそれぞれ、異なる電流駆動能力を持つ。例えば、トランジスタ312<m>のサイズは、トランジスタ312<m-1>のサイズの倍である。具体的には、トランジスタ312<m>が持つ電流駆動能力は、トランジスタ312<m-1>が持つ電流駆動能力の倍である。
【0060】
トランジスタ313は、pチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ313は、ソースに電圧VCCQLが印加される。
【0061】
シーケンサ13は、トランジスタ311<4:0>それぞれのゲートとトランジスタ312<4:0>それぞれのゲートとに、制御信号ZQUPを印加する。すなわち、本例では制御信号ZQUPは10ビットの信号である。制御信号ZQUPによって、トランジスタ311<4:0>及びトランジスタ312<4:0>のそれぞれは、個別にオンオフ制御される。また、シーケンサ13は、トランジスタ313のゲートに、制御信号CTRLを印加する。制御信号CTRLによって、トランジスタ313は、オンオフ制御される。
【0062】
以上のように構成されることで、レプリカプルアップ回路31は、制御信号ZQUP及びCTRLによって選択されたトランジスタがオン状態となる。すなわち、レプリカプルアップ回路31は、トランジスタ313がオン状態に制御されている間、制御信号ZQUPに基づいた出力インピーダンスで、ノードN2を電圧VCCQLへと駆動する。
【0063】
なお、トランジスタ311<4:0>とトランジスタ312<4:0>とは、ZQ較正を行う伝送路の終端方式によって使い分けられる。具体的には、トランジスタ311<4:0>は、ZQ較正を行う伝送路の終端方式がCTTの場合に用いられる。トランジスタ312<4:0>は、ZQ較正を行う伝送路の終端方式がLTTの場合に用いられる。
【0064】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置のプルダウン回路の構成例を示す回路図である。プルダウン回路32は、一例として、5つのトランジスタ321<4:0>と、トランジスタ322とを含む。
【0065】
トランジスタ321<4:0>のそれぞれは、nチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ321<4:0>のそれぞれは、ソースがトランジスタ322のドレインに接続され、ドレインがノードN2に接続されている。トランジスタ321<4:0>はそれぞれ、異なる電流駆動能力を持つ。例えば、トランジスタ321<m>のサイズは、トランジスタ321<m-1>のサイズの倍である。具体的には、トランジスタ321<m>が持つ電流駆動能力は、トランジスタ321<m-1>が持つ電流駆動能力の倍である。
【0066】
トランジスタ322は、nチャネルMOSトランジスタである。トランジスタ322は、ソースが接地される。
【0067】
シーケンサ13は、トランジスタ321<4:0>それぞれのゲートに、制御信号ZQDNを印加する。すなわち、本例では制御信号ZQDNは5ビットの信号である。制御信号ZQDNによって、トランジスタ321<4:0>のそれぞれは、個別にオンオフ制御される。また、シーケンサ13は、トランジスタ322のゲートに、制御信号CTRLを印加する。制御信号CTRLによって、トランジスタ322は、オンオフ制御される。
【0068】
以上のように構成されることで、プルダウン回路32は、制御信号ZQDN及びCTRLによって選択されたトランジスタがオン状態となる。すなわち、プルダウン回路32は、トランジスタ322がオン状態に制御されている間、制御信号ZQDNに基づいた出力インピーダンスで、ノードN2を電圧VSSへと駆動する。
【0069】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置の分圧回路の構成例を示す回路図である。分圧回路33は、複数の抵抗330とセレクタ331とを含む。
【0070】
複数の抵抗330は、直列に接続され、直列接続された一端に電圧VCCQLが印加され、他端が接地される。直列接続された複数の抵抗330によって、電圧VCCQLが複数の電圧に分圧される。分圧された複数の電圧は、セレクタ331に入力される。セレクタ331は、シーケンサ13の制御に基づいて、入力された複数の電圧のひとつをセレクタ35へ転送し、入力された複数の電圧のひとつをセレクタ37へ転送する。
【0071】
<1-2>動作
第1実施形態に係る半導体装置1の動作について説明する。
【0072】
<1-2-1>ZQキャリブレーション動作の概要
ZQキャリブレーション動作は、半導体装置1の出力インピーダンスが適正となるように調整する動作である。ZQキャリブレーション動作は、メモリコントローラ2と半導体装置1との間で高速に通信を行う場合に要求される。ZQキャリブレーション動作は、半導体装置1が出力インピーダンスを設定した後や、外的環境が変化し出力インピーダンスが変化した場合に実行される。
【0073】
ZQキャリブレーション動作は、半導体装置1が何の動作も行っていないときに実行される。ZQキャリブレーション動作を行う際には、DQバスに接続された全てのデバイスをハイインピーダンスとする。
【0074】
ZQキャリブレーション動作は、ロングキャリブレーション動作とショートキャリブレーション動作に大別できる。
【0075】
ロングキャリブレーション動作は、F9hコマンドで発行される。ロングキャリブレーション動作は、実行された際の電源電圧及び温度に合わせて、最適な出力インピーダンスを探索し設定する。ロングキャリブレーション動作は、例えば半導体装置1に電源電圧が印加され動作を開始した直後に実施される。
【0076】
ショートキャリブレーション動作は、D9hコマンドで発行される。ショートキャリブレーション動作は、ロングキャリブレーション動作に比べて短い時間で実行される動作である。ショートキャリブレーション動作は、半導体装置1の出力インピーダンスが最適な出力インピーダンスに近づくように、設定値をシフトさせる。ショートキャリブレーション動作は、ロングキャリブレーション動作が実行された後に、例えば定期的に実行される。
【0077】
ショートキャリブレーション動作は、対応できる環境変動に限界がある。例えば、電源電圧及び/または温度が25mVまたは25℃以上シフトした場合、ショートキャリブレーション動作では出力インピーダンスを最適な値に設定することができない。この場合、ロングキャリブレーション動作を実行することが好ましい。
【0078】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置のZQキャリブレーション動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0079】
ZQキャリブレーション動作は、LUN(Logical Unit Number)ごとに実行される。LUNアドレスは、F9hまたはD9hコマンドの後に要求される。F9hまたはD9hコマンドと、LUNアドレスを送信すると、期間tWB経過後、信号BRBがビジー状態となり、期間tZQCLまたはtZQCS経過後、信号BRBがレディ状態に復帰する。期間tWBは、信号BWEが“H”レベルになってから信号BRBがビジー状態になるまでの所要期間である。期間tZQCLは、ロングキャリブレーション動作の所要期間である。期間tZQCSは、ショートキャリブレーション動作の所要期間である。期間tZQCLは、期間tZQCSよりも長い。
【0080】
<1-2-2>ショートキャリブレーション動作の詳細
ショートキャリブレーション動作の詳細について説明する。図9は、第1実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明するフローチャートである。
【0081】
ショートキャリブレーションが開始されると(開始)、シーケンサ13は、制御信号ZQUP及びZQDNを設定する(S10)。この処理により、プルアップ回路30、レプリカプルアップ回路31、及びプルダウン回路32それぞれの出力インピーダンスが設定される。
【0082】
シーケンサ13は、分圧回路33の出力を設定する(S11)。具体的には、シーケンサ13は、分圧回路33のセレクタ331を制御して、第1基準電圧Vref1をセレクタ35へ出力させ、第2基準電圧Vref2をセレクタ37へ出力させる。第1基準電圧Vref1は、目標電圧VtgtよりもΔVr低い電圧である。第2基準電圧Vref2は、目標電圧VtgtよりもΔVr高い電圧である。目標電圧Vtgtは、最適な出力インピーダンスが設定された時にノードN1またはN2に生じる電圧と等しい電圧である。目標電圧Vtgtは、ZQ較正を行う伝送路の終端方式がCTTの場合は、例えば電圧VCCQLの1/2である。目標電圧Vtgtは、ZQ較正を行う伝送路の終端方式がLTTの場合は、例えば電圧VCCQLの1/3である。
【0083】
ここで、第1基準電圧Vref1及び第2基準電圧Vref2の生成について説明する。図10は、第1実施形態に係る半導体装置の分圧回路の構成例を示す回路図である。セレクタ331は、バッファ3310乃至3313と、セレクタ3314及び3315とを含む。
【0084】
複数の抵抗330は、電圧VCCQLと接地電圧VSSとの間に直列に接続され、電圧VCCQLを複数の電圧に分圧する。複数の電圧は、例えば、電圧VCCQL/2、電圧(VCCQL/2)-ΔVr、電圧(VCCQL/2)+ΔVr、電圧VCCQL/3、電圧(VCCQL/3)-ΔVr、及び電圧(VCCQL/3)+ΔVrを含む。
【0085】
電圧VCCQL/2は、終端方式がCTTの場合に、目標電圧Vtgtとして用いられる電圧である。電圧(VCCQL/2)-ΔVrは、終端方式がCTTの場合に、第1基準電圧Vref1として用いられる電圧である。電圧(VCCQL/2)+ΔVrは、終端方式がCTTの場合に、第2基準電圧Vref2として用いられる電圧である。電圧VCCQL/3は、終端方式がLTTの場合に、目標電圧Vtgtとして用いられる電圧である。電圧(VCCQL/3)-ΔVrは、終端方式がLTTの場合に、第1基準電圧Vref1として用いられる電圧である。電圧(VCCQL/3)+ΔVrは、終端方式がLTTの場合に、第2基準電圧Vref2として用いられる電圧である。
【0086】
電圧(VCCQL/2)+ΔVrは、バッファ3310へ入力される。バッファ3310の出力は、セレクタ3314へ入力される。電圧(VCCQL/2)-ΔVrは、バッファ3311へ入力される。バッファ3311の出力は、セレクタ3315へ入力される。電圧(VCCQL/3)+ΔVrは、バッファ3312へ入力される。バッファ3312の出力は、セレクタ3314へ入力される。電圧(VCCQL/3)-ΔVrは、バッファ3313へ入力される。バッファ3313の出力は、セレクタ3315へ入力される。セレクタ3314は、シーケンサ13の制御に基づいて、入力された電圧のひとつをセレクタ37へ転送する。セレクタ3315は、シーケンサ13の制御に基づいて、入力された電圧のひとつをセレクタ35へ転送する。
【0087】
このように分圧回路33を構成することで、終端方式がCTTであってもLTTであっても、第1基準電圧Vref1をセレクタ35へ、第2基準電圧Vref2をセレクタ37へ、それぞれ転送することができる。
【0088】
図9の説明に戻る。シーケンサ13は、セレクタ34及び36を制御し、電圧VN1を選択するよう設定する(S12)。ステップS11の処理とステップS12の処理により、比較器38には電圧VN1と第1基準電圧Vref1が入力され、比較器39には電圧VN1と第2基準電圧Vref2が入力される。この結果、比較器38及び39は、入力に基づく比較結果を演算回路40へ出力する。つまり、比較器38及び39は、1回の判定を行う。
【0089】
シーケンサ13は、演算回路40から演算結果を受信する(S13)。そしてシーケンサ13は、演算結果に基づいて、制御信号ZQUPを更新する(S14)。具体的には、シーケンサ13は、制御信号ZQUPをそのままの値に維持するか、または電圧VN1が電圧ΔV1だけ目標電圧Vtgtの方向へシフトするように制御信号ZQUPを変更する。この処理により、プルアップ回路30及びレプリカプルアップ回路31の出力インピーダンスが最新の値に更新される。
【0090】
シーケンサ13は、セレクタ34及び36を制御し、電圧VN2を選択するよう設定する(S15)。この処理により、比較器38には電圧VN2と第1基準電圧Vref1が入力され、比較器39には電圧VN2と第2基準電圧Vref2が入力される。この結果、比較器38及び39は、入力に基づく比較結果を演算回路40へ出力する。つまり、比較器38及び39は、1回の判定を行う。
【0091】
シーケンサ13は、演算回路40から演算結果を受信する(S16)、そしてシーケンサ13は、演算結果に基づいて、制御信号ZQDNを更新する(S17)。具体的には、シーケンサ13は、制御信号ZQDNをそのままの値に維持するか、または電圧VN2が電圧ΔV1だけ目標電圧Vtgtの方向へシフトするように制御信号ZQDNを変更する。この処理により、プルダウン回路32の出力インピーダンスが最新の値に更新される。
【0092】
シーケンサ13は、制御信号ZQUP及びZQDNに基づいて、入出力回路10の出力インピーダンスを設定する(S18)。
【0093】
そして、一連の処理は終了となる(終了)。
【0094】
なお、第1基準電圧Vref1及び第2基準電圧Vref2と目標電圧Vtgtとの差である電圧ΔVrと、ステップS14及びS17で生じ得る電圧VN1または電圧VN2の変化量である電圧ΔV1とは、例えば以下の(1)式を満たす。
【0095】
ΔVr<ΔV1<2×ΔVr (1)
演算回路40の演算の詳細について説明する。図11は、第1実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するダイアグラムである。縦軸は電圧VN1の高さを示している。HまたはLが書かれた箱は、比較器38及び39が“H”レベルを出力するか“L”レベルを出力するかを示している。比較器38は、電圧VN1が第1基準電圧Vref1よりも低い場合は“L”レベルを出力し、高い場合は“H”レベルを出力する。比較器39は、電圧VN1が第2基準電圧Vref2よりも低い場合は“L”レベルを出力し、高い場合は“H”レベルを出力する。比較器38の出力と比較器39の出力との組み合わせによって、電圧VN1の高さが3つの区域に分割できることがわかる。具体的には、以下の3つの場合に分割できる。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力している場合。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力している場合。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力している場合。以上の3つに分割することができる。なお、比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力する組み合わせは、第1基準電圧Vref1が第2基準電圧Vref2よりも低いという前提と矛盾するため存在しない。
【0096】
図12は、第1実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するテーブルである。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1が目標電圧Vtgtよりも高いと判定する。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1が適正な高さであると判定する。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1が目標電圧Vtgtよりも低いと判定する。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力した場合、演算回路40はエラーが生じていると判定する。
【0097】
シーケンサ13は、演算回路40の判定結果に基づいて制御信号ZQUPを更新する。具体的には、演算回路40が高いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧ΔV1低くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40が適正と判定した場合、シーケンサ13は制御信号ZQUPを維持する。演算回路40が低いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧ΔV1高くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40がエラーと判定した場合、シーケンサ13は制御信号ZQUPを維持する。
【0098】
動作時の波形を参照して具体的に説明する。図13(a)~(c)及び図14は、第1実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を示す波形図である。図13(a)~(c)及び図14は、電圧VN1がステップS14の前後でどのように変化するかを示している。図13(a)~(c)及び図14それぞれは、電圧VN1の高さが異なる。
【0099】
図13(a)の場合、電圧VN1は第1基準電圧Vref1よりも高く、第2基準電圧Vref2よりも低い。よって、演算回路40は電圧VN1の高さを適正と判定し、ステップS14においてシーケンサ13は制御信号ZQUPを維持する。このため、ステップS14を実行しても電圧VN1に変化は無い。
【0100】
図13(b)の場合、電圧VN1は第2基準電圧Vref2よりも高い。よって、演算回路40は電圧VN1を高いと判定し、ステップS14においてシーケンサ13は制御信号ZQUPを電圧VN1が電圧ΔV1低くなるように更新する。このため、ステップS14が実行されると、電圧VN1は電圧ΔV1低下する。
【0101】
図13(c)の場合、電圧VN1は第2基準電圧Vref2よりも高く、かつ図13(b)の場合よりも高い。よって、演算回路40は電圧VN1を高いと判定し、ステップS14においてシーケンサ13は制御信号ZQUPを電圧VN1が電圧ΔV1低くなるように更新する。このため、ステップS14が実行されると、電圧VN1は電圧ΔV1低下する。
【0102】
図14の場合、電圧VN1は第1基準電圧Vref1よりも低い。よって、演算回路40は電圧VN1を低いと判定し、ステップS14においてシーケンサ13は制御信号ZQUPを電圧VN1が電圧ΔV1高くなるように更新する。このため、ステップS14が実行されると、電圧VN1は電圧ΔV1上昇する。
【0103】
なお、電圧VN2を扱う場合は、制御信号ZQUPが制御信号ZQDNに置き換わる以外は、電圧VN1を扱う場合と同様である。
【0104】
<1-3>効果
以上で説明した第1実施形態に係る半導体装置1によれば、動作信頼性を向上することができる。以下に、第1実施形態に係る半導体装置の効果の詳細について説明する。
【0105】
ZQキャリブレーション動作のうち、ショートキャリブレーション動作は短い時間で実行される。短い時間で実行するために、ショートキャリブレーション動作において、比較器による判定は、電圧VN1及びVN2について、例えばそれぞれ1回行われる。
【0106】
ここで、実施形態に係る半導体装置との比較のために、比較例に係る半導体装置について説明する。比較例に係る半導体装置は、第1実施形態に係る半導体装置に対して、比較器39及び演算回路40が省略され、比較器38の出力がシーケンサ13に接続された構成を有する。つまり、比較例に係る半導体装置は、1つの比較器で判定を行い、制御信号ZQUP及びZQDNを更新する。このとき、比較器の反転入力端子に印加する基準電圧として用いるのは、例えば目標電圧Vtgtである。
【0107】
比較例に係る半導体装置は、電圧VN1が基準電圧よりも高いかまたは低いかを判定する。比較例に係る半導体装置は、電圧VN1が基準電圧にどれだけ近いかは判定しない。そして、比較例に係る半導体装置は、ショートキャリブレーション動作において、電圧VN1を基準電圧の方向にシフトさせる。このため、電圧VN1がどれだけ基準電圧に近くても、電圧VN1は、基準電圧との大小関係に基づいてシフトさせられる。
【0108】
図15は、比較例に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作を示す波形図である。図15に示すように、電圧VN1が基準電圧である目標電圧Vtgtに近い場合であっても、電圧VN1は目標電圧Vtgtよりも高いため、電圧VN1はマイナス方向に電圧ΔV1だけシフトさせられる。その結果、電圧VN1は、制御信号を更新した後の方が、制御信号を更新する前よりも、目標電圧Vtgtとの差が広がっている。すなわち、ショートキャリブレーション動作によって、出力インピーダンスの誤差が拡大している。
【0109】
対して、第1実施形態に係る半導体装置1は、比較器38及び39と、演算回路40とを含む。比較器38は第1基準電圧Vref1と電圧VN1とを比較し、比較器39は第2基準電圧Vref2と電圧VN1とを比較する。そして、演算回路40は、比較器38の出力と比較器39の出力とに基づいて、電圧VN1が高いか、最適か、低いかを演算する。そして、シーケンサ13は演算結果に基づいて制御信号ZQUPを更新する。具体的には、電圧VN1が高い場合はマイナスにシフトさせ、電圧VN1が最適な場合は制御信号ZQUPを保持し、電圧VN1が低い場合はプラスにシフトさせる。
【0110】
このように、第1実施形態に係る半導体装置1は、電圧VN1の高さが、高いか、最適か、低いかを演算することができる。そして、電圧VN1の高さが最適だった場合に、電圧VN1をシフトさせずに、制御信号ZQUPを保持することができる。これにより、第1実施形態に係る半導体装置1は、ショートキャリブレーション動作によって、出力インピーダンスの誤差が拡大することが抑制でき、動作信頼性を向上できる。
【0111】
<2>第2実施形態
第2実施形態に係る半導体装置1aの構成は、第1実施形態に係る半導体装置1に対して、演算回路の構成と、ショートキャリブレーション動作とが異なる。以下に、第2実施形態に係る半導体装置1aについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0112】
<2-1>構成
<2-1-1>ZQ較正回路18aの構成
図16は、第2実施形態に係る半導体装置のZQ較正回路と抵抗素子とシーケンサとの構成例を示すブロック図である。第2実施形態に係るZQ較正回路18aの構成は、第1実施形態に係るZQ較正回路18の構成に対して、演算回路の構成が異なる。
【0113】
演算回路40aは、シーケンサ13の制御に基づいて、演算動作を切り替えることができる。
【0114】
その他のZQ較正回路18aの構成は、第1実施形態に係るZQ較正回路18の構成と同様である。
【0115】
<2-2>動作
第2実施形態に係る半導体装置1aのショートキャリブレーション動作について説明する。図17は、第2実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明するフローチャートである。
【0116】
ショートキャリブレーションが開始されると(開始)、シーケンサ13は、制御信号ZQUP及びZQDNを現在の値に設定する(S20)。この処理により、プルアップ回路30、レプリカプルアップ回路31、及びプルダウン回路32それぞれの出力インピーダンスが設定される。
【0117】
シーケンサ13は、セレクタ34及び36を制御し、電圧VN1を選択するように設定する(S21)。この処理により、比較器38及び39それぞれの非反転入力端子に電圧VN1が印加される。
【0118】
シーケンサ13は、電圧VN1が高くなる環境の変化があったか判定する(S22)。具体的には、前回のロングキャリブレーションまたはショートキャリブレーションから現在までの間に、電圧VN1が高くなることが想定される電源電圧の変化や温度の変化などが生じているか、温度センサ19及び電圧センサ20の出力を参照して判定する。具体的には、例えば、電圧VCCQLが低くなると、電圧VN1が低くなる。電圧VCCQLが高くなると、電圧VN1が高くなる。温度が高くなると、電圧VN1が低くなる。温度が低くなると、電圧VN1が高くなる。電圧VN1が高くなる環境の変化があった場合(S22,Yes)、電圧VN1のプラス側検出動作が実行される(S23)。電圧VN1のプラス側検出動作は、電圧VN1がプラス側に変動していることを想定した検出動作である。プラス側検出動作の詳細は後述する。電圧VN1のプラス側検出動作が完了すると、ステップS27の動作が実行される。
【0119】
ステップS22において、電圧VN1が高くなる環境の変化がなかった場合(S22,No)、シーケンサ13は、電圧VN1が低くなる環境の変化があったか判定する(S24)。具体的には、前回のロングキャリブレーションまたはショートキャリブレーションから現在までの間に、電圧VN1が低くなることが想定される電源電圧の変化や温度の変化などが生じているか、温度センサ19及び電圧センサ20の出力を参照して判定する。電圧VN1が低くなる環境の変化があった場合(S24,Yes)、電圧VN1のマイナス側検出動作が実行される(S25)。電圧VN1のマイナス側検出動作は、電圧VN1がマイナス側に変動していることを想定した検出動作である。マイナス側検出動作の詳細は後述する。電圧VN1のマイナス側検出動作が完了すると、ステップS27の動作が実行される。
【0120】
ステップS24において、電圧VN1が低くなる環境の変化がなかった場合(S24,No)、電圧VN1の中央検出動作が実行される(S26)。電圧VN1の中央検出動作は、電圧VN1がさほど変動していないことを想定した検出動作である。中央検出動作の詳細は後述する。電圧VN1の中央検出動作が完了すると、ステップS27の動作が実行される。
【0121】
ステップS27において、シーケンサ13は、セレクタ34及び36を制御し、電圧VN2を選択するように設定する(S27)。この処理により、比較器38及び39それぞれの非反転入力端子に電圧VN2が印加される。
【0122】
シーケンサ13は、電圧VN2が高くなる環境の変化があったか判定する(S28)。具体的には、前回のロングキャリブレーションまたはショートキャリブレーションから現在までの間に、電圧VN2が高くなることが想定される電源電圧の変化や温度の変化などが生じているか、温度センサ19及び電圧センサ20の出力を参照して判定する。電圧VN2が高くなる環境の変化があった場合(S28,Yes)、電圧VN2のプラス側検出動作が実行される(S29)。電圧VN2のプラス側検出動作は、電圧VN2がプラス側に変動していることを想定した検出動作である。プラス側検出動作の詳細は後述する。電圧VN2のプラス側検出動作が完了すると、ステップS33の動作が実行される。
【0123】
ステップS28において、電圧VN2が高くなる環境の変化がなかった場合(S28,No)、シーケンサ13は、電圧VN2が低くなる環境の変化があったか判定する(S30)。具体的には、前回のロングキャリブレーションまたはショートキャリブレーションから現在までの間に、電圧VN2が低くなることが想定される電源電圧の変化や温度の変化などが生じているか、温度センサ19及び電圧センサ20の出力を参照して判定する。電圧VN1が低くなる環境の変化があった場合(S30,Yes)、電圧VN2のマイナス側検出動作が実行される(S31)。電圧VN2のマイナス側検出動作は、電圧VN2がマイナス側に変動していることを想定した検出動作である。マイナス側検出動作の詳細は後述する。電圧VN2のマイナス側検出動作が完了すると、ステップS33の動作が実行される。
【0124】
ステップS30において、電圧VN2が低くなる環境の変化がなかった場合(S30,No)、電圧VN2の中央検出動作が実行される(S32)。電圧VN2の中央検出動作は、電圧VN2がさほど変動していないことを想定した検出動作である。中央検出動作の詳細は後述する。電圧VN2の中央検出動作が完了すると、ステップS33の動作が実行される。
【0125】
シーケンサ13は、制御信号ZQUP及びZQDNに基づいて、入出力回路10の出力インピーダンスを調整する(S33)。
【0126】
そして、一連の処理は終了となる(終了)。
【0127】
電圧VN1のプラス側検出動作について説明する。図18は、第2実施形態に係る半導体装置の電圧VN1のプラス側検出動作の一例を説明するフローチャートである。電圧VN1のプラス側検出動作が開始されると(開始)、シーケンサ13は、分圧回路33の出力をプラス側検出用に設定する(S40)。具体的には、シーケンサ13は、分圧回路33のセレクタ331を制御して、第3基準電圧Vref3をセレクタ35へ出力させ、第4基準電圧Vref4をセレクタ37へ出力させる。第3基準電圧Vref3は、目標電圧Vtgtよりも電圧ΔVr高い電圧である。第4基準電圧Vref4は、目標電圧Vtgtよりも電圧ΔVs高い電圧である。電圧ΔVsは、電圧ΔVrよりも高い電圧である。
【0128】
シーケンサ13は、演算回路40aをプラス側検出用に設定する(S41)。
【0129】
シーケンサ13は、演算回路40aから演算結果を受信する(S42)。
【0130】
そしてシーケンサ13は、演算結果に基づいて、制御信号ZQUPを更新する(S43)。具体的には、電圧ΔV1、ΔV2、または(ΔV1)/2だけ目標電圧Vtgtの方向へシフトするように制御信号ZQUPを変更する。電圧ΔV2は、電圧ΔV1よりも大きい電圧である。なお、電圧(ΔV1)/2は一例であり、電圧ΔV1よりも小さい電圧が用いられる。この処理により、プルアップ回路30及びレプリカプルアップ回路31の出力インピーダンスが最新の値に更新される。
【0131】
そして、プラス側検出動作は終了する(終了)。
【0132】
プラス側検出動作における演算回路40の演算の詳細について説明する。図19は、第2実施形態に係る半導体装置の演算回路のプラス側検出動作における動作の一例を説明するダイアグラムである。縦軸は電圧VN1の高さを示している。HまたはLが書かれた箱は、比較器38及び39が“H”レベルを出力するか“L”レベルを出力するかを示している。比較器38は、電圧VN1が第3基準電圧Vref3よりも低い場合は“L”レベルを出力し、高い場合は“H”レベルを出力する。比較器39は、電圧VN1が第4基準電圧Vref4よりも低い場合は“L”レベルを出力し、高い場合は“H”レベルを出力する。比較器38の出力と比較器39の出力との組み合わせによって、電圧VN1の高さが3つの区域に分割できることがわかる。具体的には、以下の3つの場合に分割できる。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力している場合。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力している場合。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力している場合。以上の3つに分割することができる。なお、比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力する組み合わせは、第3基準電圧Vref3が第4基準電圧Vref4よりも低いという前提と矛盾するため存在しない。
【0133】
図20は、第2実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するテーブルである。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1が目標電圧よりも大きく高いと判定する。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1が目標電圧よりもわずかに高いと判定する。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1の高さが適正であるか、または電圧VN1が目標電圧よりも低いと判定する。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力した場合、演算回路40はエラーが生じていると判定する。
【0134】
シーケンサ13は、演算回路40の判定結果に基づいて制御信号ZQUPを更新する。具体的には、演算回路40が大きく高いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧ΔV2低くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40がわずかに高いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧ΔV1低くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40が適正または低いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧(ΔV1)/2高くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40がエラーと判定した場合、シーケンサ13は制御信号ZQUPを維持する。
【0135】
演算回路40の判定結果に基づく制御信号ZQUPの更新について、詳細を説明する。演算回路40が大きく高いと判定した場合、電圧VN1は目標電圧Vtgtよりも大きく離れていることが期待される。このため、シーケンサ13は、大きく離れた誤差を補正するために、電圧VN1が電圧ΔV1よりも大きい電圧ΔV2低くなるように、制御信号ZQUPを更新する。演算回路40がわずかに高いと判定した場合、電圧VN1は目標電圧Vtgtよりもわずかに離れていることが期待される。このため、シーケンサ13は、わずかな誤差を補正するために、電圧VN1が電圧ΔV1低くなるように、制御信号ZQUPを更新する。演算回路40が適正または低いと判定した場合、電圧VN1が高くなることが見込まれて判定条件を設定したにもかかわらず、適正または低いという判定結果が出ている。つまり、電圧VN1は、目標電圧Vtgtに対して、ごくわずかに低い状態だと推定できる。このため、シーケンサ13は、ごくわずかな誤差を補正するために、電圧VN1が電圧(ΔV1)/2高くなるように、制御信号ZQUPを更新する。
【0136】
動作時の波形を参照して具体的に説明する。図21(a)、(b)、(c)は、第2実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明する波形図である。図21(a)、(b)、(c)は、電圧VN1がステップS43の前後でどのように変化するかを示している。図21(a)、(b)、(c)それぞれは、電圧VN1の高さが異なる。
【0137】
図21(a)の場合、電圧VN1は第3基準電圧Vref3よりも高く、第4基準電圧Vref4よりも低い。よって、演算回路40は電圧VN1の高さをわずかに高いと判定し、ステップS43においてシーケンサ13は制御信号ZQUPを、電圧VN1が電圧ΔV1低くなるように更新する。このため、ステップS43が実行されると、電圧VN1は電圧ΔV1低下する。
【0138】
図21(b)の場合、電圧VN1は第3基準電圧Vref3よりも高く、第4基準電圧Vref4よりも高い。よって、演算回路40は電圧VN1の高さを大きく高いと判定し、ステップS43においてシーケンサ13は制御信号ZQUPを、電圧VN1が電圧ΔV2低くなるように更新する。このため、ステップS43が実行されると、電圧VN1は電圧ΔV2低下する。
【0139】
図21(c)の場合、電圧VN1は第3基準電圧Vref3よりも低く、第4基準電圧Vref4よりも低い。よって、演算回路40は電圧VN1の高さを適正または低いと判定し、ステップS43においてシーケンサ13は制御信号ZQUPを、電圧VN1が電圧(ΔV1)/2高くなるように更新する。このため、ステップS43が実行されると、電圧VN1は電圧(ΔV1)/2高くなる。
【0140】
電圧VN1のマイナス側検出動作について説明する。図22は、第2実施形態に係る半導体装置の電圧VN1のマイナス側検出動作の一例を説明するフローチャートである。電圧VN1のマイナス側検出動作が開始されると(開始)、シーケンサ13は、分圧回路33の出力をマイナス側検出用に設定する(S50)。具体的には、シーケンサ13は、分圧回路33のセレクタ331を制御して、第5基準電圧Vref5をセレクタ37へ出力させ、第6基準電圧Vref6をセレクタ35へ出力させる。第5基準電圧Vref5は、目標電圧Vtgtよりも電圧ΔVr低い電圧である。第6基準電圧Vref6は、目標電圧Vtgtよりも電圧ΔVs低い電圧である。
【0141】
シーケンサ13は、演算回路40aをマイナス側検出用に設定する(S51)。
【0142】
シーケンサ13は、演算回路40aから演算結果を受信する(S52)。
【0143】
そしてシーケンサ13は、演算結果に基づいて、制御信号ZQUPを更新する(S53)。具体的には、電圧ΔV1、ΔV2、または(ΔV1)/2だけ目標電圧Vtgtの方向へシフトするように制御信号ZQUPを変更する。なお、電圧(ΔV1)/2は一例であり、電圧ΔV1よりも小さい電圧が用いられる。この処理により、プルアップ回路30及びレプリカプルアップ回路31の出力インピーダンスが最新の値に更新される。
【0144】
そして、マイナス側検出動作は終了する(終了)。
【0145】
マイナス側検出動作における演算回路40の演算の詳細について説明する。図23は、第2実施形態に係る半導体装置の演算回路のマイナス側検出動作における動作の一例を説明するダイアグラムである。縦軸は電圧VN1の高さを示している。HまたはLが書かれた箱は、比較器38及び39が“H”レベルを出力するか“L”レベルを出力するかを示している。比較器38は、電圧VN1が第6基準電圧Vref6よりも低い場合は“L”レベルを出力し、高い場合は“H”レベルを出力する。比較器39は、電圧VN1が第5基準電圧Vref5よりも低い場合は“L”レベルを出力し、高い場合は“H”レベルを出力する。比較器38の出力と比較器39の出力との組み合わせによって、電圧VN1の高さが3つの区域に分割できることがわかる。具体的には、以下の3つの場合に分割できる。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力している場合。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力している場合。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力している場合。以上の3つに分割することができる。なお、比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力する組み合わせは、第5基準電圧Vref5が第6基準電圧Vref6よりも高いという前提と矛盾するため存在しない。
【0146】
図24は、第2実施形態に係る半導体装置の演算回路の動作の一例を説明するテーブルである。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1の高さが適正である、または電圧VN1が目標電圧よりも高いと判定する。比較器38が“H”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1が目標電圧よりもわずかに低いと判定する。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“L”レベルを出力した場合、演算回路40は電圧VN1が目標電圧よりも大きく低いと判定する。比較器38が“L”レベルを出力し、比較器39が“H”レベルを出力した場合、演算回路40はエラーが生じていると判定する。
【0147】
シーケンサ13は、演算回路40の判定結果に基づいて制御信号ZQUPを更新する。具体的には、演算回路40が適正または高いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧(ΔV1)/2低くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40がわずかに低いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧ΔV1高くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40が大きく低いと判定した場合、シーケンサ13は電圧VN1が電圧ΔV2高くなるように制御信号ZQUPを更新する。演算回路40がエラーと判定した場合、シーケンサ13は制御信号ZQUPを維持する。
【0148】
演算回路40の判定結果に基づく制御信号ZQUPの更新について、詳細を説明する。演算回路が適正または高いと判定した場合、電圧VN1が低くなることが見込まれて判定条件を設定したにもかかわらず、適正または高いという判定結果が出ている。つまり、電圧VN1は、目標電圧Vtgtに対して、ごくわずかに高い状態だと推定できる。このため、シーケンサ13は、ごくわずかな誤差を補正するために、電圧VN1が電圧(ΔV1)/2低くなるように、制御信号ZQUPを更新する。演算回路40がわずかに低いと判定した場合、電圧VN1は目標電圧Vtgtよりもわずかに離れていることが期待される。このため、シーケンサ13は、わずかな誤差を補正するために、電圧VN1が電圧ΔV1高くなるように、制御信号ZQUPを更新する。演算回路40が大きく低いと判定した場合、電圧VN1は目標電圧Vtgtよりも大きく離れていることが期待される。このため、シーケンサ13は、大きく離れた誤差を補正するために、電圧VN1が電圧ΔV1よりも大きい電圧ΔV2高くなるように、制御信号ZQUPを更新する。
【0149】
電圧VN1の中央検出動作について説明する。図25は、第2実施形態に係る半導体装置の電圧VN1の中央検出動作の一例を説明するフローチャートである。電圧VN1の中央検出動作が開始されると(開始)、シーケンサ13は、分圧回路33の出力を中央検出用に設定する(S60)。具体的には、シーケンサ13は、分圧回路33のセレクタ331を制御して、第1基準電圧Vref1をセレクタ35へ出力させ、第2基準電圧Vref2をセレクタ37へ出力させる。
【0150】
シーケンサ13は、演算回路40aに中央検出用を設定する(S61)。
【0151】
シーケンサ13は、演算回路40aから演算結果を受信する(S62)。
【0152】
そしてシーケンサ13は、演算結果に基づいて、制御信号ZQUPを維持または更新する(S63)。具体的には、制御信号ZQUPを維持するか、電圧ΔV1だけ目標電圧Vtgtの方向へシフトするように制御信号ZQUPを変更する。この処理により、プルアップ回路30及びレプリカプルアップ回路31の出力インピーダンスが最新の値に更新される。
【0153】
そして、中央検出動作は終了する(終了)。
【0154】
中央検出動作における演算回路40の動作は、第1実施形態に係る演算回路40の動作と同様である。
【0155】
シーケンサ13は、演算回路40の判定結果に基づいて制御信号ZQUPを維持または更新する。その動作は、第1実施形態に係る半導体装置1の動作と同様である。
【0156】
ここまで、図17の電圧VN1のプラス側検出動作(S23)と、電圧VN1のマイナス側検出動作(S25)と、電圧VN1の中央検出動作(S26)とのそれぞれについて、図17図25を参照して説明した。図17の、電圧VN2のプラス側検出動作(S29)と、電圧VN2のマイナス側検出動作(S31)と、電圧VN2の中央検出動作(S32)とのそれぞれについても、電圧と制御信号が異なる点を除けば、電圧VN1に関する場合と同様である。
【0157】
具体的には、電圧VN2のプラス側検出動作は、電圧VN1のプラス側検出動作に対して、電圧VN1が電圧VN2に置き換わり、制御信号ZQUPが制御信号ZQDNに置き換わっている。電圧VN2のマイナス側検出動作は、電圧VN1のマイナス側検出動作に対して、電圧VN1が電圧VN2に置き換わり、制御信号ZQUPが制御信号ZQDNに置き換わっている。電圧VN2の中央検出動作は、電圧VN1の中央検出動作に対して、電圧VN1が電圧VN2に置き換わり、制御信号ZQUPが制御信号ZQDNに置き換わっている。
【0158】
<2-3>効果
第2実施形態に係る半導体装置1aは、温度センサ19と、電圧センサ20とを含む。シーケンサ13は、温度センサ19及び電圧センサ20から温度情報及び電圧情報を受信し、出力インピーダンスの変化が生じる環境の変化が無いか判定する。出力インピーダンスの変化が生じる環境の変化があった場合、シーケンサ13は、分圧回路33を制御して、変化の予想される方向をカバーした基準電圧を出力させる。具体的には、例えば、電圧VN1が目標電圧Vtgtよりもプラス方向に変化することが予想される場合、目標電圧Vtgtよりも高い2つの基準電圧を用いる。これにより、電圧VN1が大きく高い場合、わずかに高い場合、適正または低い場合の3通りを検出する。電圧VN1が大きく高い場合には大きく、電圧VN1がわずかに高い場合にはわずかに、適正または低い場合にはさらにわずかに、電圧VN1をシフトさせることで、誤差が少なくなるように補正する。
【0159】
このように、第2実施形態に係る半導体装置1aは、出力インピーダンスの変化が予想される際に、ずれの大きさを考慮した補正を行うことができる。これにより、第2実施形態に係る半導体装置1aは、ショートキャリブレーション動作において、出力インピーダンスの誤差を抑制することができ、動作信頼性を向上できる。
【0160】
なお、第2実施形態に係る半導体装置1aは、出力インピーダンスの変化が正にも負にも予想されない場合には、第1実施形態と同様の動作を行う。これにより、第2実施形態に係る半導体装置1aは、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、ショートキャリブレーション動作によって出力インピーダンスの誤差が拡大することが抑制でき、動作信頼性を向上できる。
【0161】
<3>第3実施形態
第3実施形態に係る半導体装置1bの構成は、第1実施形態に係る半導体装置1に対して、比較器の構成と、ショートキャリブレーション動作とが異なる。以下に、第3実施形態に係る半導体装置1bについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0162】
<3-1>構成
<3-1-1>ZQ較正回路18bの構成
図26は、第3実施形態に係る半導体装置のZQ較正回路と抵抗素子とシーケンサとの構成例を示すブロック図である。第3実施形態に係るZQ較正回路18bの構成は、第1実施形態に係るZQ較正回路18の構成に対して、比較器の構成が異なる。
【0163】
第3実施形態に係る比較器38aは、第1実施形態に係る比較器38に対して、マイナスの入力オフセット電圧を有する。具体的には、-ΔVrの入力オフセット電圧を有する。
【0164】
第3実施形態に係る比較器39aは、第1実施形態に係る比較器39に対して、プラスの入力オフセット電圧を有する。具体的には、+ΔVrの入力オフセット電圧を有する。
【0165】
図27は、第3実施形態に係る半導体装置に含まれる比較器の入出力特性の一例を示すグラフである。横軸が入力電圧、縦軸が出力電圧を示している。比較器の反転入力端子に基準電圧を印加し、非反転入力端子を低い電圧から高い電圧までスイープすると、入出力特性が得られる。一点鎖線は、入力と出力が等しい場合の入出力特性を示している。実線は、第1実施形態に係る比較器38及び39の入出力特性を示している。密な破線は、第3実施形態に係る比較器38aの入出力特性を示している。粗な破線は、第3実施形態に係る比較器39aの入出力特性を示している。
【0166】
比較器38と38aと39aとで、出力レベルが反転する入力電圧に差が生じている。比較器38aは、比較器38よりも、電圧ΔVr低い入力電圧で出力レベルが反転する。比較器39aは、比較器39よりも、電圧ΔVr高い入力電圧で出力レベルが反転する。これは、入力オフセット電圧によって生じた差である。このように、入力オフセット電圧は、出力レベルが反転する入力電圧をシフトさせる。
【0167】
その他のZQ較正回路18bの構成は、第1実施形態に係るZQ較正回路18の構成と同様である。
【0168】
<3-2>動作
図28は、第3実施形態に係る半導体装置のショートキャリブレーション動作の一例を説明するフローチャートである。第3実施形態に係る半導体装置1bのショートキャリブレーション動作は、第1実施形態に係る半導体装置1のショートキャリブレーション動作に対して、ステップS11がステップS70に置き換えられた点が異なる。
【0169】
ステップS70において、シーケンサ13は、分圧回路33の出力を第7基準電圧Vref7に設定する(S70)。具体的には、シーケンサ13は、分圧回路33のセレクタ331を制御して、第7基準電圧Vref7を、セレクタ35とセレクタ37とに出力させる。第7基準電圧Vref7は、目標電圧Vtgtと等しい。
【0170】
その他の動作は、第1実施形態に係る半導体装置1と同様である。
【0171】
<3-3>効果
第3実施形態に係る半導体装置1bは、負の入力オフセットを有する比較器38aと、正の入力オフセットを有する比較器39aとを含む。比較器38aは第7基準電圧Vref7と電圧VN1とを比較し、比較器39aは第7基準電圧Vref7と電圧VN1とを比較する。そして、演算回路40は、比較器38aの出力と比較器39aの出力とに基づいて、電圧VN1が高いか、最適か、低いかを演算する。そして、シーケンサ13は演算結果に基づいて制御信号ZQUPを更新する。
【0172】
このように、第3実施形態に係る半導体装置1bは、比較器38aに負の入力オフセットを、比較器39aに正の入力オフセットを持たせることで、第7基準電圧Vref7を比較器38aと比較器39aとで共用しても、第1実施形態と同様の動作を行うことができる。これにより、第3実施形態に係る半導体装置1bは、第1実施形態と同様に、ショートキャリブレーション動作によって出力インピーダンスの誤差が拡大することが抑制でき、動作信頼性を向上できる。
【0173】
<4>変形例等
上記実施形態では、電圧センサ20が半導体装置1に設けられる場合を例に説明した。電圧センサ20は、例えば半導体装置1以外の装置に設けられても良い。例えば、半導体装置1に電力を供給するパワーマネジメントICに、電圧センサが含まれてもよい。そして、パワーマネジメントICから半導体装置1へ、パワーマネジメントICの電圧センサが読み取った電圧情報を伝送し、電圧情報を半導体装置1内で利用してもよい。
【0174】
図29は、変形例に係る半導体装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図である。メモリシステムSYSaは、記憶装置である。メモリシステムSYSaは、図示しない外部のホスト機器からの命令に応じて、データの書込み動作や読出し動作等を実行する。図29に示すように、メモリシステムSYSaは、半導体装置1aと、メモリコントローラ2と、抵抗素子3と、パワーマネジメントIC4とを備える。
【0175】
パワーマネジメントIC4は、ICチップである。パワーマネジメントIC4は、電圧センサ400を含む。電圧センサ400は、パワーマネジメントIC4の扱う電圧の電圧値を読み取り、電圧情報VIMを生成する。電圧情報VIMは、電圧VCC、VCCQ、及びVCCQLそれぞれの電圧値についての情報を含む。パワーマネジメントIC4は、半導体装置1aに電圧VCC、VCCQ、及びVCCQLを供給し、半導体装置1aに電圧情報VIMを送信する。
【0176】
半導体装置1aは、不揮発性メモリである。半導体装置1は、例えばNAND型フラッシュメモリである。半導体装置1aは、電圧VCC、VCCQ、VCCQLを用いて動作する。半導体装置1aは、受信した電圧情報VIMに基づいて、電圧変動に対処するための各種動作を実行する。
【0177】
メモリシステムSYSaのその他の構成は、第1実施形態で説明したメモリシステムSYSと同様である。
【0178】
このように、半導体装置1aの外部に設けられた電圧センサ、例えばパワーマネジメントIC4内に設けられた電圧センサ400の電圧情報VIMを受信する場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0179】
上記実施形態では、プルアップ回路30、レプリカプルアップ回路31、プルダウン回路32のそれぞれが、制御信号CTRLを受信するトランジスタ303、トランジスタ313、トランジスタ322を含む場合を例に説明した。制御信号CTRLを受信するトランジスタ303、トランジスタ313、トランジスタ322は、省略してもよい。省略する場合、省略するトランジスタの電流経路を短絡するように配線で置き換える。具体的には、プルアップ回路30において、トランジスタ303を省略し、トランジスタ301<4:0>それぞれのソースに電圧VCCQLを印加し、トランジスタ302<4:0>それぞれのドレインに電圧VCCQLを印加してもよい。レプリカプルアップ回路31において、トランジスタ313を省略し、トランジスタ311<4:0>それぞれのソースに電圧VCCQLを印加し、トランジスタ312<4:0>それぞれのドレインに電圧VCCQLを印加してもよい。プルダウン回路32において、トランジスタ322を省略し、トランジスタ321<4:0>それぞれのソースを接地してもよい。
【0180】
上記実施形態では、プルアップ回路30、レプリカプルアップ回路31、プルダウン回路32のそれぞれが、5つを1組とするトランジスタを含む場合を例に説明した。プルアップ回路30、レプリカプルアップ回路31、プルダウン回路32のそれぞれが含むトランジスタの数は、例示した5つに限定されず、任意の数を実装して良い。
【0181】
第2実施形態では、電圧VN1が高くなる環境の変化があったか判定(S22)した後に、電圧VN1が低くなる環境の変化があったか判定(S24)する場合を例に説明した。電圧VN1が低くなる環境の変化があったか判定した後に、電圧VN1が高くなる環境の変化があったか判定しても良い。具体的には、図17を参照して説明したショートキャリブレーション動作において、ステップS22とS24を入れ替え、かつステップS23とステップS25を入れ替えても良い。電圧VN2に関する動作についても、同様の変形が可能である。すなわち、図17を参照して説明したショートキャリブレーション動作において、ステップS28とS30を入れ替え、かつステップS29とステップS31を入れ替えても良い。
【0182】
上記実施形態では、ZQ較正回路18が演算回路40を含み、演算回路40が演算結果をシーケンサ13へ送信する場合を例に説明した。演算回路40とシーケンサ13との組を、1つの制御回路と見なしてもよい。また、演算回路40の機能をシーケンサ13に組み込み、比較器38及び39それぞれの出力をシーケンサ13へ接続してもよい。
【0183】
上記実施形態では、図13図14、及び図21を参照して、比較器38及び39による1回の判定に応じた電圧VN1の変化を説明した。ZQ較正用パッド22の電圧についても、電圧VN1と同様に変化する。つまり、ZQ較正用パッド22の電圧を測定することで、電圧VN1の変化を観察することができる。
【0184】
上記実施形態では、半導体装置としてNAND型フラッシュメモリを例に説明した。例えば、半導体装置はDRAMでもよい。図30は、変形例に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。図30に示すように、DRAM100は、メモリセルアレイ101、ロウデコーダ102、カラムデコーダ103、コマンドデコーダ104、アドレスデコーダ105、コマンド/アドレス入力回路106、センスアンプ回路107、転送ゲート108、読み出し/書き込みアンプ回路(RWAMP)109、入出力回路110、クロック入力回路111、内部クロック生成回路112、電圧生成回路113、ZQ較正回路114、シーケンサ115、温度センサ116、電圧センサ117などを含む。
【0185】
メモリセルアレイ101は、複数のメモリセルMCDを含む。DRAM100のメモリセルMCDのそれぞれは、セルキャパシタCCと、セルトランジスタCTとを含む。セルトランジスタCTのゲートは、複数のワード線WLのうち対応する1つに接続される。セルトランジスタCTの電流経路の一端は、ビット線BLに接続される。セルトランジスタCTの電流経路の他端は、セルキャパシタCCの一端に接続される。セルキャパシタCCの他端は、接地されている。セルキャパシタCCは、記憶すべきデータに応じた量の電荷を格納できる。セルトランジスタCTは、メモリセルMCDとビット線BLとの間の導通/非導通(メモリセルの選択/非選択)をスイッチングする。複数のメモリセルMCDは、メモリセルアレイ101内において、2次元アレイ状又は3次元アレイ状に配列されている。
【0186】
例えば、メモリセルアレイ101は、複数のバンクを含む。各バンクは、複数のメモリセルを含む制御単位である。複数のバンクは、互いに独立に動作可能である。
【0187】
ロウデコーダ102は、アドレス情報のデコード結果及びコマンドのデコード結果に基づいて、メモリセルアレイ101のロウ(例えば、ワード線)の選択/非選択を制御する。
【0188】
カラムデコーダ103は、アドレス情報のデコード結果及びコマンドのデコード結果に基づいて、メモリセルアレイ101のカラム(例えば、ビット線)の選択/非選択を制御する。
【0189】
コマンドデコーダ104は、コマンド/アドレス入力回路106からのコマンドをデコードする。コマンドデコーダ104は、コマンドのデコード結果を、ロウデコーダ102及びカラムデコーダ103に送る。
【0190】
アドレスデコーダ105は、コマンド/アドレス入力回路106からのアドレス情報をデコードする。アドレスデコーダ105は、アドレス情報のデコード結果を、ロウデコーダ102及びカラムデコーダ103に送る。
【0191】
コマンド/アドレス入力回路106は、外部から供給されるコマンド/アドレス信号CAを受ける。コマンド/アドレス信号CAは、コマンド及びアドレス情報を含む。コマンド/アドレス入力回路106は、コマンドを、コマンドデコーダ104に送る。コマンド/アドレス入力回路106は、アドレス情報を、アドレスデコーダ105に送る。
【0192】
センスアンプ回路107は、読み出しシーケンス時において、メモリセルMCDからの信号をセンス及び増幅する。センスアンプ回路107は、メモリセルMCDからの信号を読み出しデータとして、転送ゲート108及び読み出し/書き込みアンプ回路109を介して、入出力回路110に送る。センスアンプ回路107は、入出力回路110からの書き込みデータを、転送ゲート108及び読み出し/書き込みアンプ回路109を介して、受ける。センスアンプ回路107は、書き込みデータに応じた信号を、ビット線BLに出力する。
【0193】
転送ゲート108は、センスアンプ回路107と読み出し/書き込みアンプ回路109との間のデータ転送を、制御する。
【0194】
読み出し/書き込みアンプ回路109は、読み出しデータに応じた信号のレベル(信号値)、及び、書き込みデータに応じた信号のレベルを増幅する。
【0195】
入出力回路110は、メモリセルアレイ101とDRAM100の外部との間で転送されるデータDQのインターフェイス回路として機能する。入出力回路110は、外部からの電源電圧VDDQ、VSSQを用いて動作する。入出力回路110は、内部クロックCLK2に同期したタイミングで、書き込みデータを、メモリセルアレイ101に送る。入出力回路110は、内部クロックCLK2に同期したタイミングで、読み出しデータを、DRAM100の外部のデバイスに送る。例えば、入出力回路110は、データマスク信号DMを受ける。これによって、入出力回路110は、データDQに対してマスク処理を行う。
【0196】
クロック入力回路111は、外部からのクロック(以下では、外部クロックとよばれる)CLK1を受ける。クロック入力回路111は、外部クロックCLK1を、内部クロック生成回路112に送る。
【0197】
内部クロック生成回路112は、外部クロックCLK1に基づいて、内部クロックCLK2を生成する。内部クロック生成回路112は、生成された内部クロックCLK2を入出力回路110などに送る。
【0198】
電圧生成回路113は、外部からの電源電圧VDD、VSSを用いて、DRAM100の各種の動作シーケンスのそれぞれに用いられる複数の電圧を、生成する。電圧生成回路113は、生成された電圧を、他の回路(例えば、読み出し/書き込みアンプ回路109)に送る。
【0199】
ZQ較正回路114は、外部の抵抗素子3と接続される。ZQ較正回路114は、外部からの電源電圧VDDQ、VSSQを用いて動作する。ZQ較正回路114は、抵抗素子3の抵抗値に基づいて、入出力回路110の出力インピーダンスを較正するZQ較正動作を実行する。
【0200】
シーケンサ115は、ZQ較正回路114にZQ較正動作を実行させる。シーケンサ115は、入出力回路110の出力インピーダンスを設定する。
【0201】
温度センサ116は、DRAM100の温度を測定する。温度センサ116は、測定した温度の情報をシーケンサ115へ送信する。
【0202】
電圧センサ117は、電圧VDDQ及びVSSQを測定する。電圧センサ117は、測定した電圧の情報をシーケンサ115へ送信する。
【0203】
本変形例のZQ較正回路114は、第1実施形態に係るZQ較正回路18と同様の構成を有する。すなわち、2つの比較器を含み、2つの比較器それぞれの出力に基づいてZQ較正動作が実行される。これによって、本変形例に係るDRAM100は、第1実施形態に係る半導体装置1と同様の効果を得ることができる。
【0204】
さらに、本変形例に係るDRAM100は、温度センサ116及び電圧センサ117を含む。つまり、シーケンサ115が環境の変化を検知することができる。これにより、本変形例に係るDRAM100は、第2実施形態に係る半導体装置1aと同様の効果を得ることができる。
【0205】
なお、本変形例においては、半導体装置がDRAMである場合を例示したが、半導体装置は、DRAM以外のランダムアクセスメモリでもよい。例えば、半導体装置は、SRAM(Static RAM)でもよい。また、半導体装置は、可変抵抗特性を有する遷移金属酸化物素子をメモリ素子に用いたメモリデバイス(例えば、ReRAM(Resistive Random Access Memory)のような抵抗変化メモリ)、相変化素子をメモリ素子に用いたメモリデバイス(例えば、PCRAM(Phase Change Random Access Memory)のような相変化メモリ)、又は強誘電体素子をメモリ素子に用いたメモリデバイス(例えば、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)のような強誘電体メモリ)でもよい。
【0206】
本明細書において、“トランジスタの電流経路の一端”は、トランジスタのソースまたはドレインに対応する。
【0207】
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。また、“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していても良い。
【0208】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0209】
1,1a,1b…半導体装置、2…メモリコントローラ、3…抵抗素子、10…入出力回路、11…ロジック制御回路、12…レジスタ、13…シーケンサ、14…メモリセルアレイ、15…ロウデコーダ、16…センスアンプ、17…ドライバセット、18,18a,18b…ZQ較正回路、19…温度センサ、20…電圧センサ、21…入出力用パッド群、22…ZQ較正用パッド、23…ロジック制御用パッド群、24…電源用パッド群、30…プルアップ回路、31…レプリカプルアップ回路、32…プルダウン回路、33…分圧回路、34,35,36,37,331,3314,3315…セレクタ、38,38a…比較器、39,39a…比較器、40,40a…演算回路、101…メモリセルアレイ、102…ロウデコーダ、103…カラムデコーダ、104…コマンドデコーダ、105…アドレスデコーダ、106…アドレス入力回路、107…センスアンプ回路、108…転送ゲート、109…アンプ回路、110…入出力回路、111…クロック入力回路、112…内部クロック生成回路、113…電圧生成回路、114…ZQ較正回路、115…シーケンサ、116…温度センサ、117…電圧センサ、301,302,311,312,321…トランジスタ、330…複数の抵抗、3310,3311,3312,3313…バッファ、BL…ビット線、CC…セルキャパシタ、CT…セルトランジスタ、MC…メモリセル、MCD…メモリセル、SYS…メモリシステム、WL…ワード線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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