(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131677
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】自動二輪車用情報端末機器の支持装置
(51)【国際特許分類】
B62J 45/00 20200101AFI20240920BHJP
B62J 50/22 20200101ALI20240920BHJP
B62J 11/00 20200101ALI20240920BHJP
【FI】
B62J45/00
B62J50/22
B62J11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042092
(22)【出願日】2023-03-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】592016485
【氏名又は名称】株式会社デイトナ
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】大澤 英世
(57)【要約】
【課題】 設置スペースが限られがちな自動二輪車に対し、大型で重量の重い大型モニター等の情報端末機器を、汎用的に且つ強固に搭載することができる支持装置の開発を技術課題とした。
【解決手段】 本発明の支持装置1は、車輌側に固定されるクランプ基体1Aと、情報端末機器Aを保持する中継支脚1Bとを具え、これらを各一基ずつ組み合わせた構成を一組とし、この組み合わせを左右一対で計二組用いて、情報端末機器Aを固定するものであり、クランプ基体1Aと中継支脚1Bとの接続対偶は、ガイドスロットとスロットインナとの係合構造であり、且つ中継支脚1Bは、情報端末機器Aに対する幅方向支持位置を、クランプ基体1Aにおける掴持幅方向中心位置に対し偏在させていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末機器を自動二輪車におけるライダーの視野範囲に設置するための支持装置であって、
この支持装置は、
自動二輪車側において円形断面を成す管状の固定部位を掴持するように固定されるクランプ基体と、
このクランプ基体に支持されるとともに、情報端末機器を保持する中継支脚とを具えて成り、
前記クランプ基体と中継支脚とは、各一基ずつ組み合わせた構成を一組とし、この組み合わせを左右一対で計二組用いて、前記自動二輪車側の固定部位に対し二カ所で固定されるものであり、
更にクランプ基体と中継支脚との接続対偶は、ガイドスロットとスロットインナとの係合構造であり、
なお且つ前記中継支脚は、情報端末機器に対する幅方向支持位置を、クランプ基体における掴持幅方向中心位置に対し偏在させていることを特徴とする、自動二輪車用情報端末機器の支持装置。
【請求項2】
前記ガイドスロットとスロットインナとの係合構造は、前記中継支脚における支脚係合部にガイドスロットを形成する一方、前記クランプ基体におけるクランプ係合部にスロットインナを形成して構成されるものであり、
両者はロック機構により、係合完了状態が維持されることを特徴とする請求項1記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置。
【請求項3】
前記中継支脚における支脚係合部の幅寸法と、クランプ基体におけるクランプ係合部の幅寸法とは概等状態に寸法設定される一方、
クランプ基体において前記自動二輪車側の固定部位に固定されるクランプリング部の幅寸法は、クランプ係合部の幅寸法より小さく設定されることを特徴とする請求項2記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記クランプ基体におけるスロットインナの内嵌めリブの上面に形成される上部台座の幅方向中央にキャッチ片が設けられるとともに、キャッチ片は、自由側端部に構成されるキャッチフックが弾性的に変位するように構成され、更にこのキャッチフックをガイドスロット側に押し込むロックシフタが設けられ、
一方、前記ガイドスロットにおける上当たり面のスロット係合終了側の端部寄りにはフック受け部が形成されるものであり、
前記クランプ基体と中継支脚とのスロット係合が完了し、この係合完了状態を維持するときには、ロックシフタにおけるロックカムによる押し込みを受けて、キャッチ片のキャッチフックをフック受け部に係止させ、両者の係合状態を維持する構成であることを特徴とする請求項2または3記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置。
【請求項5】
前記中継支脚における上当たり面の幅方向中央には、スロット係合開始側からスロット係合終了側に至る途中までの範囲に、弾性的に変位するキャッチフックとの干渉を回避する挿入誘導溝が形成されていることを特徴とする請求項4記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車に情報端末機器を搭載するための支持装置に関するものであって、特に大型で重量の重い情報端末機器を、安定的に且つ汎用性を持たせて支持することができる自動二輪車用情報端末機器の支持装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の利用に際して、その利便性を向上させるため、スマートフォン等の情報端末機器をハンドルバーや、その至近位置であるライダーの視野範囲に取り付けることが行われている(例えば特許文献1・2参照)。このような利便性の向上の要求は、逐次、新規な情報端末機器が市場に提供されるたびに、高まりないし深化するものであり、例えばスマートフォン等に比べてより大型で且つ重量のあるナビゲーションシステム等を主要機能とした情報端末機器についても、搭載することが求められている。
【0003】
しかしながら、周知のとおり自動車等、室内空間が充分確保できる車輛に比べ、自動二輪車は、このような情報端末機器を搭載するにしても、そのためのスペースは限られており、且つ走行時の路面からの振動やエンジン振動も多く、現状では大型で重量の重い(以下「大重量の」と記す)大型モニター等の情報端末機器を搭載できる適切な支持装置が少ないこともあって、このような要求には、充分応え切れていないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-113047号公報
【特許文献2】特開2015-24703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景を考慮してなされたものであって、設置スペースが限られがちな自動二輪車に対し、大型で大重量の大型モニター等を、汎用的に且つ強固に搭載することができる自動二輪車用情報端末機器の支持装置を開発することを技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず請求項1記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置は、
情報端末機器を自動二輪車におけるライダーの視野範囲に設置するための支持装置であって、
この支持装置は、
自動二輪車側において円形断面を成す管状の固定部位を掴持するように固定されるクランプ基体と、
このクランプ基体に支持されるとともに、情報端末機器を保持する中継支脚とを具えて成り、
前記クランプ基体と中継支脚とは、各一基ずつ組み合わせた構成を一組とし、この組み合わせを左右一対で計二組用いて、前記自動二輪車側の固定部位に対し二カ所で固定されるものであり、
更にクランプ基体と中継支脚との接続対偶は、ガイドスロットとスロットインナとの係合構造であり、
なお且つ前記中継支脚は、情報端末機器に対する幅方向支持位置を、クランプ基体における掴持幅方向中心位置に対し偏在させていることを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項2記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記ガイドスロットとスロットインナとの係合構造は、前記中継支脚における支脚係合部にガイドスロットを形成する一方、前記クランプ基体におけるクランプ係合部にスロットインナを形成して構成されるものであり、
両者はロック機構により、係合完了状態が維持されることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項3記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置は、前記請求項2記載の要件に加え、
前記中継支脚における支脚係合部の幅寸法と、クランプ基体におけるクランプ係合部の幅寸法とは概等状態に寸法設定される一方、
クランプ基体において前記自動二輪車側の固定部位に固定されるクランプリング部の幅寸法は、クランプ係合部の幅寸法より小さく設定されることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項4記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置は、前記請求項2または3記載の要件に加え、
前記ロック機構は、前記クランプ基体におけるスロットインナの内嵌めリブの上面に形成される上部台座の幅方向中央にキャッチ片が設けられるとともに、キャッチ片は、自由側端部に構成されるキャッチフックが弾性的に変位するように構成され、更にこのキャッチフックをガイドスロット側に押し込むロックシフタが設けられ、
一方、前記ガイドスロットにおける上当たり面のスロット係合終了側の端部寄りにはフック受け部が形成されるものであり、
前記クランプ基体と中継支脚とのスロット係合が完了し、この係合完了状態を維持するときには、ロックシフタにおけるロックカムによる押し込みを受けて、キャッチ片のキャッチフックをフック受け部に係止させ、両者の係合状態を維持する構成であることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項5記載の、自動二輪車用情報端末機器の支持装置は、前記請求項4記載の要件に加え、
前記中継支脚における上当たり面の幅方向中央には、スロット係合開始側からスロット係合終了側に至る途中までの範囲に、弾性的に変位するキャッチフックとの干渉を回避する挿入誘導溝が形成されていることを特徴として成るものである。
そして、これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0011】
まず請求項1記載の発明によれば、左右で一組ずつ設けた支持装置、つまり計二組の支持装置によって情報端末機器を支持するため、画面が大型で且つ大重量の情報端末機器であっても自動二輪車に対し安定的に且つ強固に搭載することができる。
また個々の支持装置は、車体取付(車輌固定)側に対し、情報端末機器取付側が偏在するように構成されるため、例えば左右の支持装置を入れ替えることにより、車輌固定側の取付ピッチを短くすることができる。ここで通常、この種の情報端末機器は、自動二輪車のハンドルバー周辺に取り付けられるが、ハンドルバー周辺には、速度計やスイッチ類等の各種機器が多数配設されているため、これらを避けて装着するとなると、どうしても装着スペースが制限されがちであり、取付ピッチが短縮できる本発明は、ハンドルバー周辺への装着性を格段に向上させるものである。
【0012】
また請求項2記載の発明によれば、情報端末機器に取り付けられる中継支脚側に、係合部アウタトとなるガイドスロットを形成し、且つ車体取付側のクランプ基体に、係合部インナとなるスロットインナを形成し、これらを係合させる構成であるから、クランプ基体と中継支脚との接続対偶が具体的なものなる。
また、クランプ基体と中継支脚とのスロット係合は、ロック機構によって係合状態が維持されるため、走行時の振動などによって係合状態が解除されてしまうことがないものである。
【0013】
また請求項3記載の発明によれば、スロット係合を行う支脚係合部とクランプ係合部との概幅寸法は等しく構成される一方、車体取付側となるクランプ基体のクランプリング部の概幅寸法は、上記スロット係合の概幅寸法より小さく設定されるため、取付スペースが制限されるハンドルバー周辺をより有効に活用することができる。すなわち、車体側への取付部位の概幅寸法を、スロット係合部の概幅寸法よりも小さく抑えることは、狭小スペースとなるハンドルバー周辺への装着性をより一層向上させるものである。
【0014】
また請求項4記載の発明によれば、クランプ基体と中継支脚とのスロット係合をロックする構造を具体的なものとする。
【0015】
また請求項5記載の発明によれば、スロット係合開始側からスロット係合終了側に至る途中までの範囲に、弾性的に変位するキャッチフックとの干渉を回避する挿入誘導溝が形成されているから、例えば係合当初はロックシフタを操作することなく、中継支脚をスムーズにクランプ基体に嵌め込んで行くことができる。なお、この係合は、キャッチフックが上当たり面に相対的に当接した際に進まなくなるが、このような停止状態から係合を再開させるには、ロックカムを操作する必要があり、このためライダーが明確にスロット係合完了状態を認識することができる。すなわち、情報端末機器側の中継支脚を、クランプ基体に係合させる際には、上側に位置する情報端末機器の画面によってクランプ基体が目視し難いことが考えられるが、スロット係合を完了させ、更にこの状態でロックするにあたり、ロックカムを操作することで、ライダーが確実にロック状態を認識することができ、係合不完全による情報端末機器の落下等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の支持装置によって情報端末機器を自動二輪車に搭載した様子を示す斜視図、並びに支持装置を拡大して示す斜視図である。
【
図2】本発明の支持装置によって情報端末機器を自動二輪車に搭載している様子を拡大して示す斜視図である。
【
図3】本発明の支持装置を構成するクランプ基体と中継支脚とを組み合わせ前の状態で示す斜視図である。
【
図4】自動二輪車側との固定を図るクランプ基体を示す分解斜視図である。
【
図5】上記クランプ基体を示す正面図(a)、並びに側面断面図(b)、並びに側面図(c)である。
【
図6】情報端末機器を直接保持する中継支脚を示す分解斜視図である。
【
図7】上記中継支脚を示す正面図(a)、並びに側面図(b)、並びに背面図(c)、並びに本図(a)のD-D線における拡大断面図(d)である。
【
図8】上記中継支脚における係合構造(ガイドスロット)を示すべく、中継支脚を裏返し状態で示す斜視図である。
【
図9】左右一対の支持装置を、左右入れ替えて情報端末機器を保持するようにした構成例を示す説明図(a)・(b)である。
【
図10】自動二輪車側に取り付けたクランプ基体に、情報端末機器側に取り付けた中継支脚をスロット係合させる様子を段階的に示す説明図(a)~(c)である。
【
図11】スロット係合が完了したクランプ基体と中継支脚との係合状態を示す側面断面図である。
【
図12】本発明の支持装置を自動二輪車に対し、情報端末機器が斜めに向くように取り付けた様子を示す説明図(a)、並びに一基の中継支脚において前後に分岐する偏向支脚部の長さ(機器台座の高さ)や形状等を異ならせるようにした構成例を示す説明図(b)、並びに中継支脚の偏向支脚部を支脚係合部に対し回動自在に形成した構成例を示す説明図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の実施例に示すとおりであるが、これらの実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例0018】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明たる自動二輪車用情報端末機器の支持装置1(以下、単に「支持装置1」と略記することもある)は、自動二輪車Mにおけるライダーの視野範囲に情報端末機器Aを搭載(設置)するための装置である。特に、本発明の支持装置1は、大型で且つ大重量の情報端末機器A、具体的にはナビゲーション用モニター等を搭載するのに適した構成を採る。
【0019】
支持装置1は、一例として
図1~
図8に示すように、大別すると自動二輪車Mの例えばハンドルバーH等の固定部位を利用して取り付けられるクランプ基体1Aと、このクランプ基体1Aに支持されるとともに情報端末機器Aを保持する中継支脚1Bとを各一基ずつ組み合わせた構成を一組とし、この組み合わせを左右一対で計二組用いて、情報端末機器Aを自動二輪車Mに対し幅方向二カ所で固定するものである。そして、このような取付構造により、大型で且つ大重量の情報端末機器Aであっても自動二輪車Mに強固に搭載できるようにしたものである。
【0020】
なお、情報端末機器Aを自動二輪車Mに設置するにあたり、支持装置1のクランプ基体1Aを自動二輪車M自体のハンドルバーHに取り付けることができれば、それに越したことはないが、ハンドルバーH周辺は、速度計やスイッチ類等が種々配設されているため、どうしても装着スペースが制限されがちである。そのためハンドルバーHにクランプ基体1Aを直付けし難い場合には、例えば
図1・
図2に示すように、別途、装着スペースを確保するための取付部材(アクセサリーバー等と称される)をまずハンドルバーHに固定し、この取付部材(アクセサリーバー)にクランプ基体1Aを取り付けることもあり得、前記固定部位とは、ハンドルバーHの他、このような取付部材も含むものである。
また、クランプ基体1Aと中継支脚1Bとは、スロット構造による係合態様(嵌め合い態様)を適用した対偶構造を採る。具体的には、例えばT溝状に形成された係合部アウタを、断面T字状に形成された係合部インナに対し、外嵌め状態に係合させて、双方の係合を図る対偶構造である(
図9参照)。
以下、クランプ基体1Aと中継支脚1Bとについて説明する。
【0021】
まずクランプ基体1Aから説明する。
クランプ基体1Aは、一例として
図3~
図5に示すように、自動二輪車Mにおいて円形断面を成す管状の固定部位、例えばハンドルバーHの直線形成部位に、掴持状態に取り付けられるものであり、車体側に直接取り付けられるクランプリング部2と、これと一体的に形成され、中継支脚1Bとの係合を図るクランプ係合部3とを具えて成る。
このうちクランプリング部2は、ハンドルバーH等の円形断面支持部材を保持するための保持開口20を具える。そして、この保持開口20を構成するために半割り状の固定リング部21及び開閉リング部22を具えるものであり、両者はヒンジピン23において開閉自在に連結されている。すなわち、ハンドルバーH等への取り付けを図る際には、ヒンジピン23を回動中心として開閉リング部22を開放させて、ハンドルバーHへの取り付けを可能とする。また固定リング部21の内周側にハンドルバーH等の固定部位を収めたら、開放させていた開閉リング部22を閉鎖するように回動させて、ハンドルバーHの外周側を固定リング部21と開閉リング部22とによって挟み込み、この状態をクランプボルト24の締め込みによって維持するものである。
このような構造から、固定リング部21は、保持開口20を形成するために半円状の開口部を具え、結果的に側面視で半円弧状の角(ツノ)状突起として形成される。
また、このうちの一方の突起の先端、すなわちヒンジピン23が設けられていない側の突起の先端を固定側合わせ部21aとし、この部分にクランプボルト24が設けられる。
一方、開閉リング部22も同様に半円弧状の側面形状を具え、開閉側合わせ部22aに前記クランプボルト24を受け入れる(貫通)とともに、クランプボルト24に螺合する受けナット25が非回転状態に保持される構造となっている(
図5参照)。
【0022】
次にクランプ係合部3について説明する。
クランプ係合部3は、一例として上記
図3~
図5に示すように、前記中継支脚1Bとスロット係合する作用を担うものであり、本実施例では上記クランプリング部2と一体で形成されることから、その境界は必ずしも明確でないが、固定リング部21の上方(ここをクランプ係合部3の支脚支持台31とする)から上側の部位をクランプ係合部3として定義する。
支脚支持台31は、クランプ係合部3の基部となる部位であり、この支脚支持台31の上面側に下部台座31aが形成され、ここは中継支脚1Bを支える作用を担う。
そして、この下部台座31aの上方に、中継支脚1Bにおけるガイドスロット41(これについては後述する)に嵌まり合うスロットインナ32が形成される。なお、このスロットインナ32が、上述した係合部インナを構成するものであり、一方、前記ガイドスロット41が上述した係合部アウタを構成する。
因みに、これらガイドスロット41とスロットインナ32との接続対偶は、本実施例ではいわゆるTスロット係合を採用するが、必ずしもTスロット係合に限定されるものではなく、例えばアリ溝状のスロット係合でももとより差し支えない。
【0023】
なお情報端末機器Aは、自動二輪車Mに乗車したライダーからの視認性を考慮して支持装置1に保持されるため、取付状態ではライダーの目線に対向するよう、幾らか傾斜状態に配設されることが多いものの、部材の配置としては、上記
図1・
図2に示すように、情報端末機器Aが上方に位置し、下方に支持装置1が位置するような取付態様となる。従って、本明細書においても各部材の上方とは、情報端末機器Aが取り付けられる方向を指すものとする。
また大型で大重量の情報端末機器Aは、矩形状に形成されることが多く、特にここでは乗車したライダーから視て横長状に設置された状態を基本とし、この状態で設置された情報端末機器Aの長手方向(横方向)を左右方向または幅方向と称している。このため情報端末機器Aの幅方向(左右方向)は自動二輪車Mの幅方向(左右方向)と一致する。
【0024】
また、クランプ基体1Aのクランプ係合部3と、中継支脚1Bの支脚係合部4との嵌め合い、つまりスロットインナ32とガイドスロット41との嵌め合いは、一定の方向から係合が開始するように構成されており(言わば一方通行のスロット係合)、両者が嵌まり合った状態で係合が完了するように構成されている。このため両部材には、係合開始側と係合終了側とが存在するものであり、これらを区別する必要がある場合には、各々、スロット係合開始側・スロット係合終了側と称して区別する。
【0025】
更に上記スロットインナ32は、その上方において幅方向両側(左右両側)に張り出すような内嵌めリブ33を具えるものであり、結果的に内嵌めリブ33の張り出し部位と、支脚支持台31の上面である下部台座31aとの間に、溝状を成すリブ受け溝33aが形成される。
また内嵌めリブ33は、その上面を上部台座33bとするとともに、この上面の幅方向中央部に溝状のキャッチ片収め部33cが形成され、このキャッチ片収め部33cには、後述するキャッチ片35が取り付けられる。
そして、スロットインナ32の一端部、すなわちスロット係合終了側端部には、ストッパ壁部34が、スロットインナ32に対し立設状態に設けられ、これは中継支脚1Bのスライド挿入を止める作用を担っている。
【0026】
更に、前記キャッチ片収め部33cには、中継支脚1Bとの係合状態をロックするためのキャッチ片35が設けられるものであり、このキャッチ片35は、一例として
図4に示すように、キャッチ片収め部33cに対して、取付部35aにおいて固定ビス35e等の固定手段によって取り付けられるともに、取付部35aから自由端側に向かって逃げ曲がり部35bが、キャッチ片収め部33c(取付部35a)よりも低くなるように曲成され、更にその自由側先端部において側面視フック状を成すキャッチフック35cが形成される。
そして、このキャッチフック35cの下面部に、カム受け部35dが構成されるものであり、このカム受け部35dは、中継支脚1Bとクランプ基体1Aとの係合状態をロックする際に、中継支脚1Bの一部(後述するフック受け部44)に当接するものである(
図11参照)。すなわち、キャッチフック35cは、通常、キャッチ片収め部33c(取付部35a)から突出しないように構成されているが、後述するロックシフタ36の操作により、キャッチ片収め部33cから突出するように構成され、この状態が係合嵌め合いをロックする状態である(いわゆるロック機構)。
【0027】
次に、このキャッチ片35の自由端側に設けられるキャッチフック35cを操作するためのロックシフタ36について説明する。
ロックシフタ36は、一例として上記
図3~
図5に示すように、支脚支持台31の下方であって、キャッチ片35のキャッチフック35c側に設けられる。このロックシフタ36は、クランプ基体1Aのピボット部36Pにおいて回動自在に取り付けられて成り、クランプ基体1Aにおけるクランプ係合部3から外方に張り出すように設けられた操作片36aと、これと一体形成されたロックカム36cとを具えて成るものである。
そしてロックシフタ36は、セットスプリング37により常時、キャッチフック35cを上向きに押圧するように付勢され、これによりキャッチ片35のカム受け部35d側を押し上げるように構成されている。
【0028】
次に、このようなクランプ基体1Aと係合して用いられる中継支脚1Bについて説明する。
中継支脚1Bは、一例として
図3・
図6~
図8に示すように、支脚係合部4と偏向支脚部5と機器台座6とを具えて成り、これらが一体的に形成されて成るものである。
このうち支脚係合部4は、前記クランプ係合部3とスロット係合する部位であり、実質的な係合部となるガイドスロット41を具える。
このガイドスロット41は、一例として
図7(a)・(c)に示すように、スロットリブ42が幅方向両側から対向して内向きに張り出すことにより、いわゆるTスロットの溝状に構成される。
そして、このようなスロットリブ42が形成されることにより、ガイドスロット41は、スロットリブ42の上方にスロット脇溝41aが構成され、更にその下方にスロット開口41bが形成される。すなわち対向状態に形成されたスロットリブ42の間に、スロット開口41bが形成されるものである。
【0029】
更にガイドスロット41の内側上面部には、上当たり面41cが構成され、ここはクランプ基体1Aのクランプ係合部3との係合時に、前記内嵌めリブ33の上部台座33bが当接する面である(摺動が許容される当接)。
またスロットリブ42の下面側が、下当たり面42aとなり、クランプ基体1Aのクランプ係合部3との係合時に、クランプ係合部3における下部台座31aに当接する面である(摺動が許容される当接)。
【0030】
そして、このガイドスロット41は、一例として
図7(d)・
図8に示すように、スロット係合開始側から挿入誘導溝43が上当たり面41cを削り込むようにして、形成されるものであり、この挿入誘導溝43は、例えば途中から傾斜するように形成され、最終的に対向側となるスロット係合終了側のフック受け部44近くまで形成される。すなわち、この挿入誘導溝43は、スロット係合終了側では、なくなるように形成される。このように挿入誘導溝43は、スロット係合開始側端部から形成されるものの、これがスロット係合終了側端部まで到達しないように形成されており、この挿入誘導溝43によって形成される微妙な段差(傾斜)に起因し、スロット係合が一方通行でしか行えない構成となっている。
【0031】
またスロット係合終了側端部では上当たり面41cの一部(挿入誘導溝43の突き当たり部分)が切り欠かれた段差状に形成され、この段差が前記フック受け部44を構成する。
なおガイドスロット41は、上記
図7(d)に示すように、側面視でスロット係合開始側端部が、切り欠き状に形成されており(これを切り欠き部45とする)、ここはスロット係合が最後まで進行した際に、クランプ係合部3のストッパ壁部34を収めるように嵌合する部位である(
図10(c)参照)。また、当該切り欠き部45を形成したことにより、クランプ基体1Aの嵌め込みが行い易くなるものであり(一方通行のスロット係合が開始し易いものであり)、言わばスロット係合をガイドする作用を奏するものである。
【0032】
次に、偏向支脚部5について説明する。
偏向支脚部5は、上述したように上記支脚係合部4と一体的に形成されるものであり、一例として
図6・
図7に示すように、基部となる支脚係合部4から上方に向けて前後に二股に分かれるように形成され、一カ所の支脚係合部4から二本の偏向支脚部5が分岐状に構成される。そして、このような中継支脚1Bが、正面視で左右一対ずつ設けられるものであり、これにより機器台座6を介して、情報端末機器Aを計四カ所で保持するように構成される。
【0033】
また、偏向支脚部5は、正面視で支脚係合部4から上方に傾斜しながら延びるように構成されるため、正面視で支脚係合部4に対して偏向状態に設けられる。すなわち偏向支脚部5は、上述したように、上方に情報端末機器Aの取り付けを図る機器台座6を具えるものであり、機器台座6の位置は、偏向支脚部5の基部である支脚係合部4の位置からすると、幅方向(左右方向)に偏在した状態となっている。これは種々の情報端末機器Aに対応できるようにするためであり、これにより取り付けの汎用性が高められる。ここで、
図7(a)中の符号5dは、偏向支脚部5の支脚係合部4に対する偏在寸法を示しており、一例として10mm~15mm程度に形成される。
このように前記中継支脚1Bは、情報端末機器A(自動二輪車M)の幅方向支持位置が、クランプ基体1Aにおける掴持幅方向中心位置に対し偏在する構成となっている。 また、本実施例では、中継支脚1Bにおける支脚係合部4の幅寸法と、クランプ基体1Aにおけるクランプ係合部3の幅寸法とは、概等状態に寸法設定される一方、クランプリング部2の幅寸法は、クランプ係合部3の幅寸法より小さく設定される(
図9参照)。
【0034】
更に左右一対で設けられる支持装置1は、一例として
図9(a)に示すように、偏向支脚部5がともに傾斜状に形成されている。すなわち
図9(a)では、クランプ基体1AのハンドルバーH等への取り付けピッチが広い一方、中継支脚1Bの機器側スロット7への取り付けピッチが狭くなるように配設されている。しかしながら、例えば
図9(b)に示すように、一対の支持装置1の左右を入れ替えることもでき、この場合にはクランプ基体1AのハンドルバーHへの取り付けピッチが狭くなる一方、中継支脚1Bの機器側スロット7への取り付けピッチが広くなるように配設することができ、例えばハンドルバーHの直線部分が短い場合等でも情報端末機器Aを自動二輪車Mに確実に取り付けることができ、汎用性を高めることができる。因みに、上記
図1・
図2の構成例は、左右一対の支持装置1を、上記
図9(b)の状態で配設した様子を示している。
【0035】
また偏向支脚部5には、一例として上記
図6に示すように、ユティリティー孔51が、脚部中間部に開口される。このユティリティー孔51は、情報端末機器Aを自動二輪車Mに搭載した場合に、情報端末機器Aに必要な給電用配線や信号用配線を通す目的、あるいは情報端末機器Aを自動二輪車M側に固定するための安全ワイヤ等を通す目的等から設けられる。
【0036】
次に機器台座6について説明する。
機器台座6は、実質的に情報端末機器Aの固定作用を担う部位であり、前記偏向支脚部5の上部に設けられ、一例として平面視で矩形状を成し、その上面を受け台面6aとする。
また機器台座6は、上記のように計四カ所の保持点で情報端末機器Aを保持するため、大型で且つ大重量の情報端末機器Aでも安定且つ強固に自動二輪車Mに装着することができるものである。
【0037】
機器台座6には、例えば上記
図6に示すように、平面視で中央部にボルト孔61が形成されるものであり、このボルト孔61を中心として、前記受け台面6aを一部凹陥させたワッシャ収め凹部60が形成される。
そして、受け台面6a側には、角ナット状のスロットナット62が設けられるとともに、このスロットナット62を締め付けるためのクランプボルト63が反対側(機器台座6の下方)から前記ボルト孔61に挿入される。
更に、前記ワッシャ収め凹部60には、例えば柔軟性を有するクッションワッシャ64並びに前記スロットナット62を受ける平ワッシャ65が設けられる。
また、機器台座6の下方には、クランプボルト63の頭部座面を受ける段付きワッシャ66が設けられ、当該段付きワッシャ66の内筒部分が、ボルト孔61に嵌め込まれるものであり、これにより中継支脚1Bを情報端末機器A側に取り付ける際、段付きワッシャ66が機器台座6から脱落しないように構成されており、クランプボルト63の締め込み操作(仮止めや本締め)が円滑に行えるものである。
【0038】
そして当該機器台座6が固定される情報端末機器Aには、例えば上記
図9に示すように、ディスプレーと反対側の面(背面)に、機器側スロット7が設けられ、当該機器側スロット7も一例としてTスロット係合が適用され、ここに前記スロットナット62が係合する。
もちろん、この機器側スロット7についても、必ずしもTスロット係合である必要はなく、アリ溝状のスロット係合として形成することも可能である。
なお、本実施例では、情報端末機器Aの背面に直接、機器側スロット7が形成された形態を図示したが、このような構成を採らない情報端末機器Aの場合には、別途、機器側スロット7を具えたアダプタ8を背面側に設けるようにするものである。
【0039】
本発明の支持装置1は、以上のような基本構造を有するものであり、以下、この支持装置1を用いて情報端末機器Aを自動二輪車Mに搭載する態様(一例)について説明する。
なお、支持装置1の始発状態として、クランプ基体1Aと中継支脚1Bとを分離状態とする。すなわちクランプ基体1A及び中継支脚1Bが係合しており、この状態がロックされている場合には、このロックを解除し、且つ双方の係合を解除し、各部材を切り離した状態としておくものである。
因みにクランプ基体1A及び中継支脚1Bの係合ロック状態を解除するには、ロック機構を実質的に構成するロックシフタ36の操作片36aをまず押し込むものであり、これによりロックカム36cのよる押圧(押し込み)が解除され、支脚係合部4のフック受け部44に当接していたカム受け部35d(キャッチフック35c)が非当接状態となってロックが解除される。その後、ロックシフタ36の操作片36aを押し込んだまま、例えば中継支脚1Bをクランプ基体1Aに対し分離方向にスライドさせて(相対的なスライド)、両者の係合を解除し、完全に分離させるものである。
【0040】
(1)クランプ基体の車体側への取り付け
クランプ基体1Aは、例えば自動二輪車MのハンドルバーH等を利用して取り付けられるものであり、実際にはハンドルバーH自体、このような機器の取り付けに充分なスペースを確保し難いため、現実的にはハンドルバークランプの近傍部など、直線状態を保つ部位に取り付けられる。
ここで本実施例では、クランプリング部2の幅方向寸法は、クランプ係合部3における支脚支持台31や中継支脚1Bにおける支脚係合部4の幅寸法よりも充分に狭い幅寸法を採ることから、ハンドルバーH等の狭小スペースに対しても円滑に取り付けが行えるものである。
なお、クランプリング部2のハンドルバーH等への固定は、一般的なものであって、前記クランプボルト24と受けナット25との螺合(捻込み)を一旦解除した後、固定リング部21に対し開閉リング部22を開放させるものである。そして、固定リング部21の内側円弧をハンドルバーHの外周側にあてがった上で、ヒンジピン23を中心にして、開閉リング部22を回動させて、保持開口20内にハンドルバーHを収めるように挟み、クランプボルト24を再度、受けナット25と螺合させて、ハンドルバーHを掴持するように固定を図る。
【0041】
(2)中継支脚の情報端末機器への仮取り付け(仮固定)
一方、情報端末機器Aには背面側に中継支脚1Bが取り付けられる。これにはまず機器台座6におけるスロットナット62とクランプボルト63との螺合状態を緩めて、情報端末機器A側の機器側スロット7に、当該スロットナット62を挿入し、その後、クランプボルト63を半ば仮固定状態で締め込むものである。
【0042】
(3)係合開始
このようにして自動二輪車M側にクランプ基体1Aを取り付けるとともに、情報端末機器A側に中継支脚1Bを取り付けたら、一例として
図10(a)に示すように、クランプ基体1Aにおけるクランプ係合部3の位置に合わせて、具体的にはスロットインナ32にガイドスロット41を係合させるように、情報端末機器A側の中継支脚1Bを、スロット係合開始側から挿入誘導溝43に沿ってスライドさせ、両者の嵌め合い係合を図る。
なお中継支脚1B(ガイドスロット41)とクランプ基体1A(スロットインナ32)との係合を開始させるには、中継支脚1Bにおける支脚係合部4の切り欠き部45(挿入誘導溝43が形成された側)を、クランプ基体1A側のキャッチ片35のキャッチフック35c側から嵌め込むようにして行い、一方通行で係合を進める。この際、中継支脚1B側の切り欠き部45が係合開始のガイド作用を担うため、スロット係合を開始させ易いものである。
【0043】
(4)係合中断と再開
ここで挿入誘導溝43は、上述したようにガイドスロット41の途中までしか形成されていないため、上記スロット係合は途中で中断される。すなわち情報端末機器A側の中継支脚1Bは、途中までは円滑に係合して行くが、一例として
図10(b)に示すように、挿入誘導溝43が終了した部分でスロット係合がそれ以上、進まない状態となる。これは前記クランプ係合部3のキャッチ片35(キャッチフック35c)が、挿入誘導溝43の終了部分に干渉するためである。
従って、この中断状態、つまり係合が進まない状態になったら、本
図10(b)に示すように、操作片36aの押圧操作によりキャッチ片35を下げるようにするものであり、この操作によってキャッチフック35cを押し上げるように付勢されていたキャッチ片35の付勢が解除されるものである。このようにしてキャッチ片35におけるキャッチフック35cを下降させるものであり、これにより上記干渉が解除され、情報端末機器A側の中継支脚1B、つまり支脚係合部4はクランプ係合部3との係合が進むようになるものである。
なお、操作片36aの押圧操作は、係合が完了するまで(嵌まり合いが完了するまで)維持するものである。因みに、中継支脚1Bとクランプ基体1Aとの係合が完了した状態では、中継支脚1Bのスロット係合開始側端部となる切り欠き部45が、クランプ基体1Aのストッパ壁部34を収めるように当接するものであり、それ以上の係合を阻止する構成となっている。
【0044】
(5)係合状態のロック(係合完了)
その後、係合が完了した状態で、
図10(c)に示すように、上記操作片36aの押圧操作を解除するものであり、これにより操作片36aはセットスプリング37の作用により初期状態に復帰するように回動し、ロックカム36cがカム受け部35dを押し上げるように付勢する。この結果、例えば
図11に示すように、キャッチフック35cは、段差状に形成されたフック受け部44に当接する状態となり、中継支脚1Bとクランプ基体1Aとの係合状態がロックされる。
このようにして係合状態をロックしたら、前記機器台座6におけるクランプボルト63を、言わば本締めして、機器台座6と機器側スロット7との相対的な位置決めを図るものである。
【0045】
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のうな改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、支持装置1の中継支脚1Bは、偏向支脚部5によって、クランプ基体1Aの固定位置(ハンドルバーH等への固定位置)から偏在するように構成した。そして、このような支持装置1が左右一対で二組設けられるため、例えば
図9(a)に示すように、クランプ基体1AのハンドルバーHへの取り付けピッチを広くする一方、中継支脚1Bの機器側スロット7への取り付けピッチが狭くなるように構成することが可能である(偏向支脚部5の正面視でハの字状)。
しかしながら、ハンドルバーH等、固定部位周辺の取付スペースが狭小である場合等には、一例として
図9(b)に示すように、一対の支持装置1の左右を入れ替えることができ、これによりクランプ基体1AのハンドルバーHへの取り付けピッチを狭くする一方、中継支脚1Bの機器側スロット7への取り付けピッチを広く確保することができる(偏向支脚部5の正面視で逆ハの字状)。
【0046】
また、上述した基本の実施例では、一基の中継支脚1Bにおいて前後に分岐する偏向支脚部5は、偏向支脚部5の長さ(機器台座6の高さ)を同一に設定し、更に前後の偏向支脚部5において形状がほぼ対称となるように形成されたものである。そして、この場合、自動二輪車Mに乗車したライダーからの視認性を考慮すると、情報端末機器A及び支持装置1は、一例として
図12(a)に示すように、自動二輪車MのハンドルバーH等に対し、クランプ基体1Aをはじめ支持装置1を全体的に斜設状態に装着するのが一般的である。このことを考慮すると、前記中継支脚1Bにおいて前後一組の偏向支脚部5は、一例として
図12(b)に示すように、二股の前後で長さや形状等を異ならせることが可能であり、具体的には機器台座6の一方(ライダー寄り)の高さが低くなり、他方の高さが高くなるように形成することができる。これによりクランプ基体1Aは、ハンドルバーH等の固定部位に対し、直立状態(正立状態)に取り付けることができる。
【0047】
また、上述した基本の実施例では、支脚係合部4に対し偏向支脚部脚5を固定状態に形成する形態を基本とした。しかしながら、例えば
図12(c)に示すように、中継支脚1Bについては、支脚係合部4に対し偏向支脚部5を、回動・固定自在の回動軸4Pにおいて回動自在に支持する構成とすることができる。この場合、前後一組の偏向支脚部5は、二股の前後で長さや形状等をほぼ同一状態に形成することができる。また自動二輪車Mへの取付状態では、クランプ基体1AをハンドルバーH等の固定部位に対し、直立状態(正立状態)に取り付けながら、偏向支脚部5を適宜回動・固定することにより、情報端末機器Aをライダーに向けて斜設状態に装着することができる。もちろん、支脚係合部4に対し適宜回動させた偏向支脚部5は、回動軸4P部分でネジ止めなどにより強固に固定するものである。