(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131685
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】センサ材料、センサ材料の製造方法、センサ素子、センサモジュール及びセンシングシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01N27/12 C
G01N27/12 B
G01N27/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042100
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】白井 善晶
【テーマコード(参考)】
2G046
【Fターム(参考)】
2G046AA13
2G046AA24
2G046BA01
2G046BA05
2G046BA08
2G046BA09
2G046BB01
2G046BC04
2G046DC16
2G046DC17
2G046DC18
2G046FB02
2G046FE02
2G046FE16
2G046FE26
2G046FE29
2G046FE31
2G046FE34
2G046FE35
(57)【要約】
【課題】新規なセンサ材料、センサ材料の製造方法、センサ素子、センサモジュール及びセンシングシステムを提供する。
【解決手段】金属酸化物を主としたセンサ材料10であって、互いに積層された、第1金属酸化物を含む第1層11と、第2金属酸化物を含む第2層12と、を有し、上記第1金属酸化物及び上記第2金属酸化物を構成する主となる金属元素は、同じ元素であり、上記第2金属酸化物の酸化数は、上記第1金属酸化物の酸化数よりも低い、センサ材料10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物を主としたセンサ材料であって、
互いに積層された、第1金属酸化物を含む第1層と、第2金属酸化物を含む第2層と、を有し、
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物を構成する主となる金属元素は、同じ元素であり、
前記第2金属酸化物の酸化数は、前記第1金属酸化物の酸化数よりも低い、センサ材料。
【請求項2】
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、互いに相が異なる、請求項1に記載のセンサ材料。
【請求項3】
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、互いに相が同じである、請求項1に記載のセンサ材料。
【請求項4】
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物を構成する主となる金属元素は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、W、Ga、Ge、In、Sn、及び、Znからなる群より選択されるいずれかの元素である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項5】
前記第2層の厚みは、1nm以上、10μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項6】
前記第2層は、前記第2金属酸化物を含む薄膜を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項7】
前記第1層及び前記第2層の厚みの合計は、1nm以上、50μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項8】
前記第1層は、粒子径が1nm以上、1μm以下の粒子を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項9】
前記第1層及び前記第2層は、それぞれ、複数種の酸化物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項10】
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、それぞれ、複合酸化物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項11】
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、それぞれ、主となる金属元素と異なる元素がドープされている、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項12】
前記第1層及び前記第2層は、それぞれ、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt及びAuからなる群より選択される少なくとも1種の触媒元素を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項13】
前記第2層が上層であり、前記第1層が下層である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項14】
前記第2層が下層であり、前記第1層が上層である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項15】
前記第1層を複数層有し、
1層目の第1層が上層であり、前記第2層が中間層であり、2層目の第1層が下層である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料の製造方法であって、
金属酸化物を含む層に対してレーザ照射、電子線照射、X線照射、IR照射及びプラズマ処理のうちの少なくとも1種の処理を行って、前記金属酸化物を改質する工程を含む、センサ材料の製造方法。
【請求項17】
請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ材料と、
前記センサ材料に接続された1対の抵抗測定用電極と、を備える、センサ素子。
【請求項18】
請求項17に記載のセンサ素子と、
前記センサ素子の出力信号を処理する信号処理回路と、
通信モジュールと、
電源と、
前記センサ素子、前記信号処理回路、前記通信モジュール及び前記電源が設けられた基板と、
前記センサ素子、前記信号処理回路、前記通信モジュール、前記電源及び前記基板を収納し、通気口が設けられた筐体と、を備える、センサモジュール。
【請求項19】
請求項18に記載のセンサモジュールと、
前記センサモジュールから送信された検出結果を解析する情報処理装置と、
前記情報処理装置による解析結果を表示する表示装置と、を備えるセンシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ材料、センサ材料の製造方法、センサ素子、センサモジュール及びセンシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のガスを検知するガスセンサや、不特定多数のガスを検知するにおいセンサといったセンサ素子は、その構成材料である半導体材料に応じて感度(応答性)や選択性が変化するため、ガスセンサやにおいセンサ用の半導体材料が種々開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基板と、上記基板上に形成され、実質的に、II-VI族半導体、III-V族半導体、金属酸化物半導体、金属硫化物半導体、金属リン化物半導体、金属窒化物、金属セレン化物半導体、金属テルル化物半導体からなるグループから選択される半導性AxBy化合物からなる1次元ナノ粒子を有するセンサ媒質と、上記センサ媒質の物理的及び/又は化学的特性の変化を検出する検出手段とを備える化学センサ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、半導体材料を有するセンサ素子は、酸化物半導体(価数混合の場合もあり)から構成された単一層を備えるか、又は、ある酸化物半導体から構成された単一層中に他の酸化物半導体の粒子が分散されている。
【0006】
しかしながら、センサ素子の感度(応答性)を向上したり、センサ素子の選択性を変化させたりするといった観点から、センサ材料には更なる開発の余地があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、新規なセンサ材料、センサ材料の製造方法、センサ素子、センサモジュール及びセンシングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のセンサ材料は、金属酸化物を主としたセンサ材料であって、互いに積層された、第1金属酸化物を含む第1層と、第2金属酸化物を含む第2層と、を有し、上記第1金属酸化物及び上記第2金属酸化物を構成する主となる金属元素は、同じ元素であり、上記第2金属酸化物の酸化数は、上記第1金属酸化物の酸化数よりも低い。
【0009】
本発明のセンサ材料の製造方法は、本発明のセンサ材料の製造方法であって、金属酸化物を含む層に対してレーザ照射、電子線照射、X線照射、IR照射及びプラズマ処理のうちの少なくとも1種の処理を行って、上記金属酸化物を改質する工程を含む。
【0010】
本発明のセンサ素子は、本発明のセンサ材料と、上記センサ材料に接続された1対の抵抗測定用電極と、を備える。
【0011】
本発明のセンサモジュールは、本発明のセンサ素子と、上記センサ素子の出力信号を処理する信号処理回路と、通信モジュールと、電源と、上記センサ素子、上記信号処理回路、上記通信モジュール及び上記電源が設けられた基板と、上記センサ素子、上記信号処理回路、上記通信モジュール、上記電源及び上記基板を収納し、通気口が設けられた筐体と、を備える。
【0012】
本発明のセンシングシステムは、本発明のセンサモジュールと、上記センサモジュールから送信された検出結果を解析する情報処理装置と、上記情報処理装置による解析結果を表示する表示装置と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、新規なセンサ材料、センサ材料の製造方法、センサ素子、センサモジュール及びセンシングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るセンサ材料の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るセンサ材料の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るセンサ材料の更に他の例を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るセンサ素子の一例を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るセンシングシステムの一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、実施例1に係る評価用センサ素子を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施例1に係る評価用センサ素子を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施例1に係る評価用センサ素子を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施例1、2及び比較例1、2に係る評価チャンバを模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施例1及び比較例1の評価結果を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施例2及び比較例2の評価結果を示すグラフである。
【
図13】
図13は、比較例1の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施例1の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、比較例2の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施例2の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のセンサ材料、センサ材料の製造方法、センサ素子、センサモジュール及びセンシングシステムについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0016】
(センサ材料)
まず、本発明の実施形態に係るセンサ材料について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るセンサ材料の一例を模式的に示す断面図である。
【0018】
図1に示すセンサ材料10は、金属酸化物を主としたセンサ材料であって、互いに積層された、第1金属酸化物を含む第1層11と、第2金属酸化物を含む第2層12と、を有し、第1金属酸化物及び第2金属酸化物を構成する主となる金属元素は、同じ元素であり、第2金属酸化物の酸化数は、第1金属酸化物の酸化数よりも低い。これにより、センサ素子の感度(応答性)を向上したり、センサ素子の選択性を変化させたりすることが可能である。
【0019】
なお、ここで、「感度」とは、ガスの存在有無や濃度の検知をどれくらい大きな信号として取り出せるか、という定量的指標を表す。本明細書では、(検出したいガスが含まれる大気雰囲気中での抵抗)と(大気雰囲気中での抵抗)との比率を感度として表す。高感度であれば、低濃度のガスの検知が可能となる。センサ材料と検出対象のガスとの組み合わせにより、(検出したいガスが含まれる大気雰囲気中での抵抗)と(大気雰囲気中での抵抗)の大小関係が変わる。ここでは、それぞれの組み合わせにおいて、1以上となるような比率を感度と定義する。(検出したいガスが含まれる大気雰囲気中での抵抗)が(大気雰囲気中での抵抗)より大きい場合、(検出したいガスが含まれる大気雰囲気中での抵抗)/(大気雰囲気中での抵抗)で表される。(検出したいガスが含まれる大気雰囲気中での抵抗)が(大気雰囲気中での抵抗)より小さい場合、(大気雰囲気中での抵抗)/(検出したいガスが含まれる大気雰囲気中での抵抗)で表される。
【0020】
また、「選択性」とは、種々のガスに対して応答を示し得るが、(ガスAに対する感度)と(ガスBに対する感度)との比率をガスAとガスBに対する選択性として表す。
【0021】
図1に示すように、センサ材料10は、基材21上に設けられてもよい。基材21は、センサ材料10を支持する薄板状の部材である。基材21の材質としては、例えば、アルミナ、シリコン、ガラス、樹脂等が挙げられる。
【0022】
上記第1金属酸化物及び上記第2金属酸化物は、互いに相が異なっていてもよい。すなわち、第1金属酸化物の結晶構造と、第2金属酸化物の結晶構造とは、互いに異なっていてもよい。これにより、センサ素子の応答性(感度)を向上することができる。また、それに伴って、センサ素子の選択性を変化させることができる。この場合、第2金属酸化物は、第1金属酸化物が結晶性の高い低級酸化物へとその結晶構造を変化することによって生成されたものである。以下、この場合を第1の態様ということがある。
【0023】
他方、上記第1金属酸化物及び上記第2金属酸化物は、互いに相が同じであってもよい。すなわち、第1金属酸化物の結晶構造と、第2金属酸化物の結晶構造とは、互いに同じであってもよい。これにより、センサ素子の選択性を変化させることができる。この場合、第2金属酸化物は、第1金属酸化物が結晶性の高い低級酸化物へとその結晶構造を変化することなく、その平均価数が低減(量論組成比からのずれ、酸素欠損の導入)することによって生成されたものである。以下、この場合を第2の態様ということがある。
【0024】
いずれの場合も第2金属酸化物は、後述するレーザ照射等の処理により第1金属酸化物が改質されることによって生成される。すなわち、互いに積層された、第1金属酸化物を含む第1層11と、第2金属酸化物を含む第2層12とは、別個独立に形成された2つの層が積層されたものではなく、第1金属酸化物を含む層の一部の第1金属酸化物が改質されることによって、元の第1金属酸化物を含む第1層11と、第1金属酸化物が改質された第2金属酸化物を含む第2層12とが厚み方向に順に配置されたものである。
【0025】
上記第1金属酸化物及び上記第2金属酸化物を構成する主となる金属元素としては、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、W等の遷移金属元素や、Ga、Ge、In、Sn、Zn等の典型元素が挙げられる。特に、Ti、Sn、Cuを用いることが好ましい。
【0026】
より具体的には、上記第1金属酸化物としては、例えば、SnO2、ZnO、TiO2、WO3、In2O3、Fe2O3等のn型酸化物半導体や、CuO、NiO、Co3O4、Cr2O3、Mn3O4等のp型酸化物半導体が挙げられる。
【0027】
上記第2金属酸化物としては、例えば、第1の態様では、Cu2O、TiO、CoO等が挙げられ、第2の態様では、SnO2-x(xは、0<x<1を満たす)、WO3-y(yは、0<y<1を満たす)、ZnO1-z(zは、0<z<1を満たす)等が挙げられる。
【0028】
第2層12の厚みは、1nm以上、10μm以下であることが好ましく、2nm以上、8μm以下であることがより好ましく、5nm以上、5μm以下であることが更に好ましい。
【0029】
第2層12は、上記第2金属酸化物を含む薄膜を有していてもよい。この薄膜の厚みは、1nm以上、10μm以下であることが好ましく、2nm以上、8μm以下であることがより好ましく、5nm以上、5μm以下であることが更に好ましい。
【0030】
第2層12は、上記薄膜と、粒子径が1nm以上、1μm以下の粒子(第2金属酸化物の粒子)とを含んでいてもよい。すなわち、上記薄膜の厚みは第2層12の厚みより小さくてもよい。この場合、第2層12は、上記粒子からなる層と、上記薄膜とから構成されていてもよい。
【0031】
また、第1層11は、粒子径が1nm以上、1μm以下の粒子(第1金属酸化物の粒子)を含むことが好ましい。これにより、センサ材料10の表面積が増大し、センサ素子から大きな信号を出力することが可能である。
【0032】
なお、粒子径はセンサ材料10の断面をSEM観察し、その画像から測長することで評価できる。このとき、粒子が球状でなくアスペクト比を有する場合、最長の長さを粒子径と定義する。この粒子径は、500nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。また、第1層11に含まれる粒子の粒子径と、第2層12に含まれる粒子の粒子径とは、実質的に同じであってもよい。
【0033】
第1層11及び第2層12の厚みの合計は、1nm以上、50μm以下であることが好ましく、2nm以上、30μm以下であることがより好ましく、5nm以上、10μm以下であることが更に好ましい。
【0034】
第1層11及び第2層12は、それぞれ、複数種の酸化物を含んでいてもよい。すなわち、第1層11及び第2層12は、複数の主となる金属元素について、第1金属酸化物及び第2金属酸化物と同様の関係を持つ酸化物をそれぞれ含んでいてもよい。例えば、第1層11は、第1金属酸化物としてSnO2及びCuOを含み、第2層12は、第2金属酸化物としてSnO2-x(xは、0<x<1を満たす)及びCu2Oを含んでいてもよい。
【0035】
上記第1金属酸化物及び上記第2金属酸化物は、それぞれ、複合酸化物であってもよい。複合酸化物としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、マグネシウムフェライト(MgFe2O4)コバルト酸サマリウム(SmCoO3)等が挙げられる。
【0036】
上記第1金属酸化物及び上記第2金属酸化物は、それぞれ、主となる金属元素と異なる元素がドープされていてもよい。そのような酸化物としては、例えば、コバルトドープ酸化チタン((Ti、Co)O2)、チタンドープ酸化鉄((Fe,Ti)2O3)等が挙げられる。
【0037】
第1層11及び第2層12は、それぞれ、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt及びAuからなる群より選択される少なくとも1種の触媒元素を含でいてもよい。特に、Ru、Pd、Pt、Auを用いることが好ましい。
【0038】
第1層11及び第2層12の配置順序は特に限定されず、
図1に示したように、第2層12が上層であり、第1層11が下層であってもよい。
【0039】
なお、ここで、「上層」及び「下層」とは、それぞれ、基材に対して、より遠い層及びより近い層を意味する。
【0040】
図2は、本発明の実施形態に係るセンサ材料の他の例を模式的に示す断面図である。
【0041】
図2に示すように、センサ材料10では、第2層12が下層であり、第1層11が上層であってもよい。
【0042】
図3は、本発明の実施形態に係るセンサ材料の更に他の例を模式的に示す断面図である。
【0043】
図3に示すように、センサ材料10は、第1層11を複数層有し、1層目の第1層11が上層であり、第2層12が中間層であり、2層目の第1層11が下層であってもよい。このように、第1層11及び第2層12が交互にそれぞれ2層以上積層されていてもよい。
【0044】
(センサ材料の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るセンサ材料の製造方法について説明する。
【0045】
本実施形態に係るセンサ材料の製造方法は、上述のセンサ材料10の製造方法であって、金属酸化物を含む層に対してレーザ照射、電子線照射、X線照射、IR(赤外線)照射及びプラズマ処理のうちの少なくとも1種の処理を行って、上記金属酸化物を改質する工程を含む。これにより、厚さ方向において任意の位置で、金属酸化物の一部を改質し、元の酸化数よりも低い酸化数の金属酸化物を含む層、すなわち第2層を生成することができる。
【0046】
例えば、金属酸化物を含む層をレーザで走査してもよい。これにより、任意の平面形状で第2層の描画が可能となる。
【0047】
また、例えば、第2層の深さ方向の位置はレーザ照射の条件を変更することによって変えることができる。例えば、レンズ等によりレーザを集光させ、2光子吸収過程を経ることで、深さ方向も含めて任意の位置で上記金属酸化物を改質することができる。それにより、下層、又は、中間層に第2層を作製することができる。
【0048】
処理前の層は、1種のみの金属酸化物を含んでいてもよいし、主となる金属元素が互いに異なる2種以上の金属酸化物を含んでいてもよい。いずれにしても、処理前の層は、金属酸化物の粒子から構成されていることが好ましい。この粒子は、上述の第1層11の粒子となる。
【0049】
(センサ素子)
次に、本発明の実施形態に係るセンサ素子について説明する。
【0050】
図4は、本発明の実施形態に係るセンサ素子の一例を模式的に示す平面図である。
【0051】
図4に示すセンサ素子20は、上述のセンサ材料10と、センサ材料10に接続された1対の抵抗測定用電極22と、を備えている。
【0052】
1対の抵抗測定用電極22は、上述の基材21の第1の主面上に、互いに所定の間隔を空けて設けられている。これらの抵抗測定用電極22は、例えば、Pt、Au、Ag、Al等の導電性材料から形成されている。1対の抵抗測定用電極22の間隔は、1nm以上、1μm以下であることが好ましく、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。
【0053】
センサ材料10は、1対の抵抗測定用電極22と、その隙間とを覆うように基材21の第1の主面上に設けられている。センサ材料10は、上述のように第1層及び第2層が積層された構造を有する。
【0054】
図4に示すように、センサ素子20は、更に、基材21、ヒータ23、パッケージ24、複数の配線25及び複数の実装用電極26を備えていてもよい。
【0055】
ヒータ23は、昇温用の電極であり、基材21の第2の主面(第1の主面と反対の主面)上に設けられている。センサ素子20によるガス検出時、センサ材料10は、ヒータ23によって所定の温度、例えば50℃以上、600℃以下、好ましくは100℃以上、500℃以下まで加熱される。
【0056】
これらの部材は、アルミナ、シリコン、金属、樹脂等から形成されたパッケージ24内に収納されており、パッケージ24の表面に実装用電極26が設けられている。各抵抗測定用電極22やヒータ23は、対応する配線25を介して、対応する実装用電極26に接続されている。パッケージ内に、センサ材料10、1対の抵抗測定用電極22、基材21及びヒータ23を含むセンサユニットが複数存在してもよい。
【0057】
(センサモジュール)
次に、本発明の実施形態に係るセンサモジュールについて説明する。
【0058】
図5は、本発明の実施形態に係るセンサモジュールの一例を模式的に示す図である。
【0059】
図5に示すセンサモジュール30は、上述のセンサ素子20と、センサ素子20の出力信号を処理する信号処理回路31と、通信モジュール32と、電池等の電源33と、センサ素子20、信号処理回路31、通信モジュール32及び電源33が設けられた基板34と、センサ素子20、信号処理回路31、通信モジュール32、電源33及び基板34を収納し、通気口35aが設けられた筐体35と、を備えている。センサ素子20は複数存在してもよい。
【0060】
信号処理回路31は、センサ素子20の出力信号(抵抗値)に対して、ノイズ除去、ドリフト補正、感度評価等の処理を行う。信号処理回路31は、配線36を介してセンサ素子20に接続されていてもよい。
【0061】
通信モジュール32には、例えば、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)を使用することができる。
【0062】
基板34は、センサ素子20等が実装されるプリント配線基板である。
【0063】
筐体35に設けられた通気口35aを介して検知対象ガスがセンサ素子20に導入される。
【0064】
図5に示すように、センサモジュール30は、更に、筐体35内に、センサ素子20の温度を測定する温度センサ37と、通気口35aから導入されたガスの湿度を測定する湿度センサ38と、通気口35aを覆うフィルタ39と、液晶ディスプレイ等の検出結果を表示する表示部40と、スピーカ等の発音部41と、電源33のオンオフを行う電源ボタン42と、ユーザからの操作の入力を受け付ける操作ボタン43と、外部電源に接続された充電ケーブルが接続され得る充電コネクタ44と、外部機器に接続されたケーブルが接続され得る接続コネクタ45と、配線46を介してセンサ素子20に接続され、センサ素子20を制御する制御回路47と、を備えていてもよい。制御回路47は、例えば、センサ素子20のヒータの制御を行う。
【0065】
センサモジュール30は、センシング動作時、センサ素子20の1対の抵抗測定用電極を介してセンサ材料の電気抵抗をモニターし、センサ材料の表面に検知対象ガスが接触したときに生じる抵抗値変化を検出し、通信モジュール32を介して当該検出結果を外部へ出力する。
【0066】
センサモジュール30は、少なくとも1種のガスを検知するセンサであり、特定のガスを検知するガスセンサ、又は、不特定多数のガスを検知するにおいセンサとして機能し得る。においセンサとして機能する場合は、センサモジュール30は、半導体材料が互いに異なる複数種のセンサ素子を備え、そのうちの少なくとも1種のセンサ素子として上述のセンサ素子20を備えている。
【0067】
(センシングシステム)
次に、本発明の実施形態に係るセンシングシステムについて説明する。
【0068】
図6は、本発明の実施形態に係るセンシングシステムの一例を模式的に示す図である。
【0069】
図6に示すセンシングシステム50は、上述のセンサモジュール30と、センサモジュール30から送信された検出結果を解析する情報処理装置51と、情報処理装置51による解析結果を表示する表示装置52と、を備えている。情報処理装置51による解析では各センサ素子の感度、温度、湿度の情報の多変量解析を行い、検出したガスの情報を応答する。更に、多変量解析の手法として、主成分分析等が挙げられる。
【0070】
情報処理装置51は、例えば、クラウド等のサーバ装置から構成されており、センサモジュール30及び表示装置52と通信可能に接続されている。
【0071】
表示装置52としては、例えば、スマートフォンを利用することができる。
【0072】
図6に示すように、センシングシステム50は、更に、情報処理装置51と通信可能に接続された、センシングシステム50と連動する他の装置53を備えていてもよい。このような装置53としては、例えば、消臭装置等が挙げられ、センサモジュール30の検出結果に応じて、情報処理装置51の指令により装置53を起動させてもよい。
【実施例0073】
以下、本発明のセンサ材料、センサ材料の製造方法及びセンサ素子をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
図7、
図8及び
図9は、それぞれ、実施例1に係る評価用センサ素子を模式的に示す平面図である。
【0075】
図7に示すように、まず、アルミナ板61の一方の主面上に、1対の抵抗測定用電極として、1対の櫛歯電極62をPtから形成した。
【0076】
次に、
図8に示すように、粒径100nmのCuOのナノ粒子を用い、1対の櫛歯電極62を覆うようにアルミナ板61上に金属酸化物を含む層63を成膜した。CuOナノ粒子の粒径は、分散処理後に、Microtrac社製レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置MT3300EX IIで粒度分布評価を行い、個数評価でのD50値から評価した。層63は、CuOナノ粒子に分散剤と溶媒を混合してペーストを作製し、ディスペンサで塗布、乾燥後に熱処理することで成膜した。層63の厚さは、6μmとした。そして、層63に対して波長355nmのレーザを照射しながら、レーザで層63を走査した。これにより、層63の全面に紫外線レーザを照射した。このときのレーザ照射のパルス幅(照射時間)は35n秒とし、レーザ照射の出力は0.5Wとした。
【0077】
次に、
図9に示すように、各櫛歯電極62に電気配線64を施し、これらをヒータ65上に配置することで、評価用センサ素子60を作製した。
【0078】
(実施例2)
CuOのナノ粒子の代わりに、粒径100nmのSnO2のナノ粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして評価用センサ素子を作製した。金属酸化物を含む層の厚さは、同じ6μmとした。
【0079】
(比較例1)
金属酸化物を含む層に対して紫外線レーザを照射しなかったことを除いて、実施例1と同様にして評価用センサ素子を作製した。
【0080】
(比較例2)
金属酸化物を含む層に対して紫外線レーザを照射しなかったことを除いて、実施例2と同様にして評価用センサ素子を作製した。
【0081】
(評価方法)
図10は、実施例1、2及び比較例1、2に係る評価チャンバを模式的に示す斜視図である。
【0082】
図10に示すように、ガス流入管71及びガス流出管72が接続された評価チャンバ70を準備し、評価チャンバ70内に作製した評価用センサ素子を配置した。
【0083】
そして、評価チャンバ70にガスを流入し、各評価用センサ素子の感度を評価した。具体的には、まず、空気を2時間流入した後、対象ガス及び空気を1時間流入した。その後、空気を1時間流入しながら、その間、櫛歯電極間の電気抵抗をモニターした。ここで、空気は、N2(80体積%)及びO2(20体積%)とし、その湿度は0%RHとした。対象ガスとしては、エタノール、NO2又はH2S(規定濃度)とした。流量は、200sccm(cc/min)とし、評価温度は、100℃とした。
【0084】
初めに空気を流入した期間での抵抗値をRairとし、対象ガス及び空気を流入した期間での抵抗値をRgasとすると、対象ガスの流入により抵抗が減少する場合については、下記(1)から感度を算出し、対象ガスの流入により抵抗が増加する場合については、下記(2)から感度を算出した。
感度=Rair/Rgas (1)
感度=Rgas/Rair (2)
【0085】
(評価結果)
図11は、実施例1及び比較例1の評価結果を示すグラフである。
【0086】
図11に示すように、CuOに紫外線レーザを照射することによって、センサの感度が向上し、センサの選択性が変化した。
【0087】
図12は、実施例2及び比較例2の評価結果を示すグラフである。
【0088】
図12に示すように、SnO
2に紫外線レーザを照射することによって、センサの選択性が変化し、NO
2に特化した検知が可能となった。
【0089】
(レーザ改質前後の分析結果)
図13は、比較例1の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
図14は、実施例1の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
【0090】
実施例1及び比較例1について、金属酸化物を含む層の最表面をX線光電子分光法(XPS)で分析するとともに金属酸化物を含む層をX線回折法(XRD)で分析した。更に、それらの金属酸化物を含む層の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。
【0091】
その結果、
図13に示すように、比較例1では、CuOのナノ粒子(価数:+II)81が基材82上に均一に存在していると考えられた。それに対して、
図14に示すように、実施例1では、レーザ照射による改質の影響で金属酸化物を含む層の最表面に厚さ200nm程度の薄膜83が形成されており、薄膜83中に結晶性のCu
2O(価数:+I)が生成したと考えられた。すなわち、CuOの改質では、結晶性の高い低級酸化物への相変化(結晶構造の変化)が起こったと考えられる。また、薄膜83の下にはCuOのナノ粒子(価数:+IIより小さい)が存在する可能性も考えられた。
【0092】
図15は、比較例2の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
図16は、実施例2の金属酸化物を含む層を模式的に示す断面図である。
【0093】
実施例2及び比較例2について、金属酸化物を含む層の最表面をXPSで分析するとともにSEMで観察した。また、金属酸化物を含む層をXRD及びX線吸収微細構造(XAFS)で分析した。更に、それらの金属酸化物を含む層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
【0094】
その結果、
図15に示すように、比較例2では、SnO
2のナノ粒子(価数:+IV)91が基材92上に均一に存在していると考えられた。それに対して、
図16に示すように、実施例2では、レーザ照射による改質の影響で金属酸化物を含む層の最表面に厚さ200nm程度の薄膜93が形成されており、金属酸化物を含む層の表層に微量の結晶性のSnOが生成したと考えられる。すなわち、薄膜93では結晶性SnO
2(価数:+IV)中に微量の結晶性SnO(価数:+II)が混在していると考えられる。そして、金属酸化物を含む層は、内部含めて還元(酸素欠損含有)状態、すなわちSnの平均価数が+IVより小さい状態にあると考えられる。すなわち、
図16に示すように、薄膜93の下にはSnO
2のナノ粒子(価数:+IVより小さい)94が存在し、薄膜93とナノ粒子94からなる層を含む、最表面から3μm程度の深さまでの領域ではSnの平均価数が+IVより小さくなったと考えられる。このように、SnO
2の改質では、結晶性の高い低級酸化物への相変化(結晶構造の変化)が起こりにくく、平均価数の低減(量論組成比からのずれ、酸素欠損の導入)が起こったと考えられる。
【0095】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0096】
<1>
金属酸化物を主としたセンサ材料であって、
互いに積層された、第1金属酸化物を含む第1層と、第2金属酸化物を含む第2層と、を有し、
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物を構成する主となる金属元素は、同じ元素であり、
前記第2金属酸化物の酸化数は、前記第1金属酸化物の酸化数よりも低い、センサ材料。
【0097】
<2>
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、互いに相が異なる、<1>に記載のセンサ材料。
【0098】
<3>
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、互いに相が同じである、<1>に記載のセンサ材料。
【0099】
<4>
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物を構成する主となる金属元素は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、W、Ga、Ge、In、Sn、及び、Znからなる群より選択されるいずれかの元素である、<1>から<3>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0100】
<5>
前記第2層の厚みは、1nm以上、10μm以下である、<1>から<4>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0101】
<6>
前記第2層は、前記第2金属酸化物を含む薄膜を有する、<1>から<5>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0102】
<7>
前記第1層及び前記第2層の厚みの合計は、1nm以上、50μm以下である、<1>から<6>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0103】
<8>
前記第1層は、粒子径が1nm以上、1μm以下の粒子を含む、<1>から<7>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0104】
<9>
前記第1層及び前記第2層は、それぞれ、複数種の酸化物を含む、<1>から<8>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0105】
<10>
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、それぞれ、複合酸化物である、<1>から<9>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0106】
<11>
前記第1金属酸化物及び前記第2金属酸化物は、それぞれ、主となる金属元素と異なる元素がドープされている、<1>から<10>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0107】
<12>
前記第1層及び前記第2層は、それぞれ、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt及びAuからなる群より選択される少なくとも1種の触媒元素を含む、<1>から<11>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0108】
<13>
前記第2層が上層であり、前記第1層が下層である、<1>から<12>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0109】
<14>
前記第2層が下層であり、前記第1層が上層である、<1>から<12>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0110】
<15>
前記第1層を複数層有し、
1層目の第1層が上層であり、前記第2層が中間層であり、2層目の第1層が下層である、<1>から<12>のいずれか1つに記載のセンサ材料。
【0111】
<16>
<1>から<15>のいずれか1つに記載のセンサ材料の製造方法であって、
金属酸化物を含む層に対してレーザ照射、電子線照射、X線照射、IR照射及びプラズマ処理のうちの少なくとも1種の処理を行って、前記金属酸化物を改質する工程を含む、センサ材料の製造方法。
【0112】
<17>
<1>から<15>のいずれか1つに記載のセンサ材料と、
前記センサ材料に接続された1対の抵抗測定用電極と、を備える、センサ素子。
【0113】
<18>
<17>に記載のセンサ素子と、
前記センサ素子の出力信号を処理する信号処理回路と、
通信モジュールと、
電源と、
前記センサ素子、前記信号処理回路、前記通信モジュール及び前期電源が設けられた基板と、
前記センサ素子、前記信号処理回路、前記通信モジュール、前期電源及び前記基板を収納し、通気口が設けられた筐体と、を備える、センサモジュール。
【0114】
<19>
<18>に記載のセンサモジュールと、
前記センサモジュールから送信された検出結果を解析する情報処理装置と、
前記情報処理装置による解析結果を表示する表示装置と、を備えるセンシングシステム。